JP5985482B2 - タイヤトレッド - Google Patents

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Description

本発明は、非対称設計のトレッドパターンを備えたタイヤトレッドに関する。本発明は、特に、乗用車に取り付けられるようになっている冬季駆動用のトレッドに関する。
雪で覆われた路面に対する良好なグリップを保証するために、トレッドにサイプを設けることが慣例である。
また、特にカーブにおいて雪で覆われた路面に対するグリップを保証するためにこれらサイプを横方向に対してトレッド表面上で傾けることが慣例である。
しかしながら、乾いた路面上においては、傾斜したサイプが存在していると、側方プル(引き)の問題が生じる場合があり、したがって、これにより、車両の運転が妨害される。
したがって、本発明の目的は、雪で覆われた路面に対する良好なグリップを有すると同時に乾いた路面上における側方プルの問題を制限する冬季駆動用トレッドを提供することにある。
「タイヤ」という用語は、駆動中、タイヤが内圧を受けるにしろそうでないにしろいずれにしろあらゆる形式の弾性タイヤを意味している。
「タイヤのトレッド」という表現は、側面及び2つの主要面により画定された所与の量のゴム配合物を意味し、これら2つの主要面のうちの一方は、タイヤが転動中、路面に接触するようになっている。
「トレッド表面」(踏み面ともいう)は、タイヤが駆動されているときに路面に接触するタイヤのトレッドの箇所により形成される表面を意味している。
「非対称トレッド」という用語は、タイヤの中央平面に関して対称ではない設計のトレッドパターンを備えたトレッドを意味する。
「基本パターン」という用語は、特定の一群の隆起要素を意味している。トレッドの基本パターンは、同一の要素パターンに由来するが、種々の尺度に基づく場合がある。
「基本パターンのピッチ」という表現は、円周方向Xにおける基本パターンの長さを意味している。
「溝」は、材料フェースが通常の走行条件下においては互いに触れ合うことのない「切欠き」を意味している。一般に、溝の幅は、1mm以上である。
「サイプ」は、材料フェースが通常の走行条件下において互いに触れ合う「切欠き」を意味している。一般に、サイプの幅は、1mm未満であり、トレッド中におけるサイプの深さは、3mm以上である。
「側方プル」という用語は、車両がステアリングホイール(ハンドル)に対する運転手によって作用の範囲を超える直線軌道から外れるにちがいない傾向を意味している。側方プルは、特に、運転手がタイヤに制動トルク又は駆動トルクを伝えているときに存在する。
「円周方向」という用語は、中心がタイヤの回転軸線に一致した円の接線方向を意味している。
「横方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向を意味している。
「半径方向」は、タイヤの回転軸線に垂直な任意の方向を意味している。
本発明は、自動車に取り付けられるようになったタイヤ用の非対称トレッドに関する。トレッドは、タイヤが駆動されているとき、路面と接触関係をなすようになったトレッド表面を有する。トレッドは、円周方向に配置された一連の基本パターンを有し、各基本パターンは、トレッドの幅の少なくとも80%にわたって延びる。各基本パターンは、トレッド表面上に開口しているサイプを備えた複数の隆起要素を有し、各サイプは、1mm未満の幅及び少なくとも3mmの深さを有する。各基本パターンに関して、

Figure 0005985482
に一致したサイプ密度が定められ、iは、パターン中のサイプの本数であり、liは、トレッド表面上におけるi番目のサイプの長さであり、Pは、基本パターンのピッチであり、Wmは、基本パターンの幅である。また、

Figure 0005985482
に一致したサイプ配向レベルが定められ、αiは、i番目のサイプが横方向とトレッド表面上でなす正又は負の角度であり且つ

Figure 0005985482
である。最後に、

Figure 0005985482
に一致した基本パターンに関するかじ取りプル基準が定められる。本発明の内容をなすトレッドは、特に、サイプ密度が60μm/mm2以上であり、サイプ配向レベルが1.5°/mm以上であり、基本パターンに関するかじ取りプル基準が0.2以下である点で注目される。トレッドは、タイヤの車内側サイドウォールに隣接して位置する車内側トレッド半部を有し、車内側トレッド半部に関連したサイプ配向レベルは、2°/mmを超える。
傾斜サイプは、トレッドのトレッド表面上に形成したエッジ部を形成する。乾いた路面により、タイヤのトレッド上に相当大きな長手方向力が生じる。これら長手方向力の影響を受けて、サイプにより形成されている傾斜エッジ部の一部は、車両かじ取りに伝達される場合のある残留横方向力を生じさせる。
本発明の基準に従ってトレッド中におけるサイプの配向及び長さを選択することにより、サイプと関連した側方プル効果がタイヤの各基本パターンのレベルにおいて少なくとも部分的に互いに補償するようにすることが可能である。このようにすると、乾いた路面上における駆動時のタイヤの全体的側方プルは制限され、それと同時に、雪で覆われた路面上におけるこのタイヤのグリップが向上する。
さらに、車内側トレッド半部に関連したサイプに関するサイプ配向レベルを2°/mm超に選択することによって、雪で覆われた路面上におけるコーナリングの際の良好なグリップを保証すると同時に乾いた路面上における側方プルを全体として制限することが可能である。
好ましくは、かじ取りプル基準は、0.1未満である。
乾いた路面上における走行時の車両の全体的側方プルは、更に制限される。
好ましくは、かじ取りプル基準は、0.05未満である。
乾いた路面上における走行時の車両の全体的側方プルは、更に一段と制限される。
本発明の別の特徴及び別の利点は、添付の図面を参照して非限定的な実施例により与えられる以下の説明から明らかになろう。
本発明のタイヤのトレッドの概略部分図である。 第1の判定方法に従ってトレッドの軸方向エッジ部をどのように判定するかを説明する図である。 第2の判定方法に従ってトレッドの軸方向エッジ部をどのように判定するかを説明する図である。 図1のトレッドの基本トレッドパターンを特に示す図である。
以下の説明において、同一又は類似の要素は、同一の参照符号で示される。
図1は、トレッド1のトレッド表面を部分的に示している。
トレッド1は、円周方向Xに配置された一連のn個の基本トレッドパターン3,5を有し、この場合、nは、1以上の自然数である。図1を理解しやすくするために、第1の基本パターン3及び第2の基本パターン5しか図示されていない。
各基本パターン3,5は、定められたピッチPで円周方向Xに延びている。
第1の基本パターン3のピッチは、この場合、第2の基本パターン5のピッチに等しい。変形例として、これら基本パターンのピッチは、互いに異なっている。
各基本パターン3,5は、トレッドの幅Wの少なくとも80%にわたって延びる。図1の実施例では、基本パターン3,5の幅Wmは、この場合、トレッドの幅Wと実質的に同一である。
トレッドの幅Wは、トレッドの第1の軸方向エッジ7と第2の軸方向エッジ9との間の距離に一致している。
トレッドの幅Wを定める仕方が図2及び図3に示されており、各図は、トレッド1の部分輪郭形状及びトレッド1に隣接して位置するサイドウォール8の一部を示している。タイヤの或る特定の設計例では、トレッドからサイドウォールへの移行部は、図2に示されている場合のように極めて明確に切断されており、第1の軸方向エッジ7及び第2の軸方向エッジ(図示せず)を直感的に判定することができる。
しかしながら、トレッドとサイドウォールとの間の移行部が連続しているタイヤ設計例が存在する。一例が図3に示されている。
この図3では、トレッドの第1の軸方向エッジ7及び第2の軸方向エッジは、以下のように判定される。タイヤを通る半径方向断面に関し、サイドウォールに向かう移行部の付近においてトレッド表面上のあらゆる点におけるトレッド表面の接線をプロットする。第1の軸方向エッジ7は、この接線と軸方向とのなす角度β(ベータ)が30°に等しい箇所である。接線と軸方向とのなす角度βが30°に等しい箇所が多く存在する場合、採用される箇所は、半径方向最も外側の箇所である。トレッドの第2の軸方向エッジを定めるために同じ手順を用いる。
図4は、図1の第1の基本パターン3を部分的に示している。
第1の基本パターン3は、この場合、それぞれ第1の隆起要素11a、第2の隆起要素11b、第3の隆起要素11c、第4の隆起要素11d、第5の隆起要素11e、第6の隆起要素11f、第7の隆起要素11g、第8の隆起要素11h、第9の隆起要素11i、第10の隆起要素11j、第11の隆起要素11kと呼ばれる11個の隆起要素を有する。
第1の基本パターン3は、トレッド表面上に開口しているi本のサイプ13iを備えており、この場合、iは、1以上の自然数である。
i本のサイプは、種々の隆起要素11a〜11kを横切って分布して設けられている。 各サイプ13iに関し、トレッド表面上のこのサイプの線の長さに一致したサイプ長さliを定めることが可能である。
各サイプ13iについては角度αi(アルファi)も又定められ、この場合、

Figure 0005985482
である。角度αiは、横方向Y番目のサイプ13iと横方向Yとのなす角度に一致している。
サイプの角度を定める仕方について本明細書において後で説明する。
サイプ角度は、横方向Yをトレッド表面上のサイプの線上に至らせる回転が反時計回りの方向である場合、横方向Yに対して正であると呼ばれる。
これとは逆に、サイプ角度は、横方向Yをトレッド表面上のサイプの線上に至らせる回転が時計回りの方向である場合、横方向Yに対して負であると呼ばれる。
かくして、第1の要素11a及び第2の要素11bは、横方向Yと全体的にゼロである角度をなすサイプを有する。
同様に、第3の要素11c、第4の要素11d、第5の要素11e、第6の要素11f、第8の要素11h及び第10の要素11jは、横方向Yと正の角度をなすサイプを有する。
最後に、第7の要素11g、第9の要素11i及び第11の要素11kは、横方向Yと負の角度をなすサイプを有する。
基本パターン3についてはサイプ密度D、サイプ配向レベルNO及びかじ取りプル基準CTも又定められる。
サイプ密度Dは、式

Figure 0005985482
に一致している。iは、基本パターンにおけるサイプの本数であり、liは、トレッド表面上におけるi番目のサイプの長さであり、Pは、基本パターンのピッチであり、Wmは、基本パターンの幅であることを思い起こされたい。
サイプ配向レベルNOは、式

Figure 0005985482
に一致している。αiは、トレッド表面上においてi番目の切り込みと横方向Yのなす正又は負の角度であり、

Figure 0005985482
であることを思い起こされたい。
基本パターンに関するかじ取りプル基準CTは、式

Figure 0005985482
に一致している。
基本パターン3中のサイプ13iの本数、サイプの長さ及びサイプの角度は、サイプ密度が60μm/mm2を超え、サイプ配向レベルが1.5°/mmを超え、パターンに関するかじ取りプル基準が0.2未満であるように定められる。
このように、乾いた路面上を駆動されたときにタイヤの低い側方プル度が保証され、それと同時に、雪で覆われた路面上におけるこのタイヤに関する良好なグリップレベルが維持される。
有利には、パターンに関するかじ取りプル基準は、0.1未満である。
別の変形形態では、パターンに関するかじ取りプル基準は、0.05未満である。
一例を挙げると、図4の種々の隆起要素中に存在するサイプの特性が以下の表に一覧表示されている。この表では、第1行は、基本パターン3の種々の隆起要素に関する記載であり、第2行は、種々の隆起要素と関連したサイプの角度の詳細に関する記載であり、第3行は、種々の隆起要素中に存在するサイプの全長の詳細に関する記載である。
Figure 0005985482
50mmオーダの基本パターンピッチ及び230mmのパターンWmを採用することによって、122μm/mm2オーダのサイプ密度D、02.44°/mmの配向レベルNO及び0.025のかじ取りプル基準CTを算出することができる。
この場合、注目されるように、隆起要素11a〜11kの形状及びトレッド上におけるこれらの配置は、このようにして形成された設計のトレッドパターンが非対称であるように定められる。したがって、タイヤは、タイヤの一方のサイドウォールがこのタイヤが車両のどこに取り付けられるか(右側又は左側)とは無関係にタイヤの外側に常時位置するよう所定の取り付け方向を有する。これらタイヤは、一般に、タイヤのどちらのサイドウォールが車両の外側の方へ向かなければならないか(以下、これを車外側サイドウォールと呼ぶ)及び車両のどちらのサイドウォールが車両の内側の方へ向かなければならないか(以下、このサイドウォールを車内側サイドウォールと呼ぶ)をユーザに知らせるマーク(「外側」又は「内側」)を備える。タイヤに印されているマークに従って、図4では、車内側トレッド半部17及び車外側トレッド半部15を判定することが可能である。具体的に説明すると、車内側トレッド半部は、車内側サイドウォールに隣接して位置するトレッド半部であり、車外側トレッド半部は、車外側サイドウォールに隣接して位置するトレッド半部である。注目されるように、中央平面19は、車内側トレッド半部17を車外側トレッド半部15から分離している。
図4では、車内側トレッド半部は、第7の要素11g、第8の要素11h、第9の要素11i、第10の要素11j及び第11の要素11kを有する。同様に、車外側トレッド半部は、第1の要素11a、第2の要素11b、第3の要素11c、第4の要素11d、第5の要素11e及び第6の要素11fを有している。
注目されるように、車内側トレッド半部は、タイヤの機能発揮に重要な役割を果たす。というのは、これは、特にコーナリングの際に雪で覆われた路面に対するグリップを提供する際に最も重大に関与するトレッドの部分だからである。かくして、このコーナリングの際のグリップを向上させるため、車内側トレッド半部のサイプは、横方向に対してより急峻に傾けられている。具体的に言えば、隆起要素11g〜11k上のサイプの配向レベルNOは、2°/mmを超えるようにするような手立てが取られている。上述の表の例では、車内側トレッド半部の幅をWm/2であると見なすと、3.43°/mmのオーダのこれらサイプの配向レベルを判定することができる。
本発明は、図示すると共に説明した実施例には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなくかかる実施例の種々の改造例を想到できる。
例えば、基本パターンの同一隆起要素内に互いに異なる配向を備えたサイプを設けることが可能である。
別の変形形態では、中央平面は、トレッドを同一の軸方向幅の2つの部分に分割することがなく、その結果、トレッド半部という用語は、必ずしも、トレッドの半分であることを意味しない。

Claims (1)

  1. 自動車に取り付けられるようになったタイヤ用の非対称トレッドであって、
    ‐前記トレッド(1)は、前記タイヤが駆動されているとき、路面と接触関係をなすようになったトレッド表面を有し、
    ‐前記トレッド(1)は、円周方向(X)に配置された一連の基本パターン(3,5)を有し、各基本パターンは、前記トレッド(1)の幅(W)の少なくとも80%にわたって延び、
    ‐各基本パターン(3,5)は、前記トレッド表面上に開口しているサイプ(13i)を備えた複数の隆起要素(11a〜11k)を有し、各サイプは、1mm未満の幅及び少なくとも3mmの深さを有する、トレッドにおいて、
    ‐各基本パターン(3,5)に関して以下のことが定められ、即ち、
    ‐サイプ密度(D)が

    Figure 0005985482
    に一致し、iは、前記パターン中のサイプの本数であり、liは、前記トレッド表面上におけるi番目のサイプの長さであり、Pは、前記基本パターンのピッチであり、Wmは、前記基本パターンの幅であり、
    ‐サイプ配向レベル(NO)は、

    Figure 0005985482
    に一致し、αiは、前記i番目のサイプが横方向と前記トレッド表面上でなす正又は負の角度であり且つ

    Figure 0005985482
    であり、
    ‐前記基本パターンに関するかじ取りプル基準(CT)は、

    Figure 0005985482
    に一致し、
    前記サイプ密度(D)は、60μm/mm2以上であり、サイプ配向レベル(NO)は、1.5°/mm以上であり、前記基本パターンに関する前記かじ取りプル基準(CT)は、0.05未満であり、前記トレッドは、前記タイヤの車内側サイドウォールに隣接して位置する車内側トレッド半部(17)を有し、前記車内側トレッド半部に関連した前記サイプ配向レベル(NO)は、2°/mmを超える、トレッド。
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