JP5978850B2 - 溶銑予備処理方法及び溶銑予備処理用攪拌体 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸の先端部に取り付けられたインペラを溶銑中に浸漬させ、このインペラを回転軸を介して回転させることにより、溶銑と、該溶銑よりも低比重の添加剤と、を攪拌して混合しながら行う溶銑予備処理方法、及び、脱硫処理や脱燐処理などの溶銑予備処理で使用する攪拌体に関する。
従来、溶銑中の不純物を除去する精錬(以下、適宜「溶銑予備処理」とも呼ぶ)では、不純物と反応して該不純物を除去するための添加剤(精錬剤)を溶銑に添加し、この溶銑を攪拌・混合して添加剤と不純物との反応を促進させている。この攪拌・混合は、精錬反応が溶銑と添加剤との界面で起こるので、添加剤を溶銑中に巻き込ませ、溶銑と添加剤との反応界面積を増大させるために行われている。また、添加剤は、一般的に溶銑に比べて比重が小さく添加しただけでは溶銑の表面に浮いてしまうので、溶銑と添加剤とを反応させる上でも溶銑の攪拌が必要となっている。
溶銑を攪拌する方法としては、溶銑に気体を吹き込んで行う気体吹き込み攪拌方式と、溶銑にインペラなどの回転する攪拌体を浸漬させて溶銑を機械的に攪拌する機械攪拌方式とが行われている。気体吹き込み攪拌方式と機械攪拌方式とを比較すると、機械攪拌方式の方が、溶銑に巻き込まれた後に溶銑表面に浮上した添加剤を繰返して溶銑中に巻き込ませやすいので、より効率的に精錬反応を進行させることができることから、現在、機械攪拌方式が主流となっている。
例えば、溶銑予備処理の1つである溶銑の脱硫処理では、精錬容器に収容された溶銑中にインペラを浸漬させ、このインペラを回転させて溶銑を攪拌しながら精錬容器内の溶銑に脱硫剤を添加し、溶銑を脱硫する機械攪拌式脱硫法が広く行なわれている。
インペラを用いた溶銑の機械攪拌式脱硫法では、処理時間の短縮や脱硫剤原単位の削減などを目的として、効率的な脱硫処理を実現するべく種々の提案がなされているが、基本的には、非特許文献1に記載されるとおり、インペラの回転数を高めて高速化することによって、溶銑と添加剤との反応界面積が拡大されて反応効率が向上することから、インペラをより高速に回転させることが効果的である。
しかしながら、インペラの回転を高速化させると振動が大きくなり、攪拌装置の損傷につながることから、従来、例えば特許文献1に開示されるように、インペラを高速回転する際には、攪拌動力の上限値を制限し、振動による過剰な力が攪拌装置に作用しないようにすることが行われてきた。但し、この方法では、攪拌動力の上限値を制限しているので、攪拌能力が十分とはいえず、反応効率を十分に向上させることはできない。
一方、インペラの回転による振動を抑制するべく、特許文献2には、インペラの昇降機構を、バネを用いて支持した攪拌装置が開示されている。この攪拌装置では、或る程度の振動をバネで抑制することは可能であるが、回転数が高くなってくると質量のアンバランスによる遠心力や、溶銑からの攪拌反力が大きくなることから振動が急激に大きくなるのに対し、バネで支えることができる力は限られており、従って、この攪拌装置でも高速回転時の振動を抑えることは困難である。
このように、インペラを用いた溶銑予備処理において、反応効率の向上の観点からはインペラの回転数を増大させることは効果的であることが知られているが、設備の損傷防止の観点から、インペラの回転数は或る一定以上に高めることができないという実情があった。
特開2005−290434号公報 特開2005−48226号公報
鉄と鋼、vol.90(2004)No.6.p.322−328
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回転軸とインペラとを備える攪拌体を用い、溶銑中に浸漬させたインペラを回転させることによって溶銑を攪拌しながら行う溶銑予備処理において、反応効率を向上させるべくインペラの回転を高速化しても、攪拌装置の振動を少なくすることのできる溶銑予備処理方法を提供することであり、また、回転軸とその先端部に取り付けられたインペラとを備える攪拌体であって、高速回転させても攪拌装置の振動を少なくすることのできる溶銑予備処理用攪拌体を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、回転軸とインペラとを備える攪拌体において、回転軸の1次曲げの共振周波数が溶銑を攪拌するインペラの回転数よりも大きくなるように、回転軸の形状を制御することで、インペラの回転数を高めても攪拌装置の振動が大きくならず、より強力に溶銑を攪拌できることを見出した。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]回転軸の下端側の先端部に取り付けられたインペラを精錬容器内の溶銑に浸漬させ、浸漬させたインペラを回転させることによって溶銑と添加剤とを攪拌して行う溶銑予備処理方法であって、前記回転軸を、上端から下端に向けて径が先細った形状とし、前記回転軸の1次曲げの共振周波数を、前記溶銑と前記添加剤とを攪拌するインペラの回転数よりも大きくして攪拌することを特徴とする溶銑予備処理方法。
[2]前記1次曲げの共振周波数はインペラの回転数の1.2倍以上であることを特徴とする、上記[1]に記載の溶銑予備処理方法。
[3]前記回転軸は中空構造であることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の溶銑予備処理方法。
[4]前記インペラの回転数は140rpm以上200rpm以下であることを特徴とする、上記[1]ないし上記[3]のいずれか1項に記載の溶銑予備処理方法。
[5]上端から下端に向けて径が先細った形状をした回転軸と、該回転軸の下端側の先端部に取り付けられたインペラと、を備え、上端側の前記回転軸の径d1に対する下端側の前記回転軸の径d2の比(d2/d1)が、0.34以上0.55以下であることを特徴とする溶銑予備処理用攪拌体。
[6]前記回転軸の1次曲げの共振周波数が2.8〜4.0Hzであることを特徴とする、上記[5]に記載の溶銑予備処理用攪拌体。
[7]前記回転軸は中空構造であることを特徴とする、上記[5]または上記[6]に記載の溶銑予備処理用攪拌体。
本発明によれば、上端から下端に向けて径が先細った形状の回転軸とインペラとを備える溶銑予備処理用攪拌体を用いて溶銑を攪拌することで、回転軸の1次曲げの共振周波数を上げることができ、ひいては、回転軸の1次曲げの共振周波数を、溶銑を攪拌するインペラの回転数よりも大きくすることができる。このため、攪拌体の共振による振動の増大を回避できることから攪拌体の高速回転が可能となる。これにより、溶銑に供給された添加剤を溶銑中に効率良く分散させることが実現され、従来に比べて高い反応効率で溶銑を攪拌処理することが達成される。その結果、例えば溶銑の脱硫処理の場合には、脱硫剤原単位の削減、これに伴う発生スラグ量の削減などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
本発明に係る攪拌体を用いて溶銑を攪拌しながら溶銑を脱硫処理する概略図である。 図1に示す攪拌体を回転軸の中心線を通る面で切断したときの概略断面図である。 図2に示すIII−III線からの矢視による概略断面図である。 上端側の回転軸の径d1に対する下端側の回転軸の径dの比(d2/d1)及び回転軸の相対共振周波数(ftapered /f linear)の関係を示すグラフである。 図1に示す攪拌体を回転軸の中心線を通る面で切断したときの図2の例とは別の例の概略断面図である。 中空構造の回転軸の外径do1に対する回転軸の内径di1の比(di1/do1)及び回転軸の相対共振周波数(fhollow /f solid )の関係を示し、かつ、(di1/do1)及び中実構造の回転軸の径dに対する中空構造の回転軸の外径do1の比(do1/d)の関係を示すグラフである。 中実構造であり、上端から下端に向けて径が一定の回転軸の周波数応答関数を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を適用して溶銑を攪拌しながら溶銑予備処理を行なう例を示す図であって、本発明に係る攪拌体を用いて溶銑を攪拌しながら溶銑を脱硫処理する概略図である。
本発明に係る溶銑予備処理用の攪拌体1は、金属製の回転軸2と、この回転軸2の先端部に取り付けられた、回転軸2の径方向に突出するインペラ3とを備えている。回転軸2の上端部にはフランジ2aが設置されており、このフランジ2aが、電動機、減速機、旋回軸などからなる回転装置(図示せず)と連結されており、この回転装置を駆動させることで、回転軸2及びインペラ3が任意の回転数で回転するように構成されている。
溶銑予備処理として溶銑5を脱硫処理する際には、回転装置とともに回転軸2及びインペラ3を下降させて、精錬容器4に収容された溶銑5にインペラ3を上方から浸漬させ、その状態で、回転軸2を介してインペラ3を回転させる。インペラ3が回転することで溶銑5が攪拌され、この攪拌によって溶銑5の浴面上に供給された添加剤6(この場合は脱硫剤)と溶銑5とが攪拌・混合され、溶銑中の硫黄と添加剤6との反応が進行し、溶銑中の硫黄が添加剤6に吸収されて溶銑5に脱硫処理が施される。溶銑5の脱硫処理では、添加剤6として、つまり、脱硫剤として、生石灰(CaO)単独、CaO−CaF2脱硫剤、CaO−Al23脱硫剤などが使用される。
このようにして使用される溶銑予備処理用の攪拌体1の詳細な構造を説明する。図2は、図1に示す攪拌体を回転軸の中心線を通る面で切断したときの概略断面図で、図3は、図2に示すIII−III線からの矢視による概略断面図である。図2に示す回転軸2は、中実円柱の構造となっている。
図2に示すように、回転軸2は、上端から下端に向けて径が先細った形状を有している。図2及び図3に示すように、回転軸2の下端側の先端部に、インペラ3の攪拌羽根の芯金となる複数個の金属板3aが溶接などによって接続されており、この金属板3aの周囲を耐火物7で被覆してインペラ3が形成されている。回転軸2も、インペラ3の近傍は耐火物7で被覆されている。溶銑5は高温であり、溶銑5に浸漬した際のインペラ3の耐用性が耐火物7によって確保される。回転軸2の下部を耐火物7で被覆する理由は、回転軸2を溶銑5の熱から保護するためである。耐火物7としては、例えばAl23、MgO、SiO2及びこれらの化合物または混合物を使用し、回転軸2及び金属板3aは鋼製とすればよい。図3では、インペラ3は4枚の攪拌羽根を有しているが、攪拌羽根は2枚以上である限り幾つであっても構わない。
溶銑5に浸漬させたインペラ3を回転させると、遠心力及び攪拌反力により、インペラ3の攪拌羽根部において径方向の力、すなわち、回転軸2を曲げる方向に力が働く。攪拌時にはインペラ3の回転数に応じて周期的に力が発生するので、インペラ3の回転周波数と回転軸2の1次曲げの共振周波数とが一致すると、共振現象が発生して大きな振動が発生する。従って、回転軸2の1次曲げの共振周波数をインペラ3の目標とする回転周波数よりも大きくなるように回転軸2を設計することで、大きな振動を発生させることなく目標の回転周波数での高速回転が可能となり、効果的な攪拌効果を得ることができる。また、攪拌羽根の一方の端からもう一方の端までのインペラの幅D(図3参照)が大きくなり、かつ、下端側の回転軸2の径が小さくなればなるほど、攪拌羽根が溶銑5に力を加える攪拌羽根部の実効面積を大きくすることができるため、攪拌効果を向上させることが可能となる。
具体的には、以下の手法を用いて、回転軸2の1次曲げの共振周波数がインペラ3の回転軸よりも大きくなるように、回転軸2の形状を制御する。
回転軸2の曲げは、集中質量が在る梁の曲げ振動としてモデル化することができることから、回転軸2の1次曲げの共振周波数fは下記の(1)式で表すことができる。
Figure 0005978850
(1)式において、Cは定数を示し、Eは回転軸2のヤング率(Pa)、Lは回転軸2の長さ(m)、Iは回転軸2の断面2次モーメント(m4)、mは回転軸2の質量(kg)、Mは回転軸2の先端に作用する集中質量(kg)で、耐火物及び攪拌時に付着する地金やスラグの総質量である。
回転軸2のヤング率Eは、材料によって決まる定数である。回転軸2の長さLは、精錬容器4の容積(深さ)によって最大長さが制約されるため、機械攪拌の環境によって決まる定数である。集中質量Mも、精錬容器4内の溶銑5の量などで決まる定数であり、機械攪拌の環境によって決まる定数である。ここで、回転軸2の質量mは一定と仮定する。
図2に示すように、回転軸2が、上端から下端に向けて、軸径(幅)を小さくしかつ該軸径の変化率が一定である形状を有する、すなわち、回転軸2にはテーパーが付けられており、かつ、回転軸2の密度ρ(kg/m3)が一定であれば、回転軸2の質量mtapered は下記の(2)式で表される。
Figure 0005978850
(2)式において、上端側の回転軸2の径をd(m)、下端側の回転軸2の径をd(m)である。
また、テーパーが付けられた回転軸2の断面2次モーメントItapered は下記(3)式で表される。
Figure 0005978850
(1)式に(3)式を代入すると、下記(4)式が導かれる。
Figure 0005978850
(4)式の両辺を回転軸2の質量mtapered((2)式)で除算、すなわち、(4)式の左辺を(2)式の左辺で除算し、(4)式の右辺を(2)式の右辺で除算すると、単位質量mtapered 当たりの共振周波数ftapered を下記の(5)式で表すことができる。
Figure 0005978850
一方で、図2に示す回転軸2において、下端側の回転軸2の径dが上端側の回転軸2の径dと同じであれば、回転軸2は、上端から下端まで径が一定の形状を有する、すなわち直線状となる。このため、単位質量mlinear 当たりの共振周波数flinear を求める場合には、質量mtaperedと同一となる直線状の回転軸の質量mlinear となる回転軸の径dを(5)式のdとdとに代入して、下記(6)式で、flinear /mlinear を表すことができる。
Figure 0005978850
(5)式の両辺を(6)式で除算、すなわち、(5)式の左辺を(6)式の左辺で除算し、(5)式の右辺を(6)式の右辺で除算し、更に、d で右辺の分子・分母を除算すると、下記(7)式で、相対共振周波数ftapered/flinear を表すことができる。
Figure 0005978850
横軸を、上端側の回転軸の径d1に対する下端側の回転軸の径dの比d/dとし、縦軸を相対共振周波数ftapered/flinearとして、(7)式で表される(d2/d1)及び相対共振周波数(ftapered /f linear)の関係を示すグラフを図4に示す。図4に示すように、d/dの比を0.34以上0.55以下の範囲にすると、相対共振周波数(ftapered /f linear )は1.2以上とすることができる。このため、回転軸2の質量mlinear を維持しつつ、回転軸2を、上端から下端に向けて径が先細った形状にすることで、回転軸2の共振周波数ftaperedを、上端から下端まで径が一定の形状の回転軸の共振周波数flinear の1.2倍以上にすることができ、共振の影響を受けずに回転軸2の回転数を上げることが可能となる。
本発明者らは、更に、回転軸2が中実構造で構成される場合と中空構造で構成される場合とで、攪拌体1の振動にどのような差異が生ずるかを検討した。図5は、上端から下端に向けて径が一定の中空構造となった回転軸2を有する攪拌体を示している。図5に示すように、回転軸2が外径do1、内径di1の中空円管であり、上端から下端まで直線上に構成される場合には、回転軸2の断面2次モーメントIhollow は、下記の(8)式で表される。
Figure 0005978850
また、中空円管の回転軸2の質量mhollow は、下記の(9)式で表すことができる。
Figure 0005978850
(1)式の回転軸2の断面2次モーメントIに(8)式を代入し、(9)式(回転軸2の質量mhollow )で、両辺を除算すると、単位質量mhollow 当たりの回転軸2の1次曲げの共振周波数fhollow を表す下記(10)式が導かれる。
Figure 0005978850
中空円管の回転軸2の質量mhollowと同一となる中実構造の回転軸の質量msolidを有する回転軸の径をdとするときに、中実構造の回転軸の単位質量msolid 当たりの回転軸2の共振周波数fsolidは、(10)式のdo1=d、di1 =0を代入して、下記(11)式で表すことができる。
Figure 0005978850
(10)式を(11)式で除算すると、相対共振周波数fhollow /fsolid を下記(12)式で表すことができる。
Figure 0005978850
左縦軸を相対共振周波数fhollow /fsolidとし、横軸をdi1/do1として、(12)式で表される(di1/do1)及び回転軸の相対共振周波数(fhollow /fsolid)の関係を示すグラフを、実線曲線として図6に示す。図6によれば、di1/do1=0.42以上とした中空構造の回転軸2は、回転軸2の質量が同一であり中実構造(di1/do1=0)とした回転軸2と比べて、共振周波数fhollow を1.2倍以上にすることができる。このため、共振の影響を受けずに、中実構造の回転軸より回転数をより高めることができる。
中実構造の回転軸の径をdとした場合における回転軸の質量msolidは、(9)式に、do1=d、di1 =0を代入すると得られる下記の(13)式で表される。
Figure 0005978850
中空円管の回転軸2の質量mhollowは、中実構造の回転軸の質量msolidと同じであるため、(9)式と(13)式とから、中実構造の回転軸2の径dに対する中空構造の回転軸2のdo1の比(do1/d)と、di1とdo1との間には、下記の(14)の式に示す関係が成立する。
Figure 0005978850
i1とdo1とを有する中空構造の回転軸2の質量mhollowが、中実構造の回転軸2の径をdとした場合における回転軸2の質量msolidと同じである条件において、中実構造の回転軸2の径dに対する中空構造の回転軸2のdo1の比(do1/d)を右縦軸とし、横軸を(di1/do1)として、(14)式で表される、(di1/do1)と(do1/d)との関係を示すグラフを破線曲線として図6に示す。di1/do1=0.42とした場合では、中実構造の回転軸の径dに対して中空構造の回転軸2の外径do1が約1.1倍となる。インペラの幅D(図3参照)及び質量が、中実構造の回転軸と中空構造の回転軸とで同じである場合には、中空構造の回転軸の径が、中実構造の回転軸の径より大きくなるため、撹拌のためのインペラの実効面積が小さくなってしまう傾向がある。
しかしながら、回転軸2を中空構造としつつ、前述の通り、回転軸2を、上端から下端に向けて径が先細った形状とすることによって、回転軸2の下端側の径を小さくすることができ、インペラの実効面積を小さくしないで、(1)式で求められる1次曲げの共振周波数fがインペラ3の回転周波数よりも更に大きくなるように、回転軸2を設計することが可能である。
なお、攪拌体1を新たに設計することができない場合には、(1)式で求められる回転軸2の1次曲げの共振周波数fよりもインペラ3の回転数が小さくなるように、インペラ3の回転数を調整することで振動を抑制することもできる。
回転軸2の1次曲げの共振周波数fがインペラ3の回転数の1.2倍以上となるように調整することで、溶銑予備処理中の攪拌体1の振動を確実に抑制することが可能となる。インペラ3の回転数は、攪拌を強化させて反応効率を向上させる観点から、140rpm(2.33Hz)以上200rpm(3.33Hz)以下の範囲とすることが好ましい。インペラ3の回転数が140rpm未満では、攪拌強度が弱く、所望する反応効率を得ることができず、一方、インペラ3の回転数が200rpmを超えると反応効率は飽和して反応効率の上昇効果が少ないのみならず、負荷動力の増加よるデメリットが増大するからである。また、このインペラ3の回転数に応じて、回転軸2の1次曲げの共振周波数fを2.8Hz(=140rpm×1.2/60sec)以上4.0Hz(=200rpm×1.2/60sec)以下の範囲に制御することが好ましい。回転軸2の1次曲げの共振周波数fが4.0Hzを超えると、攪拌体1が設備的に大きくなることから、4.0Hzを好ましい上限とするが、回転軸2の1次曲げの共振周波数fが4.0Hzを超えても構わない。
本発明で対象とする溶銑予備処理は、脱珪処理、脱硫処理、脱燐処理である。ここで、脱珪処理とは、精錬容器内の溶銑5に、酸化鉄を添加する、または、酸素ガスを吹き付ける、或いは、両者を併用し、酸化鉄中の酸素または酸素ガス中の酸素で溶銑中の珪素を酸化除去する精錬である。溶銑中に珪素が存在すると、溶銑の脱燐反応が損なわれるので、脱燐処理を効率的に行うために、脱燐処理の前段階で脱珪処理が行われる。脱珪処理では、生成する酸化珪素(SiO2)を希釈するために、溶銑容器内にCaO系媒溶剤を添加して行う場合もある。
また、脱燐処理とは、精錬容器内の溶銑5に、酸化鉄を添加する、または、酸素ガスを吹き付ける、或いは、両者を併用し、酸化鉄中の酸素または酸素ガス中の酸素で溶銑中の燐を酸化し、生成した燐酸化物(P25)を、精錬容器内に添加したCaO系媒溶剤で固定して溶銑中の燐を除去する精錬である。
脱珪処理及び脱燐処理のいずれの予備処理も、溶銑5に浸漬させたインペラ3を回転させて溶銑5を攪拌し、添加される酸化鉄や酸素ガスと溶銑との反応を促進させる。
以上説明したように、本発明によれば、回転軸2とインペラ3とを備える溶銑予備処理用攪拌体1を用いて溶銑5を攪拌する際に、回転軸2の1次曲げの共振周波数fが、溶銑5を攪拌するインペラ3の回転数よりも大きい攪拌体1を用いるので、攪拌体1の共振による振動の増大を回避できることから攪拌体1の高速回転が可能となる。これにより、溶銑5に投入した添加剤6を溶銑中に効率良く分散させることが達成され、従来に比べて高い反応効率で溶銑を攪拌処理することが実現される。
<比較例>
上端から下端に向けて径が一定で中実構造の回転軸を有する攪拌体を用いて、図1に示す溶銑の脱硫処理を行なった。この攪拌体の回転軸を炭素鋼製とした。この回転軸について、ヤング率Eは2.1×1011Pa、密度ρは7800kg/m3、長さLは4.5m、断面形状を円とし、その直径を0.3mとした。その回転軸に質量7650kgのインペラを取り付けて、ハンマリング振動試験を行い、回転軸の周波数応答関数を得た。その周波数応答関数を図7に示す。
ハンマリング振動試験は、ハンマ重量が5.5kgのインパクトハンマを用い、攪拌体1が回転装置に連結した状態でインペラ3を1.5kN程度の力で加振し、そのときのインペラ3の振動を、サーボ型加速度計を用いて測定することで行った。ハンマリングは5回実施し,その結果の平均から周波数応答関数を得た。
図7に示すように、この回転軸の周波数応答関数は2.9Hzにピーク(=共振周波数)があり、回転軸の1次曲げの共振周波数は、2.9Hzであることがわかる。共振周波数2.9Hzに対応する174rpmが危険速度になる.この攪拌体を用いた操業では、危険速度の1/1.2である145rpmを回転数の上限として溶銑鍋の溶銑を脱硫することになる。
<本発明例1>
次に、図2に示す、上端から下端に向けて径が先細った形状を有し、中実構造の回転軸2を有する攪拌体1を用意した。この回転軸2は、比較例での攪拌体の回転軸と、ヤング率E、密度ρ、長さL、回転軸の質量mを同一にした。回転軸2には、上端から下端に向けての幅の変化率が一定のテーパーをつけ、d1=0.385m、d2=0.207mとした(d2/d1=0.54)。この回転軸2に、比較例1と同じ質量のインペラを取り付けて、ハンマリング振動試験を行い、回転軸の周波数応答を測定した。
本発明例1における回転軸の1次曲げの共振周波数は、3.49Hzであった。d2/d1=0.54のテーパーをつけることにより、比較例の回転軸の質量と同一としつつも、共振周波数を1.2倍にできた。3.49Hzに対応する209rpmが危険速度になる。この回転軸を有する攪拌体を用いた操業では、危険速度の1/1.2である174rpmを回転数の上限として溶銑鍋の溶銑を脱硫した結果、比較例の攪拌体に比べて、1.2倍の高速回転が可能となり,効果的な撹拌効果を得ることができ、脱硫速度及び脱硫率が向上した。
<本発明例2>
更には、上端から下端に向けて径が先細った形状を有し、中空構造の回転軸を有する攪拌体を用意した。この回転軸も、比較例での攪拌体の回転軸と、ヤング率E、密度ρ、長さL、回転軸の質量mを同一にした。
回転軸2には、上端から下端に向けての幅の変化率が一定のテーパーをつけ、上端の外径do1に対する下端の外径do2(do2/do1)を0.54とし、上端の外径do1 に対する上端の内径di1(di1/do1)と、下端の外径do2 に対する下端の内径di2(di2/do2)とをそれぞれ0.425とした。また、この回転軸を、比較例の攪拌体の回転軸と質量を同じとした。この回転軸に、比較例1と同じ質量のインペラを取り付けて、ハンマリング振動試験を行い、回転軸の周波数応答を測定した(本発明例2)。
本発明例2における回転軸の共振周波数は4.19Hzであり、比較例における回転軸の共振周波数に対して、共振周波数を1.44倍にできた(本発明例1に対しては1.2倍)。4.19Hzに対応する252rpmが危険速度になる。この回転軸を有する攪拌体を用いた操業では、危険速度の1/1.2である209rpmを回転数の上限として溶銑鍋の溶銑を脱硫した結果、比較例のインペラに比べて1.44倍(実施例1に対して1.2倍)の高速回転が可能となった。さらに、インペラを取り付ける側の径dが0.300m(比較例)であったのに対し、実施例2ではdo2 =0.181mとより細くなり、インペラの実効面積が増加したことも加わって、より高い撹拌効果を得ることができ、脱硫速度及び脱硫率が向上した。
1 攪拌体
2 回転軸
2a フランジ
3 インペラ
3a 金属板
4 精錬容器
5 溶銑
6 添加剤
7 耐火物

Claims (6)

  1. 回転軸の下端側の先端部に取り付けられたインペラを精錬容器内の溶銑に浸漬させ、浸漬させたインペラを回転させることによって溶銑と添加剤とを攪拌して行う溶銑予備処理方法であって、
    前記回転軸を、中空であって上端から下端に向けて径が先細った形状とし、
    前記回転軸の外径d O1 に対する内径d i1 の比(d i1 /d O1 )が0.42以上とすることを特徴とする溶銑予備処理方法。
  2. 前記回転軸の1次曲げの共振周波数を、前記溶銑と前記添加剤とを撹拌するインペラの回転数よりも大きくして撹拌することを特徴とする請求項1に記載の溶銑予備処理方法。
  3. 前記1次曲げの共振周波数はインペラの回転数の1.2倍以上であることを特徴とする、請求項2に記載の溶銑予備処理方法。
  4. 前記インペラの回転数は140rpm以上200rpm以下であることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の溶銑予備処理方法。
  5. 中空であって、上端から下端に向けて径が先細った形状をした回転軸と、
    該回転軸の下端側の先端部に取り付けられたインペラと、を備え、
    上端側の前記回転軸の径dに対する下端側の前記回転軸の径dの比(d/d)が、0.34以上0.55以下であり、前記回転軸の外径d O1 に対する内径d i1 の比(d i1 /d O1 )が、0.42以上であることを特徴とする溶銑予備処理用攪拌体。
  6. 前記回転軸の1次曲げの共振周波数が2.8〜4.0Hzであることを特徴とする請求項に記載の溶銑予備処理用攪拌体。
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