本発明において用いられる現像剤は、少なくともトナー用結着樹脂及び磁性体を含有する磁性現像剤であり、磁性現像剤の100kHz、40℃における誘電率が12〜38(
pF/m)である。
本発明の現像方法では、周波数100kHz、温度40℃で測定した誘電率(pF/m)が10以上40以下である前記磁性現像剤を用いることにより、定着性の向上と現像性とが両立することが見出された。この誘電率は磁性現像剤に内添された磁性体等の含有量や分散状態と相関性があることがわかった。つまり誘電率をこの範囲にすることにより、磁性現像剤中での磁性体等の分散状態が均一で、しかも微分散された状態になっていることがわかった。これにより、磁性現像剤の帯電量分布が一定の狭い範囲内に制御されており、優れた電荷保持性及び安定性が得られ、その上、現像領域でのトナーの穂を短く、及び密にすることができ、この結果、高精細画像が得られる。さらには定着性の向上も達成されるのである。
もし、磁性現像剤の誘電率が10pF/mより小さくなると、磁性現像剤の帯電量が高くなりすぎ、低湿環境下などで安定した画像特性を有することが難しくなる。前記誘電率が40pF/mより大きくなると、磁性現像剤の帯電の立ち上がりが遅くなるとともに、放置による帯電量の低下も起こりやすくなる。
磁性現像剤の誘電率は、一定の体積の試料を磁性現像剤によって形成し、この試料の誘電損失を測定することにより求めることができる。例えば、前記磁性現像剤の誘電率は、以下の方法により求められる。
まず磁性現像剤を1.0g秤量し、これに19600kPa(200kgf/cm2)の荷重を1分間かけて成形し、直径25mm、厚さ2mm以下(好ましくは0.5mm〜1.5mm)の円盤状の測定試料にする。この測定試料を、直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度80℃まで加熱して溶融固定する。その後、温度40℃まで冷却し、1kHz及び1MHzの周波数で校正後、4284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、0.49〜1.96N(50〜200g)の荷重
をかけた状態で、温度を40℃で一定とし、100kHzを含む、100Hz〜1MHz
の周波数範囲で、測定することより得られる。
磁性現像剤の誘電率は、磁性現像剤の誘電損失に影響を及ぼす因子、例えばトナー用結着樹脂の種類、磁性体の種類や含有量、後述する荷電制御剤等の他の添加剤の種類や含有量、これらの組み合わせ、及びこれらの分散状態によって調整することが可能である。
前記磁性現像剤は、前記の範囲の誘電率を有するものであれば良く、種々の公知の材料や種々の公知の方法によって製造することができる。
前記磁性現像剤で使用されるトナー用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂成分とスチレン−アクリル系樹脂成分を含むハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。このうち特に、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂等が定着性等の点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸との重縮合により生成する樹脂であり、ポリエステル樹脂成分のモノマーとしては以下のものが挙げられる。
二価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また下記(ア)式で表されるビスフェノール誘導体、及び下記(イ)式で示されるジオール類が挙げられる。
二価のカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;またさらに炭素数6〜18のアルキル基で置換されたコハク酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂のその他のモノマーとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類等が挙げられる。
前記スチレン−アクリル系樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸系モノマーとの付加重合により生成する樹脂であり、スチレン−アクリル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては次のようなものが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体が挙げられる。
またアクリル酸系モノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸及びアクリル酸エステル類や、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸及びそのエステル類や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、スチレン−アクリル系樹脂のモノマーとしては、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
またスチレン−アクリル系樹脂には、ビニル重合が可能な種々のモノマーを必要に応じて併用することができる。このようなモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハ
ーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸の酸無水物;前記α、β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また、前記スチレン−アクリル系樹脂は、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。架橋性モノマーには、例えば芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、ポリエステル型ジアクリレート類、及び多官能の架橋剤等が挙げられる。
芳香族ジビニル化合物としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が挙げられる。
アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの等が挙げられる。
芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等が挙げられる。
ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等が挙げられる。
これらの架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。またこれらの架橋性モノマーのうち、定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)や、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
また前記スチレン−アクリル系樹脂は、重合開始剤を用いて製造された樹脂であっても良い。このような重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−カーバモイルアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
前記ハイブリッド樹脂は、ポリエステル樹脂成分及びスチレン−アクリル系樹脂成分が直接又は間接的に化学的に結合している樹脂であり、上述のポリエステル樹脂成分、スチレン−アクリル系樹脂成分、及びこれらの樹脂成分の両方と反応し得るモノマー成分から構成される。
ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちスチレン−アクリル系樹脂成分と反応し得るものとしては、例えばフマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
スチレン−アクリル系樹脂成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシル基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
ハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分が存在しているところで、どちらか一方若しくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
前記磁性現像剤で用いられる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいはこれらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金;及びこれらの混合物
等が挙げられる。
磁性体としては、従来、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe5O12)、酸化鉄カドミニウム(CdFe2O4)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe5O12)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄鉛(PbFe12O19)、酸化鉄ニッケル(NiFe2O4)、酸化鉄ネオジム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られているが、本発明では上述した磁性体の一種又は二種以上を任意に選択して使用することが可能である。
これらの磁性体は、平均粒径が0.1〜2μm程度で、795.8kA/m(10kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力(Hc)が1.5kA/m〜12kA/m、飽和磁化(σs)が50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化(σr)が2〜20Am2/kgであることが好ましい。磁性体の磁気特性は、25℃、外部磁場769kA/mの条件下において振動型磁力計、例えばVSM P−1−10(東英工業社製)を用いて測定することができる。
本発明において、前記磁性体は着色剤としても機能させることができる。着色剤としての観点では、前記磁性体は磁性酸化鉄であることが好ましい。このような磁性酸化鉄としては、例えば四三酸化鉄やγ−三二酸化鉄の微粉末が挙げられる。またこの磁性酸化鉄は、磁性現像剤中に20〜48質量%含有、より好ましくは25〜35質量%含有されていることが、流動性を維持しつつトナー飛散を防止する良好な磁性を示し、かつ十分な着色力を発現する上で好ましい。磁性現像剤に含有される磁性体の含有率が20質量%未満では、磁性現像剤の搬送性及び帯電量の制御が不十分で、現像剤担持体上の磁性現像剤の層にむらが生じ画像むらとなる傾向があり、さらにトナートリボの上昇に起因する画像濃度の低下が生じ易い。また、磁性現像剤の含有率が48質量%を超えると、転写中抜け及び定着性の悪化が生じやすい。
なお本発明において、前記磁性体は、磁性現像剤の所期の物性や磁性現像剤の製造条件等に応じて、シランカップリング剤やシリコーンオイル等の適切な表面疎水化処理剤を用いて適切に表面疎水化処理されたものであっても良い。
本発明においては、他の添加剤を必要に応じて磁性現像剤粒子に添加することも可能である。このような他の添加剤としては、磁性現像剤粒子の内部に添加することが従来より知られている種々の添加剤を用いることができ、離型剤や荷電制御剤等が挙げられる。
前記離型剤として好ましいものとしては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス等の、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックス等の、脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪
酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られる、ヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;炭素数12以上の長鎖アルキルアルコール又は長鎖アルキルカルボン酸;等が挙げられる。
本発明において特に好ましく用いられる離型剤としては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。このような脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧化でラジカル重合し、又は低圧下でチーグラー触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、及びそれを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス;これらの脂肪族炭化水素系ワックスをプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により分別したもの;が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素系ワックスの母体としての炭化水素としては、例えば、金属酸化物系触媒(多くは二種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる、炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレン等のアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素;が挙げられる。このような炭化水素の中でも、本発明では、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であることが好ましく、特にアルキレンの重合によらない方法により合成された炭化水素が、その分子量分布からも好ましい。
本発明において離型剤は、離型剤を含有する磁性現像剤粒子を示差走査熱量計で測定したときに、得られるDSC曲線において70〜140℃の領域に吸熱メインピークが現れるように磁性現像剤粒子に含まれていることが、磁性現像剤の低温定着性及び耐高温オフセット性の点で好ましい。
前記吸熱メインピークが現れる温度は、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7を用い、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。前記吸熱メインピークが出現する温度は、融点やガラス転移点、及び重合度等を適切に調整された離型剤を用いることによって調整することが可能である。なお、前記DSC−7は、前記吸熱メインピークが現れる温度の他、トナー用結着樹脂のガラス転移点、軟化点、離型剤の融点等の、磁性現像剤粒子やその材料の熱的物性を示す温度の測定に適用することができる。
前記離型剤は、トナー用結着樹脂100質量部あたり2〜15質量部が磁性現像剤粒子中に含まれることが、定着性、帯電特性の点で好ましい。
本発明で用いられる磁性現像剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その帯電性を安定化させるために、荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や磁性現像剤粒子の他の構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、磁性現像剤粒子中にトナー用結着樹脂100質量部当たり0.1〜10質量部含まれることが好ましく
、0.1〜5質量部含まれることがより好ましい。
前記荷電制御剤としては、磁性現像剤を負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、磁性現像剤の種類や用途に応じて種々のものの中から選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。
磁性現像剤を負帯電性に制御するものとしては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;が挙げられる。その他にも、磁性現像剤を負帯電性に制御するものとしては、例えば芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩や無水物;エステル類やビスフェノール等のフェノール誘導体;等が挙げられる。
磁性現像剤を正帯電性に制御するものとしては、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート;等が挙げられる。本発明ではこれらの一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。磁性現像剤を正帯電性に制御するものとしては、これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩等の荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
本発明で用いられる磁性現像剤は、前述した磁性現像剤粒子に、磁性現像剤の種類に応じた種々の材料を外添して用いることができる。外添される材料としては、例えば無機微粉体等のように磁性現像剤の流動性を向上させる流動性向上剤や、金属酸化物微粒子等のように磁性現像剤の帯電性を調整するための導電性微粉体等の外添剤が挙げられる。
前記流動性向上剤としては、磁性現像剤粒子に外添することにより磁性現像剤の流動性を向上し得るものが用いられる。このような流動性向上剤としては、例えばフッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ;これらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ;等が挙げられる。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましい。流動性向上剤は、流動性向上剤の種類によって異なるが、例えば磁性現像剤粒子100質量部に対して0.01〜8質量部を配合することが好ましく、0.1〜4質量部を配合することがより好ましい。
本発明で用いられる磁性現像剤は、その製造方法については特に限定されないが、前述したトナー用結着樹脂及び磁性体、必要に応じてさらに添加される他の添加剤を、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、得られた溶融混練物を冷却固化し、その後、固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより磁性現像
剤粒子を得、この磁性現像剤粒子と流動性向上剤等の外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により必要に応じて十分混合することにより得ることができる。
また前記磁性現像剤を製造するに当たって、分級は、磁性現像剤粒子生成後の任意の時期に行うことができ、例えば外添剤との混合後に分級を行っても良い。また、生成した磁性現像剤粒子に、例えば機械的又は熱的等の適切な衝撃を加え、磁性現像剤粒子の粒子形状を制御(より具体的には球形化)しても良い。
前記磁性現像剤の製造において、前記固化物を粉砕する方法としては、機械的衝撃力を加える方法が好ましい。機械的衝撃力を与える処理としては、例えば川崎重工業(株)製粉砕機KTM、ターボ工業(株)製ターボミルのごとき機械式粉砕機を用いる方法、及びホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムや、奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置により処理する方法が挙げられる。これらの装置をそのまま、あるいは適宜改良して使用することが可能である。
本発明で用いられる磁性現像剤は、質量平均粒径(D4)が5.0〜8.0μmであることが、解像性及びハーフトーン再現性の点で好ましい。磁性現像剤の質量平均粒径が4μm未満であると、磁性現像剤の凝集が著しくなりハンドリングに問題が生じる。また、磁性現像剤の質量平均粒径が10μmを超えると、100μm以下のドット潜像又は細線の再現が不十分となることがある。
磁性現像剤の質量平均粒径は、測定装置としてコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて粒度分布を測定し、その結果から求めることができる。前記測定装置を用いる粒度分布の測定では、電解液として1%NaCl水溶液が用いられる。この電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された水溶液や、例えばISOTONR−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を用いることができる。
前記粒度分布の具体的な測定法としては、前記電解液100〜150ml中に、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料である磁性現像剤を2〜20mg加える。磁性現像剤を加えた電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理に付し、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上の磁性現像剤の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布とを算出する。前記体積分布から、各チャンネルの中央値を代表値として質量平均粒径を求める。なお、前記磁性現像剤の質量平均粒径は、分級や、分級品の混合等によって調整することが可能である。
次に、本発明で用いられる現像剤担持体について説明する。
本発明で用いられる現像剤担持体は、少なくとも基体及びこの基体の表面に形成された樹脂被覆層を有する。
前記基体は、前記樹脂被覆層を表面に形成することができるものであれば、その形状や材料は特に限定されない。前記基体の形状としては、例えば円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材等が挙げられる。前記基体としては、例えば現像方法として静電潜像担持体(感光ドラム)に非接触の現像方法を用いる場合は、金属の円筒状部材が好ましく用いられ、具体的には金属製の円筒管が好ましく用いられる。金属製の円筒管は、主としてステンレススチール、アルミニウム及びその合金等の非磁性のものが好適に用いられる。
前記樹脂被覆層は、少なくとも結着樹脂、及び黒鉛化粒子を含有する。前記結着樹脂は、層を形成したときの適度な製膜性を示す公知の樹脂を用いることができる。前記結着樹
脂は、樹脂被覆層中に他の添加剤を添加する場合や前述した磁性現像剤の帯電特性等に応じて種々の樹脂を選択し得るので、詳細については後に説明する。
前記黒鉛化粒子には、黒鉛化度(p(002))が0.20以上0.95以下の黒鉛化粒子が用いられる。前記黒鉛化粒子は、前記の黒鉛化度の粒子であれば特に限定されない。
前記黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛のX線回折図から得られる格子間隔d(002)を測定することにより、下記式(1)を用いて求められる値である。
[数]
d(002)=3.440−0.086(1−p(002)2) (1)
このp(002)値は、炭素の六方網目平面積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すものであり、p(002)値が小さいほど黒鉛化の結晶性は高い。
本発明で用いられる黒鉛化粒子の黒鉛化度p(002)は、0.20〜0.95である。このp(002)は、0.25〜0.75であることが好ましく、0.25〜0.70であることがより好ましい。
p(002)が0.95を超える場合は、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下して、磁性現像剤のチャージアップ及びトナー融着を発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等が発生して画質が悪化しやすくなる。特に、現像工程において弾性ブレードと球形化度の高い磁性現像剤とを使用した場合に、トナー融着が原因で、画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。一方、p(002)が0.20未満の場合は、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により、前記樹脂被覆層の表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度、及び磁性現像剤への迅速且つ均一な帯電付与性が低下してしまうことがある。
黒鉛化度p(002)は、前記格子間隔d(002)を測定し、前記式(1)から算出することにより求めることができる。前記格子間隔d(002)は、マックサイエンス社製の強力型全自動X線回折装置“MXP18”システムにより測定することができる。
尚、前記装置による測定では、格子間隔d(002)は、CuKαをX線源とし、CuKβ線はニッケルフィルターにより除去する。標準物質に高純度シリコンを使用し、C(002)及びSi(111)回折パターンのピーク位置から算出する。主な測定条件は以下のとおりである。
X線発生装置:18kw
ゴニオメータ:横型ゴニオメータ
モノクロメータ:使用
管電圧:30.0kV
管電流:10.0mA
測定法:連続法
スキャン軸:2θ/θ
サンプリング間隔:0.020deg
スキャン速度:6.000deg/min
発散スリット:0.50deg
散乱スリット:0.50deg
受光スリット:0.30mm
前記黒鉛化度p(002)を有する黒鉛化粒子を得る方法としては、以下に示すような方法が好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
特に好ましい前記黒鉛化粒子を得る方法としては、原材料としてメソカーボンマイクロビーズやバルクメソフェーズピッチ等の光学的に異方性を有し、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することが、前記黒鉛化粒子の黒鉛化度を高め且つ潤滑性を維持しながら適度な硬度と分散性を保持させるために好ましい。
前記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、高度の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子が得られる。
前記黒鉛化粒子を得る原材料として、前記のバルクメソフェーズピッチを用いる場合は、加熱下で軟化溶融するものを用いることが、粒子状で分散性が高く、黒鉛化度の高い黒鉛化粒子を得るために好ましい。
前記バルクメソフェーズピッチを得る方法として代表的なものは、例えば、コールタールピッチ等から溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行うことによってバルクメソフェーズピッチを得る方法である。また前記方法において重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼン又はトルエン等により溶剤可溶分を除去してバルクメソフェーズピッチを得てもよい。
このバルクメソフェーズピッチは、キノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。95質量%未満のものを用いると、粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、粒子の形状が不均一になり分散不良を発生しやすい。
前記のようにして得られたバルクメソフェーズピッチを黒鉛化する方法を以下に示す。
まず、前記バルクメソフェーズピッチを2〜25μmに微粉砕して、これを空気中で約200〜350℃で熱処理することにより軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、バルクメソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化焼成時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは、酸素含有量が5〜15質量%であることが好ましい。酸素含有量が5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が激しくなることがあるので好ましくなく、15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化して分散性が低下することがあるので好ましくない。
次に、前記酸化処理されたバルクメソフェーズピッチを窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、約800〜1200℃で一次焼成することにより炭化し、続いて約2000〜3500℃で二次焼成する。前記の操作により所望の黒鉛化粒子が得られる。
また、前記黒鉛化粒子を得るためのもう一つの好ましい原材料であるメソカーボンマイクロビーズを得る方法として代表的なものを以下に例示する。
まず、石炭系重質油又は石油系重質油を300〜500℃の温度で熱処理し、重縮合させて粗メソカーボンマイクロビーズを生成する。得られた反応生成物を濾過、静置沈降、遠心分離等の処理に供することによりメソカーボンマイクロビーズを分離した後、ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶剤で洗浄し、更に乾燥する。前記の操作によって前記メソカーボンマイクロビースが得られる。
得られたメソカーボンマイクロビーズを黒鉛化するに際し、まず乾燥を終えたメソカーボンマイクロビーズを破壊させない程度の温和な力で機械的に一次分散させておくことが、黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
一次分散を終えたメソカーボンマイクロビーズは、不活性雰囲気下において200〜1500℃の温度で一次焼成され、炭化される。一次焼成を終えた炭化物は、やはり炭化物を破壊させない程度の温和な力で炭化物を機械的に分散させることが、黒鉛化後の粒子の合一防止や均一な粒度を得るために好ましい。
一次焼成を終えた炭化物は、不活性雰囲気下において約2000〜3500℃で二次焼成する。前記の操作により所望の黒鉛化粒子が得られる。
なお、前記いずれの原材料から得られた黒鉛化粒子も、いずれの製法を用いた場合にかかわらず、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
また、いずれの原材料を用いた黒鉛化粒子の生成方法においても、黒鉛化の焼成温度は2000〜3500℃であることが好ましく、2300〜3200℃であることがより好ましい。
黒鉛化の焼成温度が2000℃以下の場合は、黒鉛化粒子の黒鉛化度が不十分であり、導電性や潤滑性が低下して磁性現像剤のチャージアップやトナー融着を発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等が発生して画質が悪化しやすくなる。特に、現像工程において弾性ブレードと球形化度の高い磁性現像剤とを使用した場合に、トナー融着が原因で画像にスジ・濃度ムラ等が発生しやすくなる。また、焼成温度が3500℃以上の場合は黒鉛化粒子の黒鉛化度が高すぎてしまう場合があり、そのため黒鉛化粒子の硬度が下がり、黒鉛化粒子の耐磨耗性の悪化により前記樹脂被覆層表面の耐磨耗性、樹脂被覆層の機械的強度、及び磁性現像剤への帯電付与性が低下しやすい。
なお、前記黒鉛化粒子は、前記特許文献3に記載しているコークス等の骨剤をタールピッチ等により固めて成形後1000〜1300℃程度で焼成してから2500〜3000℃程度で黒鉛化して得た人造黒鉛、あるいは天然黒鉛からなる従来の結晶性グラファイトとは、原材料及び製造工程が異なる。本発明に用いられる黒鉛化粒子は、前記の結晶性グラファイトより黒鉛化の程度は若干低いものの、前記結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有している。更に、本発明で用いられる黒鉛化粒子は、結晶性グラファイトの形状が燐片状又は針状であるのとは異なり、粒子の形状が粒子状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いことが特徴である。
また、前記黒鉛化粒子は、前記特許文献4に記載している低比重且つ導電性の球状粒子とも原材料と製法が異なり、その粒子の特性や粒子が樹脂被覆層に与える効果が異なる。即ち、前記特許文献4に記載している低比重且つ導電性の球状粒子は、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン―ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気化で熱処理した後に不活性雰囲気下又は真空下で焼成して炭素化及び/又は黒鉛化したものである。従って、前記の球状樹脂粒子そのものは黒鉛化しにくい材質であるので、表面は黒鉛化されていても粒子内部は炭化されたものであり、粒子自体の黒鉛化度p(002)は測定不能であり、本発明で用いる黒鉛化粒子とは結晶性が異なる。また、前記の導電性球状粒子は、樹脂被覆層中に分散された場合、磁性現像剤の搬送力を高め、バルクとしての磁性現像剤の接触機会を増やすと共に、樹脂被覆層の耐磨耗性を向上する機能を樹脂被覆層
に付与しているのが特徴である。
一方、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、樹脂被覆層の表面に均一で微小な凹凸を付与することで、均一な潤滑性、導電性、帯電付与性、耐磨耗性等の特性を樹脂被覆層に付与するために添加している。
即ち、前記のような本発明に使用する特性を有する黒鉛化粒子を樹脂被覆層に用いると、樹脂被覆層中で均一且つ微細に分散されやすく、黒鉛化粒子が樹脂被覆層の表面に形成する微小な凹凸の形状を適度な大きさに制御しやすくなる。そして、この微小な凹凸を樹脂被覆層の表面に形成させることで、樹脂被覆層の表面上での磁性現像剤のチャージアップやトナー汚染、トナー融着を防止する効果が得られる。
また本発明に用いられる黒鉛化粒子は、樹脂被覆層への分散が良好なため、大量に添加することができ、樹脂被覆層の導電性を大きく向上することができる。その結果、本発明に用いる磁性現像剤のチャージアップを抑制し、カブリ、ブロッチ等の改善に効果がある。
また、本発明に用いられる黒鉛化粒子自体が優れた潤滑性を有していることと、適度な硬さを有するために前記結着樹脂との硬さの差が小さいこととにより、樹脂被覆層の表面が耐久で削れにくくなっている。また、微小な凹凸部分の樹脂被覆層表面が削れたとしても、均一に削れ易いために微小な凹凸の形状は維持されて、樹脂被覆層の表面の組成や特性は耐久しても変化しにくくなっている。
更に、現像剤担持体表面の樹脂被覆層中に、前記黒鉛化粒子を適度な微小凹凸が形成されるように含有させると、磁性現像剤一つ一つと樹脂被覆層の表面との接触機会が増えると共に黒鉛化粒子自体が良好な帯電制御性を有しているため、樹脂被覆層の表面において磁性現像剤のチャージアップやトナー融着を発生させることなく、磁性現像剤へ迅速且つ均一な帯電を付与することが可能となる。
更に、本発明に用いられる黒鉛化粒子は、押し込み硬さ値(HUT[68])が15以上60以下であることが好ましい。前記押し込み硬さ値は好ましくは20以上55以下であり、より好ましくは25以上50以下である。前記押し込み硬さ値が15未満である場合には、樹脂被覆層の耐磨耗性や機械的強度、及び磁性現像剤への迅速且つ均一な帯電付与性が低下してしまうことがある。一方、前記押し込み硬さ値が60を超えると、樹脂被覆層の耐磨耗性には優れるが、導電性や潤滑性が低下して磁性現像剤のチャージアップを発生する場合があり、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等が発生して画質が悪化しやすくなる。
前記押し込み硬さ値(HUT[68])とは、(株)アカシ製微小硬度計MZT−4で、軸芯に対する面角が68度の三角錐のダイヤモンド圧子を用いて測定される押し込み硬さ値(HUT[68])であり、下記式(2)で表される。
[数]
押し込み硬さ値(HUT[68])=K×F/(h2)2 (2)
[但し、K:係数 F:試験荷重 h2:圧子の最大押し込み深さ]
前記押し込み硬さ値は、その他の硬度等よりも微小な荷重で測定できると共に、弾性、塑性を有する材料に関しても、弾性変形、塑性変形分を含んだ硬度が得られるので、本発明において好ましく用いられる。
測定には、現像剤担持体の樹脂被覆層表面を#2000の研磨テープを用いて、樹脂被覆中の黒鉛化粒子が露出するように平滑に磨いたものが用いられる。
黒鉛化粒子の押し込み硬さ値(HUT[68])としては、前記の試料を固定して、研磨して被覆樹脂層表面に露出している黒鉛化粒子に圧子の照準を併せて測定を行い、同一試料の異なる黒鉛化粒子を10点以上測定して、その平均値を黒鉛化粒子の押し込み硬さ値(HUT[68])として求める。
主な測定条件は以下のとおりである。
TEST MODE A
試験荷重F1: 5.00gf
基準荷重F0: 0.50gf
押し込み速度V: 1.00μm/sec
保持時間T2: 5sec
除荷時間T3: 5sec
試験荷重及び圧子の最大押し込み深さは、樹脂被覆層表面の表面粗さの影響を受けず、且つ下地の基体の影響を受けない程度の範囲が好ましく、本発明においては、試験荷重圧子の最大押し込み深さが1〜2μm程度で測定を行った。
前記黒鉛化粒子は、下記式(3)で求められる値の平均値である平均円形度(SF−1)が0.64以上であることが好ましい。
[数]
円形度=(4×A)/{(ML)×2×π} (3)
[式中、MLは粒子投影像のピタゴラス法最大長を表し、Aは粒子像の投影面積を表す。]
前記平均円形度が0.64未満である場合には、前記樹脂被覆層中への黒鉛化粒子の分散性が低下すると共に、樹脂被覆層の表面粗さの不均一化が発生し、磁性現像剤の迅速且つ均一な帯電化、及び前記樹脂被覆層の耐磨耗性や強度の点で好ましくない。前記平均円形度は、例えば前述したバルクメソフェーズピッチの酸化処理や、前述したメソカーボンマイクロビーズの分散条件や、これらの焼成温度等によって調整することが可能である。
前記平均円形度を求めるための具体的な手法としては、光学系により拡大された黒鉛化粒子投影像を画像解析装置に取り込み、個々の粒子についての円形度の値を算出し、これらを平均することにより求められる。なお、本発明においては、平均値として信頼性が得られ、また、樹脂被覆層への特性に与える影響が大きい円相当径2μm以上の粒子範囲に限定して円形度を測定する。また、これらの値の信頼性を得るために測定粒子数は3000個程度以上、好ましくは5000個以上を測定する。
このように多数の黒鉛化粒子の円形度の解析を効率的に行うことが可能な具体的な測定装置としては、マルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)がある。マルチイメージアナライザーは、電気抵抗法による粒度分布測定装置にCCDカメラを組み合わせたものであり、これにより粒子像を撮影する機能と撮影された粒子像を画像解析する機能とを組み合わせたものである。
詳細には、電解質溶液中に超音波等により均一に分散した測定粒子を、電気抵抗法による粒度分布測定装置であるマルチサイザーのアパーチャーを粒子が通過する際の電気抵抗変化で検知し、これに同期してストロボを発光してCCDカメラで粒子像を撮影し、この
粒子像をパソコンに取り込み、2値化後、画像解析するものである。
前記黒鉛化粒子は、体積平均粒径が0.5μm以上4.0μm以下であることが好ましい。前記の体積平均粒径が0.5μm未満では樹脂被覆層に潤滑性と耐磨耗性を付与する効果が少なくなり、磁性現像剤のチャージアップや樹脂被覆層の磨耗、及びトナー融着が発生しやすくなる。特に、現像工程において弾性ブレードと球形化度の高い磁性現像剤とを使用した場合に、トナー融着が顕著に発生しやすくなり、画像にスジ・濃度ムラ等が発生する場合がある。一方、体積平均粒径が4.0μmを超えると、黒鉛化粒子が樹脂被覆層の表面にトナー融着を発生しやすくなるような凹凸を形成する場合がある。
また、樹脂被覆層中で分散されている黒鉛化粒子は、10μm以上の体積累積分布(%)が5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。10μm以上の体積累積分布(%)が5%を超えると、樹脂被覆層表面に黒鉛化粒子による不均一な凹凸が発生しやすくなり、トナー融着の発生の原因となる場合がある。
前記黒鉛化粒子の体積平均粒径は、レーザー回折型粒度分布計のコールターLS−230型粒度分布計(コールター社製)を用いて測定することができる。測定方法としては、少量モジュールを用い、測定溶媒としてはイソプロピルアルコール(IPA)を使用する。IPAにて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、洗浄後バックグラウンドファンクションを実行する。
次にIPA50ml中に、測定試料を1〜25mg加える。試料を懸濁した溶液を、超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い、試料液を得る。前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、体積分布から算術した体積平均粒径を求める。
黒鉛化粒子の樹脂被覆中での体積平均粒径の制御は、使用する黒鉛化粒子の粒度分布を粉砕や分級によって調整する手段及び樹脂被覆中への黒鉛化粒子の分散強度を調整することで可能である。なお、後述する導電性粒子の体積平均粒径や粒度分布も同様に測定することができる。
また本発明に用いられる現像剤担持体は、その表面の、粗さのパラメータである油溜まり深さ(Rvk)が0.70μm以下である。これにより、樹脂被覆層中の前記黒鉛化粒子等の導電性物質の微小な凹凸が密に形成され、これが磁性現像剤と密に接触し、その結果、磁性現像剤の過剰な電荷を好適にリークさせることが可能になる。Rvkが0.70μmを超えると、凹凸部の深い窪みが多数形成され、ここに磁性現像剤が溜まってしまい、スリーブ汚染や画像濃度低下、ブロッチ等の不良が発生し易くなる。
この油溜まり深さは、表面粗さ曲線から得られる特性値であり、次のようにして求められる。
まず、現像剤担持体の表面粗さを、JIS B0651(ISO 13565)の規定に従って測定し、得られた粗さ曲線から、負荷曲線(BAC)を得る。粗さ曲線と負荷曲線(BAC)の関係を模式的に図5に示す。図5において、b1、b2、bi、及びbnは粗さ曲線の、山頂線に平行な切断レベルCで粗さ曲線を切断したときに得られる各切断長さを表し、Cは粗さ曲線の山頂からの切断レベルを表し、mは粗さ曲線の平均線を表し、Lは基準長さを表し、tpは、図5中の式から求められる負荷長さ率(%)を表す。
次いで、図6に示すように、前記したように得られた負荷曲線(BAC)上で負荷長さ率の差が40%となる2点A、Bを通る直線のうち、傾きがもっとも小さい直線を選ぶ。
そして、この直線が、負荷長さ率0%の軸と交わる点を点C、負荷長さ率100%の軸と交わる点を点Dとする。さらに、点Dを通る切断高さレベルと負荷曲線との交点を点Eとし、負荷曲線と負荷長さ率100%の軸との交点を点Fとする。そして、線分DE、曲線EF、線分FDで囲まれる面積と三角形DEGの面積が等しくなる点Gを負荷長さ率100%の軸上に求める。この点Dと点Gの距離をRvkとする。本発明ではRvkを油溜まり深さと称する。
表面粗さの測定には、触針式粗さ計、あるいは非接触式粗さ計いずれもが好適に適用でき、その方法はJIS B0651(ISO 13565)の規定に従って行えば特に問題はない。
また現像剤担持体表面の前記樹脂被覆層の表面粗さは、JIS中心線平均粗さ(Ra)で0.1μm以上3.5μm以下の範囲にあることが好ましい。更に好ましくは、0.3〜2.5μmである。Raが0.1μm未満では、現像剤担持体上における磁性現像剤の帯電量が高くなり過ぎて現像性が不十分となることがあり、また、現像領域への現像剤の搬送性が劣り、十分な画像濃度が得られにくくなる。一方、Raが3.5μmを超えると、現像剤担持体上に形成される磁性現像剤の層にムラが生じ、画像上での濃度ムラの原因となることがある。
前記樹脂被覆層表面のRvk及びRaは、小坂研究所製サーフコーダーSE−3500を用い、測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、軸方向3点×周方向3点=9点について各々測定し、その平均値をとった。
前記Rvk及びRaは、前記黒鉛化粒子の黒鉛化度、粒径や平均円形度によって調整することが可能である。
本発明において、前記した形成材料によって現像剤担持体上に形成される前記樹脂被覆層は、チャージアップによる磁性現像剤の現像剤担持体上への固着や、磁性現像剤のチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面から磁性現像剤への帯電付与不良を防ぐためには、導電性であることが望ましい。また、前記樹脂被覆層の体積抵抗値としては、好ましくは104Ω・cm以下、より好ましくは103Ω・cm以下である。樹脂被覆層の体積抵抗値が、104Ω・cmを超えると、磁性現像剤への帯電付与不良が発生し易く、その結果、ブロッチが発生し易い。
前記樹脂被覆層の体積抵抗は、100μmの厚さのPETシート上に、7〜20μmの樹脂被覆層を形成し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(ともに三菱化学製)にて4端子プローブを用いることにより測定することができる。なお、測定環境は、20〜25℃、50〜60%RHとする。
本発明においては、前記樹脂被覆層の体積抵抗を前記の値に調整するため、樹脂被覆層中に前記の黒鉛化粒子と併用して、他の導電性微粒子を分散し、含有させてもよい。
この導電性微粒子としては、個数平均粒径が好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmのものがよい。前記導電性微粒子の個数平均粒径が1μmを越える場合には、樹脂被覆層の体積抵抗を均一に制御しづらくなり、磁性現像剤が均一に帯電しづらくなる。
前記導電性微粒子としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマル
ブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウム、酸化アンチモン及び酸化イ
ンジウム等の金属酸化物等;アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維等の無機系充填剤等が挙げられる。また、本発明において好適なこれらの導電性微粒子の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部の範囲とすることが好ましい。
本発明では、用いられる磁性現像剤の誘電率を制御することで、帯電量が狭く電荷保持性の高い磁性現像剤を達成しているが、現像剤担持体との摩擦帯電が不均一であると、その帯電性の良さが災いして、現像剤担持体上での不均一な帯電状態が生ずることがある。即ち現像剤担持体の表面組成及び表面の形状が不均一であるような場合、局所局所で磁性現像剤の帯電の立ち上り状態が異なり、不均一な帯電量分布を有することとなる。そのような場合、カブリや画像濃度ムラを発生する状態となり易い。またチャージアップ現象を起こすことによりブロッチやスジの原因となることがある。
検討の結果、現像剤担持体の樹脂被覆層に前記黒鉛化粒子を用い、さらに樹脂被覆層の表面の形状においてRvkを一定の範囲とすることで、これらの問題を解決できることがわかった。即ち先に述べたような理由で、黒鉛化粒子の黒鉛化度を制御することで、樹脂被覆層の表面状態の変化が初期のみならず耐久を通じて小さく、摩擦帯電付与性、耐汚染性、耐融着性、導電性等が良好であることから、前記磁性現像剤を均一に摩擦帯電させ続けることが可能となる。その結果耐磨耗性に優れ、スリーブゴースト、カブリ、画像濃度等の画質劣化の無い画像を得ることができる現像方法を提供することができる。
またRvkが0.70μm以下であることにより、樹脂被覆層中の黒鉛化粒子等による微小な凹凸が密に形成され、この凹凸と前記磁性現像剤との接触機会が均一になることから、磁性現像剤の過剰な電荷を好適にリークさせることが可能となる。その結果、耐汚染性に優れ、画像濃度の低下、ブロッチ等の不良が発生しない現像方法を提供することができる。
このようなことから、本発明において良好な現像方法が得られる。
さらには、本発明において磁性現像剤として負帯電性トナーを用いる場合、特開2002−311636号公報或いは特開2003−057951号公報等に開示されるような、現像剤担持体の導電性の樹脂被覆層中に、荷電制御性の含窒素化合物を含有することが好ましく、更には前記含窒素化合物が、鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物であることが、前記磁性現像剤への良好な帯電付与性の点で好ましい。このとき、前記樹脂被覆層は、樹脂構造中にアミノ基、=NH基、又は−NH−結合の少なくともいずれかを有することが、前記磁性現像剤への良好な帯電付与性の点で更に好ましい。
ここで現像装置における前記磁性現像剤と前記樹脂被覆層との関係について述べる。前記磁性現像剤を負帯電性トナーとして用いる場合、例えば従来のトナーと比較すると、強い負帯電性があるため、トナーとして高帯電性、帯電量の均一化、帯電特性の環境安定性が達成できるが、一方でトナー融着、チャージアップを起こしやすい。そこで本発明においても前記第4級アンモニウム塩化合物を前記樹脂被覆層に含有させることにより、特定の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子による樹脂被覆層への帯電付与性、潤滑性等の効果と相まって、特にチャージアップ等の発生しやすい前記磁性現像剤に対しての高い帯電安定性及び搬送安定性を得ることができる。その結果、前記磁性現像剤の高帯電安定性を保持でき、環境安定性及び長期安定性を有する高精細な画像を提供することが可能となる。
本発明において、前記樹脂被覆層中の結着樹脂を前記したような構成とすると樹脂被覆層が前記磁性現像剤に対して良好な帯電付与物質となることについての明確な理由は定かではないが、次のように推測される。
自身が鉄粉に対して正帯電性である第4級アンモニウム塩化合物は、前記結着樹脂に添加されると、構造中にアミノ基、=NH又は−NH−の少なくとも1つを含む前記結着樹脂中に均一に分散され、更に、樹脂被覆層を形成する際に前記結着樹脂の構造中に取り込まれ、前記化合物を有する前記結着樹脂組成物自身が負帯電性を持つようになるものと考えられる。
そのため前記樹脂被覆層は、負帯電性トナーに対しては、トナーに負帯電量が過剰となることを妨げる方向に働き、結果として前記磁性現像剤の負帯電量を適宜にコントロールすることが可能となる。図4に、本発明の樹脂被覆層に用いる結着樹脂への第4級アンモニウム塩化合物の添加量に対するモデルトナーの帯電量との関係を示すグラフを示す。図4に示すように、構造中にアミノ基、=NH又は−NH−を含まないPMMA樹脂では、添加による帯電量の変化は見られない。
前記第4級アンモニウム塩化合物としては、鉄粉に対して正帯電性を有するものであればいずれのものでもよいが、例えば、下記一般式で表される化合物が挙げられる。
(式中のR
1、R
2、R
3及びR
4は、夫々置換基を有してもよいアルキル基、置換基
を有してもよいアリール基、アルアルキル基を表し、R
1〜R
4は夫々同一でも或いは異なっていても良い。X
−は酸の陰イオンを表す。)
前述の一般式において、X−の酸イオンの具体例としては、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機リン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、モリブデン原子或いはタングステン原子を含むヘテロポリ酸イオン等が好ましく用いられる。
これに対し、例えば、下記構造式で表されるような、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有する含フッ素第4級アンモニウム塩化合物についても検討を行ったが、前記化合物の添加によっては本発明の所期の目的が達成されないことがわかった。即ち、下記構造式で表される化合物は、電子吸引性の強いフッ素原子が構造中にあるので、それ自身が鉄粉に対して負帯電性を有するが、本発明の場合と同様に、前記化合物を、構造中にアミノ基、=NH又は−NH−の少なくとも1つを含む結着樹脂中に分散させ、これを加熱硬化させて現像剤担持体上の樹脂被覆層を形成しても、フッ素を含有しない前記第4級アンモニウム塩化合物を含有させた結着樹脂に用いるほどには、負帯電性の磁性現像剤に対する過剰帯電抑制性は得られなかった。
本発明に好適に用いられる前記第4級アンモニウム塩化合物としては、具体的には、以下のようなものが挙げられるが、勿論、本発明は、これらに限定されるものではない。
前記に例示したような前記第4級アンモニウム塩化合物の添加量は、構造中にアミノ基、=NH又は−NH−の少なくとも1つを含む結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。1質量部未満では添加による帯電付与性の向上が見られないことがあり、100質量部を超えると結着樹脂中への分散不良となり被膜強度の低下を招き易い。
構造中にアミノ基、=NH又は−NH−の少なくとも1つを含む前記結着樹脂としては、その製造工程において触媒として含窒素化合物を用いて製造されたフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドを硬化剤として用いたエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、或いはこれらの樹脂を一部に含んだ共重合体等が挙げられる。前記第4級アンモニウム塩化合物は、これら結着樹脂との混合物の成膜時に、結着樹脂の構造中に容易に取り込まれる。
触媒として用いられる前記含窒素化合物としては、例えば、酸性触媒としては、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、スルファミド酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム等のアンモニウム塩又はアミン塩類が挙げられる。塩基性触媒としては、アンモニア;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベン
ジルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジアミルアニリン、N,N−ジ−t−アミルアニリン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、ジ−n−ブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミノ化合物;ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン等のピリジン及びその誘導体;キノリン化合物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール及びその誘導体等の含窒素複素環式化合物等が挙げられる。
また、前述した結着樹脂として用いられるポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、66、610、11、12、9、13、Q2ナイロン等、これらを主成分とするナイロンの共重合体、N−アルキル変性ナイロン、N−アルコキシルアルキル変性ナイロン等が挙げられ、いずれも好適に用いることができる。更にはポリアミド変性フェノール樹脂のようにポリアミドにて変性された各種樹脂、或いは、硬化剤としてポリアミド樹脂を用いたエポキシ樹脂、といったように、ポリアミド樹脂分を含有している樹脂であれば、いずれも好適に用いることができる。
また、前述した結着樹脂として用いられるウレタン樹脂としては、ウレタン結合を含んだ樹脂であれば、いずれも好適に用いることができる。このウレタン結合はポリイソシアネートとポリオールとの重合付加反応によって得られる。
このポリウレタン樹脂の主原料となるポリイソシアネートとしては、TDI(トリレンジイソシアネート)、ピュアMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、NDI(ナフタリンジイソシアネート)等の芳香族系ポリイソシアネート;HMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、水添XDI(水添キシリレンジイソシアネート)、水添MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)等の脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
またこのポリウレタン樹脂の主原料となるポリオールとしては、PPG(ポリオキシプロピレングリコール)、ポリマーポリオール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテル系ポリオール;アジペート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートポリオール等のポリエステル系ポリオール;PHDポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等のポリエーテル系の変性ポリオール;その他、エポキシ変性ポリオール;エチレン−酢酸ビニル共重合物の部分ケン化ポリオール(ケン化EVA);難燃ポリオール等が挙げられる。
また本発明において、現像剤担持体の樹脂被覆層中に下記一般式(B)で表される未置換又は置換基を有するベンジル酸の金属化合物を含有することが好ましく、更には前記ベンジル酸の金属化合物が、前記ベンジル酸のアルミニウム化合物であることが、前記磁性現像剤への良好な帯電付与性の点で更に好ましい。
(式中、R
1とR
2は同一であっても異なっていても良く、それぞれ独立して、直鎖又は分岐したアルキル基、直鎖又は分岐したアルケニル基、直鎖又は分岐したアルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0〜5の整数を示す。)
また、前記ベンジル酸のアルミニウム化合物は、下記一般式(B−1)で示されるベンジル酸のアルミニウム化合物であることが好ましいが、ベンジル酸2molとアルミニウム原子1molからなる錯体及び/又は錯塩であれば、一般式(B−1)に限定されるものではない。
(式中、R
1とR
2は同一であっても異なっていても良く、各々独立して、直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。また、X
+は1価のカチオンを示し、Xは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又はアルキルアンモニムを表す。)
前記ベンジル酸のアルミニウム化合物としては、他に、ベンジル酸の化合物を1分子配位したアルミニウム錯体及び/又は錯塩、ベンジル酸の化合物を3分子配位したアルミニウム錯体及び/又は錯塩、さらにベンジル酸の化合物を1〜3分子配位したアルミニウム錯体及び/又は錯塩の混合物を用いることもできる。
なお、前記一般式(B)及び(B−1)で示される置換基の炭素数は、特に限定されないが、0〜12の範囲であることが、前記磁性現像剤への帯電付与特性や前記樹脂被覆層中への分散性等の観点から好ましい。
前記ベンジル酸のアルミニウム化合物は、例えば、前記の如き未置換又は置換基を有するベンジル酸と硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩とを所望のモル比で混合し、アルカリ雰囲気下で加熱反応させ、得られた沈殿物を濾別採取し、更に水洗、乾燥することによって得ることができる。但し、本発明に係るベンジル酸のアルミニウム化合物の製法はこれに限定されるものではない。
前記樹脂被覆層中に分散されたベンジル酸のアルミニウム化合物は、帯電量の高いネガトナーに対しては帯電量を抑制するという効果を有し、負帯電性の磁性現像剤に対して適
正な帯電量を均一に付与することができる。これにより、画像濃度低下、スリーブゴーストやカブリ等を防止し、またチャージアップによるブロッチ等もより一層効果的に防止することができる。
前記樹脂被覆層中に分散されているベンジル酸のアルミニウム化合物の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部、より好ましくは2〜50質量部である。添加量が1質量部未満となると添加による効果が不十分となることがあり、100質量部を超えると前記樹脂被覆層の環境安定性が不十分となることがある。
前記ベンジル酸の金属化合物を含有する樹脂被覆層に使用される結着樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂及びアクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂の如き熱あるいは光硬化性樹脂;を使用することができる。
これらの中でも、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂の様な離型性を有するもの、あるいはポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂及びアクリル系樹脂の様な機械的性質に優れたものがより好ましい。
また、磁性現像剤を用いる現像方法においては、磁性現像剤を現像剤担持体上に磁気的に吸引かつ保持するために、磁石によって構成されるマグネットローラ等の磁界発生手段を現像剤担持体内に配置する。その場合、基体を円筒状とし、その内部にマグネットローラを配置すればよい。
以下、本発明に用いられる現像剤担持体における樹脂被覆層の構成について説明する。図1は、本発明に用いられる現像剤担持体の一例の一部分を模式的に示す断面図である。図1において、特定の黒鉛化度を有する黒鉛化粒子a及び導電性微粒子cが結着樹脂b中に分散されてなる樹脂被覆層iiが、金属円筒管からなる基体i上に積層されている。
図1では、樹脂被覆層iiの表面は、黒鉛化粒子aが均一且つ微細に分散しており、黒鉛化粒子aにより微小且つ均一な凹凸を形成している。この黒鉛化粒子aが磁性現像剤と緊密に接触し、過剰な電荷をリークすると共に、現像剤担持体の表面に深い谷を形成しないため、このような現像剤担持体は、現像剤担持体の表面の凹部に磁性現像剤が溜まる事によるトナー汚染を発生しにくい構成となっている。
次に、図2を参照しながら、本発明の現像方法について説明する。
本発明では、前述した現像剤担持体は、図2に示されるような現像装置に設けられて静電潜像の現像に用いられる。
この現像装置は、磁性現像剤10を収容する現像剤容器9と、この開口部に回転自在に設けられる現像剤担持体である現像スリーブ14と、現像スリーブ14の表面に担持される磁性現像剤を規制する現像剤層厚規制部材である規制ブレード8とを有する。現像スリーブ14の内側には磁性現像剤10を現像スリーブ14上に磁気的に吸引及び保持するために、現像スリーブ14に対して不動となるように磁石11が配置されている。現像スリーブ14は、金属製の円筒管である基体12と、基体12の表面に形成された前記樹脂被覆層13とから構成されている。この現像装置は、公知のプロセスにより形成される静電潜像を担持する静電潜像担持体である回転自在な感光体7に対向し、かつ感光体7に対して非接触に配置されている。基体12には、感光体7へ磁性現像剤10を飛翔させるため
の現像バイアスを基体12に印加する電源15が接続されている。なお、dは、現像スリーブ14上の磁性現像剤が現像スリーブ14から感光体7に供給される現像領域である。
図2において、感光体7は矢印B方向に回転する。現像スリーブ14は、現像剤容器9から供給された一成分磁性トナーである磁性現像剤10を担持して、矢印A方向に回転する。現像剤容器9中の磁性現像剤10は、磁石11の磁極S2からの磁力によって、現像スリーブ14上に担持される。現像スリーブ14に担持された磁性現像剤10は、規制ブレード8に向けて搬送される。
規制ブレード8は、強磁性金属からなり、現像スリーブ14の表面から約200〜300μmのギャップ幅を持って現像スリーブ14に臨むように、現像剤容器9の開口部から垂下している。規制ブレード8の先端縁に磁石11の磁極N1からの磁力線が集中することにより、現像スリーブ14上に磁性現像剤10の薄層が形成される。規制ブレード8としては非磁性ブレードや、ウレタンゴム、シリコーンゴム、チップブレード等の弾性ブレードを用いることも可能である。
規制ブレード8によって層を形成した磁性現像剤10は、現像スリーブ14によって現像領域Dに搬送される。現像スリーブ14上に担持されている磁性現像剤10は、現像スリーブ14との摩擦により、感光体7上の静電荷像を現像可能な摩擦帯電電荷を得る。現像スリーブ14上に形成される磁性現像剤10の薄層の厚みは、現像領域Dにおける現像スリーブ14と感光体7との間の最小間隙よりも更に薄いものであることが好ましい。
前記現像スリーブ14には、現像領域Dにおいて磁性現像剤10を感光体7に飛翔させるために、電源15より現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の画像部(磁性現像剤10が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧が現像スリーブ14に印加されることが、好ましい。
一方、現像画像の濃度を高め、或いは階調性を向上するために、現像スリーブ14に交番バイアス電圧を印加して、向きが交互に反転する振動電界を現像領域Dに形成してもよい。この場合、前記画像部の電位と背景部の電位の間の値を有する直流電圧成分が重畳された交番バイアス電圧を現像スリーブ14に印加することが好ましい。
この交番バイアスは、周波数fが200〜4,000Hz、ピーク間電位Vppが500〜3,000Vであれば良い。100kHz、40℃における誘電率(pF/m)が10以上40以下である磁性現像剤10を用いる場合は、Vppが500〜1,200Vであることがより好ましい。Vppが500V未満の場合、画像濃度が不十分となることがある。Vppが1,200Vを超える場合、カブリや飛び散り、ブロッチがより顕著に発生し易くなる。
また、高電位部と低電位部を有する静電潜像の高電位部に磁性現像剤を付着させて可視化する、いわゆる正規現像では、静電潜像の極性と逆極性に帯電する磁性現像剤を使用する。一方、静電潜像の低電位部に磁性現像剤を付着させて可視化する、いわゆる反転現像では、静電潜像の極性と同極性に帯電する磁性現像剤を使用する。高電位と低電位というのは、絶対値による表現である。いずれにしても、磁性現像剤10は現像スリーブ14との摩擦により静電潜像を現像するための極性に帯電する。
次に、前述の現像方法を適用した画像形成方法を、図3に概略的に示す接触帯電手段及び接触転写手段を有する画像形成装置を参照しながら説明する。前述の現像方法は、コロナ帯電方式及び/又はコロナ転写方式を使用する画像形成方法にも適用できる。
この画像形成装置は、図3に示すように、静電潜像担持体であるドラム型の感光体801と、感光体801を帯電させる帯電手段であって、感光体801に接触して、かつ回転自在に設けられている帯電ローラ802と、帯電した感光体801に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成する不図示の潜像形成手段と、感光体801に形成された静電潜像を現像する現像手段であって、磁性現像剤を収容し、前述した現像剤担持体805を有する図2に示す如き現像装置と、感光体801上に形成されたトナー像を転写材808に転写するための転写手段であって、回転自在に設けられ、かつ転写時には転写材808を介して感光体801に向けて押圧される転写ローラ806と、転写材808に転写されたトナー像を転写材808に定着させる定着手段である加熱加圧手段811と、転写後の感光体801に残存する磁性現像剤を除去するクリーニング装置809と、残存する磁性現像剤が除去された感光体801の表面に光を照射して感光体801の静電履歴を消去する除電露光装置810とを有する。
感光体801は、導電性基層801b及びその上に形成される光導電層801aを有する。感光体801には、OPC感光体やアモルファスシリコン系感光体等の公知の感光体が用いられる。帯電ローラ802は、導電性弾性層802a及び芯金802bを有している。芯金802bには、帯電バイアス電源803が接続されている。前記現像装置の現像剤担持体805の基体には、現像バイアス電圧を印加するための現像バイアス電源813が接続されている。転写ローラ806は、導電性弾性層806a及び芯金806bを有している。芯金806bには、転写バイアス電源807が接続されている。加熱加圧手段811は、転写材808上に磁性現像剤を融着するための加熱を行う加熱ローラ811aと、加熱ローラ811aに転写材808を押圧する加圧ローラ811bを有する。クリーニング装置809は、感光体801の回転方向に対してカウンター方向に圧接する弾性クリーニングブレードを具備している。
感光体801は、図中の矢印で示される、図面上時計の針の回転方向に所定の周速(プロセススピード)で回転する。帯電ローラ802は、帯電バイアス電源803によりバイアスが印加されている。帯電ローラ802は、感光体801に押圧力により圧接されており、感光体801の回転に伴い従動回転する。帯電ローラ802にバイアスV2が印加されることで、感光体801の表面が所定の極性及び電位に帯電する。次いで画像露光804によって静電潜像が形成される。
感光体801に形成された静電潜像は、前記現像装置によりトナー画像として可視化されていく。現像剤担持体805には、現像バイアス電源813よりバイアスV1が印加される。現像により感光体801上に形成されたトナー画像は、転写バイアス電源807により転写バイアスV3が印加され、かつ転写材808を感光体801に押圧する転写ローラ806により、転写材808に静電転写される。
転写材808上のトナー画像は、加熱加圧手段811により加熱加圧定着される。トナー画像転写後の感光体801面では転写残りトナーの如き付着汚染物質を、クリーニング装置809が除去する。こうして清浄面化された感光体801の表面は、更に除電露光装置810により除電される。そして感光体801は、繰り返して作像される。
帯電手段としては、以上のごとく接触帯電手段として帯電ローラ802を用いて説明したが、帯電ブレード、帯電ブラシの如き接触帯電手段でも、非接触のコロナ帯電手段でもよい。接触帯電手段の方が帯電工程におけるオゾンの発生が少ない。
転写手段としては、以上のごとく転写ローラ806を用いて説明したが転写ブレード又は転写ベルトの如き接触帯電手段でも、非接触のコロナ転写手段でもよい。接触転写手段
の方が転写工程におけるオゾンの発生が少ない。
なお、本発明では、前述した現像剤担持体を有し、かつ前述した磁性現像剤を収容する現像手段と、前記感光体とを一体的に有し、かつこの一体構成物が画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されているプロセスカートリッジを用いても良い。このプロセスカートリッジには、前述したクリーニング装置等の他の装置を更に設けても良い。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[トナー製造例]
(トナー製造例1)
ハイブリッド樹脂 100質量部
(ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、コハク酸誘導体、トリメリット酸、スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸;ガラス転移温度:58℃、軟化点:130℃)
磁性酸化鉄 60質量部
(平均粒径:0.25μm、Hc:9.6kA/m、σs:81Am2/kg、σr:13Am2/kg)
3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物 5質量部
ポリエチレンワックス(融点120℃) 5質量部
前記混合物を、130℃に加熱された二軸エクストルーダーで溶融混練し、溶融混練した混合物を冷却し、冷却した混合物をハンマーミルで粗粉砕した。この粗粉砕物をターボミル(ターボ工業社製)で微粉砕し、得られた微粉砕物を風力分級機で分級し、質量平均粒径7.9μmの磁性トナーを得た。
この磁性トナー100質量部に、疎水性乾式シリカ(BET:180m2/g)1.0質量部、及びチタン酸ストロンチウム(BET:3m2/g)3.0質量部をヘンシェルミキサーにて外部添加し、トナー1を得た。このトナー1の誘電率は38pF/mであった。トナー1の処方及び物性を表1に示す。
(トナー製造例2)
トナー製造例1において、磁性酸化鉄を50質量部にしたこと以外はトナー製造例1と同様にして、質量平均粒径7.5μm、誘電率31pF/mのトナー2を得た。トナー2の処方及び物性を表1に示す。
(トナー製造例3)
トナー製造例1において、ハイブリッド樹脂をポリエステル樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、コハク酸誘導体、トリメリット酸の縮重合体、ガラス転移温度:60℃、軟化点:140℃)に、及び磁性酸化鉄を25質量部にしたこと以外はトナー製造例1と同様にして、質量平均粒径7.1μm、誘電率12pF/mのトナー3を得た。トナー3の処方及び物性を表1に示す。
(トナー比較製造例1)
トナー製造例3において、磁性酸化鉄を100質量部にしたこと以外はトナー製造例1と同様にして、質量平均粒径8.0μm、誘電率48pF/mのの比較用トナー1を得た。比較用トナー1の処方及び物性を表1に示す。
(トナー比較製造例2)
トナー製造例1において、ハイブリッド樹脂をスチレン−アクリル樹脂(スチレン、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸;ガラス転移温度:54℃、軟化点:125℃)に、及び磁性酸化鉄を15質量部にしたこと以外はトナー製造例1と同様にして、質量平均粒径6.9μm、誘電率8pF/mの比較用トナー2を得た。比較用トナー2の処方及び物性を表1に示す。
なお、表1中の磁性体含有率は、結着樹脂と磁性体の質量の和に対する磁性体の含有率を示している。
[現像剤担持体製造例]
(現像剤担持体製造例1)
レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 400質量部
黒鉛化粒子(A−8) 90質量部
導電性カーボンブラック 10質量部
メタノール 100質量部
前記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて分散し、更にメタノールで分散液の固形分を35%に希釈して塗工液を得た。なお、黒鉛化粒子A−8は、バルクメソフェーズピッチ粒子を酸化性雰囲気下で熱安定化処理した後に3000℃で焼成することにより黒鉛化して得た、体積平均径2.9μmの黒鉛化粒子である。黒鉛化粒子A−8及び以下の現像剤担持体の製造例において用いられる黒鉛化粒子の物性を表2に示す。
前記塗工液を用いて、スプレー法により、外径24.5mmのアルミニウム製の円筒管上に樹脂被覆層を形成し、続いて熱風乾燥炉により150℃、30分間加熱して樹脂被覆層を硬化させ、現像剤担持体B−1を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
なお、樹脂被覆層の膜厚は、KEYENCE社製レーザー寸法測定器を用いて測定した。コントローラLS−5500及びセンサーヘッドLS−5040Tを用い、スリーブ固定治具及びスリーブ送り機構を取り付けた装置に、センサー部を別途固定し、スリーブの外径寸法を下記のようにして測定し、その平均値とした。測定は、スリーブ長手方向に対し30分割して30箇所測定し、更にスリーブを周方向に90°回転させた後更に30箇所、計60箇所の測定を行い、その平均値をとった。表面被覆層塗布前のスリーブの外径を上記のようにして予め測定しておき、表面被覆層形成後の外径を同様に測定し、その差分をコート膜厚とした。
(現像剤担持体製造例2)
現像剤担持体製造例1において、黒鉛化粒子をA−9にしたこと以外は現像剤担持体製
造例1と同様にして現像剤担持体B−2を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例3)
現像剤担持体製造例1において、黒鉛化粒子をA−10にしたこと以外は現像剤担持体製造例1と同様にして現像剤担持体B−3を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例4)
レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 300質量部
下記構造式に示す四級アンモニウム塩化合物荷電制御剤(P−1) 30質量部
黒鉛化粒子(A−1) 90質量部
導電性カーボンブラック 10質量部
メタノール 130質量部
前記材料を用い、現像剤担持体製造例1と同様にして現像剤担持体B−4を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例5)
現像剤担持体製造例4において、黒鉛化粒子をA−2にしたこと以外は現像剤担持体製造例4と同様にして現像剤担持体B−5を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例6)
現像剤担持体製造例4において、黒鉛化粒子をA−3にしたこと以外は現像剤担持体製造例4と同様にして現像剤担持体B−6を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例7)
現像剤担持体製造例4において、黒鉛化粒子をA−4にしたこと以外は現像剤担持体製造例4と同様にして現像剤担持体B−7を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例8)
ポリアミド樹脂溶液(メタノール50%含有) 200質量部
下記構造式に示す四級アンモニウム塩化合物荷電制御剤(P−2) 30質量部
黒鉛化粒子(A−5) 90質量部
導電性カーボンブラック 10質量部
メタノール 130質量部
前記材料を、現像剤担持体製造例1と同様にして現像剤担持体B−8を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例9)
現像剤担持体製造例8において、黒鉛化粒子をA−6にしたこと以外は現像剤担持体製造例8と同様にして現像剤担持体B−9を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体製造例10)
現像剤担持体製造例8において、黒鉛化粒子をA−7にしたこと以外は現像剤担持体製造例8と同様にして現像剤担持体B−10を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例1)
現像剤担持体製造例1において、黒鉛化粒子をa−1にしたこと以外は現像剤担持体製造例1と同様にして比較用現像剤担持体c−1を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例2)
現像剤担持体製造例1において、黒鉛化粒子をa−2にしたこと以外は現像剤担持体製造例1と同様にして比較用現像剤担持体c−2を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例3)
現像剤担持体製造例4において、黒鉛化粒子をa−1にしたこと以外は現像剤担持体製造例4と同様にして比較用現像剤担持体c−3を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例4)
現像剤担持体製造例4において、黒鉛化粒子をa−2にしたこと以外は現像剤担持体製造例4と同様にして比較用現像剤担持体c−4を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例5)
現像剤担持体製造例8において、黒鉛化粒子をa−1にしたこと以外は現像剤担持体製造例8と同様にして比較用現像剤担持体c−5を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
(現像剤担持体比較製造例6)
現像剤担持体製造例8において、黒鉛化粒子をa−2にしたこと以外は現像剤担持体製造例8と同様にして比較用現像剤担持体c−5を作製した。この現像剤担持体の樹脂被覆層の処方と物性を表3に示す。
<実施例>
画像形成装置として、現像バイアスを外部電源から印加できるようにしたキヤノン製複写機iR6000の改造機を用いた。前記現像バイアスには、DC160VにAC900Vpp(2,700Hz)の矩形波を重畳するようにしたものを用いた。前記画像形成装置において、前記のトナー製造例で製造したトナー、及び前記の現像剤担持体製造例で製造した現像剤担持体を表4に示す組み合わせにて用い、常温低湿環境(N/L:温度23度、湿度5%)、常温常湿環境(N/N:温度23度、湿度60%)及び高温高湿環境(H/H:温度30℃、湿度80%)において、それぞれ80万枚の通紙耐久を行った。通
紙耐久では、原稿には画像比率5%のチャートを使用した。
<評価>
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ等の画像評価、現像剤担持体上のトナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)、樹脂被覆層の耐磨耗性について、耐久評価を行った。
(a)画像濃度
画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、原稿上1.1濃度の5mm丸の反射濃度を耐久初期、耐久中期(40万枚画出時)及び耐久後で測定した。
(b)カブリ
画像上のカブリは、画像形成前の転写材と画像形成後の白地部とを反射濃度計(リフレクトメーター モデルTC−6DS 東京電色社製)によって測定し、画像形成後の白地部反射濃度最悪値(最大値)をDs(%)、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDr(%)とし、(Ds)−(Dr)を求め、これをカブリ量として評価した。測定は耐久初期、耐久中期及び耐久後に行い、カブリは以下の基準で評価した。
A:カブリ量が1.0%以下
B:カブリ量が1.0〜2.0%以下
C:カブリ量が2.0〜3.0%以下
D:カブリ量が3.0〜4.0%以下
E:カブリ量が4.0〜5.0%以下
F:カブリ量が5.0〜6.0%以下
G:カブリ量が6.0%超
(c)スリーブゴースト
耐久初期、耐久中期及び耐久後に、ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した現像
剤担持体の位置が現像剤担持体の次の回転時に現像位置に来てハーフトーン画像を現像するようにし、このようにして形成されたハーフトーン画像上に現れる濃淡差を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:実用上問題となる濃淡差がスリーブ1周分出る。
E:実用上問題となる濃淡差がスリーブ2周分以上出る。
(d)ブロッチ(画像不良)
ベタ黒、ハーフトーン、ライン画像等の各種画像、及びその際、現像剤担持体上の波状ムラ及びブロッチ(斑点状ムラ)等、現像剤担持体上でのトナーコート不良の目視による観察を参考にして、耐久初期、耐久中期及び耐久後における観察結果を下記の基準に基づいて評価した。
A:画像にも現像剤担持体上にも全く確認できない。
B:現像剤担持体上でわずかに確認できるが、画像ではほとんど確認できない。
C:ハーフトーン画像又はベタ黒画像の1枚目で、現像剤担持体の周期の1周目に確認できる。
D:ハーフトーン画像又はベタ黒画像で確認できるが実用可。
E:ベタ黒画像全体で実用上問題となる画像不良が確認できる。
F:ベタ白画像上にも実用上問題となる画像不良が確認できる。
(e)トナー帯電量(Q/M)及びトナー搬送量(M/S)
耐久初期、耐久中期及び耐久後のそれぞれにおいて、現像剤担持体上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量M、及びトナーを吸引した面積Sから、単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)と単位面積当たりのトナー質量M/S(dg/m2)を計算し、それぞれトナー帯電量(Q/M)、トナー搬送量(M/S)とした。
(f)樹脂被覆層の耐磨耗性
耐久後の現像剤担持体表面の樹脂被覆層の膜厚の削れ量を測定した。
<実施例1〜3>
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、樹脂被覆層の耐磨耗性のいずれも実用上問題ないレベルであった。
<実施例4〜7>
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、樹脂被覆層の耐磨耗性のいずれも実用上問題ないレベルであった。特にカブリは非常に良かった。
<実施例8〜10>
画像濃度、カブリ、スリーブゴースト、ブロッチ、樹脂被覆層の耐磨耗性のいずれも実用上問題ないレベルであった。
<比較例1>
トナーの誘電率が高過ぎて、トナーの電荷がリークされやすくなったため、画像濃度が低かった。また黒鉛化度p(002)の小さ過ぎる黒鉛化粒子を用いた為、現像剤担持体上の樹脂被覆層の削れ量は大きかった。
<比較例2>
トナーの誘電率が低過ぎて、トナーが過剰帯電されやすくなったため、カブリが悪化した。さらにM/Sも大き過ぎてしまったので、通紙耐久を中止した。
<比較例3、5、7>
黒鉛化度p(002)の小さ過ぎる黒鉛化粒子を用いた為、現像剤担持体のRvkが大きくなり、黒鉛化粒子がトナーと密に接触できないため、電荷のリークが適切に行えなかった。さらに黒鉛化度p(002)が小さ過ぎる黒鉛化粒子を用いた為、現像剤担持体上の樹脂被覆層の体積抵抗値を小さくすることが出来なかった。その結果カブリが悪化した。また現像剤担持体上の樹脂被覆層の削れ量は大きかった。
<比較例4、6、8>
黒鉛化度p(002)の大き過ぎる黒鉛化粒子を用いた為、現像剤担持体のRvkが大きくなり、黒鉛化粒子がトナーと密に接触できないため、電荷のリークが適切に行えなかった。さらに黒鉛化度p(002)が大き過ぎる黒鉛化粒子を用いた為、現像剤担持体上の樹脂被覆層の体積抵抗値を小さくすることが出来なかった。その結果カブリが悪化した。また黒鉛化度p(002)が大き過ぎる為、現像剤担持体上でのトナーの離型性が悪く、現像剤担持体の汚染によるH/H環境下での耐久濃度の低下が発生した。
以上の結果を表5〜表8に示す。