JP2009248819A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2009248819A
JP2009248819A JP2008100627A JP2008100627A JP2009248819A JP 2009248819 A JP2009248819 A JP 2009248819A JP 2008100627 A JP2008100627 A JP 2008100627A JP 2008100627 A JP2008100627 A JP 2008100627A JP 2009248819 A JP2009248819 A JP 2009248819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sipe
region
tire
thickness
sipe portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008100627A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiyuki Ohashi
稔之 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire and Rubber Co Ltd filed Critical Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority to JP2008100627A priority Critical patent/JP2009248819A/ja
Publication of JP2009248819A publication Critical patent/JP2009248819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】凹凸アイス路面だけでなく、ツルツルアイス路面においても優れた制動性能を発揮することができる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ周方向PDに沿って延びるブロック列5Aに、複数のサイプ10がタイヤ周方向に間隔を置いて並設され、複数のサイプ10が、一定の厚みで形成された第1サイプ部11と、第1サイプ部11に連なり、第1サイプ部11よりも厚みを大きくして一定の厚みで形成された第2サイプ部12とを有し、ブロック列5Aの内部でタイヤ周方向PDに沿って延びる仮想境界線ILの片側に、第1サイプ部11がタイヤ周方向PDに間隔を置いて並設された第1の領域11Aが配置され、仮想境界線ILの他側に、第2サイプ部12がタイヤ周方向PDに間隔を置いて並設された第2の領域12Aが配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、トレッド面の陸部にサイプを形成した空気入りタイヤに関し、特にスタッドレスタイヤとして有用である。
従来、スタッドレスタイヤでは、ブロックやリブなどの陸部にサイプと呼ばれる切り込みを形成しており、このサイプによるエッジ効果によって、摩擦係数が低いアイス路面での制動性能を高めている。しかし、アイス路面といっても、雪が積もって表面がでこぼこした路面もあれば、アイスバーンのように表面が滑らかで硬い路面もある。以下、前者を凹凸アイス路面と呼び、後者をツルツルアイス路面と呼ぶ。
凹凸アイス路面では、サイプによる引っ掻きが効果的に作用するため、例えばサイプの本数を増やしてエッジ効果を高めることにより制動性能が向上する。これに対して、ツルツルアイス路面では、サイプによる引っ掻き作用が弱くエッジ効果が得られ難いため、ゴムの軟らかさによる粘着摩擦効果を高めることが有用であり、その為には制動時の接地面積を確保することが重要となる。
制動時の接地面積を確保するには、サイプの厚みを小さく設定して陸部の倒れ込みを抑えることが有用である。しかし、その場合には、凹凸アイス路面での陸部の適度な倒れ込みが得られ難くなり、エッジ効果が適切に発揮されない。一方、サイプの厚みを大きく設定すると、ツルツルアイス路面では陸部が早期に且つ一様に大きく倒れ込むため、接地面積を確保できない。このように、陸部の倒れ込みに関し、ツルツルアイス路面に対する制動性能は、凹凸アイス路面に対する制動性能と背反する関係にあった。
下記特許文献1には、陸部の車両装着時外側のサイプ密度(単位面積当たりのサイプ長さ)を、その内側のサイプ密度よりも高くしたタイヤが記載されている。しかし、かかるサイプ構造においても、そのサイプの厚みが小さいものであれば凹凸アイス路面での制動性能は低下する傾向にあり、逆にサイプの厚みが大きいものであればツルツルアイス路面での制動性能が低下する傾向にある。
下記特許文献2には、片側クローズドサイプの閉鎖端又はその付近から開口端に向かって厚みを徐々に小さくしたタイヤが記載されている。しかし、このサイプ構造では、サイプの厚みが徐々に変化することから、サイプの厚みが小さい部分が閉じると、それに伴って厚みが大きい部分までもが簡単に閉じてしまう。このため、サイプによるエッジ効果が得られ難く、特に凹凸アイス路面では制動性能が低下し易いと考えられる。
特開2006−188165号公報 特開平2−200503号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、凹凸アイス路面だけでなく、ツルツルアイス路面においても優れた制動性能を発揮することができる空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に沿って延びるブロック列又はリブに、複数のサイプがタイヤ周方向に間隔を置いて並設された空気入りタイヤにおいて、前記複数のサイプが、一定の厚みで形成された第1サイプ部と、前記第1サイプ部に連なり、前記第1サイプ部よりも厚みを大きくして一定の厚みで形成された第2サイプ部とを有し、前記ブロック列又はリブの内部でタイヤ周方向に沿って延びる仮想境界線の片側に、前記第1サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第1の領域が配置され、前記仮想境界線の他側に、前記第2サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第2の領域が配置されているものである。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、ツルツルアイス路面では、制動時に第2の領域が早期に倒れ込むものの、その倒れ込みの度合は、第2サイプ部の厚みでサイプを均一に形成した場合に比べて小さくなる。これは、第2の領域を構成する第2サイプ部には、厚みが小さい第1サイプ部が連なっていて、その影響を受けるためである。このように、第2の領域は、サイプの厚みが大きいにも関わらず、過度に倒れ込まないように持ち堪え得るため、ツルツルアイス路面での制動時には接地面積を確保して粘着摩擦効果を適切に発揮できる。
また、凹凸アイス路面では、制動時に第2の領域が倒れ込むことで、第2サイプ部によるエッジ効果が適切に得られる。しかも、第1の領域が持ち堪えることで過度の倒れ込みが抑制されるため、該エッジ効果がより確実に発現される。更に、第1の領域では、厚みが大きい第2サイプ部の影響を受けて、第1サイプ部の厚みでサイプを均一に形成した場合に比べて倒れ込みが大きくなり、第1サイプ部によるエッジ効果も向上する。
本発明では、タイヤ周方向に沿って延びる仮想境界線の片側に第1の領域が配置され、該仮想境界線の他側に第2の領域が配置されることから、制動時における上記の挙動がタイヤ周方向に沿って発現される。このように、本発明は、制動時に第2の領域が早期に倒れ込んだとしても、第1の領域が持ち堪えて過度に倒れ込まないように構成されており、それによって粘着摩擦効果とエッジ効果の両立が可能となる。その結果、凹凸アイス路面だけでなく、ツルツルアイス路面においても優れた制動性能を発揮することができる。
本発明では、前記複数のサイプが両側オープンサイプにより形成されているものが好ましい。これにより、ブロック列又はリブの剛性が低下して倒れ込み易くなるため、上記の如き本発明の作用効果を発現し易くなる。しかも、本発明では、第2の領域が倒れ込んだときに第1の領域が持ち堪えるため、ブロック列又はリブが過度に倒れ込むことが抑制される。
本発明では、前記第1サイプ部及び前記第2サイプ部が波状又はジグザグ状に延びるものでもよい。第1サイプ部が波状又はジグザグ状に延びることにより、サイプの厚み方向に対して傾斜する方向の外力が作用した場合においても、倒れ込みを抑制する効果が適切に奏される。また、第2サイプ部が波状又はジグザグ状に延びることにより、サイプの開口部が狭くなり難くなるため、凹凸アイス路面においてエッジ効果を確保し易くなる。
本発明では、前記仮想境界線が前記ブロック列又はリブの中央部を通るものが好ましい。これにより、第1の領域及び第2の領域の各々の面積を十分に確保できるため、凹凸アイス路面及びツルツルアイス路面における制動性能をより確実に改善することができる。
また、本発明では、前記複数のサイプが、前記第1サイプ部よりも厚みを大きく且つ前記第2サイプ部よりも厚みを小さくして一定の厚みで形成された第3サイプ部を有すると共に、前記第2サイプ部が前記第3サイプ部を介在させて前記第1サイプ部に連なり、前記仮想境界線がタイヤ幅方向に間隔を置いて2本設定され、その2本の仮想境界線の間に、前記第3サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第3の領域が配置されているものでもよい。
上記構成によれば、第1の領域と第2の領域との間で発現されるとして説明した上述の作用効果が、第1の領域と第3の領域との間、更には第2の領域と第3の領域との間で発現されることになる。このため、陸部が倒れ込むときの変形の自由度が大きくなり、表面の固まり具合やでこぼこ具合が異なる種々の路面に対して柔軟に対応することができる。加えて、第1の領域から第2の領域にわたって剛性を段階的に小さくできるため、偏摩耗の発生を抑制できる。
上記において、前記2本の仮想境界線が前記ブロック列又はリブをタイヤ幅方向に略三分割するものが好ましい。これにより、第1の領域、第2の領域及び第3の領域の各々の面積を適切に確保して、凹凸アイス路面及びツルツルアイス路面における制動性能をより確実に改善することができる。
本発明では、前記第1サイプ部と前記第2サイプ部とを有するサイプが設けられた前記ブロック列又はリブに対して、前記第1の領域及び前記第2の領域のうち、一方をタイヤ幅方向外側に配置し、他方をタイヤ幅方向内側に配置することが、トレッド面内で統一されているものが好ましい。
上記構成によれば、剛性が高い第1の領域と剛性が低い第2の領域とがタイヤ赤道に関して対称的に配置されるため、剛性の高い又は低い領域が偏在することを避けて偏摩耗の発生を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す展開図である。本実施形態の空気入りタイヤでは、トレッド面にタイヤ周方向PDに延びた4本の周方向溝2が設けられていて、陸部が5本のブロック列5A〜5Eに区分されている。各ブロック列5A〜5Eは多数のブロック1によって構成されており、ブロック1の各々はタイヤ幅方向WDに延びた横溝3によってタイヤ周方向PDに区分されている。
タイヤ周方向PDに延びたブロック列5A〜5Eには、複数のサイプがタイヤ周方向PDに間隔を置いて略平行に並設されている。このトレッド面では、ブロック列5Cに厚みが均一なサイプ90が設けられ、その他のブロック列5A,5B,5D及び5Eには、厚みが不均一なサイプ10が設けられている。即ち、本実施形態では、周方向溝2によって、陸部が、タイヤ赤道C近傍のセンター部Ceと、その両側のメディエイト部Meと、更にその両側のショルダー部Shとに区分されており、そのメディエイト部Meとショルダー部Shに配置されたブロック列にのみ、厚みが不均一なサイプ10が設けられている。
図2は、ブロック列5A,5Bを構成するブロック1の拡大図である。サイプ10は、一定の厚みt11で形成された第1サイプ部11と、第1サイプ部11に連なり、第1サイプ部11よりも厚みを大きくして一定の厚みt12で形成された第2サイプ部12とを有する。ブロック列5A,5Bは、このブロック1をタイヤ周方向に配列して構成されている。ブロック列5D,5Eに設けられたサイプ10は、図2を左右反転したものとなる。
図1に示すように、ブロック列5Aの内部でタイヤ周方向に沿って延びる仮想境界線ILの片側(図1では左側)には、第1サイプ部11がタイヤ周方向PDに間隔を置いて並設された第1の領域11Aが配置され、仮想境界線ILの他側(図1では右側)には、第2サイプ部12がタイヤ周方向PDに間隔を置いて並設された第2の領域12Aが配置されている。かかる構成は、ブロック列5Bについても同様であり、ブロック列5D及び5Eについても左右が反転している点を除いて同様である。
以下、このトレッド面における制動時の挙動について、ブロック列5Aの場合を例に挙げ、図3〜5を参照しながら説明する。図3は、ツルツルアイス路面での制動時におけるブロック1の縦断面を概念的に示しており、図2のA−A、B−B矢視断面に相当する。図4は、第2サイプ部12の厚みt12でサイプ30を均一に形成したブロックの縦断面である。図5は、第1サイプ部11の厚みt11でサイプ40を均一に形成したブロックの縦断面である。
ブロック列5Aではサイプ10の厚みが不均一であるため、ツルツルアイス路面6での制動時にブロック1が倒れ込むに際して、相対的に剛性の低い第2の領域12Aが初めに倒れ込み、それに続いて第1の領域11Aが倒れ込む。このとき、第1の領域11Aでは、第1サイプ部11の厚みt11が小さく剛性が高いために倒れ込みが抑えられ、その影響を受けて第2の領域12Aは過度に倒れ込まない。
これに対して、図4に示すブロック35では、ツルツルアイス路面6での制動時に一様に倒れ込み易く、その倒れ込みの度合も大きくなる。したがって、ブロック1では、第1サイプ部11における倒れ込み角度θ1よりも、第2サイプ部12における倒れ込み角度θ2が大きくなるものの、この倒れ込み角度θ2はブロック35の倒れ込み角度θ3よりも小さくなる。
このように、第2の領域12Aは、サイプの厚みt12が大きいにも関わらず、過度に倒れ込まないように持ち堪え得るため、ツルツルアイス路面での制動時には接地面積を確保して粘着摩擦効果を適切に発揮できる。これに対して、図4の例では、ブロック35が早期に且つ一様に倒れ込んで接地面積が確保されないため、粘着摩擦効果による制動性能への寄与は期待できない。
また、ブロック列5Aでは、制動時の負荷が非常に大きい場合においても、第2の領域12Aの倒れ込みが、第1の領域11Aによって持ち堪えられるために遅くなり、じわじわと粘りながら倒れ込むことになる。そのため、倒れ込み角度θ2が比較的大きくなる場合であっても、第2の領域12Aが一気に倒れ込むことが抑制され、適度な倒れ込みによって粘着摩擦効果が発現される。
一方、凹凸アイス路面では、制動時に第2の領域12Aが倒れ込むことで、第2サイプ部12によるエッジ効果が適切に得られる。本発明では、第1サイプ部11及び第2サイプ部12が、それぞれ一定の厚みで形成されており、ブロック1が倒れ込んだ際に第1サイプ部11が閉じたとしても、第2サイプ部12では閉じずにエッジ効果を確保できる。加えて、第1の領域11Aでは、第2の領域12Aの影響を受けて図5に示すブロック45よりも倒れ込みが大きくなり、第1サイプ部11によるエッジ効果も向上する。
これに対して、図5に示すブロック45では、サイプ40の厚みが小さいことに起因して、凹凸アイス路面での制動時に倒れ込み難く、それ故にエッジ効果が小さくなる。制動時の条件が同じであれば、ブロック1の第1サイプ部11における倒れ込み角度θ1は、ブロック45の倒れ込み角度θ4よりも大きくなる。
このように、本発明では、倒れ込み易い第2の領域12Aと、それを持ち堪えて過度に倒れ込まないように抑える第1の領域11Aとを仮想境界線ILによって区画し、各々をタイヤ周方向に延在させている。これにより、制動時における上記の如き挙動がタイヤ周方向に沿って発現され、優れた制動性能を発揮することができる。ブロック列5Aを例に挙げて説明した上記の作用効果は、ブロック列5B,5D及び5Eにおいても同様に奏される。
第1サイプ部11の厚みt11は、第2の領域12Aの倒れ込みを適切に抑制する観点から0.1〜0.4mmが好ましい。また、第2サイプ部12の厚みt12は、凹凸アイス路面でのエッジ効果を確保する観点から0.5〜0.8mmが好ましい。
厚みt11と厚みt12との差は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。この厚みの差が0.1mm以上であることにより、制動時に倒れ込み易い領域と、その倒れ込みを持ち堪える領域との分担が適切になされ、上記の如き作用効果が確実に奏される。また、この厚みの差は、領域の間に生じる剛性差を適度に抑えるために、0.6mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましい。
サイプ10は、ブロック1の側壁にて両端が開口した両側オープンサイプであるが、本発明はこれに限定されず、片端又は両端がブロック1の内部で終端していても構わない。但し、ブロック1の剛性を低めて制動時に倒れ込み易くし、上述した作用効果を確実に発現せしめる観点から、本発明ではサイプ10が両側オープンサイプにより形成されていることが好ましい。
本実施形態では、仮想境界線ILがブロック列の中央部を通り、サイプ10の約半分を第1サイプ部11とし、残部を第2サイプ部12としている。これにより、第1の領域11A及び第2の領域12Aの各々の面積を十分に確保して、凹凸アイス路面及びツルツルアイス路面における制動性能をより確実に改善できる。図2では、このブロック列の中央部を領域LAとして示しており、この領域LA内に仮想境界線ILが設定されていれば好ましい実施形態と言える。領域LAは、ブロック1と幅中心を一致させていて、その幅寸法はブロック1の幅寸法Wに対して30%である。
本発明では、各サイプ部の長さを確保して上述した作用効果を適切に奏する観点から、第1サイプ部11の長さ11L、及び、第2サイプ部12の長さ12Lが、それぞれサイプ長さSL(本実施形態ではブロック1の幅寸法Wと同じ)の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
また、サイプ10の深さは、十分なエッジ効果を発現するうえで、周方向に延びる主溝(周方向溝2)の深さの30〜80%が好ましい。本発明では、第1サイプ部11と第2サイプ部12とで深さを異ならせてもよく、その場合には、第2の領域12Aの倒れ込みを抑制する観点から、第1サイプ部11の深さを第2サイプ部12の深さよりも小さくすることが好ましい。
このトレッド面では、図1に示すように、サイプ10を設けたブロック列5A,5B,5D及び5Eに対して、第1の領域11Aをタイヤ幅方向WDの外側に配置し、第2の領域12Aをタイヤ幅方向WDの内側に配置することで統一している。このため、剛性が高い第1の領域11Aと剛性が低い第2の領域12Aとがタイヤ赤道Cに関して対称的に配置され、剛性の高い又は低い領域が偏在することを避けて偏摩耗の発生を防止できる。
特に本実施形態では、トレッドパターンをタイヤ赤道Cに関して対称に形成しているうえ、センター部Ceに配置したブロック列5Cに厚みが均一なサイプ90を設けているため、第1の領域11A及び第2の領域12Aによる剛性分布のバランスが良く、偏摩耗の発生を好適に防止できる。第1の領域11Aと第2の領域12Aとの配置を全体的に入れ替えても同様である。
本発明では、陸部の単位面積当たりのサイプ長さであるサイプ密度が0.05mm/mm以上であることが好ましい。このサイプ密度が0.05mm/mm未満であると、サイプ10が本来発揮すべき効果が適切に発揮されないことがある。また、ブロック1の剛性を適度に確保する観点から、サイプ密度は0.2mm/mmを超えないことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に沿って延びるブロック列又はリブに上記の如き複数のサイプが形成されること以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用できる。
本発明は、いわゆる夏用タイヤにも適用できるが、アイス路面での制動性能に優れていることから、特にスタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)として有用である。
[他の実施形態]
(1)本発明では、ブロック列又はリブに、図6に示すような複数のサイプ20を並設したものも好ましい実施形態である。このサイプ20は、一定の厚みt21で形成された第1サイプ部21と、第1サイプ部21よりも厚みを大きくして一定の厚みt22で形成された第2サイプ部22と、第1サイプ部21よりも厚みを大きく且つ第2サイプ部22よりも厚みを小さくして一定の厚みt23で形成された第3サイプ部23とを有し、第2サイプ部22が第3サイプ部23を介在させて第1サイプ部21に連なっている。
このサイプ20が並設されたブロック列では、図7に示すようにタイヤ幅方向に間隔を置いて2本の仮想境界線ILが設定され、その2本の仮想境界線ILの間に、第3サイプ部23がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第3の領域23Aが配置される。また、前述の実施形態と同様に、仮想境界線ILの片側(図7では左側)に第1サイプ部21が並設された第1の領域21Aが配置され、他側(図7では右側)に第2サイプ部22が並設された第2の領域22Aが配置される。
かかる構成によれば、上述した本発明の作用効果を奏するに際し、制動時にブロック1が倒れ込むときの変形の自由度が大きくなり、表面の固まり具合やでこぼこ具合が異なる種々の路面に対して柔軟に対応することができる。加えて、第1の領域21Aから第2の領域22Aにわたって剛性を段階的に小さくできるため、偏摩耗の発生を防止することができる。
この場合、第1サイプ部21の厚みt21は、第3の領域23Aの倒れ込みを適切に抑制する観点から0.1〜0.4mmが好ましい。第2サイプ部22の厚みt22は、凹凸アイス路面でのエッジ効果を確保する観点から0.5〜0.8mmが好ましい。第3サイプ部23の厚みt23は、第2の領域22Aの倒れ込みを適切に抑制しつつ、凹凸アイス路面でのエッジ効果を確保する観点から0.3〜0.6mmが好ましい。
また、制動時に倒れ込み易い領域と、その倒れ込みを持ち堪える領域との分担を適切になすため、厚みt21と厚みt22との差、並びに、厚みt22と厚みt23との差は、それぞれ、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。また、これらの厚みの差は、領域の間に生じる剛性差を適度に抑えるために、0.6mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましい。
図6,7では、2本の仮想境界線ILがブロック列をタイヤ幅方向に略三分割し、サイプ20の約3分の1を第1サイプ部21とし、約3分の1を第2サイプ部22とし、残部を第3サイプ部23としている。このため、第1の領域21A、第2の領域22A及び第3の領域23Aの各々の面積を適切に確保して、凹凸アイス路面及びツルツルアイス路面における制動性能をより確実に改善することができる。
(2)本発明の空気入りタイヤが有するトレッドパターンは、特に限定されるものではない。したがって、例えば、ブロック列がV字形や多角形など他の形状のブロックを含んでいても構わない。また、ブロック列に代えて又は加えて、タイヤ周方向に沿って直線状又はジグザグ状に延びるリブを採用し、該リブに上記の如きサイプを並設してもよい。但し、本発明では、制動時の倒れ込みが大きいブロック列に適用した場合に特に有用である。
(3)前述の実施形態では、第1の領域に第1サイプ部だけが設けられ、第2の領域に第2サイプ部だけが設けられた例を示したが、本発明はこれに限られず、厚みが異なるサイプを局所的に含んでいても構わない。この場合、第1の領域に含まれる第1サイプ部の本数、及び、第2の領域に含まれる第2サイプ部の本数は、各領域のタイヤ周方向におけるサイプの総本数に対して60%以上、好ましくは90%以上に設定される。
図8に例示するブロック7では、仮想境界線ILの左側に第1の領域71Aが配置され、右側に第2の領域72Aが配置されているが、第2の領域72Aには第2サイプ部よりも厚みが小さいサイプ80が局所的に含まれており、これによって先細りになる部分の剛性が極端に低下することを避けている。かかる場合、ブロック長さBLの60%以上、好ましくは80%以上となる長さの範囲8には、厚みの異なるサイプ80が含まれないように設定される。
(4)前述の実施形態では、厚みが不均一なサイプが長手方向に沿って波状に延びる例を示したが、本発明はこれに限られず、ジグザグ状に延びたり直線状に延びたりしても構わない。
(5)前述の実施形態では、複数のサイプが略平行に並設され、その並設方向がタイヤ周方向と平行になる例を示したが、本発明はこれに限られるものではない。但し、制動性能を向上する観点から、サイプの並設方向はタイヤ周方向に対して0〜45°の角度で、好ましくは0〜20°の角度で傾斜していることが好ましい。かかる場合においても、仮想境界線ILがタイヤ周方向に平行に延びていることが好ましい。
(6)前述の実施形態では、仮想境界線ILがタイヤ周方向に平行に延びる例を示したが、本発明では、仮想境界線ILがタイヤ周方向に対して0〜20°の角度で傾斜していても構わない。
本発明の構成と効果を具体的に示すためにアイス制動性能を評価したので説明する。アイス制動性能は、タイヤを実車(3000ccクラスのFRセダン)に装着し、アイス路面を走行して速度40km/hから制動力をかけてABSを作動させた際の制動距離を測定することで評価した。アイス路面としては、ツルツルアイス路面と凹凸アイス路面の2種類を用意した。比較例1の結果を100として指数で示し、数値が大きいほど制動性能が良好であることを示す。
比較例1
図1に示すようなトレッドパターンを有するタイヤであって、全てのブロック列に対して0.4mmの厚みでサイプを均一に形成したタイヤを比較例1とした。
実施例1
図1に示すようなトレッドパターンを有するタイヤであって、メディエイト部及びショルダー部のブロック列に図2に示すようなサイプを設けたタイヤを実施例1とした。第1サイプ部の厚みは0.3mm、第2サイプ部の厚みは0.6mmとした。また、センター部のブロック列には、0.3mmの厚みでサイプを均一に形成した。
実施例2
第1の領域をタイヤ幅方向内側に配置し、第2の領域をタイヤ幅方向外側に配置することで統一したこと以外は、実施例1と同じであるタイヤを実施例2とした。
比較例2
厚みが不均一なサイプに対して、タイヤ周方向に沿って第1サイプ部と第2サイプ部とを1本置きに入れ替え、サイプの厚みが大きい部分と小さい部分とが交互に並列されるようにしたこと以外は、実施例1と同じであるタイヤを比較例2とした。
実施例3
図1に示すようなトレッドパターンを有するタイヤであって、メディエイト部及びショルダー部のブロック列に図6に示すようなサイプを設けたタイヤを実施例3とした。第1サイプ部の厚みは0.2mm、第2サイプ部の厚みは0.6mm、第3サイプ部の厚みは0.4mmとした。また、センター部のブロック列には、0.3mmの厚みでサイプを均一に形成した。
上記のいずれにおいても、タイヤサイズを195/65R15とし、サイプ深さは6.5mm、波形状の振幅は1.5mm、波形状の周期(波長)は4mmとした。表1に示した評価結果のように、実施例1〜3では、ツルツルアイス路面及び凹凸アイス路面の両方において、比較例1,2よりも優れた制動性能が発揮されている。
Figure 2009248819
本発明に係る空気入りタイヤのトレッド面の一例を示す展開図 ブロックの拡大図 制動時におけるブロックの縦断面図 第2サイプ部の厚みでサイプを均一に形成したブロックの縦断面図 第1サイプ部の厚みでサイプを均一に形成したブロックの縦断面図 本発明の別実施形態に係る空気入りタイヤが備えるブロック列を構成するブロックの拡大図 図6のブロックにより構成されたブロック列の平面図 本発明の別実施形態に係る空気入りタイヤが備えるブロック列を構成するブロックの拡大図
符号の説明
1 ブロック
5A〜5E ブロック列
10,20 サイプ
11,21 第1サイプ部
11A,21A 第1の領域
12,22 第2サイプ部
12A,22A 第2の領域
23 第3サイプ部
23A 第3の領域
IL 仮想境界線

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に沿って延びるブロック列又はリブに、複数のサイプがタイヤ周方向に間隔を置いて並設された空気入りタイヤにおいて、
    前記複数のサイプが、一定の厚みで形成された第1サイプ部と、前記第1サイプ部に連なり、前記第1サイプ部よりも厚みを大きくして一定の厚みで形成された第2サイプ部とを有し、
    前記ブロック列又はリブの内部でタイヤ周方向に沿って延びる仮想境界線の片側に、前記第1サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第1の領域が配置され、前記仮想境界線の他側に、前記第2サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第2の領域が配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記複数のサイプが両側オープンサイプにより形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1サイプ部及び前記第2サイプ部が波状又はジグザグ状に延びる請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記仮想境界線が前記ブロック列又はリブの中央部を通る請求項1〜3いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記複数のサイプが、前記第1サイプ部よりも厚みを大きく且つ前記第2サイプ部よりも厚みを小さくして一定の厚みで形成された第3サイプ部を有すると共に、前記第2サイプ部が前記第3サイプ部を介在させて前記第1サイプ部に連なり、
    前記仮想境界線がタイヤ幅方向に間隔を置いて2本設定され、その2本の仮想境界線の間に、前記第3サイプ部がタイヤ周方向に間隔を置いて並設された第3の領域が配置されている請求項1〜3いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記2本の仮想境界線が前記ブロック列又はリブをタイヤ幅方向に略三分割する請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記第1サイプ部と前記第2サイプ部とを有するサイプが設けられた前記ブロック列又はリブに対して、前記第1の領域及び前記第2の領域のうち、一方をタイヤ幅方向外側に配置し、他方をタイヤ幅方向内側に配置することが、トレッド面内で統一されている請求項1〜6いずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
JP2008100627A 2008-04-08 2008-04-08 空気入りタイヤ Pending JP2009248819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008100627A JP2009248819A (ja) 2008-04-08 2008-04-08 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008100627A JP2009248819A (ja) 2008-04-08 2008-04-08 空気入りタイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009248819A true JP2009248819A (ja) 2009-10-29

Family

ID=41309907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008100627A Pending JP2009248819A (ja) 2008-04-08 2008-04-08 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009248819A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011245957A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2013018273A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Bridgestone Corp タイヤ加硫装置及びタイヤ
JP2013537133A (ja) * 2010-09-10 2013-09-30 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン タイヤトレッド
JP2013252749A (ja) * 2012-06-05 2013-12-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP7377091B2 (ja) 2019-12-13 2023-11-09 Toyo Tire株式会社 空気入りタイヤ

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02200503A (ja) * 1989-01-30 1990-08-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りラジアルタイヤ
JPH11170818A (ja) * 1997-12-09 1999-06-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd スタッドレスタイヤ
JP2002355822A (ja) * 2001-03-23 2002-12-10 Goodyear Tire & Rubber Co:The 複合ブレード
JP2003320815A (ja) * 2002-05-08 2003-11-11 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気入りタイヤ
JP2007099160A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2007131059A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02200503A (ja) * 1989-01-30 1990-08-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りラジアルタイヤ
JPH11170818A (ja) * 1997-12-09 1999-06-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd スタッドレスタイヤ
JP2002355822A (ja) * 2001-03-23 2002-12-10 Goodyear Tire & Rubber Co:The 複合ブレード
JP2003320815A (ja) * 2002-05-08 2003-11-11 Toyo Tire & Rubber Co Ltd 空気入りタイヤ
JP2007099160A (ja) * 2005-10-06 2007-04-19 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2007131059A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011245957A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2013537133A (ja) * 2010-09-10 2013-09-30 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン タイヤトレッド
JP2013018273A (ja) * 2011-07-14 2013-01-31 Bridgestone Corp タイヤ加硫装置及びタイヤ
JP2013252749A (ja) * 2012-06-05 2013-12-19 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
US20150151586A1 (en) * 2012-06-05 2015-06-04 The Yokohama Rubber Co., Ltd. Pneumatic Tire
JP7377091B2 (ja) 2019-12-13 2023-11-09 Toyo Tire株式会社 空気入りタイヤ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5261783B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5270417B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5215903B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2007022277A (ja) 空気入りタイヤ
JP5117364B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2006341816A (ja) 空気入りタイヤ
JP5270407B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2009248819A (ja) 空気入りタイヤ
JP3473904B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2008290521A (ja) 空気入りタイヤ
JP4860132B2 (ja) 氷雪路用空気入りタイヤ
JP2009166608A (ja) 空気入りタイヤ
JP4431178B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2005329793A (ja) 空気入りタイヤ
JP4325944B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2006264455A (ja) 空気入りタイヤ
JP4530415B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6367139B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2008049971A (ja) 空気入りタイヤ
JP4696145B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2008001195A (ja) 空気入りタイヤ
JP2009208597A (ja) 空気入りタイヤ
JP2006188184A (ja) 空気入りタイヤ
JP6369603B1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5057544B2 (ja) 空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120719

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120918

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130312