JP5971960B2 - 積層体、積層体の製造方法及びプリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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本発明の未硬化接着性樹脂層は、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する熱架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスの塗膜を乾燥して設けられ、且つ、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする。
本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、熱硬化(以下、「キュア」ともいう)前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上である。本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂は、上記構成を有することにより、多層フレキシブル配線板などのプリント配線板の製造に好適に用いることができる。まず、本実施の形態に係る未硬化接着性樹脂を用いたプリント配線板の製造工程の概略について説明する。
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、酸性官能基を有する(A)アルカリ可溶性樹脂と、このアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する(B)架橋剤と、(C)有機溶媒と、を含有する。本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスにおいては、アルカリ可溶性樹脂が酸性官能基を有するので、塗工及び溶媒乾燥した未硬化接着性樹脂の状態ではアルカリ溶液に対して可溶となる。また、熱処理により架橋剤の架橋性官能基とアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基との間で架橋が形成され、酸性官能基が封止されるので、キュア後の接着性樹脂硬化物の状態ではアルカリ耐性が発現する。また、有機溶媒を含むことにより塗布が容易となる。したがって、プリント配線板の製造工程において、接着性樹脂ワニスを塗布・乾燥して設けられた未硬化接着性樹脂層は、キュア前にはアルカリ溶液に対して可溶となり、キュア後の接着性樹脂硬化物の状態の際にはアルカリ溶液に対して不溶となる。また、上述したように、未硬化接着性樹脂の熱重量減少が0.7%以下であるためキュア時及びはんだリフロー時の脱溶媒や副生物の揮発に基づくアウトガスの発生を抑制できる。
アルカリ可溶性樹脂としては、酸性官能基を分子内に有する樹脂であれば特に制限はない。酸性官能基としては、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、レゾール樹脂、ノボラック樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリビニルフェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ溶解性に優れ、優れた耐薬品性、電気特性、機械特性などを併せもつ(a−1)水酸基含有ポリイミド、(a−2)カルボキシル基含有ポリイミド、(a−3)ポリビニルフェノール樹脂、(a−4)ノボラック樹脂などが好ましい。また、耐熱性、難燃性、柔軟性、耐折性などの観点から、(a−1)水酸基含有ポリイミド、(a−2)カルボキシル基含有ポリイミドがより好ましい。さらに、接着性樹脂ワニスの状態での常温での保存安定性及び溶媒乾燥時に架橋剤との反応進行を抑制する観点から(a−1)水酸基含有ポリイミドが更に好ましい。
水酸基含有ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより合成される。テトラカルボン酸二無水物としては、特に制限はなく、従来公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。また、アルカリ可溶性樹脂(ポリイミド樹脂)を低弾性率化する観点及び接着性樹脂硬化物に柔軟性、耐折性を付与する観点から、上述したテトラカルボン酸二無水物とポリジメチルシロキサン含有酸二無水物とを組み合わせて使用してもよい。
カルボキシル基含有ポリイミドとしては、水酸基含有ポリイミドの水酸基がカルボキシル基となること以外は、上述した水酸基含有ポリイミドと同様のものを用いることができる。カルボキシル基含有ポリイミドは、カルボキシル基含有ジアミンを用いて合成される。得られるカルボキシル基含有ポリイミドのアルカリ溶解性、重合速度、溶液を構成する有機溶媒への溶解性の観点や入手性の観点から、カルボキシル基含有ジアミンとしては、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを用いることができる。
ポリビニルフェノール樹脂としては、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類をラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させたポリビニルフェノール樹脂が挙げられる。これらのヒドロキシスチレン類は、単独で重合させて用いてもよく、2種以上を混合して重合させて用いてもよい。
ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノールなどのフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類(尚、ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを、用いても良い。)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂が挙げられる。中でもフェノール類としてのフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールと、アルデヒド類又はケトン類としてのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましい。特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
熱架橋剤としては、アルカリ可溶性樹脂の酸性官能基と反応する架橋性官能基を有するものであれば特に制限はない。架橋性官能基としては、例えば、エポキシ基、シアネート基、オキセタン基、不飽和二重結合を有する基、ベンゾオキサジン基、オキサゾリン基、フェノール性水酸基、メラミン基、マレイミド基、アジド基、トリアジン基などが挙げられる。
オキサゾリン化合物とは、分子内に少なくとも1個のオキサゾリン基を有する化合物である。オキサゾリン化合物としては、キュア時にアルカリ可溶性樹脂の酸性官能基(例えば、ポリイミドの水酸基)を封止し、更にアルカリ可溶性樹脂(例えば、ポリイミド)分子間の架橋を形成してアルカリ耐性を付与する観点から、分子内に2個以上のオキサゾリン基を有するものが好ましい。
ベンゾオキサジン化合物とは、分子内に少なくとも一つのベンゾオキサジン官能基を有するものである。ベンゾオキサジン化合物としては、モノマーのみからなるものを用いてもよく、数分子が重合してオリゴマー状態となっているものを用いてもよい。ベンゾオキサジン化合物としては、分子内に2個以上のベンゾオキサジン官能基を有するものが好ましい。また、異なる構造を有するベンゾオキサジン化合物を同時に用いても良い。
エポキシ化合物とは、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、公知の各種エポキシ化合物を用いることができる。エポキシ化合物(エポキシ樹脂)のエポキシ当量としては、広い範囲から適宜選択できる。エポキシ化合物としては、一般には、エポキシ当量100〜10000、特にエポキシ当量100〜3000のエポキシ化合物を用いることが好ましい。
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、有機溶媒を含有する。未硬化接着性樹脂を有機溶媒に溶解した状態とすることにより、プリント配線板の塗工工程で使用する際に、均一に塗工できる。本実施の形態においては、有機溶媒としては、沸点が50℃以上220℃以下の有機溶媒を用いることが好ましい。本実施の形態においては、沸点が220℃以下の有機溶媒を使用することにより、塗工後の乾燥プロセスにおいて、十分脱溶媒することができ、熱重量分析における熱重量減少を0.7%以下とすることが可能となる。さらに、有機溶媒の沸点が50℃以上であれば、常温での保管時に溶媒が揮発することなく、保存安定性に優れた接着性樹脂ワニスとなる。
本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスにおいては、形成される接着性樹脂硬化物の難燃性を向上する観点から、(D)難燃剤を含有することが好ましい。難燃剤の種類としては特に制限はない。難燃剤としては、例えば、リン化合物及び無機難燃剤などが挙げられる。
また、本実施の形態に係る接着性樹脂ワニスは、金属箔と未硬化接着性樹脂層との密着性を向上する観点から、密着材を含有させて用いることもできる。密着材としては特に限定されないが、フェノール化合物、含窒素有機化合物、アセチルアセトン金属錯体などを挙げることができる。接着性樹脂ワニスは、更にアクリルモノマーと光ラジカル発生剤を加えてネガ型感光性接着性樹脂ワニスとしても使用できる。
本実施の形態に係る積層体は、金属箔と、この金属箔上に上記接着性樹脂ワニスを塗布、乾燥して設けられた未硬化接着性樹脂と、を有する樹脂付金属箔である。この積層体は、図1に示したように、プリント配線板の製造に好適に用いることができる。金属箔としては、特に制限はなく公知の金属箔、合金箔が適用可能である。金属箔としては、配線パターン形成性の観点から電解銅箔、圧延銅箔が好ましい。金属箔としては、微細な配線パターンを形成でき、耐折性を有する観点から、厚さ18μm以下の銅箔が好ましい。銅箔表面には、粗化処理、ニッケルや亜鉛などの公知のめっき処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理などの表面処理を行ってもよい。
本実施の形態に係るプリント配線板は、本実施の形態に係る積層体を有する。本実施の形態に係るプリント配線板は、図1に示したように、コア基板としての両面フレキシブル基板の導電層に回路パターンを形成した後、コア基板の両主面上に本実施の形態に係る積層体を積層することにより製造される。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
真空吸着及び加熱できる塗工台(マツキ科学社製)上に厚み12μmの電解銅箔(F1−WS/古河サーキットフォイル社製)の粗面側を敷き、真空吸着により電解銅箔を貼り付けた後、ギャップが125μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて、電解銅箔粗面上に接着性樹脂ワニスを塗布した。その後、下記に示す常圧乾燥法又は減圧乾燥法により、脱溶媒を行い、樹脂層厚みが30±5μmの積層体(樹脂付銅箔)を得た。
乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて95℃で任意の時間乾燥を行った。
[減圧乾燥法]
真空乾燥器(ADVANTEC社製、DRR420DA)、ベルト駆動型油回転真空ポンプ(佐藤真空社製、TSW−150)を用いて、約6.7×10−2Paの減圧下、90℃で任意の時間乾燥を行った。
PETフィルム(N152Q、帝人デュポンフィルム社製)を真空吸着及び加熱できる塗工台(マツキ科学社製)上に敷き、真空吸着により貼り付けた後、ギャップが125μmのアプリケーター(マツキ科学社製)を用いて、このPET上に接着性樹脂ワニスを塗布した。その後、上記常圧乾燥法又は上記減圧乾燥法により、一定時間脱溶媒を行った。乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)を用いて80℃で2時間脱湿乾燥を実施した後、得られた未硬化接着性樹脂の膜をPET上から引き剥がし、示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG/DTA6200)を用いて、大気中で40℃から10℃/分の速度で300℃まで昇温し、40℃の際の重量を100%とした場合の、260℃における重量減少率を測定した。重量減少率が0.4%未満の場合を◎とし、0.4%以上0.7%未満の場合を○とし、0.7%以上の場合を×とした。
キュア前の未硬化接着性樹脂のアルカリ溶解速度は、作製した積層体をそのまま用いて測定した。アルカリ溶解速度は、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂層に圧力0.18MPaでスプレーして測定した。樹脂層が完全に溶けるまでに要した時間を溶解時間(秒)とし、溶解前の膜厚(μm)を溶解時間(秒)で除することでアルカリ溶解速度(μm/秒)を算出した。アルカリ溶解速度が0.6μm/秒以上の場合を◎とし、0.3μm/秒以上の場合を○とし、0.1μm/秒の場合を△とし、0.1μm/秒未満の場合を×とした。
キュア後の接着性樹脂硬化物のアルカリ溶解速度は、上記積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中で180℃1時間加熱硬化(キュア)したものを用いて測定した。キュア後のアルカリ溶解速度は、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液を樹脂層に圧力0.18MPaで300秒間スプレーして測定した。スプレー前後の樹脂層の膜厚差を測定し、300秒で除することでアルカリ溶解速度(μm/秒)を算出した。アルカリ溶解速度が0.005μm/秒以下の場合を◎とし、0.05μm/秒以下の場合を○とし、0.05μm/秒超の場合を×とし、300秒のスプレー後に樹脂層が全て溶解してしまった場合を××とした。
約25μmの積層体を、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中180℃1時間キュアした後、塩化第二鉄水溶液で銅箔部分を溶解させた。蒸留水で水洗後、室温で1日乾燥させてフィルムを得た。得られたフィルムを5mm×100mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を引っ張り試験機(RTG−1210/エー・アンド・デイ社製)にて測定し、引張弾性率を算出した。引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaの場合を○とし、0.3GPa未満の場合を△とし、2.5GPa超えの場合を×とした。
3%塩酸水溶液で酸洗浄した両面フレキシブル基板(エスパネックスM、新日鉄化学社製、絶縁層の厚さ25μm、導電層:銅箔F2−WS(12μm))の一方の導電層上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層した。次に、積層体の導電層上にドライフィルムレジスト(サンフォートAQ2578 旭化成イーマテリアルズ社製)をラミネートし、500μmφの円孔パターンを形成した後、塩化第二鉄エッチング液で円孔形成部の導電層をエッチング除去した。
積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、80℃で2時間脱湿乾燥した。次に、予め3%塩酸水溶液で酸洗浄した電解銅箔F2−WS(9μm)の光沢面上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層して試料を作製した。次に、試料のキュア後及びはんだ浴浸漬後の外観を観察し、導電層に樹脂層と導体層との間のデラミネーションに起因する膨れが発生しているかを確認し、下記の基準により評価した。
上記未硬化接着性樹脂層を含む積層体の試料を10cm×10cmに切断し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中180℃で1時間キュアを実施した後、膨れの有無を目視にて確認した。膨れが全く確認されなかった場合を○とし、膨れの面積の合計が1cm2未満の場合を△とし、膨れ面積の合計が1cm2以上の場合を×とした。
[はんだリフロー後]
キュア後の上記10cm×10cmの接着性樹脂硬化物を含む積層体の試料を260℃のハンダ浴上に積層体の導電層を下にして60秒間フロートして試験を行った。膨れが全く確認されなかった場合を○とし、膨れの面積合計が1cm2未満の場合を△とし、膨れ面積合計が1cm2以上の場合を×とした。
3%塩酸水溶液で酸洗浄した両面フレキシブル基板(エスパネックスM、新日鉄化学社製、絶縁層の厚さ25μm、導電層:銅箔F2−WS(12μm))の一方の導電層上に積層体の未硬化接着性樹脂層を真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧して積層した。次に、積層体導電層を第二鉄エッチング液で全面エッチングし、樹脂層を完全に露出させた後、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中で180℃1時間キュアした。キュア後の接着性樹脂硬化物層に50℃に加温した3wt%の水酸化ナトリウム水溶液を圧力0.18MPaで300秒間スプレーした。スプレー前後、9点測定した樹脂層の膜厚変化の平均値が1μm未満であり、かつ膜表面の光沢がスプレー前後で全く変わらないものを◎とし、スプレー前後の膜厚変化平均値が3μm未満であり、かつ膜表面の光沢がスプレー前後で全く変わらないものを○とし、膜厚変化が3μm以上及び/または膜表面の失沢が確認されたものを×とし、膜が完全に溶解除去されてしまったものを××とした。
絶縁信頼性評価は、以下のように実施した。接着性樹脂ワニスをPETフィルムに塗布し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて大気中90℃で30分間溶媒乾燥を行った。これをラインアンドスペースが20μm/20μmのくし型基板上に、真空プレス機(北川精機社製)にて、100℃、1.0MPaで1分間加圧し、乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、180℃で1時間キュアして、接着性樹脂硬化物を得た。こうして得られた基板にマイグレーションテスタのケーブルを半田付けし、下記条件にて絶縁信頼性試験を行った。
絶縁劣化評価システム:SIR−12(楠本化成社製)
恒温恒湿チャンバー:SH−641(エスペック社製) 温度:85℃ 湿度:85%
印加電圧:20V
印加時間:1000時間
積層体を乾燥器(ESPEC社製、SPHH−10l)にて、180℃で1時間キュアした後、5cm×5cmに切断して試料を作製した。この接着性樹脂硬化物を含む積層体の試料を23℃50%RHの恒温恒湿下に24時間静置した後、樹脂層を上にして樹脂層の端部の浮き高さを測定した。端部の浮き高さが5mm以内のものを◎とし、10mm以内のものを○とし、それ以上に浮き高さがあるものを×とした。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(1)ワニスを得た。重量平均分子量は27000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。トリエチレングリコールジメチルエーテル(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(2)ワニスを得た。重量平均分子量は24000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)0.40g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00g、無水マレイン酸0.19gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(3)ワニスを得た。重量平均分子量は25000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)423g、トルエン90g、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)48.8g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(4)ワニスを得た。重量平均分子量は28000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、γ―ブチロラクトン(70.4g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290S、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)10.94g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(5)ワニスを得た。重量平均分子量は23000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)407g、トルエン90g、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)38.16g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(6)ワニスを得た。重量平均分子量は24000であった。
撹拌装置、コンデンサー、及び窒素ガス導入管を備えたガラス製反応釜に、フェノール404.2g(4.30モル)、4,4’−ジ(クロロメチル)ビフェニル150.70g(0.6モル)を仕込み100℃で3時間反応させた。その後、42%ホルマリン水溶液28.57g(0.4モル)を添加した後、100℃で3時間反応させた。その間、生成するメタノールを留去した。反応終了後、得られた反応溶液を冷却し、水洗を3回行った。油層を分離し、減圧蒸留により未反応フェノールを留去することにより251gのポリマー(7)を得た。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。次に、銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。なお、下記表1においては、アルカリ可溶性樹脂を(A)成分とし、架橋剤を(B)成分とし、有機溶媒を(C)成分とし、難燃剤を(D)成分と表記する。
銅箔上へ樹脂層を塗工した後、90℃30分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は実施例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が69質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が6質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。接着性樹脂ワニスを銅箔上に塗工した後、95℃30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(2)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにトリエチレングリコールジメチルエーテルで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
銅箔上へ接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は実施例4と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、実施例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(4)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させた後、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥してポリマー(4)固形物を得た。このポリマー(4)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトン:ジメチルスルホキシド(DMSO)=80:20の混合溶媒を添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(4)が66.5質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(5)が69質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が6質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(6)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させた後、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(6)固形物を得た。このポリマー(6)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトン:ジメチルスルホキシド(DMSO)=80:20の混合溶媒を添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(6)が66.5質量%、オキサゾリン化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、ベンゾオキサジン化合物として四国化成工業社製のP−d型ベンゾオキサジンが11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は実施例10と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、エポキシ化合物としてDIC社製のシクロペンタジエン型エポキシ樹脂HP7200が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は実施例12と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(3)が64質量%、オキセタン化合物として東亞合成社製のOXT−221(ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(3)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(3)が64質量%、不飽和化合物として東亞合成社製の多官能アクリレートM−310が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(7)を接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(7)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
ポリマー(7)を接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにジメチルスルホキシド(DMSO)で希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(7)が64質量%、ベンゾオキサジン基を含有する化合物として四国化成工業社製のP−d型ベンゾオキサジンが11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、30分の減圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表1に示す。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(75.0g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)14.00g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(8)ワニスを得た。重量平均分子量は29000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(70.4g)、トルエン(20.0g)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)1.00g、両末端酸二無水物変性シリコーン(X−22−2290AS、信越化学社製)35.00gを入れ均一になるまで攪拌した。さらに、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBAA)10.94g、を少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、2時間加熱した。反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(9)ワニスを得た。重量平均分子量は23000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)349g、トルエン90g、ポリアルキルエーテルジアミンBaxxodur(登録商標) EC302(BASF社製)112.8gを添加し、均一になるまで攪拌した。そこに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。さらに、反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。その後、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)38.9gとNMP58gを添加し、40℃で4時間攪拌した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(10)ワニスを得た。重量平均分子量は22000であった。
三口セパラブルフラスコに窒素導入管、温度計、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。オイルバス室温で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)353g、トルエン90g、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)115.6gを添加し、均一になるまで攪拌した。そこに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)120gを少しずつ添加した後、180℃まで昇温し、3時間加熱した。さらに、反応中、副生する水は、トルエンと共沸し、水分分離トラップを備えた玉付冷却管を用いて、還流下、脱水を行った。副生水を抜いた後、還流を止め、トルエンを全抜きし、室温まで冷却した。次に生成物を5μmのフィルターで加圧ろ過することでポリマー(11)ワニスを得た。重量平均分子量は26000であった。
ポリマー(8)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにNMPで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(8)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。なお、下記表3においては、アルカリ可溶性樹脂を(A)成分とし、架橋剤を(B)成分とし、有機溶媒を(C)成分とし、難燃剤を(D)成分と表記する。
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃、180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(9)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は、比較例1と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例3と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(4)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにNMPを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(4)が66.5質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が7.8質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、90℃180分の減圧乾燥法にて脱溶媒したこと以外は比較例5と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(10)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させ、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(10)固形物を得た。このポリマー(10)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(10)が74.3質量%、熱架橋剤は添加せず、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%、耐熱安定剤としてBASF社製のIRGNOX245が0.7質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、熱架橋剤としてダイトーケミックス社製光酸発生剤PA−6(1,2−ナフトキノンジアジド−5-スルホン酸エステル)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は比較例8と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(1)のポリマーワニスをそのまま使用し、接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンで希釈し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(1)が64質量%、熱架橋剤として旭化成ケミカルズ社製ブロックイソシアネート(TPA−80E)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(5)のポリマーワニスをそのまま使用したこと以外は比較例10と同様にして積層体を作製し、作製した積層体を評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
ポリマー(11)のポリマーワニスを蒸留水中に投じて、再沈殿させ、得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥し、ポリマー(11)固形物を得た。このポリマー(11)固形物に接着性樹脂ワニスの固形分が40質量%になるようにγ−ブチロラクトンを添加し、かつ接着性樹脂ワニスの固形分合計を100質量%とした際に、ポリマー(11)が64質量%、オキサゾリン基を含有する化合物として1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(PBO)が11質量%、難燃剤として伏見製薬社製のFP300が25質量%となるように接着性樹脂ワニスを調製した。銅箔上に接着性樹脂ワニスを塗工した後、95℃、30分の常圧乾燥法にて脱溶媒して積層体を作製し、作製した積層体について評価した。接着性樹脂ワニスの組成及び乾燥条件を下記表3に示す。
11 絶縁層
12(12a,12b),14(14a,14b) 銅箔
13(13a,13b) 積層体
15(15a,15b) 未硬化接着性樹脂層
15’ (15a’,15b’) 接着性樹脂硬化物層
16 ブラインドビア
17 カバーコート
Claims (7)
- 金属箔と、該金属箔上に、(A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスの塗膜を乾燥した未硬化接着性樹脂層と、を具備し、
前記未硬化接着性樹脂層は、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする積層体。 - 前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の状態において、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.05μm/sec以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 前記未硬化接着性樹脂層は、180℃、1時間のキュア後の、厚さ25μm時における引張弾性率が0.3GPa〜2.5GPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層体。
- 前記未硬化接着性樹脂層は、水酸基含有ポリイミドを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。
- (A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスを金属箔に塗布する工程と、前記金属箔に塗布した前記接着性樹脂ワニスを乾燥して、請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体を得る工程と、を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体を、150℃〜250℃、10分〜5時間の条件で硬化する工程を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
- (A)酸性官能基を分子内に有するアルカリ可溶性樹脂、(B)前記酸性官能基と反応する架橋性官能基を有する熱架橋剤及び(C)エステル系溶媒、エーテル系溶媒又は含硫黄系溶媒或いはこれらのうち少なくとも2つを含有する接着性樹脂ワニスの塗膜を乾燥して設けられ、且つ、キュア前の状態において、熱重量分析(TG)による40℃から10℃/分の昇温条件で測定した260℃における熱重量減少が0.7%以下であり、50℃の3質量%水酸化ナトリウム水溶液に対するアルカリ溶解速度が0.3μm/sec以上であることを特徴とする未硬化接着性樹脂層。
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