JP5966738B2 - 放音装置 - Google Patents

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本発明は、複数のスピーカを有するスピーカアレイにより複数の音響ビームを各々異なる方向に放音してマルチチャンネル音の再生を行なう放音装置に関する。
マトリックス状に配置された複数のスピーカを有するスピーカアレイを用いて、マルチチャンネル音を構成する複数のチャンネルの音の各々を、各々異なる方向に音響ビームとして放音することにより、1つのスピーカアレイによりマルチチャンネル音の再生を可能とする放音装置(以下、「スピーカアレイ装置」と呼ぶ)がある。
スピーカアレイ装置から放音される音響ビームの一部は、スピーカアレイ装置の配置されている空間の外縁を定めている壁面に1回以上反射した後、聴取者からみてスピーカアレイ装置の方角とは異なる方角から聴取者に到達する。図14は、スピーカアレイ装置から放音された音響ビームが聴取者に到達する経路を示した図である。図14に示される空間SPの形状は上から見て矩形であり、聴取者Uから見て正面側の壁面WF、左側の壁面WL、後側の壁面WB、右側の壁面WR、床(図示略)および天井(図示略)によりその外縁が定められている。空間SP内には、壁面WFに近い左右方向中央位置に、スピーカの放音面が壁面WFと平行となるように、スピーカアレイ装置である放音装置91が配置されている。
放音装置91は、水平面上において、放音装置91の放音面に平行なベースラインBの聴取者Uから見て左側の半直線の方向を基準方向(0度方向)として、角度θ1の方向、角度θ2の方向、角度θ3の方向、角度θ4の方向、角度θ5の方向(ただし、0度<θ1<θ2<θ3<θ4<θ5<180度)に、5.1チャンネルのマルチサラウンドチャンネル音を構成するフロント左チャンネル(以下、「Lch」と呼ぶ)の音、サラウンド左チャンネル(以下、「SLch」と呼ぶ)の音、センタチャンネル(以下、「Cch」と呼ぶ)、サラウンド右チャンネル(以下、「SRch」と呼ぶ)の音、フロント右チャンネル(以下、「Rch」と呼ぶ)の音を各々、音響ビームとして放音する。
なお、5.1チャンネルのマルチサラウンドチャンネル音を構成する低音増強用チャンネル(Low Frequency Effects Channel、以下、「LFEch」と呼ぶ)の音は放音装置91から音響ビーム化されずに放音される。そのため、本願においてLFEchの音信号に関する処理についてはその説明を省略する。
角度θ1および角度θ5の方向に放音されたLchおよびRchの音響ビームは壁面WL又は壁面WRに反射した後、各々、左前方および右前方から聴取者Uに到達する。従って、聴取者Uはあたかも左前方に配置された(実在しない)スピーカ90LからLchの音が、右前方に配置された(実在しない)スピーカ90RからRchの音が放音されたかのように知覚する。また、角度θ2および角度θ4の方向に放音されたSLchおよびRLchの音響ビームは壁面WL又は壁面WRと、壁面WBに計2回反射した後、各々、左後方および右後方から聴取者Uに到達する。従って、聴取者Uはあたかも左後方に配置された(実在しない)スピーカ90SLからSLchの音が、右後方に配置された(実在しない)スピーカ90SRからSRchの音が放音されたかのように知覚する。また、角度θ3の方向に放音されたCchの音響ビームは直接、前方から聴取者Uに到達する。従って、聴取者Uは前方に配置されたスピーカ90CからCchの音が放音されたと知覚する。
上記のように、聴取者Uは各々異なる方角から到達する音を聴くため、マルチサラウンドチャンネル音を聞くことができる。
スピーカアレイ装置が上記のようにマルチサラウンドチャンネル音の再生を行なうためには、各チャンネルの音響ビームの放音方向が正しく設定される必要がある。スピーカアレイ装置から放音される音声ビームの角度を設定する技術を開示した文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1に開示のスピーカアレイ装置においては、テスト音声ビームをスピーカアレイから旋回しながら出力し、聴取位置に配置されたマイクロフォンにより直接音および反射音を集音することにより、ビームの旋回角度に対する信号レベルを測定し、測定された信号レベルがピークとなる角度を複数特定する。そのように特定した旋回角度のいずれかを所定の規則に従い各チャンネルの音声ビームの放音角度として設定する。
特許第4127248号明細書
スピーカアレイ装置によりマルチサラウンドチャンネル音の再生を行なうためには一般的に、スピーカアレイ装置から放音された音響ビームを低損失で反射する壁面が望ましい位置に存在する必要がある。そのような壁面が存在しない部屋等においてもスピーカアレイ装置によるマルチサラウンドチャンネル音の再生を可能とするために、音響反射板が利用される場合がある。図15は、音響反射板の一例をその背面から見た外観図である。音響反射板は低損失で音を反射する板であり、平板な面に垂直な方向が水平方向となる向きでスタンドに取り付けられて、スピーカアレイ装置から放音された音響ビームが音響反射板に反射して聴取者の頭部に達するようにその中央位置がスピーカアレイ装置の高さと聴取者の頭部の高さの間の適した高さとなるように調整された状態で、スピーカアレイ装置が配置される空間内に配置される。聴取者はあるチャンネルの音響ビームを反射する望ましい壁面が欠落している場合、その音響ビームの放音方向に音響反射板を配置して壁面の欠落を補うことで、スピーカアレイ装置によるマルチサラウンドチャンネル音の再生を可能とすることができる。
音響反射板はスピーカアレイ装置の配置される空間内の任意の位置に配置され得る。そのため、例えば特許文献1に提案されているスピーカアレイ装置が備える音響ビームの放音方向の自動設定機能を用いた場合、音響反射板が使用されていると、音響ビームの放音方向が正しく設定されない場合があり得る。例えば、図14に示した壁面WRの一部が図16に示すように欠落している場合、Rchの音響ビームを角度θ5の方向に放音しても、Rchの音は聴取者Uに到達しない。そこで、聴取者UがRchの音響ビームを反射するために音響反射板RBを右前方の角度θ6の位置に配置したとする。この場合、スピーカアレイ装置は、角度θ6の方向に放音された音響ビームが壁面WRに1回反射して聴取者Uの右前方から到達する経路は無いと判定して、角度θ6の方向をRchの音響ビームの放音の方向として設定しない可能性がある。
従って、従来、スピーカアレイ装置が配置された空間内に音響反射板が配置された場合、スピーカアレイ装置が音響ビームの放音方向を自動設定する機能を備えていたとしても、ユーザがその音響反射板に割り当てたいチャンネルの音響ビームの放音方向を手動で調整する必要があった。
上記の事情に鑑み、本発明は、スピーカアレイ装置が配置された空間内に音響反射板が配置された場合であっても音響ビームの放音方向を自動的に設定可能とする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、複数のスピーカを有するスピーカアレイと、前記複数のスピーカのうちの1以上のスピーカの各々に音信号を出力し、当該音信号の出力のタイミングを制御して前記スピーカアレイから1以上の方向の各々に音響ビームを放音させる音信号出力手段と、聴取位置に配置されたマイクロフォンから出力される集音信号を受け取る集音信号入力手段と、前記音信号出力手段が前記スピーカアレイに対し放音の方向を変化させながらテスト用の音響ビームを放音させる場合に、音響ビームの方向を示す方向データと、前記マイクロフォンが集音した集音信号とを関連付けて記憶する記憶手段と、前記記憶手段に互いに関連付けて記憶された方向データと集音信号に基づき、当該集音信号中のおける複数のピークを検出し、各ピークにおける方向をピーク方向として特定するピーク特定手段と、前記スピーカアレイから放音される音響ビームを反射するための音響反射板が存在するか否かを特定する音響反射板有無特定手段と、マルチチャンネル音を構成する複数の音のチャンネルのうち少なくとも1のチャンネルに対し、前記ピーク特定手段により特定された1以上のピーク方向の中から所定の規則に従い選択したピーク方向を設定する方向設定手段とを備え、前記方向設定手段は、前記音響反射板有無特定手段により音響反射板が存在しないと特定された場合と音響反射板が存在すると特定された場合で互いに異なる前記所定の規則に従い、チャンネルに対するピーク方向の設定を行なう放音装置を提供する。
このような放音装置によれば、放音装置が配置される空間内に音響反射板が存在する場合は音響反射板が存在しない場合と異なる規則に従い音響ビームの放音方向が特定されるため、音響反射板に対するチャンネルの割り当てが正しく自動的に設定され得る。
また、上記の放音装置において、前記所定の規則は、選択されるピーク方向が含まれるべき所定の範囲を条件として含み、前記方向設定手段は、前記音響反射板有無特定手段により音響反射板が存在すると特定された場合、前記所定の範囲を拡張する、という構成が採用されてもよい。
このような放音装置によれば、放音装置が配置される空間内に音響反射板が存在する場合は音響反射板が存在しない場合よりも広い範囲内で音響ビームの放音方向が選択されるため、壁面による反射では聴取者に音響ビームが到達し得ない方向に音響反射板が配置された場合であっても、音響反射板に対するチャンネルの割り当てが正しく自動的に設定され得る。
また、上記の放音装置において、ユーザによる操作に応じて所定の信号を生成することにより前記ユーザによるデータの入力を受け付ける操作手段を備え、前記音響反射板有無特定手段は、前記操作手段に対し前記ユーザにより入力されたデータに基づき、音響反射板が存在するか否かを特定する、という構成が採用されてもよい。
このような放音装置によれば、ユーザにより入力されたデータに基づき音響反射板の有無が特定されるため、チャンネルの音響反射板に対する割り当てがユーザの意図に従い行なわれ得る。
また、上記の放音装置において、前記音響反射板有無特定手段は、前記ピーク特定手段により検出されたピークのうち少なくとも1のピークが所定の条件を満たす場合、音響反射板が存在すると特定する、という構成が採用されてもよい。
このような放音装置によれば、音響反射板の有無が自動的に特定されるため、ユーザによる音響反射板の有無を示すデータの入力の有無にかかわらず、音響反射板に対するチャンネルの割り当てが行なわれ得る。
また、上記の放音装置において、前記音響反射板有無特定手段は、前記ピーク特定手段により検出された一のピークにおける音圧レベルが所定の閾値以上であり、当該一のピークを形成する領域の方向に関する幅が所定の閾値以下である場合、当該一のピークにおける方向に音響反射板が存在すると特定する、という構成が採用されてもよい。
このような放音装置によれば、検出されたピークの特性に基づき、そのピークが音響反射板に応じたピークであるか否かの判定が行なわれるため、壁面と比べ反射における音圧レベルの損失が小さく、幅(横方向の長さ)が所定値で変化しない音響反射板の有無を高い精度で特定することができる。
本発明の第1実施形態にかかる放音システムの概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態にかかるスピーカアレイにおけるスピーカの配置例を模式的に示した図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。 放音装置から聴取位置に至る音響ビームの望ましくない伝達経路の例を示した図である。 放音装置から聴取位置に至る音響ビームの望ましくない伝達経路の例を示した図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が表示する音響反射板設定画面における設定例を示した図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が表示する音響反射板設定画面における設定例を示した図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が表示する音響反射板設定画面における設定例を示した図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。 本発明の第1実施形態にかかる放音装置が表示する音響反射板設定画面における設定例を示した図である。仕組みを説明するための図である。 スピーカアレイ装置から放音された音響ビームが聴取者に到達する経路を示した図である。 音響反射板の外観図である。 音響反射板が必要となる状況を例示した図である。
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態にかかる放音装置11と、放音装置11が音響ビームの放音方向を設定するために用いるマイクロフォン12とを備える放音システム1の概略構成を示すブロック図である。
放音装置11はまず、マルチチャンネルサラウンド音を構成する複数のチャンネルの音の各々を音響ビームとして互いに異なる方向に放音するスピーカアレイ110を備えている。スピーカアレイ110は放音面が同じ面上に揃えられアレイ状に配置されたn個(nは任意の自然数)のスピーカ1101を有している。図2は、スピーカアレイ110におけるスピーカ1101の配置例を模式的に示した図である。
また、放音装置11は、外部の装置からエンコードされたマルチチャンネルサラウンド音信号を受け取るソース音信号入力部111と、ソース音信号入力部111が受け取ったマルチチャンネルサラウンド音信号をデコードするデコーダ112と、デコーダ112により生成される複数のチャンネル毎の音信号を用いて音響ビームを形成するための音信号を生成し出力する音信号出力部113と、音信号出力部113から出力される音信号をデジタル信号からアナログ音信号に変換してスピーカアレイ110が有するn個のスピーカ1101の各々に出力するDAコンバータ114を備えている。なお、以下の説明において、ソース音信号入力部111が外部の装置から受け取るマルチチャンネルサラウンド音信号は、例として、5.1チャンネルであるものとする。なお、5.1チャンネルのマルチチャンネルサラウンド音信号に含まれるLFEchの音信号に関する処理については、既述のとおりその説明を省略するため、図1においてもLFEchの音信号の処理に関する構成部はその記載が省略されている。
音信号出力部113が音響ビームを形成するための音信号を生成する仕組みの概要を以下に説明する。音信号出力部113はn個のスピーカ1101の各々に対応するn個の処理ブロック1131を備えている。音信号出力部113は、デコーダ112によりデコードされた5つのチャンネルの音信号を各々、n個に分岐させて、n個の処理ブロック1131の各々に入力する。
n個の処理ブロック1131の各々は、5つのチャンネルに応じた5つの遅延器および5つの増幅器と、増幅器により増幅された後の5つの音信号を加算する1つの加算器を備えており、入力された5つの音信号を各々、遅延器により遅延し、増幅器により増幅した後、それらを加算器により加算し、DAコンバータ114に出力する。DAコンバータ114は、n個の処理ブロック1131の各々から入力される音信号をアナログ信号に変換した後、音信号の入力元の処理ブロック1131に対応するスピーカ1101に出力する。
各処理ブロック1131が備える5つの遅延器の各々が行なう遅延処理のディレイタイムは、スピーカアレイ110から放音されるべき音響ビームの方向およびその音響ビームが焦点を結ぶべき位置(スピーカアレイ110からの距離)に応じて定まる。また、各処理ブロック1131が備える5つの増幅器の各々が行なう増幅における増幅率は、スピーカアレイ110から放音されるべき音響ビームの音圧レベルに応じて定まる。放音装置11はそれらのディレイタイムおよび増幅率(以下、「音響ビーム形成パラメータ」と呼ぶ)を算出し音信号出力部113に設定する制御部115を備えている。
制御部115が音響ビーム形成パラメータを決定するためには、上記のように、音響ビームの放音の方向、スピーカアレイ110から音響ビームの焦点までの距離、音響ビームの放音時の音圧レベル、が特定される必要がある。本願の本実施形態においては、スピーカアレイ110から音響ビームの焦点までの距離と音響ビームの放音時の音圧レベルの特定の仕組みについては従来技術が利用可能であるため、その説明を省略する。従って、以下においては放音装置11が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを中心に説明を行なう。
図3は、放音装置11が音響ビームの放音方向を特定する仕組みを説明するための図である。放音装置11は、図3(A)の矢印Dに示すように、スピーカアレイ110からテスト音の音響ビーム(以下、「テスト用音響ビーム」と呼ぶ)を旋回するように放音し、聴取位置に配置されたマイクロフォン12により集音される音を示す集音信号をマイクロフォン12から受け取る。その結果、放音装置11は図3(B)に示すような、テスト用音響ビームの放音方向と集音信号が示す音圧レベルとの関係(以下、「音圧プロファイル」と呼ぶ)を示すデータを得る。放音装置11は音圧プロファイルにおいて音圧レベルがピーク値を示す方向(以下、「ピーク方向」と呼ぶ)の中から、所定の規則に従い各チャンネルの音響ビームの放音方向に適するものを選択する。これにより、放音装置11は各チャンネルの音響ビームの放音方向を決定する。
具体的には、まず、制御部115はテスト音を示すテスト音信号を順次、音信号出力部113に出力するとともに、時間の経過に伴い音響ビームの放音方向が水平面上で変化するように時々刻々と異なる音響ビーム形成パラメータを生成し、そのように生成した音響ビーム形成パラメータを順次、音信号出力部113に入力する。なお、テスト音信号としては、音響ビームの形成が可能な音信号であり、直接音と反射音が重なり合っても互いに干渉し合うことがない波形信号が望ましい。例えば、4kHzを中心とする周期性のない波形信号や雑音信号などがテスト音信号として好適である。放音装置11は各種データを記憶する記憶部118を備えており、テスト音信号を示すデータも記憶部118に記憶されている。
音信号出力部113は制御部115から順次受け取るテスト音信号を、同じく制御部115から順次受け取る音響ビーム形成パラメータに従い処理し、スピーカ1101の各々に対し出力する。その結果、スピーカアレイ110から、テスト用音響ビームが水平面上を旋回するように移動しながら放音されることになる。
上記のようにスピーカアレイ110から放音されたテスト用音響ビームは、直接、又は何度か壁面に反射した後、聴取位置に配置されたマイクロフォン12に到達し集音され、集音信号に変換されて放音装置11に入力される。
放音装置11はマイクロフォン12から出力される集音信号を受け取る集音信号入力部116と、集音信号入力部116が受け取った集音信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するADコンバータ117を備えている。ADコンバータ117はデジタル信号に変換した集音信号を制御部115に引き渡す。
制御部115は音信号出力部113に対し音響ビーム形成パラメータにより指示を行なったテスト用音響ビームの放音方向を示す方向データと、その音響ビーム形成パラメータの出力を行なった後、ADコンバータ117から受け取った集音信号とを互いに関連付けて記憶部118に記憶させる。
テスト用音響ビームの旋回が完了すると、制御部115は記憶部118に互いに関連付けて記憶されている多数の方向データと集音信号の組を読み出し、音圧プロファイルを生成する。図3(B)は制御部115により生成される音圧プロファイルのグラフを例示したものである。図3(B)のグラフにおいては、テスト用音響ビームの放音の方向が横軸に、集音信号の音圧レベルが縦軸に示されている。なお、本実施形態において、放音の方向はベースラインBの左側方向を基準とし、水平面上において反時計回りに増加する角度により特定される。なお、図3(B)のグラフは、制御部115がノイズ除去を行い平滑化したものである(以下に例示する他の音圧プロファイルのグラフも同様)。
続いて、制御部115は音圧プロファイルに示される音圧レベルがピーク値を示す点(以下、「ピーク点」と呼ぶ)を特定し、特定したピーク点のピーク方向の中から各チャンネルの音響ビームの放音方向に適するものを選択する。そのための機能構成部として、制御部115はピーク特定部1151と、方向設定部1152を備えている(図1参照)。
ピーク特定部1151は、音圧プロファイルのグラフの形状を解析し、方向の変化に伴い音圧レベルが所定の閾値以上に増加した後、所定の閾値以下に減少するカーブを描く領域をピーク領域として特定する。図3(C)において、A1〜A5で示される領域がピーク特定部1151により特定されたピーク領域である。続いて、ピーク特定部1151は特定したピーク領域の各々に関し、音圧レベルが最大値を示す点をピーク点として特定する。図3(C)に示すP1〜P5がピーク特定部1151により特定されたピーク点である。
<反射板が配置されていない場合>
図3(A)に示した例のように、部屋に反射板が配置されていない場合、方向設定部1152は、以下に述べる規則(以下、「通常の規則」と呼ぶ)に従い、ピーク特定部1151により特定されたピーク点の中から各ピーク点に割り当てるチャンネルを決定する。通常の規則は、Cch以外のチャンネルの音響ビームが部屋の壁面に反射して伝達することを想定して個々のチャンネルに適するピーク方向を推定する規則である。
(Cchに割り当てるピーク方向)
ピーク値が最大を示すピーク方向で、90度を中心とする所定の範囲(例えば60度〜120度)内に含まれるピーク方向。
(Lchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が0度側に近い所定の範囲(例えば30度〜50度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば40%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク方向が0度に近いもの)
(Rchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が180度側に近い所定の範囲(例えば130度〜150度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば40%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク方向が180度に近いもの)
(SLchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が所定の範囲(Lchのピーク方向の特定に用いる範囲よりも90度側に設定された範囲であり、例えば40度〜60度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば、20%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク値が最大のもの)
(SRchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が所定の範囲(Rchのピーク方向の特定に用いる範囲よりも90度側に設定された範囲であり、例えば120度〜140度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば、20%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク値が最大のもの)
なお、通常の規則において、Lchに割り当てるピーク方向を0度側に近い所定の範囲(例えば30度〜50度)内に限定し、その範囲より0度側の範囲(例えば0度〜30度)を除外している理由は、図4に示すような2回以上の反射を伴う伝達経路の放音方向を誤ってLchに割り当てないためである。Rchに関しても同様である。
また、通常の規則において、SLchに割り当てるピーク方向を、Lchのピーク方向の特定に用いる範囲よりも90度側に設定された所定の範囲(例えば40度〜60度)内に限定し、その範囲より90度側の範囲(例えば、60度〜90度)を除外している理由は、図5に示すような3回以上の反射を伴う伝達経路の放音方向を誤ってSLchに割り当てないためである。SRchに関しても同様である。
音圧プロファイルが図3(C)に示した例の場合、方向設定部1152は上記の通常の規則に従い、以下のピーク方向を各チャンネルの音響ビームの放音方向として割り当てる。
(Cch)ピーク点P3のピーク方向(角度θ3
(Lch)ピーク点P1のピーク方向(角度θ1
(Rch)ピーク点P5のピーク方向(角度θ5
(SLch)ピーク点P2のピーク方向(角度θ2
(SRch)ピーク点P4のピーク方向(角度θ4
方向設定部1152は上記のように5つのチャンネルの各々に放音方向を割り当てると、それらの放音方向に各チャンネルの音響ビームを形成するための音響ビーム形成パラメータ(放音方向に関するもの)を生成する。方向設定部1152により生成された音響ビーム形成パラメータは音信号出力部113に設定される。
その後、音信号出力部113が外部の装置からソース音信号入力部111、デコーダ112およびDAコンバータ114を経由して音信号を受け取った場合、設定された音響ビーム形成パラメータに従いそれらの音信号を処理してスピーカアレイ110に出力する結果、スピーカアレイ110からCchの音響ビームが角度θ3の方向に、Lchの音響ビームが角度θ1の方向に、Rchの音響ビームが角度θ5の方向に、SLchの音響ビームが角度θ2の方向に、SRchの音響ビームが角度θ4の方向に、各々放音されることになる。図3(D)は、そのようにスピーカアレイ110から放音される音響ビームが聴取位置の聴取者Uに到達する経路を示している。
放音装置11は、上述した各構成部に加え、図1に示されるように、ユーザの操作に応じて所定の信号を生成することによりユーザの放音装置11に対するデータ入力を受け付ける操作部119と、ユーザに対し文字や画像を表示する表示部120を備えている。
<音響反射板が配置されている場合>
空間SP内に音響反射板が配置されている場合、方向設定部1152は上述した通常の規則とは異なる規則に従い各チャンネルに対するピーク方向の割り当てを行なう。
音響反射板の有無に応じてピーク方向の割り当ての規則を変更するために、放音装置11の制御部115は音響反射板の有無を特定する機能構成部として音響反射板有無特定部1153を備えている。音響反射板有無特定部1153はユーザにより放音装置11に対し入力された音響反射板の設定情報により空間SP内の音響反射板の有無を特定する。
図6はユーザが放音装置11に対し音響反射板を利用するチャンネル(以下、「音響反射板に割り当てるチャンネル」のようにいう)を設定するための画面(以下「音響反射板設定画面」と呼ぶ)を示した図である。音響反射板設定画面はユーザの操作部119に対する所定の操作に応じて表示部120に表示される。図6(A)はいずれのチャンネルにも音響反射板を用いない場合の設定を示す音響反射板設定画面であり、図6(B)はSLchに対し音響反射板を用いる場合の設定を示す音響反射板設定画面である。ユーザは音響反射板設定画面が表示されている状態で操作部119を操作することにより、例えば図6(A)から図6(B)のように音響反射板に関する設定を変更することができる。
図7は、空間SP内の聴取位置から見て左後方の位置にSLch用の音響反射板RBが配置された場合において、放音装置11が各チャンネルに対する放音方向の割り当てを行う手順を説明するための図である。図7(A)に示すように聴取位置から見て左後方の位置に音響反射板RBが配置されている場合、図7(B)に示すような音圧プロファイルが得られる。図7(B)においてピーク領域A6が音響反射板RBに対応するピーク領域である。
SLch用に音響反射板RBが配置されているにもかかわらず、音響反射板の設定が図6(A)に示される状態(全てのチャンネルに関し「音響反射板なし」)の場合、音響反射板有無特定部1153は音響反射板が無いと特定する。その特定結果は方向設定部1152に引き渡される。方向設定部1152は音響反射板が無い、という特定結果を音響反射板有無特定部1153から受け取った場合、通常の規則に従い各チャンネルに対する放音方向の割り当てを行なう。
その結果、仮に聴取者が音響反射板RBをSLchに割り当てたいと思っていても、SLchに対し音響反射板RBは必ずしも割り当てられない。なぜなら、通常の規則は、Cch以外の全てのチャンネルの音響ビームが部屋の壁面により反射することを想定した規則であり、音響反射板を用いる想定に基づく規則とはなっていないためである。
具体的には、方向設定部1152はSLchに割り当てるピーク方向の選択において、図7(C)に示すようにピーク特定部1151により特定されたピーク方向のうち例えば40度〜60度の範囲内のものを選択する。従って、音響反射板RBが図7(A)に示すように60度〜90度の範囲内に配置されている場合、方向設定部1152は図7(D)に示すように、音響反射板RBの方向を示すピーク方向(角度θ6)ではなく、ピーク点P2のピーク方向(角度θ2)をSLchに割り当てる。
一方、音響反射板の設定が図(B)に示される状態(SLchに関し「音響反射板あり」、その他のチャンネルに関し「音響反射板なし」)場合、音響反射板有無特定部1153はSLch用の音響反射板が有る、と特定する。その特定結果は方向設定部1152に引き渡される。
方向設定部1152はSLch用の音響反射板が有る、という特定結果を音響反射板有無特定部1153から受け取った場合、SLchに対するピーク方向の割り当てに関し、通常の規則とは異なる以下の規則(以下、「SLch用の反射板割り当て規則」のようにいう)を用いる。
(SLchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が所定の範囲(Lchのピーク方向の特定に用いる範囲よりも90度側に設定された範囲であり、例えば40度〜80度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば、60%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク値が最大のもの)
すなわち、SLch用の反射板割り当て規則においては、通常の規則と比べ、ピーク方向の選択の範囲が、図7(E)に示すように90度側に拡張されている。スピーカアレイ110から見たSLch用の音響反射板RBの方向は、壁面反射によるSLchの音響ビームの方向よりも自由度が高いためである。
また、SLch用の反射板割り当て規則においては、通常の規則と比べ、Cchに割り当てたピーク方向のピーク値に対するSLchに割り当てるピーク方向のピーク値の比率が高く設定されている。音響反射板RBは一般的な壁面と比べ音の乱反射や吸収が少ないため、1回あたりの反射における音圧パワーの損失が少ない。またSLchに関しては、壁面反射の場合は反射回数が2回であるのに対し、音響反射板RBを用いる場合は反射回数が1回である。そのため、音響反射板RBに反射した音響ビームの方が、壁面に反射した音響ビームと比べ、聴取位置に到達した際の音圧パワーの損失が少ないためである。
方向設定部1152は上記のSLch用の反射板割り当て規則に従い、SLchに割り当てるピーク方向の特定を行なう。具体的には、方向設定部1152はピーク方向が拡張後の範囲内であるピーク領域(この場合、ピーク領域A2とピーク領域A6)のうちピーク値がCchに対応するピーク点P3のピーク値の所定比率(例えば、60%)以上であるピーク領域A6を特定する。方向設定部1152はこのように特定したピーク領域A6のピーク方向をSLchに割り当てる。
以上のような放音装置11の処理により、図7(F)に示すように、ユーザの意図したSLchが音響反射板RBに割り当てられる。
図8は、図7に示した例とは異なる位置に音響反射板RBが配置された例を示した図である。図8(A)に示すように聴取位置から見て左前方の位置に音響反射板RBが配置されている場合、図8(B)に示すような音圧プロファイルが得られる。図8(B)においてピーク領域A6が音響反射板RBに対応するピーク領域である。
Lch用に音響反射板RBが配置されているにもかかわらず、音響反射板の設定が図6(A)に示される状態(全てのチャンネルに関し「音響反射板なし」)の場合、音響反射板有無特定部1153は音響反射板が無いと特定し、方向設定部1152は通常の規則に従い各チャンネルに対しピーク方向を割り当てる。
この場合、Lchに対し音響反射板RBは必ずしも割り当てられない。なぜなら、上述したように通常の規則は、Cch以外の全てのチャンネルの音響ビームが部屋の壁面により反射することを想定した規則であり、音響反射板を用いる想定に基づく規則とはなっていないためである。
具体的には、方向設定部1152はLchに割り当てるピーク方向の選択において、図8(C)に示すようにピーク特定部1151により特定されたピーク方向のうち例えば30度〜50度の範囲内のものを選択する。従って、音響反射板RBが図8(A)に示すように0度〜30度の範囲内に配置されている場合、方向設定部1152は図8(D)に示すように、音響反射板RBの方向を示すピーク方向(角度θ6)ではなく、ピーク点P1のピーク方向(角度θ1)をLchに割り当てる。
一方、音響反射板の設定が図9に示される状態(Lchに関し「音響反射板あり」、その他のチャンネルに関し「音響反射板なし」)の場合、音響反射板有無特定部1153はLch用の音響反射板が有る、と特定する。その特定結果は方向設定部1152に引き渡される。
方向設定部1152はLch用の音響反射板が有る、という特定結果を音響反射板有無特定部1153から受け取った場合、Lchに対するピーク方向の割り当てに関し、通常の規則に代えて、以下のLch用の反射板割り当て規則を用いる。
(Lchに割り当てるピーク方向)
ピーク方向が0度側に近い所定の範囲(例えば5度〜50度)内に含まれ、ピーク値がCchに割り当てたピーク方向のピーク値の所定比率(例えば60%)以上であるピーク方向。(それらが複数ある場合、ピーク値が最大のもの)
すなわち、Lch用の反射板割り当て規則においては、通常の規則と比べ、ピーク方向の選択の範囲が、図8(E)に示すように0度側に拡張されている。スピーカアレイ110から見たLch用の音響反射板RBの方向は、壁面反射によるLchの音響ビームの方向よりも自由度が高いためである。
また、Lch用の反射板割り当て規則においては、通常の規則と比べ、Cchに割り当てたピーク方向のピーク値に対するLchに割り当てるピーク方向のピーク値の比率が高く設定されている。音響反射板RBは一般的な壁面と比べ1回あたりの反射における音圧パワーの損失が少なく、音響反射板RBに反射した音響ビームの方が、壁面に反射した音響ビームと比べ、聴取位置に到達した際の音圧パワーの損失が少ないためである。
方向設定部1152は上記のLch用の反射板割り当て規則に従い、Lchに割り当てるピーク方向の特定を行なう。具体的には、方向設定部1152はピーク方向が拡張後の範囲内であるピーク領域(この場合、ピーク領域A6とピーク領域A1)のうちピーク値がCchに対応するピーク点P3のピーク値の所定比率(例えば、60%)以上であるピーク領域A6を特定する。方向設定部1152はこのように特定したピーク領域A6のピーク方向をLchに割り当てる。
以上のような放音装置11の処理により、図8(F)に示すように、ユーザの意図したLchが音響反射板RBに割り当てられる。
図10は、音響反射板の配置位置が異なるにもかかわらず音圧プロファイルの形状が類似する場合であっても、放音装置11により音響反射板に対するチャンネルの割り当てが正しく行われることを説明するための図である。
図10(A)に示すように、Lch用として音響反射板RBが聴取位置から見て左前方に配置された場合、音圧プロファイルは図10(C)のようになる。また、図10(B)に示すように、SLch用として音響反射板RBが聴取位置から見て左のやや後方に配置された場合、音圧プロファイルは図10(D)のようになる。図10(C)と図10(D)のいずれの音圧プロファイルにおいても、音響反射板RBに対応するピーク領域A6がピーク領域A1とピーク領域A2との間のほぼ同じ位置となっている。従って、この音圧プロファイルの形状のみに基づいて、ピーク領域A6に応じたピーク方向(角度θ6)をLchとSLchのいずれに割り当てるべきであるかを特定することは困難である。
本実施形態では、ユーザにより設定された音響反射板の設定を用いるので、方向設定部1152はピーク領域A6に応じたピーク方向(角度θ6)をLchもしくはSLchに正しく割り当てることができる。
具体的には、ユーザが図11(A)に示すように、音響反射板設定画面においてLchに関し「音響反射板あり」(その他のチャンネルに関しては「音響反射板なし」)という設定を行なった場合、方向設定部1152はLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、Lch用の反射板割り当て規則に従い、ピーク領域A6のピーク方向(角度θ6)をLchに割り当てる。
続いて、方向設定部1152はSLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、通常の規則に従い、ピーク点P2のピーク方向(角度θ2)をSLchに割り当てる(図10(E))。
一方、ユーザが図11(B)に示すように、音響反射板設定画面においてSLchに関し「音響反射板あり」(その他のチャンネルに関しては「音響反射板なし」)という設定を行なった場合、方向設定部1152はLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、通常の規則に従い、ピーク点P1のピーク方向(角度θ1)をLchに割り当てる。
続いて、方向設定部1152はSLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、SLch用の反射板割り当て規則に従い、ピーク領域A6のピーク方向(角度θ6)をSLchに割り当てる(図10(F))。
図12は、複数の音響反射板が空間SP内に配置された場合において、放音装置11がそれらの音響反射板にチャンネルを割り当てる手順を説明するための図である。
図12(A)に示すように、Lch用として音響反射板RB1が聴取位置から見て左前方に配置され、SLch用として音響反射板RB2が聴取位置から見て左後方に配置されている場合、音圧プロファイルは図12(B)のようになる。そして、ユーザは図13に示すように、音響反射板設定画面においてLchとSLchに関し「音響反射板あり」(その他のチャンネルに関しては「音響反射板なし」)という設定を行ったとする。
方向設定部1152はまずLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、Lch用に音響反響板が有る、との特定結果を音響反射板有無特定部1153から受け取っているため、Lch用の反響板割り当て規則に従い、ピーク方向の特定を行う。具体的には、方向設定部1152はピーク方向が拡張後の範囲(例えば5度〜50度)内に入るピーク領域としてピーク領域A1とピーク領域A6を特定し、それらのピーク領域のうちピーク値がCchに対応するピーク領域A3のピーク値の60%以上のものとして、ピーク領域A6を特定する。方向設定部1152はこのように特定したピーク領域A6のピーク方向(角度θ6)をLchに割り当てる。
続いて、方向設定部1152はSLchに対するピーク方向の割り当てにおいて、SLch用に音響反響板が有る、との特定結果を音響反射板有無特定部1153から受け取っているため、ピーク方向が拡張後の範囲(例えば、40度〜80度)内に入るピーク領域としてピーク領域A6、ピーク領域A2、ピーク領域A7を特定し、既にLchに割り当てたピーク領域A6を除外したピーク領域A2とピーク領域A7のうちピーク値がCchに対応するピーク領域A3のピーク値の60%以上のものとして、ピーク領域A7を特定する。方向設定部1152はこのように特定したピーク領域A7のピーク方向(角度θ7)をSLchに割り当てる。
上記のように音響反射板が複数用いられる場合であっても、方向設定部1152はそれら複数の音響反射板の方向の各々に対し、多くの場合、望ましいチャンネルを割り当てることができる。
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。
上述した実施形態において、音響反射板有無特定部1153はユーザにより入力された音響反射板に関する設定の内容に基づき、空間SP内に音響反射板が配置されているか否かを特定する構成が採用されている。これに代えて、音響反射板有無特定部1153が、所定の条件を満たすピーク領域を反射板に応じたピーク領域(以下、「反射板ピーク領域」という)として特定する構成が採用されてもよい。
この変形例において音響反射板有無特定部1153は、例えば以下に示すような所定の条件(以下、「反射板条件」という)を満たすピーク領域を反射板ピーク領域として特定する。
(反射板条件)
ピーク値がCchに対応するピーク点P3のピーク値の所定比率(例えば、60%)以上であり、かつ、ピーク領域の横軸方向の幅が所定の閾値(例えば、10度)以下である。
音響反射板は、既に述べたように、壁面反射よりも反射における音圧レベルの損失が少ない。また、音響反射板を反射して聴取位置に達する音響ビームは通常、その反射の回数が2回以上になることはない。そのため、音響反射板に反射して聴取位置に達する音響ビームの音圧レベルは、反射なく聴取位置に達するCchの音響ビームに対する比率が壁面反射により聴取位置に達する音響ビームの音圧レベルと比べ高い。
また、音響反射板は所定の幅(例えば、300mm)を有しており、音響反射板に反射して聴取位置に達する音響ビームの方向の範囲は壁面反射により聴取位置に達する音響ビームの方向の範囲と比べ狭い。反射板条件は、音響反射板に反射した音響ビームの特性に基づき、ピーク領域が反射板ピーク領域であるか否かを判定するための条件である。
例えば、図12(B)に例示の音圧プロファイルにおいて、この変形例にかかる音響反射板有無特定部1153は、ピーク領域A6とピーク領域A7を反射板ピーク領域として特定する。音響反射板有無特定部1153は反射板ピーク領域を特定すると、特定した反射板ピーク領域の情報を方向設定部1152に引き渡す。方向設定部1152は音響反射板有無特定部1153から引き渡された反射板ピーク領域の情報に基づき、この場合、0度側に近いピーク領域A6のピーク方向(θ6)をLchに、また90度側にピーク領域A7のピーク方向(θ7)をSLchに、各々割り当てる。その結果、図12(C)に示したように、音響反射板に対し望ましいチャンネルが割り当てられる。この変形例にかかる放音装置11よれば、ユーザが音響反射板に関する設定を行う必要がない。
上述した変形例を上述した実施形態に組み合わせてもよい。すなわち、音響反射板有無特定部1153は、ユーザによる設定に基づき音響反射板の有無の特定を行うとともに、反射板条件に基づき反射板ピーク領域を特定することにより、ユーザの設定を確認する構成が採用されてもよい。この場合、例えばユーザがいずれかのチャンネルに関し「音響反射板あり」と設定したにもかかわらず、音響反射板有無特定部1153が反射板条件を満たすピーク領域を特定できなかった場合、放音装置11が表示部120にメッセージを表示することで、ユーザに設定の確認を促すといった構成が採用されてもよい。
また、上述した実施形態においては、スピーカアレイ110は水平方向にのみ音響ビームを放音する構成が採用されている。本発明はこれに限られず、上下方向にも音響ビームの放音が可能なスピーカアレイにより、床や天井における反射や、聴取者の頭の高さよりも低い位置や高い位置に配置された音響反射板における反射を利用して、3次元的なマルチチャンネルサラウンド音の再生を行う放音装置が構成されてもよい。
また、上述した実施形態においては、放音装置11が5.1チャンネルのマルチチャンネルサラウンド音を再生する場合を例として説明したが、本発明にかかる放音装置が再生するマルチチャンネル音のチャンネル数やその構成は5.1チャンネルに限られず、他の様々なマルチチャンネル音の再生において本発明は適用され得る。
なお、上述した実施形態の説明において示した具体的な数値、条件、処理の順序等はあくまで例示であって、他の数値、条件、処理の順序等が採用され得る。
1…放音システム、2…放音システム、11…放音装置、12…マイクロフォン、21…放音装置、91…放音装置、110…スピーカアレイ、111…ソース音信号入力部、112…デコーダ、113…音信号出力部、114…DAコンバータ、115…制御部、116…集音信号入力部、117…ADコンバータ、118…記憶部、119…操作部、120…表示部、1101…スピーカ、1131…処理ブロック、1151…ピーク特定部、1152…方向設定部、1153…音響反射板有無特定部

Claims (5)

  1. 複数のスピーカを有するスピーカアレイと、
    前記複数のスピーカのうちの1以上のスピーカの各々に音信号を出力し、当該音信号の出力のタイミングを制御して前記スピーカアレイから1以上の方向の各々に音響ビームを放音させる音信号出力手段と、
    聴取位置に配置されたマイクロフォンから出力される集音信号を受け取る集音信号入力手段と、
    前記音信号出力手段が前記スピーカアレイに対し放音の方向を変化させながらテスト用の音響ビームを放音させる場合に、音響ビームの方向を示す方向データと、前記マイクロフォンが集音した集音信号とを関連付けて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に互いに関連付けて記憶された方向データと集音信号に基づき、当該集音信号中のおける複数のピークを検出し、各ピークにおける方向をピーク方向として特定するピーク特定手段と、
    前記スピーカアレイから放音される音響ビームを反射するための音響反射板が存在するか否かを特定する音響反射板有無特定手段と、
    マルチチャンネル音を構成する複数の音のチャンネルのうち少なくとも1のチャンネルに対し、前記ピーク特定手段により特定された1以上のピーク方向の中から所定の規則に従い選択したピーク方向を設定する方向設定手段と
    を備え、
    前記方向設定手段は、前記音響反射板有無特定手段により音響反射板が存在しないと特定された場合と音響反射板が存在すると特定された場合で互いに異なる前記所定の規則に従い、チャンネルに対するピーク方向の設定を行なう
    放音装置。
  2. 前記所定の規則は、選択されるピーク方向が含まれるべき所定の範囲を条件として含み、
    前記方向設定手段は、前記音響反射板有無特定手段により音響反射板が存在すると特定された場合、前記所定の範囲を拡張する
    請求項1に記載の放音装置。
  3. ユーザによる操作に応じて所定の信号を生成することにより前記ユーザによるデータの入力を受け付ける操作手段を備え、
    前記音響反射板有無特定手段は、前記操作手段に対し前記ユーザにより入力されたデータに基づき、音響反射板が存在するか否かを特定する
    請求項1または2に記載の放音装置。
  4. 前記音響反射板有無特定手段は、前記ピーク特定手段により検出されたピークのうち少なくとも1のピークが所定の条件を満たす場合、音響反射板が存在すると特定する
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放音装置。
  5. 前記音響反射板有無特定手段は、前記ピーク特定手段により検出された一のピークにおける音圧レベルが所定の閾値以上であり、当該一のピークを形成する領域の方向に関する幅が所定の閾値以下である場合、当該一のピークにおける方向に音響反射板が存在すると特定する
    請求項4に記載の放音装置。
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