JP4071421B2 - シクロヘキセニルメチルケトンの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は香粧品に使用される香料の中間原料、詳しくは2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b)及び1−シクロヘキセニルメチルケトン(1c)又はそれらの混合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2,6,6−トリメチルシクロヘキセニルメチルケトンはα−又はβ−ダマスコンなどフルーティーフローラル香料の合成中間体として有用な化合物である。天然のバラの鍵香気成分であるα−ダマスコンに代表されるダマスコン類は、非常に重要なフルーティーフローラル香料として商業的に製造され使用されている。このダマスコン類には下記に示す3種の二重結合異性体が存在し、これらは基本的にはフルーティーフローラルの香調を有するが、3種はおのおの独自の香調を有しており、フラグランスの使用目的によって、使いわけられている。
【0003】
【化7】
【0004】
これらダマスコン類{δ−ダマスコン(2a)、α−ダマスコン(2b)、β−ダマスコン(2c)}の製造法に関しては、例えば総説(鳥居滋ら、香料、No.125, 47-60ぺージ、1979年)に記載されているように非常に多くの製造法が報告されているが、2,6,6−トリメチルシクロヘキセニルメチルケトン(1)のアルドール(Aldol)反応に着目した製法として、K.Subrahmania { J.C.S. Perkin 1, 1,727ページ(1975年)}らによる下式のような三種のダマスコンの製法が知られている。
【0005】
【化8】
(式中、破線はいずれか1つが二重結合を意味する。)
【0006】
この反応における原料の1つである2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニルメチルケトン(1a)は下式に示すように、1,3−ペンタジエン(4)とメシチルオキサイド(5)とのディールスアルダー(Diels-Alder)反応により合成されている。
【0007】
【化9】
【0008】
また2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b)は下記に示す方法、即ちイソブテン(6)と4−メチル−3,5−ヘキサジエン−2−オン(7)とのDiels-Alder反応により得られている。
【0009】
【化10】
【0010】
さらに、2,6,6,−トリメチル−1−シクロヘキセニルメチルケトン(1c)は下記に示されるエチレン(8)と3−アセチル−2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン(9)との反応で合成されている。
【0011】
【化11】
【0012】
しかしながら、式(1a)に示される化合物の二重結合の異性化により式(1b)および式(1c)に示されるメチル置換−シクロヘキセニルメチルケトンを合成する方法は知られていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
代表的フルーティーフローラル香料であるα−およびβ−ダマスコンは高価であり、よリ安価な製造法の開発が望まれていた。上述のSubrahmaniaによるダマスコン類の製造法は、2,6,6−トリメチルシクロヘキセニルメチルケトン{(1b)及び(1c)}とアセトアルデヒドとのアルドール反応を鍵とする短工程でのダマスコン類の製造法として利点を有している。しかしながら、2,6,6−トリメチルシクロヘキセニルメチルケトン{(1b)及び(1c)}の製造原料となる4−メチル−3,5−ヘキサジエン−2−オン(7)と3−アセチル−2,4−ジメチル−1,3−ペンンタジエン(9)はそれ自体工業的に入手が困難であり、また仮に製造しても非常に高価であるため、現実的な製造法としては経済的に困難なものであった。従って、本発明の目的はα−およびβ−ダマスコンの合成中間体である2,6,6−トリメチルシクロヘキセニルメチルケトン{(1b)及び(1c)}を、より経済的に製造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記事情に鑑み鋭意検討した結果、(1)で示されるメチル置換−シクロヘキセニルメチルケトンを異性化することにより、α−および/またはβ−ダマスコンの合成原料となる(1b)および/または(1c)で示されるメチル置換−シクロヘキセニルメチルケトンを経済的に製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は、下式に示すように、一般式(1a)で表される3−シクロヘキセニルメチルケトンを異性化触媒の存在下に異性化する、一般式(1b)で表される2−シクロヘキセニルメチルケトン又は一般式(1c)で表される1−シクロヘキセニルメチルケトンまたは上記一般式(1b)と一般式(1c)で表されるシクロヘキセニルメチルケトンの混合物の製造法である。
【0016】
【化12】
(式中、R1,R2,R3はそれぞれ水素原子又はメチル基を示し、R1,R2,R3のうちいずれか2つ以上はメチル基である。)
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b)、1−シクロヘキセニルメチルケトン(1c)及びそれら混合物の新規な製造法を説明する。
本発明の異性化反応の原料である3−シクロヘキセニルメチルケトン(1a)は、例えばK.Subrahmaniaら、J.C.S. Perkin 1, 1,727ページ(1975年)に示されるように、上記反応式に従い、即ち、1,3−ペンタジエン(4)とメシチルオキサイド(5)とを塩化アルミニウムを触媒として用い、Diels-Alder反応を行うことにより合成することができる。
【0018】
本発明の異性化反応の触媒としては以下に示すような化合物が挙げられる。即ち、酸性触媒として、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、p-トルエンスルホン酸、アンバーリスト15、ナフィオンH、活性白土などが本異性化反応に使用可能である。又、塩基性触媒として、リチウムジエチルアミド、ナトリウムジエチルアミド、ナトリウムシクロヘキシルアミドなどの金属アミド触媒、また、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属アルコラート類、遷移金属(パラジウム、ルテニウム、ロジウム)のシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライトおよび炭素などの担持物、またルテニウムクロライド、ロジウムクロライドまたはルテニウム、ロジウムのホスフィン錯体触媒などがあげられる。ここで、アルカリ金属アルコラート類のアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、tert-ブトキシ基が例示される。
【0019】
上記触媒の使用量として、多ければそれだけ反応速度も早くなるが、経済的には0.1%−50%重量の使用が望ましい。反応温度は、触媒により温度条件が異なるが、一般的には25−280℃の範囲が挙げられる。
【0020】
また、この異性化反応は無溶剤でも進行可能であるが、適当量の溶剤を用いることも可能である。溶剤としては、トルエン、ヘキサンなどの炭化水素類、ジクロルメタンなどのハロゲン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフランやメチルセロソルブに代表されるエーテル類、アセトンに代表されるケトン類、酢酸エチルに代表されるエステル類、エタノールに代表されるアルコール類、シクロヘキシルアミンに代表されるアミン類、さらにはジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドなどが使用可能である。
【0021】
このような異性化反応により得られる反応生成物組成は、通常、二重結合の位置が2位のα−体{式(1b)}が主成分(65−95%)であり、式(1c)に示すβ−体は0−35%の組成で得られる。これらは混合物のまま香料として使用できるが、場合により、精密蒸留により純品を得、おのおの単品として使用することもできる。
【0022】
2,6,6−トリメチル−3−シクロヘキセニルメチルケトン(1a)の上記異性化反応によって製造される2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b、R1,R2,R3はいずれもメチル基)および 2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニルメチルケトン(1c、R1,R2,R3はいずれもメチル基)からは前記K.Subrahmaniaらの方法に従い、α−およびβ−ダマスコンが合成できる。
【0023】
即ち、式(1b、R1,R2,R3はいずれもメチル基)に示される2,6,6−トリメチルー2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b)をアルキルマグネシウムブロマイド(またはクロライド)とN-メチルアニリン(またはその他のジアルキルアミン)とで生成するアルドール試薬と作用させた後、アセトアルデヒドと反応させアルドール体を合成し、これにPTS(p-トルエンスルホン酸)などのプロトン酸を脱水触媒として用い脱水することにより、α−ダマスコンが得られる。同様に式(1c、R1,R2,R3はいずれもメチル基)で示される2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニルメチルケトンからはβ−ダマスコンが得られる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の異性化反応により、2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニルメチルケトン(1b)及び2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニルメチルケトン(1c)又はそれらの混合物の新規な経済的製造法を提供できる。また、これらの化合物を使用すれば、α−および/またはβ−ダマスコン(さらにはα-,β-,δ-ダマスコン、それらの混合物)を、より経済的に製造法することができる。
【0025】
【実施例】
以下実施例をもって、本発明の詳細を説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。なお、実施例中、得られた化合物の物性の測定には、次の機器を用いた。
NMR:DRX500(Bruker社製)
GLC:5800-11(Huwlett Packard社製)
Gc-Column:ニュートラボンド
不斉収率は旋光度を測定するか、光学活性分離カラムを用いて測定した。
【0026】
参考例1{2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)の合成}
滴下ロート、温度計、コンデンサー、攪拌器のついた3リットル4口フラスコに窒素気流中、氷冷下、塩化アルミニウム(70g)およびトルエン(300ml)を入れ、攪拌下、メシチルオキサイド(120g)のトルエン(300ml)溶液を 2-5℃で1時間かけて滴下する。滴下後1,3-ペンタジエン(450g)のトルエン(1,200ml)溶液を0-5℃で4時間かけて滴下する。滴下後同温度で3時間かきまぜたのち、30-40℃3時間で反応を完結し、反応液を冷却し、水(1,200ml)で分解水洗分液を行い、さらに水(1,200ml)で水洗分液を行なった後、5%炭酸ナトリウム水溶液(500ml)で水洗分液、最後に飽和食塩水(500ml)で水洗し生成物のトルエン溶液を得た。これをエバポレーターでトルエンを回収し、濃縮油(390g)を得た。得られた濃縮油(390g)をウイッドマー蒸留器で蒸留し、2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)127g{b.p49-51℃/ 133Pa(1torr.)}を得た。
【0027】
得られた留分のガスクロマトグラフィーはシス体{cis-(1a)}94%、トランス体{trans-(1a)}6%であり、各々のスペクトルデーターは下記の値を示した。トランス体
GC/MS(m/e); 166(M+), 123, 109, 107, 81, 67, 55, 43
NMR[δ(CDCl3)]; 5.55(1H, m), 5.46(1H, m), 2.54-2.45(1H, m), 2.29(1H,d), 2.20(3H,s), 2.02-1.94(1H,m), 1.72-1.64(1H,m), 0.98(3H,s),0.92(3H,s),0.87(3H,d)
シス体
GC/MS(m/e);166(M+), 138,123,109,108,95,81,69,67,55,43
NMR[〓(CDCl3)];5.72-5.68(1H,m),5.43-5.39(1H,m),2.59(1H,d),2.52(1H,m),2.19-2.11(1H,m),2.11(3H,s),1.70-1.63(1H,m),0.95(6H) 0.92(3H,s)
【0028】
実施例1{2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-1}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた200mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)(10g)およびエチルアルコール(40ml)およびロジウムトリクロライド三水和物(0.9g)を入れ、攪拌下、90℃で24時間反応させた。この時点で反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは11%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが87%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは2%の組成であった。
【0029】
反応後、エバポレーターでエチルアルコールを留去したのち、濃縮物にトルエン(50ml)および水(250ml)を加え水洗分液し、さらに飽和食塩水(50ml)で水洗分液を行い、得られたトルエン溶液のトルエンをエバポレーターで留去し、濃縮油(11.2g)を得た。これをクライゼン蒸留器で蒸留し2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a):(10.5%)、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b):(88.3%)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c):(1.2%)の混合物:8.1g{(b.p.50-51℃/133Pa(1tor))を得た。
【0030】
2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)のGC/MSデーター
GC/MS(m/e);166(M+), 123,109,95,81, 67,43
2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)のGC/MSデーター
GC/MS(m/e);166(M+),151, 123,109,95,91,81, 67,43
【0031】
実施例2{2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-2}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた500mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)(100g)およびテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(150ml)およびt-ブトキシカリウム(25g)とテトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド(2g)を入れ、攪拌下、175℃で4時間反応させた。この時点で反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)は12%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)が61%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)は27%の組成であった。
【0032】
反応後、そのまま通し蒸留し、留分93.5gを得た。この留分を理論段数200段のスピニングバンド精留器で精密蒸留を行い、純粋な2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)42g(b.p.70℃/5tor)とα−体を含まない2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)24g{b.p.71℃/655Pa(5tor)}とを得た。
【0033】
実施例3{2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-3}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた2,000mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(100g)およびジメチルスルフォキサイド(1,500ml)およびt-ブトキシカリウム(35g)をいれ、攪拌下、100℃で4時間反応させる。この時点で反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)は4%となり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)と2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の組成は64%/32%であった。
【0034】
反応後、エバポレーターでジメチルスルフォキサイドを留去したのち、濃縮物にトルエン(150ml)および水(250ml)を加え水洗分液し、さらに飽和食塩水(250ml)で水洗分液を行い、得られたトルエン溶液のトルエンをエバポレーターで留去し、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の濃縮油(105g)を得た。これをクライゼン蒸留器で蒸留し2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)と2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)との混合物(組成比:(1b)/(1c) =63%/34%)85.5g{(b.p.50-55℃/133Pa(1tor))を得た。
【0035】
実施例4{2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-4}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた500mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)(10g)およびトルエン(100ml)およびp-トルエンスルホン酸(2g)をいれ、攪拌下、175℃で6時間反応させる。サンプリングによるガスクロマトグラフィーでの分析結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(1a)は17%、2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)が56.5%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)が26.5%の組成であった。
【0036】
反応物に水(50ml)を加え水洗分液し、さらに、5%炭酸ナトリウム水溶液(50ml),飽和食塩水(50ml)で水洗分液を行い、得られたトルエン溶液のトルエンをエバポレーターで留去し、濃縮油(10.3g)を得た。これをクライゼン蒸留器で蒸留し2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(16%)と2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)(57%)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)(27%)の混合物7.4g{(b.p.49-53℃/133Pa(1tor))を得た。
【0037】
参考例2{α−ダマスコンの合成}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた500mlの4口フラスコに窒素気流中、臭化エチル(30.0g)とマグネシウム(5.9g)とから60mlのテトラヒドロフラン中で製造したエチルマグネシウムブロマイドのテトラヒドロフラン溶液(82ml)を氷冷下、攪拌しながら、これに、N-メチルアニリン(23.8g)を70mlのトルエンに溶解した溶液を加える。このようにして新たに作った臭化N-メチルアニリンマグネシウム溶液を温度10-15℃に保ち、これに実施例2で合成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトン(1b)(37g)のトルエン(37ml)溶液を30分で滴下し、さらに30分同温度で攪拌する。次にアセトアルデヒド(14.6g)のトルエン(15ml)溶液を-10-15℃で30分で滴下し、滴下終了後さらに90分間攪拌し、反応を終了させる。
【0038】
この反応液に、3N塩酸(150ml)を氷冷下、攪拌しながら加え分解水洗分液し、得られた有機層をさらに3N塩酸100mlで5回洗浄、分液した。得られたaldol体{4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニル)-4-オキソブタン-2-オール}のトルエン溶液にp-トルエンスルホン酸(0.5g)を加えた後加熱し、トルエン還流下脱水反応により生成する水を分離し、脱水反応を完結させた。反応液に50mlの水を加え、水洗分液したのち、50mlの重炭酸ナトリウム溶液及び50mlの水で洗浄し、得られた有機層をエバポレータで濃縮し、濃縮油45gを得る。これをウイッドマー蒸留器で蒸留し、α−ダマスコン{b.p.105-106℃/160Pa(1.2tor)}を31g得た。
【0039】
参考例3{β−ダマスコンの合成}
実施例2で合成した2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)(18.5g)を用い、参考例2と全く同じに反応(すべてが1/2のスケール)させ、β−ダマスコン{b.p.110-112℃/160Pa(1.2tor)}を13.7g得た。
【0040】
実施例5{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-5}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)およびメトキシカリウム(2.5g)、ジメチルスルフォキサイド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、120℃で2時間30分反応した。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは4.4%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが69.8%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは25.8%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物の収量は8.6gと算出された。
【0041】
実施例6{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-6}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)およびメトキシナトリウム(2.5g)、ジメチルスルフォキサイド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、140-145℃で5時間反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは28.9%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが49.2%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは21.9%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物はの収量は7.3gと算出された。
【0042】
実施例7{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-7}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)およびt-ブトキシナトリウム(2.5g)、ジメチルスルフォキサイド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)をいれ、120℃で4時間分反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは52.3%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが32.9%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは14.8%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物は9.1gと算出された。
【0043】
実施例8{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-8}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)およびエトキシナトリウム(2.5g)、ジメチルスルフォキサイド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、130-140℃で6時間反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは34.7%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが45.4%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは19.9%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物は6.9gと算出された。
【0044】
実施例9{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-9}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)、t-ブトキシリチウム(2.5g)、ジメチルアセタミド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、140-145℃で6時間分反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは30.2%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが42.5%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは27.3%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物は5.3gと算出された。
【0045】
実施例10{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-10}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)および水酸化カリウム(2.5g)、ジメチルスルフォキサイド(30ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、170-190℃で6時間反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは67.5%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが20.1%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは12.4%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物は4.3gと算出された。
【0046】
実施例11{2,6,6-トリメチル-2シクロヘキセニルメチルケトン(1b)および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトン(1c)の合成-11}
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた100mlの4口フラスコに窒素気流中、参考例1で合成した2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトン(10g)およびナトリウムシクロヘキシルアミド(3.5g)、シクロへキシルアミン(20ml)およびガスクロマトグラフィーでの分析用の内部標準物質としてシクロドデカン(3g)を入れ、125-135℃で3時間反応させた。反応液を常法で処理し、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、原料の2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセニルメチルケトンは25.5%であり、生成した2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセニルメチルケトンが48.6%および2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニルメチルケトンは25.9%の組成であった。また上記3種のメチルケトン混合物は2.3gと算出された。
Claims (4)
- 触媒がアルカリ金属アルコラートである請求項1記載の1−又は2−シクロヘキセニルメチルケトンまたはそれらの混合物の製造法。
- アルカリ金属アルコラートがナトリウム、カリウム、リチウムより選ばれるアルカリ金属の炭素数1乃至4の低級アルコールのアルコラートである請求項2記載の1−又は2−シクロヘキセニルメチルケトンまたはそれらの混合物の製造法。
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