JP4074809B2 - 液体式マッサージ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体式マッサージ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人体に対するマッサージを行うマッサージ装置の中には、噴射ノズルから噴射される液体つまり噴射用液体を利用したものがある。この種の液体式マッサージ装置としては、基本的に、本体ハウジングの上方開口が支持シートによって施蓋されて、該本体ハウジング内に配設された噴射ノズルから噴射用液体を支持シートの下面に向けて噴射することにより、該支持シート上に横たわる使用者に対して刺激を与えるものとなっている。
【0003】
上記液体式マッサージ装置は、使用者の支持の仕方の相違に応じて2種類存在する。その第1の形式のものは、特許文献1に示すように、本体ハウジング内が噴射用液体で充満された形式、つまり本体ハウジング内の噴射用液体がまったく自由表面を有しない形式とされて、支持シート上の使用者の重量を噴射用液体によって受け止めるというもので、いわゆるウオータベッド式と呼ばれるものである。
【0004】
また、液体式マッサージ装置の第2の形式のものは、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5に示すように、本体ハウジング内の噴射用液体が自由表面を有するもの、つまり、本体ハウジング内の噴射用液体の液面と支持シートとの間に空気層が介在される方式のものである(この第2の形式のものは、シャワーノズル方式と呼ばれることもある)。このものにあっては、本体ハウジングの底部に貯溜された噴射用液体がポンプによって汲み上げられて噴射ノズルから噴射され、支持シートに下方から衝突した後に落下して、再び噴射ノズルに供給されることになる。そして、通常は本体ハウジング内の噴射用液体の液位が噴射ノズルよりも低い位置とされていて、噴射ノズルから噴射された噴射用液体は、本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体を通過することなく支持シートに到達されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−252293号公報
【特許文献2】
特開2000−325420号公報
【特許文献3】
特公昭39−15383号公報
【特許文献4】
米国特許明細書第4,853,988号
【特許文献5】
米国特許明細書第4,976,256号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の第1の形式(ウオータベッド式)の液体式マッサージ装置にあっては、噴射ノズルから噴射された噴射用液体が、液中のみを通過するため、騒音の点では有利な反面、使用者に与える刺激が単調になってしまうという欠点がある。
【0007】
この一方、前述の第2の形式の液体式マッサージ装置にあっては、噴射ノズルから噴射された噴射用液体が、空気層を通って支持シートに到達するので、使用者に対して効果的に刺激を与えることができるという利点を有する反面、騒音の点では不利となる。この騒音のうち、主たるものは、噴射ノズルから噴射された噴射用液体が勢いよく支持シートに衝突することによって支持シートが振動されることによる騒音つまり衝突音であり、これに加えて噴射ノズルから噴射用液体が噴射されるときの噴射音も問題となる。
【0008】
本発明は、以上のような事情を勘案してなされてもので、その目的は、本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体が自由表面を有する形式のものにおいて、騒音を低減できるようにした液体式マッサージ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明にあっては基本的に、噴射ノズルとして、マッサージ効果を十分に得るために高速で噴射用液体を噴射するための中央ノズルと、この中央ノズルの周囲から噴射用液体を低速で噴射する周辺ノズルとを備えてものとしてある。具体的には、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
上方が開口された本体ハウジングと、該本体ハウジングの上方開口を施蓋する支持シートと、該本体ハウジング内に配設されて該本体ハウジング内の噴射用液体を該支持シートの下面に向けて噴射するための噴射ノズルとを備え、しかも該本体ハウジング内の噴射用液体の液位が、該支持シートとの間に空気層が介在されるように自由表面を有するような高さ位置に設定された液体式マッサージ装置において、
前記噴射ノズルが、中央ノズルと、該中央ノズルの周囲から噴射用液体を噴射する周辺ノズルとを有し、
前記周辺ノズルから噴射される噴射用液体の流速が、前記中央ノズルから噴射される噴射用液体の流速よりも小さくなるように設定されている、
ようにしてある。
【0010】
これにより、中央ノズルから高速で噴射された噴射用液体で、マッサージ効果が得られる。そして、中央ノズルからの大きな噴射音が、周辺ノズルから低速で噴射されるために噴射音の小さい噴射用液体によって周囲に拡散されるのが防止される(噴射音低減)。また、支持シートに勢いよく衝突される中央ノズルからの噴射用液体の周囲には、低速で噴射された周辺ノズルからの噴射用液体が存在するので、支持シートの振動音が周囲に拡散することが防止される(衝突音低減)。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記周辺ノズルが、前記中央ノズルの周方向略等間隔に配設された複数のノズルから構成されている、ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、複数のノズルで周辺ノズルを構成することによって、個々のノズルを簡単な構成のものとすることができる。
【0012】
前記周辺ノズルにおける噴射用液体の噴射口が、前記中央ノズルの周方向全長に渡って伸びる環状に設定されている、ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、中央ノズルから噴射される噴射用液体の全周囲を、周辺ノズルから噴射される低速の噴射用液体で確実に囲むことができ、騒音低減のためにより一層好ましいものとなる。
【0013】
前記中央ノズルと周辺ノズルの噴射実行、噴射停止に関して、第1噴射態様と第2噴射態様とのうちいずれか1つの噴射態様をマニュアル式に選択するための噴射態様選択手段と、
前記噴射態様選択手段で選択された噴射態様となるように前記中央ノズルと周辺ノズルからの噴射用液体の噴射状態を切換える噴射態様切換手段と、
を有し、
前記第1噴射態様にあっては、前記中央ノズルと周辺ノズルとの両方のノズルからそれぞれ噴射用液体を噴射するように設定され、
前記第2噴射態様では、前記中央ノズルと周辺ノズルのうち該中央ノズルからのみ噴射用液体を噴射するように設定されている、
ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、中央ノズルのみを利用した噴射用液体の噴射、つまり従来からの噴射態様をも選択することが可能となる。
とりわけ、騒音が問題となる環境下では周辺ノズルからも噴射用液体を噴射して騒音低減を図る一方、騒音があまり問題とならない環境下では周辺ノズルからの噴射用液体の噴射を停止させて、省エネルギの上で好ましいものとなる。
【0014】
前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記噴射ノズルに噴射用液体を供給するポンプを備え、
前記ポンプが、前記中央ノズル用と周辺ノズル用とで兼用されている、
ようにすることができる(請求項5対応)。この場合、ポンプを中央ノズル用と周辺ノズル用とで兼用させて、部品点数削減等の上で好ましいものとなる。
【0015】
前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記中央ノズルに噴射用液体を供給する第1ポンプと、
前記第1ポンプとは別個に設けられ、前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記周辺ノズルに噴射用液体を供給する第2ポンプと、
を備えているようにすることができる(請求項6対応)。この場合、中央ノズルへの噴射用液体の供給と周辺ノズルへの噴射用液体の供給とをそれぞれ別個のポンプにより行うことにより、各ノズルからの噴射用液体の噴射を最適設定する上で好ましいものとる。また、各ポンプを個別に制御することによって、中央ノズルと周辺ノズルからの噴射用液体の噴射状態をきめ細かく変更することが可能となる等の制御の自由度が高いものとなる。
【0016】
前記中央ノズルと周辺ノズルとからの噴射量の割合を変更する噴射量割合変更手段をさらに備えている、ようにすることができる(請求項7対応)。この場合、騒音低減のレベルやマッサージ効果の変更を行う等のことが可能となる。
【0017】
前記中央ノズルと周辺ノズルとからの噴射速度の割合を変更する噴射速度割合変更手段をさらに備えている、ようにすることができる(請求項8対応)。この場合、騒音低減のレベルやマッサージ効果の変更を行う等のことが可能となる。
【0018】
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液面位置が、前記噴射ノズルの下方に位置するように設定されて、該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が該本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体を通過することなく前記支持シートに到達される、ようにすることができる(請求項9対応)。この場合、従来一般的な形式の液体式マッサージ装置の利点である十分なマッサージ効果を得つつ、騒音低減を図ることができる。
【0019】
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液面位置が、前記噴射ノズルの上方に位置するように設定されて、該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が該本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体を一旦通過した後に前記支持シートに到達される、ようにすることができる(請求項10対応)。この場合、
噴射ノズル特に中央ノズルから噴射された噴射用液体は、揺れ動く自由表面の影響を受けて微妙にその強弱等が変化されつつ支持シートに衝突されるので、より効果的にマッサージのための刺激を与えることができる。
また、噴射ノズル特に中央ノズルから噴射された噴射用液体が、少なからず液中を通過するので、空気層のみを通過する場合に比して騒音が低減されることになる。また、噴射ノズル特に中央ノズルから噴射された高速噴流が、貯溜されている噴射用液体を通過する際にこれらを巻き込むことにより形成される比較的低速の噴流層で覆われて、支持シートに衝突するときの騒音も低減されることになる。これに加えて、本体ハウジングの内面が噴射用液体に接触される面積が増大されることによって本体ハウジングから外部に放射される音が低減される効果や(本体ハウジングの共鳴箱的な機能の低減)。さらに、噴射ノズルから噴射された噴射用液体は、上述のように強弱等の変化が与えられた状態で支持シートに衝突されるので、空気層のみを通過してダイレクトに噴射用液体が支持シートに衝突される場合よりも騒音が低減されることにもなり、全体としてかなりの騒音低減となる。
【0020】
前記本体ハウジング内における噴射用液体の液位が、前記支持シート上に使用者が横たわることにより該支持シートの中央部分が部分的に下方へ撓んだ状態において、該支持シートの全面に渡って該支持シートよりも低い位置に設定されている、
ようにすることができる(請求項11対応)。この場合、噴射用液体は、揺れ動く自由表面の影響を受けて微妙にその強弱等が変化されつつ支持シートに衝突されるので、より効果的にマッサージのための刺激を与えることができる。特に、本体ハウジング内の噴射用液体と支持シートの間が全面的に自由表面を有するものとなって、上述の自由表面を利用したマッサージ効果を十分に得る上で好ましいものとなる。
【0021】
前記本体ハウジング内における噴射用液体の液位が、前記支持シート上に使用者が横たわることにより該支持シートの中央部分が部分的に下方へ撓んだ状態において、該支持シートの下方へ撓んだ部分に対して噴射用液体が接触すると共に、該下方へ撓んだ部分の周囲は該支持シートに接触しないで自由表面を有するような高さ位置に設定されている、ようにすることができる(請求項12対応)。この場合、マッサージ効果の点では、若干劣るものの、騒音低減の上でもっとも好ましい液位とすることができる。
【0022】
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液位を、前記噴射ノズルよりも高い位置と低い位置との間で変更する液位調整手段をさらに備え、
前記液位調整手段による噴射用液体の液位変更に応じて、噴射用液体の液位が前記噴射ノズルよりも高い位置にあって該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が一旦本体ハウジング内の噴射用液体を通過した後に前記支持シートに到達される状態と、噴射用液体の液位が該噴射ノズルよりも低い位置にあって該噴射ノズルから噴射された噴射用液体が本体ハウジング内の噴射用液体を通過することなく該支持シートに到達される状態とを選択的にとり得るようにされている、
ようにすることができる(請求項13対応)。この場合、前述の請求項9と請求項10とに対応した効果を選択に得ることができる。
【0023】
前記液位調整手段が、
前記噴射用液体を貯溜するための補助タンクと、
前記本体ハウジングと補助タンクとの間での噴射用液体の給排を行うための給排手段と、
前記選択手段からの指令を受け、前記本体ハウジング内の噴射用液体の液位が該選択手段で選択されたモードに対応した高さ位置となるように前記給排手段を制御する制御手段と、
ようにすることができる(請求項14対応)。この場合、補助タンクと本体ハウジングとの間での噴射用液体の行き来を利用して、本体ハウジング内における噴射用液体の液位を大きく変化(調整)させることができる。
【0024】
前記周辺ノズルに対する噴射用液体の供給経路に、該供給経路の周囲に存在する噴射用液体を吸い込ませて高圧小流量の流れを低圧大流量の流れに変換させるジェットポンプが構成されている、ようにすることができる(請求項15対応)。この場合、安価かつ小型である高圧小流量発生用のポンプを用いつつ、周辺ノズルに対しては騒音低減のために好適な低圧大流量つまり低速の噴射用液体を供給することができる。
【0025】
前記支持シートは、使用者の重量を支持できる強度を有すると共に噴射用液体を通過させるための多数の目を有する網目状の第1部材と、該第1部材の上方に位置されて液密を確保するための弾性部材からなる第2部材とから構成されている、ようにすることができる(請求項16対応)。この場合、使用者が接触されて噴射用液体が衝突される部材を弾性部材として、使用者の支持シートへの接触フィーリングを良好なものとしつつ、噴射用液体の物理的な刺激を効果的に使用者に伝達することができる。また、噴射用液体が通過される目を有する第1部材によって、使用者の重量をしっかりと支承することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、騒音を低減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1、図2において、フレームF上に本体ハウジング1が固定、設置され、この本体ハウジング1は、例えば繊維強化プラスチックによって、上方が開口された細長い槽状に形成されている。この本体ハウジング1は、略水平に配設されて、その上方開口1aは支持シート2によって液密に施蓋されている。支持シート2上には、マッサージを受ける使用者(患者)Mが、例えばあお向け等の倒伏姿勢(横たわり姿勢)でもって保持(支持)される。
【0028】
支持シート2は、実施形態では、図3、図4に示すように、第1部材2Aと第2部材2Bとの2層構造として構成されている。すなわち、第1部材2Aは、図4に示すように多数の目を有する網目状(格子状)とされて、使用者Mの重量を支承するのに十分な強度(引張強度)を有している。また、第2部材2Bは、ゴム(実施形態ではシリコンゴム)等の薄い弾性部材によって形成されて、第1部材2A上に配置された状態とされる。この第2部材2Bは、もっぱら本体ハウジング1の上方開口1aからの噴射用液体の洩れを防止するシール作用を有する程度の厚さ(強度)でよいので、十分に柔らかいものとすることができる。これにより、第2部材2Bに対して、使用者Mが大きな面積でもって密着されると共に、下方からの噴射用液体の物理的な力が効果的に使用者Mに伝達されるようになっている。このような2つの部材2Aと2Bとはそれぞれその周縁部が、本体ハウジング1(の上方開口1a)の周縁部に固定されている。なお、支持シート2は、実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、全体としてゴム等の薄い弾性部材のみによって形成するようにしてもよく、あるいは強度確保のためにその内部に強化繊維を含むものとしてもよい。
【0029】
本体ハウジング1内には、マッサージ液体としての噴射用液体(通常は湯水が用いられる)が貯溜されており、その液面高さ位置(液位)つまり自由表面が符号Lで示される。本体ハウジング1の底壁(底部)には、その長手方向ほぼ全長に渡って、ほぼ水平に伸びる細幅の溝状の貯溜部3が形成されている。この貯溜部3には、後述するようにその液位が十分低い状態とされたときでもが貯溜可能とされている。本体ハウジング1の底部には、貯溜部3の上方開口縁部において、本体ハウジング1の長手方向にほぼ水平に伸びる左右一対の走行レール4が配設、固定されている。この走行レール4上を、走行台車5が走行されるようになっており、その走行車輪が符号6で示される。
【0030】
本体ハウジング1内には、走行レール4に沿って、当該走行レール4よりも若干高い位置において、駆動チェーン7が配設されている。この駆動チェーン7は、ほぼ水平に伸びていて、エンドレス式とされている。すなわち、駆動チェーン7は、本体ハウジング1内においてその長手方向端部に回転自在に保持された一対のスプロケット8、9に巻回されており、駆動チェーン7の上方行程部が符号7aで、また下方行程部が符号7bで示される。スプロケット8が駆動スプロケット、スプロケット9が従動スプロケットとされており、駆動スプロケット8が、本体ハウジング1の側方に設置した駆動モータ(図示略)によって、連動機構(図示略)を介して駆動される。走行台車5は、駆動チェーン7のうち、上方行程部7aまたは下方行程部7bのいずれか一方に連結、固定されて、モータによりスプロケット8を正逆回転させることによって、走行台車5が往復駆動される。モータ10の駆動を制御することにより、走行台車5の往復駆動範囲を任意に変更することができ、また任意の走行位置でもって走行台車5を停止させておくことができる。なお、走行台車5を走行駆動する駆動手段としては、実施形態で示すチェーン式の他、適宜の構造のものを採択し得る。
【0031】
走行台車5には、後述するように、左右一対の噴射ノズル12A、12Bが設けられている。噴射ノズル12A、12Bからマッサージ液体を噴射させるため、本体ハウジング1の側方には、モータ付きのポンプ14が装備される。図5に示すように、ポンプ14は、前記貯溜部3内のマッサージ液体を汲み上げて、流量(圧力)制御弁16を介して、各噴射ノズル12A、12Bへと噴射用液体を圧送する。なお、ポンプ14から伸びる噴射用液体圧送用の配管15は、流量制御弁16の下流側において2つに分岐されて、その一方の分岐配管15Aが一方の噴射ノズル12Aに接続され、他方の分岐配管15Bが他方の噴射ノズル12Bに接続される。そして、分岐配管15A、15Bは所定長さに渡って撓み可能な可撓配管(例えば合成樹脂製の蛇腹状の配管)とされて、走行台車5の走行位置の変更に対応できるようにされている。なお、噴射ノズル12A,12Bの詳細については後述する。
【0032】
本体ハウジング1の側方には、補助タンク22が配設されている(図1、図5参照)。この補助タンク22は、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lを変更するために設けられたものである。すなわち、給排手段を構成するポンプ24によって本体ハウジング1から補助タンク22へと噴射用液体を移動させることによって、本体ハウジング1内の液位Lが低下される。また、ポンプ24によって補助タンク22から本体ハウジング1へと噴射用液体を移動させることによって、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lが上昇される。なお、ポンプ24は、正逆回転式とされて、その回転方向の変更に応じて、本体ハウジング1から補助タンク22へ噴射用液体を移送する作用と、補助タンク22から本体ハウジング1へ噴射用液体を移送する作用とが切換えられる。なお、ポンプ24は、一方向回転式として、その吸引口、吐出口に対して接続される配管を切換弁を利用して変更することによって、噴射用液体の移動方向を切換える等、給排のための機構は適宜選択し得るものである。
【0033】
本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lの調整によって、実施形態では、この液位Lの相違態様として、次の3つのモードをとり得るようになっている。第1のモードは、図2に示す態様であり、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lが、噴射ノズル12A、12Bよりも高い位置とされると共に、支持シート2の全面に対して自由表面を有するものである。すなわち、支持シート2に使用者Mがいる状態においては、支持シート2のうちその一部(中央部)が若干下方へ撓み変位されるが、この下方へ撓み変形した部分よりも液位Lが低い位置とされる。
【0034】
第2のモードは、図6に示す態様であり、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lが、第1のモードよりよりよりも高い位置とされて(当然に噴射ノズル12A、12Bよりも高い位置とされる)、支持シート2の一部の面に対してのみ自由表面を有するものである。より具体的には、支持シート2に使用者Mがいる状態においては、支持シート2のうちその一部(中央部)が若干下方へ撓み変位されるが、この下方へ撓んだ部分は、本体ハウジング1内の噴射用液体に対して接触されると共に、下方へ撓んだ部分の周囲は噴射用液体のLよりも高い位置とされて噴射用液体とは接触されない状態とされる。
【0035】
第3のモードは、図7に示す態様であり、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lが、第1のモードよりも低くされて、噴射ノズル12A、12Bよりも低い位置とされる状態である(当然に、支持シート2の全面に対して自由表面を有するものである)。
【0036】
噴射ノズル12A,12Bから噴射された噴射用液体は、支持シート2の下面に衝突(第1部材2Aの目を通過して第2部材2Bの下面に衝突)して、この衝突がマッサージの刺激として、支持シート2上の使用者Mに対して作用される。支持シート2に衝突した噴射用液体は、落下されて、再び噴射ノズル12A、12Bから噴射されることになる。
【0037】
噴射ノズル12A、12Bから噴射用液体を噴射するとき、図2に示す第1のモードでは、噴射ノズル12A、12Bからの噴射用液体は、一旦噴射用液体中を通過し、その後噴射用液体の液位(自由表面)L上にある空気層を通った後に、支持シート2に衝突されることになる。この場合、自由表面Lは揺れ動くことになるので、噴射ノズル12A、12Bから噴射された噴射用液体が噴射用液体中を通過する長さが適宜変更されることになり、支持シート2に衝突される噴射用液体の強弱が微妙に変化されることになる。これにより、より効果的なマッサージ用の刺激を使用者Mに与えることができる。
【0038】
また、第1モードでは、騒音も低減されることになる。この騒音低減の要因としては次の3つが考えられる。まず、噴射ノズル12A、12Bからの噴射用液体は直接空気層に噴射されるのではなく、一旦噴射用液体中に噴射されることになるので、噴射ノズル12A、12Bからの噴射用液体の噴射の際の騒音が低減される。次に、本体ハウジング1は、ボックス状であるために共鳴箱的な機能を果たすが、噴射用液体の液位Lが従来よりも十分に高い位置となっていて、本体ハウジング1の内面のうち空気層に触れている面積が十分小さくなる一方、噴射用液体に触れている面積が十分に大きくされるので、本体ハウジング1の壁面からの放射音が低減されることになる。最後に、前述のように、支持シート2に衝突される噴射用液体は、微妙に強弱が与えられるので、同じ状態で連続して噴射用液体が支持シート2に衝突される従来の場合に比して、噴射用液体によって支持シート2が振動される程度が小さくなり、支持シート2の振動に起因する騒音低減されることになる。
【0039】
前記第2のモードでは、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lがより高い位置とされ、しかも支持シート2の一部が噴射用液体と常時接触されるために、前述した騒音がより一層低減されることになる。
【0040】
前記第3のモードは、従来と同じであり、従来と同じ刺激態様でのマッサージ効果を得る場合に選択されるものとなる。
【0041】
次に、図8、図9を参照しつつ、噴射ノズル12A,12B付近の構成について詳述する。まず、走行台車5の上面には、上下方向に伸びる左右一対の支軸32A、32Bが固定されている。この支軸32A、32Bは管状とされて、その下部に、前述した分岐配管15Aあるいは15Bが接続されている。
【0042】
上記支軸32A、32Bに対して、軸受部材34A、34Bを介して、左右一対のドラム36A、36Bが回転自在に保持されている。各ドラム36A、36Bは、その内部が密閉状とされた空間部37Aあるいは37Bとされている。また、各ドラム36A、36Bは、その外径が円形とされて、その外周面に歯形38Aあるいは38Bが形成された一種の歯車として機能されるようになっている。歯車としてのドラム36A、36Bは、その歯形38A、38B同士が噛合されて、ドラム36A、36Bの一方が回転されると、他方も回転されるようになっている。
【0043】
各ドラム36A、36Bの上面に、その回転中心に対して偏心した位置において、前述の噴射ノズル12A、12Bが固定されている(図9をも参照)。この噴射ノズル12A、12Bは、ドラム36A、36B内の空間部47A、37Bに常時連通されている。これにより、配管15A、15Bから供給される噴射用液体は、支軸32A、32B内、空間部37A、37Bを通った後、噴射ノズル12A、12Bから上方に向けて噴射される。そして、ドラム36A、36Bの回転に応じて、噴射ノズル12A、12Bの位置が変更されて、使用者Mに対する噴射用液体の噴射位置が変更されることになる。
【0044】
ドラム36A、36Bを回転させるために、一方のドラム36Aの下面には、ウオーム歯車42が固定されている。このウオーム歯車42は、支軸32Aに対して相対回転可能に嵌合されている。ウオーム歯車42に対して、ウオーム44が噛合されている。このウオーム44は、図示を略すブラケットを利用して、ドラム36Aに回転自在に保持されている。また、ウオーム44は、本体ハウジング1の長手方向に伸びる回転軸46に対して、一体回転するようにかつその軸線方向にスライド可能に保持されている。回転軸46は、本体ハウジング1に回転自在に保持されているものである。これにより、本体ハウジング1の外方に設けたモータ等の駆動手段によって回転軸46を回転させると、ウオーム44も回転され、これによりウオーム歯車42つまりドラム36Aが回転され、このドラム36Aの回転に応じて他方のドラム36Bも回転される。走行台車5が移動したとき、ウオーム44は回転軸46に対してスライドされるので、走行台車5の位置を問わず、ドラム36A、36Bが回転可能とされる。
【0045】
次に、噴射ノズル12A、12Bの詳細について、図8、図9を参照しつつ説明するが、左右の噴射ノズル12A、12Bは互いに同一構成となっているので、噴射ノズル12Aに着目して説明することとする。まず、噴射ノズル12Aは、1つの中央ノズル18Aと、複数の周辺ノズル19Aとを有する。中央ノズル18Aは、大径とされて、使用者Mへ十分なマッサージ効果を与えることができるように、ここから噴射される噴射用液体の流速および流量は共に大きなものとされている。
【0046】
周辺ノズル19Aは、中央ノズル18Aの周囲に配設されて、中央ノズル18Aの周方向略等間隔に複数(実施形態では合計4個)設けられている。各周辺ノズル19Aは、小径とされて、この周辺ノズル19Aから噴射される噴射用液体の流速および流量は、それぞれ中央ノズル18Aから噴射される噴射用液体の流速および流量よりも十分小さくされている。より具体的には、実施形態では、周辺ノズル19Aから噴射される噴射用液体の流速は、使用者Mへのマッサージ効果よりも騒音低減のために十分に有利となるように、支持シート2に対しては勢いよくは衝突しない流速とされている。また、周辺ノズル19Aからの流量は、支持シート2に衝突して拡散したときに、各周辺ノズル19Aからの拡散噴射用液体が、中央ノズル18Aから噴射された噴射用液体の支持シート2への衝突部位をほぼ全面的に囲むことができるような大きさに設定されている。なお、このような周辺ノズル19Aの設定は、その通路径や長さ設定によってのみ行うことも可能であるが、この他、周辺ノズル19Aに別途オリフィス等を設けることによって、上述した設定を得ることもできる。
【0047】
前述の中央ノズル18Aと複数の周辺ノズル19Aとは、その基端部同士で互いに連通、より具体的には、中央ノズル18Aの基端部から周辺ノズル19Aが分岐されて形式となっており、この分岐部分が連通部20Aとして示される。図8に示すように、噴射ノズル12Aをドラム36Aに取付けることによって、連通部20A(つまり中央ノズル18A、19A)が、空間部37Aに対して自動的に連通される。
【0048】
他方の噴射ノズル12Bも噴射ノズル12Aと同様に構成されており、噴射ノズル12Bのうち噴射ノズル12Aと同一構成要素には、噴射ノズル12Aについて用いた符号Aに代えて符号Bを付することにより、その重複した説明は省略する。
【0049】
いま、全てのノズルつまり中央ノズル18A、18B、周辺ノズル19A、19Bから噴射用液体を噴射する場合を考える。高速かつ流量の大きい中央ノズル18A、18Bからの噴射音は相当に大きいものとなるが、その周囲にある周辺ノズル19A、19Bからは噴射音の小さい状態で噴射用液体が噴射されるので、中央ノズル18A、18Bで発生される大きい噴射音が拡散されるのが防止される(噴射音低減)。
【0050】
また、中央ノズル18A、18B噴射された噴射用液体は、勢いよく支持シート2に衝突して(この衝突部位を中央衝突部位と称す)、支持シート2を大きく振動させて大きな衝突音を発生させることになる。この一方、流速の小さい周辺ノズル19A、19Bから噴射された噴射用液体が支持シート2に衝突しても(この衝突部位を周辺衝突部位と称す)、小さな衝突音しか発生しないものとなる。そして、この小さな衝突音しか発生しない周辺ノズル19A、19Bから噴射された噴射用液体によって、大きな衝突音を発生させる中央ノズル18A、18Bから噴射された噴射用液体が囲まれるので、この大きな衝突音が周囲に拡散されるのが防止されることになる(衝突音低減)。つまり、上述の大きな衝突音発生部位となる中央衝突部位が、小さな衝突音しか発生しない周辺衝突部位によって囲まれることになるので、衝突音の拡散が防止されることになる。
【0051】
ここで、図1、図8をも参照しつつ、各種機器類の配設位置関係について説明する。まず、平面視において、フレームFの外周縁部は、本体ハウジング1の外周縁部よりも外方側に位置される。この平面視において、噴射用液体圧送用のポンプ14、噴射用液体の液位調整用の補助タンク22とポンプ24は、それぞれ、本体ハウジング1の側方で、かつフレームFの内方側に配設される。つまり、大型部材となる上記部材14、22、24、特に補助タンク22が、本体ハウジング1とフレームFとの間のデッドスペースを有効に利用して配設されている。
【0052】
ここで、本実施形態では、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lを、前述した第1モード、第2モード、第3モードに応じて、マニュアル選択に応じて自動的に調整可能とされている。この液位Lの自動調整のための制御系統について、図10をも参照しつつ説明する。まず、Uは、制御手段としてのコントローラであり、マイクロコンピュータを利用して構成されている。このコントローラUには、モード選択スイッチS1、噴射量(噴射圧力)設定スイッチS2、治療時間設定スイッチS3、液位Lの微少調整用の指令スイッチS4、液位センサS5からの信号が入力される。また、コントローラUからは、前述した流量制御弁16、液位調整用のポンプ24、およびブザーあるいは表示手段の少なくとも一方からなる報知手段S6に出力される。上記コントローラUおよび各種スイッチ等S1〜S4、S6は、コントロールボックスCBを利用して1ユニット化されて、このコントロールボックスCBが、本体ハウジング1の側方から操作可能な位置に配設されている(図1参照)
【0053】
上記モード選択スイッチS1は、前述した第1モード(図2)、第2モード(図6)、第3モード(図7)のうち、いずれか1つのモードをマニュアル選択するためのものである。噴射量設定スイッチS2は、噴射ノズル12A、12Bから噴射される噴射用液体の噴射量(噴射圧力)をマニュアル指令するためのものである。治療時間設定スイッチS3は、噴射ノズル12A、12Bから噴射用液体を噴射している時間をマニュアル指令するためのものである。指令スイッチS4は、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lを連続可変式に微少変更するようにマニュアル指令するためのものであり、液位Lを上昇させる指令と、下降させる指令とを個々独立して指令できるものとされている。液位センサS5は、本体ハウジング1内の噴射用液体の実際の液位Lを検出するもので、例えば静電容量式のものとされて、本体ハウジング1の外壁面に上下方向に伸ばして取付けられている(図2をも参照)。なお、本体ハウジング1の側壁には、図2に示すように、ガラス等の透視部材によって内部の液位Lを外部から観察可能な観察窓50が設けられている。
【0054】
コントローラUの制御機能は、次のとおりである。まず、液位センサS5で検出される本体ハウジング1内の噴射用液体の実際の液位Lが、モード選択スイッチS1によって選択されたモードに対応した液位となるようにポンプ24を制御する。また、噴射ノズル12A、12Bから噴射される噴射用液体の噴射量(噴射圧力)が、噴射量選択スイッチS2で選択された噴射量となるように、流量制御弁16の開度を制御する。噴射ノズル12A、12Bからの噴射用液体の噴射開始から、治療時間設定スイッチS3で設定された治療時間が経過すると、ポンプ14を停止させて、噴射用液体の噴射を停止させる。指令スイッチS4が操作され続けている間、ポンプ24を駆動制御して、操作に応じて本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lを上昇あるいは下降を実行させ、スイッチS4の操作がなくなった時点で、ポンプ24の運転を中止する。これにより、スイッチS4の操作に応じて、連続可変的に、本体ハウジング1内の噴射用液体の液位Lがきめ細かく変更される。
【0055】
次に、コントローラUの具体的な制御例について、図11のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、ステップQ1において、各種スイッチ等の操作状況等のデータ入力が行われる。Q2では、スイッチS2の操作に応じて、噴射量の設定が行われる(流量制御弁16の開度設定)。Q3では、モード選択スイッチS1の選択に応じたモードの液位Lとなるように、ポンプ24の駆動を制御する(液位センサS5の出力に基づくフィードバック制御)。
【0056】
Q4では、液位センサS5で検出される実際の液位Lが、モード選択スイッチS1で選択されたモードに対応した目標液位になったか否かが判別される。このQ4の判別でNOのときはQ3に戻る。Q4の判別でYESのときは、Q5において、目標液位になったことを報知すべく、報知手段S6が作動される。
【0057】
Q6では、液位をマニュアル変更するためのスイッチS4が操作されているか否かが判別される。このQ6の判別でYESのときは、Q7において、スイッチS4の操作内容に応じた方向つまり液位Lの上昇または下降のためにポンプ24が駆動制御された後、Q6に戻る。Q6の判別でYESのときは、Q8において、噴射を開始することを報知すべく報知手段S6が作動された後、Q9において、ポンプ14の運転が開始されて、噴射ノズル12A、12Bから噴射用液体が噴射される。Q10では、スイッチS3で設定された治療時間が経過したか否かが判別されて、このQ10の判別でNOのときはQ9に戻って噴射用液体の噴射が実行され続け、Q10の判別でYESとなった時点で、Q11において、ポンプ14の運転が停止されて、噴射ノズル12A、12Bからの噴射用液体の噴射が停止される。
【0058】
図12、図13は、本発明の第2実施形態を示すものである。本実施形態では、噴射ノズル12A(12Bも同じ)に相当する噴射ノズル60が、それぞれ1つづつの中央ノズル61と周辺ノズル62とから構成されている。すなわち、周辺ノズル62は、太いパイプ状とされて、その中を、中央ノズル61が貫通している。つまり、周辺ノズル62は、その噴射口62aが、中央ノズル61の全周囲を取り囲む環状(実施形態では円環状)とされている。これにより、周辺ノズル62から噴射される噴射用液体によって、中央ノズル61から噴射される噴射用液体の全周囲を確実に囲むことができ、騒音低減の上で極めて好ましいものとなる。
【0059】
上記中央ノズル61に連なる配管63には、第1ポンプ64が接続されると共に、電磁式の流量(圧力)調整弁65が接続されている。また、周辺ノズル62に連なる配管66には、第2ポンプ67が接続されると共に、電磁式の流量(圧力)調整弁68が接続されている。これにより、各ポンプ64と67の吐出能力と、各流量調整弁65、68の開度との少なくとも一方を、図10に示すようなコントローラUによって制御することにより、中央ノズル61から噴射される噴射用液体と周辺ノズル62から噴射される噴射用液体との間での流量割合あるいは流速割合の少なくとも一方が変更可能となる。
【0060】
例えば、ポンプ67の運転を停止することにより、中央ノズル61からのみ噴射用液体を噴射して、従来と同様の噴射態様とすることができる。また、ポンプ64の吐出能力を変更することにより、中央ノズル61から噴射される噴射用液体によるマッサージ効果を変更することができる(この場合、周辺ノズル62からの噴射用液体の噴射の有無は問わない)。さらに、各ポンプ64、67をそれぞれ運転して、各ノズル61、62の両方から噴射用液体を噴射する態様において、例えば流量調整弁68の開度を調整することにより、周辺ノズル62から噴射される噴射用液体を利用したマッサージ効果と騒音低減とのバランスを変更することもできる。
【0061】
なお、各ノズル61、62毎に個別にポンプ64あるいは67を設ける場合は、別途流量調整弁65、68を不用とすることも可能である(ポンプの吐出能力の制御のみによる噴射状態の変更)。逆に、各ノズル61、62に対してポンプを共通とする場合は、例えば各ノズル61、62の基端部側を共通配管として連通状態とすればよい。このポンプを共通とする場合、各ノズル61、62用として個別に存在する分岐配管部分にそれぞれ流量調整弁を接続しておくことにより、中央ノズル61からの噴射用液体の噴射状態と周辺ノズル62からの噴射用液体の噴射状態とを個別に変更することができる。特に、中央ノズル61からの噴射状態の変更をもっぱらポンプの吐出能力変更により行う場合は、流量調整弁を周辺ノズル62側にのみ設けて、流量調整弁によって周辺ノズル62からの噴射用液体の噴射状態を変更することもできる。なお、ポンプ64、67の吐出能力の変更や流量調整弁65、68の開度変更の指令は、図10において、この指令をマニュアル式に行うための選択手段(例えばスイッチ等)を、別途設ければよく、コントローラUは、この指令に基づいてポンプ64、67あるいは流量調整弁65、68を制御することになる。
【0062】
図14は本発明の第3実施形態を示すものである。本実施形態では、噴射ノズル12A(12Bも同じ)に相当する噴射ノズル70が、中央ノズル71と周辺ノズル72とから構成されている。周辺ノズル72は、中央ノズル71取り巻く環状(実施形態では円環状)とされて、その噴射口72aが、中央ノズル71の周方向略等間隔に複数開口されている。すなわち、図12、図13の実施形態の場合は周辺ノズル62の噴射口が中央ノズル61の全周囲に渡って伸びる環状とされているのに対して、本実施形態では、周辺ノズル72を構成する外壁部材そのものは中央ノズル71の全周囲を取り巻いているが、実質的に周辺ノズルとなる噴射口72aそのものは、図8、図9に示すものと同様に、中央ノズル71の周方向に間隔をあけて配置された構造となっている(複数の噴出口72の外壁部材が共通化された構造)。
【0063】
図15、図16は、本発明の第4実施形態を示すものである。本実施形態は、ジェットポンプを利用して、噴射用液体圧送用のポンプとして高圧小流量発生用のものを用いつつも、周辺ノズルに対しては、低圧大流量つまり低速の噴射用液体を供給できるようにしたものである。すなわち、ポンプ64が、安価かつ小型ですむ高圧小流量発生用とされて、このポンプ64からの高圧小流量の噴射用液体が、供給経路としての配管63を介してそのまま中央ノズル61に供給される。
【0064】
上記配管63の途中から分岐された供給経路としての分岐配管66が、周辺ノズル62に連なっている。この分岐配管66の途中には、ジェットポンプ81が構成されている。このジェットポンプ81は、ポンプ64側つまり上流側の配管を構成する小径の上流側配管82と、周辺ノズル62側つまり下流側の配管を構成する大径の下流側配管83とを有する。
【0065】
下流側配管83の上流側端部はラッパ状に広げられた拡径部83aとされている。また、上流側配管82の下流側端部が先細状のノズル部82aとされて、このノズル部82aが上記拡径部83aに臨んでいる。そして、両配管82と83との間が吸い込み口85とされて、この吸い込み口85が、本体ハウジング1内に貯溜されている噴射用液体中に開口されている(本体ハウジング1内の噴射用液体の液面高さが、吸い込み口85以上の高さに設定されている)。
【0066】
ポンプ64から吐出された噴射用液体は、高圧小流量とされた状態で、そのままた中央ノズル61から噴射される。これに対して、ポンプ64から吐出された高圧小流量の流れとなる噴射用液体は、ジェットポンプ81によって低圧大流量の流れに変換されて、周辺ノズル62から噴射される。すなわち、上流側配管82から下流側配管83へと噴射用液体が流れるとき、吸い込み口85から周囲の噴射用液体が吸い込まれて、下流側配管83を流れる噴射用液体は、低圧大流量の流れとされる。低圧大流量の流れは低速であるので、周辺ノズル62から噴射される噴射用液体は、騒音低減用として好ましい状態のものとなる。
【0067】
図17は、本発明の第5実施形態を示すものである。本実施形態では、図15、図16に示すジェットポンプ81を、周辺ノズル62の直近(噴射口62a直近)に構成した場合を示すものであり、その作用は図15、図16の場合と同じなので、これ以上の説明は省略する。勿論、本実施形態でも、吸い込み口85は本体ハウジング1内に貯溜されている噴射用液体の液面よりも低い位置に設定されている。
【0068】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。液体式マッサージ装置特に本体ハウジング1としては、ベッド形式のものに限らず、椅子形式のもの等、適宜の形式のものとすることができる。走行台車5つまり噴射ノズル12の駆動は、チェーンではなくて、例えばねじ棒とこれに螺合されたナットとを利用する方式等、適宜の方式を採択できる。
【0069】
噴射ノズル12A、12Bの数は任意に設定できる。また、走行台車5を有しないものとして、噴射ノズル12A、12Bが本体ハウジング1に対して大きく相対変位しないものであってもよい(噴射ノズル固定式、ただし、噴射ノズルをその場で回転等の若干の変位させるか否かは任意に選択できる)。
【0070】
第1モード、第2モード、第3モードのうち、3つのモード全てを選択可能とするのではなく、任意の2つのみを選択できるようにしてもよい。すなわち、第1モードと第2モードとの間での選択、第1モードと第3モードとの間での選択、第2モードと第3モードとの間での選択とするようにしてもよい。また、第1モードのみ、第2モードのみ、あるいは第3モードのみの設定とすることもできる。
【0071】
補助タンク22を本体ハウジング1の外方(外側)に配設する場合、その配設位置としては、本体ハウジングの側方(本体ハウジング1の長手方向の側方、幅方向の側方)に限らず、本体ハウジング1の下方に配設することもできる(この場合、補助タンク22を上下方向に極力薄くして、装置全体としての高さが高くならないようにするのが望ましい)。また、補助タンク22を、本体ハウジング1内、特に貯溜部3に相当するような本体ハウジング1の底部に配設することもできる(この場合、本体ハウジング1内と補助タンク22内との間での噴射用液体給排用のポンプ24は、本体ハウジング1内に配設することもできるが、本体ハウジング1の外方に設けるのが望ましい)。なお、補助タンク22を、フレームFの外方側に追加する形式で配設するようにすれば、既存の液体式マッサージ装置を利用して、本発明装置を容易に構成することができる。なお、図8、図9に示す実施形態のように、中央ノズル18A(18B)と周辺ノズル19A(19B)とを、1つのノズル部材内に構成するようにしておけば、このノズル部分の構造が全体として極めて簡単なものとなる。
【0072】
モードを選択するためのスイッチS1と液位Lを連続可変式に変更指令するためのスイッチS4は、いずれか一方のみを設けるようにすることもできる。両方のスイッチS1、S4を共に設けた場合は、そのいずれか一方のスイッチの指令を優先させるようにすることもできる。例えば、スイッチS4の指令を優先させた場合は、モードスイッチS1での選択に優先して、スイッチS4の操作に応じて液位Lが変更される。また、スイッチS1を優先した場合は、スイッチS1で選択したモードで許容される液位Lの範囲内で、スイッチS4によるわずかな液位Lの調整のみが行えるようにすることができる。
【0073】
第1モード(図2)が、刺激効果と騒音低減とのバランスの観点からもっとも好ましい液位Lの設定となるが、この第1モードでの液位Lの具体的な設定例としては、噴射ノズル12A、12Bの上面よりも6cm程度上方で、支持シート2よりも4cm程度下方の位置とすることができる(勿論、本発明はこのような液位Lの位置設定に限定されないものである)。図15〜図17の例のいずれの場合においても、噴射用液体の圧送用のポンプは、中央ノズル61と周辺ノズル62とで共用してもよくあるいは各ノズル61、62毎に個々独立して設けることもできる。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。また、本発明は、中央ノズルと周辺ノズルとの噴射態様と関連付けられた噴射用液体の噴射方法として把握することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の一実施形態を示す側面断面図で、第1モードの状態を示す。
【図3】支持シートの詳細を示す要部断面図。
【図4】支持シートのうち多数の目を有する第1部材を示す部分平面図。
【図5】噴射用液体の経路を示す簡略系統図。
【図6】第2モードを示すもので、図2に対応した図。
【図7】第3モードを示すももので、図2に対応した図。
【図8】噴射ノズル付近を詳細に示す断面図。
【図9】噴射ノズルとこれを保持したドラムとの位置関係を示す平面図。
【図10】本発明における制御系統例を示すブロック図。
【図11】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図12】本発明の第2実施形態を示す要部側面断面図。
【図13】図12のX13−X13線相当断面図。
【図14】本発明の第3実施形態を示すもので、噴射ノズルをその噴射口側から見た平面図。
【図15】本発明の第4実施形態を示す要部系統図。
【図16】図15の要部拡大断面図。
【図17】本発明の第5実施形態を示す要部系統図。
【符号の説明】
M:使用者
F:フレーム
L:液位(自由表面)
CB:コントロールボックス
1:本体ハウジング
2:支持シート
2A:第1部材
2B:第2部材
5:走行台車
7:駆動チェーン
12A:噴射ノズル(第第1実施形態)
12B:噴射ノズル(第1実施形態)
13:ポンプ(噴射用液体圧送用)
16:流量制御弁(噴射量調整用)
22:補助タンク
24:ポンプ(噴射用液体の移動用−給排手段)
18A、18B:中央ノズル(第1実施形態)
19A、19B:周辺ノズル(第1実施形態)
60:噴射ノズル(第2実施形態)
61:中央ノズル(第2実施形態)
62:周辺ノズル(第2実施形態)
62a:噴出口(第2実施形態)
64、67:ポンプ
65、68:流量調整弁
70:噴射ノズル(第3実施形態)
71:中央ノズル(第3実施形態)
72:周辺ノズル(第3実施形態)
72a:噴射口(第3実施形態)
81:ジェットポンプ
U:コントローラ(制御手段)
S1:モード選択スイッチ(選択手段)
S4:液位指令スイッチ(連続可変用−指令手段)
S5:液位センサ(液位検出手段)
Claims (16)
- 上方が開口された本体ハウジングと、該本体ハウジングの上方開口を施蓋する支持シートと、該本体ハウジング内に配設されて該本体ハウジング内の噴射用液体を該支持シートの下面に向けて噴射するための噴射ノズルとを備え、しかも該本体ハウジング内の噴射用液体の液位が、該支持シートとの間に空気層が介在されるように自由表面を有するような高さ位置に設定された液体式マッサージ装置において、
前記噴射ノズルが、中央ノズルと、該中央ノズルの周囲から噴射用液体を噴射する周辺ノズルとを有し、
前記周辺ノズルから噴射される噴射用液体の流速が、前記中央ノズルから噴射される噴射用液体の流速よりも小さくなるように設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1において、
前記周辺ノズルが、前記中央ノズルの周方向略等間隔に配設された複数のノズルから構成されている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1において、
前記周辺ノズルにおける噴射用液体の噴射口が、前記中央ノズルの周方向全長に渡って伸びる環状に設定されている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記中央ノズルと周辺ノズルの噴射実行、噴射停止に関して、第1噴射態様と第2噴射態様とのうちいずれか1つの噴射態様をマニュアル式に選択するための噴射態様選択手段と、
前記噴射態様選択手段で選択された噴射態様となるように前記中央ノズルと周辺ノズルからの噴射用液体の噴射状態を切換える噴射態様切換手段と、
を有し、
前記第1噴射態様にあっては、前記中央ノズルと周辺ノズルとの両方のノズルからそれぞれ噴射用液体を噴射するように設定され、
前記第2噴射態様では、前記中央ノズルと周辺ノズルのうち該中央ノズルからのみ噴射用液体を噴射するように設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記噴射ノズルに噴射用液体を供給するポンプを備え、
前記ポンプが、前記中央ノズル用と周辺ノズル用とで兼用されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記中央ノズルに噴射用液体を供給する第1ポンプと、
前記第1ポンプとは別個に設けられ、前記本体ハウジング内の噴射用液体を汲み上げて前記周辺ノズルに噴射用液体を供給する第2ポンプと、
を備えていることを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記中央ノズルと周辺ノズルとからの噴射量の割合を変更する噴射量割合変更手段をさらに備えている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記中央ノズルと周辺ノズルとからの噴射速度の割合を変更する噴射速度割合変更手段をさらに備えている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液面位置が、前記噴射ノズルの下方に位置するように設定されて、該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が該本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体を通過することなく前記支持シートに到達される、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液面位置が、前記噴射ノズルの上方に位置するように設定されて、該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が該本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体を一旦通過した後に前記支持シートに到達される、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項10において、
前記本体ハウジング内における噴射用液体の液位が、前記支持シート上に使用者が横たわることにより該支持シートの中央部分が部分的に下方へ撓んだ状態において、該支持シートの全面に渡って該支持シートよりも低い位置に設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項10において、
前記本体ハウジング内における噴射用液体の液位が、前記支持シート上に使用者が横たわることにより該支持シートの中央部分が部分的に下方へ撓んだ状態において、該支持シートの下方へ撓んだ部分に対して噴射用液体が接触すると共に、該下方へ撓んだ部分の周囲は該支持シートに接触しないで自由表面を有するような高さ位置に設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記本体ハウジング内に貯溜されている噴射用液体の液位を、前記噴射ノズルよりも高い位置と低い位置との間で変更する液位調整手段をさらに備え、
前記液位調整手段による噴射用液体の液位変更に応じて、噴射用液体の液位が前記噴射ノズルよりも高い位置にあって該噴射ノズルから噴射される噴射用液体が一旦本体ハウジング内の噴射用液体を通過した後に前記支持シートに到達される状態と、噴射用液体の液位が該噴射ノズルよりも低い位置にあって該噴射ノズルから噴射された噴射用液体が本体ハウジング内の噴射用液体を通過することなく該支持シートに到達される状態とを選択的にとり得るようにされている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項13において、
前記液位調整手段が、
前記噴射用液体を貯溜するための補助タンクと、
前記本体ハウジングと補助タンクとの間での噴射用液体の給排を行うための給排手段と、
前記選択手段からの指令を受け、前記本体ハウジング内の噴射用液体の液位が該選択手段で選択されたモードに対応した高さ位置となるように前記給排手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項14のいずれか1項において、
前記周辺ノズルに対する噴射用液体の供給経路に、該供給経路の周囲に存在する噴射用液体を吸い込ませて高圧小流量の流れを低圧大流量の流れに変換させるジェットポンプが構成されている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。 - 請求項1ないし請求項15のいずれか1項において、
前記支持シートは、使用者の重量を支持できる強度を有すると共に噴射用液体を通過させるための多数の目を有する網目状の第1部材と、該第1部材の上方に位置されて液密を確保するための弾性部材からなる第2部材とから構成されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
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