JP5985297B2 - 光ファイバ接続方法 - Google Patents

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本発明は、光ファイバ接続方法に関し、特に複数のコアを備え、ファイバの横断面が略正偶数角形であるマルチコアファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法に関するものである。
近年有線のデータ通信においては、光ファイバがその通信経路として一般的に用いられている。データ通信用の光ファイバは、光を通すコアと、コアを囲繞して光をコアに閉じ込めるクラッドとを有している。当初は1本の光ファイバにコアが1本だけのシングルコアファイバが用いられていたが、近頃は大量のデータを1本の光ファイバで送受信できるマルチコアファイバを使用することが検討されている。マルチコアファイバは、複数のコアがクラッドに囲繞されて1本の光ファイバを構成している光ファイバである。
光データ通信においては、1本の光ファイバのみで通信を行うことは困難であり、光ファイバ同士を接続する必要がある。シングルコアファイバ同士を接続する場合は、コアが1本であるのでコア同士を接続するのが比較的簡単であるが、マルチコアファイバの場合は2本のファイバの全てのコア同士の位置合わせをしてから接続を行わないと接続部における損失が大きくなってしまうが、このような位置合わせは困難な作業である。
マルチコアファイバの低損失融着接続の技術として、非特許文献1にはファイバ端面を観察する装置を用いる技術が開示されている。
荒川ら、電子情報通信学会総合大会講演論文集2(2011)B−10−25、p348
しかしながら、ファイバ端面を観察する装置は大型で且つ高価であるという問題があった。マルチコアファイバの接続は、工事現場で一般的に行われるものであり狭い場所で接続を行う必要があるため、ファイバ側面観察を行って接続を行う現状の小型の融着装置を使用することが望まれている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マルチコアファイバ同士を小型の装置を用いて低損失の接続を行うことができる光ファイバ接続方法を提供することにある。
本発明の光ファイバ接続方法は、複数のコアを備え、ファイバの横断面が略正偶数角形であるマルチコアファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、2本の前記マルチコアファイバをそれぞれ固定部材で固定して、互いの中心軸の方向を一致させて互いの端面同士を向かい合わせる工程と、2本の前記マルチコアファイバをそれぞれ側方から前記中心軸に直交する方向において観察して、前記中心軸に直交する方向における前記マルチコアファイバの位置と、前記中心軸周りの前記マルチコアファイバの回転角を調節する調節工程と、位置および回転角が調節された2本の前記マルチコアファイバの端面同士を突き合わせて前記マルチコアファイバ同士を接続する接続工程とを含み、前記マルチコアファイバは横断面において、複数の前記コアの配置とファイバ外形とがファイバ中心軸を中心とする同じ回転対称を有しており、前記調節工程では、各前記マルチコアファイバに対して異なる2方向から観察を行って前記固定部材を移動及び回転させることにより、2本の前記マルチコアファイバの前記位置と前記回転角とが一致するように調節し、前記回転角の調節は、観察される前記マルチコアファイバの幅を基に行う構成を備えている。ここで略正偶数角形というのは、正偶数角形の角が落とされて丸みを帯びていたり、各辺が厳密な直線ではなく緩やかにカーブしている形状を意味している。また、マルチコアファイバの横断面において、複数のコアの配置とファイバ外形とはファイバ中心軸を中心とする同じ回転対称を有しているというのは、ファイバ外形は正偶数角形であるので当該偶数回回転対称(例えば4回回転対称、6回回転対称)であり、コアの配置もこれと同じ当該偶数回回転対称であることをいう。
一方の前記マルチコアファイバの一方の観察方向と、他方の前記マルチコアファイバの一方の観察方向とが同じ又は180度異なった方向であって、これらの観察方向において2本の前記マルチコアファイバの幅が最小となるように前記回転角を調節する構成であってもよい。
観察を行う前記異なる2方向は直交している構成であってもよい。
略正偶数角形は、略正方形または略正六角形であってもよい。
前記マルチコアファイバは前記固定部材から前記端面までの間において、V溝内に設置されており、前記V溝の開き角は、前記正偶数角形の一つの外角と同じ角度である構成であってもよい。
マルチコアファイバ側方からの2方向の観察によってマルチコアファイバの位置と回転角とを調節するので、安価で小型の装置により調節が行えると共に、回転角はマルチコアファイバの幅に基づいて調節するので簡便に調節することができる。
実施形態1におけるマルチコアファイバの端面を示す図である。 実施形態に係るファイバ接続装置を示す模式的な図である。 実施形態1に係るマルチコアファイバのファイバ幅と回転角との関係を示す図である。 実施形態1に係るマルチコアファイバを側方から観察することを示す模式的な図である。 実施形態1に係るマルチコアファイバを側方から観察することを示す別の模式的な図である。 実施形態2におけるマルチコアファイバの端面を示す図である。 実施形態3におけるマルチコアファイバの端面を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
(実施形態1)
実施形態1において接続を行うマルチコアファイバの端面を図1に示す。本実施形態におけるマルチコアファイバ100は、9本のコア10,10,…がクラッド20に囲繞されており、端面(端部に現れた中心軸に直交する面)の外形(クラッド20の外形)が略正方形である。クラッド20は石英からなり、コア10,10,…は石英にGeなどを添加して石英よりも屈折率を高めた部材からなっている。
石英を原料とする光ファイバは横断面において多角形の角部分が存在すると欠けやすく、欠けるとそこから光ファイバが折れてしまう可能性が大きい。従って横断面において多角形の角部分は、角を落とした丸みのある形状としている。この角に丸みのある正方形の形状のことを「略」正方形と表現している。
本実施形態におけるマルチコアファイバ100では、9本のコア10,10,…はファイバ横断面において正方形の各頂点、その正方形の各辺の中心および正方形の中心に配置されている。コア10,10,…が形作る正方形と、クラッド20の外形である正方形とは、同心であって各辺が平行になっている。このような配置のため、横断面におけるコア10,10,…は、クラッド20の外形である略正方形と同様に、ファイバ中心軸を回転の軸として4回回転対称となっている。
本実施形態におけるマルチコアファイバ100同士を、端面同士を突き合わせて接続する場合、双方のファイバの9本のコア10,10,…同士が端面においてズレなく重なり合うようにして接続をしないと接続損失が大きくなってしまう。そこで本実施形態では、図2に示す装置を用いて2本のマルチコアファイバ100の端面の位置と回転角とを調節して接続を行う。上述のように、ファイバ横断面において、コア10,10,…とファイバ外形とはどちらもファイバ中心軸を回転の軸として4回回転対称となっているので、回転角の調節においては、ファイバ外形により調節を行えばコア10,10,…も同様に調節される。
図2に示す接続装置は、2本のマルチコアファイバ100,100を接続する装置であって、マルチコアファイバ100,100を固定するクランプ(固定部材)30,30と、V溝41が形成されたガイド部材40,40と、放電電極35,35とを備えている。なお、マルチコアファイバ100,100の位置・回転角調節を行うためのCCDカメラも備えているが、図が煩雑になるため省略している。CCDカメラの配置については、図4,5に示しており、後ほど説明を行う。
マルチコアファイバ100,100のうち、クランプ30,30に挟まれる部分には被覆101が施されて保護されている。なお、マルチコアファイバ100,100の接続を行う端部とは反対側にクランプ30,30から延びているファイバ外面には被覆が101が施されている。
以下に2本のマルチコアファイバ100,100を接続する接続方法について説明を行う。
まず先端部分の被覆101を除去した2本のマルチコアファイバ100,100を用意する。
それから2本のマルチコアファイバ100,100の被覆101が存している部分をクランプ30,30で挟み込んで固定をする。2つのクランプ30,30は挟み込んだファイバの中心軸方向同士が一致するように設置されているため、2本のマルチコアファイバ100,100をクランプで固定した時点で2本のマルチコアファイバ100,100の中心軸の方向が一致することになる。そして接続される互いの端面が向かい合って固定される。このとき2本のマルチコアファイバ100,100の先端の被覆101が除去された部分は、ガイド部材40,40のV溝41,41に載せられ、接続される最先端の部分はV溝41,41から突き出した状態となっている。2本のマルチコアファイバ100,100の向かい合っている先端の横には融着接続のための放電電極35,35が置かれている。
次に、1本のマルチコアファイバ100に対して2台のCCDカメラで観察を行って、マルチコアファイバ100の中心軸に対して直交する面内での位置と、中心軸周りの回転角を調節する。CCDカメラについて具体的に説明すると、図4に示すようにガイド部材40の放電電極側の端面に沿って2台のCCDカメラ51,52が置かれており、V溝41に置かれたマルチコアファイバ100をその側方から観察している。2台のCCDカメラ51,52は、ファイバ中心軸に対して直交する方向を観察方向としてしており、その観察方向は互いに90度の角をなしている。V溝41も90度の角度をなしており、CCDカメラ51,52の観察方向は、V溝41の溝壁面とそれぞれ平行となっている。
マルチコアファイバ100の中心軸に直交する面内での位置の具体的な調節方法は、2本のマルチコアファイバ100,100のそれぞれの前記面内での位置をそれぞれのCCDカメラ51,52での観察から算出して、それらの位置が一致するように図2で示したX方向Y方向にクランプ30,30とガイド部材40,40とを移動させるという方法である。
マルチコアファイバ100の中心軸周りの回転角の具体的な調節方法は、マルチコアファイバ100の外径をCCDカメラ51,52で観察・計測して、その外径(幅)が最小となるようにクランプ30を回転させる(図2のθの調節)という方法である。ファイバが回転するにつれて、側方から観察されるファイバ外径(幅)は変化していく。図3にマルチコアファイバ100を中心軸周りに回転させた際の、回転角と側方から観察される規格化されたファイバ幅との関係が示されている。ファイバ外径の大きさにより中心軸周りの回転角を調節することを考えると、外径が最大又は最小となるように調節する必要がある。なぜならば、外径が最大又は最小以外の場合は、例えば図5(a)(b)に示す2つの状態のどちらであるのか区別がつかないからである。
図4に示すようにV溝41は90度に開いているので、両方の溝壁面にマルチコアファイバ100の2つの側面が当接することができ、この状態ではいずれのCCDカメラ51,52もファイバ外径の最小値を観察することになる。このようにV溝41の両方の溝壁面にマルチコアファイバ100の2つの側面が当接するというファイバが安定な状態で、CCDカメラ51,52がファイバ外径の最小値を観察するという点で、ファイバの回転角はファイバ外径が最小となるように調節することが好ましい。さらには図3に示すように、ファイバ外径が最大となる回転角では、この回転角から少し回転してもファイバ外径の変化が小さいのに対し、ファイバ外径が最小となる回転角では、この回転角から少し回転するとファイバ外径が大きく変化するので、ファイバ外径が最小となる回転角の方が容易にかつ正確に見つけることができる。この点でもファイバの回転角はファイバ外径が最小となるように調節することが好ましい。
2本のマルチコアファイバ100,100の中心軸に直交する面内での位置と、中心軸周りの回転角を調節できたら、2本のマルチコアファイバ100,100の端面同士を突き合わせて、放電電極35,35により融着接続を行う。こうして2本のマルチコアファイバ100,100を、互いの9本のコア10,10,…同士をずれなく当接させて接続することができる。
ここで、クラッド外形が円形である場合を考えると、ファイバ外径では回転角を判別することができず、ファイバ側方からの観察では複数のコアの位置もコア同士が重なり合って、マルチコアの配置を正確に見分けることが困難であるため、ファイバ端面を観察してコアの配置を判別し、回転角を調節する必要がある。
また、クラッド外形が奇数多角形である場合を考えると、1つのCCDカメラがファイバ外径が最小になるのを観察したときの回転角をα°とすると、(α+180)°の回転角でもファイバ外径が最小になるが、α°と(α+180)°とでは端面におけるコアの配置が異なる。従って、複数のコア同士をずれなく接続するためには、α°と(α+180)°とを区別しなければならないが、2つのCCDカメラではこの区別できないため、やはりファイバ端面を観察してコアの配置を判別し、回転角を調節する必要がある。
本実施形態では、接続を行うマルチコアファイバは横断面において、複数のコアの配置とファイバ外形とがファイバ中心軸を中心とする同じ回転対称を有しているため、回転角の調節においては、ファイバ外形により調節を行えばコアも同様に調節されるのである。
(実施形態2)
実施形態2において接続を行うマルチコアファイバの端面を図6に示す。本実施形態におけるマルチコアファイバ110は、7本のコア10,10,…がクラッド21に囲繞されており、端面(端部に現れた中心軸に直交する面)の外形(クラッド21の外形)が略正六角形である。コア10,10,…は、ファイバ端面において正六角形の中心と各頂点とに配置されており、コア10,10,…が形作る正六角形とクラッド外径の略正六角形とは同心であって各辺が平行となっている。
本実施形態は実施形態1とは、マルチコアファイバ110の端面形状、コア10,10,…の数と配置が異なっており、それ以外は同じであるので、詳細な説明を省略する。なお、2台のCCDカメラの観察方向が90°異なっていると、本実施形態のマルチコアファイバ110の外径は、一方のCCDカメラが最大径を観察したときにはもう一方のCCDカメラは最小径を観察することになる。
本実施形態においては、V溝が120°または60°の角度で開いていることが好ましい。V溝が120°または60°の角度で開いていると、V溝の両溝壁面にマルチコアファイバ110の2つの外面が当接してマルチコアファイバ110が安定になるからである。
(実施形態3)
実施形態3において接続を行うマルチコアファイバの端面を図7に示す。本実施形態におけるマルチコアファイバ120は、9本のコア10,10,…がクラッド22に囲繞されており、端面(端部に現れた中心軸に直交する面)の外形(クラッド22の外形)が略正八角形である。コア10,10,…は、ファイバ端面において正八角形の中心と各頂点とに配置されており、コア10,10,…が形作る正八角形とクラッド外径の略正八角形とは同心であって各辺が平行となっている。
本実施形態は実施形態1とは、マルチコアファイバ120の端面形状、コア10,10,…の数と配置が異なっており、それ以外は同じであるので、詳細な説明を省略する。なお、2台のCCDカメラの観察方向が90°異なっていると、本実施形態のマルチコアファイバ120の外径は、一方のCCDカメラが最大径を観察したときにはもう一方のCCDカメラは最小径を観察することになる。
本実施形態においては、V溝が90°または135°の角度で開いていることが好ましい。V溝が90°または135°の角度で開いていると、V溝の両溝壁面にマルチコアファイバ120の2つの外面が当接してマルチコアファイバ120が安定になるからである。
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
クラッドを構成する物質は石英のみに限定されず、石英に他の物質が添加されたものや、プラスチックなどであってもよい。コアを構成する物質も石英にGeを添加したものに限定されず、Ge以外の物質が添加されたものやGeと他の物質とが添加されたもの、あるいはプラスチックなどでもよい。
コアの数は複数であれば特に限定されない。また、コアの配置もファイバ外形と同じ回転対称(ファイバ中心軸周り)であればどのような配置であっても構わない。
ファイバ側方からの観察は、ファイバの位置と幅を観察することができればCCDカメラ以外の観察装置を用いても構わない。観察方向は90°異なっている2つの方向に限定されず、観察方向の異なる角度は両方向において観察されるコアの幅が異なっていればどのような角度であっても構わない。観察装置は2つよりも多くても構わない。またファイバ同士の接続は融着接続以外に、端面同士を突き合わせて接着剤や固定治具等で固定する方法を用いてもよい。
以上説明したように、本発明に係る光ファイバ接続方法は、マルチコアファイバの全てのコアを低損失で接続することができるので、通信用光ファイバの接続方法等として有用である。
10 コア
20 クラッド
30 クランプ(固定部材)
41 V溝
51,52 CCDカメラ
100 マルチコアファイバ
110 マルチコアファイバ
120 マルチコアファイバ

Claims (5)

  1. 複数のコアを備え、ファイバの横断面が略正偶数角形であるマルチコアファイバ同士を接続する光ファイバ接続方法であって、
    2本の前記マルチコアファイバをそれぞれ固定部材で固定して、互いの中心軸の方向を一致させて互いの端面同士を向かい合わせる工程と、
    2本の前記マルチコアファイバをそれぞれ側方から前記中心軸に直交する方向において観察して、前記中心軸に直交する方向における前記マルチコアファイバの位置と、前記中心軸周りの前記マルチコアファイバの回転角を調節する調節工程と、
    位置および回転角が調節された2本の前記マルチコアファイバの端面同士を突き合わせて前記マルチコアファイバ同士を接続する接続工程と
    を含み、
    前記マルチコアファイバは横断面において、複数の前記コアの配置とファイバ外形とがファイバ中心軸を中心とする同じ回転対称を有しており、
    前記調節工程では、各前記マルチコアファイバに対して異なる2方向から観察を行って前記固定部材を移動及び回転させることにより、2本の前記マルチコアファイバの前記位置と前記回転角とが一致するように調節し、
    前記回転角の調節は、観察される前記マルチコアファイバの幅を基に、前記幅が最大又は最小となるように行う、光ファイバ接続方法。
  2. 一方の前記マルチコアファイバの一方の観察方向と、他方の前記マルチコアファイバの一方の観察方向とが同じ又は180度異なった方向であって、これらの観察方向において2本の前記マルチコアファイバの幅が最小となるように前記回転角を調節する、請求項1に記載されている光ファイバ接続方法。
  3. 観察を行う前記異なる2方向は直交している、請求項1または2に記載されている光ファイバ接続方法。
  4. 前記略正偶数角形は、略正方形または略正六角形である、請求項1から3のいずれか一つに記載されている光ファイバ接続方法。
  5. 前記マルチコアファイバは前記固定部材から前記端面までの間において、V溝内に設置されており、
    前記V溝の開き角は、前記正偶数角形の一つの内角と同じ角度である、請求項1から4のいずれか一つに記載されている光ファイバ接続方法。
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