JP5966776B2 - プロピレン製造用触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレン及び/又はエタノールを触媒と接触させてプロピレンを製造する際に用いる、触媒の製造方法に関するものである。
従来、プロピレンを製造する方法としては、ナフサのスチームクラッキング法や減圧軽油の流動接触分解法が一般的に実施されている。スチームクラッキング法では、プロピレンの他にエチレンも大量に生成し、プロピレンとエチレンの製造割合を大きく変えることは難しいため、プロピレンとエチレンの需給バランスの変化に対応することは困難であった。
そこで、エチレンを原料として高収率でプロピレンを製造する技術が検討され、その一つの方法として、エチレンを、アルミノシリケートを主成分とする触媒と接触させ、プロピレンを直接製造する方法が提案されている。例えば表面酸点を減らしたCHA型アルミノシリケートを触媒として用いることにより、反応収率を向上させることが提案されている(特許文献1)。
またCHA型アルミノシリケートの製造方法の効率化も種々検討されている。例えば特許文献2では、粒子径の小さなコロイダルシリカを用いたCHA型アルミノシリケートの製造方法が検討されている。
国際公開2010/128644号パンフレット 特開2011−121859号公報
通常、アルミノシリケートのようなSi原子を含むアルミノシリケートを製造する際には、Si源を含む反応混合物を調製し、水熱合成反応を行なう。ところが、一般的にSi源として用いられるもの(例えばヒュームドシリカ等)は、親水性が低いために大量の水が必要な上、反応液の流動性が非常に高くなるため、工業生産に適さないものがあった。
そこで、本発明者らは比較的親水性が高い、粒子径の小さなSi源を用いたCHA型アルミノシリケートの製造を検討した。ところが、単に粒子径の小さなSi源を用いた場合、結晶化が起こらずCHA型アルミノシリケートが得られなかったり、得られた場合でも結晶化速度が遅く、非常に反応時間が長く、目的のCHA型アルミノシリケートが生成しにくい、という問題があり、工業生産には不利であった。
前述の特許文献2に記載の製造条件でも、依然として結晶化速度が遅く、反応に非常に時間がかかる。さらに特許文献2の製造方法で得られたCHA型アルミノシリケートを触媒とし、エチレンと接触させプロピレンを得る反応に用いたところ、プロピレンの収率が低く、プロピレン製造用触媒には適さないことが判明した(本願比較例3参照)。
すなわち、親水性の高いSi源、特に粒子径の小さなSi源を用いて、工業生産に適した処方で、かつエチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造するための触媒に適したCHA型アルミノシリケートを得る方法は見出されていなかった。
本発明は、エチレン及び/又はエタノールを触媒と接触させ、プロピレンを得るための
触媒の製造において、反応活性が高いプロピレン製造用触媒の製造効率のよい製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、触媒の製造工程において、粒子径の小さなSi源を用い、かつ水とSi原子、及び構造規定剤とNa原子のモル比を特定の範囲に調整することにより、性能良好な触媒を、生産性よく得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、
[1]エチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造するための触媒の製造方法であって、下記工程(A)及び工程(B)を含むことを特徴とする、プロピレン製造用触媒の製造方法、
工程(A):水、Al源、平均粒子径が50nm以下のSi源、Naを含むアルカリ金属源および構造規定剤を、Si源に含まれるSi原子に対する水のモル比が15以上であり、かつ構造規定剤に対するアルカリ金属源に含まれるNa原子のモル比が2.0以下となるよう混合した後、水熱合成を行ない、CHA型アルミノシリケートを得る工程
工程(B):上記CHA型アルミノシリケートを、シリル化処理する工程
[2]前記Si源が、コロイダルシリカであることを特徴とする、上記[1]に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法、
[3]前記水熱合成時のAl源とSi源の混合比率が、SiO/Al比で、20以上であることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法、
[4]前記工程(A)にて得られたアルミノシリケートの平均1次粒子径が200nm以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法、
[5]前記工程(A)において用いる構造規定剤の量が、Si原子に対する構造規定剤のモル比で0.05以上であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法、
に存する。
本発明により、触媒の製造効率が向上し、かつエチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造する際に用いる反応活性の高い触媒が得られるという効果を有する。
実施例1で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 実施例1で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 実施例2で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 実施例2で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 実施例3で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 実施例3で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 実施例4で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 実施例4で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 実施例5で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 実施例5で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 比較例1で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 比較例1で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。 比較例2で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 比較例3で得られた物質のX線回折(XRD)パターンである。 比較例3で得られたCHA型アルミノシリケートのSEM写真である。
以下、本発明の触媒の製造方法の実施の態様を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の触媒の製造方法は、水、Al源、平均粒子径が50nm以下のSi源、アルカリ金属源および構造規定剤を、Si源に含まれるSi原子に対する水のモル比が15以上であり、かつ構造規定剤に対するアルカリ原子源に含まれるNa原子のモル比が2.0以下となるよう混合した後、水熱合成を行ない、CHA型アルミノシリケートを得る工程(工程(A))と、該CHA型アルミノシリケートを、シリル化処理する工程(工程(B))を含むことを特徴とするものである。
本発明における触媒は、活性成分としてCHA型アルミノシリケートを含むものである。
CHA型アルミノシリケートとは、International Zeolite Association (IZA)が規定するコードでCHA型に分類されるものであり、天然に産出するチャバサイト(Chabazite)と同等の結晶構造を持つアルミノシリケートである。CHA型アルミノシリケー
トは、3.8×3.8Åの径を有する酸素8員環からなる3次元細孔を有することを特徴とする構造を取り、その構造はX線回折データにより特徴付けられる。また、そのフレームワーク密度は14.5T/1000Åである。このフレームワーク密度とは、アルミノシリケート中の1000Åあたりに存在する骨格を形成する酸素以外の原子の数を意味し、アルミノシリケートの構造によって決まるものである。なお、フレームワーク密度とアルミノシリケートの構造との関係はATLUS OF ZEOLITE FLAMEWORK TYPES Fifth Revised Edition 2001 ELSEVIERに示されている。
以下、まず本発明における触媒の製造方法について、工程毎に説明する。
なお工程(A)にて得られるアルミノシリケートも、工程(B)でシリル化されたものも双方「CHA型アルミノシリケート」であるが、区別をするために工程(A)にて得られたCHA型アルミノシリケート(即ち、シリル化前のもの)を以下「アルミノシリケート中間体」と称し、これをシリル化したものを単に「CHA型アルミノシリケート」と称す。
本発明の製造方法は、以下の工程(A)、(B)を含む。以下、工程毎に詳細に説明する。
<工程(A)>
工程(A)では、水、Al源、Si源、Naを含むアルカリ金属源および構造規定剤を、混合して水熱合成を行ない、CHA型アルミノシリケートを製造する。
(Al源、Si源)
本発明において用いられるAl源としては、特に限定されるものではないが、たとえば水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくは水酸化アルミニウムである。またAl源は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用いられるSi源は、平均粒子径が50nm以下のSi源である。好ましくは20nm以下であり、また通常は10nm以上である。平均粒子径はBET法より算出した比表面積、またはシアーズ法による比表面積からの換算粒子径により求められる。具体的にはBET比表面積法はJIS K1150:1994に記載の方法が用いられる。シアーズ法はAnalytical Chemistry,Vol.28,P1981−1983,1956に記載された方法であり、pH=3のコロイダルシリカ分散液をpH=9にするまでに消費されるNaOHの量から求められる表面積から球相当径を算出
する方法である。通常はBET比表面積法から求められるが、測定方法はSi源の特性により適宜選択することができる。
粒子径が上記範囲であれば特に限定されるものではなく、市販のSi源を適宜使用可能であり、好ましくはコロイダルシリカを使用することができる。具体的には例えば、カタロイドSi−30(日揮触媒化成社製)、スノーテックス40(日産化学社製)等のコロイダルシリカが用いられる。またSi源は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の工程(A)の水熱合成における、Al源とSi源の混合比率は、特に限定されるものではないが、Al原子とSi原子の比率を、水熱合成反応に用いる液中に含まれるAlに対するSiOのモル比(以下、液中のSiO/Al)で表した場合、通常5以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上である。また上限は、通常300以下、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。液中のSiO/Alが、小さすぎる場合には、得られるCHA型アルミノシリケートにおいて、アルミニウムが骨格から抜けやすくなる(脱アルミニウム)、酸点当たりの酸強度が弱くなる、コーク付着による失活が速くなる、といった現象が起こる場合がある。また、大きすぎる場合には、酸量が少ないためにエチレンの転化率が低下する場合がある。
本発明の製造方法は、比較的結晶性が低いアルミノシリケートの結晶化を有利にする上で、特にSi原子の比率が大きいもの、具体的にはSiO/Alが20以上のアルミノシリケートの製造において好ましい。
(構造規定剤)
本発明において用いられる構造規定剤としては、反応混合物からアルミノシリケート中間体の結晶化を促進しうるものであれば特に限定されないが、例えば、N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオン、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオン、3−キヌクリジナールから誘導されるカチオン、2−exo−アルミノノルボルネンから誘導されるカチオン等の脂環式アミンから誘導されるカチオン、N,N,N−トリアルキルシクロヘキシルアンモニウムカチオン等が挙げられ、比較的結晶化が困難な、Si原子含有比の高いアルミノシリケートの結晶化を促進する点で、N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオン、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンが好ましい。N,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンとして好ましいのは、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンであり、N,N,N−トリアルキルベンジルアンモニウムカチオンとして好ましいのは、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウムカチオンである。これらの構造規定剤は、1種類のみ使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
構造規定剤とSi源の割合は、特に限定されるものではないが、Si源中のSi原子に対する構造規定剤のモル比として通常0.05以上であり、好ましくは0.07以上である。また上限は、特に限定はされないが、通常1.0以下、好ましくは0.5以下で、より好ましくは0.3以下である。構造規定剤が、アルミノシリケート構造のCHAケージ4つに1つの割合で入る程度の量の構造規定剤が存在すれば、結晶化が容易になる。
上記比率が小さすぎる場合には、アルミノシリケート中間体の結晶化が促進されないことがある。上記比率が大きすぎる場合には、結晶化は容易になるが生成物の水熱安定性や耐酸性が低下する可能性がある。また、高価な構造規定剤を使用する場合にはアルミノシリケート製造におけるコストの増加の要因にもなる。
(アルカリ金属源)
本発明において用いられるNaを含有するアルカリ金属源は、水熱合成時にNa原子を供給するものであれば、特に限定されるものではないが、通常、ナトリウムの塩や水酸化物が使用され、好ましくは水酸化ナトリウムである。Naを含むアルカリ金属源は、固体として添加しても一定濃度の水溶液として添加しても良い。
またNaを含まないアルカリ金属源やアルカリ土類金属源を併用してもよい。Naを含まないアルカリ金属源としては、例えばLi、K、Cs等の化合物が挙げられ、具体的にはLiOH、NaOH、KOH、CsOH等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。
溶解性の高さからは、アルカリ金属化合物が好ましい。しかし、例えばKを含むアルカリ金属源を用いた場合、結晶化速度が加速されることにより得られる結晶の粒子径が大きくなり、触媒活性を下げることがあるため、その含有量は少ない方が好ましい。Naを含まないアルカリ金属源やアルカリ土類金属源は、固体として添加しても一定濃度の水溶液として添加しても良い。
製造コストの面や、濃度、組成の調整の容易さから、アルカリ金属源として水酸化ナトリウム水溶液を用いることが特に好ましい。
本発明の工程(A)におけるNa原子源とSi源の割合は、特に限定されるものではないが、Si原子に対するNa原子のモル比として、通常0.04以上、好ましくは0.1以上であり、また上限は、通常3.0以下、好ましくは2.0以下である。
このモル比が小さすぎる場合には、結晶化のために高価な構造規定剤を多く使用しなければならないため、工業生産性が低くなることがある。また、反応混合物中の塩基性が下がるために結晶化途中で析出が起こり、結晶化速度を下げる可能性がある。また、このモル比が大きすぎる場合には、反応混合物中の水酸化物イオンが増えてアルカリ性が強くなり、Si源が溶解した状態で安定となることで効率的な結晶化を妨げる可能性がある。
本発明の工程(A)におけるNa原子源と構造規定剤の割合は、構造規定剤に対するNa原子のモル比として、2.0以下であり、好ましくは1.2以下である。また下限は、特に限定されるものではないが、通常0.6以上、好ましくは1.0以上である。
このモル比が大きすぎる場合には、結晶化速度が下がるか、或いは結晶化しないといった現象が起こることがあり、アルミノシリケート中間体の生産性が著しく低下する場合がある。逆にこのモル比が小さすぎる場合には、結晶化のために高価な構造規定剤を多く使用しなければならないため、工業生産性が低くなることがある。
本発明の工程(A)においては、前記Al源、Si源、アルカリ金属源、構造規定剤を、通常、水中で混合し、水熱合成用反応混合物(以下単に反応混合物という)とし、水熱合成に供する。使用する水とSi源の割合は、Si原子に対する水のモル比として、通常15以上、好ましくは20以上であり、また上限は、通常100以下、好ましくは50以下で、より好ましくは40以下である。
使用する水の量が少なすぎる場合には、反応混合物の粘性が高くなるか、或いは流動性が低くなることがあり、反応混合物の製造中あるいは水熱合成時の加熱中における充分な攪拌が困難になる傾向がある。また、水の量が多すぎる場合には、反応混合物あたりのアルミノシリケート中間体取得量が少なくなり、生産性が低くなる傾向がある。
そして使用する水の量が少なすぎる場合には、得られるアルミノシリケート中間体、及びCHA型アルミノシリケートの粒子径が大きくなる傾向があり、本発明の目的であるエチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造する触媒として使用した際に、プロピレンが十分に得られないことがある。
(その他成分)
本発明における工程(A)においては、必要に応じ反応混合物に種結晶を添加して水熱合成を行うことができる。種結晶は、適当な溶媒、例えば水に分散させて反応混合物に添加してもよいし、分散させずに固体のまま添加してもよい。
種結晶は、結晶化を促進するものであれば種類は問わないが、効率よく結晶化させるためにはアルミノシリケート、中でもCHA型アルミノシリケートが好ましい。
使用する種結晶の粒子径は、特に限定されるものではないが、小さいほうが望ましく、必要に応じて粉砕して用いても良い。種結晶の粒子径は、具体的には、通常0.5nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上であり、また、通常5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下である。ここでの種結晶の粒子径とは、1次粒子の値であり、最小直径の値である。なお種結晶の粒子径の測定方法は、後述するCHA型アルミノシリケートと同じである。
反応混合物に添加する種結晶の量は特に限定されないが、前述の反応混合物中のSi源に対する種結晶の添加量として、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、
より好ましくは1重量%であり、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。
種結晶の添加量が少なすぎる場合には、CHA型構造を指向する前駆体が減ることになるので、CHA型構造の生成促進作用が十分に発揮されない可能性がある。また、添加量が多すぎる場合には、生成物中に含まれる種結晶の割合が増えることで、反応混合物から新たに製造されるCHAが減ることとなり、生産性が低下する傾向がある。
(水熱合成条件)
本発明の工程(A)における水熱合成は、上記した反応混合物を、通常用いられる水熱合成条件下で加熱することにより行なわれる。
水熱合成に用いる反応容器は、通常水熱合成に用い得るものであれば特に限定されず、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器であればよい。
水熱合成における反応温度(加熱温度)は特に限定されず、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また上限は、通常200℃以下、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記温度域が、反応混合物を結晶化させる上で好適である。温度が低すぎる場合には、アルミノシリケート中間体が結晶化しないことがある。また、温度が高すぎる場合には、CHA型とは異なる構造のアルミノシリケート中間体が生成することがある。
結晶化時の圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた反応混合物を上記温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分であるが、必要に応じて、窒素などの不活性ガスを加えてもよい。
反応時間(加熱時間)は特に限定されるものではないが、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上であり、また上限は、通常は10日間以下、好ましくは5日間以下、より好ましくは2日間(48時間)以下、更に好ましくは30時間以下、特に好ましくは20時間以下である。反応時間が短すぎる場合には、アルミノシリケート中間体が結晶化しないことがある。また、逆に反応時間が長すぎる場合には、CHA型とは異なる構造のアルミノシリケート中間体が生成することがある。反応時間は上記範囲のうち、短いほど生産性が向上する。
反応混合物から、水熱合成により得られたアルミノシリケート中間体を、通常、ろ過等の既知の分離手段により分離する。
アルミノシリケート中間体は、Alを骨格構造内に有するため、骨格構造内の電価バラ
ンスを補償するために通常、骨格構造中にAlに対するカウンターカチオンを有する。カウンターカチオンの種類は特に限定されるものではないが、水熱合成後の反応混合物中に含まれるアルミノシリケート中間体は、反応混合物中に含まれる構造規定剤を、主なカウンターカチオンとして取り込んだ形(以下、As made型という)で得られる。
通常、As made型のアルミノシリケート中間体を焼成することにより構造規定剤を除去し、Na型へ変換することができる。さらに、通常用いられる既知の方法を用いてイオン交換を行うことにより各種のイオン型に変換することができる。具体的には、各種のアンモニウム塩を用いて上記焼成後のNa型のアルミノシリケート中間体をNH型のアルミノシリケート中間体に変換することができる。このNH型をさらに焼成することにより、H型に変換することができる。イオン型としては、後述するシリル化に有利であるため、Na型またはH型が好ましい。
アルミノシリケート中間体の平均一次粒子径は、特に限定されるものではなく、通常200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、通常1nm以上である。平均1次粒子径が大きすぎると、エチレン及び/またはエタノールと接触させた際に、プロピレンの収率が低下する傾向がある。また小さすぎる場合は、取扱いが困難になる場合がある。
なおアルミノシリケート中間体の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた直接観察により求められる。
こうして得られたアルミノシリケート中間体中のSi原子とAl原子の比率を、結晶中に含まれるAlに対するSiOのモル比で表した場合(以下、SiO/Alモル比という)、通常5以上、好ましくは20以上程度であり、より好ましくは25以上である。また、通常100以下であり、好ましくは50以下程度である。前記の比率が小さすぎると、エチレン及び/またはエタノールを原料としてプロピレンを製造する際に、耐久性等の性能が低下することがある。大きすぎると最終的に得られるアルミノシリケートの酸量が少なくなり、プロピレンの製造反応が進みにくい場合がある。
なお上記SiO/Alモル比は、後述する蛍光X線分析(XRF)法により得られた値である。
なおアルミノシリケート中間体には、種々の方法で金属を担持することもできる。担持する金属としては、例えば、銅、鉄、コバルト、クロム、白金などが挙げられる。また、これらの金属は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<工程(B)>
本発明の工程(B)では、工程(A)で得られたアルミノシリケート中間体をシリル化する。以下、本工程(B)を経て得られたものを、単に「CHA型アルミノシリケート」と称す。
シリル化の方法は特に限定はされないが、例えば国際公開2010/128644号パンフレットに記載の方法に従い、アルミノシリケート中間体の外表面をシリル化することができる。外表面をシリル化することにより、得られるCHA型アルミノシリケートの外表面酸量を低下させ、得られるCHA型アルミノシリケートの結晶に含まれる全酸量の5%以下とすることが好ましい。アルミノシリケート中間体の外表面に存在する細孔付近の酸性水酸基またはシラノール性水酸基がシリル化されることにより、外表面細孔径が縮小し、通常よりも高い形状選択性を有するCHA型アルミノシリケートが発現するものと考えられる。
具体的に好ましいシリル化の方法としては、Na型またはH型のアルミノシリケート中間体に適切な量の水分を付与し(以下、これを「調湿処理」ということがある)、トルエ
ン等の炭化水素溶媒中においてアルコキシシランなどのシリル化剤と反応させる方法が挙げられる。
<水分含有量>
調湿処理により、アルミノシリケート中間体の細孔内に含まれた水は、アルミノシリケート中間体外表面と反応したシリル基上の置換基を加水分解する役割を担い、シリル化被覆効率を高める効果があると考えられる。すなわち、シリル基上の置換基が加水分解されることにより、新たなシラノール性水酸基が生じ、その部位でさらにシリル化剤と反応するものと考えられる。また、外表面に結合したシリル化基付近の立体障害が緩和され、シリル化剤接近効率、反応効率が向上すると考えられる。
調湿処理により、アルミノシリケート中間体中に含まれる水分量は、乾燥アルミノシリケート中間体重量に対し、通常10重量%以上、より好ましくは12重量%以上であり、さらに好ましくは14重量%以上である。また、通常25重量%以下、より好ましくは23重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。水分量が少なすぎる場合には、シリル化被覆効率が低下し、外表面酸点の十分な被覆や細孔径の縮小効果が得られない場合がある。また多すぎる場合には、過剰なシリル化被覆により細孔が閉塞し、触媒活性が低下する傾向がある。
<調湿処理方法>
調湿処理方法としては、シリル化処理に供するアルミノシリケート中間体の水分を所定量に調整することができれば、特に限定されるものではない。例えば、アルミノシリケート中間体を適当な相対湿度を有する大気中に放置することで調湿処理することができる。
また、デシケーター中に、水を入れた容器を置き、飽和水蒸気雰囲気下、アルミノシリケート中間体を入れて放置することによっても調湿処理することができる。場合によっては、水の代わりに塩化アンモニウムや硫酸アンモニウム等の無機塩の飽和水溶液を入れた容器を共存させることにより、デシケーター中の水蒸気圧を調節した条件下で、調湿処理を行うこともできる。また、適当な水蒸気圧のガスを流通させることにより、調湿を行うこともできる。なお、より均一な調湿を行うために、アルミノシリケート中間体を混合または攪拌しながら調湿処理を行ってもよい。
<シリル化剤>
シリル化剤としては、アルミノシリケート中間体の細孔に入ることが実質上できない分子であれば、特に限定されるものではなく、各種既知のシリル化剤、具体的にはシリコーン、クロロシラン、アルコキシシラン、シロキサン、シラザンなどが使用でき、具体的には、国際公開2010/128644号に記載のシリル化剤が利用できる。これらのうち好ましいシリル化剤は、アルコキシシランである。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4級アルコキシシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン等の3級アルコキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン等の2級アルコキシシラン、メトキシトリメチルシラン、メトキシトリエチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン等の1級アルコキシシランが用いられる。好ましくは2級以上のアルコキシシランであり、より好ましくは3級以上のアルコキシシランであり、さらに好ましくは4級アルコキシシランである。
(溶媒)
工程(B)のシリル化は、各種溶媒中で行なうことができ、好ましくは炭化水素溶媒中で行う。前記炭化水素溶媒の種類としては、特に限定されるものではないが、脂肪族炭化
水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらのうちで好ましい炭化水素は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンである。
(反応原料組成)
前記溶媒中のシリル化剤の濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。また、通常80重量%以下であり、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。シリル化剤濃度が低すぎる場合では、シリル化反応の速度が低下するため、反応時間が長くなる傾向があり、シリル化剤濃度が高すぎる場合では、溶液中のシリル化剤同士の縮合反応が起こりやすくなる傾向がある。
アルミノシリケート中間体に対するシリル化剤の量は、特に限定されるものではないが、アルミノシリケート中間体1モルに対して、通常0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上、より好ましくは0.1モル以上である。また、通常5モル以下であり、好ましくは3モル以下、より好ましくは1モル以下である。
シリル化剤の量が少なすぎる場合では、シリル化が不十分となり、シリル化の効果が小さくなることがあり、逆に多すぎる場合では、シリル化剤が過剰に積層して細孔が閉塞することがある。なお、上記シリル化剤の量は、シリル化剤に含まれるSi原子のモル数で表すこととし、分子内に複数のSi原子を有するシリル化剤では、そのSi原子の合計モル数をシリル化剤のモル数として扱うことにする。
アルミノシリケート中間体に対する溶媒の量は、特に制限されるものではないが、アルミノシリケート中間体1gに対して、通常1g以上、好ましくは3g以上、より好ましくは5g以上である。また、通常100g以下、好ましくは60g以下、より好ましくは20g以下である。溶媒の量が少なすぎる場合には、シリル化の原料組成物の攪拌が不十分となる場合があり、逆に多すぎる場合には、生産性が低くなる場合がある。
(反応条件)
シリル化時の反応温度(以下、シリル化温度と称することがある)は、シリル化剤や溶媒の種類にもよるが、特に限定されるものではなく、通常20℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上である。また、通常140℃以下、好ましくは120℃以下であり、より好ましくは100℃以下である。シリル化温度が低すぎる場合では、シリル化の進行が遅くなる傾向があり、逆に高すぎる場合では、アルミノシリケート中間体細孔内の水分が大幅に失われ、シリル化効率が低下する場合がある。
シリル化剤を添加してからシリル化温度までの昇温に要する時間は、特に限定されるものではない。シリル化温度に達してからシリル化剤を添加してもよいが、シリル化剤添加後、通常0.01時間以上、好ましくは0.05時間以上、より好ましくは0.1時間以上かけて昇温する。昇温に要する時間の上限は特にない。シリル化温度が高い場合、昇温に要する時間が短すぎると、アルミノシリケート中間体細孔内からの水の吐出速度が大きくなり、溶液中のシリル化剤の加水分解および重合反応が進行し、アルミノシリケート中間体の外表面のシリル化効率が低下する場合がある。
シリル化の処理(反応)時間は、反応温度にもよるが、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上であり、より好ましくは1時間以上であり、処理時間の上限は特にない。処理時間が短すぎると十分なシリル化が起こらず、外表面酸量の低下が不十分となる場合がある。
(シリル化されたCHA型アルミノシリケート)
工程(B)を経て得られたCHA型アルミノシリケートは、シリル化処理によってその骨格構造、粒子径等には変化はなく、基本的にシリル化前と同じである。原子組成は、シリル化剤がアルミノシリケート中間体の外表面反応点と新たな結合を形成することにより、Si原子の割合が増加する。
工程(B)を経て得られたCHA型アルミノシリケートの外表面酸量は、特に限定されるものではないが、通常は結晶に含まれる全酸量の5%以下であるものが好ましい。
外表面酸量とは、アルミノシリケート外表面上に存在する酸点の量であり、結晶に含まれる全酸量とは結晶の細孔内に存在する酸点の量と外表面酸点の量の総和である。本発明におけるこれらの値については国際公開2010/128644号パンフレットに記載の方法で測定したものである。
外表面酸点が多すぎると、該アルミノシリケートを後述するプロピレン製造用触媒として用いた場合に、触媒の外表面で形状選択的でない反応が起こり、副生成物の増大を引き起こす傾向があるため、外表面酸量は少なければ少ないほどよい。
本発明にて得られたCHA型アルミノシリケートの平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、後述するプロピレンの製造方法において、粒子径が大きいものは、プロピレンの収率が劣る傾向があるため、小さいものが好ましく、通常200nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、通常1nm以上である。平均1次粒子径が大きすぎると、エチレン及び/またはエタノールと接触させた際に、プロピレンの収率が低下する傾向がある。また小さすぎる場合は、取扱いが困難になる場合がある。
なお本発明において得られた触媒の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた直接観察により求められる。
(成型処理)
本発明で得られたCHA型アルミノシリケートを、触媒として反応に用いる場合は、そのまま用いても良いし、既知の反応に不活性な物質やバインダーを用いて、既知の方法により造粒・成型して、或いはこれらを混合して反応に用いても良い。また、成型により、上記外表面酸量を全体酸量に対して好ましい比率に低下させることも可能である。なお、通常はアルミノシリケートが触媒の活性成分となることから、本発明で得られたCHA型アルミノシリケートを触媒として用いる場合、「触媒活性成分」ということがある。
上記反応に不活性な物質やバインダーとしては、アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゾル、石英、およびそれらの混合物等が挙げられる。成型による外表面酸量低下の方法としては、例えば、バインダーとアルミノシリケート外表面の酸点を結合させる等の方法が挙げられる。
<プロピレンの製造方法>
本発明の製造方法により得られるCHA型アルミノシリケートは、エチレン及び/又はエタノールを接触させることにより、プロピレンを製造することができる触媒である。
プロピレンの製造は、既知の方法にて行なうことができる。具体的には、特開2007−291076号公報や、国際公開2010/128644号パンフレットに記載の方法を用いることができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。
(物性及び分離性能の測定)
以下の「実施例」及び「比較例」において、物性や分離性能等の測定は、特に明記しない限り次のとおり行った。
(1)蛍光X線分析(X-ray Fluorescence Analysis、XRF)
得られたCHA型アルミノシリケートのSiO/Alモル比は、蛍光X線分析により行なった。XRF測定は以下の装置及び方法を用いて行った。
・装置名:島津製作所社製 島津エネルギー分散型蛍光X線分析装置Rayny EDX−700
定量分析は、あらかじめSiO/Alモル比が10.5、15.9、8.2、26、42.2であることが確認できているアルミノシリケートを標準物質として測定し作成した検量線を基に行った。
(2)X線回折(X‐ray diffraction、XRD)測定
アルミノシリケートのXRD測定を、以下の条件で行った。
・装置名:オランダPANalytical社製X’PertPro MPD
・光学系仕様 入射側:封入式X線管球(CuKα)
Soller Slit (0.04rad)
Divergence Slit (Valiable Slit)
試料台:回転試料台(Spinner)
受光側:半導体アレイ検出器(X’ Celerator)
Ni−filter
Soller Slit (0.04rad)
ゴニオメーター半径:243mm
・測定条件 X線出力(CuKα):40kV、30mA
走査軸:θ/2θ
走査範囲(2θ):3.0−50.0°
測定モード:Continuous
読込幅:0.06°
計数時間:29.8sec
自動可変スリット(Automatic−DS):10mm(照射幅)
横発散マスク:10mm(照射幅)
なお、X線は円筒管の軸方向に対して垂直な方向に照射した。またX線は、できるだけノイズ等が入らないように、試料台においた円筒管状の膜複合体と、試料台表面と平行な面とが接する2つのラインのうち、試料台表面ではなく、試料台表面より上部にあるもう一方のライン上に主にあたるようにした。
また、照射幅を自動可変スリットによって10mmに固定して測定し、Materials Data, Inc.のXRD解析ソフトJADE 7.5.2(日本語版)を用いて可変スリット→固定スリット変換を行ってXRDパターンを得た。
本発明により得られるCHA型アルミノシリケートの粒子径は、以下の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で直接測定し求めた。SEM測定は以下の条件で求めた。
(3)走査型電子顕微鏡(SEM)測定
装置:日立製作所株式会社製 走査型電子顕微鏡S−4100
加速電圧:15kV
測定方法: SEMで倍率6万倍に拡大した粒子画像を測定し、目視で確認可能な各粒
子の最小構成単位粒子を1次粒子と定義する。
測定した粒子画像の中央に1μm×1μmの正方形を置き、正方形内部にある複数個の1次粒子(50〜100個程度)のそれぞれの粒子径を求める。1次粒子径は、粒子の最も長い径を用いる。求めた粒子径の個数平均値を求め、平均1次粒子径とした。
すなわち、個々の1次粒子の粒子径をx、x、x・・・xとしたとき、平均1次粒子径は、下記式で表される。
<実施例1>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム1.9gを水141gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液24gを加え脱塩水4.0gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)2.1gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度30重量%のシリカゾル(カタロイドSi−30、粒子径10〜14nm、日揮触媒化成社製)56gを加え、脱塩水4.0gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.34gを種結晶として加え、脱塩水8.1gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で42時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
上記で得られたアルミノシリケートを、XRFにて測定したところSiO/Alモル比は24.3であった。またXRD測定の結果、CHA構造を有するアルミノシリケートであった。XRDパターンを図1に示す。
乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下550℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したH型のCHA型アルミノシリケート2.0gを磁製皿に秤量した。飽和塩化アンモニウム水溶液と共にデシケーター中で開放しておくことにより、アルミノシリケート中に含まれる水分が25重量%となるように調湿した。これに対し、溶媒としてトルエン20mL、シリル化剤としてテトラエトキシシラン5.0mLを加え、攪拌しながら70℃で4時間加熱処理を行った。終了後、濾過によって固液を分離し、得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<実施例2>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム1.6gを水72gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液38gを加え脱塩水3.7gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加え脱塩水8.3gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度30重量%のシリカゾル(カタロイドSi−30、粒子径10〜14nm、日揮触媒化成社製)111gを加え、脱塩水4.0gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.67gを種結晶として加え、脱塩水8.0gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下180℃で20時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であ
った。
上記で得られたアルミノシリケートは、XRFにて測定したところSiO/Alモル比は25.2であった。またXRDパターン(図3)より、主成分がCHA構造であるアルミノシリケートであることがわかった。得られたアルミノシリケートを乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下500℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したH型アルミノシリケート2.0gを使用し、アルミノシリケート中に含まれる水分を21重量%とした以外は上記実施例1と同様の方法でシリル化を行った。得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<実施例3>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム1.7gを水72gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液38gを加え脱塩水4.2gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度30重量%のシリカゾル(カタロイドSi−30、粒子径10〜14nm、日揮触媒化成社製)111gを加え、脱塩水4.0gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.67gを種結晶として加え、脱塩水7.7gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で30時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
上記で得られたアルミノシリケートは、XRFにて測定したところ、SiO/Alモル比は25.5であった。またXRDパターン(図5)より、CHA構造を有するアルミノシリケートであることがわかった。
乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下500℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したH型のCHA型アルミノシリケート2.0gを使用し、アルミノシリケート中に含まれる水分を23重量%とした以外は上記実施例1と同様の方法でシリル化を行った。得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<実施例4>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-1-adamantammonium hydroxide)水溶液47gおよび1Mの水酸化ナトリウム水溶液55gを脱塩水37gと混合して溶解させ、これに水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加えて攪拌した。水酸化アルミニウムを完溶させた後、シリカ源としてシリカ濃度30重量%のシリカゾル(カタロイドSi−30、粒子径10〜14nm、日揮触媒化成社製)110gを加えて十分に攪拌した
。さらにSiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.67gを種結晶として加え、攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で20時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
上記で得られたアルミノシリケートは、XRFにて測定したところSiO/Alモル比は24.7であった。またXRDパターン(図7)より、主成分がCHA構造であるアルミノシリケートであることがわかった。乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成してNa型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したNa型のCHA型アルミノシリケート0.5gを磁製皿に入れ、大気中に開放しておくことによりアルミノシリケート中に含まれる水分が11重量%となるように調湿した。これに対して、溶媒としてトルエン5.0mL、シリル化剤として
テトラエトキシシラン1.3mLを加え、攪拌しながら100℃で1時間加熱処理を行っ
た。終了後、濾過によって固液を分離し、得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<実施例5>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム2.0gを水92gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液47gを加え脱塩水4.1gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度40重量%のシリカゾル(スノーテックス40、粒子径10〜20nm、日産化学工業社製)84gを加え、脱塩水4.4gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.67gを種結晶として加え、脱塩水7.5gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で20時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
上記で得られたアルミノシリケートは、XRFにて測定したところSiO/Alモル比は25.1であった。またXRDパターン(図9)より、CHA構造を有するアルミノシリケートであることがわかった。
乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下550℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したH型のCHA型アルミノシリケート2.0gを使用し、アルミノシリケート中に含まれる水分を25重量%とした以外は上記実施例1と同様の方法でシリル化を行った。得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<比較例1>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム2.3gを水93gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液47gを加え脱塩水4.2gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度40重量%のシリカゾル(カタロイドSi−80P、粒子径60〜80nm、日揮触媒化成社製)83gを加え、脱塩水4.5gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して5重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート1.7gを種結晶として加え、脱塩水7.3gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で15時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
上記で得られたアルミノシリケートは、XRDパターン(図11)より、CHA構造を有するアルミノシリケートであり、XRFにて測定したところSiO/Alモル比は25.4であった。
乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下500℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記水熱合成で調製したH型のCHA型アルミノシリケート1.0gを使用し、アルミノシリケート中に水分を含まない状態とした以外は上記実施例1と同様の方法でシリル化を行った。得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥してシリル化した触媒を得た。
<比較例2>
(アルミノシリケートの調製)
水酸化ナトリウム4.0gを水76gと混合して溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-
1-adamantammonium hydroxide)水溶液33gを加え脱塩水4.0gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)4.3gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度30重量%のシリカゾル(カタロイドSi−30、粒子径10〜14nm、日揮触媒化成社製)111gを加え、脱塩水4.0gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して2重量%に相当する焼成したCHA型アルミノシリケート0.67gを種結晶として加え、脱塩水8.0gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下180℃で15時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は25であった。
生成物のXRDパターンより(図13)、僅かにCHA構造が観測されているものの主生成物はアモルファスであることが確認された。
<比較例3>
(CHA型アルミノシリケートの調製)
1Mの水酸化ナトリウム水溶液84g、水酸化カリウム2.0gを水80gと混合して均一に溶解させ、続いて25重量%のN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウ
ムハイドロオキサイド(N,N,N-trimethyl-1-adamantammonium hydroxide)水溶液5.1g
を加え脱塩水4.1gで洗い込みを行った。攪拌を続けたままで水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム換算で50〜57重量%含有)3.8gを加え脱塩水8.0gで洗い込み、完溶させた。シリカ源としてシリカ濃度40重量%のシリカゾル(スノーテックス40、粒子径10〜20nm、日産化学工業社製)84gを加え、脱塩水4.2gで洗い込んだ後十分に攪拌した。SiOの重量に対して5重量%に相当する焼成したCHA型アル
ミノシリケート0.90gを種結晶として加え、脱塩水7.7gで洗い込んでさらに攪拌した。得られたゲルをオートクレーブに仕込み、攪拌条件下160℃で48時間、水熱合成を行った。生成物を濾過、水洗した後、100℃で一晩乾燥させた。なお水熱合成時のSiO/Alモル比は15であった。
上記で得られたアルミノシリケートは、生成物のXRDパターンより(図14)、CHA型構造を含むアルミノシリケートであり、一部MOR型構造を含むものであった。XRFにて測定したところ、SiO/Alモル比は9.7であった。
乾燥後、空気雰囲気下580℃で焼成し、1Mの硝酸アンモニウム水溶液で80℃・1時間のイオン交換を2回行い、100℃で乾燥してNH型アルミノシリケートを得た。さらに空気雰囲気下500℃で焼成し、H型のCHA型アルミノシリケートを得た。
(シリル化)
上記で得られたH型のCHA型アルミノシリケートを2.0g使用し、アルミノシリケート中の水分を25重量%とした以外は上記実施例1と同様の方法でシリル化を行った。得られたアルミノシリケートを100℃で乾燥し、シリル化した触媒を得た。
(反応評価)
実施例1〜5及び、比較例1〜3にて得られたアルミノシリケートを触媒とし、プロピレンの製造をおこなった。製造には、常圧固定床流通反応装置を用い、内径6mmの石英製反応管に、上記触媒100mgと石英砂400mgの混合物を充填した。エチレンおよび窒素を、エチレンの空間速度が13mmol/(hr・g−cat)で、エチレン30体積%と窒素70体積%となるように反応器に供給し、350℃、0.1MPaでプロピレンの合成反応を実施した。反応開始より0.8時間後、2.1時間後および3.3時間後にガスクロマトグラフィーで生成物の分析を行った。結果を表2に示した。
なお、表1中の「粒径(nm)」は得られたCHA型アルミノシリケートの平均一次粒子径であり、「SiO/Al(モル比)」は、水熱合成時のSiO及びAlのモル比である。
また表2中の「C4+選択率」とは、以下の式で算出される値である。
[式1]
〔C4+選択率〕=〔反応器出口の炭素数4以上の炭化水素成分由来のカーボンモル流量(mol/hr)〕/〔反応器出口の総カーボンモル流量(mol/hr)−反応器出口のエチレン由来のカーボンモル流量(mol/hr)〕
表1に示す通り、実施例1〜5のように粒子径が50nmよりも小さなシリカゾルを用い、かつ構造規定剤に対するNa原子のモル比が2.0以下の条件で水熱合成を実施し、得られたCHA型アルミノシリケートにシリル化処理を行った触媒を用いて、エチレンを原料とするプロピレンの製造反応を行った。なお反応評価は2.1時間後以降の反応成績を以っておこなっている。本発明にかかる反応においては、反応開始当初はプロピレンがほとんど得られないが、触媒を一定時間反応に供した後に高いプロピレン選択率を発現し、プロピレン製造に適した状態になるものと考えられるため、2.1時間経過後からの評価としている。
実施例1〜5で得た触媒は、2.1時間経過時での評価で83.4〜89.3mol%の高いプロピレン選択率となり、良好な反応性と選択性を示した。
これに対し、比較例1のように触媒のSi源として、粒子径が50nmを超えるシリカゾルを用いた場合ではエチレン転化率の低下が速く、またパラフィン選択率が高くなりプロピレン選択率が低くなっていた。比較例1は、アルミノシリケートの粒子径が大きいため同じ重量あたりの外表面酸点量が少なく、シリル化が多層に及び、外表面の細孔がシリル化により被覆されることで、エチレンのアルミノシリケート細孔内での拡散が充分にできなくなって転化率が低下したと推測される。また、触媒の粒子径が大きいと生成したプロピレンが触媒の外へ拡散する前に別の酸点と接触しやすくなり、逐次反応が起こってコークなどの原料として消費されてしまう。従って、転化率が低い領域までパラフィン選択率が高くなっていると推測される。
また、比較例2や比較例3のように、構造規定剤に対するNa原子のモル比が2.0を超える場合には、CHA型アルミノシリケートの結晶化が非常に進行しにくくアモルファスとなっていた。SiO/Alモル比が25の場合、CHA型構造のケージ1つに対し約1つの酸点が含まれるため、ケージよりも小さなNa原子2つを取り込むよりもケージと同等の空間容積を持つ構造規定剤1分子を取り込む方がより結晶化しやすくなる。従って、本反応条件では、過剰に添加されたNa原子によって構造規定剤を取り込むことによる結晶化が阻害されるため、結晶化速度が遅くなったと推測される。
本発明の触媒の製造方法により、触媒の製造効率が向上し、かつエチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造する際に用いる反応活性の高い触媒が得られる。

Claims (5)

  1. エチレン及び/又はエタノールと接触させてプロピレンを製造するための触媒の製造方法であって、下記工程(A)及び工程(B)を含み、下記構造規定剤がN,N,N−トリアルキル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンであることを特徴とする、プロピレン製造用触媒の製造方法。
    工程(A):水、Al源、平均粒子径が50nm以下のSi源、Naを含むアルカリ金属源および構造規定剤を、Si源に含まれるSi原子に対する水のモル比が15以上でありかつ構造規定剤に対するアルカリ金属源に含まれるNa原子のモル比が2.0以下となるよう混合した後、水熱合成を行ない、CHA型アルミノシリケートを得る工程
    工程(B): 上記CHA型アルミノシリケートを、シリル化処理する工程
  2. 前記Si源が、コロイダルシリカであることを特徴とする、請求項1に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法。
  3. 前記水熱合成時のAl源とSi源の混合比率が、SiO/Alモル比で、20以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法。
  4. 前記工程(A)にて得られたアルミノシリケートの平均1次粒子径が200nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法。
  5. 前記工程(A)において用いる構造規定剤の量が、Si原子に対する構造規定剤のモル比で0.05以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン製造用触媒の製造方法。
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