JP2018018669A - 電気接続部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】接触信頼性が向上し、十分な接合強度が得られる電気接続部品を提供する。
【解決手段】電気接続部品(10)は、接触により電気的に接続される接触部(100)と、接合により接続される接合部(500)とを備える。接触部(100)及び接合部(500)が、母材(101)の表面に形成される第1めっき層(102)と、第1めっき層(102)に保持されて第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)とを備える。接合部(500)が、第1めっき層(102)の表面に形成され、第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)を覆う第2めっき層(501)を備える。
【選択図】図1
【解決手段】電気接続部品(10)は、接触により電気的に接続される接触部(100)と、接合により接続される接合部(500)とを備える。接触部(100)及び接合部(500)が、母材(101)の表面に形成される第1めっき層(102)と、第1めっき層(102)に保持されて第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)とを備える。接合部(500)が、第1めっき層(102)の表面に形成され、第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)を覆う第2めっき層(501)を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気接続部品に関する。詳しくは、本発明は、リレー及びスイッチの接点部品やコネクタの端子部品などの電気接続部品に関する。
従来、接触信頼性を向上させることを目的として、カーボンナノ材料を含有するめっき層を備えた電気接続部品が提案されている。例えば、特許文献1に記載の電気接点部品200では、図8のように、母材210の表面にめっき層220が設けられ、めっき層220にカーボンナノ材料230が保持されている。カーボンナノ材料230はカーボンナノチューブやカーボンブラックなどであって、めっき層220の表面に露出して設けられている。従って、カーボンナノ材料230はめっき層220よりも他の部材に接触しやすくなり、電気接点部品200の接触信頼性が向上している。
前記電気接点部品200では、はんだ付けなどにより回路パターンなどの導体に接合されるが、その接合部分のめっき層220の表面にカーボンナノ材料230が露出していると、めっき層220の表面のはんだの濡れ性が低下して十分な接合強度が得にくくなるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、接触信頼性が向上し、十分な接合強度が得られる電気接続部品を提供することを目的とするものである。
本発明に係る電気接続部品は、接触により電気的に接続される接触部と、接合により接続される接合部とを備えた電気接続部品であって、
前記接触部及び前記接合部が、母材の表面に形成される第1めっき層と、前記第1めっき層に保持されて前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料とを備え、
前記接合部が、前記第1めっき層の表面に形成され、前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料を覆う第2めっき層を備えることを特徴とするものである。
前記接触部及び前記接合部が、母材の表面に形成される第1めっき層と、前記第1めっき層に保持されて前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料とを備え、
前記接合部が、前記第1めっき層の表面に形成され、前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料を覆う第2めっき層を備えることを特徴とするものである。
本発明は、接触部に設けた第1めっき層の表面にカーボンナノ材料が突出しているため、接触部の接触信頼性が向上し、接合部においては第2めっき層でカーボンナノ材料を覆うことで、カーボンナノ材料による接合部の密着性の低下が抑制され、十分な接合強度が得られる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施形態の電気接続部品は、接触により電気的に接続される接触部と、接合により接続される接合部とを有している。このような電気接続部品としては、リレー及びスイッチの接点部品やコネクタの端子部品などが例示される。接点部品としては固定接点部品と可動接点部品などが例示される。端子部品としてはプラグ、ジャック、レセプタクル、ソケット、ピンヘッダーなどの各種のコネクタに適用されるものが例示される。
電気接続部品の接触部は他の部材に接触する部分である。例えば、電気接続部品が固定接点部品である場合、これと対になっている可動接点部品が他の部材となる。すなわち、固定接点部品や可動接点部品では、これらが互いに接触しあう部分が接触部として形成される。また電気接続部品がコネクタの端子部品である場合、別のコネクタに設けた端子部品が他の部材となる。すなわち、コネクタの端子部品では、機械的に接続される複数のコネクタのそれぞれに設けた端子部品が互いに接触しあう部分が接触部として形成される。接触部が他の部材と接触することにより、電気接続部品と他の部材とが電気的に接続される。
電気接続部品の接合部は他の部材に接合により機械的に接続する部分である。ここで、接合とは、はんだ付け、ワイヤーボンディング(WB)、溶接、カシメなどが例示される。例えば、電気接続部品が固定接点部品や可動接点部品である場合、これらを取り付ける固定バネや可動バネなどが他の部材となる。すなわち、固定接点部品や可動接点部品では、他部材に接触して結合される部分が接合部として形成される。また電気接続部品がコネクタの端子部品である場合、コネクタを実装するプリント配線板の回路パターンなどが他の部材となる。すなわち、コネクタの端子部品では、はんだ付け等により他部材に機械的に接続される部分が接合部として形成される。接合部が他の部材と接合することにより、電気接続部品と他の部材とが電気的及び機械的に接続される。
図1Aは電気接続部品10の接合部500の概略図を示している。接合部500は母材101と第1めっき層102と第2めっき層501とカーボンナノ材料104とを備えて形成されている。
母材101は電気接続部品10の基体であって、使用目的に応じて所望の形状に成形されている。母材101は銅又は銅合金などの電気接続部品10に使われる公知の金属材料で形成されている。銅合金としては、Cu−Ti、Cu−Ti−Fe、Cu-Be、Cu−Sn−P系、Cu−Zn系、Cu−Ni−Zn系、Cu−Ni−Si系、Cu−Fe−P系合金などが挙げられる。なお、母材101はその表面に、第1めっき層102との密着性を高めるためのNiめっき膜などの下地層を有していても良い。
第1めっき層102は母材101の表面に付着しているめっき膜である。第1めっき層102は、結晶質又は非晶質(アモルファス)の金属めっき膜で形成されている。第1めっき層102は母材101への付着性やカーボンナノ材料104の保持性、硬度、耐食性等を考慮して、その材質や厚みなどを決定すればよい。第1めっき層102の材質はNi又はNi−P合金で形成されていることが好ましい。第1めっき層102の膜厚は、5μm以下であることが好ましい。5μmより厚い膜厚では、第1めっき層102のばね性が失われやすく、応力によるクラックが発生しやすく場合がある。第1めっき層102の膜厚の下限は、カーボンナノ材料104の保持性等を確保するために、0.1μmとすることが好ましい。さらに接触部100の耐食性の向上を考慮すると、第1めっき層102の膜厚は0.5μm以上が好ましく、1μm以上がさらに好ましい。
第2めっき層501は第1めっき層102の表面に付着しているめっき膜である。第2めっき層501は、第1めっき層102の表面に形成された被覆めっき層502と、被覆めっき層502の表面に形成された保護めっき層103とを備えている。
被覆めっき層502は第1めっき層102の表面に突出するカーボンナノ材料104を覆うめっきである。すなわち、接合部500において、第1めっき層102の表面に突出するカーボンナノ材料104は、被覆めっき層502で覆われて被覆めっき層502の表面に露出していない。これにより、カーボンナノ材料104による接合部500のはんだの濡れ性の低下が抑制される。
被覆めっき層502は第1めっき層102との密着性、はんだ濡れ性、保護めっき層103との密着性などを考慮して、第1めっき層102と同様に、Ni又はNi−P合金で形成されていることが好ましい。被覆めっき層502の厚みは第1めっき層102からのカーボンナノ材料104の突出長さよりも厚ければよく、例えば、0.01〜1.5μmである。
保護めっき層103は第1めっき層102及び被覆めっき層502とカーボンナノ材料104との電位差により生じる第1めっき層102及び被覆めっき層502の腐食を抑制するためのめっきである。図8に示す従来例では、亜硫酸ガス試験などの過酷な耐食性試験において、めっき層220に腐食が生じやすかった。これは、めっき層220とカーボンナノ材料230とが局部電池となる隙間腐食である。すなわち、カーボンナノ材料230にめっき層220が被っている部分(界面部分)に、めっき層220の凹凸変化等により隙間が生じた場合に、該隙間にめっき層220とカーボンナノ材料230との電位差による局部電池が作用し、隙間腐食が生じる。本実施形態における保護めっき層103はこの隙間腐食の発生を抑制するものである。
保護めっき層103は、第1めっき層102及び被覆めっき層502に含有される金属元素よりも貴な金属元素を含有しているのが好ましい。この場合、保護めっき層103は、第1めっき層102及び被覆めっき層502に比べて、カーボンナノ材料104に対する電位差が小さくなり、保護めっき層103は第1めっき層102及び被覆めっき層502よりも腐食が生じにくくなる。この結果、第1めっき層102及び被覆めっき層502が腐食の生じにくい保護めっき層103で被覆されることになり、第1めっき層102及び被覆めっき層502に酸素、水分、その他の腐食成分が作用しにくくなって、第1めっき層102及び被覆めっき層502の腐食が抑制される。
具体的には、第1めっき層102及び被覆めっき層502がNiめっき又はNi−P合金めっきで形成されている場合、保護めっき層103は、Cu、Sn、Au、Ag、Pd、Rh、Ruの群から選ばれる1種又は複数種の金属元素からなるめっきで形成可能である。また、第1めっき層102及び被覆めっき層502がNiめっき又はNi−P合金めっきで形成されている場合、保護めっき層103は、Cu、Sn、Au、Ag、Pd、Rh、Ruの群から選ばれる1種又は複数種の金属元素を含む合金めっき層で形成可能である。この合金めっきとしては、例えば、Ni−Cuめっき、Ni−Snめっき、Ni−Auめっき、Ni−Agめっき、Ni−Pdめっき、Ni−Phめっき、Ni−Ruめっきなどが挙げられる。また保護めっき層103は、第1めっき層102及び被覆めっき層502よりも耐食性が高ければ良いため、例えば、第1めっき層102及び被覆めっき層502がNiめっき又はNi−P合金めっきで形成されている場合、保護めっき層103は、Ni−Wめっき、Ni−Bめっき、Ni−Feめっきなどで形成可能である。さらに保護めっき層103は、第1めっき層102及び被覆めっき層502を腐食から保護すれば良いため、例えば、保護めっき層103は、Znめっきで形成可能である。この場合、Znめっきの犠牲防食作用により保護めっき層103で第1めっき層102及び被覆めっき層502の腐食が抑制される。また、保護めっき層103は、被覆めっき層502と金属間化合物を形成する金属元素を含むことが好ましく、はんだ濡れ性に優れることも好ましい。
保護めっき層103の厚みは0.01μm〜1.5μmであることが好ましい。保護めっき層103の厚みがこの範囲であれば、第1めっき層102及び被覆めっき層502の腐食が保護めっき層103で抑制されやすくなる。また上記のNi合金めっきは、Ni以外の金属元素の濃度が6〜12質量%であることが好ましい。この範囲であれば、Niめっき層が硬すぎることがなく、割れなどが発生しにくくなり、また、耐食性が確保されやすくなる。
保護めっき層103は必要に応じて設けられる。すなわち、電気接続部品10に高い耐食性が求められる場合は保護めっき層103を設けることが好ましいが、高い耐食性が求めらない場合は保護めっき層103を特に設けなくても良い。
第2めっき層501の厚みは、被覆めっき層502の厚みと保護めっき層103の厚みの合計であって、0.03〜2.0μmであることが好ましく、これにより、第1めっき層102の表面に突出するカーボンナノ材料104を覆いやすくなる。
カーボンナノ材料104は、ナノオーダーサイズの炭素材料であって、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック(CB)、フラーレン、グラフェンなどである。カーボンナノ材料104は、化学的に安定かつ電気伝導性、摺動性、機械的強度に優れるものが好ましい。CNTは、直径が100〜200nm、長さ10〜20μmであることが好ましい。また、CNTは、グラファイトのシートが1層に筒状に巻かれた単層CNTとグラファイトのシートが2層以上の多層に巻かれた多層CNTが存在するが、多層CNTは単層CNTよりも量産性に優れ、比較的安価に入手できるため、コストを抑えることができる点で好ましい。CBは粒子状であって、その粒子径はレーザー回折法等による測定で数〜100nmであることが好ましい。また、CBは電気伝導性に優れた品種であり、その各粒子がクラスター状になったミクロンオーダーの大きさの集合体の状態で存在していることが好ましい。CBはCNTよりも量産性に優れ、比較的安価に入手できるため、コストを抑えることができる点で好ましい。
図1Aは、接合部500において、カーボンナノ材料104がCNTの場合について示している。このCNTはその一端が第1めっき層102に埋め込まれて固着されている。このようにしてCNTは第1めっき層102に保持されている。CNTは第1めっき層102の表面から突出しているが、被覆めっき層502内に埋まっている。
カーボンナノ材料104は第1めっき層102との複合めっきとして形成される。カーボンナノ材料104の使用量は、カーボンナノ材料104と第1めっき層102との合計量に対して、0.02〜2.0質量%であることが好ましい。カーボンナノ材料104の使用量が上記の範囲であると、カーボンナノ材料104による後述の接触部100の接触信頼性の向上が充分に得られ、また、カーボンナノ材料104のめっき液への分散性や第1めっき層102の母材101への密着性が十分に確保されやすくなる。
図1Bは電気接続部品10の接触部100の概略図を示している。接触部100は接合部500と同様の母材101と第1めっき層102と保護めっき層103とカーボンナノ材料104とを備えて形成されている。すなわち、接触部100は被覆めっき層502が形成されておらず、カーボンナノ材料104が表面に露出している。
接触部100において、母材101と第1めっき層102は接合部500の場合と同様に形成されている。また接触部100では第1めっき層102の表面に保護めっき層103が形成されている。この場合、保護めっき層103は第1めっき層102の表面から突出するカーボンナノ材料104を完全に覆うことはない。すなわち、保護めっき層103はカーボンナノ材料104の根元(第1めっき層102の表面の近傍部分)のみを覆っている。従って、接触部100においては、カーボンナノ材料104は保護めっき層103を貫通し、カーボンナノ材料104の先端は保護めっき層103の表面から突出している。保護めっき層103は上記と同様に、第1めっき層102とカーボンナノ材料104との電位差により生じる第1めっき層102の腐食を抑制するためのめっきである。接触部100において、CNTの保護めっき層103の表面からの突出長さは0.1μm〜10μmであることが好ましい。
なお、接合部500の場合と同様に、接触部100においても、保護めっき層103は必要に応じて設けられる。すなわち、電気接続部品10に高い耐食性が求められる場合は保護めっき層103を設けることが好ましいが、高い耐食性が求めらない場合は保護めっき層103を特に設けなくても良い。
上記のような接触部100及び接合部500を形成するにあたっては、まず母材101の全体にカーボンナノ材料104と第1めっき層102とからなる複合めっき層が形成される。この複合めっき層は電着(電解めっき)により母材101の表面に形成される。この場合、NiやPなどの金属元素とカーボンナノ材料104とを含むめっき液を母材101の表面に付着させ、通電することによって、カーボンナノ材料104を保持する第1めっき層102が析出して形成される。
ここで、カーボンナノ材料104は、接触部100の他部材との接触性の向上が主目的であるため、母材101の接触部100が形成される部分のみに設けることが考えられる。この場合、部分浸漬法、スポットめっき法、スパージャーによるめっき法、マスクめっき法、レジストめっき法などの部分めっき法により、カーボンナノ材料104と第1めっき層102とからなる複合めっき層を部分的に形成することになるが、このような複合めっきはめっき条件が厳密であって、上記のような方法で部分めっきすることは非常に煩雑であった。特に、母材101が非常に小さく、多数個の母材101が一連につながったフープ材に上記の複合めっきを部分的に施すことが難しかった。そこで、本実施形態では、電気接続部品10の基体となる母材101の全体にカーボンナノ材料104と第1めっき層102とからなる複合めっき層を形成するものであり、これにより、複合めっきを母材101に部分的に形成する必要がなくなって、煩雑さが軽減されるものであり、電気接続部品10の生産性が向上する。
次に、接合部500が形成される部分において、第1めっき層102の表面に被覆めっき層502が形成される。被覆めっき層502は上記に例示した部分めっき法で形成される。例えば、被覆めっき層502は電着より形成することができる。すなわち、Niなどの金属元素を含むめっき液を第1めっき層102の表面に付着させ、通電することにより、被覆めっき層502が析出して形成される。被覆めっき層502は、カーボンナノ材料を含まないめっきであり、第1めっき層102のような複合めっきでないため、めっき条件が複合めっきよりも厳密でなく、煩雑になることはない。
次に、保護めっき層103が必要に応じて形成される。保護めっき層103は、接触部100と接合部500の両方に設けても良いし、両方に設けてなくても良いし、片方にのみ設けるようにしてもよい。また保護めっき層103は接触部100と接合部500以外の部分に設けてもよい。接触部100となる部分においては、保護めっき層103は第1めっき層102の表面に形成される。接合部500となる部分においては、保護めっき層103は被覆めっき層502の表面に形成される。
図2は端子部品20a、20bを示す。これらの端子部品20a、20bは、コネクタの対となる接続部品(例えば、ヘッダとソケットなど)にそれぞれ組み込まれる。端子部品20a、20bは、接続部品の接続により、一方の端子部品20aの接触部21aと、他方の端子部品20bの接触部21bとが接触し、これにより、端子部品20aと端子部品20bとが電気的に接続される。また端子部品20aの接合部22a及び端子部品20bの接合部22bは、プリント配線板等の回路パターンの導体や配線の導体などにそれぞれはんだなどにより接合される。そして、端子部品20a、20bの一方又は両方が本実施形態の電気接続部品10として形成することが可能である。すなわち、接触部21a、21bの一方又は両方が図1Bに示す構造を有し、接合部22a、22bの一方及び両方が図1Aに示す構造を有して形成することができる。
図3はスイッチ30の概略図を示す。このスイッチ30はケース31の上面に押釦35が突出して設けられている。押釦35はレバー33で押圧自在に形成されている。ケース31内において押釦35の下にはバネ34が設けられている。バネ34の先端には可動接点部品30aがバネ34の上下両面に突出して設けられている。またケース31内において、可動接点部品30aの上方及び下方には固定接点部品30bが設けられている。各固定接点部品30b、30cはそれぞれ接点台36b、36cに接合されている。このスイッチ30は、レバー33が操作されることで押釦35が押圧され、バネ34が動作することにより、可動接点部品30aが上方の固定接点部品30cと接触し、下方の固定接点部品30bと離間する状態と、可動接点部品30aが上方の固定接点部品30cと離間し、下方の固定接点部品30bと接触する状態する状態との間で切り替わるように形成されている。そして、可動接点部品30aと固定接点部品30bとが接触することにより電気的な接続が行われる。
スイッチ30は、可動接点部品30aと固定接点部品30bの一方又は両方が本実施形態の電気接続部品10として形成することが可能である。すなわち、可動接点部品30aの接触部(固定接点部品30b、30cと接触する部分)31aと、固定接点部品30b、30cの接触部(可動接点部品30aと接触する部分)31b、31cの一方又は両方が図1Bに示す構造を有して形成することができる。また、可動接点部品30aの接合部(バネ34と接合する部分)32aと、固定接点部品30b、30cの接合部(接点台36b、36cと接合する部分)32b、32cの一方又は両方が図1Aに示す構造を有して形成することができる。なお、可動接点部品30aをバネ34に接合するにあたっては、カシメが主に用いられるが、溶接やはんだで接合してもよい。固定接点部品30b、30cと接点台36b、36cは、主に、溶接やはんだで接合される。
図4はリレー40の概略図を示す。このリレー40はボディ42とケース43とで囲まれる空間に電磁石ブロック44と接点ブロック45とを備えている。電磁石ブロック44はコイル線46、コイルボビン47、鉄心48、接極子49、継鉄50とを備えている。コイル線46に電気的に接続されるコイル端子51はボディ42に底面から突出している。接点ブロック45は、可動バネ52、可動接点部品40a、固定バネ53、固定接点部品40bを備えている。可動接点部品40aと固定接点部品40bとに電気的に接続される接点端子54はボディ42に底面から突出している。接極子49と可動バネ52とはカード55で接続されている。このリレー40は、コイル線46への通電・不通電により接極子49が動作し、これにより、可動バネ52が動作して、可動接点部品40aが固定接点部品40bと接触する状態と、可動接点部品40aが固定接点部品40bと離間する状態との間で切り替わるように形成されている。そして、可動接点部品40aと固定接点部品40bとが接触することにより電気的な接続が行われる。
リレー40は、可動接点部品40aと固定接点部品40bの一方又は両方が本実施形態の電気接続部品10として形成することが可能である。すなわち、可動接点部品40aの接触部(固定接点部品40bと接触する部分)41aと、固定接点部品40bの接触部(可動接点部品40aと接触する部分)41bの一方又は両方が図1Bに示す構造を有して形成することができる。また、可動接点部品40aの接合部(可動バネ52と接合する部分)42aと、固定接点部品40bの接合部(固定バネ53と接合する部分)42bの一方又は両方が図1Aに示す構造を有して形成することができる。なお、可動接点部品40aを可動バネ52に接合したり、固定接点部品40bを固定バネ53に接合したりするにあたっては、カシメが主に用いられるが、溶接やはんだで接合してもよい。
本実施形態の電気接続部品10は、接触することにより電気的な接続を行う接触部100を備え、この接触部100がカーボンナノ材料104を有しているので、低接触圧力であってもカーボンナノ材料104で他の部材との接触を確保して電気的な接続を行うことができ、低接圧領域での接触信頼性を確保しやすくなる。
また、本実施形態の電気接続部品10は、接触部100の表面と、接触部100と接触する他の部材との間にカーボンナノ材料104が介在するため、接触部100と他の部材との凝着・磨耗を少なくすることができ、電気接続部品10の耐スティッキング性が向上しやすくなる。従って、上記のような電気接続部品10を開閉回数の多いスイッチやリレー等の接点部品として用いると、スティッキング現象が起こりにくく、また、容易に長寿命化を図ることができて好ましい。
また、本実施形態の電気接続部品10は、接合により機械的な接続を行う接合部500を備え、この接合部500が、第1めっき層102の表面に突出するカーボンナノ材料104を覆う第2めっき層501を有しているので、接合部500の表面におけるカーボンナノ材料104の露出を低減することができ、接合部500の表面と他の部材との密着性を高めて接合強度を高くすることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
母材としては、材質が銅板またはコネクタの接点部品に適用される形状に成形されたリン青銅またはチタン銅などのCu合金を用いた。
(実施例1)
母材としては、材質が銅板またはコネクタの接点部品に適用される形状に成形されたリン青銅またはチタン銅などのCu合金を用いた。
母材の全体にカーボンナノ材料と第1めっき層とを備えた複合めっき層を形成した。ここで、カーボンナノ材料としてCNTを含有するNi−P合金めっき液を用いた。CNTとしては、昭和電工(株)製のVGCFを用いた。このCNTは多層CNTである。また、CNTの直径(外径)が100〜200nmで、長さが10〜20μmの範囲であった。Ni−P合金めっき液の組成は、硫酸Ni(1mol/dm3)、塩化Ni(0.2mol/dm3)、ホウ酸(0.5mol/dm3)、クエン酸(0.5mol/dm3)、ホスホン酸(1.0mol/dm3)、分散剤である分子量5000のポリカルボン酸(2×10−4mol/dm3)であった。CNTを含有するNi−P合金めっき液はCNTの混合量を2g/dm3とした。また、CNTを含有するNi−P合金めっき液をめっき浴とし、浴温50±10℃、電流密度1〜15A/dm2のめっき条件とした。そして、Ni−P合金めっき層である第1めっき層の厚みが1.5μm、CNTの含有量が1.0質量%のCNT含有Ni−P合金めっき層を形成した。
次に、接合部となる部分において、第1めっき層の表面に被覆めっき層を形成した。この被覆めっき層により第1めっき層の表面に突出したCNTが外部に露出しないように覆われた。被覆めっき層は厚み1.5μmのNiめっき膜であって、めっき条件はスルファミン酸Ni(450g/l)、塩化Ni(3g/l)、ホウ酸(30g/l)、添加剤(適量)、ピット防止剤(適量)、pH=3.0〜4.5、浴温40〜50℃で電解めっきを1分間行った。
次に、接触部となる部分及び接合部となる部分において、保護めっき層を形成した。接触部となる部分では第1めっき層の表面に保護めっき層を形成した。接合部となる部分では被覆めっき層の表面に保護めっき層を形成した。保護めっき層はSnめっきで形成した。この場合、めっき液としては石原薬品株式会社製の「PF−095S」を使用し、浴温35℃、電流密度3ASDの条件でSnめっきを形成した。保護めっき層の厚みは0.3μmとした。
このようにして電気接続部品を形成した。接触部においては、保護めっき層の表面にCNTが突出しているが、接合部においては、被覆めっき層と保護めっき層からなる第2めっき層の表面にCNTが突出していない。
(実施例2)
Snめっきの代わりに、AuCo合金めっきにより厚み0.3μmの保護めっき層を形成した以外は、実施例1と同様にして電気接続部品を形成した。この場合、めっき液としては日本高純度化学社製の「オーロブライト BAR7」を使用し、浴温50℃、電流密度5A/dm2の条件でAuCo合金めっきを形成した。
Snめっきの代わりに、AuCo合金めっきにより厚み0.3μmの保護めっき層を形成した以外は、実施例1と同様にして電気接続部品を形成した。この場合、めっき液としては日本高純度化学社製の「オーロブライト BAR7」を使用し、浴温50℃、電流密度5A/dm2の条件でAuCo合金めっきを形成した。
(比較例)
第2めっき層(被覆めっき層及び保護めっき層)を形成しなかった以外は実施例1と同様にした。この場合、接合部となる部分では、第1めっき層の表面にCNTが突出している。
第2めっき層(被覆めっき層及び保護めっき層)を形成しなかった以外は実施例1と同様にした。この場合、接合部となる部分では、第1めっき層の表面にCNTが突出している。
(接触信頼性の評価)
上記の各実施例及び比較例について、電気接続部品の接触部における亜硫酸ガス試験後の接触抵抗値の測定を行った。亜硫酸ガス試験は、各実施例及び比較例を温度40±2℃、湿度90±3%RH、亜硫酸ガス濃度10±3ppmの条件下に48時間放置して行った。
上記の各実施例及び比較例について、電気接続部品の接触部における亜硫酸ガス試験後の接触抵抗値の測定を行った。亜硫酸ガス試験は、各実施例及び比較例を温度40±2℃、湿度90±3%RH、亜硫酸ガス濃度10±3ppmの条件下に48時間放置して行った。
接触抵抗値の測定には(株)山崎精機研究所が作製した電気接点シミュレータ(型式CRS−113−AU型)を用いた。交流4端子法による測定のため、測定値にはリード線、コネクタ部などの固有抵抗は含まれず、接触荷重を変化させた時の接触抵抗値を計測することができる。電動ステージにより、一定荷重で接触位置を走査でき、スイッチやリレー接点におけるワイピングを想定した測定も可能である。尚、接触力0.2Nで接触抵抗値の測定を行った。また各実施例及び比較例はそれぞれ5個(サンプルNo.1〜5)ずつ評価を行った。結果を表1に示す。
この結果から明らかなように、各実施例は比較例よりも接触抵抗値が小さく、低接触圧力領域での接触信頼性が高いと言える。
また実施例1の5個について、接触荷重の変化による電気抵抗値の変化を測定した。結果を図6に示す。図6から明らかなように、本実施形態の電気接続部品では、接触荷重0.1Nでも安定した接触抵抗値を示す。
(接合性の評価)
各実施例及び比較例について、はんだ実装後の挿抜試験を行った。すなわち、各実施例及び比較例について、電気接続部品の接合部をプリント配線板の導体回路パターンにはんだ接合し、この後、挿抜試験機にてプリント配線板の表面に対して垂直方向に引き抜くように電気接続部品に荷重を付与した。引き抜き速度は2mm/minとした。そして、電気接続部品が導体回路パターンから外れた時の力(ピール強度)を測定した。結果を表2に示す。尚、導体回路パターンへの電気接続部品の接合部のはんだ接合は、以下のようにして行った。厚み0.12mmのマスクスクリーンを用いて、接合部の表面に鉛フリーはんだペーストをΦ4.5mmの円の形状になるように塗布した。はんだペーストは千住金属工業(株)製のM705−221BM5−32−11.2Kを使用した。実装条件は大気下で図5の温度プロファイルを用いたリフローとした。また各実施例及び比較例はそれぞれ5個(サンプルNo.1〜5)ずつ評価を行った。
各実施例及び比較例について、はんだ実装後の挿抜試験を行った。すなわち、各実施例及び比較例について、電気接続部品の接合部をプリント配線板の導体回路パターンにはんだ接合し、この後、挿抜試験機にてプリント配線板の表面に対して垂直方向に引き抜くように電気接続部品に荷重を付与した。引き抜き速度は2mm/minとした。そして、電気接続部品が導体回路パターンから外れた時の力(ピール強度)を測定した。結果を表2に示す。尚、導体回路パターンへの電気接続部品の接合部のはんだ接合は、以下のようにして行った。厚み0.12mmのマスクスクリーンを用いて、接合部の表面に鉛フリーはんだペーストをΦ4.5mmの円の形状になるように塗布した。はんだペーストは千住金属工業(株)製のM705−221BM5−32−11.2Kを使用した。実装条件は大気下で図5の温度プロファイルを用いたリフローとした。また各実施例及び比較例はそれぞれ5個(サンプルNo.1〜5)ずつ評価を行った。
この結果から、各実施例は比較例よりも接合強度が大きくなり、各実施例は十分な接合強度(規格2N以上)を有している。
図7Aには実施例1の接触部100の表面走査型電子顕微鏡写真が示されている。同様に、図7Bには実施例1の接合部500、図7Cには比較例の接合部500(接触部100)の表面走査型電子顕微鏡写真が示されている。接触部100の表面では実施例1及び比較例のいずれであってもCNT(カーボンナノ材料104)が露出しているが、実施例1の接合部500の表面にはCNTは見られない。
本実施形態の電気接続部品(10)は、以下の特徴を有する。
すなわち、電気接続部品(10)は、接触により電気的に接続される接触部(100)と、接合により接続される接合部(500)とを備える。接触部(100)及び接合部(500)が、母材(101)の表面に形成される第1めっき層(102)と、第1めっき層(102)に保持されて第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)とを備える。接合部(500)が、第1めっき層(102)の表面に形成され、第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)を覆う第2めっき層(501)を備える。
このような電気接続部品(10)は、接触部(100)がカーボンナノ材料(104)を有しているので、低接触圧力であってもカーボンナノ材料(104)で他の部材との接触を確保して電気的な接続を行うことができ、低接圧領域での接触信頼性を確保しやすくなる。また接合部(500)が、第1めっき層(102)の表面に突出するカーボンナノ材料(104)を覆う第2めっき層(501)を有しているので、接合部(500)の表面におけるカーボンナノ材料(104)の露出を低減することができ、接合部(500)の表面と他の部材との密着性を高めて接合強度を高くすることができる。
上記電気接続部品(10)は、第1めっき層(102)がNi又はNi−P合金を含有し、第2めっき層(501)がSn又はAuの少なくとも1つを含有していることが好ましい。
このような電気接続部品(10)は、第1めっき層(102)がNiを含有しているため、酸化による変色などの外観変化を小さくすることができ、また第2めっき層(501)がSn又はAuを含有しているため、耐腐食性を向上させることができる。
上記電気接続部品(10)は、第2めっき層(501)の厚みが0.03〜2.0μmであることが好ましい。
このような電気接続部品(10)は、第2めっき層(501)でカーボンナノ材料(104)の露出を十分に抑制することができる。
上記電気接続部品(10)は、接触部(100)が、第2めっき層(501)を備えていないことが好ましい。
このような電気接続部品(10)は、接触部(100)の表面のカーボンナノ材料(104)が第2めっき層(501)で覆われなくなって、接触信頼性の低下が抑制される。
10 電気接続部品
100 接触部
101 母材
102 第1めっき層
104 カーボンナノ材料
500 接合部
501 第2めっき層
100 接触部
101 母材
102 第1めっき層
104 カーボンナノ材料
500 接合部
501 第2めっき層
Claims (4)
- 接触により電気的に接続される接触部と、接合により接続される接合部とを備える電気接続部品であって、
前記接触部及び前記接合部が、母材の表面に形成される第1めっき層と、前記第1めっき層に保持されて前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料とを備え、
前記接合部が、前記第1めっき層の表面に形成され、前記第1めっき層の表面に突出するカーボンナノ材料を覆う第2めっき層を備える電気接続部品。 - 前記第1めっき層がNi又はNi−P合金を含有し、前記第2めっき層がSn又はAuの少なくとも1つを含有している請求項1に記載の電気接続部品。
- 前記第2めっき層の厚みが0.03μm〜2.0μmである請求項1又は2に記載の電気接続部品。
- 前記接触部が、前記第2めっき層を備えていない請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電気接続部品。
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KR102194953B1 (ko) * | 2019-05-23 | 2020-12-24 | (주)네프 | 전력 제어설비 개폐기 제어장치용 전극 |
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