JP5976359B2 - 回転機械 - Google Patents

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Description

本発明は、回転機械におけるシール構造に関するものである。
例えば、蒸気タービン、ガスタービン、過給機、圧縮機等の回転機械においては、軸受の潤滑油が回転機械の内部に混入してしまうと、運転に支障をきたしてしまうおそれがある。また、特に化学プラントで用いられる圧縮機においては、圧縮機内部の主流体が製品そのものとなるため、潤滑油が侵入し、主流体に混入してしまうと、製品として出荷ができなくなってしまう。このため、通常は軸封装置を用いて回転機械内部に軸受の潤滑油が混入することを防止している。
ここで、特許文献1には、回転軸を支持する玉軸受と、機内ロータ(オスロータ、メスロータ)との間に設けられた軸封装置において、玉軸受側に非接触式軸封部と、非接触式軸封部よりも機内ロータ側に接触式軸封部が設けられ、これらによって玉軸受から機内ロータへの油の侵入を防いでいる。
より詳細には、非接触式軸封部に突起が設けられ、この突起と玉軸受側に嵌め込まれて回転軸とともに回転する軸スリーブとの間の細隙部によって油の侵入を妨げ、また、軸スリーブの表面から凹む溝部によって油を跳ね返し、機内ロータへの油の侵入を防いでいる。そして、仮に非接触式軸封部を通過してしまった油は、接触式軸封部によって侵入の防止が図られている。
特開昭61−104187号公報
しかしながら、特許文献1に開示された軸封装置においては、潤滑油の侵入を確実に防ぐため、非接触式軸封部が複数の部品によって構成されており、コストアップにつながるおそれがある。
一方で、構成を簡素化した場合には、潤滑油が侵入を確実に防止できないおそれがあり、潤滑油が侵入してしまうと、装置を分解等してメンテナンスを行なう必要があるため、やはりコストアップにつながってしまう。
また、軸封装置へガスを供給することで、潤滑油の侵入を防止する手法も考えられるが、ガスには不活性ガスが用いられるため高価であり、この場合にもコストアップを避けられない。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、コストを抑制しながら、さらなるシール効果の向上を図ることが可能な回転機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る回転機械は、軸線回りに回転するロータと、潤滑油が供給されることで前記ロータの外周面を回転可能に支持する軸受部と、該軸受部の前記軸線方向の一方側に設けられ、前記ロータの外周面との間で前記軸線方向の一方側に第一開口部を有する第一間隙を形成する第一隔壁と、該第一隔壁との間で空間を形成するように、該第一隔壁の前記軸線方向の一方側に間隔をあけて設けられ、前記軸線の径方向内側に設けられる前記ロータとの間で、前記第一間隙よりも径方向の外側に位置し、前記軸線方向の他方側に第二開口部を有する第二間隙を形成する第二隔壁と、前記第二間隙から前記空間に噴出するようにガスを供給するガス供給部とを備える回転機械において、前記ロータの前記第二開口部を形成する前記軸線の径方向外側の端部から前記軸線方向の一方側に凹むように凹部が周方向にわたって形成されていることを特徴とする。
このような回転機械によると、凹部の位置でロータの外径が小さくなっており、周方向から見て、ロータの外周面に段差が形成されている。従って、回転によって軸受部からの潤滑油が第二開口部に向かって飛散された際には、この凹部の段差によって跳ね返され、第二開口部から第二間隙を通じて第二隔壁内部への潤滑油の侵入を防ぐことができる。
また、第二隔壁が第一隔壁よりも径方向外側に位置しているため、ロータは、第二隔壁が設けられた位置で、第一隔壁が設けられた位置よりも外径が大きくなっており、即ち、ロータに、軸線方向の他方側を向く面が形成されている。従って、飛散された潤滑油がこの面に付着し、遠心力によってこの面を伝うようにして径方向外側に向かって流通することとなる。ここで、凹部を形成したことで、潤滑油が径方向内側から第二開口部に到達した際には、潤滑油は凹部に侵入した後に段差によって跳ね返され、第二開口部が閉塞されてしまうことを防止でき、第二開口部を通じて第二間隙内への潤滑油の侵入防止が可能となる。
また、前記第二隔壁に、前記第二開口部を拡径させるように、前記凹部に対向して凹む外側凹部が、少なくとも上方半分に前記軸線の周方向にわたって形成されていてもよい。
このように周方向から見て、第二隔壁の内周面に段差が形成されていることとなり、回転によって飛散された潤滑油がこの外側凹部の段差によって跳ね返され、第二開口部から第二間隙を通じて第二隔壁内部への潤滑油の侵入を防ぐことができる。
また、回転によって飛散された潤滑油が第二隔壁の面上に付着すると、重力によってこの面を伝うようにして径方向内側に向かって流通する。ここで、外側凹部を形成したことで、潤滑油が径方向外側から第二開口部に到達した際には、潤滑油は外側凹部に侵入した後に段差によって跳ね返されるので、第二開口部が閉塞されてしまうことを防止でき、第二開口部を通じて第二間隙内への潤滑油の侵入を防止可能となる。
さらに、前記ロータに、前記軸線方向の他方側で、一部が前記ロータの外周面に連続するように、前記第一開口部と前記凹部の前記軸線方向の一方側の端部とを結ぶ線分を遮る位置まで、前記第二開口部を前記軸線方向の他方側に延長するように突出する凸部が形成され、前記凹部が、前記凸部に形成されていてもよい。
このような凸部によって、回転によって飛散された潤滑油が遮断され、凹部の上記段差を経由せずに第二間隙内へ直接到達してしまうことがなくなり、第二間隙内への潤滑油の侵入防止効果をさらに向上できる。
前記第二隔壁に、前記軸線方向の他方側で、一部が前記第二開口部を前記軸線方向の他方側に延長するように突出する外側凸部が、少なくとも上方半分に前記周方向にわたって形成され、前記第二開口部を拡径させるように、前記凹部に対向して凹み、少なくとも上方半分に前記軸線の周方向にわたって形成された外側凹部が、前記外側凸部に形成されていてもよい。
このような外側凸部によって、重力によって第二隔壁の面上を伝うようにして径方向外側から第二開口部の凹部へ向かって流通する潤滑油が堰き止められ、第二間隙内への潤滑油の侵入防止効果をさらに向上できる。
また、前記外側凸部に、前記径方向の外側を向く面から凹む油受凹部が形成されていてもよい。
このような油受凹部によって、重力によって第二隔壁の面上を伝うようにして径方向外側から第二開口部へ向かって流通する潤滑油が堰き止められるとともに、潤滑油が油受凹部内に保持され、第二間隙内への潤滑油の侵入防止効果をさらに向上できる。
本発明の回転機械によると、ロータに凹部を形成したことのみによって潤滑油の侵入を防止できるため、コストを抑制しながら、シール効果の向上を図ることが可能である。
本発明の第一実施形態に係る回転機械を示す全体断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械を示す全体断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械における凹部及び凸部(図2のA部)の第一変形例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械における凹部及び凸部(図2のA部)の第二変形例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械における凹部及び凸部(図2のA部)の第三変形例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械における凹部及び凸部(図2のA部)の第四変形例を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係る回転機械における凹部及び凸部(図2のA部)の第五変形例を示す断面図である。
以下、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る回転機械1について説明する。
回転機械1は、例えば、インペラ2を回転させて主流体Fを軸線Pの径方向内側から外側へ流通させ、遠心力によって主流体Fの昇圧を行なう遠心圧縮機等である。
回転機械1は、軸線P回りに回転するロータ3と、ロータ3を支持する軸受部4と、軸受部4を軸線Pの径方向外側から保持する軸受部ケーシング5と、軸受部4の軸線P方向の一方側P1(図1の紙面左側)にロータ3に設けられたガスシール部8と、ガスシール部8へガスGを供給するガス供給部9と、ガスシール部8の軸線P方向の一方側P1にロータ3に設けられたインペラ2とを備えている。
ロータ3は、軸線Pを中心とした円柱状をなす部材である。また、本実施形態では、軸受部4及びインペラ2が設けられている軸線P方向位置における外径寸法よりも、ガスシール部8が設けられている軸線P方向位置における外径寸法の方が大きくなっており、即ち、ロータ3は、ガスシール部8が設けられている軸線P方向位置で、軸線P方向の他方側P2を向くロータ端面3bを有し、段差が形成されていることとなる。
さらに、ロータ3には、ロータ端面3bの径方向外側の端部から、軸線P方向一方側P1に凹むように凹部61が周方向にわたって形成され、即ち、ガスシール部8が設けられている軸線P方向位置で、ロータ3の外周面3aが軸線P方向の他方側P2の端部で切り欠かれ、径方向外側、軸線P方向の他方側P2の端部で、外径寸法が一部だけ小さくなっている。このように、凹部61の軸線P方向を向く側底面61aと、径方向を向く底面61bと、ロータ3の外周面3aとによって、周方向視で段差が形成されていることとなる。
軸受部4は、ロータ3の外周面3aに嵌め込まれ、潤滑油供給管7を通じて外部から潤滑油Oが供給されることで、ロータ3を回転可能に支持している。
軸受部ケーシング5は、ロータ3との間に間隙をあけた状態で軸受部4の径方向外側及び軸線P方向から包み込むように軸受部4を保持しており、さらに、軸受部4と外部とを連通する潤滑油供給孔5aが形成され、この潤滑油供給孔5aに潤滑油供給管7が接続されることで、軸受部4に外部の潤滑油供給源(不図示)から潤滑油Oを供給可能としている。そして、ロータ3との間の上記間隙は、軸受部4に供給された潤滑油Oが染み出して、軸線P方向の一方側P1に向かって流出する潤滑油流路(第一間隙)21となっている。さらに、この潤滑油流路21は、ロータ3の外周面3aと、軸受部ケーシング5の軸線P方向の一方側P1を向く面となる軸受部ケーシング端面(第一隔壁)5bとの間で、軸線P方向の一方側P1に開口する潤滑油流路開口部(第一開口部)21aが形成されている。
インペラ2は、ロータ3の外周面3aに外側から嵌め込まれ、ロータ3とともに回転する部材である。また、本実施形態でインペラ2は、軸線P方向の一方側P1を向く面に比べ、軸線Pの他方側P2を向く面の方が大径とされている。そして、これらの面を軸線P方向の一方側P1から他方側P2に向かうに従って、径方向内側から外側に向かって漸次拡径する曲面によって接続することで形成されたディスク2aを有している。
また、ディスク2aから軸線P方向の一方側P1に突出して、周方向に間隔をあけて設けられた複数のブレード2bと、これらブレード2bを軸線P方向の一方側P1から覆うがカバー2cとを有している。
即ち、インペラ2は、主流体Fを、周方向に隣接するブレード2b同士の間に形成された流路を、径方向内側から外側に向かって流通させる遠心インペラである。
次に、ガスシール部8について説明する。
ガスシール部8は、軸受部ケーシング5における軸受部ケーシング端面5bとの間で空間Sを形成するようにして、軸受部ケーシング5よりも軸線P方向の一方側P1で、ロータ3の外周面3aに設けられている。
また、このガスシール部8は、軸線P方向に間隔をあけてロータ3に設けられてロータ3とともに回転する第一回転環36及び第二回転環37と、これらロータ3、第一回転環36、第二回転環37を径方向外側から覆うケーシング30と、ケーシング30の軸線P方向の一方側P1の端部に設けられた機内側シール部42と、他方側P2の端部に設けられたバリアシール部41とを有している。
第一回転環36は、環状をなす部材であって、ロータ3の外周面3aに外側から嵌め込まれて、ロータ3とともに回転するようにされている。
第二回転環37は、第一回転環36よりも軸線P方向の一方側P1で、ロータ3の外周面3aに外側から嵌め込まれて、ロータ3とともに回転するようにされている。
ケーシング30は、間隙をあけた状態で径方向外側から第一回転環36、第二回転環37を覆う環状をなす部材であり、軸線P方向の他方側P2から第一回転環36に対向して、径方向外側から内側に向かって突出する第一凸所31を有している。同様に、第二回転環37に対向して径方向外側から内側に向かって突出する第二凸所32を有している。
さらに、ケーシング30には、この第一凸所31が第一回転環36に対向する面から軸線P方向の他方側P2に向かって窪む第一凹所33が形成されている。また、同様に、第二凸所32が第二回転環37に対向する面から、軸線P方向の他方側P2に向かって窪む第二凹所34が形成されている。
そして、ケーシング30には、第一凹所33内に軸線P方向を伸縮方向としてコイルバネ35が設けられ、さらに、このコイルバネ35を介して固定されることで、第一凹所33内で軸線P方向に移動可能に、軸線Pを中心に環状をなす第一静止環38が設けられている。
また、同様に、第二凹所34内においても、コイルバネ35によって、第二凹所34内で軸線P方向に移動可能に、軸線Pを中心に環状をなす第二静止環39が設けられている。
そして、これらコイルバネ35の付勢力によって、ロータ3の停止時には第一回転環36と第一静止環38とを、及び、第二回転環37と第二静止環39とを密着させ、また、回転時にはこれらの間にわずかな間隙を生じさせるようになっている。
さらに、ケーシング30には、第二回転環37に径方向に対向する位置に、ケーシング30の内外を連通するガス供給孔30aが形成されている。さらに、第一回転環36に径方向に対向する位置には、ケーシング30の内外を連通するガス抜き孔30cが形成されている。また、ケーシング30において、当該ケーシング30とバリアシール部41との間には、ケーシング30の内外を連通するガス供給孔30dが形成されている。
機内側シール部42は、第二回転環37の軸線P方向の一方側P1を向く面と間隙をあけた状態で、ケーシング30から径方向内側に突出して設けられたラビリンスシールである。
バリアシール部41は、第一凸所31の軸線P方向の他方側P2を向く面と間隙をあけた状態で、ケーシング30から径方向内側に突出して設けられたラビリンスシールである。
そして、このバリアシール部41の軸線P方向の他方側P2を向くケーシング端面(第二隔壁)30bは、ロータ端面3bと、軸線P方向に同じ位置に形成されている。
さらに、バリアシール部41には、このケーシング端面30bの径方向内側の端部から、軸線P方向の一方側P1に凹むように、外側凹部62が周方向にわたって形成されている。即ち、バリアシール部41の内周面41aが、軸線P方向の他方側P2の端部で切り欠かれ、径方向内側、軸線P方向の他方側P2の端部で、バリアシール部41の内径寸法が一部だけ大きくなっている。このように、外側凹部62の軸線P方向を向く側底面62aと径方向を向く底面62bと、バリアシール部41の内周面41aとによって、周方向視で、径方向外側の端部に段差が形成されていることとなる。
そして、この外側凹部62は、ロータ3における凹部61に径方向に対向するように形成されており、これら外側凹部62と凹部61とによって、後述するガス流路開口部51aが拡径されていることとなる。
そして、上述のように、ケーシング30と、第一回転環36及び第二回転環37との間、第一回転環36と第一静止環38、第二回転環37と第二静止環39との間には間隙が形成されており、この間隙に上記ガス供給孔30aが連通している。即ち、これら間隙が、ガスGの流通するガス流路(第二間隙)51となり、このガス流路51には、ロータ3とバリアシール部41との間で軸線P方向の他方側P2に開口するガス流路開口部(第二開口部)51aが形成されている。
ガス供給部9は、ケーシング30内外を連通するガス供給孔30a、30dに接続されたガス供給管(不図示)を有し、このガス供給管を通じて、例えば、ガスボンベ等のガス供給源(不図示)からガスGをケーシング30内部へ導入するものである。ここでこのガスGには、不活性ガスである窒素や希ガス等が用いられる。
このような回転機械1においては、ガスGをガス流路51に流通させ、ガス流路開口部51aから噴出させることで、ガスシール部8におけるガスシールの効果を発揮させる。ここで、回転によって軸受部4からは潤滑油Oが染み出し、潤滑油流路開口部21aからガス流路開口部51aに向かって飛散される。
この際、ロータ3の凹部61内に潤滑油Oが侵入したとしても、凹部61の側底面61aによって潤滑油Oが跳ね返され、ガス流路51の内部まで潤滑油Oが到達してしまうことがない。
また、同様に、外側凹部62内に潤滑油Oが侵入したとしても、側底面62aによって潤滑油Oを跳ね返すことができる。
また、飛散された潤滑油Oがロータ端面3bに付着すると、遠心力によってロータ端面3bを伝うようにして、潤滑油Oが径方向外側に向かって流通する。そして、潤滑油Oが径方向内側からガス流路開口部51aに到達した際には、潤滑油Oは、凹部61に侵入した後に、凹部61の底面61bを流通し、側底面61aで跳ね返される。このため、ガス流路開口部51aが閉塞されてしまうことを防止でき、ガス流路51を通じてガスシール部8内への潤滑油Oの侵入を防ぐことが可能となる。
さらに、飛散された潤滑油Oがケーシング端面30bに付着すると、重力によってケーシング端面30bを伝うようにして、潤滑油Oが径方向内側に向かって流通する。そして、潤滑油Oが径方向外側からガス流路開口部51aに到達した際には、潤滑油Oは、外側凹部62に侵入した後に、外側凹部62の底面62bを流通し、側底面62aで跳ね返される。このため、ガス流路開口部51aが閉塞されてしまうことを防止でき、ガス流路51を通じてガスシール内への潤滑油Oの侵入を防ぐことが可能となる。
なお、図示はしないが、このように潤滑油Oの侵入の防止効果が得られることは、解析によっても確認することができた。
本実施形態の回転機械1によると、ガスシール部8のシール効果に加え、ガス流路開口部51aを凹部61、外側凹部62によって拡径したことで、ガスGの流量を増大させることなく、ガスシール部8内への潤滑油Oの侵入の防止効果を向上することが可能となる。従って、コストを抑制しながら、さらなるシール効果の向上を図ることができる。そして、機内側のインペラ2を流通する主流体Fに潤滑油Oが混入してしまうことが防止可能となる。
次に、図2を参照して、本発明の第二実施形態に係る回転機械100について説明する。
なお、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、ロータ73及びバリアシール部71の形状が第一実施形態と異なっている。
ロータ73は、その一部がロータ端面73bの径方向外側の端部から軸線P方向の他方側P2に、ロータ73の外周面73aに連続するように、ガス流路開口部51aを軸線P方向の他方側P2に延長するように突出して形成された凸部74を有している。
そして、この凸部74の先端部からは、軸線P方向の一方側P1に凸部74の中途位置まで凹むように、第一実施形態で説明した凹部61が周方向にわたって形成されている。
また、凸部74は、軸受部ケーシング端面5bとケーシング端面30bとの間の空間Sの中途位置であって、潤滑油流路開口部21aと、凹部61の軸線P方向の一方側P1の端部とを結ぶ線分X、換言すれば、潤滑油流路開口部21aとガス流路開口部51aとを結ぶ線分Xを遮る軸線P方向の位置まで軸線P方向の他方側P2に突出している。
バリアシール部71は、その一部がケーシング端面30bの径方向内側の端部から軸線P方向の他方側P2に、バリアシール部41の内周面41aに連続するように、ガス流路開口部51aを軸線P方向の他方側P2に延長するように突出して形成された外側凸部75を有している。
さらに、この外側凸部75の軸線P方向の他方側P2の端部では、ケーシング端面30bに連続するように、径方向外側を向く面から凹む油受凹部75aが形成されている。
このような回転機械100においては、回転によって飛散された潤滑油Oが凸部74によって遮断され、潤滑油Oが凹部61の底面61b、側底面61aを経由せずに、凹部61の軸線P方向の一方側P1の端部に直接到達してしまうことがなくなる。従って、ガス流路51の内部へ潤滑油Oが直接侵入してしまうことを防止できる。
さらに、重力によってケーシング端面30bを伝うようにして、径方向外側から凹部61へ向かって流通する潤滑油Oが外側凸部75によって堰き止められ、ガス流路51内への潤滑油Oの侵入防止効果をさらに向上できる。
また、外側凸部75には、油受凹部75aが形成されていることで、重力によってケーシング端面30bを伝うようにして、径方向外側から凹部61へ向かって流通する潤滑油Oが堰き止められるとともに、油受凹部75aの内部に保持され、ガス流路51の内部への潤滑油Oの侵入防止効果をさらに向上できる。
本実施形態の回転機械100によると、凹部61によるシール効果の向上に加え、凸部74と外側凸部75、また油受凹部75aによって、ガス流路51の内部への潤滑油Oの侵入防止効果をさらに向上できるので、さらなるシール効果の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、凹部61は凸部74、外側凸部75の中途位置まで形成されているが、例えば、ケーシング端面30b及びロータ端面3bよりも軸線P方向の一方側P1まで凹んで形成されていてもよい。
また、油受凹部75aは必ずしも形成されていなくともよい。
さらに、凸部74と外側凸部75の突出高さ寸法である軸線P方向の高さ寸法は、互いに一致していなくともよい。
ここで、凸部74、外側凸部75の形状は上述の実施形態のものに限定されるものではない。
例えば、図3に示すように、凸部84は、軸線P方向の他方側P2の面が、径方向外側から内側に向かうに従って、軸線P方向の一方側P1から他方側P2に傾斜する傾斜面84aとなっていてもよい。
また、図4に示すように、凸部94は、軸線P方向の他方側P2の面が、図3に示した凸部84における上記傾斜面84aとは逆方向に傾斜し、即ち、径方向外側から内側に向かうに従って、軸線P方向の他方側P2から一方側P1に傾斜する傾斜面94aとなっていてもよい。
さらに、図5に示すように、外側凸部105における油受凹部105aは、周方向視でV字状に凹むように形成されていてもよいし、径方向内側に凹んでいれば、図示しない他の形状でも構わない。
また、図6に示すように、凸部114の方が、外側凸部105と比較して突出高さ寸法が大きくなっていてもよい。即ち、この場合、凹部111と外側凹部62とが軸線P方向他方側P2の端部が位置ズレして形成されていることとなる。
さらに、凹部61、外側凹部62の形状についても上述の実施形態のものに限定されるものではない。
例えば、図7に示すように、凸部124における凹部121は、二つの側底面121a、121b及び二つの底面121c、121dを有し、また、外側凸部125における外側凹部122は、二つの側底面122a、122b及び二つの底面122c、122dを有し、段差が二段となるようにされていてもよい。また、さらに多くの段差が形成されていてもよい。この場合、シール効果のさらなる向上が可能となる。そして、このような凹部121、外側凹部122は、第一実施形態にも適用可能である。
また、これら凹部61、111、121、外側凹部62、122、凸部74、84、94、114、124、外側凸部75、105、125は、適宜組み合わせを変更してもよいし、上述したもの以外の形状であっても構わない。
さらに、凸部74、84、94、114、124、外側凸部75、105、125は、それぞれロータ3、ケーシング30に一体に形成れてもよいし、別体で製作した後に取り付けてもよい。
以上、本発明の実施形態についての詳細説明を行なったが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、多少の設計変更も可能である。
例えば、凹部61、121及び外側凹部62、122の底面61b、62b、121c、121d、122c、122dは、軸線P方向に平行に形成されている必要は無く、軸線Pに対して傾斜していてもよい。
また、外側凹部62、122を設けずに、凹部61、111、121のみを設けてもよい。
また、外側凸部75、105、125を設けずに、凹部61、111、121が形成された凸部74、84、94、114、124のみを設けてもよい。
さらに、凸部74、84、94、114、124を設けずに、外側凹部62、122が形成された外側凸部75、105、125のみを設けてもよい。
また、外側凹部62、122は、全周にわたって形成されていなくともよく、少なくとも上方半分に周方向にわたって形成されていればよい。これは、ケーシング端面30bに付着した潤滑油Oは、重力によって上方から下方に向かって流通するため、少なくとも上方半分に周方向にわたって形成されていれば、このように流通する潤滑油Oの侵入を防ぐことができるからである。この場合、コストをさらに抑制しながら、シール効果の向上を図ることができる。
さらに、凹部61、121についても全周にわたって形成されていなくともよい。
1…回転機械、2…インペラ、3…ロータ、3a…外周面、3b…ロータ端面、4…軸受部、5…軸受部ケーシング、5a…潤滑油供給孔、5b…軸受部ケーシング端面(第一隔壁)、7…潤滑油供給管、8…ガスシール部、9…ガス供給部、21…潤滑油流路(第一間隙)、21a…潤滑油流路開口部(第一開口部)、30…ケーシング、30a…ガス供給孔、30b…ケーシング端面(第二隔壁)、30c…ガス抜き孔、30d…ガス供給孔、31…第一凸所、32…第二凸所、33…第一凹所、34…第二凹所、35…コイルバネ、36…第一回転環、37…第二回転環、38…第一静止環、39…第二静止環、41…バリアシール部、41a…内周面、42…機内側シール部、51…ガス流路(第二間隙)、51a…ガス流路開口部(第二開口部)、61…凹部、61a…側底面、61b…底面、62…外側凹部、62a…側底面、62b…底面、S…空間、F…主流体、P…軸線、P1…一方側、P2…他方側、G…ガス、X…線分、71…バリアシール部、73…ロータ、73b…ロータ端面、74…凸部、75…外側凸部、75a…油受凹部、84…凸部、84a…傾斜面、94…凸部、94a…傾斜面、100…回転機械、105…外側凸部、105a…油受凹部、111…凹部、114…凸部、121…凹部、121a、121b…側底面、121c、121d…底面、122…外側凹部、122a、122b…側底面、122c、122d…底面、124…凸部、125…外側凸部

Claims (5)

  1. 軸線回りに回転するロータと、
    潤滑油が供給されることで前記ロータの外周面を回転可能に支持する軸受部と、
    該軸受部の前記軸線方向の一方側に設けられ、前記ロータの外周面との間で前記軸線方向の一方側に第一開口部を有する第一間隙を形成する第一隔壁と、
    該第一隔壁との間で空間を形成するように、該第一隔壁の前記軸線方向の一方側に間隔をあけて設けられ、前記軸線の径方向内側に設けられる前記ロータとの間で、前記第一間隙よりも径方向の外側に位置し、前記軸線方向の他方側に第二開口部を有する第二間隙を形成する第二隔壁と、
    前記第二間隙から前記空間に噴出するようにガスを供給するガス供給部とを備える回転機械において、
    前記ロータの前記第二開口部を形成する前記軸線の径方向外側の端部から前記軸線方向の一方側に凹むように凹部が周方向にわたって形成されていることを特徴とする回転機械。
  2. 前記第二隔壁に、前記第二開口部を拡径させるように、前記凹部に対向して凹む外側凹部が、少なくとも上方半分に前記軸線の周方向にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
  3. 前記ロータに、前記軸線方向の他方側で、一部が前記ロータの外周面に連続するように、前記第一開口部と前記凹部の前記軸線方向の一方側の端部とを結ぶ線分を遮る位置まで、前記第二開口部を前記軸線方向の他方側に延長するように突出する凸部が形成され、
    前記凹部が、前記凸部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転機械。
  4. 前記第二隔壁に、前記軸線方向の他方側で、一部が前記第二開口部を前記軸線方向の他方側に延長するように突出する外側凸部が、少なくとも上方半分に前記周方向にわたって形成され、
    前記第二開口部を拡径させるように、前記凹部に対向して凹み、少なくとも上方半分に前記軸線の周方向にわたって形成された外側凹部が、前記外側凸部に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回転機械。
  5. 前記外側凸部に、前記径方向の外側を向く面から凹む油受凹部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の回転機械。
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