JP5971960B2 - 積層体、積層体の製造方法及びプリント配線基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、ボンディングシート、プリント配線板用保護絶縁膜、プリント配線板用基板の材料として有用な積層体、積層体の製造方法及び積層体を用いたプリント配線板の製造方法に関する。
近年、電子・電気機器の薄型・小型化に伴い、プリント配線板には電子部品などを高密度に実装することが要求されており、絶縁層の両主面上に設けられた導電層を高密度に導通することが必要とされている。プリント配線板の製造工程では、一般にNCドリリング、プラズマエッチング、レーザドリリング、パンチングなどにより絶縁層に形成されたビアホールを介して導電層間が導通されている。しかしながら、これらの加工は、ロール・ツー・ロールによるプリント配線板の連続生産には適していない。
一方で、化学的なエッチングによって導電層間にビアホールを形成できれば、ロール・ツー・ロールによるプリント配線板の連続生産が可能となる。化学的なエッチングを用いたプリント配線板の製造方法としては、アルカリ可溶性樹脂を含有する樹脂組成物を用いたプリント配線板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
従来の化学的なエッチングを用いたプリント配線板の製造工程においては、導電層上に接着性樹脂ワニスの溶液を塗工・乾燥して未硬化接着性樹脂層を設け、この未硬化接着性樹脂層上に導電層を積層する。そして、この未硬化接着性樹脂層上に設けられた導電層の所定の領域をエッチングにより除去してから、樹脂層をアルカリ溶液により溶解除去してビアホールを形成する。そして、未硬化接着性樹脂層を加熱して熱硬化して接着性樹脂硬化物層とした後、ビアホール内壁にめっきを形成することにより、ビアホールを介して一方の導電層と他方の導電層と電気的に接続する。
特開2005−26297号公報 特開2000−91743号公報
しかしながら、特許文献1に記載された未硬化接着性樹脂においては、接着性樹脂ワニス中に含まれる光酸発生剤や有機溶媒が樹脂層内に残存する場合がある。このため、未硬化接着性樹脂層の熱硬化工程おいて、光酸発生剤が分解して生じる窒素ガスや有機溶媒が揮発したガスによるアウトガスが生じ、プリント配線板の耐熱性が悪化する場合がある。一方で、特許文献2に記載の未硬化接着性樹脂においては、未硬化接着性樹脂層の硬化反応が低温で進行するため、導電層上に塗工した接着性樹脂ワニスを乾燥する際に硬化反応が進行して樹脂層のアルカリ溶解性が低下し、化学的なエッチングによるビアホールの形成が困難となる場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、キュア前のアルカリ加工性及びキュア後の耐熱性に優れた未硬化接着性樹脂を金属箔に積層した積層体、積層体の製造方法び積層体を使用したプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の積層体は、金属箔と、該金属箔上に、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニス膜を乾燥した未硬化接着性樹脂層と、を具備し、前記未硬化接着性樹脂層は、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする。
この構成によれば、熱重量減少が低減され、未硬化接着性樹脂の硬化後のアウトガスの発生を抑制できるので、キュア後の耐熱性に優れた接着性樹脂硬化物を実現できる。また、キュア前のアルカリ溶解速度が大きくアルカリ溶液に対して高い溶解性を有するので、キュア前のアルカリ加工性に優れた未硬化接着性樹脂を実現できる。
本発明の積層体においては、前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の状態において、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.05μm/sec以下であることが好ましい。この構成により、キュア後のアルカリ溶解速度が小さくキュア後のアルカリ耐性に優れた接着性樹脂硬化物を実現できる。
本発明の積層体においては、前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の、厚さ25μm時における引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaであることが好ましい。この構成により、機械的強度に優れると共に、柔軟性に優れた接着性樹脂硬化物を実現できる。
本発明の積層体においては、前記未硬化接着性樹脂層は、水酸基含有ポリイミドを含むことが好ましい。この構成によれば、未硬化接着性樹脂のアルカリ溶解性が向上する。
本発明の積層体の製造方法は、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスを金属箔に塗布する工程と、前記金属箔に塗布した前記接着性樹脂ワニスを乾燥して上記の積層体を得る工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のプリント配線板の製造方法は、上記積層体を、150℃〜250℃、10分〜5時間の条件で硬化する工程を含むことを特徴とする。
本発明の未硬化接着性樹脂層は、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する熱架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニス膜を乾燥して設けられ、且つ、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする。
本発明によれば、キュア前のアルカリ加工性及びキュア後の耐熱性に優れた未硬化接着性樹脂を金属箔に積層した積層体、積層体の製造方法び積層体を使用したプリント配線板の製造方法を提供することができる。
本実施の形態に係るプリント配線板の製造工程を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、熱硬化(以下、「キュア」ともいう)前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上である。本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、上記構成を有することにより、多層フレキシブル配線板などのプリント配線板の製造に好適に用いることができる。まず、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂を用いたプリント配線板の製造工程の概略について説明する。
図1A〜図1Fは、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂を用いたプリント配線板の製造工程を示す図である。図1A〜図1Fに示すように、本実施の形態においては、コア基板としての両面フレキシブル配線板10を用いて多層フレキシブルプリント配線板を製造する。この両面フレキシブル配線板10は、絶縁層11と、この絶縁層11の両主面上に設けられた内部導電層としての銅箔12(12a,12b)と、を具備する(図1A)。なお、絶縁層11は、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂を溶媒に希釈した接着性樹脂ワニスを用いて形成することができる。
まず、両面フレキシブル配線板10の両主面側から積層体13(13a,13b)を積層する(図1B参照)。この積層体13は、銅箔14(14a,14b)と、この銅箔14上に設けられた未硬化接着性樹脂層15(15a,15b)とを備える。この未硬化接着性樹脂層15は、詳細については後述するように、(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)架橋剤と、(C)有機溶媒とを含有する本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスを銅箔14上に塗工し、乾燥するにより(C)有機溶媒を除去することにより形成される。この未硬化接着性樹脂層15は、キュア前においてはアルカリ溶液に対して高い溶解性を有し、キュア後においてはアルカリ溶液に対して高い耐性を有する。この未硬化接着性樹脂層15は、積層体13の銅箔14と両面フレキシブル配線板10の銅箔12との間を接着層として機能すると共に、積層体13の銅箔14と両面フレキシブル配線板10の銅箔12との間を絶縁する絶縁層として機能する。
次に、熱ラミネート、熱真空プレス、熱真空ラミネートなどにより両面フレキシブル配線板10上に積層体13を積層する。これにより、両面フレキシブル配線板10の銅箔12a,12b上に、それぞれ未硬化接着性樹脂層15a,15bが設けられると共に、これらの未硬化接着性樹脂層15a,15b上に銅箔14a,14bが順次積層される(図1C)。この積層工程では、未硬化接着性樹脂層15の硬化が進まない程度の条件(例えば、100℃で2分程度)で加熱し、未硬化接着性樹脂層15a,15bを溶融させて、銅箔12a,12bの回路パターン間に埋め込み、圧着する。
次に、銅箔14a,14b上に、ドライフィルム(DF)をラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び銅箔14a,14bのエッチングにより、銅箔14a,14bの一部を除去してコンフォーマルマスクを形成し、DFをアルカリ溶液で剥離する。次に、コンフォーマルマスクを介して銅箔14a,14bのエッチング部位に露出した未硬化接着性樹脂層15a,15bをアルカリ溶液により溶解除去してブラインドビア16(ビアホール)を形成する(図1D)。なお、アルカリ溶液としては、未硬化接着性樹脂層15a,15bを溶解できるものであれば特に限定されず、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。また、上述したDF剥離とブラインドビア形成は同一のアルカリ溶液で同時に行っても良い。
次に、硬化乾燥炉を用いて、50℃〜200℃で、10分〜5時間加熱することにより、未硬化接着性樹脂層15a,15bを加熱して熱硬化する。ここでは、未硬化接着性樹脂層15a,15bに含まれるアルカリ可溶性樹脂と架橋剤とが反応して架橋結合が形成される。この結果、未硬化接着性樹脂層15a,15bが硬化して接着性樹脂硬化物層15a’,15b’となると共に、アルカリ溶液に対して不溶となりアルカリ耐性が付与される。
次に、ブラインドビア16の内壁の接着性樹脂硬化物層15a’,15b’に無電解銅めっき、又はカーボン微粒子を付着させた後、電解銅めっきを施してブラインドビア16及び銅箔12a,12bの表面にめっきを形成する。このめっきにより、両面フレキシブル配線板10の一方の主面側の銅箔12aと、積層体13aの銅箔14aとの間、及び両面フレキシブル配線板10の他方の主面側の銅箔12bと、積層体13bの銅箔14bとの間がそれぞれ電気的に接続される。
次に、サブトラクティブ法により積層体13a,13bの銅箔14a,14bをパターニングして回路形成を行う(図1E)。ここでは、未硬化接着性樹脂層15a,15bが加熱処理により熱硬化して接着性樹脂硬化物層15a’,15b’を形成しているので、銅箔14a,14bのエッチング、及びDFの剥離にアルカリ溶液を用いた場合においても、未硬化接着性樹脂層15a,15bの溶解及び膨潤を抑制でき、多層フレキシブル配線板の平滑性、絶縁信頼性、及びビアホールによる導電層間の接続信頼性への悪影響を低減できる。次に、カバーコート17の形成などの表面処理を行い、多層フレキシブル配線板を製造する(図1F)。
このように、上記多層フレキシブル配線板の製造方法においては、コンフォーマルマスクを介してアルカリ溶液により未硬化接着性樹脂層15a,15bを溶解除去することにより、ブラインドビア16の形成に伴うスミアの発生を抑制できる。このため、デスミア処理などを省略でき、ブラインドビア形成コストを大幅に削減できる。しかも、ブラインドビア16の形成にレーザー加工を用いることなく、多層フレキシブル配線板の製造工程で一般的に使用されているエッチング装置、アルカリ液スプレー装置、及びラミネート設備等を使用できる。また、未硬化接着性樹脂層15a,15bの溶解除去により、短時間でブラインドビア16を形成できるので、多層フレキシブル配線板の連続生産も可能となる。これにより、回路品質に優れる多層フレキシブル配線板を高い生産効率で製造することが可能となる。
上述した多層フレキシブル配線板の製造工程においては、未硬化接着性樹脂層15a,15b中の残存溶媒や副生物は、未硬化接着性樹脂層15a,15bの加熱硬化工程及びプリント配線板のはんだリフロー時において、アウトガスが発生する要因となる。アウトガスが発生した場合、銅箔12a,12b、銅箔14a,14bと未硬化接着性樹脂層15a,15bとの間にデラミネーションが発生する。このため、未硬化接着性樹脂層15は、アウトガスの発生を抑制するべく、残存溶媒を低減すると共に、加熱硬化時の副生物を抑制してアウトガスを低減する必要がある。
以上のような観点から、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、後の熱硬化工程の温度条件である先述の50℃から200℃及び鉛フリーはんだ使用時に想定されるリフロー温度260℃までの温度領域におけるアウトガスを低減したものであり、すなわち、キュア前の熱重量分析による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下である。この条件で測定した熱重量減少を0.7%以下とすることにより、未硬化接着性樹脂層15中の残存溶媒や副生物の揮発に基づくアウトガスの発生を低減できる。これにより、未硬化接着性樹脂層15の熱硬化工程やプリント配線板のはんだリフロー時におけるアウトガスの発生を低減できるので、銅箔12a,12b、銅箔14a,14bと未硬化接着性樹脂層15との間のデラミネーションを低減でき、耐熱性及び接続信頼性が向上する。
また、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、50℃の3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が未硬化接着性樹脂層15a,15bの膜厚が30μmの時に100秒以内に溶解除去できる0.3μm/sec以上であることから、キュア前の未硬化接着性樹脂層15a,15bをアルカリ溶液により速やかに除去することができるので、キュア前のアルカリ加工性に優れた未硬化接着性樹脂層15を実現できる。したがって、プリント配線基板のビアホール及びスルーホールの形成が容易となる。一方、未硬化接着性樹脂層のアルカリ溶解速度が0.3μm未満の場合、内層の銅箔12a,12b上に樹脂残渣が残りやすく、ブラインドビアの接続信頼性が充分でなくなる場合がある。
さらに、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂においては、180℃、1時間でキュアした後の接着性樹脂硬化物の状態において、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.05μm/sec以下であることが好ましい。この場合には、キュア後のアルカリ溶液に対する未硬化接着性樹脂層15の溶解速度を低減できるので、未硬化接着性樹脂層15の溶解及び膨潤を抑制でき、プリント配線板の平滑性、絶縁信頼性、及びビアホールによる導電層間の接続信頼性への悪影響を低減できる。
また、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂においては、180℃、1時間でキュアした後の接着性樹脂硬化物の状態において、厚さ25μm時における引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaであることが好ましい。この条件における引張弾性率が0.3GPa以上であれば、キュア後の未硬化接着性樹脂層15に適度な引張弾性が付与されるので、プリント配線板の機械的強度が向上する。また、引張弾性率が2.5GPa以下であれば、キュア後の未硬化接着性樹脂層15に適度な柔軟性が付与されるので、プリント配線板の柔軟性が向上する。以下、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂を含む溶液である接着性樹脂ワニスの構成について詳細に説明する。
<接着性樹脂ワニス>
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、酸性官能基を有する(A)アルカリ可溶性樹脂と、このアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する(B)架橋剤と、(C)有機溶媒と、を含有する。本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスにおいては、アルカリ可溶性樹脂が酸性官能基を有するので、塗工及び溶媒乾燥した未硬化接着性樹脂の状態ではアルカリ溶液に対して可溶となる。また、熱処理により架橋剤の架橋性官能基とアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基との間で架橋が形成され、酸性官能基が封止されるので、キュア後の接着性樹脂硬化物の状態ではアルカリ耐性が発現する。また、有機溶媒を含むことにより塗布が容易となる。したがって、プリント配線板の製造工程において、接着性樹脂ワニスを塗布・乾燥して設けられた未硬化接着性樹脂層は、キュア前にはアルカリ溶液に対して可溶となり、キュア後の接着性樹脂硬化物の状態の際にはアルカリ溶液に対して不溶となる。また、上述したように、未硬化接着性樹脂の熱重量減少が0.7%以下であるためキュア時及びはんだリフロー時の脱溶媒や副生物の揮発に基づくアウトガスの発生を抑制できる。
(A)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂としては、酸性官能基を分子内に有する樹脂であれば特に制限はない。酸性官能基としては、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリビニルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ溶解性に優れ、優れた耐薬品性、電気特性、機械特性などを併せもつ(a−1)水酸基含有ポリイミド、(a−2)カルボキシル基含有ポリイミド、(a−3)ポリビニルフェノール樹脂、(a−4)ノボラック樹脂などが好ましい。また、耐熱性、難燃性、柔軟性、耐折性などの観点から、(a−1)水酸基含有ポリイミド、(a−2)カルボキシル基含有ポリイミドがより好ましい。さらに、接着性樹脂ワニスの状態での常温での保存安定性及び溶媒乾燥時に架橋剤との反応進行を抑制する観点から(a−1)水酸基含有ポリイミドが更に好ましい。
(a−1)水酸基含有ポリイミド
水酸基含有ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより合成される。テトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、従来公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。また、アルカリ可溶性樹脂(ポリイミド樹脂)を低弾性率化する観点及び接着性樹脂硬化物に柔軟性、耐折性を付与する観点から、上述したテトラカルボン酸二無水物とポリジメチルシロキサン含有酸二無水物とを組み合わせて使用してもよい。
ジアミンとしては、得られるポリイミドのアルカリ溶解性、重合速度、有機溶媒への溶解性の観点や入手性の観点から、水酸基を有する4,4’−ジアミノビフェニル−3,3’−ジオール、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンが好ましい。これらのジアミンは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのジアミンと併用できるジアミンとしては、従来公知のものを用いることができ、例えば、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどが挙げられる。また、ポリイミド樹脂を低弾性率化し、接着性樹脂硬化物に柔軟性、耐折性を付与する観点から、ポリジメチルシロキサン含有ジアミンや、ポリオキシアルキレンジアミンなどを組み合わせて使用しても良い。
水酸基含有ポリイミドとしては、アルカリ可溶性樹脂を低弾性化し、接着性樹脂硬化物に柔軟性、耐折性を向上する観点から、上述したポリジメチルシロキサン基及び/又はポリオキシアルキレン基を含むものが好ましい。
水酸基含有ポリイミドは、以下のような方法で得られる。まず反応原料を室温から80℃で重縮合反応することにより、ポリアミド酸構造からなるポリイミド前駆体が製造される。次に、このポリイミド前駆体を100℃〜400℃の加熱による熱イミド化、又は無水酢酸などのイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、ポリアミド酸に対応する繰り返し単位構造を有するポリイミドが得られる。加熱してイミド化する場合、副生する水を除去するために、共沸剤(好ましくは、トルエンやキシレン)を共存させて、ディーンシュターク型脱水装置を用いて、還流下、脱水を行うことも好ましい。
また、80℃〜220℃で反応を行うことにより、ポリイミド前駆体の合成と熱イミド化反応とを共に進行させて、ポリイミドを得ることも好ましい。例えば、ジアミン成分と酸二無水物成分とを有機溶媒中に懸濁又は溶解させてから、80℃〜220℃の加熱下に反応を行い、ポリイミド前駆体の生成と脱水イミド化とを共に行わせることにより、ポリイミドを得ることができる。
また、ポリイミドのポリマー主鎖の末端が、アニリンに代表されるモノアミン誘導体又は無水フタル酸、無水マレイン酸などに代表されるカルボン酸誘導体からなる末端封止剤で末端封止することも可能である。ポリイミドのポリマー主鎖の末端が封止されることで、末端官能基に由来する貯蔵安定性に優れる。
ポリイミドの合成に用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、メシチレン、安息香酸エチル、安息香酸ブチルなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
水酸基含有ポリイミドの重量平均分子量は、5000以上100000以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量とは、既知の数平均分子量のポリスチレンを標準として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される分子量をいう。重量平均分子量は10000以上60000以下がより好ましく、15000以上50000以下が最も好ましい。重量平均分子量が5000以上100000以下であると接着性樹脂ワニスを用いて得られる保護膜の強伸度が改善され、機械物性に優れる。さらに塗工時に所望する膜厚にて滲み無く塗工できる。
(a−2)カルボキシル基含有ポリイミド
カルボキシル基含有ポリイミドとしては、水酸基含有ポリイミドの水酸基がカルボキシル基となること以外は、上述した水酸基含有ポリイミドと同様のものを用いることができる。カルボキシル基含有ポリイミドは、カルボキシル基含有ジアミンを用いて合成される。得られるカルボキシル基含有ポリイミドのアルカリ溶解性、重合速度、溶液を構成する有機溶媒への溶解性の観点や入手性の観点から、カルボキシル基含有ジアミンとしては、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを用いることができる。
また、カルボキシル基含有ポリイミドに関しても、アルカリ可溶性樹脂を低弾性化し、接着性樹脂硬化物に柔軟性、耐折性を向上する観点から、上述したポリジメチルシロキサン基及び/又はポリオキシアルキレン基を含むことが好ましい。
(a−3)ポリビニルフェノール樹脂
ポリビニルフェノール樹脂としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類をラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させたポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。これらのヒドロキシスチレン類は、単独で重合させて用いてもよく、2種以上を混合して重合させて用いてもよい。
ポリビニルフェノール樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(MW)が500〜100,000であるものが好ましく、1,000〜50,000であるものがより好ましい。
(a−4)ノボラック樹脂
ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノールなどのフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類(尚、ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを、用いても良い。)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂が挙げられる。中でもフェノール類としてのフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールと、アルデヒド類又はケトン類としてのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましい。特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の溶融粘度を下げ、フレキシブル配線板の積層時の埋込み性を向上する観点から、ノボラック樹脂としては、分子内に4,4’−ビフェニリレン基、2,4’−ビフェニリレン基、2,2’−ビフェニリレン基、1,4−キシリレン基、1,2−キシリレン基、又は1,3−キシリレン基などの架橋基を含有するフェノール樹脂及びメチレン架橋基を含有するフェノール樹脂の重合単位を共に有するノボラック樹脂も好ましい。
ノボラック樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(MW)が、500〜15,000であるものが好ましく、1,000〜10,000であるものが更に好ましい。
接着性樹脂ワニスを構成する(C)溶媒を除いた、未硬化接着性樹脂中のアルカリ可溶性樹脂の含有量としては、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対する溶解速度を向上する観点から、30質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量が、30質量%以上であれば、未硬化接着性樹脂の上記水酸化ナトリウム水溶液に対する溶解性を実現できる。また、アルカリ溶解性樹脂の含有量が70質量%以下であれば、架橋剤との反応により、キュア後の接着性樹脂硬化物が優れたアルカリ耐性を発現することができる。
(B)熱架橋剤
熱架橋剤としては、アルカリ可溶性樹脂の酸性官能基と反応する架橋性官能基を有するものであれば特に制限はない。架橋性官能基としては、例えば、エポキシ基、シアネート基、オキセタン基、不飽和二重結合を有する基、ベンゾオキサジン基、オキサゾリン基、フェノール性水酸基、メラミン基、マレイミド基、アジド基、トリアジン基などが挙げられる。
熱架橋剤としては、例えば、エポキシ化合物、シアネートエステル樹脂、オキセタン化合物、不飽和二重結合を有する化合物(以下、単に「不飽和化合物」という)、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイミド化合物、ナフトキノンジアジド化合物、トリアジン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用して用いることも可能である。熱架橋剤としては、アルカリ可溶性樹脂との反応時のアウトガスがないという観点から、オキサゾリン化合物、ベンゾオキサジン化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、不飽和化合物、が好ましい。また、上述した水酸基含有ポリイミドとの反応性の観点から、(b−1)オキサゾリン化合物、(b−2)ベンゾオキサジン化合物、(b−3)エポキシ化合物がより好ましい。
(b−1)オキサゾリン化合物
オキサゾリン化合物とは、分子内に少なくとも1個のオキサゾリン基を有する化合物である。オキサゾリン化合物としては、キュア時にアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基(例えば、ポリイミドの水酸基)を封止し、更にアルカリ可溶性樹脂(例えば、ポリイミド)分子間の架橋を形成してアルカリ耐性を付与する観点から、分子内に2個以上のオキサゾリン基を有するものが好ましい。
オキサゾリン化合物としては、例えば、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、日本触媒社製のK−2010E、K−2020E、K−2030E、2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,6−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−ターシャルブチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。これらのオキサゾリン化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b−2)ベンゾオキサジン化合物
ベンゾオキサジン化合物とは、分子内に少なくとも一つのベンゾオキサジン官能基を有するものである。ベンゾオキサジン化合物としては、モノマーのみからなるものを用いてもよく、数分子が重合してオリゴマー状態となっているものを用いてもよい。ベンゾオキサジン化合物としては、分子内に2個以上のベンゾオキサジン官能基を有するものが好ましい。また、異なる構造を有するベンゾオキサジン化合物を同時に用いても良い。
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン(Bis−F 小西化学工業社製)、F−a型ベンゾオキサジン(四国化成工業社製)、P−d型ベンゾオキサジン(四国化成工業社製)などを好適に用いることができる。
(b−3)エポキシ化合物
エポキシ化合物とは、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、公知の各種エポキシ化合物を用いることができる。エポキシ化合物(エポキシ樹脂)のエポキシ当量としては、広い範囲から適宜選択できる。エポキシ化合物としては、一般には、エポキシ当量100〜10000、特にエポキシ当量100〜3000のエポキシ化合物を用いることが好ましい。
エポキシ化合物としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(以下、「2官能エポキシ化合物」という)を用いることが好ましい。2官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラックなどのノボラック型エポキシ樹脂、変性ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物であるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの2官能エポキシ化合物の中でも、耐熱性、耐溶剤性、メッキ液耐性に優れる観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、変性ノボラック型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、例えば、XD−1000(商品名:日本化薬社製)、HP−7200(商品名:DIC社製)などが挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂としては、NC−7000L(商品名:日本化薬社製)、エピクロンN−680(商品名:DIC社製)などが挙げられる。変性ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、NC−3000(商品名:日本化薬社製)などが挙げられる。これらのエポキシ化合物(エポキシ樹脂)は、単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記熱架橋剤の添加量としては、アルカリ可溶性樹脂の酸性官能基(例えば、水酸基含有ポリイミドの水酸基)のモル量を1とした場合、架橋性官能基(例えば、オキサゾリン基、ベンゾオキサジン基、エポキシ基)のモル量が、モル比として、酸性官能基/架橋性官能基=4〜0.5であることが好ましく、3〜0.7がより好ましい。酸性官能基/架橋性官能基=4以下であれば、接着性樹脂ワニスから得られた未硬化接着性樹脂の溶解速度が向上してアルカリ加工性が良好となる。また、酸性官能基/熱架橋性官能基=0.5以上であれば、未硬化接着性樹脂及び接着性樹脂硬化物の柔軟性、耐熱性が向上する。
(C)有機溶媒
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、有機溶媒を含有する。未硬化接着性樹脂を有機溶媒に溶解した状態とすることにより、プリント配線板の塗工工程で使用する際に、均一に塗工できる。本実施の形態においては、有機溶媒としては、沸点が50℃以上220℃以下の有機溶媒を用いることが好ましい。本実施の形態においては、沸点が220℃以下の有機溶媒を使用することにより、塗工後の乾燥プロセスにおいて、十分脱溶媒することができ、熱重量分析における熱重量減少を0.7%以下とすることが可能となる。さらに、有機溶媒の沸点が50℃以上であれば、常温での保管時に溶媒が揮発することなく、保存安定性に優れた接着性樹脂ワニスとなる。
有機溶媒としては、キュア前の未硬化接着性樹脂層中への残存有機溶媒量を低減して、キュア時及びはんだリフロー時のアウトガスの発生を抑制する観点から、アルカリ可溶性樹脂を溶解しつつ、アルカリ可溶性樹脂との間の相互作用が比較的弱いものを用いる。このような有機溶媒を用いることにより、接着性樹脂ワニスからの脱溶媒が容易となり、未硬化接着性樹脂層中への残存有機溶媒量を低減できる。このような有機溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、などのエステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「トリグライム」ともいう)、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」ともいう)、ジエチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホキシドなどの含硫黄系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、複数の溶媒を混合して用いてもよい。これらの中でも、γ−ブチロラクトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。
有機溶媒としては、アルカリ可溶性樹脂を合成する際に用いた有機溶媒を含むアルカリ可溶性樹脂の溶液を、脱溶媒することなくそのまま用いることが製造コストの観点から好ましい。この場合、アルカリ可溶性樹脂の溶液に他の有機溶媒を添加して用いてもよく、架橋剤などの他の添加材を加えることにより接着性樹脂ワニスとして用いることができる。
また、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒を含むアルカリ可溶性樹脂の溶液を用いる場合、ポリマーとアミド系溶媒との強い相互作用(水素結合など)が生じる。このため、これらのアミド系溶媒は、溶媒乾燥工程後にも未硬化性接着性樹脂層に残存しやすく、キュア工程及びはんだリフロー工程時のアウトガスの要因となる。このため、アミド系溶媒を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合には、アルカリ可溶性樹脂を含む溶液を貧溶媒に投入してアルカリ可溶性樹脂の固形分(例えば、ポリイミドの固形分)を再沈殿、乾燥してから上述した低沸点の有機溶媒に再溶解させて用いることが好ましい。再溶解に用いる有機溶媒としては、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、含硫黄系溶媒が好ましい。
接着性樹脂ワニス中における有機溶媒の含有量としては、接着性樹脂ワニスを塗工して未硬化接着性樹脂層を形成できる濃度であれば、特に制限されない。有機溶媒の含有量としては、形成する未硬化接着性樹脂層の膜厚の観点から、接着性樹脂ワニス中の固形分濃度が20質量%以上80質量%以下となる含有量であることが好ましく、形成する未硬化接着性樹脂層の膜厚均一性の観点から、30質量%以上70質量%以下となる含有量であることがより好ましい。
(D)難燃剤
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスにおいては、形成される接着性樹脂硬化物の難燃性を向上する観点から、(D)難燃剤を含有することが好ましい。難燃剤の種類としては特に制限はない。難燃剤としては、例えば、リン化合物及び無機難燃剤などが挙げられる。
リン化合物としては、ホスファゼン、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル、及び亜リン酸エステルなどのリン化合物が揚げられる。特に、ポリイミド組成物との相溶性の面から、ホスファゼン、ホスファイオキサイド、又はリン酸エステルが好ましく用いられる。
無機難燃剤としては、アンチモン化合物や金属水酸化物などが挙げられる。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンが挙げられる。アンチモン化合物と上記ハロゲン化合物とを併用することにより、プラスチックの熱分解温度域で、酸化アンチモンがハロゲン化合物からハロゲン原子を引き抜いてハロゲン化アンチモンを生成するため、相乗的に難燃性を上げることができる。金属水酸化物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
無機難燃剤は、有機溶媒に溶解しない。このため、無機難燃剤としては、その粉末の粒径が100μm以下のものを用いることが好ましい。粉末の粒径は100μm以下であれば、ポリイミド組成物に混入しやすく、硬化後の樹脂の透明性を損ねることなく好ましい。更に難燃性を上げるためには、粉末の粒径は50μm以下が好ましく、10μm以下が特に好ましい。
接着性樹脂ワニスを塗工する場合、その塗工方式に応じて粘度とチクソトロピーの調整を行う。必要に応じて、フィラーやチクソトロピー性付与剤を添加して用いることも可能である。また、公知の消泡剤やレベリング剤や顔料などの添加剤を加えることも可能であるし、高温酸素雰囲気下での酸化を防止する観点から、耐熱安定剤を添加してもよい。
(E)密着材
また、本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、金属箔と未硬化接着性樹脂層との密着性を向上する観点から、密着材を含有させて用いることもできる。密着材としては特に限定されないが、フェノール化合物、含窒素有機化合物、アセチルアセトン金属錯体などを挙げることができる。接着性樹脂ワニスは、更にアクリルモノマーと光ラジカル発生剤を加えてネガ型感光性接着性樹脂ワニスとしても使用できる。
<積層体>
本実施の形態に係る積層体は、金属箔と、この金属箔上に上記接着性樹脂ワニスを塗布、乾燥して設けられた未硬化接着性樹脂と、を有する樹脂付金属箔である。この積層体は、図1に示したように、プリント配線板の製造に好適に用いることができる。金属箔としては、特に制限はなく公知の金属箔、合金箔が適用可能である。金属箔としては、配線パターン形成性の観点から電解銅箔、圧延銅箔が好ましい。金属箔としては、微細な配線パターンを形成でき、耐折性を有する観点から、厚さ18μm以下の銅箔が好ましい。銅箔表面には、粗化処理、ニッケルや亜鉛などの公知のめっき処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。
次に、本実施の形態に係る積層体13の製造方法に関して説明する。本実施の形態に係る積層体13の製造方法は、未硬化接着性樹脂を、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、及び含硫黄系有機溶媒のいずれかに溶解して接着性樹脂ワニスを調整する工程と、該接着性樹脂ワニスを金属箔に塗布、乾燥する工程と、を含む。
まず、未硬化接着性樹脂を上述した溶媒に任意の方法で溶解して接着性樹脂ワニスを調製する。次に、接着性樹脂ワニスを任意の方法で上記金属箔上に塗工する。塗工方法としてはバーコート、ローラーコート、ダイコート、ブレードコート、ディップコート、ドクターナイフ、スプレーコート、フローコート、スピンコート、スリットコート、はけ塗りなどが挙げられる。
接着性樹脂ワニスの塗工後、金属箔上に塗布した接着性樹脂ワニス中の有機溶媒を除去する為に、加熱乾燥処理を行う。
加熱の態様については特に制限はない。加熱の条件としては、脱溶媒後に得られる未硬化接着性樹脂のアルカリ溶液への溶解性を保つ観点から、50℃〜140℃において1分間〜60分間加熱することが好ましい。未硬化接着性樹脂は、更に高温領域(例えば160℃〜200℃)の加熱で主として酸性官能基の封止や架橋反応が生じて、接着性樹脂硬化物となり、アルカリ水溶液へ不溶となる。
また、未硬化接着性樹脂のアルカリ溶液に対する溶解性を損なわずに有機溶媒などの揮発成分を十分に除去する観点から、真空乾燥法などにより50℃〜140℃において1分間〜60分間加熱してもよい。乾燥工程後に溶媒が多く残存していると、後の熱工程時にアウトガスが発生する。未硬化接着性樹脂は、50℃〜140℃において1分間〜60分間加熱してもアルカリ水溶液に可溶である。
本実施の形態に係る積層体においては、未硬化接着性樹脂を含む樹脂層上に、任意の防汚用や保護用のカバーフィルムを設けても良い。カバーフィルムとしては、アルカリ可溶性の未硬化接着性樹脂を保護するフィルであれば特に制限はない。カバーフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレンなどの保護フィルムを用いることができる。
<プリント配線板>
本実施の形態に係るプリント配線板は、本実施の形態に係る積層体を有する。本実施の形態に係るプリント配線板は、図1に示したように、コア基板としての両面フレキシブル基板の導電層に回路パターンを形成した後、コア基板の両主面上に本実施の形態に係る積層体を積層することにより製造される。
本実施の形態に係るプリント配線板の製造方法は、上述した積層体を、150℃〜250℃、10分〜5時間の条件で硬化する工程を含む。
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、積層体の作製、熱重量分析(TG)、アルカリ溶解速度、引張弾性率、アルカリ加工性、アルカリ耐性、耐熱性、柔軟性の評価は以下のように実施した。
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
<積層体の作製>
真空吸着及び加熱できる塗工台(マツキ科学社製)上に厚み12μmの電解銅箔(F1−WS/古河サーキットフォイル社製)の粗面側を敷き、真空吸着により電解銅箔を貼り付けた後、ギャップが125μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて、電解銅箔粗面上に接着性樹脂ワニスを塗布した。その後、下記に示す常圧乾燥法又は減圧乾燥法により、脱溶媒を行い、樹脂層厚みが30±5μmの積層体(樹脂付銅箔)を得た。
[常圧乾燥法]
乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で任意の時間乾燥を行った。
[減圧乾燥法]
真空乾燥器(ADVANTEC社製、DRR420DA)、ベルト駆動型油回転真空ポンプ(佐藤真空社製、TSW−150)を用いて、約6.7×10−2Paの減圧下、90℃で任意の時間乾燥を行った。
<熱重量分析(TG)>
PETフィルム(N152Q、帝人デュポンフィルム社製)を真空吸着及び加熱できる塗工台(マツキ科学社製)上に敷き、真空吸着により貼り付けた後、ギャップが125μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて、このPET上に接着性樹脂ワニスを塗布した。その後、上記常圧乾燥法又は上記減圧乾燥法により、一定時間脱溶媒を行った。乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて80℃で2時間脱湿乾燥を実施した後、得られた未硬化接着性樹脂の膜をPET上から引き剥がし、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG/DTA6200)を用いて、大気中で40℃から10℃/分の速度で300℃まで昇温し、40℃の際の重量を100%とした場合の、260℃における重量減少率を測定した。重量減少率が0.4%未満の場合を◎とし、0.4%以上0.7%未満の場合を○とし、0.7%以上の場合を×とした。
<アルカリ溶解速度(キュア前)>
キュア前の未硬化接着性樹脂のアルカリ溶解速度は、作製した積層体をそのまま用いて測定した。アルカリ溶解速度は、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂層に圧力0.18MPaでスプレーして測定した。樹脂層が完全に溶けるまでに要した時間を溶解時間(秒)とし、溶解前の膜厚(μm)を溶解時間(秒)で除することでアルカリ溶解速度(μm/秒)を算出した。アルカリ溶解速度が0.6μm/秒以上の場合を◎とし、0.3μm/秒以上の場合を○とし、0.1μm/秒の場合を△とし、0.1μm/秒未満の場合を×とした。
<アルカリ溶解速度(キュア後)>
キュア後の接着性樹脂硬化物のアルカリ溶解速度は、上記積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中で180℃1時間加熱硬化(キュア)したものを用いて測定した。キュア後のアルカリ溶解速度は、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂層に圧力0.18MPaで300秒間スプレーして測定した。スプレー前後の樹脂層の膜厚差を測定し、300秒で除することでアルカリ溶解速度(μm/秒)を算出した。アルカリ溶解速度が0.005μm/秒以下の場合を◎とし、0.05μm/秒以下の場合を○とし、0.05μm/秒超の場合を×とし、300秒のスプレー後に樹脂層が全て溶解してしまった場合を××とした。
<引張弾性率>
約25μmの積層体を、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中180℃1時間キュアした後、塩化第二鉄水溶液で銅箔部分を溶解させた。蒸留水で水洗後、室温で1日乾燥させてフィルムを得た。得られたフィルムを5mm×100mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を引っ張り試験機(RTG−1210/エー・アンド・デイ社製)にて測定し、引張弾性率を算出した。引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaの場合を○とし、0.3GPa未満の場合を△とし、2.5GPa超えの場合を×とした。
<アルカリ加工性>
3%塩酸水溶液で酸洗浄した両面フレキシブル基板(エスパネックスM、新日鉄化学社製、絶縁層の厚さ25μm、導電層:銅箔F2−WS(12μm))の一方の導電層上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層した。次に、積層体の導電層上にドライフィルムレジスト(サンフォートAQ2578 旭化成イーマテリアルズ社製)をラミネートし、500μmφの円孔パターンを形成した後、塩化第二鉄エッチング液で円孔形成部の導電層をエッチング除去した。
その後、50℃に加温した3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を未硬化接着性樹脂層に圧力0.18MPaでスプレーして、ブラインドビアを形成した。30μmの厚みの樹脂層を1分以内のスプレー時間で除去でき、ブラインドビアの底に両面フレキシブル基板の導電層が完全に露出した場合を◎とし、樹脂層を2分以内のスプレー時間で除去でき、ブラインドビアの底に両面フレキシブル基板の導電層が完全に露出した場合を○とし、2分のスプレー時間ではブラインドビアの底に樹脂層が残存した場合を△とし、3分スプレーしたが、ブラインドビアの底に樹脂層が残存した場合を×とした。
<耐熱性評価>
積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、80℃で2時間脱湿乾燥した。次に、予め3%塩酸水溶液で酸洗浄した電解銅箔F2−WS(9μm)の光沢面上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層して試料を作製した。次に、試料のキュア後及びはんだ浴浸漬後の外観を観察し、導電層に樹脂層と導体層との間のデラミネーションに起因する膨れが発生しているかを確認し、下記の基準により評価した。
[キュア後]
上記未硬化接着性樹脂層を含む積層体の試料を10cm×10cmに切断し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中180℃で1時間キュアを実施した後、膨れの有無を目視にて確認した。膨れが全く確認されなかった場合を○とし、膨れの面積の合計が1cm未満の場合を△とし、膨れ面積の合計が1cm以上の場合を×とした。
[はんだリフロー後]
キュア後の上記10cm×10cmの接着性樹脂硬化物を含む積層体の試料を260℃のハンダ浴上に積層体の導電層を下にして60秒間フロートして試験を行った。膨れが全く確認されなかった場合を○とし、膨れの面積合計が1cm未満の場合を△とし、膨れ面積合計が1cm以上の場合を×とした。
<アルカリ耐性>
3%塩酸水溶液で酸洗浄した両面フレキシブル基板(エスパネックスM、新日鉄化学社製、絶縁層の厚さ25μm、導電層:銅箔F2−WS(12μm))の一方の導電層上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層した。次に、積層体導電層を第二鉄エッチング液で全面エッチングし、樹脂層を完全に露出させた後、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中で180℃1時間キュアした。キュア後の接着性樹脂硬化物層に50℃に加温した3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を圧力0.18MPaで300秒間スプレーした。スプレー前後、9点測定した樹脂層の膜厚変化の平均値が1μm未満であり、かつ膜表面の光沢がスプレー前後で全く変わらないものを◎とし、スプレー前後の膜厚変化平均値が3μm未満であり、かつ膜表面の光沢がスプレー前後で全く変わらないものを○とし、膜厚変化が3μm以上及び/または膜表面の失沢が確認されたものを×とし、膜が完全に溶解除去されてしまったものを××とした。
<絶縁信頼性評価(イオンマイグレーション試験)>
絶縁信頼性評価は、以下のように実施した。接着性樹脂ワニスをPETフィルムに塗布し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中90℃で30分間溶媒乾燥を行った。これをラインアンドスペースが20μm/20μmのくし型基板上に、真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、180℃で1時間キュアして、接着性樹脂硬化物を得た。こうして得られた基板にマイグレーションテスタのケーブルを半田付けし、下記条件にて絶縁信頼性試験を行った。
絶縁劣化評価システム:SIR−12(楠本化成社製)
恒温恒湿チャンバー:SH−641(エスペック社製) 温度:85℃ 湿度:85%
印加電圧:20V
印加時間:1000時間
絶縁抵抗値が1.0×10Ω未満の場合を×とし、1.0×10Ω〜1.0×10Ω未満の場合を△とし、1.0×10Ω以上〜1.0×10Ω未満の場合を○とし、1.0×10Ω以上の場合を◎とした。
<柔軟性評価>
積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、180℃で1時間キュアした後、5cm×5cmに切断して試料を作製した。この接着性樹脂硬化物を含む積層体の試料を23℃50%RHの恒温恒湿下に24時間静置した後、樹脂層を上にして樹脂層の端部の浮き高さを測定した。端部の浮き高さが5mm以内のものを◎とし、10mm以内のものを○とし、それ以上に浮き高さがあるものを×とした。
[合成例(1)]水酸基含有ポリマー(ポリマー(1))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(1)ワニスを得た。重量平均分子量は27000であった。
[合成例(2)]水酸基含有ポリマー(ポリマー(2))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。トリエチレングリコールジメチルエーテル(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(2)ワニスを得た。重量平均分子量は24000であった。
[合成例(3)]水酸基含有ポリマー(ポリマー(3))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)0.40g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00g、無水マレイン酸0.19gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(3)ワニスを得た。重量平均分子量は25000であった。
[合成例(4)]水酸基含有ポリマー(ポリマー(4))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)423g、トルエン90g、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)48.8g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(4)ワニスを得た。重量平均分子量は28000であった。
[合成例(5)]カルボキシル基含有ポリマー(ポリマー(5))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(70.4g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290S、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)10.94g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(5)ワニスを得た。重量平均分子量は23000であった。
[合成例(6)]カルボキシル基含有ポリマー(ポリマー(6))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)407g、トルエン90g、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)38.16g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(6)ワニスを得た。重量平均分子量は24000であった。
[合成例(7)]フェノールノボラック樹脂(ポリマー(7))の合成
撹拌装置、コンデンサー、及び窒素ガス導入管を備えたガラス製反応釜に、フェノール404.2g(4.30モル)、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル150.70g(0.6モル)を仕込み100℃で3時間反応させた。その後、42%ホルマリン水溶液28.57g(0.4モル)を添加した後、100℃で3時間反応させた。その間、生成するメタノールを留去した。反応終了後、得られた反応溶液を冷却し、水洗を3回行った。油層を分離し、減圧蒸留により未反応フェノールを留去することにより251gのポリマー(7)を得た。
[実施例1]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。次に、銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。なお、下記表1においては、アルカリ可溶性樹脂を(A)成分とし、架橋剤を(B)成分とし、有機溶媒を(C)成分とし、難燃剤を(D)成分と表記する。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)、引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例2]
銅箔上へ樹脂層を塗工した後、90℃30分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)◎、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)、引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例3]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が69質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が6質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。接着性樹脂ワニスを銅箔上に塗工した後、95℃30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後○)、引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性◎、柔軟性◎であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例4]
ポリマー(2)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにトリエチレングリコールジメチルエーテルで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。得られた物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例5]
銅箔上へ接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は実施例4と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)◎、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)、引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例6]
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、実施例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)、引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例7]
ポリマー(4)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させた後、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥してポリマー(4)固形物を得た。このポリマー(4)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトン:ジメチルスルホキシド(DMSO)=80:20の混合溶媒を添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(4)が66.5質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例8]
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(5)が69質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が6質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後○)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性◎、柔軟性◎であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例9]
ポリマー(6)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させた後、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(6)固形物を得た。このポリマー(6)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトン:ジメチルスルホキシド(DMSO)=80:20の混合溶媒を添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(6)が66.5質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例10]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、ベンゾオキサジン化合物として四国化成工業社製のP−d型ベンゾオキサジンが11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性△、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例11]
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は実施例10と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性△、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例12]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、エポキシ化合物としてDIC社製のシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP7200が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後○)引張弾性率×であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性○、柔軟性×であった。エポキシ化合物による架橋反応により顕著に高弾性化した結果、柔軟性が悪化した。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例13]
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は実施例12と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後○)引張弾性率×であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性○、柔軟性×であった。エポキシ化合物による架橋反応により顕著に高弾性化した結果、柔軟性が悪化した。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例14]
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(3)が64質量%、オキセタン化合物として東亞合成社製のOXT−221(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後×)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性××、絶縁信頼性×、柔軟性◎であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例15]
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(3)が64質量%、不飽和化合物として東亞合成社製の多官能アクリレートM−310が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後×)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性××、絶縁信頼性×、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例16]
ポリマー(7)を接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(7)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後○)引張弾性率×であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性△、柔軟性×であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[実施例17]
ポリマー(7)を接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(7)が64質量%、ベンゾオキサジン基を含有する化合物として四国化成工業社製のP−d型ベンゾオキサジンが11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後○)引張弾性率×であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性△、柔軟性×であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表2に示す。
[合成例8]水酸基含有ポリマー(ポリマー(8))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(8)ワニスを得た。重量平均分子量は29000であった。
[合成例9]カルボキシル基含有ポリマー(ポリマー(9))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(70.4g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)10.94g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(9)ワニスを得た。重量平均分子量は23000であった。
[合成例10]ポリイミド前駆体(ポリマー(10))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)349g、トルエン90g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを添加し、均一になるまで攪拌した。そこに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。さらに、反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。その後、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)38.9gとNMP58gを添加し、40℃で4時間攪拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(10)ワニスを得た。重量平均分子量は22000であった。
[合成例11]酸性官能基を含まないポリイミド(ポリマー(11))の合成
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)353g、トルエン90g、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)115.6gを添加し、均一になるまで攪拌した。そこに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。さらに、反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(11)ワニスを得た。重量平均分子量は26000であった。
[比較例1]
ポリマー(8)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにNMPで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(8)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。なお、下記表3においては、アルカリ可溶性樹脂を(A)成分とし、架橋剤を(B)成分とし、有機溶媒を(C)成分とし、難燃剤を(D)成分と表記する。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例2]
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前△、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性△、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例3]
ポリマー(9)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例4]
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例3と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前△、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性△、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例5]
ポリマー(4)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにNMPを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(4)が66.5質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前○、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性○、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例6]
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例5と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前△、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性△、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例7]
ポリマー(10)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させ、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(10)固形物を得た。このポリマー(10)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(10)が74.3質量%、熱架橋剤は添加せず、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後○)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後×)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例8]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、熱架橋剤としてダイトーケミックス社製光酸発生剤PA−6(1,2−ナフトキノンジアジド−5-スルホン酸エステル)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後△)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例9]
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は比較例8と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後△)、キュア後アルカリ耐性◎、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例10]
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、熱架橋剤として旭化成ケミカルズ社製ブロックイソシアネート(TPA−80E)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後○)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後△)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例11]
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は比較例10と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)×、アルカリ溶解速度(キュア前◎、キュア後◎)引張弾性率○であった。また、評価結果は、アルカリ加工性◎、耐熱性試験(キュア後×、はんだリフロー後△)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性○、柔軟性○であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
[比較例12]
ポリマー(11)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させ、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(11)固形物を得た。このポリマー(11)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(11)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
物性パラメータは、熱重量分析(TG)○、アルカリ溶解速度(キュア前×、キュア後○)引張弾性率×であった。また、評価結果は、アルカリ加工性×、耐熱性試験(キュア後○、はんだリフロー後○)、キュア後アルカリ耐性○、絶縁信頼性×、柔軟性×であった。物性パラメータ及び評価結果を下記表4に示す。
Figure 0005971960
Figure 0005971960
Figure 0005971960
Figure 0005971960
表1及び表2から、本発明に係る未硬化接着性樹脂を用いた積層体においては、熱重量分析及びキュア前のアルカリ溶解速度の結果が良好となり、いずれもキュア前のアルカリ加工性に優れると共に、高い耐熱性が得られることが分かる。
表3及び表4から、比較例に係る未硬化接着性樹脂を用いた積層体においては、熱重量分析、キュア前のアルカリ溶解速度の少なくともいずれかが劣っていることが分かる。
本発明は、キュア前のアルカリ加工性及び耐熱性に優れた未硬化接着性樹脂層が金属箔に積層した積層体、積層体の製造方法及び積層体を使用したプリント配線板を実現できるという効果を有し、特に、両面フレキシブル配線板、多層フレキシブル配線板及びリジッド・フレキシブル配線板などの製造に好適に用いることが可能である。
10 両面フレキシブル配線板
11 絶縁層
12(12a,12b),14(14a,14b) 銅箔
13(13a,13b) 積層体
15(15a,15b) 未硬化接着性樹脂層
15’ (15a’,15b’) 接着性樹脂硬化物層
16 ブラインドビア
17 カバーコート

Claims (7)

  1. 金属箔と、該金属箔上に、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニス膜を乾燥した未硬化接着性樹脂層と、を具備し、
    前記未硬化接着性樹脂層は、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする積層体。
  2. 前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の状態において、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.05μm/sec以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の、厚さ25μm時における引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層体。
  4. 前記未硬化接着性樹脂層は、水酸基含有ポリイミドを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。
  5. (A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスを金属箔に塗布する工程と、前記金属箔に塗布した前記接着性樹脂ワニスを乾燥して、請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体を得る工程と、を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体を、150℃〜250℃、10分〜5時間の条件で硬化する工程を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  7. (A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する熱架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニス膜を乾燥して設けられ、且つ、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする未硬化接着性樹脂層。
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