JP5986630B2 - エチレン系ポリマーおよびそれを作製する方法 - Google Patents
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Description
本出願は、2011年7月5日に出願された米国仮特許出願第61/504,379号の利益を主張するものである。
i) 少なくとも1種の「第II族金属アルキル含有化合物」、
ii) 少なくとも1種の「第III族金属アルキル含有化合物」、または
iii) i)とii)との組合せ
からなる群から選択される「金属アルキル含有化合物」の存在下で、エチレンを重合するステップを含む、方法を提供する。
y>0.28567x−0.00032
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィンのmol%であり、これは13C NMRによって決定される)
を有する、組成物も提供する。
A) 1000C(総炭素)当りビニル0.3以上のビニル含有量、および
B) 重合されたモノマーの総モル数に基づいて1.00モルパーセント以下の、重合されたアルファ−オレフィンレベル
を有する、組成物も提供する。
i) 少なくとも1種の「第II族金属アルキル含有化合物」、
ii) 少なくとも1種の「第III族金属アルキル含有化合物」、または
iii) i)とii)との組合せ
からなる群から選択される「金属アルキル含有化合物」の存在下で、エチレンを重合するステップを含む、方法を提供する。
y>0.28567x−0.00032
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィン(例えばプロピレン)のmol%であり、これは13C NMRによって決定される)
を有する、組成物も提供する。
y>0.28567x−0.04
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィン(例えばプロピレン)のmol%であり、これは13C NMRによって決定される)
を有する。
y>0.28567x−0.13
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィン(例えばプロピレン)のmol%であり、これは13C NMRによって決定される)
を有する。
y>0.28567x−0.27
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィン(例えばプロピレン)のmol%であり、これは13C NMRによって決定される)
を有する。
A) 1000C(総炭素)当りビニル0.3以上のビニル含有量、および
B) 重合されたモノマーの総モル数に基づいて1.00モルパーセント以下、または0.90モルパーセント以下、または0.80モルパーセント以下、または0.70モルパーセント以下、または0.60モルパーセント以下の、重合されたアルファ−オレフィンレベル
を有する、組成物も提供する。
y>−0.00899x+0.919
(式中、y=g/ccにおける密度であり、x=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定される)
を有する。
y>−0.00899x+0.9205
(式中、y=g/ccにおける密度であり、x=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定される)
を有する。
y>−0.00899x+0.9227
(式中、y=g/ccにおける密度であり、x=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定される)
を有する。
「金属アルキル含有化合物」は、次:
i) 少なくとも1種の「第II族金属アルキル含有化合物」、
ii) 少なくとも1種の「第III族金属アルキル含有化合物」または
iii) i)とii)との組合せ
からなる群から選択される。
本発明のエチレン系ポリマーを生成するために、高圧フリーラジカル開始重合法が典型的に使用される。高圧フリーラジカル開始重合法の2つの異なるタイプが知られている。第1のタイプでは、1つまたは複数の反応帯を有する撹拌式オートクレーブ容器が使用される。オートクレーブ反応器は、通常、開始剤もしくはモノマー供給材料またはその両方のための幾つかの注入点を有する。第2のタイプでは、1つまたは複数の反応帯を有する、ジャケット付きの管が反応器として使用される。限定するものではないが、適切な反応器の長さは、100から3000メートル(m)まで、または1000から2000メートルまでであってもよい。いずれのタイプの反応器でも、反応帯の開始点は、典型的には、反応の開始剤、エチレン、連鎖移動剤、コモノマー(1種または複数)のいずれか、ならびにこれらの任意の組合せの側面注入によって定められる。高圧法は、1つもしくは複数の反応帯を有するオートクレーブ反応器もしくは管型反応器において、またはそれぞれが1つもしくは複数の反応帯を含むオートクレーブ反応器と管型反応器との組合せにおいて、実施することができる。
本発明の組成物は、1種または複数の添加剤を含んでもよい。添加剤には、それだけには限らないが、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、加工助剤、煙抑制剤、粘度調整剤およびブロッキング防止剤が含まれる。該ポリマー組成物は、例えば、1種または複数の添加剤を、本発明の組成物の重量に基づいて10パーセント未満(合わせた重量による)含んでもよい。
本発明のポリマーを、従来の様々な熱可塑性物質二次加工工程に採用して、それだけには限らないが、単層および多層フィルム;吹込成形品、射出成形品、または回転成形品などの成形品;コーティング;繊維;ならびに織布または不織布を含めた、有用な物品を製造することが可能である。
用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、同じ種類であるか異なる種類であるかを問わず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。よって、ポリマーという総称はホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に混入している可能性があるという了解の下で、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために採用される)と、下記に定義されるインターポリマーという用語とを包含する。
密度
密度測定用の試料は、ASTM D 4703−10に従って調製した。試料を、374°F(190℃)で5分間、10,000psi(68MPa)でプレスした。温度を上述の5分間374°F(190℃)に維持し、次いで圧力を3分間30,000psi(207MPa)に上げた。続いてこれを、70°F(21℃)および30,000psi(207MPa)で1分間保持した。測定は、試料をプレスしてから1時間以内に、ASTM D792−08、方法Bを使用して行う。
メルトインデックス、MIまたはI2は、ASTM D 1238−10、条件190℃/2.16kgに従って測定し、10分当りに溶出するグラムで報告する。
GPCシステムは、Polymer Char(スペイン、バレンシア)製のIR4赤外線検出器を備えたWaters(マサチューセッツ、ミルフォード)150C型高温クロマトグラフから構成される。データ収集は、Viscotek TriSECソフトウェア、バージョン3、および4−チャンネルViscotek Data Manager DM400を使用して行う。該システムは、Polymer Laboratories(英国、シュロップシャー)製のオンライン溶媒脱気デバイスも備える。
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式1)
式中、Mはポリエチレンまたはポリスチレン(示す通り)の分子量であり、Bは1.0に等しい。「A」は約0.38から約0.44までの範囲とすることが可能であり、広範なポリエチレン標準物質を使用して較正時に決定されることが当業者には公知である。分子量分布(MWDまたはMw/Mn)などの分子量の値、および関連する統計値を得るためのこのポリエチレン較正方法の使用は、本明細書では、WilliamsおよびWardの変法として定義される。数平均分子量、および重量平均分子量は次式から算出される。
試料の調製(末端基/不飽和用1H)
NORELL1001−7、10mmのNMR管中で、「0.001M Cr(AcAc)3を含む、重量で50/50のテトラクロロエタン−d2/ペルクロロエチレン3.25g」におよそ「130mgの試料」を添加することによって、試料を調製した。酸化を防止するために、管に挿入したピペットを通して、およそ5分間窒素(N2)を溶媒にバブリングすることによって、試料をパージした。次いで各管に蓋をし、TEFLON(登録商標)テープで密封し、次いで試料が溶解しやすくなるように一晩室温で浸漬した。試料は、調製前および後に保存する間、N2パージボックス内で保管し、酸素(O2)への暴露を最小限に抑えた。試料を115℃に加熱し、ボルテックスして、均一性を確保した。
1H NMRを、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker AVANCE400MHz分光計で、試料温度120℃で行った。2通りの実験を行って、スペクトルを得た。すなわち、総ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトルおよび二重の事前飽和実験であり、事前飽和実験により、強いポリマー骨格ピークを抑制し、末端基を定量化するための感度の高いスペクトルが得ることができる。対照は、ZGパルス、4スキャン、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D1 14sで行った。二重の事前飽和実験は、修正パルス系列、TD32768、100スキャン、DS4、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D1 1s、D13 13sで行った。
2通りの実験を行って、スペクトルを得た。すなわち、総ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトルおよび二重の事前飽和実験であり、事前飽和実験により、強いポリマー骨格ピークを抑制し、不飽和を定量化するための感度の高いスペクトルが得ることができる。例えば、図1および2(実施例5)を参照されたい。
試料の調製
NORELL1001−7、10mmのNMR管中で、およそ2.7gの「0.025M Cr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」を、「0.25gの試料」に添加することによって、試料を調製した。加熱ブロックおよびヒートガンを使用して、管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均一化した。各試料を目視により検査して、均一性を確保した。
Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker400MHz分光計を使用して、データを収集した。データは、120℃の試料温度で、データファイル当り320のトランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、および逆ゲート付きデカップリングを使用して取得した。すべての測定は、非回転試料についてロックモードで行った。試料は、データ収集に先立って、7分間熱的に平衡化させた。13C NMR化学シフトは、30.0ppmのEEE三連子を内部標準とした。例えば、図3(実施例5)を参照されたい。
LDPEは、1,3ジエチル、C4、C5、C6およびそれ以上を含めた多くのタイプの分岐を含有し、ブテンまたはプロピレンが使用されれば、単離されたC2分岐(ブテンから)またはC1(メチル、プロピレンから)分岐が観察される。すべての分岐レベルは、約40ppmから5ppmまでのスペクトルを積分し、この積分値を1000に設定し、次いで、以下の表Aに示すように各分岐タイプに関連するピークを積分することによって決定される。このピーク積分値が、次に1000C当りの各分岐タイプの数を表す。
総炭素1000個当りのメチル分岐の数は、約40ppmから5ppmまでのスペクトルを積分し、この積分値を1000に設定することによって決定される。次いで、メチルに起因する約20ppmのピークを積分して、この値を直接得る。次いで、メチル分岐/1000Cを、次のようにプロピレンのwt%およびプロピレンのmol%に変換する。
重合およびポリマー特性
高圧「300ml」連続式オートクレーブ反応器に、エチレンを用いて、12lb/時のエチレン流量で28,000psi(193MPa)まで圧力をかけた。プロピレンをエチレン流に添加して、得られるポリマーの分子量を制御した。この混合物を260℃に加熱した。過酸化物開始剤パッケージ(Akzo−Nobelによって供給される「TRIGONOX DおよびTRIGONOX B」のモル比4:1の混合物)を、フリーラジカル重合を開始するために反応器に供給した。次いで、修飾メチルアルモキサン(methylalumoxane)(MMAO−3AのISOPAR E(ExxonMobil製)溶液、ISOPAR Eに基づいて1500wt ppmのAl)を様々なレベルで反応器に添加し、得られたポリマーを収集し、分析した。必要であれば、プロピレンレベルを調整して、得られるポリマーのメルトインデックス(I2またはMI)を80dg/分未満に保持した。重合条件および転化率を表1に示す。
反応器へのエチレン流量は、エチレン12lb/時であった。
比較重合およびポリマーの比較特性
高圧「300ml」連続式オートクレーブ反応器に、エチレンを用いて、12lb/時のエチレン流量で28,000psi(193MPa)までの圧力をかけた。プロピレンをエチレン流に添加して、得られるポリマーの分子量を制御した。この混合物を260℃に加熱した。過酸化物開始剤パッケージ(Akzo−Nobelによって供給される「TRIGONOX DおよびTRIGONOX B」のモル比4:1の混合物)を、フリーラジカル重合を開始するために反応器に供給した。プロピレンレベルを調整して、ポリマーのメルトインデックスを修正した。重合条件を表3に示し、ポリマー特性を表4Aおよび4Bに示す。
1000C当りのビニル(MMAO非存在下)=0.0000142*[プロピレン]molppm+0.04295 (式1B)
1000C当りのビニル(MMAO非存在下)=0.0000142*3600+0.04295=0.0941 (式2B)
1000C当りのビニル(MMAOから生成)=0.91−0.0941=0.816 (式3B)
4a)生成されたPE1g当りのAlを算出する
生成された「1000molのC」毎に、生成された「14,000gのPE」が存在する(各炭素は鎖中にCH2として存在することを前提とする)。
Al(mol/1000molC)=9.51×10−6*14000=0.133 (式6B)
アルキルアルミニウム種は、極性化合物と反応することによって非活性化されることになることは当技術分野でよく知られている。非活性化は、例えば、入ってくる供給流中の極性の不純物との反応、反応器に添加される極性化合物との反応、および過酸化物の分解生成物との反応が原因で起こる可能性がある。反応器中の有効アルミニウム濃度は、反応器に添加されたアルミニウムの実際量より、例えば極性の種との反応によって非活性化した量のアルミニウムの分だけ少ない量である。活性のままであるアルミニウムアルキル種だけが、連鎖移動剤として反応することが予測される。
伝統的に、LDPEなどのエチレン系ポリマーの末端ビニル含有量を増加させるために、プロピレンまたは1−ブテンなどの不飽和連鎖移動剤が重合に添加される。かかる従来の重合では、不飽和連鎖移動剤もポリエチレンの骨格に共重合され、短鎖の分岐を有するコポリマーを生成するので、全体のポリマー密度が減少することになる。また、かかる従来の重合により、ポリマーに組み込まれたアルファ−オレフィンのモルパーセントが増加するにつれて、最終的なポリマー中のビニル含有量が増加する結果となる(直接的関係)。
本発明の実施例1〜5についての13C NMRからの分岐レベルを表8に示し、比較例A〜Dについての分岐レベルを表9に示す。
Claims (14)
- 低密度ポリエチレン(LDPE)を形成する方法であって、少なくとも1種のフリーラジカル剤の存在下で、かつアルミノキサンおよびアルキルアルミノキサンからなる群から選択される「金属アルキル含有化合物」の存在下で、エチレンを重合するステップを含む、方法。
- 「金属アルキル含有化合物」が、重合に添加されたエチレンの総モル数に基づいて、金属が100モルppm以下である有効量で存在する、請求項1に記載の方法。
- 「金属アルキル含有化合物」が、重合に添加されたエチレンの総モル数に基づいて、金属がゼロより多く100モルppm以下である有効量で存在する、請求項1または請求項2に記載の方法。
- 「金属アルキル含有化合物」が、メチルアルミノキサン(MMAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO−3A)もしくはイソブチルアルミノキサンまたはこれらの組合せを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- フリーラジカル剤が過酸化物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 重合が少なくとも1つの反応器で行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- 重合温度が140℃から350℃までである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 次の特性:
y>0.28567x−0.00032
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィンのmol%であり、これは13C NMRによって決定される)を有する、低密度ポリエチレン(LDPE)。 - 次の特性:
A) 1000C(総炭素)当りビニル0.3以上のビニル含有量、および
B) 重合されたモノマーの総モル数に基づいて1.00モルパーセント以下の、重合されたアルファ−オレフィンレベル
を有する、低密度ポリエチレン(LDPE)。 - 請求項8または請求項9に記載の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む組成物。
- 請求項10に記載の組成物から形成される少なくとも1種の構成成分を含む、物品。
- フリーラジカル重合から調製される少なくとも1種の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む組成物であって、低密度ポリエチレン(LDPE)が、次の特性:
y>0.28567x−0.00032
(式中、y=ビニル/1000Cであり、これは1H NMRによって決定され、x=重合されたα−オレフィンのmol%であり、これは13C NMRによって決定される)を有する、組成物。 - フリーラジカル重合から調製される少なくとも1種の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む組成物であって、低密度ポリエチレン(LDPE)が、次の特性:
A) 1000C(総炭素)当りビニル0.3以上のビニル含有量、および
B) 重合されたモノマーの総モル数に基づいて1.00モルパーセント以下の、重合されたアルファ−オレフィンレベル
を有する、組成物。 - 請求項12または請求項13に記載の組成物から形成される少なくとも1種の構成成分を含む、物品。
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