JP5966945B2 - ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法 - Google Patents

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本発明は、Ca成分が含まれる融液を用いて非磁性ガーネット基板上に液相エピタキシャル成長法(以下、LPE法と称する)により育成されたビスマス置換希土類鉄ガーネット(Rare-earth Iron Garnet:以下、RIGと略称する)単結晶の熱処理方法に係り、特に、RIG単結晶表面を腐食(還元)させることなく短時間の熱処理が可能となるRIG単結晶の熱処理方法に関するものである。尚、この方法によって得られたRIG単結晶は、加工用高出力レーザ装置の戻り光対策に用いられる波長1μm帯光アイソレータ用ファラデー回転子の構成材料として利用されるものである。
磁性ガーネット単結晶はファラデー効果を持っており、光アイソレータの中心材料である。近年、この種の磁性ガーネット単結晶として、LPE法により非磁性ガーネット基板上に育成するRIG膜が主になってきている。RIG膜は、希土類鉄ガーネット単結晶中の希土類元素の一部がビスマスで置換されたもので、厚さ数百μm程度の単結晶である。また、LPE法を採用する理由は、LPE法が量産性に優れており、高品質の膜を低価格で製造できるからである。
ところで、RIG膜を育成するLPE法では、フラックス成分のPbO−Bi23−B23に希土類鉄ガーネット単結晶の原料成分である希土類酸化物や酸化鉄を溶かした融液を、希土類鉄ガーネット単結晶が析出する過飽和温度状態にして種結晶となる非磁性ガーネット基板に接触させ、結晶育成が行われる。
この際、フラックス成分でありファラデー効果の増大をもたらすビスマスが取り込まれてRIGが育成される。しかし、同じくフラックス成分であるPbも不純物として0.2〜0.8質量%が取り込まれる。
近年、環境に対する規制が厳しくなってきている。Pbは、中枢神経系機能障害やガンを引き起こす物質であることから、例えば、RoHS指令「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会および理事会指令」における指定物質で、その最大許容量は0.1質量%と定められている。このRoHS指令を満足させるためには、RIG膜中に不純物として取り込まれるPbを0.1質量%以下に減らせるRIG製造技術が必要とされている。
そして、LPE法で育成されたRIG膜へのPb含有率を0.1質量%以下に抑制する方法として、融液にCaOやCaCO3等のCa成分を添加させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献2には、上記Ca成分を添加した融液から育成され、両面を鏡面[表面粗さ(Ra)が0.01μm以下]に研磨されたRIG膜を、水素ガスと窒素ガスの混合ガスで熱処理することで、RIG膜の光吸収係数が低下し、RIG膜を光アイソレータ用のファラデー回転子として適用した場合に挿入損失を低下させる方法が記載されている。
ところで、特許文献2に記載されたRIG膜は、波長1550nmの光通信用光アイソレータに組み込まれるファラデー回転子を想定しているが、加工用高出力レーザ装置における波長1μm帯光アイソレータのファラデー回転子に上記RIG膜を適用する試みがなされている。しかし、適用波長域が異なることに起因して、波長1μm帯光アイソレータのファラデー回転子に特許文献2に記載のRIG膜を適用した場合、RIG膜中の鉄イオンによる1μm帯域付近の光吸収が大きくなり、光吸収に伴う温度上昇に起因して波長1μm帯光アイソレータの性能劣化を引き起こすことが知られている(特許文献3参照)。
このため、1μm帯域付近の波長におけるRIG膜の光吸収を減らす技術として、特許文献2で適用されている格子定数が1.2490nmから1.2515nmである(GdCa)3(GaZrMg)512基板(SGGG基板と称される)に代えて、その格子定数がより大きい非磁性ガーネット基板をRIG育成用基板として適用することで鉄イオンの光吸収を短波長側にシフトさせる方法が提案されており、例えば、特許文献4では、格子定数が1.256nmであるGd3(ScGa)512基板(GSGG基板と称される)を用いてRIG膜を育成した例が記載されている。
特開2007−153696号公報(段落0008-0009参照) 特開2009−016548号公報(段落0002、段落0018参照) 特開2012−116672号公報(段落0005参照) 特開平6−281902号公報(請求項1参照)
上記RoHS指令を満足させるためにCa成分が添加された融液を用い、かつ、GSGG基板等の格子定数が大きい非磁性ガーネット基板を用いてLPE法により育成されるRIG膜は、上述したように波長1μm帯光アイソレータのファラデー回転子に適用されることを想定している。
従って、GSGG基板等の格子定数が大きい非磁性ガーネット基板を用いて育成されたRIG膜に対し、波長1550nmの光通信用光アイソレータに組み込まれるファラデー回転子を想定する特許文献2に記載の熱処理方法をそのまま応用しても、上記RIG膜が1μm帯域付近(波長1060nm)の光を吸収するため、特許文献2におけるRIG膜の波長1550nmに対する光吸収係数と同等レベルに光吸収係数を低下させることは難しく、波長1μm帯光アイソレータのファラデー回転子に適用された場合の挿入損失を低下させるには長時間の熱処理が必要となる問題が存在した。
他方、生産性を向上させるため、混合ガス中の水素ガス濃度や加熱温度を高く設定する等して短時間の熱処理を試みた場合、RIG膜の表面が腐食(還元)してしまう別の問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、波長1μm帯の光アイソレータ用ファラデー回転子に適用されるRIG膜を前提とし、RIG膜表面を腐食(還元)させることなく短時間の熱処理を可能とするビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、Ca成分が添加された融液を用い、かつ、GSGG基板等の格子定数が大きい非磁性ガーネット基板を用いてLPE法により育成されるRIG膜に対し上述の熱処理を行う際、処理前におけるRIG膜の表面粗さ(Ra)を鏡面でなく所定の値(0.2〜0.4μm)に設定した場合、RIG膜表面を腐食(還元)させることなく短時間の熱処理が可能となることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る発明は、
希土類鉄ガーネット単結晶の原料成分と、酸化鉛を有するフラックス成分と、Ca成分とが含まれる融液を用いて液相エピタキシャル成長法により非磁性ガーネット基板上に育成され、かつ、Pb含有量が0.1質量%以下であると共に、波長1μm帯の光アイソレータ用ファラデー回転子に適用されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法において、
熱処理されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmであり、かつ、熱処理される時の雰囲気ガスが水素ガス45〜60体積%で残部が窒素ガスにより構成されると共に、熱処理温度が300〜400℃であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法において、
ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶中のCa量が0.08〜0.35質量%であることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法において、
上記ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶が、化学式Gd3(ScGa)512で示される非磁性ガーネット上に育成された化学式(RGdBi)3Fe512(但し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選択される一種以上の希土類元素を示す)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶であることを特徴とする。
本発明に係るビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法によれば、
熱処理されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μm、熱処理される時の雰囲気ガスが水素ガス45〜60体積%で残部が窒素ガスにより構成され、かつ、熱処理温度が300〜400℃に設定されているため、RIG膜表面を腐食(還元)させることなく短時間の熱処理が可能となり、生産性を著しく向上できる効果を有している。
特に、RoHS指令を満足させると共に、波長1μm帯の光アイソレータ用ファラデー回転子に適用された場合の挿入損失が所望の0.5dB未満とするRIG膜を効率的に提供できる効果を有する。
表面粗さが異なるRIG膜を熱処理した場合の熱処理時間と挿入損失との関係を示すグラフ図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)RIG膜の製造
PbO、Bi23、B23をフラックス成分とし、希土類酸化物と酸化鉄をRIGの原料成分とし、および、CaOをCa成分として、各々白金坩堝中に投入かつ溶かし込んだ融液を、電気炉内で約820℃に加熱しながらその融液表面にGd3(ScGa)512基板(GSGG基板)を接触させ、該GSGG基板の片面にRIG膜を育成する。
ここで、RIG膜としては、(RGdBi)3Fe512(但し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選択される一種以上の希土類元素を示す)が、加工用高出力レーザ装置で用いられる波長(約1μmの光)に対する光吸収が少ないため好ましい。
また、育成されたRIG膜中のCa濃度は0.08〜0.35質量%が望ましい。Ca濃度が0.08質量%未満になるとPb濃度が0.1質量%を超え易くなる場合があるからである。反対に、Ca濃度が0.35質量%を超えるような原料融液組成においてはRIG膜の育成が難しくなる場合があり、かつ、Ca濃度が増えるにつれてPb濃度の低減効果が飽和してくるため0.35質量%を超えて添加するメリットが少ないからである。
RIG膜の育成後は、RIG膜が育成されたGSGG基板を例えば11mm角の小片に分割し、かつ、GSGG基板を研削により除去して小片状のRIG膜とする。
(2)RIG膜の熱処理
まず、上述した小片状RIG膜の主表面を砥石で研削し、表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmになるよう調整する。砥石として粒度400番〜600番の砥石を用いると、表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmに調整される。
次に、加熱炉内を真空状態にした後、窒素ガスでパージし炉内を窒素雰囲気にする。更に、その状態から、水素が45〜60体積%の水素−窒素混合ガスを導入して炉内の雰囲気を水素45〜60体積%とし、かつ、熱処理温度300℃〜400℃に設定して熱処理を行う。
従来、特許文献2に記載されているようにRIG膜の表面粗さ(Ra)が0.01μm以下の鏡面に研磨された状態で熱処理を施していた。他方、本発明では、熱処理されるRIG膜の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmの状態にしてから、先ず、最初の熱処理を行い、次いで、RIG膜の表面を鏡面[表面粗さ(Ra)が0.01μm以下]に研磨して挿入損失の測定を行う。鏡面研磨の後に挿入損失を測定するのは、表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmの状態では表面における散乱の影響が大きく、挿入損失の評価を正しくできないからである。最初の熱処理により挿入損失が所望の値まで低下しなかった場合は、表面が鏡面研磨状態にある上記RIG膜に対して追加の熱処理を行い、挿入損失を所望の値まで低下させる。但し、鏡面研磨後は、熱処理による挿入損失の低減効果が発揮され難いため、最初の熱処理にて十分に挿入損失を低減させることが重要である。
ここで、表面粗さ(Ra)が0.01μm以下(鏡面研磨)、0.015μm、0.2μm、0.4μmとした4種類のRIG膜を用意し、水素ガス濃度が45体積%の水素−窒素混合ガス中、345℃で熱処理した場合の挿入損失を図1に示す。
図1は、上記表面粗さの状態でまず1.5時間の熱処理を行い、次いで鏡面研磨を行った後に挿入損失を測定し、その後は、上述の鏡面研磨状態で1.5時間ずつ追加の熱処理を行って挿入損失を測定した結果を表している。
図1のグラフ図に示すように、RIG膜の最初の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmの場合、3時間以内の追加熱処理で挿入損失が0.5dB以下の底値となった。他方、表面粗さ(Ra)が0.015μmの場合、挿入損失が0.5dB以下になるまでに7.5時間の追加熱処理が必要となり、表面粗さ(Ra)が0.01μm以下(鏡面研磨)の場合は、10.5時間の追加熱処理が必要となることが確認された。
尚、RIG膜の表面粗さ(Ra)が0.2μm未満であると、波長1μm帯光アイソレータ用ファラデー回転子としての挿入損失が低下するのに要する熱処理時間が長くなり好ましくない。反対に、RIG膜の表面粗さ(Ra)が0.4μmを超えると、熱処理時間が短くなり過ぎて還元過多になり、挿入損失が上昇に転じることがあるため好ましくない。
また、熱処理雰囲気の水素ガス濃度が45体積%未満であると、波長1μm帯光アイソレータ用ファラデー回転子としての挿入損失が低下するのに要する熱処理時間が長くなり好ましくない。反対に、水素ガス濃度が60体積%を超えると、熱処理時間が短くなり過ぎて還元過多になり、挿入損失が上昇に転じることがあるため好ましくない。
また、熱処理温度が300℃未満であると、波長1μm帯光アイソレータ用ファラデー回転子としての挿入損失が低下するのに要する熱処理時間が長くなり好ましくない。反対に、熱処理温度が400℃を超えると、熱処理時間が短くなり過ぎて還元過多になり、挿入損失が上昇に転じることがあるため好ましくない。
(3)ファラデー回転子の作製
上記熱処理後のRIG膜は、使用波長、例えば波長1.06μmの光に対しファラデー回転角が45°となるようにRIG膜の厚みを研磨により調整し、次いで、RIG膜の両面に波長1.06μmの光に対する反射防止膜を形成しファラデー回転子とする。
以下、本発明の実施例について比較例と共に具体的に説明する。
[実施例1]
RIG膜として、Gd3(ScGa)512基板(GSGG基板)上に、液相エピタキシャル成長法で育成された、組成式がNd0.71Gd1.10Bi1.19Fe512、Ca濃度が0.08質量%のRIG膜を用意した。上記GSGG基板は研削により除去しており、サイズは11mm角で、厚みが165μmである。また、RIG膜の主表面は600番の砥石で研削し、表面粗さ(Ra)は0.2μmである。
次に、上記RIG膜を、雰囲気を調整できる体積300リットルの加熱炉内に配置し、加熱炉内を真空状態にした後に窒素ガスでパージし、炉内の窒素雰囲気を100体積%にした。その状態から水素が45体積%である水素、窒素混合ガスを導入し、炉内の雰囲気を水素45体積%、窒素55体積%とした。
水素45体積%雰囲気下、345℃で1.5時間熱処理を行った後、RIG膜の主表面を鏡面研磨し、波長1060nmのレーザ光にて挿入損失を測定したところ、挿入損失は0.63dBであった。尚、この挿入損失は、実測された損失からRIG膜表面におけるフレネル反射による損失(反射損失)を差し引いた値である。
そこで、同様の熱処理を3時間追加したところ、挿入損失は0.45dBと良好な結果であった。この結果を表1に示す。
[実施例2]
雰囲気を水素60体積%とした以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.56dBであった。
そこで、同様の熱処理を1.5時間追加したところ、挿入損失は0.45dBと良好な結果であった。この結果も表1に示す。
[実施例3]
熱処理温度を300℃とした以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.65dBであった。
そこで、同様の熱処理を3時間追加したところ、挿入損失は0.49dBと良好な結果であった。この結果も表1に示す。
[実施例4]
熱処理温度を400℃とした以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.56dBであった。
そこで、同様の熱処理を1.5時間追加したところ、挿入損失は0.46dBと良好な結果であった。この結果も表1に示す。
[実施例5]
RIG膜の主表面を400番の砥石で研削し、表面粗さ(Ra)を0.4μmとした以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.55dBであった。
そこで、同様の熱処理を1.5時間追加したところ、挿入損失は0.45dBと良好な結果であった。この結果も表1に示す。
[実施例6]
RIG膜として、GSGG基板上に液相エピタキシャル成長法で育成された、組成式がLa0.26Gd1.55Bi1.19Fe512、Ca濃度が0.1質量%のRIG膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして最初の熱処理と1.5時間の追加の熱処理を行ったところ、挿入損失は0.43dBと良好な結果であった。結果を表1に示す。
[実施例7]
RIG膜として、GSGG基板上に液相エピタキシャル成長法で育成された、組成式がPr0.61Gd1.20Bi1.19Fe512、Ca濃度が0.35質量%のRIG膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして最初の熱処理と1.5時間の追加の熱処理を行ったところ、挿入損失は0.48dBと良好な結果であった。結果を表1に示す。
[実施例8]
RIG膜として、GSGG基板上に液相エピタキシャル成長法で育成された、組成式がCe0.61Gd1.20Bi1.19Fe512、Ca濃度が0.3質量%のRIG膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして最初の熱処理と1.5時間の追加の熱処理を行ったところ、挿入損失は0.47dBと良好な結果であった。結果を表1に示す。
[実施例9]
RIG膜として、GSGG基板上に液相エピタキシャル成長法で育成された、組成式がLa0.01Nd0.70Gd1.10Bi1.19Fe512、Ca濃度が0.2質量%のRIG膜を用いたこと以外は、実施例1と同様にして最初の熱処理と1.5時間の追加の熱処理を行ったところ、挿入損失は0.45dBと良好な結果であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
RIG膜の主表面を鏡面研磨し、表面粗さ(Ra)を0.010μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.9dBと、0.5dB未満にはならなかった。そこで、挿入損失が0.5dB未満になるまで熱処理を1.5時間ずつ延長したところ、熱処理時間の合計が12時間に達した時、0.48dBとなった。結果を表1に示す。
[比較例2]
RIG膜の主表面を1000番の砥石で研削し、表面粗さ(Ra)を0.015μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.8dBと、0.5dB未満にはならなかった。そこで、挿入損失が0.5dB未満になるまで熱処理を1.5時間ずつ延長したところ、熱処理時間の合計が9時間に達した時、0.48dBとなった。結果を表1に示す。
[比較例3]
雰囲気を水素75体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.51dBと、0.5dB未満にはならなかった。そこで、熱処理を1.5時間延長したところ、挿入損失が0.55dBと上昇してしまった。還元過多が発生し、挿入損失の底値を越えて、上昇に転じたためである。最初の熱処理を1.5時間行った後の挿入損失を表1に示す。
[比較例4]
熱処理温度を280℃としたこと以外は、実施例2と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は1.0dBと、0.5dB未満にはならなかった。そこで、熱処理温度を345℃として、挿入損失が0.5dB未満になるまで熱処理を1.5時間ずつ延長したところ、熱処理時間の合計が15.5時間に達した時、0.49dBとなった。結果を表1に示す。
[比較例5]
熱処理温度を420℃としたこと以外は、実施例2と同様にして熱処理を行ったところ、挿入損失は0.52dBと、0.5dB未満にはならなかった。そこで、熱処理を1.5時間延長したところ、挿入損失が0.56dBと上昇してしまった。還元過多が発生し、挿入損失の底値を越えて、上昇に転じたためである。最初の熱処理を1.5時間行った後の挿入損失を表1に示す。
Figure 0005966945
本発明に係るビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法によれば、RoHS指令を満足させると共に波長1μm帯の光アイソレータ用ファラデー回転子に適用された場合の挿入損失が所望の0.5dB未満とするRIG膜を効率的に提供できるため、加工用高出力レーザ装置の戻り光対策に用いられる波長1μm帯光アイソレータ用ファラデー回転子の構成材料として利用される産業上の利用可能性を有している。

Claims (3)

  1. 希土類鉄ガーネット単結晶の原料成分と、酸化鉛を有するフラックス成分と、Ca成分とが含まれる融液を用いて液相エピタキシャル成長法により非磁性ガーネット基板上に育成され、かつ、Pb含有量が0.1質量%以下であると共に、波長1μm帯の光アイソレータ用ファラデー回転子に適用されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法において、
    熱処理されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の表面粗さ(Ra)が0.2〜0.4μmであり、かつ、熱処理される時の雰囲気ガスが水素ガス45〜60体積%で残部が窒素ガスにより構成されると共に、熱処理温度が300〜400℃であることを特徴とするビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法。
  2. ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶中のCa量が0.08〜0.35質量%であることを特徴とする請求項1に記載のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法。
  3. 上記ビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶が、化学式Gd3(ScGa)512で示される非磁性ガーネット上に育成された化学式(RGdBi)3Fe512(但し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選択される一種以上の希土類元素を示す)で示されるビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶であることを特徴とする請求項1または2に記載のビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶の熱処理方法。
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