JP5507934B2 - ファラデー回転子とその製造方法 - Google Patents

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本発明は光アイソレータ、光サーキュレータ、光アッテネータなどの磁気光学素子に用いられるビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶とその製造方法、及びそれを用いて作製したファラデー回転子に関するものである。
光アイソレータなどの磁気光学素子については、従来、液相エピタキシャル法で基板結晶に成長させたビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶が用いられているが、これらは製造の際に用いられるフラックス成分としての酸化鉛から鉛がガーネット単結晶中に混入していた。
近年では環境に対する規制が厳しくなってきており、鉛の含有量の規制は、たとえば、RoHS指令「電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する欧州議会および理事会指令」で実質的に非含有とみなされる1,000ppm以下とすることが求められている。
そのため、この問題を解決する方法として、融液を構成する酸化鉛のモル濃度を減らす方法(特許文献1)が提案されているが、酸化鉛のモル濃度を減らした分、融液を構成する酸化ビスマスの濃度が増加し一般的にルツボ材として使われる白金の溶解が進むという欠点が生じる。
この白金ルツボの溶解を防ぐ方法として、例えば特許文献2ではルツボ材として金を用いることが提案されている。しかし、金の融点は1,063℃であり、結晶成分を完全に溶解する温度として採用される1,000℃程度に近いためルツボが変形したり、時には破損するという不都合がある。この結晶成分を完全に溶解する温度をルツボの損傷を避けるために1,000℃以下とすると、結晶成分が完全にガーネット構造になりきることができていないため、「異物」が生じ、育成されるビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶の結晶性が悪くなり、結晶が割れやすくなり、育成結晶の消光性能が劣化するなどの不都合が生じるという問題があった。
特開2007−165668号公報 特開2007−210806号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、有害性が大きいとされる鉛を実質的に含有せず、結晶特性に優れ、かつ、ルツボの損傷をさせることなく育成できるビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶であって、該ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、組成式
Bi3−xFe5−y−zM1M212
(R:ランタノイド金属(Euを除く)及びYのうちから選択される一種または二種以上の元素、
M1:Ga、Al、Sc、Si、Ti、Sn、Zrから選択される一種または二種以上の元素、
M2:V、Nbから選択される一種または二種の元素、
0.5<x<2.5、0≦y<2.0、0<z≦0.05)
で表されるものに、さらに2価の陽イオンとなる元素を含むものであることを特徴とするビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を提供する。
このようなビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶であれば、実質的に鉛を含有せず、結晶特性の優れたものとなり、また、結晶を育成するときにルツボ材である白金の損傷を抑えることができるものとなる。
この場合、前記2価の陽イオンとなる元素が、Ca、Mg、Sr、Euから選択される一種または二種以上の元素であることが好ましい。
このように、Ca、Mg、Sr、Euから選択される一種または二種以上の元素であれば、安定な2価状態の陽イオンとなることができるので、本発明において好ましく用いられる。
また、本発明では、前記ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶から構成されることを特徴とする厚さ300μm以上のファラデー回転子を提供する。
このように、前記ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を用いれば、厚さ300μm以上のファラデー回転子を容易に作製することができる。
また、本発明では、液相エピタキシャル法によりビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を製造する方法であって、前記ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を製造するためのフラックス組成物中に五酸化バナジウム及び五酸化ニオブの少なくとも一種以上を酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05以上含むフラックスを用いて、組成式
Bi3−xFe5−y−zM1M212
(R:ランタノイド金属(Euを除く)及びYのうちから選択される一種または二種以上の元素、
M1:Ga、Al、Sc、Si、Ti、Sn、Zrから選択される一種または二種以上の元素、
M2:V、Nbから選択される一種または二種の元素、
0.5<x<2.5、0≦y<2.0、0<z≦0.05)
で表されるものに、さらに2価の陽イオンを含有するビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を液相エピタキシャル法により製造することを特徴とするビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶の製造方法を提供する。
このように、ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を液相エピタキシャル法によって成長させる工程において、使用する原料融液中に五酸化バナジウムや五酸化ニオブを入れることで、膜厚が300μm以上であるガーネット結晶を育成する際にも、ルツボ材である白金の損傷を抑えることができ、またこの方法により製造されたビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、有害性が大きい鉛を実質的に含有せず、結晶特性に優れたものとすることができる。
以上説明したように、本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、有害性が大きいとされる鉛を実質的に含有せず、結晶特性に優れ、かつ、ルツボの損傷をさせることなく育成できるビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶及びその製造方法とすることができる。
結晶中の白金量とV/(V+Bi)の関係を示した図である。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、従来のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を製造する際に、環境に悪影響を与える鉛の結晶中への混入や、白金ルツボの損傷、さらには、製造されるガーネット結晶の結晶性の悪化等が問題となっていた。
本発明者らは酸化鉛を含有しないかほとんど含有しない融液から液相エピタキシャル法によって成長させて得られるビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶の製造上の問題点について種々検討した結果、融液中に五酸化バナジウムや五酸化ニオブを適度に添加することで、ルツボ材である白金の損傷が少なくなり、また、得られたビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶の特性が優れたものであることを確認して、本発明を完成させた。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、組成式
Bi3−xFe5−y−zM1M212
(R:ランタノイド金属(Euを除く)及びYのうちから選択される一種または二種以上の元素、
M1:Ga、Al、Sc、Si、Ti、Sn、Zrから選択される一種または二種以上の元素、
M2:V、Nbから選択される一種または二種の元素、
0.5<x<2.5、0≦y<2.0、0<z≦0.05)
で表されるものに、さらに2価の陽イオンとなる元素を含むことを特徴とする。
上記組成式中、Rは光学特性と磁気特性を考慮し、かつ、育成基板との格子定義の適合性等を考慮して、Eu及びScを除く希土類元素から一種または二種以上が選択され、これらの中でも、光通信波長帯域で光吸収がないY、Gd、Tb、Ho、Yb、Lu等が好ましく用いられる。また、M1は2つの鉄サイトに置換される置換量が安定となるように選択することが好ましく、これらの中でも、Fe3+のイオン半径が近い陽イオンとなるGa、Ti等が好ましく用いられる。
ここで、xが0.5<x<2.5の範囲であれば、ファラデー効果も大きく、育成基板との格子整合も取れるため好ましい。また、0≦y<2.0であれば、安定して結晶特性に優れたガーネット結晶を育成できる。さらに、0.0<z≦0.05であれば、バナジウムやニオブによる白金腐食反応抑制効果及び2価の陽イオンによる不具合抑制効果のどちらもが十分に発揮されるため好ましい。
尚、上記組成式は蛍光X線分析法とICP発光分析法を併用して求めたものである。
このような本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶であれば、有害性が大きいとされる鉛を実質的に含んでいないため環境に悪影響を与えることもなく、特に、V及びNbの少なくとも一種以上を結晶の組成式中に含んでいるため、ルツボを損傷させることなく育成することができ、かつ、異物を生じさせることなく、結晶特性に優れたガーネット単結晶とすることができる。また、2価の陽イオンとなる元素を含むガーネット結晶であれば、V5+やNb5+がガーネット単結晶中に入った際に、鉄イオンをFe3+からFe2+に変えてしまうという不具合も解決できるため、光挿入損失が大きくなることもない。
本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、ガーネット結晶を構成する各金属の酸化物の融液(ガーネット結晶を製造するためのフラックス組成物)中に、五酸化バナジウム及び五酸化ニオブの少なくとも一種以上を酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05以上含むフラックスを用いて、希土類ガリウムガーネット単結晶基板上に液相エピタキシャル法で結晶を成長させることによって製造することができる。
具体的には以下のような工程とすることができ、以下にその一例を示すが、本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶の製造方法は、もちろんこれに限定されるものではない。
本発明のガーネット結晶膜を成長させるために使用されるガーネット単結晶基板は、サマリウム・ガリウム・ガーネット(以下、SGGと略記する)、ネオジム・ガリウム・ガーネット(以下、NGGと略記する)、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(以下、GGGと略記する)に、Ca、Mg、Zr、Yの少なくとも1つを添加し、置換したGGG系のSOG、NOG[いずれも信越化学工業(株)製、商品名]とすればよく、これらはSm、Nd、Gdまたは必要に応じて、CaO、MgO、ZrOなどの置換剤を、それぞれGaの所定量と共にルツボに仕込み、高周波誘導炉で各々の融点以上に加熱して溶融したのち、この溶液からチョクラルスキー法で単結晶を引き上げることによって得ることができる。
また、この基板単結晶上に液相エピタキシャル法でエピタキシャル成長させるガーネット結晶は、希土類元素酸化物、Bi、Fe、および必要に応じて鉄と置換できる元素であるGa、Al、Sc、SiO、TiO、SnO、ZrOといった酸化物、および白金の溶解を押さえるV、Nb、そして、2価の陽イオンとなることができる、例えばEu、CaO、MgO、SrOといった酸化物をルツボに仕込み、1,000〜1,200℃に加熱してこれを溶解させたのち、この過冷却状態の融液から液相エピタキシャル法で700〜950℃の成長温度で単結晶を成長させることによって得ることができる。
バナジウムもしくはニオブは融液中に五酸化バナジウム(V)や五酸化ニオブ(Nb)として添加することで、融液が高温となったときに、酸化ビスマスによる白金の腐食反応を抑えることができる。
ただ、この五酸化バナジウムや五酸化ニオブを融液組成に追加すると、目的とするビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶中にV5+やNb5+として入るため、鉄イオンが好ましい酸化数であるFe3+から一部Fe2+に変化するため光挿入損失が大きくなることがある。
この不具合は、本発明のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶に2価の陽イオンとなることができるもの、具体的には、Ca、Mg、Sr、Eu元素から選択される一種または二種以上の元素を入れればよく、融液組成に例えばCaO、MgO、SrOあるいはこれらアルカリ土類金属の炭酸塩もしくはEuを添加すればよい。
このように一般的な酸化ビスマス、酸化鉄および鉄と置換可能な非磁性金属元素の酸化物に酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05以上含む五酸化バナジウムや五酸化ニオブ、そしてCaO、MgO、SrOあるいは約1,000℃でこれらの酸化物に変化できる炭酸塩もしくはEuを添加した融液組成からビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を育成することで、バナジウムもしくはニオブを含有する厚さ300μm以上のビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を得ることができ、これを用いてファラデー回転子を得ることができる。
本発明では、このときフラックス成分として鉛を含有するPbOやPbFを微量もしくは全く使用していないため、そこから成長して得られるガーネット単結晶にも鉛を規制値である1,000ppm以上含有することはない。
また、ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を育成する融液にVもしくはNbを含有しているため白金ルツボの損傷が抑えられる。この抑制は、次のような機構であると考えられる。
酸化ビスマスや酸化鉛は高温になるとその一部が還元され金属ビスマスや金属鉛となり、これら金属は白金と容易に反応すると考えられ、とくに酸化ビスマスはこの反応が起きやすく、このため、融液中の酸化ビスマスの比率が高いと白金ルツボの損傷が激しくなる。融液中にVやNbを入れると、これらの化合物は高温で酸素を放出しやすいためか、酸化ビスマスの還元反応を抑制することで、結果として白金ルツボの損傷を抑える働きをするものと考えられる。
本発明はこのVやNbの性質をビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶に適用したものであり、特に、結晶の厚さが300μm以上と厚くすることができるため、育成時間が長くなる光通信で使われるファラデー回転子の製造で有益となる。
また、このような厚さ300μm以上のファラデー回転子は、波長1.3〜1.6μm帯の光通信にも好適に用いることができる。
なお、VやNbは白金ルツボの損傷抑制には効果的であるが、Fe3+イオンをFe2+イオンに変え、このFe2+イオンによる光吸収が増えるという不都合が起きる。この不都合をなくすために、2価の陽イオンとなることができる元素を含む化合物、具体的にはEu、CaO、MgO、SrOといった酸化物もしくは高温でこれら酸化物となるCaCO、MgCO、SrCOといった炭酸塩等を、光吸収がなくなる量を添加することで、光通信帯の波長で実用上問題ないファラデー回転子を低コストで作成することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ガーネット単結晶基板として、格子定数が12.496Åで、厚さが1.2mmである直径76.2mmのNOGウェーハを用い、ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を形成させる金属酸化物として、酸化ビスマス(Bi)、酸化ホウ素(B)、酸化第二鉄(Fe)、酸化テルビウム(Tb)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化ガリウム(Ga)及び五酸化バナジウム(V)を酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05の量を白金ルツボに仕込み、1,100℃に加熱してこれを溶融させ、この融液から上記したNOGウェーハに成長温度760〜770℃でビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を液相エピタキシャル法で成長させた。この成長中において、融液に微小結晶が析出することはなく、膜厚が485μmで結晶性の良好なビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を得ることができた。このビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶をICP発光分析法で分析した結果、これは式Bi0.90Tb1.95Eu0.20Fe4.45Ga0.480.0212で示されるものであった。また、この結晶中に含まれる白金量を分析した結果0.12wt%であった。この単結晶を切断して研磨加工し、SiOとTiからなる無反射コーティングを施した後、大きさを2.9×2.9×0.420mmとし、このものに55kA/mの磁場を加えて単一に磁化した状態で、波長1.55μmにおける光吸収損失を調べたところ0.08dBと低損失であった。
(実施例2)
ガーネット単結晶基板として、格子定数が12.496Åで、厚さが1.2mmである直径76.2mmのNOGウェーハを用い、ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を形成させる金属酸化物として、酸化ビスマス(Bi)、酸化ホウ素(B)、酸化第二鉄(Fe)、酸化ガドリニウム(Gd)、酸化ホロニウム(Ho)、酸化ガリウム(Ga)、酸化マグネシウム(MgO)及び五酸化バナジウム(V)を酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05の量を白金ルツボに仕込み、1,100℃に加熱してこれを溶融させ、この融液から上記したNOGウェーハに成長温度760〜770℃でビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶膜を液相エピタキシャル法で成長させた。この成長中において、融液に微小結晶が析出することはなく、膜厚が455μmで結晶性の良好なビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶を得ることができた。このビスマス置換希土類鉄ガーネット単結晶をICP発光分析法で分析した結果、これは式Bi1.00Gd1.18Ho0.85Ca0.02Fe4.45Ga0.480.0212で示されるものであった。また、この結晶中に含まれる白金量を分析した結果0.11wt%であった。この単結晶を切断して研磨加工し、SiOとTiからなる無反射コーティングを施した後、大きさを2.9×2.9×0.420mmとし、このものに55kA/mの磁場を加えて単一に磁化した状態で、波長1.55μmにおける光吸収損失を調べたところ0.01dBであり、極めて低損失であった。
(実施例3〜4、比較例1〜2)
上記実施例1及び2に倣い、下表1の組成で実施例3〜4、比較例1〜2のガーネット結晶を成長させ、同様に、波長1.55μmにおける光吸収損失を調べた。
測定結果もあわせて表1に示す。
Figure 0005507934
上記実施例1、2、及び表1に示すように、実施例1〜4(zが0<z≦0.05の範囲のもの)のいずれのガーネット結晶も、光アイソレータ用のファラデー回転子の挿入損失の主な原因となる光吸収損失が、一般的に要求される0.10dB以下であり、良好な光特性を有するガーネット結晶であることがわかった。
一方、比較例1(z=0)及び比較例2(z=0.07)では、光吸収損失が0.10dBを大きく上回っており、極めて高損失であった。
即ち、この結果により、本発明の組成式において、0<z≦0.05とする本発明には、十分に意義があることが証明できたといえる。
(実施例5〜7、比較例3〜4)
実施例1の結晶組成で酸化ビスマスに対する五酸化バナジウムの比率を変えてビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を育成し、結晶中の白金量をICP発光分析で測定した。
測定結果を表2と図1に示す。
Figure 0005507934
表2及び図1に示すように、Vの比率(=V/(V+Bi))が高くなるにつれて結晶中の白金量が減っている。
これは、白金ルツボから融液に溶け出す白金量が減っていることを示している。
比較例3〜4の組成では白金ルツボはビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を70回程度育成するとルツボに穴が開いたが、実施例5〜7の組成では育成回数100回でもルツボに目立った損傷はなく、本発明は、量産性にも優れるものであることが実証された。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (3)

  1. ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶から構成される厚さ300μm以上のファラデー回転子であって、前記ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶は、組成式
    Bi3−xFe5−y−zM1M212
    (R:ランタノイド金属(Euを除く)及びYのうちから選択される一種または二種以上の元素、
    M1:Ga、Al、Sc、Si、Ti、Sn、Zrから選択される一種または二種以上の元素、
    M2:V、Nbから選択される一種または二種の元素、
    0.5<x<2.5、0≦y<2.0、0<z≦0.05)
    で表されるものに、さらに2価の陽イオンとなる元素を含むものであることを特徴とするファラデー回転子
  2. 前記2価の陽イオンとなる元素が、Ca、Mg、Sr、Euから選択される一種または二種以上の元素であることを特徴とする請求項1に記載のファラデー回転子
  3. 液相エピタキシャル法によりビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を製造して、該ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶から構成される厚さ300μm以上のファラデー回転子を製造する方法であって、前記ビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を製造するためのフラックス組成物中に五酸化バナジウム及び五酸化ニオブの少なくとも一種以上を酸化ビスマスに対するVの比率(=V/(V+Bi))で0.05以上含むフラックスを用いて、組成式
    Bi3−xFe5−y−zM1M212
    (R:ランタノイド金属(Euを除く)及びYのうちから選択される一種または二種以上の元素、
    M1:Ga、Al、Sc、Si、Ti、Sn、Zrから選択される一種または二種以上の元素、
    M2:V、Nbから選択される一種または二種の元素、
    0.5<x<2.5、0≦y<2.0、0<z≦0.05)
    で表されるものに、さらに2価の陽イオンを含有するビスマス置換希土類鉄ガーネット結晶を液相エピタキシャル法により製造することを特徴とするファラデー回転子の製造方法。
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