JP5969856B2 - スパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマによりターゲットをスパッタし、基板表面に所定の薄膜を形成するスパッタリング装置に関する。
従来より、チャンバー(真空チャンバー)内に金属スパッタリングターゲット(カソード)と基板を対向するように配置した平行平板型スパッタリング薄膜形成装置が多く用いられている。この装置では、アルゴンガスなどの不活性ガスをチャンバー内に導入し、スパッタリングターゲットに直流電圧又は高周波電圧を印加することで、チャンバー内にプラズマを発生させ、プラズマ中のイオンによりターゲットをスパッタし、基板の表面に目的の薄膜を形成する。
また、高速製膜を可能にするスパッタリング薄膜形成装置の一例として、マグネトロンスパッタリング装置が挙げられる。マグネトロンスパッタリング装置では、ターゲットの背面に設けられた電磁石又は永久磁石によりターゲットの表面近傍の空間にこの表面と平行な磁界を印加すると共に、ターゲットに直流電圧又は高周波電圧を印加してこの表面と垂直な電界を生成する。これら磁界及び電界を利用して、ターゲット表面近傍にプラズマを局在化させて生成し、そこでのプラズマ密度を高めることにより、プラズマから正イオンをターゲットに照射してターゲットを効率よくスパッタする。マグネトロンスパッタリング装置では磁界を用いない場合に比べて、膜の生成速度が速い、基板の温度上昇が少ないため基板の損傷を抑制しやすい、などの特長がある。
しかしながら、このようなマグネトロンスパッタリング装置によっても、ターゲット表面近傍のプラズマ密度を十分には高くすることができず、スパッタリング速度を十分に速くすることができない。
特許文献1には、ターゲット表面近傍のプラズマ密度をさらに高くするために、プラズマ発生を支援する複数の低インダンクタンスアンテナ(Low Inductance Antenna:LIA(株式会社イー・エム・ディーの登録商標))を、ターゲットに沿って複数配置することにより、ターゲットの全域にわたって密度の高い誘導結合型プラズマを発生させて、ターゲットに対向して静止した基板上に対するスパッタリング速度の向上を図るスパッタリング装置が開示されている。
当該装置では、LIAを使用することにより、コイル状(渦巻き状)のアンテナを用いて誘導結合プラズマを発生させる手法に比べて、アンテナのインダクタンスが低いためにアンテナの電圧を下げられるので、プラズマダメージを抑制できる。また、アンテナ長を、高周波の波長の1/4以下に短くすることで、定在波の影響によるプラズマのむらに起因したスパッタむら(不均一さ)を抑制することが出来る。また、アンテナをチャンバー内に収容できるのでスパッタ効率を向上できる。さらに、成膜対象の基板サイズに応じて、LIAの個数を増加させることにより基板サイズが大きい場合でも、スパッタリング速度の向上を図ることが出来る。
特開2011−179061号公報
しかしながら、特許文献1のスパッタリング装置には、成膜対象の基板サイズが大きくなるほど、LIAの個数が増大するとともに、各LIAに高周波電力を供給する高周波電源の個数が増加することにより、装置のコスト増を招く問題や、基板サイズの変更に応じてLIAの配置などを変更する必要があるために、基板のサイズ変更への柔軟な対応が困難になるといった問題がある。
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、スパッタリング速度を向上させつつ、基板サイズの増大に対する装置コストの増大を抑制するとともに、基板サイズの変更に対して容易に対応可能なスパッタリング技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、第1の態様に係るスパッタリング装置は、真空排気されたチャンバーと、前記チャンバー内にプラズマ生成ガスを導入するプラズマ生成ガス導入部と、前記チャンバー内に設けられたターゲット保持部と、前記ターゲット保持部に保持されたターゲットの表面と、成膜対象の基板の表面とが所定の距離を隔てて対向するように、当該基板を保持する基板保持部と、前記ターゲットと、前記基板保持部に保持された前記基板との間にスパッタ用の電界を生成する電界生成部と、前記基板保持部に保持された前記基板を、前記基板の表面に略平行な所定の走査方向に、前記ターゲットに対して相対的に走査する走査機構と、前記ターゲットの側面に接触することなく当該側面に沿って配置された線状のプラズマ源を備えるとともに、当該プラズマ源によって、前記ターゲットの表面に沿った分布形状が帯状の高周波誘導結合プラズマを、当該帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向が前記走査方向を横切る方向となるように前記ターゲットの表面を含む領域に発生させるプラズマ発生部とを備え、前記プラズマ発生部が発生させた前記プラズマ生成ガスの高周波誘導結合プラズマによる前記ターゲットのスパッタリングによって前記基板上の二次元領域に成膜を行い、前記ターゲットの表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、前記プラズマ生成ガス導入部は、前記チャンバー内に前記プラズマ生成ガスを導入するガス導入口が前記ターゲットの側面と、前記プラズマ源との間に位置するように、当該ガス導入口を備える
第2の態様に係るスパッタリング装置は、第1の態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ生成ガス導入部が、複数の前記ガス導入口を備える。
の態様に係るスパッタリング装置は、第1または第2の態様に係るスパッタリング装置であって、前記ターゲットの前記側面の長さが、前記基板の表面に平行であるとともに前記走査方向に垂直な方向についての、前記基板保持部が基板を保持可能な領域の最大長さに略等しい。
の態様に係るスパッタリング装置は、第1から3の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ発生部が、前記ターゲットの互いに対向する2つの側面のそれぞれに対して、当該側面に沿って配置された前記プラズマ源を1以上備える。
の態様に係るスパッタリング装置は、第の態様に係るスパッタリング装置であって、前記ターゲット保持部が、前記走査方向に配列された複数の前記ターゲットを、前記走査方向の距離が略一定の隙間が隣り合うターゲット間に形成されるように保持し、前記プラズマ発生部が、当該複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を1以上備える。
の態様に係るスパッタリング装置は、第1から3の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ発生部が、前記ターゲットの各側面のうち前記走査方向の上流側と下流側とにおいて互いに対向する2つの側面の何れか一方のみに沿って配置された前記プラズマ源を1以上備える。
の態様に係るスパッタリング装置は、第1から3の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記ターゲット保持部が、前記走査方向に配列された複数の前記ターゲットを、前記走査方向の距離が略一定の隙間が隣り合うターゲット間に形成されるように保持し、前記プラズマ発生部が、当該複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を1以上備える。
の態様に係るスパッタリング装置は、第1から第の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ源が、高周波アンテナである。
の態様に係るスパッタリング装置は、第の態様に記載のスパッタリング装置であって、前記高周波アンテナは、巻数が一周未満の導体である。
10の態様に係るスパッタリング装置は、第の態様に係るスパッタリング装置であって、前記高周波アンテナが、U字形または円弧状である。
11の態様に係るスパッタリング装置は、第1から第の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ源が、ECRプラズマ源である。
12の態様に係るスパッタリング装置は、第1から第11の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、当該複数の前記プラズマ源にそれぞれ供給される各電力が、相互に独立して制御可能である。
13の態様に係るスパッタリング装置は、第1から第12の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、当該複数の前記プラズマ源のそれぞれと前記基板の表面との各距離が、相互に独立して調整可能である。
第14の態様に係るスパッタリング装置は、第1から第13の何れか1つの態様に係るスパッタリング装置であって、前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、前記プラズマ生成ガス導入部が、当該複数の前記プラズマ源にそれぞれ対応して設けられた各前記ガス導入口から前記チャンバー内に導入する前記プラズマ生成ガスの各導入量を、相互に独立して調整可能である。
第15の態様に係るスパッタリング装置は、第1の態様に係るスパッタリング装置であって、前記ターゲット保持部が、前記ターゲットを複数保持し、当該複数の前記ターゲットのそれぞれの表面は、互いに略合同な平行四辺形であって、前記平行四辺形の4辺のうち互いに平行な一対の辺の方向は、前記走査方向に対して垂直であり、当該複数の前記ターゲットの表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、当該複数の前記ターゲットは、それぞれに対応する前記平行四辺形が、隣り合う平行四辺系同士が隙間を隔てるとともに、当該隙間を形成する2辺も互いに平行となるように、前記互いに平行な一対の辺の方向に沿って配列されており、前記プラズマ発生部が、前記複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を備える。
本発明によれば、帯状の高周波誘導結合プラズマがターゲットの表面を含む領域に発生させられ、当該帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向を横切る方向である走査方向に基板が、ターゲットに対して相対的に移動される。従って、基板サイズの短辺の長さに応じた線状のプラズマ源を用意すれば成膜可能であるため、基板サイズの変動に対して容易に対応出来得るとともに、基板サイズの増大への対応に要する装置の製造コストを抑制でき得る。また、高周波誘導結合プラズマが使用されるので、当該プラズマが使用されない場合に比べて、スパッタリング速度をより向上できる。
実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略を例示する図である。 実施形態に係るスパッタリング装置の全体構成の概略を例示する図である。 スパッタリング装置の要部の概略構成を示す図である。 高周波アンテナの例を示す側面図である。 基板保持部と基板を例示する図である。 基板保持部と基板を例示する図である。 走査機構を例示する図である。 走査機構を例示する図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットに対する高周波アンテナの配置例を示す図である。 ターゲットと高周波アンテナとガス導入口との配置関係を例示する図である。 基板と高周波アンテナとの距離の調整を説明する図である。 高周波アンテナに供給される電力の制御を説明する図である。 ガスの導入量の調整を説明する図である。 基板と高周波アンテナとの距離の調整を説明する図である。 高周波アンテナに供給される電力の制御を説明する図である。 ガスの導入量の調整を説明する図である。 高周波アンテナと高周波電源との対応関係の一例を示す図である。 プラズマ密度の分布例を示す図である。 実施形態に係るスパッタリング装置による処理手順を例示するフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものであり、例えば、各図面における表示物のサイズおよび位置関係等は必ずしも正確に図示されたものではない。また、一部の図面には、方向を説明するためにXYZ直交座標軸が附されている。該座標軸におけるZ軸の方向は、鉛直線の方向を示し、XY平面は水平面である。
<実施形態>
<1.スパッタリング装置の構成>
図1および図2は、実施形態に係るスパッタリング装置10の全体構成の概略を例示する図である。図1は、側面図であり、図2は、上面図である。図3は、スパッタリング装置10の要部の概略構成を示す図である。図4は、高周波アンテナ80の例を示す側面図である。
図5および図6は、基板ホルダ70(基板保持部)と基板74を例示する図である。図6は、図5に示された基板ホルダ70および基板74の断面図である。図7および図8は、走査機構375を例示する図である。図7は、側面図であり、図8は、上面図である。以下に、図1〜図8を適宜参照しつつ、スパッタリング装置10の構成について説明する。
スパッタリング装置10は、板状のターゲット60をプラズマによりスパッタし、基板74(図5)の表面に所定の薄膜を形成するためのものである。
スパッタリング装置10は、真空ポンプ(図示せず)により内部を真空にすることが可能なチャンバー11と、真空排気されたチャンバー11内にプラズマ生成ガスを導入するプラズマ生成ガス導入部19と、チャンバー11内に設けられ、ターゲット60を保持するターゲット保持部24と、成膜対象の基板74を保持する基板ホルダ(「基板保持部」)70と、スパッタ用電源(「電界生成部」)162とを備える。
基板ホルダ70は、ターゲット保持部24(図3)に保持されたターゲット60の表面(図3のターゲット60の上側、すなわち+Z側の面)と、基板74の表面(図3の基板74の下側、すなわち−Z側の面)とが所定の距離を隔てて対向するように、基板74を保持する。また、スパッタ用電源162は、ターゲット60と、基板ホルダ70に保持された基板74との間にスパッタ用の電界を生成する。スパッタ用電源162は、ターゲットの種類や、スパッタ手法の種類に応じて、交流、直流、およびパルスDCのうち適した電力を供給するものであっても良い。
また、スパッタリング装置10は、基板ホルダ70に保持された基板74を、基板74の表面に略平行な所定の走査方向X1(図1、図3)に、ターゲット60に対して相対的に走査する走査機構375(図5)と、チャンバー11内に導入されたプラズマ生成ガスの高周波誘導結合プラズマを発生させるプラズマ発生部90をさらに備える。走査機構375は、チャンバー11内において、基板ステージ15と、防着板301、302(それぞれ図3)との間の部分に設けられている。また、基板ステージ15は、サセプタ311(図1)の下側に設けられている。
また、プラズマ発生部90は、ターゲット60の側面に接触することなく当該側面に沿ってその近傍に配置された線状の高周波アンテナ80(「プラズマ源」)を備える。そして、プラズマ発生部90は、高周波アンテナ80によって、ターゲット60の表面に沿った分布形状が帯状の高周波誘導結合プラズマを、当該帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向が走査方向X1を横切る方向(例えば、図2のY軸方向)となるようにターゲット60の表面を含む領域に発生させる。
そして、スパッタリング装置10は、プラズマ発生部90が発生させたプラズマ生成ガスの高周波誘導結合プラズマによるターゲット60のスパッタリングによって基板74上の二次元領域に成膜を行う。なお、図2に示される例では、ターゲット60の側面のうち、高周波アンテナ80が近傍に配設される側面の長さは、基板74の表面(および裏面)に平行であるとともに走査方向X1に垂直な方向、すなわち図2のY軸方向について前記基板保持部が基板を保持可能な領域の最大長さに略等しい。
チャンバー11内には、図1に示されるように基板ホルダ70の保持位置に対して上方(+Z側)に、チャンバー11の内部の保護等を行うサセプタ311が設けられている。サセプタ311は、チャンバー11の上面覆うようにチャンバー11内に配設されており、石英(あるいは、窒化アルミニウム(AlN)等であってもよい)などによって形成されている。
また、チャンバー11の側面には、開閉可能なゲート351、352が設けられている。基板74を保持した基板ホルダ70は、ゲート351からチャンバー11内に搬入され、走査機構375によって走査方向X1に走査(搬送)されて、ゲート352からチャンバー11の外部に搬出される。基板74への成膜が行われるときには、成膜に先立って、基板74がチャンバー11内に搬入されて、ゲート351、352が閉鎖された状態で、不図示の真空ポンプによってチャンバー11の内部空間113が真空排気される。そして、各ゲートが閉じられた状態でプラズマ生成ガス導入部19のガス導入口20からプラズマ生成ガスがチャンバー11内に導入されることにより、内部空間113は、一定圧力下、一定のガス分圧下に維持される。ガス導入口20は、例えば、誘電体窓183(図3)における高周波アンテナ80とターゲット60との間の部分に形成される。プラズマ発生部90が複数の高周波アンテナ80を備える場合には、ガス導入口20は、例えば、各高周波アンテナ80に対応する位置にそれぞれ設けられる。
スパッタリング装置10が反応性スパッタリングでないスッパッタリングを行う場合には、プラズマ生成ガスとしては、不活性ガスであるArガスまたはKrガスなどが採用される。スパッタリング装置10が反応性スパッタリングを行う場合において、酸化膜を形成する場合には、プラズマ生成ガスとしての不活性ガスに加えて、反応性ガスとしての酸素(Oガス)が採用される。また、スパッタリング装置10が窒化膜を形成する場合には、窒素(Nガス)が、炭化膜を形成する場合には、メタンガス(CH)が、硫化膜を形成する場合には硫化水素(HS)がそれぞれ採用される。
チャンバー11の底部には、開口が設けられると共に、その開口を下側から塞ぐように、ベース板14及びマグネトロンスパッタ用磁石12、並びに高周波アンテナ80を収容するためのターゲット・アンテナ配置部18が取り付けられている。ターゲット・アンテナ配置部18とチャンバー11の底部との接続部はシール材により気密性が確保されている。従って、ターゲット・アンテナ配置部18の壁はチャンバー11の壁の一部としての役割を有する。ターゲット・アンテナ配置部18には、基板ステージ15の直下の位置にターゲット配置室(ターゲット配置部)181が設けられている。それと共に、ターゲット・アンテナ配置部18の壁内(即ちチャンバー11の壁内)であってターゲット配置室181の側方に、ターゲット配置室181を挟むように1対の高周波アンテナ配置室182が設けられている。
ターゲット配置室181は上端でチャンバー11の内部空間113と連通している。ターゲット配置室181室内にはマグネトロンスパッタ用磁石12が載置されている。マグネトロンスパッタ用磁石12の上面にはベース板14が設けられるとともに、ベース板14に対向する基板ステージ15がチャンバー11の内部空間113に設けられる。基板ステージ15は、アースされている。マグネトロンスパッタ用磁石12の上下方向の位置は、その上面に設けられたベース板14に載置されるターゲット60の上面がターゲット・アンテナ配置部18の上端付近(上端と同じ位置である必要はない)に配置されるように調整されている。また、ターゲット60は、ベース板14と、ターゲット保持部24とによってベース板14上面に保持されている。このようにマグネトロンスパッタ用磁石12及びベース板14が設けられることにより、ターゲット60はチャンバー11の内部空間113と連通した空間内に配置される。
マグネトロンスパッタ用磁石12は、発生させる磁場(マグネトロン磁場)によって、ターゲット保持部24に保持されたターゲット60の表面部分のプラズマ密度を高める。ターゲット60の表面部分におけるプラズマの広がり方は、チャンバー11に導入されたプラズマ生成ガスの分圧や、マグネトロンスパッタ用磁石12が発生させるマグネトロン磁場の強度などによって大きく変動する。なお、マグネトロンスパッタ用磁石12が設けられないとしても、高周波アンテナ80により高密度のプラズマが生成されるとともに、基板74の走査による基板74への成膜がおこなわれるので、本発明の有用性を損なうものではない。
また、ターゲット配置室181上端とチャンバー11の内部空間113との境界には、ターゲット配置室181の側壁から内側に向かって延び、ターゲット60の4辺の縁付近(縁を含む部分)を上から覆うように庇189が設けられている。この庇189はアノードとして機能する。
高周波アンテナ配置室182内には下側から高周波アンテナ80が挿入されている。また、スパッタリング装置10は、高周波アンテナ80に高周波電力を供給する高周波電源161を備えている。高周波電源161は整合回路163を介して高周波アンテナ80に接続されている。
高周波アンテナ80は、例えば、図4に示されるように、金属製のパイプ状導体をU字形に曲げたものであり、2つの高周波アンテナ配置室182内に3個ずつ(図2)、「U」の字を上下逆向きにした状態で立設されている。なお、後述するように、高周波アンテナ80の配置態様は、種々に変更可能である。高周波アンテナ80の形状として、例えば、円弧状の形状が採用されても良い。また、高周波アンテナ80の巻数は、好ましくは、一周未満である。定在波の発生を防止するために、高周波アンテナ80の長さは、好ましくは、高周波電源161が供給する電力の波長の1/4以下の長さに設定される。高周波アンテナの一端から高周波電力が供給され、他端は接地される。これにより誘導結合プラズマが生成される。また、高周波アンテナ80に代えて、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ源が採用されても良い。
U字形の高周波アンテナは巻数が1回未満の誘導結合アンテナに相当し、巻数が1回以上の誘導結合アンテナよりもインダクタンスが低いため、高周波アンテナの両端に発生する高周波電圧が低減され、生成するプラズマへの静電結合に伴うプラズマ電位の高周波揺動が抑制される。このため、対地電位へのプラズマ電位揺動に伴う過剰な電子損失が低減され、プラズマ電位が低減される。これにより、基板上での低イオンダメージの薄膜形成プロセスが可能となる。高周波アンテナ80の金属性パイプ状導体は、スパッタリング装置10の使用時に水などの冷媒151を通過させることにより高周波アンテナ80を冷却する機能を有する。高周波アンテナ80の高さ方向の位置は、「U」の字の底部とターゲット60の上面が同程度の高さ(完全に同じである必要はない)になるように調整されている。なお、ターゲット60、ベース板14、およびアースされる基板ステージ15なども非常に高温になるため、好ましくは、高周波アンテナ80と同様に、冷媒151によって冷却される。
高周波アンテナ配置室182とチャンバー11の内部空間113の間には誘電体製の窓(誘電体窓)183が設けられている。高周波アンテナ80の上端側の一部は、誘電体窓183を貫通して、誘電体窓183からチャンバー11の内部側に突設されている。高周波アンテナ80の該突設部分は、石英などからなる誘電体の保護パイプ411により覆われている。以上のように高周波アンテナ80、および誘電体窓183が設けられることにより、高周波アンテナ80のうちチャンバー11の内部空間113側に突設された突設部分は、チャンバー11の内部空間113のプラズマに晒されることなく、ターゲット60に対する該突設部分の配置を調整することが出来る。高周波アンテナ80のうち高周波アンテナ配置室182の内部に配設されている部分は、チャンバー11の内部空間113に発生するプラズマに晒されることがない。従って、高周波アンテナ80のメンテナンスの容易さを保ちつつ、高周波アンテナ80が発生するプラズマ密度の向上を図ることが出来る。
高周波アンテナ80の2本の脚(「U」の字における2本の縦線に相当)にはフィードスルーを介して蓋185が取り付けられている。蓋185は高周波アンテナ配置室182の下部に取り付けられるものであり、真空シールにより、高周波アンテナ配置室182及びチャンバー11により構成される領域と外部の境界を気密に閉塞することができる。そして、蓋185に対する高周波アンテナ80の位置を調整することにより、高周波アンテナ80の上端部分と、ターゲット60の上面との位置関係を調整することが出来る。
図5、6に示されるように、基板74は、基板ホルダ70の下部に設けられた爪によって保持された状態で、走査機構375(図7、図8)により所定の走査方向X1に走査される。基板ホルダ70としては、例えば、板部材の周縁部以外の部分に1つの大きな貫通穴が空けられたものや、図5、図6の例のように、格子状の枠部により隣り合う貫通穴が隔てられた行列状の複数の貫通穴72が板部材に形成されたものなどが採用される。基板ホルダ70の各貫通穴72には、下面側の部分の穴径が、上面側の部分の穴径よりも小さくなるように、下面側に爪状等の突起部が形成されており、該突起部によって穴部にはめ込まれた基板74は、該突起部によって支持される。従って、基板74は、表面と裏面とがひっくり返されたそれぞれの状態で、該突起部によって支持されることによって、両面に成膜され得る。
基板ホルダ70は、複数の基板74を保持することが出来る。基板74のサイズが、基板ホルダ70と同程度に大きい場合には、基板74は、走査機構375によって直接保持されて、走査方向X1に走査される。従って、この場合には、走査機構375が、基板保持部および走査機構として動作する。基板ホルダ70は、例えば、カーボンコンポジットで成型される。また、基板74は、シリコンの角型ウエハなどにより構成される。
図7、図8に示されるように、走査機構375は、複数の搬送ローラ371と駆動ベルト373とを備えて構成される。基板ホルダ70は、複数の搬送ローラ371が走査方向X1(X軸方向)に配列された各ローラ列によって、−Y側の端部と、+Y側の端部とのそれぞれにおいて、表裏面のそれぞれを挟まれた状態で、ローラ列を構成する各搬送ローラ371が回転することにより、走査方向X1に走査される。また、基板ホルダ70の+Y側の端部に配された各ローラ列を形成する各搬送ローラ371は、ローラ列に接する駆動ベルト373の移動によって回転可能に構成されている。また、基板74のサイズが基板ホルダ70のサイズと同程度である場合には、基板ホルダ70は不要となり、各ローラが基板74の表裏面に直接接した状態で、基板74が走査方向X1に走査される。以上の構成より、走査機構375は、基板ホルダ70または基板74を走査方向X1方向に一定速度で走査(搬送)する。
図3に示されるように、防着板301、302は、ターゲット60の上方部分に基板が存在しない場合に、サセプタ311やチャンバー内の他の部分に対して成膜が行われることを防止するために設けられた板状の部材である。防着板301は、搬送歯車303の回転により矢印X2方向に搬送され、防着板302は、搬送歯車304の回転により矢印X3方向に搬送される。また、基板ステージ15などへの成膜を効果的に防止するために、防着板301は、ターゲット60の上方部分を走査される基板ホルダ70の先端(+X側端部)と、防着板301の後端(−X側端部)とのX軸方向の位置が等しくなるように搬送される。同様に、防着板302は、ターゲット60の上方部分を走査される基板ホルダ70の後端(−X側端部)と防着板302の先端(+X側端部)とのX軸方向の位置が等しくなるように搬送される。防着板301、302は、スパッタリング装置10の動作期間が長くなるにつれて汚れていくため、定期的なクリーニングまたは交換が必要となる。
<2.ターゲットに対する高周波アンテナの配置>
図9〜16は、ターゲット60に対する高周波アンテナ80の配置例をそれぞれ示す図である。スパッタリング装置10は、ターゲット60に対して密度ムラの少ない帯状の高密度プラズマを発生させるために、ターゲット60と高周波アンテナ80との種々の配置態様を採用し得る。
図2に示される例では、プラズマ発生部90が、ターゲット60の互いに対向する2つの側面のそれぞれに対して、当該側面に沿って配置された高周波アンテナ80を3本備えている。図9に示される例では、プラズマ発生部90は、2つのターゲット60が列設され、その間、および両側にそれぞれ、ターゲット60の側面に沿って高周波アンテナが3本ずつ備えている。
図10、図11に示される例では、走査方向X1に沿って配列された複数のターゲット60が、隣り合うターゲット間に、走査方向X1の距離が略一定である隙間が形成されるように設けられている。そして、プラズマ発生部90が、複数のターゲット60のうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された高周波アンテナ80を1以上備えている。また、図9には、図10の配置例に対して、さらに、両端のターゲット60には、両側面のそれぞれに沿った高周波アンテナ80が3本配置されている。
また、図9の配置例は、図10の配置例において、配列された複数のターゲット60のうちの両端のターゲット60が、他のターゲット60が存在しない側の側面に沿って、3本の高周波アンテナ80を備えている。
図12に示される例では、プラズマ発生部90が、ターゲット60の各側面のうち走査方向X1の上流側と下流側とにおいて互いに対向する2つの側面の何れか一方のみに沿って配置された高周波アンテナ80を1以上備えている。図12の例では、ターゲット60の−X側の側面のみに沿って、高周波アンテナ80が設けられているが、+X側の側面のみに沿って、高周波アンテナ80が設けられてもよい。また、図13の例は、図12のターゲット60が複数配列された例である。また、図14の例は、図13の例が、Z軸周りに180度回転された状態である。
図15に示される例では、プラズマ発生部90が、ターゲット60の側面と、対向する他側面とのそれぞれに沿って、複数ずつターゲット60を挟んで配置された複数の高周波アンテナ80を備えている。そして、当該複数の高周波アンテナ80は、−X側の側面と+X側の側面とで、配置位置をこれらの側面に平行な方向に沿ってずらされることによって、X側の側面と+X側の側面とで、側面に平行な方向に互い違いに配置されている。これによって、走査方向と垂直方向のプラズマ密度のさらなる均一化を図っている。
図16に示される例では、それぞれの表面が互いに略合同な平行四辺形である複数のターゲット60が設けられている。当該平行四辺形の4辺のうち互いに平行な一対の辺の方向は、走査方向X1(X軸)に対して垂直なY軸方向であり、当該複数のターゲット60の表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、複数のターゲット60は、それぞれに対応する平行四辺形が、隣り合う平行四辺系同士が隙間を隔てるとともに、当該隙間を形成する2辺も互いに平行となるように、Y軸方向に沿って配列されている。そして、プラズマ発生部90が、複数のターゲット60のうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された高周波アンテナ80を備える。これによって、走査方向と垂直方向のプラズマ密度のさらなる均一化を図っている。
なお、図9、図10、図13、図14の例では、ターゲット60を挟んで互いに対向する高周波アンテナ80が設けられている。
スパッタリング装置10は、上述したようなターゲット60と高周波アンテナ80との種々の配置を採用することにより、生成されるプラズマの密度むらを抑制できる。なお、上記の例では線状のプラズマ源は、3本以上の高周波アンテナであったが、一本でも2本でもよく、線状のプラズマ源となる配置であればいずれの本数でもよい。
<3.複数の高周波アンテナに対応した調整等>
図17は、ターゲット60と高周波アンテナ80とガス導入口20との配置関係を例示する図である。図18および図21は、基板74と高周波アンテナ80との距離の調整を説明する図である。図19および図22は、高周波アンテナに供給される電力の制御を説明する図である。図20および図23は、プラズマ生成ガスの導入量の調整を説明する図である。
図17に示されるように、スパッタリング装置10は、例えば、ターゲット60の表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、ターゲット60の側面と、高周波アンテナ80との間にガス導入口20が位置するように、複数のガス導入口20を備えている。そして、ガス導入口20は、各高周波アンテナ80に対応して設けられている。
また、図18に示されるように、高周波アンテナ80が、Y軸方向、すなわち帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80のそれぞれと、基板74(基板ホルダ70)の表面との各距離は、相互に独立して調整可能である。
同様に、図21に示されるように、高周波アンテナ80が、X軸方向、すなわち走査方向X1に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80のそれぞれと、基板74(基板ホルダ70)の表面との各距離は、相互に独立して調整可能である。
また、図19に示されるように、高周波アンテナ80が、Y軸方向に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80にそれぞれ供給される各電力は、相互に独立して制御可能である。同様に、図22に示される例では、X軸方向に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80にそれぞれ供給される各電力は、相互に独立して制御可能である。
また、図20に示されるように、高周波アンテナ80が、Y軸方向に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80にそれぞれ対応して設けられた各ガス導入口20からチャンバー11の内部空間113に導入するプラズマ生成ガスの各導入量は、相互に独立して調整可能である。同様に、図23に示されるように、高周波アンテナ80が、X軸方向に沿って複数備えられている場合には、当該複数の高周波アンテナ80にそれぞれ対応して設けられた各ガス導入口20からチャンバー11の内部空間113に導入するプラズマ生成ガスの各導入量は、相互に独立して調整可能である。
図24は、高周波アンテナ80と高周波電源161との対応関係の一例を示す図である。図24に示される例では、1個の高周波電源161が、分配板385を介して複数(6個)の高周波アンテナ80に対する電力の供給を行っている。分配板385に代えて分配器が採用されても良い。上述したように、高周波アンテナ80が複数備えられる場合には、各高周波アンテナ80毎に独立した電力の供給が可能であるが、独立して電力制御する必要のない高周波アンテナ80が含まれる場合もある。そして、独立して制御する高周波アンテナ80に対して1つの共通の高周波電源161から電力を供給することによって、高価な高周波電源161の個数を削減して、スパッタリング装置10の製造コストを削減できる。
図25は、プラズマ密度の分布例を示す図である。グラフG1は、ターゲット60の側面(ターゲット60の長手方向の側面)に沿って配置された複数(6個)の高周波アンテナ80のそれぞれよって生成されたプラズマのプラズマ密度を示している。そして、グラフG2は、これら複数の高周波アンテナ80が生成したプラズマが合成されたプラズマの密度分布を示している。図25の例では、ターゲット60の側面(ターゲット60の長手方向の側面)に沿って配置された複数の高周波アンテナ80のそれぞれよって生成されたプラズマ密度のうち、端部の高周波アンテナ80が、端部以外の高周波アンテナ80よりも分布密度が高い高周波誘導結合プラズマを発生させている。そして、このような制御によって、合成されたプラズマの密度は、ターゲット長手方向の均一性が向上している。すなわち、全体的に密度が均一な帯状のプラズマが生成されている。
<4.スパッタリング装置の動作>
図26は、実施形態に係るスパッタリング装置10によるスパッタリングの手順を例示するフローチャートである。
先ず、ターゲット60、基板74を保持した基板ホルダ70がゲート351からチャンバー11の内部空間113に搬入される。そして、ターゲット60がベース板14に、基板ホルダ70が走査機構375に、それぞれ取り付けられて、全てのゲートが閉鎖される(ステップS110)。
次に、真空ポンプによりチャンバー11内を真空にした後、チャンバー11の内部空間113が所定の圧力(ガス分圧)になるように、プラズマ生成ガス導入部19がプラズマ生成ガスをチャンバー11内に導入する(ステップS120)。
続いて、マグネトロンスパッタ用磁石12の電磁石に直流電流を流すことにより、マグネトロンスパッタ用磁石12から、ターゲット60の近傍であって高周波アンテナ80の導体を含む領域内に磁界を形成する。そして、それと共に、ベース板14と基板ステージ15を電極として両者の間にスパッタ用電源162により、例えば、直流電圧を印加(バイアスの印加)し、両電極間に直流電界を形成する。さらに、高周波電源161から高周波アンテナ80に高周波電力を投入することにより、高周波アンテナ80の周囲に高周波誘導電界を形成する(ステップS130)。そして、基板ホルダ70(基板74)の搬送(走査)によるスパッタリング成膜が行われる(ステップS140)。
より詳細には、上記磁界、上記直流電界及び上記高周波誘導電界により、プラズマ生成ガスの分子が電離してプラズマが生成される。そして、このプラズマから供給される電子は、上記磁界及び上記電界が直交した領域でのE×Bドリフトにより効果的に閉じ込められ、ガス分子の電離が促進され、多量の陽イオンが生成される。これら陽イオンがターゲット60の表面に衝突することにより、ターゲット60の表面からスパッタ粒子が飛び出す。そのスパッタ粒子はターゲット60の表面から、ターゲット60の上方を走査されている基板74の表面に輸送され、基板74の表面に付着する。こうして基板74の表面にスパッタ粒子が堆積することにより、薄膜が形成される。
基板ホルダ70(基板74)の走査が終了すると、ベース板14と基板ステージ15を電極として両者の間へのスパッタ用電源162によるバイアスの印加が停止されるとともに、高周波電源161から高周波アンテナ80への高周波電力の供給が停止される(ステップS150)。次に、ゲート352が解放されて、基板ホルダ70に保持された状態で、基板74がチャンバー11の内部空間113から搬出される(ステップS160)。
以上のように構成された本実施形態に係るスパッタリング装置によれば、帯状の高周波誘導結合プラズマがターゲットの表面を含む領域に発生させられ、当該帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向を横切る方向に、走査方向に基板が、ターゲットに対して相対的に走査される。従って、基板サイズが変動しても同じ装置構成により成膜できる可能性が高められるので、基板サイズの変動に対して容易に対応出来得るとともに、基板サイズの増大への対応に要する装置の製造コストを抑制でき得る。また、高周波誘導結合プラズマが使用されるので、当該プラズマが使用されない場合に比べて、スパッタリング速度をより向上できる。また、基板の走査方向についての膜質は、線状のプラズマ源によるプラズマ密度は安定しているので、線状のプラズマ源の長手方向のプラズマ密度の分布を均一にすれば、2次元領域に均一な特性の膜を形成することができる。また、種々の成膜条件(高周波アンテナー基板間距離、ガス供給量、高周波アンテナへの印加電圧)を独立調整可能な装置を提供することで、種々のプロセス応じた適切なプロセス条件を設定可能とし、希望する膜を形成することができる。
また、以上のように構成された本実施形態に係るスパッタリング装置によれば、ターゲット60の側面のうち高周波アンテナ80が近傍に接して設けられる側面の長さが、基板の表面に平行であるとともに走査方向X1に垂直な方向についての、基板ホルダ70が基板を保持可能な領域の最大長さに略等しいので、1つのターゲット60によって、スパッタリング装置10が当該垂直な方向について成膜し得る最大の幅を成膜し得る。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。例えば、スパッタリング装置10が、走査方向X1(主走査方向)に垂直な副走査方向に基板を走査可能な走査機構をさらに備えることにより、各種の基板サイズへの対応がより容易となる。また、当該二次元走査において、成膜を意図しない領域への成膜を抑制できるマスクが採用されれば、成膜の品質を向上させることができる。また、ターゲット60が、棒状かシリンダー状の長いものであり、それに沿った高周波アンテナ80が設けられても良い。また、高周波アンテナは、メンテナンス性能を向上させるため、そのU形状の中央部分の直線部分を突設させることなく誘電体窓の下側に配置してもよいし、また、メンテナンス性とプラズマの生成能力のバランスから判断して、その直線部分の上側半分だけが、突設するように配置してもよい。
10 スパッタリング装置
11 チャンバー
162 スパッタ用電源
19 プラズマ生成ガス導入部
24 ターゲット保持部
375 走査機構
60 ターゲット
70 基板ホルダ
80 高周波アンテナ
90 プラズマ発生部

Claims (15)

  1. 真空排気されたチャンバーと、
    前記チャンバー内にプラズマ生成ガスを導入するプラズマ生成ガス導入部と、
    前記チャンバー内に設けられたターゲット保持部と、
    前記ターゲット保持部に保持されたターゲットの表面と、成膜対象の基板の表面とが所定の距離を隔てて対向するように、当該基板を保持する基板保持部と、
    前記ターゲットと、前記基板保持部に保持された前記基板との間にスパッタ用の電界を生成する電界生成部と、
    前記基板保持部に保持された前記基板を、前記基板の表面に略平行な所定の走査方向に、前記ターゲットに対して相対的に走査する走査機構と、
    前記ターゲットの側面に接触することなく当該側面に沿って配置された線状のプラズマ源を備えるとともに、当該プラズマ源によって、前記ターゲットの表面に沿った分布形状が帯状の高周波誘導結合プラズマを、当該帯状の高周波誘導結合プラズマの長手方向が前記走査方向を横切る方向となるように前記ターゲットの表面を含む領域に発生させるプラズマ発生部と、
    を備え、前記プラズマ発生部が発生させた前記プラズマ生成ガスの高周波誘導結合プラズマによる前記ターゲットのスパッタリングによって前記基板上の二次元領域に成膜を行い、
    前記ターゲットの表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、
    前記プラズマ生成ガス導入部は、
    前記チャンバー内に前記プラズマ生成ガスを導入するガス導入口が前記ターゲットの側面と、前記プラズマ源との間に位置するように、当該ガス導入口を備えるスパッタリング装置。
  2. 請求項1に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ生成ガス導入部が、複数の前記ガス導入口を備えるスパッタリング装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のスパッタリング装置であって
    記ターゲットの前記側面の長さが、前記基板の表面に平行であるとともに前記走査方向に垂直な方向についての、前記基板保持部が基板を保持可能な領域の最大長さに略等しいスパッタリング装置。
  4. 請求項1から請求項の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって
    記プラズマ発生部が
    記ターゲットの互いに対向する2つの側面のそれぞれに対して、当該側面に沿って配置された前記プラズマ源を1以上備えるスパッタリング装置。
  5. 請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記ターゲット保持部が、前記走査方向に配列された複数の前記ターゲットを、前記走査方向の距離が略一定の隙間が隣り合うターゲット間に形成されるように保持し、
    前記プラズマ発生部が、
    当該複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を1以上備えるスパッタリング装置。
  6. 請求項1から請求項3の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって
    記プラズマ発生部が
    記ターゲットの各側面のうち前記走査方向の上流側と下流側とにおいて互いに対向する2つの側面の何れか一方のみに沿って配置された前記プラズマ源を1以上備えるスパッタリング装置。
  7. 請求項1から請求項の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記ターゲット保持部が、前記走査方向に配列された複数の前記ターゲットを、前記走査方向の距離が略一定の隙間が隣り合うターゲット間に形成されるように保持し、
    前記プラズマ発生部が、
    当該複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を1以上備えるスパッタリング装置。
  8. 請求項1から請求項の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ源が、高周波アンテナであるスパッタリング装置。
  9. 請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記高周波アンテナは、巻数が一周未満の導体であるスパッタリング装置。
  10. 請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記高周波アンテナが、U字形または円弧状であるスパッタリング装置。
  11. 請求項1から請求項の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ源が、ECRプラズマ源であるスパッタリング装置。
  12. 請求項1から請求項11の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、
    当該複数の前記プラズマ源それぞれ供給される各電力が、相互に独立して制御可能であるスパッタリング装置。
  13. 請求項1から請求項12の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、
    当該複数の前記プラズマ源のそれぞれと前記基板の表面との各距離が、相互に独立して調整可能であるスパッタリング装置。
  14. 請求項1から請求項13の何れか1つの請求項に記載のスパッタリング装置であって、
    前記プラズマ発生部が前記プラズマ源を複数備える場合に、
    前記プラズマ生成ガス導入部が、
    当該複数の前記プラズマ源にそれぞれ対応して設けられた各前記ガス導入口から前記チャンバー内に導入する前記プラズマ生成ガスの各導入量を、相互に独立して調整可能であるスパッタリング装置。
  15. 請求項1に記載のスパッタリング装置であって、
    前記ターゲット保持部が、前記ターゲットを複数保持し、
    当該複数の前記ターゲットのそれぞれの表面は、互いに略合同な平行四辺形であって、
    前記平行四辺形の4辺のうち互いに平行な一対の辺の方向は、前記走査方向に対して垂直であり、
    当該複数の前記ターゲットの表面を当該表面に垂直な方向から見たときに、
    当該複数の前記ターゲットは、
    それぞれに対応する前記平行四辺形が、隣り合う平行四辺系同士が隙間を隔てるとともに、当該隙間を形成する2辺も互いに平行となるように、前記互いに平行な一対の辺の方向に沿って配列されており、
    前記プラズマ発生部が、
    前記複数の前記ターゲットのうち互いに隣り合うターゲットの対のそれぞれに対して、ターゲット間の隙間に配置された前記プラズマ源を備えるスパッタリング装置。
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