以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、スタック型キャパシタを有する半導体メモリ装置について図4を用いて説明する。図4(A)は半導体メモリ装置の一断面である。半導体メモリ装置は半導体ウェハ等の基板111表面に設けられた不純物領域113a乃至不純物領域113e、ワード線104a、ワード線104b、キャパシタ電極115a、キャパシタ電極115b、ビット線105、層間絶縁物116を有する。
なお、ビット線105はワード線104aおよびワード線104bと交差するように形成する。また、本実施の形態の半導体メモリ装置ではメモリセルの形成される部分には素子分離絶縁物を設ける必要はない。すなわち、メモリセルアレイでの半導体の素子分離を必要としない。
キャパシタ電極115aと不純物領域113a、キャパシタ電極115bと不純物領域113cは、それぞれ、接続電極114a、接続電極114bを介して接続する。また、キャパシタ電極115a、キャパシタ電極115bはビット線105との間でスタック型キャパシタを形成する。
本実施の形態の半導体メモリ装置では、トランジスタのゲートは接続電極114a、接続電極114bを取り巻くように形成される。したがって、ワード線104a、ワード線104bは開口部(孔)を有する。不純物領域113a乃至不純物領域113eは開口部の内側と外側で機能が異なり、内側の不純物領域113aおよび不純物領域113cはトランジスタのドレインとして機能し、外側の不純物領域113b、不純物領域113dおよび不純物領域113eはソース線として機能する。
図4(A)に示される半導体メモリ装置を、図4(A)の一点鎖線A−Bで切断して上方より見た場合の模式図を図4(B)に示す。メモリセル101は不純物領域113aを有し、接続電極114aが設けられる。また、不純物領域113aと不純物領域113bの間および不純物領域113aと不純物領域113dの間にはワード線104aが設けられる。
なお、隣接するメモリセルは不純物領域113cを有し、接続電極114bが設けられ、不純物領域113bと不純物領域113cの間および不純物領域113cと不純物領域113eの間にはワード線104bが設けられる。不純物領域113b、不純物領域113dおよび不純物領域113eはワード線104aおよびワード線104bと平行な方向に延在する。
不純物領域113b、不純物領域113dおよび不純物領域113eはソース線として機能するが、その部分の面積が大きいため、ソース線に相当する配線の抵抗は十分に低くなる。不純物領域113b、不純物領域113dおよび不純物領域113eの表面には、公知のサリサイド(Self−aligned silicide)技術を用いてシリサイドを形成すると、さらに抵抗を下げることができる。
本実施の形態の半導体メモリ装置のセル面積はプレーナ型のトランジスタを用いる場合で、16F2(Fは最小加工線幅)であり、従来の半導体メモリ装置(最小で4F2)よりも劣る。しかしながら、素子分離する必要がないため、素子分離によって問題が生じる場合には有効である。特に非シリコン半導体や非バルク半導体を用いる場合には、効果が大きい場合がある。
例えば、半導体膜を用いる場合、半導体膜とゲート絶縁物の界面は可能な限り清浄に保たれる必要があるので、半導体膜上へのゲート絶縁物の成膜(あるいはゲート絶縁物上への半導体膜の形成)に際しては、半導体膜の形成後に、そのまま真空チャンバー中でゲート絶縁物を形成する(連続的に形成する)ことが好ましく、ゲート絶縁物の上(あるいは半導体膜の上)の構造物も連続的に形成することはさらに好ましい。
しかし、そのような場合、半導体膜をトランジスタ1つ(あるいは2つ)分だけ分離することは不可能となる。このような場合には、メモリセルごとの素子分離が不要な本実施の形態の半導体メモリ装置を用いればよい。他にも、半導体膜をエッチングすることにより、半導体膜の端部の半導体特性が劣化する場合にも効果がある。
本実施の形態では、メモリセルの集積した部分(メモリセルアレイ)の大きさとほぼ同じ大きさの半導体膜を形成し、半導体膜の端部から適切な距離にある部分はメモリセル等の作製には用いないようにするとよい。適切な距離は端部の劣化の度合いとメモリセルに要求される特性に応じて決定されるが、例えば、0.1μm乃至10μmとすればよい。
なお、半導体膜を用いてメモリセルアレイを作製する場合、半導体ウェハに形成された回路の上に、メモリセルアレイを重ねて形成できるので、例えば、半導体ウェハにメモリセルアレイを駆動するための回路を設けると集積度を高めることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態の半導体メモリ装置を図5乃至図7を用いて説明する。図5は本実施の形態の半導体メモリ装置の立体的な構造を示すものである。本実施の形態の半導体メモリ装置は、ワード線202a、ワード線202b、ゲート絶縁物204、半導体膜205、ドレイン電極206、ソース線207、キャパシタ213、ビット線215a乃至ビット線215cが積層して形成される。
なお、ドレイン電極206とソース線207は同一工程で同時に形成されてもよいし、別の工程で形成されてもよい。なお、ドレイン電極を設けず、半導体膜205にキャパシタと接続する何らかの導電体が接する構造であってもよい。
ワード線202a、ワード線202b、ドレイン電極206、ソース線207の形状はさまざまであるが、図6にそのうちのいくつかを示す。図6(A)乃至図6(C)はワード線202a、ワード線202bの、図6(D)乃至図6(F)はドレイン電極206、ソース線207の形状の例を示す。
図6(A)はワード線202a、ワード線202bの最も単純な形状である。この形状では、ドレイン電極206(あるいはそれに相当する半導体膜205に接する電極等)とワード線202a、ワード線202bとの間の寄生容量が大きくなるため、キャパシタ213の電位がワード線202a、ワード線202bの電位の影響を受けやすくなる。
図6(B)はその欠点を補うため、ドレイン電極206(あるいはそれに相当する半導体膜205に接する電極等)と重なる部分を除去したものである。ただし、この場合でも、ソース線207との重なりによる寄生容量が生じることがある。
図6(C)はソース線207との寄生容量を可能な限り小さくする例である。ただし、この場合にはワード線202a、ワード線202bの幅が狭まるため、抵抗が上昇する。
図6(D)乃至図6(F)に示すようにソース線207の配置方法はさまざまであるが、ドレイン電極206はソース線207の間に離散して設けるという点で同じである。なお、図6(D)乃至図6(F)に示すドレイン電極206の位置は各図面間で同じである。
ドレイン電極206の位置が確定すると、ワード線202a、ワード線202bの形状も決定される。すなわち、ワード線202a、ワード線202bは、1つのドレイン電極206の外周部以遠の閉曲線(もしくは多角形)と重なるように形成される必要がある。図6(A)乃至図6(C)に示すワード線202a、ワード線202bの形状はこの条件を満たす。
図6(D)はソース線207をワード線202a、ワード線202bと平行に配置し、かつ、ワード線202a、ワード線202bと重ならないようにしたもので、ワード線202a、ワード線202bとの間の寄生容量が最も小さい。
図6(E)はソース線207をワード線202a、ワード線202bと直交するように配置したものであり、必然的にビット線215a乃至ビット線215cと平行に配置される。そのため、例えば、ビット線215aの電位にあわせて、ソース線207のうちの対応する1つの電位を変動させることもできる。
図6(F)はソース線207でドレイン電極206を取り囲むように配置したもので、そのため、図6(D)や図6(E)に示される配置方法に比べて、ソース線207の抵抗を低減できる。
図7に本実施の形態のメモリ装置の作製工程の断面の例を示す。図7においては、左側が、図6中の一点鎖線A−B、右側が一点鎖線C−Dにおける断面である。なお、ここでは、ワード線202a、ワード線202bは、図6(B)もしくは図6(C)に示す配置を、また、ドレイン電極206とソース線207は図6(F)に示す配置を採用する。
最初に第1絶縁物201上にワード線202a、ワード線202bを形成し、また、その隙間に第2絶縁物203を埋め込む(図7(A)参照)。
ゲート絶縁物204、半導体膜205を形成する。これらはメモリセルの形成されている領域では分断される必要がない。ゲート絶縁物204、半導体膜205としてはさまざまな材料を使用することができる。例えば、半導体膜205としては、シリコン系半導体(アモルファスシリコン、多結晶シリコン等)、酸化物半導体(酸化亜鉛、酸化インジウム等)等を用いることができる。ゲート絶縁物204は半導体膜205に応じて選択できる。
さらに、導電膜を形成し、これを適切な形状にエッチングして、ドレイン電極206、ソース線207とする(図7(B)参照)。
第3絶縁物208を形成し、これにドレイン電極206に達するコンタクトホールを形成し、接続電極209を埋め込む。さらに、第1キャパシタ電極210、誘電体211、第2キャパシタ電極212を形成する。これらはキャパシタ213を構成する。さらに、第4絶縁物214を形成し、その上に、ワード線202a、ワード線202bと直交するビット線215a乃至ビット線215cを形成する(図7(C)参照)。
以上の作製工程においては、第1絶縁物201の上に配線やその他の絶縁物等を積層する構成を示したが、逆にビット線215a乃至ビット線215cの上にそれらを積層する構成としてもよい。すなわち、図7の上下を入れ替えてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態の半導体メモリ装置を図8と図9を用いて説明する。実施の形態1および実施の形態2の半導体メモリ装置は1つのメモリセルあたり16F2の面積を必要としたが、本実施の形態の半導体メモリ装置はトランジスタのチャネルを基板に対してほぼ垂直に配置することにより1つのメモリセルあたりの面積を最小で4F2とできる。
本実施の形態の半導体メモリ装置を構成する主要な配線の形状と配置を図8に示す。図8(A)は、第2キャパシタ電極312の配置例を示す。図8(B)乃至図8(D)はソース線307と開口部308の形状および位置の例を示す。図8(E)と図8(F)はワード線302a、ワード線302bの配置と形状の例を示す。
本実施の形態では、実施の形態2のドレイン電極206の機能を第2キャパシタ電極312が有する。なお、第2キャパシタ電極312とソース線307は別の配線層を用いて形成される。図8(B)乃至図8(D)に示すように、ソース線307の配置方法はさまざまであるが、ドレイン電極としての機能を有する第2キャパシタ電極312はソース線307と重ならない部分に設けられるとよい。
図8(B)はソース線307をワード線302a、ワード線302bと平行に配置し、かつ、ワード線302a、ワード線302bとの重なりを最小としたもので、ワード線302a、ワード線302bとの間の寄生容量が最も小さい。
図8(C)はソース線307をワード線302a、ワード線302bと直交するように配置したものであり、必然的にビット線と平行に配置される。そのため、例えば、ビット線の電位にあわせて、ソース線307のうちの対応する1つの電位を変動させることもできる。
図8(D)はソース線307で第2キャパシタ電極312を取り囲むように配置したもので、そのため、図8(B)や図8(C)に示される配置方法に比べて、ソース線307の抵抗を低減できる。
図8(E)はワード線302a、ワード線302bの最も単純な形状である。この形状では、第2キャパシタ電極312とワード線302a、ワード線302bとの間の寄生容量が大きくなる。図8(F)はその欠点を補うため、第2キャパシタ電極312と重なる部分を削減したものである。
本実施の形態の半導体メモリ装置はこれらの配線層やその他の絶縁物、半導体膜等が積層して形成される。例えば、図8(A)に示す第2キャパシタ電極312と、図8(D)に示すソース線307、図8(E)に示すワード線302a、ワード線302bを用いた場合の半導体メモリ装置の作製工程を図9を用いて説明する。なお、図9は図8中の一点鎖線E−F、および一点鎖線G−Hでの断面を示す。
最初に、ビット線315a乃至ビット線315cを第1絶縁物301に埋め込んで形成し、さらに、ビット線315a乃至ビット線315cに接続する第1キャパシタ電極310、誘電体311、第2キャパシタ電極312を形成する。第1キャパシタ電極310、誘電体311、第2キャパシタ電極312はキャパシタ313を形成する(図9(A)参照)。
次に、比較的厚い絶縁物の層とその上の適切な厚さの導電体層を形成する。そして、絶縁物の層と導電体層をエッチングして、第2キャパシタ電極312に達する開口部308を形成する。この結果、導電体層は、図8(D)の形状のソース線307となる。また、絶縁物は複数の開口部308を有する第2絶縁物303となる。
さらに、半導体膜305、ゲート絶縁物304を形成する。これらはメモリセルの形成されている領域ではメモリセルごとに分断される必要がない。半導体膜305の形状については実施の形態4で説明する。ゲート絶縁物304、半導体膜305としては実施の形態2で示したような材料を使用することができる(図9(B)参照)。
さらに、導電膜を形成し、これを図8(E)に示す状にエッチングして、ワード線302a、ワード線302bとする(図9(C)参照)。
以上の作製工程においては、第1絶縁物301の上に配線やその他の絶縁物等を積層する構成を示したが、逆にワード線302a、ワード線302bの上にそれらを積層する構成としてもよい。すなわち、図9の上下を入れ替えてもよい。
本実施の形態の半導体メモリ装置では、トランジスタのチャネルが開口部308の側面に沿って形成されるため、実施の形態1や実施の形態2のようにチャネルのための平面的な領域が不要である。理想的には1つのメモリセルが1つの開口部308に形成され、各開口部308の中心間の間隔は2Fとできるので、1つのメモリセルの面積は最小で4F2となる。
また、チャネル長が開口部308の深さに応じて決定されるため、開口部308の深さを適切なものとすることで短チャネル効果を抑制できる。例えば、最小加工線幅(F)を30nmとし、開口部の深さを120nmとすると、本実施の形態のトランジスタのチャネル長とチャネル幅はともに約120nmである。平面的なトランジスタでこのサイズを達成すると、面積は約16F2となる。すなわち、本実施の形態のトランジスタは平面的なトランジスタよりも集積度を高める上で効果がある。
(実施の形態4)
図10に本実施の形態の半導体メモリ装置の構成例を示す。本実施の形態の半導体メモリ装置は、図10(A)に示されるように駆動回路の形成された層(ドライバ層401)の上に、実施の形態2あるいは実施の形態3で示されたメモリセルを有する層(メモリセルアレイ層402)が積層した構造を有する。
メモリセルアレイ層402は、図10(B)に示されるように、複数(ここでは8つ)の半導体膜403_1乃至403_8を有する。このうち、半導体膜403_1、半導体膜403_2、半導体膜403_5、半導体膜403_6の境界部分404を拡大した様子を図10(C)に示す。
半導体膜403_1、半導体膜403_2、半導体膜403_5、半導体膜403_6は、半導体膜のない部分405によって分離されている。半導体膜のない部分405には、ドライバ層401との接続のためのコンタクトホール等が設けられる。
半導体膜403は、メモリセルの形成されている領域403aと、その外側にあるメモリセルの形成されない領域403bとに分けられる。ここで「メモリセルが形成されない」とは、ドレイン電極あるいはそれに相当する導電体が設けられないことを意味する。
半導体膜403の端部は、エッチングその他の要因により特性が悪化しているのでトランジスタを形成するには、端部から離れた部分を使用することが好ましく、例えば、半導体膜403の端部からメモリセルの形成されている領域403aまでの距離は、0.1μm以上2μm以下、好ましくは0.5μm以上1μm以下とするとよい。
本実施の形態で明らかなように、実施の形態2あるいは実施の形態3で示された1つの半導体膜205あるいは1つの半導体膜305には、多くの(100個以上)のメモリセルを形成できる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、論理回路(CPUまたはMPU)に用いられるフリップフロップ回路(SRAMやレジスタ)のバックアップ用半導体メモリ装置として、キャパシタと薄膜トランジスタを用いる場合に本発明の一態様を適用する例について説明する。
フリップフロップ回路に用いられるインバータは、Pチャネル型トランジスタのドレイン電極とNチャネル型トランジスタのドレイン電極が互いに接続され、Pチャネル型トランジスタのゲート電極とNチャネル型トランジスタのゲート電極に同じ電位(入力電位)が与えられるような構造を有する。
なお、Pチャネル型トランジスタのソース電極のノードをVDD、Nチャネル型トランジスタのソース電極のノードをVSSという。フリップフロップ回路では電源を遮断する(VDDの電位とVSSの電位を等電位とする)とデータが失われてしまう。
インバータでは、入力電位の高さに従って、一方がオフ、他方がオンとなるように動作する。よって、インバータを貫通して流れる電流は、理想的には0になるはずである。しかし、実際には、オフのはずのトランジスタに僅かなオフ電流が流れているため、完全に0にはならない。したがって、通常のフリップフロップ回路では、データを保持しているだけの状態でも、消費電力が発生する。
例えば、トランジスタのサイズにもよるが、バルクのシリコンを用いて作製されたインバータの場合、室温下、電源電圧が約1Vの状態にて、0.1pA程度のオフ電流が生じる。フリップフロップ回路では、2つのインバータが設けられているので、0.2pA程度のオフ電流が生じる。そして、記憶素子数が約107個程度であるレジスタの場合、オフ電流はレジスタ全体で2μAとなる。
さらに、微細化の進展と共に、ゲート絶縁物も薄膜化しているため、ゲート電流(ゲート是手運物を透過するトンネル電流)も無視できない大きさとなっている。これらも加わって、レジスタの消費電力はICチップの縮小化に反して増大している。
加えて、近年では、電源電圧の低下による速度の低下を補うために、トランジスタのしきい値を低下させることがおこなわれているが、その結果、オフ電流は1つのインバータあたりさらに3桁程度増加することもある。これらの結果、レジスタの消費電力は回路線幅の縮小化とともに増大している。そして、電力の消費による発熱がICチップの温度の上昇を招き、さらに消費電力が増加するという悪循環に陥りつつある。
そこで、消費電力を抑えるため、特許文献7には、フリップフロップ回路のいずれかのノードにキャパシタを設け、そこに電荷を保持させることにより、フリップフロップ回路への電源を遮断してもデータが保持される方式が提案されている。この方式では、データを短時間で退避および復活でき、かつ、データの退避および復活に要する電力が十分に小さいので、短時間(例えば、100μ秒乃至1分)の電源停止にも適している。
本実施の形態の記憶素子は、フリップフロップ回路によりデータを記憶する領域と、キャパシタとそれに出入りする電荷を制御してデータを記憶する半導体メモリとを有する。
図11(A)に、本実施の形態の記憶素子の回路図の一例を示す。図11(A)に示す記憶素子500は、入力された信号の位相を反転させて出力する第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502と、スイッチング素子503と、スイッチング素子504と、キャパシタ505と、キャパシタ用スイッチング素子506とを、少なくとも有する。
記憶素子500に入力されたデータを含む信号INは、スイッチング素子503を介して第1の位相反転素子501の入力端子に与えられる。第1の位相反転素子501の出力端子は、第2の位相反転素子502の入力端子に接続されている。第2の位相反転素子502の出力端子は、スイッチング素子504を介して、第1の位相反転素子501の入力端子に接続されている。
第1の位相反転素子501の出力端子または第2の位相反転素子502の入力端子の電位が、信号OUTとして後段の記憶素子、或いは他の回路に出力される。ここで、第1の位相反転素子501の入力端子のノードを第1のノードN1、第1の位相反転素子501の出力端子のノードを第2のノードN2とする。
なお、図11(A)では、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502としてインバータを用いる例を示しているが、第1の位相反転素子501または第2の位相反転素子502として、インバータの他に、クロックドインバータを用いることもできる。
キャパシタ505は、記憶素子500に入力された信号INのデータを必要に応じて記憶できるように、記憶素子500の入力端子、すなわち信号INの電位が与えられる第1のノードN1に接続されている。具体的に、キャパシタ505は、一対の電極間に誘電体を有するコンデンサであり、その一方の電極は第1のノードN1に接続され、他方の電極はキャパシタ用スイッチング素子506の一方の電極に接続される。キャパシタ505とキャパシタ用スイッチング素子506の接続するノードを第3のノードN3とする。
キャパシタ用スイッチング素子506の他方の電極は、固定電位VCCが与えられているノードに接続されている。
また、キャパシタ用スイッチング素子506には、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いる。なお、高純度化された酸化物半導体に関しては、特許文献7を参照できる。
なお、記憶素子500は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタ、キャパシタなどその他の回路素子を、さらに有していてもよい。
次いで、図11(A)で示した記憶素子の、より具体的な回路図の一例を、図11(B)に示す。図11(B)に示す記憶素子500は、第1の位相反転素子501と、第2の位相反転素子502と、スイッチング素子503と、スイッチング素子504と、キャパシタ505と、キャパシタ用スイッチング素子506とを有しており、これら回路素子の接続構成は図11(A)と同じである。
そして、図11(B)において第1の位相反転素子501は、ゲート電極が互いに接続されたPチャネル型トランジスタ507と、Nチャネル型トランジスタ508とがVDDとVSS間において、直列に接続された構成を有する。具体的には、Pチャネル型トランジスタ507のソース電極がVSSに接続され、Nチャネル型トランジスタ508のソース電極がVDDに接続される。
また、Pチャネル型トランジスタ507のドレイン電極と、Nチャネル型トランジスタ508のドレイン電極とが接続されており、上記2つのドレイン電極の電位は、第1の位相反転素子501の出力端子の電位とみなすことができる。また、Pチャネル型トランジスタ507のゲート電極、およびNチャネル型トランジスタ508のゲート電極の電位は、第1の位相反転素子501の入力端子の電位とみなすことができる。
また、図11(B)において第2の位相反転素子502は、ゲート電極が互いに接続されたPチャネル型トランジスタ509と、Nチャネル型トランジスタ510とがVDDとVSSの間において、直列に接続された構成を有する。具体的には、Pチャネル型トランジスタ509のソース電極がVDDに接続され、Nチャネル型トランジスタ510のソース電極がVSSに接続される。
また、Pチャネル型トランジスタ509のドレイン電極と、Nチャネル型トランジスタ510のドレイン電極とが接続されており、上記2つのドレイン電極の電位は、第2の位相反転素子502の出力端子の電位とみなすことができる。また、Pチャネル型トランジスタ509のゲート電極、およびNチャネル型トランジスタ510のゲート電極の電位は、第2の位相反転素子502の入力端子の電位とみなすことができる。
また、図11(B)では、スイッチング素子503として1つのトランジスタを用いている場合を例示しており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号Sig1によりスイッチングが制御される。また、スイッチング素子504として1つのトランジスタを用いている場合を例示しており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号Sig2によりスイッチングが制御される。
なお、図11(B)では、スイッチング素子503と、スイッチング素子504が、それぞれトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。本実施の形態では、スイッチング素子503またはスイッチング素子504が、トランジスタを複数有していてもよい。
スイッチング素子503またはスイッチング素子504が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、複数のトランジスタを並列に接続する場合、それらの極性を異なるものとしても良く、例えば、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタを並列に接続した、いわゆるトランスファーゲート構造としてもよい。
また、図11(B)では、キャパシタ用スイッチング素子506として、酸化物半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号Sig3によりスイッチングが制御される。キャパシタ用スイッチング素子506に用いるトランジスタは、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に有し、また、そのチャネル長も十分に長いので、そのオフ電流は、特許文献7記載の通り著しく低い。
図11(B)では、キャパシタ用スイッチング素子506がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。本実施の形態では、キャパシタ用スイッチング素子506が、トランジスタを複数有していてもよい。キャパシタ用スイッチング素子506が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、本実施の形態では、少なくとも、キャパシタ用スイッチング素子506においてスイッチング素子として用いられるトランジスタが、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に有していればよい。
第1の位相反転素子501、第2の位相反転素子502、スイッチング素子503、またはスイッチング素子504に用いられるトランジスタは、酸化物半導体以外の、非晶質、微結晶、多結晶、または単結晶の、シリコン、砒化ガリウム、リン化ガリウム、リン化インジウム、またはゲルマニウムなどの半導体を用いることができる。また、これらのトランジスタの一部もしくは全部は、半導体膜を用いて作製されてもよいし、バルク(半導体ウェハ)を用いて作製されてもよい。
図12を用いて本実施の形態の記憶素子の回路配置例を説明する。図12(A)には1つの記憶素子500のレイアウトを示す。記憶素子500は図11の記憶素子500に相当する。記憶素子500の主要部分であるインバータ等は公知の半導体技術を用いて形成すればよい。すなわち、半導体ウェハ上に素子分離のための絶縁物(素子分離領域)、n型領域およびp型領域を形成し、その上にゲート層である第1層配線と、さらにその上に第2層配線を形成する。
第1層配線の一部は、信号Sig1を供給するためのSig1配線512であり、また、一部は信号Sig2を供給するためのSig2配線513である。さらに、第2層配線の一部はVDDを供給するためのVDD配線511であり、また、一部は信号INを入力するためのIN配線514である。図12(A)には上方に接続するためのコンタクトホールの位置も示す。なお、単結晶半導体ウェハを用いた回路では、VSSは半導体ウェハに接続するとよい。
また、その上層には、図12(B)に示すように、第3層配線が設けられ、その一部はコンタクトホールを介して第2層配線の一部と接続し、信号OUTを出力するためのOUT配線515となる。また、第3層配線の一部は第1キャパシタ電極516となる。
第1キャパシタ電極516は、コンタクトホールを介して第2層配線の一部(インバータのいずれかの入力あるいは出力)と接続する。また、第1キャパシタ電極516は、図11のキャパシタ505に相当する素子の電極の一部となる。
第3層配線の上には、キャパシタ誘電体の膜と、その上に第4層配線を形成する。図12(C)に示すように、第4層配線の一部は第2キャパシタ電極517となり、図11のキャパシタ505に相当する素子の電極の一部となる。第2キャパシタ電極517の形状は、第1キャパシタ電極516と概略同じとするとよい。
また、第2キャパシタ電極517と接続するコンタクトホール等を介して、第5層配線を形成する。図12(D)に示すように、第5層配線の一部はドレイン電極518となる。さらに、第5層配線の上に、半導体膜(本実施の形態では半導体として酸化物半導体を用いる)とゲート絶縁物膜、さらに膜状のゲート電極となる第6層配線を形成する。半導体膜、ゲート絶縁物膜、第6層配線は複数の記憶素子を覆う。詳細については後述する。
図13には、図12の一点鎖線I−Jに沿った記憶素子500の断面構造を模式的に示す。なお、ハッチングが図12と同じ場合には、図13においても同じものを指し示すものとする。
図13(A)は、図12(B)の段階(第3層配線を積層した段階)での断面構造を示す。半導体ウェハ表面に素子分離絶縁物521、n型領域、p型領域さらには、第1層配線、第2層配線で回路が形成される。n型領域、p型領域、第1層配線と第2層配線との間には、層間絶縁物522が設けられ、それらの間に電気的な接続が必要な場合にはコンタクトプラグ523が設けられる。さらに上層には、第1キャパシタ電極516が埋め込み絶縁物524に埋め込まれた状態で設けられる。
図13(B)は、第6層配線まで積層した段階での断面構造を示す。図13(A)で説明した構造物の上に、さらに誘電体520、第4層配線(第2キャパシタ電極517等)を形成する。さらに、層間絶縁物526を形成し、第2キャパシタ電極517に接続するコンタクトプラグを設けた後、これに接続するドレイン電極518を設ける。ドレイン電極518は埋め込み絶縁物527に埋め込まれた状態で設けられる。
さらに、それらの上に半導体膜528、ゲート絶縁物529、第6層配線519を形成する。第6層配線519はその多くの部分がゲート電極として機能する。ここで、半導体膜528の厚さは1nm乃至30nm、好ましくは1nm乃至10nm、ゲート絶縁物525の厚さは2nm乃至30nm、好ましくは5nm乃至10nmとするとよい。
また、特許文献8のように、半導体膜528に接して適切な1つあるいは複数の仕事関数が大きな材料(仕事関数が半導体膜528の電子親和力より1電子ボルト以上大きい材料)が接するように構成してもよい。このようにすると、半導体膜528を空乏化することができ、オフ抵抗を高める上で効果がある。
特に本実施の形態では、半導体膜528が広い領域に存在するため、ドレイン電極518の周囲を取り囲むように、仕事関数が大きな材料が半導体膜528に環状に接するような構造にしてもよい。
なお、以上の記載ではソース線あるいはソース電極については何ら述べられていないが、それは、それらが1つの記憶素子からは十分に離れた場所に設けられているからである。図14を用いて、ソース線について説明する。図14(A)にはドレイン電極518、半導体膜528、ソース線530の位置関係を示す。
図14(A)に示すように、有限の大きさを有する半導体膜528の端部から十分に離れた部分に複数の(図では256個の)ドレイン電極518が設けられる。個々のドレイン電極518には、上述の通り、キャパシタやフリップフロップ回路が接続されている。半導体膜528の大きさは、例えば、10μm角乃至1mm角とできる。
ドレイン電極518間の距離は、記憶素子500の間隔でもあるが、同時にトランジスタのオフ特性を維持できるだけの距離であることが好ましく、いわゆる短チャネル効果を防止できる距離より大きくすることが求められる。例えば、0.1μm以上、好ましく0.3μm以上とすればよいが、これに限らない。
なお、ドレイン電極518間の距離を大きくするには、図14(A)に示すような正方格子ではなく、図14(B)に示すような三角格子とするとよい。同じ格子密度で、三角格子では、ドレイン電極518間の距離を正方格子の約1.16倍とできる。なお、この場合、ドレイン電極518のみを三角格子とすればよく、その下のフリップフロップ回路の配置を変更する必要はない。
ソース線530は、半導体膜528の周辺部に設けられる。図14(A)ではソース線530は半導体膜528の端部を含まないが、もちろん、端部を含んでもよい。また、図14(A)ではソース線530は半導体膜528の周囲を囲むように閉じた形状に形成されるが、その一部に開放された部分があってもよい。
上記のような形状および配置のソース電極、ドレイン電極を有するトランジスタのオン電流は、チャネルが正方形のトランジスタと同程度である。なお、本実施の形態では、ソース線530はドレイン電極518と同一工程同一配線層で形成されるが、別工程で形成されてもよいし、別の配線材料で形成されてもよい。
図14(C)に図14(A)中の一点鎖線K−Lに沿った断面を示す。ソース線530とドレイン電極518の距離xは、半導体膜528のエッチング等により端部の特性が劣化していることから、例えば、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上とするとよいが、これに限られない。距離xは端部の劣化の度合いと半導体メモリ装置に要求される特性に応じて決定すればよい。
第6層配線519のほとんどの部分はゲート電極として機能するが、この場合、複数のドレイン電極が1つのゲート電極で制御される。これが本実施の形態の記憶素子の特徴である。詳細については後述する。
次いで、図11(A)に示す記憶素子の動作の一例について説明する。なお、以下の説明以外の方法で記憶素子を動作させることもできる。また、以下の操作に伴う電位の変動は図3で説明されたものと同様である。図3のビット線105を第1のノードN1、ストレージノードSNを第3のノードN3と読み替えればよい。
まず、データの書き込み時において、スイッチング素子503はオン、スイッチング素子504はオフ、キャパシタ用スイッチング素子506はオフとする。そして、VDDを+1V、VSSを0Vとする。
記憶素子500に与えられる信号INの電位は、スイッチング素子503を介して第1の位相反転素子501の入力端子に与えられるので、第1の位相反転素子501の出力端子は、信号INの電位の位相が反転した電位になる。そして、スイッチング素子504をオンにし、第1の位相反転素子501の入力端子と第2の位相反転素子502の出力端子とを接続することで、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502にデータが書き込まれる。
次いで、入力されたデータの保持を、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502によっておこなう場合、スイッチング素子504をオン、キャパシタ用スイッチング素子506をオフの状態にしたままで、スイッチング素子503をオフにする。スイッチング素子503をオフにすることで、入力されたデータは、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502によって保持される。このとき、VDDとVSS間に上記電源電圧が印加されている状態を維持する。
そして、第1の位相反転素子501の出力端子の電位には、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502によって保持されているデータが反映されている。よって、上記電位を読み取ることで、データを記憶素子500から読み出すことができる。
なお、データの保持時における消費電力を削減するために、入力されたデータの保持を、キャパシタ505においておこなう場合、まず、スイッチング素子503はオフ、スイッチング素子504はオンとしたまま、キャパシタ用スイッチング素子506はオンとする。そして、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502によって保持されているデータの値に見合った量の電荷がキャパシタ505に蓄積されることで、キャパシタ505へのデータの書き込みがおこなわれる。
キャパシタ505にデータが記憶された後、キャパシタ用スイッチング素子506をオフにすることで、キャパシタ505に記憶されたデータは保持される。キャパシタ用スイッチング素子506をオフにした後は、VDDとVSSを等電位とする。なお、キャパシタ505にデータが記憶された後は、スイッチング素子504をオフにしてもよい。
また、キャパシタ用スイッチング素子506に用いられているトランジスタは、高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いているので、そのオフ電流密度を、100zA/μm以下、好ましくは10zA/μm以下、より好ましくは1zA/μm以下にすることができる。その結果、上記トランジスタを用いたキャパシタ用スイッチング素子506がオフである時、キャパシタ505に蓄積された電荷は殆ど放電しないため、データは保持される。
次に、キャパシタ505に記憶されているデータを読み出す場合について説明する。まず、スイッチング素子503をオフとする。また、第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502も不活性な状態とする。例えば、VDDとVSSに共に、+0.5Vの電位を与えておくと良い。
そして、第1のノードN1と第2のノードN2も電位を+0.5Vにする。このときスイッチング素子504はオンでもオフでも良い。第1のノードN1の電位が+0.5Vであるので、第3のノードN3の電位は書き込まれたデータに応じて+0.5Vあるいは+1.5Vのいずれかとなる。また、VCCは+1Vとする。
次に、キャパシタ用スイッチング素子506をオンとすると、第3のノードN3の電位は+1Vとなる。このとき、キャパシタ505の一方の電極(キャパシタ用スイッチング素子506側の電極)の電位が変動することにより、他方の電極の電位も変動する。例えば、当初、第3のノードN3の電位が+0.5Vであったのであれば、キャパシタ用スイッチング素子506をオンとすることにより、第3のノードN3の電位は上昇するので、キャパシタ505の他方の電極(すなわち、第1のノードN1)の電位は上昇する方向となる。逆に、当初、第3のノードN3の電位が+1.5Vであったのであれば、第3のノードN3の電位は下降するので、キャパシタ505の他方の電極の電位は下降する方向となる。
電位の上昇や下降の程度は、キャパシタ505の容量と、第1のノードN1の寄生容量を含む容量との比率で決定される。ここでは、寄生容量を含む容量がキャパシタ505の容量の4倍とする。すると、第1のノードN1の電位は+0.6Vか+0.4Vとなる。すなわち、書き込み時の第1のノードN1の電位が+1Vであれば、+0.6Vとなり、書き込み時の第1のノードN1の電位が0Vであれば、+0.4Vとなる。
このとき、キャパシタ用スイッチング素子506をオンとするため、キャパシタ用スイッチング素子506のゲート容量が回路に追加されるが、キャパシタ505が間に存在するため、その容量がいかに大きくても、直接、第1のノードN1の電位がキャパシタ用スイッチング素子506のゲート電位により変動することはない。
すなわち、キャパシタ用スイッチング素子506のゲート容量や、ゲートの電位の影響を受けずに第1のノードN1の電位が決定される。そのため、キャパシタ505の容量はキャパシタ用スイッチング素子506のゲート容量よりも小さくても良い。
その後、VDDに+1Vを与え、VSSに0Vを与えることで、VDDとVSS間に電源電圧を印加する。この過程では、スイッチング素子504をオンとすることが好ましい。この結果、第1のノードN1と第2のノードN2の電位差が増幅される。すなわち、この過程の前に第1のノードN1の電位が+0.6Vであれば、この過程で第1のノードN1の電位は+1Vとなり、第2のノードN2の電位は0Vとなる。また、この過程の前に第1のノードN1の電位が+0.4Vであれば、この過程で第1のノードN1の電位は0Vとなり、第2のノードN2の電位は+1Vとなる。すなわち、データを書き込んだときの状態が復元される。
以上では、キャパシタ用スイッチング素子506として、高純度化された酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタを使用する例を示したが、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン等を用いた薄膜トランジスタを用いてもよい。
その場合は、オフ抵抗が、高純度化された酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタより小さくなるので、データを保持する時間は短くなる。しかしながら、定期的にデータを第1の位相反転素子501および第2の位相反転素子502に出力し、その後、データをキャパシタ505に戻す操作を繰り返すこと(リフレッシュ)により、データを保持し続けることができる。
なお、この場合のリフレッシュは、DRAM(あるいはマトリクス型の半導体メモリ装置)の場合のリフレッシュとは異なり、リフレッシュが必要とされる全ての記憶素子において同時におこなうことができる。そのため、全体の記憶素子がリフレッシュに要する時間はDRAM等のマトリクス型の半導体メモリ装置の全てのメモリセルをリフレッシュする場合に比較して極めて短い。
また、このように全ての半導体メモリ装置を同時にリフレッシュできるので、上述のように1つのゲート電極で、ある一定の領域にあるトランジスタ(ドレイン電極518)全てを制御することも可能となる。
なお、電源の停止と回復という操作は、論理回路のクロックに比較すると極めて遅い動きでもよい。すなわち、スイッチング時間は100μ秒以下であれば十分であり、場合によっては、1m秒あるいはそれ以上でもよい。なぜなら、各記憶素子のフリップフロップ回路に保持されていたデータをキャパシタに移す過程あるいは復旧の過程は上述のように全ての記憶素子で同時におこなうことができるからである。そのような低速動作であれば、半導体の移動度は1cm2/Vs以上であればよい。
一般に、スイッチングに要する時間τonとデータを保持する時間τoffとの間には、τoff/τon〜(トランジスタのオン電流)/(トランジスタのオフ電流)/100、という関係がある。したがって、オン電流がオフ電流の106倍であれば、τoff/τonは104程度である。
この場合、例えば、キャパシタ用スイッチング素子がキャパシタに電荷を取り込むのに要する時間として100μ秒必要であれば、そのキャパシタとキャパシタ用スイッチング素子は1秒間データを保持できる。もし、データを保持する期間が1秒を超える場合には、保持したデータを位相反転素子に戻して、増幅し、その後、再び、キャパシタに取り込むリフレッシュ操作を1秒ごとに繰り返せばよい。
また、キャパシタに関しても、容量が大きい方が、データを回復する際のエラーが発生しにくい。一方で、容量が大きいと、キャパシタとキャパシタ用スイッチング素子とで構成される回路の応答速度が低下する。しかしながら、上述のように、電源の停止と回復という操作は、論理回路のクロック等に比較すると極めて遅い動きでもよいので、容量が1pF以下であれば何ら妨げとなるものではない。
なお、DRAMに見られるように、一般にキャパシタの容量を大きくする場合には、キャパシタを形成することが困難となる。しかしながら、本実施の形態でキャパシタが形成されるのは、レジスタ(あるいはSRAM等)の上であり、その回路の占有する面積は50F2以上であり、通常は100F2乃至150F2である。
したがって、本実施の形態では、キャパシタは、面積が50F2以上の領域上に形成すればよいので、面積が8F2以下の領域にキャパシタを形成するDRAMに比べると十分に容易に形成され、特殊な作製方法が要求されないプレーナ型のキャパシタでもよい。
また、配線の寄生容量の影響も小さいので、容量層スイッチング素子のオフ特性が十分であれば、キャパシタの容量はDRAMで使用されるもの(約30fF)より十分に小さくてもよい。
なお、位相反転素子からキャパシタに電荷を移す際に、電荷の移動が急激に起こると、位相反転素子の安定性が損なわれ、位相反転素子に保持されていたデータが破壊されてしまうことがある。この際には、キャパシタには誤ったデータが保持されることとなる。
このような問題点を避けるためには、キャパシタ用スイッチング素子のオン電流をある程度低くするとよい。上記のように、移動度が10cm2/Vs以下のトランジスタはこの目的に適している。
本実施の形態によって、データをキャパシタに退避させて保持でき、記憶素子の電源を停止できるので、記憶素子内の位相反転素子に用いるトランジスタのしきい値を低くしてもよい。すなわち、高速かつ省電力な記憶素子となる。
なお、上記構成においては、位相反転素子にキャパシタの一方の電極が接続し、他方の電極にキャパシタ用スイッチング素子が接続するという構成を有する。この構成では、キャパシタ用スイッチング素子をオンとしたときのゲート電位が、位相反転素子には及ばないという特徴がある。
そのため、キャパシタ用スイッチング素子が長チャネルで、そのため、そのゲート容量がキャパシタよりも大きくても、位相反転素子のノードには、キャパシタ用スイッチング素子のゲートの電位の変動が及ばない。例えば、キャパシタ用スイッチング素子のゲート容量をキャパシタの容量の5倍以上とすることもできる。
なお、上記の例では、1つのフリップフロップ回路に1つのキャパシタとそれに接続する1つのキャパシタ用スイッチング素子を設ける構成を示したが、これに限られず、例えば、フリップフロップ回路の2つのノード(互いに位相が異なる)のそれぞれに接続するキャパシタとキャパシタ用スイッチング素子を設けてもよい。この場合、例えば、接続するノードとしては、1つのインバータの出力と入力とするとよい。