しかしながら、支持力として水圧を利用する前記マッサージ機では、シート自体の支持力が弱いため、利用者はマッサージ中に前後左右方向に揺れやすかった。すなわち、上記マッサージ機では、利用者を安定して支持することは困難であった。そのため、利用者は水に浮いているような状態となり、マッサージの際に船酔いに似た不快感を受けやすいといった課題があった。このような不快感を防止すべく利用者の体を安定して支持しようとすると、結局、シート自体を厚く形成しなければならなかった。しかし、シートを厚くすると、利用者に与えられる噴流の刺激は弱くなり、十分なマッサージ効果を得ることはできない。
一方、シートを3層構造にした前記マッサージベッドでは、シートの材料費が高くなるという課題があった。さらに、可撓性を有する3種類のシート材料を水槽の全体にそれぞれ取り付けなければならず、水槽への取り付け作業が面倒であった。特に、ネットを固定する際には、水槽の周縁部に設けたボルト等に対してネットを網目毎に引っかけなければならず、その固定作業に多くの手間と時間が必要であった。また、本マッサージベッドにおいても、シートが3層構造であるため、利用者の受ける噴流の刺激が弱くなりやすいという課題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用者の体を安定して支持するとともに十分なマッサージ効果を発揮する液体式マッサージ装置を提供することにある。
本発明に係る液体式マッサージベッドは、上側が開口し、内部に液体が貯留される水槽と、前記開口の一部を覆うように前記水槽に固定され、剛性を有して利用者の支持を補助する支持補助部材と、前記水槽又は前記支持補助部材に固定され、少なくとも前記開口のうち前記支持補助部材に覆われていない部分を覆う可撓性防水シートと、前記水槽内に設置され、前記水槽内の液体を前記可撓性防水シートに向かって噴射する噴射装置と、を備えたものである。
上記液体式マッサージ装置では、可撓性防水シート上に載った利用者は、当該シートによって支持されるとともに、支持補助部材によっても支持される。そのため、シート自体の支持力が弱くても、利用者は安定して支持される。水槽内の液体は噴射装置から噴射され、上記シートに向かって噴射される。その結果、当該シートを介して噴流の刺激が利用者に与えられ、マッサージが行われる。上記マッサージ装置では、シートを薄くしても利用者を安定して支持することができるので、十分なマッサージ効果を発揮することができる。
本発明に係る他の液体式マッサージ装置は、上側が開口し、内部に液体が貯留される水槽と、前記開口の周縁部を覆うように前記水槽に固定された補助プレートと、前記水槽又は前記補助プレートに固定され、少なくとも前記開口のうち前記補助プレートに覆われていない部分を覆う可撓性防水シートと、前記水槽内に設置され、前記水槽内の液体を前記可撓性防水シートに向かって噴射する噴射装置と、を備えたものである。
上記液体式マッサージ装置では、可撓性防水シート上に載った利用者は、当該シートによって支持されるとともに、補助プレートによっても支持される。そのため、シート自体の支持力が弱くても、利用者は安定して支持される。水槽内の液体は噴射装置から噴射され、上記シートに向かって噴射される。その結果、当該シートを介して噴流の刺激が利用者に与えられ、マッサージが行われる。上記液体式マッサージ装置では、シートを薄くしても利用者を安定して支持することができるので、十分なマッサージ効果を発揮することができる。
前記補助プレートには、少なくとも人体の一部の形状に応じた形状の開口が形成されていることが好ましい。
このことにより、噴射装置からの噴流は、補助プレートの上記開口を通じてシートに衝突する。上記開口は人体の部分的形状又は全体的形状に応じた形状に形成されているので、噴流の刺激は人体形状に応じた適切な位置において適宜与えられる。また、利用者は少なくとも補助プレートの開口の周辺部によって支持されるが、当該開口は人体形状に応じた形状に形成されているので、補助プレートは人体形状に応じた箇所で利用者を支持することになる。そのため、利用者は安定して支持される。
前記水槽及び前記可撓性防水シートは、利用者を横たわった状態で支持する寝台を構成し、前記補助プレートの開口は、少なくとも、人体の頭部に対応する頭部用開口と、人体の頸部に対応する頸部用開口と、人体の上半身部に対応する上半身部用開口と、人体の腰部に対応する腰部用開口と、人体の脚部に対応する脚部用開口とが、前記補助プレートの長手方向に沿って順に連続することによって形成され、前記補助プレートの開口の幅は、前記頭部用開口から前記頸部用開口に向かっていったん狭くなった後、前記頸部用開口から前記上半身部用開口に向かって広くなり、前記上半身部用開口において狭くなった後、前記腰部用開口において再び広くなっていることが好ましい。
このことにより、噴流の刺激は人体形状に応じた適切な位置で与えられるとともに、利用者は人体形状に応じた適切な箇所で支持される。
前記液体式マッサージ装置は、更に、前記水槽の長手方向の中途部において、前記可撓性防水シートの下方で前記水槽の幅方向に掛け渡されるように前記水槽又は前記補助プレートに固定された補助支持ネット又はシートを備えていることが好ましい。
通常、利用者がシートに載る際、例えばマッサージベッド(寝台)に横たわる際には、利用者はいったんシート上に腰掛けたうえで、腰掛けた姿勢(着座姿勢)から横たわった姿勢(横臥姿勢)に姿勢を変更する。逆に、マッサージベッドから離れる際には、利用者は、シート上に横たわった姿勢から腰掛けた姿勢に移行し、その後、立ち上がる。そのため、シート上における長手方向の中途部、例えば腰部を支持する部分は、他の部分に比べて大きな強度が必要とされる。
上記液体式マッサージ装置によれば、水槽の長手方向の中途部、例えば利用者の腰部に対応する部分に、補助支持ネット又は補助支持シートが設けられている。したがって、水槽の開口を覆うシートが薄くても、利用者は当該シートに安定して乗り降りすることができる。補助支持ネット又はシートは水槽の一部分にのみ設けられているので、補助支持ネット又はシートを設けることに伴う材料費の増加や取付作業の複雑化等は抑制される。
前記液体式マッサージベッドは、前記噴射装置の噴射位置又は噴射方向を変更する噴射装置駆動機構を備え、前記水槽内の液体を前記可撓性防水シートに向かって噴射するマッサージ運転と、前記水槽内の液体を前記補助プレートに向かって噴射する待機運転とを選択的に実行することが好ましい。
利用者がシート上に横たわっていない場合等、マッサージを行っていない場合にまでシートに噴流を衝突させたのでは、水流の衝撃音が外部に漏れやすく、騒音を生じやすくなる。しかし、上記液体式マッサージベッドでは、待機運転の際には水槽内の液体を補助プレートに向かって噴射するので、噴流はシートに衝突しにくくなる。そのため、水流の衝撃音は外部に漏れにくくなり、騒音の発生は抑制される。
本発明に係る液体式マッサージ装置によれば、水槽の開口の一部を覆い且つシート上の利用者の支持を補助する支持補助部材を備えることとしたので、シート自体の支持力が弱くても、利用者を安定して支持することができる。そのため、シートを薄くすることが可能となり、噴流の刺激を利用者に十分に与えることができる。したがって、本発明に係る液体式マッサージ装置によれば、利用者の体を安定して支持するとともに十分なマッサージ効果を発揮することができる。また、シートを3層構造にする必要がないので、材料費の高コスト化を抑制し、取り付け作業を簡単化することができる。
本発明に係る他の液体式マッサージ装置によれば、水槽の開口の周縁部を覆う補助プレートを備えることとしたので、シート自体の支持力が弱くても、補助プレートによって利用者を安定して支持することができる。そのため、シートを薄くすることが可能となり、噴流の刺激を利用者に十分に与えることができる。したがって、利用者の体を安定して支持するとともに十分なマッサージ効果を発揮することができる。また、シートを3層構造にする必要がないので、材料費の高コスト化を抑えることができ、取り付け作業を簡単化することができる。
前記補助プレートに対し、少なくとも人体の一部の形状に応じた形状の開口を形成することとすれば、補助プレートの開口は、噴流の刺激が必要な箇所に適宜設けられることになる。また、利用者を人体形状に応じた箇所で支持することができるので、利用者の体を効果的に支持することができる。
前記水槽と前記可撓性防水シートにより寝台を構成し、前記補助プレートに、その長手方向に沿って順に少なくとも頭部用開口と頸部用開口と上半身部用開口と腰部用開口と脚部用開口とを、互いに連続するように形成し、前記頭部用開口から前記頸部用開口に向かって開口幅をいったん狭くした後、前記頸部用開口から前記上半身部用開口に向かって開口幅を広くし、さらに、前記上半身部用開口において開口幅を狭くした後、前記腰部用開口において開口幅を再び広くすることとすれば、利用者に対して、それらの開口を通じて噴流の刺激を十分に与えることができるとともに、利用者の体を効果的に支持することができる。
前記水槽の長手方向の中途部において、前記可撓性防水シートの下方で前記水槽の幅方向に掛け渡されるように前記水槽又は前記補助プレートに固定された補助支持ネット又はシートを備えることとすれば、可撓性防水シートを薄く形成したとしても、可撓性防水シートに対する乗り降りの際に、利用者を安定して支持することが可能となる。
前記噴射装置の噴射位置又は噴射方向を変更する噴射装置駆動機構を備え、前記水槽内の液体を前記可撓性防水シートに向かって噴射するマッサージ運転と、前記水槽内の液体を前記補助プレートに向かって噴射する待機運転とを選択的に実行することとすれば、マッサージが不要なときには待機運転を実行することにより、騒音の発生を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、実施形態に係る液体式マッサージ装置は、シート14上に横たわる利用者10をマッサージするウォータマッサージベッド11である。ウォータマッサージベッド11は、水を貯留する水槽12(図2及び図3参照)と、水槽12の周囲を囲むケーシング13とを備えている。
水槽12は金属(例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等)によって形成されていることが好ましく、ここではステンレスで形成されている。水槽12の上側は開口しており、水槽12の開口15(図3参照)は、後述するシート14等によって覆われている。図1に示すように、水槽12の前側(利用者10の頭側であって、図1の左側)には支柱16が立設され、支柱16の上側には操作パネル17が取り付けられている。
図3に示すように、水槽12は、下方に向かうにしたがって幅が段階的に狭くなるように、複数の段差部が設けられている。そして、一部の段差部は、移動台車18の左右方向(水槽12の幅方向)の移動を規制しつつ、移動台車18を前後方向(水槽12の長手方向)に案内するガイドレール19を構成している。
移動台車18の両側部には、車輪32が取り付けられている。これら車輪32は、ガイドレール19の底面上に配置されている。車輪32は、ガイドレール19の側面によって左右方向の移動を規制されながら、ガイドレール19の底面上を前後方向に走行する。
図2に示すように、移動台車18上には、前後に並ぶ第1及び第2の水中ポンプ21,22が固定されている。第1水中ポンプ21の上側には、第1水中ポンプ21から吐出された水を略上方に向かって噴射する左右一対のノズル25が取り付けられている。各ノズル25は、前後方向に延びる水平軸回りに揺動自在に構成されている。第2水中ポンプ22の上側にも、第2水中ポンプ22から吐出された水を略上方に向かって噴射する左右一対のノズル27が取り付けられている。第1水中ポンプ21及びノズル25,25は第1噴射装置23を構成し、第2水中ポンプ22及びノズル27は第2噴射装置24を構成している。ただし、第1噴射装置23及び第2噴射装置24の具体的構成は、何ら限定されるものではない。第1噴射装置23及び第2噴射装置24のノズル25,27には、各種のノズルを利用することが可能である。
図2に示すように、水槽12の左後方の内側には、駆動プーリ28が回転自在に支持されている。一方、水槽12の左前方の内側には、従動プーリ29が回転自在に支持されている。これら駆動プーリ28と従動プーリ29とには、駆動ベルト30が巻き架けられている。駆動ベルト30は、移動台車18に固定されている。
図3に示すように、水槽12とケーシング13との間には、駆動プーリ28を回転させる駆動モータ31が配置されている。駆動モータ31と駆動プーリ28とは、駆動ベルト49によって連結されている。このような構成により、駆動モータ31が回転すると、駆動プーリ28が回転し、それに伴って駆動ベルト30が走行する。その結果、移動台車18は前後方向に走行し、第1噴射装置23及び第2噴射措置24は前後方向に移動することになる。ただし、第1噴射装置23及び第2噴射装置24を前後方向に移動させる駆動機構は、上記のものに限定される訳ではない。
図3に示すように、左右一対のノズル25の前側には、前後方向に延びる水平軸回りに揺動する歯車33がそれぞれ固定されている。両ノズル25,25の歯車33,33は、互いに噛み合っている。そのため、一方の歯車33が回転すると、他方の歯車33は逆方向に回転する。右側の歯車33は、当該歯車33よりも小径の中間歯車34と噛み合っている。中間歯車34は、図示しない駆動モータによって駆動される駆動歯車35と噛み合っている。なお、駆動モータは、正逆回転自在に形成されている。
このような構成により、上記駆動モータが回転すると駆動歯車35が回転し、駆動歯車35の回転は中間歯車34を介して右側の歯車33に伝達される。その結果、右側の歯車33は回転し、それに伴って左側の歯車33も回転する。これにより、左右のノズル25,25は、互いに同期しながら逆方向に回転する。左右のノズル25,25の回転方向及び回転量は、駆動モータの回転方向及び回転量によって調整される。本実施形態では、駆動モータの回転方向及び回転量を制御することにより、左右のノズル25,25の噴射方向を調整する。これら駆動モータ、駆動歯車35、中間歯車34、及び歯車33,33は、ノズル25,25の噴射方向を変更する駆動機構48を構成している。なお、ノズル25,25の噴射方向を変更させる駆動機構48は、上記のものに限定されず、駆動機構48として、他の駆動機構を用いることも勿論可能である。
図3及び図4に示すように、水槽12の開口15は、補助プレート41及びシート14によって覆われている。水槽12の開口15の周縁部には、補助プレート41の取付具として、ステンレス製の取付金具40が固定されている。本実施形態では、取付金具40は、ボルト等の固定具によって水槽12の上端面に固定されている。ただし、取付金具40は、水槽12に対し溶接等により固定されていてもよく、水槽12と一体に形成されていてもよい。補助プレート41は、これら取付金具40にねじ止めされている。ただし、補助プレート41の固定方法はねじ止めに限らず、他の固定方法(例えば、ボルト止め、接着等)であってもよい。
補助プレート41は、利用者10の支持を補助するために十分な剛性を有していることが好ましく、例えば合板や合成樹脂等によって形成される。図5に示すように、補助プレート41には、人体の形状に応じた形状の開口42が形成されている。開口42は、利用者10の標準体型に合わせた大きさに形成されている。
具体的には、補助プレート41の開口42は、人体の頭部に対応する頭部用開口42aと、頸部に対応する頸部用開口42bと、上半身部に対応する上半身部用開口42cと、腰部に対応する腰部用開口42dと、脚部に対応する脚部用開口42eとからなっている。頭部用開口42aと頸部用開口42bと上半身部用開口42cと腰部用開口42dと脚部用開口42eとは、補助プレート41の長手方向に沿って順に連続して形成され、全体として一つの開口42を形成している。
頭部用開口42aは、人体の頭部形状に合うように、略楕円形状に形成されている。上半身部用開口42cは、後側(図5の右側)に向かって先細りの略逆三角形状に形成されている。逆に、腰部用開口42dは、後側に向かって幅が広くなるように形成されている。脚部用開口42eは、開口幅が一定となっている。したがって、開口42の幅は、頭部用開口42aから頸部用開口42bに向かっていったん狭くなった後、頸部用開口42bから上半身部用開口42cに向かって急に広くなる。そして、開口幅は、上半身部用開口42cにおいて徐々に狭くなった後、腰部用開口42dにおいて再び徐々に広くなり、やがて脚部用開口42eにおいて一定幅となる。このように、補助プレート41の開口42は、長手方向に沿って開口幅が変化しており、人体の形状に応じた形状に形成されている。
図6に示すように、開口42は全体的に、利用者10の体の幅よりも若干狭くなっている。そのため、利用者10は、補助プレート41の開口42の周辺部によって支持される。図3及び図4に示すように、補助プレート41の開口42の周辺部は、内側に向かって若干下方に傾斜している。これは、補助プレート41を利用者10の体に密着しやすくするためであり、また、利用者10を前後左右方向にずれないよう安定して支持するためである。
ところで、補助プレート41には開口42が形成されているので、補助プレート41は水槽12の開口15の一部のみを覆うことになる。一方、図3及び図4に示すように、補助プレート41を含めた水槽12の上側全体は、シート14によって水密に覆われている。言い換えると、シート14は、補助プレート41と、補助プレート41によって覆われなかった開口15の残りの部分とを覆っている。
シート14は、可撓性を有する防水性のシートであり、本実施形態ではシリコンゴムによって形成されている。ただし、シート14の材料は、特に限定されるものではない。シート14の全体を過度に厚くしない限り、また、シート14の大幅なコストアップを招かない限り、シリコンゴムの周りを被覆材で覆ってもよく、シートを複数層のシート部材で形成することも可能である。
シート14の周辺部は、水槽12の周囲に沿って連続的に、あるいは一定間隔又は不当間隔ごとに、押さえ金具43によって水槽12の上端面に押しつけられている。これにより、シート14の周辺部は、押さえ金具43と水槽12の上端面との間に挟み込まれ、固定されている。これにより、シート14は、水槽12に対して水密に取り付けられている。ただし、シート14の固定方法は、上記方法に限定されるものではない。
次に、ウォータマッサージベッド11の動作について説明する。本ウォータマッサージベッド11は、利用者10にマッサージを施すマッサージ運転に加えて、水槽12内の水温を上昇させる暖機運転をも実行することができる。
マッサージ運転では、第1噴射装置23及び第2噴射装置24を前後方向に移動させながら、また、ノズル25等を水平軸回りに適宜揺動させながら、水を噴射する。ところで、噴流を補助プレート41に衝突させたのでは、噴流の刺激が利用者10に伝わらないため、マッサージ効果を得ることはできない。そのため、マッサージ運転では、噴射装置23,24の噴射方向が制御され、噴流は補助プレート41の開口42の内側に向かって噴射される。すなわち、噴流はシート14の裏面に向かって噴射される。このようにして、ノズル25等から噴射された水は噴流となってシート14の裏面に衝突し、シート14を介して利用者10に噴流圧が加えられる。その結果、利用者10は、噴流の圧力によって揉みほぐされ、マッサージされることになる。
本ウォータマッサージベッド11では、利用者10の全身をマッサージするために、シート14に対する噴流の衝突位置は、例えば図6の符号51〜62に示すように移動する。前述したように、補助プレート41の開口42は人体形状に応じた形状となっており、開口幅は長手方向に沿って変化している。そのため、本ウォータマッサージベッド11では、ノズル25の噴射方向を適宜変更することによって、開口42の位置に合うように噴流の衝突位置を変化させている。なお、開口42の位置に合わせて噴流の衝突位置を変化させることは、結果的に、利用者10の体の必要箇所に噴流の刺激を与えることになる。
本ウォータマッサージベッド11は、前後に並んだ2台の噴射装置23,24を備えているので、左右方向の2ヶ所において同時に噴流を供給するだけでなく、前後方向の2ヶ所(合計4ヶ所)においても噴流を同時に供給することができる。上記衝突位置51〜62への噴流の供給は、これら2台の噴射装置23,24によって実現される。
なお、噴流の衝突位置51〜62は、適宜に変更することができる。また、マッサージ運転として種々の運転モードを設定しておき、各運転モードに応じて噴流の衝突位置を変更させるようにしてもよい。
暖機運転は、シート14上に利用者10を載せていないときに行われる待機運転の一つであり、水中モータ21,22の発熱又は水槽12内の水が撹拌されることによって生じる熱によって、水槽12内の水温を上昇させる運転である。このように水槽12内の水温を上げることにより、利用者10の快適性を向上させることができる。特に、冬季において、快適性向上の効果が顕著に発揮される。
暖機運転の際には、噴射装置23,24の前後位置及び噴射方向を調整することによって、噴流を補助プレート41の裏側に衝突させる。例えば、図7に示すように、噴流を補助プレート41の腰部用開口42dの外側の位置65に衝突させるようにする。なお、本実施形態では、水中ポンプ21,22の運転容量は暖機運転とマッサージ運転とで同一である。すなわち、暖機運転であっても噴射装置23,24の噴射力は弱めず、マッサージ運転時と同様の噴射力で水を噴射する。なお、暖機運転時における噴流の衝突位置は、腰部用開口42dの外側に限らず、補助プレート41の下方であればどのような位置であってもよい。
以上のように、本実施形態に係るウォータマッサージベッド11によれば、利用者10の支持を補助する補助プレート41を備え、シート14と補助プレート41とによって利用者10を支持することとしたので、シート14自体の強度が大きくなくても、利用者10をしっかりと支持することができる。
シート14に必要とされる強度を低く抑えることができるので、シート14を薄く形成することが可能となる。そのため、シート14を介して伝えられる刺激力を向上させることができ、利用者10に噴流の刺激を十分に与えることが可能となる。したがって、十分なマッサージ効果を発揮することができる。
噴流の刺激が伝わりやすいので、水中ポンプ21,22の能力が小さくても、十分なマッサージを施すことが可能となる。そのため、水中ポンプ21,22の動力の低減を図ることができる。また、水中ポンプ21,22の低容量化を図ることができ、水中ポンプ21,22の小型化や軽量化を図ることができる。水中ポンプ21,22の動力を低減することとすれば、家庭用電源(100V、15A以下)しか利用できない場所等、電源容量が限られた場所であっても、ウォータマッサージベッド11の使用が可能となる。
また、本ウォータマッサージベッド11によれば、水槽12に複数枚のシートを別々に取り付ける必要がないので、シートの材料費の低減と取り付け作業の簡単化とを図ることができる。
補助プレート41の開口42を人体形状に応じた形状に形成したので、利用者10の体を比較的均等に支えることができる。したがって、利用者10を安定して支持することができる。
また、一般に、人体に密着していないシート部分に噴流が衝突すると、当該部分は噴流によって振動し、騒音が発生しやすい。ところが、本ウォータマッサージベッド11によれば、補助プレート41の開口42が人体形状に応じた形状に形成されているので、シート14のほぼ全体が利用者10の体に密着することになる。したがって、マッサージ運転における騒音の発生を効果的に抑制することができる。
本ウォータマッサージベッド11によれば、暖機運転の際に、噴流を補助プレート41に衝突させることとしたので、騒音の発生を防止することができる。
また、従来は、暖機運転時の騒音を低下させるためには、噴射装置の噴射力を低減せざるを得なかった。そのため、限られた運転時間の中で、水温を十分に上昇させることは困難であった。逆に、水槽内の水温を所定温度にまで上昇させるためには、暖機運転の運転時間を相当長くする必要があった。これに対し、本ウォータマッサージベッド11によれば、噴流を補助プレート41に衝突させることによって騒音の発生を抑制することができるので、暖機運転時においても、噴射装置23,24の噴射力を高く維持することができる。そのため、水温を十分に上昇させることが可能となる。また、暖機運転の運転時間を短縮することが可能となる。
本ウォータマッサージベッド11では、水槽12の開口15の一部は、補助プレート41によって覆われている。そのため、水槽12の開口面積は補助プレート41の分だけ狭くなり、水槽12の保温性能が向上する。
ところで、通常、ウォータマッサージベッド11を利用する際には、利用者10はいったんシート14上に腰掛け、その後、着座姿勢から横臥姿勢に姿勢変更することによって、シート14上に横たわる。逆に、ウォータマッサージベッド11から離れる際には、シート14上に横たわった姿勢から着座姿勢に姿勢変更し、その後、立ち上がることによってシート14から離れることになる。このように、乗り降りの際に、利用者10はいったん着座姿勢をとることが多い。
ところが、着座姿勢の利用者10は、腰部付近において集中的に支持されることになる。そのため、ウォータマッサージベッド11における腰部付近の部分には、他の部分よりも大きな支持力が必要とされる。
そこで、シート14の薄さを維持しながら支持力を部分的に高めるため、腰部付近の部分に補強材を付加するようにしてもよい。次に、図8を参照しながら、腰部付近に補強材を付加した実施形態について説明する。
図8に示すように、本実施形態では、補助プレート41の長手方向の中途部(具体的には腰部用開口42dの近傍)に、ナイロン製の補助支持ネット45を設けている。ただし、補助支持ネット45の材料は、特に限定されるものではない。また、補助支持ネット45の代わりに、補助支持シートを設けるようにしてもよい。補助支持ネット45は、補助プレート41の下方に配置され、水槽12の幅方向に掛け渡されている。補助支持ネット45の固定方法は何ら限定されず、例えば、その両側を押さえ金具43(図3参照)と水槽12との間に挟み込むことによって固定してもよく、水槽12の周囲に設けた複数本のボルト(図示せず)に引っかけることによって固定してもよい。
本実施形態によれば、補助支持ネット45によって、利用者10の腰部付近の支持力が向上している。そのため、シート14が薄くても、着座姿勢にある利用者10をしっかりと支持することができる。逆に言うと、着座姿勢にある利用者10をしっかりと支持することができるので、シート14をより薄型化することが可能となる。シート14を更に薄くすることにより、利用者10に対して噴流の刺激をより伝えやすくなり、マッサージの効果を更に向上させることが可能となる。
なお、本実施形態では、補助支持ネット45を付加した分、部品点数は増加している。しかしながら、補助支持ネット45は水槽12を部分的に覆っているだけなので、水槽12の全体を覆う場合と異なり、材料費の増加や取り付け作業の複雑化等は、実用上それほど問題になることはない。
前記各実施形態では、水槽12は満水状態ではなく、水槽12とシート14との間に空気層が設けられていた。しかし、水槽12を満水状態にしてもよいことは勿論である。本ウォータマッサージベッド11では、補助プレート41が利用者10の支持を補助するので、利用者10は安定して支持され、前後左右方向に揺れにくい。そのため、船酔いに似た不快感は生じにくい。
また、前記各実施形態では、シート14は水槽12の開口15及び補助プレート41の全体を覆っており、水槽12に固定されていた。しかし、シート14は補助プレート41に固定されていてもよい。シート14は、補助プレート41の開口42のみを覆っていてもよい。また、補助支持ネット45を補助プレート41に固定することも可能である。
前記各実施形態に係るウォータマッサージベッド11は、噴射装置として、2台の噴射装置(すなわち、第1噴射装置23及び第2噴射装置24)を備えていた。しかし、噴射装置の台数は何ら限定されず、1台であってもよく、3台以上であってもよい。また、前記各実施形態では、各噴射装置はそれぞれ2つのノズルを備えていた。しかし、噴射装置に設けられるノズルの数は2つに限らず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
水槽12内に貯留する液体は、水に限らず、他の液体であってもよい。
本発明に係る液体式マッサージ装置は、利用者10を横臥姿勢でマッサージする装置に限らず、着座姿勢等、他の姿勢でマッサージする装置であってもよい。