JP5973106B1 - 電源装置、該電源装置を有する輸送機器、電流値を検出するセンサの状態を判定する判定方法、および該状態を判定するためのプログラム - Google Patents
電源装置、該電源装置を有する輸送機器、電流値を検出するセンサの状態を判定する判定方法、および該状態を判定するためのプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】複数の電流センサの状態を効率的に判定する。【解決手段】電源装置は、第1蓄電部と、第1蓄電部の充放電の第1電流値を検出する第1センサと、第2蓄電部と、第2蓄電部の充放電の第2電流値を検出する第2センサと、第1蓄電部、第2蓄電部と、第1蓄電部と第2蓄電部の少なくとも一方の電力で駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路を制御する制御部を有する回路モジュールを含み、制御部は、第1蓄電部と駆動部の間の充放電における第1電流値と駆動部の第3電流値を比較する操作と、第2蓄電部と駆動部の間の充放電における、第2電流値と第3電流値を比較する操作との少なくとも一方と、第2蓄電部と駆動部に対する第1蓄電部の放電における、第1電流値と第2電流値、第1電流値と第3電流値のそれぞれを比較する操作を行い、第1センサ、第2センサおよび第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定する。【選択図】図6
Description
本発明は、電源装置、該電源装置を有する輸送機器、電流値を検出するセンサの状態を判定する判定方法、および該状態を判定するためのプログラムに関する。
バッテリ側の電流センサの仮故障が検知されたら、コンバータが一定電力を出力するように制御し、その際のバッテリ側の電流センサとリアクトル側の電流センサを比較して、バッテリ側の電流センサの故障を確定する技術が知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2010−057342号公報
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2010−057342号公報
複数の蓄電部のそれぞれの電流センサおよび駆動部側の電流センサの状態を効率的に判定することができないという課題があった。
本発明の第1の態様における電源装置は、第1蓄電部と、第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、第2蓄電部と、第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、第1蓄電部、第2蓄電部と、第1蓄電部と第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路と、充放電回路を制御する制御部を有する回路モジュールを含み、制御部は、駆動部に対する第1蓄電部および第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を取得し、第1蓄電部と駆動部の間の充放電における、第1電流値と第3電流値を比較する第1操作と、第2蓄電部と駆動部の間の充放電における、第2電流値と第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方と、第2蓄電部と駆動部に対する第1蓄電部の同時放電における、第1電流値と第2電流値、第1電流値と第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行い、第1操作と第2操作の少なくとも一方と、第3操作によって第1センサ、第2センサおよび第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定する。
本発明の第2の態様における輸送機器は、上記の電源装置を有する。
本発明の第3の態様における方法は、第1蓄電部と、第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、第2蓄電部と、第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、第1蓄電部、第2蓄電部と、第1蓄電部と第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路とを備える電源装置において、第1センサ、第2センサ、および、駆動部に対する第1蓄電部および第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定する方法であって、第1蓄電部と駆動部の間の充放電における、第1電流値と第3電流値を比較する第1操作と、第2蓄電部と駆動部の間の充放電における、第2電流値と第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方を行うステップと、第2蓄電部と駆動部に対する第1蓄電部の同時放電における、第1電流値と第2電流値、第1電流値と第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行うステップと、第1操作と第2操作の少なくとも一方と、第3操作によって第1センサ、第2センサおよび第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するステップとを含む。
本発明の第4の態様におけるプログラムは、第1蓄電部と、第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、第2蓄電部と、第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、第1蓄電部、第2蓄電部と、第1蓄電部と第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路とを含む電源装置において、第1センサ、第2センサ、および、駆動部に対する第1蓄電部および第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するためのプログラムであって、第1蓄電部と駆動部の間の充放電における、第1電流値と第3電流値を比較する第1操作と、第2蓄電部と駆動部の間の充放電における、第2電流値と第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方を行うステップと、第2蓄電部と駆動部に対する第1蓄電部の同時放電における、第1電流値と第2電流値、第1電流値と第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行うステップと、第1操作と第2操作の少なくとも一方と、第3操作によって第1センサ、第2センサおよび第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するステップとをコンピュータに実行させる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係る輸送機器10のブロック図である。本実施形態に係る輸送機器は、例えば電動自動車である。以下においては、本実施形態に係る蓄電装置100が電動自動車に搭載されて利用される場合を想定して説明する。なお、蓄電装置100は、電源装置の一例である。
輸送機器10は、搭載された蓄電装置100から供給される駆動電力を、駆動モジュール140が備えるパワードライブユニットであるPDU141が受け、PDU141がモータジェネレータ(MG144)を回転駆動させることにより走行する。
PDU141は、蓄電装置100と、主正母線MPLおよび主負母線MNLとで接続されている。平滑コンデンサCは、主正母線MPLと主負母線MNLとの間に接続されており、導通する電力の高周波成分を低減する。駆動モジュール140が備える第3電圧センサ142は、主正母線MPLと主負母線MNLとの間の電圧Vhを検出し、検出された電圧Vhは、PDU141の制御に利用される。駆動モジュール140が備えるPDU側電流センサ143は、PDU141に対して入出力される電流I3を検出し、検出値をPDU141へ出力する。このように、PDU側電流センサ143は、MG144が充放電する電流の値である第3電流値を検出する。PDU側電流センサ143による電流の検出値は、PDU141の制御に利用される。
PDU141は、主正母線MPLおよび主負母線MNLから供給される駆動電力(直流電力)を交流電力に変換してMG144へ出力する。MG144は、例えば、三相交流回転電機を含む。MG144は、動力伝達機構および駆動軸を介して車輪を回転させる。また、PDU141は、車輪の減速時においてMG144が発電する交流電力を直流電力に変換し、回生電力として主正母線MPLおよび主負母線MNLへ出力する。
蓄電装置100が備える第1蓄電池111および第2蓄電池121は、MG144が発電する回生電力と、外部電源153からの外部電力とによって充電される。また、第1蓄電池111と第2蓄電池121の少なくとも一方の電力は、MG144を駆動する駆動電力としてPDU141に供給される。
充電コンバータ151は、主正母線MPLおよび主負母線MNLと受電部152との間に設けられる。そして、充電コンバータ151は、受電部152を介して外部電源153(例えば家庭用AC電源)から供給される交流電力を直流電力に変換して主正母線MPLおよび主負母線MNLへ出力する。受電部152は、外部電源153から供給される交流電力を入力するための入力端子である。なお、充電コンバータ151は、主正母線MPLおよび主負母線MNLに代えて、あるいは追加して、正極線PL1および負極線NL1に接続されていても良く、正極線PL2および負極線NL2に接続されていても良い。
蓄電装置100は、第1蓄電モジュール101、第2蓄電モジュール102および充放電回路モジュール103を含む。第1蓄電モジュール101は、第1蓄電池111、第1電圧センサ112、第1電流センサ113、および第1スイッチ114を有する。第2蓄電モジュール102は、第1蓄電モジュール101と同様の構成であり、第2蓄電池121、第2電圧センサ122、第2電流センサ123、および第2スイッチ124を有する。充放電回路モジュール103は、第1蓄電池111と第2蓄電池121の間の充放電を担う。充放電回路モジュール103は、制御部としての電池ECU130と、充放電回路として機能しうる第1VCU131、第2VCU132、および第3スイッチ133とを有する。
本実施形態において第1蓄電部として機能する第1蓄電池111、および第2蓄電部として機能する第2蓄電池121は、充放電可能な直流電源であり、たとえば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池、リチウム硫黄電池などの二次電池を含む。他にも、コンデンサ、キャパシタなどの充放電が可能な素子であっても良い。ただし、第1蓄電池111と第2蓄電池121は、互いに特性が異なる電池である。具体的には、第1蓄電池111は第2蓄電池121より単位質量あたりの貯蔵電力である質量エネルギー密度が大きい、いわゆる高容量型バッテリである。一方、第2蓄電池121は第1蓄電池111より単位質量あたりの出力電力である質量出力密度が大きい、いわゆる高出力型バッテリである。第2蓄電池121は第1蓄電池111より単位容積あたりの出力電力である容積出力密度が大きくて良く、第1蓄電池111は第2蓄電池121より単位容積あたりの貯蔵電力である容積エネルギー密度が大きくて良い。このように、単位質量または単位容積あたりに第2蓄電池121から取り出せる電力は、単位質量または単位容積あたりに第1蓄電池111から取り出せる電力より大きい。一方、単位質量または単位容積あたりに第1蓄電池111が貯蔵できる電力は、単位質量または単位容積あたりに第2蓄電池121が貯蔵できる電力より大きい。このように、第2蓄電池121は、第1蓄電池111と比して、エネルギー密度が劣り、出力密度が優れる。また、第1蓄電池111は、第2蓄電池121と比して、大きい電池容量を有する。
第1蓄電池111は、正極線PL1および負極線NL1を介して第1VCU131に接続されている。第1電圧センサ112は、正極線PL1と負極線NL1との間の電圧すなわち第1蓄電池111の電圧V1を検出し、その検出値を電池ECU130へ出力する。第1電流センサ113は、第1蓄電池111に対して入出力される電流I1を検出し、その検出値を電池ECU130へ出力する。このように、第1電流センサ113は、第1蓄電池111が充放電する電流の値である第1電流値を検出する。
第1スイッチ114は、正極線PL1と負極線NL1の電路を開閉するスイッチであり、電池ECU130からの開閉指示信号CW1を受けて、開状態と閉状態を切り替える。
第2蓄電池121は、正極線PL2および負極線NL2を介して第2VCU132に接続されている。第2電圧センサ122は、正極線PL2と負極線NL2との間の電圧すなわち第2蓄電池121の電圧V2を検出し、その検出値を電池ECU130へ出力する。第2電流センサ123は、第2蓄電池121に対して入出力される電流I2を検出し、その検出値を電池ECU130へ出力する。このように、第2電流センサ123は、第2蓄電池121が充放電する電流の値である第2電流値を検出する。
第2スイッチ124は、正極線PL2と負極線NL2の電路を開閉するスイッチであり、電池ECU130からの開閉指示信号CW2を受けて、開状態と閉状態を切り替える。
なお、第1電流センサ113および第2電流センサ123は、それぞれ対応する蓄電池から出力される電流(放電電流)を正値として検出し、入力される電流(充電電流および回生電流)を負値として検出する。図1では、それぞれ正極線の電流を検出する構成として示すが、負極線の電流を検出するように構成しても良い。
第1VCU131は、正極線PL1および負極線NL1と、接続正極線BPLおよび接続負極線BNLとの間に設けられ、電池ECU130からの制御信号CV1を受けて、正極線PL1および負極線NL1と、接続正極線BPLおよび接続負極線BNLとの間で電圧変換を行う。第2VCU132は、正極線PL2および負極線NL2と、接続正極線BPLおよび接続負極線BNLとの間に設けられ、電池ECU130からの制御信号CV2を受けて、正極線PL2および負極線NL2と、接続正極線BPLおよび接続負極線BNLとの間で電圧変換を行う。
接続正極線BPLは、主正母線MPLと接続され、接続負極線BNLは、主負母線MNLに接続される。その接続部には、第3スイッチ133が設けられている。第3スイッチ133は、接続正極線BPLと主正母線MPL、および接続負極線BNLと主負母線MNLの電路を開閉するスイッチであり、電池ECU130からの開閉指示信号CW3を受けて、開状態と閉状態を切り替える。
以上の構成においては、第1スイッチ114と第3スイッチ133を閉状態、第2スイッチ124を開状態とした場合には、第1蓄電池111の電力がPDU141へ供給される。また、第2スイッチ124と第3スイッチ133を閉状態、第1スイッチ114を開状態とした場合には、第2蓄電池121の電力がPDU141へ供給される。また、第1スイッチ114と第2スイッチ124と第3スイッチ133を閉状態とした場合には、第1蓄電池111の電力と第2蓄電池121の電力が共にPDU141へ供給される。ただし、第1蓄電池111の電力と第2蓄電池121の電力を共にPDU141へ供給する場合には、供給電圧が同じになるように、第1VCU131および第2VCU132によって電圧変換が成される。なお、PDU141から回生電力が供給される場合、または外部電源153から外部電力が供給される場合には、電力の流れは上記の各場合における逆向きとなる。
また、本実施形態においては、それぞれの蓄電池に電圧変換ユニットであるVCUを設けるいわゆる2VCU方式を採用するが、一方の蓄電池の出力電圧に対して他方の蓄電池の出力電圧を調整する観点からは、いずれかに一つのVCUを設けるいわゆる1VCU方式を採用しても良い。1VCU方式であれば、VCUを設置するスペースの削減に寄与する。また、コストの削減、重量の削減にも寄与する。この場合には、PDU141へ供給される電圧は、VCUが設けられない蓄電池の出力電圧となるが、この制約が不都合である場合には2VCU方式を採用すれば良い。
なお、コンバータは、大別すると昇圧型、降圧型、昇降圧型に分類されるが、第1VCU131、第2VCU132は、いずれの型のコンバータも採用し得る。また、第1VCU131、第2VCU132に採用するコンバータの型を異ならせても良い。第1蓄電池111および第2蓄電池121とコンバータの型を適宜組み合わせることにより、要求仕様を満たす全体としてあたかも一つのバッテリとして利用することができる。
第1スイッチ114と第2スイッチ124を閉状態、第3スイッチ133を開状態とした場合には、第1蓄電池111と第2蓄電池121の間で充放電が行われる。この蓄電池部間充放電は、電池ECU130からの制御信号CV1によって決定される第1VCU131の変換電圧値と、制御信号CV2によって決定される第2VCU132の変換電圧値との差に応じて、電力の流れが定まる。したがって、電池ECU130は、変換電圧値を指示する制御信号CV1およびCV2をそれぞれのVCUに送信することにより、どちらの蓄電池を電力の供給側とし、どちらの蓄電池を電力の受容側とするか制御することができる。なお、第1VCU131と第2VCU132の一方のハイサイドスイッチを「閉」かつローサイドスイッチを「開」に固定することで電圧変換を停止し、蓄電池の出力電圧をそのまま出力するいわゆる直結モードで制御して、他方の変換電圧値を変更するように制御しても良い。このとき、電池ECU130は、V1とI1を監視すれば、第1蓄電池111における充放電量を把握することができ、V2とI2を監視すれば、第2蓄電池121における充放電量を把握することができる。
電池ECU130の動作について更に説明する。電池ECU130は、充放電回路モジュール103の各部、第1蓄電モジュール101および第2蓄電モジュール102を制御する。また、電池ECU130は、第1スイッチ114、第2スイッチ124、第3スイッチ133を状況に応じて開閉すべく、開閉指示信号CW1、CW2、CW3をそれぞれに向けて送信する。また、電池ECU130は、第1VCU131、第2VCU132の変換電圧を調整すべく、制御信号CV1、CV2をそれぞれに向けて送信する。
電池ECU130は、第1電流センサ113からI1を取得する。また、電池ECU130は、第2電流センサ123からI2を取得する。また、電池ECU130は、CANを通じてPDU141と通信する。電池ECU130は、PDU側電流センサ143により検出されたI3を、CANを通じてPDU141から取得する。また、電池ECU130は、取得したI1、I2およびI3に基づいて、第1VCU131、第2VCU132を制御する。また、電池ECU130は、取得したI1およびI2に基づいて、第1蓄電池111のSOCおよび第2蓄電池121のSOCを算出する。また、電池ECU130は、取得したI1、I2およびI3に基づいて、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも1つの状態を判定する。
具体的には、電池ECU130は、第1蓄電池111とMG144の間の充放電における、I1とI3を比較する第1操作と、第2蓄電池121とMG144の間の充放電における、I2とI3を比較する第2操作との少なくとも一方を行うことが可能である。また、電池ECU130は、第2蓄電池121とMG144に対する第1蓄電池111の同時放電における、I1とI2、I1とI3のそれぞれを比較する第3操作を行うことが可能である。そして、電池ECU130は、第1操作と第2操作の少なくとも一方と、第3操作によって、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも1つの状態を判定する。電池ECU130によれば、第2蓄電池121とMG144に対する第1蓄電池111の同時放電時の電流値を用いて比較するので、電流センサの状態を効率的に検出できる。さらに、第1〜第3操作はいずれもMG144に対する充放電を含むため、駆動モジュール140によって駆動する、例えば車両の走行中においても、電流センサの状態を検出できる。
なお、駆動モジュール140は、MG144に対する要求電力を出力する。電池ECU130は、第3操作においては、第1蓄電池111が要求電力に依存せずに一定電力を出力し、第2蓄電池121が一定電力と要求電力の差分で充電されるよう、第1VCU131および第2VCU132の少なくとも一方を制御する。これにより、要求電力が一定電力をより小さい場合、第2蓄電池121とMG144に対する、第1蓄電池111の同時放電が生じる。
第3操作において、第1電流センサ113は、第1蓄電池111が出力する一定電力を検出する。また、第3操作において、電池ECU130は、I1のうち要求電力に相当する値とI3、I1のうち一定電力と要求電力の差分に相当する値とI2のそれぞれを比較する。
なお、電池ECU130は、第2蓄電池121のSOCを取得する。電池ECU130は、第2蓄電池121のSOCに基づいて、一定電力を設定してよい。電池ECU130は、第2蓄電池121のSOCが小さいほど一定電力が大きくなるように設定してよい。
なお、電池ECU130は、第1操作および第2操作の少なくとも一方と第3操作とにおいて比較される電流値が、等価又は相関関係を有するか否かを判定する。ここで、相関関係は、電流値が比較される電流センサの間における第1VCU131および第2VCU132の昇降圧率に基づいてよい。これにより、電池ECU130は、充放電経路中に電圧変換回路が存在する場合でも、電圧変換回路による昇降圧率を考慮して、各電流センサの電流値の相関関係を有するか否かを適切に判定できる。
なお、電池ECU130は一種のコンピュータである。電池ECU130は、例えばMPUによって構成され、例えばMPUの内部記憶部に格納されたプログラムを実行し、当該プログラムに従って蓄電装置100の全体を制御する。電池ECU130により実行されるプログラムは、記録媒体190から、蓄電装置100内の電池ECU130に供給される。なお、記録媒体190は、コンピュータにより読み出し可能な媒体の一例である。電池ECU130内においてプログラムまたはコンピュータ命令が格納される任意の媒体を、電池ECU130用のプログラムを格納する媒体とみなすことができる。
上記のように、本実施形態における蓄電装置100は、互いに特性が異なる2つの蓄電池を備える。互いに特性が異なる複数の蓄電池を用いるシステムは、それぞれの蓄電池の特性や状態に応じて、要求される電力の供給に対してどのように応えるか、細かく制御する必要がある。そこでまず、単一の蓄電池を用いた場合による電力出力と、特性が異なる複数の蓄電池を用いた場合による電力出力の違いについて説明する。
図2は、単一の蓄電池を用いた場合による電力出力と、特性が異なる2つの蓄電池を用いた場合による電力出力とを比較するための図である。横軸は時間経過を表わし、縦軸は電力出力を表わす。電力出力が負の領域は、例えば回生電力によって電力受容がなされることを表わす。
実線で示されるSBは、蓄電装置が一つの蓄電池によって構成される場合の、出力電力の変化を表わす。蓄電装置が一つの蓄電池のみを備える場合には、負荷側から要求される電力をその能力の範囲において要求されるままに出力し、入力される電力をそのまま受け入れる。したがって、短時間で大きな出入力を行う場合もあり、蓄電池が急激に劣化するなどの問題もある。
蓄電装置が特性の異なる2つの蓄電池によって構成される場合には、それぞれの特性に応じて出入力を分担することができる。点線で表わされるOBは、高出力型バッテリの出力電力の変化を表わし、二重線で表わされるVBは、高容量型バッテリの出力電力の変化を表わしている。各時間において、OBの値とVBの値を足し合わせるとSBの値となる。すなわち、負荷側から要求される電力を、高容量型バッテリと高容量型バッテリで分担している様子を表わしている。
一般的に高容量型バッテリは、高出入力および出入力の瞬間的な変動に対して劣化が進行するので、劣化の進行が抑制される範囲で出入力が行われるように制御されることが好ましい。したがって、OBとVBの変化からわかるように、負荷側から大きな出入力が要求される場合には、原則として高出力型バッテリ(OB)が担い、高出力型バッテリでも応えられない場合に、高容量型バッテリ(VB)が補助する制御が行われる。また、高容量型バッテリは、あまり高くない値で継続的に出力する場合に適しており、この場合は、高出力型バッテリの出力は抑えられる。また、高容量型バッテリは高いレートの充電に相当する回生電力を受け入れた場合に劣化しやすいという特性を有するので、回生電力はできる限り高出力型バッテリで受け入れる制御が行われる。なお、回生電力が高出力型バッテリで受け入れられる容量を上回る場合には、高容量型バッテリで受入れる以外に、ブレーキを動作させて回生電力の発生を低減しても良い。この場合、高容量型バッテリの劣化を抑制できる。
また、高容量型バッテリと高出力型バッテリは、それぞれSOCに基づく劣化影響度も大きく異なる。高容量型バッテリは、SOCが変動しても、劣化影響度が大きく変動することはない。換言すれば、SOCがいかなる値であっても劣化の進行に大きな影響を与えることはない。一方、高出力型バッテリは、SOCが変動すると、劣化影響度もその値に応じて大きく変動する。より詳述すると、SOCが30〜70%の中央域では、高出力型バッテリの劣化影響度は小さいが、この中央域から離れるに従って、劣化影響度は大きくなる。すなわち、中央域から離れるほど劣化が進む。したがって、高容量型バッテリのSOCが、0〜30%の低域や70〜100%の高域に属さないように、高容量型バッテリと高出力型バッテリの充放電量を調整することが好ましい。
このように特性の異なる複数の蓄電池を利用することにより、それぞれの蓄電池の劣化を抑制しつつ、負荷側からのさまざまな出力要求に応えることができる。そのためには、それぞれの蓄電池が充放電する電流および蓄電池と駆動モジュールとの間を流れる電流を正確に把握する必要がある。しかし、電流センサが故障すると、制御精度が低下したり、蓄電池の劣化が促進するおそれがある。したがって、各電流センサの状態を正確に検出する必要がある。なお、本実施形態において、「電流センサの故障」とは、電流センサの機能が正常に働かなくなることを意味する。例えば、電流センサの故障とは、上貼り付き故障、中間張り付き故障や下張り付き故障などにより、例えば電流センサの精度が低下することや、異常値を検出することや電流センサに動作不良が生じることを含む概念である。
そこで、輸送機器10における第1電流センサ113、第2電流センサ123及び第3PDU側電流センサ143の状態を検出するための動作を、第1蓄電池111、第2蓄電池121およびPDU141の間における電荷の授受パターン毎に説明する。
図3は、第1蓄電池111と第2蓄電池121との間でのみ電荷の授受が行われている状態を示す図である。この電荷の授受パターンを、パターン1と呼ぶ場合がある。図3は特に、第1蓄電池111が放電し、第2蓄電池121が充電している状態を示す。
ここで、第1VCU131の電圧変換比の逆数をβ1、第2VCU132の電圧変換比の逆数をβ2、第1電流センサ113で検出される電流値である第1電流値をI1、第2電流センサ123で検出される電流値である第2電流値をI2とする。もし、I2=β1×β2×I1である場合は、第1電流センサ113および第2電流センサ123がいずれも正常であると判断できる。一方、I2≠β1×β2×I1である場合は、第1電流センサ113および第2電流センサ123の少なくとも一方が故障していると判断できる。
なお、第1電流センサ113および第2電流センサ123が共に正常な場合でも、実際には導通損などによりI2とβ1×β2×I1とが厳密には一致しない場合がある。そのため、I2とβ1×β2×I1とが若干の誤差を許容した等価又は相関関係にあれば、第1電流センサ113および第2電流センサ123がいずれも正常であると判断する。例えば、I2とβ1×β2×I1との差が予め定められた値より小さい場合は、第1電流センサ113および第2電流センサ123がいずれも正常であると判断する。本実施形態において等号または不等号を含む式で2つの電流値が比較される場合に、等号は、比較される電流値が若干の誤差を許容した等価又は相関関係にあることを意味し、不等号は、比較される電流値が若干の誤差を許容した等価または相関関係にはないことを意味する。
図4は、第1蓄電池111とPDU141との間でのみ電荷の授受が行われている状態を示す図である。この電荷の授受パターンを、パターン2と呼ぶ場合がある。図4は特に、第1蓄電池111が放電して、第1蓄電池111からの電荷がPDU141に流入している状態を示す。
ここで、PDU側電流センサ143で検出される電流値である第3電流値をI3とする。もし、I3=β1×I1を満たす場合は、第1電流センサ113およびPDU側電流センサ143がいずれも正常であると判断できる。一方、I3≠β1×I1である場合は、第1電流センサ113およびPDU側電流センサ143の少なくとも一方が故障していると判断できる。
図5は、第2蓄電池121とPDU141との間でのみ電荷の授受が行われている状態を示す図である。この電荷の授受パターンを、パターン3と呼ぶ場合がある。図5は特に、第2蓄電池121が放電して、第2蓄電池121からの電荷がPDU141に流入している状態を示す。
もし、I3=β2×I2を満たす場合は、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143がいずれも正常であると判断できる。一方、I3≠β2×I2である場合は、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも一方が故障していると判断できる。
図6は、第1蓄電池111、第2蓄電池121およびPDU141の間で電荷の授受が行われている状態を示す図である。図6は特に、第1蓄電池111が放電して、第1蓄電池111からの電荷がPDU141および第2蓄電池121に流入している状態を示す。この状態では、駆動モジュール140が要求する電力エネルギー以上の電力エネルギーが第1蓄電池111から取り出されて、そのうちの一部が第2蓄電池121に供給される。そのため、この電荷の授受パターンを、第1蓄電池111の強制放電パターンと呼ぶ場合がある。強制放電パターンにおいては、上述したパターン1およびパターン2の両方の電荷授受パターンが生じる。
ここで、第1蓄電池111からの電流がPDU141に分配される割合をαとする。この場合、もし、I3=α×β1×I1を満たす場合は、第1電流センサ113およびPDU側電流センサ143がいずれも正常であると判断できる。一方、I3≠α×β1×I1である場合は、第1電流センサ113およびPDU側電流センサ143の少なくとも一方が故障していると判断できる。また、I2=(1−α)×β1×β2×I1を満たす場合は、第1電流センサ113および第2電流センサ123がいずれも正常であると判断できる。一方、I2≠(1−α)×β1×β2×I1である場合は、第1電流センサ113および第2電流センサ123の少なくとも一方が故障していると判断できる。
図7は、各電流センサの状態と、各電流センサの電流値の判定結果の関係を表すテーブルを示す図である。例えば、図7に示されるように、第1電流センサ113の故障は、パターン1による第1蓄電池111のI1と第2蓄電池121のI2との比較結果、または、I1とPDU141のI3との比較結果により、検出できる。また、第2電流センサ123の故障は、I1とI2との比較結果、または、I2とI3との比較結果により、検出できる。また、PDU側電流センサ143の故障は、I1とI3との比較結果、または、I2とI3との比較結果により、検出できる。
例えば、パターン1の比較においてI2≠β1×β2×I1であった場合について具体的に説明する。この場合、第1電流センサ113および第2電流センサ123の少なくとも一方が故障していると判断できるが、第1電流センサ113および第2電流センサ123のどちらが故障しているか、または、両方が故障しているかまでは、確定できない。しかし、第2電流センサ123が故障しているか否かは、パターン3によっても判断できる。例えばパターン3の比較においてI3=β2×I2であれば、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143が正常であると判断できるので、第1電流センサ113のみが故障していると確定できる。
一方、パターン3の比較においてI3≠β2×I2であった場合は依然として、第1電流センサ113および第2電流センサ123のどちらが故障しているか、または、両方が故障しているかは確定できない。しかし、第1電流センサ113が故障しているか否かは、パターン2によっても判断できる。パターン2の比較により、I3=β1×I1であれば、第1電流センサ113およびPDU側電流センサ143が正常であると判断できるので、第2電流センサ123のみが故障していると確定できる。このように、各電流センサの故障を検出することが可能なパターンが2つ存在するので、1つの電流センサが故障した場合には、その電流センサを特定することができる。
なお、図6に関連して説明した強制放電パターンによれば、パターン1の判定とパターン2の判定とを行うことができる。したがって、強制放電パターンが生じているとき得られる電流値を比較することで、電流センサの状態を効率的に判定することが可能になる。
図8は、強制放電パターンを含む輸送機器10の駆動オペレーションの一例を示す図である。図8には、輸送機器10の速度と、第1蓄電池111のSOCであるSOC1と、第2蓄電池121のSOCであるSOC2が示されている。
第2蓄電池121のSOCが予め定められた閾値SOCthを上回っている場合、電池ECU130は、駆動モジュール140への駆動電力が第2蓄電池121から供給されるように、第2VCU132を制御する。図8に示されるように、輸送機器10の発進時および加速走行時の初期においては、第2蓄電池121のSOCが閾値SOCthを上回っており、かつ、要求電力は第2蓄電池121から出力することが許容される出力許容電力以下である。そのため、電池ECU130は、駆動モジュール140からの要求電力を全て第2蓄電池121から供給するように、第2VCU132を制御する。この場合、上述したパターン3の状態が生じる。電池ECU130は、この状態における第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143のそれぞれからの電流値を取得して、電流センサの状態の判定に用いる。
第2蓄電池121のSOCが閾値SOCth以下になると、電池ECU130は、第1VCU131を制御して、第1蓄電池111から電力の出力を開始させる。この場合、電池ECU130は、第2蓄電池121のSOCに応じた所定値の電力が第1蓄電池111から供給されるように、第1VCU131を制御する。このとき、駆動モジュール140からの要求電力よりも、第1蓄電池111からの所定値の電力が不足する場合、図8に示されるように不足分の電力が第2蓄電池121から出力されるように、第2VCU132を制御する。
図8に示されるように、輸送機器10が定速走行に入り、要求電力が低下すると、第1蓄電池111からの所定値の電力に余剰が生じる。電池ECU130は、この余剰分の電力が第2蓄電池121に供給されるように、第2VCU132を制御する。この場合に、上述した第1蓄電池111の強制放電パターンが生じる。電池ECU130は、この状態における第1電流センサ113、第2電流センサ123及びPDU側電流センサ143からの電流値を取得して、各電流センサの状態を判断に用いる。具体的な判断フローについては、後述する。
図8に示されるように、輸送機器10がパワー加速に入り、要求電力が更に大きくなり、第1蓄電池111からの所定値の電力および第2蓄電池121の出力許容電力の合計を要求電力が超えるようになると、電池ECU130は、第2蓄電池121から出力許容電力が供給されるように第2VCU132を制御するとともに、要求電力に対する更なる不足電力が第1蓄電池111から供給されるように、第1VCU131を制御する。
また、図8に示されるように、輸送機器10の減速時には、MG144で生じた回生電力が駆動モジュール140から蓄電装置100側に出力される。電池ECU130は、回生電力が第2蓄電池121に供給されるように第1VCU131を制御する。第2蓄電池121に入力することが許容される許容入力電力を回生電力が超える場合、電池ECU130は、余剰分の電力が第1蓄電池111に供給されるように、第1VCU131を制御する。
図9は、第1蓄電池111および第2蓄電池121のそれぞれにおける電力の入出力を、第2蓄電池121のSOC毎に示す図である。電池ECU130は、図9に示される情報に基づいて、第1蓄電池111および第2蓄電池121のそれぞれへの入出力電力を決定して、決定した入出力電力が生じるように、第1VCU131および第2VCU132を制御する。
まず、回生電力が生じている場合を説明する。電池ECU130は、第2蓄電池121のSOCに関係なく、回生電力の受け入れ先として、第2蓄電池121を選択する。電池ECU130は、回生電力に応じた量の電力が第2蓄電池121に入力されるように、第2VCU132を制御する。回生電力が大きく、第2蓄電池121の入力許容電力に対して回生電力に余剰分が生じる場合は、電池ECU130は、余剰分が第1蓄電池111に入力されるように、第1VCU131を制御する。
次に、第2蓄電池121のSOCが閾値SOCth以上の場合について説明する。上述したように、駆動モジュール140からの要求電力が第2蓄電池121からの出力許容電力以下であれば、電池ECU130は、要求電力を全て第2蓄電池121から出力するように、第2VCU132を制御する。要求電力が出力許容電力を超える場合は、要求電力に対する不足分の電力が第1蓄電池111から出力されるように、第1VCU131を制御する。
次に、第2蓄電池121のSOCが目標値SOCtg以上かつ閾値SOCth未満の場合について説明する。ここで目標値SOCtgは、閾値SOCthより小さい予め定められた値である。この場合においては、要求電力に対して第1蓄電池111から優先的に供給される。この場合、電池ECU130は、第1蓄電池111からの出力電力が、第2蓄電池121のSOCに応じた所定値になるように、第1VCU131を制御する。この場合に、駆動モジュール140からの要求電力より第1蓄電池111からの所定値の電力が大きくなる場合がある。このとき、電池ECU130は、余剰分の電力が第2蓄電池121に入力されるように、第2VCU132を制御する。この場合に、第1蓄電池111からの強制放電パターンが生じる。したがって、第2蓄電池121のSOCが目標値SOCtg以上かつ閾値SOCth未満の場合、第1蓄電池111からの電流がPDU141に分配される割合αは、第2蓄電池121のSOCと要求電力によって決定される。
一方、第1蓄電池111からの所定値の電力より要求電力が大きい場合は、電池ECU130は、不足分の電力が第2蓄電池121から出力されるように、第2VCU132を制御する。また、上述したように、要求電力が、第1蓄電池111からの所定値の電力と第2蓄電池121の出力許容電力の合計を超える場合は、電池ECU130は、不足分の電力が第1蓄電池111から更に出力されるように、第1VCU131を制御する。
次に、SOCが目標値SOCtg未満の場合について説明する。この場合においては、第2蓄電池121のSOCが目標値SOCtg以上かつ閾値SOCth未満の場合と同様に、要求電力に対して第1蓄電池111から優先的に供給される。この場合、電池ECU130は、第1蓄電池111からの出力電力が一定値になるように、第1VCU131を制御する。この場合に、駆動モジュール140からの要求電力より第1蓄電池111からの一定値の電力が大きくなる場合がある。このとき、電池ECU130は、余剰分の電力が第2蓄電池121に入力されるように、第2VCU132を制御する。この場合にも、第1蓄電池111からの強制放電パターンが生じる。したがって、第2蓄電池121のSOCが目標値未満の場合、αは、第1蓄電池111からの一定値の出力電力と要求電力とによって決定される。
一方、第1蓄電池111からの一定値の電力より要求電力が大きい場合は、電池ECU130は、不足分の電力が第1蓄電池111から出力されるように、第2VCU132を制御する。電池ECU130は、第1蓄電池111から出力することが許容される出力許容電力を要求電力が超える場合に限り、第2蓄電池121から不足分の電力が出力されるように、第2VCU132を制御する。
以上に説明したように、輸送機器10の走行時に、駆動モジュール140からの要求電力と第2蓄電池121のSOCが所定の条件を満たした場合に、上述した第1蓄電池111の強制放電パターンが生じる。電池ECU130は、強制放電パターンが生じている場合の電流センサによる電流の検出値を用いて、電流センサの故障を効率的に判定できる。
図10は、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の状態を判定するまでのフロー図である。本フローは、電池ECU130において定期的に実行されて良い。また、本フローは、輸送機器10の制御部からの指示に基づいて電池ECU130において開始されて良い。
ステップS1001において、電池ECU130は、図5等に関連して説明したパターン3の状態におけるI2およびI3を取得する。ステップS1003において、電池ECU130は、I3≠β2×I2であるか否かを判断する。ステップS1003の判定が偽(NO)の場合、電池ECU130は、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143が正常であると判定する(ステップS1005)。
続いて、ステップS1007において、電池ECU130は、図6等に関連して説明した強制放電パターンの状態におけるI1およびI2を取得する。そして、ステップS1009において、電池ECU130は、(1−α)×β1×β2×I1≠I2であるかを判断する。ステップS1009の判定が偽の場合、電池ECU130は、第1電流センサ113が正常であると判定する(ステップS1011)。そして、ステップS1013において、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の全電流センサが正常であると確定して、本フローを終了する。
ステップS1009における判断が真(YES)の場合、電池ECU130は、第1電流センサ113が故障していると判断する(ステップS1017)。これにより、ステップS1019において、第1電流センサ113のみが故障していると確定して、本フローを終了する。
ステップS1003における判断が真の場合、電池ECU130は、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも一方が故障していると判定する(ステップS1021)。
続いて、ステップS1023において、電池ECU130は、図6等に関連して説明した強制放電パターンの状態におけるI1およびI2を取得する。そして、ステップS1025において、電池ECU130は、(1−α)×β1×β2×I1≠I2であるかを判断する。ステップS1025の判断が偽の場合、電池ECU130は、PDU側電流センサ143が故障していると判定する(ステップS1027)。これにより、ステップS1029において、電池ECU130は、PDU側電流センサ143のみが故障していると確定して、本フローを終了する。
ステップS1025の判断が真の場合、電池ECU130は、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも1つが故障していると判定する(ステップS1031)。そして、ステップS1033において、α×β1×I1≠I3であるかを判断する。ステップS1033の判断が真の場合、電池ECU130は、電池ECU130は、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の少なくとも1つが故障しているとの判定を維持する(ステップS1035)。これにより、電池ECU130は、故障した電流センサが不確定であると判定して、本フローを終了する。なお、ステップS1037において、電池ECU130は、故障した電流センサが不確定である旨を、輸送機器10の制御装置に出力してよい。
ステップS1033の判断が偽の場合、電池ECU130は、第2電流センサ123が故障していると判定する(ステップS1041)。これにより、ステップS1043において、第2電流センサ123が故障していることを確定して、本フローを終了する。
以上に説明したように、輸送機器10によれば、第1蓄電池111が第2蓄電池121およびMG144に対する同時放電時の電流値を用いるので、第1電流センサ113、第2電流センサ123およびPDU側電流センサ143の状態を速やかに検出できる。そのため、各電流センサの状態検出を高頻度に行うことが可能になる。また、各電流センサの状態の検出精度を高めることができる。また、電流センサで検出された電流値の比較に基づいて電流センサの状態を判定するので、電流センサの状態を検出するための特別な回路や手段を要しない。また、特別な充放電パターンを要することなく電流センサの状態を判定できる。そのため、輸送機器10の動作中に、電流センサの状態を判定できる。
なお、輸送機器は、電動自動車に限られない。輸送機器は、電源装置および内燃機関を備えるハイブリッド自動車、電車などの車両であってよい。輸送機器は、車両に限られず、電源装置を備える航空機や船舶など、陸上、空中、水上又は水中を移動して物体を輸送する様々な機器を含む。輸送機器とは、電源装置を備える様々な輸送用機器を含む概念である。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10 輸送機器、100 蓄電装置、101 第1蓄電モジュール、102 第2蓄電モジュール、103 充放電回路モジュール、111 第1蓄電池、112 第1電圧センサ、113 第1電流センサ、114 第1スイッチ、121 第2蓄電池、122 第2電圧センサ、123 第2電流センサ、124 第2スイッチ、130 電池ECU、131 第1VCU、132 第2VCU、133 第3スイッチ、140 駆動モジュール、142 第3電圧センサ、141 PDU、143 PDU側電流センサ、144 MG、151 充電コンバータ、152 受電部、153 外部電源、190 記録媒体
Claims (12)
- 第1蓄電部と、前記第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、
第2蓄電部と、前記第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電部、前記第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路と、前記充放電回路を制御する制御部を有する回路モジュールを含み、
前記制御部は、
前記駆動部に対する前記第1蓄電部および前記第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を取得し、
前記第1蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第1電流値と前記第3電流値を比較する第1操作と、前記第2蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第2電流値と前記第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方と、
前記第2蓄電部と前記駆動部に対する前記第1蓄電部の同時放電における、前記第1電流値と前記第2電流値、前記第1電流値と前記第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行い、
前記第1操作と前記第2操作の少なくとも一方と、前記第3操作によって前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定する
ことを特徴とする電源装置。 - 前記制御部は、前記第3操作においては、前記第1蓄電部が前記駆動部に対する要求電力に依存せずに一定電力を出力し、前記第2蓄電部が前記一定電力と前記要求電力の差分で充電されるよう前記充放電回路を制御する
請求項1に記載の電源装置。 - 前記第3操作における前記第1センサは、前記一定電力を検出し、
前記第3操作における前記制御部は、前記第1電流値のうち前記要求電力に相当する値と前記第3電流値、前記第1電流値のうち前記一定電力と前記要求電力の差分に相当する値と前記第2電流値のそれぞれを比較する
請求項2に記載の電源装置。 - 前記制御部は、前記第2蓄電部の充電率を取得し、前記第2蓄電部の充電率に基づいて前記一定電力を設定する
請求項2または3に記載の電源装置。 - 前記制御部は、前記第2蓄電部の充電率が小さいほど前記一定電力が大きくなるように設定する
請求項2から4のいずれか1項に記載の電源装置。 - 前記制御部は、前記第1操作、前記第2操作および前記3操作においては、比較される電流値が、等価又は相関関係を有するか否かを判定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。 - 前記相関関係は、電流値が比較される複数のセンサの間における前記充放電回路の昇降圧率に基づく
請求項6に記載の電源装置。 - 前記第2蓄電部は、前記第1蓄電部と比して、エネルギー密度が劣り、出力密度が優れる
請求項1から7のいずれか1項に記載の電源装置。 - 前記第1蓄電部は、前記第2蓄電部と比して、電池容量が大きい
請求項1から8のいずれか1項に記載の電源装置。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の電源装置を有する輸送機器。
- 第1蓄電部と、前記第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、
第2蓄電部と、前記第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電部、前記第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路とを備える電源装置において、前記第1センサ、前記第2センサ、および、前記駆動部に対する前記第1蓄電部および前記第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定する方法であって、
前記第1蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第1電流値と前記第3電流値を比較する第1操作と、前記第2蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第2電流値と前記第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方を行うステップと、
前記第2蓄電部と前記駆動部に対する前記第1蓄電部の同時放電における、前記第1電流値と前記第2電流値、前記第1電流値と前記第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行うステップと、
前記第1操作と前記第2操作の少なくとも一方と、前記第3操作によって前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するステップと
を含む判定方法。 - 第1蓄電部と、前記第1蓄電部が充放電する電流の値である第1電流値を検出する第1センサを有する第1蓄電モジュールと、
第2蓄電部と、前記第2蓄電部が充放電する電流の値である第2電流値を検出する第2センサを有する第2蓄電モジュールと、
前記第1蓄電部、前記第2蓄電部と、前記第1蓄電部と前記第2蓄電部の少なくとも一方の電力を用いて駆動される駆動部の間の充放電を担う充放電回路と
を含む電源装置において、前記第1センサ、前記第2センサ、および、前記駆動部に対する前記第1蓄電部および前記第2蓄電部の少なくとも一方の充放電の電流の値である第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するためのプログラムであって、
前記第1蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第1電流値と前記第3電流値を比較する第1操作と、前記第2蓄電部と前記駆動部の間の充放電における、前記第2電流値と前記第3電流値を比較する第2操作との少なくとも一方を行うステップと、
前記第2蓄電部と前記駆動部に対する前記第1蓄電部の同時放電における、前記第1電流値と前記第2電流値、前記第1電流値と前記第3電流値のそれぞれを比較する第3操作を行うステップと、
前記第1操作と前記第2操作の少なくとも一方と、前記第3操作によって前記第1センサ、前記第2センサおよび前記第3電流値を検出する第3センサの少なくとも1つの状態を判定するステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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