JP5975267B2 - 部材の補強方法 - Google Patents

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本発明は、被補強部材の表面を炭素繊維強化樹脂膜で覆う部材の補強方法に関する。
コンクリート躯体の耐震性等を向上させるために、例えば、以下の特許文献1に記載のように、コンクリート躯体を炭素繊維強化樹脂膜(以下、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)膜とする)で覆って、このコンクリート躯体を補強することがある。
コンクリート躯体の表面にCFRP膜を形成する場合、一般的に、まず、目的の大きさ又は目的の形状に切断する。次に、コンクリート躯体の表面に樹脂を塗布する。そして、樹脂が塗布されているコンクリート躯体の表面に切断後の炭素繊維シートを配置する。炭素繊維シートを配置し、この炭素繊維シート中に樹脂が含侵し、この樹脂が完全に硬化すると補強構造が完成する。
特開2012−62746号公報
炭素繊維メーカーでは、一般的に、炭素繊維シートを形成した後、大型の切断機で、この炭素繊維シートを規定寸法に切断している。一方、特許文献1に記載のように、コンクリート躯体を補強する場合、対象となるコンクリート躯体が存在する現場で、目的の大きさ又は目的の形状に炭素繊維シートを切断する必要がある。この際、鋏やカッター等の切断道具を用いることが考えられる。しかしながら、炭素繊維シートを単に鋏やカッター等の切断道具で切断すると、炭素繊維シートを構成する複数の糸が相互間で相対移動してしまう上に、炭素繊維の束である糸がほつれて、切断面が極めて不規則になってしまう。つまり、鋏やカッター等の切断道具で炭素繊維シートを単に切断すると、目的の切断面を得ることができない。
そこで、本発明では、現場での作業で、炭素繊維シートを切断して、目的の切断面を得ることができる部材の補強方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための発明に係る部材の補強方法は、
被補強部材の表面を繊維強化樹脂膜で覆う部材の補強方法において、前記繊維強化樹脂膜の構成要素である炭素繊維シートを切断して、目的の大きさ又は目的の形状に形成するシート切断工程と、前記繊維強化樹脂膜の構成要素である樹脂を前記被補強部材の表面に塗布する樹脂塗布工程と、前記樹脂が塗布された前記被補強部材の表面に、切断後の前記炭素繊維シートを配置する繊維シート配置工程と、を実行し、
前記シート切断工程では、前記炭素繊維シートの表面での切断予定位置に沿って粘着テープを貼り付け、該炭素繊維シートの該切断予定位置を該粘着テープと共に切断し、
前記粘着テープの粘着材と該粘着材を支持する前記粘着テープの支持材との間の粘着性は、前記粘着材と前記炭素繊維シートを形成する炭素繊維及び前記樹脂との間の粘着性よりも低い、ことを特徴とする。
特殊な切断機を用いず、カッターや鋏等の通常の切断道具で炭素繊維シートを切断すると、炭素繊維の縦糸相互の位置や、炭素繊維の横糸相互の位置、縦糸と横糸との相互の位置がズレてしまう。さらに、炭素繊維シートは、炭素繊維を束ねた糸で形成されているため、切断時に炭素繊維を束ねた糸がほつれてしまう。すなわち、特殊な切断機を用いず、単に、カッターや鋏等の通常の切断道具で炭素繊維シートを切断すると、炭素繊維シートの切断面が極めて不規則になってしまう。そこで、当該補強方法では、本実施形態では、切断部に沿って粘着テープを貼り付け、切断部における炭素繊維の糸を粘着テープで保持することで、この切断部及びその近傍における炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えている。
ここで、繊維シート配置工程後で、樹脂がある程度硬化した時点において、炭素繊維シートを形成する炭素繊維の糸は、この樹脂によりある程度保持された状態になっている。
また、当該補強方法で使用する粘着テープは、粘着テープの粘着材と粘着材を支持する粘着テープの支持材との間の粘着性は、粘着材と炭素繊維シートを形成する炭素繊維及び前記樹脂との間の粘着性よりも低い。このため、当該補強方法では、施工者の意図により、切断後の炭素繊維シートに残った粘着テープを除去する場合、繊維シート配置工程後で、樹脂がある程度硬化した時点で、残った粘着テープの支持材を除去しても、炭素繊維シートの切断部及びその近傍における炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えていることができる。
ここで、前記部材の補強方法において、前記粘着テープの前記支持材は、母材に油分が含侵している支持材であってもよい。また、前記支持材の前記母材は、紙であってもよい。
また、前記部材の補強方法において、前記粘着テープの前記粘着材は、前記炭素繊維に対する粘着性よりも前記樹脂に対する粘着性が低いことが好ましい。
当該補強方法では、樹脂がある程度硬化すれば、炭素繊維を樹脂で保持された状態を維持しつつ、炭素繊維から粘着テープの粘着材を除去することができる。
また、前記部材の補強方法において、前記繊維シート配置工程後であって、前記樹脂が完全硬化する前に、切断後の前記炭素繊維シートに残った前記粘着テープを除去するテープ除去工程を実行してもよい。
また、前記部材の補強方法において、前記繊維シート配置工程後、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行してもよい。
また、前記部材の補強方法において、前記繊維シート配置工程では、前記炭素繊維シートの端縁相互を突き合わせ、前記繊維シート配置工程後に、前記テープ除去工程を実行し、
該テープ除去工程後に、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行してもよい。
当該補強方法では、炭素繊維シートの端縁に沿って残っている粘着テープを除去した後に、含侵工程を実行するため、粘着テープを除去したことにより、炭素繊維シートの端縁相互が付き合っている部分に生じた樹脂表面の凹凸を解消することができる。
また、部材の補強方法において、前記樹脂塗布工程前に、前記被補強部材の表面の一部にマスキングテープを貼り付けるマスキング工程を実行し、前記繊維シート配置工程では、前記炭素繊維シートの切断端縁と前記マスキングテープとの端縁とを突き合わせ、前記繊維シート配置工程後に、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行し、該含侵工程後に前記テープ除去工程を実行すると共に、前記マスキングテープを除去するマスキングテープ除去工程を実行してもよい。
また、前記部材の補強方法において、前記被補強部材は、コンクリート躯体であってもよい。
また、前記部材の補強方法において、前記繊維シート配置工程前に、前記コンクリート躯体の表面上の少なくとも一部に炭素繊維を含む補強板を配置する補強板配置工程を実行し、前記繊維シート配置工程では、切断後の前記炭素繊維シートで前記補強板を覆ってもよい。
当該補強方法では、コンクリート躯体をより強固に補強することができる。
また、前記部材の補強方法において、前記被補強部材は、コンクリート躯体であり、前記シート切断工程では、前記炭素繊維シートの一部を切断してシート開口を形成し、前記樹脂塗布工程前に、前記コンクリート躯体の表面の一部に吸水材を配置する吸水材配置工程を実行し、前記樹脂塗布工程では、前記コンクリート躯体の表面及び前記吸水材上に、前記樹脂を塗布し、前記繊維シート配置工程では、前記樹脂が塗布された前記コンクリート躯体の表面に、前記コンクリート躯体の表面に配置された前記吸水材の一部が前記シート開口から臨めるよう、該シート開口が形成されている前記炭素繊維シートを配置し、前記シート開口から臨める前記吸水材の一部上の前記樹脂を除去する樹脂除去工程を実行してもよい。
当該補強方法では、コンクリート躯体を繊維強化樹脂膜で覆って、このコンクリート躯体を補強しつつも、コンクリート躯体に侵入した水を効率よく排出することができる。
この場合、前記吸水材の表面で前記コンクリート躯体の表面と対向していない部分は、前記樹脂の該吸水材への含侵を防ぐ含侵防止シートで覆われており、前記繊維シート配置工程後であって、前記樹脂が完全硬化する前に、前記吸水材を覆っている前記含侵防止シートのうちで、前記シート開口から臨める部分を除去することで、前記樹脂除去工程を実行して、該吸水材の一部を露出させてもよい。
本発明では、現場での作業で、炭素繊維シートを切断して、目的の切断面を得ることができると共に、この切断面を維持することできる。
本発明に係る第一実施形態における補強方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る第一実施形態における炭素繊維シートの斜視図である。 本発明に係る第一実施形態における粘着テープを貼り付けた状態の炭素繊維シートの斜視図である。 本発明に係る第一実施形態における切断後の炭素繊維シートの斜視図である。 本発明に係る第一実施形態におけるコンクリート躯体にマスキングテープを配置した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第一実施形態におけるコンクリート躯体の表面に樹脂を塗布した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第一実施形態における樹脂上に炭素繊維シートを配置した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第一実施形態における炭素繊維シート中に樹脂を含侵させた際のこれらの断面図である。 本発明に係る第一実施形態における完成時のコンクリート構造体の断面図である。 本発明に係る第一実施形態における炭素繊維シートから粘着テープを除去する直前のこれらの断面図である。 本発明に係る第二実施形態における補強方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る第二実施形態におけるコンクリート躯体に吸着材を配置した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第二実施形態におけるコンクリート躯体の表面に樹脂を塗布した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第一実施形態における樹脂上に炭素繊維シートを配置し、この炭素繊維シートに樹脂を含侵させた際のこれらの断面図である。 本発明に係る第二実施形態における完成時のコンクリート構造体の断面図である。 本発明に係る第三実施形態における補強方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る第三実施形態における粘着テープを貼り付けた状態の炭素繊維シートの斜視図である。 本発明に係る第三実施形態における切断後の炭素繊維シートの斜視図である。 本発明に係る第三実施形態におけるコンクリート躯体の表面に樹脂及び炭素繊維シートを配置した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第三実施形態における粘着テープを除去した際のコンクリート躯体、樹脂及び炭素繊維シートの断面図である。 本発明に係る第三実施形態における完成時のコンクリート構造体の断面図である。 本発明に係る第四実施形態における補強方法の手順を示すフローチャートである。 本発明に係る第四実施形態におけるコンクリート躯体の表面に樹脂及びマスキングテープを配置した際のこれらの断面図である。 本発明に係る第四実施形態におけるCFRP補強板を配置した際のコンクリート躯体、樹脂及びCFRP補強板の断面図である。 本発明に係る第四実施形態における炭素繊維シートを配置した際のコンクリート躯体、樹脂、炭素繊維シート及びCFRP補強板の断面図である。 本発明に係る第四実施形態における完成時のコンクリート構造体の断面図である。
以下、本発明に係る部材の補強方法の各種実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態における補強対象である被補強部材は、コンクリート躯体である。但し、本発明において、被補強部材はコンクリート躯体でなくてもよい。
「第一実施形態」
まず、図1〜図10を用いて、本発明に係る部材の補強方法の第一実施形態について説明する。
図9に示すように、被補強部材であるコンクリート躯体1は、その表面が繊維強化樹脂膜10で覆われることで補強されて、コンクリート構造体を構成している。繊維強化樹脂膜10は、炭素繊維シート15と、この炭素繊維シート15に含侵して硬化した樹脂11と、を有して形成されている。すなわち、本実施形態の繊維強化樹脂膜10は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)膜である。樹脂11としては、ここではエポキシ樹脂を用いている。なお、樹脂11として、この他、他の熱硬化性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等を用いてもよい。
コンクリート躯体1には、他の部材を取り付けるためのアンカーボルト等が取り付けられることがある。また、コンクリート躯体1には、配管や電源コンセント等が取り付けられることもある。このため、本実施形態では、コンクリート躯体1にアンカーボルトや配管等の取付領域を確保するために、繊維強化樹脂膜10の一部に膜開口12が形成されている。
次に、以上で説明したコンクリート構造体の施工方法、つまりコンクリート躯体1の補強方法について、図1に示すフローチャートに従って説明する。
まず、図2に示すように、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維シート15を準備し、図に示すように、この炭素繊維シート15の一部を以下の手順で切断して、シート開口16(図9及び図4参照)を形成する(S1)。
炭素繊維シート15の切断では、まず、図3に示すように、炭素繊維シート15の表面であってシート開口の縁になる位置16aに沿って粘着テープ30を貼り付ける。図10に示すように、この粘着テープ30の粘着材31は、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維17に対する粘着性より、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11に対する粘着性が低い粘着材である。また、この粘着テープ30の支持材32は、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11に対する粘着性が低く、しかも、粘着材31と炭素繊維17及び樹脂11との間の粘着性より、粘着材31との間の粘着性の方が低い材料で形成されている。具体的に、この粘着テープ30は、油が幾分含侵している紙(母材)を支持材32とし、この支持材32の一方の面に粘着材31としてのアクリル系粘着材が施されている、例えば、医療用粘着紙テープである。
次に、図3及び図4に示すように、カッター等の切断道具35を用いて、炭素繊維シート15でシート開口16の縁となる位置16aを粘着テープ30と共に切断し、炭素繊維シート15にシート開口16を形成する。
特殊な切断機を用いず、カッターや鋏等の通常の切断道具35で炭素繊維シート15を切断すると、炭素繊維の縦糸相互の位置や、炭素繊維の横糸相互の位置、縦糸と横糸との相互の位置がズレてしまう。さらに、炭素繊維シート15は、炭素繊維を束ねた糸で形成されているため、切断時に炭素繊維を束ねた糸がほつれてしまう。すなわち、特殊な切断機を用いず、単に、カッターや鋏等の通常の切断道具で炭素繊維シート15を切断すると、炭素繊維シート15の切断面が極めて不規則になってしまう。そこで、本実施形態では、切断部に沿って粘着テープ30を貼り付け、切断部における炭素繊維の糸を粘着テープ30で保持することで、この切断部及びその近傍における炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えている。
なお、炭素繊維シート15の切断時には、炭素繊維シート15で粘着テープ30が貼り付けられていない側から切断道具35の刃を差し込んでもよいが、粘着テープ30側から切断道具35の刃を差し込む方が炭素繊維の糸相互の相対移動等をより効果的に抑えることができる。また、この時点では、図4に示すように、シート開口16の縁の外側に残る粘着テープ30aを剥がさない。
次に、図5に示すように、コンクリート躯体1の表面上であって、繊維強化樹脂膜10の膜開口12とする部分にマスキングテープ(又はマスキングシート)40を貼り付け、膜開口12とする部分をマスキングする(S2)。マスキングテープ40としては、例えば、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等に接着剤が施されているものを用いる。
次に、図6に示すように、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11をコンクリート躯体1の表面に塗布する(S3)。この際、マスキングテープ40上に樹脂11を塗布してもよい。
次に、図7に示すように、コンクリート躯体1の表面に塗布された樹脂11上に、シート開口16形成済みの炭素繊維シート15を配置する(S4)。この際、コンクリート躯体1の表面上に貼り付けられているマスキングテープ40が炭素繊維シート15のシート開口16内に位置するよう、炭素繊維シート15を配置する。
次に、図8に示すように、樹脂11上に配置された炭素繊維シート15の全面にローラーを押し当てる、又は炭素繊維シート15の全面にさらに樹脂11を塗布する等により、炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促す(S5)。
次に、樹脂11が完全硬化する前であって、この樹脂11がある程度硬化した時点で、図8及び図9に示すように、マスキングテープ40を除去すると共に、炭素繊維シート15上でシート開口16の縁の外側に残っている粘着テープ30aを除去する(S6)。この結果、マスキングテープ40上に塗布された樹脂11と共に、粘着テープ30a上の樹脂11も併せて除去され、マスキングテープ40が貼り付けられていた部分が膜開口12となる。
ところで、樹脂11がある程度硬化した時点で、炭素繊維シート15を形成する炭素繊維の糸は、この樹脂11によりある程度保持された状態になっている。一方、粘着テープ30は、図10を用いて前述したように、その粘着材31が樹脂11に対する粘着性が低い上に、支持材32も粘着材31と炭素繊維17及び樹脂11との間の粘着性より、粘着材31との間の粘着性の方が低い。このため、樹脂11から炭素繊維シート15上に残っている粘着テープ30の支持材32をこの時点で剥がしても、炭素繊維17の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えることができる。なお、本実施形態では、粘着テープ30の支持材32が粘着材31と炭素繊維17との間の粘着性よりも粘着材31との間の粘着性の方が低いため、粘着テープ30の粘着材31の一部は、炭素繊維17に付いた状態のまま、粘着テープ30の支持材32のみが剥がれる場合もある。
以上で、コンクリート構造材の施工が終了し、樹脂11が完全時硬化した時点で、コンクリート構造材が完成する。
以上、本実施形態では、アンカーボルトや配管等の取付領域をコンクリート躯体1の表面上に確保しつつも、このコンクリート躯体1を繊維強化樹脂膜10で覆っているので、このコンクリート躯体1を補強することができる。
また、本実施形態では、前述したように、炭素繊維シート15の切断部に沿って粘着テープ30を貼り付け、切断部における炭素繊維の糸を粘着テープ30で保持することで、この切断部及びその近傍における炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えている。さらに、本実施形態では、コンクリート躯体1の表面上に樹脂11を塗布した後、炭素繊維シート15上でシート開口16の縁の外側に残っている粘着テープ30aを除去しても、炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えることができる。よって、本実施形態では、炭素繊維シート15の目的の切断面を得ることができる上に、その切断面の形状を維持することができ、シート開口16及び膜開口12の形状を目的の形状にすることができる。
なお、本実施形態では、コンクリート構造材の施工中の最後の工程(S6)で、シート開口16の縁の外側に残っていた粘着テープ30aを剥がしているが、この残っていた粘着テープ30aを剥がさなくてもよい。つまり、完成したコンクリート構造材中に粘着テープ30aを残しておいてもよい。このように、本実施形態では、前述の粘着テープ30を用いることにより、施工者の意図に応じて、粘着テープ30aを残すことも、この粘着テープ30aを剥がすことも可能である。
「第二実施形態」
次に、図11〜図15を用いて、本発明に係る部材の補強方法の第二実施形態について説明する。
本実施形態の補強方法で形成されるコンクリート構造材は、図15に示すように、第一実施形態と同様、コンクリート躯体1と、このコンクリート躯体1の表面を覆う繊維強化樹脂膜10と、を有している。さらに、本実施形態のコンクリート構造材は、繊維強化樹脂膜10とコンクリート躯体1の表面との間に配置されている吸水材20と、この吸水材20の表面の一部を覆う含侵防止シート25と、を備えている。
吸水材20は、コンクリート躯体1に侵入した水を排出するため、細径の繊維で形成された不織布又はフェルトを板状にしたものである。繊維として、ここでは、木綿、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維等が用いられる。この板状の吸水材20は、例えば、縦及び横の長さが50mm〜150mm程度で、自然状態(圧縮力を受けていない状態)での厚さが0.1mm〜4mmである。
含侵防止シート25は、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11が吸水材20に含侵して、その吸水性が低下してしまうのを防止するためのシートである。この含侵防止シート25は、例えば、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等で形成されている。板状の吸水材20の一方の面は、この含侵防止シート25で覆われており、本実施形態の補強方法の実行過程で、その一部が吸水材20から剥がされる。
吸水材20は、含侵防止シート25で覆われていない面がコンクリート躯体1の表面に接するように、このコンクリート躯体1の表面上に配置されている。コンクリート躯体1を覆う繊維強化樹脂膜10には、コンクリート躯体側から外側に向かって貫通する膜開口12aが形成されている。この吸水材20の一部20aは膜開口12a内に位置して外部に露出し、残りの部分20bが繊維強化樹脂膜10とコンクリート躯体1の表面と間に位置している。この吸水材20中で、膜開口12aから露出している部分20aの表面は、含侵防止シート25で覆われていない。なお、この膜開口12a内には、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維シート15は存在しない。このため、炭素繊維シート15には、この膜開口12aの位置及び大きさに対応したシート開口16が形成されている。ここで、膜開口12aの大きさに対応したシート開口16の大きさとは、膜開口12aの大きさに対していくらか大きめのことで、膜開口12aが大きくなれば、シート開口16もこれに対応して大きくなる。
次に、コンクリート躯体1の補強方法について、図11に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態においても、第一実施形態と同様、まず、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維シート15を準備し、この炭素繊維シート15の一部を前述の手順で切断して、シート開口16を形成する(S1)。
次に、図12に示すように、一方の面が含侵防止シート25で覆われている吸水材20をコンクリート躯体1の表面上に配置する(S2a)。この際、板状の吸水材20の表面で、含侵防止シート25で覆われていない他方の面がコンクリート躯体1の表面に接するように配置する。この吸水材20をコンクリート躯体1の表面に固定する方法としては、接着剤を用いて固定する方法や、ピンを用いて固定する方法等がある。なお、接着剤を用いて吸水材20をコンクリート躯体1の表面に固定する場合には、吸水材20の他方の面の全体に接着剤を塗布すると、コンクリート躯体1からの吸水性が低下するため、この吸水材20の他方の面のうちの一部、例えば、外周側の部分のみに接着剤を塗布することが好ましい。
また、図12では、1個の吸水材20しか描いていないが、実際には、コンクリート躯体1の表面に複数の吸水材20を配置する。この際、相互間隔が例えば0.5m〜3mになるよう、複数の吸水材20を配置することが好ましい。但し、仮に、コンクリート躯体1が既設のものであり、このコンクリート躯体1を新たに補強するために、このコンクリート躯体1の表面を繊維強化樹脂膜10で覆う場合には、コンクリート躯体1の表面に亀裂2が現れている部分に吸水材20を配置することを優先し、先に示した相互間隔を確保しなくてもよい。
次に、図13に示すように、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11をコンクリート躯体1の表面に塗布する(S3)。この際、含侵防止シート25で覆われている吸水材20上にも樹脂11を塗布する。
次に、図14に示すように、コンクリート躯体1の表面に塗布された樹脂11上に、シート開口16形成済みの炭素繊維シート15を配置する(S4a)。この際、コンクリート躯体1の表面上に配置されている吸水材20の一部20aが炭素繊維シート15のシート開口16内に位置し、残りの部分20bが炭素繊維シート15とコンクリート躯体1の表面との間に位置するよう、炭素繊維シート15を配置する。そして、第一実施形態と同様、この炭素繊維シート15の全面にローラーを押し当てる等により、炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促す(S5)。
次に、樹脂11が完全硬化する前であって、この樹脂11がある程度硬化した時点で、図15に示すように、吸水材20を覆っている含侵防止シート25のうちで、シート開口16から臨める部分25a(図14)を除去すると共に、炭素繊維シート15上でシート開口16の縁の外側に残っている粘着テープ30aを除去する。この結果、含侵防止シート25のうちで除去された部分25aに塗布されていた樹脂11も併せて除去され、前述の膜開口12aが形成され、吸水材20のうちでシート開口16内に位置している部分20aは膜開口12aから外部に露出することになる(S6a)。
含侵防止シート25の一部25aを除去する際には、含侵防止シート25上でシート開口16の縁に沿った位置にカッター等で切れ目を入れてから、含侵防止シート25の一部25aを除去する。
本実施形態でも、第一実施形態と同様、樹脂11がある程度硬化した時点で、炭素繊維シート15を形成する炭素繊維の糸は、この樹脂11によりある程度保持された状態になっており、粘着テープ30として前述したものを用いている。このため、この時点で残っている粘着テープ30aを剥がしても、炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えることができる。
以上で、コンクリート構造材の施工が終了し、樹脂11が完全時硬化した時点で、コンクリート構造材が完成する。
以上、本実施形態では、コンクリート躯体1を繊維強化樹脂膜10で覆っているので、このコンクリート躯体1を補強することができる。しかも、本実施形態では、このコンクリート躯体1からの水が吸水材20に吸水されると、この吸水材20中で膜開口12aから外部に露出している部分20aから水を効率的に排出することができる。よって、本実施形態では、コンクリート躯体1に侵入した水によりコンクリート躯体1自体の強度低下を抑えることができる。
また、本実施形態でも、第一実施形態と同様、炭素繊維シート15の切断部に粘着テープ30を貼り付けるため、炭素繊維シート15の目的の切断面を得ることができる上に、その切断面の形状を維持することができ、シート開口16及び膜開口12aの形状を目的の形状にすることができる。
なお、本実施形態でも、コンクリート構造材の施工中の最後の工程(S6a)で、シート開口16の縁の外側に残っていた粘着テープ30aを剥がしているが、この残っていた粘着テープ30aを剥がさなくてもよい。つまり、完成したコンクリート構造材中に粘着テープ30aを残しておいてもよい。
「第三実施形態」
次に、図16〜図21を用いて、本発明に係る部材の補強方法の第三実施形態について説明する。
本実施形態の補強方法で形成されるコンクリート構造材は、図15に示すように、以上の各実施形態と同様、コンクリート躯体1と、このコンクリート躯体1の表面を覆う繊維強化樹脂膜10と、を有している。但し、本実施形態のコンクリート構造材では、炭素繊維シート15の端縁18相互が突き合わさっている。
次に、コンクリート躯体1の補強方法について、図16に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、まず、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維シート15を準備し、この炭素繊維シート15を切断する(S1b)。但し、本実施形態では、以上の各実施形態と異なり、図17に示すように、定尺物の炭素繊維シート15を施工に必要な大きさにするための切断である。なお、本実施形態でも、以上の実施形態と同様、定尺物の炭素繊維シート15の切断部となる位置16aに前述の粘着テープ30を貼り付け、この定尺物の炭素繊維シート15と共に粘着テープ30を切断する。定尺物の炭素繊維シート15を切断して、目的の大きさになった炭素繊維シート15の切断部分に沿った位置には、図18に示すように、以上の各実施形態と同様、切断された粘着テープ30aが残っている。
次に、図19に示すように、繊維強化樹脂膜10を形成する樹脂11をコンクリート躯体1の表面に塗布する(S3)。続いて、コンクリート躯体1の表面に塗布された樹脂11上に、炭素繊維シート15を配置する(S4b)。この際、炭素繊維シート15の切断端縁18と他の炭素繊維シート15の切断端縁18とを突き合わせる。なお、コンクリート躯体1が柱である場合には、同一の炭素繊維シート15の切断端縁18相互を突き合わせる場合もある。また、炭素繊維シート15の切断端縁18と、この炭素繊維シート15における他の端縁(切断端縁ではない)とを突き合わせる場合や、炭素繊維シート15の切断端縁18と、他の炭素繊維シート15における端縁(切断端縁ではない)とを突き合わせる場合もある。
次に、樹脂11が完全硬化する前であって、この樹脂11がある程度硬化した時点で、図20に示すように、炭素繊維シート15の切断部に沿った位置に残っている粘着テープ30aを除去する(S6b)。
本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、樹脂11がある程度硬化した時点で、炭素繊維シート15を形成する炭素繊維の糸は、この樹脂11によりある程度保持された状態になっており、粘着テープ30として前述したものを用いている。このため、この時点で残っている粘着テープ30aを剥がしても、炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えることができる。
次に、図21に示すように、各炭素繊維シート15の全面にさらに樹脂11を塗布して、各炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促す(S5b)。なお、炭素繊維シート15から粘着テープ30を除去した時点で、各炭素繊維シート15の全面にローラーを押し当てることにより、炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促すことができれば、この方法で樹脂含侵を促してもよい。
以上で、コンクリート構造材の施工が終了し、樹脂11が完全時硬化した時点で、コンクリート構造材が完成する。
本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、炭素繊維シート15の切断部に粘着テープ30を貼り付けるため、炭素繊維シート15の目的の切断面を得ることができる上に、その切断面の形状を維持することができ、炭素繊維シート15の端縁18相互が突き合っている部分の形状をきれいに形成することができる。
また、本実施形態では、粘着テープ30aの除去(S6b)後に、各炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促しているため(S5b)、粘着テープ30aを除去した後に残る樹脂11表面の不連続性、言い換えると、粘着テープ30を除去した部分に残る樹脂11表面の凹凸13(図20)を解消することができる。
なお、本実施形態でも、コンクリート構造材の施工中に、炭素繊維シート15の切断部に残っていた粘着テープ30aを剥がしているが、この残っていた粘着テープ30aを剥がさなくてもよい。
「第四実施形態」
次に、図22〜図26を用いて、本発明に係る部材の補強方法の第四実施形態について説明する。
本実施形態の補強方法で形成されるコンクリート構造材は、図26に示すように、以上の各実施形態と同様、コンクリート躯体1と、このコンクリート躯体1の表面を覆う繊維強化樹脂膜10と、を有している。さらに、本実施形態のコンクリート構造材は、CFRP補強板45を有している。すなわち、本実施形態では、コンクリート躯体1を部分的に補強するために、補強部分にCFRP補強板45を配し、このCFRP補強板45を繊維強化樹脂膜10で覆って、コンクリート構造材を形成している。
次に、コンクリート躯体1の補強方法について、図22に示すフローチャートに従って説明する。
本実施形態においても、以上の各実施形態と同様、まず、繊維強化樹脂膜10を形成する炭素繊維シート15を準備し、この炭素繊維シート15を切断する(S1c)。但し、本実施形態では、CFRP補強板45の全体を覆える大きさに炭素繊維シート15を切断する。この実施形態でも、炭素繊維シート15の切断部となる位置に前述の粘着テープ30を貼り付け、炭素繊維シート15と共に粘着テープ30を切断する。炭素繊維シート15を切断して、目的の大きさになった炭素繊維シート15の切断部に沿った位置には、以上の各実施形態と同様、切断された粘着テープ30a(図25)が残っている。
次に、図23に示すように、コンクリート躯体1の表面上であって、繊維強化樹脂膜10を形成する部分の外側部分にマスキングテープ40(又はマスキングシート)を貼り付け、この外側部分をマスキングする(S2c)。
次に、図23に示すように、コンクリート躯体1の表面上であって、繊維強化樹脂膜10を形成する部分、言い換えると、先に貼り付けたマスキングテープ40の内側部分に樹脂11を塗布する(S3)。この際、マスキングテープ40上に樹脂11を塗布してもよい。なお、仮に、コンクリート躯体1中の補強する部分が損傷している場合には、樹脂11を塗布する前に、損傷部分にセメントを塗り込む等で、この損傷部分を修繕しておくことが好ましい。
次に、図24に示すように、コンクリート躯体1の表面に塗布された樹脂11上に、CFRP補強板45を配置し、これをコンクリート躯体1の表面に押し付ける(S7)。
次に、図25に示すように、このCFRP補強板45を覆うように、マスキングテープ40の内側部分に炭素繊維シート15を配置する(S4c)。この結果、この炭素繊維シート15の端縁は、マスキングテープ40の端縁と突き合うことになる。続いて、炭素繊維シート15の全面にローラーを押し当てる、又は炭素繊維シート15の全面にさらに樹脂11を塗布する等により、炭素繊維シート15への樹脂11の含侵を促す(S5)。
次に、樹脂11が完全硬化する前であって、この樹脂11がある程度硬化した時点で、図26示すように、マスキングテープ40を除去すると共に、炭素繊維シート15の切断部に沿った位置に残っている粘着テープ30aを除去する(S6c)。
本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、樹脂11がある程度硬化した時点で、炭素繊維シート15を形成する炭素繊維の糸は、この樹脂11によりある程度保持された状態になっており、粘着テープ30として前述したものを用いている。このため、この時点で残っている粘着テープ30aを剥がしても、炭素繊維の糸相互の相対移動や糸のほつれを抑えることができる。
以上で、コンクリート構造材の施工が終了し、樹脂11が完全時硬化した時点で、コンクリート構造材が完成する。
以上、本実施形態では、コンクリート躯体1の表面にCFRP補強板45を配し、さらに、このCFRP補強板45を繊維強化樹脂膜10で覆っているので、このコンクリート躯体1を強固に補強することができる。
また、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、炭素繊維シート15の切断部に粘着テープ30を貼り付けるため、炭素繊維シート15の目的の切断面を得ることができる上に、その切断面の形状を維持することができ、繊維強化樹脂膜10の外縁の形状をきれいな目的の形状にすることができる。
なお、CFRP補強板45には、コンクリート躯体1の表面との対向面からその反対側の面に貫通する複数の孔を形成し、樹脂11が反対側の面に至るようにしてもよい。この場合、複数の孔のいずれかに樹脂アンカーを入れて、この樹脂アンカーによりこのCFRP補強板45をコンクリート躯体1に固定するようにしてもよい。また、この場合、CFRP補強板45として、予め複数の孔が形成されているCFRP補強格子板を用いてもよい。また、CFRP補強板45の替わりに、炭素繊維の多数の束を編みこんで、剛性を有する板状に形成したものを補強板として用いてもよい。
また、本実施形態では、コンクリート躯体1の表面の一部にCFRP補強板45を配し、このCFRP補強板45及びこの周りのみを繊維強化樹脂膜10で覆っている。しかしながら、コンクリート躯体1の表面の全体に、相互に重なり合わないように1以上のCFRP補強板45を配し、これらのCFRP補強板45を繊維強化樹脂膜10で覆ってもよい。この場合、炭素繊維シート15の端縁は、他の炭素繊維シート15の端縁と突き合うことになり、この突き合った部分に関しては、第三実施形態と同様の処理を施す。また、コンクリート躯体1の角部に、角の形状に合ったCFRP補強板を配し、又は、コンクリート躯体1の角を形成する二面のそれぞれにCFRP補強板を配し、これらCFRP補強板を繊維強化樹脂膜10で覆ってもよい。
また、本実施形態においても、コンクリート構造材の施工中に、炭素繊維シート15の切断部に残っていた粘着テープ30を剥がしているが、この残っていた粘着テープ30を剥がさなくてもよい。
「変形例」
以上の各実施形態では、被補強部材がコンクリート躯体1であるが、本発明はこれに限定されず、例えば、被補強部材が樹脂製の部材や繊維強化樹脂製の部材であってもよい。具体的に、被補強部材がCFRP部材であり、これをCFRP膜で覆ってもよい。
1…コンクリート躯体、2…亀裂、10…繊維強化樹脂膜、11…樹脂、12…膜開口12、15…炭素繊維シート、16…シート開口、20…吸水材、25…含侵防止シート、30…粘着テープ、31…粘着材、32…支持材、35…切断道具、40…マスキングテープ、45…CFRP補強板

Claims (12)

  1. 被補強部材の表面を繊維強化樹脂膜で覆う部材の補強方法において、
    前記繊維強化樹脂膜の構成要素である炭素繊維シートを切断して、目的の大きさ又は目的の形状に形成するシート切断工程と、
    前記繊維強化樹脂膜の構成要素である樹脂を前記被補強部材の表面に塗布する樹脂塗布工程と、
    前記樹脂が塗布された前記被補強部材の表面に、切断後の前記炭素繊維シートを配置する繊維シート配置工程と、
    を実行し、
    前記シート切断工程では、前記炭素繊維シートの表面での切断予定位置に沿って粘着テープを貼り付け、該炭素繊維シートの該切断予定位置を該粘着テープと共に切断し、
    前記粘着テープの粘着材と該粘着材を支持する前記粘着テープの支持材との間の粘着性は、前記粘着材と前記炭素繊維シートを形成する炭素繊維及び前記樹脂との間の粘着性よりも低い、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  2. 請求項1に記載の部材の補強方法において、
    前記粘着テープの前記支持材は、母材に油分が含侵している支持材である、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  3. 請求項2に記載の部材の補強方法において、
    前記支持材の前記母材は、紙である、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の部材の補強方法において、
    前記粘着テープの前記粘着材は、前記炭素繊維に対する粘着性よりも前記樹脂に対する粘着性が低い、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の部材の補強方法において、
    前記繊維シート配置工程後であって、前記樹脂が完全硬化する前に、切断後の前記炭素繊維シートに残った前記粘着テープを除去するテープ除去工程を実行する、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の部材の補強方法において、
    前記繊維シート配置工程後、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行する、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  7. 請求項に記載の部材の補強方法において、
    前記繊維シート配置工程では、前記炭素繊維シートの端縁相互を突き合わせ、
    前記繊維シート配置工程後に、前記テープ除去工程を実行し、
    該テープ除去工程後に、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行する、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  8. 請求項に記載の部材の補強方法において、
    前記樹脂塗布工程前に、前記被補強部材の表面の一部にマスキングテープを貼り付けるマスキング工程を実行し、
    前記繊維シート配置工程では、前記炭素繊維シートの切断端縁と前記マスキングテープとの端縁とを突き合わせ、
    前記繊維シート配置工程後に、前記炭素繊維シートにおける前記被補強部材と反対側の外側面にまで、該炭素繊維シートへの前記樹脂の含侵を促す含侵工程を実行し、
    含侵工程後に前記テープ除去工程を実行すると共に、前記マスキングテープを除去するマスキングテープ除去工程を実行する、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の部材の補強方法において、
    前記被補強部材は、コンクリート躯体である、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  10. 請求項9に記載の部材の補強方法において、
    前記繊維シート配置工程前に、前記コンクリート躯体の表面上の少なくとも一部に炭素繊維を含む補強板を配置する補強板配置工程を実行し、
    前記繊維シート配置工程では、切断後の前記炭素繊維シートで前記補強板を覆う、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  11. 請求項1から6のいずれか一項に記載の部材の補強方法において、
    前記被補強部材は、コンクリート躯体であり、
    前記シート切断工程では、前記炭素繊維シートの一部を切断してシート開口を形成し、
    前記樹脂塗布工程前に、前記コンクリート躯体の表面の一部に吸水材を配置する吸水材配置工程を実行し、
    前記樹脂塗布工程では、前記コンクリート躯体の表面及び前記吸水材上に、前記樹脂を塗布し、
    前記繊維シート配置工程では、前記樹脂が塗布された前記コンクリート躯体の表面に、前記コンクリート躯体の表面に配置された前記吸水材の一部が前記シート開口から臨めるよう、該シート開口が形成されている前記炭素繊維シートを配置し、
    前記シート開口から臨める前記吸水材の一部上の前記樹脂を除去する樹脂除去工程を実行する、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
  12. 請求項11に記載の部材の補強方法において、
    前記吸水材の表面で前記コンクリート躯体の表面と対向していない部分は、前記樹脂の該吸水材への含侵を防ぐ含侵防止シートで覆われており、
    前記繊維シート配置工程後であって、前記樹脂が完全硬化する前に、前記吸水材を覆っている前記含侵防止シートのうちで、前記シート開口から臨める部分を除去することで、前記樹脂除去工程を実行して、該吸水材の一部を露出させる、
    ことを特徴とする部材の補強方法。
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