JP5975189B1 - 積層体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、フィルム上に金属蒸着層が設けられたガスバリア性基材を用いた場合に、高速、例えば塗工速度200m/分で接着剤を塗工し、40℃以下の低温かつ短時間のエージングで、印刷部の良好な外観の積層体を提供することである。【解決手段】 透明基材1と白色インキ層と接着剤層と基材2とをこの順で有する積層体であって、白色インキ層が、アミノ系シランカップリング剤をインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%含有する白色インキの乾燥物ないし硬化物であり、接着剤層が、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含有する接着剤組成物の硬化物であり、前記ポリイソシアネート成分(A)が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む、積層体。【選択図】 なし

Description

本発明は、白色インキ層と接着剤層とを有する積層体に関し、より詳細には食品、医療品、化粧品等の包装用材料として有用な積層体に関する。
各種プラスチックフィルム同士の貼り合わせや、プラスチックフィルムと金属蒸着フィルムや金属箔との貼り合わせは、従来、水酸基/イソシアネート系の溶剤型接着剤組成物を用いるドライラミネート方式により行われていた。しかし、ドライラミネート方式は有機溶剤を含有する接着剤組成物を用いるので、環境汚染や火災を抑止・防止する特別な設備が必要である。
近年、簡便な設備への要求から接着剤組成物の脱有機溶剤化の要求が強くなり、無溶剤化の研究が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、ポリオール成分(1)と2種類のポリイソシアネート化合物からなるポリイソシアネート成分(2)とを含有する無溶剤型のラミネート用接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ポリオール成分(1)と3官能ポリイソシアネート化合物を必須とするポリイソシアネート成分(2)とを含有する、分岐点濃度が
特定の範囲にあり、水酸基モル数:イソシアネート基モル数=1:1〜1:3である無溶剤型ラミネート接着剤組成物が開示されている。
特許文献3には、ポリオール成分(A)と、イソホロンジイソシアネートを必須とするイソシアネート成分(B)とを含有する無溶剤型接着剤組成物が開示されている。
特許文献4には、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート化合物(B)と特定粒子径の紛体(C)とを含有する無溶剤型接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献5にはポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含み、ポリイソシアネート成分(A)が、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)と4,4’−MDI(a2)と、ポリエーテルポリオール(a3)を必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなる反応性生成物であり、ポリオール成分(B)が、数平均分子量500以上、3000以下のポリエステルジオール(b1)を必須とし、更に数平均分子量50以上、500未満のジオール(b2)またはトリオール(b3)の少なくともいずれか一方を含む接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献6の請求項2には、外装のポリエチレンテレフタレートフィルム層(F1)、印刷インキの乾燥被膜層(P)、コート樹脂の乾燥皮膜層(C)、無溶剤型接着剤層(A)、金属蒸着層又は金属箔(M)、内装プラスチックフィルム層(F2)をこの順に有するプラスチックフィルム積層体が記載されている。
また、特許文献7には、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)の総量中に特定量の結晶性ポリオール成分を含有する2液硬化型無溶剤系接着剤組成物が開示されている。
特許文献8には、ポリエーテルポリオールを原料とするウレタンプレポリマーとクルードMDIとを含む特定のポリイソシアネート成分(A)と、ポリエステルジオールを必須成分とする特定のポリオール成分(B)とを含む接着剤組成物が記載されている。
特開平8−60131号公報 特開2003−96428号公報 特開2006−57089号公報 特開2011−162579号公報 特開2014−159548号公報 特開2010−280122号公報 特開2002−249745号公報 特許第5812219号
包装用材料としての積層体は、透明基材の一方の面(以下、裏面、裏側ともいう)に印刷インキ層、接着剤層、基材とを有する。印刷インキ層は、前記透明基材の反対側(以下、表面、表側ともいう)から見られることとなる。印刷インキ層は、全面を覆うように設けられている場合もあるし、部分的に設けられている場合もある。印刷インキ層は単層の場合もあるし複数の層が重ねられている場合もある。印刷インキ層が設けられている部分はインキ部とも呼ばれ、印刷インキ層の設けられてない部分は無地部とも呼ばれる。
溶剤を含まない接着剤組成物は、乾燥工程がなく溶剤の排出がないこと、省エネルギーでランニングコストが良いこと、プラスチックフィルム同士を貼り合せた後の積層体や、プラスチックフィルムと金属箔や金属蒸着層とを貼り合せた後の積層体に溶剤が残留する懸念がないこと等の多くのメリットを持つ。
しかし、無溶剤接着剤組成物と、フィルム上に金属蒸着層が設けられたガスバリア性の高い基材(以下、バリア性基材ともいう)とを用いて包装用材料としての積層体を形成すると、インキ部上にゆず肌状の外観不良が生じやすいという問題があった。特に白色インキ部上で外観不良が発生しやすい。
特許文献1〜4には、ポリイソシアネート成分として、反応が比較的穏やかなもの、具体的には脂環族系ポリイソシアネート成分や脂肪族系ポリイソシアネート成分を使用する旨、記載されている。しかし、反応が比較的穏やかなポリイソシアネート成分では、エージング工程に40〜50℃で2〜5日間を要するという問題点があった。
また、特許文献1〜4には、インキ部における外観不良の改良は記載されていない。
なお、エージング工程とは「接着剤層の硬化を進行させる工程」の意である。
また、特許文献5には水分との反応性を制御し、高湿度化においても良好な接着性能と良好なポットライフを有する接着剤組成物が開示されている。
しかし、特許文献5もインキ部における外観不良の改良には言及してない。
特許文献6の[0013]、[0014]には、外装のポリエチレンテレフタレートフィルム層(F1)と、コート樹脂の乾燥皮膜層(C)の間に、印刷インキの乾燥被膜層(P)を設ける場合、前記コート樹脂の乾燥皮膜層(C)を構成するコート樹脂は、印刷インキ用のバインダーを用い、インキ部の外観を向上させようとする旨、開示されている。
しかし、実施例に具体的に示される加工スピード、即ち、接着剤の塗工速度はわずか10m/min.と低速である。無溶剤型接着剤組成物は、無溶剤であるが故にこれまでは塗工速度を上げると、塗工面が荒れるので、塗工速度の向上と外観向上の両立を図ることはできなかった。生産性の向上の点から、無溶剤型接着剤組成物にも、溶剤型接着剤組成物と同レベル、例えば200m/分程度の塗工速度で、インキ部の外観が良好な積層体が望まれるようになってきた。
一方、特許文献7には、特定量の結晶性ポリエステルを含有する無溶剤接着剤組成物を用いることによって、200m/分の塗工速度でも、インキ部の外観を向上しようとする旨が開示されている。
しかし、結晶性ポリエステルを使用するので、40℃以下の低温エージングでは外観不
良を改善できなかった。
また、特許文献8には、200m/分以上の速度で塗工し、低温かつ短時間でエージングし、外観に優れる積層体が得られる旨記載されているが、印刷部の外観の向上が望まれていた。
本発明の目的は、ガスバリア性に優れる基材、例えば酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材を用いた場合に、高速、例えば塗工速度200m/分で接着剤組成物を塗工し、40℃以下の低温かつ短時間のエージングで、印刷部の良好な外観の積層体を提供することである。
本発明は、上記課題に鑑み、成されたものであって、本発明は、透明基材1と特定の白色インキ層と特定の接着剤層と基材2とをこの順で有する積層体に関する。
即ち、本発明の積層体を構成する白色インキ層は下記(1)〜(3)の条件を全て満たし、接着剤層は下記(11)〜(15)の条件を全て満たす。
(1)前記白色インキ層が、ポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、アミノ系シランカップリング剤、および有機溶剤を含有する白色インキ組成物の乾燥物ないし硬化物である。
(2)前記ポリウレタンポリウレア樹脂の水酸基が0.1〜20(mgKOH/g)である。
(3)前記アミノ系シランカップリング剤を、インキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%含有する。
(11)数平均分子量がポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含有する接着剤組成物の硬化物である。
(12)前記ポリイソシアネート成分(A)が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む。
(13)前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物であるか、
または、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリオールとの反応生成物の混合物であり、前記ポリオールのうち少なくとも1つがポリエーテルポリオールを必須とする、混合物である。
(14)前記ポリオール成分(B)が、数平均分子量500以上、3000以下のポリエステルポリオールを必須として含む。
(15)前記接着剤組成物100質量%中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である。
上記本発明の積層体は、前記白色インキ層に含まれる前記アミノ系シランカップリング剤が、1級のアミノ基を有するか、または2級のアミノ基と4つ以上のアルコキシ基とを有することが好ましい。
さらに本発明の積層体は、前記アミノ系シランカップリング剤のうち、1級のアミノ基を有するシランカップリング剤が、2級のアミノ基をさらに有することが好ましい。
また、本発明の積層体を構成する基材2は、一方の面に金属蒸着層を有するものであり、前記金属蒸着層が接着剤層と接することが好ましい。
さらに本発明は、透明基材1と特定の白色インキ層と特定の接着剤層と酸素透過度が100(CC/m・24h・atm・at25℃)以下の基材2とをこの順で有する積層体の製造方法であって、下記工程(I)〜(VI)を含む積層体の製造方法に関する。
(I) 水酸基価が0.1〜20(mgKOH/g)であるポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、有機溶剤、およびインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%のアミノ系シランカップリング剤を含有する白色インキ組成物を用意する工程。
(II−1) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させるか、
もしくは、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件下に反応させた後、混合し、
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む、ポリイソシアネート成分(A)を用意し、
(II−2) 前記ポリイソシアネート成分(A)と、数平均分子量が500〜3000のポリエステルポリオールを必須として含むポリオール成分(B)とを混合し、
前記ポリイソシアネート成分(A)と前記ポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である接着剤組成物を用意する工程。
(III) 透明基材1に、前記白色インキ組成物を塗工し、乾燥ないし硬化し、白色イン
キ層を得る工程。
(IV) 前記白色インキ層上に、前記接着剤組成物を塗工し、接着剤層の前駆体を形成する工程。
(V) 前記接着剤層の前駆体上に、前記基材2を重ねる工程。
(VI) 前記接着剤層の前駆体を硬化し、接着剤層とする工程。
さらに本発明は、透明基材1と特定の白色インキ層と特定の接着剤層と酸素透過度が100(CC/m・24h・atm・at25℃)以下の基材2とをこの順で有する積層体の他の製造方法に関する。即ち、下記工程(I)〜(III)、(VII)〜(IX)を含む積層体の製造方法に関する。
(I) 水酸基価が0.1〜20(mgKOH/g)であるポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、有機溶剤、およびインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%のアミノ系シランカップリング剤を含有する白色インキ組成物を用意する工程。
(II−1) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させるか、
もしくは、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件下に反応させた後、混合し、
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む、ポリイソシアネート成分(A)を用意し、
(II−2) 前記ポリイソシアネート成分(A)と、数平均分子量が500〜3000のポリエステルポリオールを必須として含むポリオール成分(B)とを混合し、
前記ポリイソシアネート成分(A)と前記ポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である接着剤組成物を用意する工程。
(III) 透明基材1に、前記白色インキ組成物を塗工し、乾燥ないし硬化し、白色イン
キ層を得る工程。
(VII) 前記基材2上に、前記接着剤組成物を塗工し、接着剤層の前駆体を形成する工
程。
(VIII) 前記接着剤層の前駆体上に、前記白色インキ層を重ねる工程。
(IX) 前記接着剤層の前駆体を硬化し、接着剤層とする工程。
本発明により、酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下のガスバリア性に優れる基材を用いた場合に、高速、例えば塗工速度200m/分で接着剤組成物を塗工し、40℃以下の低温で短時間のエージングでも、15mm幅にて0.6N以上の接着性能を発現し、印刷部の良好な外観の積層体を提供することができる。
本発明の積層体を構成する白色インキ層は白色インキ組成物(以下、インキ組成物とも略す)より形成される。
インキ組成物は、前述の通り、ポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、アミノ系シランカップリング剤、および有機溶剤を含有する。
先ずインキ組成物に含まれるポリウレタンポリウレア樹脂について説明する。本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂は、高分子ポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ基を有する化合物との反応生成物である。
本発明でいう高分子ポリオールは、グラビアインキおよびフレキソインキ用として周
知の高分子ポリオールであり、重合反応や、縮合反応や、天然物などで入手でき、その多くは平均分子量が400〜10000のものである。
本発明における高分子ポリオールの構造は、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の高分子ポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。
例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体のポリエーテルポリオール類(1);
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子多価アルコール類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(2);
環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(3);
前記低分子多価アルコール類などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(4);
ポリブタジエングリコール類(5);
ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(6);
1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(7)などが挙げられる。
高分子ポリオールの中でも、インキ層の透明基材1への密着性、インキ組成物の溶剤に対する溶解性の点から、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類が好ましく、数平均分子量は500〜5000であることが好ましい。ポリエステルポリオール類としては、2メチル−1,3プロパンジオール、2エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール等から選ばれる1種以上の分岐構造を有するジオールとアジピン酸とを重合させて得られるポリエステルポリオールは、分岐構造を有するため特に基材への密着性および溶解性に優れている。特に、3−メチル−1,5ペンタンジオールとアジピン酸とを重合させて得られるポリエステルポリオールが好ましい。 ポリエーテルポリオール類としては基材への密着性の点で適度な柔軟性を有する酸化プロピレンの重合体が好ましい。さらに好ましくは、これら分岐構造を有するポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの併用である。
ポリウレタンポリウレア樹脂を形成する際に用いられるポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’ −ジベン
ジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m―テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ビス−クロロメチル−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアネート−ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシア
ネート基に転化したダイマージイソシアネート等があげられる。これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
前記ポリイソシアネート化合物の中でも、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましく、溶解性の観点からイソホロンジイソシアネートがさらに好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂を形成する際に用いられるアミノ基を有する化合物は、前記ウレタンプレポリマーの分子量を伸ばすことを目的とした鎖伸長剤と、ポリウレタンポリウレア樹脂の反応停止を目的とした末端封鎖剤とがある。
前記鎖伸長剤として、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’ −ジアミンなどが挙げられる。さらに、ポリウレタン
ポリウレア樹脂の側鎖に水酸基を付加することができる鎖伸長剤として、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は1種または2種以上を混合して用いることができるが、イソホロンジアミンと2−ヒドロキシエチルエチレンジアミンとを併用することが好ましい。
前記末端封鎖剤として、例えばジ−n−ブチルアミンなどのジアルキルモノアミン類などの他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等の水酸基を有するモノアミン類も用いることができる。更に、グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸類も挙げられる。モノエタノールアミン等の水酸基を有するモノアミン類使用することで、ポリウレタンポリウレア樹脂の末端に水酸基を付加することができる。
さらに前記末端封鎖剤としては、前記記載のアミノ基を有する化合物以外に、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとアミノ基を有する化合物とを反応させて得る。即ち、まず高分子ポリオールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物を、必要に応じイソシアネート基に不活性な溶媒を用い、また、さらに必要であれば触媒を用いて10〜100℃の温度で反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造する。次いで、ウレタンプレポリマーとアミノ基を有する化合物とを10〜80℃で反応させる。
ウレタンプレポリマーとアミノ基を有する化合物との反応の方法は、ウレタンプレポリマー溶液にアミノ基を有する化合物の溶液を徐々に滴下して行う方法や、アミノ基を有する化合物の溶液にウレタンプレポリマー溶液を滴下して行う方法などがあるが、本発明においては任意の方法で反応させることができる。
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂の質量平均分子量は、得られるインキ組成物の耐ブロッキング性の点から15000以上、顔料を適度に分散することができ、なお
かつ得られるインキ組成物を用いた印刷工程における作業効率が良いという点から70000以下であることが好ましい。
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂は、ポリウレタンポリウレア樹脂の側鎖あるいは末端に水酸基を有し、水酸基価が0.1〜20mgKOH/gであり、1〜15mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が0.1mgKOH/g以上であることによって、後述するアミノ系シランカップリング剤と架橋した強靭なインキ層を得ることができる。強靭なインキ層には後述する接着剤組成物中の成分が浸透し難くなるので、積層体外観および物性が向上する。水酸基価が20mgKOH/g以下であることによって、ポリウレタンポリウレア樹脂の凝集力が高くなり、接着剤組成物中の成分がインキ層へ浸透し難くなるので、積層体外観および物性が向上する。
ポリウレタンポリウレア樹脂の側鎖に水酸基を付加する方法は、鎖伸長剤として前記水酸基を有するアミン類を使用することなどが挙げられる。また、ポリウレタンポリウレア樹脂の末端に水酸基を付加する方法は、末端封鎖剤として前記水酸基を有するモノアミン類を使用することなどが挙げられる。本発明のポリウレタンポリウレア樹脂では、任意の方法でポリウレタンポリウレア樹脂に水酸基を付加することができるが、側鎖と末端の両方に水酸基が付加されていることが好ましい。
次に、インキ組成物に含まれるアミノ系シランカップリング剤について説明する。
本発明におけるアミノ系シランカップリング剤は、1分子内に1〜3級のアミノ基と、アルコキシシリル基とを有する化合物のことを示す。アミノ系シランカップリング剤分子中のアルコキシシリル基が、インキ組成物中のポリウレタンポリウレア樹脂あるいは白色無機顔料表面等に存在する水酸基と架橋を形成することにより、積層される接着剤組成物が浸透することのない強靭なインキ組成物の乾燥物ないし硬化物が形成され、接着剤組成物のレベリング性が良好となるため積層体外観が良好となる。また、接着剤組成物中もしくは接着剤層の前駆体中(以下、接着剤中ともいう)のイソシアネートモノマーがインキ層へ浸透しないため、接着剤層の硬化を阻害することがなく、良好な積層体物性を実現することができる。
本発明におけるインキ組成物は、前記アミノ系シランカップリング剤を、インキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%含有し、0.5〜3質量%含有することが好ましい。アミノ系シランカップリング剤含有量が0.15質量%以上であることによって、インキ層を十分架橋でき、積層体外観および物性を向上できる。
また、アミノ系シランカップリング剤含有量が7質量%以下であることにより、積層体外観および物性を向上できる。この理由は以下のように考察される。インキ層中のアミノ系シランカップリング剤は、接着剤中のポリイソシアネート成分(A)とも反応したり、接着剤中のポリイソシアネート成分(A)とポリオール(B)との硬化反応時の塩基性触媒としても作用したりする。水酸基に比してアミノ基の方が、イソシアネート基との反応性に優れるので、インキ層中に過剰なアミノ系シランカップリング剤が含まれると、ポリイソシアネート成分(A)がポリオール(B)よりもインキ層中のアミノ系シランカップリング剤と優先的に反応してしまい、硬化途中の接着剤層中のポリイソシアネート成分(A)がポリオール(B)との反応が不十分となるため、積層体の接着強度が劣る。一方、インキ層中の過剰なアミノ系シランカップリング剤により、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール(B)との硬化反応が促進されると硬化途中の接着剤層の粘度が大きくなる。その結果、硬化途中の接着剤層がインキ層に対して均一に濡れ広がることができず、積層体外観が劣る。
本発明におけるアミノ系シランカップリング剤は、1級のアミノ基を有することが好ましい。1級のアミノ基を有することで同一分子内のアルコキシ基の加水分解反応性および縮合反応性が優位となり、インキ組成物中で効率的に架橋構造を形成するため、インキ層
に対する接着剤組成物の浸透を抑えることができ、積層体外観が良好となる。かかる化合物としては例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
1級のアミノ基を有する前記アミノ系シランカップリング剤は、2級のアミノ基も有することがさらに好ましい。1級および2級のアミノ基を有することで、同一分子内のアルコキシ基の加水分解反応性および縮合反応性が特に優れ、積層体外観および積層体物性が特に良好となる。かかる化合物としては例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
また、本発明におけるアミノ系シランカップリング剤は、2級のアミノ基と4つ以上のアルコキシ基とを有することが好ましい。2級のアミノ基は1級のアミノ基と比較してアルコキシ基の加水分解反応性および縮合反応性は劣る傾向にあるが、アルコキシ基が4つ以上存在することにより1分子で効率的な架橋構造を形成することができるため、1級のアミノ基を有するアミノ系シランカップリング剤と同等に積層体外観が良好となる。かかる化合物としては例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−
トリエトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)アミン、N,N´−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。
本発明におけるインキ組成物は、白色無機顔料を含有する。白色無機顔料は、印刷物の濃度を確保するのに十分な量、すなわちインキ組成物中に、5〜50質量%の割合で含まれることが好ましい。白色無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、マイカ(雲母)などが挙げられる。
特に、白色無機顔料が酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンは耐薬品性に優れているため白色インキ層への接着剤組成物の浸透を抑えることができ、着色力、隠蔽力の点からも外観の良好な積層体を得ることができる。また、酸化チタン表面と前記アミノ系シランカップリング剤の架橋作用の点からも、物性と外観とを両立する積層体を得るのに好適である。
本発明におけるインキ組成物には、用途や基材に応じて、前記ポリウレタンポリウレア樹脂以外の様々な樹脂を併用することができる。用いられる樹脂の例としては、上記記載以外のポリウレタンポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。特に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合が好ましい。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができ、その含有量は、インキ組成物の固形分100重量%に対して0.5〜20質量%が好ましい。
本発明におけるインキ組成物に使用される有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、ノルマルプロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール
、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤など、公知の溶剤を使用できる。近年、作業環境の観点からトルエン、キシレンといった芳香族有機溶剤や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系溶剤を排除する要望があり、本発明におけるインキ組成物では、これを排除した溶剤でも好適に用いられる。
本発明におけるインキ組成物は、樹脂、顔料などを有機溶剤中に溶解および/または分散することにより製造することができる。具体的には、白色無機顔料をポリウレタンポリウレア樹脂、およびその他の樹脂、さらに必要に応じて他の化合物などを有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体にポリウレタンポリウレア樹脂、およびその他の樹脂、有機溶剤、必要に応じて他の化合物などを配合することによりインキ組成物を製造することができる。顔料分散体を得る前記工程を練肉工程ともいう。
インキ組成物にアミノ系シランカップリング剤を含有させる方法としては、添加剤をインキ組成物に含有させる一般的な方法でよく、特に限定されるものではない。例えば、 (
1 ) 予め顔料に乾式または湿式法にてアミノ系シランカップリング剤を処理する、 (2)顔料を練肉する際にアミノ系シランカップリング剤を一括に添加する、(3)練肉後にアミノ系シランカップリング剤を添加する、 (4)印刷直前にインキに添加する等の方
法がある。
顔料を有機溶剤に安定に分散させるには、さらに顔料を安定に分散するため分散剤を併用することもできる。分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を使用することができる。分散剤は、インキの保存安定性の観点からインキの総質量に対して0.01質量%以上、かつ、ラミネート適性の観点から5質量%以下でインキ組成物中に含まれることが好ましい。さらに、0.05〜2質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
インキ組成物中に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
前記方法で製造されたインキ組成物の粘度は、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ組成物製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。なお、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
次に、本発明の積層体を構成する接着剤層について説明する。前記接着剤層は、ポリイソシアネート成分(A)と、ポリオール成分(B)を含む接着剤組成物の硬化物である。
本発明における接着剤組成物に含まれるポリイソシアネート成分(A)について説明する。
以下、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを4,4’−MDI、
2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを2,4’−MDI、
トリレンジイソシアネートをTDIと略すこともある。
ポリイソシアネート成分(A)は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と4,4’−MDIとを含み、2,4’−MDIおよびTDIからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む。
前記ウレタンプレポリマー(a)は、イソシアネート成分とポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させて、得ることができるものであり、
4,4’−MDIを必須とし、2,4’−MDIおよびTDIからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物であるか、
もしくは、
4,4’−MDIを必須とし、2,4’−MDIおよびTDIからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリオールのうちの少なくとも1つがポリエーテルポリオールであるポリオールとの反応生成物の混合物である。
即ち、本発明に用いられるウレタンプレポリマー(a)としては、(a1)〜(a6)等が挙げられる。
(a1) 4,4’−MDIと2,4’−MDIと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物。
(a2) 4,4’−MDIとTDIと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物。
(a3) 4,4’−MDIと2,4’−MDIとTDIと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物。
(a4) 4,4’−MDIとポリオールとの反応生成物生物と、2,4’−MDIとポリオールとの反応生成物との混合物。
(a5) 4,4’−MDIとポリオールとの反応生成物と、TDIとポリオールとの反応生成物との混合物。
(a6) 4,4’−MDIとポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリオールとの反応生成物と、TDIとポリオールとの反応生成物との混合物。
複数の反応生成物の混合する(a4)〜(a6)の場合、ポリエーテルポリオールは、用いられるポリオールのうち、少なくとも1つであればよい。
つまり、例えば、(a4)の場合であれば、以下のような態様を含む。
(a4−1) 4,4’−MDIとポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリエーテルポリオール以外のポリオールとの反応生成物との混合物。
(a4−2) 4,4’−MDIとポリエーテルポリオール以外のポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物とを混合物。
なお、「ポリエーテルポリオールを必須とするポリオール」は、ポリエーテルポリオールだけでもよいし、ポリエーテルポリオールとポリエーテルポリオール以外のポリオールとの併用でもよい。従って、(a4−1)は、さらに以下のような態様を含む。
(a4−1−1) 4,4’−MDIとポリエーテルポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリエーテルポリオール以外のポリオールとの反応生成物との混合物。
(a4−1−2) 4,4’−MDIとポリエーテルポリオール以外のポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリエーテルポリオールとの反応生成物との混合物。
(a4−1−3) 4,4’−MDIとポリエーテルポリオールとの反応生成物と、2,4’−MDIとポリエーテルポリオールとの反応生成物との混合物。
また、(a1)〜(a3)の場合、4,4’−MDIと、2,4’−MDI等とを混合した後、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールと反応させることもできるし、各イソシアネートを順番に、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールと反応させ
ることもできる。
さらに(a1)〜(a3)の反応生成物同士を併用したり、(a4)〜(a6)の混合物同士を併用したり、(a1)〜(a3)の反応生成物と(a4)〜(a6)の混合物とを併用したりすることもできる。
ウレタンプレポリマー(a)を形成するためのポリオールについて説明する。
ポリオールは、ポリエーテルポリオールを必須成分として含有し、その他にポリエステルポリオールを含有することができる。ポリエーテルポリオールは、一般にポリエステルポリオールに比して溶融状態での粘度が低いので、無溶剤型接着剤組成物の構成成分であるポリイソシアネート成分(A)中のウレタンプレポリマーを形成する際のポリオールとしては、ポリエーテルポリオールを必須とすることが重要である。さらにポリエステルポリオールを併用することにより、後述するポリオール成分(B)との相溶性を高めると共に、接着剤層の凝集力を高めることができる。
ポリエステルポリオールを併用する場合には、ポリオール100質量%中、接着剤組成物の粘度の点から50質量%以下であることが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、2官能の他、3官能以上のものを用いることができる。また、官能基数の異なるものを複数組み合わせて用いることもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、数平均分子量が100以上、5000以下のものが好ましい。また、異なる分子量のものを複数組み合わせて用いることもできる。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の多価カルボン酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とが挙げられる。
低分子ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、等の低分子ジオール類又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明における前記ポリイソシアネート成分(A)は、前述の通り、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と4,4’−MDIとを含み、2,4’−MDIおよびTDIからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートモノマーをさらに含む。イソシアネートモノマーは、ウレタンプレポリマー(a)を得る際、残った未反応のイソシアネートモノマーでもよいし、ウレタンプレポリマー(a)を得た後、加えられるものであってもよい。
ポリイソシアネート成分(A)は、数平均分子量が200〜800であることが好ましく、より好ましくは数平均分子量が300以上700以下である。ポリイソシアネート成分(A)は、ウレタンプレポリマー(a)を含むものでありながらも、イソシアネートモノマーを含むことによって、上記のような分子量を呈することが好ましい。
また、本発明に用いられるポリイソシアネート成分(A)は、イソシアネート基を10質量%以上〜18質量%未満、含有することが好ましい。
ポリイソシアネート成分(A)のイソシアネート基含有率が上記範囲内にあることで、ガスバリア性の高いフィルム基材を用いる場合に、より外観の良好な積層体を形成することができる。イソシアネート基の含有率(質量%)は、後述するように塩酸による滴定で求める。
また、ポリイソシアネート成分(A)に含まれる、4,4’−MDI、2,4’−MDIおよびTDIのそれぞれの割合は、4,4’−MDI、2,4’−MDIおよびTDIの合計100モル%中、
4,4’−MDIが30モル%以上、70モル%以下、
2,4’−MDIが30モル%以上、70モル%以下、
TDIが30モル%以上、70モル%以下であることが好ましい。
2種類のMDIの組成比が上記範囲にあることによって、エージング温度を40℃以上に管理せずとも、積層体におけるインキ部の塗工外観が良化し、且つ良好な接着性能を発現できる。2,4’−MDIまたはTDIのみを用いると短時間エージングでは十分な接着性能を発揮できない。一方、4,4’−MDIのみを用いると積層体におけるインキ部外観向上が不十分である。
次に、本発明における接着剤組成物に含まれるポリオール成分(B)について説明する。
ポリオール成分(B)は、数平均分子量500以上、3,000以下のポリエステルポリオールを必須とし、更に数平均分子量50以上、500未満のジオール、数平均分子量50以上、500未満のトリオール、および数平均分子量500以上、10000以下のポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含み得る。
ポリエステルポリオールを必須として用いることで、十分な接着強度が得られる。更に数平均分子量50以上、500未満のジオール、数平均分子量50以上、500未満のトリオール、および数平均分子量4500以上、10000以下のポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことで、高湿度下における強度が向上する。
ポリオール成分(B)の必須成分として用いられる数平均分子量500以上、3000以下のポリエステルポリオールについて説明する。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の多価カルボン酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β−メチル−γ−バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、マシ油等の植物油並びに植物油由来のポリエステル化合物を使用することもできる、
植物油として代表的ものは、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
得られたポリエステルジオール中の水酸基の一部に無水トリメリット酸などの酸無水物をさらに反応させたものをポリエステルジオールとして用いることもできる。
酸無水物を付加したポリエステルジオールを用いることにより、密着し難いシート状基材に適用する場合に、密着性を向上できる。付加させる無水トリメリット酸等の使用量は、反応後のポリエステルジオール100質量%中、0.1〜5質量%が好ましい。
ポリエステルジオールとして数平均分子量が上記範囲内のものを用いることによって、ポリエーテルポリウレタンを必須の構成成分とする前述のポリイソシアネート成分(A)との相溶性がよくなり、透明な接着剤組成物を得ることができ、十分な接着性能を発現できる。
数平均分子量50以上、500未満のジオールとしては、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリエステルアミドジオール、アクリルジオール、ポリカーボネートジオールやエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、等の低分子ジオール類又はそれらの混合物が挙げられる。これらのなかでも、反応性の観点から、低分子ジオール類が好ましい。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、等の2官能低分量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルジオールが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルジオールを反応させて得られるポリエーテルエステルジオールが挙げられる。
ポリエステルアミドジオールとしては、上記エステル化反応に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料としてあわせて使用することによって得られる。
アクリルジオールの例としては、1分子中に1個以上の水酸基を含むアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1
,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、の中から選ばれた1種又は2種以上のグリコールをジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られたものが挙げられる。
数平均分子量50以上、500未満のトリオールとしては、ポリエーテルトリオール、ひまし油やトリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子トリオール類又はそれらの混合物が挙げられる。これらのなかでも、反応性の観点から、低分子トリオール類やポリエーテルトリオールが好ましい。
ポリエーテルトリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分量トリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルトリオールが挙げられる。
数平均分子量500以上、10000未満のポリエーテルジオールとして用いるポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
ポリオール成分(B)は、ポリオール成分(B)100質量%中に、数平均分子量500以上、3,000以下のポリエステルポリオールを60質量%以上、99質量%以下、数平均分子量50以上、500未満のジオール、数平均分子量50以上、500未満のトリオール、および数平均分子量4500以上、10000以下のポリエーテルポリオールとを合わせて1質量%以上、40質量%以下含むことが好ましい。
ジオールとトリオールとポリエーテルジオールとを合わせたものが上記範囲内にあることで、ガスバリア性の高いフィルム基材を用い、高速で塗工・貼りあわせる場合に、より良好な外観の積層体を得ることができる。
ポリオール成分(B)は、前記数平均分子量50以上、500未満のジオール、数平均分子量50以上、500未満のトリオール、および数平均分子量4500以上、10000以下のポリエーテルポリオールの他に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他のポリオール成分を含むことができる。
本発明における接着剤組成物は、前記ポリオール成分(B)中の水酸基モル数を100モルとした場合、ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基のモル数が120モル以上、300モル以下であることが好ましい。
ポリオール成分(B)中の水酸基モル数を100モルとした場合、ポリイソシアネート成分(A)中のイソシアネート基のモル数が上記範囲内にあることで、高湿度下でエージングしても、良好な接着力を発現できる。
本発明における接着剤組成物は、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−MDI、2,4’−MDIおよびTDIの合計量は10〜34質量%であり、12〜32質量%であることが好ましい。
ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−MDI、2,4’−MDI、TDIの合計量が上記範囲内にあることで、ガスバリア性の高いフィルム基材を用いる場合に、より良好な外観の積層体を得ることができる。
本発明における接着剤組成物は、平均粒子径が1×10−4mm以上、4×10−4
m以下の粒子をさらに含有することができる。上記範囲内の平均粒子径を有する粒子を含有することでガスバリア性の高いフィルム基材を用い、高速で塗工・貼りあわせる場合に、より外観の積層体を得ることができる。粒子が小さすぎると添加しても流動特性があまり変化しないので、外観もあまり変わらない。
ここで、平均粒子径とは平均体積径であり、レーザー光散乱法により求めた値である。
かかる粒子としては、無機化合物または有機化合物のいずれも用いることができ、単独で用いても二種以上を併用しても良い。
無機化合物の粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト、硫酸カリウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ゼオライト、活性炭、カオリン、タルク、ロウ石クレー、けい石、マイカ、グラファイト、セリサイト、モンモリロナイト、セリサイト、セピオライト、ベントナイト、パーライト、ゼオライト、ワラストナイト、蛍石、ドロマイトなどの粉体が挙げられる。これらのなかでもシリカやタルクが賞用される。
有機化合物の粒子としては、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、シリコン系樹脂、スチレン樹脂、架橋ポリスチレン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ナイロン6、ナイロン12、セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂などの粉体が挙げられる。これらのなかでもベンゾグアナミン樹脂が賞用される。
粒子の含有量は、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)との合計100質量部に対して、平均粒子径が1×10−4mm以上〜4×10−4mm以下の粒子(C)を0.01〜10質量部含むことが好ましい。
上記範囲にあることによって、外観と接着強度とをバランス良く向上できる。
粒子は、ポリイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)成分と同時に混合することもできるし、いずれか一方の成分に混合しておき、他方を混合することもできる。粒子は、ポリオール成分(B)成分に予め混合しておくことが好ましい。
本発明における接着剤組成物は、溶剤を含有しないことが好ましく、各成分の配合は、流動性が確保できる範囲でできるだけ低温で行うことが好ましく、具体的には25℃以上、80℃以下で配合することが好ましい。前記ポリイソシアネート成分(A)、ポリオール成分(B)成分を混合した直後の60℃での粘度は、好ましくは50mPa・s以上、5000mPa・s以下、さらに好ましくは50mPa・s以上、3000mPa・s以下である。
なお、本発明において、混合した直後とは、均一混合後1分以内であることを意味し、溶融粘度はB型粘度計により求めた値を示す。60℃における溶融粘度が5,000mPa・s超では、塗工が困難になり良好な作業性を確保することが難しく、塗工温度が60℃以下になると良好な塗装外観が得られない可能性がある。
一方、60℃における溶融粘度が50mPa・s未満では、初期凝集力が弱いために十分な接着性能が得られなかったり、基材に接着剤組成物を塗工する際に塗膜の厚みが均一にならず外観不良を生じたり、反りが発生する傾向にある。
本発明における接着剤組成物は、更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、
防徽剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、顔料、充填剤等の添加剤を必要に応じて使用することができる。
また、接着性能を更に高めるために、シランカップリング剤、リン酸、リン酸誘導体、酸無水物、粘着性樹脂等の接着助剤を使用することができる。また、硬化反応を調節するため公知の触媒、添加剤等を使用することができる。
シランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基等の官能基と、メトキシ基、エトキシ基等の官能基を有するものを使用することができる。
例えば、ビニルトリクロルシラン等のクロロシラン、N−(ジメトキシメチルシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン等のアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の添加量は全接着剤組成物に対して0.1〜5質量%が好ましい。
本発明に用いられるリンの酸素酸又はその誘導体の内、リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個以上有しているものであればいずれでもよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。又、リンの酸素酸の誘導体としては、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個以上残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リンの酸素酸又はその誘導体は、1種又は2種以上を用いてもよい。リンの酸素酸又はその誘導体の添加量は、全組成物に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜1質量%である。
本発明の積層体およびその製造方法について説明する。
本発明の積層体は、前述の通り、透明基材1と白色インキ層と接着剤層と基材2とをこの順で有する。
透明基材1としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、紙、アルミなど、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状もしくはシート状のものがあり、上記の印刷方式を用いて塗布し、オーブンによる乾燥によって乾燥あるいは硬化させて定着することで、印刷物を得ることができる。基材は、金属酸化物などを表面に蒸着コート処理および/またはポリビニルアルコールなどコート処理が施されていても良く、さらにコロナ処理などの表面処理が施されていても良い。
白色インキ層は、特定水酸基のポリウレタンポリウレア樹脂と特定量のアミノ系シランカップリング剤を含有する前述の白色インキ組成物の乾燥物ないし硬化物である。
白色インキ層は、透明基材1上に、白色インキ組成物を印刷し、乾燥ないし硬化することにより得ることができる。白色インキ組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で印刷できるが、特にグラビア印刷方式で印刷することが好ましい。グラビア印刷に用いられるシリンダーは、彫刻タイプ、腐食タイプ等公知のものが用いられる。
グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈された白色インキ組成物が、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給され、印刷後、オーブンを通過させ、乾燥ないしは硬化され、白色インキ層が形成される。オーブンの温度は通常40〜80℃、印刷速度は通常50〜300m/分である。印刷環境が低温となる冬場などは、アミノ系シランカップリング剤による架橋反応を確実に進行させインキ組成物を硬化させるため、印刷から12時間以上経過後に、白色インキ層上に接着剤組成物を塗工したり、白色インキ層と接着剤層の前駆体とを重ねたりすることが好ましい。白色インキ層は、通常、0.5〜5g/mであり、1〜3.5g/mであることが好ましい。
接着剤層は、特定のポリイソシアネート成分(A)と特定のポリオール成分(B)とを、前述の通り、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−MDI、2,4’−MDIおよびTDIの合計量は10〜34質量%となるように混合した接着剤組成物の硬化物であり、例えば以下のような方法で得ることができる。
即ち、接着剤組成物を、前記白色インキ層上に、または酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材2上に塗工し、接着剤層の前駆体を形成する。接着剤組成物の塗布量は、基材2の種類や塗工条件等に応じて適宜選択されるが、通常、1〜5g/mであり、好ましくは1.5〜4.5g/mである。
その後、接着剤層の前駆体に酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材2を重ねたり、接着剤層の前駆体に白色インキ層、即ち透明基材1上に設けられた白色インキ層の前記透明基材1が接していない方の面を重ねたりした後、常温又は加温下にエージングして前記前駆体を硬化させ、接着剤層となし、積層体を製造する。本発明における接着剤組成物の場合、エージングに要する時間は1日程度である。また、本発明における接着剤組成物の場合、塗工〜エージングの際の環境湿度が高くても十分な接着性能を発現できる。
用いられる基材2は酸素透過度が100(CC/m・24h・atm、at25℃)以下である。酸素透過度は厚みの影響を受ける。本願では、単位厚み(1μm)当たりの酸素透過度(以下、酸素透過係数という)と厚みから、酸素透過度が100CC以下のものを基材2として用いることができる。
例えば、エチレン含有率56%のエチレン−ビニルアルコール共重合物は、酸素透過係数(m、24h、atm、25℃)が3CCなので、1μmでも使用できる。
一方、以下に示すような酸素透過係数が大きいプラスチックフィルムも膜厚によっては使用できる。即ち、アクリロニトリル含有率70%のアクリロニトリル共重合物は、酸素透過係数が300CCなので、膜厚3μm以上とすれば使用できる。
同様に、
酸素透過係数が400CCのビニリデンクロライド共重合物は、膜厚4μm以上とすれば、
酸素透過係数が1700CCのナイロン6は、膜厚17μm以上とすれば、
酸素透過係数が1925CCのナイロン66は、膜厚19.25μm以上とすれば、
酸素透過係数が768CCのポリエチレンテレフタレートは、膜厚7.68μm以上とすれば、
酸素透過係数が2580CCのテレフタル酸−ビスフェノール共重合体ポリアリレートは、膜厚25.8μm以上とすれば、
酸素透過係数が4850CCのポリアセタールは、膜厚48.5μm以上とずれば、
酸素透過係数が650CCのポリクロロトリフロロエチレンは、膜厚6.5μm以上とすれば、
酸素透過係数が1300CCのポリフッ化ビニリデンは、膜厚13μm以上とすれば、
それぞれ基材2として使用できる。
また、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム等を各種プラスチックフィルムに蒸着した蒸着フィルムも基材2として用いることができる。多くの場合、蒸着層の厚みは1〜500nm程度であり、このような蒸着層を設けることによって、酸素透過度に対するプラスチックフィルムの種類・厚みの影響は極めて小さくなる。
例えば、無延伸ポリプロピレンフィルムにアルミニウム蒸着層を設けたものは、酸素透過度が20〜10(CC/m・24h・atm、at25℃)、
ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウム蒸着層を設けたものは、酸素透過度が2〜0.3(CC/m・24h・atm、at25℃)、
ポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化アルミニウムの蒸着層を設けたものは、酸素透過度が4〜0.5(CC/m・24h・atm、at25℃)、
ポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化珪素お蒸着層を設けたものは、酸素透過度が5〜0.3(CC/m・24h・atm、at25℃)であり、それぞれ基材2として用いられる。
また、金属箔として、ステンレス、鉄、銅、鉛等の金属箔は、厚みによらず酸素透過度が0(CC/m・24h・atm、at25℃)である。
基材2としては、各種プラスチックフィルムに蒸着層を設けたものや金属箔が好ましく、特に各種プラスチックフィルムに金属を蒸着したもの(以下、蒸着フィルムということもある)が好ましい。そして、金属の蒸着層は、接着剤層と接することが好ましい。
なお、酸素透過度は、酸素透過率測定装置を用い、JIS K 7126の方法に従い求めることができる。
例えば、株式会社日立ハイテクエンス製MОCОN酸素透過率測定装置 (ОX-TR
AN2/21)は、試料を通過した酸素量に比例した電流をキャリアガス(窒素)により発生するクーロメトリックセンサーを備えた装置であり、標準負荷抵抗を通し電圧変化を測定し、酸素透過度に換算する。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例および比較例中の%および部は、断りのない限りは全て質量基準である。
<質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定方法>
質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem−21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
<水酸基価の測定方法>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。
水酸基価は次の(式2)により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
(式1) 水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<酸価の測定方法>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容積比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は次の(式3)により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)
(式2) 酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度
/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<NCO含有率(重量%)の測定方法>
200mLの三角フラスコに試料約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.25N塩酸溶液で滴定した。NCO(質量%)は以下の(式4)によって求めた。
(式3)NCO(質量%)={(b−a)×4.202×F×0.25}/S
S:試料の採取量(g)
a:0.25N塩酸溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.25N塩酸溶液の消費量(ml)の消費量(ml)
F:0.25N塩酸溶液の力価
(インキ組成物用のポリウレタンポリウレア樹脂の合成)
[合成例1−1]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリエステルポリオールA1(クラレポリオールP−2010、3−メチル−1,5ペンタンジオールとアジピン酸の共重合体、数平均分子量2000、クラレ社製)11.36部、ポリエーテルポリオールB(EXCENOL2020、酸化プロピレンの重合体、数平均分子量2000、旭硝子製)11.36部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)5.05部、酢酸エチル4.36部、2 −エチルヘキサン酸スズ0.003部
を仕込み、窒素気流下に90 ℃で5時間反応させ、酢酸エチル7.5部を加え冷却し、
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.92部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン0.01部、ジ−n−ブチルアミン0.29部、酢酸エチル30.147部およびイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)28部を混合したものへ、得られたウレタンプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、質量平均分子量50000、水酸基価0.1mgKOH/樹脂1gのポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU1)を得た。
尚、本合成例においては、アミン類に得られたウレタンプレポリマーの溶液を滴下し、鎖延長反応を行なったものである。
[合成例1−2〜1−4]
表1の仕込み比にて、合成例1−1と同様の方法で、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU2〜PU4)を得た。
[合成例1−5]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリエステルポリオ−ルA1を11.67部、ポリエーテルポリオールBを11.67部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)5.19部、酢酸エチル4.36部、2 −エチルヘキサン酸スズ0.003部を仕込み、窒素気流下に90 ℃で5時間反応させ、酢酸エチル7.5部を加え冷却し、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次いで、得られたウレタンプレポリマーの溶液に、イソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.23部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン0.16部、モノエタノールアミン0.07部、酢酸エチル30.147部およびイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)28部を混合したものを室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、質量平均分子量50000、水酸基価5mgKOH/樹脂1gのポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU5)を得た。
尚、本合成例においては、得られたウレタンプレポリマーの溶液に、アミン類を滴下し、鎖延長反応を行なったものである。
[合成例1−6]
ポリエステルポリオ−ルA1の代わりに、ポリエステルポリオールA2(テスラック2459、エチレングリコールとアジピン酸の共重合体、数平均分子量2000、日立化成製)11.45部を用いたい以外は、合成例1−1と同様の操作で、ポリウレタンポリウレア樹脂(PU6)を得た。
[合成例1−7]
表2の組成比にて、合成例1−5と同様の方法で、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU7)を得た。
[合成例1−8]
表2の組成比仕込み比にて、合成例1−1と同様の方法で、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU8)を得た。
(インキ組成物の調製)
[製造例1−1]
ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU1)10部、酸化チタン(TITONE R45M、堺化学製)30部、酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比75/25)10部を攪拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU1)40部、酢酸エチル/IPA混合溶液(質量比75/25)10部、アミノ系シランカップリング剤(Si−1)0.5部を攪拌混合した後、メチルエチルケトン、ノルマルプロピルアセテート、IPAの混合溶剤(質量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で15秒に調整し、インキ組成物(i−1)を得た。インキ組成物の固形分100質量%中のアミノ系シランカップリング剤の含有率は、1.1質量%である。
なお、用いたアミノ系シランカップリング剤は、下記の通りである。
Si−1:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
[製造例1−2〜1−12]、[製造例1−14〜20]
表3、4の仕込み比にて、製造例1−1と同様の方法で、インキ組成物(i−2〜i−12、i―14〜i-20)を得た。なお、用いたアミノ系シランカップリング剤およびイ
ソシア系硬化剤は下記の通りである。
Si−2:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Si−3:3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン
Si−4:ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)アミン
Si−5:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Si−6:ヘキシルトリメトキシシラン
N−1:SP硬化剤(イソシア系硬化剤、東洋インキ製)
[製造例13]
ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU3)10部、酸化チタン(TITONE R45M、堺化学製)30部、酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比75/25)9.5部、アミノ系シランカップリング剤(Si−1)0.5部を攪拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(PU3)40部、酢酸エチル/IPA混合溶液(質量比75/25)10部を攪拌混合した後、メチルエチルケトン、ノルマルプロピルアセテート、IPAの混合溶剤(質量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で15秒に調整し、インキ組成物(i−13)を得た。
接着剤組成物用ポリイソシアネート成分(A)の合成
(合成例101)
数平均分子量約400のポリプロピレングリコール(以下、PPG−400という)300部、数平均分子量約2000のポリプロピレングリコール(以下、PPG−2000という)400部、グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量約400のトリオール(以下、PPG−400−3官能という)200部、4,4’−MDI400部と2,4−MDI600部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が14.4%、MDIモノマー含有率が33%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(1)と記す。
(合成例102−103)
表5に示す組成に従って、合成例1と同様にして、ポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂である、ポリイソシアネートA1−(2)、A1−(3)を得た。
(合成例4)
イソフタル酸80部、アジピン酸460部、1,6ヘキサンジオール60部、ジエチレングリコール400部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価80(mgKOH/g)、数平均分子量約1400の両末端に水酸基を有するポリエステルジオール樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を150部、PPG−400を190部、4,4’−MDIを310部と2,4−MDIを350部、反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら70℃〜80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が17%、MDIモノマー含有率が48%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(4)と記す。
(合成例105)
PPG−400を200部、ひまし油を200部、TDIを145部、反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で1時間加熱してウレタン化反応を行った後、4,4’−MDI:178部と2,4−MDI:192部を加え、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が16.1%、MDIモノマー含有率が37%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(5)と記す
(合成例106)
アジピン酸208部、ジエチレングリコール192部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら150℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.5(mgKOH/g)、水酸基価56.1(mgKOH/g)、数平均分子量約2000の両末端に水酸基を有するポリエステルジオール樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を70部、PPG−400を367部、TDIを265部、反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で1時間加熱してウレタン化反応を行った後、4,4’−MDI:286部を加え、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が12%、MDIモ
ノマー含有率が27%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(6)と記す
(合成例107)
PPG−400を300部、PPG−2000を200部、4,4’−MDIを480部と2,4−MDIを320部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が15.4%、MDIモノマー含有率が34%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(7)と記す
(合成例108)
PPG−400を300部、PPG−2000を400部、PPG−400−3官能を200部、4,4’−MDI:1000部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃で3時間加熱してウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が14.4%、MDIモノマー含有率が33%の、イソシアネート基を有するポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート樹脂を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(8)と記す
(合成例109)
キシリレンジイソシアネート(以下、XDIという)607g、常温で結晶性を示す分子量約1000のブチレンアジペート(武田薬品工業(株)製、タケラックU−2410)672g、ジエチレングリ コール118g、分子量が約1000である3官 能ポリプロピレングリコール(武田薬品工業(株)製、アクトコール32−160)156g、ベンゾイ ルクロライド0.6gをそれぞれ反応器に仕込み、窒素 気流下70〜80℃でウレタン化反応を行い、反応終了 後、脂肪族ポリイソシアネートの多量体の変性体である
ポリイソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネートD−170HN)389gを加え、窒素気流下 70〜80℃で均一混合してイソシアネート基含有率が6.3%、XD
Iモノマー含有率が13%、MDIモノマー含有率が0%の、ポリイソシアネート成分を得た。以下、この樹脂をポリイソシアネートA1−(9)と記す
接着剤組成物用ポリオール成分(B)の合成
(合成例201)
イソフタル酸(以下、IPAという)115部、アジピン酸(以下、ADAという)304部、ジエチレングリコール(以下、DEGという)305部、ネオペンチルグリコール(以下、NPGという)75部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら1
50℃〜240℃に加熱してエステル化反応を行った。酸価が1.3(mgKOH/g)になったところで反応温度を200℃にし、反応容器内部を徐々に減圧し、1.3kPa以下で30分反応させ、酸価0.4(mgKOH/g)、水酸基価137(mgKOH/g)、数平均分子量約800の両末端に水酸基を有するポリエステルジオール樹脂を得た。以下、このポリオールをポリエステルジオール(b1)−1と記す。
(合成例202〜207)
表6に示す組成に従って、合成例201と同様にして、ポリエステルジオール(b1)−2〜(b1)−7を得た。
(配合例301)
合成例201で得たポリエステルジオール(b1)−1:92部、ジエチレングリコール:8部を混合し、ポリオール成分B−(1)を得た。
(配合例302〜317)
表7に示す組成に従って、配合例301と同様にして、ポリオール成分B−(2)〜B−(10)を得た。
(製造例401)
合成例101で得たポリイソシアネート成分A−(1)100部と、配合例301で得たポリオール成分B−(1)50部とを60℃で混合し、無溶剤型接着剤組成物AD1を得た。
なお、前記無溶剤型接着剤組成物AD1は、ポリオール成分中の水酸基:100モルに対し、ポリイソシアネート成分A−(1)由来のイソシアネート基を182モル含有する。
水酸基100モルに対するイソシアネート基の量は、以下のようにして求める。
水酸基100モルに対するイソシアネート基の量=[イソシアネート基(eq.)/水酸基(eq.)]×100
イソシアネート基(eq.)=NCO含有率(質量%)/(42×100)
水酸基(eq.)=水酸基価/56100
また、前記無溶剤型接着剤組成物100%中に含まれる、4,4’−MDI、2,4’−MDI、2,2’−MDIおよびTDI(以下、イソシアネートモノマーという)の合計率は、22%であった。
イソシアネートモノマー含有率は、GPCチャート上に観察される、Mn=200〜300付近のMDIモノマー由来のピーク面積とMn=100〜200付近のTDIモノマー
由来のピーク面積との合計面積を、GPCチャート上に観察される全ピークの合計面積で除したものである。
イソシアネートモノマー含有率(%)=(イソシアネートモノマーのピーク面積の合計/全ピークの合計面積)×100
(製造例402〜416)
表8に示す組成に従って、製造例401と同様にして、接着剤組成物AD2−AD16を得た。
[実施例1〜13]、[比較例1〜7]
[印刷物の作製]
製造例1〜20で得られたインキ組成物i−1〜i−20を、版深30μmグラビア版
を備えたグラビア印刷機によって、印刷速度50m/分で、透明基材1であるコロナ処理PETフィルム(東洋紡エステルフィルムE5100 #12)に印刷し、60℃のオーブンを通過させることで乾燥ないし硬化させ、PETフィルム上にインキ層を形成した。
[積層体の作製]
無溶剤テストコーターを用い、PETフィルムに印刷されたインキ層の表面に、製造例401で得られた無溶剤型接着剤組成物AD1を温度60℃で、塗工速度200m/分にて塗布し(塗布量:2g/m)、この塗布面に酸素透過度が20(CC/m2・24h・atm、at25℃)であるアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、VMCPPという。厚さ:25μm。)の蒸着面を重ね、準備段階の積層体(プレ積層体)を得た。
これらプレ積層体を25℃、80%RHの環境下にて、1日間エージングして、接着剤
層を硬化させ、積層体を作成した。得られた積層体について、下記の方法に従い、積層体の接着力、積層体の界面状態を評価した。結果を表9に示す。
(接着力)
積層体を長さ300mm、幅15mmに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、15mm幅でPET/VMCPP間のT型剥離強度(N)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求め以下の基準にて評価した。
5:接着力 1.5N以上
4:接着力 1.0N以上、1.5N未満
3:接着力 0.6N以上、1.0N未満
2:接着力 0.3N以上 0.6N未満
1:接着力 0.3N未満
(積層体の界面状態)
透明基材1側からインキ層および接着剤層を透して蒸着部を目視観察し、以下の基準にて評価した。
5:蒸着部に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様は観察されない。
4:蒸着部に、小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多少観察される。使用上問題ないレベル。
3:蒸着部に、小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多数観察される。使用上問題ないレベル。
2:蒸着面に、ゆず肌状の模様だけでなく小さな斑点状の模様が多少観察される。
1:蒸着面に、ゆず肌状の模様だけでなく小さな斑点状の模様が多数観察される。
表9に示すように、水酸基が0.1〜20(mgKOH/g)のポリウレタンポリウレア樹脂を含有し、アミノ系シランカップリング剤をインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%含有する白色インキ組成物を用いた実施例1〜13は、アミン系のシランカップリング剤がポリウレタンポリウレア樹脂及び白色無機顔料を架橋するので、インキ層への4,4’−MDI等、イソシアネートモノマーの浸透を抑制できる。その結果、比較例1〜6と比較して、25℃1日エージング後の外観と接着力に優れている。
比較例1は、水酸基価が21mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂を含有するインキ組成物を用いるので、インキ層の凝集力が劣り、接着剤組成物中の4,4’−MDI等、イソシアネートモノマーの浸透を防止できず、外観不良となる。
比較例2は、水酸基が0mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂を含有するインキ組成物を用いるので、アミノ系シランカップリング剤による架橋を行うことができず、外観が不良となる。
比較例3は、アミノ系シランカップリング剤がインキ組成物の固形分100質量%中に0.1質量%しか含まれていないので、カップリング剤による架橋が不十分であり外観が向上しない。
比較例4は、アミノ系シランカップリング剤が過剰にも含まれるので(インキ組成物の固形分100質量%中に7.8質量%)、架橋に関与しないアミノ系カップリング剤と接着剤中のイソシアネート成分とが反応するために接着剤における水酸基成分とイソシアネート成分の反応が不十分となり、積層体のラミネート強度が低下する。また、接着剤層に移行したアミノ系シランカップリング剤は塩基性触媒として接着剤の反応を促進するために、接着剤の硬化途中での接着剤レベリング性が低下するために外観も十分ではない。
比較例5はアミノ系シランカップリング剤が添加されていないため外観が不良である。
比較例6はアミノ系シランカップリング剤ではなく、アルキル系シランカップリング剤を添加しており、外観が向上しないことが確認できる。
比較例7はイソシアネート系硬化剤をインキに添加しており、イソシアネート系硬化剤の添加を行っても外観は不良である。おそらく、アミノ系シランカップリング剤はアミノ基とシラノール基の2種類の官能基を有しており、ポリウレタンポリウレア樹脂および顔料の両方と反応できるだけでなく、シラノール基が顔料と反応することによってアミノ基が顔料の外側に配向し、ポリウレタンポリウレア樹脂との親和性が向上し、顔料が均一に分散されるために、バインダーと顔料間を万遍なく均一に架橋することが可能であるためと考えられる。
[実施例14〜24][比較例8〜11]
表10に示すように、インキ組成物i−1の代わりにi−3を用い、接着剤組成物AD1の代わりに、製造例402〜416で得られた無溶剤型接着剤組成物AD2〜16を用いること以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得、と同様にして評価した。結果を表10に示す。
表10に示すように、本発明における接着剤組成物で接着剤層を形成した実施例14〜24は、25℃1日エージング後の外観と接着力に優れていることがわかる。
これに対し、比較例8は、イソシアネート成分(A)として、4、4’-MDIのみを
使用して得られたウレタンプレポリマー(a)と4、4’-MDIを含有するイソシアネ
ート成分A1−(8)を使用するので、反応速度が速すぎて硬化途中の接着剤層のレベリング性が低下するために外観が十分ではない。
比較例9は、ポリオール成分(B)として質量平均分子量4000のポリエステルポリオールB−(9)を用いたので、塗工後のイソシアネート成分(A)との反応性が低下し、インキ層への4,4’−MDI等、イソシアネートモノマーの浸透によるインキ被膜の破壊が発生するため外観が不良となる。
比較例10は、ポリオール成分(B)として質量平均分子量300のポリエステルポリオールB−(10)を用いたので、イソシアネート成分(A)との反応速度が速すぎて、硬化途中の接着剤層のレベリング性が低下するために外観が十分ではない。
比較例11は、イソシアネート成分(A)として、XDI及びHDI由来のイソシアネート成分A1−(9)成分を使用しており、硬化速度が遅いために25℃エージング1日
後での強度が十分ではない。
[実施例25〜36][比較例12〜18]
表11に示すように、接着剤組成物AD1の代わりに、製造例410で得られた無溶剤型接着剤組成物AD10を用いること以外は、実施例1と同様に操作して積層体を得、と同様にして評価した。結果を表11に示す。
表11より、接着剤組成物を変更しても表9の場合と同様に傾向にあることが確認できる。

Claims (6)

  1. 透明基材1と白色インキ層と接着剤層と酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材2とをこの順で有する積層体であって、
    白色インキ層についての下記(1)〜(3)条件、および接着剤層についての下記(11)〜(15)の条件を全て満たす積層体。
    (1)前記白色インキ層が、ポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、アミノ系シランカップリング剤、および有機溶剤を含有する白色インキ組成物の乾燥物ないし硬化物である。
    (2)前記ポリウレタンポリウレア樹脂の水酸基が0.1〜20(mgKOH/g)である。
    (3)前記アミノ系シランカップリング剤を、インキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%含有する。

    (11)前記接着剤層が、ポリイソシアネート成分(A)とポリオール成分(B)とを含有する接着剤組成物の硬化物である。
    (12)前記ポリイソシアネート成分(A)が、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む。
    (13)前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)が、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとの反応生成物であるか、
    もしくは、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリオールとの反応生成物の混合物であり、前記ポリオールのうち少なくとも1つがポリエーテルポリオールを必須とする、混合物である。
    (14)前記ポリオール成分(B)が、数平均分子量500以上、3000以下のポリエステルポリオールを必須として含む。
    (15)前記接着剤組成物100質量%中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である。
  2. 前記アミノ系シランカップリング剤が、1級のアミノ基を有するか、または2級のアミノ基と4つ以上のアルコキシ基とを有する、請求項1記載の積層体。
  3. 前記アミノ系シランカップリング剤のうち、1級のアミノ基を有するシランカップリング剤が、2級のアミノ基をさらに有する、請求項2記載の積層体。
  4. 基材2が、一方の面に金属蒸着層を有するものであり、前記金属蒸着層が接着剤層と接する、請求項1〜3いずれか1項に記載の積層体。
  5. 透明基材1と白色インキ層と接着剤層と酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材2とをこの順で有する積層体の製造方法であって、下記工程(I)〜(VI)を含む積層体の製造方法。
    (I) 水酸基価が0.1〜20(mgKOH/g)であるポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、有機溶剤、およびインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7
    質量%のアミノ系シランカップリング剤を含有する白色インキ組成物を用意する工程。
    (II−1) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させるか、
    もしくは、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件下に反応させた後、混合し、
    イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む、ポリイソシアネート成分(A)を用意し、
    (II−2) 前記ポリイソシアネート成分(A)と、数平均分子量が500〜3000のポリエステルポリオールを必須として含むポリオール成分(B)とを混合し、
    前記ポリイソシアネート成分(A)と前記ポリオール成分(B)との合計100質量%中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である接着剤組成物を用意する工程。
    (III) 透明基材1に、前記白色インキ組成物を塗工し、乾燥ないし硬化し、白色イン
    キ層を得る工程。
    (IV) 前記白色インキ層上に、前記接着剤組成物を塗工し、接着剤層の前駆体を形成する工程。
    (V) 前記接着剤層の前駆体上に、前記基材2を重ねる工程。
    (VI) 前記接着剤層の前駆体を硬化し、接着剤層とする工程。
  6. 透明基材1と白色インキ層と接着剤層と酸素透過度が100(CC/m2・24h・atm、at25℃)以下の基材2とをこの順で有する積層体の製造方法であって、下記工程(I)〜(III)、(VII)〜(IX)を含む積層体の製造方法。
    (I) 水酸基価が0.1〜20(mgKOH/g)であるポリウレタンポリウレア樹脂、白色無機顔料、有機溶剤、およびインキ組成物の固形分100質量%中に0.15〜7質量%のアミノ系シランカップリング剤を含有する白色インキ組成物を用意する工程。
    (II−1) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つをさらに含むイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させるか、
    もしくは、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを必須とし、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より少なくとも1つのイソシアネート成分それぞれと、ポリエーテルポリオールを必須とするポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件下に反応させた後、混合し、
    イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、
    4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも一種のイソシアネートをさらに含む、ポリイソシアネート成分(A)を用意し、
    (II−2) 前記ポリイソシアネート成分(A)と、数平均分子量が500〜3000のポリエステルポリオールを必須として含むポリオール成分(B)とを混合し、
    前記ポリイソシアネート成分(A)と前記ポリオール成分(B)との合計100質量%
    中に含まれる、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートの合計量が10〜34質量%である接着剤組成物を用意する工程。
    (III) 透明基材1に、前記白色インキ組成物を塗工し、乾燥ないし硬化し、白色イン
    キ層を得る工程。
    (VII) 前記基材2上に、前記接着剤組成物を塗工し、接着剤層の前駆体を形成する工
    程。
    (VIII) 前記接着剤層の前駆体上に、前記白色インキ層を重ねる工程。
    (IX) 前記接着剤層の前駆体を硬化し、接着剤層とする工程。
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