JP5988156B2 - マッサージ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、仰臥姿勢の人体の頚部、体幹、および下肢を噴流液圧によりマッサージするマッサージ装置に関するものである。
従来から、人体に対するマッサージを行うマッサージ装置として、噴射口(噴射ノズル)から噴射される水圧等の液圧を利用したマッサージ装置が知られている。
このマッサージ装置は、略直方体形状を呈する液槽の上方開口に可撓性シートが張設されて、液槽内に配設された噴射口から液体を可撓性シートの下面に向けて噴射することにより、可撓性シート上に横臥するマッサージ受療者に対して刺激を与えて施療するものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
このマッサージ装置は、液槽内に液体が満たされており、その上に張設される可撓性シートでマッサージ受療者の体重を支持する構成となっている。かかる構成のマッサージ装置では、可撓性シート上に横臥したマッサージ受療者は液体上に浮いた浮遊感を体感しつつ、マッサージを受療することができるという利点を有している。
しかしながら、その反面、液槽内では可撓性シートの下面に液体を噴射してマッサージを行う噴射口の移動や、あるいはその噴射による液体が可撓性シートや液槽の内壁に衝突し、衝突した液体が該内壁で打ち返されることに伴って、波が発生し、この波により可撓性シートが揺れて、特にこのような揺れに弱いマッサージ受療者はあたかも船酔いに類似した症状を催すという問題点がある。
そこで、このような問題点を解決するために、特許文献1のマッサージ装置では、マッサージ中の人体、特に頭部の揺れを軽減し、船酔い現象を防止するための手段として、可撓性シート上の人体の頭部位置に頭部支持部材や、取着式頭部支持部材(以下、頭部支持部材)を載置した構成が開示されている。
特開2002−95717号公報(明細書段落0031〜0034、図10〜図11)
しかしながら、特許文献1に開示のマッサージ装置にあっては、頭部支持部材の形状が平板状であるため、マッサージ受療者が可撓性シート上に横臥した際に頭部は頭部支持部材で支持されるものの、可撓性シートのみによって支持される背部や臀部は頭部と比較して下方に沈み込むため、頭部支持部材の上に枕を載置してマッサージを行う場合、胴部に対して頭部が起立する角度のついた傾斜形状となり、窮屈感が増すという問題点を有していた。
また、液槽の内壁形状も平面視略長方形状とされているため、液槽短辺方向の内壁に衝突した波がほぼそのまま該内壁で跳ね返ってしまい、この跳ね返った波によって、可撓性シートが液槽長辺方向に揺れ易いという問題点も有していた。
本発明は、上述の諸問題点に鑑みてなされたものであり、頭部の揺れを軽減しつつ、マッサージ受療者が、より一層、リラックスしてマッサージを受療できるマッサージ装置を提供することを主たる目的とすると共に、液槽内で波が発生しにくい液槽形状とすることにより可撓性シート上での揺れをより抑制したマッサージ装置を提供することを他の目的としている。
請求項1に係る本発明は、上面に開口が形成され内部に液体が貯められる液槽と、前記開口に張設されてマッサージ受療者が液槽一辺方向に沿って横臥可能な可撓性シートとを有し、前記液槽内から前記可撓性シートの下面に向けて加圧液体を噴射することで、前記可撓性シートを介して前記マッサージ受療者をマッサージするマッサージ装置であって、前記可撓性シート上で少なくともマッサージ受療者の頭部が載置される位置に頭部支持部材が設けられ、前記頭部支持部材の頭部支持面を前記頭部支持部材の下面に位置する前記可撓性シートの張設面を除く他の前記可撓性シートの張設面より下方に位置するように設定したことを特徴とするマッサージ装置である。本発明によれば、マッサージ受療者の頭部が可撓性シートの揺れに関係なく支持されていることで、マッサージ中、マッサージ受療者の三半規管への揺れの伝達を軽減することができる。加えて、マッサージ受療者の背部から臀部が下方に沈み込んだ場合であっても、胴体部に対して頭部が起立する角度がついた傾斜状態になり難く、よって、マッサージ受療者は窮屈感を感じることなく、従来のマッサージ装置に比してよりリラックスした姿勢でマッサージを受けることができる。
請求項2の態様では、前記頭部支持部材は、少なくとも、マッサージ受療者の頭部が載置可能な程度の大きさを有する凹状部が形成されており、かつ前記頭部支持部材の下面には、前記凹状部の形成によって凸状部が形成されており、前記可撓性シートは前記凸状部によって下方に押し付けられている。この態様によれば、凹状部に応じた凸状部の形成によって可撓性シートを下方に押し付けるように構成したことで、可撓性シート上に横臥したマッサージ受療者の頚部に対応する可撓性シートの部分が上方に膨らみ易くなり、該頚部と可撓性シートとの隙間を少なくでき、これにより、頚部への加圧液体を当て易く、したがって、頚部へのマッサージ効率を向上させることができる。
請求項3の態様では、前記凹状部が、枕を載置可能な程度の幅寸法に設定されている。この態様によれば、マッサージ動作中に加圧液体の噴射等によって枕が左右方向に大きくずれることを防止できる。また、枕の厚みや形状を考慮して凹状部を形成することで、頸部への負担がより少ないものとなる。
請求項4の態様では、前記液槽一辺方向に沿った前記液槽の中途部にシート状または網状の部材がさらに設けられており、前記シート状または網状の部材は、前記可撓性シートの上方または下方にあって、前記液槽一辺方向と交差する方向に沿って前記液槽の開口両端間に張設されている。この態様によれば、例えば、マッサージ受療者の臀部またはその近傍に対応する位置に前記シート状または網状の部材が張設されるので、臀部の沈み込みを抑制することができ、また、マッサージ中の可撓性シートの揺れを低減し、マッサージ受療者の人体の揺れを抑制することができるので、リラックスしてマッサージを受療することができる。
請求項5の態様では、前記液槽一辺方向の両端の液槽内壁のうち、少なくとも前記マッサージ受療者の頭部側に位置する液槽内壁は、該液槽内壁に衝突する前記液体の波成分と、該液槽内壁で打ち返される前記液体の波成分とが消波し合う形状となっている。なお、好ましくは、液槽一辺方向の両端の液槽内壁それぞれを上述した形状にするとよい。加圧液体の噴射等によって液体が可撓性シートや液槽の内壁に衝突して打ち返されることに伴って液体の波が発生するが、請求項5の態様によれば、この波を消波し低減できる。そのため、マッサージ動作中のマッサージ受療者の少なくとも頭部側の揺れを抑制でき、揺れに弱いマッサージ受療者であっても、船酔いなどの症状を催すことなく快適なマッサージを受療することが可能となる。
請求項6の態様では、前記液槽一辺方向と交差する液槽他辺方向の両端の液槽内壁は、前記液槽一辺方向に沿って略直線形状をしており、前記液槽一辺方向の両端の液槽内壁は曲面形状をしている。請求項6の態様によれば、液槽の内壁が、陸上競技場の周回走行路に類似した形状となり、加圧液体の噴射によって生じた波においては、液槽の少なくとも液槽一辺方向の両端の液槽内壁に衝突した波と、この波の衝突により打ち返された波とが干渉して相殺されることになるので、波の打ち返しを効果的に消波することができる。また、液槽内壁を上記形状に形成することで従来の液槽内壁が平面視長方形の液槽に比して液槽容量を低容量化でき、液槽内に貯める液体量の少量化により波の発生を抑制することができる。
請求項7の態様では、前記液槽一辺方向と交差する液槽他辺方向の両端の液槽内壁に、液槽内方に突出する突起状の消波部が複数並設されている。請求項7の態様によれば、液槽内壁への衝突により打ち返された波同士が突起状の消波部によってさらに干渉して相殺されることで、波をより効果的に消波することができる。
本発明によれば、可撓性シート上に頭部支持部材を設け、この頭部支持部材の頭部支持面を頭部支持部材の下面に位置する可撓性シートの張設面を除く他の可撓性シートの張設面より下方に位置するように設定したので、マッサージ中、マッサージ受療者の頭部の揺れを軽減することができ、さらに、マッサージ受療者の背部から臀部が下方に沈み込んだ場合であっても、胴体部に対して頭部が起立する角度がついた傾斜状態になり難く、マッサージ受療者は窮屈感を感じることなく、より一層、リラックスしてマッサージを受療することができる。
また、本発明によれば、液槽内壁を波が発生しにくい形状として、該内壁での波の打ち返しを抑制し、これに伴い可撓性シート上での揺れを抑制することができるので、これにより、前記波の打ち返しによるマッサージ受療者の頭部の揺れが抑制され、その結果、船酔い症状を低減し、快適にマッサージを受療することができる。
本発明の実施形態に係るマッサージ装置の一部を破断した概略平面図である。 同マッサージ装置のC−C線に沿う断面図である。 同マッサージ装置のA−A線に沿う断面図である。 同マッサージ装置の要部においてマッサージ受療者が横臥している状態での概略平面図である。 図4に対応するものでマッサージ受療者が横臥していない状態での図4のB−B線に沿う概略断面図である。 図4に対応するものでマッサージ受療者が横臥している状態での図4のB−B線に沿う概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係るマッサージ装置の概略平面図である。 図7のマッサージ装置において、波同士の干渉による消波作用の説明に用いる液槽内壁の形状を示す平面図である。 液槽内壁の他の各形状を示す平面図である。 液槽内壁のさらに他の形状を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る、図1のマッサージ装置のA−A線に沿う断面図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るマッサージ装置を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るマッサージ装置の一部を破断した概略平面図、図2は同マッサージ装置のC−C線に沿う断面図、図3は同マッサージ装置のA−A線に沿う断面図である。
マッサージ装置100は、液槽1と、移動台車2と、第1〜第4の噴射部3A〜3Dと、噴射液供給部4と、可撓性シート5と、可撓性補強帯6と、台車移動機構7と、ケーシング8と、を備えている。
液槽1は、略平行に対向する2つの長辺と略平行に対向する2つの短辺とで平面視ほぼ長方形状をなし、その上面に開口1aを有して水等の液体が貯留される内容積を有している。ケーシング8は、液槽1の側面をその全周にわたって覆っている。
移動台車2は、図2に示すように、転動輪2aを有しており、移動台車2は、液槽1の液槽長辺方向1bに沿って水平移動可能となっている。第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、移動台車2に装着され、液槽1内の液体を用いた噴射液B(加圧液体)を液槽底部側から開口1aに向かって噴射する。噴射液供給部4は、第1〜第4の噴射部3A〜3Dに噴射液Bを供給する。
可撓性シート5はゴムシート材からなり、液槽1に、開口1aの全部を覆って取り付けられており、マッサージ受療者が可撓性シート5上に横臥してマッサージを受療することが可能となっている。可撓性補強帯6は、シート状ないしは網状の部材であって、可撓性シート5の上方もしくは下方にあって液槽1の液槽長辺方向1bと交差する液槽短辺方向に沿って開口1a上に張設されている。可撓性補強帯6は、マッサージ受療者が可撓性シート5に乗降する際に、マッサージ受療者の臀部が当接する部位に設けられている。本実施の形態においては、可撓性補強帯6は、可撓性シート5の上方に設けられている。また、本実施の形態においては、液槽長辺方向1bは液槽一辺方向の一例であり、液槽短辺方向は液槽他辺方向の一例である。
噴射液供給部12は、噴射液発生部4と台車内流路26とを備えている。噴射液発生部4は、吸液ポンプ部9と曲折配管10とを備えている。吸液ポンプ部9は、液槽1から液体を吸液して圧送する。吸液ポンプ部9によって吸液された液体は、曲折配管10に供給される。曲折配管10に供給された加圧液体は、噴射液Bとして第1〜第4の噴射部3A〜3Dに供給される。台車内流路26は、図2に示すように、移動台車2の底部2bに設けられている。台車内流路26は、移動台車2の底部2bを水密封止することで形成されている。後述のように台車内流路26は、曲折配管10に連通接続されている。
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、それぞれ、噴射ノズル22A〜22Dを、備えている。噴射ノズル22A〜22Dは、吸液ポンプ部9から曲折配管10を介して供給される噴射液Bを液槽1の底部から開口1aに向かって噴射する機能を有している。
台車移動機構7は、軸13と、チェーン駆動部14と、回転駆動部15と、を備えている。軸13は、液槽1の底部上を液槽長辺方向1bに沿って水平配置されている。回転駆動部15は、液槽1外の底部の一端側に配備されている。回転駆動部15は、駆動モータを有し、そのモータ軸は、軸13の一端側13aに、連結機構(軸継手等)により連動連結されており、これにより、軸13は液槽1の底部に液槽長辺方向1bに沿いかつ回転駆動部15によって回転駆動可能に配置されている。
軸13は、移動台車2を液槽長辺方向1bに沿って反復移動可能に案内する。チェーン駆動部14は、駆動モータ14aと、駆動ギア14bと、従動ギア14cと、チェーン14dと、を備えている。駆動ギア14bと従動ギア14cとは、軸13と平行な方向に沿って配列されている。駆動ギア14bは、駆動モータ14aにより回転駆動される。チェーン14dは、駆動ギア14bと従動ギア14cとの間に架け渡されており、チェーン14dの両端は、移動台車2に連結されている。駆動モータ14aにより駆動ギア14bが回転すると、チェーン14dが、軸13の軸方向と平行に直線移動し、これにより、チェーン14dの両端に連結された移動台車2が軸13に案内された状態で、液槽長辺方向1bに沿って直線反復移動する。
第1〜第4の噴射部3A〜3Dは、移動台車2に装着されている。第1の噴射部3Aと第2の噴射部3Bとは互いに連動する組構成となっており、第3の噴射部3Cと第4の噴射部3Dとは互いに連動する組構成となっている。
第1〜第4の噴射部3A〜3Dの下面には、連結ギア23A〜23Dが形成されている。連結ギア23Aと連結ギア23Bとは互いに噛合して連動連結している。連結ギア23Cと連結ギア23Dとは互いに噛合して連動連結している。これにより、第1の噴射部3Aと第2の噴射部3Bとは互いに連動する組構成となっている。第3の噴射部3Cと第4の噴射部3Dとは互いに連動する組構成となっている。
第1噴射部3Aは、第1の噴射軸部20Aと、第1の噴射部本体21Aと、第1の噴射ノズル22Aと、を備えている。同様に、第2〜第4の噴射部3B〜3Dは、第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dと、第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dと、第2〜第4の噴射ノズル22B〜22Dと、を備えている。
第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、軸心を垂直にして移動台車2上に据え付け配置されている。具体的には、第1〜第4の噴射軸部20A〜20Dは、台車内流路26の天井面26aに立設配置されている。ここで、第1、第2の噴射軸部20A、20Bはその対向方向αを液槽1の一辺方向1bと直交する向きにして配列されている。同様に第3、第4の噴射軸部20C、20Dはその対向方向αを液槽1の一辺方向1bと直交する向きにして配列されている。
第1の噴射軸部20Aの外周側には、第1の回転筒18Aが第1の噴射軸部20Aと同軸に外嵌配置されている。第1の回転筒18Aは、両端にある軸受19を介して第1の噴射軸部20Aに対して同軸でかつ相対回転可能に装着されている。同様に、第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dの外周側には、第2〜第4の回転筒18B〜18Dが、軸受19を介して第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dと同軸にかつ相対回転可能に外嵌配置されている。
第1の回転筒18Aの上端には、第1の連結ギア23Aが同軸かつ回転一体に取り付けられている。同様に、第2〜第4の回転筒18B〜18Dの上端には、第2〜第4の連結ギア23B〜23Dが同軸かつ回転一体に取り付けられている。第1の連結ギア23Aと第2の連結ギア23Bとは、互いに噛合して連動連結している。同様に、第3の連結ギア23Cと第4の連結ギア23Dとは、互いに噛合して連動連結している。
第1の噴射部本体21Aは平面視卵形形状をしており、第1の連結ギア23Aの上面に取り付けられている。第1の噴射部本体21Aはその主軸を第1の連結ギア23Aと同軸にして回転一体に第1の連結ギア23Aに取り付けられている。同様に、第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dは平面視卵形形状をしており、第2〜第4の連結ギア23B〜23Dの上面に取り付けられている。第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dはその主軸を第2〜第4の連結ギア23B〜23Dと同軸にして回転一体に第2〜第4の連結ギア23B〜23Dに取り付けられている。
第1〜第4の噴射ノズル22A〜22Dは、第1〜第4の噴射部本体21A〜21Dの上面に装着されている。第1〜第4の噴射ノズル22A〜22Dは、外部から供給される噴射液Bを液槽1の底部から開口1aに向かって噴射する機能を有している。
第1の噴射軸部20Aの内部には、その軸方向両端にわたって軸内流路20Aaが形成されている。第1の連結ギア23Aの内部と第1の噴射部本体21Aの内部とには、噴射部内流路21Aaが形成されている。軸内流路20Aaの下端は台車内流路26に連通している。軸内流路20Aaの上端は噴射部内流路21Aaに連通している。噴射部内流路21Aaは、第1の噴射ノズル22Aに連通接続されている。これにより、第1の噴射ノズル22Aは、噴射部内流路21Aaと軸内流路20Aaとを介して台車内流路26に流路連通している。
同様に、第2〜第4の噴射軸部20B〜20Dの内部には、その軸方向両端にわたって軸内流路20Ba〜20Daが形成されている。第2〜第4の連結ギア23B〜23Dの内部と第2〜第4の噴射部本体21B〜21Dの内部とには、噴射部内流路21Ba〜21Daが形成されている。軸内流路20Ba〜20Daの下端は台車内流路26に連通している。軸内流路20Ba〜20Daの上端は噴射部内流路21Ba〜21Daに連通している。噴射部内流路21Ba〜21Daは、第2〜第4の噴射ノズル22B〜22Dに連通接続されている。これにより、第2〜第4の噴射ノズル22B〜22Dは、噴射部内流路21Ba〜21Daと軸内流路20Ba〜20Daとを介して台車内流路26に流路連通している。
第1の回転筒18Aの周面には、ねじ歯車からなる第1の受動ギア24Aが形成されている。第1の受動ギア24Aには、第1のねじギア25Aが噛合して連動連結している。第1のねじギア25Aの軸心は水平配置されている。同様に、第3の回転筒18Cの周面には、ねじ歯車からなる第2の受動ギア24Bが形成されている。第2の受動ギア24Bには、第2のねじギア25Bが噛合して連動連結している。第2のねじギア25Bの軸心は水平配置されている。
第1のねじギア25Aの軸心には、軸13の横断面形状と同等形状を有する連結孔25Aaが形成されている。同様に、第2のねじギア25Bの軸心には、軸13の横断面形状と同等形状を有する連結孔25Baが形成されている。軸13の他端13bは第1、第2のねじギア25A、25Bの連結孔25Aa、25Baを貫通配置されている。これにより、第1、第2のねじギア25A、25Bは、軸13に対してその軸方向に沿って相対的に反復直線移動可能かつ軸13に対して回転一体に、軸13の他端13bに連動連結されている。同時に軸13の他端13bは、第1、第2のねじギア25A、25Bによって機械的に支持されている。
次にマッサージ装置100の動作を説明する。マッサージ装置100の可撓性シート5の上面にマッサージ受療者が、治療部位をシート上面に当接させて横臥する。この状態で、マッサージ受療者もしくは、マッサージ施療介添者がマッサージ装置100の動作を開始するスイッチをオンにする。
すると、吸液ポンプ部9が駆動して液槽1から液体を吸液し、吸液した液体を加圧して噴射液Bにし、さらにこのようにして発生させた噴射液Bを曲折配管10を介して移動台車2の台車内流路26に圧送する。圧送された噴射液Bは、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dまでさらに圧送される。
各噴射ノズル22A〜22Dは、圧送されてきた噴射液Bを開口1aに向かって噴射する。噴射された噴射液Bは、可撓性シート5の下面に突き当たったうえで液槽1内の液体中に拡散する。その際、可撓性シート5が噴射液Bの噴射によって部分的に上方側に屈曲変形し、屈曲シート部位に位置するマッサージ受療者の体表部位をマーサージする。
以上の噴射液Bの噴射を行いながら、チェーン駆動部14の駆動モータ14aが任意に正逆回転することで、移動台車2が液槽長辺方向1bに沿って反復直線移動する。このとき、移動台車2は、直線移動で案内される。これにより、第1〜第4の噴射部3A〜3Dの噴射ノズル22A〜22Dが反復直線移動する。さらに、この状態で、回転駆動部15が、軸13を正逆回転駆動することで、軸13によってナットが正逆回転される。すると、ナット外周面のねじギア25A〜25Bに連動連結された受動ギア24A〜24Bが回転駆動され、これにより、第1〜第4の噴射部3A〜3Dが回転し、噴射ノズル22A〜22Dが回動する。
以上の反復直線移動/反復回動移動を受けた噴射ノズル22A〜22Dは、液槽長辺方向1bに沿って複雑な移動軌跡を描きながら、液槽1内を移動する。これによりマッサージ受療者は、複雑な移動軌跡を描きながら移動する噴射ノズル22A〜22Dが噴射する噴射液Bによってマッサージされる。
次に本実施形態の特徴構成を説明する。本実施形態では、可撓性シート5上でマッサージ受療者の頭部が載置される位置に液槽1の液槽短辺方向を横断するように薄板帯状の頭部支持部材20が設けられている。頭部支持部材20の両端は、液槽1の上端に連結されている。そして、頭部支持部材20の頭部支持面は、頭部支持部材20の下面に位置する可撓性シート5の張設面を除く他の前記可撓性シート5の張設面より下方に位置するように設定されている。具体的には、頭部支持部材20の長手方向中途部の上面には、マッサージ受療者の頭部が載置可能な程度の凹状部20aが形成されている。さらには、凹状部20aの形成に伴い、頭部支持部材20の長手方向中途部の下面には、凸状部20bが形成されている。可撓性シート5は、凸状部20bによって下方に押し付けるようになっている。この頭部支持部材20は、金属または硬質のプラスチックの薄板材により形成されている。
図4〜図6を参照して、頭部支持部材20による作用を説明する。図4は、マッサージ装置100の要部においてマッサージ受療者21が可撓性シート5上に横臥している状態での概略平面図である。図5は、図4のB−B線に沿う概略断面図であり、マッサージ受療者21が横臥していない状態での図である。図6は、図1のB−B線に沿う概略断面図であり、マッサージ受療者21が横臥している状態での図である。
図5、図6には、液槽1と、可撓性シート5と、頭部支持部材20の概略断面を示し、図1に示す他の構成部分の図示を略している。図5および図6に示すように、頭部支持部材20の凸状部20bにより、可撓性シート5は、下方に押し付けられている。そのため、凸状部20bを間にして、シート上側部分5aと、シート下側部分5bは、可撓性シート5下のシート直下部分5cよりも上方位置にある。
液槽1内の液体22は、これら可撓性シート5のいずれの部分5a〜5cの下面に接するよう満たされているものとする。可撓性シート5は、凸状部20bにより押し付けられているので、シート上側部分5aのうち、凸状部20bの近傍部分は傾斜しており、これをシート傾斜部分5a1といい、シート下側部分5bのうち、頭部支持部材20の凸状部20bに近傍の部分も傾斜しており、これをシート傾斜部分5b1ということにする。
図6に示すように、頭部支持部材20の凹状部20aに頭部を載置したマッサージ受療者21は、凹状部20a(凸状部20b)が沈み込んだ状態となっているので、胴部21cに対して頭部21aの起立角度は比較的緩やかになっており、窮屈感が緩和されている。頭部支持部材20上に柔軟性のある枕23を載置しても、胴部21cに対しての頭部21aの起立角度は比較的緩やかに済んでいる。
また、図5と図6とを比較して明らかであるように、マッサージ受療者21が可撓性シート5上に横臥していないときと比較して、特に、シート下側部分5bのシート傾斜部分5b1は、マッサージ受療者21が可撓性シート5上に横臥していないときと比して、横臥しているときは、若干、上方に膨らみ、これにより、ちょうど、シート傾斜部分5b1がマッサージ受療者21の頚部21bの裏側に当接している。そのため、マッサージ受療者21は、このシート傾斜部分5b1下面からの噴射ノズル22A〜22Dの噴射によるマッサージを快適に受療することができる。
以上により、本実施形態によれば、マッサージ受療者21の背部から臀部が下方に沈み込んだ場合であっても、胴体部21cに対して頭部21aが起立する角度がついた傾斜状態になり難く、よって、マッサージ受療者21は窮屈感を感じることなく、従来のマッサージ装置に比してよりリラックスした姿勢でマッサージを受けることができる。また、凸状部20bで可撓性シート5を押し付けるように構成したことで、可撓性シート5上に横臥したマッサージ受療者21の頚部21bに対応する可撓性シート5のシート傾斜部分5b1が上方に膨らみ易くなり、該頚部21bと可撓性シート5のシート傾斜部分5b1との隙間を少なくでき、これにより、頚部21bへ加圧液体を当て易く、したがって、頚部21bへのマッサージ効果を向上させることができる。尚、図示は省略するが、液槽の端位置(図1中、左端位置)からマッサージ受療者の頭部が載置される位置にかけて頭部支持部材20を設けるようにしても構わない。
次に、図7および図8を参照して本発明の他の実施形態に係るマッサージ装置を説明する。図7は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ装置の概略平面図である。図8は、図7のマッサージ装置において、波同士の干渉による消波作用の説明に用いる液槽内壁の形状を示す部分平面図である。図8は、特に、マッサージ受療者の頭部側が位置する液槽内壁の部分平面図である。
この実施形態では、液槽1の内壁1cを該内壁1cに衝突する第1波成分と、該内壁1cで打ち返される第2波成分とが消波し合う形状となって、波が発生し難い形状としたことを特徴とする。この場合、液槽1の液槽長辺方向(本実施形態における液槽一辺方向の一例)で対向する一対の内壁1cそれぞれに前記両波成分が消波し合う形状することが好ましいが、これに限定されず、少なくとも該液槽1の液槽長辺方向1bにおけるマッサージ受療者の頭部側内壁1cに該内壁1cに衝突する波成分と、該内壁1cで打ち返される波成分とが消波し合う形状としてもよい。
マッサージ装置100Aにおいては、液槽長辺方向1bで対向する一対の内壁1cと、液槽長辺方向1bと交差する液槽短辺方向で対向する一対の内壁1dの全体の平面視形状が、陸上競技場の周回走行路(トラック)に類似した形状になっている。すなわち、マッサージ装置100Aにおける液槽1の内壁のうち、液槽長辺方向1bの両端にある一対の内壁1cが平面視略円弧形状や平面視略部分楕円形状等の曲面形状になっていると共に、液槽短辺方向の両端にある一対の内壁1dは液槽長辺方向1bに沿って略直線状になっている。
この液槽1における液槽長辺方向1bの両側にある内壁1cが平面視曲面形状になっていることによる波打消し作用を図8を参照して説明する。移動台車2が液槽長辺方向1bに沿って反復直線移動することで、第1〜第4の噴射部3A〜3Dが移動し、この移動途中で噴射ノズル22A〜22Dから可撓性シート5の下面に向けて噴射液Bが噴射される。
こうした第1〜第4の噴射部3A〜3Dの移動や噴射ノズル22A〜22Dからの噴射によって液体22が可撓性シート5や液槽1の内壁1c,1dに衝突し打ち返される。
液槽長辺方向1bの内壁1cには、該内壁1cに衝突する多数の波成分W1と、内壁1cで打ち返される多数の波成分W2とが発生する。そして、内壁1cは、平面視曲面形状になっているので、前記した波成分W1,W2のうち、衝突する方向の波成分W1は、液体22の略中央箇所22aから内壁1c方向に向かい、打ち返される波成分W2は、同様に、液体22の略中央箇所22a方向に打ち返される。
そのため、これら波成分W1,W2同士は、消波し合うこととなり、波成分W1,W2は低減される。その結果、可撓性シート5は、これら波成分W1,W2によって、マッサージ動作中からの揺れを抑制され、揺れに弱いマッサージ受療者21は、船酔いなどの症状を催すことなく快適なマッサージを受療することが可能となる。
特に、頭部支持部材20は、金属製ないしは硬質材で構成されているので、頭部支持部材20は、それら波成分W1,W2同士の消波が少なくても、その影響を受けることが抑制され、マッサージ受療者21の頭部21aは、揺れから効果的に防止される。
なお、液槽短辺方向で対向する一対の内壁1cの平面視形状は、上記に限定されず、例えば、図9(a)に示すように、正三角形の隣接2辺の凸部形状としたり、図9(b)に示すように、正六角形の隣接3辺のように液槽短辺方向中央の一部を平坦な面にして全体として凸部形状としたり、図9(c)に示すように、複数の凹凸になって連続する曲面形状としてもよい。これら内壁1cは、平面視非直線状であり、内壁1cに衝突する方向に向かう波成分と、該内壁1cで打ち返される波成分とがランダムに打ち消し合うことができる形状である。なお、図9(a)において、正三角形の隣接2辺の凸部形状とするのではなく、二等辺三角形の隣接二等辺の凸部形状としてもよく、また、図9(b)において、正六角形ではなく六角形の隣接3辺としても勿論よい。
こうした液槽1の形状では、内壁が平面視長方形の液槽に比して液槽容量を低容量化することができ、液槽1内に貯める液体量の少量化により波の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、液槽長辺方向1bの両端にある内壁1cの形状を図8〜図9の形状としたが、さらに、図10に示すように、液槽短辺方向の両端にある内壁1dそれぞれに、複数の突起状の消波部1eを並設してもよい。そうすれば、液槽内壁への衝突により打ち返された波同士が突起状の消波部1eによってさらに干渉して相殺されることで、波をより効果的に消波することができる。
図11は、本発明の他の実施形態に係るものであって、図3に対応する断面図である。図3の場合、頭部支持部材20の両端は、液槽1の内壁に対して矢印Pのように斜め下方に降下する形状となっている。これに対して、図11に示す実施形態では、頭部支持部材20の両端は、液槽1の内壁に沿って矢印Qのように垂直降下する形状となっている。この実施形態の場合でも、頭部支持部材20の頭部支持面は、頭部支持部材20の下面に位置する可撓性シート5の張設面を除く他の前記可撓性シート5の張設面より下方に位置する。
また、図示は省略するが、マッサージ受療者の頭部が載置される位置の液槽1上縁のフランジ面を他のフランジ面に対して低位置に形成し、この低位置に形成したフランジ面に対して頭部支持部材20を架設してもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、頭部支持部材20の形状は、上述の実施形態で説明した形状に限定されるものではなく、要は、頭部支持部材20の頭部支持面が頭部支持部材20の下面に位置する可撓性シート5の張設面を除く他の可撓性シート5の張設面より下方に位置するように設定できれば、如何なる形状に形成しても構わない。なお、頭部支持部材20の両端部近傍と可撓性シート5との間に隙間が生じこの隙間にマッサージ受療者の手指等が入り込み怪我をしないようにするため、頭部支持部材20の両端部近傍と可撓性シート5とが出来る限り密着できるように頭部支持部材20を形成するのが望ましい。
1 液槽
1a 開口
1b 液槽長辺方向
1c,1d 内壁
1e 消波部
2 移動台車
3A〜3D 第1〜第4の噴射部
4 噴射液発生部
5 可撓性シート
6 可撓性補強帯
7 台車移動機構
8 ケーシング
9 吸液ポンプ部
10 曲折配管
12 噴射液供給部
13 軸
14 チェーン駆動部
14a 駆動モータ
14b 駆動ギア
14c 従動ギア
14d チェーン
15 回転駆動部
20 頭部支持部材
20a 凹状部
20b 凸状部
21 マッサージ受療者
22 液体
22A〜22D 噴射ノズル
23A〜23D 連結ギア
100,100A マッサージ装置

Claims (7)

  1. 上面に開口が形成され内部に液体が貯められる液槽と、前記開口に張設されてマッサージ受療者が液槽一辺方向に沿って横臥可能な可撓性シートとを有し、前記液槽内から前記可撓性シートの下面に向けて加圧液体を噴射することで、前記可撓性シートを介して前記マッサージ受療者をマッサージするマッサージ装置であって、
    前記可撓性シート上で少なくともマッサージ受療者の頭部が載置される位置に頭部支持部材が設けられ、
    前記頭部支持部材の頭部支持面を前記頭部支持部材の下面に位置する前記可撓性シートの張設面を除く他の前記可撓性シートの張設面より下方に位置するように設定した、
    ことを特徴とするマッサージ装置。
  2. 前記頭部支持部材は、少なくとも、マッサージ受療者の頭部が載置可能な程度の大きさを有する凹状部が形成されており、かつ前記頭部支持部材の下面には、前記凹状部の形成によって凸状部が形成されており、
    前記可撓性シートは前記凸状部によって下方に押し付けられている、
    請求項1記載のマッサージ装置。
  3. 前記凹状部が、枕を載置可能な程度の寸法に設定されている、
    請求項2に記載のマッサージ装置。
  4. 前記液槽一辺方向に沿った前記液槽の中途部にシート状または網状の部材がさらに設けられており、前記シート状または網状の部材は、前記可撓性シートの上方または下方にあって、前記液槽一辺方向と交差する方向に沿って前記液槽の開口両端間に張設されている、
    請求項1ないし3のいずれかに記載のマッサージ装置。
  5. 前記液槽一辺方向の両端の液槽内壁のうち、少なくとも前記マッサージ受療者の頭部側に位置する液槽内壁は、該液槽内壁に衝突する前記液体の波成分と、該液槽内壁で打ち返される前記液体の波成分とが消波し合う形状となっている、
    請求項1ないし4のいずれかに記載のマッサージ装置。
  6. 前記液槽一辺方向と交差する液槽他辺方向の両端の液槽内壁は、前記液槽一辺方向に沿って略直線形状をしており、前記液槽一辺方向の両端の液槽内壁は曲面形状をしている、
    請求項1ないし5のいずれかに記載のマッサージ装置。
  7. 前記液槽一辺方向と交差する液槽他辺方向の両端の液槽内壁に、液槽内方に突出する突起状の消波部が複数並設されている、
    請求項5または6に記載のマッサージ装置。
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