JP5966506B2 - 電気接点の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば高周波信号の伝送において低誘導リアクタンス化により優れた高周波特性が得られる電気接点の製造方法に関する。
近年、電子機器では、高密度化し高速化する集積回路(IC)のような電子部品が搭載されることにより、その小型化と共に高機能化あるいは多機能化が著しい。そして、その動作周波数の高周波化が進み、例えば周波数が数GHz〜数十GHz帯の高速デジタル信号が用いられるようになってきている。
電気信号が高周波化すると、その信号伝送における低いリアクタンスおよびインピーダンス、あるいは低い伝送損失が強く求められる。通常、高周波信号が伝送される2つの導電体からなる電気接点では、特にその接触部の領域における誘導リアクタンスが大きくなり易い。そのため、この電気接点における透磁率の低減が極めて重要になってくる。
電気接点は、例えば同軸ケーブル、FFCのようなケーブル、ICカード類等を例えばプリント回路基板にコネクトする産業用/民生用コネクタ、あるいはICを通電検査するための通電検査装置(プローバ)、ソケット等に多く存在する。この電気接点は、例えば前者のコネクタでは、コンタクト端子、コンタクトと呼ばれ、後者ではコンタクトピン、接触子、プローブ等と呼称される。
通常、導電体からなる電気接点では、その基材として低抵抗になる銅(Cu)、Cu合金が用いられる。そして、その表面に化学的に安定した金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)の貴金属あるいはハンダ金属材の錫(Sn)等からなるめっき皮膜が形成される。ここで、基材とめっき皮膜の間に生じ易い固相反応を抑制する反応抑制層(反応バリア層)として、ニッケル(Ni)、Ni−リン(P)合金等からなる下地めっき層が介装される。一般に、Ni−P合金からなる下地めっき層は、P濃度が増大するに従い、その成膜時において微結晶の集合体から非晶質になり易いことが知られる。また、その成膜後の加熱処理により、その非晶質の下地めっき層は結晶化し易くなることもよく知られている。
これまで、Ni−P合金からなる下地めっき層を例えばピン(あるいはプラグ)−ソケット型コネクタにおける電気接点となる端子に適用する場合に、そのP濃度に適切な範囲のあることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、雄端子であるピン端子と雌端子であるソケット端子からなるコネクタ用端子の表面における耐摩耗性および繰り返し挿抜に対する耐久性の向上が図られる。この場合、下地めっき層の非晶質化が重要になっている。
また、Ni−P合金からなる下地めっき層を例えばICソケット用コンタクトピンに適用する場合にも、そのP濃度に適切な範囲のあることが示されている(例えば、特許文献2参照)。ここでは、コンタクトピンにおける耐摩耗性およびそのバネ部の耐応力緩和特性の向上が図られている。
特許平11−317253号公報 特開2003−142189号公報
ところで、上述したようにIC動作および電子機器の高周波化が進み、例えば周波数が数GHz〜数十GHz帯の高速デジタル信号が用いられるようになると、上述したように電気接点の領域における透磁率の影響が顕著に現れてくる。特に、電気接点が磁性を帯びていると、周波数の増大と共にその領域での誘導リアクタンスが大きくなり、信号位相、信号波形、信号強度等の高周波特性の劣化が目立つようになる。そこで、本発明者等は、磁性をもつNiの基合金であるNi−P合金の非磁性化についての検討を重ねた。そして、Ni−P合金の下地めっき層は、電解めっき法により、また、下地めっき層中のP濃度を適度にすることにより、熱的に安定した非磁性になることを見出した。更に、この下地めっき層の非磁性はその非晶質相に関係することを知見し、本発明に至った。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、例えば高周波信号の伝送において安定した低誘導リアクタンス化が可能になる電気接点の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる電気接点の製造方法は、金属材料を基材とする電気接点の製造方法であって、電解めっき法により、前記基材の表面に銅めっき膜を成膜した後に、該銅めっき膜の表面に、そのリン含有量が10質量%〜18質量%の範囲になるニッケル−リン合金めっき膜を成膜する工程と、表層めっき膜を前記ニッケル−リン合金めっき膜の表面に成膜する工程と、を有し、前記銅めっき膜が前記ニッケル−リン合金めっき膜の応力緩和の作用をし、前記ニッケル−リン合金めっき膜が非磁性になっていることを特徴とする。
本発明により、高周波信号の伝送において安定した低誘導リアクタンス化が可能になる電気接点の製造方法を提供できるようになる。
本発明の実施形態にかかる電気接点の製造方法の一例を示した製造工程別の一部拡大断面図。 同上電気接点の構造例を模式的に示した一部断面図。 本発明の実施形態にかかる電気接点の製造方法の他例を示した製造工程別の一部拡大断面図。 本発明の実施例における磁性と非磁性の測定の一例を示すグラフ。 本発明の実施例における非磁性の評価結果を示す表。
以下に本発明の好適な実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。ここで、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる。これ等の図では、互いに同一または類似の部分には共通の符号が付され、重複説明は一部省略される。
図1(a)に示すように、電気接点の形状をした例えばCu等の金属材料からなる基材11の表面に、金属めっき皮膜の下地層としてニッケル−リン合金めっき膜12を電解めっき法により成膜する。この電解めっきでは、めっき浴中において、ニッケル板を陽極とし基材11を陰極に配置し、所定電流を通電して基材11の表面にニッケル−リン合金を析出させる。めっき浴は公知のものでよく、ニッケルイオンを供給する試薬として、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等を使用し、リンイオンを供給する試薬に亜リン酸、正リン酸等を用いる。そして、めっき浴中のニッケルイオンとリン酸イオンの組成比を変えることにより、ニッケル−リン合金めっき膜12中のリン含有量を変化させる。
ここで、図2に模式的に示すように、電気接点としては種々の形状をしたものが挙げられる。図2(a)に示される電気接点10は、例えばICを通電検査するためのプローバ、ソケット等に多く存在するもので、コンタクトピン、接触子、プローブ等と呼称されるものである。これ等の中で一部はバネ弾性を有する構造になっている。また、同図に示される電気接点20は、例えば電気接点10の先端の接触部10aが接触する接続ランドのような皮膜の端子構造になっている。
あるいは、例えば図2(b)に示される電気接点30は、ケーブル類、ICカード類等を例えばプリント回路基板と電気接続するコネクタ等に存在するコンタクト端子等である。これ等はバネ性を有して弾性変形し接触部30aが弾性接触する構造になる。また、特許文献1にあるようなコネクタ用端子の雌端子構造のものがある。
電気接点の基材11を構成する金属材料としては、例えばCu−ベリリウム(Be)系合金(例えば、ベリリウム銅)、Cu−チタン(Ti)系合金、Cu−Sn系合金(例えば、リン青銅)、Cu−亜鉛(Zn)系合金(例えば、黄銅)、パラジウム(Pd)、パラジウム合金、プラチナ(Pt)、プラチナ合金、タングステン(W)、タングステン合金等が挙げられる。
これ等の電気接点10,30は、上述した金属材料に例えばプレス加工、打ち抜き加工、折り曲げ加工、切削加工、線材加工等の各種の必要な加工処理を施して所定の形状に形成される。あるいは、電気接点20は、プリント回路基板のように絶縁性樹脂板の表面へのCu箔の張着、電解めっき等を通した皮膜に形成される。
上記ニッケル−リン合金めっき膜12は、そのリン含有量が10質量%〜18質量%の範囲になるようにする。リン含有量が10質量%未満であると熱的に安定でなく、後述する加熱処理においてニッケル−リン合金めっき膜12に磁性の生じる領域が現れる。そして、18質量%を超えてくるとめっき速度が低くなり生産性に支障をきたすようになる。Ni−P合金の電解めっきでは、めっき浴においてリン酸イオンの濃度を高くすると、ニッケル−リン合金めっき膜12中のリン含有量が増加するが、めっき速度が大きく低減するようになる。
また、リン含有量が18質量%を超えてくると、後述する金属めっき皮膜の仕上層をAuのような貴金属系めっき膜で形成する際に、ニッケル−リン合金めっき膜12表面における貴金属の析出が悪くなり易い。そして、金属めっき皮膜における下地層と仕上層との間の密着性に不具合が生じ易い。
ここで、ニッケル−リン合金めっき膜12におけるリン以外の残部はニッケルである。あるいは、その他に不可避不純物が微量に含まれるようになっていてもよい。不可避不純物は上述した電解めっきなどで混入する微量の水素元素、酸素元素、金属元素等である。
そして、ニッケル−リン合金めっき膜12の膜厚は、0.3μm〜2μmの範囲が好ましい。膜厚が0.3μm以上になると、ニッケル−リン合金めっき膜12は反応バリア層として確実に機能し、基材11中のCu原子と金属めっき皮膜の仕上層を構成する例えばAu原子の例えば相互拡散に伴う固相反応が抑止される。
しかし、膜厚が2μmを超えてくると、基材11上のニッケル−リン合金めっき膜12に引張り応力によるクラックが生じ易くなる。あるいは、電気接点は、Cu−Be系合金、Cu−Ti系合金のバネ弾性を有する基材11からなる場合に、そのバネ性能が悪くなる。これは、ニッケル−リン合金めっき膜12の膜厚が2μmを超えてくると、ニッケル−リン合金めっき膜12の塑性変形による応力緩和の影響が出てくるからである。
本実施形態のニッケル−リン合金めっき膜12は、結晶学的構造が非晶質の形態になることが微小角入射X線回折により確かめられた。この非晶質構造のために、その膜厚が薄くても、例えば基材11を構成するCu原子の仕上層への移動が容易に抑止され、仕上層との反応が防止される。通常、めっき膜は多結晶の形態で析出するために、その結晶粒界を経路にしたCu原子の容易な移動が起こる。そのために、そのようなニッケル−リン合金めっき膜の場合には、従来ではその膜厚は例えば1μm以上にする必要があった。
次に、図1(b)に示すように、ニッケル−リン合金めっき膜12の表面に表層めっき膜13を無電解めっき法あるいは電解めっき法により成膜する。この表層めっき膜13は、Au、Au合金、Ag、Ag合金、Pd、Pd合金、Pt、Pt合金の貴金属系の金属めっき膜あるいはSn、Sn合金等のハンダ金属材系の金属めっき膜からなる。ここで、貴金属系の金属めっき膜では、表層めっき膜13の膜厚は例えば0.2μm〜1μm程度である。ハンダ金属材系の金属めっき膜では、表層めっき膜13の膜厚は例えば1μm〜3μm程度になる。
次に、図1(c)に示す工程において、上述したニッケル−リン合金めっき膜12および表層めっき膜13からなる金属めっき皮膜を形成後に、200℃〜270℃の範囲の温度において加熱処理を施す。この加熱処理は水素ガス、不活性ガス等のガス雰囲気のもとに数分から1時間程度に行われる。
この加熱処理は、基材11とニッケル−リン合金めっき膜12の間の密着性あるいはニッケル−リン合金めっき膜12と表層めっき膜13の間の密着性を向上させる。また、ニッケル−リン合金めっき膜12の耐食性を向上させ、ピンホールを低減する。あるいは、その硬質性が調節され、耐摩耗性が向上する。ここで、加熱処理の温度が200℃未満であると、ニッケル−リン合金めっき膜12と表層めっき膜13の間の密着性が不充分になる。特に、ニッケル−リン合金めっき膜12中のリン含有量が増えると密着性に不具合が生じ易い。
一方、加熱処理の温度が270℃を超えてくると、ニッケル−リン合金めっき膜12の非磁性が消失し易くなる。また、ニッケル−リン合金めっき膜12の硬度が必要以上に増して、例えばクラックが生じ易くなる。あるいは、電気接点がバネ弾性を有する場合には、ニッケル−リン合金めっき膜12の塑性変形による応力緩和が電気接点における接触抵抗を増加させるようになる。
上述したような加熱処理は、例えばハンダリフロー炉またはハンダフロー炉での高温処理により兼用することもできる。ここで、Sn−Zn系ハンダ、Sn−Cu系ハンダ、Sn−Ag系ハンダ等の鉛フリーハンダが用いられる。そして、図2では示されない電気接点の領域においてアッセンブリ部品の鉛フリーのハンダ付けがなされる、
このようにして、図1(c)に示される電気接点の基材11上に熱的に安定した高い信頼性を有するニッケル−リン合金めっき膜12および表層めっき膜13が金属めっき皮膜として製膜される。そして、例えば図2に示したような電気接点10,20,30が作製される。
次に、実施形態にかかる電気接点の製造方法の他例について説明する。図3(a)に示すように、電気接点の形状をした金属材料からなる基材11の表面に、銅めっき膜14を成膜する。ここで、銅めっき膜14は、その厚さが0.1μm〜1μm程度に無電解めっき法あるいは電解めっき法で形成される。
その後は、図3(b)、(c)に示すように、図1で説明したのと同様にして銅めっき膜14の表面にニッケル−リン合金めっき膜12を形成し、更に表層めっき膜13を形成して金属めっき皮膜とする。そして、図1(c)の工程で説明したような金属めっき皮膜の加熱処理を施す。
上述した銅めっき膜14は基材11の表面の平滑化をする。例えば電気接点10,30の形成において、上述した金属材料の各種の加工処理後の表面粗さRaが例えば0.1μm程度に大きくなる場合にあっても、銅めっきのレベリング作用により、基材11上の銅めっき膜14表面は平滑になる。この平滑化により、ニッケル−リン合金めっき膜12を薄膜にしても、ピンホール等の欠陥の発生頻度が低減する。そして、電気接点10,30において、その表面積の増大と高品質化の両立が可能になる。
また、銅めっき膜14は、高い硬度のニッケル−リン合金めっき膜12および金属材料からなる基材11に較べて硬度が小さく、相対的に軟質である。このため、銅めっき膜14はその上のニッケル−リン合金めっき膜12の応力緩和の作用をする。この応力緩和により、ニッケル−リン合金めっき膜12におけるクラック発生の防止および密着性の向上が容易になる。上記応力は主に熱応力である。例えば、ニッケル−リン合金めっき膜12の形成後のめっき浴温度からの降温、表層めっき膜13形成でのめっき浴温度に対する昇降温で生じる熱応力である。あるいは、金属めっき皮膜を形成後の例えばハンダリフロー等のような加熱処理の工程で生じる熱応力がある。
このようにして、例えば図3(c)に示される電気接点の基材11上に、銅めっき膜14を介して、熱的に安定し高い信頼性を有するニッケル−リン合金めっき膜12および表層めっき膜13からなる金属めっき皮膜が製膜され、例えば図2に示したような電気接点10,20,30が作製される。
本実施形態では、金属材料を基材11とする電気接点の製造方法において、電解めっき法により、基材11上の金属めっき皮膜の下地層に、そのリン含有量が10質量%〜18質量%の範囲になるニッケル−リン合金めっき膜12を成膜する。更に、金属めっき皮膜の仕上層として、貴金属等からなる表層めっき膜13を成膜する。そして、このような金属めっき皮膜を形成後に200℃〜270℃の範囲の温度における加熱処理を施す。
このような電気接点の製造方法では、電気接点は熱的に安定した非磁性となり、高周波信号の透磁率は小さくなる。このために、例えばIC動作および電子機器の高周波化が進み、例えば周波数が数GHz〜数十GHz帯の高速デジタル信号が用いられるようになっても、電気接点の領域における誘導リアクタンスは安定的に小さくなる。そして、電気接点での高周波信号の位相ズレ、波形の変形および接触インピーダンスは小さくでき、高品質の高周波特性を得ることができる。
また、本実施形態で製造した電気接点は、ICのバーンインテストのような例えば150℃程度の高温における通電検査にあっても、高周波信号を用いた被検査物の正確な検査が可能になる。そして、通電検査のための被検査物との間における多数回の繰り返し接触および分離が安定して高い信頼性のもとにできるようになる。
次に、実施例により本発明の効果について図4および図5を参照して具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例、比較例)
肉厚が5mmのCu板を12mm角にくり抜き加工しCuからなる基材を作製した。更に、その基材の表面をリン酸溶液で電解研磨し鏡面にした。そして、図1で説明したのと同様にして、上記基材の表面にNi−P合金めっき膜およびAuからなる表層めっき膜を順次に形成し金属めっき皮膜とした。ここで、Ni−P合金めっき膜および表層めっき膜の膜厚は、それぞれ略0.3μm、略0.2μmである。このようにして、Cu基材に金属めっき皮膜を有する種々のテストピースを作製した。
実施例1,2および比較例1,2におけるテストピースでは、電解めっき法によりNi−P合金めっき膜を形成し、Ni−P合金めっき膜中のP含有量は、それぞれ11質量%、10質量%、9質量%、6質量%とした。これに対して、比較例3,4では、無電解めっき法によりNi−P合金めっき膜を形成し、Ni−P合金めっき膜中のP含有量は、それぞれ10質量%、8質量%である。ここで、Ni−P合金めっき膜中のP含有量は分析装置により求めた。
あるいは、実施例1〜比較例4のテストピースに対し、窒素ガス雰囲気において180℃あるいは270℃の加熱処理を施した。ここで、加熱処理の時間は全て2時間である。
そして、実施例1〜比較例4のテストピースの磁性あるいは非磁性を評価した。この評価では、テストピースの表面上を磁気センサーのプローブ走査することにより磁性を測定した。その磁性測定の一例を図4に示す。ここで、図4に示すように、非磁性のテストピースでは、その表面上の10mm距離の一直線走査において、0.5mm間隔に測定した磁束密度Bは零である。一方、磁性がみられるテストピースでは、その表面上における10mmの平行走査で磁束密度Bが正負に現れる。ここで、磁束密度の正負は磁束方向が逆になることを示す。
そして、12mm角のテストピースにおいて、上述した10mm距離の一直線走査を0.5mmステップに繰り返し、テストピースの10mm平方内を万遍なく測定しても磁性が観測できない場合を非磁性(○)とした。これに対して、テストピースの10mm平方内の走査で磁性が一か所でも観測される場合を磁性(×)として判定した。これ等の評価結果が図5に示される。
(評価結果)
図5の実施例1,2に示されるように、電解めっき法で形成されるNi−P合金めっき膜は、そのP含有量が10質量%以上になれば、加熱処理前、180℃、270度の加熱処理後のいずれにおいても非磁性となる。しかし、比較例1に示されるように、P含有量が9質量%に下がると、270℃の加熱処理後のテストピースに磁性の現れるところが出てくる。P含有量が6質量%になる比較例2では、加熱処理前、180℃、270℃の加熱処理後のいずれにおいても磁性となる。
一方、無電解めっき法で形成されるNi−P合金めっき膜では、比較例3に示されるように、そのP含有量が10質量%であっても、270℃の加熱処理後のテストピースに磁性の現れるところが出てくる。そして、P含有量が8質量%になる比較例4の場合も同様である。無電解めっき法の場合には、図5には示されないが、P含有量が7質量%であっても、加熱処理前、180℃、270℃の加熱処理後のいずれにおいても磁性(×)となる。
これ等の結果から、Ni−P合金めっき膜は、電解めっき法の方が無電解めっき法の場合に較べて非磁性になり易い。また、そのP含有量が増加するに従いその非磁性は熱的に安定化する。そして、電解めっき法で成膜されるNi−P合金めっき膜は、P含有量が10質量%であれば270℃の加熱処理でもその非磁性は消失しない。これ等のことから、Cu系の基材の金属めっき被膜の下地層として形成するNi−P合金めっき膜は、電解めっき法によりそのP含有量を10質量%以上にするのが熱的に安定した非磁性を得るのに好適になることが確認された。
そして、上記Ni−P合金めっき膜を下地層にした金属めっき皮膜を有するCu系基材からなる電気接点では、高周波信号の透磁率が小さくできる。このために、電気接点の領域での誘導リアクタンスは小さく、高周波信号の位相のズレおよび接触インピーダンスは低減し、高品質の高周波特性を得ることができるようになる。
また、上述した全水準のテストピースにおいて、Ni−P合金めっき膜の反応バリア層としての性能を評価した。その結果、全ての水準において、表層めっき膜中にCuは測定されず、Ni−P合金めっき膜は固相反応によるCu原子の拡散等の移動を抑止していることが確認された。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形あるいは変更を加えることが可能である。
例えば、磁気センサー、加速度センサーなどの端子にも同様に適用できる。この場合、端子の磁性による影響がなくなる。
本発明は、本実施形態で説明したような高周波信号が伝送される場合に限定されるものでない。例えば1MHz未満になる低周波の電気信号が伝送される場合であっても同様に有効になることに言及しておく。
10,20,30…電気接点、10a,30a…接触部、11…基材、12…ニッケル−リン合金めっき膜、13…表層めっき膜、14…銅めっき膜

Claims (3)

  1. 金属材料を基材とする電気接点の製造方法であって、
    電解めっき法により、前記基材の表面に銅めっき膜を成膜した後に、該銅めっき膜の表面に、そのリン含有量が10質量%〜18質量%の範囲になるニッケル−リン合金めっき膜を成膜する工程と、表層めっき膜を前記ニッケル−リン合金めっき膜の表面に成膜する工程と、を有し、
    前記銅めっき膜が前記ニッケル−リン合金めっき膜の応力緩和の作用をし、前記ニッケル−リン合金めっき膜が非磁性になっていることを特徴とする電気接点の製造方法。
  2. 前記ニッケル−リン合金めっき膜の膜厚が、0.3μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気接点の製造方法。
  3. 前記銅めっき膜の膜厚は、0.1μm以上1μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気接点の製造方法。
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