JP5970006B2 - 電力ケーブルの接続部形成装置及び電力ケーブルの接続部形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電力ケーブルの接続部形成装置及び電力ケーブルの接続部形成方法に関する。
従来、架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(CVケーブル)等の高電圧ケーブル(電力ケーブル)の接続部としては、電力ケーブルの導体同士を接続管で接続したケーブル接続部分に、予め筒状に成形されたワンピースのゴムブロック絶縁体を被せるゴムブロックジョイント(RBJ:Rubber Block Joint)が知られている。
ゴムブロック絶縁体は、シリコーンゴム等で成形されるため弾性を有し、その内径は、装着される電力ケーブルの接続部分の外径よりも小さく形成されている。このゴムブロック絶縁体は、例えば、特許文献1〜7に示すように、拡径治具を用いて接続部分の外径より大きく拡径された状態で、ケーブル接続部分上に配置され、拡径治具が取り除かれることで縮径してケーブル接続部分に取り付けられる。
特許文献1には、プラスチック電力ケーブル接続部の形成方法の引き抜き治具として、操作レバーを動かすことで、拡管パイプの端部に設けられた環状フランジに取り付けたツメ装置がネジ棒上を移動し、引き抜き治具の端部はプレモールド絶縁体におけるテーパ状の端部を押さえ、引き抜き治具のもう一方の端部はケーブルシースに固定する構造が開示されている。また、特許文献2には、刃とツメの嵌合構造でレバーによって、拡径治具(拡径管)の端部に2分割のフランジ部を固定し、このフランジ部を移動させることで、拡径治具(拡径管)を引き抜く引き抜き治具について記載されている。特許文献3には、拡径治具(拡径管)の引き抜き側の端部に形成した凹凸に係止されたフランジ部の外周に設けられた溝に係止部材把持金具を取り付け、2つの絶縁体保持金具で、ゴムブロック絶縁体の両端部を支持しうるように構成し、油圧ポンプにより、ピストンを駆動してフランジ部を移動させることで拡径治具(拡径管)を引き抜く引き抜き装置について記載されている。また、特許文献4には、拡径治具(拡径管)の引き抜き側の端部に形成した凹凸に係止されたフランジ部の外周に設けられた溝に係止部材把持金具を取り付け、2つの絶縁体保持金具で、ゴムブロック絶縁体の両端を保持し、油圧ポンプにより、ピストンを駆動してフランジ部を移動して拡径治具(拡径管)を引き抜く引き抜き装置について記載されている。また、特許文献5には、ケーブルのジョイントから管状本体(拡径管)を引き抜くための治具で、長手方向3箇所に板と各板を移動可能に挿通する2本のネジ棒を備えた引き抜き治具について記載されている。また、特許文献6には、拡径パイプ(拡径管)の引抜き板を拡径パイプに固定し、油圧シリンダ固定板をゴム絶縁筒(ゴムブロック絶縁体)の端部に嵌合し、油圧ポンプ装置を操作することで、拡径パイプを引き抜く引き抜き装置について記載されている。また、特許文献7には、紐状体をスパイラル状に巻回して筒状に形成したスパイラルコアを拡径治具とした構成が開示されている。スパイラルコアは、工場で予めゴムブロック絶縁体に挿入してゴムブロック絶縁体の縮径力に抗してゴムブロック絶縁体の拡径状態を維持し、電力ケーブル接続部の施工現場で紐状体を一端側から解いていくことで筒状体を解体するものである。
特開平9−200925号公報 特開平11−205939公報 特許第3978929号公報 特開平11−313421号公報 特公平4−72450号公報 特許第3881225号公報 特開2006−141084号公報
しかしながら、特許文献1〜7の引き抜き治具または引き抜き装置では、それぞれ以下のような問題がある。
特許文献1の引き抜き治具(引抜工具)では、拡管パイプ(拡径管)側の環状フランジへの固定に加え、ケーブルシース側にも治具を固定する構造のため、ゴムブロック絶縁体の長手方向の外側に引き抜き治具が配置され、引き抜き治具は高さ方向に大型化する。よって、引き抜き治具の重量が大きくなるため、引き抜き治具をセッティングするまでの作業性が悪い。また、特許文献1の拡管パイプ(拡径管)は長手方向(軸方向)前後に2分割構造であり、拡管パイプは所定の力で長手方向に分離する。この拡管パイプを長手方向に分離させるためには、少なくとも引き抜く方向と反対側の端部に環状フランジが必須となる。このため、引き抜き治具としてのコストが増大する。また、ゴムブロック絶縁体の両端部側のそれぞれで引き抜き治具(引抜工具)を固定して、拡管パイプ(拡径管)を片方ずつ引き抜く必要がある。よって、ゴムブロック絶縁体の外側での作業スペースが長手方向の両側それぞれで必要となる。また、拡管パイプ(拡径管)をゴムブロック絶縁体の両側から片方ずつ引き抜くため、1個のゴムブロック絶縁体の拡管パイプ(拡径管)を引き抜くのに、2回引き抜き作業が必要となる。
特許文献2の引き抜き治具では、拡管治具(拡径管)が2分割構造のため、拡管治具(拡径管)としてのコストがかかる。また、フランジ部の溝に引き抜き治具の係止部材把持金具を嵌合するため、フランジ部に溝を形成する加工費のコストもかかる。また、刃とツメの嵌合構造とすることで、フランジ部をゴムブロック絶縁体から移動させるため、特許文献1のネジ棒を用いた場合と比較して作業性が悪いものとなっている。
特許文献3の引き抜き装置では、油圧シリンダとピストンを備え、係止部材把持金具と2つの絶縁体保持金具の少なくとも長手方向の3箇所に固定部材が必要であり、装置が大型化し、作業が煩雑となる。また、油圧ポンプを用いるため、装置が重くなり、油圧ポンプを設置するスペースも必要となっている。
特許文献4の引き抜き装置も特許文献3の引き抜き装置と同様の問題がある。
特許文献5の引き抜き治具では、ネジ棒2本を同時に操作する必要があるため、板の位置調整が困難であり、作業性が極めて悪い。
特許文献6の引き抜き装置では、油圧ポンプを用いるため、装置が重くなり、油圧ポンプを設置するスペースも必要となっている。また、油圧シリンダ固定板が、ゴム絶縁筒(ゴムブロック絶縁体)の端部に嵌合するため、特許文献6のように両端部がテーパー構造のゴム絶縁筒(ゴムブロック絶縁体)では、引き抜き作業時にゴム絶縁筒が変形するおそれがある。
特許文献7では、引き抜き装置を用いないものの、拡径治具としてのスパイラスコア自体が高価なものであるため、製作コストがかかる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、製作コストの低廉化を図るとともに、簡単にゴムブロック絶縁体を取り付けることができ、容易に電力ケーブルの接続部を形成できる電力ケーブルの接続部形成装置及び電力ケーブルの接続部形成方法を提供することである。
本発明の電力ケーブルの接続部形成装置の一つの態様は、ケーブル接続部分の外周上に配置されるゴムブロック絶縁体と、前記ゴムブロック絶縁体の内部に、一端部を前記ゴムブロック絶縁体の端部から突出させた状態で装着され、且つ、前記ゴムブロック絶縁体を拡径して保持する拡径管と、前記ゴムブロック絶縁体から前記拡径管を、前記拡径管の一端部の突出する側を引き抜き方向として引き抜く引き抜き治具と、を備え、前記ゴムブロック絶縁体は、内部半導電層と、前記ゴムブロック絶縁体の端部に露出して設けられるストレスコーン部と、前記内部半導電層の外周に設けられる補強絶縁層と、前記補強絶縁層の外周に設けられる外部遮蔽層とを一体化した筒状部材であり、前記拡径管は、合成樹脂製の一つの筒体で形成され、前記引き抜き治具は、前記ゴムブロック絶縁体の一端部側において、先端部における凹部が前記ストレスコーン部の基端部に外嵌して当該基端部と前記ゴムブロック絶縁体の端部とで形成される段差面に係止する係止部材と、後端面に前記係止部材の基端部が固定される治具本体と、前記治具本体の基端部側に取り付けられた筒状の把持部と、前記治具本体と前記把持部の内部に挿通され、前記治具本体に取り付けられた位置調整部を回転させることによって前記治具本体から先端部が前記引き抜き方向に突出自在に設けられるネジ棒と、前記ネジ棒の先端に取りつけられるベアリング機構と、前記ベアリング機構に固定され、且つ、前記拡径管に固定される拡径管保持部材と、を備え、前記拡径管保持部材は、前記ベアリング機構に固定され、水平部が前記ネジ棒の長手方向に沿って前記把持部側に延びるアーム部と、基端部が前記アーム部の前記水平部直交するように固定され、先端部が前記拡径管の前記一端部に固定される先端保持部と、を備える構成を採る。
本発明の電力ケーブルの接続部形成方法の一つの態様は、上記構成の電力ケーブルの接続部形成装置を用いた電力ケーブルの接続部形成方法であって、内部に拡径管を装着したゴムブロック絶縁体を、ケーブル接続部分の外周に配置し、次いで、前記引き抜き治具の前記係止部材の凹部を、前記ストレスコーン部の基端部に外嵌して当該基端部と前記ゴムブロック絶縁体の端部とで形成される段差面に係止させた状態で、前記位置調整部を回転させて前記ネジ棒の先端部を前記治具本体から突出させることにより、前記拡径管保持部材を前記引き抜き方向に移動して、前記拡径管保持部材に固定された前記拡径管を前記ゴムブロック絶縁体から引き抜いて、前記ゴムブロック絶縁体を前記接続部分に装着して電力ケーブルの接続部を形成するようにした。
本発明によれば、簡易な構成で、製作コストの低廉化を図るとともに、簡単にゴムブロック絶縁体を取り付けることができ、容易に電力ケーブルの接続部を形成できる。
本発明の実施の形態1の電力ケーブルの接続部形成装置の構成を示す斜視図 同電力ケーブルの接続部形成装置におけるゴムブロック絶縁体の断面図 同電力ケーブルの接続部形成装置における拡径管の斜視図 同電力ケーブルの接続部形成装置における拡径管保持部材の先端保持部を示す図 同電力ケーブルの接続部形成装置における引き抜き治具の動作を示す斜視図 同電力ケーブルの接続部形成方法の説明に供する図 本発明の実施の形態2の電力ケーブルの接続部形成装置の構成を示す斜視図 同電力ケーブルの接続部形成装置における係止部材を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の電力ケーブルの接続部形成装置の構成を示す斜視図である。
図1に示す電力ケーブルの接続部形成装置10は、ゴムブロック絶縁体20と、拡径管30と、引き抜き治具40とを有する。
ゴムブロック絶縁体20は、例えば、電力ケーブル同士を接続してなる接続部分(以下では、「ケーブル接続部分」という)に覆うように取り付けられる。すなわち、ゴムブロック絶縁体20は、例えば電力ケーブルの中間接続部に適用される。なお、中間接続部においては、電力ケーブルのケーブル導体同士は導体接続管にて圧縮接続され、導体接続部が形成される。
図2は、同電力ケーブルの接続部形成装置10におけるゴムブロック絶縁体20の断面図である。ゴムブロック絶縁体20は、図2に示すように、導電性を有するとともに導体接続部に電気的に接続される内部半導電層21と、ゴムブロック絶縁体20の両端部に設けられるストレスコーン部22a、22bと、内部半導電層21の外周に設けられストレスコーン部22a、22bの端部を埋設するように設けられる補強絶縁層23と、補強絶縁層23の外周に設けられる外部遮蔽層24とを有する。ゴムブロック絶縁体20は、モールドにより、内部半導電層21、ストレスコーン部22a、22b、補強絶縁層23及び外部遮蔽層24を一体的な筒状部材として構成されている。ゴムブロック絶縁体20は、弾性を有し、拡径自在である。ゴムブロック絶縁体20の内径は、取り付けられるケーブル接続部分の外径よりも小さく形成されている。
内部半導電層21は、両端が断面円弧状に形成されているため、導体接続部と電気的に接続することで、導体接続部の外周面および角部近傍に集中する電界を緩和する。なお、内部半導電層21と導体接続管は、導体接続管の外周に半導電テープを巻いて半導電テープと内部半導電層21とを当接させることで電気的に接続してもよいし、直接内部半導電層21と導体接続管とが接するように構成することで電気的に接続してもよい。
内部半導電層21は、軸方向で導体接続部よりも長くなるように形成され、樹脂製の導電性を有する材料、例えば、エチレンプロピレンゴムやシリコーンゴム等にカーボン等の導電性物質を混合した半導電ゴムで筒状に形成されている。
ストレスコーン部22a、22bは、電力ケーブルにおいてケーブル絶縁層と外部半導電層とに跨がって両層に接して配置される。ストレスコーン部22a、22bは、ベルマウス状の筒状体であり、それぞれ基端部221a、221bから先端側に向かって拡がる開口部222a、222bを有する。ストレスコーン部22a、22bは、内部半導電層21の両端部からそれぞれ所定間隔離間した位置に、互いの開口部222a、222bを対向するように配置されている。すなわち、ストレスコーン部22a、22bでは、開口部222a、222bの内周面においてケーブル接続部分の外周面から離間し始める部分が鋭利な突起にならないように、これら内周面に緩やかな傾斜(ここでは曲面)を持たせた形状となっている。ストレスコーン部22a、22bは、電力ケーブルの各外部半導電層と当接しているため、各外部半導電層の端部に集中する電界を緩和する。
なお、ストレスコーン部22a、22bは、例えば、エチレンプロピレンゴムやシリコーンゴム等にカーボン等の導電性物質を混合した半導電ゴムで形成されている。ストレスコーン部22a、22bは、モールド成型上、内部半導電層21と同じ材料(例えば、半導電シリコーンゴム)で形成するのが好ましい。
補強絶縁層23は、ここでは、内部半導電層21、ストレスコーン部22a、22bの外周に接する筒状をなし、内部半導電層21、ストレスコーン部22a、22bを覆うように一体的に設けられている。この筒状の補強絶縁層23の両端部は、ストレスコーン部22a、22bの基端部221a、221bを突出させた状態で、ストレスコーン部22a、22bを埋設するように設けられる。ストレスコーン部22a、22bの開口部222a、222b側端部のそれぞれは、補強絶縁層23の両端部に埋設される。また、内部半導電層21、補強絶縁層23、及びストレスコーン部22a、22bのそれぞれの内周面は面一に形成されている。
また、補強絶縁層23の両端部は、ここでは、ゴムブロック絶縁体20における両端部231、232(以下では、「ゴムブロック端部」という)を形成している。
ゴムブロック端部231、232は、ゴムブロック端部231、232から突出するストレスコーン部22a、22bの基端部221a、221bとでそれぞれ段差部を形成しており、ゴムブロック端部231、232の側端面が段差面となっている。特に、一端側(後述する拡径管30を引き抜く側)のゴムブロック端部231の側端面は、引き抜き治具40に係止する段差面233を形成している。
また、補強絶縁層23は、絶縁性を有するゴム材料、例えば、エチレンプロピレンゴムやシリコーンゴム等の絶縁ゴムで形成されている。補強絶縁層23は、モールド成型上、内部半導電層21及びストレスコーン部22a、22bと同じ種類の導電性を有さない絶縁材料(例えば、絶縁シリコーンゴム)で形成するのが好ましい。
外部遮蔽層24は円筒状をなし、補強絶縁層23の外周に設けられ、少なくともストレスコーン部22a、22bの各開口部(222a、222b)側端部間の長さよりも長く形成されている。これにより、外部遮蔽層24の端部が電気的な突起にならないようにしている。外部遮蔽層24の長さは、ゴムブロック絶縁体20の縁切り構造の必要性に応じて、両端縁切り構造、片端縁切り構造、縁切り無し構造とすることができる。ここでは、外部遮蔽層24の一方(図2では左側)の端部は、ストレスコーン部22aの開口部222a側端部よりも若干基端部221a側(図2では左側)まで延長されている。また、外部遮蔽層24の他方(図2では右側)の端部は、補強絶縁層23の他方(図2では右側)の端部まで延長されている。外部遮蔽層24の他方(図2では右側)の端部と、ストレスコーン部22bとは、図示しない半導電テープ等によって電気的に接続されることで、片端縁切り構造を形成している。外部遮蔽層24は、それぞれストレスコーン部22a、22bの基端部221a、221bに当接する位置まで設けられていてもよく、片側のみに設ければ片端縁切り構造、両側に設ければ縁切り無し構造となる。この場合は、ゴムブロック端部231の側端面、すなわち段差面233は、外部遮蔽層24の一部で形成されることになる。また、外部遮蔽層24は、例えば、エチレンプロピレンゴムやシリコーンゴム等にカーボン等の導電性物質を混合した半導電ゴムで形成されている。外部遮蔽層24を半導電ゴムで形成する場合は、モールド成型上、内部半導電層21及びストレスコーン部22a、22bと同じ材料(例えば、半導電シリコーンゴム)で形成するのが好ましい。外部遮蔽層24は、半導電ゴム製に限らず、例えば導電性の塗料で形成してもよい。
このように構成されるゴムブロック絶縁体20の内部には、ケーブル接続部分に装着するために拡径治具として拡径管30が装着される。拡径管は、予め工場で装着されてもよいし、現地(ケーブル接続部を形成する施工現場)で装着されてもよい。
拡径管30は、ゴムブロック絶縁体20に装着され、ゴムブロック絶縁体20の拡径状態を維持している。拡径管30の内径は、ケーブル接続部分の外径よりも大きく、拡径管30の全長は、ゴムブロック絶縁体20へ装着時に拡径管30の両端部がゴムブロック絶縁体20の両端から外側に露出するようにゴムブロック絶縁体20の全長よりも長い。
図2に示すように、拡径管30の一端部31側には、引き抜き治具40に接続される接続孔部33が形成されている。
図3は、電力ケーブルの接続部形成装置における拡径管の斜視図である。接続孔部33は、図3に示すように、ここでは、拡径管30の本体部分で対向する位置に2か所と90度ずらした位置で対向する位置に2か所の計4か所が十字状の位置に貫通して形成されている。すなわち、それぞれの接続孔部33は、拡径管30の外周において90度ずつずらした位置の4か所に、貫通して形成されている。拡径管30の接続孔部33は、後述する止着部材49を止着するために対向する位置に2か所と、後述する突起部422bを係止するための1か所(2箇所の接続孔部33から90度ずらした位置に設けるのが好ましい)の少なくとも3か所に備えていればよい。図3に示すように、接続孔部33を90度ずつずらした位置に4か所設けた場合は、任意の位置の接続孔部33の1か所に突起部422bを係止させればよく、施工現場での作業性がより向上するため好適である。このように、拡径管30には、引き抜き治具40に接続するためのフランジ等を必要としない。また、拡径管30の他端部32側の縁部34は断面円弧状をなしており、湾曲している。この断面円弧状の縁部34により、拡径管30は、ゴムブロック絶縁体20に挿入して装着される際に、他端部32側の縁部34から挿入し易くなっている。また、縁部34が断面円弧状であることによって、拡径管30をゴムブロック絶縁体20へ挿入する際、及びゴムブロック絶縁体20から引き抜く際に、縁部34によって、ゴムブロック絶縁体20の内周面を傷つけるおそれがない。なお、縁部34は面取りされた形状でもよい。
拡径管30は、一つの筒体であり、例えば、ポリエチレン(polyethylene:PE)、ポリプロピレン(polypropylene:PP)或いはポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride:PVC)等の合成樹脂材料で形成されている。拡径管30は、特に高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene:HDPE)で形成されることが好ましい。拡径管30をPPやHDPEで形成する場合、PVC製と比較して、耐熱性に優れ、予め工場でゴムブロック絶縁体20内に装着して、ゴムブロック絶縁体20を拡径するタイプ、所謂、工場拡径タイプの場合に特に有用である。PVC製の拡径管30を工場拡径タイプに適用した場合、すなわち工場で予めゴムブロック絶縁体20に装着した場合、長期間装着状態が継続することになる。ここで、PVC製の拡径管30は、約60℃で縮径してしまい、ゴムブロック絶縁体20から抜けない場合や、現地(ケーブル接続部の施工現場)で拡径管30付きのゴムブロック絶縁体20を電力ケーブルに被挿できない場合が生じる恐れがある。なお、現地(電力ケーブルの接続部の施工現場)で拡径管30をゴムブロック絶縁体20に装着して、ゴムブロック絶縁体20を拡径するタイプ、所謂、現地拡径タイプの場合は、拡径管30の材料は、PE、PP,PVC等いずれの合成樹脂材料で形成してもよい。
また、拡径管30は、拡径を保持するゴムブロック絶縁体20の外径が小さい場合(例えば、ゴムブロック絶縁体20が配電系(電力ケーブルの定格電圧が33kV以下)に用いられる場合)、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene:LDPE)により形成されてもよい。電力ケーブルの定格電圧66kV以上の電圧クラスではゴムブロック絶縁体の径が大きくなるため、LDPE製の拡径管30では、拡径管30として強度が不足するため、HDPE製の拡径管30とすることが好ましい。また、ゴムブロック絶縁体20を適用した電力ケーブルの接続部において、防水処理のためにゴムブロック絶縁体20の外側に設けられる保護管をHDPE製で形成する場合、拡径管30は、保護管と同じ材料で形成することができ、電力ケーブルの接続部としてコストダウンを図ることができる。
図1に示す引き抜き治具40は、電力ケーブルの接続部形成装置10において、ゴムブロック絶縁体20に装着された拡径管30を引き抜き方向Aに移動して引き抜く(図5参照)ものである。
引き抜き治具40は、ゴムブロック絶縁体20に係止する係止部材41と、拡径管30に固定する拡径管保持部材42と、係止部材41に対して拡径管保持部材42を拡径管30の軸方向(ゴムブロック絶縁体20に軸方向)に移動させる移動機構43とを有する。
移動機構43は、拡径管30が挿入されたゴムブロック絶縁体20の長手方向に沿って配置されており、治具本体44、把持部45、位置調整部46、ネジ棒47、ベアリング機構48を有する。
係止部材41は、板状をなし、基端部が治具本体44に図示しないボルトを介して固定されている。ここでは、係止部材41の基端部は、把持部45を通して治具本体44の後端面に当接されている。係止部材41の先端部には、ゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの外径に対応した形状(ここでは、半円状)の凹部411を有する。
この係止部材41の先端部における凹部411がゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aに外嵌することで、係止部材41は、ゴムブロック端部231の段差面233に係合する。係止部材41は、樹脂製であり、例えばPP或いはABS樹脂で形成されている。
治具本体44の基端部には、筒状の把持部45がゴムブロック絶縁体20の長手方向に沿って取り付けられている。
また、治具本体44と筒状の把持部45の内部には、1本のネジ棒47が挿通されている。ネジ棒47は、位置調整部46を回転させることで、ゴムブロック絶縁体20の長手方向に沿って治具本体の一端面(拡径管を引き抜く方向側の端面)441から突出自在に設けられている。例えば、治具本体44内では、位置調整部46の回転により、ネジ棒47の雄ネジ部分に歯合する歯部を有するウォームホイールを回転させる。ウォームホイールの回転によりウォームホイールの歯部と歯合する雄ねじ部は、ウォームホイールの回転方向に対応して、ネジ棒47自体を軸方向に移動させる。このように、位置調整部46とネジ棒47との関係は、位置調整部46の回動に伴い、ネジ棒47が軸方向に移動する構成であればどのような機構で構成されてもよい。
ネジ棒47が、治具本体44の一端面441から突出した状態から把持部45側に引っ込む方向に移動する際には、ネジ棒47の基端部側は把持部45内に挿入される。また、把持部45内には、ネジ棒47と螺合する雌ねじ部が切られていてもよい。これにより、ネジ棒47では、治具本体44の一端面441から突出する部分は、把持部45及び治具本体44により所定の突出長さで、強固に支持される。
ネジ棒47の先端には、ベアリング(軸受)を有するベアリング機構48が取り付けられる。ここでは、ブラケット状のベアリング機構48に拡径管保持部材42が図示しないボルトを介して取り付けられている。ベアリング機構48の構成及び拡径管保持部材42の関係は、図1の実施形態に限定されず、ネジ棒47の先端に、ベアリングを介して拡径管保持部材42が取り付けられていれば、どのような構成でもよい。ネジ棒47の先端に、ベアリングを介して拡径管保持部材42が取り付けられていることにより、ネジ棒47が一端面441から突出する際に、拡径管保持部材42は、ネジ棒47の回転に伴って回転することなく管軸方向に移動される。ネジ棒47の長さは、先端に取り付けられた拡径管保持部材42を介して拡径管30をゴムブロック絶縁体20から完全に引き抜くのに必要な長さを有する。図1に示す状態からさらに突出するネジ棒47の長さは、少なくとも拡径管30においてゴムブロック絶縁体20に挿入されている一端側の部分から他端部32側の縁部34までの長さ以上である。
拡径管保持部材42は、ベアリング機構48に固定されるアーム部421と、拡径管30の外周に嵌合する半円状の面を有する先端保持部422と、を有する。
アーム部421は、ネジ棒47に対して直交する方向に配置される板状の取付片部421aと、取付片部421aからネジ棒47の長手方向に沿って屈曲し、取付片部421aの先端側(ネジ棒47側と反対側)に連設される水平部421bとを有する。水平部421bの先端側(把持部45側)は、先端保持部422の基端部に図示しないボルト等によって接合される。アーム部421は、取付片部421aと水平部421bとでL字状に形成されている。
取付片部421aは、一端部でベアリング機構48に固定され、他端部側で連続する水平部421bを、治具本体44に干渉しない位置に離間させるように、ベアリング機構48から突出する。ここでは、取付片部421aは、軸方向と直交する方向に板状に形成されている。なお、実施の形態では、取付片部421aは、拡径管保持部材42の一部としてベアリング機構48に固定されているが、ベアリング機構48の一部として形成されてもよい。すなわち、ベアリング機構48と拡径管保持部材42のアーム部421との固定はどのような形態でもよい。
水平部421bは、取付片部421aの先端側(ネジ棒47側と反対側)に連設され、ネジ棒47の先端側から基端側に向かって延在している。ここでは、水平部421bはネジ棒47と平行に板状に形成されている。水平部421bの先端部には、先端保持部422が直交方向に突出するように接合されている。ここでは、板状の水平部421bのネジ棒47側とは反対の面に接合されている。
このように、拡径管保持部材42では、L字状に形成されているアーム部421の端部(把持部45側の端部)に固定された先端保持部422は、係止部材41の先端部に対して近接した位置で互いに平行に配置される。そして、治具本体44の一端面441からのネジ棒47の突出度合いに応じて、先端保持部422は、係止部材41の先端部に対して管軸方向に離れる方向に移動自在となっている。このように、先端保持部422は、アーム部421を介してネジ棒47先端のベアリング機構48に取り付けられている。これにより、先端保持部422は、治具本体44に対して引き抜き方向と直交する方向で並ぶ位置であって且つ係止部材41に近接する位置で、係止部材41に対向しつつ配置される。すなわち、アーム部421によって、先端保持部422を、より係止部材41に近接する位置で配置することができるため、拡径管30の長手方向の長さを、必要最小限の長さにできる。よって、拡径管30を短く形成することができ、拡径管30のコストを削減することができる。例えば、アーム部421を設けることなく、板状の先端保持部422を直接ベアリング機構48に取り付ける場合は、先端保持部422が治具本体44と干渉しない位置に先端保持部422を設ける必要があるため、その分、本実施の形態に比べて拡径管30を長くする必要がある。
図4は、電力ケーブルの接続部形成装置における拡径管保持部材の先端保持部422を示す図であり、図4(a)は先端保持部422の正面図、図4(b)は同先端保持部422の底面図である。先端保持部422は、拡径管30の外径に対応した形状(ここでは半円状)の凹部422aを有し、凹部422aで拡径管30の側方から挟むように配置される(図1参照)。
先端保持部422には、図4に示すように、凹部422aの半円の円弧から中心に向かって突出する円柱状の突起部422bが設けられている。ここでは突起部422bは、先端保持部422の中心軸上に設けられている。また、先端保持部422の先端側には、凹部422aを拡径管30に嵌合した際に拡径管30の接続孔部33と対向する位置に止着部材挿通孔422cが貫通して設けられている。ここでは止着部材挿通孔422cは、先端保持部422の凹部422aの内周面において対向する部位に2か所形成されている。
先端保持部422の突起部422bを拡径管30の接続孔部33の1か所に挿入することで、突起部422bが拡径管30の内部に突出するため、拡径管30の移動方向に対して先端保持部422が係止可能となる。
この状態で、先端保持部422の止着部材挿通孔422cと拡径管30の接続孔部33とが対向する位置に近接し、この位置に止着部材49が設けられる。ここでは、止着部材49はネジ部であり、先端保持部422の凹部422aの内周面において対向する部位に形成された止着部材挿通孔422cから対向方向に出没自在に配置されている。先端保持部422は、内周面から止着部材49を内側へ突出させることで、止着部材49を拡径管30の接続孔部33に挿入させる。これにより、先端保持部422は、拡径管30と直交するように、拡径管30に結合する。
なお、拡径管保持部材42は、金属製であり、ここではアルミニウム(Al)製である。
引き抜き治具40では、位置調整部46の回転によって、ネジ棒47を治具本体44の一端面441から突出させることで、係止部材41から拡径管保持部材42を軸方向で離れるように移動できる。
すなわち、ゴムブロック絶縁体20に装着された拡径管30に取り付けた引き抜き治具40では、係止部材41の先端部の凹部411をゴムブロック絶縁体20の端部における段差部に係止して、係止部材41を段差面233に当接している。この状態で、位置調整部46を回転(例えばB方向に回転)させることで、図5に示すように、ネジ棒47は、治具本体44の一端面441から突出する。その際、治具本体44に固定された係止部材41は、ゴムブロック絶縁体20の段差面233に係合しているため、ネジ棒47の先端部に取り付けられた拡径管保持部材42は、係止部材41から軸方向に離間する方向(A方向、つまり拡径管30を引き抜く方向)に移動する。
次に、電力ケーブルの接続部形成装置10により電力ケーブルの接続部を形成する際の動作を説明する。
図6は、電力ケーブルの接続部形成方法の説明に供する図である。図6(a)に示すように、電力ケーブルの接続部形成装置10においてゴムブロック絶縁体20を拡径状態で保持する拡径管30内に、電力ケーブル62を挿通させた状態で、電力ケーブル61、62のケーブル導体同士を、導体接続管63を介して接続する。
なお、電力ケーブル61、62は、それぞれ、ケーブル導体(図示省略)の周囲を内側から順に内部半導電層(図示省略)、ケーブル絶縁体61a、62a、外部半導電層61b、62b、ケーブル遮蔽層61c、62c及びケーブルシース61d、62d等で被覆して構成されている。ケーブル絶縁体61a、62aは、例えば架橋ポリエチレンで形成される。エチレンプロピレンゴム等で形成してもよい。このため、このようなゴム・プラスチック電力ケーブル61、62同士を接続するに当たっては、当該電力ケーブル61、62を、それぞれ所定の接続長さに切断した後、先端から順にケーブル導体、ケーブル絶縁体61a、62a、外部半導電層61b、62b、遮蔽層61c、62cが露出するようにそれぞれ所定の長さだけ段剥ぎされる。外部半導電層61b、62bの端部は、段剥ぎした状態で使用してもよいが、半導電テープを加熱モールドすることにより、あるいは導電性塗料を塗布することにより、外部半導電層の端部を再生してもよい。いずれの場合も当該再生部分も含めて外部半導電層61b、62bとみなす。このように段剥ぎされた電力ケーブル61、62のケーブル導体同士を、図6(a)に示すように対向させて同軸方向に並べて配置し、導体接続管63で圧縮等により接続することでケーブル接続部分を形成する。
なお、導体接続管63の外周には、導電性のカバー(導電性のゴム等で形成されるカバー)を被せたり、導電性テープを巻回したりすることによって、導体接続管63部分の外径がケーブル絶縁体61a,62aの外径と略同じ外径となるようにする。
次いで、図6(b)に示すように、接続部形成装置10のゴムブロック絶縁体20を移動して、ゴムブロック絶縁体20を装着する位置、つまり、導体接続管63により接続される電力ケーブル61、62の接続部分上に配置する。なお、ここでは、接続部形成装置10を予め組み立てた後で、電力ケーブルの接続部分上に配置する構成としたが、電力ケーブル61、62の接続部分上に配置した後、引き抜き治具40を、ゴムブロック絶縁体20及び拡径管30に取り付けてもよい。
次いで、接続部形成装置10の引き抜き治具40の位置調整部46を回して、拡径管保持部材42を、係止部材41から軸方向に離間させる。位置調整部46には、例えば電気ドリルと嵌合させれば、人力を用いることなく容易に位置調整部46を回転させることができる。電気ドリルに代えて、ハンドルを位置調整部46に嵌合させた場合は、手動で位置調整部46を回転させることができる。
係止部材41は、ゴムブロック絶縁体20の段差面233で拡径管の引き抜き方向に対して係止されている。これにより、引き抜き治具40は電力ケーブル自体に固定されることなく、拡径管保持部材42を、係止部材41から離間する方向に移動させることができる。
この拡径管保持部材42に止着部材49を介して固定された拡径管30も、図6(c)に示すように、ゴムブロック絶縁体20から軸方向に移動する。つまり、引き抜き治具40により、拡径管30が、ゴムブロック絶縁体20から引き抜かれていく。
この拡径管30の引き抜きにより、拡径管30で支持されていたゴムブロック絶縁体20の部分は、順に縮径して電力ケーブルの接続部分上に密着した状態で配置され、当該接続部分を被覆していく。
そして、図6(d)に示すように、拡径管30がゴムブロック絶縁体20から全て取り除かれることにより、ゴムブロック絶縁体20がケーブル接続部分上に正確に且つ円滑に装着される。ゴムブロック絶縁体20から抜き去った拡径管30は、切断して取り除く。拡径管30は、ポリエチレン、特にHDPEで形成されていれば、切断作業も容易に行える。
これにより、ゴムブロック絶縁体20は電力ケーブルの接続部を形成し、接続部の電気絶縁性能は維持されることとなる。なお、ゴムブロック絶縁体20の装着後では、接続部における防食処理、接地線接続処理、及び必要に応じて保護管を外嵌する等の処理が施される。
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2の電力ケーブルの接続部形成装置10Aの構成を示す斜視図である。また、図8は、同電力ケーブルの接続部形成装置10Aにおける係止部材41Aを示す図であり、図8(a)は、分割した係止部材41Aの平面図、図8(b)は同係止部材41Aの側面図である。なお、図7に示す電力ケーブルの接続部形成装置10Aは、図1に示す電力ケーブルの接続部形成装置10と比較して、係止部材の構成のみ異なり、その他の構成要素は同様である。よって、図7、図8では、図1と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7の係止部材41Aは、板状をなし、径方向に2分割された構造を有する。具体的には、図8に示すように、係止部材41Aは、治具本体44に固定され先端部にゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの外形に対応した形状(ここでは、半円状)の凹部411aを有する板状の係止部材本体41aと、ゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの外形に対応した形状(ここでは、半円状)の凹部411bを有する板状の係止補助部材41bとを備える。
係止部材本体41aと係止補助部材41bの端部には、それぞれ切欠部412a、412bが設けられ、切欠部412a、412b同士を嵌合させてネジやボルトで固定可能な構造を有する。なお、係止部材本体41aと係止補助部材41bとを固定した状態においては、それぞれの凹部411a、411bで、ゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの外形に対応した円形状を形成する。
係止部材本体41aの先端部における凹部411aがゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの上側に外嵌することで、係止部材本体41aは、ゴムブロック端部231の段差面233の上側に係合する。また、係止補助部材41bの凹部411bがゴムブロック絶縁体20のストレスコーン部22aの基端部221aの下側に外嵌することで、係止部材41Aは、ゴムブロック端部231の段差面233の下側に係合する。
係止部材本体41a及び係止補助部材41bは、樹脂製であり、例えばPP或いはABS樹脂で形成されている。
この係止部材本体41aと係止補助部材41bとを固定することにより、係止部材41Aとしては、ゴムブロック絶縁体20の段差面233全体に係止することができる。これにより、拡径管30の引き抜く際に、引き抜き治具40が段差面233から脱落することなく、より安定してゴムブロック絶縁体20の段差面233に係止部材41を係止することができる。
なお、図7の実施形態において、係止部材41Aのゴムブロック絶縁体20の段差面233への係止構造以外の構成は、第1の実施形態の係止部材41の構成と同じであるので、説明を省略する。
このように各実施の形態では、従来に比べて簡易な引き抜き治具40により、簡単に拡径管30をゴムブロック絶縁体20から引き抜くことができ、ひいては簡単に電力ケーブル接続部を形成することができる。
また、各実施の形態の引き抜き治具40は、拡径管30により拡径されたゴムブロック絶縁体20の側方に、ゴムブロック絶縁体20と平行に並べて配置して、ゴムブロック絶縁体20の一端部から拡径管30の引き抜きを行う。すなわち、作業員が引き抜き治具40の把持部45をゴムブロック絶縁体20の側方で把持しながら、拡径管30の引き抜き作業が可能である。これにより、例えば、特許文献1の引き抜き治具(引抜工具)と異なり、電力ケーブルのケーブルシースに固定する構造ではないため、電力ケーブルの延在方向でゴムブロック絶縁体を装着する位置と、拡径管を引き抜いた後の位置とに跨がった領域を作業スペースとして必要とせず、省スペースで作業可能となる。
また、各実施の形態の引き抜き治具40では、ゴムブロック絶縁体20に対しては、ゴムブロック絶縁体20の端部に形成された段差面(軸方向と直交する面)で係止させて、拡径管30に対しては接続孔部33を空けて固定した構成となっている。また、ネジ棒47を治具本体44から突出させるだけで、ゴムブロック絶縁体20から拡径管30を引き抜く構成となっている。これにより引き抜き治具40及び拡径管30自体を簡易な構成にすることができる。
さらに、拡径管保持部材42の先端保持部422の凹部422aに設けられた突起部422bが拡径管30の接続孔部33に挿通されている。これにより、拡径管30の引き抜き中に、先端保持部422が拡径管30と直交する位置から傾くのを防止することができる。この場合、拡径管保持部材42(先端保持部422)は、突起部422bと2つの止着部材49の3点で拡径管30を保持するため、より安定して引き抜き作業を行うことができる。
また、拡径管30はワンピースで構成されており、特許文献1に示すような従来の拡径管と異なり、ゴムブロック絶縁体の両端部側のそれぞれから、長手方向で分割させて引き抜く作業を行う必要がない。また、拡径管30が分割されていないので、分割された拡径管を用いた場合と異なり、電力ケーブルの接続部を形成する際の部品点数も少なくできる。
また、拡径管30は、接続孔部33が形成されているのみの筒体であり、端部に治具側の拡径管保持部材に係合するためのフランジ部を拡径管とは別に設けた従来の拡径管(例えば、特許文献1〜3等)と異なり、フランジ部やフランジ部に設けた溝を形成するための加工費のコスト削減を図ることができる。
このように各実施の形態によれば、簡易な構成で、製作コストの低廉化を図りつつ、ケーブル接続部分にゴムブロック絶縁体を簡単に取り付けて容易に電力ケーブルの接続部を形成できる。
なお、電力ケーブルの接続部としては、各実施の形態では、電力ケーブル同士を接続する、所謂、電力ケーブルの中間接続部をゴムブロック絶縁体で形成する場合について説明したが、電力ケーブルとブッシングと接続する、所謂、電力ケーブルの終端接続部をゴムブロック絶縁体で形成する場合に適用してもよい。ブッシングは、開閉装置や変圧器等に取り付けられるガス中終端接続部または油中終端接続部に適用されるものでもよいし、気中終端接続部に適用されるものでもよい。電力ケーブルの終端接続部に適用する場合は、電力ケーブルのケーブル導体に圧縮接続された接続端子とブッシングの内部導体とが電気的に接続された部分が「ケーブル接続部分」となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
本発明に係る電力ケーブルの接続部形成装置及び電力ケーブルの接続部形成方法は、簡易な構成で、製作コストの低廉化を図るとともに、ゴムブロック絶縁体を簡単に取り付けて容易に電力ケーブルの接続部を形成できる効果を有し、電力ケーブルの接続部を形成する際に有用である。
10、10A 電力ケーブルの接続部形成装置
20 ゴムブロック絶縁体
21 内部半導電層
22a、22b ストレスコーン部
23 補強絶縁層
24 外部遮蔽層
30 拡径管
31 一端部
32 他端部
33 接続孔部
34 縁部
40 引き抜き治具
41 係止部材
41a 係止部材本体
41b 係止補助部材
42 拡径管保持部材
43 移動機構
44 治具本体
45 把持部
46 位置調整部
47 ネジ棒
48 ベアリング機構
49 止着部材
61、62 電力ケーブル
61a、62a ケーブル絶縁体
61b、62b 外部半導電層
61c、62c ケーブル遮蔽層
61d、62d ケーブルシース
63 導体接続管
221a、221b 基端部
222a、222b 開口部
231、232 ゴムブロック端部
233 段差面
411、411a、411b、422a 凹部
421 アーム部
421a 取付片部
421b 水平部
422 先端保持部
422b 突起部
441 一端面

Claims (9)

  1. ケーブル接続部分の外周上に配置されるゴムブロック絶縁体と、
    前記ゴムブロック絶縁体の内部に、一端部を前記ゴムブロック絶縁体の端部から突出させた状態で装着され、且つ、前記ゴムブロック絶縁体を拡径して保持する拡径管と、
    前記ゴムブロック絶縁体から前記拡径管を、前記拡径管の一端部の突出する側を引き抜き方向として引き抜く引き抜き治具と、
    を備え、
    前記ゴムブロック絶縁体は、内部半導電層と、前記ゴムブロック絶縁体の端部に露出して設けられるストレスコーン部と、前記内部半導電層の外周に設けられる補強絶縁層と、前記補強絶縁層の外周に設けられる外部遮蔽層とを一体化した筒状部材であり、
    前記拡径管は、合成樹脂製の一つの筒体で形成され、
    前記引き抜き治具は、
    前記ゴムブロック絶縁体の一端部側において、先端部における凹部が前記ストレスコーン部の基端部に外嵌して当該基端部と前記ゴムブロック絶縁体の端部とで形成される段差面に係止する係止部材と、
    後端面に前記係止部材の基端部が固定される治具本体と、
    前記治具本体の基端部側に取り付けられた筒状の把持部と、
    前記治具本体と前記把持部の内部に挿通され、前記治具本体に取り付けられた位置調整部を回転させることによって前記治具本体から先端部が前記引き抜き方向に突出自在に設けられるネジ棒と、
    前記ネジ棒の先端に取りつけられるベアリング機構と、
    前記ベアリング機構に固定され、且つ、前記拡径管に固定される拡径管保持部材と、
    を備え、
    前記拡径管保持部材は、
    前記ベアリング機構に固定され、水平部が前記ネジ棒の長手方向に沿って前記把持部側に延びるアーム部と、
    基端部が前記アーム部の前記水平部直交するように固定され、先端部が前記拡径管の前記一端部に固定される先端保持部と、
    を備える、
    電力ケーブルの接続部形成装置。
  2. 前記アーム部は、前記ベアリング機構に固定され、前記ネジ棒から直交して配置される板状の取付片部と、
    前記取付片部から屈曲して設けられる前記水平部と、
    を備えるL字状に形成される、
    請求項記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  3. 前記拡径管の前記一端部の外周には、貫通する孔部が設けられ、
    前記先端保持部の先端には、前記拡径管の外周に嵌合する凹部が設けられ、
    当該凹部には、前記拡径管の前記孔部に挿通する突起部が設けられ、
    前記突起部は、前記拡径管の前記孔部に挿通される、
    請求項1又は2に記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  4. 前記拡径管の前記一端部の外周には、貫通する孔部が少なくとも3か所に形成され、
    前記先端保持部の先端には、前記拡径管の外周に嵌合する凹部が設けられ、
    当該凹部には、前記拡径管の前記孔部に挿通する突起部が設けられ、
    前記突起部は、前記拡径管の前記孔部の1か所に挿通されている、
    請求項1又は2に記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  5. 前記拡径管の前記孔部のうち、2か所は対向する位置に設けられ、
    前記拡径管保持部材と前記拡径管は、当該対向する2か所の孔部に前記先端保持部の先端部に設けられた止着部材を止着することで固定され、
    当該対向する2か所の孔部以外の前記孔部の1か所には、前記突起部が挿通されている、
    請求項記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  6. 前記係止部材は、
    前記治具本体に固定され、且つ、先端部に前記ストレスコーン部の基端部の外形に対応した凹部を有する板状の係止部材本体と、
    前記ストレスコーン部の基端部の外形に対応した形状の凹部を有する板状の係止補助部材と、
    を備え、
    前記係止部材本体と前記係止補助部材とは、前記各凹部によって前記ストレスコーン部の基端部の外形に対応した円形状が形成された状態で固定され、前記段差面に係止される、
    請求項1からのいずれか一項に記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  7. 前記拡径管は、高密度ポリエチレンにより形成される、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  8. 前記拡径管の両端部のうち少なくとも前記拡径管保持部材を固定する側と反対側の端部の縁部は断面円弧状に形成される、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の電力ケーブルの接続部形成装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の電力ケーブルの接続部形成装置を用いた電力ケーブルの接続部形成方法であって、
    内部に拡径管を装着したゴムブロック絶縁体を、ケーブル接続部分の外周に配置し、
    次いで、前記引き抜き治具の前記係止部材の凹部を、前記ストレスコーン部の基端部に外嵌して当該基端部と前記ゴムブロック絶縁体の端部とで形成される段差面に係止させた状態で、前記位置調整部を回転させて前記ネジ棒の先端部を前記治具本体から突出させることにより、前記拡径管保持部材を前記引き抜き方向に移動して、前記拡径管保持部材に固定された前記拡径管を前記ゴムブロック絶縁体から引き抜いて、前記ゴムブロック絶縁体を前記接続部分に装着して電力ケーブルの接続部を形成する、
    電力ケーブルの接続部形成方法。
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