ところで、桟木(スペーサ部材)により外壁面材と壁内断熱材との間に通気層を形成する上述の構成では、まず桟木が壁内断熱材に接着剤を用いて接着固定され、その後壁内断熱材がその桟木を外壁面材側に向けた状態で当該外壁面材の裏面側に設置されることが考えられる。
ここで、桟木を壁内断熱材に接着剤により接着固定する場合、接着剤が乾いて接着効果が発揮されるまでに所定の時間を要することが想定される。そのため、施工工数の増大が懸念される。また、接着効果が発揮されて桟木が壁内断熱材に固定されてからでないと、壁内断熱材を外壁面材の裏面側に設置する作業を行うことができないため、施工に遅延をもたらすおそれもある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、壁面材と断熱材との間に通気層を形成する上で、施工工数の削減を図ることができる建物の壁通気構造を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の壁通気構造は、壁面材と、その壁面材の裏面側に設けられる板状の断熱材とを備え、前記壁面材と前記断熱材との間には通気層が形成されている建物の壁通気構造において、前記壁面材と前記断熱材との間に一部を配設することにより前記通気層を形成するスペーサ部材を備え、前記スペーサ部材は、先の尖った尖端部を先端として前記通気層側から前記断熱材に差し込まれる差込部を備え、その差込部が前記断熱材に差し込まれることで当該断熱材に取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、スペーサ部材に設けられた差込部がその尖端部を先端として通気層側から断熱材に差し込まれており、これによりスペーサ部材が断熱材に取り付けられている。この場合、差込部を断熱材に差し込むという比較的簡単な作業でスペーサ部材を断熱材に取り付けることができるため、スペーサ部材の断熱材への取り付けを短時間で行うことができる。また、スペーサ部材を断熱材に接着剤により接着固定する場合とは異なり、接着剤が乾くのを待つという時間が不要となるため、スペーサ部材を断熱材に取り付けた後すぐに断熱材を壁面材の裏面側に設置することができる。よって、この場合、壁面材と断熱材との間に通気層を形成する上で、施工工数の削減を図ることができる。
第2の発明の建物の壁通気構造は、第1の発明において、前記差込部は、前記断熱材に差し込まれた状態において当該断熱材の厚み方向に延びる板状をなしているとともに、2つの端面部が頂部をなす山形状の切刃部を有しており、その頂部が前記尖端部となっていることを特徴とする。
本発明によれば、板状をなす差込部がその切刃部の頂部を先端として断熱材に差し込まれている。この場合、差込部が断熱材に差し込まれた状態において差込部の板面が断熱材と密着されることとなり、差込部が針状をなしている場合と比べて、差込部における断熱材との密着面を広く確保することができる。これにより、差込部ひいてはスペーサ部材の断熱材からの抜け落ちを抑制することができる。
また、差込部と断熱材とが面当たりしていることで、スペーサ部材に断熱材の板面方向の荷重が作用してもスペーサ部材が回転してしまうのを抑制することができる。これにより、スペーサ部材を断熱材に安定した状態で取り付けることができる。
第3の発明の建物の壁通気構造は、第2の発明において、前記差込部は、その板厚が前記断熱材の厚み方向において前記尖端部に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする。
本発明によれば、差込部の板厚が切刃部の尖端部に向かって小さくなっているため、尖端部を先端として差込部を断熱材に差し込む際その差し込みがし易い。このため、スペーサ部材を断熱材に取り付ける作業を容易とすることができる。
第4の発明の建物の壁通気構造は、第2又は第3の発明において、前記スペーサ部材は、前記差込部を複数備えており、それら各差込部は互いの板面を異なる方向に向けて配置されていることを特徴とする。
板状の差込部が断熱材に差し込まれる上述の構成では、スペーサ部材に当該差込部の板厚方向への荷重が作用した場合に同方向への位置ずれを抑制する効果が得られる。そして本発明では、スペーサ部材に互いの板面が異なる方向を向く複数の差込部が設けられているため、スペーサ部材に作用する複数方向の荷重に対してかかる位置ずれ抑制効果を得ることができる。このため、スペーサ部材を断熱材に安定した状態で取り付けることができる。
第5の発明の建物の壁通気構造は、第4の発明において、前記各差込部の切刃部はそれぞれ前記端面部として、前記断熱材の厚み方向に対して斜め方向に延びる第1端面部と、前記厚み方向に延びる第2端面部とを有しており、前記各差込部のうちいずれかが、前記第2端面部を下側に向けた状態で前記断熱材に差し込まれていることを特徴とする。
スペーサ部材が、互いの板面が異なる方向を向く複数の差込部を備える構成では、差込部が断熱材に差し込まれた状態において、いずれかの差込部が断熱材に対して縦向きの状態で差し込まれることが考えられる。この場合、その縦向きの差込部の切刃部において下側を向く端面部が尖端部から通気層(壁面材)側に向かって下方傾斜していると、その傾斜面に沿って切刃部ひいては差込部が断熱材から抜け落ち易くなることが考えられる。
そこで本発明では、この点に鑑みて、切刃部における2つの端面部のうち一方の端面部(第2端面部)を差込部が断熱材に差し込まれた状態において、断熱材の厚み方向に延びるように形成している。この場合、いずれかの差込部が断熱材に縦向きに差し込まれたとしても、その差込部の切刃部が第2端面部を下側に向けて差し込まれていれば、当該差込部について断熱材からの抜け落ちを抑制することができる。そのため、スペーサ部材をより一層安定した状態で断熱材に取り付けることができる。
第6の発明の建物の壁通気構造は、第5の発明において、前記複数の差込部は、それぞれ前記断熱材に差し込まれた状態で、当該断熱材の厚み方向に延びる中心軸を中心とした同一円状に等間隔で並べられ、かつ、各々の切刃部が当該同一円の円周方向に沿って同じ向きとなるように配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、スペーサ部材において複数の差込部が断熱材の厚み方向に延びる軸を中心とした同一円状に等間隔で並び、かつ、各々の切刃部が当該同一円の円周方向に沿って同じ向きとなるように並んでいるため、スペーサ部材が断熱材に対して前記円周方向におけるいずれの向きで取り付けられたとしても、スペーサ部材を同様の取付状態で取り付けることができる。つまり、この場合、スペーサ部材を前記円周方向においていずれの向きで取り付けたとしても、第5の発明の効果を得ることができるため、スペーサ部材を断熱材に取り付ける際、その取付向き(具体的には差込部の向き)をいちいち気にしなくてもよくその取付作業を容易とすることができる。
第7の発明の建物の壁通気構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記スペーサ部材は、前記差込部が前記断熱材に差し込まれた状態において前記断熱材の前記通気層側の面に当接される当接面部を有しており、その当接面部が前記断熱材の前記通気層側の面に当接されることで前記差込部が前記断熱材にそれ以上深く差し込まれることが規制されていることを特徴とする。
本発明によれば、スペーサ部材において差込部を断熱材に差し込む際、当接面部が断熱材の通気層側の面に当接されることで、差込部がそれ以上深く差し込まれることが規制される。つまり、この場合、当接面部が断熱材の通気層側の面に当接するまで差込部を断熱材に差し込むことで、スペーサ部材において断熱材から通気層側に突出する部分の突出量を規定することができる。この突出部分は、壁面材と断熱材との間に配設されて通気層を形成する部分となるため、結果として通気層の厚みを規定することができる。これにより、差込部を断熱材に差し込む際、差し込み深さの調整を行うといった面倒な作業を行わなくても、通気層の厚みを所望の厚みに設定することができる。
また、施工後において、スペーサ部材が壁面材側から荷重を受けた場合でも、差込部が断熱材にさらに深く差し込まれることが規制されるため、通気層の厚みを所定の厚みに維持し易い。このため、通気層の通気性能を長期に亘って好適に確保することができる。
第8の発明の建物の壁通気構造は、第7の発明において、前記スペーサ部材は、筒状をなすとともにその軸線を前記断熱材の厚み方向に向けて配設された筒状部を備え、前記筒状部は、その一部が前記断熱材に差し込まれて前記差込部となっており、前記差込部は、前記筒状部の周方向に沿って所定の間隔で複数形成されており、前記筒状部において隣り合う前記差込部の間の端面が前記断熱材の前記通気層側の面に当接されて前記当接面部となっていることを特徴とする。
本発明によれば、スペーサ部材における筒状部の一部に複数の差込部が周方向に所定間隔で形成されており、その筒状部において隣り合う差込部の間の端面が当接面部となっている。この場合、断熱材の通気層側の面に当接される当接面部が筒状部の端面を利用して構成されているため、第7の発明の効果を簡素な構成で得ることができる。
第9の発明の建物の壁通気構造は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記スペーサ部材において前記通気層に配設されたスペーサ部には、その外周面に凹凸部が設けられていることを特徴とする。
スペーサ部材において壁面材と断熱材との間(すなわち通気層)に配設されスペーサとしての機能を果たすスペーサ部は、差込部を断熱材に差し込む際には把持される部位として機能すると考えられる。そこで、本発明ではこの点に鑑みて、この部位(すなわちスペーサ部)の外周面に凹凸部を形成している。これにより、スペーサ部を把持して差込部を断熱材に差し込む際、手が滑る等の不都合を生じにくくすることができ、差込部の断熱材への差込作業を行い易くすることができる。
第10の発明の建物の壁通気構造は、第1乃至第9のいずれかの発明において、前記スペーサ部材は、前記壁面材の裏面に接着固定された接着面部を有していることを特徴とする。
本発明によれば、スペーサ部材の接着面部が壁面材の裏面に接着剤により接着固定されているため、スペーサ部材が断熱材と壁面材との双方に固定されている。この場合、断熱材と壁面材とがスペーサ部材を介して互いに固定されるため、断熱材と壁面材との間隔すなわち通気層の厚みを所定の厚みに維持し易い。このため、通気層の通気性能を好適に確保することができる。
第11の発明のスペーサ部材は、壁面材と、その裏面側に設けられる断熱材との間に通気層を形成するためのものであって、前記通気層に配設されるスペーサ部と、前記スペーサ部から板状に延びるとともに2つの端面部が頂部をなす山形状の切刃部を有し、該頂部を先端として前記通気層側から前記断熱材に差し込まれることで当該断熱材の厚み方向に延びる向きで設けられる差込部と、を備え、前記差込部が前記断熱材に差し込まれることで当該断熱材に取り付けられるものであり、前記切刃部は、前記差込部が前記断熱材に差し込まれた状態で、前記断熱材の厚み方向に対して斜め方向に延びる第1端面部と、前記厚み方向に延びる第2端面部とをそれぞれ前記端面部として有しており、前記差込部は複数設けられており、それら各差込部は、それぞれ前記断熱材に差し込まれた状態で、当該断熱材の厚み方向に延びる中心軸を中心とした同一円状に等間隔で並ぶように、かつ、各々の切刃部が当該同一円の円周方向に沿って同じ向きとなるように配置されていることを特徴とする。
本発明におけるスペーサ部材を用いれば、上記第6の発明と同様の効果を得ることができる。
第12の発明のスペーサ部材は、第11の発明において、筒状をなすとともにその軸線を前記断熱材の厚み方向に向けて配設される筒状部を備え、前記筒状部は、その一部が前記断熱材に差し込まれる前記複数の差込部となっており、それら各差込部は、前記筒状部の周方向に沿って等間隔で配置されており、前記筒状部において隣り合う前記差込部の間の端面が、前記差込部が前記断熱材に差し込まれた状態において当該断熱材の前記通気層側の面に当接される当接面部となっており、その当接面部が前記断熱材の前記通気層側の面に当接されることで、前記差込部が前記断熱材にそれ以上深く差し込まれることが規制されることを特徴とする。
本発明におけるスペーサ部材を用いれば、上記第8の発明と同様の効果を得ることができる。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物の外壁構造を示す横断面図である。
図1に示すように、建物10には、屋内外を仕切る外壁部11が設けられている。外壁部11において屋外側には外壁面を形成する外壁面材12が設けられ、その屋内側には内壁面(屋内面)を形成する内壁面材13が設けられている。外壁面材12は、窯業系サイディングにより構成されており、その内部に上下に延びる複数の中空部12aを有している。図示は省略するが、外壁面材12は固定金具を介して梁等に固定されている。なおここで、外壁面材12が「壁面材」に相当する。
外壁面材12は、横並びに複数設けられている。隣接する外壁面材12の間の目地27(縦目地)にはシール材28が充填されている。このシール材28によって、雨水等の水が目地27を通じて外壁部11の内部へ浸入することが防止されている。
内壁面材13は、石膏ボードにより構成されている。内壁面材13は、図示しない下地材を介して柱や梁等に固定されている。外壁面材12と内壁面材13との間には壁内空間15が形成されている。壁内空間15には壁内断熱材14が設けられている。壁内断熱材14は、発泡系断熱材により形成されており、具体的には硬質ウレタンフォームにより形成されている。壁内断熱材14は、所定の厚みを有する矩形板状をなしており、外壁面材12及び内壁面材13のそれぞれに対して所定の隙間を隔てて対向配置されている。なおここで、壁内断熱材14が「断熱材」に相当する。
壁内断熱材14は、壁内空間15において横並びに複数設けられている。これらの壁内断熱材14のうち、壁内空間15に立設された柱21に対して一方側には壁内断熱材14Aが設けられ、他方側には壁内断熱材14Bが設けられている。壁内断熱材14Aは後述するスペーサ部材30を介して外壁面材12の裏面側に固定されており、壁内断熱材14Bは壁内空間15に設置されたラチス柱22の屋外側に接着固定されている。なお、ラチス柱22は耐力壁として機能する幅広の柱であり、柱21に対して連結されている。
柱21の屋外側面には、硬質ウレタンフォームよりなる柱断熱材23が接着剤により接着固定されている。柱断熱材23は、その両端部において各壁内断熱材14A,14Bと連続している。これにより、壁内空間15には壁内断熱材14A,14Bと柱断熱材23とによって連続した断熱層が形成されている。また、この断熱層は、柱21,22や梁等の構造体に対して屋外側に形成されており、それ故本外壁部11では外張り断熱工法が採用されている。
壁内断熱材14Aは横並びに複数設けられており、隣接する壁内断熱材14A同士が互いの端面同士を当接させた状態で配置されている。隣接する壁内断熱材14Aの境界部にはそれら両断熱材14Aの表面(詳しくは屋内側面)に跨がって気密テープ29が貼り付けられている。これにより、両断熱材14Aの間の目地を通じた空気の流通が防止されている。
外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間には通気層16が形成されている。通気層16は、外壁面材12(及び壁内断熱材14)の面方向(上下方向かつ幅方向)に沿って拡がる空間となっており、その厚み(詳しくは外壁部11の壁厚み方向における長さ)L1が上記面方向全域に亘って一定とされている。また、図示は省略するが、通気層16はその下端側において屋外に開放されており、この通気層16を通じて壁内空間15の湿気等を屋外に排出できるようになっている。
壁内断熱材14Aにはスペーサ部材30が取り付けられている。スペーサ部材30は、壁内断熱材14Aと外壁面材12との間に一部を配設することにより、それら両部材12,14Aの間に通気層16を形成するものである。以下、このスペーサ部材30の構成について図2乃至図4に基づいて詳しく説明する。なお、図2は壁内断熱材14にスペーサ部材30が取り付けられた状態を示す斜視図である。図3はスペーサ部材30の構成を示す斜視図である。図4はスペーサ部材30の構成を示しており、(a)が同構成を示す平面図、(b)が正面図、(c)が(a)のA−A線断面図である。
図1及び図2に示すように、スペーサ部材30は、発泡ポリスチレン樹脂により形成されており、壁内断熱材14Aにおける通気層16(換言すると外壁面材12)側の面に複数(具体的には6つ)取り付けられている。それら各スペーサ部材30は、壁内断熱材14Aにおける端縁側に所定の間隔で取り付けられており、詳しくは壁内断熱材14Aにおける幅方向の両端部においてそれぞれ上下方向に等間隔で複数(3つ)ずつ取り付けられている。
なお、スペーサ部材30は、必ずしも発泡ポリスチレン樹脂により形成されている必要はなく、ABS樹脂等その他の樹脂材料により形成されていてもよい。また、スペーサ部材30は必ずしも樹脂材料により形成されている必要はなく、ステンレス等の金属材料により形成されていてもよい。
図3及び図4に示すように、スペーサ部材30は、円筒状に形成された筒状部31を有している。筒状部31において軸線方向の一端側には、複数(図3及び図4では5つ)の切刃部32が形成されている。これら各切刃部32はそれぞれ壁内断熱材14Aに差し込まれる差込部となっており、筒状部31を構成する周壁部の一部により形成されている。各切刃部32は、筒状部31の周方向に沿って所定の間隔(詳しくは等間隔)で配置されている。この場合、各切刃部32は互いの板面を異なる方向に向けて配置されている。
切刃部32は、筒状部31の軸線方向における一端側に向けて凸となる山形状をなしている。切刃部32における山形状の頂部は先の尖った尖端部35となっている。この尖端部35は、筒状部31の軸線方向において切刃部32(ひいては筒状部31)の一端部を構成している。
切刃部32には、尖端部35を形成する2つの端面部36,37が形成されている。これら各端面部36,37のうち、第1端面部36は筒状部31の軸線方向に対して傾斜する方向に延びており、第2端面部37は筒状部31の軸線方向に延びている。また、切刃部32は、その厚みが筒状部31の軸線方向において尖端部35に向かうにつれて小さくなっている。
各切刃部32はそれぞれ、筒状部31の周方向において同じ向きとなるように配置されている。つまり、各切刃部32において第1端面部36はそれぞれ筒状部31の周方向における一方側を向いており、第2端面部37はそれぞれ周方向における他方側を向いている。
筒状部31において軸線方向における切刃部32よりも他端側はスペーサ筒部41となっている。スペーサ筒部41は、外壁面材12と壁内断熱材14との間(つまり通気層16)に配設されてスペーサとして機能する部分である。スペーサ筒部41の外周面には、軸線方向に延びる複数のリブ42が周方向に所定の間隔で設けられている。この場合、スペーサ筒部41の外周面はこれらのリブ42によって周方向に凹凸状をなしており、換言するとスペーサ筒部41の外周面には複数の凹凸部が形成されている。
筒状部31(スペーサ筒部41)において隣り合う各切刃部32の間の端面は、壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接される当接面部39となっている。この当接面部39は隣り合う各切刃部32の間ごとにそれぞれ設けられており、それ故筒状部31では切刃部32と当接面部39とが周方向に交互に並んで配置されている。また、各当接面部39はそれぞれ筒状部31の軸線方向と直交する同一平面上に配置されており、当該軸線方向で見た場合に切刃部32における尖端部35とは反対側の端部と同位置に存在している。したがって、当接面部39は、筒状部31の軸線方向において切刃部32及びスペーサ筒部41の境界部と同位置に存在している。
筒状部31(スペーサ筒部41)において軸線方向の他端部すなわち切刃部32側とは反対側の端部には、外壁面材12の裏面に固定される固定板部45が設けられている。固定板部45は、筒状部31と同じ外径を有する円板状をなしており、筒状部31の他端開口を塞ぐように設けられている。
固定板部45の外側面は、外壁面材12の裏面に接着固定される接着面部46となっている。接着面部46は、筒状部31の軸線方向と直交する平坦面となっている。本スペーサ部材30では、この接着面部46から当接面部39までの距離L2が通気層16の厚みL1と同じ寸法に設定されている。
次に、スペーサ部材30が壁内断熱材14Aに取り付けられた取付状態の構成について図5に基づいて説明する。なお、図5はスペーサ部材30及びその周辺の構成を示す縦断面図であり、図1のB−B線断面図に相当する。
図5に示すように、スペーサ部材30は、筒状部31の軸線方向を壁内断熱材14Aの厚み方向に向けて当該断熱材14Aに取り付けられている。スペーサ部材30の各切刃部32はそれぞれ尖端部35を先端として通気層16側から壁内断熱材14Aに差し込まれている。この差し込み状態において、スペーサ部材30の各当接面部39はそれぞれ壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接されている。したがって、各切刃部32はそれぞれその全体が壁内断熱材14に差し込まれた状態となっている。そして、この切刃部32の差し込みによって、スペーサ部材30が壁内断熱材14Aに取り付けられている。
各切刃部32が壁内断熱材14Aに差し込まれた状態では、各切刃部32が互いの板面を異なる方向に向けて配置されている。この場合、各切刃部32のうちいずれかの切刃部32については縦向きの状態で配置され、図5では各切刃部32のうち2つの切刃部32(以下、これらの切刃部32の符号にそれぞれA,Bを付す)が縦向きの状態で配置されている。これらの切刃部32A,32Bはそれぞれ各端面部36,37を上下に向けて配置されており、具体的には切刃部32Aについては、第1端面部36を上側、第2端面部37を下側に向けて配置され、切刃部32Bについては、第2端面部37を上側、第1端面部36を下側に向けて配置されている。
スペーサ部材30において壁内断熱材14Aに差し込まれていない部分、すなわちスペーサ筒部41と固定板部45とはそれぞれ通気層16に配設されている。この場合、スペーサ筒部41の当接面部39は上述したように壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接され、固定板部45(詳しくは接着面部46)は外壁面材12の裏面(通気層16側の面)に当接されている。これにより、外壁面材12と壁内断熱材14Aとが、スペーサ筒部41及び固定板部45により当該断熱材14Aの厚み方向に離間されており、その結果外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間に通気層16が形成されている。つまり、本スペーサ部材30では、スペーサ筒部41及び固定板部45によりスペーサ部が構成されている。
固定板部45の接着面部46は外壁面材12の裏面(通気層16側の面)に接着材を用いて接着固定されている。これにより、スペーサ部材30が外壁面材12に固定され、ひいては壁内断熱材14Aがスペーサ部材30を介して外壁面材12に固定されている。
次に、スペーサ部材30を用いて外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間に通気層16を形成する際の作業手順について説明する。なおここでは、外壁面材12が予め建物側に組み付けられているものとして説明を行う。
まず、壁内断熱材14Aに各スペーサ部材30を取り付ける取付作業を行う。この取付作業は、例えば壁内断熱材14Aを寝かせた状態で行う。この場合、壁内断熱材14Aに対して上方からスペーサ部材30の各切刃部32をそれぞれ尖端部35を先端として差し込む。また、この際各切刃部32を当接面部39が壁内断熱材14Aの上面に当接するまで壁内断熱材14Aに差し込む。これにより、スペーサ部材30が壁内断熱材14Aに取り付けられ、スペーサ筒部41と固定板部45とが壁内断熱材14Aから突出した状態で設けられる。なお、切刃部32の壁内断熱材14Aへの差し込みは、スペーサ筒部41の外周面を把持した状態で行う。
次に、各スペーサ部材30の接着面部46にそれぞれ接着剤を塗布する塗布作業を行う。
続いて、壁内断熱材14Aを外壁面材12の裏面側に設置する設置作業を行う。この設置作業では、壁内断熱材14Aに取り付けられたスペーサ部材30を外壁面材12の側に向けて壁内断熱材14Aを設置する。そして、この設置に際し、スペーサ部材30の接着面部46を上記塗布作業において塗布した接着剤を用いて外壁面材12の裏面に接着固定する。これにより、壁内断熱材14Aがスペーサ部材30を介して外壁面材12に固定され、壁内断熱材14Aと外壁面材12との間に通気層16が形成される。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
スペーサ部材30のスペーサ部(スペーサ筒部41及び固定板部45)を外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間に配設することで、それら両部材12,14Aの間に通気層16を形成するようにした。そして、スペーサ部材30には、先の尖った尖端部35を尖端として壁内断熱材14Aに差し込み可能な切刃部32を設け、その切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込むことによりスペーサ部材30を壁内断熱材14Aに取り付けるようにした。
この場合、切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込むという比較的簡単な作業でスペーサ部材30を壁内断熱材14Aに取り付けることができるため、スペーサ部材30の壁内断熱材14Aへの取り付けを短時間で行うことができる。また、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに接着剤により接着固定する場合とは異なり、接着剤が乾くのを待つという時間が不要となるため、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに取り付けた後すぐに壁内断熱材14Aを外壁面材12の裏面側に設置することができる。よって、この場合、外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間に通気層16を形成する上で、施工工数の削減を図ることができる。
切刃部32(差込部)を、壁内断熱材14Aへの差込状態において同断熱材14Aの厚み方向に延びる板状に形成したため、差込部を針状に形成した場合と比べて、切刃部32(差込部)における壁内断熱材14Aとの密着面を広く確保することができる。これにより、切刃部32ひいてはスペーサ部材30の壁内断熱材14Aからの抜け落ちを抑制することができる。
また、切刃部32と壁内断熱材14Aとが面当たりしていることから、スペーサ部材30に壁内断熱材14Aの板面方向における荷重がかかってもスペーサ部材30が回転してしまうのを抑制することができる。これにより、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに安定した状態で取り付けることができる。
切刃部32についてその厚みを壁内断熱材14Aの厚み方向(換言すると筒状部31の軸線方向)において尖端部35に向かうにつれ小さくしたため、切刃部32を壁内断熱材14Aに尖端部35を先端として差し込む際その差し込みがし易い。これにより、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに取り付ける作業を容易とすることができる。
板状の切刃部32が壁内断熱材14Aに差し込まれている構成では、切刃部32の板厚方向への荷重がスペーサ部材30に作用しても、当該スペーサ部材30の位置ずれを抑制することが可能となる。そこでこの点に鑑みて、スペーサ部材30に板状の切刃部32を複数設け、これら各切刃部32を互いの板面が異なる方向を向くように配置した。この場合、スペーサ部材30に作用する複数方向の荷重に対してスペーサ部材30の位置ずれ抑制効果を得ることができるため、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに安定した状態で取り付けることができる。
スペーサ部材30が、互いの板面が異なる方向を向く複数の切刃部32を有する構成では、切刃部32が壁内断熱材14Aに差し込まれた状態において、いずれかの切刃部32が壁内断熱材14Aに対して縦向きの状態で差し込まれることが考えられる。この場合、その縦向きの切刃部32において下側を向く端面部が尖端部35から通気層16側に向かって下方傾斜していると、その傾斜面に沿って切刃部32が壁内断熱材14Aから抜け落ち易くなることが考えられる。この点、各切刃部32のそれぞれにおいて2つの端面部36,37のうち一方を壁内断熱材14Aの厚み方向に対して斜め方向に延びる第1端面部36、他方を前記厚み方向に延びる第2端面部37とした上記の構成によれば、いずれかの切刃部32が壁内断熱材14Aに縦向きに差し込まれたとしても、その切刃部32(具体的には切刃部32A)が第2端面部37を下側に向けて差し込まれていれば、当該切刃部32Aについては壁内断熱材14Aからの抜け落ちを抑制することができる。そのため、スペーサ部材30をより一層安定した状態で壁内断熱材14Aに取り付けることができる。
複数の切刃部32を、それぞれ壁内断熱材14Aに差し込まれた状態で、当該断熱材14Aの厚み方向に延びる中心軸(筒状部31の軸線に相当)を中心とした同一円状に等間隔で並ぶように、かつ、当該同一円の円周方向に沿って同じ向きとなるように配置した。この場合、スペーサ部材30が壁内断熱材14Aに対して前記円周方向におけるいずれの向きで取り付けられたとしても、スペーサ部材30を同様の取付状態で取り付けることができる。つまり、この場合、スペーサ部材30を前記円周方向においていずれの向きで取り付けたとしても、上記第2端面部37による切刃部32の抜け落ち抑制効果を得ることができるため、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aに取り付ける際、その取付向き(具体的には切刃部32の向き)をいちいち気にしなくてもよくその取付作業を容易とすることができる。
スペーサ部材30に、切刃部32が壁内断熱材14Aに差し込まれた状態において壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接される当接面部39を設け、その当接面部39の当接によって切刃部32がそれ以上壁内断熱材14Aに深く差し込まれるのを規制するようにした。この場合、切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込む際、当接面部39が壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接するまで切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込むことにより、スペーサ部材30において壁内断熱材14Aから通気層16側に突出する部分の突出量を規定することができる。この突出部分は、外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間に配設されて通気層16を形成する部分(スペーサ部)となるため、結果として通気層16の厚みを規定することができる。これにより、切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込む際、差し込み深さの調整を行うといった面倒な作業を行わなくても、通気層16の厚みを所望の厚みに設定することができる。
また、施工後において、スペーサ部材30が外壁面材12側から荷重を受けた場合でも、切刃部32が壁内断熱材14Aにさらに深く差し込まれることが規制されるため、通気層16の厚みを所定の厚みに維持し易い。これにより、通気層16の通気性能を長期に亘って好適に確保することができる。
より具体的には、スペーサ部材30の筒状部31において隣り合う切刃部32の間の端面を当接面部39とした。このように筒状部31の端面を利用して当接面部39を構成することで、当接面部39により得られる上述の効果を簡素な構成で得ることができる。
スペーサ部材30において通気層16に配置されるスペーサ筒部41は切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込む際には把持される部位となることが考えられる。この点、スペーサ筒部41の外周面に複数のリブ42を設けたため、スペーサ筒部41を把持した状態で切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込む際、手が滑る等の不都合を生じにくくすることができる。そのため、切刃部32の壁内断熱材14Aへの差し込み作業を行い易くすることができる。
スペーサ部材30の接着面部46を外壁面材12の裏面に接着固定したため、スペーサ部材30を壁内断熱材14Aと外壁面材12との双方に対して固定することができる。この場合、壁内断熱材14Aと外壁面材12とがスペーサ部材30を介して固定されるため、それら両部材12,14Aの間の間隔すなわち通気層16の厚みを所定寸法に維持し易い。このため、通気層16の通気性能を好適に確保することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、差込部としての切刃部32を板状に形成したが、これを変更して、差込部を針状に形成してもよい。例えば図6(a)及び(b)に示すスペーサ部材50は、円柱状のスペーサ部51と、スペーサ部51から突出する針状のピン部52とを有している。ピン部52は、その先端部が先の尖った尖端部53となっており、その尖端部53を先端として壁内断熱材14Aに差し込まれるものとなっている。この場合にも、ピン部52を壁内断熱材14Aに差し込むだけでスペーサ部材50を壁内断熱材14Aに取り付けることが可能である。なお、図6のスペーサ部材50はピン部52を1つだけ有しているが、ピン部52を複数有する構成としてもよい。
また、図7(a)及び(b)に示すように、スペーサ部材60を長尺状に形成してもよい。同図に示すスペーサ部材60は、棒状(四角棒状)に形成されたスペーサ部61と、そのスペーサ部61の片面に当該スペーサ部61の長手方向に沿って複数設けられた切刃部62とを備える。かかるスペーサ部材60は、各切刃部62がそれぞれ壁内断熱材14Aに差し込まれることにより同断熱材14Aに取り付けられる。例えば、壁内断熱材14Aに対して上下方向又は左右方向に延びる向きで取り付けられる。この場合、上記実施形態のスペーサ部材30と比べて、壁内断熱材14Aに対するスペーサ部材60の取付個数を減らすことができるため、スペーサ部材60の取付作業を行うにあたり作業工数の低減を図ることが期待できる。
(2)上記実施形態では、スペーサ部材30の筒状部31を円筒状に形成したが、筒状部を四角筒状や六角筒状等他の筒形状としてもよい。また、スペーサ部材30に固定板部45を設けないで、スペーサ部材30を筒状部31のみによって構成してもよい。この場合、スペーサ部材30が外壁面材12の裏面に固定されない状態で設けられることとなる。
(3)スペーサ部材は必ずしも筒状部31を有して形成する必要はない。例えば図8(a−1)及び(a−2)に示すスペーサ部材70は、四角柱状のスペーサ部71と、そのスペーサ部71の一面71aから突出する複数(具体的には4つ)の切刃部72とを備える。これらの切刃部72には、各々の板面が互いに異なる方向を向く切刃部72aと切刃部72bとが含まれている。この場合にも、スペーサ部材70に対してこれら各方向のうちいずれかの方向への荷重が作用した場合には、スペーサ部材70の位置ずれを抑制することができる。
また、図8(b−1)及び(b−2)に示すスペーサ部材75も、これと同様に、複数の切刃部77の中に、各々の板面が互いに異なる方向を向く切刃部77aと切刃部77bとが含まれている。したがって、この場合にも、上記同様の効果を得ることができる。
なお、各切刃部72,77の配置態様は必ずしも図8に示したものに限ることなく、各切刃部72,77をそれぞれ互いの板面が同じ向きとなるように配置する等、他の態様で配置してもよい。また、切刃部72,77の個数は任意としてよく、例えば切刃部72,77を1個だけ設けるようにしてもよい。
(4)切刃部32の形態は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。例えば、上記実施形態では、切刃部32の2つの端面部36,37のうち、第2端面部37を筒状部31の軸線方向に沿って延びるように形成したが、図9(a)に示すように、切刃部65において2つの端面部66,67をいずれも筒状部31の軸線方向に対して傾斜する方向に延びるように形成してもよい。この場合、切刃部65が壁内断熱材14Aに差し込まれた状態では、いずれの端面部66,67も壁内断熱材14Aの厚み方向に対して傾斜する方向に延びる向きで配置される。かかる場合でも、各端面部66,67により形成される尖端部68を先端として切刃部65を壁内断熱材14Aに差し込むことができる。
また、上記実施形態では、差込部の全体を切刃部32によって構成したが、これを変更して、図9(b)に示すように差込部85の一部だけを切刃部86としてもよい。この場合でも、切刃部86(詳しくはその尖端部87)を先端として差込部85を壁内断熱材14Aに差し込むことが可能である。
(5)上記実施形態では、切刃部32の厚みを筒状部31の軸線方向において尖端部35に向かうほど小さくなるようにしたが、これを変更して、切刃部32の厚みを軸線方向全域に亘って同じとしてもよい。この場合でも、切刃部32を、尖端部35を先端として壁内断熱材14Aに差し込むことが可能である。
(6)上記実施形態では、スペーサ部材30において当接面部39を筒状部31における各切刃部32の間の端面により構成したが、これを変更してもよい。例えば、図10(a)に示すスペーサ部材90は、筒状部31の内周側に当接面部が設けられている。具体的には、同スペーサ部材90には、筒状部31の内周面から径方向内側に向けて直線状に延び、かつ、周方向に所定間隔で複数(図10(a)では4つ)配置された直線部92と、それら各直線部92同士を互いに連結する環状の環状部93とが設けられている。各直線部92と環状部93とはそれぞれ筒状部31の軸線方向において一端側を向く面が前記軸線方向と直交する同一平面上に位置しており、切刃部32が壁内断熱材14Aに差し込まれた場合に同断熱材14Aの通気層16側の面に当接される当接面部92a,93aとなっている。この場合、これらの当接面部92a,93aが壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接されることにより、切刃部32がそれ以上壁内断熱材14Aに深く差し込まれることが規制されるようになっている。
また、これらの当接面部92a,93aは、筒状部31の当接面部39と同一平面上に位置している。したがって、当接面部92a,93aと当接面部39との双方がそれぞれ壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接されるようになっている。この場合、切刃部32が壁内断熱材14Aに深く差し込まれるのをより確実に規制することが可能となる。
図10(b)に示すスペース部材95は、筒状部96の外周側に当接面部が設けられている。具体的には、同スペーサ部材95では、筒状部96から径方向外側に向けて突出する複数の突出部97が筒状部96の周方向に所定の間隔で設けられている。各突出部97において筒状部96の軸線方向における一端側(換言すると切刃部98の側)を向く面はいずれも筒状部96の軸線方向と直交する同一平面上に位置しており、筒状部96(詳しくはその差込部99)が壁内断熱材14Aに差し込まれた場合に同断熱材14Aの通気層16側の面に当接される当接面部97aとなっている。この場合、この当接面部97aが壁内断熱材14Aの通気層16側の面に当接されることにより、筒状部96がそれ以上壁内断熱材14Aに深く差し込まれることが規制される。
また、本例のスペーサ部材95では、筒状部96において突出部97の当接面部97aよりも一端側(切刃部98の側)が差込部99となっている。そして、この差込部99における一端側に複数の切刃部98が差込部99(筒状部96)の周方向に沿って連続して形成されている。つまり、本例の差込部99は、その一部に複数の切刃部98を有するものとなっている。
また、筒状部96において軸線方向における差込部99よりも他端側(すなわち切刃部98とは反対側)は通気層16に配設されるスペーサ部100となっている。このスペーサ部100の外周面には、複数(具体的には4つ)の指入れ部101が周方向に所定の間隔で設けられている。指入れ部101は、内部に指を差し入れるための凹部となっており、差込部99を壁内断熱材14Aに差し込む際にはこの指入れ部101に指を差し入れた状態でスペーサ部100を把持することができる。この場合、差込部99を壁内断熱材14Aに差し込む際に指を滑らすといった不都合が生じにくく、差込部99の壁内断熱材14Aへの差し込みをし易くすることができる。
なお、スペーサ部材30に当接面部を設けない構成としてもよい。例えば、スペーサ部材30の筒状部31において各切刃部32を周方向に沿って連続形成することで当接面部39を設けないようにすることが考えられる。この場合にも、各切刃部32を壁内断熱材14Aに差し込む際、差込量の調整をしながら差し込めば各切刃部32を壁内断熱材14Aに所定分差し込むことができる。
(7)上記実施形態では、外壁面材12と壁内断熱材14Aとの間にスペーサ部材30を用いて通気層16を形成したが、内壁面材13と壁内断熱材14Aとの間にスペーサ部材30を用いて通気層を形成してもよい。