JP5964727B2 - α―フムラジエノンの製造方法 - Google Patents

α―フムラジエノンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、香料として有用なα―フムラジエノン((4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノン)の製造方法に関するものである。
α―フムラジエノンはホップ抽出物等から見出された天然化合物であり、ウッディ・ハーバル様の香気を有することから、食品香料としての有用性が期待されている。α―フムラジエノンの製造方法としては数件の報告があるが、いずれもフムレンエポキシドを経由しており、例えば(a)フムレンエポキシドを金属触媒等によりケトンに転位させる方法[Russian.J.Org.Chem.1997,(33),595]、(b)フムレンエポキシドを酸触媒によりアリルアルコールへ転位させる方法[Tetrahedron 1968,(24),4123]、(c)フムレンエポキシドを還元反応してエポキシ環を開環させる方法[J.Org.Chem.1975,(40),479]のように3つに分類できる。
しかしながら、上記(a)の従来法では、アスカナイト・ベントナイトあるいは硫酸化アルミナなどの固体触媒を比較的大量に用いる必要があり、経済的な点から工業的に有利とは言い難い。また反応基質(原料)となるフムレンエポキシドの調製においても、下記反応式:
Figure 0005964727
の通りエポキシドの位置選択性が(4):(5):(6)=83:13:4と悪い。副生成物のうち特に式(6)の化合物については、最終製品において式(7)および式(8):
Figure 0005964727
で示される構造を持つ非天然型の不純物となるため、精製の回数や方法および収率の低下が問題となる。また上記(b)の従来法では、転位生成物におけるアリル位二重結合を、α―フムラジエノンの構造において必要な位置にある2つの二重結合と区別して、選択的に水素化しなければならず効率的とは言い難い。さらに、上記(c)の従来法はバーチ還元によるエポキシ開環反応であり、厳重な取り扱い方法を要する金属リチウムあるいは金属ナトリウムが使用される。加えて生成する化合物における水酸基の選択性が悪く、度重なる精製工程が必要となり実用的でない。
Russian.J.Org.Chem.1997,(33),595. Tetrahedron 1968,(24),4123. J.Org.Chem.1975,(40),479. J.Agric.Food Chem.2001,(49),3867.
本発明の目的は、香料として有用なα―フムラジエノンを、簡便な操作で、高い選択性で非天然型の異性体を含むことなく、高純度で製造できる方法を提供することである。
上記の目的を達成すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、有機ホウ素試薬を用いたヒドロホウ素化−酸化反応により、α―フムラジエノンの合成中間体として有用な(4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノール(以下α―フムレノールと記す)が、高収率で、高い選択性で生成すること、そしてそれによって生成した前記α―フムレノールを酸化剤を用いて酸化することで、目的とするα―フムラジエノンが、簡便な操作で、収率よく、高選択的に高純度で得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、工程(i):式(2)
Figure 0005964727
で示されるα―フムレンをヒドロホウ素化−酸化反応により式(3)
Figure 0005964727
で示されるα―フムレノールを製造し、
工程(ii):式(3)のアルコール化合物を酸化剤により酸化して、式(1)
Figure 0005964727
で示されるα―フムラジエノンにすることを特徴とする、α―フムラジエノンの製造方法である。
さらに、本発明は、(i) α―フムレンのヒドロホウ素化−酸化反応を、9−BBN(9−ボラビシクロノナン)を用いて行う前記(i)の製造方法;(iii) 中間体α―フムレノールの酸化反応を、TPAP(テトラプロピルアンモニウムパールテネート)を用いて行う前記(i)〜(ii)のいずれかの製造方法;を好ましい態様として包含する。
本発明の方法による場合は、ウッディ・ハーバル様香気を有し香料として有用なα―フムラジエノンを、簡便な操作により、高率収率で且つ高い選択性で製造することができる。本発明の方法により得られるα―フムラジエノンは、非天然型異性体を含まないため、食品香料として有効に用いることができる。
以下に本発明について具体的に説明する。本発明では、式(2)で示されるα―フムレンをヒドロホウ素化−酸化反応させることにより、式(3)で示されるα―フムレノール(合成中間体)を製造する。該α―フムレノールを適当な酸化剤を用いて酸化することで、目的のα―フムラジエノンを製造することができる。
Figure 0005964727
具体的には、定法により、先ず、式(2)のα―フムレンをヒドロホウ素化してアルキルボラン中間体を生成し、これに塩基性下で過酸化水素水を反応させることにより、合成中間体である式(3)のα―フムレノールを得る(ヒドロホウ素化−酸化反応)。次いで、得られたα―フムレノールを、クロム酸などに代表される酸化剤を用いて酸化することにより、所望の式(1)のα―フムラジエノンを得ることができる。
(1)ヒドロホウ素化−酸化反応(α―フムレノールの生成)
ヒドロホウ素化は、好ましくは有機ホウ素試薬を用いて行う。本発明で使用する有機ホウ素試薬としては、R1R2BH(式中、R1及びR2は同一又は異なる炭素数1〜15、好ましくは炭素数4〜10のアルキル基を表し、R1及びR2は一緒になって環を形成してもよい)が好ましく使用される。例えば、ジシアミルボラン、ジテキシルボラン、ジシクロヘキシルボランおよびジイソピノカンフェイルボラン等のジアルキルボラン、9−BBN(9−ボラビシクロノナン)、3,6−ジメチルボレパン等を挙げることができる。いずれも市販品または自家調製したものを使用することができる。そのうちでも、容易に入手が可能であることから、9−BBN、ジシクロヘキシルボラン及び3,6−ジメチルボレパンが好ましく用いられ、更に好ましくはα―フムレノールを独占的な選択性で得ることができる9−BBNが用いられる。有機ホウ素試薬の使用量としては、反応基質(原料)に対して0.5〜1.5当量であることが望ましいが、反応の諸条件に応じ実用的な範囲において任意に選択できる。
ヒドロホウ素化は有機溶媒を使用して行われ、当該有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、エーテル類が特に好ましい。これらの溶媒は、各々単独で用いても、2種以上適宜組み合わせて用いてもよい。溶媒の使用量としては、反応基質(原料)に対して1〜10倍量であることが望ましいが、反応の諸条件に応じ実用的な範囲において任意に選択できる。
ヒドロホウ素化は、室温を含む広い温度範囲で行うことができるが、反応熱の制御、副生成物の生成抑制などの点から、0〜50℃の範囲で行うことが望ましい。反応時間は反応温度、試薬の当量、反応基質(原料)の濃度などにより定まるが、目的とする反応が完結するのに充分な時間であればよく、通常1〜20時間程度である。
上記のヒドロホウ素化によって生成したアルキルボラン中間体は、定法に従って、塩基性下で過酸化水素水を反応させて酸化させることにより、合成中間体である式(3)のα―フムレノールを得る。「ヒドロホウ素化−酸化反応」における酸化反応は周知であり、ヒドロホウ素化反応後の混合物に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩類、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等のアルカリ金属・アルカリ土類金属の酢酸塩類、例えば、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類等の塩基性物質を加えて塩基性とし、さらに過酸化水素を添加することにより行う。当該反応は、室温を含む広い温度範囲で行うことができるが、反応熱の制御、副生成物の生成抑制などの点から、0〜50℃の範囲で行うことが望ましい。特に過酸化水素の添加においては、危険性回避のため、0〜40℃の温度が特に好ましい。反応時間は反応温度、試薬の当量、反応基質(原料)の濃度などにより定まるが、目的とする反応が完結するのに充分な時間であればよく、通常1〜20時間程度である。
(2)酸化反応(α―フムラジエノンの生成)
上記(1)の工程により得られたα―フムレノールは、最終生成物であるα―フムラジエノンを生成する酸化反応にそのまま使用することができる。酸化反応に用いる酸化剤は当業者が適宜決定することができる。α―フムレノールの酸化反応に使用する酸化剤としては、TPAP(テトラプロピルアンモニウムパールテネート)やタングステン酸塩に代表される金属触媒類、Jones試薬やPCCに代表されるクロム酸類、TEMPOやAZADOに代表されるオキシラジカル類、Dess−Martin酸化に代表される超原子価ヨウ素化合物類などが挙げられるが、実用的な範囲において任意に選択できる。上記のうち、テトラプロピルアンモニウムパールテネートが特に好ましい。テトラプロピルアンモニウムパールテネートを使用する場合、4−メチルモルホリン−N−オキシド等の再酸化剤を併用することにより、テトラプロピルアンモニウムパールテネートを触媒的に作用させてその使用量を減らしてもよい。また、溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等の有機溶媒を使用することができる。これらの中でも、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類が特に好ましい。
他の反応条件も当業者が適宜決定することができる。反応条件としては、室温を含む広い温度範囲で行うことができるが、反応熱の制御、副生成物の生成抑制などの点から、0〜50℃の範囲で行うことが望ましい。反応時間は反応温度、試薬の当量、反応基質(原料)の濃度などにより定まるが、目的とする反応が完結するのに充分な時間であればよく、通常1〜20時間程度である。酸化反応終了後は、適宜、濾過、溶媒留去、抽出、洗浄等を行うことにより、最終生成物であるα―フムラジエノンを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において物性等の測定に用いた装置は次のとおりである。
1)化学純度及び質量スペクトル
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS):Shimadzu GC−2010,GCMS−QP2010(島津製作所社製)
カラム:シリコン Rtx−1(0.25mm×30m)(Restek社製)、イオン化電圧70eV(EI)
2)核磁気共鳴スペクトル
Mercury Plus 300 4N型(バリアンテクノロジージャパン社製)
内部標準物質:テトラメチルシラン
1H測定周波数 300MHz
13C測定周波数 75MHz(主生成物のケミカルシフトを示す。)
3)赤外吸収スペクトル(IR)
Nicolet Avatar360 FT−IR(ニコレジャパン株式会社製)
[実施例1]
(4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノール(α―フムレノール)の製造
窒素気流下温度計と還流冷却管を付した容量500mlの反応フラスコに、α―フムレン(21.06g:0.103mol)とテトラヒドロフラン(25ml)を仕込み、氷水浴で5℃以下に冷却攪拌しておく。9−BBN(アルドリッチ社製0.5mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(200ml:0.10mol)を、発熱に注意しながら1時間かけて滴下して加えた。滴下後6時間反応させ、終夜放置することによりヒドロホウ素化を行った。
その後、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)(52ml:0.21mol)を滴下して加えた後、過酸化水素水(30%)(35g:0.31mol)を、発熱に注意しながら30分かけて滴下して加えた。40℃以下を保ちながら2時間反応させて酸化を行った。ガスクロマトグラフによりα―フムレンの消失を確認した。硫酸水溶液(10%)(200g:0.20mol)を加えて反応を止め、ヘプタンで抽出した後、水洗2回、飽和食塩水で順次洗浄後、減圧下で溶媒を留去した。粗製のα―フムレノール24.42gを無色透明油状物質として得た。α―フムレンのヒドロホウ素化−酸化反応については、下記反応式;
Figure 0005964727
に示すように、生成物として3つの水酸基の位置異性体が考えられるが、本実施例の反応における水酸基の位置異性体比は(3):(9):(10)=100:0:0であった。
IR(neat):3344,2954,2859,1662,1453,1383,1362,1173,1107,989,869,821,781 cm-1.
Mass(m/z):222(M+),151,123,110,95,82,67,55,43.
1H-NMR(CDCl3,δin ppm) 5.08(1H,dd,4.2,11.4Hz), 4.99(1H,s), 4.97(1H,t,1.8Hz), 3.79(1H,dd,3,7.8Hz), 2.29-2.11(2H,m), 2.05-1.73(3H,m), 1.64-1.43(2H,m), 1.59(3H,s), 1.34-1.11(2H,m), 1.06(3H,s), 1.02(3H,s), 0.86(3H,d,6.9Hz).
13C-NMR(CDCl3,δin ppm) 140.67(t), 136.58(q), 123.84(t), 122.90(t), 72.29(t), 41.83(s), 39.41(t), 38.18(s), 37.91(q), 36.92(s), 29.95(p), 28.31(s), 24.21(p), 17.01(p), 13.10(p).
α―フムラジエノン((4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノン)の製造
窒素気流下温度計と還流冷却管を付した容量500mlの反応フラスコに、粗α―フムレノール(23.42g:0.105mol)とアセトニトリル(220ml)、モレキュラーシーブス4A(45g)および4−メチルモルホリン−N−オキシド(16.04g:0.134mol)を仕込み、室温で攪拌しておく。テトラプロピルアンモニウムパールテネート(0.74g:0.002mol)を一度に加え、氷水浴で40℃以下に保ちながら3時間反応させた。ガスクロマトグラフによりα―フムレノールの消失を確認した。硫酸水溶液(10%)(100g:0.10mol)およびセライト545(40g)を加えて攪拌し、濾過して固形物を除去した。減圧下溶媒を留去しヘプタンで抽出した後、水洗2回、飽和食塩水で順次洗浄後、減圧下溶媒留去し、減圧蒸留で精製することにより(沸点84〜85℃:80Pa)、α―フムラジエノン15.36g(収率66.2%)を無色透明油状物質として得た。
IR(neat):2958,2871,1714,1668,1458,1385,1363,1179,1098,1052,972,905,840 cm-1
Mass(m/z):220(M+),205,164,152,138,123,109,96,82,67,55,41.
1H-NMR(CDCl3,δin ppm) 5.20(1H,ddd,6,8.4,15.9Hz), 5.01(1H,s), 4.96(1H,t,7.8Hz), 2.72-2.56(2H,m), 2.38-2.26(2H,m), 2.24(1H,s), 2.21-2.13(2H,s), 1.80(2H,d,7.8Hz), 1.60(3H,s), 1.02(3H,d,7.2Hz), 1.00(3H,s), 0.97(3H,s).
13C-NMR(CDCl3,δin ppm) 215.88(q), 139.97(t), 134.16(q), 124.93(t), 124.51(t), 49.66(t), 41.31(s), 40.26(s), 37.36(q), 36.26(s), 34.68(s), 27.41(p), 26.85(p), 17.08(p), 16.98(p).
[実施例2]
ジシクロヘキシルボラン試薬によるα―フムレノールの製造
窒素気流下温度計と還流冷却管を付した容量50mlの反応フラスコに、ジボラン(関東化学社製0.93mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(10.75ml:0.01mol)を仕込み、−30℃に冷却し攪拌しておく。シクロヘキセン(1.64g:0.02mol)を−30℃を保ちながら滴下して加えた。その後0℃で2時間反応させた。得られたジシクロヘキシルボラン溶液に、α―フムレン(2.04g:0.01mol)を、0℃を保ちながら滴下して加えた。滴下後6時間反応させ、終夜放置することによりヒドロホウ素化を行った。
その後、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)(5ml:0.02mol)を滴下して加えた後、過酸化水素水(30%)(3.4g:0.03mol)を、発熱に注意しながら5分かけて滴下して加えた。40℃以下を保ちながら2時間反応させて酸化を行った。ガスクロマトグラフによりα―フムレンの消失を確認した。硫酸水溶液(10%)(20g:0.02mol)を加えて反応を止め、ヘプタンで抽出した後、水洗2回、飽和食塩水で順次洗浄後、減圧下で溶媒を留去した。粗製のα―フムレノール2.15gを無色透明油状物質として得た。ガスクロマトグラフにより、転化率97.0%、水酸基の位置異性体比は(3):(9):(10)=94:3:3であることを確認した。
[実施例3]
3,6−ジメチルボレパン試薬によるα―フムレノールの製造
窒素気流下温度計と還流冷却管を付した容量50mlの反応フラスコに、ジボラン(関東化学社製0.93mol/Lテトラヒドロフラン溶液)(10.75ml:0.01mol)を仕込み、−30℃に冷却し攪拌しておく。2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン(1.10g:0.01mol)を−30℃を保ちながら滴下して加えた。その後0℃で2時間反応させた。得られた3,6−ジメチルボレパン試薬溶液に、α―フムレン(2.04g:0.01mol)を、0℃を保ちながら滴下して加えた。滴下後6時間反応させ、終夜放置することによりヒドロホウ素化を行った。
その後、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)(5ml:0.02mol)を滴下して加えた後、過酸化水素水(30%)(3.4g:0.03mol)を、発熱に注意しながら5分かけて滴下して加えた。40℃以下を保ちながら2時間反応させて酸化を行った。ガスクロマトグラフによりα―フムレンの消失を確認した。硫酸水溶液(10%)(20g:0.02mol)を加えて反応を止め、ヘプタンで抽出した後、水洗2回、飽和食塩水で順次洗浄後、減圧下で溶媒を留去した。粗製のα―フムレノール1.88gを無色透明油状物質として得た。ガスクロマトグラフにより、転化率84.2%、水酸基の位置異性体比は(3):(9):(10)=87:7:6であることを確認した。

Claims (10)

  1. 式(1)
    Figure 0005964727
    で示されるα―フムラジエノン((4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノン)の製造方法であって、
    式(2)
    Figure 0005964727
    で示されるα―フムレンに対し、ヒドロホウ素化−酸化反応を行って式(3)
    Figure 0005964727
    で示される(4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノール(α―フムレノール)を生成し、次いで、酸化剤の存在下に酸化することによって式(1)のα―フムラジエノンを得る、前記製造方法。
  2. α―フムレンのヒドロホウ素化−酸化反応を、有機ホウ素試薬を用いて行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 有機ホウ素試薬が、9−BBN(9−ボラビシクロノナン)、ジシクロヘキシルボランおよび3,6−ジメチルボレパンからなる群から選択される、請求項2に記載の製造方法。
  4. 有機ホウ素試薬が9−BBN(9−ボラビシクロノナン)である、請求項3に記載の製造方法。
  5. α―フムレノールの酸化反応を、TPAP(テトラプロピルアンモニウムパールテネート)を用いて行う、請求項1に記載の製造方法。
  6. 式(3)
    Figure 0005964727
    で示される(4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノール(α―フムレノール)の製造方法であって、
    式(2)
    Figure 0005964727
    で示されるα―フムレンに対し、ヒドロホウ素化−酸化反応を行うことによって式(3)のα―フムレノールを得る、前記方法。
  7. α―フムレンのヒドロホウ素化−酸化反応を、有機ホウ素試薬を用いて行う、請求項6に記載の製造方法。
  8. 有機ホウ素試薬が、9−BBN(9−ボラビシクロノナン)、ジシクロヘキシルボランおよび3,6−ジメチルボレパンからなる群から選択される、請求項7に記載の製造方法。
  9. 有機ホウ素試薬が9−BBN(9−ボラビシクロノナン)である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 式(1)
    Figure 0005964727
    で示されるα―フムラジエノン((4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノン)の製造方法であって、
    式(3)
    Figure 0005964727
    で示される(4E,8E)−2,6,6,9−テトラメチルシクロウンデカ−4,8−ジエノール(α―フムレノール)を酸化剤の存在下に酸化することによって式(1)のα―フムラジエノンを得る、前記製造方法。
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