JP5971046B2 - トナー保持体及びこれを用いた現像装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置 - Google Patents

トナー保持体及びこれを用いた現像装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー保持体及びこれを用いた現像装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関する。
従来における電子写真方式の画像形成装置で用いられる現像装置としては、例えば特許文献1〜3に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、現像スリーブとして、円筒状のスリープ基体表面にスプレー塗布法により樹脂被膜を形成し、そのスリーブ基体表面については、スプレー塗布法により樹脂被膜を形成しても、現像スリーブ表面の長手方向に大きなうねりができないよう、心無し研削装置により長手方向のろ波最大うねりWcm≦0.35μmとなるように、予め高精度に研削する点が開示されている。
特許文献2には、大きな表面粗さ及びうねりに起因するトナー付着量のムラにより発生する画像濃度ムラを防止するために、現像ローラの円筒状基体を径寸法が一定になるように切削加工により表面仕上げし、該切削加工による円筒状基体の軸方向の凹凸ピッチが0.06mm以下であり、円筒状基体のうねりWcaが0.5μm以下で、表面層の表面の十点平均粗さRzが4μm以下である点が開示されている。
特許文献3には、現像室内でのトナーの帯電量を均一に近づけるために、新品トナーを収容するトナーカートリッジの交換時に、トナーカートリッジから現像室内に新品トナーを供給し、現像室内で新品トナーと現像室内に残留していた残留トナーとを撹拌させて撹拌済みトナーとした後、現像室からトナーカートリッジ内に撹拌済みトナーを回収する点が開示されている。
特開2000−293030号公報(発明の実施の形態,図2) 特開2004−37663号公報(発明の実施の形態,図1) 特開2009−244456号公報(発明を実施するための最良の形態,図3)
本発明が解決しようとする技術的課題は、導電性基材の表面を被覆層にて被覆した態様で、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することが可能なトナー保持体及びこれを用いた現像装置、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、潜像が保持される像保持体に対向して非接触に配置され、非磁性トナーを保持して循環回転するトナー保持体であって、金属製の導電性基材と、この導電性基材の表面を被覆する被覆層と、を有し、前記被覆層の表面うねりは、うねり曲線要素の平均高さをWca、うねり曲線要素の平均長さをWc−Smとすると、Wca≦0.5(μm),Wc−Sm≧2.5(mm)の関係を満たし、更に、前記導電性基材の表面うねりは、前記被覆層と同程度のWca及びWc−Smの関係を満たし、前記被覆層の表面粗さは、1cm の表面積当たりの油だまり深さRvkの中に溜まる油の量に相当する油だまり量をV0とし、表面に保持するトナーの平均粒径をd(μm)とすると、V0/d<6.8×10 −4 の関係を満たすように構成されていることを特徴とするトナー保持体である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係るトナー保持体において、前記導電性基材は、金属製の円筒状基材であることを特徴とするトナー保持体である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係るトナー保持体において、前記被覆層は、スプレーコート法により構成されることを特徴とするトナー保持体である。
請求項に係る発明は、請求項1ないしいずれかに係るトナー保持体と、このトナー保持体に保持されたトナーを帯電する帯電部材と、前記像保持体と前記トナー保持体との間に少なくとも予め決められた電位差の直流成分が含まれる現像電界を形成することで、前記トナー保持体に保持されて前記帯電部材で帯電されたトナーを前記像保持体上の潜像に対し飛翔させ、前記潜像にトナーを付着させて現像する現像電界形成手段と、を備えたことを特徴とする現像装置である
請求項に係る発明は、請求項に係る現像装置において、前記現像電界形成手段は、前記現像電界として前記直流成分に電位が周期的に変化する交流成分を重畳した電界を形成するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項に係る発明は、請求項4又は5に係る現像装置において、前記帯電部材は前記トナー保持体の表面に接触する金属製の板状部材であることを特徴とする現像装置である。
請求項に係る発明は、画像形成装置筐体に予め形成された受部に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、潜像が保持される像保持体と、この像保持体に保持された潜像をトナーにて現像する請求項ないしいずれかに係る現像装置と、を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項に係る発明は、潜像が保持される像保持体と、この像保持体に保持された潜像をトナーにて現像する請求項ないしいずれかに係る現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、導電性基材の表面を被覆層にて被覆した態様で、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することができる。更に、トナー保持体に対して所望の表面うねり曲線を形成するに当たり、導電性基材の表面に対して所望の研削処理を施すだけで、トナー保持体に所望の表面うねり曲線を容易に形成することができ、しかも、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、帯電不良トナーが現像に供される事態を有効に防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、簡単な構成で、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することができる。
請求項3に係る発明によれば、トナー保持体に対して所望の表面うねり曲線を形成するに当たり、導電性基材の表面に追従して被覆層を容易に形成することができる。
請求項に係る発明によれば、導電性基材の表面を被覆層にて被覆したトナー保持体に対し、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することが可能な現像装置を提供することができる。更に、トナー保持体に対して所望の表面うねり曲線を形成するに当たり、導電性基材の表面に対して所望の研削処理を施すだけで、トナー保持体に所望の表面うねり曲線を容易に形成することができ、しかも、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、帯電不良トナーが現像に供される事態を有効に防止することが可能な現像装置を提供することができる。
請求項5に係る発明によれば、直流成分に交流成分が重畳された現像電界を使用した態様であっても、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、簡単な構成で、帯電不良トナーが現像に供される事態を有効に防止することができる。
請求項に係る発明によれば、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、簡単且つ安価な構成で、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することができる。
請求項に係る発明によれば、導電性基材の表面を被覆層にて被覆したトナー保持体に対し、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することが可能な現像装置を含むプロセスカートリッジを容易に構築することができる。更に、トナー保持体に対して所望の表面うねり曲線を形成するに当たり、導電性基材の表面に対して所望の研削処理を施すだけで、トナー保持体に所望の表面うねり曲線を容易に形成することができ、しかも、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、帯電不良トナーが現像に供される事態を有効に防止することが可能な現像装置を含むプロセスカートリッジを容易に構築することができる。
請求項に係る発明によれば、導電性基材の表面を被覆層にて被覆したトナー保持体に対し、帯電部材を接触した状態で使用したとしても、表面うねりに追従してトナー層を安定的に形成することが可能な現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。更に、トナー保持体に対して所望の表面うねり曲線を形成するに当たり、導電性基材の表面に対して所望の研削処理を施すだけで、トナー保持体に所望の表面うねり曲線を容易に形成することができ、しかも、トナーを用いて非接触現像を行うに当たり、帯電不良トナーが現像に供される事態を有効に防止することが可能な現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
(a)は本発明が適用される現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)に示す現像装置で用いられるトナー保持体の表面のうねり特性を示す説明図、(c)は(b)に示すトナー保持体の表面粗さの好ましい態様を示す説明図である。 実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる現像装置の要部を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる現像装置のトナー、現像ロール、現像電界の条件を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる現像ロールの表面のうねり特性を示す説明図、(b)は(a)に示す現像ロールの製造方法の一例を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる現像ロールの表面におけるうねり曲線要素の平均高さWcaの意義を示す説明図、(b)は同うねり曲線要素の平均長さWc−Smの意義を示す説明図である。 (a)は実施の形態1で用いられる現像ロールの対象面の粗さ曲線、負荷長さ率を示すグラフ図、(b)は現像ロールの表面粗さとしての油だまり量を求める数式を示す説明図である。 (a)は現像ロールの粗さ曲線と負荷長さ率との関係を模式的に示す説明図、(b)は負荷長さ率を求める数式を示す説明図である。 (a)は現像ロールの表面に対するトナーの付着力を求める数式を示す説明図、(b)はトナーの付着力について静電付着力であるクーロン力と非静電付着力とに分解した一例を示す説明図である。 トナーの帯電分布を測定する測定装置の一例を示す説明図である。 図10に示す測定装置による測定結果の一例を示す説明図である。 実施の形態1で用いられる現像ロールの表面のうねり特性に伴う作用を示す説明図である。 実施例1に係る現像装置の現像ロールのうねり特性を評価する上で、現像ロールの表面におけるうねり特性パラメータWca、Wc−Smを変化させ、それぞれの場合における現像画像について斑模様の発生の有無を調べた結果を示す説明図である。 実施例2に係る現像装置の現像ロールの表面粗さを各種パラメータで評価するに当たり、(a)〜(d)は現像ロールの表面粗さのパラメータとして、平滑性に関わる指標(油だまり量V0,油だまり深さRvk,平均傾斜RΔa,展開長さ比Rlr)と非静電付着力との相関を示すグラフ図である。 同評価に当たり、(a)〜(d)は現像ロールの表面粗さのパラメータとして、高さに関わる指標(算術平均粗さRa,十点平均粗さRzJIS,振幅分布のゆがみRsk,振幅分布のとがりRku)と非静電付着力との相関を示すグラフ図である。 同評価に当たり、(a)〜(d)は現像ロールの表面粗さのパラメータとして、潤滑性に関わる指標(初期摩耗高さRpk,初期摩耗長さMr1,油だまり部長さMr2)及び横方向に関わる指標(凹凸の間隔Sm)と非静電付着力との相関を示すグラフ図である。 実施例3に係る現像装置の現像ロールに対する付着力を評価するに当たり、(a)は現像ロールへの印加電圧を変化させたときの現像の状態を示すデータ、(b)は(a)のデータの代表点について飛翔したトナーの電荷Q、粒径dなどを示すデータ、(c)は飛翔開始時の現像電圧Vdev、飛翔開始トナーの電荷Q、粒径dなどを示すデータである。 図17(a)に示すデータに基づいて現像電圧Vdevと単位面積当たりの現像量DMAとの関係を示すグラフである。 (a)は図17(b)に示すデータに基づいて現像電圧Vdevと現像トナーの帯電量との関係を示すグラフ図、(b)は図17(b)に示すデータに基づいて現像電圧Vdevと現像トナーの粒径との関係を示すグラフ図である。 実施例3の現像装置における付着力を計算するシートの一例を示す説明図である。 図20の付着力計算シートに基づいて付着力を分解する過程を模式的に示す説明図である。 実施例4に係る現像装置を用いて、トナー付着力と感光体上のかぶり濃度との関係を示すグラフ図である。 実施例4に係る現像装置を用いて、クーロン力と感光体上のかぶり濃度との関係を示すグラフ図である。 実施例4に係る現像装置を用いて、非静電付着力と感光体上のかぶり濃度との関係を示すグラフ図である。 実施例4に係る現像装置を用いて、帯電性の高い高帯電ブレードによるトナーの帯電工程を経た条件における非静電付着力と感光体上のかぶり濃度との関係を示すグラフ図である。 実施例5に係る現像装置で用いられる現像ロールの特性を示す説明図である。 図26に示す現像ロールに関し、測定装置で測定されたV0と非静電付着力との関係を示す説明図である。 図26に示す現像ロールに関し、飛翔開始トナーの電荷量とクーロン力との関係を示すグラフ図である。 実施例6及び比較例6に係る現像装置の現像ロールを変更し、クーロン力、非静電付着力、付着力と飛翔開始トナーの粒径との関係を調べた説明図である。 図29に示すデータに基づいて、飛翔開始トナーの粒径と飛翔開始トナーの非静電付着力との関係を示すグラフ図である。 実施例7に係る現像装置と比較例7に係る現像装置とに対して、経時使用における感光体上のかぶり濃度の変化状態を示すグラフ図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用される現像装置を含む画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、潜像が保持される像保持体5と、この像保持体5に保持された潜像を非磁性トナーにて現像する現像装置6と、を備えている。
本例では、像保持体5は、潜像を保持するものであれば、感光体、誘電体に限らず、画素密度に応じた画素電極を格子状に配列して各画素電極に潜像形成用の潜像電圧を印加するものでもよい。また、像保持体5、現像装置6は個々的に設けられていても差し支えないが、例えば画像形成装置筐体に予め設けられた受部に対し着脱可能なプロセスカートリッジに、前記像保持体5、現像装置6を予め組み込むようにしてもよい。
そして、本例では、現像装置6は、図1(a)に示すように、潜像が保持される像保持体5に対向して非接触に配置され、非磁性のトナーTNを保持して循環回転するトナー保持体1と、このトナー保持体1に保持されたトナーTNを帯電する帯電部材2と、前記像保持体5と前記トナー保持体1との間に少なくとも予め決められた電位差の直流成分が含まれる現像電界Eを形成することで、前記トナー保持体1に保持されて前記帯電部材2で帯電されたトナーTNを前記像保持体5上の潜像に対し飛翔させ、前記潜像にトナーTNを付着させて現像する現像電界形成手段3と、を備えている。
特に、本態様で用いられるトナー保持体1は、図1(b)に示すように、導電性基材1aと、この導電性基材1aの表面を被覆する被覆層1bと、を有し、前記被覆層1bの表面うねりは、うねり曲線要素の平均高さをWca、うねり曲線要素の平均長さをWc−Smとすると、Wca≦0.5(μm)、Wc−Sm≧2.5(mm)の関係を満たすことを特徴とするトナー保持体である。
このような技術的手段において、トナー保持体1は、非磁性トナーTNを保持するものであれば適宜選定して差し支えなく、その形態は代表的にはロール状であるが、これに限られない。
また、帯電部材2は、トナー保持体1に保持されるトナーTNを帯電する機能部材であれば、トナーに接触して摩擦帯電する部材を始め適宜選定して差し支えない。
更に、現像電界形成手段3としては、少なくとも直流成分が含まれる現像電界Eを形成するものであればよいが、現像性を高めるという観点からすれば、直流成分に交流成分が重畳された現像電界を形成する態様が好ましい。
更にまた、導電性基材1aとしては代表的には金属製基材が用いられるが、導電性粒子が含まれる高硬度の樹脂製基材やセラミックス製基材を用いるようにしてもよい。
そして、被覆層1bとしての材料は適宜、選定して差し支えないが、導電性部材の表面との追従性を考慮すると、樹脂製の被覆層1bが好ましい。
また、トナー保持体1のうねり特性のうち、うねり曲線要素の平均高さWcaとは、基準長さでのうねり曲線要素の高さの平均を意味するものであり、‘うねり曲線要素’は一つの山+隣の谷を指す。これが大きいと、うねり曲線要素の高さが高くなり、うねりの振幅度合が大きいことにつながるため、本実施の形態では、これを予め決められた境界値以下に設定することでうねりの振幅度合を抑え、金属製の板状帯電部材がうねり曲線要素に追従可能になるようにすることを企図したものである。
更に、うねり曲線要素の平均長さWc−Smとは、基準長さにおけるうねり曲線要素の長さの平均を意味する。これが小さいと、うねり曲線要素の長さが小さくなり、うねりの1周期変化長が短くなることから、本実施の形態では、これを予め決められた境界値以上に設定することでうねりの1周期変化長を緩やかにし、もって、金属製の板状帯電部材がうねり曲線要素に追従可能になるようにすることを企図したものである。
そして、トナー保持体1の表面に対して所定のうねり曲線を付与するには、導電性基材1a又は導電性基材1aに被覆層1bを被覆したものの表面に対し、目の細かい研削具(例えば砥石)で研削処理を適宜回数実施するようにすればよい。
次に、本実施の形態で用いられる現像装置6の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、トナー保持体1の代表的態様としては、前記導電性基材1aは金属製の円筒状基材である態様が挙げられる。
また、導電性基材1aの態様としては、導電性基材1aの表面うねりは、前記被覆層1bと同程度のWca及びWc−Smを有しているものが挙げられる。本態様では、導電性基材1aの表面に対して所望の研削処理を施し、これに追従するように被覆層1bを設けるようにすればよい。
更に、被覆層1bの代表的態様としては、スプレーコート法により構成されるものが挙げられる。このスプレーコート法は、導電性基材1aの表面に対して均一な被覆層1bを形成する上で有効な手法である。
また、トナー保持体1の表面粗さの態様としては、図1(c)に示すように、非磁性トナーTNの平均粒径をd(μm)、トナー保持体1の表面粗さとして、1cmの表面積当たりの油だまり深さRvkの中に溜まる油の量に相当する油だまり量をV0とすると、V0/d<6.8×10−4の関係を満たすものが挙げられる。
本態様は、帯電不良トナーに対して非静電付着力を大きく確保するという着想を実現し易い構成として、トナー保持体1の表面粗さとして、平滑性に関わる指標と非静電付着力とが相関性が高いことに着目し、平滑性に関わる指標のうち特に油だまり量V0を選定したものである。
ここで、非静電付着力とトナー保持体1の表面粗さとの相関を調べたところ、非静電付着力と相関の高い表面粗さのパラメータとしては平滑性に関わる指標(平均傾斜RΔa,展開長さ比Rlr,油だまり深さRvk,油だまり量V0)が見出され、特に、油だまり量V0との相関が高いことから、本実施の形態では、油だまり量V0に着目してトナー保持体1の望ましい平滑性の範囲を規定した。尚、トナー保持体1の表面粗さのうち、高さ方向に関わる指標、潤滑性に関わる指標、横方向に関わる指標に対しては、非静電付着力は相関が低いことが確認された。尚、非静電付着力とトナー保持体1の表面粗さとの関係については、実施例2の記載欄にて詳述する。
また、非静電付着力とトナー保持体1の表面粗さとの相関性については、後述する実施例2で述べるように、株式会社東京精密社製のSURFCOM(サーフコム)1400Dにて測定した結果に基づいて判定した。
更に、トナー保持体1の油だまり量V0はトナーTNの粒径dに依存すると考えられる。つまり、同じ油だまり量V0であっても、大きい粒径のトナーTNと小さい粒径のトナーTNとで相対的に大きさ関係が異なるが、異なる大きさの油だまり量V0であっても、トナーの平均粒径dが油だまり量V0に対して相対的に同じ比率であれば、トナー保持体1の表面とトナーTNとの相対関係は同様と思料され、V0/dという相対的なパラメータとした。
更にまた、「6.8×10−4」の係数は、油だまり量V0の境界値が0.004であるときに、飛翔したトナーTNの平均粒径dが5.85μmであることから、0.004÷5.85=6.837…×10−4という境界値が求められ、これから、「6.8×10−4」の係数を選定することにした。尚、後述する実施例の記載欄で詳述する。
また、上述した非静電付着力について補足すると、図1(c)に示すように、前記トナー保持体1に保持されている前記トナーTNが直流成分のみの現像電界で前記像保持体5に向かって飛翔を開始するように、前記現像電界形成手段3による現像電界Eを作用させたとき、飛翔を開始するトナーTNに関し、前記トナー保持体1に対する前記トナーTNの非静電付着力を、温度10℃、相対湿度15%RHの低温低湿環境下で2nN以上に保つようにしたものである。
一般に、トナーTNは帯電部材2によって摩擦帯電されるが、帯電部材2との摩擦に伴ってトナーTNが繰り返し使用されると、トナーTNが次第に経時変化する状態が起こる。
このとき、例えばトナーTNが30nm以上の外添剤を添加したものである場合には、トナーTNが経時変化すると、外添剤が一部トナー表面に埋没して残存することになり、トナーTNの流動性が悪化すると共に、帯電部材2との接触面積が低減して帯電性が悪化する傾向が見られる。
この状態では、トナーTNが帯電不良になり、低帯電トナーや逆極性トナーが生成され易くなり、トナー保持体1の現像電界Eの作用域である現像域mにこれらの帯電不良トナーが存在すると、像保持体5の非画像部(例えば背景部)に帯電不良トナーが飛翔し、非画像部に汚れとして付着する所謂かぶり現象が発生する懸念がある。
このような帯電不良トナーが像保持体5側に不必要に飛翔しないようにするために、本態様では、トナー保持体1に対するトナーTNの非静電付着力を所定の環境条件で2nN以上に保つようにしたものである。ここで、所定の環境条件にしたのは、トナーTNの非静電付着力は環境条件に依存することから、測定するための環境条件を特定するようにした。
このような表面粗さ特性のトナー保持体1を有する現像装置において、現像電界形成手段3の好ましい態様としては、前記現像電界Eとして前記直流成分に電位が周期的に変化する交流成分を重畳した電界を形成するものが挙げられる。
現像電界Eとして、直流成分に交流成分が重畳されたものを使用すると、直流成分だけの現像電界の場合に比べて、現像性はより向上するが、現像域m内でのトナーの挙動が活発化することに伴って像保持体に対して帯電不良トナーのかぶり量が多くなり易い傾向がある。
しかし、本態様では、油だまり量V0を調整することでトナー保持体1の表面平滑性を所望の状態に保つことにより、トナー保持体1に対するトナーの非潜像付着力を高め、飛翔する帯電良好トナーの不要な発生を抑制すると共に、飛翔する帯電良好トナーによる引き連れや叩き出しに対して帯電不良トナーが像保持体1に向かって飛翔し難い状態を確保するようにしたものである。
また、帯電部材2の代表的態様としては、前記トナー保持体1の表面に接触する金属製の板状部材である態様が挙げられる。本例は、金属製の板状部材を用いて、安価な構成の帯電部材2を得ることができる点で好ましい。
更に、現像装置において、画像品質を良好に保つという観点からすれば、前記トナーTNは平均粒径が6.5μm以下である態様が挙げられる。
平均粒径が6.5μmを超えるトナーTNでは、付着力に寄与する静電付着力(クーロン力)とファンデルワールス力などの非静電付着力との比率を見ると、静電付着力が支配的であるのに対し、平均粒径が6.5μm以下の小径になると、静電付着力の比率が下がることから、非静電付着力の影響が大きく顕在し易い。
また、本実施の形態に係る現像装置6として更に有効な態様としては、低い定着温度(例えば120℃〜140℃程度)で定着が可能な低温定着トナーTNの使用を前提とする態様が挙げられる。
この種の低温定着トナーTNは、機械的ストレスを低減することが可能であり、その分、寿命の長期化を図る上で好適である。
低温定着トナーTNは、トナー材料として低分子量樹脂を用いたり、樹脂のTg(ガラス転移温度)を低下させたり、結晶性樹脂を用いるなど適宜選定して差し支えない。
また、低温定着トナーTNの特定については、前述した低い定着温度で使用可能であることを示すようにすればよいが、使用可能な定着温度を直接示すことは勿論、低温定着性に関連するトナーTNの特性パラメータに着目し、この特性パラメータの数値に基づいて示すようにしてもよい。ここでいうトナーTNの特性パラメータとしては、粘弾性体であるトナーの粘性成分を示す損失弾性率G”などが挙げられる。
更に、低温定着トナーTNは、例えば30nm以上の外添剤を含むようなものでは、経時使用に伴ってトナー表面に外添剤が一部埋没することを促進する方向に働く粘性特性を有している。このため、外添剤がトナー表面に一部埋没すると、トナーの流動性や帯電性に悪影響を与えてしまい、トナーの帯電分布がブロード化(帯電分布幅の広がり傾向)し、低帯電トナーや逆極性トナーが発生し易くなる。
しかしながら、本態様では、トナー保持体1は所望のうねり特性(Wca,Wc−Sm)を有しているため、トナー保持体1の表面に対して金属製の板状帯電部材を接触させたとしても、接触域でのトナーに対する接触圧を略均等にすることが可能である。このため、トナーへの帯電性は安定し、帯電不良トナーの発生は少なく押さえられる点で好ましい。
更に、トナー保持体1の表面粗さ(V0)を所望のものに選定する態様では、帯電不良トナーは像保持体5の非画像部領域(例えば背景部)に転移するというかぶりが生じ易い傾向にあるが、本態様は、トナー保持体1に対する低温定着トナーTNの非静電付着力を所定の値以上に保つことで、飛翔する帯電良好トナーによる引き連れや叩き出しに起因して像保持体5に向かう帯電不良トナーの飛翔を抑制するように作用する。
この種の低温定着トナーTNの代表的態様としては、結着樹脂としてポリエステル樹脂を主成分として含むものが挙げられる。
本態様において、ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは40℃以上80℃以下が好ましく、80℃以下であることにより低温定着性を得ることができ、40℃以上であることにより熱保管性及び定着画像の保存性を得ることができる。また、ポリエステル樹脂の分子量(重量平均分子量Mw)は、樹脂の製造性、トナー製造時の微分散化、溶融時の相溶性の観点から、10,000以上100,000以下が好ましい。
また、低温定着トナーTNの別の代表的態様としては、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有するものが挙げられる。
本態様では、結晶性ポリエステル樹脂を含有することで低温定着性がより良好となるほか、定着工程においてトナーから放出されるアンモニアの量を低減することが可能である。結晶性ポリエステルの融点としては50℃以上100℃以下であることが好ましい。融点が50℃以上であれば、トナーの保存性や定着後のトナー像の保存性が良く、100℃以下であれば、低温定着性が得られやすい。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、像保持体としてのドラム状の感光体21と、この感光体21を帯電する帯電装置22と、この帯電装置22で帯電された感光体21に静電潜像を光にて書き込む露光装置23と、感光体21上に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー)にて可視像化する現像装置24と、この現像装置24にて可視像化されたトナー像を転写媒体としての記録材28に転写する転写装置25と、この転写装置25にて転写された後に感光体21上に残留する残留トナーを清掃する清掃装置26と、を備えている。
そして、本例では、記録材28に転写された転写像は図示外の定着装置30にて定着された後に排出される。尚、本例では、転写媒体としては記録材28が例示されているが、これに限られることなく、記録材28に転写する前に一時的にトナー像を保持する中間転写体をも含む。
ここで、感光体21は、図3に示すように、例えばドラム状の金属製枠体211上に感光層212を形成したものである。また、帯電装置22は例えば帯電容器を有し、この帯電容器内に帯電部材として放電ワイヤを配設したものを示しているが、帯電装置22としてはこれに限られるものではなく、例えばロール状の帯電部材を用いるなど適宜選定して差し支えない。
また、露光装置23としては、レーザ走査装置やLEDアレイなどが使用される。
更に、現像装置24としては、非磁性トナーを用いた一成分現像方式が採用されたものが用いられる。尚、現像装置24の詳細については後述する。
更にまた、転写装置25としては、感光体21上のトナー像を記録材28側に静電転写させる転写電界を作用させるものであればよく、例えば転写バイアスが印加されるロール状の転写部材が用いられるが、これに限られるものではなく、放電ワイヤを用いた転写コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
また、清掃装置26としては、感光体21側が開口し且つ残留トナーが収容される清掃容器を有し、この清掃容器の開口のうち感光体21回転方向下流側縁にブレードやスクレーパ等の板状清掃部材261を配設すると共に、この板状清掃部材261の感光体21の回転方向上流側にはブラシ状又はロール状の回転清掃部材262を配設したものが示されているが、これに限られるものではなく適宜選定して差し支えない。
尚、感光体21、帯電装置22、現像装置24及び清掃装置26の全部又は一部をプロセスカートリッジ29として予め組み付けておき、画像形成装置筐体に予め設けられた受部に対して着脱可能に装着するようにしてもよい。
−現像装置−
本例において、現像装置24は、図2ないし図4に示すように、非磁性トナーTNが収容され且つ感光体21に対向して開口する現像容器40を有し、この現像容器40の開口に面して部位には現像ロール41を配設すると共に、この現像ロール41の背面には現像容器40内の非磁性トナーTNが供給可能な供給ロール42を配設し、更に、現像容器40内には非磁性トナーTNが撹拌されながら供給ロール42側に搬送される撹拌搬送部材としてのアジテータ43を配設したものである。
そして、本例では、現像ロール41及び供給ロール42はいずれも時計回り方向に回転するようになっており、現像ロール41は供給ロール42から供給された非磁性トナーTNを保持して感光体21に対向する現像域mへと搬送し、当該現像域mにて現像に供するようになっている。
更に、現像ロール41のうち供給ロール42によるトナー供給部位よりもトナー搬送方向下流側には板状の帯電ブレード45が設けられている。この帯電ブレード45は、ビーカース硬度90以上のものが好ましく、例えばりん青銅等の金属板にて構成され、一端が現像容器40の開口縁に固定され、現像ロール41の回転方向に対向する方向から突出するように延びて現像ロール41の表面に所定の押圧力Pにて圧接配置されている。このため、現像ロール41に保持されているトナーTNは、帯電ブレード45と現像ロール41との圧接部位を通過することで摩擦帯電されると共に予め決められた所定の搬送量に規制されるようになっている。
尚、帯電ブレード45の固定部は、現像容器40の開口縁にブラケット46を取り付け、このブラケット46に対してスペーサ47を介在させて帯電ブレード45の基端をホルダ48で挟持保持するようにしたものである。
また、現像容器40の開口下縁には弾性部材からなるシール部材49の一端が固定され、このシール部材46の自由端が現像ロール41のうち供給ロール42によるトナー供給部位よりもトナー搬送方向上流側に弾性的に接触配置され、現像ロール41と現像容器40との間の隙間を塞ぐようになっている。
更に、本例では、現像ロール41と感光体21との間には現像電界を形成するための現像用電源51が設けられ、また、供給ロール42には非磁性トナーTNを現像ロール41に供給する供給電界を形成するための供給用電源52が設けられている。
そして、本例では、現像用電源51は、直流成分Vdcに交流成分Vacが重畳された現像電圧Vdevを現像ロール41に印加するようになっており、供給用電源52は、現像用電源51の直流成分Vdcに対して予め決められた電位差の直流成分を有し、当該直流成分に現像用電源51の交流成分Vacと同周期の交流成分が重畳された供給電圧Vsを印加するようになっている。
−トナー−
本実施の形態では、非磁性トナーTNは、平均粒径dが6.5μm以下の小径で、かつ、定着温度が低い(例えば120℃〜140℃程度)低温定着が可能なトナーとして形成されており、具体的には、結着樹脂、着色剤、離型剤及びその他の添加剤を含んでいる。
−現像ロール−
また、本実施の形態では、現像ロール41は、図5(a)に示すように、例えばアルミニウム等の金属製のロール本体411と、このロール本体411の表面が被覆されるウレタン系、ナイロン系、スチレン系等の樹脂製の被覆層412とを有している。
ここで、被覆層412としては、後述するうねり特性を得る上で、樹脂成分中に含有されるフィラー成分は、樹脂成分100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
−うねり特性−
本例における現像ロール41の表面は、以下に示すようなうねり特性を有している。
つまり、うねり曲線要素の平均高さをWca、うねり曲線要素の平均長さをWc−Smとすると、(I)(II)に示す関係を満たす。
Wca≦0.5(μm) (I)
Wc−Sm≧2.5(mm) (II)
ここで、Wcaは、図6(a)に示すように、基準長さL中でのm個のうねり曲線要素(1周期分に相当するうねりの山と隣り合う谷)の高さZti(i=1〜m)を平均したものであり、その大小はうねりの高さ方向の振幅度合の大小を意味し、実験的に求められた0.5μm以下に設定される。
また、Wc−Smは、図6(b)に示すように、基準長さL中でのm個のうねり曲線要素(1周期分に相当するうねりの山と隣り合う谷)の長さXsi(i=1〜m)を平均したものであり、その大小はうねりの長さ方向の1周期長さの大小を意味し、実験的に求められた2.5mm以上に設定されている。
これは、後述する実施例1で詳述するが、現像ロール41の表面のうねり特性として、帯電ブレード45による帯電性が良好に保たれるものが選定されている。
尚、現像ロール41の表面におけるうねり特性は例えば株式会社東京精密社製のSURFCOM(サーフコム)1400Dにて測定される。
<現像ロールの製法>
ここで、本例の現像ロール41の製法について説明すると、図5(b)に示すように、先ず金属製のロール本体411に対し研削処理を施す。この研削処理としては、研削粗さが順次細かくなる砥石を用いて複数回(例えば2回)の表面研削を行い、所望のうねり特性とするようにすればよい。
このとき、研削処理としては、センタレス加工による表面研削とすることが好ましい。このセンタレス加工とは、研削対象物を削る砥石、研削対象物を砥石に寄せて送り出す調整砥石、及び、研削対象物を乗せる支持刃を備え、砥石と調整砥石の夫々の回転によって研削対象物を回転させながら表面研削するものであり、中心軸の芯をとらず且つ押さえずに加工することから、高精度の寸法公差に研削する上で適している加工法である。
本例では、ロール本体411を研削処理するに当たり、ロール本体411のうねり特性としては、Wca及びWc−Smが(I)(II)を満たすようにすればよい。
この後、図5(b)に示すように、被覆層412を形成するための樹脂液を用いてロール本体411を回転させながら、ロール本体411の表面に噴霧器415により樹脂液をスプレーコートするようにすればよい。
このスプレーコート法はロール本体411の表面に均一に樹脂液による被覆層412を形成することから、被覆層412が被覆された現像ロール41の表面のうねり特性はロール本体411の表面のうねり特性に略対応したものとして得られる。
−表面粗さ特性−
また、本例における現像ロール41の表面粗さとしては以下のように選定されている。
つまり、トナーTNの平均粒径をd(μm)、現像ロール41の表面粗さとして、1cmの表面積当たりの油だまり深さRvk(μm)の中に溜まる油の量(mm)に相当する油だまり量をV0(μm)とすると、V0/d<6.8×10−4の関係を満すように調整されている。
<油だまり量V0>
ここで、油だまり量V0は、図7(b)に示す数式にて求められる。
同式において、油だまり量V0は、油だまり深さRvkと油だまり部長さMr2との関数として算出される。
今、図7(a)の対象面の粗さ曲線に対し、図8(a)に示すように、基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の粗さ曲線を山頂線に平行な切断レベルCで切断したときに得られる切断長さの和(負荷長さηp)の基準長さLに対する比を100分率で表したもの(図8(b)参照)を負荷長さ率tpと定義する。
この負荷長さ率tpは高さ方向と横方向の両方の情報を表し、tp**%と切断レベルC(μm)とを併記するものである。
そして、図7(a)に示すように、負荷長さ率tpの曲線上の点でtp値の差が40%になるような2点を通る直線の中で傾きが最も小さい直線(最小傾斜直線)を求める。この直線と0%tp、100%tpとの交点を夫々点a、点bとし、点bを通る切断レベルCと負荷長さ率tpの曲線との交点を点eとし、負荷長さ率tpの曲線と100%tpとの交点をfとする。このとき、線分be、線分bf、曲線efで囲まれる面積と三角形begの面積が等しくなるような100%tp上の点gを求める。この状態において、点bと点gの距離をRvk、点eのtp値をMr2とする。
また、点aを通る切断レベルCと負荷長さ率tpの曲線との交点をcとし、負荷長さ率tpの曲線と0%tpとの交点をiとする。このとき、線分ac、線分ai、曲線ciで囲まれる面積と三角形acjの面積が等しくなるような0%tp上の点jを求める。更に、b点を通る切断レベルCと0%tpとの交点をkとする。この状態において、点aと点jの距離を初期摩耗高さRpk、点cのtp値を初期摩擦長さMr1、点jと点kとの距離を有効負荷粗さRkと定義する。
<油だまり量とトナーの粒径との関係>
また、油だまり量V0は表面粗さのうち平滑性に関わる指標であり、トナーとの関係においては、同じ油だまり量V0の表面粗さの現像ロール41でもトナーの粒径dの大小によってトナーとの間の影響度合が異なるものと推測される。このため、本例では、油だまり量V0とトナーの粒径dとは相対比である‘V0/d’が等しければ同程度に影響するものと仮定し、現像ロール41の表面粗さのパラメータとしては‘V0/d’が採用されている。
<境界値の選定>
現像ロール41の表面粗さ‘V0/d’の境界値の選定方法は、予め選定した粒径のトナーに対する非静電付着力が2nNになる油だまり量V0の境界値V0thを割り出し、また、前記油だまり量V0が境界値である表面粗さの現像ロール41を用い、当該現像ロール41と感光体21との間に予め選定された現像電界を作用させたときに飛翔開始するトナーの粒径dthを割り出し、これらから、V0th/dthを算出するようにしたものである。
これの詳細については、後述する実施例にて説明する。
<油だまり量V0の調整方法>
現像ロール41の表面粗さとしての油だまり量V0の調整方法としては、例えば研削処理当たり、例えば砥石などの研磨具として所定の表面粗さのものを選定し、所定の研磨条件にてロール本体411の表面を研磨して仕上げ、しかる後、樹脂製の被覆層412について例えばスプレーコート法やディップ法等を用いて被覆する手法が採用される。
尚、本例では、現像ロール41の表面粗さは、スプレーコート法により被覆層412がロール本体411に追従して均一に薄膜形成されることから、ロール本体411の表面粗さに相応したものに仕上げられる。しかし、もし、現像ロール41の表面粗さがロール本体411の表面粗さより粗くなってしまう場合には、被覆層412が付された現像ロール41に対して最終的な表面仕上げ処理を施すようにすればよい。
<非静電付着力の算出方法>
現像ロール41に対するトナー付着力Fは図9(a)に示す数式にて求められる。
この数式において、第1項の「A(Q/d)」はトナーの帯電電荷に依存するクーロン力(静電付着力)に相当する項であり、第2項の「Bd」はファンデルワールス力などの非静電付着力を示す。
ここで、‘Q’はトナーの帯電電荷、‘d’はトナーの粒径であり、‘A’‘B’は係数である。
そして、この種のトナー付着力Fを求めるには、トナー粒子の帯電量分布情報が測定可能な粒子帯電量分布測定装置60(図10参照)を用い、現像用電源51の現像電圧として直流成分Vdcのみからなる現像電圧を変化させたときの粒子帯電量分布測定装置60の測定結果に基づいて、直流成分Vdcの現像電圧に基づく現像カーブ(図11参照)のトナー飛翔開始点におけるトナー帯電電荷Qと現像電界E(Vdev/DRS(Drum Roll Spaceの略:ドラム状の感光体と現像ロールとの間の隙間の意味))からトナー付着力Fを求める。尚、図11における現像カーブの横軸は現像電圧Vdev、縦軸は粒子帯電量分布測定装置60の単位面積当たりの現像量DMA(Developed Mass per Areaの略)を示す。
この後、例えば同じトナー、同じ現像ロール等を使用し、帯電特性の異なる帯電ブレードとして高帯電ブレード(例えば新品のもの)と低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)のみを変更することで、他の条件が全て同じでトナーの帯電量だけが異なる場合のトナー付着力Fを求め、図9(a)に示す数式に関する連立方程式を解き、図9(a)に示す数式の係数‘A’‘B’を求め、クーロン力と非静電付着力とを割り出す(図9(b)参照)。
尚、非静電付着力の具体的な算出方法については実施例にて詳述する。
<粒子帯電量分布測定装置>
本実施の形態で用いられる粒子帯電量分布測定装置60としては、例えばホソカワミクロン株式会社製のE−spart(イースパートアナライザ)が挙げられる。
この粒子帯電量分布測定装置60の基本的構成は、図10に示すように、レーザビーム発生装置61と、このレーザビーム発生装置61から発生したレーザビームに一定の周波数偏倚を与えて2つに分割するビームスプリッタ62と、このビームスプリッタ62にて分割されたレーザビームを導入して測定点Mで被測定粒子80に照射する測定チェンバ63と、この測定チェンバ63内で被測定粒子80にて散乱され且つ当該測定チェンバ63から放出されるレーザビームを集光する集光レンズなどの集光器70と、集光されたビームを検知する検知器71と、この検知器71からの検知出力に基づいて被測定粒子80の帯電量情報を演算する演算装置72と、を備えている。
ここで、測定チェンバ63は、ボックス状容器体64を有し、この容器体64の上側壁部に被測定粒子導入口68を設けると共に、容器体64の下側壁部に被測定粒子排出口69を設け、また、容器体64の相対向する側壁には夫々音波振動発生機構65を配設し、更に、音波振動発生機構65が配設された容器体64の相対向する側壁には、測定チェンバ63内に所定の電場が形成可能な電極66を夫々配設し、一方の電極66に電源67を接続すると共に、他方の電極66を接地するようにしたものである。
次に、この粒子帯電量分布測定装置60の作動について説明する。
今、測定チェンバ63の被測定粒子導入口68から適当な供給手段を用いて窒素ガスの気流に搬送された被測定粒子80を投入すると、投入された粒子は、音波振動発生機構65からの音波による振動と所定電圧が加えられた電極66からの電界とによって、帯電量の大きさと振動に応じて落下しつつ、測定点Mにおいて2つに分割されたレーザビームの照射を受ける。この場合、粒子はその大きさに応じて基準の音波より遅れて振動すると同時に、帯電量に応じてある偏りを持って落下する。そして、粒子からのこのような情報を反映してレーザビームは散乱することになり、この散乱ビームは集光器70を経て検知器71に検知された後に、演算装置72に入力されて所定の帯電量情報として演算される。
−現像装置の作動−
本実施の形態に係る現像装置24では、現像容器40内のトナーTNは、図3に示すように、アジテータ43によって供給ロール42に向けて撹拌搬送され、供給ロール42によって現像ロール41に供給される。
この後、現像ロール41に保持されたトナーTNは帯電ブレード45を通過して帯電され、しかる後に、現像ロール41と感光体21との間の現像域mに到達する。
この状態において、現像域mには現像電界Eが形成されているため、現像ロール41に保持されたトナーTNの多くは、感光体21上に形成された静電潜像に向かって飛翔し、静電潜像に付着することで静電潜像の現像のために供される。
このような現像装置の作動時において、トナーは以下のように挙動する。
−帯電ブレードによる帯電性−
先ず、本例の現像ロール41の表面におけるうねり特性が帯電ブレードによる帯電動作にどのように影響するかについて説明する。
本例の現像ロール41の表面におけるうねり特性は、Wcaが0.5μm以下で小さく、Wc−Smが2.5mm以上と大きいものである。
このため、本例では、図12右上欄に示すように、金属製の帯電ブレード45は現像ロール41の表面のうねりUに追従して変形し、帯電ブレード45は現像ロール41の表面に保持されたトナーTNに対して略均等に接触することになり、現像ロール41上のトナーTNは略均等に帯電される。
これに対して、本例と異なる態様について補足しておくと、例えばWcaが小さく、かつ、Wc−Smも小さい比較の形態1(Wca≦0.5μm,Wc−Sm<2.5mm)では、図12左上欄に示すように、Wc−Smが小さい分、帯電ブレード45が狭いうねりU1の凹部中央付近に保持されているトナーTNと非接触になり、この部分でのトナーTNの帯電性が不足してしまい、現像ロール41上のトナーTNの帯電分布にムラが生じてしまう懸念がある。
また、Wcaが大きく、かつ、Wc−Smが小さい比較の形態2(Wca>0.5μm,Wc−Sm<2.5mm)では、図12左下欄に示すように、Wc−Smが小さく、かつ、Wcaが大きい分、帯電ブレード45が狭いうねりU2の凹部内に保持されているトナーTNと非接触になり、この部分でのトナーTNの帯電性が不足してしまい、現像ロール41上のトナーTNの帯電分布にムラが生じてしまう懸念がある。
更に、Wcaが大きく、Wc−Smも大きい比較の形態3(Wca>0.5μm,Wc−Sm≧2.5mm)では、図12右下欄に示すように、Wc−Smが大きく、かつ、Wcaが大きい分、帯電ブレード45が広いうねりU3の深い凹部内に保持されているトナーTNと非接触になり、この部分でのトナーTNの帯電性が不足してしまい、現像ロール41上のトナーTNの帯電分布にムラが生じてしまう懸念がある。
このため、本実施の形態では、帯電ブレード45によるトナーの帯電性は略均等になり、トナーの帯電ムラに伴う現像不良(斑模様の発生)は見られない。
◎実施例1
実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例1とし、実施例1で用いられる現像ロールの表面におけるうねり特性を評価した。
本実施例では、現像ロールのロール本体はアルミニウム製の円筒管からなり、センタレス加工にて2回表面研削して所望のうねり特性を得た。このとき、最終仕上げの砥石はGC100を使用した。
そして、このロール本体の表面には、ウレタン系塗料:タケラックE553(商品名、三井武田ケミカル(株)製、不揮発分50%)100重量部に、充填剤として無水シリカ:AEROSIL 200(商品名、日本アエロジル(株)製)15重量部及び導電性付与剤として、カーボンブラック:アサヒサーマル(商品名、旭カーボン(株)製)10重量部を添加し、ポットミルで数時間撹拌・分散した後、ポリイソシアネート系架橋剤:タケラックD140N(商品名、三井武田ケミカル(株)製)20重量部を添加し、スプレーコーティングした後、150℃×30分加熱硬化してロール本体の表面に被覆層を形成した。
このとき、ロール本体の表面研削条件を代えることで、ロール本体の表面におけるうねり特性を変えた現像ロールをそれぞれ作製し、それぞれの現像ロールを組み込んだ現像装置にて現像特性を評価した。
ここで、現像特性の評価としては、異なるうねり特性の現像ロールを用いた各現像装置モデルに対し、同一の現像条件のもとでハーフトーン画像を作成したときに、現像ムラとしての斑模様が発生するか否かを調べた。
結果を図13に示す。
同図によれば、現像ロールの表面におけるうねり特性がWca≦0.5(μm)、かつ、Wc−Sm≧2.5(mm)を満たす場合には、現像不良としての斑模様は見られないが、それ以外のうねり特性の態様にあっては、現像不良としての斑模様が見られた。
◎実施例2
実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例2とし、実施例2で用いられる現像ロールの表面粗さとして油だまり量に着目した理由を説明する。
先ず、現像ロールに対するトナー付着力のうち非静電付着力の発現要因として、現像ロールの表面粗さに関する各指標に着目し、表面粗さ測定装置としての株式会社東京精密社製のSURFCOM1400Dを用いて複数の現像ロールモデルの対象面の表面粗さの各指標を測定すると共に、各現像ロールモデルに対するトナー付着力のうち非静電付着力を算出した。
ここで、各現像ロールモデルの表面粗さに関する各指標として以下のものを選定した。尚、これらの指標は、JIS B0601:’01の規格に基づくものである。
(1)油だまり量V0
(2)油だまり深さRvk
(3)平均傾斜RΔa
(4)展開長さ比Rlr
(5)算術平均粗さRa
(6)十点平均粗さRzJIS
(7)振幅分布のゆがみRsk
(8)振幅分布のとがりRku
(9)初期摩耗高さRpk
(10)初期摩耗長さMr1
(11)油だまり部長さMr2
(12)凹凸の間隔Sm
結果を図14〜図16に示す。
図14(a)〜(d)は表面粗さのうち平滑性に関わる指標<(1)油だまり量V0〜(4)展開長さ比Rlr>とトナーの非静電付着力との関係を示すグラフ図、図15(a)〜(d)は表面粗さのうち高さに関わる指標<(5)算術平均粗さRa〜(8)振幅分布のとがりRku>とトナーの非静電付着力との関係を示すグラフ図、図16(a)〜(d)は表面粗さのうち潤滑性に関わる指標<(9)初期摩耗高さRpk〜(11)油だまり部長さMr2>及び横方向に関わる指標<(12)凹凸の間隔Sm>とトナーの非静電付着力との関係を示すグラフ図である。
図14の結果によれば、非静電付着力は、表面粗さのうち平滑性に関わる指標と相関が高いことが理解され、最も相関の高い指標が油だまり量V0であることが把握される。尚、相関性の高低については、各グラフのプロット点に対して最小二乗法による近似直線を求め、この近似直線と各プロットとのバラツキ量の大小にて評価した。
一方、図15及び図16の結果によれば、非静電付着力は、高さに関わる指標や、潤滑性に関わる指標、更には、横方向に関わる指標とは相関が見られないことが理解される。
ちなみに、油だまり量V0と十点平均粗さRzJISとの相関を調べたところ、両者間には相関が全く見られないことが確認された。尚、油だまり量V0とその他の指標のうち、高さに関わる指標、潤滑性に関わる指標、凹凸に関わる指標との相関を同様に調べたところ、略同様に相関は全く見られなかった。
このような結果を踏まえ、本願では、トナー付着力のうち非静電付着力の発現要因として、現像ロールの表面粗さのうち油だまり量V0に着目するに至ったものである。
◎実施例3
実施の形態1に係る現像装置の具現化したものを実施例3とし、この実施例3で用いられる現像ロールに対するトナー付着力に関する評価法の一例を示す。
−粒子帯電量分布測定装置による測定−
先ず、粒子帯電量分布測定装置としてホソカワミクロン株式会社製のE−spartを用い、図17(a)に示すように、対向電極(感光体)表面電位を−202Vに帯電し、現像ロールへの印加電圧(本例では直流成分Vdcだけの印加電圧)を変化させながら印加することで、現像ロールと感光体との間に夫々の現像電位差(現像電圧)Vdevによる現像電界を形成し、各現像電界での単位面積当たりの現像量DMA(Developed Mass per Areaの略)を求めた。
そして、各現像電圧Vdevと単位面積当たりの現像量DMAとの関係を示す現像カーブを描いたところ、図18に示す結果が得られた。
同図によれば、Vdevがある値以上になると、DMAがVdevに略比例して増加する傾向があることが理解される。尚、図18中に示す近似直線は、図17(a)中のVdevのデータのうち網掛けで囲んだデータに対して最小二乗法により近似したものである。
また、図17(a)のうち、対向電極に飛翔したトナーの電荷量Q、粒径dの測定対象を複数(本例では4つ)選定し、これらについて、夫々Q(fC)、d(μm)を測定したところ、図17(b)に示す結果が得られた。
ここで、Q、dの測定に当たって測定条件については適宜選定して差し支えないが、本例では、測定条件として、トナーの経時劣化状態での付着力を測定するために、現像装置は標準サイズ(本例ではA4版横)のプリント枚数が15kPVに相当する程度まで空回し運転され、測定対象となるトナー3000個の平均値として求めた。
図17(b)において、DRSはドラム状の感光体と現像ロールとの間の間隙を意味し、また、各現像条件における現像電界により対向電極(感光体)に飛翔したトナーの平均のトナー付着力は−5〜−6(nN)程度であった。尚、トナー付着力Fは、F=Q×Vdev/DRSにより求めた。
そして、図17(b)に示す結果に基づいて、VdevとQとの関係をプロットしたところ図19(a)に示す結果が得られ、また、Vdevとdとの関係をプロットしたところ図19(b)に示す結果が得られた。尚、各図における近似直線は、各プロットに対して最小二乗法で近似した直線である。
図19(a)によれば、QはVdevの増加に伴って略比例して増加する関係にあることが理解され、一方、図19(b)によれば、dはVdevの増加に伴って略比例して減少する傾向にあることが理解される。
そして、図18に示すVdev−DMAの近似直線において、DMA=0と交点におけるVdevはトナーが飛翔開始する現像電圧に相当するものと考えられ、これを調べたところ、図17(c)に示すような値が得られた。
そして、図19(a)に示すVdev−Qの近似直線において、トナーの飛翔開始の現像電圧VdevにおけるQの値をトナーが飛翔開始する電荷量と想定し、また、図19(b)に示すVdev-dの近似直線において、トナーの飛翔開始の現像電圧Vdevにおけるdの値をトナーが飛翔開始するトナー粒径と想定して求めたところ、図17(c)に示すような結果が得られた。
このようにして、測定対象の現像ロールに対して飛翔開始するトナーの現像電圧Vdev、電荷量Q、トナー粒径(平均粒径に相当)dが求められる。そして、それらの値を用いると、F=Q×Vdev/DRSの演算式より、飛翔開始するトナーのトナー付着力Fが求められる。
−トナー付着力の評価−
今、トナー付着力を評価するに当たって、例えば帯電ブレードとして、低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)を使用したときに、前述したような粒子帯電量分布測定装置による測定を行い、図20に示すような飛翔開始の現像電圧Vdev、飛翔開始トナーの電荷量Q、飛翔開始トナーの粒径dが求められたと仮定する。
これに対し、他の条件が全て同じで帯電量だけが異なるように帯電ブレードとして例えば高帯電ブレード(例えば新品のもの)を使用し、前述したのと同様な粒子帯電量分布測定装置による測定を行い、図20に示すように、当該条件における飛翔開始の現像電圧Vdev、飛翔開始トナーの電荷量Q、飛翔開始トナーの粒径dを夫々求める。
この状態において、図9(a)に示すトナー付着力Fを求める数式に、第1の測定条件であるQ1、d1を代入し、また、第2の測定条件であるQ2、d2を代入し、図21に示すような連立方程式を作成する。尚、F(1)は第1の測定条件におけるトナー付着力を、F(2)は第2の測定条件におけるトナー付着力を示す。また、いずれの測定条件も予め決められた低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)で行われた。
そして、この連立方程式の係数A,Bを未知数として連立方程式を解き、図20に示すように、係数A、Bを算出する。
これにより、図9(a)に示す数式の係数A,Bが求まり(図20参照)、トナー付着力Fの数式が決定される。この状態において、数式の第1の項からクーロン力(静電付着力)を、第2の項から非静電付着力を計算すると、図20及び図21に示す結果が得られ、これに基づいて、トナー付着力をクーロン力と非静電付着力とに分解した形でグラフ状に表記すると、図21に示すような結果が得られる。
同図によれば、帯電性の高い高帯電ブレード(例えば新品のもの)を使用したものは、帯電性の低い低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)を使用したものに比べて、トナー付着力は高くなり、また、クーロン力も高くなる。
これに比べて、非静電付着力は、帯電性の高い高帯電ブレード、帯電性の低い低帯電ブレードのいずれについても、クーロン力の場合とは異なり、低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)で2nN以上の略同程度の値であることが理解される。
◎実施例4
次に、実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例4とし、トナー付着力と感光体上のかぶり濃度(帯電不良トナーの飛翔による汚れに相当)との関係について評価した。
−トナー付着力と感光体上に移転したトナーのかぶり濃度との関係−
今、帯電性の高い高帯電ブレード(例えば新品のもの)と、帯電性の低い低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)とを用い、例えば複数の現像ロールモデル(表面粗さとしての油だまり量V0が異なるモデル)を用いることでトナー付着力を変化させ、そのときの感光体上に転移したトナーのかぶり濃度を測定したところ、図22に示す結果が得られた。
ここで、トナーの感光体上のかぶり濃度の許容値を0.02以下であるとした場合に、トナー付着力としては低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)で4.5nN以上であることが必要であることが理解される。
但し、本例では、感光体上のトナーのかぶりは現像ロール上の現像量MD(Mass on Developer Roll)に相関があることから、実験間のMDばらつきをキャンセルするために、かぶり濃度を、「かぶり濃度(換算値)=かぶり濃度(実測値)×(3g/m)/(実験で用いたMDg/m)」の式で換算した値を用いている。また、かぶり濃度の実測方法としては、感光体上のかぶりトナーを略透明テープに写し取り、所定の用紙に貼り付けた状態で、X−Rite983niteを用いて用紙上のかぶりトナーの濃度を測定し、次いで、トナーを写し取らない略透明テープを同じ用紙に貼り付け、同様に濃度測定したことで得られる基準濃度を前記測定濃度から差し引くことにより、感光体上のかぶり濃度とした。
また、上述の実施例モデルにおいて、トナー付着力に代えて、クーロン力をパラメータとして感光体上に転移したトナーのかぶり濃度を測定したところ、図23に示す結果が得られた。
同図によれば、例えば帯電ブレードが劣化すると、トナーのクーロン力が矢印で示すように、2〜2.4nN程度低下する現象が確認された。すなわち、トナー付着力のうち、クーロン力については帯電ブレードの帯電性の影響を受け、クーロン力が変化し易いことが理解される。
一方、上述の実施例モデルにおいて、トナー付着力に代えて、非静電付着力をパラメータとして感光体上に転移したトナーのかぶり濃度を測定したところ、図24に示す結果が得られた。
同図によれば、例えば帯電ブレードが劣化すると、その分、トナーのかぶり濃度は変化するが、非静電付着力は矢印で示すように略同程度のままであり、帯電ブレードの使用履歴に伴う劣化に左右され難いことが理解される。このため、帯電ブレードによる帯電性が変化するとしても、非静電付着力は略同程度に保たれることから、この非静電付着力をある程度大きく確保するように、現像ロールの表面粗さを調整するようにすれば、トナー付着力を底上げする上で重要な役割を担うことが理解される。
更に、図24の中から、帯電性の高い高帯電ブレード(例えば新品のもの)を用いた場合における非静電付着力と、感光体上に転移したトナーのかぶり濃度との関係を抜き出したところ、図25に示す結果が得られた。
このとき、いずれのプロットでも、トナーのかぶり濃度は許容値以下であることが理解されるが、これらのプロットは、帯電性の高い高帯電ブレードが用いられていることから、クーロン力も2.5nN以上と比較的高く、このような条件において、非静電付着力がトナーかぶり現象に対して抑制する効果があることが理解される。
また、図25において、非静電付着力とトナーのかぶり濃度とは、各プロットを最小二乗法で近似した近似直線で示すように、非静電付着力が増加すると、これに比例してトナーのカブリ濃度が減少する傾向が見られる。
このため、非静電付着力が2nN以上であれば、トナーのかぶり濃度は0.01以下に収まることが理解される。
◎実施例5
次に、実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例5とし、この実施例5で用いられる現像ロールの望ましい特性について検討する。
本実施例において、標準サイズ(本例ではA4版横サイズ)のプリント枚数が15kPV相当空回しした劣化トナーを使用対象とし、帯電性の高い高帯電ブレード(例えば新品のもの)と、帯電性の低い低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)とを用い、トナー付着力としてのクーロン力と非静電付着力との関係を調べたところ、図26に示す結果が得られた。尚、これらの付着力はいずれも低温低湿環境(温度10℃、湿度15%RH)で測定されている。
同図において、トナー付着力の下限値としては、太い実線で示す直線(4.5nN)が選定されるが、望ましいトナー付着力の領域としては、太い点線で示す直線(7.0nN)より上方の領域が選定される。
更に、帯電ブレードの劣化に影響しない非静電付着力についての望ましい領域としては、図中一点鎖線示すように、2nN以上の領域が選定される。
また、現像ロールの表面粗さとしての油だまり量V0と非静電付着力との関係については、図27に示す関係が得られる。
同図において、各プロットについて最小二乗法により近似した近似直線を二点鎖線で示し、望ましい非静電付着力の領域の境界値である2.0nNとが交差する箇所は、V0=0.004であることが理解され、望ましい非静電付着力の領域は油だまり量V0が0.004以下であることが把握される。
また、本実施例において、標準サイズ(本例ではA4版横サイズ)のプリント枚数が15kPV相当空回しした劣化トナーを使用対象とし、帯電性の高い高帯電ブレード(例えば新品のもの)と、帯電性の低い低帯電ブレード(例えば経時使用のもの)とを用い、トナー付着力としてのクーロン力と飛翔開始トナーの電荷量との関係を調べたところ、図28に示す結果が得られた。
同図において、クーロン力と飛翔開始トナーの電荷量とは略比例する関係にあることから、これの近似直線を作成し、また、トナー付着力が7.0nN以上では、非静電付着力の分布が2.0〜3.0nNに分布する箇所では、仮に、非静電付着力が3.0nNとして、クーロン力は4.0nN以上必要になるため、飛翔開始トナーの電荷量は1.5fC程度以上を要することが理解される。
◎実施例6
実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例6とし、この実施例6で用いられる現像ロールに対するトナーの非静電付着力と飛翔開始トナーの粒径との関係について評価した。尚、参考までに実施例6に含まれない比較例6に係る現像ロールについても同様に評価した。
−非静電付着力と飛翔開始トナーの粒径との関係−
図29に示すように、複数の現像ロールモデルを作成し、それぞれの現像ロールモデルについて帯電ブレードによる帯電性を変えて、飛翔開始トナーにおけるトナー付着力、クーロン力、非静電付着力を夫々求めると共に、各場合における飛翔開始トナーの粒径を求めた。
その結果を図30に示す。
同図において、飛翔開始トナーの粒径と飛翔開始トナーの非静電付着力とは略比例関係にあることが理解される。
◎実施例7
実施の形態1に係る現像装置を具現化したものを実施例7とし、この実施例7に係る現像装置に対し使用開始から経時使用(標準サイズ(本例ではA4版横サイズ)プリント枚数15kPVに相当する空回し)し、その間における感光体に転移したトナーのかぶり濃度を調べたところ、図31に示すように、感光体上に転移するかぶり濃度は許容レベル(本例では0.02:TMDA換算)以下であることが確認された。
尚、比較する上で、現像ロールとして、実施の形態1の表面粗さとしての油だまり量V0の数式を満たさない態様(例えばアルミニウム粗面)を比較例7として、実施例7と同様な条件にて評価したところ、図31に示すように、プリント枚数が4kPVを超えた当たりから、感光体上に転移するトナーのかぶり濃度が許容レベルを超える状態に至ることが確認された。
1…トナー保持体,1a…導電性基材,1b…被覆層,2…帯電部材,3…現像電界形成手段,5…像保持体,6…現像装置,E…現像電界,TN…トナー,d…トナーの平均粒径,V0…油だまり量,m…現像域,Wca…うねり曲線要素の平均高さ、Wc−Sm…うねり曲線要素の平均長さ

Claims (8)

  1. 潜像が保持される像保持体に対向して非接触に配置され、非磁性トナーを保持して循環回転するトナー保持体であって、
    金属製の導電性基材と、この導電性基材の表面を被覆する被覆層と、を有し、
    前記被覆層の表面うねりは、うねり曲線要素の平均高さをWca、うねり曲線要素の平均長さをWc−Smとすると、
    Wca≦0.5(μm)
    Wc−Sm≧2.5(mm)
    の関係を満たし、
    更に、前記導電性基材の表面うねりは、前記被覆層と同程度のWca及びWc−Smの関係を満たし、
    前記被覆層の表面粗さは、1cm の表面積当たりの油だまり深さRvkの中に溜まる油の量に相当する油だまり量をV0とし、表面に保持するトナーの平均粒径をd(μm)とすると、
    V0/d<6.8×10 −4
    の関係を満たすように構成されていることを特徴とするトナー保持体。
  2. 請求項1記載のトナー保持体において、
    前記導電性基材は、金属製の円筒状基材であることを特徴とするトナー保持体。
  3. 請求項1又は2記載のトナー保持体において、
    前記被覆層は、スプレーコート法により構成されることを特徴とするトナー保持体。
  4. 請求項1ないしいずれかに記載のトナー保持体と、
    このトナー保持体に保持されたトナーを帯電する帯電部材と、
    前記像保持体と前記トナー保持体との間に少なくとも予め決められた電位差の直流成分が含まれる現像電界を形成することで、前記トナー保持体に保持されて前記帯電部材で帯電されたトナーを前記像保持体上の潜像に対し飛翔させ、前記潜像にトナーを付着させて現像する現像電界形成手段と、
    を備えたことを特徴とする現像装置。
  5. 請求項記載の現像装置において、
    前記現像電界形成手段は、前記現像電界として前記直流成分に電位が周期的に変化する交流成分を重畳した電界を形成するものであることを特徴とする現像装置。
  6. 請求項4又は5記載の現像装置において、
    前記帯電部材は前記トナー保持体の表面に接触する金属製の板状部材であることを特徴とする現像装置。
  7. 画像形成装置筐体に予め形成された受部に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
    潜像が保持される像保持体と、
    この像保持体に保持された潜像をトナーにて現像する請求項ないしいずれかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 潜像が保持される像保持体と、
    この像保持体に保持された潜像をトナーにて現像する請求項ないしいずれかに記載の現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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