JP5980772B2 - 改良型細胞培養培地 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオテクノロジーの一般的な分野、特に産業規模でポリペプチドを産生するための細胞の培養およびそれらの使用に関する。
本発明は、少なくとも1つの温度変動および少なくとも1つのpH変動によって特徴付けられる細胞培養法を提供する。これらの方法は、高い細胞生存性を有する細胞、好ましくはCHO細胞のような哺乳動物細胞の培養に適している。本発明による細胞培養法は、ポリペプチド産生、特に哺乳動物細胞培養系におけるポリペプチドの組換え発現による、特に産業規模におけるポリペプチド産生に使用される場合、高いポリペプチド生産性の獲得をさらに可能にする。
組換え技術を使用したポリペプチドの調製は、この数十年の間に標準的手順に発展している。各ポリペプチドをコードする遺伝子のクローニング、次に発現される遺伝子による適切な発現宿主の二次形質転換、および最終産生、および得られた組換えポリペプチド産物の精製による組換えポリペプチドへのアクセスは、全く新しいクラスの生物学的に設計および産生される治療剤へのアクセスをもたらしている。
医薬品産業界では、組換えDNA技術を使用し、次に生物工学の分野で開発された産生法を使用して調製される、医薬品活性がある化合物の数が増加し続けている。
このようなバイオ製品には、自己免疫疾患、炎症障害、免疫抑制、腫瘍学などを含めた様々な医療分野において、重要な治療選択肢に発展しているモノクローナル抗体が含まれる。
生物源のこのような治療剤の開発には、それによって多量の組換えポリペプチドへのアクセスをもたらす産業規模での生産が必要とされる。好ましい発現系は、昆虫細胞、酵母などに基づく大部分の他の真核生物発現系、または一層伝統的な原核生物発現系より優れた、哺乳動物細胞培養系である。
しかしながら、哺乳動物細胞培養には、特に産業規模で多大な課題がある。哺乳動物細胞培養のための生産施設は、多くの方法条件の完全な最適化を必要とする。
特に、哺乳動物細胞においてポリペプチドを産生するための細胞培養法は、最適な品質と併せて容量測定で高い製品収率を得るために、培養条件の連続的な最適化および特定細胞系または産物へのそれらの適合を必要とする。
多くの以前の尽力は、例えばイオン、アミノ酸、ビタミンまたは微量元素の種類および濃度、または培地のモル浸透圧濃度に関する、それらの組成を含めた細胞培養培地の基本パラメーターに集中している。研究の中心となっているさらなる重要なパラメーターは、例えば、最適な細胞増殖に到達するための供給組成または供給スケジュールである。
基本的生理パラメーターとしての温度およびpHも、哺乳動物細胞の培養に対して有意な影響があることが知られている。一般に温度は、細胞の増殖状態および生存性に相当影響を与える。しかしながら、これ以外に、それが改変、例えばグリコシル化によって、ポリペプチド産物およびその特徴により具体的に影響を与える可能性もある(US2003/0190710A1、EP1373547A1、US2004/0214289A1)。
増殖培地および細胞が維持されるpHも、個々の細胞系および産物に応じて特異的な形式で、細胞増殖およびポリペプチド産生に影響を与え改変する可能性がある(Sauer et al. Biotechnology and Bioengineering 2000,Vol 67,pg.586-597; Yoon et al., Biotechnology and Bioengineering 2004,Vol 89,pg.346-356; Kuwae et al., Journal of Bioscience and Bioengineering 2005,Vol 100, pg.502-510)。
培養の経時変化中、細胞に必要な条件は変化する可能性がある。初期には、細胞増殖の向上に向けて条件を最適化することが有利であるが、後期段階では、高い産物力価を得ることにつながる高い細胞生存率および生存細胞密度の維持が重要になる。この観点で、細胞培養中の1つまたは複数の温度ステップの導入が示唆されている(Chen et al., J Biosci Bioeng.2004; 97(4):239-43)。このため、哺乳動物細胞は少なくとも2つの異なる温度で培養し、第一の、高い方の温度は細胞増殖に最適化させ、一方第二または第三の、低い方の温度は細胞の生産性を向上させるように選択する(例えば、Weidemann et al., Cytotechnology.1994; 15(1-3);111-6; WO00/36092;EP0764719A2、US2005/019859、EP1575998、US2008/081356)。他の文書は、他の特定培地の特徴と組み合わせた温度ステップの使用を記載する。例えばEP1757700A2は、培地成分としての酪酸塩の存在と組み合わせた温度ステップを開示し、一方EP1789571A1は、定義されるアミノ酸含有量と組み合わせた温度ステップを記載する。
他の細胞培養条件も変化している。US5856179は、フェドバッチ細胞培養においてポリペプチドを産生するための方法を導入しており、培養中、培地のモル浸透圧濃度は主要増殖期中の約280〜330mOsmから生産期中の約400〜600mOsmに相当変化する。
WO02/101019は、温度およびpHの変化を含めて、グルタミンおよびグルコース濃縮物などの多くの特定培地成分に焦点を当てている。しかしながら、高グルコース培地中のpH変動は培養にマイナスの影響があること、および増殖または生産期中にpHを低下させることは勧められないことが分かった。
WO2006/026445は、細胞培養条件を一組の培養条件から第二組に変化させ、この変化を特定アミノ酸の含有量に関する特定の培地の特徴と組み合わせる、ポリペプチドを産生するための方法を開示する。条件の変化は、温度の変動と具体的に関係がある。pHまたはモル浸透圧濃度などの条件の他の変化は他の選択肢として一般に言及されるが、しかしながら、個々のパラメーター設定は指定されていない。
前述の課題および既存の欠点を考慮すると、バイオテクノロジー産業の分野において、さらに高い収率、すなわち改善された特異的および全体的生産性、および高い品質で、組換えポリペプチドの産生を産業規模で可能にする、改善された培養法が絶えず必要とされる。
ポリペプチド産生法の具体的な技術目標は、高い細胞生存性を維持すること、および全細胞培養法のパラメーターを最適化することによりポリペプチドの最終収率を最大にすることである。
本発明は、組換えポリペプチドを産生するための方法において、温度変動とpH変動を組み合わせることに関する。組換え細胞、特にCHO細胞の必要性に適合させると、これら2つのパラメーターの特定の組合せは、細胞の高い生産性、および組換えにより産生したポリペプチドの改善された品質をもたらした。特に本発明は、絶対的および相対的数値ならびに個々の変動程度に関して(1つまたは複数の)温度およびpH変動の個々のタイミングおよびスケジュールに基づく、プラスの影響を見出している。
本発明の一態様によれば、培地中でCHO細胞を培養すること、および組換えポリペプチドを発現させることを含み、温度およびpHを方法中に変える、組換えポリペプチドを産生するための方法を開示する。
特に、本発明による方法は、少なくとも1つの温度変動および少なくとも1つのpH変動を含む。本発明の一実施形態では、第一の高い方の温度から第二の低い方の温度への変動は、細胞を最初に増殖させ、第一の温度で少なくとも3日間、あるいは少なくとも4日間、または少なくとも5日間維持した後に実施する。第二の低い方の温度は、第一の温度より約1℃〜約8℃低い。本発明の別の他の実施形態では、温度の変動は、例えば約2℃と約5℃の間、特に約4℃または約3.5℃である。次いで第二の温度を少なくとも2日間維持する。第二の温度は採取まで維持することができる。
本発明の一実施形態によれば、第一の温度は約33℃と約38℃の間の範囲内にあることが好ましく、第二の温度は約30℃と約37℃の間の範囲内にあることが好ましい。
温度の変動以外に、pHも第一のpHから第二のpHに変化させる。したがって、本発明による方法は少なくとも1つのpH変動を含む。特に、細胞は第一のpH値で少なくとも2日間増殖させ、次いで、第一のpHより約0.05〜約1pH単位低い第二のpH値にpHを変動させ、細胞を前記第二のpHで少なくとも1日間、あるいは少なくとも2日間増殖させる。いくつかの実施形態では、第二のpHは採取まで維持する。
第一のpH値は、約pH6.8と約pH7.5の間の範囲内にあることが好ましい。第二のpH値は、約pH6.0と約pH7.1の間の範囲内にあることが好ましい。
したがって、本発明の一実施形態は、組換えポリペプチドを産生するための方法であって、少なくとも1つの温度変動および少なくとも1つのpH変動を含む条件下において培地中でCHO細胞を培養すること、および組換えポリペプチドを発現させることを含み、
細胞を第一の温度で少なくとも3日間増殖させ、次いで、第一の温度より約1℃〜約8℃低い第二の温度に温度を変動させ、細胞を前記第二の温度で少なくともさらに2日の間維持し、
細胞を第一のpH値で少なくとも2日間増殖させ、次いで、第一のpHより約0.05〜約1pH単位低い第二のpH値にpHを変動させ、細胞を前記第二のpHで少なくとも1日間増殖させる方法である。
本発明による方法は、第一のpH変動の少なくとも1日後に続く第二のpH変動を、場合によっては含むことができる。第一のpH変動の少なくとも1日後に第二のpH変動が続く場合、第三のpH値は第二のpH値より約0.05pH単位〜約1pH単位高い。第三のpH値は採取まで維持することができる。
本発明による細胞培養法は、能動的および/または受動的pH変動を含む。すなわち、新たな値へのpHの目標値の変化によって「能動的に」、および/または代謝産物の蓄積により培地のpHを変化させ、細胞培養特異的代謝pHプロファイルを予め定義したpH範囲内にすることによって「受動的に」pHを改変させる。本発明の好ましい実施形態では、能動的変動は、酸、例えばHCl、または塩基、例えばNaOHなどの、当業者に知られているそれぞれ(1つまたは複数の)pH改変剤および調整剤を加えることによって誘導する。方法のさらなる好ましい実施形態では、1つのpH目標値および不動帯を定義することによってこれを実施し、pHを変化させることが可能である。能動的変動とは対照的に、pHの受動的変動または変化は、それぞれ(1つまたは複数の)pH改変剤を加えることによって誘導されない。
さらなる態様では、本発明による方法は、無タンパク質および無血清である培地を使用して実施する。培地は、約40mMと約100mMの間、あるいは約50mMと約100mMの間の全アミノ酸含有量によって特徴付けられることが好ましい。
前に定義した好ましい方法は、培養物に加える少なくとも2つの栄養液の供給を含むフェドバッチ形式で行う。このような方法では、例えば、培養培地に加える供給液の1つが、ジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含む供給物である。供給物は、10を超える塩基性pHにおいて水溶液中に約6.5g/lと約8.0g/lの範囲内および約9g/lと約11g/lの範囲内の各濃度で、ジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含むことがさらに好ましい。特に、濃度はシスチンに関して約7.25g/lおよびチロシンに関して約10.06g/lであってよい。好ましい実施形態では、シスチンおよびチロシンを含む供給液は1日当たり初代培養培地重量の約0.2重量%と約0.8重量%、またはあるいは1日当たり初代細胞培養培地重量の約0.4重量%の範囲内の量で培養培地に加えられる。
本発明による方法は、グリコシル化状態である組換えポリペプチドの産生に使用することが好ましい。具体的な実施形態によれば、ポリペプチドは抗体または抗体断片である。
本発明は、以下の実施例および図面を参照することによってさらによく理解される。しかしながら実施例は、本発明の範囲を制限することを目的とするものではない。
pH7.00〜6.80の変動での段階的変化による能動的pH変動の実施を示す図である。 受動的pH変動実施によって得られたpHプロファイルを示す図である。6.90への目標値を設定し0.10の不動帯を定義することによって、生産用バイオリアクター中での7.00〜6.80のpH変動に達した。6.80への第一のpH変動後、培養の最後までpHを6.80に能動的に維持する。 第二のpH変動でのpHプロファイルを示す図である。この実施例では、(前の)上限pHに到達しない。 第二のpH変動でのpHプロファイルを示す図である。ただし、ここではpHは上限pHに再度適合し、そこで維持される。 振とうフラスコ培養中の培養時間の関数として、mAb1産生CHO細胞クローンの生存細胞密度に対する一定温度および温度変動の影響を示す図である(実施例1参照)。 mAb1産生CHO細胞クローンの生存性に対する一定温度および温度変動の影響を示す図である(実施例1参照)。 温度変動有りまたは無しで、mAb1産生CHO細胞クローンの振とうフラスコ培養に関する培養時間の関数として、産物力価を示す図である(実施例1参照)。 mAb2産生クローンにおける培養時間中のラクテート濃度を示す図である(実施例2参照)。 CHO細胞クローンを含む300Lバイオリアクター中での培養時間の関数として、生存細胞密度を示す図である。培養条件は、温度ステップ(第5日)、および目標値および不動帯でのpH制御による2つのpH変動を含んでいた(これも実施例2参照)。 CHO細胞クローンを含む300Lバイオリアクター中での培養時間の関数として、産物力価を示す図である。方法は温度およびpH変動と組み合わせた(図7および実施例2も参照)。 3回の独立した実験、生存細胞の積分関数として、ガラス製バイオリアクター中で培養したCHO細胞培養物を用いたフェドバッチ法によって得たmAb3濃度を示す図である。培養条件は、全3回の実験に関して同一の温度変動、および1回の実験のみ追加的pH変動を含んでいた。
本発明によれば、組換えポリペプチドを調製するための方法は、CHO細胞を培養すること、および組換えポリペプチドを発現させることを含み、温度およびpHを方法中に変える。本発明は、温度およびpH変動を含めた培養の経時変化中に細胞培養条件を動的に適合させることにより、CHO細胞培養におけるポリペプチドの大規模生産の方法を改善しようと努めている。
用語ポリペプチドの「大規模生産」は、治療活性がある生物製剤の調製に使用される組換えポリペプチドの、工業生産に典型的に必要とされる量に関する。少なくとも500Lの体積、または少なくとも1000L、またはあるいは少なくとも5000L、またはさらに高体積の細胞培養培地を用いた細胞培養は、典型的には大規模生産用途となる。
本明細書で使用する用語「細胞培養培地」は、長時間にわたり細胞を増殖するのに使用することができる栄養素の水溶液を指す。典型的には、細胞培養培地は以下の成分を含む。通常、炭水化物化合物、好ましくはグルコース、アミノ酸、好ましくは全必須アミノ酸を含めたアミノ酸の基底集合、ビタミン、および/または低濃度で必要とされる他の有機化合物、遊離脂肪酸、および微量元素、無機塩を含めた無機化合物、緩衝化合物およびヌクレオシドおよび塩基であるエネルギー源。
例えば治療活性がある組換えポリペプチドを産生するための、製薬産業の分野における細胞培養培地の使用は、安全性および汚染の問題のため、生物起源の任意の物質の使用を一般に可能にしない。したがって、本発明による細胞培養培地は、無血清および/または無タンパク質培地であることが好ましい。用語「無血清および/または無タンパク質培地」は、組織加水分解物のような動物源由来の添加剤、例えばウシ胎児血清などを含有しない、化学的に完全に定義された培地を表す。さらに、タンパク質、特にインスリン、トランスフェリンなどのような成長因子も、本発明による細胞培養に加えないことが好ましい。さらに、本発明による細胞培養培地は、大豆、小麦または米ペプトンまたは酵母加水分解物などのような、加水分解タンパク質源を補充しないことが好ましい。
本明細書で使用する用語「温度変動」は、低い値に温度の目標値を能動的に改変することによる、バイオリアクター/培養容器中での培養温度の変化を指す。最初に温度を制御し、一定時間定義した温度で安定状態にし、目標値の変化後、次いで一定時間別の定義した温度で安定状態にする。温度ステップは、培養中のわずかな温度の自発的変動は指さない。
本明細書で使用する用語「pH変動」は、低い値または高い値にpHの目標値を能動的に改変すること、または上限pHと下限pHの間でpH変動を引き起こすことによる、バイオリアクター/培養容器中での培養物のpHの変化を指す。
培養容器/バイオリアクターの大きさおよび培養体積に応じて、培地中で測定する各パラメーターの変動は、数分間から数時間に及ぶ可能性がある。
以下でより詳細に記載するように能動的および/または受動的手法によって、2つの異なる方法でpHを変動することができる。
用語pHの「能動的変動」は、新たな値へのpHの目標値の変化によって定義する。本発明の好ましい実施形態では、当業者に知られているそれぞれ(1つまたは複数の)pH改変剤および調整剤を加えることによって、能動的変動を誘導する。
用語「受動的変動」は、pHの受動的変動中に、細胞自体が代謝産物の蓄積により培地のpHを変化させ、したがって細胞培養特異的代謝pHプロファイルを予め定義したpH範囲内にすることができることを示す。方法の一実施形態では、1つのpH目標値および不動帯を定義することによってこれを実施し、pHを変化させることが可能である。能動的変動とは対照的に、pHの受動的変動または変化は、それぞれ(1つまたは複数の)pH改変剤を加えることによって誘導されない。
pH調整剤を培養物に加えて、特定目標値にpHを維持する、またはpH変動中にpHを変化させる。細胞培養目的に使用するのに典型的なpH調整剤には、NaOHまたはHClなどの塩基性または酸性溶液がある。これらのpH調整剤を、培養容器/バイオリアクター中の培地に加える。あるいは、細胞培養培地をCOでガス処理してpHを調節することができる。
本発明の第一の態様によれば、CHO細胞を培養すること、および組換えポリペプチドを発現させることを含み、温度およびpHを方法中に変える、組換えポリペプチドを調製するための方法を開示する。さらにより詳細には、第一の高い方の温度から第二の低い方の温度への変動は、細胞を最初に増殖させ、第一の温度で少なくとも3日間、あるいは少なくとも4日間、または少なくとも5日間維持した後に実施する。この第二の低い方の温度は、第一の温度より約1℃〜約8℃低い。本発明の別の実施形態では、温度の変動は約2℃と約5℃の間であってよく、いくつかの実施形態では約4℃または約3.5℃である。次いでこの第二の温度を少なくとも2日間維持する。温度変動以外に、pHも第一のpHから第二のpHに変わる。
温度およびpHの変動に関する正確なパラメーターは事前に決定し、産生される各ポリペプチドをコードする1つまたは複数の特定遺伝子構築物でトランスフェクトした細胞系の必要性に基づいて適合させる。あるいは、バイオリアクター中での大規模生産培養中に決定される代謝パラメーターに応じて必要性が生じ得る。
高い方の温度から低い方の温度への温度変動は有用である。第一の温度は細胞増殖に最適であり、一方で低い方の温度は細胞死の割合を低減するからである。したがって、低減された温度は高い生存細胞密度の長期の維持を可能にする。この低減された温度での対象のポリペプチドの細胞特異的生産性は、通常最初の温度と比較して劇的に低減するわけではなく、時には細胞特異的生産性は同等であり、または時には一層優れている可能性がある。高い生存細胞密度の長期の維持は、不適切な性質の産物の形成を最小にする利点をさらにもたらすことができる。これらの要因の組合せは、採取時に、容量測定で高い生産性、および適切な性質である対象の産物の高力価の獲得を可能にする。一実施形態では、第一の温度は約33℃と約38℃の間の範囲内にある。別の実施形態では、第一の温度は約36℃と約38℃の間である。温度変動が約30℃と約37℃の間、または約32℃と約34℃の間、またはあるいは約30℃と約32℃の間の範囲内になり得る後に第二の温度に達する。
温度変動のタイミングは生産性を最大にするのに重要である。温度変動を時期尚早に実施する場合、高い細胞密度に到達せず、または到達するのに長時間を要する。温度変動を実施するのが遅すぎる場合、生存細胞密度の低下を効率よく妨げることはできない。温度変動のタイミングは、組換えポリペプチドの大規模生産に使用するバイオリアクターの接種後、数日中に定義することが好ましい。本発明の別の実施形態では、大規模生産用バイオリアクター中で到達する細胞密度によってタイミングを定義することができる。例えば、細胞の直線的または対数増殖期中に、または40〜90%の最大細胞密度に達したときに温度変動を開始する。細胞密度依存性目標値は、相対的数値(到達し得る最大細胞密度の%)または絶対的数値(生存細胞/ml)で表すことができる。一具体例では、60〜90%である細胞密度を選択する。
バイオリアクター/増殖用容器の接種と温度変動の間のタイミングは、使用する具体的なバイオリアクター/増殖用容器および細胞系に応じて、約3日と約14日の間の範囲であってよい。あるいは、第3日と第8日の間に変動を行う。前述の単一基準の代替として、時間および/または細胞密度に関して選択する条件が必ず適合するように、前述した変数の2つを組み合わせることにより二重基準を設定することもできる。
最適な増殖および産生に必要な場合、2つ以上の温度ステップ、例えば、それぞれ少なくとも約1℃、あるいは少なくとも約2℃の温度変化からなり、それぞれの温度を少なくとも1日間維持する、少なくとも2ステップを使用することもできる。したがって、温度はより一層低減することができ、より複雑な温度プロファイルを続けることができる。
本発明によれば、少なくとも2日間、あるいは少なくとも3日間、例えば少なくとも4日間またはさらに少なくとも5日間、pH変動前に第一のpH値で細胞を増殖させる。培養開始後最初の数日間のpHは、バイオリアクター中での細胞密度の急速な増大に好ましいように選択する。この時間中、細胞増殖に最適である特定目標値に、バイオリアクターのpHを制御する。特定細胞密度に達した後、培養のpHを改変することが有利である。pHは、この第一の期間後、第一のpHより約0.05〜1pH単位低い第二のpH値に変動する。細胞は前記第二のpHで少なくとも2日間増殖させる。本発明のいくつかの実施形態では、第二のpH値は、第一のpHより約0.15〜約1pH単位低くてよい。このpH変動は、バイオリアクター/培養容器のpH目標値を変えることによって通常到達する。第二のpH値は、細胞死(例えばアポトーシス)を低減し、適切な品質のポリペプチドの高い細胞特異的産生率の維持を可能にするように選択する。したがって、第一の実施形態では、pH変動のタイミングは、組換えポリペプチドの大規模生産に使用するバイオリアクターの接種後、数日中に定義する。第二の実施形態では、大規模生産用バイオリアクター中で到達する細胞密度によってタイミングを定義することができる。さらなる代替によれば、細胞培養培地での培養中に測定される特異的代謝パラメーターに応じてタイミングを決定することもできる。非制限的一例では、これはラクテート濃度であってよい。例えば、高いpH目標値にpHを維持するための必要用量のCOまたは時間当たりの酸の調節、または低いpH目標値にpHを保つための必要用量のNaOHもしくは腐食剤の調節などの、培養物の代謝状態を反映する間接的パラメーターを使用することもできる。pH変動に関する1つの基準のみを使用する代わりに、あるいは、例えば接種後日数および細胞密度などのパラメーターを組み合わせることによって、組合せ基準を設定することができる。
pH変動戦略の利点は、培養過程中に溶存二酸化炭素レベルおよび塩基の添加を低減することができ、したがってそれらのマイナスの影響を回避するという事実も含む。培養の初期では、培養容器またはバイオリアクター中で高いpH値(例えば7.0)を有することが有利である。低いpH値(例えば6.8)は、pHを維持するために高レベルの二酸化炭素を必要とし得るからである。しかしながら、これらの高レベルの二酸化炭素は細胞に対してマイナスの影響を有し、増殖率を低減する可能性がある。対照的に、培養の後期段階では、高いpH(例えば7.0)の維持は低いpH(例えば6.8)の維持より多くの塩基の添加を必要とする。これは乳酸が形成されるためであり、生じる酸性は塩基の添加によって補われるはずである。pH目標値が高くなるほど、必要とされる塩基の量は多くなる。塩基の添加は培養物のモル浸透圧濃度を増大させ、これは増殖および高い生存細胞密度の維持に好ましくない可能性がある。
pH変動戦略の考えられる利点は、乳酸形成を最小にする観点から記載することもできる。CHO細胞は一般に、高い値(例えば7.0)より少量の乳酸を低いpH値(例えば6.8)で産生する。産生する乳酸が少ないとより少量の塩基を加える結果となり、これは前に記載したように有益である。
一実施形態では、第一のpHは、pH6.8とpH7.5の間の範囲内に存在するように選択する。別の実施形態では、第一のpHは、pH6.8とpH7.2の間の範囲内に存在するように選択する。さらなる実施形態では、第一のpHは、最大pH7、またはあるいはpH7未満であるように選択する。pH変動後に到達する第二のpH値は、pH6.0とpH7.5の間、またはpH6.5とpH6.8の間の範囲内にある。
温度とpH変動の相対的タイミングを選択して最適な結果を得る。温度とpH変動の最適なタイミングは方法特異的な形式で選択し、培養物の増殖状態または代謝状態に依存し得る。原則として温度の変動は、pH変動のタイミングとは無関係に一定の培養時間地点で実施することができる。本発明の一実施形態では、温度変動は、pH変動前またはそれと同時に行うことができる。本発明の一実施形態では、温度変動はpH変動前に行う。例えば温度変動は、pH変動を行う1〜5日前に開始することができる。本発明の別の第二の実施形態では、温度変動はpH変動と同時に開始する。本明細書中の用語「同時」は、第一の値から第二の値への両方の各パラメーターの進行中の変動を指す。温度の目標値とpHの目標値が変化しているとき、および両方のパラメーターがその第二の安定値に依然達していないときに、このような同時変動を行うことができる。あるいは、受動的pH変化期中に温度の目標値が変化したときに、このようなシナリオが生じ得る。上限および下限pHを定義する目標値および不動帯によるpH調整の場合これが生じる(以下をさらに参照)。本発明のさらなる実施形態では、温度変動はpH変動後に行うことができる。例えば温度変動は、pH変動後1〜5日で開始することができる。
本発明のさらなる態様では、前記第一のpH値と前記第二のpH値の間でpHを能動的または受動的に変化させる。培養物のpHを制御するため、およびpH変動を実施するための、いくつかの考えられる方法が存在する。本発明の一態様では、pH制御剤のpH目標値(不動帯なし)を新たな値に変えることによって、第一のpH値から第二のpH値にpHを能動的に変動させる。
結果として、第一のpH値から第二のpH値への変化は培養中準直接的(段階的変化)である。図1は、この特定実施例における、pH7.00〜6.80の変動での、このような段階的変化によるpH変動の実施を示す。本発明のこの実施形態では、然るべくpH調整剤(例えば、COまたはNaOH)を投与することによって高いpH値に最初にpHを維持し、次いで目標値(不動帯なし)を能動的に変えることによって低い値に変える。低い目標値のpHには、培養物に酸性化剤を能動的に投与/添加し急速な変化をもたらすこと、またはより塩基性である第一のpHにpHを維持する作用物質を除去することのいずれかによって達することができる。バイオリアクターの大きさおよびpHに影響を与える前述の方法に基づいて、pH変化は数分間から最大24時間以内に終了することができる。
本発明のさらなる態様では、pHは上限および下限pHに相当する第一のpH値から第二のpH値へ受動的に変動(移動)させることができ、したがって細胞培養特異的代謝プロファイルに従う。結果として、第一のpH値から第二のpH値への変化は段階的である。細胞培養培地のpHを制御しpH変動を実施するこの代替法には、目標値および不動帯でバイオリアクターのpH制御剤をプログラムすることによって達する。これは、pH制御剤が作用しない、方法に許容可能なpH範囲を定義する。例えば、6.90の目標値pHおよび0.10pH単位の不動帯は、上限pHとしてpH7.00および下限pHとしてpH6.80を定義する。細胞培養産生バイオリアクター中では、培養の初期(最初の数日間)においてpHは典型的には上限であり、この場合培養物に二酸化炭素を投与することにより、制御剤はpHが上昇するのを妨げる。細胞によって産生される乳酸の累進的蓄積のため、典型的には数時間以内に、最終的にpHは例えば7.00から6.80に連続的に低下する。例えば6.80の下限pHに達した後、培養物に塩基性溶液を投与することにより、制御剤はpHがこのpH未満に低下するのを妨げる。バイオリアクターの大きさ、具体的な細胞系、細胞密度または培地条件に基づいて、段階的なpH変化が数時間以内に起こる可能性があり、または最大1日を要する可能性がある。
本発明のさらなる態様では、第二のpHでのpH変動後、採取まで培養時間の残りの間、培養物の第二のpHを能動的に維持する。これは、pH目標値を前記第二のpH値に変えること、および然るべくpH調整剤を投与することによって実施される。
本発明のさらなる態様では、第一のpH変動に第二の変動が続く。第二のpH変動は最初の変動後少なくとも1日で行い、到達する第三のpH値は第二のpHより少なくとも0.05pH単位高い。
本発明のさらなる態様では、第二のpH変動は能動的または受動的に実施され、前記第三のpH値に到達することもできる。第一の実施形態では、第一のpH変動に関して前述したように(前参照)pH目標値を能動的に変化させることによって、これを行うことができる。第二のpH変動のタイミングは第一のpH変動後数日以内に定義することができ、および/または再度例えばラクテート濃度などの代謝パラメーターに依存した状態になり得る。このような変動は、第一のpH変動後1日〜10日で典型的には実施することができる。能動的変動は、培養のpH目標値を変えることによって開始する。pH調整剤は然るべく投与する。
第二の実施形態では、pHは受動的に変化させられ、その代謝pHプロファイルをたどらせることも可能である。例えば既に前述したように下限pHおよび上限pHを定義することによって、これを実施することができる。この場合の上限pHは、第一のpH変動に関して定義したのと同じ上限pHに相当する可能性があり、またはそれは新たな低い値もしくは高い値に改変することができる。このような下限pHおよび上限pHは、目標値および不動帯でバイオリアクターのpH制御剤をプログラムすることによって達成可能であることが好ましい。このようなpHの受動的変化は細胞による培養後期の乳酸の再代謝によって起こる可能性があり、これが前記pH範囲の下限を超える値にpHを再度増大させる。いくつかの場合、pHは範囲の上限に再度到達すると考えられ、他の場合、pHはその限界未満に留まる可能性もある。第二のpH変動の程度は、0.05と1pH単位の間の値を含み得る。変動/変化の割合は細胞による乳酸の代謝活性および再代謝に依存するので、このような受動的pH変動の時間は正確には定義されない。典型的には上限pHに到達するのに0.5〜2日を要し得るが、受動的変化の場合、pHが培養の最後まで定義した上部閾値未満に留まる可能性もある。
実施戦略の選択は、COに対する細胞の感受性および産物形成に最適なpHなどの、多数の要因に依存する。異なるpHプロファイルは、培養の行程にわたり2つ以上の具体的な目標値を定義すること、または(培養中に場合によっては変わる可能性もある)目標値および不動帯を単に定義することによって得ることができる。目標値および不動帯の設定により入手可能である異なるpHプロファイルを、実施例値としてpH6.90の目標値および0.10の不動帯に関して図2中に示す。
本発明のさらなる態様では、温度および1つまたは複数のpH変動を含む方法によって産生されるポリペプチドの合計量は、温度変動と1つまたは複数のpH変動の組合せなしより多い。特定トランスフェクト細胞系の必要性に対してタイミングおよびステップサイズの点で適合する、少なくとも1つの温度変動と少なくとも1つのpH変動の組合せは、より良い産物収率をもたらした。
本発明の他のさらなる態様では、温度および1つまたは複数のpH変動を含む方法には、温度変動と1つまたは複数のpH変動の組合せなしで得られる性質と比較して、改善された性質の産物をもたらす可能性がある。培養中の生産期における低いpH値へのpH変動の有益な影響に関して、1つの考えられる理由は以下の通りであり得る。アンモニアは典型的には培養時間で細胞培養培地中に蓄積し、産物のグリコシル化におそらく影響を与えることが知られており、考えられる結果は低下した品質である。アンモニアはNHの形で細胞に入ると考えられ、そこでアンモニアは、Hイオンを捕捉することによって細胞内pHに影響を与える可能性がある。結果として生じる細胞内pHの増大は、グリコシル化に影響を与える可能性がある。低い値への培養物のpHの変動は、細胞不浸透性であるNH へのNHのプロトン化の増大によって細胞外NHの濃度を低下させる。
本発明による温度および1つまたは複数のpH変動を含む細胞培養法は、様々な細胞培養培地を使用して実施することができる。使用可能であり一般に使用される細胞培養培地は、例えばD−MEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、D−MEM/F−12、ΜΕΜα、フィッシャー培地、RPMI 1640BME、BGJbであるが、これらの例に限られない。これらの培地には、例えば栄養素、ビタミン、または炭水化物などの、他の成分をさらに補充することができる。
主に細胞増殖用に最適化するのに適した培地は、以下の範囲に従う初期アミノ酸濃度を含有することが好ましい。
Figure 0005980772
前の表中に定義したようにアミノ酸を含有する培地は、本発明による改良型細胞培養法中で使用可能であることが好ましい。
本発明のさらなる態様は、組換えポリペプチドの大規模生産用に設計した生産培地の使用を含む。これらの生産培地は、多量の成分、例えばアミノ酸を場合によっては含有することができる。本発明の好ましい実施形態では、約40mMと約100mMの間、あるいは約50mmol/Lと約100mmol/Lの間の範囲の初期アミノ酸含有量を、これらの培地中で使用する。本発明の他の実施形態では、このような生産培地は、以下の範囲に従う初期アミノ酸濃度を含有する。
Figure 0005980772
前の表中に定義したようにアミノ酸を含有する生産培地は、本発明による改良型細胞培養法中で使用可能であることが好ましい。
細胞の培養は、接着培養、例えば単層培養、または好ましくは浮遊培養で実施することができる。
例えばバイオテクノロジー産業において確立した様々な発酵プロセスによって、細胞の大規模培養を使用することができる。本発明による細胞培養培地を使用して、連続および不連続な細胞培養プロセスを利用することができる。他の知られているリアクター技術、例えば灌流技術なども利用することができる。バッチプロセスは好ましい一実施形態である。
バッチ細胞培養は、フェドバッチ培養または単純バッチ培養を含む。フェドバッチ細胞培養は、哺乳動物細胞および細胞培養培地を最初に培養容器に供給し、他の培養栄養素を、培養の停止前に定期的な細胞および/または産物採取有りまたは無しで培養プロセス中に、培養物に連続的または不連続な増加で供給する、細胞培養を指す。単純バッチ培養は、哺乳動物細胞および細胞培養培地を含めた細胞培養に関する全ての成分を、培養プロセスの開始時に培養容器に供給する手順に関する。
本発明のさらなる態様では、培養物の供給は、培養物に加える2つの栄養液からなる供給物を用いてフェドバッチ法で行う。2つの栄養液は、特定細胞系および産物に関して決定した所定のスケジュールに基づくか、または例えば培養容器中のグルコースもしくはアミノ酸の消費の測定により決定する代謝に関する必要性に従うかのいずれかで、培養容器に加える。2つの栄養液は、大量供給としてまたは連続的のいずれかで、独立して加えることができる。典型的には、栄養供給液は、アミノ酸、エネルギー源として少なくとも1つの炭水化物、微量元素、ビタミンまたは特定イオンを含む。濃縮供給液を使用して、多量体積増大および産物の希釈を回避することが特に有利である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる供給液を有することが有用である可能性もある。これは細胞への2つ以上の異なる群の栄養素と成分の独立した投与、したがって特定栄養素の最適な供給に関する供給条件のより良い調節を可能にする。
本発明のさらなる実施形態では、細胞培養培地に加える2つの供給液の1つは、10を超える塩基性pHにおいて水溶液中に約6.5g/lと約8.0g/lの範囲内および約9g/lと約11g/lの範囲内の各濃度で、ジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含む濃縮供給物である。特定の実施形態では、濃縮供給物は、10を超えるpHにおいて10.06g/lのL−チロシンおよび7.25g/lのシスチンの各濃度で、ジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含む。
前に記載したようなシスチンおよびチロシンを含む供給培地は、測定した各アミノ酸の消費に基づくか、または例えば、1日当たり初代細胞培養培地重量の約0.2重量%〜約0.8重量%、もしくは1日当たり初代細胞培養培地重量の約0.4重量%での固定スケジュールに従うかのいずれかで、加えることができる。
いくつかの例では、他の供給液は、チロシンおよびシスチン以外の、塩基性培地中にも存在する全ての他のアミノ酸を含有する。いくつかの例では、この追加的供給液は、例えばアミノ酸または炭水化物などの、特定の選択した成分からなってよい。本発明のさらなる実施形態では、この濃縮供給培地は、以下の濃度範囲に従う選択したアミノ酸を含有することが好ましい。
Figure 0005980772
グルコースなどの炭水化物も、この濃縮供給培地に加えることが好ましく、好ましい濃度は約1200mmol/lと約1400mmol/lの間、またはあるいは約1300mmol/lと約1395mmol/lの間である。
グルコースなどの炭水化物を含むことが好ましい、直前に記載した供給培地は、測定した各アミノ酸の消費に基づくか、または1日当たり初代細胞培養培地重量の例えば約1重量%〜約4重量%、例えば、1日当たり初代細胞培養培地重量の約2重量%での固定スケジュールに従うかのいずれかで、加えることができる。
本発明による細胞培養および細胞培養培地から産生することができるポリペプチドは制限されない。ポリペプチドは組換え型または非組換え型であってよい。ポリペプチドは宿主細胞と相同的であってよく、または好ましくは外因性起源であってよい。本明細書で使用する用語ポリペプチドは、ペプチド結合により接合した3つ以上のアミノ酸の鎖で構成される分子、2本以上のこのような鎖を含有する分子、例えばグリコシル化によってさらに修飾された1本または複数本のこのような鎖を含む分子を包含する。用語ポリペプチドはタンパク質を包含するものとする。対象のポリペプチドは任意の起源であってよい。好ましい対象のポリペプチドはヒト起源であり、およびより好ましくは、対象のタンパク質は治療用タンパク質である。
本発明による細胞培養および細胞培養培地によって産生される好ましいクラスのポリペプチドは、組換え抗体である。
用語「抗体」は広義に使用し、(完全長モノクローナル抗体を含めた)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、ナノボディ、修飾抗体、抗体のサブユニット、抗体誘導体、人工抗体、抗体とタンパク質の組合せ、および望ましい生物活性を示すほど十分長い抗体断片を具体的には含む。本明細書で使用するモノクローナル抗体はヒト抗体であってよい。
しかしながら、抗体以外のポリペプチド、例えば、膜貫通タンパク質、受容体、ホルモン、増殖因子、プロテアーゼ、凝固および抗凝固タンパク質、阻害剤タンパク質、インターロイキン、輸送因子、融合タンパク質などのようなポリペプチドを、本発明による細胞培養および細胞培養培地を使用して産生することもできる。
このような細胞培養プロセスから得られる産物は、医薬調製物の調製に使用することができる。さらに、本発明による(1つまたは複数の)タンパク質は、薬学的に許容される界面活性剤、レシピエント、担体、希釈剤および賦形剤などの生物学的活性剤の他の成分と一緒に投与することができる。
本発明を、以下の実施例によりさらに例示する。
以下に記載する実施例中では、以下の表1中に詳述する組成を有する、化学的に定義された細胞培養培地1および2を使用する。これらの細胞培養培地の個々の成分は、標準的な市販品から入手可能である。
Figure 0005980772
Figure 0005980772
以下の表2は、L−チロシンおよびシスチンを含有する濃縮供給培地の組成を示す。供給培地は、測定した各アミノ酸の消費に基づくか、または1日当たり例えば0.4重量%での固定スケジュールに従うかのいずれかで、加えることができる。
Figure 0005980772
以下の表3は、例示的な濃縮供給培地の組成を示す。供給培地は、測定したアミノ酸の消費に基づくか、または1日当たり例えば2重量%での固定スケジュールに従うかのいずれかで、加えることができる。
Figure 0005980772
実施例の実験用に、無血清、無タンパク質培地条件に適合させることによって、dhfr(+)CHO−K1細胞系ATCC CCL−61に由来する親CHO細胞系を使用する(Kao et.al., Genetics,1967,55,513-524; Kao et.al., PNAS,1968,60,1275-1281; Puck et.al., J.Exp.Med.,1958,108,945-959)。この親細胞系の3アリコートをトランスフェクトして、それぞれ3つの異なるモノクローナル抗体mAB1、mAB2、mAB3を発現させる。
実施例1中では、培地1を含有する2つの振とうフラスコ培養物を、mAb1産生CHOクローンと平行して接種する。振とうフラスコ培養物は、37℃において二酸化炭素インキュベーター中でインキュベートする。第3日に、1つの振とうフラスコを33℃に設定した二酸化炭素インキュベーターに移す。両方の振とうフラスコに、2つの供給液を同様に供給する。供給物には固定スケジュールに従い補充し、第5日に始めて1日当たり0.4%の第一の供給液(表2)および2%の第二の供給液(表3)を加え、培養の最後まで続けた。
33℃への温度変動によって、実験の全期間37℃に維持した培養物と比較して、経時的な培養物の生存細胞密度および生存率(図3および4)の長期の維持、および高い産物力価の獲得(図5)が可能になる。この実施例は、CHO宿主細胞系ベースの細胞培養の生産プロセス中に33℃への温度変動を実施する利点を例示する。
この実施例では、培地2を含有する300LバイオリアクターにmAb2産生CHOクローンを接種する。第5日に、バイオリアクターの温度を36.5℃から33℃に変動させる。pH目標値は6.90であり不動帯は0.10である。結果として、培養はpH7.00で始まり、pHは第2日と第4日の間に6.80まで移動し、細胞による乳酸消費のため次いで7.00に次第に戻る(図6)。pH6.80への変動によって、一定pH7.00でのシナリオと比較して、塩基の添加を減らすことができる。pH7.00への回復によって、第一の変動後pHを6.80に放置するシナリオと比較して、培地内のCOの濃度を低下させることが可能である。温度変動とpH変動を組み合わせたこの方法では、高い生存細胞密度に達し、経時的な生存細胞密度の低下は最小であり(図7)、第14日に適切な性質の産物の高力価に達することができる(図8)。供給は実施例1中と同様に施す。
この実施例では、3つの独立したフェドバッチ培養法を、mAb3産生CHO細胞クローンおよび培地2(表1参照)を使用して、ガラス製バイオリアクター中で実施する。実施例1の供給スキームを再度施用する。2つの独立した培養は追加的pH変動なしの温度変動を含む。すなわち、両細胞培養中のpHは培養の全期間にわたりpH7.0の値に維持する。第三の培養実験は、培養の第3日に施すpH7.0からpH6.8への追加的pH変動によって、最初の2つの実験と異なる。全3回の実験中で実施した温度変動は、それぞれ4〜6×10生存細胞/mlの細胞密度で行った。図9中、対応するCHOクローンからの発現産物として得たmAb3濃度を、1ミリリットル細胞培養液中の細胞濃度/ml VCDから計算した全生存細胞の積分である生存細胞の積分関数(IVC)として示す。勾配y/xは、単一生存細胞が1時間中に産生することができる組換えmAb3産物の量を示す、細胞特異的生産性qp[pg/VC/h]である。したがって図9は、追加的pH変動を施したときの細胞培養における細胞特異的生産性の増大を例示する。追加的pH変動のため、細胞はゆっくりと増殖するが、増大した生産性を示す。

Claims (17)

  1. 組換えポリペプチドを産生するための方法であって、少なくとも1つの温度変動および少なくとも1つのpH変動を含む条件下において、無タンパク質かつ無血清であり40mM〜100mMの間の全アミノ酸含有量によって特徴付けられる培地中でCHO細胞を培養すること、および組換えポリペプチドを発現させることを含み、
    細胞を第一の温度で少なくとも3日間増殖させ、次いで、第一の温度より1℃〜8℃低い第二の温度に温度を変動させ、細胞を前記第二の温度で少なくともさらに2日の間維持し、
    細胞を第一のpH値で少なくとも2日間増殖させ、次いで、第一のpHより0.05〜1pH単位低い第二のpH値にpHを変動させ、細胞を前記第二のpHで少なくとも1日間増殖させる方法であって、
    前記培地が、以下の4組のうちのいずれかの初期アミノ酸濃度(単位:mM)を含有するものである、方法:
    アルギニン 遊離塩基 :4.0〜6.0、
    アスパラギン一水和物:3.0〜6.0、
    アスパラギン酸:2.5〜4.0、
    グリシン:0.3〜0.8、
    ヒスチジンHCl H 2 O:0.6〜1.0、
    イソロイシン:2.0〜5.0、
    ロイシン:3.0〜7.0、
    リシンHCl:2.0〜4.0、
    メチオニン:1.0〜1.5、
    フェニルアラニン:1.0〜2.0、
    プロリン:2.5〜6.0、
    セリン:3.0〜8.0、
    スレオニン:2.0〜3.5、
    トリプトファン:0.4〜1.0、
    バリン:2.5〜5.0、
    チロシン:1.0〜2.0、
    シスチン:0.5〜1.0および
    グルタミン:5.5〜9.5、
    または
    アルギニン 遊離塩基 :4.5〜5.5、
    アスパラギン一水和物:4.0〜5.5、
    アスパラギン酸:3.0〜3.6、
    グリシン:0.5〜0.7、
    ヒスチジンHCl H 2 O:0.7〜0.9、
    イソロイシン:3.0〜4.0、
    ロイシン:3.5〜6.0、
    リシンHCl:2.5〜3.5、
    メチオニン:1.2〜1.4、
    フェニルアラニン:1.3〜1.8、
    プロリン:3.0〜5.5、
    セリン:4.0〜7.0、
    スレオニン:2.5〜3.1、
    トリプトファン:0.5〜0.8、
    バリン:3.0〜4.5、
    チロシン:1.2〜1.8、
    シスチン:0.6〜0.8および
    グルタミン:6.2〜8.2、
    または
    アルギニン 遊離塩基:4.0〜6.0、
    アスパラギン一水和物:9.0〜11.0、
    アスパラギン酸:2.5〜4.0、
    グリシン:0.3〜0.8、
    ヒスチジンHCl H 2 O:1.0〜1.5、
    イソロイシン:5.5〜7.0、
    ロイシン:8.0〜10.0、
    リシンHCl:3.0〜6.0、
    メチオニン:1.5〜2.5、
    フェニルアラニン:2.0〜3.5、
    プロリン:7.5〜9.0、
    セリン:10.5〜13.0、
    スレオニン:3.5〜5.5、
    トリプトファン:0.9〜2.0、
    バリン:5.5〜7.5、
    チロシン:1.0〜3.0、
    シスチン:0.5〜2.0、
    グルタミン:5.5〜9.5および
    グルタミン酸:0.5〜2.5、
    または
    アルギニン 遊離塩基:4.5〜5.5、
    アスパラギン一水和物:9.5〜10.5、
    アスパラギン酸:3.0〜3.6、
    グリシン:0.5〜0.7、
    ヒスチジンHCl H 2 O:1.1〜1.3、
    イソロイシン:6.0〜6.8、
    ロイシン:9〜9.2、
    リシンHCl:4.0〜5.0、
    メチオニン:1.5〜2.0、
    フェニルアラニン:2.5〜3.0、
    プロリン:8.0〜8.5、
    セリン:11.0〜11.9、
    スレオニン:4.0〜5.0、
    トリプトファン:1.0〜1.4、
    バリン:6.0〜6.8、
    チロシン:2.0〜2.5、
    シスチン:1.0〜1.3、
    グルタミン:6.2〜8.2および
    グルタミン酸:1.0〜1.2
  2. 前記第一のpH値と前記第二のpH値の間でpHを能動的に変化させられる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一のpH値と前記第二のpH値の間でpHを受動的に変化させられる、請求項1から2のいずれかに記載の方法。
  4. 第一の温度が33℃と38℃の間の範囲内にある、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 第二の温度が30℃と37℃の間の範囲内にある、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 第一のpH値がpH6.8とpH7.5の間の範囲内にある、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 第二のpH値がpH6.0とpH7.1の間の範囲内にある、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記第二のpHを培養の最後まで能動的に維持する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 第一のpH変動の後、少なくとも1日後に第二のpH変動が続き、第三のpH値が第二のpH値より0.05pH単位〜1pH単位高い、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記第二のpH値から前記第三のpH値にpHを能動的に変化させられる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記第二のpH値から前記第三のpH値にpHを受動的に変化させられる、請求項9に記載の方法。
  12. 培養物に加える少なくとも2つの栄養液の供給を含むフェドバッチ形式で培養を実施する、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 培養培地に加える供給液の1つがジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含む供給物である、請求項12に記載の方法。
  14. 供給物が、10を超える塩基性pHにおいて水溶液中に6.5g/lと8.0g/lの範囲内および9g/lと11g/lの範囲内の各濃度で、ジペプチドシスチンおよびアミノ酸チロシンを含む、請求項13に記載の方法。
  15. シスチンおよびチロシンを含む供給液は1日当たり初代培養培地重量の0.2重量%と0.8重量%の範囲内の量で培養培地に加えられる、請求項13および14のいずれかに記載の方法。
  16. 産生されるポリペプチドがグリコシル化されたものである、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
  17. ポリペプチドが抗体または抗体断片である、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
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