JP5970916B2 - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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本発明は、電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
近年、有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)は良好な性能を有し、様々な利点から、無機感光体に代わって複写機、ファクシミリ、レーザープリンター、これらの複合機などに多く用いられている。その理由としては、例えば、(1)光吸収波長域の広さ及び吸収量の大きさ等の光学特性、(2)高感度、安定な帯電特性等の電気特性、(3)材料の選択範囲の広さ、(4)製造の容易さ、(5)低コスト、(6)無毒性などが挙げられる。
最近、画像形成装置の小型化を図るため、感光体の小径化が進み、更に、機械の高速化やメンテナンスフリーの動きも加わって、感光体の高耐久化が切望されるようになってきている。この観点からみると、有機感光体は、電荷輸送層が低分子電荷輸送性化合物と不活性高分子とを主成分としているため、一般に柔らかく、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用された場合、現像システム及びクリーニングシステムによる機械的負荷により、摩耗が発生しやすいという欠点がある。このような有機感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れなどの異常画像の原因となる。また、シリカなどトナー中に含まれる非常に硬度の高い外添剤が、感光体表面に容易に刺さり、それが原因となり白斑点状の画像欠陥をもたらす。
これらの問題に対しては、種々の改良が試みられている。例えば、電荷輸送層に高分子型電荷輸送物質を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の技術では、低分子電荷輸送性化合物の分散を排除することができるが、硬度が低いことは改善されておらず、白斑点状の画像欠陥の抑制には至っていない。また、表面層に無機フィラーを分散させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この提案の技術では、無機フィラーが存在する部分の硬度は高くなるものの、樹脂が存在する部分は依然として柔らかいために、白斑点状の画像欠陥の発生を抑制するには至っていない。
また、表面層に硬化性樹脂を用いた技術が提案されている。その中でも、多官能性モノマーを用いて架橋密度を高めた架橋樹脂が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この提案の技術では、感光体表面の硬度を高めることができ、白斑点状の画像欠陥の抑制に有効である。しかし、このような架橋樹脂を用いる場合、電子写真感光体としての良好な電気特性が低下するという問題がある。
そのため、電子写真感光体としての良好な電気特性を発揮させるために電荷輸送性成分を架橋膜中に取り入れる必要がある。そこで、架橋膜中に電荷輸送性成分を取り入れる様々な方法が提案されている。例えば、アルコキシシラン類に電荷輸送性化合物を添加して硬化を行う技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この提案の技術は、電荷輸送性物質とシロキサン成分との相溶性が悪く、良好な電気特性が得られないという問題がある。また、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物を硬化した化合物を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この提案の技術は、正孔輸送性化合物の相分離は起こりにくくなるものの、ラジカル重合反応を進行させる際の光照射による電荷輸送性化合物の劣化が避けられないのが現状であり、電位安定性に問題がある。また、ウレタン樹脂のような極性の高いユニットを含む樹脂中に、水酸基を有する電荷輸送性化合物を添加して熱硬化を行う技術が提案されている(例えば、特許文献6参照)。この提案の技術は、誘電率が高いために電荷の移動度が低減すると共に、残留電位の上昇をも招くという問題がある。また、極性の高い水酸基が残留することにより、画像濃度が低下しやすくなったり、帯電過程などで発生するNOxやオゾンガスなどの酸化性ガスが表面に吸着しやすくなり、結果として表面が低抵抗化し、画像ボケが発生するなど、満足する画像品質が得られないという問題がある。
一方、水酸基などの極性基を持つ電荷輸送性化合物を、メラミン化合物やグアナミン化合物などの反応活性樹脂と反応させた技術が提案されている(例えば、特許文献7参照)。この提案の技術では、相互の反応性が高く、未反応の極性基を低減でき、高密度な架橋膜を形成することができる。しかし、メラミン化合物やグアナミン化合物を添加すると残留電位が上昇する傾向にあるため、添加量を少なくする必要があり、そうした場合は水酸基などの極性基が残留してしまい、NOxなどの酸化性ガスの暴露による画像ボケの発生を抑制できていなかった。
また、フィラーを含有すると、残留電位上昇が生じるという問題がある。この問題に対して、例えば、酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物を用いることが提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、この提案の技術は、酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物の化学構造に由来して、NOx又はオゾンガスにより、画像ボケが発生しやすいという問題がある。
そこで、酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物を用いることで生じる画像ボケを改善するために、特定構造のポリカーボネートを用いる技術(例えば、特許文献9参照)、及び特定構造のアミノ化合物を用いる技術(例えば、特許文献10参照)が提案されている。しかし、これらの技術は、フィラーを熱可塑性樹脂に含有させた保護層に適した技術であり、フィラーを硬化性バインダーに含有させた保護層に単純に転用できるものではない。それは、ポリカーボネートでは要求される耐摩耗性を得ることが難しいためである。また、硬化性バインダーを用いる場合は、硬化に寄与しないアミノ化合物を添加することで、膜強度の低下や、相分離による電気特性低下などの副作用を引き起こす恐れがあるためである。
したがって、繰り返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ優れた電気特性及び耐ガス性を有し、更に、トナー中のシリカなどの非常に高硬度の外添剤が電子写真感光体に刺さることを防止することで、白斑点状の画像欠陥を抑制し、長期に亘って高画質な画像出力を維持することができる高耐久な電子写真感光体の提供が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、繰り返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ優れた電気特性及び耐ガス性を有し、更に、トナー中のシリカなどの非常に高硬度の外添剤が感光体に刺さることを防止することで、白斑点状の画像欠陥を抑制し、長期に亘って高画質な画像出力を維持することができる高耐久な電子写真感光体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に少なくとも感光層とを有する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体が、最表面層を有し、
前記最表面層が、3次元架橋ポリマーと、無機フィラーと、酸性分散剤とを含有し、
前記3次元架橋ポリマーが、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、下記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とを、酸触媒を用いて重合して形成されることを特徴とする。
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、メチル基を表す。a及びbは、0〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、繰り返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ優れた電気特性及び耐ガス性を有し、更に、トナー中のシリカなどの非常に高硬度の外添剤が感光体に刺さることを防止することで、白斑点状の画像欠陥を抑制し、長期に亘って高画質な画像出力を維持することができる高耐久な電子写真感光体を提供することができる。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の電子写真感光体の層構成の別の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の電子写真感光体の層構成の更に別の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の電子写真感光体の層構成の更に別の一例を示す概略図である。 図5は、本発明の電子写真感光体の層構成の更に別の一例を示す概略図である。 図6は、本発明の画像形成装置及び画像形成方法の一例を説明するための概略図である。 図7は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図8は、本発明のプロセスカートリッジの一例を説明するための概略図である。 図9は、合成例1において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図10は、合成例2において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図11は、合成例3において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図12は、合成例4において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図13は、合成例5において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図14は、合成例6において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図15は、合成例7において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図16は、合成例8において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図17は、合成例9において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図18は、合成例10において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図19は、合成例11において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図20は、合成例12において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図21は、合成例13において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図22は、合成例14において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図23は、合成例15において得られた化合物の赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)であり、横軸は波数(cm−1)を示し、縦軸は透過度(%)を示す。 図24は、実施例で作製したチタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトルの結果を表す図である。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に少なくとも感光層とを有し、更に必要に応じて、その他の層を有する。
<導電性支持体>
前記導電性支持体としては、体積抵抗値が1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
前記導電性支持体の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属(アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等)又は金属酸化物(酸化スズ、酸化インジウム等)を蒸着又はスパッタリングして、支持体(フィルム状、円筒状等のプラスチック、紙等)に被覆することにより形成する方法;金属(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等)の板を押出し、引抜き等を行い、表面処理(素管化後、切削、超仕上げ、研摩等)を施して形成する方法などが挙げられる。
前記導電性支持体は、前記導電性支持体上に導電性層を設けてもよい。
前記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性粉体及び結着樹脂を、必要に応じて溶剤に分散乃至溶解して得られた塗工液を前記導電性支持体上に塗布することにより形成する方法;ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法などが挙げられる。
前記導電性粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。
前記導電性層に用いる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層に用いる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどが挙げられる。
<感光層>
前記感光層としては、最表面に最表面層を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層と、最表面層(架橋型電荷輸送層)とをこの順に有し、更に必要に応じて、その他の層を有する感光層が好ましい。
<<最表面層(架橋型電荷輸送層)>>
前記最表面層は、前記感光層の最表面層であり、架橋型電荷輸送層ともいう。
前記最表面層は、3次元架橋ポリマーと、無機フィラーと、酸性分散剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記3次元架橋ポリマーは、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、下記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とを、酸触媒を用いて重合して形成される。
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、メチル基を表す。a及びbは、0〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
前記最表面層は、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物を用いて得られる。
本発明は、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とを、酸触媒を用いて重合することで、有機溶剤などに不溶で架橋密度の高い3次元架橋ポリマーを形成できることを見出したのが、基礎となっている。
メチロール基は反応性が高く、メチロール基を有する電荷輸送性化合物を用いて高密度な3次元架橋ポリマーが得られることは、従来から知られており、例えば、特開2009−229549号公報にも記載されている。しかし、反応性の官能基を有さない前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物を、前記メチロール基を有する電荷輸送性化合物と同時に重合させた例はない。通常、反応性の官能基を有さない電荷輸送性化合物を架橋樹脂に添加した場合、電荷輸送性化合物が相分離し、結晶化してクラックの原因となったり、白濁したりする恐れがある。また、結晶化しなかった場合も、硬化に寄与しない成分を含有することで架橋密度が低下し、トナー中の外添剤であるシリカが刺さりやすくなるなど、望みの機械的特性が得られないことが多い。前記3次元架橋ポリマーを含有する本発明の前記最表面層では、そのような電荷輸送性物質の相分離及び架橋密度の低下は見られず、シリカなど高硬度の外添剤が刺さることによる白斑点状の画像欠陥を抑制することができる。これは、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物が、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と共に重合して、前記3次元架橋ポリマー中に取り込まれているためである。
前記3次元架橋ポリマーが得られる重合反応の詳細なメカニズムは解明できていないが、以下のように考えられる。前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物は、酸触媒の存在下で重合反応する。重合反応の際には、メチロール基同士の縮合反応よるエーテル結合を形成する。または、更に縮合反応が進んでメチレン結合を形成する。そして、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物の無置換のピレンの1価基の水素原子と、メチロール基との縮合反応により、メチレン結合を形成することがわかっている。各々の分子間でこれらの縮合反応が起こることにより、非常に架橋密度の高い3次元架橋ポリマーを得ることができる。
前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とが反応していることは、例えば、紫外可視吸収スペクトル測定により確認できる。例えば、前記電子写真感光体から前記最表面層を単離して、その最表面層の紫外可視吸収スペクトルを測定する。そして、その最表面層をテトラヒドロフランに浸漬、取り出して乾燥させたのち、再び紫外可視吸収スペクトルを測定する。前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物が前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と反応していれば、テトラヒドロフランに浸漬する前後の最表面層のいずれにも、ピレン基に由来する吸収スペクトルが観察される。一方、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物が前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と反応していなければ、テトラヒドロフランに浸漬した後の最表面層には、ピレン基に由来する吸収スペクトルが観察されない。そうすることにより、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とが反応しているかどうかが確認できる。
また、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物は、縮合多環芳香族であるピレンの1価基を有することで、硬度が高い3次元架橋ポリマーを形成しやすく、白斑点状の画像欠陥が起こりにくい電子写真感光体の提供が可能になる。
さらに、本発明における前記3次元架橋ポリマーは、NOxなどの酸化性ガスの暴露によっても画像ボケが発生しにくいことがわかった。これは、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とが、相分離することなく、かつ、これらの相互の反応性が高く、未反応のメチロール基を低減できたことによるものと考えられる。また、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物は、電荷輸送能を有しているため、残留電位上昇などの電気特性へ悪影響は見られないことを確認している。
更に、前記最表面層は、前記無機フィラーを含有している。前記3次元架橋ポリマーを含有する前記最表面層に硬度の高い無機フィラーを含有させることで、前記無機フィラーが脱離しにくくなり、高い耐摩耗性を実現できる。そして、トナー中の外添剤であるシリカが電子写真感光体に刺さることを防止する上でも、前記無機フィラーは、有効である。特開2009−229549号公報には、電子写真感光体の保護層に、耐摩耗性向上のために粒子を添加してもよいことが記載されている。しかし、架橋樹脂が存在する部分に起因する電気特性の低下が問題となったり、無機フィラーの表面に存在する電荷トラップなどにより残留電位が上昇しやすくなったりするなど、機械的特性と電気特性とを両立させることは難しかった。
しかし、本発明においては、前記最表面層が、更に前記酸性分散剤を含有することにより、前記無機フィラーを含有することに起因する残留電位上昇を低減できる。更に、前記無機フィラーの分散性を向上させることができ、非常に耐摩耗性が高くなるとともに、電気特性にも優れる。
酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物を用いることにより、無機フィラーを含有することに起因する残留電位上昇を低減し、更に無機フィラーの分散性を向上させることができることは、特許第3802787号公報に開示されている。しかし、酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物の化学構造に由来して、NOxやオゾンガスにより、画像ボケが発生しやすいという問題があった。この問題に対しては、最表面層に酸化防止剤を添加することで、抑制できるものの、酸化防止剤自体が電荷トラップとなるために、酸価が30mgKOH/g〜400mgKOH/gの有機化合物の含有量を最小限にとどめる必要があった。
一方、本発明においては、酸性分散剤を用いた場合でも、画像ボケの副作用は認められなかった。この理由は明らかになってはいないが、以下のように推測される。
本発明の、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とは、前記酸触媒を用いて重合反応が進行する。ここで、前記無機フィラーの分散に寄与しない、余剰の前記酸性分散剤が重合反応により、前記3次元架橋ポリマー中に取り込まれることで、画像ボケの発生が抑制されたものと考えられる。
そのため、本発明では、前記酸性分散剤を用いた場合でも、画像ボケの副作用が抑えられ、優れた機械的特性とともに、電気特性、及び耐ガス性を両立した高耐久感光体を提供できる。
残留した酸性分散剤を、重合反応により前記3次元架橋ポリマー中に取り込むという考えが、機械的特性と電気特性とを両立させる上で適していると考えられる。
また、本発明においては、重合反応を利用することで、酸性分散剤に起因して画像ボケが生じることを抑制する効果が高いことから、高い酸価を有する酸性分散剤を用いたり、酸性分散剤の量を増量することができ、粒径の小さい無機フィラー、及び塩基性の高い無機フィラーも分散できる。
−3次元架橋ポリマー−
前記3次元架橋ポリマーは、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、下記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とを、酸触媒を用いて重合して形成される。
−−電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物−−
前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物における、電荷輸送性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、アミノビフェニル、ベンジジン、アミノスチルベン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ベンズヒドラジンなどが挙げられる。
前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
ただし、前記一般式(2)中、Xは、メチレン基、エチレン基、及び酸素原子のいずれかを表す。
前記一般式(2)で表される化合物は、芳香環にメチロール基を4個有しており、且つ、非共役連結基のXを有することで適度な分子運動性をも有しており、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物との重合反応により形成された3次元架橋ポリマーの硬度特性、及び弾性特性のバランスが良く、強靱で耐傷性、及び耐摩耗性の両方に優れた3次元架橋ポリマーの形成が可能になる。更に、前記Xの構造性から分子の酸化電位が比較的大きく、酸化しにくい特性を有しており、オゾンガス、NOxガスなどの酸化性ガスの暴露時にも比較的安定であり、耐ガス性にも強い電子写真感光体の提供が可能になる。
前記一般式(2)で表される化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下の化合物などが挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物は、例えば、以下の手順でアルデヒド化合物を合成し、得られたアルデヒド化合物を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤により反応させて、容易に合成することができる。
合成原料となる電荷輸送性化合物は、ハロゲンを有するベンゼンと、アミノ化合物とをカップリング反応させて、容易に合成することができる。ハロゲンがヨード体の場合は、アミン化合物とハロゲン化合物とをウルマン反応させることによりカップリングすることができる。また、クロロ体、ブロモ体の場合は、パラジウム触媒を用いた鈴木−宮浦反応などによりカップリングすることができる。
〔前記一般式(2)で表される化合物の中間体電荷輸送性化合物の合成〕
下記反応式に示すように、アミン化合物とハロゲン化合物とを原料とし、これを従来知られている合成方法を用いて、メチロール化合物の中間体となる電荷輸送性化合物を合成することができる。
ただし、前記反応式中、Xは、メチレン基、エチレン基、及び酸素原子のいずれかを表し、X’は、ハロゲン原子を表す。
上記反応式を用いた具体的な合成方法としては、ウルマン反応などを用いた方法が有効であるが、本発明の前記一般式(2)で表される化合物の中間体となる化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については、後述する。
〔前記一般式(2)で表される化合物の中間体アルデヒド化合物の合成〕
下記反応式に示すように、トリフェニルアミン化合物を原料とし、これを従来知られている方法(例えば、ビルスマイヤー反応)を用いてホルミル化し、アルデヒド化合物を合成することができる。前記ホルミル化としては、例えば、特許第3943522号公報に記載のホルミル化などが挙げられる。
前記ホルミル化の方法としては、塩化亜鉛とオキシ塩化リンとジメチルホルムアルデヒドとを用いた方法が有効であるが、前記アルデヒド化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については、後述する。
〔前記一般式(2)で表される化合物の合成〕
下記反応式に示すように、前記アルデヒド化合物を製造中間体とし、これを従来知られている還元方法を用いて、前記一般式(2)で表される化合物を合成することができる。
具体的な還元方法としては、水素化ホウ素ナトリムを用いた方法が有効であるが、本発明の前記一般式(2)で表される化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については、後述する。
−−一般式(1)で表される電荷輸送性化合物−−
前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物としては、例えば、以下の化合物などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物は、アミノピレンと、メチル基を置換基として有してもよいベンゼンのハロゲン化物と、をカップリング反応させて、容易に合成することができる。ハロゲンがヨード体の場合は、アミノピレンとハロゲン化合物をウルマン反応させることによりカップリングすることができる。また、クロロ体、ブロモ体の場合は、パラジウム触媒を用いた鈴木−宮浦反応などによりカップリングすることができる。
〔前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物の合成〕
下記反応式に示すように、アミノピレンとハロゲン化合物とを原料とし、これを従来知られている合成方法を用いて、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物を合成できる。
ただし、前記反応式中、Rは、メチル基を表し、cは、0〜5の整数を表し、X’は、ハロゲン原子を表す。
具体的な合成方法としては、ウルマン反応などを用いた方法が有効であるが、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物を得るための合成方法は、これらに限定されるものではない。具体的な合成例については、後述する。
前記3次元架橋ポリマーを形成する、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物(化合物A)に対する、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物(化合物B)の質量比(A:B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、99:1〜30:70が好ましく、80:20〜40:60がより好ましい。前記質量比において、99:1よりも前記化合物Aが多いと、架橋密度の更なる上昇に寄与しない一方で、電気特性を損なうことがあり、30:70よりも前記化合物Aが少ないと、充分な架橋密度を得られないことがある。前記質量比が、前記より好ましい範囲内であると、架橋密度、及び電気特性の点で有利である。
前記3次元架橋ポリマーの前記最表面層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記最表面層の全固形分に対して、50質量%〜99質量%が好ましく、70質量%〜98質量%がより好ましく、75質量%〜96質量%が特に好ましい。前記含有量が、50質量%未満であると、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下など、画質劣化の影響が増大することがあり、99質量%を超えると、耐摩耗性が不十分となることがある。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、画質劣化抑制、及び耐摩耗性の点で有利である。
−−酸触媒−−
前記酸触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機スルホン酸、有機スルホン酸塩などが挙げられる。
前記有機スルホン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
また、一定以上の温度をかけることで酸性度が発現する所謂熱潜在性化合物も前記酸触媒として用いることができる。前記熱潜在性化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、キングインダストリー社製のNACURE2500、NACURE5225、NACURE5543、NACURE5925等のアミンによりブロックさせた熱潜在性プロトン酸触媒、三進化学社製のSI−60、旭電化社製のアデカオプトマーCP−66、CP−77などが挙げられる。
前記3次元架橋ポリマーは、テトラヒドロフランに不溶であることが好ましい。テトラヒドロフランに不溶であることは、架橋密度の高い3次元硬化ポリマーが形成されていること示し、シリカなどの硬度の高いトナーの外添剤が刺さることを防止し、白斑点状の異常画像の発生を抑制することができる。
前記3次元架橋ポリマーがテトラヒドロフランに不溶であるかどうかは、溶解性試験により確認できる。前記溶解性試験としては、例えば、テトラヒドロフランに綿棒を浸し、測定対象の表面を擦り、その表面を観察するなどの方法が挙げられる。前記方法において、測定対象が重合反応していない場合は、測定対象の膜は溶解する。また、重合反応が不十分である場合は、膨潤し、剥がれる。重合反応が十分である場合は、不溶となる。
−−3次元架橋ポリマーの形成方法−−
前記3次元架橋ポリマーの形成は、前記最表面層の形成と同時に行ってもよい。前記3次元架橋ポリマーの形成については、前記最表面層の形成において、詳述する。
−無機フィラー−
前記無機フィラーを用いることにより、極めて機械的耐久性に優れた電子写真感光体となる。前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粉末、金属酸化物、金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられる。
前記金属粉末としては、例えば、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどが挙げられる。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウムなどが挙げられる。
前記金属フッ化物としては、例えば、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、耐摩耗性、及び高画質化に対して有利な点で、金属酸化物が好ましく、アルミナ、酸化チタンがより好ましい。
更に、前記無機フィラーとしては、画像ボケが発生しにくい点で、電気絶縁性が高い無機フィラーが好ましい。導電性フィラーを電子写真感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなることがある。前記無機フィラーの比抵抗としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度の点から、1010Ω・cm以上が好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、酸化チタン、シリカなどが挙げられる。
一方、導電性を示す無機フィラーとしては、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウムなどが挙げられる。
前記無機フィラーの比抵抗は、例えば、粉体用抵抗測定装置を用いて測定できる。具体的には、セルの中に粉体を入れ電極で挟み、荷重をかけて厚み約2mmになるように粉体量を調整し、その後電極間に電圧を印加し、その時に、流れる電流を測定することによって比抵抗を求めることができる。
また、前記無機フィラーとしては、画像ボケを抑制する点から、塩基性の無機フィラーが好ましい。前記塩基性の無機フィラーとしては、等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが、画像ボケを抑制する点から好ましい。
前記無機フィラーのpHは、例えば、ゼータ電位測定での等電点におけるpH値とすることができる。ゼータ電位の測定は、例えば、大塚電子社製のレーザーゼータ電位計で測定できる。
前記金属酸化物は、硬度及び光透過性の点では優れるものの、表面に存在する水酸基などの高極性基により、酸化性ガス及び酸性化合物を吸着しやすく、結果として電子写真感光体表面の抵抗が下がり、画像ボケ発生の原因となることがある。しかし、塩基性の無機フィラーを用いた場合、表面に酸化性ガスなどが吸着しても、電気的に中和されることで、電子写真感光体の表面抵抗が下がりにくくなるため、画像ボケが発生しにくくなる。
本発明おいては、酸触媒を用いて架橋を行うものであるが、架橋後に残留した酸触媒により、画像ボケが発生する場合がある。塩基性の無機フィラーを用いることによって、残存した酸触媒を効率的に中和することができ、更に画像ボケに強い最表面層が得られる。
塩基性の高い金属酸化物としては、前述の無機フィラーの中でも、酸化チタン、アルミナが、より高い塩基性を有する点で好ましい。
更に、これらの無機フィラーは、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。フィラーへの表面処理によって、フィラーの分散性を改善する効果が得られる場合がある。
前記無機フィラーの平均一次粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光透過性、及び耐摩耗性の点から、0.05μm〜0.9μmが好ましく、0.1μm〜0.6μmがより好ましい。前記平均一次粒径が、0.05μm未満であると、無機フィラーの凝集及び耐摩耗性の低下などが起こりやすくなることがあり、0.9μmを超えると、無機フィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化、及び異常画像が発生したりすることがある。
前記無機フィラーは、表面処理剤により表面処理を施してもよい。
前記無機フィラーは、表面処理によって、分散性が改善される場合がある。これらのフィラーが含有されることによって、耐摩耗性は向上するが、残留電位上昇の影響が増加する場合がある。これは、フィラー表面に電荷のトラップサイトが含まれていることに起因し、特に親水性で高抵抗の金属酸化物の場合にその影響が増大する傾向が見られる。
前記無機フィラーの前記最表面層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記最表面層の全固形分に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、耐摩耗性が不十分となることがあり、50質量%を超えると、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下など、画質劣化の影響が増大することがある。
前記最表面層が、前記無機フィラーを含有することにより、耐摩耗性は向上するが、残留電位が上昇する場合がある。これは、前記無機フィラー表面に電荷のトラップサイトが含まれていることに起因し、特に親水性で高抵抗の金属酸化物の場合にその上昇が増大する傾向が見られる。この残留電位上昇を抑制するためには、前記最表面層が前記酸性分散剤を含有することが有効である。
−酸性分散剤−
前記酸性分散剤は、酸価を有する有機化合物を含む分散剤をいい、不揮発分100%の分散剤であっても、予め有機溶剤等に溶解された分散剤であってもよい。前記酸性分散剤を用いることにより、前記無機フィラーの分散性を高めることができ、極めて機械的耐久性及び電気特性に優れた電子写真感光体となる。前記酸性分散剤を用いることにより、無機フィラーを添加することによる残留電位上昇を抑制することができ、電気特性に優れた電子写真感光体となる。
前記酸性分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一つの分子中に親水基と疎水基を併せ持つ界面活性剤的な構造(親水基が、極性基(無機フィラー表面の電荷トラップサイト)に吸着し、疎水基が、バインダー樹脂等に吸着して親和性を保持させる構造)とすることにより、前記無機フィラーへの濡れ性が向上する点、前記無機フィラーに吸着した分子による電気的反発又は立体障害により、前記無機フィラー同士の接触が防止されて、前記無機フィラーの分散性が安定化する点で、ポリカルボン酸化合物が好ましい。
その他の前記酸性分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸;芳香族カルボン酸等のカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
しかし、これらの酸性分散剤は、残留電位低減効果は認められるものの、分散安定性が不十分であり、画像ボケが発生しやすくなることがある。
また、前記酸性分散剤としては、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、前記無機フィラーの分散性を向上させる効果が高い点で、飽和又は不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマー、オリゴマー、コポリマーが好ましい。前記基本骨格としては、例えば、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
前記酸性分散剤における酸価は、1gの試料中のカルボキシル基を中和するのに要するKOHのミリグラム数をいう。
前記酸性分散剤の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、残留電位の低減の点で、10mgKOH/g〜700mgKOH/gが好ましく、150mgKOH/g〜400mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が、10mgKOH/g未満であると、含有量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となることがあり、700mgKOH/gを超えると、前記無機フィラーへの吸着性が低下したり、画像ボケが発生することがある。
前記酸性分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記の関係式(I)を満たす含有量が好ましい。
0.1≦(酸性分散剤の含有量(g)×酸性分散剤の酸価(mgKOH/g)/無機フィラーの含有量(g))≦40 ・・・(I)
上記式(I)で規定する数値範囲を下回る場合には、残留電位低減効果が得られなかったり、分散安定性が低下する傾向が見られることがあり、上記式(I)で規定する数値範囲を上回る場合には、画像ボケが生じることがある。
前記酸性分散剤としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、特開2004−233756号公報等に開示されているが、これらの中でも、BYK−P104(BYKケミー社製)、BYK−P105(BYKケミー社製)が本発明の効果を得る上で特に適した材料である。
前記酸性分散剤の使用形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記最表面層を形成する際に用いる塗工液において、前記無機フィラーの凝集、沈降等を抑制し、前記無機フィラーの分散性を著しく向上させる点で、前記無機フィラーの分散に用いることが好ましい。
前記酸性分散剤を用いた前記無機フィラーの分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記無機フィラー、前記酸性分散剤、溶剤を混合した後に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等で分散する方法などが挙げられる。
前記無機フィラーの分散性が良好な場合には、電荷の進行が妨げられることなく、電子写真感光体の表面まで電荷が直線的に到達することができる。一方、前記無機フィラーが凝集する場合には、電荷輸送層から最表面層へ注入された電荷が表面へ移動する際、前記無機フィラーによって進行が妨げられやすくなり、結果的にトナーにより形成されたドットが散った状態となって解像度が大きく低下することがある。また、前記最表面層を設けた場合に、前記無機フィラーが凝集していると、書き込み光が散乱され、光透過性が低下し、解像度に大きな悪影響を与えることがある。前記無機フィラーの分散性は光透過性とも密接に関係している。
前記最表面層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜10μmが好ましい。
−最表面層の形成方法−
前記最表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、前記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物と、前記酸触媒と、前記無機フィラーと、前記酸性分散剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する塗工液を、必要に応じて溶媒等で希釈調整し、電子写真感光体表面に塗工した後、加熱乾燥を行い、重合させることで形成する方法などが挙げられる。この際に、膜状に3次元架橋ポリマーを形成することにより、前記最表面層を得ることができる。
前記塗工液を調製する際には、前記酸性分散剤を用いて前記無機フィラーを溶剤中に分散した分散液を用いることが好ましい。前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボールミルを用いて行う方法などが挙げられる。
前記酸触媒の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記塗工液の固形分に対して、0.02質量%〜5質量%が好ましく、0.02質量%〜0.2質量%がより好ましい。前記量が、5質量%を超えると、塗工液の酸性度が上がり、塗工設備等の腐蝕を引き起こしたりすることがある。
前記酸触媒が、前記熱潜在性化合物の場合は、塗工液段階での腐蝕の問題は発生せず、前記酸触媒の量を増加させることが可能であるが、ブロック剤としてのアミン化合物が残留すると残留電位等の感光体特性に悪影響するためあまり多量に添加するのは好ましくない。一方、前記酸触媒に比べると酸部分の含有量が少ない。そのため、前記熱潜在性化合物の場合は、0.2質量%〜2質量%が好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、セロソルブ系溶媒などが挙げられる。
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートなどが挙げられる。
前記ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。
前記芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
前記セロソルブ系溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒による希釈率は、塗工液中の各成分の溶解性、塗工法、目的とする厚みにより変わり、任意である。
前記塗工液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
前記塗工液には、必要に応じてレベリング剤、酸化防止剤などの添加剤が含有できる。 前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、オリゴマーなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、ヒンダードアミン類などが挙げられる。
前記最表面層を形成する際の加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜180℃が好ましく、100℃〜160℃がより好ましい。前記加熱温度が、80℃未満であると、前記3次元架橋ポリマーを形成する反応速度が遅くなると共に長時間かけても十分な架橋密度まで到達できなくなることがある。前記加熱温度が、180℃を超えると、前記3次元架橋ポリマーを形成する反応が速くなるが、架橋密度が上がり過ぎ、電荷輸送性の低下を引き起こして電子写真感光体の明部電位が上昇し、感度低下し、電子写真感光体の他の層構成材料への加熱の影響が大きくなり、電子写真感光体が劣化することがある。
前記加熱時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20分間〜30分間などが挙げられる。
<<電荷発生層>>
前記電荷発生層は、電荷発生物質を含有し、結着樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じて、前記酸化防止剤などのその他の成分を含有する。
−電荷発生物質−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
−−無機系材料−−
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等をドープしたものなどが好適)などが挙げられる。
−−有機系材料−−
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、上述の結着樹脂の他に、電荷輸送機能を有する電荷輸送性高分子材料を含んでもよく、例えば、(1)アリールアミン骨格、ベンジジン骨格、ヒドラゾン骨格、カルバゾール骨格、スチルベン骨格、ピラゾリン骨格等を有する、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料、(2)ポリシラン骨格を有する高分子材料などが挙げられる。
前記(1)の具体例としては、例えば、特開平01−001728号公報、特開平06−234840号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料などが挙げられる。
前記(2)の具体例としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体等の電荷輸送性高分子材料などが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶剤、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
−−低分子電荷輸送物質−−
前記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−溶剤−−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−レベリング剤−−
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−電荷発生層の形成方法−
前記電荷発生層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷発生物質及び前記結着樹脂を前記溶剤等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記導電性支持体上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、例えば、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記電荷発生層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
<<電荷輸送層>>
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有し、結着樹脂を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
−電荷輸送性物質−
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
−−電子輸送物質−−
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−正孔輸送物質−−
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−高分子電荷輸送物質−−
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体、電子供与性基を有する重合体、その他の重合体などが挙げられる。
前記カルバゾール環を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ヒドラゾン構造を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記ポリシリレン重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記トリアリールアミン構造を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記電子供与性基を有する重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーなどが挙げられる。更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
前記その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物などが挙げられる。
前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物などが挙げられる。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶剤、可塑剤、レベリング剤などが挙げられ、上述の酸化防止剤を含んでもよい。
−−溶剤−−
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を良好に溶解する溶剤が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
−−可塑剤−−
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般樹脂の可塑剤などが挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0質量部〜30質量部が好ましい。
−−レベリング剤−−
前記レベリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類;側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー乃至オリゴマーなどが挙げられる。
前記レベリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0質量部〜1質量部が好ましい。
−電荷輸送層の形成方法−
前記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を前記溶剤等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記電荷発生層上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、例えば、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記電荷輸送層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜40μmが好ましく、10μm〜30μmがより好ましい。
<<その他の層>>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下引き層、中間層などが挙げられる。
−下引き層−
前記下引き層は、前記導電性支持体と前記感光層との間に設けることができる。
前記下引き層は、樹脂を含有し、更に必要に応じて上述の酸化防止剤、微粉末顔料、カップリング剤等のその他の成分を含有する。
前記下引き層に含まれる樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、前記樹脂の上に感光層を溶剤で塗布する点で、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂が好ましい。
前記下引き層に含まれる微粉末顔料としては、モアレ防止、残留電位の低減等を図ることができる顔料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物などが挙げられる。
前記下引き層に含まれるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などが挙げられる。
前記下引き層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層であってもよく、上記種類の組合せで2層以上の積層であってもよい。
前記下引き層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いた形成方法;Alを陽極酸化して形成する方法;ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて形成する方法などが挙げられる。
前記下引き層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜5μmが好ましい。
−中間層−
前記中間層は、前記電荷輸送層と前記架橋型電荷輸送層との間に、前記架橋型電荷輸送層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。
前記中間層は、架橋型電荷輸送層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、結着樹脂を含有し、更に必要に応じて上述の酸化防止剤等のその他の成分を含有する。
前記中間層に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記中間層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成する方法などが挙げられる。
前記中間層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい。
以下では、本発明の電子写真感光体の実施形態の一例について説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図1を用いて説明する。
図1は、最も基本的な積層感光体の構成例であり、導電性支持体1上に電荷発生層2、電荷輸送層3を順次積層したものである。負帯電で使用する場合は電荷輸送層にホール輸送性電荷輸送物質が使用され、正帯電で使用される場合は電荷輸送層に電子輸送性電荷輸送物質が使用される。この場合、最表面層は、電荷輸送層3である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図2を用いて説明する。
図2は、基本構成(第1の実施形態)の積層感光体に下引き層4を設けた構成であり、最も実用化されている構成である。この場合、最表面層は、電荷輸送層3である。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図3を用いて説明する。
図3は、第2の実施形態に、更に保護層として架橋型電荷輸送層5を最表面に設けた構成である。この場合、最表面層は、架橋型電荷輸送層5である。
ここで、下引き層4は必須ではないが、電荷リークの防止等に重要な機能を果たしており、通常は使用される。
この感光体構成の場合、電荷発生層から感光体表面までの電荷移動を電荷輸送層3と架橋型電荷輸送層5の二層で分担しており、主機能を分離することができる。例えば、電荷輸送性に優れる電荷輸送層と機械的耐久性に優れる架橋型電荷輸送層を組み合わせることで電荷輸送性にも優れ機械的耐久性にも優れた電子写真感光体の提供が可能になる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図4を用いて説明する。
図4は、導電性支持体1上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層6を設けた構成である。この場合、最表面層は、感光層6である。
最表面層に電荷発生物質を含有させることが必要であり、最表面層を形成するための塗工液であって電荷発生物質を混合分散した塗工液を作製して、塗工後、加熱乾燥により重合反応させて最表面層を作製する。
<第5の実施形態>
第5の実施形態に係る電子写真感光体の層構成について、図5を用いて説明する。
図5は、単層の感光層6上に保護層7を設けた構成である。この場合、最表面層は保護層7である。
<電子写真感光体の製造方法>
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最表面層形成工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む製造方法が好ましい。
<<最表面層形成工程>>
前記最表面層形成工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記電子写真感光体の説明において例示した前記最表面層の形成方法などが挙げられる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。前記画像形成装置において使用する電子写真感光体が、上述の本発明の電子写真感光体である。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。前記画像形成方法において使用する電子写真感光体が、上述の本発明の電子写真感光体である。なお、帯電工程と、露光工程とを合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に実施できる。前記帯電工程は、前記帯電手段により好適に実施でき、前記露光工程は、前記露光手段により好適に実施でき、前記現像工程は、前記現像手段により好適に実施でき、前記転写工程は、前記転写手段により好適に実施でき、前記定着工程は、前記定着手段により好適に実施でき、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施できる。
<帯電工程及び帯電手段>
前記帯電工程としては、前記電子写真感光体表面を帯電させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記帯電手段により実施できる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体表面を帯電させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器(電子写真感光体表面と帯電器との間に100μm以下の空隙を有する近接方式の非接触帯電器を含む)などが挙げられる。
<露光工程及び露光手段>
前記露光工程としては、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記露光手段により実施できる。
前記露光手段としては、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系等の各種露光器などが挙げられる。前記露光器における光源としては、例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の高輝度が確保できる光源などが挙げられる。なお、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記露光工程における電子写真感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式により行われることが好ましい。これによりPC(パーソナルコンピュータ)での文書及び画像作製出力に効率よく対応できる画像形成方法が提供できる。
前記露光手段による電子写真感光体上への静電潜像書き込みは、デジタル方式であることが好ましい。これによりPCでの文書及び画像作製出力に効率よく対応できる画像形成装置が提供できる。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程としては、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により実施できる。
前記現像手段としては、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーを含有する現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好ましい。前記現像器としては、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。これらの中でも、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するものが好ましい。前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程としては、前記可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記転写手段により実施できる。
前記転写手段としては、前記可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記転写工程としては、例えば、前記電子写真感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。前記転写は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記定着手段により実施できる。
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好ましい。前記加熱加圧手段としては、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。前記加熱加圧手段における加熱としては、通常80℃〜200℃が好ましい。前記定着としては、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程としては、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により実施できる。
前記除電手段としては、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程としては、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により実施できる。
前記クリーニング手段としては、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により実施できる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程としては、前記各工程を制御する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により実施できる。
前記制御手段としては、前記各工程を制御する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記画像形成装置及び前記画像形成方法は、繰返し使用時の画像安定性が高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、耐ガス安定性にも優れる。
以下では、本発明に関する画像形成装置の実施形態について説明する。
図6は、本発明に関する電子写真プロセス、及び画像形成装置の一例を示す概略図である。
図6に示すように、電子写真感光体10は、矢印の方向に回転し、電子写真感光体10の周りには、帯電手段11、露光手段12、現像手段13、転写手段16、クリーニング手段17、除電手段18などが配置される。クリーニング手段17、及び除電手段18が省略されることもある。
図6に示すように、画像形成装置の動作は基本的に以下のようになる。帯電手段11により、電子写真感光体10表面に対してほぼ均一に帯電が施される。続いて、露光手段12により、入力信号に対応した画像光書き込みが行われ、静電潜像が形成される。次に、現像手段13により、この静電潜像に現像が行われ、電子写真感光体10の表面にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、転写手段16により、搬送ローラ14により転写部位に送られた記録媒体としての転写紙15に転写される。このトナー像は、図示しない定着装置により転写紙15上に定着される。転写紙に転写されなかった一部のトナーは、クリーニング手段17によりクリーニングされる。ついで、電子写真感光体上に残存する電荷は、除電手段18により除電が行われ、次のサイクルに移行する。
図6に示すように、電子写真感光体10はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電手段11、転写手段16には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)のほか、ローラ状の帯電手段あるいはブラシ状の帯電手段等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
一方、露光手段12、除電手段18などの光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、電子写真感光体10に光が照射される。ただし、除電工程における電子写真感光体10への露光は、電子写真感光体10に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、電子写真感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体10に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、電子写真感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
電子写真感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質としては、紙粉もその一つであり、それらが電子写真感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。したがって、上記の理由により電子写真感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。
現像手段13により、電子写真感光体10上に現像されたトナーは、転写紙15に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、電子写真感光体10上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング手段17により、電子写真感光体10から除去される。このクリーニング手段17は、クリーニングブレードあるいはクリーニングブラシ等公知のものが用いられる。また、両者が併用されることもある。
本発明の電子写真感光体は、高光感度及び高安定化を実現したことから小径電子写真感光体に適用できる。したがって、上記の電子写真感光体がより有効に用いられる画像形成装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の電子写真感光体を具備し、それによって並列処理を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、更にそれらに対応した少なくとも4本の電子写真感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図7は、本発明に関するタンデム方式のフルカラー電子写真装置の一例を示す概略図である。
図7において、電子写真感光体(10C(シアン),10M(マゼンタ),10Y(イエロー),10K(ブラック))は、ドラム状の電子写真感光体10であり、これらの電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)は、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段(11C,11M,11Y,11K)、現像手段(13C,13M,13Y,13K)、クリーニング手段(17C,17M,17Y,17K)が配置されている。帯電手段(11C,11M,11Y,11K)と、現像手段(13C,13M,13Y,13K)との間の電子写真感光体10の外側より、図示しない露光手段からのレーザー光(12C,12M,12Y,12K)が照射され、電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)に静電潜像が形成される。
図7において、電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)を中心とした4つの画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト19)に沿って並置されている。転写搬送ベルト19は、各画像形成ユニット(20C、20M、20Y、20K)の現像手段(13C,13M,13Y,13K)と、クリーニング手段(17C,17M,17Y,17K)との間で電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)に当接しており、転写搬送ベルト19の電子写真感光体10側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写手段(16C,16M,16Y,16K)が配置されている。各画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図7に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)において、電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)が、電子写真感光体10と連れ周り方向に回転する帯電手段(11C,11M,11Y,11K)により帯電され、次に、電子写真感光体10の外側に配置された露光部(図示せず)でレーザー光(12C,12M,12Y,12K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像手段(13C,13M,13Y,13K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段(13C,13M,13Y,13K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、4つの電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)上で作られた各色のトナー像は転写ベルト19)上で重ねられる。
転写紙15は給紙コロ21によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ22で一旦停止し、上記電子写真感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写手段23に送られる。転写ベルト19上に保持されたトナー像は転写手段23に印加された転写バイアスと転写ベルト19との電位差から形成される電界により、転写紙15上に転写される。転写紙上に転写されたトナー像は、搬送されて、定着手段24により転写紙上にトナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各電子写真感光体(10C,10M,10Y,10K)上に残った残留トナーは、それぞれのユニットに設けられたクリーニング手段(17C,17M,17Y,17K)で回収される。
図7に示すような中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。
中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、電子写真感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
なお、図7の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(20C,20M,20Y)が停止するような機構を設けることは有効に利用できる。
以上に示すような画像形成手段において、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。
(プロセスカートリッジ)
本発明に関するプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び徐電手段から選択される少なくとも1つの手段を有し、画像形成装置に着脱可能であるプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体が、上記の本発明の電子写真感光体である。これにより繰返し使用時の画像安定性が高く、かつ画像欠陥の少ない高画質を長期にわたって維持することができ、耐ガス性にも優れるプロセスカートリッジの提供が可能になる。
前記プロセスカートリッジとは、一例を図8に示すように、電子写真感光体10を内蔵し、他に帯電手段11、露光手段、現像手段13、転写手段16、クリーニング手段17、及び除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。なお、符号15は転写紙であり、符号Lは、露光手段からのレーザー光である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
なお、本実施例において、「t−Bu」は「t−ブチル基」、「Ac」は「アセチル基」、「Et」は「エチル基」を表す。
(合成例1)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1の製造中間体アルデヒド化合物原料の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルメタン19.83g、ブロモベンゼン69.08g、酢酸パラジウム2.24g、ターシャルブトキシナトリウム46.13g、及びo−キシレン250mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへトリターシャルブチルホスフィン8.09gを滴下し、80℃にて1時間攪拌し、更に還流にて1時間撹拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、活性白土、及びシリカゲルを入れ、撹拌した。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物を、メタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量45.73g、薄黄色粉末)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図9に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例2)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1の製造中間体アルデヒド化合物の合成>
合成例1で得られた中間体原料30.16g、N−メチルホルムアニリド(MFA)71.36g、及びo−ジクロロベンゼン400mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、オキシ塩化リン82.01gを滴下した後、80℃に昇温し、撹拌した。更に、塩化亜鉛32.71gを滴下し、80℃で約10時間撹拌を行い、その後、120℃にて約3時間撹拌を継続した。続いて、水酸化カリウム水溶液を加え、加水分解反応を行った。ジクロロメタンにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水した後、活性白土で吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を含む混合物を得た。得られた混合物についてシリカゲルカラム精製(トルエン/酢酸エチル=8/2(体積比))を行い、結晶物を単離した。得られた結晶物をメタノール/酢酸エチルにて再結晶し、目的物を得た(収量27.80g、黄色粉末)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図10に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例3)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1の合成>
合成例2で得られた中間体アルデヒド化合物12.30g、及びエタノール150mLを四つ口フラスコに入れ、室温下で攪拌した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム3.63gを投下し、そのまま4時間撹拌を継続した。続いて、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、更に活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、アモルファス状物質を得た。得られたアモルファス状物質をn−ヘキサンに分散し、その後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量12.0g、薄黄白色アモルファス)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図11に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例4)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−3の製造中間体アルデヒド化合物原料の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20.02g、ブロモベンゼン69.08g、酢酸パラジウム0.56g、ターシャルブトキシナトリウム46.13g、及びo−キシレン250mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへトリターシャルブチルホスフィン2.02gを滴下し、80℃にて1時間攪拌し、更に還流にて1時間撹拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、活性白土、及びシリカゲルを入れ、撹拌した。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物を、メタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量43.13g、薄茶色粉体)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図12に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例5)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−3の製造中間体アルデヒド化合物の合成>
合成例4で得られた中間体原料30.27g、N−メチルホルムアニリド71.36g、及びo−ジクロロベンゼン300mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、オキシ塩化リン82.01gを滴下した後、80℃に昇温し、撹拌した。更に、塩化亜鉛16.36gを滴下し、80℃で1時間攪拌を行い、その後、120℃で4時間、更に140℃で3時間撹拌を継続した。続いて、水酸化カリウム水溶液を加え、加水分解反応を行った。トルエン溶媒を用いて、抽出し、続いて、硫酸マグネシウムを入れ、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、更にトルエン/酢酸エチルでカラム精製を行い、濃縮後、結晶を得た。得られた結晶をメタノールに分散し、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量14.17g、薄黄色粉体)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図13に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例6)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−3の合成>
合成例5で得られた中間体アルデヒド化合物6.14g、及びエタノール75mLを四つ口フラスコに入れ、室温下で撹拌した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム1.82gを投下し、そのまま7時間撹拌を継続した。続いて、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、更に活性白土及びシリカゲルにて吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、アモルファス状物質を得た。得られたアモルファス状物質をn−ヘキサンに分散し、その後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量5.25g、白色アモルファス)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図14に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例7)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−5の製造中間体アルデヒド化合物原料の合成>
2,2’−エチレンジアニリン21.23g、ブロモベンゼン75.36g、酢酸パラジウム0.56g、ターシャルブトキシナトリウム46.13g、及びo−キシレン250mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気及び室温下で撹拌した。そこへ、トリターシャルブチルホスフィン2.03gを滴下し、還流下で8時間攪拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、及び活性白土を加え、室温下で撹拌した。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をメタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量47.65g、薄茶色粉末)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図15に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例8)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−5の製造中間体アルデヒド化合物の合成>
合成例7で得られた中間体原料31.0g、N−メチルホルムアニリド71.36g、及びo−ジクロロベンゼン(o−DCB)400mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、オキシ塩化リン82.01gをゆっくり滴下した後、80℃に昇温した。更に、塩化亜鉛32.71gを加え、80℃で1時間、続けて120℃で約24時間攪拌を継続した。続いて、水酸化カリウム水溶液を加え、加水分解反応を行った。トルエンで希釈し、その後水洗し、油層を塩化マグネシウムで脱水した後、活性白土及びシリカゲルで吸着し、更に濾過、洗浄、及び濃縮を行い、目的物を得た(収量22.33g、黄色液体)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図16に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例9)
<メチロール基含有電荷輸送性化合物A−5の合成>
合成例8で得られた中間体アルデヒド化合物9.43g、及びエタノール100mLを四つ口フラスコに入れ、室温下で撹拌した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム2.72gを投下し、そのまま7時間撹拌を継続した。続いて、酢酸エチルにて抽出し、硫酸マグネシウムにて脱水し、更に活性白土及びシリカゲルで吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、アモルファス状物質を得た。得られたアモルファス状物質をn−ヘキサンに分散し、その後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量8.53g、白色アモルファス)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図17に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例10)
<一般式(1)で表される電荷輸送性化合物B−1の合成>
1−アミノピレン5g、ブロモベンゼン10g、酢酸パラジウム0.15g、ターシャルブトキシナトリウム12.5g、及びo−キシレン50mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、トリターシャルブチルホスフィン0.55gを滴下した後、還流下で、8時間攪拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、及び活性白土を加え、室温下で撹拌した。続いて、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をメタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量6.85g、薄黄色結晶)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図18に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例11)
<一般式(1)で表される電荷輸送性化合物B−2の合成>
1−アミノピレン5g、4−ブロモトルエン10g、酢酸パラジウム0.15g、ターシャルブトキシナトリウム12.5g、及びo−キシレン50mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温下で撹拌した。そこへ、トリターシャルブチルホスフィン0.55gを滴下した後、還流下で、8時間攪拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、及び活性白土を加え、室温下で撹拌した。続いて、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をメタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量7.02g、薄黄色結晶)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図19に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例12)
<一般式(1)で表される電荷輸送性化合物B−3の合成>
1−アミノピレン5g、3−ブロモトルエン10g、酢酸パラジウム0.15g、ターシャルブトキシナトリウム12.5g、及びo−キシレン50mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、トリターシャルブチルホスフィン0.55gを滴下した後、還流下で、8時間攪拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、及び活性白土を加え、室温下で撹拌した。続いて、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をメタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量7.12g、薄黄色結晶)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図20に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例13)
<一般式(1)で表される電荷輸送性化合物B−4の合成>
1−アミノピレン5g、2−ブロモトルエン10g、酢酸パラジウム0.15g、ターシャルブトキシナトリウム12.5g、及びo−キシレン50mLを四つ口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で撹拌した。そこへ、トリターシャルブチルホスフィン0.55gを滴下した後、還流下で、8時間攪拌を継続した。続いて、トルエンで希釈し、硫酸マグネシウム、及び活性白土を加え、室温下で撹拌した。続いて、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をメタノールに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量6.81g、薄黄色結晶)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図21に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例14)
<電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個有する化合物Cの合成>
下記反応式に記載の中間体アルデヒド化合物C−1 3.29g、及びエタノール50mLを四つ口フラスコに入れ、室温下で撹拌した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム1.82gを投下した。そのまま12時間撹拌を継続した。続いて、酢酸エチルにて抽出し、更に硫酸マグネシウムで脱水した後、活性白土及びシリカゲルで吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、結晶物を得た。得られた結晶物をn−ヘキサンに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量2.78g、白色結晶)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図22に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例15)
<電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を4個有する化合物Dの合成>
下記反応式に記載の中間体アルデヒド化合物D−1 4.40g、及びエタノール50mLを四つ口フラスコに入れ、室温下で撹拌した。そこへ、水素化ホウ素ナトリウム1.27gを投下し、そのまま4時間撹拌を継続した。続いて、酢酸エチルで抽出し、更に硫酸マグネシウムで脱水した後、活性白土及びシリカゲルで吸着処理を行った。その後、濾過、洗浄、及び濃縮を行い、アモルファス状物質を得た。得られたアモルファス状物質をシクロヘキサンに分散した後、濾過、洗浄、及び乾燥を行い、目的物を得た(収量3.68g、白色アモルファス)。得られた目的物の赤外吸収スペクトルを図23に示す。また、上記合成の反応式を以下に示す。
(合成例16)
<チタニルフタロシアニン結晶の合成>
合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1,800部とを混合し、そこへ、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下した。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解した後、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまで、イオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)による水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス社製、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2,000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。得られたチタニルフタロシアニン粉末について、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末であった。その結果を図24に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分間
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒間
(実施例1)
表面研磨した直径60mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、下記組成の電荷発生層塗工液、及び下記組成の電荷輸送層塗工液を順次、浸積塗布し、乾燥することにより、平均厚み3.5μmの下引き層、平均厚み0.2μmの電荷発生層、及び平均厚み22μmの電荷輸送層を形成した。
〔下引き層塗工液の組成〕
・アルキッド樹脂
(ベッコゾール1307−60−EL、DIC社製) ・・・ 6部
・メラミン樹脂
(スーパーベッカミンG−821−60、DIC社製) ・・・ 4部
・酸化チタン
(CREL、石原産業株式会社製) ・・・ 50部
・メチルエチルケトン ・・・ 50部
〔電荷発生層塗工液の組成〕
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・ 80部
・合成例16で得られたチタニルフタロシアニン ・・・1.5部
〔電荷輸送層塗工液の組成〕
・ビスフェノールZポリカーボネート
(パンライトTS−2050、帝人化成株式会社製) ・・・ 10部
・テトラヒドロフラン ・・・100部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製) ・・・0.2部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質 ・・・ 10部
続いて、下記に記載の無機フィラー、酸性分散剤、及び有機溶媒を、アルミナボールを用いたボールミルによって24時間分散した後、これを、メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1、電荷輸送性化合物B−1、及び下記酸触媒を有機溶媒に溶解した溶液に加え、混合分散することにより、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液を作製した。
上記で得られた電荷輸送層上に、下記組成の架橋型電荷輸送層塗工液をスプレー塗工し、135℃で30分間乾燥を行い、平均厚み5.0μmの架橋型電荷輸送層(最表面層)を設けた。
以上により、実施例1の電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1 ・・・ 11部
・電荷輸送性化合物B−1 ・・・ 9部
・酸触媒:パラトルエンスルホン酸・一水和物 ・・・0.02部
・無機フィラー:α−アルミナ ・・・ 2部
(粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH8〜9、スミコランダムAA−03、住友化学工業社製)
・酸性分散剤 ・・・0.09部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価約180mgKOH/g、固形分50%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・テトラヒドロフラン ・・・ 150部
・シクロヘキサノン ・・・ 35部
(実施例2)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における電荷輸送性化合物B−1を電荷輸送性化合物B−2に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における電荷輸送性化合物B−1を電荷輸送性化合物B−3に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における電荷輸送性化合物B−1を電荷輸送性化合物B−4に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1をメチロール基含有電荷輸送性化合物A−3に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1をメチロール基含有電荷輸送性化合物A−5に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1の配合量を14部、電荷輸送性化合物B−1の配合量を6部に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例8)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1の配合量を9部、電荷輸送性化合物B−1の配合量を11部に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例9)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるα−アルミナの配合量を6部、BYK−P104の配合量を0.27部に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例10)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるα−アルミナの配合量を1部、BYK−P104の配合量を0.05部に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例11)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における酸性分散剤及びその配合量を以下の酸性分散剤及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・酸性分散剤 ・・・0.10部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、酸価約365mgKOH/g、BYK−P105、BYKケミー社製)
(実施例12)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における酸性分散剤及びその配合量を以下の酸性分散剤及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・酸性分散剤 ・・・0.40部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価約180mgKOH/g、固形分50%、BYK−P104、BYKケミー社製)
(実施例13)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における酸性分散剤及びその配合量を以下の酸性分散剤及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・酸性分散剤 ・・・0.04部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、酸価約650mgKOH/g、藤沢薬品社製)
(実施例14)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における無機フィラー及びその配合量を下記の無機フィラー及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・無機フィラー:酸化チタン ・・・ 2部
(粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH6〜7、CR−97、石原産業社製)
(実施例15)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における酸性分散剤を以下の酸性分散剤に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・酸性分散剤:スチレンアクリル樹脂
(酸価約200mgKOH/g、FB−1522、三菱レイヨン社製)
(実施例16)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における無機フィラー及びその配合量を下記の無機フィラー及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・無機フィラー:シリカ ・・・ 1.6部
(粒径約0.1μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH2〜3、KMPX100、信越シリコーン社製)
(実施例17)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における無機フィラー及びその配合量を下記の無機フィラー及び配合量に変えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・無機フィラー:酸化スズ ・・・ 1.8部
(粒径約0.15μm、比抵抗1010Ω・cm以下、pH4〜5、S−1、三菱金属社製)
(実施例18)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1を化合物Cに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例19)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1を化合物Dに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を下記の架橋型電荷輸送層塗工液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1 ・・・ 10部
・酸触媒:パラトルエンスルホン酸・一水和物 ・・・0.02部
・無機フィラー:α−アルミナ ・・・ 1部
(粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH8〜9、スミコランダムAA−03、住友化学工業社製)
・酸性分散剤 ・・・0.05部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価約180mgKOH/g、固形分50%、、BYK−P104、BYKケミー社製)
・テトラヒドロフラン ・・・ 95部
・シクロヘキサノン ・・・ 5部
(比較例2)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における配合から酸性分散剤を除いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を下記の架橋型電荷輸送層塗工液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1 ・・・ 11部
・電荷輸送性化合物B−1 ・・・ 9部
・酸触媒:パラトルエンスルホン酸・一水和物 ・・・0.02部
・テトラヒドロフラン ・・・ 180部
(比較例4)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液における電荷輸送性化合物B−1を下記構造の電荷輸送性化合物Eに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を下記の架橋型電荷輸送層塗工液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔架橋型電荷輸送層塗工液の組成〕
・メチロール基含有電荷輸送性化合物A−1 ・・・ 9.5部
・グアナミン樹脂ニカラックBL−60(日本カーバイド社製) ・・・ 0.3部
・酸触媒:Nacure2500(楠本化成社製) ・・・ 0.1部
・無機フィラー:α−アルミナAA−03(住友化学工業社製) ・・・ 1.0部
・酸性分散剤:BYK−P104(BYKケミー社製) ・・・0.07部
・1−メトキシ−2−プロパノール ・・・100部
(比較例6)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1を、下記構造の化合物Fに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液におけるメチロール基含有電荷輸送性化合物A−1を、下記構造の化合物Gに代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<溶解性試験>
架橋型電荷輸送層に3次元架橋ポリマーが形成されたかどうか調べるために、テトラヒドロフランで溶解性試験を行った。溶解性試験は、テトラヒドロフランを浸した綿棒で電子写真感光体表面を擦り、変形の有無を目視で観察した。擦った後の痕跡が全く見られない場合を「不溶」、膜は残っているが痕跡の残る場合を「一部溶解」、膜が溶けてしまう場合を「溶解」として評価した。結果を表1に示す。
なお、酸性分散剤を添加しなかった比較例2においては、無機フィラーの凝集が強く、塗工液を作製後、すみやかに無機フィラーが沈降してしまったため、塗工できなかった。
本発明の実施例1〜19は、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とが、良好な反応性を示し、テトラヒドロフランに不溶な膜が得られた。一般式(1)で表される電荷輸送性化合物を添加しない比較例1、無機フィラーと酸性分散剤を添加しない比較例3、及び一般式(1)で表される電荷輸送性化合物の代わりにグアナミン樹脂を用いた比較例5も、同様にテトラヒドロフランに不溶な膜となった。
一方、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、化合物Eとの硬化膜である比較例4は、テトラヒドロフランに一部溶解し、架橋密度の高い膜が得られていないことがわかった。また、ヒドロキシエチル基を4個有する電荷輸送性化合物(化合物F)を用いた比較例6、及び電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を2個有する化合物Gを用いた比較例7は、テトラヒドロフランに溶解した。
溶解性試験において、溶解した架橋型電荷輸送層は、耐久性が低いことが明瞭であるため、これらの比較例は通紙試験から除外した。
(比較例8)
実施例1において、架橋型電荷輸送層を設けない以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
実施例1において、架橋型電荷輸送層塗工液を以下の保護層塗工液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
〔保護層塗工液の組成〕
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製) ・・・ 10部
・下記構造式で表される化合物G ・・・ 8部
・無機フィラー:α−アルミナAA−03(住友化学工業社製) ・・・ 2.0部
・酸性分散剤 ・・・ 0.1部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価180mgKOH/g、固形分50%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・テトラヒドロフラン ・・・ 370部
・シクロヘキサノン ・・・ 110部
・下記構造の酸化防止剤 ・・・ 0.2部
(比較例10)
比較例9において、保護層塗工液における酸性分散剤の配合量を0.1部から0.4部に変えた以外は、比較例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例11)
比較例9において、保護層塗工液における酸性分散剤及びその配合量を、以下の酸性分散剤及び配合量に変えた以外は、比較例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
・酸性分散剤 ・・・ 0.05部
(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、酸価650mgKOH/g、藤沢化学社製)
<通紙試験>
実施例1〜19、比較例1、3〜5、及び8〜11の各電子写真感光体について、シリカ外添剤入りトナー(体積平均粒径=9.5μm、平均円形度=0.91)を用いて、以下のようにして、A4サイズ10万枚の通紙試験を実施した。
まず、前記電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、タンデム方式のフルカラーデジタル複写機imagio MPC7500(株式会社リコー製)の改造機にて、書き込み率7%チャート(A4全面に対して、画像面積として7%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、通算10万枚印刷する耐刷試験を行った。その際、初期及び耐刷試験後の露光部電位(VL)、画像品質及び摩耗量について評価を行った。さらに、10万枚複写後に黒ベタ画像を出力し、任意の10cm×10cmのエリア内における白斑点の個数を数え、以下の判定基準によってランク付けを行った。結果を表2に示す。
〔白斑点状の異常画像ランク〕
◎:白斑点がほとんど見られない(5個以下)
○:白斑点が多少見られる(6個〜20個)
△:白斑点が見られる(21個〜50個)
×:白斑点が非常に多く、カウントできない(51個以上)
表2の結果から、本発明の電子写真感光体は、耐摩耗性が高く、更に明部電位の上昇が少ない優れた電気特性を有していることがわかった。更に、シリカの刺さりによって引き起こされる白斑点が発生しにくく、長期にわたって高画質な画像出力を維持できることがわかった。
酸性分散剤として、ポリカルボン酸化合物以外を用いた実施例15においては、明部電位が高くなる傾向が見られた。また、導電性の酸化スズを用いた実施例17では、実用上問題ないレベルではあるものの画像ボケが発生した。化合物Cを用いた実施例18においては、画像には問題ない範囲であるが、僅かに明部電位が高くなった。
無機フィラー、及び酸性分散剤を含有しない比較例3は、電子写真感光体の摩耗量が大きく、耐摩耗性が本発明の電子写真感光体に比べて劣っていることがわかった。
グアナミン樹脂を添加した比較例5は、耐摩耗性に優れ、白斑点数も少ないが、明部電位が高くなった。また、無機フィラーが含有されていてもバインダー樹脂として熱可塑性樹脂であるポリカーボネートを用いた場合には、電子写真感光体の摩耗量が大きく、耐摩耗性が本発明の電子写真感光体に比べて劣っていることがわかった。
<耐ガス性評価>
次に、10万枚の耐刷試験後の電子写真感光体を、NOxガス暴露器にNOガス5ppm/NOガス20ppmの条件で48時間暴露した後、出力画像の評価を行い、耐ガス性を評価した。耐ガス性評価は下記指標に従い、判定した。
[判定基準]
良好:画像劣化がほとんどない
解像度若干低下:画質劣化が若干認められるものの、問題ないレベル
解像度低下:明らかに画像劣化がみられる
画像ボケ発生:画像の判別が困難
なお、耐刷試験にて実用上問題ないレベルではあるものの画像ボケが発生した実施例17、地汚れが発生した比較例8については評価を取り止めとした。結果を表3に示す。
NOxなどの酸化性ガスの暴露においても、本発明の電子写真感光体は画像ボケが発生しにくいことがわかった。しかしながら、酸性の無機フィラーであるシリカを用いた実施例16では、やや解像度が低下する傾向にあった。また、実施例19の、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を4つ有し、2つのトリフェニルアミン構造が共役で連結している化合物からなる架橋型電荷輸送層を有する電子写真感光体は、耐摩耗性が高く、明部電位も低いものの、やや解像度が低下する傾向にあった。2つのトリフェニルアミン構造が共役で連結している電荷輸送性化合物は、酸化電位が小さく、安定性に劣ると考えられる。
無機フィラー及び酸性分散剤を含有しない比較例3において、耐ガス性評価にて解像度低下が見られた。これは、膜に残存する酸触媒に由来するものと考えられ、本発明においては、塩基性の無機フィラーがそれを吸着し、効率的に中和することにより、解像度低下が抑制されているものと推測される。また、一般式(1)で表される電荷輸送性化合物を含有しない比較例1も、解像度低下が見られた。
保護層のバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂を用いた比較例9〜11においては、高酸価の分散剤を用いたり、分散剤の添加量を増量すると画像ボケが発生した。
以上より、本発明の電子写真感光体、並びに前記電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、繰り返し使用時の耐摩耗性が極めて高く、かつ優れた電気特性及び耐ガス性を有し、シリカ等の非常に硬度の高いトナー中の外添剤が電子写真感光体に刺さることを防止することで、白斑点状の画像欠陥を抑制し、長期に亘って高画質な画像出力を維持することができることがわかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 導電性支持体と、前記導電性支持体上に少なくとも感光層とを有する電子写真感光体であって、
前記電子写真感光体が、最表面層を有し、
前記最表面層が、3次元架橋ポリマーと、無機フィラーと、酸性分散剤とを含有し、
前記3次元架橋ポリマーが、電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、下記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物とを、酸触媒を用いて重合して形成されることを特徴とする電子写真感光体である。
ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、メチル基を表す。a及びbは、0〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
<2> 酸性分散剤が、ポリカルボン酸化合物である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> 無機フィラーが、金属酸化物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<4> 金属酸化物が、アルミナ、及び酸化チタンの少なくともいずれかである前記<3>に記載の電子写真感光体である。
<5> 電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
ただし、前記一般式(2)中、Xは、メチレン基、エチレン基、及び酸素原子のいずれかを表す。
<6> 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、前記架橋型電荷輸送層が、最表面層である前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<7> 電子写真感光体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、前記電子写真感光体が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法である。
<8> 電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
<9> 電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段の少なくともいずれかとを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
5 架橋型電荷輸送層
6 感光層
7 保護層
10 電子写真感光体
10Y 電子写真感光体
10M 電子写真感光体
10C 電子写真感光体
10K 電子写真感光体
11 帯電手段
11Y 帯電手段
11M 帯電手段
11C 帯電手段
11K 帯電手段
12 露光手段
13 現像手段
13Y 現像手段
13M 現像手段
13C 現像手段
13K 現像手段
15 転写紙
16 転写手段
16Y 転写手段
16M 転写手段
16C 転写手段
16K 転写手段
17 クリーニング手段
17Y クリーニング手段
17M クリーニング手段
17C クリーニング手段
17K クリーニング手段
18 除電手段
23 転写手段(二次転写手段)
24 定着手段
特開昭64−1728号公報 特開平4−281461号公報 特許第3262488号公報 特開平6−118681号公報 特開2000−66425号公報 特開2007−293197号公報 特開2009−229549号公報 特許第3802787号公報 特開2004−233756号公報 特開2007−233425号公報

Claims (5)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に少なくとも感光層とを有する電子写真感光体であって、
    前記電子写真感光体が、最表面層を有し、
    前記最表面層が、3次元架橋ポリマーと、アルミナ、及び酸化チタンの少なくともいずれかである無機フィラーと、ポリカルボン酸化合物である酸性分散剤と、酸触媒とを含有し、
    前記3次元架橋ポリマーが、下記一般式(2)で表される電荷輸送性化合物の芳香環にメチロール基を3個以上有する化合物と、下記一般式(1)で表される電荷輸送性化合物との、酸触媒重合物であることを特徴とする電子写真感光体。
    ただし、前記一般式(1)中、R及びRは、メチル基を表す。a及びbは、0〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    ただし、前記一般式(2)中、Xは、メチレン基、エチレン基、及び酸素原子のいずれかを表す。
  2. 前記導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、及び架橋型電荷輸送層をこの順に有してなり、前記架橋型電荷輸送層が、前記最表面層である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 電子写真感光体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
  4. 電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  5. 電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段の少なくともいずれかとを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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