JP4124734B2 - 経鼻吸収用医薬組成物 - Google Patents
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Description
本発明は経鼻吸収用医薬組成物に係り、詳細には、鼻腔内投与(経鼻投与)に際して、当該組成物中に含有される有効成分である等電点が7以下である酸性生理活性ポリペプチドの生体内吸収性に優れた、経鼻吸収用医薬組成物に関する。
背景技術
生理活性ポリペプチドは、様々な特異的薬理活性を示す高分子化合物であり、これまでに医療の現場で、種々の目的に応じ利用されてきた極めて有用な化合物である。例えば、グルカゴン様ペプチド−1(Glucagon−like Peptide I;以下、GLP−1)は、グルカゴン前駆体(プログルカゴン)に含まれるペプチドホルモンである(Bellら、Nature,304,368,1983)。哺乳類においてこれまでに知られているプログルカゴンは、アミノ酸160残基からなる前駆体蛋白質で、プログルカゴンは膵島(ランゲルハンス島)A細胞と腸管L細胞で形成され、膵臓ではプロセッシング酵素によりグルカゴンと、major proglucagon fragmentを生成する。一方、腸ではプロセッシングの違いにより、グリセンチン、GLP−1、およびグルカゴン様ペプチド−2(以下、GLP−2)が生成されることが分かっている(Mojsovrら、J.Biol,Chem.,261,11880,1986)。
プログルカゴンのアミノ酸番号72−108からなるペプチド(GLP−1に相当)は、インスリン分泌促進作用を有しており、GLP−1のN末部の1−6位を欠如したGLP−1(7−37)と、更に36位がアミド化されたGLP−1(7−36)NH2は、今まで知られていたインスリン分泌増強物質のなかで、最も強力なインスリン分泌促進作用(Mojsovら、J.Clin.Invest.,79,616,1987)と、グルカゴン分泌抑制作用を有する。また、腸管L細胞から分泌され、血流中を循環している分子形はGLP−1(7−36)NH2であることが分かっている(Gutniakら、N.Engl.J.Med.,326,1316,1993)。
GLP−1(7−36)NH2は、摂餌刺激により迅速に腸管L細胞から分泌され、膵臓に作用してインスリンの分泌を促進し、同時にグルカゴン分泌抑制、インスリン分泌細胞のmRNA増加作用、肝臓における糖新生の抑制作用、更には消化管運動の抑制作用を示す。このことから、GLP−1(7−36)NH2などのGLP−1はエネルギー代謝に関して合目的なインクレチン(インスリン分泌刺激物質)として生体内で重要な役割を果たしていると考えられている。
以上の生理的作用を基にして、本ペプチドを糖尿病治療薬として適用する場合には、例えば、食前にGLP−1(7−36)NH2を投与することにより、2型糖尿病患者の治療に有効な食後高血糖を抑えることが可能である。同様のインスリン分泌促進作用を有するスルフォニル尿素薬が、血糖値に関係なく薬効を発現するために、過血糖低下を引き起こす懸念があること、また長期投与によってインスリン産生細胞を疲弊させるのに対して、GLP−1(7−36)NH2のインスリン分泌促進作用は血中グルコース濃度によってフィードバックがかかるため、過血糖低下を引き起こす懸念が少なく、またインスリン産生細胞に対してむしろ賦活的に作用する。このことは糖尿病治療薬として現在臨床的に使用されているスルフォニル尿素薬と比べ、著しい対比を成すものである。
またGLP−1(7−36)NH2が示す肝臓における糖新生の抑制作用、インスリン産生細胞に対する賦活的な作用、筋肉における糖取り込みの促進作用、消化管運動抑制作用、ならびに中枢性の食欲抑制作用等は、GLP−1(7−36)NH2が食後高血糖是正のみならず、本ペプチドを長期投与することによって、全身の糖代謝系を健全・賦活化、また糖尿病の原因の一つとなる肥満に対しても抑制的に作用することを充分に期待させるものである。
上記したGLP−1(7−36)NH2と同様のインクレチン作用(インスリン分泌刺激作用)を有するペプチドには、他にもGila monster(爬虫類)から単離・構造決定されたエクセンジン−4がある。本ペプチドはGLP−1(7−36)NH2よりも血漿中での分解を受け難く、その結果インスリン分泌促進作用が持続する。またGLP−1(7−36)NH2と同様にβ細胞の分化・新生を誘導することも知られている。
GLP−1(7−37)およびGLP−1(7−36)NH2等の8位は生体内に存在するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)により切断を受けるため、8位Alaを切断され難いVal等のアミノ酸に置換した誘導体、[Val8]−GLP−1(7−37)や、溶解律速により見かけの血漿中半減期を延長させる目的で、脂肪酸をGLP−1に導入した誘導体、例えば、[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)なども同様の作用を有することが期待されている。
また、最近になって8位で切断を受けたGLP−1(9−37)も血糖低下作用を有することが報告されているが(Deaconら、Am.J.Physiol.Endocrinol.Matb,282,873−879,2002)、8位アミノ酸変換によるGLP−1(7−36)NH2からGLP−1(9−36)NH2への分解抑制や、脂肪酸修飾による見かけの血漿中半減期の延長については、さらに検討が必要である。
また、グルコース依存性インシュリン分泌刺激ペプチドであるガストリックインヒビトリーポリペプチド(以下、GIP)は、インスリン分泌促進作用を有するが、同時にグルカゴン分泌も促進する点においてGLP−1、エクセンジン−4と異なっている。
これらのペプチド性インクレチンのなかでも、特に哺乳類間でこれまでに知られているなかで共通のアミノ酸配列を有するGLP−1(7−36)NH2は、糖尿病治療薬として理想的な側面をもつ。しかしながらペプチドであるがために、消化管からの吸収を期待することはできず、本ペプチドを糖尿病治療薬として開発する際の大きな障害となっている。
もちろんペプチドの投与経路としては、経口投与以外の方法として、皮下注射による投与の可能性がある。しかしながら皮下投与は、長期にわたり医師の管理下において投与されることが必要であり、通院の負担、注射による投与部位での疼痛などを考慮すると、注射薬は長期にわたる投与が必要な糖尿病治療薬として好ましいものではない。特に、本ペプチドの特長を生かせる食後高血糖是正において、1日3回毎の食後における皮下投与は現実性を欠くことは明らかである。また、1型以外に、2型糖尿病治療薬患者にも使用されるインスリンの自己注射剤と、GLP−1自己注射剤を併用することは現実性を欠く。
このような点を改善するものとして、口腔内粘膜貼付製剤の形態により、口腔内粘膜からGLP−1(7−36)NH2を吸収させる試みが報告されている(Gutniakら、Diabetes care,20,1874,1997)。しかしながら、この投与形態にあっては、吸収促進剤を使用する必要があり、本例においては胆汁酸のひとつである刺激性の強いタウロコール酸ナトリウムを使用しており、粘膜剥離等の刺激性は避けられず、長期投与には不適当である。
したがって現在、GLP−1(7−36)NH2に代表されるペプチド性インクレチンについて、安全であり、かつ高い生体内吸収率を示し、頻回にわたる投与に耐えることができる簡便な手段としての非注射的投与方法は皆無であり、その開発が切に望まれているのが現状である。
一般に、生理活性ポリペプチドは、低分子化合物と異なり注射剤以外の投与法が困難である。これは生理活性ポリペプチドが胃内、小腸内、大腸内あるいはこれらの臓器や、鼻腔、肺の吸収上皮粘膜に存在する消化酵素によって分解を受けること、分子量的に一般的な輸送経路で運ばれないことが大きな理由である。そこで最近、ペプチドの非注射的投与方法として、経鼻吸収による投与方法である経鼻ペプチド製剤が提案されてきている。一般に、この経鼻ペプチド製剤は、吸収促進剤の存在下、ペプチド含有溶液を、噴霧器を用いて鼻腔内に噴霧する形態が通常であるが、多数見出されているいわゆる生理活性ポリペプチドのなかでも、GLP−1(7−36)NH2のように、その等電点(isoelectric point;以下、pI)が酸性から中性を示すペプチドは、酸性ないし中性領域での溶液中では、その安定性が悪いものである。
例えば、本発明者らの検討によれば、GLP−1(7−36)NH2含有溶液をラットなどの動物に経鼻投与すると、一定の経鼻吸収が認められるものの、数十時間の保存によってペプチドが不溶化することが判明した(後記する参考例を参照)。したがって、溶液製剤は用時溶解型であっても、医薬用組成物として好ましくないものである。
同様にグルカゴンやインスリンも、その等電点は酸性から中性を示すものであり、酸性ないし中性溶液中で不溶化あるいは結晶化することが知られている。このような等電点が酸性から中性を示し、酸性ないし中性溶液中で不溶化あるいは結晶化する恐れのあるペプチドは数多く知られており、これらペプチドについては、酸性ないし中性溶液製剤として経鼻投与することは、ほとんど不可能といえる。
一方、酸性生理活性ポリペプチドは、アルカリ性(塩基性)溶媒に対しては溶解性の向上を期待できる。しかしながら、酸性生理活性ポリペプチドを塩基性に晒すことで、酸性条件下でもみられる加水分解等の分解に加え、ラセミ化が起こりやすく、化学的安定性が悪くなる。この副反応は酸性生理活性ポリペプチド、塩基性生理活性ポリペプチドのいずれであっても起こり得るが、例えば、酸性生理活性ポリペプチドであるカゼイン(pI=約4.6付近)は、塩基性水溶液中でアスパラギン酸、フェニルアラニン、グルタミン酸、アラニン残基がラセミ化し、安定性が悪くなることが知られている(Friedmanら、J.Food Sci.,47,760−764,1982)。また、有機酸は生体内成分である酢酸や酪酸、栄養成分となるオクタン酸、デカン酸のような長鎖カルボン酸など種類が豊富であるため、医薬用組成物の添加成分として使用できるものが多いが、有機塩基は一般にセロトニン、ドパミンのように薬理活性を有するものが多く、またナトリウムなどの金属アルカリは、pH調整が難しく、酸性ペプチド類と塩を形成しペプチドの性質が変化する可能性があるため、医薬用組成物の添加成分としては適さない場合が多い。したがって、酸性生理活性ポリペプチドをアルカリ性の溶液として供することは、化学的安定性および添加剤成分の選択等の観点から適さず、酸性生理活性ポリペプチドをアルカリ性の溶液製剤とすることは好ましくない。
このように、酸性生理活性ポリペプチドは、酸性ないし中性溶液製剤とすることも、アルカリ性溶液製剤とすることも好ましくなく、酸性生理活性ポリペプチドは経鼻投与用溶液製剤には適していない。
また、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト成長ホルモン(HGH)、視床下部ホルモン(LH−RH)等の生理活性ポリペプチドについて、溶液型経鼻投与製剤に代わる微粉末経鼻吸収製剤が提案され、かかる微粉末経鼻投与用製剤の担体(キャリヤ)について種々の検討により、これまでいくつかのキャリヤに担持させた、生理活性ポリペプチドの経鼻投与用微粉末組成物が提案されている。
その検討の中で、水に不溶性または難溶性の物質であり、また、酸性条件下で溶解する物質が、生理活性ポリペプチドの微粉末経鼻吸収用製剤の担体として、極めて良好なものであることが見出され、例えば、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウムのような多価金属化合物(特開平8−27031)、粘膜組織修復・保護作用物質、特に胃粘膜組織修復・保護作用物質(特開平9−255586)あるいは穀物の微細粉体物(特開2000−239187)を経鼻吸収用医薬組成物の担体とする組成物が提案されている。
しかしながら、GLP−1(7−36)NH2を、このような多価金属化合物の担体に分散、付着させて微粉末製剤として経鼻投与したとしても、イヌにおいて生物学的利用率は約4%、サルにおいても1%以下と、満足できる経鼻吸収率は得られなかった。
すなわち、等電点が中性ないし酸性領域にあるペプチドであって、酸性ないし中性領域での溶解度が低く、一旦溶解しても、凝集しやすいGLP−1(7−36)NH2のような生理活性ポリペプチドは、溶液型経鼻投与製剤はもとより、微粉末製剤として経鼻投与しても、生体内吸収性は不充分なものであり、このようなペプチドについて、経口投与に代わる良好な非注射投与経路は、今まだ確立されていないのが現状である。
また、環状ペプチドと多価金属化合物担体とからなる経鼻投与用組成物が開示されており(WO 01/52894 A2)、さらに、吸収促進剤として、米粉、スターチ等を添加することができ、吸収促進剤の好ましい平均粒子径は、好ましくは250μm以下、より好ましくは20μmから180μmまでと記載されている。
しかしながら、本発明の経鼻吸収用医薬組成物の有効成分である等電点が7以下である酸性生理活性ポリペプチドについて吸収性を改善する手段、すなわち、本有効成分を添加剤を用いて担体に分散、包埋ならしめて本有効成分の吸収性を改善させること、およびこれらの成分の具体的物性については、全く開示されていない。
したがって、本発明はこれまで経口投与のみならず、他の非注射投与経路による生体吸収性が困難であった等電点が中性ないし酸性領域にあり、酸性ないし中性領域での溶解度が低く、一旦溶解しても、凝集しやすい生理活性ポリペプチドについて、生体内吸収性が良く、また刺激性が無く、安全である経鼻吸収用医薬組成物を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するために本発明者らは、これらペプチドの経鼻投与組成物を構成する成分としての添加物について検討を加えた。そして第一に、ペプチドの安定化に寄与し得る添加物として、デンプンの効果について検討を加えた。
デンプンは穀物に多く含まれる栄養素であり、経鼻吸収用組成物の添加物として安全性の点では問題のない素材であり、グルコースがα−1,4結合した直鎖状に結合しているアミロースと、α−1,6結合の枝分かれ部分を含み樹枝状をなすアミロペクチンで構成されるものである。
そこで担体としての多価金属化合物と、添加剤としてのアミロースとアミロペクチンを種々の割合で含む数種類のデンプンを組み合わせて経鼻吸収用医薬組成物を得、その経鼻吸収性を検討した。また、平均粒子径の異なるデンプン粒子の吸収促進効果に関しても検討した。
その結果、GLP−1(7−36)NH2等の酸性生理活性ポリペプチドを、米粉(道明寺粉)、アミロペクチンとアミロースを任意の割合で含むトウモロコシデンプン、バレイショデンプンおよびこれらのα化デンプンまたは部分的にα化したデンプン等を添加剤として、平均粒子径100μm以下である粉末ないし結晶状の水に不溶または難溶の担体である多価金属化合物、例えばカルシウム化合物等の2価以上の金属化合物に、均一に分散、包埋し経鼻吸収用の微粉末として鼻腔内に投与すれば、良好な経鼻吸収性が得られ、有効な臨床的治療が可能であることを見いだした。
また、水に不溶または難溶性のデンプン等を添加剤として使用するとき、担体として用いる多価金属化合物、例えば平均粒子径100μm以下の炭酸カルシウムなどを用いる場合、GLP−1(7−36)NH2のような酸性ペプチドに関しては、水に不溶または難溶性のデンプン等の添加剤は、担体の平均粒子径より小さいものが、特に優れた吸収促進効果がみられることを見出した。本発明はかかる新たな知見に基づき完成されたものである。
発明の開示
しかして本発明は、等電点が7以下である酸性生理活性ポリペプチドと、それを担体表面に分散、包埋ならしめうる添加剤と、水に不溶または難溶の担体とからなる経鼻吸収用医薬組成物を提供するものである。
すなわち本発明は、等電点が7以下、すなわち中性ないし酸性領域にある生理活性ポリペプチドと、それを担体表面に分散、包埋ならしめうる添加剤と、多価金属化合物担体からなる経鼻吸収用医薬組成物である。
より具体的な本発明は、等電点が中性ないし酸性領域にある生理活性ポリペプチドの有効投与量を、その不溶性成分の平均粒子径が1μm以上20μm未満である添加剤とともに平均粒子径100μm以下を有する粉末状ないし結晶状の多価金属化合物担体に均一に分散、包埋した経鼻吸収用医薬組成物である。
また、さらに具体的な本発明は、ペプチド性インクレチンと、それを担体表面に分散、包埋ならしめうる添加剤と、水に不溶または難溶の担体とからなる経鼻吸収用医薬組成物であり、より具体的な本発明は、ペプチド性インクレチンの有効投与量を、不溶性成分の平均粒子径が1μm以上20μm未満であって、水に不溶または難溶の添加剤とともに、平均粒子径100μm以下を有する粉末状ないし結晶状の多価金属化合物担体に均一に分散、包埋した経鼻吸収用医薬組成物である。
添加剤の平均粒子径は、添加剤がα化デンプンで構成されるデンプンまたはα化デンプン成分を含むものであるときは、本出願に示す製造方法にて製剤を作成するときに、担体表面に付着する水に不溶または難溶であるデンプンで構成されるデンプン成分の平均粒子径を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明は上記したように、これまで経口投与のみならず、他の非注射投与経路による生体吸収性が困難であった等電点が7以下であり、酸性ないし中性領域での溶解度が低く、一旦溶解しても、凝集しやすい生理活性ポリベプチドについて、生体内吸収性が良く生物学的利用率に優れた経鼻吸収用医薬組成物を提供するものであり、より具体的な好ましい態様の一つとして、GLP−1、GLP−1NH2、GLP−1(7−36)NH2、GLP−1(7−37)、[Val8]−GLP−1(7−36)NH2、[Val8]−GLP−1(7−37)、[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)、GLP−1(9−36)NH2、GLP−1(9−37)、のようなGLP−1誘導体、GLP−2、エクセンジン−3、エクセンジン−4、グルカゴン、ガストリックインヒビトリーペプチド(GIP)、インスリンについての経鼻吸収用医薬組成物を提供するものでもある。
本発明の経鼻吸収用医薬組成物が高い生体内吸収性を有しているのは、生理活性ポリペプチドが、添加剤により担体表面に安定かつ均一に分散、包埋されていることによる。
また、β型あるいは部分α型の不溶または難溶性のデンプン等の添加剤を用いる場合、平均粒子径が小さいコメデンプンやトウモロコシデンプン等を用いることにより、表面積を拡大し、溶出性を向上させ、吸収性を改善することができる。従って、本発明においては、吸収性を改善するために、平均粒子径1μm以上20μm未満の添加剤を用いることが好ましい。
したがって、本発明において使用される添加剤は、生理活性ポリペプチドを担体表面に安定かつ均一に分散、包埋ならしめ得るものであればいずれであっても良い。例えば、アミロペクチンとアミロースをそれぞれ単独、あるいは任意の割合で含むデンプンを添加剤として使用することができる。米、トウモロコシなどから得られるデンプンには、アミロペクチンとアミロースの比が約7:3〜約8:2の比率であるうるち型デンプンと、ほとんどアミロペクチンのみで構成されるもち型デンプンがあり、本発明において使用できる添加剤としては、具体的には、米粉、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメ由来ベータ型デンプン(うるち型)、コメ由来ベータ型デンプン(もち型)、トウモロコシ由来ベータ型デンプン(うるち型)、トウモロコシ由来ベータ型デンプン(もち型)、バレイショ由来ベータ型デンプン(うるち型)等のベーター型デンプン、コメ由来アルファー化デンプン(うるち型)、コメ由来アルファー化デンプン(もち型)、トウモロコシ由来アルファー化デンプン(うるち型)、トウモロコシ由来アルファー化デンプン(もち型)、バレイショ由来アルファー化デンプン(うるち型)、コムギ由来アルファー化デンプン(うるち型)、またはこれらのデンプンを部分的にα化したデンプン等が挙げられる。
また、デンプンは水に難溶であるが、水と加熱することにより、結晶構造がほぐれてα化される。デンプンが完全にα化されたデンプン(α化デンプン)や、完全にα化されず部分的にα化されたデンプン(部分α化デンプン)も、本発明の添加剤として使用できる。
米粉は、イネの種子の種皮および胚を除いた胚乳部分を粉末としたものであり、デンプンを大量に含み、食品、医薬品添加物として使用されているが、本発明においては、熱処理をせず、β型のデンプンで構成される米粉が好ましいが、熱処理によりα化したデンプンあるいは部分α化デンプンを含む米粉を使用することも可能である。例えば、コメ由来アルファー化デンプンを含む道明寺粉等を挙げることができる。同様に、トウモロコシデンプンもβ型のみならず、部分α化、あるいはα化したデンプンも使用することができる。
さらに、これらのデンプンを適宜組合せて、本発明の経鼻吸収用医薬組成物の添加剤として使用することもできる。
また、本発明においては、オリゴ糖、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム末、ゼラチン等も添加剤として使用することができる。
本発明の組成物とすることにより経鼻吸収される生理活性ポリペプチドは、等電点(pI)が7以下であり、酸性ないし中性領域での溶解度が低く、一旦溶解しても、凝集しやすい生理活性ポリベプチドである。
そのような生理活性ポリペプチドとしては、例えばその等電点と共に列記すれば、好ましくは、以下のものを挙げることができる。
GLP−1;pI=5.05、GLP−1NH2;pI=5.47、GLP−1(7−36)NH2;pI=6.76、GLP−1(7−37);pI=5.53、[Val8]−GLP−1(7−36)NH2;pI=6.76、[Val8]−GLP−1(7−37);pI=5.53、[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37);pI=4.57、GLP−1(9−36)NH2;pI=4.68、GLP−1(9−37);pI=4.87、GLP−2;pI=4.45、エクセンジン−3;pI=4.96、エクセンジン−4;pI=4.96、グルカゴン;pI=6.75、ガストリックインヒビトリーペプチド(GIP);pI=6.92、インスリン;pI=5.39。
またこのような生理活性ポリペプチドとしては、例えば、以下のような、経鼻投与可能な生理活性ペプチドを例示することもできる(なお、カッコ内の数字は、pIは等電点を、MWは分子量を示し、エクセンジン−3、エクセンジン−4以外はヒト由来のものである)。
カルシトニン(pI:6.72,MW:3420.88)、カタカルシン(pI:5.26,MW:2436.62)、コレシストキニン12(pI:3.93,MW:1535.71)、コレシストキニン8(pI:3.56,MW:1064.20)、コルチコトロピン−リポトロピン前駆体(pI:5.22,MW:8469.32)、コルチコトロピン様中間ペプチド(pI:3.91,MW:2309.51)、リポトロピンβ(pI:6.17,MW:9805.94)、リポトロピンγ(pI:4.66,MW:6074.57)、メラノトロピンβ(pI:5.57,MW:2204.40)、コルチコリベリン(pI:5.09,MW:4758.49)、エンドセリン−1(pI:4.54,MW:2495.94)、エンドセリン−2(pI:4.54,MW:2550.9)、エンドセリン−3(pI:5.38,MW:2647.09)、ガラニンメッセージアソシエーティッドペプチド(pI:4.49,MW:6671.52)、ガストリン−71(pI:5.17,MW:8066.88)、ガストリン−34(pI:4.25,MW:3867.26)、ガストリン−17(pI:3.40,MW:2116.24)、ガストリックインヒビトリーポリペプチド(pI:6.92,MW:4983.59)、グリセンチンリレーティッドポリペプチド(pI:4.13,MW:3384.50)、グルカゴン(pI:6.75,MW:3482.79)、グルカゴン様ペプチド−1(pI:5.05,MW:4167.02)、グルカゴン様ペプチド−1アミド(pI:5.47,MW:4111.50)、グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド(pI:6.76,MW:3297.68)、グルカゴン様ペプチド−1(7−37)(pI:5.53,MW:3355.71)、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド(pI:6.76,MW:3326.74)、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−37)(pI=5.53,MW:3383.87)、[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)(pI:4.57,MW:3751.2)、GLP−1(9−36)NH2(pI=4.68,MW:2933.2)、GLP−1(9−37)(pI:4.87,MW:3090.4)、グルカゴン様ペプチド−2(pI:4.21,MW:3922.35)、エクセンジン−3(pI:4.96,MW:4202.63)、エクセンジン−4(pI:4.96,MW:4186.60)、インスリンβ鎖(pI:6.90,MW:3429.96)、インスリンα鎖(pI:3.79,MW:2383)、インスリン(pI:5.39,MW:5807.6)、プロゴナドリベリンI(pI:5.63,MW:7893.83)、ゴナドリベリンII(pI:6.92,MW:1254.33)、ゴナドリベリン関連ペプチドI(pI:4.67,MW:6370.11)、ニューロメジンC(pI:6.92,MW:1121.28)、インスリン様蛋白質(INSL)A鎖(pI:6.36,MW:3542.16)、モチリン関連ペプチドE(pI:4.72,MW:7433.47)、ロイシン−エンケファリン(pI:5.52,MW:555.63)、メチオニン−エンケファリン(pI:5.52,MW:573.66)、ロイモルフィン(pI:6.21,MW:3351.68)、オキシトシン(pI:5.51,MW:1010.19)、ニューロフィジン1(pI:4.94,MW:9600.88)、ニューロフィジン2(pI:5.05,MW:9787.07)、コペプチン(pI:4.11,MW:4021.46)、ニューロメジンB(pI:6.74,MW:1133.29)、ニューロメジンN(pI:5.52,MW:617.79)、ニューロペプチドY(pI:6.76,MW:4272.72)、ニューロペプチドAF(pI:6.05,MW:1979.18)、PACAP−関連ペプチド(pI:5.38,MW:4800.32)、パンクレアティックホルモン(pI:6.26,MW:4182.74)、パンクレアティックアイコサペプチド(pI:6.01,MW:2235.44)、ペプチドYY(pI:6.77,MW:4310.80)、チロリベリン(pI:6.74,MW:380.40)、ニューロキニンA(pI:6.74,MW:1134.32)、ウロコルチン(pI:5.58,MW:4697.29)、ウロテンシンII(pI:4.37,MW:1390.59)、インテスティナルペプチド(PHM−27)(pI:6.75,MW:2986.43)、インテスティナルペプチド−42(pI:6.76,MW:4552.18)。
これらの生理活性ペプチドは、上記のものに限定されず、経鼻投与可能なものであれば、本発明の組成物とすることができる。
一方、本発明において添加剤と共に生理活性ポリペプチドを担持する担体(キャリヤ)としては、水に不溶または難溶の担体、例えばアルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、鉄化合物または亜鉛化合物から選択される2価以上の多価金属化合物を挙げることができる。
より具体的なこれらの多価金属化合物としては、例えば、以下の多価金属化合物を例示することができる。アルミニウム化合物としては、乾燥水酸化アルミニウム・ゲル、クロルヒドロキシアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、軽質酸化アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム・ゲル、硫酸アルミニウム、ジヒドロキシアルミニウムアセテート、ステアリン酸アルミニウム、天然ケイ酸アルミニウム、モノステアリン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウム等を挙げることができる。
カルシウム化合物としては、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、D−パントテン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、無水リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、酢酸カルシウム、糖酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、パラアミノサリチル酸カルシウムおよび生体内石灰化合物等を挙げることができる。
マグネシウム化合物としては、L−アスパラギン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム・マグネシウムおよび合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム等を挙げることができる。
ケイ素化合物としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ヒドロタルサイト、ケイソウ土および二酸化ケイ素等を、また鉄化合物としては硫酸鉄を、さらに亜鉛化合物としては塩化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛および硫酸亜鉛等を挙げることができる。
これらの多価金属化合物は、単独でもまた複数混合して用いてもよく、そのなかでも、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウムまたは乳酸カルシウムであるカルシウム化合物が好結果を与えた。
また、これらの多価金属化合物は、その平均粒子径が大きいと、噴霧特性が悪くなりすぐに沈降する。また平均粒子径が小さいと、粒子が鼻腔に留まらず気管、肺に及ぶ。鼻腔内に効率よく滞在させるためには、これらの多価金属化合物は、その平均粒子径が100μm以下、10μm以上が好ましく、20μmから60μmが特に好ましい。
一方、本発明の組成物に含有される生理活性ポリペプチドの有効投与量としての使用量は、選択すべき個々の活性物質、処置すべき対象疾患、所望の投与回数、患者の年齢、体重、症状の程度、投与経路、必要とする個々の治療効果等によって異なるが、本発明の組成物を鼻腔内投与により使用する場合には、例えば、GLP−1(7−36)NH2では、1回あたりGLP−1(7−36)NH2として50〜5,000μgの範囲で投与することが好ましい。
具体的には、生理活性ポリペプチドの有効投与量を、平均粒子径250μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは20〜60μmである粉末ないし結晶状の水に不溶または難溶の担体(例えばカルシウム化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、鉄化合物、亜鉛化合物等の多価金属化合物)と添加剤とともに、乾式混合、水あるいはエタノール等の有機溶媒により湿式混合・乾燥して、担体表面に生理活性ポリペプチドを均一に分散、包埋して本発明の経鼻吸収用医薬組成物を作製することができる。
本発明の経鼻吸収用医薬組成物は、製剤化に際し通常用いられる担体、例えば滑沢剤、DPP−IV阻害剤、賦形剤、増粘剤、保剤、安定化剤、抗酸化剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、着色剤、芳香剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、溶解補助剤、緩衝剤、等張化剤、界面活性剤、無痛化剤等の種々の機能性成分を適宜配合することができる。
滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、タルク等が挙げられる。
安定化剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の第四級アンモニウム塩や、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween80)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビタンモノオレート(Span80)等のソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
GLP−1のような、ジペプチジルペプターゼIV(DPP−IV)により分解を受ける酸性生理活性ポリペプチドの場合は、DPP−IV阻害剤を配合することが好ましい。
DPP−IV阻害剤としては、ジプロチニンA、バシトラシン、イソロイシンチアジリジド等が挙げられる。その添加量は阻害活性によって異なるが、有効成分である生理活性ポリペプチドの含有重量の1〜10,000倍程度添加することができる。
本発明の組成物を製造する場合において、生理活性ポリペプチドの含有量は、たとえば製剤重量100%あたり0.005〜50%、好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.1〜10.0%配合するのが良い。また、本発明の組成物を構成する担体の配合量は、これら物質の臨床的に使用されている量の範囲内で、たとえば製剤重量100%あたり70〜99.995%、好ましくは80〜99.99%、より好ましくは90〜99.9%配合することにより、良好な経鼻吸収が得られる。また本発明の組成物を構成する添加剤の含有量は、たとえば製剤重量100%あたり0.005〜50%、好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.05%〜10.0%配合するのが良い。
本発明の経鼻吸収用医薬組成物は、水に不溶または難溶の担体である多価金属化合物担体と、生理活性ポリペプチドおよび添加剤とを混合することにより得ることができる。例えば製造の一例として、ペプチド成分としてGLP−1(7−36)NH2の粉末と、トウモロコシデンプンとをよく混合した後、容器に入れ、少量の精製水を加えながら、徐々に炭酸カルシウムを添加しスラリーとする。このものをデシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を篩過後、要すれば適量のステアリン酸カルシウム等の滑沢剤を加えて混合して得られる。
あるいは、他の例として、トウモロコシデンプンと炭酸カルシウムを少量の水でスラリーとし、これを一旦乾燥させた後、GLP−1(7−36)NH2粉末を加え塩化ベンザルコニウム等の安定化剤を含む水で練合、乾燥させ、得られた乾燥品を篩過後、要すれば適量のステアリン酸カルシウム等の滑沢剤を加えて混合して得られる。
かくして得られた経鼻吸収用医薬組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、スターチあるいはゼラチンのカプセルに、適量を充填した後、適当な包装、好ましくは密閉包装とする。かかる密閉包装としては、ブリスター包装−アルミニウム包装を組み合わせるのが良い。必要であれば、アルミニウム袋のなかに乾燥剤をいれることが可能である。この場合の全行程の湿度は、60%以下が望ましい。
実施例
本発明を以下の実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例において用いた試験法と機器は、特に記載しない限り以下に記載のものを使用した。
また以下の例において使用した略号は、それぞれ以下の意味を有する。
主な略号
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル(fluorenylmethoxycarbonyl)
Boc:t−ブトキキシカルボニル(tert.−Butoxycarbonyl)
Trt:トリチル(trytyl)
Pmc:ペンタメチルクロマンスルフォニル(pentamethylchromansulfonyl)
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicyclohexylcarbodiimid)
HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(N−hydroxybezotriazole)
TFA:トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid)
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン(diisopropylethylamine)
DMF:ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)
NMP:N−メチルピロリドン(N−methylpyrrolidone)
TFE:トリフルオロエタノール(trifluoroethanol)
使用機器等
1.ペプチドのHPLCによる分析
製剤中のペプチド含量と、安定性試験でのペプチド分析を以下の機器と条件で逆相HPLCを行なった。
機器:島津LC−9Aシステム
カラム:YMC PROTEIN−RP(4.6mmφ×150mm)
カラム温度:40℃
溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル濃度を10分間で直線 的に変化させた。
流速:1mL/分
検出:UV(214nm)
注入量:50μL
2.質量分析
ペプチドの質量を下記の機器および条件で求めた。
機器:フィニガンMAT TSQMS
イオン源:ESI
検出イオンモード:positive
スプレー電圧:4.5kV
キャピラリー温度:250℃
移動相:0.2%酢酸/メタノール混液(1:1)
流速:0.2mL/分
スキャン範囲:m/z 550〜850
3.アミノ酸配列分析
ペプチドのアミノ酸配列分析に下記の機器を用いた。
機器:パーキンエルマー社 477A型シークエンサー
4.アミノ酸組成分析
ペプチドのアミノ酸組成分析に下記の機器を用いた。
機器:日立製作所製 L−8500型アミノ酸分析機計
5.試料の保存(安定性試験)
以下の保存庫に各温度条件で保存した。
機器:ナガノ科学 LH−30−14
設定温度:40±2℃、25±1℃
6.凍結乾燥
機器:LABCONCO Corp.製 FZ−6を使用した。
7.血漿中濃度測定
投与後の血漿中GLP−1(7−36)NH2濃度をラジオイムノアッセイ法(RIA法)あるいはエンザイムイムノアッセイ法(ELISA法)で測定した。
7−1.ラジオイムノアッセイ法(RIA法):
GLP−1(7−36)NH2とウシサイログロブリンとの複合体アジュバンドをウサギに感作させて、抗血清(IgG画分)を作成した。試験管に血漿および抗血清から得られた抗GLP−1(7−36)NH2ウサギ抗体を添加し、4℃で一晩静置した。本試料に125I−GLP−1(7−36)NH2を加え、4℃で一晩静置した。次に、抗ウサギIgGヤギ血清を加え、4℃で1時間静置した。本試料を遠心分離し、沈殿物中の放射線量(γ線)をγ−カウンターで測定した。
7−2.エンザイムイムノアッセイ法(ELISA法):
抗GLP−1(7−36)NH2抗体(ウサギポリクローナル抗体)を固相化した96穴プレートに血漿を添加し、室温で2時間反応した。プレートを洗浄した後、西洋わさび由来のペルオキシダーゼで標識した抗GLP−1(7−36)NH2抗体(マウスポリクローナル抗体)を加え、室温で1時間反応した。プレートを洗浄した後、tetramethylbenzidineを加えて反応し、450nmの吸光度を測定した。
8.生理活性ポリペプチドの等電点(pI)の計算:
ExPASy(Expret Protein Analysis System)Molecural Biology Server,Swiss Institute of Bioinformaticsを使用した。C末アミド体の計算は、シークエンス中のAspあるいはGluを1残基だけAsnあるいはGlnに変換して算出した。
9.ペプチド化学合成(インクレチンペプチドの合成):
アプライドバイオシステム(ABI)社製:433A合成機を用い、ABI社標準のFastFmoc(0.25mmol)プロトコルに従い、保護ペプチド樹脂を構築した。
10.粒度分布(炭酸カルシウムとデンプン粒子の粒度測定):
機器:SYMPATEC HELOS & RODOS社製、Laser Diffraction Analyzer(RODOS SR)を使用した。
参考例1:GLP−1(7−36)NH 2 の調製
大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼの誘導体(β−gal97)と25アミノ酸のリンカーおよびGLP−1(7−37)からなる融合タンパク質の発現プラスミドpG97ompPR(WO99/38984号公報)を作製した。これにより発現する融合タンパク質のリンカー領域には、ompTプロテアーゼの切断モチーフ(Arg−Arg)、およびKex2プロテアーゼの切断モチーフ(Pro−Arg)が配され、それぞれのプロテアーゼにより切断を受ける構造をもつ。
本融合タンパク質を得るため、大腸菌W3110株を親株とする株にpG97ompPRを導入し、得られた形質転換株を酵母エキス、無機塩類およびグルコースを含む培地中で300L培養槽にて培養した。菌体濃度がOD660=180になるまで培養し、得られた培養液を、高圧ホモジナイザーで処理し菌体を破砕し、遠心分離で封入体を回収した。封入体を含む沈澱を脱イオン水で再度懸濁後、再度遠心分離して封入体を洗浄後、脱イオン水で懸濁しOD660値が1,000の封入体濃縮液(約30L)とした。
この封入体濃縮液3.9Lを採取し、pH未調整の1M Tris−HClを1L、8M尿素10Lを添加した後、脱イオン水を加え最終容量を20Lとした。次に、5N塩酸でpHを6.5に調整し、37℃で2時間加温することで封入体中に存在している大腸菌OmpTプロテアーゼを融合タンパク質に作用させ、N末端に13個のアミノ酸が付加されたGLP−1(7−37)[以下、RHHGP[G]と記載]を遊離させた。反応終了後、反応液に粉末尿素を7Mとなるように添加し、5N NaOHを用いてpHを8.0とした。その後フィルタープレス処理して得られた30Lの清澄液を、5M尿素/20mM Tris・HCl(pH8.0)/0.1%Tween80溶液で平衡化したSP−Sepharose BigBeadsカラム(140mm ID×160mm、アマシャム・ファルマシアバイオテクノロジー)に添加し、0.2M NaCl/20mM Tris・HCl(pH8.0)/0.1%Tween80溶液にて洗浄後、0.5M NaCl/20mM Tris−HCl(pH8.0)/0.1%Tween80溶液を用いてRHHGP[G]を溶出させ、約100gのRHHGP[G]を含む画分(約20L)を得た。
得られたRHHGP[G]画分を精製水(UF水)で5.0mg/mLに調製後、20mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、5.0μM硫酸銅、0.5g/L−アスコルビン酸、1mg/Lカタラーゼ、0.1%Tween80、1,500unit/mLアミド化酵素を添加し、酸素を吹き込み100%飽和の溶存酸素濃度を維持しながら温度32℃で80分間反応を行い、RHHGP[G]のC末端をアミド体(RHHGP−1)に変換した。さらに、本反応液にTris−HCl(pH8.0)、Tween80、塩化カルシウムおよびKex2プロテアーゼを、それぞれ最終濃度が20mM,0.1%,1mMおよび8,000U/mLになるよう添加し、32℃で2時間30分反応させた。
RHHGP−1のN末端13アミノ酸を除去し、GLP−1(7−36)NH2を遊離させた。上記反応液から約10L(3.4g/L)を採取し、0.3%Tween80/20mM Briton−Robinson[以下BRと記載]緩衝液(pH4.5)で希釈し(26L)、20mM NaCl/0.3%Tween80/20mM BR緩衝液(pH4.5)で平衡化した、陽イオン交換クロマトカラム(90mm ID×400mm、MacroPrep High−S、バイオラッド社)に添加し、同溶液で洗浄後、A液(20mM BR緩衝液(pH6.0)/20mM NaCl/0.3%Tween80)、B液(20mM BR緩衝液(pH7.5)/20mM NaCl/0.3%Tween80)を用い、50%B液から100%B液への直線濃度勾配によりGLP−1(7−36)NH2を溶出させた。
得られた純度98%以上の画分を、GLP−1(7−36)NH2濃度6mg/mLとなるようにUF水で希釈後、20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で平衡化したPrep C18(Waters)カラム(90mm ID×240mm)にかけ、20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)および0.2%酢酸を含む10%アセトニトリル溶液で洗浄した後、2%酢酸を含む30%アセトニトリル溶液で溶出させ、GLP−1(7−36)NH2を27g含む溶液(2.5L)を得た。得られた溶出液のアセトニトリルを留去し、GLP−1(7−36)NH2濃度を注射用水で10mg/mLに調整し、RL−903BS凍結乾燥機(共和真空技術(株)製)で凍結乾燥を行いGLP−1(7−36)NH2の凍結乾燥品を22g得た。
本製造品の分子量、アミノ酸組成比は以下の通りであり、本品がGLP−1(7−36)NH2であることが確認された。ESI−MS;3297.4(理論価:3297.68)、6N塩酸加水分解後のLeu基準アミノ酸組成比:Asp;1.0(1),Thr;2.0(2),Ser;2.7(3),Glu;4.0(4),Gly;3.0(3),Ala;4.1(4),Val;2.0(2),Ile;1.0(1),Leu;2.0,Tyr;1.0(1),Phe;2.1(2),Lys;2.0(2),His;1.0(1),Arg;1.0(1)
参考例2:GLP−1(7−36)NH 2 溶液医薬組成物の経鼻吸収性試験(ラ ット)
参考例1で得られたGLP−1(7−36)NH2を約10mg量り取り、180mgシュークロース、8mg無水クエン酸、および0.2mgの塩化ベンザルコニウムを2mLの水溶液に溶かし、逆相HPLC上5mg/mLの試料溶液を調製した。体重250g前後の7〜9週齢のSD系雄性ラット(Crj:CD、日本チャールズリバー)を金属ケージにて、温度22±5℃、湿度30〜70%、明暗サイクル12時間で飼育し、固形飼料と水道水を自由に摂取させた。試験24時間前から絶食させ試験に供した(1群3匹)。
経鼻投与の場合、ペントバルビタール麻酔下で大腿動脈カニューレを施した後、試料溶液5μLを精密分注器で左鼻腔内に投与し(約100μg/kg)、投与後0、5、10、15、20、30、60、90分後にカニューレより、凝固防止剤と酵素阻害剤を添加した採血チューブに採血し、遠心して血漿を得た。血漿中のGLP−1(7−36)NH2濃度は、抗GLP−1(7−36)NH2抗体を用いたRIA法で測定した。皮下投与の場合、ラット背部皮下にシリンジにて1mL/kgの容量で皮下投与用試料溶液(約15μg/mL)を投与し、経鼻投与と同様の手順で血漿中GLP−1(7−36)NH2濃度を求めた。結果を表1に示す。
表中の結果からも明らかなように、生物学的利用率は、11.2±6.5%(平均値±SD、n=3)であり、GLP−1(7−36)NH2の鼻粘膜からの吸収性が認められた。
参考例3:GLP−1(7−36)NH 2 溶液医薬組成物の安定性
参考例2で調製したGLP−1(7−36)NH2の試料溶液を、25℃、および40℃で保存した。
その結果を表2に示す。表中の結果からも判明するように、いずれの温度条件においても、保存後1週間で微粒子の生成が認められた。
参考例2の結果から、GLP−1(7−36)NH2の溶液型医薬組成物がラットにおいて経鼻吸収能を有することが判明したが、その溶液のpHとしてpH2.7付近の溶液の物理化学的安定性が悪いものであり、かかるpH値を有する溶液型の医薬組成物は好ましくない。
参考例4:GLP−1(7−36)NH 2 の溶液安定性
リン酸3.92g、酢酸2.40g、塩化カリウム14.91g、およびホウ酸2.47gに蒸留水を加え1,000mLとした調製A液に、水酸化ナトリウム8.0gに水を加えて1,000mLにした溶液Bを滴下して、pH2.0、pH3.0、pH4.0、pH5.0、pH6.0、pH7.0、pH9.0の緩衝液(Britton−Robinson(BR)緩衝液)を各々100mLずつ調製した。
一方、参考例1で製造したGLP−1(7−36)NH2約300mgに蒸留水30mLを加え溶解した。この液2.0mL(10mg/mL)に上記BR緩衝液、または0.1M塩酸を加え20mLとし、試料溶液とした。本試料を40℃保存庫に入れ、1,4,7日保存した後の外観と、GLP−1(7−36)NH2の残存率を調べた。その結果を表3に示した。
表3に示すように、pH1.2、pH2.0、pH3.0、pH6.0およびpH7.0では、保存1日目から沈澱が生じており、pH5.0は保存4日目から、pH4.0は保存7日目から沈澱が生じた。また、pH9.0では、沈澱は生じないが、GLP−1(7−36)NH2の残存率は、保存7日目で75.6%であった。したがって、GLP−1(7−36)NH2は酸性溶液、中性溶液および塩基性溶液のいずれの溶液においても安定性が悪く、溶液型の医薬組成物としては好ましくないことが明らかになった。
そこで、溶液型の医薬組成物に替わる、微粉末経鼻投与型組成物製剤についての吸収性試験を以下に検討した。
実施例1:イヌにおける粉末経鼻剤の吸収性試験
参考例1で得られたGLP−1(7−36)NH2と、担体として炭酸カルシウムの平均粒子径51.9μmを有する微細粉体物に、以下の調製例1〜9で示す種々の添加剤を加えた経鼻吸収用組成物を調製した。
コントロールとして添加剤を含まない経鼻吸収用組成物を併せて調製した。
体重10kg前後のビーグル犬を3頭用い、調製例1から調製例9に示す経鼻吸収用医薬組成物を粉末噴霧器で経鼻投与し、投与後0、5、10、20、30、45、60、90、120分後における血漿中のGLP−1(7−36)NH2の濃度を測定した。対照として、添加剤を含まない炭酸カルシウムを担体としたGLP−1(7−36)NH2の微細粉体物を投与した。血漿中のGLP−1(7−36)NH2の濃度は、抗GLP−1(7−36)NH2抗体を用いたRIA法で測定した。生物学的利用率は、経鼻投与後の血漿中濃度時間−曲線下面積(AUC)を、生理食塩水に溶かしたGLP−1(7−36)NH2の皮下投与後のAUCと比較して算出した。その結果を表4にまとめた。
表中に示した結果からも明らかなように、添加剤を含まない医薬組成物の生物学的利用率が約4%であるのに対して、本発明の医薬組成物を投与することによりGLP−1(7−36)NH2の吸収が促進され、生物学的利用率が約6%から14%に上昇することが判明した。
調製例1:道明寺粉(1.0%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、道明寺粉31mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.92gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(29mg)を加えて混合し、試料粉末を2.83g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、690μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約226mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例2:トウモロコシデンプン(0.1%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、トウモロコシデンプン(日局、平均粒子径13.3μm)3.5mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.96gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(28mg)を加えて混合し、試料粉末を2.75g得た。約1,000μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約297mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例3:トウモロコシデンプン(1.0%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、トウモロコシデンプン(日局、平均粒子径13.3μm)32mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.93gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(29mg)を加えて混合し、試料粉末を2.89g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、678μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約213mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例4:うるち型バレイショ由来α化デンプン(0.1%)を含む医薬組成物 の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、うるち型バレイショ由来α化デンプン(アミコールHF、日澱化学工業)3.2mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.96gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(28mg)を加えて混合し、試料粉末を2.75g得た。約1,000μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約297mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例5:うるち型バレイショ由来α化デンプン(1.0%)を含む医薬組成物 の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、うるち型バレイショ由来α化デンプン(アミコールHF、日澱化学工業)30mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.92gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(27mg)を加えて混合し、試料粉末を2.77g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、661μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約217mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例6:ポビドン(1.0%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、ポビドンK30(薬添規)32mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.93gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(29mg)を加えて混合し、試料粉末を2.84g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、642μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約211mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例7:ペクチン(1.0%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、ペクチン(USP)31mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.93gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(29mg)を加えて混合し、試料粉末を2.88g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、644μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約210mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例8:うるち型トウモロコシ由来部分α化デンプン(1.0%)を含む医薬 組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、うるち型トウモロコシ由来部分α化デンプン(PCS、旭化成工業)31mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に2.92gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。デシケーター中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(28mg)を加えて混合し、試料粉末を2.88g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、646μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約211mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例9:添加剤を含まない医薬組成物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、本粉末をビーカーに入れ、徐々に8.88gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(87mg)を加えて混合し、試料粉末を8.76g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、937μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約300mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
実施例2:カニクイザルにおける粉末経鼻剤の吸収性試験
生理活性ポリペプチドとして、参考例1で得られたGLP−1(7−36)NH2を使用し、担体として平均粒子径51.9μmの炭酸カルシウムの微細粉体物、あるいはショ糖硫酸エステルアルミニウム塩(スクラルファート)の微細粉体物を用いた。本担体に調製例10〜18記載した方法に従い、種々の添加剤を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。GLP−1(7−36)NH2の投与量を、一回の投与量が約100μg/頭になるように調製し、添加剤の配合量は製剤重量の0.5%、1.0%、10%または50%とした。添加剤を含まない2つの処方、すなわち炭酸カルシウムとGLP−1(7−36)NH2、およびスクラルファートとGLP−1(7−36)NH2の組み合わせをコントロールにおいた。
体重3kg前後のカニクイザルを用い、調製例10〜18の組成物をユニシアジェクス社製の鼻腔内噴霧器で経鼻投与し、投与後0、5、10、20、30、45、60、90、120分後における血漿中のGLP−1(7−36)NH2の濃度をRIA法、一部をELISA法で測定した。生物学的利用率は、経鼻投与後のAUCを皮下投与後のAUCと比較して算出した。
生理食塩水に溶かしたGLP−1(7−36)NH2の皮下投与、添加剤を含まない経鼻2処方を経鼻投与したときの血中濃度推移を第1〜第3図に、1%導明寺粉、0.5%トウモロコシデンプン、あるいは0.5%うるち型バレイショ由来α化デンプンを添加した経鼻処方を経鼻投与したときの血中濃度推移を第4図に示す。
また、RIA法および一部ELISA法で測定した血漿中のGLP−1(7−36)NH2の評価を、表5および表6に示した。
表5および表6からも明らかなように、添加剤を含まない2つの処方は、0.3〜3.1%程度の低い経鼻吸収しか示さなかったのに対し、本発明の医薬組成物を投与することにより、GLP−1(7−36)NH2が鼻粘膜から極めて高い効率で生体内に吸収されることが判明した。
調製例10:添加剤を含まない医薬組成物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量った。本粉末をビーカーに入れ、徐々に8.87gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(84mg)を加えて混合し、試料粉末を8.20g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例11:添加剤を含まない医薬組成物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量った。本粉末をビーカーに入れ、徐々に8.87gのスクラルファートを添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(84mg)を加えて混合し、試料粉末を8.03g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例12:道明寺粉(1.0%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、道明寺粉89mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に8.78gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(84mg)を加えて混合し、試料粉末を8.11g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例13:トウモロコシデンプン(0.5%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、トウモロコシデンプン(日局、平均粒子径13.3μm)45mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に8.83gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(88mg)を加えて混合し、試料粉末を8.46g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、98μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例14:うるち型バレイショ由来α化デンプン(0.5%)を含む医薬組成 物の調製
ペプチド成分として30mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、うるち型バレイショ由来α化デンプン(アミコールHF、日澱化学工業)45mgと混合した。本混合粉末をビーカーに入れ、徐々に8.83gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(89mg)を加えて混合し、試料粉末を8.47g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、101μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例15:ヒドロキシプロピルセルロース−H(HPC−H、10%)を含む 医薬組成物の調製(粉末混合)
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、300mgのHPC−H(日局)を倍散混合して粉末を得た。本混合粉末と、2.69gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を同様に倍散混合し均一な粉末とした。この粉末を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(28mg)を加えて混合して試料粉末を2.76g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末(約30mg)を2号カプセルに充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例16:HPC−H(10%)を含む医薬組成物の調製(水練合)
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、300mgのHPC−H(日局)を倍散混合して粉末を得た。本混合粉末と、2.69gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を同様に倍散混合し均一な粉末とした。精製水を混合物がペースト状になるまで加え、さらによく混ぜた後、デシケーター中で終夜減圧乾燥させた。乾燥した混合物を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(28mg)を加えて混合して試料粉末2.70gを得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を測定し、2号カプセルに100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末約30mgを充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例17:HPC−H(10%)を含む医薬組成物の調製(エタノール練合)
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、300mgのHPC−H(日局)を倍散混合して粉末を得た。本混合粉末と、2.69gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を同様に倍散混合し均一な粉末とした。エタノールを混合物がペースト状になるまで加え、さらによく練合したのち、デシケーター中で終夜減圧乾燥させた。乾燥した混合物を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウムを(28mg)加え、よく混合して試料粉末2.73gを得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を測定し、2号カプセルに100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末約30mgを充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例18:HPC−H(50%)を含む医薬組成物の調製
ペプチド成分として10mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約12mg)を量り、1.5gのHPC−H(日局)を倍散混合して粉末を得た。本混合粉末と、1.49gの炭酸カルシウム(平均粒子径51.9μm)を同様に倍散混合し均一な粉末とした。精製水を混合物がペースト状になるまで加え、さらによく練合したのち、デシケーター中で終夜減圧乾燥させた。得られた乾燥粉末を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(27mg)を加え、よく混合して試料粉末2.54gを得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を測定し、2号カプセルに100μgのGLP−1(7−36)NH2を含む量の試料粉末約30mgを充填し、経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
実施例3:カニクイザルにおける粉末経鼻剤の吸収性試験−2
本試験で、トウモロコシデンプン、HPC−SSL(ヒドロキシプロピルセルロース−SSL)、およびこれらの併用、うるち型トウモロコシ由来部分α化デンプン(PCS;旭化成工業)を添加したときの経鼻吸収効果について検討した。
体重2〜4kgのカニクイザルを用い、調整例19〜27の組成物約30mg[GLP−1(7−36)NH2として約300μg]をユニシアジェック社製の鼻腔内噴霧器で経鼻投与し、投与前及び投与後5,10,15,30,60,90,120分の血漿中GLP−1(7−36)NH2濃度をRIA法で測定した(5.0%トウモロコシデンプン:n=2;それ以外はn=3)。生物学的利用率(BA)は、経鼻投与後のAUCを皮下投与後のAUCと比較して算出した。
結果を以下の表7にまとめた。トウモロコシデンプンは1〜10%の広い範囲で、添加なしと比べ経鼻吸収促進効果がみられた。また、一部しかα化されず、水に対して不溶部分(平均粒子径:約15μm)が残る部分α化デンプンも良好な経鼻吸収促進効果を示した。水に溶け難いグレードのHPC(SSL)も一定の吸収促進効果を示し、さらに、HPC−SSLはトウモロコシデンプンと併用して本発明の組成物に用いることができることが示された。
調製例19:コントロール製剤(0.01%塩化ベンザルコニウム含有)の調製
ペプチド成分として30.6mg相当量のGLP−1(7−36)NH2粉末(約36mg)を量り、徐々に約2.93gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.95g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に311μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例20:1.0%トウモロコシデンプン+0.01%塩化ベンザルコニウム 含有製剤の調製
約2.91gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径13.3μm)を約29mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として29.9mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約29mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.88g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に312μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例21:5.0%トウモロコシデンプン+0.01%塩化ベンザルコニウム 含有製剤の調製
約2.78gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径13.3μm)を約150mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として29.6mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約35mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、さらに精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.89g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に307μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例22:10.0%トウモロコシデンプン+0.01%塩化ベンザルコニウ ムJ含有製剤の調製
約2.63gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径13.3μm)を約301mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.6mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約27mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.69g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に341μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例23:0.1%HPC−SSL+0.01%塩化ベンザルコニウム含有製 剤の調製
約2.93gの炭酸カルシウム(平均粒子径13.3μm)に約3mgのHPC−SSL(日局)を含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.4mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.94g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に310μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例24:0.5%HPC−SSL+0.01%塩化ベンザルコニウム含有製 剤の調製
約2.92gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)に約15mgのHPC−SSL(日局)を含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.5mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.93g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に312μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例25:1.0%HPC−SSL+0.01%塩化ベンザルコニウム含有製 剤の調製
約2.90gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)に約30mgのHPC−SSL(日局)を含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.6mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約28mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.85g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に322μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例26:1.0%うるち型トウモロコシ由来部分α化デンプン+0.01% 塩化ベンザルコニウム含有製剤の調製
約2.90gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)に約30mgのうるち型トウモロコシ由来部分α化デンプン(PCS;旭化成工業)を含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.8mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約37mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約29mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.90g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に319μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例27:5.0%トウモロコシデンプン+0.1%HPC−SSL+0.0 1%塩化ベンザルコニウム含有製剤の調製
約2.78gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径13.3μm)を約151mg添加し、よく混合したのち、約3mgのHPC−SSL(日局)を含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として30.3mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約36mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.93g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、30mg中に310μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
実施例4:インクレチンペプチドのデンプン添加による経鼻吸収への効果
ラットの血糖降下作用を指標に、デンプンの添加がGLP−1(7−36)NH2以外のインスリン分泌刺激活性を有する酸性ペプチドに対しても経鼻吸収を促進するかどうか調べた。
体重約300gのCD(SD)系ラットをペントバルビタールで麻酔した。ピペット用チップ(GPS−250,RAININ)の先端に調製例28〜35に示す組成物3mg(ペプチドとして約100μg)を充填した。本チップを注射筒に装填し、1mLの空気とともに組成物を鼻腔内に噴霧した。経鼻投与後5分にグルコースを0.5g/kgの投与量で尾静脈内投与し、経鼻投与後15分(グルコース投与後10分)に腹部大動脈から採血した。血糖値を血糖測定器(フリースタイルキッセイ、キッセイ薬品工業株式会社)で測定した(各群ともn=3)。なお、対照群のラットには、鼻腔内には何も投与せず、グルコース投与のみを行った。
その結果を、下記表8に示した。インクレチンホルモンを投与していない対照群の血糖値は196mg/dL(ラット3匹の平均値)であった。インクレチンホルモンを含む組成物は、対照群と比較して血糖値が低下した。また、いずれのインクレチンホルモンにおいても5%コーンスターチ添加の組成物のほうが、未添加の組成物より血糖値が低下した。
これらの結果から、本経鼻吸収用医薬組成物で種々のインクレチンホルモンを鼻粘膜から吸収させることが可能であり、デンプンの添加でこの吸収促進作用が改善することが明らかとなった。
参考例5:[Lys 26 ,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl )}]−GLP−1(7−37)の合成
塩化メチレン(30mL)で膨潤させたCl−Trt(2−Cl)樹脂(5g,6.9mmol)に、Fmoc−Glu−OtBu(5.8g,13.7mmol)とDIPEA(1.5g,11.8mmol)の塩化メチレン溶液(20mL)を加え、緩やかに30分攪拌した後、樹脂をフィルター上でろ過し、塩化メチレン、イソプロパノール、塩化メチレンの順で洗浄した。このものに20%ピペリジン/DMF(30mL)を加え、20分間緩やかに攪拌し、樹脂をフィルター上で、濾取、次いでDMF、イソプロパノール、塩化メチレンの順で洗浄し乾燥した。得られたH−Glu(α−OtBu)−Trt(2−Cl)樹脂(6.1g,6.9mmol)をN−メチルピロリドン(NMP)/塩化メチレン混液(1:1,30mL)に懸濁させ、3当量のパルミチン酸(5.3g,20.7mmol)、HOBt(2.8g,20.7mmol)、および水溶性カルボジイミド(4.0g,20.7mmol)を加え、終夜緩やかに攪拌した。反応樹脂を塩化メチレン、NMP、塩化メチレンの順で洗浄した後、乾燥して得られたpalmitoyl−Glu(α−OtBu)−Trt(2−Cl)樹脂(8g,6.9mmol)に、酢酸/TFE/塩化メチレン混液(1:2:7,20mL)を加え20分間攪拌した。樹脂をフィルター上に濾去し、TFE10mLで洗いこんだ後、濾液を濃縮して得られる残渣にヘキサンを加え沈殿とした。更に、塩化メチレン/ヘキサンから再結晶し、26位Lys側鎖に導入するグルタミン酸誘導体;palmitoyl−Glu(α−OtBu)を2.0g得た(収率66%)。ESI−MS:[M+H]442.3、[M+Na]462.4、(M理論値441.3)。
次にABI社製433Aペプチド自動合成機を用い、Fmoc法(0.25mmolプロトコル)にて、縮合と脱Fmocを繰り返し、Fmoc−His(Trt)−Ala−Glu(OtBu)−Gly−Thr(Trt)−Phe−Thr(Trt)−Ser(tBu)−Asp(tBu)−Val−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Tyr(tBu)−Leu−Glu(OtBu)−Gly−Gln(Trt)−Ala−Ala−Lys(4−methyltrityl)−Glu(OtBu)−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Arg(Pmc)−Gly−Arg(Pmc)−Gly−Wang樹脂(1.5g,約0.25mmol)を構築した。本保護樹脂に、1%TFA/5%TIPS/塩化メチレン(30mL)を30分作用させ、26位Lysの側鎖4−methyltrityl基を除去した。5%DIPEA/塩化メチレンで中和し、塩化メチレンで洗浄、NMP(30mL)で膨潤させた後、HOBt(135mg,1mmol)存在下、DCC(260mg,1mmol)でpalmitoyl−Glu(α−OtBu)(441mg,1mmol)を3時間反応させた。得られたペプチド樹脂を20%ピペリジンで脱Fmoc後、88%TFA/2%TIPS/5%水/5%フェノール(20mL)で1時間処理した。樹脂をフィルター上で除去後、TFA10mLで洗い込み、濾液を濃縮してエーテルで沈殿とした(720mg)。得られた粗ペプチドのうち500mgを飽和尿素液(200mL)に溶かし、C4(YMC−pack,PROTEIN−RP、2cm x 25cm)を用いた逆相HPLCで精製した。すなわち、5から10mL/分の流速で、0.1%TFA中アセトニトリル濃度を13%から60%まで直線的に変化させた。目的物を含む画分を集め凍結乾燥して、目的ペプチド145mgを得た。ESI−MS:理論値;3751.2、測定値;3751。6N塩酸加水分解後のLeu基準アミノ酸組成比:Asx 0.97(1)、Thr 1.89(2)、Ser 2.75(3)、Glx 5.08(5)、Gly 4.05(4)、Ala 4.01(4)、Val 1.93(2)、Ile 0.99(1)、Leu 2、Tyr 0.91(1)、Phe 1.90(2)、Lys 1.10(1)、His 0.90(1)、Arg 1.92(2)
参考例6:GLP−1(7−37)の合成
Fmoc−Arg(Pmc)−Wang樹脂を出発物質として、ABI社製433Aペプチド自動合成機を用い、Fmoc法(0.25mmolプロトコル)にて、H−His(Trt)−Ala−Glu(OtBu)−Gly−Thr(Trt)−Phe−Thr(Trt)−Ser(tBu)−Asp(OtBu)−Val−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Tyr(tBu)−Leu−Glu(OtBu)−Gly−Gln(Trt)−Ala−Ala−Lys(Boc)−Glu(OtBu)−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys(Boc)−Gly−Arg(Pmc)−Wang樹脂(1.1g)を構築した。得られたペプチド樹脂のうち600mgを88%TFA/2%TIPS/5%水/5%フェノール(20mL)で1時間処理し、樹脂を除去後、濾液を濃縮、エーテルで沈殿とした(380mg)。得られた粗ペプチドを精製水(20mL)に溶かし、C4(YMC−pack,PROTEIN−RP、2cm x 25cm)を用いた逆相HPLCで精製した。すなわち、10mL/分の流速で、0.1%TFA中アセトニトリル濃度を9%から68%まで直線的に変化させた。目的物を含む画分を集め凍結乾燥して、目的ペプチド53mgを得た。ESI−MS:理論値;3355.7、測定値;3355。6N塩酸加水分解後のLeu基準アミノ酸組成比:Asx 1.00(1)、Thr 1.99(2)、Ser 2.79(3)、Glx 4.10(4)、Gly 4.01(4)、Ala 4.02(4)、Val 1.92(2)、Ile 0.98(1)、Leu 2、Tyr 0.92(1)、Phe 1.92(2)、Lys 2.18(2)、His 0.96(1)、Arg 0.94(1)
参考例7:[Val 8 ]GLP−1(7−37)の合成
Fmoc−Arg(Pmc)−Wang樹脂を出発物質として、ABI社製433Aペプチド自動合成機を用い、Fmoc法(0.25mmolプロトコル)にて、H−His(Trt)−Val−Glu(OtBu)−Gly−Thr(Trt)−Phe−Thr(Trt)−Ser(tBu)−Asp(OtBu)−Val−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Tyr(tBu)−Leu−Glu(OtBu)−Gly−Gln(Trt)−Ala−Ala−Lys(Boc)−Glu(OtBu)−Phe−Ile−Ala−Trp−Leu−Val−Lys(Boc)−Gly−Arg(Pmc)−Wang樹脂(1.4g)を構築した。得られたペプチド樹脂0.7gを88%TFA/2%TIPS/5%水/5%フェノール(20mL)で1時間処理し、樹脂を除去後、濾液を濃縮、エーテルで沈殿とした(327mg)。得られた粗ペプチドを精製水(50mL)に溶かし、C4(YMC PROTEIN−RP、2.5cm x 30cm)を用いた逆相HPLCで精製した。すなわち、10mL/分の流速で、0.1%TFA中アセトニトリル濃度を5%から72%まで直線的に変化させた。目的物を含む画分を集め凍結乾燥して、目的ペプチド75mgを得た。ESI−MS:理論値;3383.8、測定値;3383。6N塩酸加水分解後のLeu基準アミノ酸組成比:Asx 0.99(1),Thr 1.98(2),Ser 2.80(3),Glx 4.10(4)、Gly 4.01(4)、Ala 3.03(3)、Val 2.86(3)、Ile 0.98(1)、Leu 2、Tyr 0.92(1)、Phe 1.92(2)、Lys 2.18(2)、His 0.92(1)、Arg 0.94(1)
参考例8:Exendin−4の合成
Fmoc−Ser(tBu)−Wang樹脂を出発物質として、Fmoc法(0.25mmolプロトコル)にて、H−His(Trt)−Gly−Glu(OtBu)−Gly−Thr(Trt)−Phe−Thr(Trt)−Ser(tBu)−Asp(OtBu)−Leu−Ser(tBu)−Lys(Boc)−Gln(Trt)−Met−Glu(OtBu)−Glu(OtBu)−Ala−Val−Arg(Pmc)−Leu−Phe−Ile−Glu(OtBu)−Trp−Leu−Lys(Boc)−Asn(Trt)−Gly−Gly−Pro−Ser(tBu)−Ser(tBu)−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Pro−Ser(tBu)−Wang樹脂(1.9g)を構築した。得られたペプチド樹脂1.9gを88%TFA/2%TIPS/5%水/5%フェノール(20mL)で1時間処理し、樹脂を除去後、濾液を濃縮、エーテルで沈殿とした(870mg)。得られた粗ペプチドを精製水(80mL)に溶かし、C4(YMC PROTEIN−RP、2.5cm x 30cm)を用いた逆相HPLCで精製した。すなわち、10mL/分の流速で、0.1%TFA中アセトニトリル濃度を18%から72%まで60分間直線的に変化させた。目的物を含む画分を集め凍結乾燥して、目的ペプチド270mgを得た。ESI−MS:理論値;4186.6、測定値;4186。6N塩酸加水分解後のLeu基準アミノ酸組成比:Asx 1.99(2),Thr 1.97(2),Ser 4.77(5),Glx 6.06(6)、Gly 4.97(5)、Ala 2.02(2)、Val 0.94(1)、Met 0.68(1)、Ile 0.98(1)、Leu 3、Phe 1.90(2)、Lys 2.17(2)、His 0.98(1)、Arg 0.92(1)、Pro 3.96(4)
調製例28:GLP−1(7−37)経鼻製剤(5%トウモロコシデンプン+0 .01%塩化ベンザルコニウム)の調製
約269mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径:13.3μm)を約15mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として9.03mg相当量のGLP−1(7−37)の粉末(約10.8mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.2mg)を加えて混合し、試料粉末を約252mg得た。この試料粉末中のGLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に107μgのGLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例29:GLP−1(7−37)経鼻製剤(0.01%塩化ベンザルコニウ ム)の調製
ペプチド成分として8.75mg相当量のGLP−1(7−37)の粉末(約10.5mg)を量り、徐々に約284mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.9mg)を加えて混合し、試料粉末を約258mg得た。この試料粉末中のGLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に102μgのGLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例30:[Val 8 ]−GLP−1(7−37)経鼻製剤(5%トウモロコ シデンプン+0.01%塩化ベンザルコニウム)の調製
約269mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径:13.3μm)を約15mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として9.38mg相当量の[Val8]−GLP−1(7−37)の粉末(約13mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(3.1mg)を加えて混合し、試料粉末を約261mg得た。この試料粉末中の[Val8]−GLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に108μgの[Val8]−GLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例31:[Val 8 ]−GLP−1(7−37)経鼻製剤(0.01%塩化 ベンザルコニウム)の調製
ペプチド成分として9.31mg相当量の[Val8]−GLP−1(7−37)の粉末(約13mg)を量り、徐々に約284mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.6mg)を加えて混合し、試料粉末を約252mg得た。この試料粉末中の[Val8]−GLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に111μgの[Val8]−GLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例32:Exendin−4経鼻製剤(5%トウモロコシデンプン+0.0 1%塩化ベンザルコニウム)の調製
約270mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径:13.3μm)を約15mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として9.08mg相当量のExendin−4の粉末(約12mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(3.0mg)を加えて混合し、試料粉末を約255mg得た。この試料粉末中のExendin−4の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に107μgのExendin−4を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例33:Exendin−4経鼻製剤(0.01%塩化ベンザルコニウム) の調製
ペプチド成分として9.00mg相当量のAmylin:Exendin−4の粉末(約12mg)を量り、徐々に約285mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.6mg)を加えて混合し、試料粉末を約260mg得た。この試料粉末中のExendin−4の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に104μgのExendin−4を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例34:[Lys 26 ,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoy l)}]−GLP−1(7−37)(5%トウモロコシデンプン+ 0.01%塩化ベンザルコニウム)の調製
約270mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径:13.3μm)を約15mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として9.23mg相当量の[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)の粉末(約12mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.7mg)を加えて混合し、試料粉末を約245mg得た。この試料粉末中の[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に113μgの[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例35:[Lys 26 ,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoy l)}]−GLP−1(7−37)(0.01%塩化ベンザルコニ ウム)の調製
ペプチド成分として9.08mg相当量の[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)の粉末(約12mg)を量り、徐々に約285mgの炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.03mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。デシケータ中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(2.4mg)を加えて混合し、試料粉末を約265mg得た。この試料粉末中の[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に103μgの[Lys26,ε−NH{γ−Glu(N−α−palmitoyl)}]−GLP−1(7−37)を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
実施例5:酸性ペプチドに対するデンプン添加の経鼻吸収促進効果
インクレチンホルモン以外の酸性ペプチドの例として、ヒトインスリンの経鼻吸収に対するデンプン添加の効果を、サルを用いて検討した。本試験では担体として平均粒子径51.9μmの炭酸カルシウム、あるいはショ糖硫酸エステルアルミニウム塩(スクラルファート)を使用した。調製例38に記載した方法に従い、1.0%道明寺粉の添加剤を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。ヒトインスリンの投与量を、約25IU(国際単位)/頭/40mgになるように調製し添加剤を含まない2つの処方、すなわち炭酸カルシウム、およびスクラルファートとヒトインスリンの組み合わせをコントロールにおいた。
体重3kg前後のカニクイザルを用い、調製例36〜38の組成物をユニシアジェクス社製の鼻腔内噴霧器で約40mg経鼻投与し、投与後0、5、15、60、90、120分後における血漿中インスリン濃度ならびに血漿中グルコース濃度を、それぞれインスリン・RIAビーズII(ダイナボット株式会社)、血糖測定器フリースタイルキッセイ(キッセイ薬品株式会社)で測定した(各群ともn=2)。
結果を表9と表10に示す。添加剤未添加の製剤でもヒトインスリン吸収とそれに伴う血糖低下がみられたが、1.0%道明寺粉の添加により、ヒトインスリンの吸収が増大し、血糖降下作用も強くかつ早く出現した。
調製例36:インスリン−スクラルファート製剤の調製
ヒトインスリン製剤(ヒューマリンR、100IU/mL、塩野義製薬株式会社)1mLをスクラルファート120mgに加え練合した。このものを減圧乾燥し、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約1.2mg)を加えて混合した。2号カプセルに40mgを充填し、カプセル中に約25IUのヒトインスリンを含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例37:ヒトインスリン−炭酸カルシウム製剤の調製
ヒトインスリン製剤(ヒューマリンR、100IU/mL、塩野義製薬株式会社)1mLを炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)120mgに加え、練合した。このものを減圧乾燥し、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約1.2mg)を加えて混合した。2号カプセルに40mgを充填し、カプセル中に約25IUのヒトインスリンを含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例38:1%道明寺粉を含むヒトインスリン−炭酸カルシウム製剤の調製
1.2mgの道明寺粉をヒトインスリン製剤(ヒューマリンR、100IU/mL、塩野義製薬株式会社)1mLに懸濁させた溶液を炭酸カルシウム(平均粒子径:53.6μm)120mgに加え練合した。このものを減圧乾燥し、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約1.2mg)を加えて混合した。2号カプセルに40mgを充填し、カプセル中に約25IUのヒトインスリンを含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
実施例6:添加剤として用いるデンプンの平均粒子径による経鼻吸収率の差
GLP−1(7−26)NH2を用いて、添加するデンプンの平均粒子径による経鼻吸収率の差をラットにおける血糖低下作用を指標に検討した。本試験では以下に示す粒子径の異なる2種類のデンプンを添加剤に使用した。
トウモロコシデンプン:平均粒子径;13.3μm、中心分布;14μm、分布領域;5.5〜30μm
バレイショデンプン:平均粒子径;37.7μm、中心分布;45μm、分布領域;5.5〜105μm
体重約300gのCD(SD)系ラットをペントバルビタールで麻酔した。ピペット用チップ(GPS−250,RAININ)の先端に調製例39〜41の組成物3mg(ペプチドとして90μg)を充填した。本チップを注射筒に装填し、1mLの空気とともに組成物を鼻腔内に噴霧した。経鼻投与後5分にグルコースを0.5g/kgの投与量で尾静脈内投与し、経鼻投与後15分(グルコース投与後10分)に腹部大動脈から採血した。血糖値を血糖測定器(フリースタイルキッセイ、キッセイ薬品工業株式会社)で測定した(各群ともn=3)。結果を表11にまとめた。
GLP−1(7−36)NH2を投与していない対照群の血糖値は196mg/dL(ラット3匹の平均値)であった。GLP−1(7−36)NH2を含む組成物については、添加剤を含まない組成物、5%トウモロコシデンプンを含む組成物および5%バレイショデンプンを含む組成物の血糖値は、それぞれ170mg/dL、157mg/dLおよび182mg/dLでありGLP−1(7−36)NH2を含む組成物はいずれも対照群と比較して血糖値が低下した。しかしながら、デンプンの添加による吸収促進効果は、バレイショデンプンでは顕著ではなく、粒度の細かいトウモロコシデンプンを含む組成物の血糖低下作用が強かった。
表11に示す結果から明らかなように、GLP−1(7−36)NH2の経鼻吸収は、添加剤として使用したデンプンの平均粒子径が細かい粒子径が良好であり、大きいデンプンでは吸収促進効果が殆どないことが判明した。
調製例39:デンプン未添加の製剤の調製
ペプチド成分として90.2mg相当量のGLP−1(7−36)NH2粉末(約108mg)を量り、徐々に約2.86gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)を添加し、よく混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約30mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.95g得た。この試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に92μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例40:デンプン添加の製剤(5%トウモロコシデンプン)の調製
約2.71gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にトウモロコシデンプン(日局;平均粒子径13.3μm)を約150mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として89.2mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約107mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約29mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.90g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に92μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
調製例41:デンプン添加の製剤(5%バレイショデンプン)の調製
約2.71gの炭酸カルシウム(平均粒子径53.6μm)にバレイショデンプンB(日局;平均粒子径37.7μm)を約150mg添加し、よく混合したのち、精製水を加え練合した。凍結乾燥機で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過した。ペプチド成分として89.5mg相当量のGLP−1(7−36)NH2の粉末(約107mg)を量り、乾燥品と混合した。本混合粉末に塩化ベンザルコニウムを0.3mg含む溶液を加え、更に精製水を加え練合した。凍結乾燥機中で終夜減圧乾燥させ、得られた乾燥品を180μmの篩で篩過後、全重量の1.0%となる量のステアリン酸カルシウム(約29mg)を加えて混合し、試料粉末を約2.88g得た。試料粉末中のGLP−1(7−36)NH2の含量を逆相HPLCで測定し、3mg中に93μgのGLP−1(7−36)NH2を含む経鼻吸収用医薬組成物を調製した。
産業上の利用の可能性
以上記載したように、本発明によれば、これまで経口投与を含む非注射投与が困難であった生理活性ポリペプチド、特に溶液安定性に問題があった等電点7以下の酸性生理活性ポリペプチドについて、生理活性ポリペプチドと、それを担体表面に分散、包埋ならしめ得る添加剤と、水に不溶または難溶の担体とからなる医薬組成物とすることによって初めて経鼻投与により吸収性が良い経鼻吸収用医薬組成物が提供される。
したがって、本発明の経鼻吸収用医薬組成物は、非注射投与経路が確立されていないインスリン分泌促進ポリペプチド等を粉末組成物として経鼻投与すること、すなわち鼻粘膜に適用することにより、その組成物中に含有されるポリペプチドの生体内吸収性に優れ、有効な臨床的治療が可能であることを示すものであり、その医療効果は多大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例2における、皮下投与による投与をしたときのGLP−1(7−36)NH2の血中濃度推移を示す図である。
第2図は、実施例2における、担体として炭酸カルシウムを用い、添加剤を含まない組成物を経鼻投与したときのGLP−1(7−36)NH2の血中濃度推移を示す図である。
第3図は、実施例2における、担体としてスクラルファートを用い、添加剤を含まない組成物を経鼻投与したときのGLP−1(7−36)NH2の血中濃度推移を示す図である。
第4図は、実施例2における、添加剤を含有した組成物を経鼻投与したときのGLP−1(7−36)NH2の血中濃度推移を示す図である。
Claims (16)
- 等電点が7以下である酸性生理活性ポリペプチドと、それを担体表面に分散、包埋ならしめうる平均粒子径が1μm以上20μm未満であって水に不溶または難溶の添加剤であるデンプンと、平均粒子径が10μm以上100μm以下であって水に不溶または難溶の多価金属化合物である担体とからなり、添加剤の平均粒子径は担体の平均粒子径よりも小さいものである経鼻吸収用医薬組成物。
- 多価金属化合物がアルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、鉄化合物または亜鉛化合物である請求項1に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- アルミニウム化合物が、乾燥水酸化アルミニウム・ゲル、合成ケイ酸アルミニウム、軽質酸化アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウムマグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム・ゲル、ジヒドロキシアルミニウムアセテート、ステアリン酸アルミニウム、天然ケイ酸アルミニウム、モノステアリン酸アルミニウムから選択される一種である請求項2に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- カルシウム化合物が、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、無水リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、糖酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、パラアミノサリチル酸カルシウム、生体内石灰化合物から選択される一種である請求項2に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- マグネシウム化合物が、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム・マグネシウムから選択される一種である請求項2に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- ケイ素化合物が、含水二酸化ケイ素、形質無水ケイ酸、合成ヒドロタルサイト、ケイソウ土、二酸化ケイ素から選択される一種である請求項2に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- 亜鉛化合物が、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛から選択される一種である請求項2に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- 多価金属化合物の平均粒子径が20以上60μm以下である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- 酸性生理活性ポリペプチドが、以下のポリペプチドから選択される一種である請求項1ないし請求項8に記載の経鼻吸収用医薬組成物:カルシトニン、カタカルシン、コレシストキニン12、コレシストキニン8、コルチコトロピン−リポトロピン前駆体、コルチコトロピン様中間ペプチド、リポトロピンβ、リポトロピンγ、メラノトロピンβ、コルチコリベリン、エンドセリン−1、エンドセリン−2、エンドセリン−3、ガラニンメッセージペプチド、ガストリン−71、ガストリン−34、ガストリン−17、ガストリックインヒビトリーポリペプチド、グリセンチンリレーティッドポリペプチド、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−1アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Lys26,ε-NH{γ-Glu(N-α-palmitoyl)}]-グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、グルカゴン様ペプチド−1(9−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(9−37)、グルカゴン様ペプチド−2、エクセンジン−3、エクセンジン−4、インスリンβ鎖、インスリンα鎖、インスリン、プロゴナドリベリンI、ゴナドリベリンII、ゴナドリベリン関連ペプチドI、ニューロメジンC、インスリン様蛋白質(INSL)A鎖、モチリン関連ペプチドE、ロイシン−エンケファリン、メチオニン−エンケファリン、ロイモルフィン、オキシトシン、ニューロフィジン1、ニューロフィジン2、コペプチン、ニューロメジンB、ニューロメジンN、ニューロペプチドY、ニューロペプチドAF、PACAP−関連ペプチド、パンクレアティックホルモン、パンクレアティックアイコサペプチド、ペプチドYY、チロリベリン、ニューロキニンA、ウロコルチン、ウロテンシンII、インテスティナルペプチド(PHM−27)、インテスティナルペプチド−42。
- 酸性生理活性ポリペプチドがグルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−1アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Lys26,ε-NH{γ-Glu(N-α-palmitoyl)}]-グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、グルカゴン様ペプチド−1(9−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(9−37)、グルカゴン様ペプチド−2、エクセンジン−3、エクセンジン−4、グルカゴン、ガストリックインヒビトリーポリペプチド、インスリンおよびこれらの誘導体である請求項9に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- ペプチド性インクレチンと、それを担体表面に分散、包埋ならしめうる平均粒子径が1μm以上20μm未満であって水に不溶または難溶の添加剤であるデンプンと、平均粒子径が10μm以上100μm以下であって水に不溶または難溶の多価金属化合物である担体とからなり、添加物の平均粒子径は担体の平均粒子径よりも小さいものである請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- ペプチド性インクレチンが、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−1アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−36)アミド、[Val8]−グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、[Lys26,ε-NH{γ-Glu(N-α-palmitoyl)}]-グルカゴン様ペプチド−1(7−37)、グルカゴン様ペプチド−1(9−36)アミド、グルカゴン様ペプチド−1(9−37)、グルカゴン様ペプチド−2、エクセンジン−3、エクセンジン−4、グルカゴン、ガストリックインヒビトリーポリペプチドおよびこれらの誘導体である請求項11に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- デンプンがアミロペクチンとアミロースをそれぞれ単独、あるいは任意の割合で含むデンプンである請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- デンプンが米粉、コメデンプン、コメ由来ベータ型デンプン(うるち型)、コメ由来ベータ型デンプン(もち型)、コメ由来アルファー化デンプン(うるち型)、コメ由来アルファー化デンプン(もち型)、トウモロコシデンプン、トウモロコシ由来ベータ型デンプン(うるち型)、トウモロコシ由来ベータ型デンプン(もち型)、トウモロコシ由来アルファー化デンプン(うるち型)、トウモロコシ由来アルファー化デンプン(もち型)、バレイショデンプン、バレイショ由来ベータ型デンプン(うるち型)、バレイショ由来アルファー化デンプン(うるち型)、コムギ由来アルファー化デンプン(うるち型)またはこれらのデンプンを部分的にα化したデンプンである請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の経鼻吸収用医薬組成物。
- 請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の経鼻吸収用医薬組成物とDPP-IV阻害剤を含有する医薬組成物。
- DPP-IV阻害剤が、ジプロチンA、バシトラシン、またはイソロイシンチアジリジドである請求項15に記載の医薬組成物。
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