この発明は、部分的に、活性成分として、カルシウム等の1つ以上の二価金属カチオンを送達する、吸入に適する乾燥粉末、および、その粉末内に含有される二価金属カチオン含有(例えば、カルシウム含有)の吸入に適する乾燥粒子に関する。本発明は、1つ以上の一価カチオン(Na+等)を含有する吸入に適する乾燥粒子、および、その吸入に適する粒子を含有する乾燥粉末にも関する。
一態様では、本発明の吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、小さく、かつ分散可能である二価金属カチオン(例えば、カルシウム)の密度が高い吸入に適する粒子であり得る。別の態様では、吸入に適する乾燥粒子は、大きいか、または小さく、例えば、乾燥粉末は、0.5ミクロン〜30ミクロンの幾何学径(VMGD)を有する。任意で、乾燥粉末のMMADは、0.5〜10ミクロン、より好ましくは、1〜5ミクロンであり得る。
小さい粒子を含有し、空気中に分散可能であり、かつ好ましくは、密度が高い(例えば、活性成分の密度が高い)吸入に適する乾燥粉末は、一般通念からの脱却である。粒子が凝集または集塊する傾向は、粒径が減少するにつれ増加することが周知である。例えば、Hickey,A.et al.,「Factors Influencing the Dispersion of Dry Powders as Aerosols」,Pharmaceutical Technology,August,1994を参照されたい。
本明細書に記載されるように、本発明は、小さく、対象の吸入を超える追加のエネルギー源なしで空気中に分散可能である吸入に適する粒子を含有する吸入に適する乾燥粉末を提供する。したがって、粒子または粉末中に大量の不活性成分(例えば、賦形剤)を含むことなく、または投与中または投与直前に、凝集もしくは集塊粒子を破壊するために機械力を印加するデバイスを使用することによらず、吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子を治療的に使用することができる。
本発明の吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する粒子は、概して、1つまたは複数の活性成分、すなわち、二価金属カチオン(例えば、1つまたは複数のカルシウム含有塩)の密度も高い。例えば、本明細書に記載されるように、賦形剤が吸入に適する乾燥粉末または粒子中に含まれる時に、賦形剤は、微量成分(例えば、約50重量%以下、好ましくは、約20重量%以下、約12重量%以下、約10重量%以下、約8重量%以下、または重量以下)である。したがって、一態様では、吸入に適する粒子は、小さく、かつ極めて分散可能であるばかりでなく、大量の二価金属カチオン、例えば、カルシウム(Ca2+)を含有することもできる。したがって、二価金属カチオン(例えば、カルシウム)の所望の用量を送達するために、必要とされる粉末の投与量がより少量となる。例えば、カルシウムの所望の用量は、カプセル型またはブリスター型吸入器からの1回もしくは2回の吸入で送達され得る。
定義
本明細書で使用される、「乾燥粉末」という用語は、吸入デバイス内で分散され、その後対象が吸入することができる微細に分散した吸入に適する乾燥粒子を含有する組成物を指す。そのような乾燥粉末もしくは乾燥粒子は、最大で約15%の水もしくは他の溶媒を含有するか、または実質的に水もしくは他の溶媒を含んでいないか、または無水であり得る。
本明細書で使用される、「乾燥粒子」という用語は、最大で約15%の水もしくは他の溶媒を含有するか、または実質的に水もしくは他の溶媒を含んでいないか、または無水であり得る吸入に適する粒子を指す。
本明細書で使用される、「吸入に適する」という用語は、吸入によって対象の気道(例えば、肺送達)に送達するのに好適な乾燥粒子または乾燥粉末を指す。吸入に適する乾燥粉末または乾燥粒子は、約10ミクロン未満、好ましくは、約5ミクロン以下の空気力学的質量中位径(MMAD)を有する。
本明細書で使用される、吸入に適する乾燥粒子を「投与」または「投与する」という用語は、対象の気道に、吸入に適する乾燥粒子を導入することを指す。
本明細書で使用される、「気道」という用語には、上気道(例えば、鼻道、鼻腔、咽喉、咽頭)、呼吸気道(例えば、咽頭、気管、気管支、細気管支)、および肺(例えば、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞)が含まれる。
「分散可能」という用語は、乾燥粉末または乾燥粒子が吸入に適するエアロゾル中散らされる特性を記載する専門用語である。乾燥粉末または乾燥粒子の分散性は、1バールの分散(すなわち、レギュレータ)圧で測定された幾何学的体積中位径(VMGD)を4バールの分散(すなわち、レギュレータ)圧で測定されたVMGDで割った比率、またはHELOS/RODOSで測定された0.5バールでのVMGDを4バールでのVMGDで割った比率として本明細書に表される。これらの比率は、本明細書でそれぞれ、「1/4バール」および「0.5/4バール」と称され、分散性は低い比率と相関する。例えば、1/4バールは、HELOS/RODOSによって4バールで測定される同一の吸入に適する乾燥粒子もしくは粉末のVMGDで割った、HELOSまたは他のレーザー回折システムによって測定される、約1バールでRODOS乾燥粉末分散機(または同等の技法)のオフィリスから放出される吸入に適する乾燥粒子もしくは粉末のVMGDを指す。したがって、極めて分散可能な乾燥粉末または乾燥粒子は、1.0に近い、1/4バールもしくは0.5/4バールの比率を有する。極めて分散可能な粉末は、ともに集塊、凝集、凝塊する低い傾向を有し、および/またはともに集塊、凝集、凝塊される場合、それらが吸入器から放出され、かつ対象によって吸い込まれる時に、容易に分散または解砕される。分散性を、流速の関数として、吸入器から放出される大きさを測定することによっても評価することができる。
本明細書で使用される、「FPF(<5.6)」、「FPF(<5.6ミクロン)」、および「5.6ミクロン未満の細粒分」という用語は、5.6ミクロン未満の空気動力学的直径を有する乾燥粒子の試料の割合を指す。例えば、FPF(<5.6)は、段階1および2段階の破壊的アンダーセンカスケード衝撃装置(ACI)の収集フィルタ上で堆積された吸入に適する乾燥粒子の質量を、器具への送達のためのカプセル中に秤量された吸入に適する乾燥粒子の質量で割ることによって決定することができる。このパラメータは、「FPF_TD(<5.6)」として特定され得、TDは、総用量を意味する。同様の測定を、8段階ACIを用いて行うことができる。8段階ACIカットオフは、標準の60L/分の流速では異なるが、FPF_TD(<5.6)を8段階の完全なデータセットから外挿することができる。FPFを決定するために、カプセル内に存在するものの代わりに、ACI内で収集された用量を用いるUSP方法によって、8段階ACI結果を計算することができる。
本明細書で使用される、「FPF(<3.4)」、「FPF(<3.4ミクロン)」、および「3.4ミクロン未満の細粒分」という用語は、3.4ミクロン未満の空気動力学的直径を有する吸入に適する乾燥粒子の質量の割合を指す。例えば、FPF(<3.4)は、2段階の破壊的ACIの収集フィルタ上に堆積された吸入に適する乾燥粒子の質量を、器具への送達のためのカプセル中に秤量された吸入に適する乾燥粒子の全質量で割ることによって決定することができる。このパラメータは、「FPF_TD(<3.4)」として特定得、TDは、総用量を意味する。同様の測定を、8段階ACIを用いて行うことができる。FPFを決定するために、カプセル内に存在するものの代わりに、ACI内で収集された用量を用いるUSP方法によって、8段階ACI結果を計算することができる。
本明細書で使用される、「FPF(<5.0)」、「FPF(<5.0ミクロン)」、および「5.0ミクロン未満の細粒分」という用語は、5.0ミクロン未満の空気動力学的直径を有する吸入に適する乾燥粒子の質量の割合を指す。例えば、FPF(<5.0)は、8段階の完全なデータセットから外挿することによって、標準の60L/分の流速で8段階ACIを用いて決定することができる。このパラメータは、「FPF_TD(<5.0)」として特定され得、TDは、総用量を意味する。
本明細書で使用される、「放出用量」もしくは「ED」という用語は、発射または分散事象後の好適な吸入器デバイスからの薬物製剤の送達を示すものを指す。より具体的には、乾燥粉末製剤において、EDは、単位用量パッケージから取り出され、吸入器デバイスのマウスピースから出る粉末の割合の尺度である。EDは、吸入器デバイスによって送達される用量と名目上の用量との比率(すなわち、発射前に好適な吸入器デバイス内に設置される単位用量当たりの粉末の質量)として定義される。EDは、実験的に測定されるパラメータであり、USPセクション601エアロゾル、定量吸入器および乾燥粉末吸入器、送達用量均一性、乾燥粉末吸入器からの送達用量のサンプリング、米国薬局方協約、Rockville,MD,13th Revision,222−225,2007の方法を用いて決定することができる。この方法は、患者投与を模倣するために設定された生体外デバイスを利用する。
本明細書で使用される、「有効量」という用語は、気道粘液(例えば、気道内膜流体)の表面および/またはバルク粘弾性を増加させるか、気道粘液のゲル化(例えば、表面および/またはバルクのゲル化)を増加させるか、気道粘液の表面張力を増加させるか、気道粘液の弾性(例えば、表面弾性および/またはバルク弾性)を増加させるか、気道粘液の表面粘性(例えば、表面粘性および/またはバルク粘性)を増加させるか、吐き出される粒子の量を減少させるか、病原体(例えば、細菌、ウイルス)負荷を低減させるか、症状(例えば、発熱、咳嗽、くしゃみ、鼻汁、下痢等)を軽減させるか、感染の発生を低減させるか、ウイルス複製を減少させるか、または呼吸機能の悪化を改善もしくは予防する(例えば、努力肺活量FEV1/FVCの割合として1秒量FEV1の努力呼気肺活量および/または1秒量FEV1の努力呼気肺活量を改善するか、または気管支収縮を軽減する)のに十分な量等の、所望の効果を達成するために必要とされる薬剤の量を指す。特定の用途に対する実際の有効量は、特定の乾燥粉末または乾燥粒子、投与方法、対象の年齢、体重、総体的な健康、ならびに治療される症状もしくは状態の重症度によって変化し得る。これらならびに他の考慮すべき点に基づいて、特定の患者に対する投与される乾燥粉末および乾燥粒子の好適な量、ならびに投薬計画を、当技術分野の臨床医が決定することができる。
本明細書で使用される、「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、肺への著しく有害な毒物学的影響なく、賦形剤を肺内に取り入れることができることを意味する。そのような賦形剤は、米国食品医薬品局によって一般的に安全と見なされる(GRAS)。
乾燥粉末および乾燥粒子
本発明は、活性成分として、ベリリウム(Be2+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+)、バリウム(Ba2+)、ラジウム(Ra2+)、または鉄(第一鉄イオン、Fe2+)等の1つ以上の二価金属カチオン含有する吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子に関する。活性二価金属カチオン(例えば、カルシウム)は、概して、塩の形態で乾燥粉末および乾燥粒子中に存在し、結晶性または非晶質である。乾燥粉末および乾燥粒子は、任意で、追加の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩等の一価塩)、治療的に活性な薬剤、または薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
いくつかの態様では、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、IIA族の元素の1つ以上の塩(すなわち、1つ以上のベリリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、ラジウム塩、または前述の任意の組み合わせ)を含有する。より特定の態様では、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、1つ以上のカルシウム塩、マグネシウム塩、または前述の任意の組み合わせを含有する。特定の実施形態では、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、1つ以上のカルシウム塩を含有する。他の特定の実施形態では、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子粒子は、1つ以上のマグネシウム塩を含有する。
好適なベリリウム塩には、例えば、リン酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、酒石酸ベリリウム、クエン酸ベリリウム、グルコン酸ベリリウム、マレイン酸ベリリウム、コハク酸ベリリウム、リンゴ酸ベリリウムナトリウム、アルファブロムショウノウスルホン酸ベリリウム、ベリリウムアセチルアセトナート、ギ酸ベリリウム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好適なマグネシウム塩には、例えば、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、マレイン酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、リンゴ酸マグネシウム、タウリンマグネシウム、オロト酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、ナフテン酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトナート、ギ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好適なカルシウム塩には、例えば、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等が含まれる。
好適なストロンチウム塩には、例えば、塩化ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、酸化ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、酒石酸ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、マレイン酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、Lおよび/またはDのいずれかの形態のアスパラギン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、Lおよび/またはDのいずれかの形態のグルタミン酸ストロンチウム、グルタル酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、L−トレオン酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、ラネリン酸ストロンチウム(有機金属キレート)、アスコルビン酸ストロンチウム、酪酸ストロンチウム、クロドロン酸ストロンチウム、イバンドロン酸ストロンチウム、サリチル酸ストロンチウム、アセチルサリチル酸ストロンチウム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好適なバリウム塩には、例えば、水酸化バリウム、フッ化バリウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、硫酸バリウム、硫化バリウム(S)、炭酸バリウム、過酸化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、酒石酸バリウム、クエン酸バリウム、グルコン酸バリウム、マレイン酸バリウム、コハク酸バリウム、リンゴ酸バリウム、グルタミン酸バリウム、シュウ酸バリウム、マロン酸バリウム、ナフテン酸バリウム、バリウムアセチルアセトナート、ギ酸バリウム、安息香酸バリウム、p−t−ブチル安息香酸バリウム、アジピン酸バリウム、ピメリン酸バリウム、スベリン酸バリウム、アゼル酸バリウム、セバシン酸バリウム、フタル酸バリウム、イソフタル酸バリウム、テレフタル酸バリウム、アントラニル酸バリウム、マンデル酸バリウム、サリチル酸バリウム、タン酸バリウム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好適なラジウム塩には、例えば、フッ化ラジウム、塩化ラジウム、臭化ラジウム、ヨウ化ラジウム、酸化ラジウム、窒化ラジウム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好適な鉄(第一鉄)塩には、例えば、硫酸第一鉄、酸化第一鉄、酢酸第一鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸アンモニウム第一鉄、グルコン酸第一鉄第一鉄、シュウ酸第一鉄、フマル酸第一鉄、マレイン酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、乳酸第一鉄、アスコルビン酸第一鉄、エリソルビン酸第一鉄、グリセリン酸第一鉄、ピルビン酸第一鉄、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
一態様では、本発明の乾燥粒子は、小さく、好ましくは、二価金属カチオン(例えば、カルシウム)の密度が高く、かつ分散可能である。乾燥粒子の大きさを、細粒分(FPF)、幾何学的体積中位径(VMGD)、または空気力学的質量中位径(MMAD)等の当分野の従来の多種多様の方法で表すことができる。概して、本発明の乾燥粒子は、1.0バールでのHELOS/RODOSで測定される時に、約10μm以下(例えば、約0.1μm〜約10μm)のVMGDを有する。好ましくは、本発明の乾燥粒子は、1.0バールでのHELOS/RODOSで測定される時に、約9μm以下(例えば、約0.1μm〜約9μm)、約8μm以下(例えば、約0.1μm〜約8μm)、約7μm以下(例えば、約0.1μm〜約7μm)、約6μm以下(例えば、約0.1μm〜約6μm)、約5μm以下(例えば、5μm未満、約0.1μm〜約5μm)、約4μm以下(例えば、0.1μm〜約4μm)、約3μm以下(例えば、0.1μm〜約3μm)、約2μm以下(例えば、0.1μm〜約2μm)、約1μm以下(例えば、0.1μm〜約1μm)、約1μm〜約6μm、約1μm〜約5μm、約1μm〜約4μm、約1μm〜約3μm、または約1μm〜約2μmのVMGDを有する。
別の態様では、本発明の乾燥粒子は、大きく、好ましくは、カルシウムの密度が高く、かつ分散可能である。概して、本発明の乾燥粒子は、1.0バールでのHELOS/RODOSで測定される時に、約30μm以下(例えば、約5μm〜約30μm)のVMGDを有する。好ましくは、本発明の乾燥粒子は、1.0バールでのHELOS/RODOSで測定される時に、約25μm以下(例えば、約5μm〜約25μm)、約20μm以下(例えば、約5μm〜約20μm)、約15μm以下(例えば、約5μm〜約15μm)、約12μm以下(例えば、約5μm〜約12μm)、約10μm以下(例えば、約5μm〜約10μm)、または約8μm以下(例えば、6μm〜約8μm)のVMGDを有する。
さらに、粒子が小さくても、または大きくても、本発明の乾燥粒子は、分散可能であり、かつ約2.2以下(例えば、約1.0〜約2.2)または約2.0以下(例えば、約1.0〜約2.0)の1/4バールおよび/もしくは0.5/4バールを有する。好ましくは、本発明の乾燥粒子は、約1.9以下(例えば、約1.0〜約1.9)、約1.8以下(例えば、約1.0〜約1.8)、約1.7以下(例えば、約1.0〜約1.7)、約1.6以下(例えば、約1.0〜約1.6)、約1.5以下(例えば、約1.0〜約1.5)、約1.4以下(例えば、約1.0〜約1.4)、約1.3以下(例えば、未満1.3、約1.0〜約1.3)、約1.2以下(例えば、1.0〜約1.2)、約1.1以下(例えば、1.0〜約1.1μm)の1/4バールおよび/または0.5/4バールを有するか、または本発明の乾燥粒子は、約1.0の1/4バールを有する。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、約0.5ミクロン〜約10ミクロンのMMAD等の、約10ミクロン以下のMMADを有し得る。好ましくは、本発明の乾燥粒子は、約5ミクロン以下(例えば、約0.5ミクロン〜約5ミクロン、好ましくは、約1ミクロン〜約5ミクロン)、約4ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約4ミクロン)、約3.8ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約3.8ミクロン)、約3.5ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約3.5ミクロン)、約3.2ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約3.2ミクロン)、約3ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約3.0ミクロン)、約2.8ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約2.8ミクロン)、約2.2ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約2.2ミクロン)、約2.0ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約2.0ミクロン)、または約1.8ミクロン以下(例えば、約1ミクロン〜約1.8ミクロン)のMMADを有する。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、好ましくは、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、もしくは少なくとも約70%の約5.6ミクロン未満(FPF<5.6μm)のFPFを有し得る。
あるいは、またはさらには、乾燥粉末および本発明の乾燥粒子は、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約45%、好ましくは、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、もしくは少なくとも約70%の5.0ミクロン未満(FPF_TD<5.0μm)のFPFを有する。あるいは、またはさらには、乾燥粉末および本発明の乾燥粒子は、少なくとも約45%、好ましくは、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、もしくは少なくとも約85%の5.0ミクロン未満の放出用量(FPF_ED<5.0μm)のFPFを有する。あるいは、またはさらには、本発明の乾燥粉末および乾燥粒子は、少なくとも約20%、好ましくは、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、もしくは少なくとも約55%の約3.4ミクロン未満(FPF<3.4μm)のFPFを有し得る。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、約0.1g/cm3〜約1.0g/cm3のタップ密度を有する。例えば、小さく分散可能な乾燥粒子は、約0.1g/cm3〜約0.9g/cm3、約0.2g/cm3〜約0.9g/cm3、約0.2g/cm3〜約0.9g/cm3、約0.3g/cm3〜約0.9g/cm3、約0.4g/cm3〜約0.9g/cm3、約0.5g/cm3〜約0.9g/cm3、または約0.5g/cm3〜約0.8g/cm3、約0.4g/cc超、約0.5g/cc超、約0.6g/cc超、約0.7g/cc超、約0.1g/cm3〜約0.8g/cm3、約0.1g/cm3〜約0.7g/cm3、約0.1g/cm3〜約0.6g/cm3、約0.1g/cm3〜約0.5g/cm3、約0.1g/cm3〜約0.4g/cm3、約0.1g/cm3〜約0.3g/cm3、0.3g/cm3未満のタップ密度を有する。好ましい実施形態では、タップ密度は、約0.4g/ccより大きい。別の好ましい実施形態では、タップ密度は、約0.5g/ccより大きい。あるいは、タップ密度は、約0.4g/cc未満である。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の約15重量%未満の含水量もしくは溶媒量を有し得る。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、約15重量%未満、約13重量%未満、約11.5重量%未満、約10重量%未満、約9重量%未満、約8重量%未満、約7重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満の含水量もしくは溶媒量を有し得るか、または無水である。本発明の吸入に適する乾燥粒子は、約6%未満かつ約1%超、約5.5%未満かつ約1.5%超、約5%未満かつ約2%超、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%の含水量または溶媒量を有し得る。
本明細書に記載されるように、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、1つ以上の二価金属カチオン(例えば、カルシウム(Ca2+))を、概して塩の形態(例えば、結晶性および/または非晶質)で存在する活性成分として含有する。本発明の吸入に適する乾燥粒子中に存在し得る好適なカルシウム塩には、例えば、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等が含まれる。ある特定の好ましい態様では、本発明の乾燥粉末または乾燥粒子は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、またはグルコン酸カルシウムを含有しない。別の好ましい態様では、本発明の乾燥粉末もしくは乾燥粒子は、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、またはこれらの塩の任意の組み合わせを含む。別の好ましい態様では、乾燥粉末もしくは乾燥粒子は、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、またはこれらの塩の任意の組み合わせを含む。所望の場合、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含有し、かつナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、コバルト、ニッケル、銅、マンガン、亜鉛、錫、銀等の元素の1つ以上の非毒性塩等の1つ以上の追加の塩をさらに含有する。好ましくは、乾燥粒子は、少なくとも1つのカルシウム塩および少なくとも1つの一価カチオン塩(例えば、ナトリウム塩)を含有する。
本発明の吸入に適する乾燥粒子中に存在し得る好適なナトリウム塩には、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、重リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が含まれる。好ましい態様では、乾燥粉末および乾燥粒子は、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはこれらの塩の任意の組み合わせを含む。
好適なリチウム塩には、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、乳酸リチウム、クエン酸リチウム、アスパラギン酸リチウム、グルコン酸リチウム、リンゴ酸リチウム、アスコルビン酸リチウム、オロト酸リチウム、コハク酸リチウム、または、およびそれらの組み合わせが含まれる。
好適なカリウム塩には、例えば、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、重炭酸カリウム、亜硝酸カリウム、過硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸カリウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、グルタミン酸カリウム、グアニル酸二カリウム、グルコン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、アスコルビン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
好ましい二価金属塩(例えば、カルシウム塩)は、以下の特性の1つ、好ましくは、2つ以上を有する:(i)吸入に適する乾燥粒子に加工することができ、(ii)分散可能であり、かつ上昇した湿度への曝露時を含む条件の範囲にわたって物理的に安定している粉末の産生を促進するのに十分な物理化学的安定性を有し、(iii)肺内での堆積時に、例えば、二価金属のカチオンの質量の半分を、30分未満、15分未満、5分未満、2分未満、1分未満、もしくは30秒未満で溶解することができる、迅速な溶解を受け、および(iv)溶解の著しい発熱もしくは吸熱(ΔH)等の低い耐性または有害事象をもたらし得る特性を有さない。例えば、ΔHは、約−10kcal/molより小さいか、または約10kcal/molより大きい。むしろ、好ましいΔHは、約−9kcal/mol〜約9kcal/mol、約−8kcal/mol〜約8kcal/mol、約−7kcal/mol〜約7kcal/mol、約−6kcal/mol〜約6kcal/mol、約−5kcal/mol〜約5kcal/mol、約−4kcal/mol〜約4kcal/mol、約−3kcal/mol〜約3kcal/mol、約−2kcal/mol〜約2kcal/mol、約−1kcal/mol〜約1kcal/mol、または約0kcal/molである。
肺内での乾燥粉末または粒子の堆積時の溶解速度に関して、肺内での粒子の迅速な溶解に替えて、二価金属塩は、堆積時に持続した溶解を経る。持続した溶解の期間は、一態様では、分の単位であり、例えば、二価金属塩のカチオンの半分を、約30分超または約45分超で粒子から放出することができる。別の態様では、持続した溶解の期間は、時間の単位にわたり、例えば、二価金属塩の半分を、約1時間超、1.5時間超、約2時間超、約4時間超、約8時間超、または約12時間超で放出することができる。さらなる態様では、持続した溶解は、1日または2日の期間にわたる。
好適な二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)は、所望の溶解度特性を有し得る。概して、極めて、または適度に可溶性の二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)が好ましい。例えば、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末中に含有される好適な二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)は、室温(20〜30℃)および1バールで、少なくとも約0.4g/L、少なくとも約0.85g/L、少なくとも約0.90g/L、少なくとも約0.95g/L、少なくとも約1.0g/L、少なくとも約2.0g/L、少なくとも約5.0g/L、少なくとも約6.0g/L、少なくとも約10.0g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約90g/L、少なくとも約120g/L、少なくとも約500g/L、少なくとも約700g/L、または少なくとも約1000g/Lの蒸留水中での溶解度を有し得る。好ましくは、二価金属カチオン塩は、約0.90g/L超、約2.0g/L超、または約90g/L超の溶解度を有する。
所望の場合、水中で極めて可溶性ではない二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含有する本発明の乾燥粒子および乾燥粉末を調製することができる。本明細書に記載されるように、そのような乾燥粒子および乾燥粉末を、異なるより可溶性の塩の供給原料を用いて、かつ噴霧乾燥前または噴霧乾燥と同時に、アニオン交換が所望の二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を産生するのを可能にしながら、調製することができる。
本発明の乾燥粉末および粒子は、組成物中で高い割合の活性成分(例えば、二価金属カチオン(例えば、カルシウム))を含有し、かつ二価金属カチオンの密度が高くあり得る。乾燥粒子は、3%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、または95%以上の活性成分を含有し得る。
これは、二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)が、1モルの塩当たり、2モル以上の二価金属カチオン(例えば、Ca2+)を供給するために分離する時に有利である。そのような塩を、二価金属カチオン(例えば、カルシウム)の密度が高い吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子を産生するために使用することができる。例えば、1モルのクエン酸カルシウムは、溶解時に3モルのCa2+を供給する。二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)は、低分子量であり、および/または低分子量アニオンを含有する塩であることも概して望ましい。カルシウムイオンおよび低分子量アニオンを含有するカルシウム塩等の低分子量二価金属カチオン塩は、高分子塩および高分子量アニオンを含有する塩と比較して、二価カチオン(例えば、Ca2+)の密度が高い。二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)は、約1000g/mol未満、約950g/mol未満、約900g/mol未満、約850g/mol未満、約800g/mol未満、約750g/mol未満、約700g/mol未満、約650g/mol未満、約600g/mol未満、約550g/mol未満、約510g/mol未満、約500g/mol未満、約450g/mol未満、約400g/mol未満、約350g/mol未満、約300g/mol未満、約250g/mol未満、約200g/mol未満、約150g/mol未満、約125g/mol未満、または約100g/mol未満の分子量を有することが概して好ましい。さらに、またはあるいは、二価金属カチオン(例えば、カルシウムイオン)は、大部分の重量を二価金属カチオン塩の全体の重量に寄与することが概して好ましい。二価金属カチオン(例えば、カルシウムイオン)は、全体の塩の重量の少なくとも10%、全体の二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)の重量の少なくとも16%、少なくとも20%、少なくとも24.5%、少なくとも26%、少なくとも31%、少なくとも35%、少なくとも38%に寄与することが概して好ましい。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン(Ca2+)を供給する好適な二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含むことができ、二価金属カチオン(例えば、カルシウムイオン)の該塩の全体の重量に対する重量比は、約0.1対約0.5である。例えば、二価金属カチオン(例えば、カルシウムイオン)の該塩の全体の重量に対する重量比は、約0.15対約0.5、約0.18対約0.5、約0.2対約5、約0.25対約0.5、約0.27対約0.5、約0.3対約5、約0.35対約0.5、約0.37対約0.5、または約0.4対約0.5である。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約5重量%の量で二価カチオン(例えば、Ca2+)を提供する二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含有することができる。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、または少なくとも約70重量%の量で二価カチオン(例えば、Ca2+)を提供する二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含むことができる。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約5重量%の量で二価金属カチオン(例えば、Ca2+、Be2+,Mg2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+)を提供する二価金属カチオン塩を含有することができ、かつ吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約3重量%の量で一価カチオン(例えば、Na+、Li+、K+)を提供する一価塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩)も含有することができる。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、または少なくとも約70重量%の量で二価カチオン(例えば、Ca2+)を供給する二価金属カチオン塩(例えば、カルシウム塩)を含むことができ、かつ吸入に適する乾燥粒子の少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約25%、少なくとも約27%、少なくとも約29%、少なくとも約32%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、または少なくとも約55重量%の量で一価アニオン(Na+)を提供する一価塩ナトリウム塩をさらに含有することができる。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩および一価カチオン塩を含有し、1つ以上の塩の成分としての二価カチオンは、乾燥粒子の少なくとも5重量%の量で存在し、かつ二価カチオンの一価カチオンに対する重量比は、約50:1(すなわち、約50対約1)〜約0.1:1(すなわち、約0.1対約1)である。二価金属カチオンの一価カチオンに対する重量比は、それぞれ、乾燥粒子中に含有される二価金属カチオン塩および一価塩中に含有される二価金属カチオンならびに一価カチオンの量に基づいている。特定の例では、二価金属カチオンの一価カチオンに対する重量比は、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.86:1、約0.92:1、約1:1、約1.3:1、約2:1、約5:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、もしくは約50:1、約20:1〜約0.1:1、約15:1〜約0.1:1、約10:1〜約0.1:1、または約5:1〜約0.1:1である。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩および一価カチオン塩を含有することができ、その中で、二価金属カチオン塩および一価カチオン塩は、対イオンとして塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、または硫酸塩を含有し、かつ二価金属カチオン(例えば、Ca2+、Be2+,Mg2+、Sr2+、Ba2+、Fe2+)の一価カチオン(例えば、Na+、Li+、K+)に対する比率モル:モルは、約50:1(すなわち、約50対約1)〜約0.1:1(すなわち、約0.1対約1)である。二価金属カチオンの一価カチオンに対するモル比は、乾燥粒子中に含有される、二価金属カチオン塩および一価カチオン塩中に含有される二価金属カチオンならびに一価カチオンの量に基づいている。好ましくは、1つ以上の二価金属カチオン塩の成分としての二価金属カチオンは、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも5重量%の量で存在する。特定の例では、二価金属カチオンおよび一価カチオンは、約8.0:1、約7.5:1、約7.0:1、約6.5:1、約6.0:1、約5.5:1、約5.0:1、約4.5:1、約4.0:1、約3.5:1、約3.0:1、約2.5:1、約2.0:1、約1.5:1、約1.0:1、約0.77:1、約0.65:1、約0.55:1、約0.45:1、約0.35:1、約0.25:1、もしくは約0.2:1、約8.0:1〜約0.55:1、約7.0:1〜約0.55:1、約6.0:1〜約0.55:1、約5.0:1〜約0.55:1、約4.0:1〜約0.55:1、約3.0:1〜約0.55:1、約2.0:1〜約0.55:1、または約1.0:1〜約0.55:1のモル比で吸入に適する乾燥粒子中に存在する。
好ましい吸入に適する乾燥粒子は、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、および塩化カルシウムから成る群から選択される少なくとも1つのカルシウム塩を含有し、かつ塩化ナトリウムも含有する。
クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、および乳酸カルシウムは、噴霧乾燥を介して吸入に適する乾燥粉末へのそれらの加工を可能にし、かつ肺内での堆積時にそれらの溶解を促進するのに十分な水溶解度を有するが、標準および上昇した湿度への曝露時に、物理的に比較的安定している高いカルシウム塩負荷を伴う乾燥粉末の産生を可能にするのに十分な低吸湿性を有する。クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、および乳酸カルシウムはまた、塩化カルシウムよりも著しく低い溶解熱を有し、これは、気道への投与に有益であり、クエン酸、硫酸、および乳酸イオンは、薬学的組成物中の包含に安全かつ許容可能である。
したがって、本明細書に記載される特長および特性の任意の組み合わせに加えて、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の総量の少なくとも約51重量%の1つ以上の塩を含有することができ、1つ以上の塩の各々は、塩の少なくとも1つがルシウム塩であるという条件で、独立して、カルシウムおよびナトリウムならびに乳酸塩(C3H5O3 −)、塩化物(Cl−)、クエン酸塩(C6H5O7 3−)、および硫酸塩(SO4 2−)から成る群から選択されるアニオンから成る群から選択されるカチオンから成る。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子の総量の少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、または少なくとも約95重量%の塩の1つ以上を含むことができる。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩およびナトリウム塩を含有することができ、1つ以上のカルシウム塩の成分としてのカルシウムカチオンは、乾燥粒子の少なくとも5重量%の量で存在し、かつカルシウムイオンのナトリウムイオンに対する重量比は、約50:1(すなわち、約50対約1)〜約0.1:1(すなわち、約0.1対約1)である。カルシウムイオンのナトリウムイオンに対する重量比は、乾燥粒子中に含有されるカルシウム塩およびナトリウム塩中に含有されるカルシウムイオンならびにナトリウムイオンの量に基づいている。特定の例では、カルシウムイオンのナトリウムイオンに対する重量比は、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.86:1、約0.92:1、約1:1、約1.3:1、約2:1、約5:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、もしくは約50:1、約20:1〜約0.1:1、約15:1〜約0.1:1、約10:1〜約0.1:1、または約5:1〜約0.1:1である。
あるいは、またはさらには、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩およびナトリウム塩を含有することができ、その中で、カルシウム塩およびナトリウム塩は、対イオンとして塩化物、乳酸塩、クエン酸塩、または硫酸塩を含有し、かつカルシウムのナトリウムに対する比率モル:モルは、約50:1(すなわち、約50対約1)〜約0.1:1(すなわち、約0.1対約1)である。カルシウムのナトリウムに対するモル比は、乾燥粒子中に含有されるカルシウム塩およびナトリウム塩中に含有されるカルシウムならびにナトリウムの量に基づいている。好ましくは、1つ以上のカルシウム塩の成分としてのカルシウムは、吸入に適する乾燥粒子の少なくとも5重量%の量で存在する。特定の例では、カルシウムおよびナトリウムは、約8.0:1、約7.5:1、約7.0:1、約6.5:1、約6.0:1、約5.5:1、約5.0:1、約4.5:1、約4.0:1、約3.5:1、約3.0:1、約2.5:1、約2.0:1、約1.5:1、約1.0:1、約0.77:1、約0.65:1、約0.55:1、約0.45:1、約0.35:1、約0.25:1、もしくは約0.2:1、約8.0:1〜約0.55:1、約7.0:1〜約0.55:1、約6.0:1〜約0.55:1、約5.0:1〜約0.55:1、約4.0:1〜約0.55:1、約3.0:1〜約0.55:1、約2.0:1〜約0.55:1、または約1.0:1〜約0.55:1のモル比で吸入に適する乾燥粒子中に存在する。
所望の場合、本明細書に記載される吸入に適する乾燥粒子は、生理学的または薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことができる。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、単独または任意の所望の組み合わせでのいずれかで、吸入療法に有用な賦形剤であるとして当分野で知られている標準の炭水化物、糖アルコール、およびアミノ酸担体のいずれかを含む。これらの賦形剤は、概して、比較的流動性の粒子であり、水との接触時に密集または重合せず、分散粉末として吸入される時に毒物学的に無害であり、かつ本発明の塩の所望の生理作用に悪影響を及ぼす形で、活性薬剤と著しく相互作用しない。この点で有用な炭水化物賦形剤には、単糖類および多糖類が含まれる。代表的な単糖類には、右旋糖(無水かつ一水和物であり、ブドウ糖およびブドウ糖一水和物とも称される)、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルボース等の炭水化物賦形剤が含まれる。代表的な二糖類には、ラクトース、マルトース、サッカロース、トレハロース等が含まれる。代表的な三糖類には、ラフィノース等が含まれる。他の炭水化物賦形剤には、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン等のマルトデキストリンおよびシクロデキストリンが含まれ、所望に応じて使用することができる。代表的な糖アルコールには、マンニトール、ソルビトール等が含まれる。
好適なアミノ酸賦形剤は、標準の薬剤加工技術下で粉末を形成し、かつ無極性(疎水性)アミノ酸および極性(非荷電、正荷電、ならびに負荷電)アミノ酸を含む自然発生アミノ酸のいずれかを含み、そのようなアミノ酸は、医薬品グレードであり、米国食品医薬品局によって一般的に安全と見なされる(GRAS)。無極性アミノ酸の代表的な例には、アラニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンが挙げられる。極性非荷電アミノ酸の代表的な例には、シスチン、グリシン、グルタミン、セリン、トレオニン、およびチロシンが挙げられる。極性正荷電アミノ酸の代表的な例には、アルギニン、ヒスチジン、およびリジンが挙げられる。負荷電アミノ酸の代表的な例には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。これらのアミノ酸は、概して、Aldrich Chemical Company,Inc.,Milwaukee,Wis.またはSigma Chemical Company,St.Louis,Mo等の医薬品グレード製品を提供する商業的供給源から入手可能である。
疎水性アミノ酸ロイシン等の好ましいアミノ酸賦形剤は、吸入に適する乾燥粒子の約50重量%以下の量で、本発明の乾燥粒子中に存在し得る。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、約5重量%〜約30重量%、約10重量%〜約20重量%、約5重量%〜約20重量%、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約18重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量のアミノ酸ロイシンを含有し得る。
マルトデキストリンおよびマンニトール等の好ましい炭水化物賦形剤は、吸入に適する乾燥粒子の約50重量%以下の量で、本発明の乾燥粒子中に存在し得る。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約30重量%以下、約25重量%以下、約20重量%以下、約18重量%以下、約16重量%以下、約15重量%以下、約14重量%以下、約13重量%以下、約12重量%以下、約11重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量のマルトデキストリンを含有し得る。いくつかの好ましい態様では、乾燥粒子は、ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール、およびそれらの任意の組み合わせから選択される賦形剤を含有する。特定の実施形態では、賦形剤は、ロイシン、マルトデキストリン、またはマンニトールである。
特定の実施形態では、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、(a)乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、または硫酸カルシウムから選択される、乾燥粒子の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約45重量%、もしくは少なくとも約50重量%の量のカルシウム塩、ならびに(b)乾燥粒子の少なくとも約25%もしくは少なくとも約30重量%の量の塩化ナトリウム等のナトリウム塩を含有し、かつ本明細書に記載の特性または特長のいずれかを有し得る。所望の場合、ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール、またはそれらの任意の組み合わせ等の賦形剤は、乾燥粒子の約50%以下もしくは約20重量%以下の量で存在し得る。例えば、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、(a)乾燥粒子の約30%〜約65%、約40%〜約65%、もしくは約45%〜約65重量%の量のカルシウム塩、(b)乾燥粒子の約25%〜約60%もしくは約30%〜約60重量%の量の塩化ナトリウム等のナトリウム塩、(c)乾燥粒子の約20重量%以下、またはより好ましくは、乾燥粒子の約10重量%以下の量のロイシン、マルトデキストリン、マンニトール、もしくはそれらの任意の組み合わせ等の賦形剤を含み得、かつ(d)本明細書に記載の1/4バール、0.5/4バール、VMGD、MMAD、FPF等の特性または特長のいずれかを有し得る。
いくつかの態様では、吸入に適する乾燥粒子は、二価金属イオン塩ならびに一価塩を含み、粒子の結晶および非晶質含有量を特徴とする。例えば、吸入に適する乾燥粒子は、非晶質二価金属イオン塩に富んだ相ならびに結晶性一価塩相等の非晶質および結晶含有量の混合物を含み得る。この種類の吸入に適する乾燥粒子は、いくつかの利点を提供する。例えば、本明細書に記載されるように、結晶相(例えば、結晶塩化ナトリウム)は、乾燥した状態の乾燥粒子の安定性および分散性特性に寄与することができる一方で、非晶相(例えば、非晶質カルシウム塩)は、気道内で堆積時に迅速な水摂取ならびに粒子の溶解を促進することができる。これは、乾燥粒子中に存在する比較的高い水溶解度を有する塩(塩化ナトリウム等)が結晶状態である時、かつ乾燥粒子中に存在する比較的低い水溶解度を有する塩が非晶質状態である時に特に有利である。
非晶相は、少なくとも100℃、少なくとも110℃、120℃、少なくとも125℃、少なくとも130℃、少なくとも135℃、少なくとも140℃、120℃〜200℃、125℃〜200℃、130℃〜200℃、120℃〜190℃、125℃〜190℃、130℃〜190℃、120℃〜180℃、125℃〜180℃、または130℃〜180℃のTg等の高いガラス転移温度(Tg)の特徴もある。
いくつかの実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩に富んだ非晶相および一価塩結晶相を含有し、非晶相の結晶相に対する比率(w:w)は、約5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。他の実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩に富んだ非晶相および一価塩結晶相を含有し、非晶相の粒子に対する重量比(w:w)約5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。他の実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、二価金属カチオン塩に富んだ非晶相および一価塩結晶相を含有し、結晶相の粒子に対する重量比(w:w)は、約5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。
いくつかの実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、クエン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、またはそれらの任意の組み合わせ等のカルシウム塩、ならびに塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせ等のナトリウム塩を含み、吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩に富んだ非晶相および結晶性ナトリウム塩相を含有する。特定の実施形態では、カルシウム塩に富んだ非晶相は、クエン酸カルシウムおよび少なくともいくつかの塩化カルシウム、乳酸カルシウムおよび少なくともいくつかの塩化カルシウム、または硫酸カルシウムおよび少なくともいくつかの塩化カルシウムを含む。いくつかの実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩に富んだ非晶相およびナトリウム塩結晶相を含有し、非晶相の結晶相に対する比率(w:w)は、5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。他の実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩に富んだ非晶相およびナトリウム塩結晶相を含有し、非晶相の粒子に対する重量比(w:w)は、約5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。他の実施形態では、吸入に適する乾燥粒子は、カルシウム塩に富んだ非晶相およびナトリウム塩結晶相を含有し、結晶相の粒子に対する重量比(w:w)は、約5:95〜約95:5、約5:95〜約10:90、約10:90〜約20:80、約20:80〜約30:70、約30:70〜約40:60、約40:60〜約50:50、約50:50〜約60:40、約60:40〜約70:30、約70:30〜約80:20、または約90:10〜約95:5である。
好ましくは、吸入に適する乾燥粒子は、本明細書に記載されるように、2以下の1/4バールまたは0.5/4バールを有する。例えば、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、もしくは約1.0の1/4バールまたは0.5/4。あるいは、またはさらには、吸入に適する乾燥粒子は、約5ミクロン以下MMADを有する。あるいは、またはさらには、吸入に適する乾燥粒子は、約0.5ミクロン〜約5ミクロンのVMGD、もしくは約5ミクロン〜約20ミクロンのVMGDを有し得る。あるいは、またはさらには、吸入に適する乾燥粒子は、約−10kcal/molを超えない(例えば、−10kcal/mol〜10kcal/mol)溶解熱を有し得る。
本明細書に記載されるように、吸入に適する乾燥粒子は、ロイシン、マルトデキストリン、またはマンニトール等の賦形剤をさらに含み得る。賦形剤は、結晶性もしくは非晶質であり得るか、またはこれらの形態の組み合わせで存在し得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、非晶質であるか、または主に非晶質である。
本明細書に記載される、賦形剤(すなわち、ロイシン、マルトデキストリン)を含有した吸入に適する乾燥粉末のラマンスペクトルは、賦形剤に割り当てられたピークを含まなかった。これは、賦形剤が粒子の表面で濃縮されず、かつ賦形剤が粒子全体に均一に分布されるか、または粒子の表面に曝露されないかのいずれかであることを示す。ロイシン賦形剤は、とりわけ、粒子の表面で濃縮される時に分散性を改善することが報告されている。例えば、米国第2003/0186894号を参照されたい。したがって、ロイシンは、この方法で分散エンハンサの機能を果たしているようには見られない。したがって、賦形剤(例えば、ロイシン)を含有する本発明の吸入に適する乾燥粒子において、賦形剤は、粒子表面ではなく粒子内に分布され得るか、または粒子全体に分布(例えば、均一的に分布)され得る。例えば、いくつかの特定の実施形態は、本発明の吸入に適する乾燥粒子は、ラマン分光法下で賦形剤(例えば、ロイシン)の存在を示す特性ピークを生成しない。より特定の実施形態では、ロイシンを含有する吸入に適する乾燥粉末は、ラマン分光法下で特性ロイシンピーク(例えば、1340cm−1)を生成しない。
本明細書に記載される、本発明のいくつかの粉末は、低い流動特性を有する。さらに、驚いたことに、これらの粉末は、極めて分散可能である。流動特性および分散性が、両者ともに粒子集塊または凝集の悪影響を受けると知られているため、これは驚きである。したがって、低い流動特性を有する粒子が極めて分散可能であろうということは予想外であった。
任意の組み合わせにおける本明細書に記載の特長および特性のいずれかに加えて、吸入に適する乾燥粒子は、低い流動特性を有し得るが、良好な分散性を有し得る。例えば、吸入に適する乾燥粒子は、1.35より大きい(例えば、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上、2.0以上)ハウスナー比を有し得、かつ2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、もしくは約1.0の1/4バールまたは0.5バールも有し得る。
本明細書に記載の任意の組み合わせの特長および特性のいずれかに加えて、吸入に適する乾燥粒子は、極めて発熱性ではない溶解熱を有し得る。好ましくは、溶解熱は、模擬肺液(例えば、Moss,O.R.1979.Simulants of lung interstitial fluid. Health Phys. 36,447−448、またはSun,G.2001.Oxidative interactions of synthetic lung epithelial lining fluid with metal−containing particulate matter. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 281,L807−L815に記載される)のイオン液体を用いて、pH7.4および等温熱量計において37℃で判定される。例えば、吸入に適する乾燥粒子は、塩化カルシウム二水和物二水和物の溶解熱よりも低い発熱性である溶解熱を有し得、例えば、約−10kcal/mol超、約−9kcal/mol超、約−8kcal/mol超、約−7kcal/mol超、約−6kcal/mol超、約−5kcal/mol超、約−4kcal/mol超、約−3kcal/mol超、約−2kcal/mol超、約−1kcal/mol超、または約−10kcal/mol〜約10kcal/molである溶解熱を有し得る。
所望の場合、塩製剤には、CFの習慣的管理に有用である、去痰剤もしくは粘液溶解剤、界面活性剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗ヒスタミン剤、咳抑制剤、気管支拡張剤、抗炎症剤、ステロイド、ワクチン、免疫賦活剤、去痰薬、巨大分子剤、治療剤等の1つ以上の追加の薬剤が含まれ得る。
好適な去痰剤または粘液溶解剤の例として、MUC5ACおよびMUC5Bムチン、DNA−ase、N−アセチルシステイン(NAC)、システイン、ナシステリン、ドルナーゼアルファ、ゲルゾリン、ヘパリン、硫酸ヘパリン、P2Y2作動薬(例えば、UTP、INS365)、高浸透圧性生理食塩水、およびマンニトールが挙げられる。
好適な界面活性剤には、L−アルファ−ホスファチジルコリンジパルミトイル(「DPPC」)、ジホスファチジルグリセロール(DPPG)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−L−セリン(DPPS)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DSPC)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DSPE)、1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、表面活性脂肪酸、トリオレイン酸ソルビタン(スパン85)、グリココール酸、界面活性剤、ポロキサマー、ソルビタン脂肪酸エステル、チロキサポール、リン脂質、およびアルキル糖類が含まれる。
所望の場合、塩製剤は、抗生物質を含有し得る。例えば、細菌性肺炎またはVATを治療するための塩製剤は、マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、およびエリスロマイシン)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、チゲサイクリン)、フルオロキノロン(例えば、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、およびモキシフロキサシン)、セファロスポリン(例えば、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフタジジム、セフェピム)、アンピシリン−スルバクタム、ピペラシリン−タゾバクタム、およびクラブラン酸チカルシリン等の任意でβ−ラクタマーゼ阻害剤を有するペニシリン(例えば、アモキシシリン、クラブラン酸アモキシシリン、アンピシリン、ピペラシリン、およびチカルシリン)(例えば、スルバクタム、タゾバクタム、およびクラブラン酸)、アミノグリコシド(例えば、アミカシン、アルベカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、およびアプラマイシン)、ペネムもしくはカルバペネム(例えば、ドリペネム、エルタペネム、イミペネム、およびメロペネム)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、オキサゾリジノン(例えば、リネゾリド)、バンコマイシン、グリコペプチド抗生物質(例えば、テラバンシン)、結核性マイコバクテリア抗生物質等の抗生物質をさらに含むことができる。
所望の場合、塩製剤は、ヒト型結核菌等のマイコバクテリアの感染を治療するための薬剤を含有し得る。マイコバクテリア(例えば、ヒト型結核菌)の感染を治療するための好適な薬剤には、アミノグリコシド(例えば、カプレオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン)、フルオロキノロン(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン)、イソジアニドおよびイソジアニド類似体(例えば、エチオナミド)、アミノサリチル酸、サイクロセリン、ジアリルキノリン、エタンブトール、ピラジンアミド、プロチオナミド、リファンピン等が含まれる。
所望の場合、塩製剤は、オセルタミビル、ザナミビルアマンタジンまたはリマンタジン、リバビリン、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカビル、Cytogam(登録商標)(Cytomegalovirus Immune Globulin)、プレコナリル、ルピントリビル、パリビズマブ、モタビズマブ、シタラビン、ドコサノール、デノチビル、シドホビル、およびアシクロビル等の好適な抗ウイルス剤を含有し得る。塩製剤は、ザナミビル、オセルタミビル、アマンタジン、またはリマンタジン等の好適な抗インフルエンザ薬剤を含有し得る。
好適な抗ヒスタミン剤には、クレマスチン、アゼラスチン、ロラタジン、フェキソフェナジン等が含まれる。
好適な咳抑制剤には、ベンゾナテート、ベンプロペリン、クロブチノール、ジフェンヒドラミン、デキストロメトルファン、ジブナート、フェドリレート、グラウシン、オキソラミン、ピペリジオン、コデイン等のオピオイド等が含まれる。
好適な気管支拡張剤には、短時間作用型ベータ2作動薬、長時間作用型ベータ2作動薬(LABA)、長時間作用型ムスカリン性拮抗薬(LAMA)、LABAおよびLAMAの組み合わせ、メチルキサンチン等が含まれる。好適な短時間作用型ベータ2作動薬には、アルブテロール、エピネフリン、ピルブテロール、レバルブテロール、メタプロテレノール、Maxair(ピルブテロール)等が含まれる。好適なLABAには、サルメテロール、ホルモテロールおよび異性体(例えば、アルホルモテロール)、クレンブテロール、ツロブテロール、ビランテロール(Revolair(商標))、インダカテロール等が含まれる。LAMAの例として、チオトロピウム、グリコピロレート、アクリジニウム、イプラトロピウム等が挙げられる。LABAおよびLAMAの組み合わせの例として、インダカテロールとグリコピロレート、インダカテロールとチオトロピウム等が挙げられる。メチルキサンチンの例として、テオフィリン等が挙げられる。
好適な抗炎症剤には、ロイコトリエン阻害剤、PDE4阻害剤、他の抗炎症剤等が含まれる。好適なロイコトリエン阻害剤には、モンテルカスト(シスチニルロイコトリエン阻害剤)、マシルカスト、ザフィルルカスト(ロイコトリエンD4およびE4受容体阻害剤)、ジロートン(5−リポキシゲナーゼ阻害剤)等が含まれる。好適なPDE4阻害剤には、シロミラスト、ロフルミラスト等が含まれる。他の抗炎症剤には、オマリズマブ(抗IgE免疫グロブリン)、IL−13およびIL−13受容体阻害剤(AMG−317、MILR1444A、CAT−354、QAX576、IMA−638、アンルキンズマブ(Anrukinzumab)、IMA−026、MK−6105、DOM−0910等)、IL−4およびIL−4受容体阻害剤(ピトラキンラ、AER−003、AIR−645、APG−201、DOM−0919等)、カナキヌマブ等のIL−1阻害剤、AZD1981(AstraZenecaより市販)等のCRTh2受容体拮抗薬、AZD9668(AstraZenecaより市販)等の好中球エラスターゼ阻害剤、ロスマピモド(Losmapimod)等のP38キナーゼ阻害剤等が含まれる。
好適なステロイドには、コルチコステロイド、コルチコステロイドおよびLABAの組み合わせ、コルチコステロイドおよびLAMAの組み合わせ等が含まれる。好適なコルチコステロイドには、ブデソニド、フルチカゾン、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタソン、モメタゾン、シクレソニド、デキサメサゾン等が含まれる。コルチコステロイドおよびLABAの組み合わせには、サルメテロールとフルチカゾン、ホルモテロールとブデソニド、ホルモテロールとフルチカゾン、ホルモテロールとモメタゾン、インダカテロールとモメタゾン等が含まれる。
好適な去痰薬には、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸、塩化アンモニウム、ヨウ化カリウム、チロキサポール、五硫化アンチモン等が含まれる。
経鼻的に吸入されるインフルエンザワクチン等の好適なワクチン。
好適な巨大分子には、タンパク質および大ペプチド、多糖およびオリゴ糖、ならびに治療、予防または診断活性を有するDNAおよびRNA核酸分子ならびにそれらの類似体が含まれる。タンパク質には、モノクローナル抗体等の抗体が含まれ得る。核酸分子には、遺伝子、転写もしくは翻訳を阻害するために、相補的DNA、RNA、またはリボソームに結合するSiRNA等のアンチセンス分子が含まれる。
全身適用のために選択される高分子薬物:カルシトニン、エリスロポエチン(EPO)、因子IX、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー、刺激因子(GM−CSF)、成長ホルモン、インスリン、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、FSH、毛様体神経栄養因子、成長ホルモン放出因子(GRF)、インスリン様成長因子、インスリントロピン、インターロイキン−1受容体拮抗薬、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、サイモシンアルファ1、IIb/IIIa阻害剤、アルファ−1抗トリプシン、抗RSV抗体、パリビズマブ、モタビズマブ、およびALN−RSV、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、ヘパリン、殺菌/透過性増加タンパク質(BPI)、抗サイトメガロウイルス(CMV)抗体、インターロイキン−1受容体拮抗薬等。
CFの習慣的管理に有用である選択される治療には、抗生物質/マクロライド抗生物質、気管支拡張剤、吸入LABA、および気道分泌物排除を促進する薬剤が含まれる。抗生物質/マクロライド抗生物質の好適な例として、トブラマイシン、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、コリスチン等が挙げられる。気管支拡張剤の好適な例として、アルブテロール等の吸入短時間作用型ベータ2作動薬が挙げられる。吸入LABAの好適な例として、サルメテロール、ホルモテロール等が挙げられる。気道分泌物排除を促進する薬剤の好適な例として、ドルナーゼアルファ、高浸透圧性生理食塩水等が挙げられる。
吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末は、約1キロダルトン(1000ダルトン、Da)より大きい分子量を有する塩、賦形剤、または他の活性成分を含有しないのが、概して好ましい。例えば、本発明の吸入に適する粒子は、好ましくは、1KDa超、約900Da超、約800Da超、約700Da超、または約600Da超の分子量を有するタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドを含有しない。
本明細書に記載の吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子は塩を含有するため、それらは吸湿性であり得る。したがって、粉末の水和反応を防止する条件下で、吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子を保管または維持するのが望ましい。例えば、水和反応を防止するのに望ましい場合、保管環境の相対湿度は、75%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満の湿度でなければならない。吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子は、これらの条件下で(例えば、密封カプセル、ブリスター、バイアル内に)包装され得る。
本発明はまた、本明細書に記載の方法に従って、供給原料溶液、乳濁液、または懸濁液を調製し、かつ供給原料を噴霧乾燥させることによって産生される吸入に適する乾燥粉末もしくは吸入に適する乾燥粒子にも関する。供給原料は、(a)(例えば、供給原料を調製するために使用される全溶質の)少なくとも約25重量%の量の乳酸カルシウムまたは塩化カルシウム等のカルシウム塩、および(b)(例えば、供給原料を調製するために使用される全溶質の)少なくとも約1重量%の量のクエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、または硫酸ナトリウム等のナトリウム塩を用いて調製され得る。所望の場合、ロイシン等の1つ以上の賦形剤は、(例えば、供給原料を調製するために使用される全溶質の)約74重量%以下の量で、供給原料に添加され得る。例えば、供給原料を調製するために使用されるカルシウム塩は、供給原料を調製するために使用される全溶質の少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、または少なくとも約70重量%の量であり得る。例えば、供給原料を調製するために使用されるナトリウム塩は、供給原料を調製するために使用される全溶質の少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、または少なくとも約65重量%の量であり得る。例えば、供給原料に添加される賦形剤は、供給原料を調製するために使用される全溶質の約50重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下の量であり得る。
ある実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子を、(1)(a)全乾燥溶質の約10.0%のロイシン、約35.1%の塩化カルシウム、および約54.9%のクエン酸ナトリウムの重量割合を含有する乾燥溶質、ならびに(a)溶質の溶解および供給原料の形成に好適な1つ以上の溶媒を含む供給原料を調製すること、かつ(2)供給原料を噴霧乾燥させることによって得ることができる。別の実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子を、(1)(a)全乾燥溶質の約10.0%のロイシン、約58.6%の乳酸カルシウム、および約31.4%の塩化ナトリウムの重量割合を含有する乾燥溶質、ならびに(a)溶質の溶解および供給原料の形成に好適な1つ以上の溶媒を含む供給原料を調製すること、かつ(2)供給原料を噴霧乾燥させることによって得ることができる。別の実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子を、(1)(a)全乾燥溶質の約10.0%のロイシン、約39.6%の塩化カルシウム、および約50.44%の硫酸ナトリウムの重量割合を含有する乾燥溶質、ならびに(b)溶質の溶解および供給原料の形成に好適な1つ以上の溶媒を含む供給原料を調製すること、かつ(2)供給原料を噴霧乾燥させることによって得ることができる。別の実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子を、(1)(a)全乾燥溶質の約10.0%のマルトデキストリン、約58.6%の乳酸カルシウム、および約31.4%の塩化ナトリウムの重量割合を含有する乾燥溶質、ならびに(a)溶質の溶解および供給原料の形成に好適な1つ以上の溶媒を含む供給原料を調製すること、かつ(2)供給原料を噴霧乾燥させることによって得ることができる。本明細書に記載されるように、当分野で知られている様々な方法(例えば、静的混合、バルク混合)を、溶質および溶媒を混合して供給原料を調製するために使用することができる。所望の場合、混合の他の好適な方法が使用され得る。例えば、混合を引き起こすか、または促進する追加の成分を供給原料中に含むことができる。例えば、二酸化炭素は、発泡または泡立ちを生成し、それゆえに、溶質および溶媒の物理的混合を促進する働きをすることができる。炭酸または重炭酸の様々な塩は、二酸化炭素が生成する効果と同一の効果を促進することができ、したがって、本発明の供給原料の調製において使用することができる。
好ましい実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子は、噴射剤の使用なしで、呼吸器系への吸入に適する乾燥粒子の有効な送達を可能にするエアロゾル特性を有する。
ある実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または本発明の吸入に適する乾燥粒子を、イオン交換反応を介して産生することができる。本発明のある特定の実施形態では、2つの飽和もしくは亜飽和溶液は、静的混合後の飽和または過飽和溶液を得るために、静的混合器内に供給される。好ましくは、混合後の溶液は過飽和である。2つの溶液は、水溶性または有機であり得、好ましくは、実質的に水溶性である。静的混合後の溶液は、次に、噴霧乾燥機の霧化装置内に供給される。好ましい実施形態では、静的混合後の溶液は、即座に霧化器装置内に供給される。霧化器装置のいくつかの例には、二流体ノズル、回転霧化器、または圧力ノズルが挙げられる。好ましくは、霧化器装置は、二流体ノズルである。一実施形態では、二流体ノズルは内部混合ノズルであり、ガスが最外側のオフィリスから出る前に、液体フィードに作用することを意味する。別の実施形態では、二流体ノズルは外部混合ノズルであり、ガスが最外側のオリフィスから出た後に、液体フィードに作用することを意味する。
本発明の乾燥粒子は、本発明の乾燥粒子および乾燥粉末の高分散性の特性を維持するために、活性成分とブレンドされ得るか、または活性成分と共製剤化され得る。
一態様では、二価カチオンの塩(例えば、カルシウム、マグネシウム)は、小さい極めて分散可能な粉末、または大きい多孔性粒子を作製するために、無カルシウム活性薬剤と共製剤化され得る。任意で、これらの粒子は、一価カチオン塩(例えば、ナトリウム、カリウム)を含み得、かつ任意で賦形剤(例えば、ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール、ラクトース)も含み得る。成分は、噴霧乾燥前に単一粒子内でともに混合(例えば、1つの溶液として混合、2つの溶液として静的混合)され得る。
別の態様では、本発明の乾燥粒子は、大きく多孔性であり、かつ分散可能である。乾燥粒子の大きさを、多種様々の方法で表すことができる。粒子は、0.5g/cc未満、好ましくは、0.4g/cc未満のタップ密度を有する、5〜30μmまたは5〜20μmのVMADを有し得る。
乾燥粉末および乾燥粒子を調製するための方法
吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を、任意の好適な方法を用いて調製することができる。吸入に適する乾燥粉末および粒子を調製するための多くの好適な方法は、当分野で慣習的であり、単一および二重乳化溶媒蒸発、噴霧乾燥、製粉(例えば、ジェット製粉)、ブレンディング、溶媒抽出、溶媒蒸発、相分離、単純および複合コアセルベーション、界面重合、超臨界二酸化炭素(CO2)の使用を伴う好適な方法、ならびに他の好適な方法を含む。吸入に適する乾燥粒子を、当分野で知られているミクロスフェアまたはマイクロカプセルを作製するための方法を用いて作製することができる。これらの方法を、所望の空力特性(例えば、空気動力学的直径および幾何学径)を有する吸入に適する乾燥粒子の形成をもたらす条件下で採用することができる。所望の場合、大きさおよび密度等の所望の特性を有する吸入に適する乾燥粒子を、篩等の好適な方法を用いて選択することができる。
吸入に適する乾燥粒子は、好ましくは、噴霧乾燥される。好適な噴霧乾燥技術は、例えば、K.Mastersの「Spray Drying Handbook」,John Wiley & Sons,New York(1984)に記載される。概して、噴霧乾燥の間、加熱された空気または窒素等の高温ガスからの熱は、連続的な液体フィードを霧化することによって形成される液滴から溶媒を蒸発させるために使用される。所望の場合、乾燥粒子を調製するために使用される噴霧乾燥、または他の器具、例えば、ジェット製粉器具は、吸入に適する乾燥粒子が産生されている時に、それらの幾何学径を判定するインライン幾何学的粒径測定器、および/または吸入に適する乾燥粒子が産生されている時に、それらの空気動力学的直径を決定するインライン空力粒径測定器を含むことができる。
噴霧乾燥のために、好適な溶媒(例えば、水溶性溶媒、有機溶媒、水溶性有機混合物もしくは乳濁液)中で産生される乾燥粒子の成分を含有する溶液、乳濁液、または懸濁液は、霧化デバイスを介して乾燥容器に分配される。例えば、ノズルまたは回転霧化器は、溶液もしくは懸濁液を乾燥容器に分配するために使用され得る。例えば、4個または24個の羽根車輪を有する回転霧化器が使用され得る。回転霧化器もしくはノズルのいずれかに装備され得る好適な噴霧乾燥機の例には、両者ともにNiro,Inc.(デンマーク)製である、Mobile Minor噴霧乾燥機またはモデルPSD−1が挙げられる。実際の噴霧乾燥条件は、噴霧乾燥溶液または懸濁液の組成物および物質流速に部分的に依存して変化する。当業者は、噴霧乾燥される溶液、乳濁液、または懸濁液の組成物、所望の粒子特性、および他の要素に基づいて、適切な条件を決定することができる。概して、噴霧乾燥機への入口温度は、約100℃〜約300℃であり、好ましくは、約220℃〜約285℃である。噴霧乾燥機の出口温度は、乾燥される物質のフィード温度および特性のような要因によって変化する。概して、出口温度は、約50℃〜約150℃であり、好ましくは、約90℃〜約120℃、もしくは約98℃〜約108℃である。所望の場合、産生される吸入に適する乾燥粒子を、例えば、篩を用いて体積サイズで分画することができるか、または例えば、サイクロンを用いて空気力学的サイズで分画することができるか、および/または当業者に知られている技術を用いて密度に従ってさらに分離することができる。
本発明の吸入に適する乾燥粒子を調製するために、概して、乾燥粉末(すなわち、供給原料)の所望の成分を含有する溶液、乳濁液、または懸濁液を、好適な条件下で調製し、噴霧乾燥させる。好ましくは、供給原料中の溶解もしくは懸濁固体濃度は、少なくとも約1g/L、少なくとも約2g/L、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/L、または少なくとも約100g/Lである。供給原料を、好適な溶媒中の好適な成分(例えば、塩、賦形剤、他の活性成分)を溶解もしくは懸濁し、単一溶液または懸濁液を調製することによって供給することができる。溶媒、乳濁液、または懸濁液を、組み合わせを形成するために、乾燥および/もしくは液体成分のバルク混合または液体成分の静的混合等の任意の好適な方法を用いて調製することができる。例えば、親水性成分(例えば、水溶液)および疎水性成分(例えば、有機溶液)を、組み合わせを形成するために、静的混合器を用いて混合することができる。次に、組み合わせを、液滴を産生するために霧化することができ、吸入に適する乾燥粒子を形成するために乾燥させる。好ましくは、霧化ステップを、成分が静的混合器内で混合された直後に実行する。
1つの例では、クエン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびロイシンを含有する吸入に適する乾燥粒子は、噴霧乾燥によって調製される。クエン酸ナトリウムおよびロイシンの水溶液を含む第1の相が調製される。適切な溶媒中に塩化カルシウムを含む第2の相が調製される。1つまたは両者の溶液は、それらの成分の溶解度を確保するために、必要であれば、別々に加熱され得る。第1および第2の相は、次に、組み合わせを形成するために、静的混合器内で混合される。組み合わせは、吸入に適する乾燥粒子を形成するために噴霧乾燥される。
供給原料もしくは供給原料の成分を、有機溶媒、水溶性溶媒、またはそれらの混合物等の任意の好適な溶媒を用いて調製することができる。採用することができる好適な有機溶媒には、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等およびその他のアルコールが含まれるが、それらに限定されない。他の有機溶媒には、ペルフルオロカーボン、ジクロロメタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、およびその他が含まれるが、それらに限定されない。採用することができる共溶媒には、水溶性溶媒および上に記載の有機溶媒等の有機溶媒が含まれるが、それらに限定されない。水溶性溶媒には、水および緩衝液が含まれる。
供給原料または供給原料の成分は、任意の所望のpH、粘性、もしくは他の特性を有することができる。所望の場合、pH緩衝剤を、溶媒もしくは共溶媒または形成された混合物に添加することができる。概して、混合物のpHは、約3〜約8の範囲である。
吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を製作し、次いで、粒子試料に事前選択した分布を提供するために、例えば、サイクロンを用いて濾過または遠心分離によって分離することができる。例えば、試料中の吸入に適する乾燥粒子の約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、または約90%超が、選択範囲内の直径を有することができる。吸入に適する乾燥粒子のある特定の割合が収まる選択範囲は、例えば、約0.1〜約3ミクロンのVMGD等の本明細書に記載の大きさの範囲のいずれかであり得る。
吸入に適する乾燥粒子の直径、例えば、それらのVMGDを、Multisizer IIe(Coulter Electronic,Luton,Beds,England)等の電気ゾーン検出器具、またはHELOSシステム(Sympatec,Princeton,NJ)等のレーザー回折器具を用いて測定することができる。粒子の幾何学径を測定するための他の器具が当分野で周知である。試料中の吸入に適する乾燥粒子の直径は、粒子組成物および合成の方法等の要因によって変動する。試料中の吸入に適する乾燥粒子の大きさの分布は、呼吸器系内の標的部位内で最適な堆積を可能にするために選択され得る。
実験的に、空気動力学的直径を、飛行時間(TOF)測定を用いて決定することができる。例えば、空気動力学的直径を測定するために、モデル3225Aerosizer DSP粒径分析器(Amherst Process Instrument,Inc.,Amherst,MA)等の器具を使用することができる。Aerosizerは、個々の吸入に適する乾燥粒子が、2つの固定レーザー光の間を通過するのにかかる時間を測定する。
空気動力学的直径は、吸入に適する乾燥粒子の試料がある特定の距離を沈降するのに必要とする時間を測定する従来の重力沈降法を用いて、実験的に直接決定することもできる。空気力学的質量中位径を測定するための間接的な方法には、アンダーセンカスケード衝撃装置および多段液体インピンジャ(MSLI)法が含まれる。粒子の空気動力学的直径を測定するための方法および器具が当分野で周知である。
タップ密度は、粒子を特徴付けるエンベロープ質量密度の尺度である。統計的に等方形状の粒子のエンベロープ質量密度は、粒子の質量を、それが封入され得る最小球体エンベロープ体積で割ったものとして定義される。低いタップ密度に寄与し得る特長には、不規則な表面組織および多孔性構造が含まれる。タップ密度を、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester(Vankel,NC)、GeoPyc(商標)器具(Micrometrics Instrument Corp.,Norcross,GA)、またはSOTAXタップ密度テスタモデルTD2(SOTAX Corp.,Horsham,PA)等の当業者に知られている器具を用いて測定することができる。タップ密度を、USPバルク密度およびタップ密度、米国薬局方協約、Rockville,MD,10th Supplement,4950−4951,1999の方法を用いて決定することができる。
細粒分を、分散粉末のエアロゾル性能を特徴付ける1つの方法として使用することができる。細粒分は、空中の吸入に適する乾燥粒子のサイズ分布を説明する。カスケード衝撃装置を用いる重量分析は、空中の吸入に適する乾燥粒子のサイズ分布または細粒分を測定する1つの方法である。アンダーセンカスケード衝撃装置(ACI)は、エアロゾルを空気力学的サイズに基づく9つのはっきりと異なる画分に分離することができる8段階衝撃装置である。各段階のサイズカットオフは、ACIが操作される流速に依存している。ACIは、一連のノズル(すなわち、ジェットプレート)および衝突面(すなわち、衝突ディスク)から成る複数の段階で構成されている。各段階において、エアロゾル流はノズルを通過し、表面に作用する。十分に大きい慣性を有するエアロゾル流中の吸入に適する乾燥粒子は、プレートに影響を与える。プレートに影響を与えるのに十分な慣性を有さないより小さい吸入に適する乾燥粒子は、エアロゾル流内に留まり、次の段階に輸送される。ACIの各連続段階は、より小さい吸入に適する乾燥粒子を各連続段階で収集することができるように、ノズル内でより高いエアロゾル速度を有する。
所望の場合、2段階の破壊的ACIを、細粒分を測定するために使用することもできる。2段階の破壊的ACIは、8段階ACIの最初の2段階のみから成り、2つの分離した粉末画分の収集を可能にする。具体的には、2段階の破壊的ACIは、段階1で収集される粉末の画分が、5.6ミクロン未満かつ3.4ミクロン超の空気動力学的直径を有する吸入に適する乾燥粒子から成るように較正される。段階1を通過し、かつ収集フィルタ上に堆積する粉末の画分は、したがって、3.4ミクロン未満の空気動力学的直径を有する吸入に適する乾燥粒子から成る。そのような較正における気流は、約60L/分である。
FPF(<5.6)は、患者の肺まで進むことができる粉末の割合と相関することが示されているが、FPF(<3.4)は、患者の肺深部に到達する粉末の割合と相関することが示された。これらの相関は、粒子最適化のために使用することができる量的指標を提供する。
本明細書で重量測定回収用量および分析的回収用量と呼ばれている放出用量を概算するために、ACIを使用することができる。「重量測定回収用量」は、ACIの全段階のフィルタ上で秤量される粉末の名目上の用量に対する比率と定義される。「分析的回収用量」は、ACIの全段階、全段階のフィルタ、および誘導ポートをすすぐことによって回収される粉末の、名目上の用量に対する比率と定義される。FPF_TD(<5.0)は、ACI上に5.0μmを下回って堆積する粉末の挿入量の名目上の用量に対する比率である。FPF_RD(<5.0)は、ACI上に5.0μmを下回って堆積する粉末の挿入量の、重量測定回収用量または分析的回収用量のいずれかに対する比率である。
放出用量を概算する別の方法は、乾燥粉末吸入器(DPI)の作動時にどのくらいの粉末がその容器、例えば、キャプチャまたはブリスターを離れるかを決定することである。これは、カプセルを離れる粉末の割合を考慮するが、DPIに堆積する任意の粉末を考慮しない。放出用量は、吸入器作動前の用量を有するカプセルの重量の、吸入器作動後のカプセルの重量に対する比率である。この測定をカプセル放出粉末質量(CEPM)と呼ぶこともできる。
多段液体インピンジャ(MSLI)は、細粒分を測定するために使用することができる別の装置である。多段液体インピンジャはACIと同一の原理で作動するが、8段階ではなく、MSLIは5段階を有する。さらに、各MSLI段階は、固体プレートの代わりにエタノールで湿らせたガラス原料から成る。湿らせる段階は、ACIを使用する時に起こり得る粒子の跳ね返りおよび再飛散を防止するために使用される。
本発明はまた、クエン酸カルシウムまたは硫酸カルシウムを含有する吸入に適する乾燥粒子を含む吸入に適する乾燥粉末を産生するための方法に関する。方法は、a)塩化カルシウムの水溶液を含第1の液体供給原料、および硫酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムの水溶液を含む第2の液体供給原料を供給すること、b)前記第1の液体供給原料および前記第2の液体供給原料を混合して、アニオン交換反応が起こる混合物を産生し、硫酸カルシウムおよび塩化ナトリウム、またはクエン酸カルシウムおよび塩化ナトリウムを含む飽和もしくは過飽和溶液を産生すること、ならびにc)b)で産生された前記飽和もしくは過飽和溶液を噴霧乾燥して、吸入に適する乾燥粒子を産生することを含む。第1の液体供給原料および第2の液体供給原料は、バッチ混合、好ましくは、静的混合され得る。いくつかの実施形態では、得られた混合物は噴霧乾燥され、かつ混合、好ましくは、静的混合の60分以内、30分以内、15分以内、10分以内、5分以内、4分以内、3分以内、2分以内、1分以内、45秒以内、30秒以内、15秒以内、5秒以内に霧化される。
本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかを用いて産生される吸入に適する乾燥粉末または吸入に適する乾燥粒子にも関する。
本発明の吸入に適する乾燥粒子は、吸入に適する乾燥粒子が含む塩または賦形剤の化学安定性の特徴もあり得る。構成塩の化学安定性は、塩の保管期間、適切な保存条件、投与のための許容される環境、生物学的適合性、および有効性を含む、吸入に適する粒子の重要な特性をもたらし得る。化学安定性を当分野で周知の技術を用いて評価することができる。化学安定性を強化するために使用することができる技術の1つの例は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)である。本発明の吸入に適する乾燥粒子は、概して、長期間安定している塩を含む。
所望の場合、本明細書に記載の吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を、安定性を増加させるためにさらに加工することができる。製薬乾燥粉末の重要な特性は、それらが異なる温度および湿度条件で安定しているかである。不安定な粉末は、環境および集塊から水分を吸収し、それゆえに、粉末の粒径分布を変化させる。
マルトデキストリン等の賦形剤は、より安定した粒子および粉末を作成するために使用され得る。マルトデキストリンは、非晶相安定剤の機能を果たし、かつ成分が非晶質状態から結晶状態に変換するのを阻害し得る。あるいは、制御された方法で(例えば、高湿でのバグハウスによって)粒子が結晶化過程を通るのを助ける後加工ステップが採用されてもよく、得られた粉末は、可能性として、集塊が結晶化過程中に形成される場合に、集塊を分離するために粒子をサイクロンに通過させること等によって、それらの分散性を回復するようにさらに加工される。別の可能性のある取り組みは、より結晶性であり、したがってより安定している粒子を製造することにつながる加工前後の条件を最適化することである。別の取り組みは、より安定した形態の塩を製造しようと試みるために、異なる賦形剤、または現在の賦形剤の異なるレベルを使用することである。
本明細書に記載の吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末は、吸入療法に好適である。吸入に適する乾燥粒子は、肺深部または上気道もしくは中枢気道等の呼吸器系の選択領域への局部送達のための適切な物質、表面粗度、直径、およびタップ密度で製作され得る。例えば、より高い密度またはより大きい吸入に適する乾燥粒子が、上気道送達に使用され得るか、または同一もしくは異なる製剤とともに供給される試料中の異なる大きさの吸入に適する乾燥粒子の混合物が、1回の投与で肺の異なる標的領域に投与され得る。
異なる吸入流速、体積における粉末の分散、および異なる抵抗力の吸入器からの分散を関連付けるために、吸入手技を実行するために必要とされるエネルギーを計算することができる。吸入エネルギーを方程式E=R2Q2Vから計算することができ、Eはジュール単位での吸入エネルギーであり、RはkPa1/2/LPM単位での吸入器抵抗力であり、QはL/分単位での安定した流速であり、かつVはL単位での吸入空気体積である。
0.02〜0.055kPa1/2/LPMの2つの吸入器抵抗力からの流速Qに関する、Clarkeらによって測定された最大吸気流速(PIFR)(Journal of Aerosol Med,6(2),p.99−110,1993)によって測定された最大吸気流速(PIFR)の値を用いて、乾燥粉末吸入器に関するFDA指針書および多種多様のDPIを介して成人が2.2Lの吸入体積を平均とすることを見出したTiddensら(Journal of Aerosol Med,19,(4),p.456−465,2006)の研究の両方に基づく2Lの吸入体積で、健常な成人集団は、2.9〜22ジュールの吸入エネルギーを達成することができると予測される。
軽度、中等度、ならびに重度の成人COPD患者は、それぞれ、5.1〜21ジュール、5.2〜19ジュール、および2.3〜18ジュールの吸入エネルギーを達成することができると予測される。これもまた、吸入エネルギーに関する方程式内の流速Qへの測定されたPIFR値の使用に基づいている。各群において達成可能なPIFRは、吸入通過される吸入器抵抗力の関数である。Broedersらの研究(Eur Respir J,18,p.780−783,2001)は、それぞれに対して0.021および0.032kPa1/2/LPMの抵抗力の2つの乾燥粉末吸入器を介して、達成可能な最大ならびに最小PIFRを予測するために使用された。
同様に、成人喘息患者は、COPD集団およびBroedersらからのPIFRデータと同一の想定に基づいて、7.4〜21ジュールの吸入エネルギーを達成することができると予測される。
健常な成人、成人COPD患者、および喘息成人は、例えば、本発明の乾燥粉末製剤を空にし、かつ分散させるのに十分な吸入エネルギーを提供することができるはずである。例えば、25mgの用量の製剤IIIは、その1マイクロメータ以内のDv50で説明されるように、非常に高い吸入エネルギーでよく解砕される、単回吸入の充填重量の80%を空にするために0.16ジュールのみを必要とすることが見出された。上に掲載された全ての成人患者集団は、必要とされるよりも一桁より大きい吸入エネルギーである2ジュール超を達成することができるように計算された。
本発明の利点は、流速の広範囲にわたってよく分散する粉末の産生であり、比較的流速から独立している。本発明の乾燥粒子および粉末は、幅広い患者集団への単純かつ受動的なDPIの使用を可能にする。
方法
本発明の吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子は、気道への投与のためである。本発明の乾燥粉末および乾燥粒子を、喘息、気道過敏反応性、季節性アレルギー性アレルギー、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症等のようなの呼吸器(例えば、肺)疾患の治療のために、ならびにウイルス感染(例えば、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、メタ肺炎ウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス等)、細菌感染(例えば、一般に肺炎球菌と称される肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、バークホルデリア種、ストレプトコッカスアガラクティエ、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、カタラリス菌、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、レジオネラニューモフィラ、セラチアマルセッセンス、ヒト型結核菌、百日咳菌等)、真菌感染(例えば、ヒストプラスマカプスラーツム、クリプトコックスネオフォルマンス、ニューモシスチスジロヴェチ、コクシジオイデスイミティス等)もしくは寄生虫感染(例えば、トキソプラズマ原虫、糞線虫等)、または環境アレルゲンおよび刺激物(例えば、花粉およびネコのフケ、浮遊粒子等を含む空気アレルゲン)によって引き起こされる悪化等のこれらの慢性疾患の急性増悪の治療および/または予防のために、それを必要とする対象に投与することができる。
本発明の乾燥粉末および乾燥粒子を、肺炎(市中肺炎、院内肺炎(病院内肺炎、HAP、医療ケア関連肺炎、HCAP)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を含む)、人工呼吸器関連気管気管支炎(VAT)、気管支炎、クループ(例えば、挿管後のクループ、および感染クループ)、結核、インフルエンザ、風邪、ならびにウイルス感染(例えば、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、メタ肺炎ウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス等)、細菌感染(例えば、一般に肺炎球菌と称される肺炎連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカスアガラクティエ、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、カタラリス菌、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、レジオネラニューモフィラ、セラチアマルセッセンス、ヒト型結核菌、百日咳菌等)、真菌感染(例えば、ヒストプラスマカプスラーツム、クリプトコックスネオフォルマンス、ニューモシスチスジロヴェチ、コクシジオイデスイミティス等)もしくは寄生虫感染(例えば、トキソプラズマ原虫、糞線虫等)、または環境アレルゲンおよび刺激物(例えば、空気アレルゲン、浮遊粒子等)等の気道の感染病の伝染を治療および/または予防および/または軽減するために、それを必要とする対象に投与することができる。
気道の粘内膜(例えば、気道内膜流体)ならびに下層組織(例えば、気道上皮)の生物物理学的および/または生物学的特性を変化させるために、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を投与することができる。これらの特性には、例えば、粘液表面におけるゲル化、粘内膜の表面張力、粘内膜の表面弾性および/または粘性、粘内膜のバルク弾性および/または粘性が含まれる。特定の理論に縛られることを望むことなく、本明細書に記載の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末によって生じる利益および方法(例えば、治療的および予防的利益)は、吸入に適する乾燥粒子もしくは乾燥粉末の投与後の、気道(例えば、肺粘液または気道内膜流体)中のカルシウムカチオン(吸入に適する乾燥粒子もしくは乾燥粉末中のカルシウム塩によって供給されるCa2+)の量の増加に由来する。
吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子を、粘膜毛様体クリアランスの速度を増加させるために投与することができる。微生物および吸入粒子のクリアランスは、呼吸器感染および潜在的に有害な物質への曝露または潜在的に有害な物質の体内吸収を予防する気道の重要な機能である。これは、気道表面で存在する上皮、粘液分泌性、および免疫反応細胞による統合機能として実行される。それは、顕著に、上皮細胞気道表面に繊毛を含み、その機能は、上を覆う液体粘液ブランケットを近位に(口に向かって)輸送するために同調的に拍動することであり、そこで気道を出て、嚥下または喀痰される。
これらの機能の全てを援助するために、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子を投与することができる。表面粘弾性を増加させることによって、吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、それらが宿主への全身曝露を引き起こさない気道粘液ブランケットの表面で微生物および粒子を保持する。高浸透圧の乾燥粉末および乾燥粒子は、気道上皮細胞からの水/液体輸送を誘発して、繊毛周囲の液体層をより低い粘性にし、かつ繊毛拍動の、上を覆う粘液ブランケットの移動および一掃をより効果的にする。薬理学的に活性な薬剤としてカルシウム塩を含有する乾燥粒子および乾燥粉末は、上を覆う粘液の流れのクリアランス速度の結果として起こる増加を伴って、繊毛拍動頻度および繊毛収縮の力もしくは活力の両方の増加も引き起こす。
粘膜毛様体クリアランスは、溶液中の安全で吸入された放射性同位体調製物(例えば、Technitium(99mTc))を使用してクリアランスの関数および速度を測定する、確立された技術によって定量的に測定される。放射性同位体は、外部シンチグラフィーによって定量的に測定される。数時間にわたる連続的測定は、基準/対照値に対するクリアランスの速度の評価および薬物の効果を可能にする。
いくつかの態様では、本発明は、喘息、気道過敏反応性、季節性アレルギー性アレルギー、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症等の肺疾患を治療するための方法であり、それを必要とする対象の気道に、本明細書に記載の有効量の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を投与することを含む。
他の態様では、本発明は、喘息、気道過敏反応性、季節性アレルギー性アレルギー、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症等の慢性肺疾患の急性増悪の治療もしくは予防のための方法であり、それを必要とする対象の気道に、本明細書に記載の有効量の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を投与することを含む。
他の態様では、本発明は、気道の感染病の伝染を治療、予防、および/または軽減するための方法であり、それを必要とする対象の気道に、本明細書に記載の有効量の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を投与することを含む。
吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を、滴下技術等の任意の好適な方法ならびに/または乾燥粉末吸入器(DPI)もしくは定量吸入器(MDI)等の吸入デバイスを用いて、それを必要とする対象の気道に投与することができる。米国特許第4,995,385号および同第4,069,819号、Spinhaler(登録商標)(Fisons,Loughborough,U.K.)、Rotahalers(登録商標)、Diskhaler(登録商標)、ならびにDiskus(登録商標)(GlaxoSmithKline,Research Triangle Technology Park,North Carolina)、FlowCapss(登録商標)(Hovione,Loures,Portugal)、Inhalators(登録商標)(Boehringer−Ingelheim,Germany)、Aerolizer(登録商標)(Novartis,Switzerland)、ならびに当業者に知られているその他に開示される、吸入器等の多数のDPIが入手可能である。
概して、吸入デバイス(例えば、DPI)は、単回吸入における乾燥粉末または乾燥粒子の最大量を送達することができ、それは、ブリスター、カプセル(例えば、1.37ml、950μl、770μl、680μl、480μl、360μl、270μl、および200μlのそれぞれの体積を有する、000、00、0E、0、1、2、3、および4の大きさ)の容量または吸入器内に乾燥粒子もしくは乾燥粉末を含有する他の手段に関連している。したがって、所望の用量または有効量の送達は、2回以上の吸入を必要とし得る。好ましくは、それを必要とする対象に投与される各用量は、有効量の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を含有し、かつ約4回以下の吸入を用いて投与される。例えば、吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末の各用量を、単回吸入、または2回、3回、もしくは4回の吸入で投与することができる。吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末は、好ましくは、呼吸活性化DPIを用いる単回の呼吸活性化ステップで投与される。この種類のデバイスが使用される時、対象の吸入のエネルギーは、吸入に適する乾燥粒子を分散させ、それらを気道内に引き込む。
吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を、所望に応じて、吸入によって気道内の所望の領域に送達することができる。約1ミクロン〜約3ミクロンの空気動力学的直径を有する粒子を肺深部に送達することができることは周知である。例えば、約3ミクロン〜約5ミクロンのより大きい空気動力学的直径を中枢気道および上気道に送達することができる。
活性成分として二価金属塩を含有するいくつかの乾燥粉末が投与される時に、吸入に適する乾燥粉末の少なくともいくつかは、口腔内に堆積し、かつ不快な「口内の塩辛い」感覚を生成すると考えられる。この感覚は、患者が治療指示に従わないか、または治療を中断することに至り得ることが想定される。この発明の吸入に適する乾燥粉末の利点は、これらは小さく、かつ極めて分散可能であり、したがって、口腔内の堆積が減少し、かつ不快な口内の塩辛い感覚の発生が減少または防止されることである。
乾燥粉末吸入器において、口腔堆積は、慣性衝突によって支配され、そのためエアロゾルのストークス数(DeHaan et al. Journal of Aerosol Science,35(3),309−331,2003)を特徴とする。同等の吸入器形状、呼吸パターン、ならびに口腔形状において、ストークス数および口腔堆積は、最初に吸入粉末の空気力学的サイズの影響を受ける。したがって、粉末の口腔堆積に寄与する要因には、個々の粒子のサイズ分布および粉末の分散性が含まれる。個々の粒子のMMADが大きすぎる、例えば、5umを超える場合、ひいては増加する粉末の割合が口腔内に堆積する。同様に、粉末が低い分散性を有する場合、それは、粒子が乾燥粉末吸入器を離れ、かつ集塊として口腔に入る兆候である。集塊粉末は、集塊と同等の大きさの個々の粒子のように空気力学的に機能し、したがって、個々の粒子が小さい(例えば、5ミクロン以下のMMAD)場合でも、吸入粉末のサイズ分布は、5μm超のMMADを有し得、増大した口腔堆積につながる。
したがって、粒子が小さく(例えば、5ミクロン以下のMMAD、例えば、1〜5ミクロン)、かつ極めて分散可能(例えば、2.0、好ましくは、1.5未満の1/4バール、またはあるいは、0.5/4バール)である粉末を有することが望ましい。より好ましくは、吸入に適する乾燥粉末は、1〜4ミクロンまたは1〜3ミクロンのMMAD、かつ1.4未満、もしくは1.3未満、およびより好ましくは、1.2未満の1/4バールを有する吸入に適する乾燥粒子から成る。
HELOSシステムを用いて1バールで測定された粒子の絶対的な幾何学径は、MMADが上に記載した範囲の1つにあるように、粒子のエンベロープ密度が十分であるという条件で、重大な意味を持たず、MMADは、VMGDをエンベロープ密度の平方根で掛けたものである(MMAD=VMGD×平方根(エンベロープ密度))。固定容量投与容器を用いて塩の高い単位用量を送達することが所望される場合、より高いエンベロープ密度の粒子が所望される。高いエンベロープ密度は、より多い質量の粉末が固定容量投与容器内に含有されることを可能にする。好ましいエンベロープ密度は、0.1g/cc超、0.25g/cc超、0.4g/cc超、0.5g/cc超、および0.6g/cc超である。
本発明の吸入に適する乾燥粉末および粒子を、呼吸器系を介する薬物送達に好適な組成物中に採用することができる。例えば、そのような組成物は、本発明の吸入に適する乾燥粒子と、別の活性薬剤を含有する乾燥粒子もしくは粉末等の、または1つ以上の薬学的に許容される賦形剤から成るか、もしくは本質的に成る1つ以上の他の乾燥粒子または粉末とのブレンドを含むことができる。
本発明の方法の使用に好適な吸入に適する乾燥粉末および乾燥粒子は、上気道(すなわち、中咽頭および咽頭)、気管続いて気管支ならびに細気管支への分岐を含む下気道を通り、呼吸器細気管支に順に分裂する末端細気管支を通って移動し、その後最終的な呼吸器域である肺胞または肺深部に至る。本発明の一実施形態では、吸入に適する乾燥粉末または粒子の質量の大部分は、肺深部内に堆積する。本発明の別の実施形態では、送達は、第一に中枢気道にされる。別の実施形態では、送達は上気道に対してである。
本発明の吸入に適する乾燥粒子または乾燥粉末を、呼吸周期の様々な部分(例えば、中間呼吸での層流)における吸入によって送達することができる。本発明の乾燥粉末および乾燥粒子の高い分散性の利点は、気道内の堆積を標的化する能力である。例えば、噴霧溶液の呼吸制御送達は、液体エアロゾル送達における最近の開発である(Dalby et al.in Inhalation Aerosols,edited by Hickey 2007,p.437)。この場合、噴霧液滴は、呼吸周期のある特定の部分の期間のみに放出される。肺深部送達においては、液滴は、吸入周期の初めに放出される一方で、中枢気道堆積においては、それらは吸入の後期に放出される。
この発明の極めて分散可能な粉末は、呼吸周期における薬物送達のタイミング、およびヒト肺内の位置も同様に標的化する利点を提供する。典型的な吸入手技の割合以内等、本発明の吸入に適する乾燥粉末を迅速に分散することができるので、吸入内の特定の時間にエアロゾルを送達する粉末分散のタイミングを制御することができる。
極めて分散可能な粉末によって、吸入の初めの部分で完全な用量のエアロゾルを分散することができる。患者の吸入流速が最大吸気流速まで上昇する間、極めて分散可能な粉末は、上昇の初めにすでに分散し始め、かつ吸入の第1の部分で用量を完全に分散させ得る。吸入の初めに吸入される空気は、肺の最深部を換気するので、最も多くのエアロゾルを吸入の第1の部分内に分散させることが、肺深部堆積に好ましい。同様に、中枢堆積において、中枢気道を換気する空気内に、高濃度でエアロゾルを分散させることは、吸入の途中から終わり付近での用量の迅速な分散によって達成され得る。スイッチ条件が満たされた後にのみ分散させるために患者の吸入空気を粉末へと向ける、時間、圧力、または流速によって作動するスイッチ等の多数の機械的および他の手段によってこれを達成することができる。
エアロゾル投薬量、製剤、および送達システムは、例えば、Gonda,I.「Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract」,in Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,6:273−313(1990)、ならびにMoren,「Aerosol Dosage Forms and Formulations」,in Aerosols in Medicine,Principles,Diagnosis and Therapy,Moren,et al.,Eds. ,Esevier,Amsterdam(1985)に記載されるように、治療的適用のために選択され得る。
本明細書に記載される、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末の治療的ならびに予防的効果は、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末の投与に続く気道(例えば、肺)内の増加した量のカルシウムの結果である。したがって、供給されるカルシウムの量は、選択される特定の塩によって変化し得るため、投与は、肺に送達される所望の量のカルシウムに基づき得る。例えば、1モルの塩化カルシウム(CaCl2)は、1モルのCa2+を供給するために解離するが、1モルのクエン酸カルシウムは、3モルのCa2+を供給することができる。
概して、有効量の製薬製剤は、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.002mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.005mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約60mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約50mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約40mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約30mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約20mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約10mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.02mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.03mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.04mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.05mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約1mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.2mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.18mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.005mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.02mgのCa+2/kgの体重/用量、または約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量の容量を送達する。
いくつかの実施形態では、気道(例えば、肺、呼吸気道)に送達されるカルシウムの量は、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.002mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.005mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約60mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約50mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約40mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約30mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約20mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約10mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.02mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.03mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.04mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.05mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約1mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.2mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.18mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.005mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.02mgのCa+2/kgの体重/用量、または約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量である。
他の実施形態では、上気道(例えば、鼻腔)に送達されるカルシウムの量は、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.002mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.005mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約60mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約50mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約40mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約30mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約20mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約10mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.01mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.02mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.03mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.04mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.05mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約2mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約1mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.1mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.2mgのCa+2/kgの体重/用量〜約0.5mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.18mgのCa+2/kgの体重/用量、約0.001mgのCa+2/kgの体重/用量である。
さらに、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末がナトリウム塩を含む時、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を、約0.001mgのNa+/kgの体重/用量〜約10mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約0.01mgのNa+/kgの体重/用量〜約10mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約0.1mgのNa+/kgの体重/用量〜約10mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約1.0mgのNa+/kgの体重/用量〜約10mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約0.001mgのNa+/kgの体重/用量〜約1mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約0.01mgのNa+/kgの体重/用量〜約1mgのNa+/kgの体重/用量、もしくは約0.1mgのNa+/kgの体重/用量〜約1mgのNa+/kgの体重/用量、約0.2〜約0.8mgのNa+/kgの体重/用量、約0.3〜約0.7mgのNa+/kgの体重/用量、または約0.4〜約0.6mgのNa+/kgの体重/用量の用量を送達するのに十分な量で投与することができる。
いくつかの実施形態では、気道(例えば、肺、呼吸気道)に送達されるナトリウムの量は、約0.001mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.01mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.1mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約1mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.001mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.01mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.1mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.2〜約0.8mg/kgの体重/用量、または約0.3〜約0.7mg/kgの体重/用量、または約0.4〜約0.6mg/kgの体重/用量である。
他の実施形態では、上気道(例えば、鼻腔)に送達されるナトリウムの量は、約0.001mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.01mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.1mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約1mg/kgの体重/用量〜約10mg/kgの体重/用量、または約0.001mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.01mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.1mg/kgの体重/用量〜約1mg/kgの体重/用量、または約0.2〜約0.8mg/kgの体重/用量、または約0.3〜約0.7mg/kgの体重/用量、または約0.4〜約0.6mg/kgの体重/用量である。
所望の治療的効果を提供する用量間の好適な間隔を、状態(例えば、感染)の重症度、対象の総合的な健康、および対象の吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末への耐性、ならびに他の考慮すべき点に基づいて決定することができる。これらおよび他の考慮すべき点に基づいて、臨床医は、用量間の適切な間隔を判定することができる。概して、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末は、必要に応じて、1日に1回、2回、または3回投与される。
所望または示される場合、本明細書に記載の吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を1つ以上の他の治療薬とともに投与することができる。他の治療薬を、経口で、非経口で(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下注射)、局所的に、吸入によって(例えば、気管支内、鼻腔内、経口吸入、鼻腔内滴下)、直腸的に、経膣的に等の任意の好適な経路で投与することができる。吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末を、他の治療薬の投与の前に、実質的に同時に、またはその後に投与することができる。好ましくは、吸入に適する乾燥粒子および乾燥粉末ならびに他の治療薬は、薬理活性の実質的重複を提供するように投与される。
本明細書に記載の吸入に適する乾燥粉末および吸入に適する乾燥粒子によって提供される別の利点は、投与効率が粒子の水分増加による肺内の粒子の吸湿成長の結果の結果として増加し得ることである。本発明の部分的に非晶質な高濃度の塩組成物の上昇した湿度で水を摂取する傾向は、それらの生体内堆積特性に関しても有利であり得る。高湿度でのそれらの迅速な水摂取により、これらの粉末製剤は、それらが肺内を通過する時に、気道内の湿った空気からの水の吸収度に対する吸湿成長を経験し得る。これは、肺内への通行中にそれらの有効な空気動力学的直径の増加をもたらし得、気道内でのそれらの堆積をさらに促進する。
例証
以下の実施例で使用される物質およびそれらの供給源が以下に記載される。塩化カルシウム二水和物、乳酸カルシウム五水和物、塩化ナトリウム、L−ロイシン、マルトデキストリン、マンニトール、ラクトース、およびトレハロースをSigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO)もしくはSpectrum Chemicals(Gardena,CA)から得、硫酸ナトリウムをEMD Chemicals(Gibbstown,NJ)、Sigma−Aldrich Co.(St. Louis, MO)、またはSpectrum Chemicals(Gardena,CA)から得、クエン酸ナトリウム二水和物をJ.T.Baker(Phillipsburg,NJ)、Mallinckrodt Baker(Phillipsburg,NJ)、またはSpectrum Chemicals(Gardena,CA)から得た。超純水は、水浄化システム(Millipore Corp.,Billerica,MA)からであった。
方法:
幾何学径または体積径。幾何学的体積中位径(VMGD)とも称され得る体積中位径(x50)を、レーザー回折技術を用いて判定した。装置は、HELOS回折計およびRODOS乾燥粉末分散機(Sympatec,Inc.,Princeton,NJ)から成った。RODOS分散機は、粒子の試料に剪断力を印加し、流入圧縮乾燥空気のレギュレータ圧(典型的には、7ミリバールで設定されたオリフィスリング圧を伴い1.0バールで設定される)によって制御される。圧力設定は、粉末を分散させるために使用されるエネルギーの量を変化させるために変化し得る。例えば、レギュレータ圧は、0.2バール〜4.0バールに変化し得、オリフィスリング圧は、5.00ミリバール〜115.00ミリバールに変化し得る。粉末試料は、マイクロスパチュラからRODOS漏斗に分注される。分散粒子は、典型的には、一連の検出器によるR2レンズを用いて、生成された回折光パターンが収集されるレーザー光を通って移動する。アンサンブル回折パターンは、次に、より小さい粒子がより大きな角度で光を回折するという前提で、フラウンホーファー回折モデルを用いて体積に基づく粒径分布に翻訳される。この方法を用いて、幾何学的体積中位径に対する幾何標準偏差(GSD)が判定された。
細粒分。吸入器デバイスから分散された粉末の空力特性を、Mk−II 1 ACFMアンダーセンカスケード衝撃装置(Copley Scientific Limited,Nottingham,UK)で評価した。器具を18〜25℃および相対湿度(RH)20〜40%の制御された環境条件で稼動した。器具は、慣性衝突に基づくエアロゾル粒子を分離する8段階から成る。各段階において、エアロゾル流は、一組のノズルを通過し、対応する衝突プレートに作用する。十分に小さい慣性を有する粒子は、次の段階までエアロゾル流を続ける一方で、残存粒子はプレートに影響を与える。各連続段階において、エアロゾルは、より速い速度でノズルを通過し、空気力学的により小さい粒子をプレート上に収集する。エアロゾルが最終段階を通過した後、フィルタは、残存する最小の粒子を収集する。次に、粒径分布を判定するために、重量および/または化学分析を実行することができる。2つの空力粒径切点カットポイントを評価する作業時間の低減を可能にするために、ショートスタックカスケード衝撃装置も利用する。この破壊的カスケード衝撃装置を用いて、細粒分および粗粒分を確立するために必要とされるそれらを除いて段階を排除する。
利用した衝突技術は、2個または8個の分離した粉末画分の収集を可能にした。カプセル(HPMC、サイズ3、Shionogi Qualicaps,Madrid,Spain)を粉末で約半分充填し、携帯型呼吸作動乾燥粉末吸入器(DPI)デバイス、高抵抗力RS−01 DPI(Plastiape,Osnago,Italy)内に設置した。カプセルを穿刺し、粉末を60.0L/分の流速で2.0秒間操作されたカスケード衝撃装置を介して引き出した。この流速で、8段階に較正されたカットオフ直径は、8.6、6.5、4.4、3.3、2.0、1.1、0.5、ならびに0.3ミクロンであり、ショートスタックカスケード衝撃装置で使用された2段階に較正されたカットオフ直径は、5.6ミクロンおよび3.4ミクロンである。表で分類されるように、装置内にフィルタを設置し、かつHPLCにおける重量測定または化学測定によってそれらに作用する粉末の量を判定することによって、画分を収集した。衝撃装置の所望の段階から回復した粉末質量を、カプセル中の総粒子質量で割ることによって、有効なカットオフ空気動力学的直径未満またはそれに等しい粉末(FPF_TD)の総用量の細粒分を計算した。5.6ミクロン未満(FPF<5.6ミクロン)の細粒分および3.4ミクロン未満(FPF<3.4ミクロン)の細粒分として結果を報告する。粉末の回復または放出用量に対して、衝撃装置の所望の段階から回復した粉末質量を、回復した総粉末質量で割ることによって、もう一つの方法として細粒分を計算することができる。
空気動力学的直径。空気力学的質量中位径(MMAD)をアンダーセンカスケード衝撃装置によって得られた情報を用いて決定した。段階を区切る直径下の累積質量を各段階について計算し、粉末の回収用量によって標準化する。次に、粉末のMMADを、第50百分位数を包括する段階カットオフ直径の線形補間によって計算する。
放出用量。アンダーセンカスケード衝撃装置試験から得られた情報を用いて、粉末の放出特性の尺度を決定した。充填されたカプセルの重量を稼動の初めに記録し、最終のカプセル重量を稼動完了後に記録した。重量の差異がカプセルから放出された粉末の量(CEPMまたはカプセル放出粉末質量)を表した。カプセルから放出された粉末の量を、カプセル中の初期の総粒子質量で割ることによって、放出用量を計算した。
タップ密度。タップ密度を測定するために2つの方法を利用した。(1)より少ない粉末量を必要とする修正法を最初に使用し、続いて、粉末を保持するために1.5ccの微小遠心管(Eppendorf AG,Hamburg,Germany)の代用でUSP<616>を使用した。(2)100ccのメスシリンダを利用してUSP<616>を使用した。当業者に知られているタップ密度を測定するための器具には、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester(Vankel,Cary,NC)またはGeoPyc器具(Micrometrics Instrument Corp.,Norcross,GA)が含まれるが、それらに限定されない。タップ密度は、エンベロープ質量密度の標準の尺度である。等方性粒子のエンベロープ質量密度は、それが封入され得る最小球体エンベロープ体積で割った粒子の質量と定義される。
走査電子顕微鏡法(SEM)。Everhart Thornley(ET)型検出器を装備したFEI Quanta 200走査型電子顕微鏡(Hillsboro,Oregon)を用いてSEMを実行した。それぞれ、xTm(v.2.01)およびXT Docu(v.3.2)ソフトウェアを用いて、画像を収集し、分析した。拡大率は、NIST追跡可能標準を用いて検証した。分析のために、アルミニウム架台上で支持される炭素付着タブ上に少量を置くことによって各試料を調製した。次に、Cressington 108自動スパッタ装置を75秒間、約20mAおよび0.13ミリバール(Ar)で用いて、各試料をAu/Pdでスパッタ被覆した。各画像の下部の情報バーにデータ取得パラメータを表示する。各画像上で報告された拡大率を、初期のデータ取得時に計算した。各画像の下位部に報告されたスケールバーは、大きさ調整時に正確であり、大きさ判定をする時に使用されるべきである。
噴霧乾燥のための液体供給原料調製。噴霧乾燥均質粒子は、関心の成分が溶液中に可溶化されるか、または均一で安定した懸濁液中に懸濁されることを必要とする。塩化カルシウム、酢酸カルシウム、および乳酸カルシウム等のある特定のカルシウム塩は、好適な噴霧乾燥溶液を調製するのに十分に水溶性である。しかしながら、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、および炭酸カルシウム等の他のカルシウム塩は、低い水溶解度を有する。例示的なカルシウム塩の水溶解度が表1に記載される。これらの低い溶解度の結果として、噴霧乾燥された可能性のある溶液または懸濁液を調製するために、製剤供給原料の開発作業が必要であった。これらの溶液または懸濁液は、典型的には、水ではあるが、エタノールおよび水の混合物でもある適切な溶媒、または先の明細書に記載したような他の溶媒中の塩の組み合わせを含んだ。
先に述べたように、塩化カルシウムは、高い水溶解度を有する。硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、および炭酸ナトリウム等のナトリウム塩は、非常に水溶性でもある。以下の実施例でさらに論じるように、塩化カルシウムおよびナトリウム塩(「出発物質」)を、最終乾燥粉末形態の安定したカルシウム塩を得るために溶液または懸濁液中で混合する。溶液中で塩化カルシウムおよびナトリウム塩を混合する時、ナトリウム塩から寄与されるカルシウムならびにアニオンは、所望のカルシウム塩を産生するために、沈殿反応に対して反応し得る(すなわち、CaCl2+2NaXX→CaXX+2NaCl)。この場合において、澄明な溶液または安定した懸濁液を維持した最大固体濃度を噴霧乾燥に用いた。ある特定のカルシウム塩は、水中で溶解されるのに十分に可溶性であり、次いで、単独で噴霧乾燥させた。同一の概念が、例えば、塩化マグネシウムを用いてマグネシウム塩に、塩化カリウムを用いてカリウム塩に、およびナトリウム塩に適用され得る。
「反応完了」と称される完全な沈殿反応が完了に進み得る出発物質が、モル量で供給され得る。例示的なカルシウム塩中のカルシウムイオンの重量パーセントが表2にさらに記載される。
あるいは、塩化カルシウムの所与の量が最終粉末形態で存在する過剰な塩化カルシウムが、不完全反応、または「反応不完了」のために添加され得る。塩化カルシウムが吸湿性である間、その高い水溶解度は、最終産物の溶解度を増加させるために、溶解特性を調整することができるように、かつ製剤中に存在するナトリウムまたは他のカチオンに対する相対カルシウムイオン比率を増加させるために、最終産物で少量を有するのに有益であり得る。製剤開発を簡易化するために、塩化カルシウムとナトリウム塩の必要とされるモル比を、塩化カルシウムとナトリウム塩の質量比に変換した。例は、沈殿反応が以下のように進むクエン酸カルシウム(すなわち、塩化カルシウム+クエン酸ナトリウム)に関してである。
3 CaCl2+2 Na3C6H5O7→Ca3(C6H5O7)2+6 NaCl
この反応は、カルシウム:ナトリウムイオンの1:2のモル比をもたらす。反応が完了へ進むためには、3モルの塩化カルシウムおよび2モルのクエン酸ナトリウムが必要とされる。グラムの質量および重量比に変換するために、塩のモル数に、1モル当たりのグラムとしての塩の分子量を乗じる。
塩化カルシウムにおいては、 3mol CaCl2×111g/mol=333g CaCl2
クエン酸ナトリウムにおいては、 2mol Na3C6H5O7×258g/mol=516g Na3C6H5O7
したがって、1:1.55または39:61重量比のCaCl2:Na3C6H5O7が、完全な反応のために必要とされる。「純粋な塩」製剤を産生するために、これらの比率の物質を溶解し、かつ噴霧乾燥させた。さらに、乾燥粉末をロイシンまたはラクトース等の追加の賦形剤とともに産生した。カルシウム塩のナトリウム塩に対する比率は、「反応完了」を生成するために同一のままにした。例えば、50%(w/w)のロイシンの製剤に関して、残りは、39:61のCaCl2:Na3C6H5O7の重量比が維持される場合に、クエン酸カルシウム(すなわち、CaCl2:Na3C6H5O7)等の塩から成る。したがって、その反応のために、50%(w/w)のロイシン、19.5%(w/w)のCaCl2、および30.5%(w/w)のNa3C6H5O7を添加する。噴霧乾燥過程のために、塩および他の賦形剤を、溶媒(すなわち、水)中に溶解または懸濁する。固体濃度(w/v)を異なる成分の溶解度によって選択することができる。クエン酸製剤においては、クエン酸カルシウムの限定された溶解度が、0.95mg/mLであると考慮すると、5mg/mLの濃度が適切である。したがって、5gの固体(すなわち、2.5gのロイシン、0.975gの塩化カルシウム、および1.525gのクエン酸ナトリウム)を1Lの超純水中に溶解した。
さらに、噴霧乾燥溶液を調製する時、水和した出発物質の水の重量が考慮されなければならない。製剤に使用した比率は、無水塩の分子量に基づいた。ある特定の塩については、水和形態が、無水形態よりも容易に入手可能である。これは、無水塩の分子量を水和物の分子量と相関させるために乗数を用いて、最初に計算された比率の調整を必要とした。この計算の例が以下に含まれる。
上の例において、無水塩化カルシウムの分子量は、110.98g/molであり、二水和物の分子量は、147.01g/molである。無水クエン酸ナトリウムの分子量は、258.07g/molであり、二水和物の分子量は、294.10g/molである。
乗数は、二水和物の無水分子量に対する比率に類似する、例えば、塩化カルシウムに対して1.32、クエン酸ナトリウムに対して1.14である。したがって、二水和物形態のための調整は、2.5gのロイシン、1.287g(すなわち、0.975g×1.32)の塩化カルシウム二水和物、および1.738g(すなわち、1.525g×1.14)のクエン酸ナトリウム二水和物をもたらし、これらは溶解され、噴霧乾燥された。
Niro噴霧乾燥機を用いた噴霧乾燥。サイクロン、生成フィルタ、または両方からの粉末収集物を有するNiro Mobile Minor噴霧乾燥機(GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)を利用して噴霧乾燥させることによって、乾燥粉末を産生した。他の二流体ノズル設定も可能ではあるが、ガスキャップ67147および流体キャップ2850SSを有するNiro(GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)または噴霧システム(Carol Stream,IL)二流体ノズルのいずれかからの並流二流体ノズルを用いて、液体フィードの霧化を実行した。追加の霧化技術は、回転霧化および圧力ノズルを含む。液体フィードを、ギアポンプ(Cole−Parmer Instrument Company,Vernon Hills,IL)を用いて、直接二流体ノズルに、または二流体ノズルへの導入の直前に静的混合器(Charles Ross & Son Company,Hauppauge,NY)内に供給した。追加の液体供給技術は、加圧容器から供給することを含む。窒素または空気が、その使用前に空気中の水分が少なくとも部分的に除去されるという条件で、乾燥ガスとして使用され得る。加圧窒素または空気を、二流体ノズルへの霧化ガスフィードとして使用することができる。20mL/分〜100mL/分の液体供給原料速度を伴って、処理ガス入口温度は100℃〜300℃、出口温度は50℃〜120℃であり得る。二流体霧化器を供給するガスは、ノズル選択によって変動し、Niro並流二流体ノズルにおいては、8kg/時〜15kg/時であり得、かつ0.5バール〜2.0バールの圧力で設定され、ガスキャップ67147および流体キャップ2850SSを有する噴霧システム二流体ノズルにおいては、40〜100g/分であり得る。作成される液滴の大きさに直接影響を及ぼすある特定のガスと液体質量との比率を達成するために、霧化ガス速度が設定され得る。乾燥ドラム内の圧力は、+3インチWC〜−6インチWCであり得る。噴霧乾燥した粉末をサイクロンの出口で、カートリッジもしくはバグハウスフィルタ上で、またはサイクロンおよびカートリッジもしくはバグハウスフィルタの両方から、容器内に収集することができる。
Buchi噴霧乾燥機を用いた噴霧乾燥。標準または高性能サイクロンのいずれかからの粉末収集物を有するBuchiB−290小型噴霧乾燥機(BUCHI Labortechnik AG,Flawil,Switzerland)上で噴霧乾燥させることによって、乾燥粉末を産生した。システムは、噴霧乾燥させるために使用された空気の安定した温度および湿度を確保するために、BuchiB−296除湿機を用いた。さらに、室内の相対湿度が30%RHを超えた時、外付けのLG除湿機(モデル49007903,LG Electronics,Englewood Cliffs,NJ)を絶えず稼動させた。液体フィードの霧化は、1.5mmの直径を有するBuchi二流体ノズルを利用した。3mL/分〜10mL/分の液体供給原料流速で、処理ガスの入口温度は100℃〜220℃、出口温度は80℃〜120℃であり得る。二流体霧化ガスは、25mm〜45mm(300LPH〜530LPH)であり、吸引速度は、70%〜100%(28m3/時〜38m3/時)である。
表3は、本明細書に記載のいくつかの乾燥粉末の調製で使用される供給原料製剤を提供する。
表4は、予想される最終乾燥粉末組成を提供する。これらの組成は、上に記載されるイオン交換反応が製剤IおよびIIIの完了まで進むという予想に基づいている。任意の特定の理論に縛られることを望むことなく、噴霧乾燥中に起こる液滴の蒸発は、最初に最も可溶性の低い塩を沈殿に導くはずであり、それは、それぞれ、製剤IおよびIII中のクエン酸カルシウムならびに硫酸カルシウムである。
プラセボの説明:
100重量パーセントのロイシンを含むプラセボ製剤を噴霧乾燥で産生した。バッチ処理のために、物質が室温で水に完全に溶解されるまで一定の撹拌で超純水中のロイシンを溶解することによって、水相を調製した。静的混合処理のために、超純水を半分に分割し、全体の所要のロイシンの半分をそれぞれの量の水に溶解した。次に、溶液をNiroまたはBuchi噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させた。プラセボ製剤において、供給原料の2つのバッチ(AおよびB)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。バッチAの全固体濃度は、15g/Lであり、バッチBは、5g/Lであった。Niro Mobile Minor噴霧乾燥機上でバッチA(プラセボ−A)を噴霧乾燥させるために使用された処理条件は、実施例1の製剤I−Aを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であった。バッチB(プラセボ−B)を噴霧乾燥させるために使用された処理条件は、製剤プラセボ−Bの出口温度が約82℃であったことを除いて、実施例1の製剤I−Cを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であった。この実施例で調製された製剤プラセボ−Aおよびプラセボ−B粉末ならびに/または粒子の処理条件ならびに特性に関する追加の情報を、図1A〜1Fおよび2〜4に示される表もしくはグラフに提供する。
実施例1
この実施例は、製剤I:10.0重量パーセントのロイシン、35.1重量パーセントの塩化カルシウム、および54.9重量パーセントのクエン酸ナトリウムの供給原料を用いた乾燥粉末の調製を説明する。
バッチ処理のために、超純水中でロイシン、次にクエン酸ナトリウム二水和物、最終的に塩化カルシウム二水和物を溶解することによって、水相を調製した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。静的混合処理のために、ナトリウム塩およびカルシウム塩を別々の溶液に保存した。超純水を半分に分割し、全体の所要のロイシンの半分をそれぞれの量の水に溶解した。クエン酸ナトリウム二水和物を1つの水相に溶解し、塩化カルシウム二水和物を第2の水相に溶解した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。次に、溶液をNiroまたはBuchi噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させた。各製剤において、供給原料の3つのバッチ(A、B、およびC)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。3つのバッチの各々における液体供給原料調製物の詳細が表5に示され、そこでは全固体濃度を、溶解された無水物質重量の総量として報告する。バッチAの粒子を、Niro噴霧乾燥機上のバッチAの供給原料を用いて調製した。バッチBおよびCの粒子を、Buchi噴霧乾燥機上で対応する供給原料を用いて調製した。
生成物カートリッジフィルタからの粉末収集物を有するNiro Mobile Minor噴霧乾燥機(GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)上で噴霧乾燥させることによって、バッチA(I−A)の乾燥粉末を産生した。液体フィードの霧化は、1.0mmの挿入部分を有するNiro(GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)の並流二流体ノズルを用いた。液体フィードを、ギアポンプ(Cole−Parmer Instrument Company,Vernon Hills,IL)を用いて、二流体ノズルへの導入の直前に静的混合器(Charles Ross & Son Company,Hauppauge,NY)内に供給した。窒素を乾燥ガスとして使用した。処理ガスの入口温度を282℃に設定し、出口温度は約98℃を示した。二流体霧化器に供給するガスを14.5kg/時の流速および2psiの圧力で設定し、処理ガスの流速を85kg/時および25psiの圧力で設定し、乾燥ドラム内の圧力は−2インチWCだった。液体供給原料の全流速は、70mL/分であり、各々の流れは、35mL/分で供給された。噴霧乾燥した粉末を生成物収集カートリッジフィルタから収集した。
直径1.5mmのBuchi二流体ノズルならびに高性能サイクロンからの粉末収集物を有するBuchiB−290小型噴霧乾燥機(BUCHI Labortechnik AG,Flawil,Switzerland)上で噴霧乾燥させることによって、バッチB(I−B)およびバッチC(I−C)の乾燥粉末を調製した。システムは、噴霧乾燥させるために使用された空気の安定した温度および湿度を確保するために、BuchiB−296除湿機を用いた。製剤I−Bにおいて6.7mL/分、および製剤I−Cにおいて7mL/分の液体供給原料流速で、処理ガスの入口温度を220℃に設定した。出口温度は、製剤I−Bにおいて約108℃、製剤I−Cにおいて約95℃であった。二流体霧化ガスは90%の吸引速度で40mmであった。
生成物フィルタ膜からの粉末収集物を有するNiro Mobile Minor噴霧乾燥機(GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)上で噴霧乾燥させることによって、バッチD(I−D)の乾燥粉末を産生した。液体フィードの霧化は、ガスキャップ67147および流体キャップ2850SSを有するSpraying Systems(Carol Stream,IL)の二流体ノズルを用いた。液体フィードを、ギアポンプ(Cole−Parmer Instrument Company,Vernon Hills,IL)を用いて、二流体ノズルへの導入の直前に静的混合器(Charles Ross & Son Company,Hauppauge,NY)内に供給した。窒素を乾燥ガスとして使用した。処理ガスの入口温度を265℃に設定し、出口温度は約99℃を示した。二流体霧化器に供給するガスを80g/分の流速で設定し、処理ガスの流速を80kg/時で設定し、乾燥ドラム内の圧力は−2インチWCだった。液体供給原料の全流速は、66mL/分であり、各々の流れは、33mL/分で供給された。噴霧乾燥した粉末を生成物収集フィルタ膜から収集した。
4つの別々のバッチ(製剤I−A、I−B、I−C、およびI−D)内で得られた粒子の物理的特性のいくつかを表6に集約する。表5に提供されるデータに加えて、供給原料製剤I−Aから調製された乾燥粉末に関するさらなるデータを以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは56.2%、3.4ミクロン未満のFPFでは41.7%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.72ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、2.57ミクロンであった。さらに、粉末は、1.19であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.17であった。
供給原料製剤I−Dから調製された乾燥粉末の追加の特性を以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは58.8%、3.4ミクロン未満のFPFでは46.7%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.38ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、2.45ミクロンであった。さらに、粉末は、1.12であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.09であった。
この実施例で調製された製剤I−A粉末および/または粒子の特性に関する追加の情報を、図1A〜1Fならびに2〜4の表またはグラフに提供する。図1Dにおいて、GSDは幾何標準偏差を指す。図1Fにおいて、Dv50は、スプレーテック器具で測定される幾何学的体積中位径(VMGD)を指し、Vは体積を指す。上述のように(図5A)、SEMを実行した。
実施例2
この実施例は、製剤II: 10.0重量パーセントのロイシン、58.6重量パーセントの乳酸カルシウム、および31.4重量パーセントの塩化ナトリウムの供給原料を用いた乾燥粉末の調製を説明する。
バッチ処理のために、超純水中でロイシン、次に塩化ナトリウム、最終的に乳酸カルシウム五水和物を溶解することによって、水相を調製した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。乳酸カルシウム製剤において、供給原料の4つのバッチ(A、B、C、およびD)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。4つのバッチの各々における液体供給原料調製物の詳細が表7に示され、全固体濃度を、溶解された無水物質重量の総量として報告する。バッチAおよびDの粒子を、それぞれ、バッチAおよびDの供給原料を用いてNiro噴霧乾燥機上で調製した。バッチA(II−A)を噴霧乾燥させるために使用された処理条件は、実施例1の製剤I−Aを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であり、バッチD(II−D)の処理条件は、実施例1の製剤I−Dを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であった。以下の処理条件を除いて、実施例1の製剤I−BおよびI−Cを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様の処理条件で、Buchi小型噴霧乾燥機上で対応する供給原料を用いてバッチBおよびCの粒子を調製した。液体供給原料の流速は、製剤II−Bにおいて5.2mL/分、製剤II−Cにおいて6mL/分で設定した。出口温度は、製剤II−Bにおいて約91℃〜109℃、製剤II−Cにおいて約100℃であった。
4つの別々のバッチ(製剤II−A、II−B、II−C、およびII−D)内で得られた粒子の物理的特性のいくつかを表8に集約する。表8に提供されるデータに加えて、供給原料製剤II−Aから調製された乾燥粉末に関するさらなるデータを以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは55.3%、3.4ミクロン未満のFPFでは39.7%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.89ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、1.51ミクロンであった。さらに、粉末は、1.12であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.08であった。
供給原料製剤II−Dから調製された乾燥粉末の追加の特性を以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは62.2%、3.4ミクロン未満のFPFでは45.3%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.72ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、1.47ミクロンであった。さらに、粉末は、1.08であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.03であった。
この実施例で調製された製剤II粉末および/または粒子の特性に関する追加の情報を、図1A〜1Fならびに2〜4の表またはグラフに提供する。上述のように(図5B)、SEMを実行した。
実施例3
この実施例は、製剤III:10重量パーセントのロイシン、39.6重量パーセントの塩化カルシウム、および50.4重量パーセントの硫酸ナトリウムの供給原料を用いた乾燥粉末の調製を説明する。
バッチ処理のために、超純水中でロイシン、次に硫酸ナトリウム、最終的に塩化カルシウム二水和物を溶解することによって、水溶性相を調製した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。静的混合処理のために、ナトリウム塩およびカルシウム塩を別々の溶液に保存した。超純水を半分に分割し、全体の所要のロイシンの半分をそれぞれの量の水に溶解した。硫酸ナトリウムを1つの水相に溶解し、塩化カルシウム二水和物を第2の水相に溶解した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。次に、溶液をNiroまたはBuchi噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させた。各製剤において、供給原料の4つのバッチ(A、B、C、およびD)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。4つのバッチの各々における液体供給原料調製物の詳細が表9に示され、全固体濃度を、溶解された無水物質重量の総量として報告する。バッチAおよびDの粒子を、それぞれ、バッチAおよびDの供給原料を用いてNiro噴霧乾燥機上で調製した。バッチBおよびCの粒子を、Buchi噴霧乾燥機上で対応する供給原料を用いて調製した。バッチA(III−A)を噴霧乾燥させるために使用された処理条件は、実施例1の製剤I−Aを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であり、バッチD(III−D)を噴霧乾燥させるために使用された処理条件は、実施例1の製剤I−Dを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様であった。以下の処理条件を除いて、実施例1の製剤I−BおよびI−Cを噴霧乾燥させるために使用された条件と同様の処理条件で、Buchi小型噴霧乾燥機上で対応する供給原料を用いてバッチBおよびCの粒子を調製した。液体供給原料の流速は、製剤III−Bにおいて8.3mL/分、製剤III−Cにおいて7mL/分で設定した。出口温度は、製剤III−Bにおいて約83℃、製剤III−Cにおいて約92℃であった。製剤III−Bのために吸引器を80%に設定した。
4つの別々のバッチ(製剤III−A、III−B、III−C、およびIII−D)内で得られた粒子の物理的特性のいくつかを表10に集約する。表10に提供されるデータに加えて、供給原料製剤III−Aから調製された乾燥粉末に関するさらなるデータを以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは68.7%、3.4ミクロン未満のFPFでは51.5%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.59ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、2.50ミクロンであった。さらに、粉末は、1.47であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.42であった。
供給原料製剤III−Dから調製された乾燥粉末の追加の特性を以下のように集約する。重量分析を伴う全8段階のアンダーセンカスケード衝撃装置で測定した細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは77.9%、3.4ミクロン未満のFPFでは68.3%であった。重量分析を伴う全段階のACIで空気動力学的直径も測定した。空気力学的質量中位径(MMAD)の平均値は、2.17ミクロンであった。HELOS/RODOS定寸装置上でのレーザー回折によって体積サイズを決定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、1.90ミクロンであった。さらに、粉末は、1.17であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。これらの粒子における1/4バールの値は、1.63であった。
この実施例で調製された製剤III粉末および/または粒子の特性に関する追加の情報を、図1A〜1Fならびに2〜4の表またはグラフに提供する。上述のように(図5C)、SEMを実行した。
実施例4
この実施例は、室内および上昇温度および湿度条件での、乾燥粉末吸入器からの製剤バッチI−B、II−B、およびII−Bの粉末の用量放出を説明する。
方法:3つの異なる製剤(I−B、II−B、およびIII−B)の噴霧乾燥した粉末を、サイズ2のHPMCカプセル(Quali−V、Qualicaps、Whitsett、NC)内に、約半分(粉末によって13〜30mg)まで充填した。カプセル内に適した穴開口部を確保するために、4個のカプセルDPIの1つに装填する前にカプセルを穿刺した。カプセルを吸入器内に水平に装填し、次に、それをカスタム仕様のチャンバに接続した。各乾燥粉末吸入器は、試験中、吸入器を通る流速を監視するために、それに接続する圧力トランスデューサを有した。試験を始めた時に、1分間隔で、それぞれ0.3秒の3回の短い破裂における45L/分の気流を、各吸入器を通して引き出した。各々の破裂中に、吸入器を通して引き出した空気は、カプセルに、その中の粉末を、副チャンバの床面を形成する1列の3個の組織培養ウェルを有した4個の副チャンバの1つの中に回転および放出させた。合計3回の破裂において、次の続いて起こる破裂前に、エアロゾル雲を1分間沈降させ、0.68Lの合計空気体積を、吸入器を通して引き出した。期間および全気流速度を流量制御器(TPK−2000,MSP Corporation,Shoreview,MN)で制御し、空気流量メータ(モデル番号3063,TSI Inc.,Shoreview,MN)で記録した。個々の吸入器の気流速度を、以前に較正され、かつその信号がカスタム仕様のLab−viewコードを介する流速に変換された圧力センサ(モデル番号ASCX01DN,Honeywell International Inc.,Morristown,NJ)で監視した。1つの事例において、カスタム仕様のチャンバを室内条件で実験台上に設置した一方で、別の2つの事例では、それを37℃および相対湿度90%に設定された安定チャンバ(Darwin Chambers Company,St.Louis,MO)内に設置した。安定チャンバ内の第1の事例において、カプセルを穿刺し、吸入器内に室内条件で装填し、チャンバの扉を開いて吸入器を取り付け、カプセルがチャンバに入った約30秒後に流速を作動させた。第2の事例において、まずカプセルを3分間、穿刺されていない状態で安定チャンバ内に設置し、次に、チャンバから除去し、室内条件で穿刺および装填し、チャンバ内に取り付け、チャンバへの2回目の進入の30秒以内に作動させた。各々の試験後、カプセルを吸入器から除去し、カプセルから放出された粉末の割合を計算するために、秤量および使用した。3組の条件の各々について、試験した粉末製剤の各々のために、2つの12ウェル組織培養プレート(各プレートは、粉末を3個のウェルに送達する4個の吸入器内に、それぞれ4個のカプセルを必要とした)を粉末に曝露させ、各々の温度および湿度設定で、各粉末に対して合計8回のカプセル放出をもたらした。
下の表11に示されるように、3つ全ての粉末バッチ(I−B、II−B、およびIII−B)において、カプセルから放出された粉末の平均量は、カプセルの重量変化に基づいて、99%超である。
実施例5
この実施例は、表12に集約されるように、プラセボにおける製剤I−A、II−A、III−A、ならびにロイシン製剤の分散特性および密度特性を説明する。表12に見出される全てのデータを、図1A〜1Eに見出すこともできる。表12に示される結果によって証明されるように、全ての製剤は、極めて分散可能であり、それらの測定された体積サイズが、HELOS/RODOSにかかる圧力から比較的独立していることを意味する。表12に示されるように、低い分散圧(0.5バールまたは1.0バール)および高い分散圧(4.0バール)で得られた体積平均サイズの比率を、分散性の指標として使用することができる。これらの値は、0.5バール/4.0バール比または1.0バール/4.0バール比と称される。
1.5ccの微小遠心管を用いて修正されたUSP<616>方法でタップ密度を決定し、1,000タップにおけるタップ密度の平均値は、それぞれ、0.29、0.69、0.34、および0.04g/ccであった。全段階(8段階)アンダーセンカスケード衝撃装置(ACI)で測定されたMMADは、それぞれ、2.72、2.89、2.59、および4.29umであった。全段階ACI上で測定された3.4um未満のFPFは、それぞれ、41.7%、39.7%、51.5%、および17.4%であり、5.6um未満では、それぞれ、56.2%、55.3%、68.7%、および32.5%であった。体積サイズをレーザー回折で判定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、それぞれ、2.57ミクロン、1.51ミクロン、2.50ミクロン、および6.47ミクロンであった。0.5バール、2.0バール、および4.0バールでの圧力値の値を表12に見ることができる。さらに、粉末は、表12に示されるように、0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、比較的流速に依存しない挙動を示した。値は、それぞれ、1.19、1.12、1.47、および1.62である。これは流速依存性の別の尺度であるため、他の方法との比較の目的で、表には、1.0バールと4.0バールとの比率の値が含まれる。
実施例6
この実施例は、下の表13に記載されるような供給原料製剤6.1〜6.9を用いた乾燥粉末の調製を説明する。
この実施例における乾燥粉末の調製の一般的様式は、この実施例の乾燥粉末の全てを、高性能サイクロンを有するBuchi B−290噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させたことを除いて、上の実施例の粉末に関して説明した様式と同様である。この実施例の製剤6.1、6.4、および6.7は、それぞれ、上の実施例の製剤II−B、I−B、およびIII−Bに対応する。
この実施例で得られた粉末ならびに/または粒子の物理的特性を、図6Aおよび6Bに示される表に集約する。表13の製剤6.1〜6.9は、それぞれ、図6Aおよび6Bに示される製剤6.1〜6.9に相当する。図6Aにおいて、x50およびDv50は、体積中位径または幾何学的体積中位径(VMGD)を指し、GSDは、幾何標準偏差を指す。図6Bにおいて、収率%は、供給原料中の溶質の重量で割った、高性能サイクロンに取り付けられた収集瓶内の回収産物の重量の割合を指す。全ての他の略称は、本明細書の他の箇所で説明される。
実施例7
この実施例は、室内および上昇条件において、乾燥粉末吸入器からの供給原料製剤6.1〜6.9で調製された粉末の用量放出を説明する。このデータのいくつかは、上の実施例4にも示される。
方法:9つの供給原料製剤6.1〜6.9の噴霧乾燥した粉末を、別々に、サイズ2のHPMCカプセル(Quali−V、Qualicaps、Whitsett、NC)内に、約半分(粉末によって13〜30mg)まで充填した。カプセル内に適した穴開口部を確保するために、4つのカプセルベースのDPIの1つに装填する前にカプセルを穿刺した。カプセルを吸入器内に水平に装填し、次に、それをカスタム仕様のチャンバに接続した。各乾燥粉末吸入器は、試験中、吸入器を通る流速を監視するために、それに接続した圧力トランスデューサを有した。試験を始めた時に、1分間隔で、それぞれ0.3秒の3回の短い破裂における45L/分の気流を、各吸入器を通して引き出した。各々の破裂中に、吸入器を通して引き出した空気は、カプセルに、その中の粉末を、副チャンバの床面を形成する1列の3個の組織培養ウェルを有した4個の副チャンバの1つの中に回転および放出させた。合計3回の破裂において、次の続いて起こる破裂前に、エアロゾル雲を1分間沈降することを許可し、0.68Lの合計空気体積を、吸入器を通して引き出した。期間および全気流速度を流量制御器(TPK−2000,MSP Corporation,Shoreview,MN)で制御し、空気流量メータ(モデル番号3063,TSI Inc.,Shoreview,MN)で記録した。個々の吸入器の気流速度を、以前に較正され、かつその信号がカスタム仕様のLab−viewコードを介する流速に変換された圧力センサ(モデル番号ASCX01DN,Honeywell International Inc.,Morristown,NJ)で監視した。1つの事例において、カスタム仕様のチャンバを室内条件で実験台上に設置し、一方で、別の2つの事例では、それを37℃および90%のRHに設定された安定チャンバ(Darwin Chambers Company,St.Louis,MO)内に設置した。安定チャンバ内の第1の事例において、カプセルを穿刺し、吸入器内に室内条件で装填し、チャンバの扉を開いて吸入器を取り付け、カプセルがチャンバに入った約30秒後に流速を作動させた。第2の事例において、まずカプセルを3分間、穿刺されていない状態で安定チャンバ内に設置し、次に、チャンバから除去し、室内条件で穿刺および装填し、チャンバ内に取り付け、チャンバへの2回目の進入の30秒以内に作動させた。各々の試験後、カプセルを吸入器から除去し、カプセルから放出された粉末の割合を計算するために、秤量および使用した。3組の条件の各々において、試験された粉末製剤のそれぞれに対して、2つの12ウェル組織培養プレート(各プレートは、粉末を3個のウェルに送達する4個の吸入器内に、それぞれ4個のカプセルを必要とした)を粉末に曝露させ、各々の温度および湿度設定で、各粉末に対して合計8回のカプセル放出をもたらした。
下の表14に示されるように、(供給原料製剤6.1〜6.9を用いて得られた)9つ全ての粉末バッチにおいて、カプセルから放出された粉末の平均量は、カプセルの重量変化に基づいて、98%超である。
実施例8
この実施例は、供給原料製剤6.1、6.4、および6.7で調製された乾燥粉末のために行われた短期間安定性研究の結果を説明する。
製薬乾燥粉末の重要な特性は、異なる温度および湿度条件での安定性である。安定不安定な粉末につながり得る1つの特性は、環境から水分を吸収する粉末の傾向であり、それは次に、粒子の集塊につながる可能性があり、したがって、同様の分散条件で粉末の外見上の粒径を変化させる。噴霧乾燥した粉末を1週間〜3ヶ月以上の期間、条件の範囲で保持し、粒径分布に関して定期的に試験した。保存条件には、25℃および相対湿度60%のバイアル内の閉鎖カプセル、40℃および相対湿度75%のバイアル内の閉鎖カプセル、室温および相対湿度40%のバイアル内の閉鎖カプセル、30℃および相対湿度65%のバイアル内の開放カプセル、ならびに30℃および相対湿度75%のバイアル内の開放カプセルが含まれた。サイズ3のHPMCカプセル(Quali−V、Qualicaps、Whitsett、NC)を各乾燥粉末で半分充填した。1つの試料を、吸入器セル設定を用いて乾燥粉末を吸入器から分散することができるレーザー回折噴霧粒子定寸システムである、スプレーテック(Malvern Instruments Inc.,Westborough,MA)内で即座に試験した。供給原料溶液6.1、6.4、および6.7を用いて調製された各粉末で、約16個のカプセルを充填した。制御された湿度および温度条件(約23〜28%のRH)で研究室内に、かつ同様に、異なる湿度および温度条件(約40〜75%の相対湿度)で研究室の外で、カプセルを保存した。25℃および相対湿度60%、40℃および相対湿度75%、30℃および相対湿度65%、ならびに30℃および相対湿度75%の保存条件で保存されたカプセルを、それらの条件で設定した安定チャンバ(Darwin Chambers Company,St.Louis,MO)内に保持した。特定の時点(30分〜3ヶ月)において、各条件からの3つのカプセルの1つを、幾何学的粒径分布に関してスプレーテック上で、かつ空力粒径特性に関してACI−2上で試験した。
概して、バイアル中の閉鎖カプセル内の粉末は、3ヶ月以上の長期間、安定したままであった。バイアルなしの開放カプセル内の粉末は、より高い湿度条件への曝露後に集塊を示した。安定性データを下の表15に集約する。
実施例9
この実施例は、供給原料製剤A〜Eを用いて調製された乾燥粉末を使用して実行された細菌通過アッセイを説明する。
方法:粘液全域での細胞運動へのエアロゾル化乾燥粉末製剤の効果を試験するために、通過モデルを使用した。このモデル内に、200μLの4%のアルギン酸ナトリウム(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を12mmのCostar Transwell膜(Corning,Lowell,MA、3.0μmの細孔径)の先端面に添加し、続いて、乾燥粉末製剤に曝露させた。乾燥粉末を乾燥粉末吹送器(Penn−Century,Inc.,Philadelphia,PA)を用いてチャンバ内でエアロゾル化し、重力で5分間沈降させた。この曝露後、10μLの肺炎桿菌(生理食塩水中の約107CFU/mL)を模倣剤の先端面に添加した。細菌の添加後の様々な時点において、側底緩衝剤の一定分量を除去し、各々の一定分量中の細菌の数を、連続的希釈および血液寒天プレート上でのプレーティングによって判定した。この方法の概略図が図7に示される。各Transwellに送達された塩の濃度をHPLCで定量化した。この目的のために、各Transwellに隣接し、かつ製剤の同一用量に曝露した12ウェル細胞培養プレートの空ウェルを、滅菌水ですすぎ、各粉末中のカルシウム塩を溶解するために酢酸と1:1に希釈した。
粉末を含有するカルシウムのアルギン酸ナトリウム粘液模倣剤を通る肺炎桿菌運動への効果を試験した。ロイシンおよび塩化ナトリウムを伴って、異なる溶解度特性を有するカルシウム塩を含む乾燥粉末製剤を、活性のためにスクリーニングした。表16(下)は、試験した粉末の供給原料製剤を列挙する。通過モデルにおける投与および検出限界のため、上の実施例に記載される製剤内に装填する10.0%(w/w)のロイシンとは対照的に、組成物内に装填する50.0%(w/w)のロイシンが必要であった。1:1のモル比を標的とするために、カルシウムとナトリウムとのモル比を各製剤のために選択した一方で、任意の特定の塩の相対重量を過度に低くする必要はなかった。したがって、使用した乳酸、クエン酸、ならびに酢酸製剤は、それらの製剤中の塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムの重量を、それぞれ、約10重量%超に保つために、1:1のモル比ではなかった。
この試験の結果が図8Aおよび8Bに示される。2つの異なる図は、同一条件で実行された2組の異なる実験を表す。ロイシン対照および硫酸のデータは、2組の実験間の相対比較を可能にする。硫酸アニオン、乳酸アニオン、ならびに酢酸アニオンを含有する粉末、すなわち、供給原料製剤A、D、ならびにEから調製された乾燥粉末は、それぞれ、模倣剤全域で細菌の運動を減少させた一方で、炭酸アニオンおよびクエン酸アニオンを含有する粉末、すなわち、供給原料製剤BおよびCから調製された乾燥粉末は、効果を示さなかった。水中のカルシウム塩の知られている溶解度と相関するこれらの所見は、恐らく炭酸塩およびクエン酸塩が肺炎桿菌の運動を阻害することができなかったことが、アルギン酸ナトリウム模倣剤の表面におけるこれらの粉末の溶解度に関連し得ることを示唆する。この結論は、先に記載したイオン交換反応が噴霧乾燥中に完了し、かつ製剤A〜E中のカルシウム塩の形態は、それぞれ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、および酢酸カルシウムであるという妥当な想定にも基づいている。最小の可溶性から最大の可溶性のこれらの塩の溶解度:炭酸カルシウム<クエン酸カルシウム<硫酸カルシウム<乳酸カルシウム<酢酸カルシウム。(上の表1を参照されたい。)
実施例10
この実施例は、ウイルス複製モデルを利用してウイルス複製を減少させる乾燥粉末の性能を説明する。
この実施例では、異なるカルシウム塩から成る供給原料製剤から調製される異なる乾燥粉末を用いた一連の用量反応研究を説明する。乾燥粉末をロイシン、カルシウム塩(乳酸塩または塩素化合物)、ナトリウム塩(塩素化合物、硫酸塩、クエン酸塩、または炭酸塩)で作製した。10−1、10−2、および10−3に記載される供給原料製剤を、BuchiB−290小型噴霧乾燥機上で噴霧乾燥させた。システムは、噴霧乾燥させるために使用される空気の安定した温度および湿度を確保するためにBuchiB−296除湿機を使用した。供給原料製剤10−4を、窒素を伴う開放サイクルで、Niro Mobile Minor噴霧乾燥機上で噴霧乾燥させた。
表17に記載されるように、4つの液体供給原料を以下の成分および比率(重量パーセント)で調製した。
ウイルス複製モデルにおける投与および検出限界のため、上の実施例に記載される製剤内に装填する10.0%(w/w)のロイシンとは対照的に、組成物内に装填する50.0%(w/w)のロイシンが必要であった。1:1のモル比を標的とするために、カルシウムとナトリウムとのモル比を各製剤のために選択した一方で、任意の特定の塩の相対重量を過度に低くする必要はなかった。したがって、使用した乳酸およびクエン酸製剤は、それらの製剤中の塩化ナトリウムならびに塩化カルシウムの重量を、それぞれ、約10重量%超に保つために、1:1のモル比ではなかった。
超純水中に溶解した塩および賦形剤の正確な量ならびにその特定の体積が変化する間、製剤10−1、10−2、および10−3を、5g/Lの供給原料固体濃度で噴霧乾燥させた。以下の処理設定を使用した:220℃の入口温度、約10mL/分の液体流速、23.2〜24.6℃および相対湿度19〜21%の室内条件、ならびに3〜5℃および相対湿度30%の除湿機空気。出口温度、サイクロン、および吸引速度が変化した。製剤10−1を、80%および93℃の出口温度での高性能サイクロンを用いて噴霧乾燥させた。乾燥粉末製剤10−2および10−3を、通常のサイクロン、100%および111〜115℃の出口温度での吸引器で作製した。製剤10−4を、2.7g/Lの固体濃度および以下の処理設定で噴霧乾燥させた:140℃の入口温度、75℃の出口温度、30mL/分の液体供給原料流速、100kg/時の処理ガス流速、20g/分の霧化ガス流速、および−2インチWCの噴霧乾燥ドラムチャンバ圧力。
インフルエンザ感染の細胞培養モデルを、製剤1〜4の効果を研究するために使用した。Calu−3細胞(American Type Culture Collection,Manasas,VA)を透過性膜(12mmのTranswell、0.4μmの細孔径、Corning Lowell,MA)上にコンフルエント(膜が細胞で完全に被覆される)まで培養し、気液界面(ALI)培養物が、頂端培地を除去し、かつ37℃、5%のCO2で培養することによって確立された。各々の実験前に、細胞をALIで2週間超培養した。各々の実験の前に、各Transwellの先端面をPBS(Hyclone,Logan,UT)で3回洗浄した。Calu−3細胞を専売の乾燥粉末沈降チャンバを用いて乾燥粉末に曝露させた。細胞を同等の用量のカルシウムに曝露させるために、カプセルを各粉末の異なる量で充填した。各粉末(4.23mg、1.06mg、および0.35mg)によって送達されたカルシウムの量を一致させることに基づいて、高い、中程度、および低い充填重量を計算した。試験した各々の乾燥粉末条件において、粉末の放出用量を判定するために、空の時、充填された時、および曝露後に2つのカプセルを秤量した。表18(下)は、HPLC測定によって判定された、曝露前後のカプセルの充填重量および細胞に送達されたカルシウムの濃度を示す。曝露の直後、基底外側培地(Transwellの底部側上の培地)を新鮮培地と取り替えた。3重ウェルを、各試験における各々の供給原料製剤からの乾燥粉末に曝露させた。細胞への全体の塩またはカルシウムの送達を定量化するために、第2の細胞培養プレートを供給原料製剤からの同一の乾燥粉末に曝露させた。曝露の1時間後、0.1〜0.01の感染の多重度(1細胞当たり0.1〜0.01ビリオン)で、細胞を10μLのA型インフルエンザ/WSN/33/1(H1N1)またはA型インフルエンザ/Panama/2007/99(H3N2)に感染させた。エアロゾル処理の4時間後、過剰な乾燥粉末および未付着ウイルスを除去するために先端面を洗浄し、細胞を37℃かつ5%のCO2でさらに20時間培養した。エアロゾル処理の24時間後、感染した細胞の先端面に放出したウイルスを培養培地またはPBS中に収集し、先端洗浄物中のウイルスの濃度を、TCID50(50%の組織培養感染量)アッセイによって定量化した。TCID50アッセイは、どれだけのウイルスが試料中に存在するかを定量化するために使用される標準終点希釈アッセイである。
表18 供給原料製剤10−1〜10−4から調製され、細胞培養モデルにおけるA型インフルエンザ/WSN/33/1感染へのそれらの効果を評価するために試験された乾燥粉末。乾燥粉末製剤を、細胞培養モデルにおけるA型インフルエンザ/WSN/33/1感染へのそれらの効果を評価するために試験した。同等の量のカルシウムイオン(Ca+2)を送達するために、各乾燥粉末製剤における所望の充填重量を計算した。放出用量を決定するために、Qualicapカプセルを、空の時、充填時、および曝露後に秤量した。3重ウェルを各カプセルに曝露させ、その後、ウェルを洗浄した。これらの試料のHPLC分析は、細胞に送達されるCa+2の量を判定した。*は、所望の充填重量を達成するために2つのカプセルの使用を意味する。aは、n=3を意味し、bは、n=1を意味する。
実施例10A
供給原料製剤10−1〜10−4から調製された乾燥粉末は、用量依存的様式でA型インフルエンザ/WSN/33/1(H1N1)感染を減少させる。
細胞培養モデルにおけるインフルエンザ感染への乾燥粉末製剤の効果を試験するために、Calu−3細胞を、50%のロイシン、カルシウム塩、および塩化ナトリウムからそれぞれ成る4つの異なる乾燥粉末製剤に曝露させた。ウイルス感染を、24時間以上、ウイルス複製の量を定量化することによって評価した。試験した特定の粉末を表18(上)に記載し、炭酸塩、乳酸塩、硫酸塩、およびクエン酸塩を含んだ。粉末を含有する4つのカルシウムのそれぞれのカルシウムの同等の量に細胞を曝露させるために、カプセルを、投与前に適切な充填重量まで充填した。製剤に曝露していない(空気に曝露した)細胞を対照細胞として使用した。
図9に見られるように、各粉末は、インフルエンザ感染の用量反応性の減少を示したが、しかしながら、効果の規模は、試験した4つの粉末の間で異なった。低いカルシウム濃度で、乳酸カルシウムは最も効果的であり、試験した粉末の中で最も強力であったことを示唆する。カルシウムのより高い濃度で、乳酸カルシウムおよびクエン酸カルシウム粉末は、同様の効力を示した。さらに高い濃度でのクエン酸カルシウム粉末の追加の試験は、それが最も効果的な粉末であることを示し得る。硫酸カルシウム粉末は、中等の効果を示し、かついくつかの濃度でクエン酸カルシウムに相当した。炭酸カルシウムは、最高濃度(10倍未満)においてさえ、ウイルス複製への最小の効果しか有さなかった。注目すべきは、炭酸カルシウムが、試験した粉末の中で最も溶けにくいことである。
図9に示されるように、このために調製された乾燥粉末は、用量依存的様式でインフルエンザ感染を減少させる。製剤に曝露しなかったCalu−3を対照として使用し、かつ異なる充填重量で乾燥粉末製剤に曝露したCalu−3細胞と比較した。各エアロゾル製剤に曝露した細胞によって放出されたウイルスの濃度を定量化した。棒線は、各条件における3重ウェルの平均および標準偏差を表す。データを一元配置ANOVAおよびチューキー多重比較事後試験によって統計分析した。
実施例10B
表19の供給原料製剤10−1〜10−4から調製された乾燥粉末は、用量依存的様式でA型インフルエンザ/Panama/2007/99(H3N2)感染を減少させる。
これらの研究を拡張するために、同一の粉末を第2のインフルエンザ株[A型インフルエンザ/Panama/2007/99(H3N2)]で試験した。実施例10Aと同様に、Calu−3細胞を50%のロイシン、カルシウム塩、および塩化ナトリウムからそれぞれ成る4つの異なる乾燥粉末製剤に曝露させた。ウイルス感染を、24時間以上、ウイルス複製の量を定量化することによって評価した。試験した特定の粉末を表19(下)に記載し、炭酸塩、乳酸塩、硫酸塩、およびクエン酸塩を含んだ。粉末を含有する4つのカルシウムのそれぞれのカルシウムの同等の量に細胞を曝露させるために、カプセルを、投与前に適切な充填重量まで充填した。製剤に曝露していない(空気に曝露した)細胞を対照細胞として使用した。
図10に見られるように、この株を使用して、各粉末において同様の効力が観察された。乳酸カルシウムは最も効果的であり、クエン酸カルシウムおよび硫酸カルシウムは中程度の効力を示し、炭酸カルシウム粉末は最小限の有効性しか無かった。これらのデータは、複数のインフルエンザ株に対するカルシウム:ナトリウムの乾燥粉末の広範な活性を支援する。
表19 供給原料製剤10−1〜10−4から調製され、細胞培養モデルにおけるA型インフルエンザ/Panama/99/2007(H3N2)感染へのそれらの効果を評価するために試験された乾燥粉末。同等の量のCa
+2を送達するために、各乾燥粉末製剤における所望の充填重量を計算した。放出用量を決定するために、Qualicapカプセルを、空の時、充填時、および曝露後に秤量した。3重ウェルを各カプセルに曝露させ、その後、ウェルを洗浄した。これらの試料のHPLC分析は、細胞に送達されるCa
+2の量を決定した。
図10に示されるように、この実施例から調製された乾燥粉末は、用量依存的様式でA型インフルエンザ/Panama/99/2007(H3N2)感染を減少させる。製剤(0μg Ca2+/cm2)に曝露しなかったCalu−3を対照として使用し、かつカルシウムの異なる充填重量ひいては異なる濃度で乾燥粉末製剤に曝露したCalu−3細胞と比較した。各々の実験において細胞に送達される各充填重量におけるカルシウムの濃度を、各々の条件に曝露した空プレートからの洗浄物中のカルシウムのHPLC測定を用いて判定した。投与の24時間後に各エアロゾル製剤に曝露した細胞によって放出されたウイルスの濃度を、TCID50アッセイで定量化した。各データ点は、各条件における3重ウェルの平均および標準偏差を表す。
実施例11生体内インフルエンザモデル
この実施例は、カルシウム塩および塩化ナトリウムから成る乾燥粉末製剤が、フェレットにおけるインフルエンザ感染の重症度を減少させたことを示す。試験した製剤を表20に示す。フェレットを、同一の曝露条件下で、100%のロイシンから成る粉末に曝露させた。生体外予備的生体外研究において、この対照粉末は、ウイルス複製に対して効果を有さなかった。カルシウム粉末および対照(製剤Iロット:26−190−F、製剤IIIロット:65−009−F、製剤IIロット:65−003−F、およびロイシンロット:65−017−F)をPalas回転ブラシ発生器1000固体粒子分散機(RBG,Palas GmbH,Karlsruhe,Germany)でエアロゾル化した。フェレット(1群につきn=8)を約0.2mgのCa/kgに曝露させ、感染の重症度を経時的に評価した。各製剤を鼻のみの曝露システムに、感染の1時間前、感染の4時間後、次いで1日2回4日間(1日目〜4日目)分散させた。研究を10日目に終了した。体温を研究の0日目から始めて、1日2回判定した。インフルエンザに感染したフェレットは、典型的には、感染の2日以内に体温の増加を示し、研究の過程にわたって体重を落とし、かつ無気力およびくしゃみ等の感染の臨床的兆候を示す。これらの変化は、鼻腔から噴出するインフルエンザウイルス力価の増加および鼻炎の増加と一致する。
研究開始の4日前に、フェレットの右後脇腹にマイクロチップを、冗長性のために肩にもう1つ、皮下に埋め込んだ。トランスポンダチップ(IPTT−300埋め込み型プログラム可能温度および同定トランスポンダ、Bio Medic Data Systems,Inc,Seaford,Delaware19973)は、BMDS電子近接読取りワンド(WRS−6007、Biomedic Data Systems Inc,Seaford,Delaware)を用いて、フェレットの同定を可能にし、かつ研究にわたって皮下体温データを提供する。研究開始の3日〜−1日前に測った皮下体温を基準温度として使用し、研究の経過にわたって各動物における基準からの変化を計算するために使用した。ロイシン(賦形剤)、乳酸カルシウム(製剤III)、および塩化ナトリウムから成る乾燥粉末製剤での処置は、体温増加に著しい影響を与えた(図10Cおよび10D)。この群における平均体温変化は、研究の経過の間、基準測定値または基準測定値未満に留まり、曲線下面積(AUC)測定値は、対照よりも約5倍低かった。試験した2つの他の粉末は、研究の特定の日の対照との差異に制限された、さほど顕著ではない効力を示した。とりわけ、クエン酸カルシウムおよび硫酸カルシウムの両方で治療された群は、研究の3日目に、対照動物よりも低い体温を有し(それぞれ、図11Aおよび11B)、硫酸カルシウム群は、研究の最終3日間にわたってより低い体温を有した。
実施例12
この実施例は、異なる賦形剤から成る乾燥粉末製剤がインフルエンザ感染を減少させるが、ロイシンから成る製剤よりも高い用量で減少させることを示す。
生体外効力への賦形剤の影響を評価するために、賦形剤の異なる2つの乾燥粉末製剤(表21)を試験し、インフルエンザ複製モデルを用いてそれらの効力を製剤III(ロイシンを含有する)と比較した。これらの製剤は、乳酸カルシウムおよび塩化ナトリウムの同一の濃度、ならびに同一の重量パーセントの賦形剤(10%)を含有した。
製剤に曝露されていないCalu−3細胞を対照として使用し、異なる賦形剤を有する乳酸カルシウムおよび塩化ナトリウムから成る乾燥粉末に曝露されたCalu−3細胞と比較した。マンニトールおよびマルトデキストリン粉末の3つの異なる充填重量を、10〜30μgのCa2+/cm2の用量を補うために使用した。各エアロゾル製剤に曝露した細胞によって放出されたウイルスの濃度を定量化した(図12)。各データ点は、各濃度における複製ウェルの平均および標準偏差を表す。データを一元配置ANOVAおよびチューキー多重比較事後試験によって統計的に分析した。各粉末の低用量に関するデータは、2つの独立した実験を代表する。
製剤を含有するマンニトールおよびマルトデキストリンの両方は、用量反応様式でインフルエンザ感染を減少させたが、しかしながら、それらは、粉末を含有するロイシンよりも著しく弱かった。14.8μgのCa2+/cm2の用量で、粉末を含有するロイシンは、インフルエンザ感染を2.9±0.2log10 TCID50/mL減少させた一方で、マンニトール粉末は、匹敵する用量(12.2μgのCa2+/cm2)で、感染を0.85±0.0log10 TCID50/mL減少させ、マルトデキストリン粉末(11.9μgのCa2+/cm2)は、複製に影響を与えなかった(図12)。さらに高い用量(27μg超のCa2+/cm2)で、マンニトール(1.9±0.50log10 TCID50/mL)およびマルトデキストリン(2.2±0.14log10 TCID50/mL)の最大減少は、ロイシン粉末の最大減少より小さかった。注目すべきは、100%のロイシンから成る粉末を用いた先の試験が、ウイルス複製における賦形剤単独の効果を見出さなかったことである。これらのデータは、賦形剤の本質が、製剤を含有するカルシウムの効力に影響を与えることができることを示唆する。
実施例13
この実施例は、インフルエンザ、パラインフルエンザ、またはライノウイルスに対するカルシウム塩、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、もしくはクエン酸カルシウム粉末を含む乾燥粉末製剤の効力を示す。
製剤I、製剤II、および製剤III粉末を、Mobile Minor噴霧乾燥機(Niro、GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)を利用して噴霧乾燥することによって産生した。全ての溶液は、10g/Lの固体濃度を有し、表22に記載される成分で調製した。ロイシンおよびカルシウム塩を脱イオン水中に溶解し、ロイシンおよびナトリウム塩を単独で、別々の容器内で保持された2つの溶液と脱イオン水中に溶解した。液体フィードの霧化を並流二流体ノズル(Niro、GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)を用いて実行した。液体フィードを、ギアポンプ(Cole−Parmer Instrument Company,Vernon Hills,IL)を用いて、二流体ノズルへの導入の直前に静的混合器(Charles Ross & Son Company,Hauppauge,NY)内に供給した。窒素を乾燥ガスとして、乾燥圧縮空気を二流体ノズルへの霧化ガスフィードとして使用した。70mL/分の液体供給原料速度で、処理ガスの入口温度は282℃であり、出口温度は98℃であった。二流体霧化器を供給するガスは、約14.5kg/時であった。乾燥チャンバ内の圧力は、−2インチWCであった。噴霧乾燥した産物をフィルタデバイスから容器に収集した。
A型インフルエンザ/Panama/2007/99、ヒトパラインフルエンザ3型(hPIV3)、またはライノウイルス(Rv16)感染の細胞培養モデルを、乾燥粉末製剤の効力を評価するために使用した。このモデルは、先に詳しく説明されており(実施例10を参照)、気道上皮細胞のインフルエンザ感染のモデルとして気液界面で成長するCalu−3細胞を利用する。Calu−3細胞を、乾燥粉末沈降チャンバを用いて乾燥粉末に曝露させた。各ウェルに送達されるカルシウムイオン(Ca2+)の量を、細胞培養プレート上の空ウェルから回収された乾燥粉末を用いて、HPLCで決定した。各研究において堆積したカルシウムの濃度をに表23示す。
曝露の1時間後、細胞を、0.1〜0.01の感染の多重度(1細胞当たり0.1〜0.01ビリオン)で、A型インフルエンザ/Panama/99/2007の10μLに、0.1〜0.01の感染の多重度(1細胞当たり0.1〜0.01ビリオン)で、ヒトパラインフルエンザ3型(hPIV3)に、または0.1〜0.01の感染の多重度(1細胞当たり0.1〜0.01ビリオン)で、ライノウイルス(Rv16)の10μLに感染させた。乾燥粉末処理の4時間後、過剰な製剤および未付着ウイルスを除去するために先端面を洗浄し、細胞を37℃かつ5%のCO2でさらに20時間培養した。翌日(感染の24時間後)、感染細胞の先端面上に放出されたウイルスを培養培地に収集し、先端洗浄物中のウイルスの濃度をTCID50(50%の組織培養感染量)アッセイで定量化した。TCID50アッセイは、どれだけの所与のウイルスが試料中に存在するかを定量化するために使用される標準終点希釈アッセイである。3つの粉末の各々について、Calu−3細胞を3つの異なるCa2+用量に曝露し、各ウイルスの複製を評価した。
インフルエンザ
インフルエンザモデルにおいて、3つ全ての粉末は、最高用量で試験する時に、同程度までウイルス力価を著しく減少させる。製剤I、製剤III、および製剤IIは、それぞれ、3.25、3.80、および3.95log10 TCID50/mLまでウイルス力価を減少させた(図13A)。最高用量で試験した時に、これらの粉末がインフルエンザに対して同様の活性を示した一方で、データは、低用量で、最も効果的な粉末が製剤II(ロイシン、乳酸カルシウム、および塩化ナトリウムから成る)であることを示唆することに留意するのが重要である。製剤IIは、低用量および中用量でウイルス力価を3.70および3.75log10 TCID50/mLに減少させた一方で、製剤Iおよび製剤IIIの低用量は、それぞれ、ウイルス力価を2.50および2.95log10 TCID50/mLに減少させ、かつ製剤Iおよび製剤IIIの中用量は、それぞれ、ウイルス力価を2.65および3.30log10 TCID50/mLに減少させた。
パラインフルエンザ
製剤I、製剤II、および製剤IIIを、パラインフルエンザに対して同様の用量範囲で試験した。製剤IIIで処理された細胞培養中のパラインフルエンザ力価は、インフルエンザ実験で使用した用量と同様のカルシウムの用量で、対照細胞(図13B)に相当し、硫酸カルシウムベースの製剤が、特定の病原体に対してのみ活性を示すことを示す。対照的に、製剤Iおよび製剤II処理は、パラインフルエンザ感染において用量依存的減少をもたらした。高用量で、製剤Iおよび製剤IIは、対照細胞と比較して、それぞれ、感染を2.70および4.10log10 TCID50/mL減少させた。同様に、製剤IIは、中用量で試験した時に、製剤Iよりも大きな効力を示したが、しかしながら、どの製剤も中用量で試験した時には感染を減少させなかった(図12B、表25)。集合的に、これらのデータは、カルシウムベースの乾燥粉末製剤は、パラインフルエンザの感染性を効率的に減少させることを示す。これらの効果は、ある特定のカルシウム塩に特定され、効果的な用量範囲は、インフルエンザにおいて観察された範囲とは著しく異なる。
ライノウイルス
インフルエンザおよびパラインフルエンザは、エンベロープウイルスである。カルシウム乾燥粉末製剤の広範なスペクトル活性を試験し、かつこれらの所見を非エンベロープウイルスに拡張するために、同一の粉末をライノウイルスに対して試験した。3つ全ての製剤は、ライノウイルスをある程度減少させ、製剤II粉末が最大の活性を示した(図13C)。製剤II処理は、最大用量で試験した時に、著しい2.80log10 TCID50/mLのウイルス減少をもたらした。この粉末の低用量および中用量は、対照細胞と比較して、それぞれ、力価を1.15および2.10log10 TCID50/mLに減少させた。製剤IIよりも小さい程度であったが、製剤Iおよび製剤III処理もライノウイルス感染を減少させた。最高用量で試験された時に、製剤Iは、感染を1.70log10 TCID50/mLに減少させ、製剤IIIは、感染を1.60log10 TCID50/mLに減少させた。併せて、これらの結果は、カルシウムベースの乾燥粉末製剤が、多様なウイルス感染に広範に適用され得ることを示す。
上のデータは、カルシウムの送達用量を増加させることで、乾燥粉末製剤が先に低用量で観察された活性よりも大きい活性を示すことを示唆する。試験した3つ全ての粉末でインフルエンザ感染を減少させたが、乳酸カルシウムベースの製剤(製剤II)は、硫酸カルシウム(製剤III)およびクエン酸カルシウム(製剤III)製剤よりも大きな効能を示した。さらに、3つ全てのウイルス株の全域で、製剤II処理がウイルス力価の最大の減少をもたらした。より高い用量で、製剤Iは、3つ全てのウイルス株のウイルス力価を効率的に減少させたが、効果は、インフルエンザおよびパラインフルエンザにおいてはるかに顕著であり、ウイルス株特異性に関連し得る機構の違いを示唆する。製剤III処理は、パラインフルエンザに対して活性であるが、インフルエンザおよびライノウイルスに対してより良好な活性を示し、特定のカルシウム対イオンが、製剤の最適な活性におけるいくつかの役割を有し得ることを示唆する。
実施例14.乳酸カルシウム、塩化ナトリウム、マルトデキストリン乾燥粉末
この実施例は、製剤XIV:10.0重量パーセントのマルトデキストリン、58.6重量パーセントの乳酸カルシウム、および31.4重量パーセントの塩化ナトリウムの供給原料を用いた乾燥粉末の調製を説明する
バッチ処理のために、超純水中でマルトデキストリン、次に乳酸カルシウム五水和物、最終的に塩化ナトリウムを溶解することによって、水相を調製した。物質が室温で水に完全に溶解されるまで、処理を通して溶液または懸濁液を撹拌し続けた。マルトデキストリンおよび乳酸カルシウム製剤において、供給原料の3つのバッチ(A、B、およびC)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。3つのバッチの各々における液体供給原料調製物の詳細が表24に示され、全固体濃度を、溶解された無水物質重量の総量として報告する。次に、溶液または懸濁液をBuchi噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させた。各製剤において、供給原料の3つのバッチ(A、B、およびC)を調製し、かつ噴霧乾燥させた。バッチA、B、およびC粒子を、以下の処理条件を除いて、実施例1で製剤I−BおよびI−Cの噴霧乾燥のために使用した条件と同様の処理条件で、Buchi Mini噴霧乾燥機上の対応する供給原料を用いて調製した。液体供給原料流速を、および製剤XIV−Aおよび製剤XIV−Bにおいて5.2mL/分、製剤XIV−Cにおいて5.6mL/分に設定した。出口温度は、製剤XIV−Aにおいて約90℃〜98℃、製剤XIV−Bにおいて約100℃、製剤XIV−Cにおいて約100℃〜106℃であった。
3つの別々のバッチ(製剤XIV−A、XIV−B、およびXIV−C)で得られた粒子の物理的特性のいくつかが表25に集約される。表25に提供されるデータに加えて、供給原料製剤XIV−Aによって調製された乾燥粒子についてのさらなるデータは、以下に集約される。重量分析を用いて破壊的2段階アンダーセンカスケード衝撃装置で測定された細粒分(FPF)は、平均して、5.6ミクロン未満のFPFでは71.3%、3.4ミクロン未満のFPFでは47.5%であった。体積サイズをHELOS/RODOS定寸装置上のレーザー回折で判定し、1バールの圧力での体積中位径(x50)の平均値は、1.40ミクロンであった。粉末は、1.04であった0.5バールで測定されたx50と4.0バールで測定されたx50との比率から見ることができるように、流速依存性質を示した。これらの粒子における1/4バールの値は1.00であり、粒子は極めて分散可能であったことを示す。
この実施例で調製された製剤XIV粉末および/または粒子の特性に関連する追加の情報を、図1A〜1Fに示される表またはグラフに提供する。
実施例15:分散性
この実施例は、様々な吸入手技で異なる乾燥粉末吸入器から送達される時に、かつ同様に分散される従来の微粒薬物産物と比較して、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはクエン酸カルシウム粉末を含む乾燥粉末製剤の分散性を示す。
患者の使用を代表する流速で、乾燥粉末吸入器上で吸入する時に、様々な粉末製剤の分散性を、カプセルから放出された粉末の幾何学的粒径および割合を測定することによって調査した。充填カプセルの粒径分布および重量変化を、2つの受動的乾燥粉末吸入器における流速、吸入体積、および充填重量の関数として、複数の粉末製剤において測定した。
粉末製剤を、分析用天秤(Mettler Tolerdo XS205)を用いて重量測定法で測定された充填重量で、サイズ3のHPMCカプセル(Capsugel V−Caps)内に手で充填した。25および35mgの充填重量を製剤I(ロット番号26−190−F)に、25、60、および75mgを製剤II(ロット番号69−191−1)に、25および40mgを製剤III(ロット番号65−009−F)に、10mgを噴霧乾燥したロイシン粉末(ロット番号65−017−F)に、25mgを微粒硫酸アルブテロール(Cirrusロット番号073−001−02−039A)に充填した。乾燥粉末吸入器抵抗の典型的な範囲にわたる0.020および0.036kPa1/2/LPMの特定の抵抗を有した2つのカプセルベースの受動的乾燥粉末吸入器(RS−01モデル7、低抵抗Plastiape S.p.AおよびRS−01モデル7、高抵抗Plastiape S.p.A.)を使用した。流速および吸入体積を、流量制御弁(TPK2000,Copley Scientific)を有するタイマー制御の電磁弁を用いて設定した。カプセルを適切な乾燥粉末吸入器内に設置し、穿刺し、吸入器をレーザー回折粒径測定器(スプレーテック,Malvern)の入口に対して密封した。TPK2000を用いてシステムを通して安定した気流速度を開始し、全吸入期間に対して少なくとも2秒以上、1kHzでスプレーテックを介して粒径分布を測定した。計算された粒径分布パラメータは、直径5マイクロメータ未満の粒子の体積中位径(Dv50)および幾何標準偏差(GSD)ならびに細粒分(FPF)を含んだ。吸入期間の終了時に、乾燥粉末吸入器を開き、カプセルを取り外し、カプセルから放出された粉末の質量を計算するために再秤量した。各々の試験条件において、5複製カプセルを測定し、Dv50、FPF、およびカプセルが放出した粉末質量(CEPM)を平均化した。
異なる抵抗の吸入器からの異なる流速および体積で粉末の分散を関連付けるために、吸入手技を実行するのに必要とされるエネルギーを計算し、粒径および用量放出データを吸入エネルギーに対してプロットした。吸入エネルギーをE=R2Q2Vとして計算し、Eはジュール単位での吸入エネルギー、RはkPa1/2/LPM単位での吸入器抵抗、QはL/分単位での安定流速、かつVはL単位での吸入空気体積である。
図14は、高抵抗および低抵抗RS−01乾燥粉末吸入器の両方を用いて、3つの異なるカプセルの充填重量で製剤II粉末のカプセルから放出された用量を示す。各々の充填重量において、安定した吸入は、2Lの全体積で、高抵抗吸入器(R=0.036kPa1/2/LPM)を通る60L/分の流速と同等であった9.2ジュールの最大エネルギー条件から、1Lの体積まで下がった減少した体積、15L/分まで下がった減少した流速、かつR=0.020kPa1/2/LPMまで下がった吸入器抵抗を有する低エネルギーの範囲であった。図14で見られるように、最高エネルギー条件で試験される時に、製剤IIの25、60、および75mgの3つ全ての充填重量の単回吸入で、カプセル内に充填された粉末の全質量をカプセルから出して空になる。25mgの充填重量において、全ての吸入条件に対して平均して充填重量の80%超が、0.16ジュールで空になる。60mgでは、カプセルの用量放出は、0.36ジュールで充填重量の80%未満に下がる。75mgのカプセルの充填重量では、カプセルの用量放出は、1.2ジュールで充填重量の80%未満に下がる。
また、1.8マイクロメータの平均粒径にジェットミルし、サイズ3のカプセル内に手充填し、高抵抗RS−01吸入器内で分散した微粒硫酸アルブテロール薬物製剤の25mgおよび40mgの2つの充填重量が、図14に示される。25および40mgの充填重量の両方に見られるように、9.2ジュールの吸入エネルギー(2Lに対して60L/分の安定した吸入)において、平均CEPMは、カプセルの充填重量の80%超(25mgの充填重量において93%、ならびに40mgの充填重量において84%)である。しかしながら、全ての測定されたより低いエネルギーにおいて、CEPMは、充填重量の両方において10mg未満(<30%のカプセルの充填重量)まで下がり、吸入エネルギーの減少を伴って単調に減少する。
図15は、体積中位径(Dv50)を特徴とし、かつ印加された吸入エネルギーに対してプロットされる吸入器から放出される製剤II粉末の粒径分布を示す。減少するエネルギー値で一貫したDv50の値は、追加のエネルギーが放出された粉末の追加の解砕をもたらさないため、粉末が十分に分散されることを示す。Dv50値は、全ての高エネルギー値で、75、60、および25mgの3つ全ての充填重量において一致しており、Dv50は、3つ全ての充填重量において0.51ジュールまで下がって2マイクロメータ未満のままである(図16)。60および75mgの充填重量で、0.5〜1.2ジュール範囲での吸入は、カプセルから粉末を完全に放出しなかった(図14)ことを考慮して、放出された粉末がDPIによってさらに完全に分散されたことが明らかである(図15)。この範囲では、Dv50は、大きさにおいて著しく増加せず、これは、放出する粉末が多くの集塊を含有し、かつ十分に分散されない場合に予想されるであろう。
また、1.8マイクロメータの平均粒径にジェットミルし、サイズ3のカプセル内に手充填し、高抵抗RS−01吸入器内で分散した微粒硫酸アルブテロール薬物製剤の25mgおよび40mgの充填重量が、赤色で図15に示される。25および40mgの充填重量の両方に見られるように、9.2ジュールの吸入エネルギー(2Lに対して60L/分の安定した吸入)で、平均Dv50は、両方の充填重量において2マイクロメータ未満(それぞれ、1.8および1.6μm)であり、良好な分散ならびに比較的少ない集塊を示す。しかしながら、全ての測定されたより低いエネルギーで、Dv50は、2マイクロメータ超(それぞれ、3.9および3.1μm)に増加し、減少する吸入エネルギーを伴って単調に増加し続け、初期の粒子の集塊および不良な分散を示す。
追加の粉末を全ての試験条件で試験し、平均CEPMおよびDv50を判定した(表26)。これらの結果は、完全に空にされ、約0.5ジュールまで下がった吸入エネルギーで解砕される粉末製剤の能力を示す。
実施例16:固体状態の粒子分析
A.X線粉末回折
製剤I、II、III、およびXIVを、高分解能X線粉末回折(XRPD)ならびに示差走査熱量測定を用いて、非晶質/結晶性含有量および多形形態において分析した。XRPDにおいて、各々のXRPDパターンで観察された任意の結晶相を特定するために、相同定を実行した。PANalytical X’Pert Pro回折計(Almelo,The Netherlands)を用いてXRPDパターンを収集した。Optix長焦点微小焦点線源を使用して産生されたCu放射を用いて標本を分析した。標本を通して検出器上の供給源のCu KαX線の焦点を合わせるために、楕円形に勾配した多層膜鏡を使用した。標本を3ミクロン厚のフィルムの間に挟み、透過幾何学で分析し、かつ標定統計を最適化するために回転させた。光線停止を、空気散乱によって生み出されるバックグラウンドを最小化するために、いくつかの場合においてヘリウムパージとともに使用した。突発事象のためにSollerスリットを使用し、軸分岐を最小化するために光線を回折した。回折パターンを、標本から240mmの位置に設置された走査位置感度検出器(X’Celerator)を用いて収集した。各回折パターンのデータ収集パラメータが、付録Cの各パターンの画像の上に示される。分析の前に、シリコン111ピークの位置を検証するために、シリコン標本(NIST標準参照物質640c)を分析した。可能性のある結晶成分(無水および水和形態を含む)において計算されたパターンを、ケンブリッジ結晶構造データベースまたは国際回析データセンター(ICDD)データベースのいずれかから生成し、かつ実験的パターンと比較した。結晶成分を質的に判定した。上昇した湿度への短期間の曝露時に、該粉末の再結晶化における傾向を評価するために、XRPDを、Dynamic Vapor Sorptionシステム内で3〜4時間、75%のRHで調整された粉末で実行した。
TA器具示差走査熱量計Q2000(New Castle,DE)を用いて、示差走査熱量測定(DSC)を実行した。試料をアルミニウムのDSC皿の中に置き、重量を正確に記録した。データ収集および処理パラメータを各サーモグラム上に表示した。インジウム金属をキャリブレーション標準として使用した。転移の変曲点または転移の半値幅からガラス転移温度(Tg)を報告する。粉末の全体の熱挙動を評価するために、初めに標準モードDSC実験を関心の粉末で行った。標準DSCサーモグラムで特定された関心の温度領域上のこれらの粉末で起こるガラス転移の発生を特定しようと試みるために、循環モードDSC実験も実行した。
驚いたことに、乾燥した状態でのそれらの分散性および安定性ならびに水和状態でのそれらの溶解および吸水特性に対して、最適化特性を有した非晶質および結晶含有量の混合物を有した高カルシウムおよびナトリウム塩含有量粉末が産生された。図16および17に示されるように、結晶塩化ナトリウムと不十分に結晶性または非晶質のクエン酸カルシウムと潜在的に塩化カルシウムに富んだ相の組み合わせで構成されるように(この粉末における任意のカルシウム塩形態の任意の特性ピークの観察の欠如、ならびにロイシンの任意の特性ピークの不在によって証明されるような)、製剤I粉末をXRPDを介して観察した。図18に示されるように、約167℃のガラス転移温度を非晶質カルシウムに富んだ相に関して循環DSCを介して観察し、この非晶相が標準の条件(25℃、30%のRH)で結晶変換に対して比較的安定であるべきであることを示す。乾燥した状態におけるこの粉末の結晶塩化ナトリウムの存在は、該粉末の分散性および安定性を高め得る。製剤I粉末における不十分に結晶または非晶質形態のカルシウム塩の存在は、肺内の製剤I製剤の迅速な水摂取および溶解特性を促進し得る(すなわち、結晶塩化ナトリウムは容易に溶解でき、クエン酸カルシウムは溶解しにくい)。
同様の結果が粉末製剤IIおよび製剤XIVで見られた。図19および20に示されるように、結晶塩化ナトリウムと不十分に結晶性または非晶質の乳酸カルシウムと潜在的に塩化カルシウムに富んだ相の組み合わせで構成されるように(この粉末における任意のカルシウム塩形態の任意の特性ピークの観察の欠如、ならびにロイシンの任意の特性ピークの不在によって証明されるような)、製剤II粉末をXRPDを介して観察した。図21に示されるように、約144℃のガラス転移温度を非晶質カルシウムに富んだ相に関して循環DSCを介して観察し、この非晶相が標準の条件(25℃、30%のRH)で結晶変換に対して比較的安定であるべきであることを示す。ほぼ同一の結果が、XRPDデータならびに約134℃のガラス転移温度を示す図24に関して、10%のマルトデキストリン対10%のロイシン(図22および23を参照)を含有した製剤XIV粉末に見られる。
対照的に、製剤III製剤は、結晶塩化ナトリウムに加えて、結晶性カルシウム塩含有量(硫酸カルシウム)のある程度の存在を示した(図25Aおよび25Bを参照)。しかしながら、この粉末は、DSCを介する約159℃のガラス転移温度の存在によって証明されるように、著しい程度の非晶質かつカルシウムに富んだ相の含有量を引き続き有した(図26を参照)。
B.表面ラマンマッピング
これらの製剤を含む粒子の表面における化学組成物の性質を判定するために、製剤I〜IIIおよびXIVの試料で表面マッピングラマン実験を行った。ラマンマップスペクトルを、Leica DM LM顕微鏡(Wetzlar,Germany)を装備したRenishaw inVia Ramascope(Gloucestershire,UK)上で取得した。器具をシリコンウエハ標準を用いて較正した。試料を、分析のためにアルミニウム被覆の顕微鏡スライド上で調製した。高出力近赤外ダイオードレーザ源を用いて、励起波長は785nmであった。製剤I、製剤III、および製剤XIVに関するデータ収集は、30秒の曝露時間および10回の蓄積を伴う静的スキャンであった。製剤IIに関するデータ収集は、60秒の曝露時間および1回の蓄積を伴う拡大スキャンであった。画像収集のために、50倍の対物レンズを有するPhilips ToUcam Pro IIカメラ(モデルPCVC 840K)(Amsterdam,the Netherlands)を使用した。Renishaw WiRE 3.1(service pack 9)ソフトウェア(Gloucestershire,.UK)をデータ収集および処理のために使用した。
ラマンスペクトルを製剤I試料からの6個の粒子のために取得し、図27Aで重なって示される。スペクトルファイル389575−1および389575−6は、約1450、965、および850cm−1での弱いピークの存在を特徴とする。これらのピークは、スペクトルファイル389575−6において唯一の非常に弱い特長として識別可能であり、かつ残りのスペクトルデータファイルに検出されない。図27Bでは、スペクトル389575−6は、バックグラウンド減算され、かつクエン酸カルシウム四水和物、クエン酸ナトリウム、およびロイシンのラマンスペクトルと重なる。試料スペクトルは、約1450および850cm−1でピークを示し、ロイシンならびにクエン酸塩の両方に共通している。試料スペクトルは、約965cm−1で追加のピークを示し、クエン酸塩(すなわち、クエン酸カルシウム四水和物およびクエン酸ナトリウム)のスペクトルにおける比較的強い強度ピークと一致する。1340cm−1での特性ロイシンピークは、試料スペクトルでは観察されない。
ラマンスペクトルを製剤III試料からの8個の粒子のために取得し、図27Cで重なって示される。全ての粒子スペクトルは、約1060cm−1でピークの存在を特徴とする。約670cm−1での追加のピークは、スペクトルファイル388369−4で観察される。670cm−1のピークもスペクトルデータファイル388369−1、3、および8で、バックグラウンド減算後に観察可能である(図示せず)。図27Dでは、スペクトル388369−4は、バックグラウンド減算され、かつ硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、無水硫酸ナトリウム、およびロイシンのラマンスペクトルと重なる。バックグラウンド減算された試料スペクトルは、520cm−1付近の可能性のある第3のピークを示す。1060および670cm−1でのピークは、示された硫酸イオンの特性ピークと同様の位置で存在するが、正確には重ならない。試料スペクトルにおける1060および670cm−1でのピークの周波数は、それぞれ、硫酸イオン官能基の伸縮および曲げモードと一致する。ロイシンに割当可能なピークは、粒子スペクトルで検出されない。
ラマンスペクトルを製剤II試料からの12個の粒子のために取得し、図27Eで重なって示される。全ての粒子スペクトルは、約1045および860cm−1でピークの存在を特徴とする。追加のピークを、約1450、1435、1125、1095、930、および775cm−1での様々なスペクトルで観察することができ、概して、1045cm−1での強いピークを有する比較的強度と相関する。図27Fでは、スペクトル389576−7および389576−12は、バックグラウンド減算され、乳酸カルシウム五水和物ならびにロイシンのラマンスペクトルと重なる。試料スペクトルと乳酸カルシウム五水和物スペクトルとの間で、良好な一致が観察された。しかしながら、試料スペクトルは、乳酸カルシウム五水和物のスペクトルにおいて不在である、約1345、1170、960、830、および760cm−1での追加の弱いピークを示す。わずかに異なる相対強度および周波数を有するが、同様のピークがロイシンの基準スペクトルで存在する。
ラマンスペクトルを製剤XIV試料からの12個の粒子のために取得し、図27Gで重なって示される。全ての粒子スペクトルは、約1045cm−1でピークの存在を特徴とする。ファイル389577−2以外の全ての粒子スペクトルはまた、約860cm−1でピークを示した。追加のピークを、約1450、1435、1125、1095、930、および775cm−1での様々なスペクトルで観察することができ、概して、1045cm−1での強いピークを有する比較的強度と相関する。図27Hでは、スペクトル389577−9は、バックグラウンド減算され、乳酸カルシウム五水和物のラマンスペクトルと重なる。試料スペクトルと乳酸カルシウム五水和物スペクトルとの間で、良好な一致が観察された。マルトデキストリンに割当可能なピーク(図示せず)は、試料スペクトルで検出されない。
したがって、ラマン表面マッピング分析は、製剤I〜XIVのそれぞれの表面組成物が、様々なカルシウム塩(製剤Iにおいてはクエン酸カルシウム、製剤IIIにおいては硫酸カルシウム、ならびに製剤IIおよびXIVにおいては乳酸カルシウム)の存在によって独占されることを示す。製剤I〜IIIの場合において、これは、該粉末を含む粒子の表面で濃縮することによるエアロゾル化のために、粉末の分散性を増加させる分散強化剤として報告されているロイシンの使用とは対照的である。本明細書に開示される製剤において、表面含有量ならびに分散性に関して製剤II(ロイシン含有乳酸カルシウム製剤)およびXIV(マルトデキストリン含有乳酸カルシウム製剤)に見られる同様の結果でも証明されるように、ロイシンがこの方法で分散性エンハンサとしての機能を果たしているようには見られない。
実施例17:過飽和クエン酸カルシウムおよび硫酸カルシウムを噴霧乾燥させるためのイオン交換反応
含水硫酸カルシウムまたはクエン酸カルシウムの飽和もしくは過飽和原料を、出発物質として塩化カルシウムおよび硫酸ナトリウムまたは塩化カルシウムもしくはクエン酸カルシウムを使用して、噴霧乾燥させるために調製した。5〜30g/Lの範囲の全固体濃度を、(i)両方の塩を水に予混合すること、および(ii)噴霧乾燥の直前にインライン静的混合して別々の水溶液に保存することの両方によって調製した。調製された液体供給原料の全ては、飽和または過飽和硫酸カルシウム量(水中の硫酸カルシウムの溶解限度は2.98g/Lである)および飽和または過飽和クエン酸カルシウム量(水中のクエン酸カルシウムの溶解限度は0.96g/Lである)を含有した。塩化カルシウムおよび硫酸ナトリウム沈殿反応が完了(CaCl2+Na2SO4→CaSO4+2 NaCl)へ進むことを考慮して、硫酸カルシウムの対応する最終濃度が、表24に記載される。塩化カルシウムおよびクエン酸ナトリウム沈殿反応(3 CaCl2+2 Na3C6H5O7→Ca3(C6H5O7)2+6 NaCl)における同様の結果も表28に示される。
44重量パーセントの塩化カルシウムおよび56重量パーセントの硫酸ナトリウムの製剤を、Mobile Minor噴霧乾燥機(Niro、GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)を利用して噴霧乾燥することによって産生した。液体供給原料を5〜30g/Lの範囲の固体濃度で調製した。予混合されたフィードのために、磁気撹拌プレート上で一定に撹拌しながら、ナトリウム塩、次にカルシウム塩をDI水に溶解した。静的混合されたフィードのために、カルシウム塩をDI水に溶解し、ナトリウム塩を単独で、別々の容器内で保持された2つの溶液とDI水に一定に撹拌しながら溶解した。液体フィードの霧化を並流二流体ノズル(Niro、GEA Process Engineering Inc.,Columbia,MD)を用いて実行した。液体フィードを、ギアポンプ(Cole−Parmer Instrument Company,Vernon Hills,IL)を用いて、予混合フィード用の二流体ノズルに直接、または予混合フィード用の二流体ノズルへの導入の直前に静的混合器(Charles Ross & Son Company,Hauppauge,NY)に、のいずれかで供給した。窒素を乾燥ガスとして、乾燥圧縮空気を二流体ノズルへの霧化ガスフィードとして使用した。50〜70mL/分の液体供給原料速度で、処理ガスの入口温度は240〜250℃であり、出口温度は94〜988℃であった。二流体霧化器を供給するガスは、約11kg/時であった。乾燥チャンバ内の圧力は、−2インチWCであった。噴霧乾燥した産物をサイクロンから収集し、RODOS付属品を有するHELOSを用いてレーザー回折によって体積粒径を、かつ破壊的2段階ACIを用いてエアロゾル特性を分析した。
予混合フィードを溶液安定性および透明度に関して評価した。5g/Lの全固体濃度で、最終硫酸カルシウム濃度が硫酸カルシウムの溶解限度をわずかに超えた場合に、溶液は、30分間の混合および噴霧乾燥の間、透明のままであった。全固体濃度が増加し、かつ最終硫酸カルシウム濃度が溶解限度をはるかに超えた時に、供給原料は濁り、沈殿は明らかであった。10g/Lで液体はわずかに濁り、20g/Lで液体は10分にわたって次第に濁ってくる前の約5〜10分間透明であり、30g/Lで液体は混合後約2分間透明であり、可視的な沈殿が約5分後に現れた。
予混合および静的混合液体供給原料を噴霧乾燥させ、得られた乾燥粉末をサイクロンから収集した。RODOSを有するHELOSからの結果は、図29に示される代表的な粒径分布を伴って図28に示される。供給原料の固体濃度の増加を伴っての粒径の増加(静的混合フィードで見られるような)が予想されるが、予混合フィードにおける著しい粒径増加および広範な粒径分布は望ましくない。
破壊的ACIを用いた乾燥粉末のエアロゾル特徴付けの結果が、図30に示される。
継続した沈殿を伴う不安定な溶液は、噴霧乾燥中に再生可能な粒子形成に悪影響を及ぼし得、また、広範な粒径分布をもたらし得る。より高い固体濃度で2〜10分間明らかである過飽和した透明な溶液は、溶液が、再生可能な方法で狭い粒径分布を生成しながら、より高い噴霧乾燥処理能力を達成するために静的混合され得ることを示唆する。
10.0重量パーセントのロイシン、35.1重量パーセントの塩化カルシウム、および54.9重量パーセントのクエン酸ナトリウム(製剤I−A)を含む製剤に関して実施例1に示されるように、同様の結果が、クエン酸カルシウムにおいて例証された。沈殿反応は、10.0重量パーセントのロイシン、52.8重量パーセントのクエン酸カルシウム、および37.2重量パーセントの塩化ナトリウムを含む製剤をもたらす。10g/Lの全固体濃度で、最終クエン酸カルシウム濃度は5.3g/Lであり、0.96g/Lの水中のクエン酸カルシウム溶解限度を超えた。噴霧乾燥した粉末の特性から見られるように(図1A〜1Eおよび2〜4)、この過飽和溶液は、狭い大きさ分布を有する吸入に適する粒子をもたらした。
実施例18
小さい分散可能な粒子を、ロイシンを含むカルシウム含有製剤および含まないカルシウム含有製剤、ならびにマグネシウム含有製剤およびナトリウムのみの製剤から作製する。
以下の粉末を、30mm空気の空気供給速度、90%の速度の吸引器、および小さいガラス収集容器を有する高性能サイクロンを用いて、BuchiB−290上で噴霧乾燥させた。入口温度は220℃であり、出口温度は96〜102℃であった。固体濃度は5g/Lであり、それらが記載される順に次の成分を添加する前に、1回に1つの成分を完全に溶解して全て脱イオン水中に混合した。
18−1) 10.0%のラクトース、30.6%の塩化マグネシウム、59.4%のクエン酸ナトリウム、カルシウム:ナトリウムの比率=1:2
18−2) 63.4%の乳酸マグネシウム、36.6%の塩化ナトリウム、カルシウム:ナトリウムの比率=1:2
18−3) 10.0%のロイシン、58.4%の乳酸マグネシウム、31.6%の塩化ナトリウム、カルシウム:ナトリウムの比率=1:2
18−4) 50.0%のロイシン、50%の乳酸カルシウム
18−5) 10%のロイシン、90%の塩化ナトリウム
18−6) 60%のロイシン、40%の塩化ナトリウム
18−7) 10.0%のアルブテロール、58.6%の乳酸カルシウム、31.4%の塩化ナトリウム
18−8) 90.0%のアルブテロール、5.9%の乳酸カルシウム、3.1%の塩化ナトリウム
これらの粉末に関する特徴付けの結果が下の表29に示される。8つ全ての粉末が、x50 0.5/4および1/4比率に対して良好な分散性を示した。FPFの<5.6ミクロンは、最低18.7%〜75.6%に及んだ。
いくつかの追加の無カルシウムの例示的な製剤を、上に記載の手順と同様の手順に従って、様々な噴霧乾燥機システム(Buchi、Labplant、およびNiroベースのシステム)を利用して産生した。得られた粉末に関する選択された特徴付けの結果が表30に示される(空試験値の細胞は、その粉末において値が測定されなかったことを示す)。
さらに、賦形剤なしの組成物か、またはロイシンを含まない賦形剤を含有する組成物のいずれかのいくつかの追加の例も、上に記載の手順と同様の手順に従って、様々な噴霧乾燥機システム(Buchi、Labplant、およびNiroベースのシステム)を利用して産生した。得られた粉末に関する選択された特徴付けの結果が表31に示される(空試験値の細胞は、その粉末において値が測定されなかったことを示す)。
表32は、上に記載の手順と同様の手順で、BuchiまたはNiro噴霧乾燥システムを用いて作製された、追加のロイシンおよびカルシウムを含有する小さい分散可能な粉末組成物に関する特徴付けデータを含有する(空試験値の細胞は、その粉末において値が測定されなかったことを示す)。
実施例19
純粋な塩化カルシウムを、Labplant噴霧乾燥システム内で180℃の入口温度にて噴霧乾燥させた。液体フィードは、D.I.水中の塩化カルシウム二水和物の20g/Lの固体濃度から成った。塩化カルシウムが潮解する時に水は収集容器内で凝縮し、粉末を収集することができなかった。排出乾燥ガス中の高い含水量を有する水溶液からの純粋な塩化カルシウムは、噴霧乾燥には吸湿性が高すぎると見なされた。次に、排出ガス中の湿度を低下させるために、固体濃度を20g/L、入口温度を200℃、出口温度を69℃に保って、液体フィードを70%のエタノールに変えた。水は収集容器内でさらに凝縮し、粉末は湿ったように見えた。塩化カルシウムは、最終粉末内の塩化カルシウム含有量を減少させるために他の塩または賦形剤と混合することなしでは、噴霧乾燥させるには吸湿性が高すぎると結論付けられた。
純粋な塩化マグネシウムを、Labplantシステム内で195℃の入口温度および68℃の出口温度にて噴霧乾燥させた。液体フィードは、D.I.水中の塩化マグネシウム六水和物の20g/Lの固体濃度から成った。収集容器内の乾燥粉末は湿ったように見え、HELOS/RODOSシステムで測定された平均粒径は、21ミクロンであった。次に、液体フィードを排出乾燥ガス中の湿度を低下させるために、固体濃度を50g/L、入口温度を200℃、出口温度を74℃に保って、液体フィードを70%のエタノールに変えた。この塩化マグネシウム粉末は、湿ったようには見えず、4ミクロンの平均体積粒径を有したが、粉末は粒状のようであり、19%の5.6ミクロン未満細粒分を有し、粉末は、十分に呼吸可能ではなかったことを示す。
実施例20:大きい多孔性粒子
実施例21:安定性
乾燥粉末を、30℃および相対湿度75%と定義される、極端な温度および湿度条件(ICH,Climatic Zone XIV)下で、使用中の安定性のために試験した。約25mgの製剤I、製剤II、および製剤IIIをカプセル内に充填した。カプセルを開けたままにし、次に定義される条件で15〜30分間安定チャンバ内に設置した。カプセルを適切な時点で取り除き、閉鎖し、破壊的2−段階ACIを用いてaPSDに関して、かつMalvernスプレーテックを用いてgPSDに関して試験した。両試験を2秒間60LPMで行った。各時点をn=2で繰り返した。結果を室温および相対湿度25〜30%での粉末からのaPSD/gPSDデータと比較した。
全ての製剤(製剤I、製剤II、および製剤III)は、極端な温度および湿度条件(30℃、相対湿度75%)への30分間の曝露後に、標準の条件(22℃、相対湿度25〜30%)における5.6ミクロン未満の総用量の細粒分(FPFTD)から+/−5%未満の変化を示した。gPSDに関して、製剤Iが30分後に約30%の増加を示した一方で、製剤IIIは、ほとんど安定したままであり、製剤IIは、30分後にDv50を約15%減少させた。
30分間の30℃、相対湿度75%への曝露時に、3つの製剤のエアロゾル特性における著しい変化が見られたが、幾何学的粒径における変化は、より明らかであった(図31Aおよび31B)。製剤I(クエン酸カルシウム)の粒径が約30%増加した一方で、製剤II(乳酸カルシウム)の粒径は、約15%減少した。製剤III(硫酸カルシウム)の粒径は減少したが、著しくはなかった。
試験した追加の製剤は、塩化カルシウム粉末(38.4%のロイシン、30.0%の塩化カルシウム、31.6%の塩化ナトリウム)および製剤II製剤(10.0%の賦形剤、58.6%の乳酸カルシウム、31.4%の塩化ナトリウム)に調和する異なる賦形剤(ラクトース、マンニトール、マルトデキストリン)を用いた3つの乳酸カルシウム粉末であった。
極端な温度および湿度条件(30℃、相対湿度75%)への30分間の曝露後に、マルトデキストリン(製剤XIV)ならびにマンニトール製剤は、標準の条件(22℃、相対湿度25〜30%)における5.6ミクロン未満の総用量の細粒分から+/−10%未満の変化の全体の変化を示した。塩化カルシウム粉末およびラクトース製剤は、それぞれ、5.6ミクロン未満の総用量の細粒分において、50%超の減少および約20%の増加の影響を受けたように見える。(図31C)gPSDにおいて、結果は正反対であり、塩化カルシウム粉末およびラクトース製剤は、30分後にDv50における+/−10%未満の変化の全体の変化を示した一方で、マンニトール製剤は、試験の間、Dv50を30%〜60%増加させた。(図32D)Dv50における変化に関して、マルトデキストリン製剤を試験しなかった。
実施例22:室温および相対湿度30%〜40%での短期間安定性
噴霧乾燥した粉末を室温、約30%〜40%の相対湿度で1週間保存し、粒径分布に関して定期的に試験した。サイズ3のHPMCカプセル(Quali−V,Qualicaps,Whitsett,NC)を各々の乾燥粉末で半分充填した。1つの試料を、乾燥粉末が吸入器セル設定を用いて吸入器から分散することができるスプレーテック(Malvern Instruments Inc.,Westborough,MA)、レーザー回折噴霧粒子定寸システムで即座に試験した。約16個のカプセルを各粉末で充填した。カプセルの半分を、制御された湿度および温度条件(約23〜28%の相対湿度)で研究室内に保存し、一方、他の半分を異なる温度および相対湿度(約38〜40%の相対湿度)で研究室外に保存した。特定の時点(t=1時間、2時間、4時間、24時間、48時間、1週間)で、環境制御された部屋からの1個のカプセルおよび研究室外からの1個のカプセルを体積粒径分布のためにスプレーテックで試験した。
50%のロイシンならびに示される塩化カルシウムおよびナトリウム塩の組み合わせを含有する製剤の選択に関する結果が図32および図33に示される。塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含有する製剤は、より高い湿度条件への曝露後に著しい集塊を示した。酢酸製剤は、初期の時点で不定の結果を有した。硫酸、クエン酸、および炭酸製剤は、試験期間にわたって良好な相対安定性を示した。
室温および相対湿度40%で保持された時、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含有する乾燥粉末製剤は、曝露の1時間後安定せず、一方で、酢酸製剤も粒径において不定の結果を示した。硫酸および乳酸粉末がわずかに大きさを増大させた一方で、炭酸およびクエン酸粉末は、わずかに大きさを減少させた。塩化物のみを含有する製剤および酢酸を含有する製剤は、さらなる研究において適切に安定しているようであった。
実施例21:室温および相対湿度30%〜40%での短期間安定性
噴霧乾燥した粉末を室温、約30%〜40%の相対湿度で1週間保存し、粒径分布に関して定期的に試験した。サイズ3のHPMCカプセル(Quali−V,Qualicaps,Whitsett,NC)を各々の乾燥粉末で半分充填した。1つの試料を、乾燥粉末が吸入器セル設定を用いて吸入器から分散することができるスプレーテック(Malvern Instruments Inc.,Westborough,MA)、レーザー回折噴霧粒子定寸システムで即座に試験した。約16個のカプセルを各粉末で充填した。カプセルの半分を、制御された湿度および温度条件(約23〜28%の相対湿度)で研究室内に保存し、一方、他の半分を異なる温度および相対湿度(約38〜40%の相対湿度)で研究室外に保存した。特定の時点(t=1時間、2時間、4時間、24時間、48時間、1週間)で、環境制御された部屋からの1個のカプセルおよび研究室外からの1個のカプセルを体積粒径分布のためにスプレーテックで試験した。
50%のロイシンならびに示される塩化カルシウムおよびナトリウム塩の組み合わせを含有する製剤の選択に関する結果が図32および図33に示される(塩化物は除去された)。塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含有する製剤は、より高い湿度条件への曝露後に著しい集塊を示した。酢酸製剤は、初期の時点で不定の結果を有した。硫酸、クエン酸、および炭酸製剤は、試験期間にわたって相対安定性を示した。
室温および相対湿度40%で保持された時、塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを含有する乾燥粉末製剤は、曝露の1時間後安定せず、一方で、酢酸製剤も粒径において不定の結果を示した。硫酸および乳酸製剤がわずかに大きさを増大させた一方で、炭酸およびクエン酸製剤は、わずかに大きさを減少させた。塩化物のみを含有する製剤および酢酸を含有する製剤は、さらなる研究において適切に安定しているようであった。
実施例22乾燥粉末流動特性
粉末流動性の特徴付けのために、製剤I、II、III、およびXIV粉末の流動性も、当分野の従来の方法を用いて評価した。各粉末の流動性指数をFlodex粉末流動性試験器具(Hanson Research Corp.,モデル21−101−000)を用いて判定した。任意の所与の実行のために、シリンダ内のトラップドア穴の中心に向けられたステンレス漏斗を用いて全ての試料を装填した。シリンダ内の粉末の列を妨害しないように注意を払った。羊斑の電位形成を約30秒間待った後に、装置にできるだけ小さい振動を引き起こしながら、トラップドアを解放した。粉末がトラップドアを通って落ち、その結果、上からシリンダを通して見下ろせるように穴が可視的であり、かつシリンダ内の残渣が逆円錐型を形成した場合に、試験は合格と見なされ、穴が可視的ではないか、または粉末が円錐型の残渣を残すことなく穴を通って真直に落ちた場合には、試験は失敗であった。粉末が通過するであろう最小の大きさの穴を見出すために、十分な流動ディスクを試験し、肯定的な試験をもたらした。3回の試み中、3回の肯定的な試験を得るために、最小の流動ディスクをさらに2回試験した。流動性指数(FI)をこの最小穴径として報告する。
SOTAXタップ密度テスタモデルTD2を用いて、バルクおよびタップ密度を判定した。任意の所与の実行のために、全ての試料をステンレス漏斗を用いて100−mLの風袋メスシリンダに導入した。粉末質量および初期体積(V0)を記録し、シリンダをアンビルに取り付け、USP I方法に従って稼動させた。第1の通過のために、シリンダをタップカウント1(500タップ)を用いてタップし、得られた体積Vaを記録した。第2の通過のために、タップカウント2を用いて(750タップ)タップし、新しく体積Vb1をもたらした。Vb1が98%超のVaになった場合に試験は完了し、さもなければ、Vbnが98%超のVbn−1になるまで、タップカウント3を反復的に用いた(1250タップ)。粉末バルク密度(dB)、タップ密度(dT)、ハウスナー比(H)、および圧縮性指数(C)を判定するために計算し、それらの後者2つは、粉末流動性の標準測定値である。「H」は、バルク密度で割ったタップ密度であり、「C」は100×(1−(タップ密度で割ったバルク密度))である。粉末の体積を判定するために、骨格密度測定を、ヘリウムガス置換技術を用いたAccupyc II 1340を用いて、Micromeritics Analytical Servicesで実行した。器具は、バルク粉末中の格子間空隙およびガスがアクセスした個々の粒子中の任意の開放気孔率を除いて、各試料の体積を測定した。内部(閉鎖)気孔率は、引き続き体積内に含まれた。密度を、この測定された堆積および天秤を用いて決定された試料重量を用いて計算した。各試料において、体積を10回測定し、骨格密度(dS)を10回の密度計算の平均として標準偏差とともに報告した。
これらの密度および流動性試験の結果が表34および35に示される。試験された粉末の4つ全てが、非常に低い流動特性を有する粉末の特性であるとして当分野で説明されるハウスナー比ならびに圧縮性指数を有した(例えば、USP<1174>を参照)。したがって、これらの粉末が極めて分散可能であり、かつ本明細書に記載される良好なエアロゾル化特性を有することは驚きである。
先に言及したUSP<1174>は、1.35より大きいハウスナー比を有する乾燥粉末が流動の悪い粉末であることに留意する。流動特性および分散性は、両方ともに粒子集塊または凝集の悪影響を受ける。したがって、1.75〜2.31のハウスナー比を有する粉末が極めて分散可能であろうことは予想外である。
実施例23:含水量および吸湿性
製剤I、II、III、およびXIV粉末の含水量を、熱重量分析(TGA)およびカールフィッシャー分析の両方を介して決定した。TA器具Q5000 IR熱重量測定分析器(New Castle,DE)を用いて、熱重量分析(TGA)を実行した。試料を、アルミニウム試料皿内に置き、TG炉内に挿入した。データ収集および処理パラメータを各サーモグラム上に表示した。Nickel and Alumel(商標)をキャリブレーション標準として使用した。TGAのために、含水量を、150℃の温度に加熱した時に、試料の質量の損失から決定した(TGAのために、用いた噴霧乾燥溶媒は100%の水であり、水のみがこれらの粉末中の揮発性成分として存在すると想定された)。粉末製剤Iの代表的なTGAサーモグラムが図34に示される。水判定のために、Mettler Toledo DL39 KF滴定装置(Greifensee,Switzerland)を用いてカールフィッシャー(KF)電量分析を実行した。試料をHydranal-Coulomat ADを含有するKF滴定容器内に置き、溶解を確保するために10秒間混合した。次に、電気化学的酸化によってヨウ素を生成する発生電極の手段で試料を滴定した。2 I−=>I2+2e。概して、再現性を確保するために、1つの距離測定走行および2つの反復を得た。これらの方法を用いた粉末含水量に関する要約データが表36に示される。
製剤I、II、III、およびXIV粉末対未加工塩化カルシウム二水和物、ならびに38.4%のロイシン、30%のCaCl2、および31.6%の塩化ナトリウムを含有する製剤を噴霧乾燥して作製される1:2の塩化カルシウム:塩化ナトリウム対照粉末の吸湿性および水摂取の可能性を比較するために、動的蒸気収着(DVS)ステップモード実験を行った(30重量%が、噴霧乾燥の直後に収集媒体中で潮解を経験することなく、うまく噴霧乾燥粉末内に取り込まれることができた塩化カルシウムの最高の装填レベルであったと判断された)。DVS操作条件に関して、粉末を、相対湿度0%で最初に均衡化し、次に、相対湿度30%に1時間曝露させ、続いて、相対湿度75%に4時間曝露させた。各々の粉末における水摂取の質量%が表37に示される。表37に見られるように、未加工塩化カルシウム二水和物および対照粉末の両方ともに非常に吸湿性であり、相対湿度30%への1時間の曝露時に約14〜15%の水を取り込み、相対湿度75%への曝露後に、100%をはるかに超えるそれらの水の質量を取り込んだ。対照的に、製剤I、II、III、およびXIV粉末は、相対湿度30%への1時間の曝露時に2.5%未満の水を摂取し、相対湿度75%への4時間の曝露時に14%〜33%の水を取り込んだ。
実施例24:溶解熱
(i)30%の塩化カルシウム、31.6%の塩化ナトリウム、および38.4%のロイシンから成る対照粉末、(ii)未加工塩化カルシウム二水和物、ならびに(iii)未加工ロイシンと比較して、HBSS緩衝剤中での製剤I〜IIIの試料の溶解時に、溶解熱を得た。表38に示されるように、カルシウム含有試料に関して、同等のカルシウムイオンのモルを含有する製剤I(PUR111)、II(PUR113)、およびIII(PUR112)粉末の質量を試験した。結果は図35に示される。図35に示されるデータから見られるように、製剤I〜IIIは、未加工塩化カルシウム二水和物および対照カルシウム粉末の両方と比較して、著しく減少した溶解熱をもたらした。塩化カルシウム二水和物は、高い溶解発熱を有し、水と接触した時に著しい量の熱を放出することで知られている。大量の塩化カルシウム二水和物または高い溶解発熱を有する他の塩を迅速に溶解する時等のある特定の状況下で、熱傷を引き起こす可能性がある大量の熱を放出する。したがって、粘膜表面を塩化カルシウム二水和物と接触させることに関する安全性の懸念が存在する。これらの安全性の懸念を、高い溶解発熱を有さない製剤I〜III等の粉末を産生することによって軽減することができ、したがって、望ましくない発熱効果の可能性を減少させた。
実施例25生体内肺炎モデル
37℃および5%CO2で一晩培養物をトリプシン大豆寒天(TSA)血液プレート上で成長させることによって、細菌を調製した。単一コロニーを無菌PBS中でOD600約0.3に再懸濁し、その後無菌PBS中で1:4に希釈した(約2×107コロニー形成単位(CFU)/mL)。麻酔にかかっている間、気道内注入によって、マウスを50μLの細菌懸濁液(約1×106CFU)に感染させた。
高出力噴霧器または個々に11匹までの動物を保持するパイチャンバケージに接続されたPari LC Sprint噴霧器のいずれかを用いて、C57BL6マウスを、全身曝露システム中のエアロゾル化液体製剤に曝露させた。肺炎球菌への感染2時間前にマウスを乾燥粉末製剤(表39)で治療した。対照として、動物を同様の量の100%のロイシン粉末に曝露させた。感染24時間後、ペントバルビタール注射で安楽死させ、肺を収集し、無菌PBS中で均質化した。肺均質試料を無菌PBS中で連続的に希釈し、TSA血液寒天プレート上にプレーティングした。翌日CFUを計数した。
対照動物と比較して、カルシウム乾燥粉末で治療された動物は、感染の24時間後に減少した細菌力価を示した。具体的には、製剤硫酸カルシウムおよび塩化ナトリウム(製剤III)から成る製剤で治療された動物は、5倍低い細菌力価を示し、クエン酸カルシウムおよび塩化ナトリウム(製剤I)から成る製剤で治療された動物は、10.4倍低い細菌力価を示し、かつ乳酸カルシウムおよび塩化ナトリウム(製剤II)から成る製剤で治療された動物は、5.9倍低い細菌力価を示した。(図36)
本明細書に示されるデータは、極めて分散可能な二価金属カチオン塩含有乾燥粉末が、細菌およびウイルス感染を治療するために製造ならびに使用されることを示す。
実施例26−3ヶ月間冷蔵された、標準および加速条件安定性の研究
サイズ3のHPMCカプセル(Shionogi Qualicaps,Madrid,Spain)内に装填され、以下の条件、(i)2〜8oCの冷蔵保存、(ii)25oC/相対湿度60%、乾燥剤下で保管されたカプセル、および(iii)40oC/相対湿度75%、乾燥剤下で保管されたカプセルで、設置された製剤I〜IIIの代表的な試料を利用して、3ヶ月間の物理的安定性の研究を行った。FPF<5.6および3.4、ならびにDv50(スプレーテック)および含水量(カールフィッシャー)を3ヶ月時点まで監視した。表40に示されるように、製剤I〜IIIの各々は、これらの条件の各々で評価された物理的特性に関して、良好な安定性を示した。
本明細書に引用される特許、特許出願、特許公報、出版記事の各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。