JP5971855B2 - 振動ローラ車両 - Google Patents
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Description
貯水タンクに貯留された水は、配管を通じて車体上の所定位置に設置されたノズルに供給されて転圧ローラや路面への散水に供されるため、車体上での貯水タンクの設置場所は、例えばパワートレイン等の機械的な構成に比較して自由度が高い。このため、通常はパワートレイン等のレイアウトを優先して決定し、余ったスペースから貯水タンクの設置位置が決定されており、例えば特許文献1に記載された振動ローラ車両では、車体の後部転圧ローラの直上に貯水タンクが設置されている。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、貯水タンクが車体の高い位置に設置されている場合であっても、水の補給作業を容易に実施することができる振動ローラ車両を提供することにある。
請求項2の発明は、請求項1において、ステップが、その後端を転圧ローラの最外周円内に位置させたものである。
請求項4の発明は、請求項1または3において、ステップが、基端を中心として直立姿勢の格納位置と水平姿勢の使用位置との間で回動可能に構成され、使用位置では後端を転圧ローラの最外周円よりも突出させるものである。
従って、貯水タンクに水を補給する際に、作業者はステップ上に足を乗せて立つことにより立ち位置を高めることができ、水の補給作業を容易に実施することができる。また、既存のカバーにステップを固定するだけの簡単な構成により実施することができる。
請求項2の発明の振動ローラ車両によれば、請求項1に加えて、ステップの後端を転圧ローラの最外周円内に位置させた。このため、振動ローラ車両の取回しを悪化させることなく良好な作業性を維持することができる。
請求項4の発明の振動ローラ車両によれば、請求項1または3に加えて、ステップを基端を中心として格納位置と使用位置との間で回動可能とし、使用位置では後端を転圧ローラの最外周円よりも突出させるようにした。従って、作業者がステップに足を掛け易くなるため、水の補給作業を一層容易に実施することができる。
以下、本発明を具体化した振動ローラ車両の第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態の振動ローラ車両を示す正面図、図2は同じく振動ローラ車両を後方より見た側面図,図3は同じく振動ローラ車両を上方より見た平面図である。
振動ローラ車両の車体は、前部転圧ローラ1を備えた前部車体2と後部転圧ローラ3(タイヤ)を備えた後部車体4とから構成されている。これらの前部車体2と後部車体4とは、センタピン5を介して水平方向に屈曲可能なアーティキュレート式に連結され、相互に屈曲することで車両の旋回を行うようになっている。前部転圧ローラ1はほぼ車幅と対応する長さを有する金属ドラムから構成され、前部車体2から下方に延設された左右一対の支持アーム6により回転可能に支持されている。
又、後部転圧ローラ3は左右2本ずつ計4本のゴムタイヤから構成され、後部車体4に設けられたアクスル7により回転可能に支持されている。結果として本実施形態の振動ローラ車両は、前部転圧ローラ1を金属ドラムとし、後部転圧ローラ3をゴムタイヤとした所謂コンバインド型として構成されている。
アクスル7は左右の後部転圧ローラ3の間に配設されており、後部転圧ローラ3を支持しながら回転駆動する左右一対の油圧モータ10、これらの油圧モータ10を収容するモータハウジング11等の部材から構成されている。図4に示すように、モータハウジング11は断面略C字状をなして左右方向に延設され、左右両側方及び後方に向けて開口している。モータハウジング11の外周面の上下にはそれぞれフランジ部11aが突設され、これらのフランジ部11aが後部車体4側に設けられた上下一対の取付ベース4aにそれぞれボルト12で固定されることにより、モータハウジング11が後部車体4の所定位置に取り付けられている。
図示はしないが油圧ポンプはエンジンにより駆動され、油圧ポンプから吐出された作動油がバルブの切換に応じて油圧ホース13を経て各油圧モータ10に供給される。作動油の供給状態に応じて油圧モータ10により後部転圧ローラ3が正転方向又は逆転方向に駆動され、これにより振動ローラ車両が任意の速度で前進または後退するようになっている。尚、詳細は説明しないが油圧ポンプからの作動油は、前部転圧ローラ1の回転駆動や路面の転圧のための前部転圧ローラ1の加振にも利用される。
カバー14は金属板材を折曲加工して製作され、全体として中央部14aから上側傾斜部14b及び下側傾斜部14cを上下方向に延設した長方形状をなしている。カバー14の中央部14aは剛性確保のために左右両側部14dを車両前方に折曲させた断面コ字状をなし、その中央部14aに対して上側傾斜部14b及び下側傾斜部14cは、モータハウジング11を取り囲むように車両前方に向けて鈍角状に折曲されている。カバー14の上側傾斜部14bの上端は後部車体4側に設けられた取付ベース4bにボルト15で固定され、カバー14の下側傾斜部14cの下端はモータハウジング11側に設けられた取付ベース11bにボルト15で固定されている。
これにより左右の後部転圧ローラ3間にカバー14が固定されて、油圧モータ10に対する油圧ホース13の接続箇所等を後方から隠蔽している。ボルト15,16の脱着によりカバー14は取外可能であり、油圧モータ10や油圧ホース13のメンテナンスはカバー14を取り外して実施される。
座席20の後側位置に相当する後部車体4上の最後部には貯水タンク21が設置され、この貯水タンク21はほぼ車幅と対応する幅を有している。貯水タンク21には、前部及び後部転圧ローラ1,3の近傍に配設されたローラ散水ノズル22、及び後部車体4の後端に配設された図示しない路面散水ノズルが配管及び給水ポンプを介して接続されている。貯水タンク21には水が貯留され、舗装作業時には前部及び後部転圧ローラ1,3への舗装材の付着防止、或いは転圧後の舗装材の冷却硬化促進等を目的として、貯水タンク21内の水が給水ポンプにより各散水ノズル22に供給されて前部及び後部転圧ローラ1,3や路面へと散水される。
図2などから明らかなように、貯水タンク21は後部転圧ローラ3の直上に設置されており、必然的に貯水タンク21の給水口26やレベルゲージ25は高所に位置しているため、水の補給作業やレベルゲージ25による貯水量の確認が行い難いという問題がある。その対策として、給水口26までのアクセス性を向上させるべく、貯水タンク21の直下にメンテナンス用のステップを設けることも考えられるが、車体後方に突出したステップは振動ローラ車両の取回しを悪化させるという弊害を生じてしまう。
ステップ28は帯状の金属板材を折曲加工して製作され、左右方向に延びる後側辺29の両端から左側辺30及び右側辺31をそれぞれ前方に向けて延設したコ字状をなしている。左側辺30と右側辺31とは相対向し、その前後方向の中間付近が連結部32を介して溶接により相互に連結されている。
このときのステップ28は作業者の全体重を受けるが、上記のようにカバー14を介して十分な強度を有する後部車体4及びモータハウジング11に固定されているため、何ら問題なく作業者を支え続ける。
上記したように舗装工事の際にはローラ散水ノズル22及び路面散水ノズルからローラ1,3や転圧後の路面への散水を実施するため、工事に先立って貯水タンク21には水が補給される。水の補給はホースからの水を貯水タンク21の給水口26に流し入れることで行われるが、図1,2から明らかなように、貯水タンク21自体が後部転圧ローラ3上の高所に設置されている上に、給水口26やレベルゲージ25は貯水タンク21の最上部に設けられている。
一方で、ステップ28の後端が後部転圧ローラ3の最外周円内に位置しているため、振動ローラ車両の取回しは何ら悪化せず良好な作業性を維持することができる。
また、以上のように既存のカバー14にステップ28を溶接しただけの非常に簡単な構成である。しかも、デッドスペースである左右の後部転圧ローラ3の間隙Sにステップ28が配設されるため、周辺部品への影響を防止できる。例えばステップ28を設置しても、近接位置にあるローラ散水ノズル22等の設置状態を変更する必要は一切ない。よって、振動ローラ車両の仕様を大幅に変更することなく低コストで実施することができる。
次に、本発明を別の振動ローラ車両に具体化した第2実施形態を説明する。
本実施形態の振動ローラ車両は第1実施形態で述べたものと基本的な構成は同一であり、相違点はステップ41の構造にある。そこで、共通する構成の箇所には同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
図7は本実施形態のステップ41の取付状態を示す部分断面図、図8は同じくステップ41の取付状態を示す斜め下方より見た斜視図、図9は同じくステップ41の取付状態を示す斜め上方より見た斜視図、図10はステップ41の支持機構を示す図7の拡大断面図、図11は同じくステップ41の支持機構を示す図10のX1−X1線断面図である。
これによりステップ41は基端をブラケット42にボルト47を介して連結されて、基端を中心として先端側を回動し得るようになっている。ステップ41は、上方に回動した図10に実線で示す直立姿勢(以下、格納位置と称する)ではカバー14に当接して回動規制され、下方に回動した図10に仮想線で示す水平姿勢(以下、使用位置と称する)では基端のストッパ部49をカバー14の表面に当接させて回動規制される。よって、これらの格納位置と使用位置との間でステップ41が任意に回動し得るようになっている。
本実施形態では、使用位置にあるときのステップ41の後端が後部転圧ローラ3の最外周円よりも後方に突出するようになっている。但し、ステップ41を格納位置に回動させれば、ステップ41全体が後部転圧ローラ3の最外周円内に収まって後方への突出が防止される。
舗装工事中等の通常時には、ボルト53によりステップ41を格納位置に保持して使用位置への回動を規制している。このため、ステップ41の後端が後部転圧ローラ3の最外周円よりも後方に突出することが防止され、振動ローラ車両の取回しは何ら悪化せず良好な作業性を維持することができる。
そして、通常時にはステップ41を格納位置に保持する構成のため、第1実施形態のようにステップ41の長さを後部転圧ローラ3の最外周円内に制限する必要がない。このためより長いステップ41を設けて、使用位置ではステップ41の後端を後部転圧ローラ3の最外周円よりも後方に突出させることができる。結果として作業者はステップ41に足を掛け易くなるため、水の補給作業を一層容易に実施することができる。
又、上記第2実施形態では、ステップ41を水平姿勢の使用位置から上方に回動させて格納したが、下方に回動させて格納するようにしてもよい。
3 後部転圧ローラ(タイヤ)
4 後部車体
10 油圧モータ
11 モータハウジング
13 油圧ホース
14 カバー
21 貯水タンク
22 ローラ散水ノズル(散水手段)
26 給水口
28,41 ステップ
Claims (4)
- 前部車体と、該前部車体に対し水平方向に屈曲可能に連結された後部車体と、該後部車体に設けられたアクスルと、該アクスルを構成するモータハウジングに収容された油圧モータと、該油圧モータの左右両側に互いに離間して配置され上記油圧モータにより回転駆動されるタイヤと、上記後部車体の上記タイヤの直上付近に配設され上部に給水口を備えた貯水タンクと、該貯水タンクに貯留された水を上記タイヤ又は路面の少なくとも一方に散水する散水手段とを備えた振動ローラ車両において、
上記左右のタイヤの間に形成された間隙内に、上記油圧モータに接続された油圧ホースを保護するためのカバーを配設し、該間隙内における上記アクスルの左右方向の中央部分に、ステップを配設すると共に、該ステップを上記カバーに固定したことを特徴とする振動ローラ車両。 - 上記ステップは、その後端を上記タイヤの最外周円内に位置させたことを特徴とする請求項1記載の振動ローラ車両。
- 上記カバーは、上記後部車体又は上記油圧モータを収容するモータハウジングに取り付けられ、該カバーに上記ステップが固定されたことを特徴とする請求項1または2記載の振動ローラ車両。
- 上記ステップは、基端を中心として直立姿勢の格納位置と水平姿勢の使用位置との間で回動可能に構成され、上記使用位置では後端を上記タイヤの最外周円よりも突出させることを特徴とする請求項1または3記載の振動ローラ車両。
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