JP5974310B2 - サイクロン分離装置及びこれを用いた電気掃除機 - Google Patents

サイクロン分離装置及びこれを用いた電気掃除機 Download PDF

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Description

本発明は、サイクロン分離装置及びこのサイクロン分離装置を用いた電気掃除機に係るもので、特に、サイクロン分離装置の低騒音化に関するものである。
一般的なサイクロン分離装置において、サイクロン分離装置へ流入された含塵空気が旋回室内において遠心力により塵埃と清浄空気とに分離される。この分離された塵埃は集塵室にて捕捉され、清浄空気は排出管を通ってサイクロン分離装置から排出される。この際、旋回室内又は排出管内での旋回気流の風速が大きいため、旋回気流に起因して発生する音が問題となる。この音を低減するために、旋回室内(集塵室へ連通する連通風路を含む)又は排出管内の乱流を抑制することを目的とした技術が開示されている。
例えば、特許文献1では、排出管の内壁から中心に向かって突設され、曲線部及び直線部を備えた騒音低減リブが開示されている。また、特許文献2では、含塵空気が旋回室内を旋回する際の振動に起因する振動音を低減することを目的とした排出管に防振リブを設けたサイクロン分離装置が示されている。さらに、特許文献3では、旋回室から集塵室への連通口にセレーション(歯状刻み)を設けた電気掃除機が示されている。
日本特開2006−55622号公報 日本特開2011−212172号公報 日本特許第4331656号公報
しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2に開示されている従来技術では、旋回室から集塵室への塵埃移動通路、又は含塵空気のうち比較的大きな塵埃を分離するために設けられた0次開口部を備えたサイクロン分離装置において、塵埃移動通路又は0次開口部から発生する気流音への対策が不十分であった。
また、特許文献3では、旋回室から集塵室への連通口にセレーションを設けることが示されているが、含塵空気の風路途中に設けるため、毛髪又は綿ゴミなどの引っかかり又は圧力損失による騒音の増大などへの対策が不十分であった。
また、旋回室内を旋回する含塵空気から比較的大きな塵埃を分離する0次開口を有するサイクロン分離装置では、含塵空気が0次開口部を通過する際に、特定の周波数成分をピークに持つ気流音が発生するという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、旋回室内を旋回する含塵空気から比較的嵩の大きな塵埃を分離する0次開口部を通過する際に発生する気流音を低減し、かつ0次開口部におけるゴミの引っかかり又は圧力損失を抑制するサイクロン分離装置及びこのサイクロン分離装置を用いた電気掃除機を提供することを目的とする。
本発明に係るサイクロン分離装置は、外部風路からの含塵空気が流れ込む流入口と、略円筒形状に形成され、流入口から流れ込んだ含塵空気を旋回させて空気と塵埃とを分離する旋回室と、この旋回室の円筒部側壁に開口する側壁開口部を介して含塵空気から分離した塵埃を溜める側壁外集塵室と、旋回室内の含塵空気から分離した空気を排出する排出口とを備え、側壁開口部に、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制するリブを設けたものである。
本発明に係るサイクロン分離装置及びこれを用いた電気掃除機によれば、上記の構成を採用したことにより、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制することが可能になる。
本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の斜視図である。 本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の斜視図である。 本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の上面図である。 本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の図3の掃除機本体のA−A断面図である。 本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の斜視図(サイクロン分離装置を外した状態)である。 本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の上面図である。 本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の下面図である。 本発明の実施の形態1を示す図6のサイクロン分離装置のB−B断面図である。 本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の要部である側壁開口部に設けられたリブの構成を説明する図である(集塵部ケースを外した状態)。 本発明の実施の形態1を示す図9のサイクロン分離装置のC−C断面図である。 本発明の実施の形態2を示すサイクロン分離装置の要部である側壁開口部に設けられたリブの構成を説明する図である(集塵部ケースを外した状態)。 本発明の実施の形態1及び実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態1及び実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態1に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態1に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。 本発明の実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。
実施の形態1.
図1は実施の形態1を示す電気掃除機の斜視図である。図2は本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の斜視図である。図3は本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の上面図である。図4は本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の図3の掃除機本体のA−A断面図である。図5は本発明の実施の形態1を示す電気掃除機の掃除機本体の斜視図(サイクロン分離装置を外した状態)である。図6は本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の上面図である。図7は本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の下面図である。図8は本発明の実施の形態1を示す図6のサイクロン分離装置のB−B断面図である。図9は本発明の実施の形態1を示すサイクロン分離装置の要部である側壁開口部に設けられたリブの構成を説明する図である(集塵部ケースを外した状態)。図10は本発明の実施の形態1を示す図9のサイクロン分離装置のC−C断面図である。なお、各図において同じ部分にはこれと同じ符号を付している。図12は本発明の実施の形態1及び実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。図13は本発明の実施の形態1及び実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。図14は本発明の実施の形態1に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。図15は本発明の実施の形態1に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。
以下、図1から図10、及び、図12から図15を用いて説明する。
実施の形態1に示す電気掃除機1は、掃除機本体100と、これにホース端部21が接続されるサクションホース2と、このサクションホース2の他端に一端が接続される接続パイプ3と、この接続パイプ3の他端に一端が接続される吸引パイプ4と、この吸引パイプ4の他端に接続される吸込口体5とから構成される。
以後、掃除機本体100に対し、サクションホース2が接続される方向を前、反対方向を後、この前後方向に対し、前方に向かって右方向、左方向をそれぞれ右、左と定義するものとする。
サクションホース2は可撓性を備えた蛇腹状を呈する部材からなる。
接続パイプ3は途中で折れ曲がった円筒状の部材からなり、掃除をする人が持って操作するための取っ手31が設けられている。取っ手31には後述する電動送風機102の駆動開始、停止、出力の調整などを行う運転を制御するための操作スイッチ32が設けられている。
吸込口体5は、下向きに形成された開口から掃除面上のごみ(塵埃)を空気と一緒に吸い込むためのものであり、被掃除面である床面又は絨毯などの塵埃を掻き上げる回転ブラシ(図示せず)を備えている。
また、サクションホース2、接続パイプ3、吸引パイプ4及び吸込口体5の内部にはリード線(図示せず)が配設され、操作スイッチ32からの制御信号又は掃除機本体100からの電力を掃除機本体100又は吸込口体5の回転ブラシに伝達する。
(掃除機本体)
掃除機本体100には、電源コード101を介して商用電源から供給される電力により吸引風を発生する電動送風機102が内蔵されている(図4参照)。この電動送風機102により、被掃除面から塵埃とともに吸引された吸引風の中の空気から塵埃と清浄空気とを分離するサイクロン分離装置200が、掃除機本体100に着脱自在に装着される(図2及び図5参照)。後述するように、サイクロン分離装置200が掃除機本体100に装着されると、吸込口体5、吸引パイプ4、接続パイプ3、サクションホース2を経由して掃除機本体100、サイクロン分離装置200及び掃除機本体100の順に連通し、含塵空気を吸引し、塵埃と清浄空気とを分離し、清浄空気を掃除機本体外に排出する風路が形成される。
掃除機本体100の前部には、サクションホース2のホース端部21が接続されるホース接続口103が形成される。
また、掃除機本体100の上面には、略凹部形状をなし、サイクロン分離装置200が前方下向きの斜めに収容されるサイクロン分離装置収容部110が形成され、サイクロン分離装置収容部110の底面略中央には、サイクロン分離装置ハンドル部201が収容されるハンドル収容部111が形成される(図5参照)。
掃除機本体100の後部右側にはサイクロン分離装置接続口104が形成され、サイクロン分離装置200に含塵空気が流入する流入口212(後述する)と接続される。そして、ホース接続口103とサイクロン分離装置接続口104とを連通する吸気ダクト105が、サイクロン分離装置収容部110の右側方の内部に形成される(図5において破線で示す)。
掃除機本体100の後部の左右略中央には、サイクロン分離装置接続口104に隣接するように掃除機本体接続口106が形成され、塵埃が分離された清浄空気がサイクロン分離装置200から流出する排出口244(後述する)と接続される。掃除機本体接続口106は、電動送風機102を経由して、清浄空気を掃除機本体100の外部へ排気する排気口(図示せず)と連通し、掃除機本体接続口106、電動送風機102及び排気口が排気風路(図示せず)を形成する。
掃除機本体100には、両側面から上方に立設した門状の掃除機本体ハンドル109が設けられる。また、後部には、電源コード101が収容されるコードリールが格納される。また、後部底面には回転軸が固定された1対の車輪107が設けられる。さらに、前部底面には回転軸が回動自在のキャスター108が設けられる。
(サイクロン分離装置)
図6から図8に示すように、サイクロン分離装置200は全体として略円筒状の形状をなし、略円筒形状の旋回部ケース210と、旋回部ケース210の回りを取り囲む集塵部ケース230と、旋回部ケース210の上部に接続される排出部ケース240とから構成される。
旋回部ケース210には、後述するように、特許請求の範囲でいう流入口212、旋回室218、側壁開口部213及びリブ220が形成される。
集塵部ケース230には、後述するように、特許請求の範囲でいう側壁外集塵室235が形成される。
排出部ケース240には、後述するように、特許請求の範囲でいう排出口244が形成される。
旋回部ケース210は、上端が開口し、上部が略円筒形状の上部円筒部211と、上部円筒部211の下端に連なるように形成される円錐部215と、円錐部215の外側を取り囲む下部円筒部214とから構成される。
上部円筒部211の側壁211aの上部には、外部風路である吸気ダクト105からの含塵空気が流れ込む流入口212が形成される。上部円筒部211の側壁211aの下部には、側壁開口部213が形成される。側壁開口部213には、後述するリブ220が形成される。また、上部円筒部211に連なって、円錐部215の外側に円筒状で下端部に下端開口部214aを有する下部円筒部214が形成される。さらに、上部円筒部211の外周には、後述する集塵部ケース230の上端部233を塞ぐフランジ部211bが形成される。
円錐部215の下端には開口部215aが形成され、下部円筒部214の下端開口部214aよりも上方に位置する。
上部円筒部211及び円錐部215の内部は、流入口212から流れ込んだ含塵空気を旋回させて空気と塵埃とを分離する旋回室218を形成する。
また、下部円筒部214と、後述する集塵部ケース230の底部232と、円錐部215の外側とで囲まれた空間が円錐部外集塵室219を形成する。
後述するように、旋回部ケース210の上端には、排出部ケース240が接続される。
集塵部ケース230は、外壁部231が略円筒状で底部232を有する有底のケースで、上端部233が開口する。上端部233は旋回部ケース210の上部円筒部211の外周に形成されるフランジ部211bにより覆われる。底部232には、旋回部ケース210の下部円筒部214の下端開口部214aの内周壁に嵌合するように円筒状の隔壁部232aが立設される。そして、下端開口部214aの下端縁と底部232との間にパッキンなどのシール部材234が設けられる。
また、外壁部231の内側と旋回部ケース210の下部円筒部214の外部との間に形成される空間が側壁外集塵室235を形成し、旋回室218内を旋回する含塵空気のうち側壁開口部213を通過した比較的重量の大きい塵埃が側壁外集塵室235の下部に溜まる。
なお、外壁部231には、サイクロン分離装置200の集塵部ケース230の底部に溜まった塵埃を廃棄するときに、使用者がサイクロン分離装置200を持ち運ぶためのサイクロン分離装置ハンドル部201が形成される。
集塵部ケース230は、使用者が塵埃のたまり具合を確認出来るように、透明性の高い樹脂で成形される。このとき、使用者は、塵埃の視認が良いため、不快に感じることがある。この改善として、集塵部ケース230を透明樹脂で成形し、その外側にハーフミラー蒸着によるめっき層を形成してもよい。
排出部ケース240は、排出管241と蓋部242とから構成される。
排出管241は旋回部ケース210の上部円筒部211の中心軸と同軸の円筒部241aと円筒部241aの下部に連なる円錐部241bとから構成され、円筒部241aの下部と円錐部241bの円錐面には多数の微細孔241cが穿設されている。
蓋部242の内部は、一端が排出管241の上端開口と連通し、排出管241の中心軸に対し折れ曲がる方向の排出ダクト243を形成する。蓋部242の内部の他端、つまり排出ダクト243の排出端は排出口244を形成する。排出口244は、掃除機本体100の掃除機本体接続口106と接続される。
(側開口部に設けられるリブ)
本発明の要部である、側壁開口部213に形成されるリブ220の構成について説明する。
図9に示すように、側壁開口部213は略1/4円の扇状形状をなし、上部円筒部211の管軸方向の寸法が45mm、円周方向の寸法が30mmである。また、上部円筒部211の内径は80mmである。また、上部円筒部211の肉厚は1.8mmである。
図9、図10に示すように、リブ220は側壁開口部213を通過する気流の風切音を抑制するものである。リブ220を含む上部円筒部211の材質はABS樹脂であるが、ポリプロピレン樹脂など熱可塑性樹脂を用いてもよい。リブ220は、旋回室218内の旋回気流の上流側から側壁211aの旋回気流に沿った接線方向に延設し(接線方向の高さが6mm)、その先端部221は自由端となっている。ここで、側壁211aの内面とリブ220の内面とは、それぞれの曲率中心が上部円筒部211の回転軸と同じとなるようになめらかに連なっている。リブ220の外面が側壁211aの外面より上部円筒部211の回転軸側に窪んでいる。リブ220の肉厚は1mm以下が望ましい。このように、リブ220の肉厚を薄くしたので、リブ220の弾性が高まり、先端の自由端での弾性変形がしやすくなる。
また、図9に示すように、リブ220の上端及び下端に切欠部222を設けてもよい。上端及び下端に切欠部222(それぞれ幅1mm程度)を設けることにより、リブ220の弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。
後述するように、この弾性変形により、側壁開口部213を通過する気流がつくる規則的な渦を乱し、特定周波数での騒音レベルを低減することができる。
次に、電気掃除機全体の動作について説明する。
掃除機本体100に内蔵された電源コード101をコンセントに接続し、操作スイッチ32を操作して電動送風機102を駆動すると、電動送風機102が吸引風を発生し、被掃除面上の塵埃を含む含塵空気が吸込口体5、吸引パイプ4、接続パイプ3、サクションホース2を経由し、ホース接続口103から掃除機本体100内に吸い込まれる。次に含塵空気はホース接続口103から吸気ダクト105を経由して、サイクロン分離装置接続口104から流入口212を介してサイクロン分離装置200内に吸い込まれる。
サイクロン分離装置200内での動作は後述する。
サイクロン分離装置200内で塵埃が分離された清浄空気は、サイクロン分離装置200の排出口244を経由して、掃除機本体接続口106から再び掃除機本体100内に吸い込まれる。掃除機本体100内に吸い込まれた清浄空気は、電動送風機102を経由して、排気口から掃除機本体100の外部へ排気される。
次に、サイクロン分離装置200内での動作を説明する。
流入口212から吸い込まれた含塵空気は旋回室218内に導入され、旋回部ケース210の上部円筒部211の側壁211aに沿って旋回する旋回気流を形成する(図10の実線の矢印参照)。この旋回気流は、上部円筒部211の中心軸近傍の流速の大きい強制渦領域と、その外側の流速の小さい自由渦領域とを形成しながら、下方(円錐部215側)に流れていく。
旋回室218内の旋回気流に含まれる塵埃には遠心力が作用する。例えば、繊維ごみ又は毛髪といった比較的嵩の大きなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみα」という)は、この遠心力によって、上部円筒部211の側壁211aに押し付けられながら、旋回室218内を落下する。ごみαは、側壁開口部213の高さに達すると旋回気流から分離され、側壁開口部213を通過して側壁外集塵室235に送られる。側壁開口部213から側壁外集塵室235に進入したごみαは、旋回室218内を旋回する気流の旋回方向と同じ方向に移動しながら、側壁外集塵室235内を落下し、側壁外集塵室235の最下部に達し、捕集される。
一方、側壁開口部213から側壁外集塵室235に進入しなかったごみは、旋回室218の気流に乗って、旋回室218内を旋回しながら下方に進む。砂ごみ又は細かな繊維ごみといった比較的嵩の小さなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみβ」という)は、開口部215aを通過し、円錐部外集塵室219に落下して捕捉される。
旋回室218内で旋回する気流は、旋回室218の最下部、すなわち、円錐部215の下端に達すると、その進行方向を上向きに変えて、旋回室218の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からは、ごみα及びごみβが除去されている。ごみα及びごみβが取り除かれた気流(清浄空気)は、排出管241及び排出ダクト243を通過して、排出口244からサイクロン分離装置200の外部に排出される。
次に、側壁開口部213を通過する気流に対するリブ220の動作について説明する。
図12及び図13は、側壁開口部213にリブ220がない場合の騒音レベルの周波数成分の実測値の例を示す。図14及び図15は、側壁開口部213にリブ220を設けた場合の騒音レベルの周波数成分の実測値の例を示す。いずれの図も、横軸は周波数で、100Hzから10000Hzまでの範囲を示す。縦軸は騒音レベル(dB)である。
測定条件は、いずれも電動送風機102の消費電力は850Wである。図12は、掃除機本体100の前後左右中心を通る床面から上方に1.5m位置、図13は、掃除機本体100の前後左右中心から左方に1.5m位置で測定した結果である。
パワーメータで測定した騒音レベルの平均値は、図12の場合が65.5dB、図13の場合が65.2dBである。また、図14の場合が65.2dB、図15の場合が62.7dBである。このように、リブ220を設けることにより、騒音レベルの平均値が低減されており、特に掃除機本体100の前後左右中心から左方位置での騒音レベルの平均値が著しく低減していることがわかる。
また、特定の周波数として1000Hzにおける騒音レベルについて比較した(図中、楕円で囲んだ部分)。1000Hzを選定した理由は、上部円筒部211の側壁211aに側壁開口部213を形成しない場合には1000Hzにおいて騒音のピークが発生しないことと、1000Hzの周波数の騒音が耳障りと感じたためであり、1000Hzでの騒音レベルを低減することを目的とした。
図12及び図13における1000Hzでの騒音レベルに対し、図14及び図15における1000Hzでの騒音レベルがいずれも低減されていることがわかる。
このリブ220の作用について説明する。
上部円筒部211の側壁211aに形成された側壁開口部213から側壁外集塵室235へ旋回気流が流れ込むと、笛が鳴るのと同じ原理で、側壁開口部213の旋回気流の上流側から接線方向に流れる気流の速度が一定なため、側壁開口部213の旋回気流の下流側の縁部から、旋回方向が交互に変わるカルマン渦を作り出し、空気の密度が周期的に変化する。このため、特定の周波数成分をピークに持つ大きな風切音が発生する。
側壁開口部213の旋回気流上流側の縁部にリブ220を設けると、リブ220の先端部221が自由端となっているので、旋回気流によりこの自由端が微小に振動する。リブ220の肉厚は1mm以下となっているため、弾性が高まるためである。このため、上流側から接線方向に流れる一定速度の気流は、リブ220を通過するとき乱され不規則となり、風切音は特定の周波数をピークに持たなくなる。
また、リブ220の上端及び下端に切欠部222を設けると、リブ220の弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。したがって、特定の周波数の風切音の低減効果がさらに高まる。
また、リブ220は、旋回室218の上部円筒部211内の旋回気流の上流側から側壁211aの接線方向に延設するとともにその先端部221を自由端としたので、毛髪又は綿ゴミなどの引っかかりが抑制されるとともに、圧力損失による騒音の発生も抑制される。
このように、実施の形態1のサイクロン分離装置によれ、外部風路からの含塵空気が流れ込む流入口と、略円筒形状に形成され、流入口から流れ込んだ含塵空気を旋回させて空気と塵埃とを分離する旋回室と、この旋回室の円筒部側壁に開口する側壁開口部を介して含塵空気から分離した塵埃を溜める側壁外集塵室と、旋回室内の含塵空気から分離した空気を排出する排出口とを備え、側壁開口部に、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制するリブを設けたので、旋回気流によりリブの自由端が微小に振動し、上流側から接線方向に流れる一定速度の気流は、リブを通過するとき乱され不規則となり、風切音は特定の周波数をピークに持たなくなる。したがって、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制することができ、騒音の小さいサイクロン分離装置及びこれを用いた電気掃除機を得ることができる。
また、リブの上端及び下端に切欠部を設けたので、リブの弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。したがって、特定の周波数の風切音の低減効果がさらに高まる。
また、リブを、旋回室の上部円筒部内の旋回気流の上流側から旋回室側壁の接線方向に延設するとともにその先端を自由端としたので、毛髪又は綿ゴミなどの引っかかりが抑制されるとともに、圧力損失による騒音の発生も抑制される。
実施の形態2.
図11は本発明の実施の形態2を示すサイクロン分離装置の要部である側壁開口部に設けられたリブの構成を説明する図である(集塵部ケース230を外した状態)。図16は本発明の実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。図17は本発明の実施の形態2に示すサイクロン分離装置の効果を説明する図である。いずれの図も、横軸は周波数で、100Hzから10000Hzまでの範囲を示す。縦軸は騒音レベル(dB)である。
実施の形態2は実施の形態1の側壁開口部213に設けたリブ220と形状だけが異なるものであり、他の構成は実施の形態1に記載の構成と同一である。
図11に示すように、側壁開口部213に設けたリブ223は、山部223aと谷部223bとを交互に有する鋸歯状形状となっている。谷部223bの底から山部223aの先端までの高さは6mm〜9mm程度である。なお、この鋸歯状形状は紋章学ではシェブロンと呼ばれる。図11に示すように、リブ223は5個の山部223aと6個の谷部223bが形成されている。リブ223の上端及び下端の谷部は、実施の形態1の切欠部222を兼ねる。
次に、側壁開口部213を通過する気流に対するリブ223の動作について説明する。
図16及び図17は、側壁開口部213にリブ223を設けた場合の騒音レベルの周波数成分の実測値の例を示す。測定条件は実施の形態1に記載した条件と同じであり、電動送風機102の消費電力は850Wである。図16は、掃除機本体100の前後左右中心を通る床面から上方に1.5m位置、図17は、掃除機本体100の前後左右中心から左方に1.5m位置で測定した結果である。ここでも、側壁開口部213にリブ223がない場合の騒音レベルの周波数成分の実測値の例である図12及び図13と比較する。
実施の形態1と同様に、パワーメータで測定した騒音レベルの平均値は、側壁開口部にリブ223がない図12の場合が65.5dB、図13の場合が65.2dBである。また、図16の場合が64.4dB、図17の場合が61.2dBである。このように、リブ223を設けることにより、騒音レベルの平均値が低減されており、特に掃除機本体100の前後左右中心から左方位置での騒音レベルの平均値が著しく低減していることがわかる。
また、実施の形態1と同様に、特定の周波数として1000Hzにおける騒音レベルについて比較した(図中、楕円で囲んだ部分)。
図12及び図13における1000Hzでの騒音レベルに対し、図16及び図17における1000Hzでの騒音レベルがいずれも低減されていることがわかる。
このリブ223の作用について説明する。
実施の形態1で説明したとおり、上部円筒部211の側壁211aの側壁開口部213から側壁外集塵室235へ旋回気流が流れ込むと、側壁開口部213の旋回気流上流側から接線方向に流れる気流の速度が一定なため、側壁開口部213の旋回気流の下流側の端部から、旋回方向が交互に変わるカルマン渦を作り出し、空気の密度が周期的に変化する。このため、特定の周波数成分をピークに持つ大きな風切音が発生する。
側壁開口部213の旋回気流上流側の端部に山部223aと谷部223bとを交互に有する鋸歯状形状のリブ223を設けると、リブ223の先端部(山部223a)が自由端となっているので、旋回気流によりこの自由端が微小に振動する。また、リブ223の上端及び下端に切欠部222(それぞれ幅1mm程度)を設けることにより、リブ223の弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。
さらに、リブ223に旋回気流が通過すると、旋回室218内の早い流速を有する旋回気流と側壁外集塵室235内の遅い流速を有する旋回気流とが一度に混合することなく、それぞれ山部223aと谷部223bとを結ぶ線上で徐々に気流が混合されるため、騒音の原因となる渦の発達を抑制する。この結果、騒音の更なる低減を図ることが出来る。
また、リブ223の上端及び下端に切欠部222を設けたので、リブ223の弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。したがって、特定の周波数の風切音の低減効果がさらに高まる。
また、リブ223は、旋回室218の上部円筒部211内の旋回気流の上流側から側壁211aの接線方向に延設するとともにその先端部(山部223a)を自由端としたので、毛髪又は綿ゴミなどの引っかかりが抑制されるとともに、圧力損失による騒音の発生も抑制される。
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、リブ223の肉厚を1mm以下としたが、上部円筒部211と同じ肉厚である1.8mmとしてもよい。リブ223の先端部での剛性が増して振動が低減するものの、それぞれ山部223aと谷部223bとを結ぶ線上で徐々に気流が混合されるため、騒音の原因となる渦の発達を抑制する効果がある。
このように、実施の形態2のサイクロン分離装置によれ、外部風路からの含塵空気が流れ込む流入口と、略円筒形状に形成され、流入口から流れ込んだ含塵空気を旋回させて空気と塵埃とを分離する旋回室と、この旋回室の円筒部側壁に開口する側壁開口部を介して含塵空気から分離した塵埃を溜める側壁外集塵室と、旋回室内の含塵空気から分離した空気を排出する排出口とを備え、側壁開口部に、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制するリブを設け、このリブを、山部と谷部とを交互に有する鋸歯状形状としたので、旋回気流によりリブの自由端が微小に振動し、上流側から接線方向に流れる一定速度の気流は、リブを通過するとき乱され不規則となる効果に加え、山部と谷部とを結ぶ線上で徐々に気流が混合されるため、騒音の原因となる渦の発達を抑制する効果がある。その結果、風切音は特定の周波数をピークに持たなくなる。したがって、側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制することができ、騒音の小さいサイクロン分離装置及びこれを用いた電気掃除機を得ることができる。
また、リブの上端及び下端に切欠部を設けたので、リブの弾性がさらに高まり、先端の自由端がより弾性変形しやすくなる。したがって、特定の周波数の風切音の低減効果がさらに高まる。
また、リブを、旋回室の上部円筒部内の旋回気流の上流側から旋回室側壁の接線方向に延設するとともにその先端を自由端としたので、毛髪又は綿ゴミなどの引っかかりが抑制されるとともに、圧力損失による騒音の発生も抑制される。
1 電気掃除機、2 サクションホース、21 ホース端部、3 接続パイプ、31 取っ手、32 操作スイッチ、4 吸引パイプ、5 吸込口体、100 掃除機本体、101 電源コード、102 電動送風機、103 ホース接続口、104 サイクロン分離装置接続口、105 吸気ダクト、106 掃除機本体接続口、107 車輪、108 キャスター、109 掃除機本体ハンドル、110 サイクロン分離装置収容部、111
ハンドル収容部、200 サイクロン分離装置、201 サイクロン分離装置ハンドル部、210 旋回部ケース、211 上部円筒部、211a 側壁、211b フランジ部、212 流入口、213 側壁開口部、214 下部円筒部、214a 下端開口部、215 円錐部、215a 開口部、218 旋回室、219 円錐部外集塵室、220 リブ、221 先端部、222 切欠部、223 リブ、223a 山部、223b
谷部、230 集塵部ケース、231 外壁部、232 底部、232a 隔壁部、233 上端部、234 シール部材、235 側壁外集塵室、240 排出部ケース、241 排出管、241a 円筒部、241b 円錐部、241c 微細孔、242 蓋部、243 排出ダクト、244 排出口。

Claims (4)

  1. 部風路からの含塵空気が流れ込む流入口と、
    略円筒形状に形成され、前記流入口から流れ込んだ前記含塵空気を旋回させて空気と塵埃とを分離する旋回室と、
    該旋回室の円筒部側壁に開口する側壁開口部を介して前記含塵空気から分離した塵埃を溜める側壁外集塵室と、
    前記旋回室内の前記含塵空気から分離した空気を排出する排出口と、を備え、
    前記側壁開口部に、前記側壁開口部を通過する気流の風切音を抑制するリブを設け、前記リブは、前記旋回室内の旋回気流の上流側から前記円筒部側壁の接線方向に延設するとともにその先端を自由端とし、前記リブの上端及び下端に切欠部を形成したことを特徴とするサイクロン分離装置。
  2. 記リブは、山部と谷部とを交互に有する鋸歯状形状としたことを特徴とする請求項1記載のサイクロン分離装置。
  3. 記リブの肉厚が1mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のサイクロン分離装置。
  4. 引風を発生する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、
    請求項1に記載のサイクロン分離装置と、
    を備えたことを特徴とする電気掃除機。
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