JP5963979B2 - 内視鏡用管路切換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内視鏡における送気送水用流体管路の管路切り換えを行うための内視鏡用管路切換装置に関するものである。
従来、細長状に形成された挿入部を有して構成される内視鏡は、例えば医療分野や工業用分野等において広く利用されている。このうち、医療分野において用いられる医療用内視鏡は、細長い挿入部を被検体となる体腔内に挿入して体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて内視鏡に具備される処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種の処置を施すことができるように構成されている。また、工業分野において用いられる工業用内視鏡は、細長い挿入部を被検体、例えばジェットエンジンや工場配管等の内部に挿入することによって、被検体内の状態、例えば傷及び腐蝕等の観察や検査を行うことができるように構成されている。
このような従来の内視鏡においては、挿入部の先端面に観察窓や照明窓が設けられており、観察窓を介して観察対象となる体腔内部を観察したり、照明窓を介して観察対象となる体腔内部へ照明光を照射し得るように構成されている。
また、このような構成の従来の内視鏡には、特に医療用内視鏡においては、その使用中に観察窓の外表面に体液等が付着して観察を阻害することがある。このことから、従来の内視鏡においては、上記観察窓の外表面を洗浄するための水等の液体を当該観察窓の外表面に向けて送水し、その後、レンズ表面を乾燥させるための空気等の気体を当該観察窓の外表面に向けて送気するための送気送水機構を有しているものがある。
内視鏡における上記送気送水機構は、内視鏡挿入部の先端面の上記観察窓等の近傍に設けられた送気送水ノズルと、内視鏡挿入部及び操作部内に挿通配置され上記送気送水ノズルと所定の送気送水装置との間を接続するための流体管路と、操作部に設けた操作部材と、操作部内に設けられ送気と送水の切り換えを行う管路切換装置等によって構成されている。
上記流体管路は、例えば可撓性チューブからなる送気チューブ及び送水チューブ等の複数のチューブからなる。これら上記送気チューブ及び上記送水チューブは、それぞれの一端が送気送水装置に接続されており、他端が管路切換装置に接続されている。管路切換装置からは送気チューブと送水チューブとが挿入部内へと延出されており、これら送気チューブ及び送水チューブは、同挿入部内にて分岐管を介して合流し、その後、送気送水ノズルへと接続されている。
このような構成により、上記管路切換装置において、送気と送水の切り換えを行って、上記送気送水ノズルから水等の洗浄用液体や加圧空気等を、適宜観察窓の外表面に向けて噴出させ得るように構成されている。
この種の内視鏡用管路切換装置としては、例えば日本国特許3651982号公報等によって従来種々の形態のものが提案され、また実用化されている。
上記日本国特許3651982号公報等によって開示されている内視鏡用管路切換装置は、内視鏡に設けられた複数の管路(送気チューブ,送水チューブ等)が接続されるシリンダと、このシリンダ内を進退自在に換装されたピストンとを有してなり、操作者により複数の管路の連通状態を切り換える構成を有するものである。
ところが、従来の形態の送気送水機構においては、上述したように、流体管路のうち送気チューブと送水チューブとが内視鏡挿入部内にて分岐管を介して合流した後、一本のチューブにて送気送水ノズルに接続されるように構成されているものがある。この場合、上記分岐管で合流した後、送気送水ノズルに至るまでの間の管路部分は、液体と気体とが切り換えに応じて流れる共通部分となっている。したがって、例えば管路切換装置において送水状態から送気状態への切り換え直後の状態では、上記共通管路部分に液体が残留した状態になる可能性がある。この残留液体がある状態で、送気状態に切り換わると、当該残留液体が加圧空気によって押し出されることになる。すると、送気送水ノズルからは、送気動作の初期段階で勢いよく液体が押し出されてしまい、送気動作への切り換え後でも観察窓の外表面に送水されてしまう。よって、送水動作以外の動作を行っている状況、すなわち操作者が意図しない状況で観察窓の外表面に液体が付着することとなり、観察対象物の観察を阻害してしまうといった問題点が生じる可能性がある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、送水動作から送気動作に切り換えた際に、一時的に送気圧を下げ、共通管路部分に残留した液体を観察窓の外表面に達することなく排出させることで、常に確実に送水状態と送気状態とを切り換えることのできる内視鏡用管路切換装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡用管路切換装置は、内視鏡に設けられ気体流通管路と液体流通管路を含む複数の管路が接続されるシリンダと、このシリンダに進退自在に嵌挿され、通常位置とこの通常位置よりシリンダの内側に押し込まれる押し込み位置との間で移動されるピストンと、このピストンを前記通常位置に向けて付勢する付勢部材と、を有しており、前記通常位置から前記押し込み位置に移動させることで前記気体流通管路を閉塞して前記液体流通管路を連通するよう、前記複数の管路の連通状態を切り換える内視鏡用管路切換装置において、前記シリンダと前記ピストンのいずれか一方に設けられ、前記ピストンが通常位置もしくは押し込み位置にある場合に、前記シリンダと前記ピストンのいずれか他方の壁面に弾性的に接触して前記気体流通管路と外部とを隔離するシール部材と、前記他方の壁面に設けられ、前記ピストンが前記通常位置と押し込み位置との間の前記液体流通管路を閉塞すると共に前記気体流通管路を連通する位置にある状態で、前記シール部材と他方の壁面との接触を解除することで前記気体流通管路を前記シリンダと前記ピストンの間を介し外部に開放するリーク手段と、を備えた。
本発明によれば、送水動作から送気動作に切り換えた際に、一時的に送気圧を下げ、共通管路部分に残留した液体を観察窓の外表面に達することなく排出させることで、常に確実に送水状態と送気状態とを切り換えることのできる内視鏡用管路切換装置を提供することができる。
本発明の一実施形態の内視鏡用管路切換装置を備えた内視鏡システムの全体構成を示す概略斜視図 図1の内視鏡システムに具備される本実施形態の内視鏡用管路切換装置(送気送水バルブ)の縦断面図 図2の[3]−[3]線に沿う横断面図 図2の内視鏡用管路切換装置(送気送水バルブ)におけるシリンダの内壁面に形成されるリーク手段(溝部)を示す図 図2の送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)の作用を示す概略構成図であって、当該送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)の通常状態を示す図 図5の状態の送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)に対し送気操作したときの送気状態を示す図 図6の送気操作を行った後、送水操作したときの送水状態を示す図 図7の送水状態を行った後、再度送気状態に戻す操作の経過途中の様子を示し、リーク手段(溝部)から空気がリークしているリーク状態を示す図。
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
まず、本発明の一実施形態の内視鏡用管路切換装置を備えた内視鏡システムの概略構成について、図1を用いて以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の内視鏡用管路切換装置を備えた内視鏡システムの全体構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、内視鏡システムは、内視鏡1と、外部装置である光源装置5,ビデオプロセッサ6,表示装置30等によって構成されている。
上記内視鏡1は、細長の挿入部2と、使用者(ユーザ若しくは操作者ともいう)が把持して操作を行う操作部3と、この操作部3と外部装置である光源装置5やビデオプロセッサ6との間を接続するための連結コード4等によって構成されている。
挿入部2は、ポリウレタン等の樹脂で被覆されるとともに、先端部分には軟らかい弾性体で被覆された湾曲自在な湾曲部7が設けられている。湾曲部7の先端には、先端硬質部8が設けられている。この先端硬質部8には、観察光学系,撮像素子,照明光学系,送気送水ノズル等(不図示)が設けられている。また、先端硬質部8には、挿入部2の内部に挿通される鉗子チャンネル(不図示)の一方の開口が設けられている。この鉗子チャンネル(不図示)の他方の開口は、操作部3に設けられた鉗子開口部10に連設されている。
操作部3には、吸引を行う際に操作する吸引管路切換装置の操作部材12aと、送気送水を行う際に操作する送気送水管路切換装置である送気送水バルブ13(詳細後述)の操作部材13aと、撮像素子によって得られた映像信号についての各種の信号処理を行うための複数のリモートスイッチ14等、各種の操作部材が複数設けられている。
また、操作部3には、硬質樹脂製のアングルノブ15が複数設けられている。このアングルノブ15(複数)を操作することによって湾曲部7を上下左右方向に湾曲させることができるように構成されている。アングルノブ15の上部には、湾曲部7を湾曲固定状態に保持したり、その湾曲固定状態を開放する際に使用する硬質樹脂製のエンゲージレバー16等の操作部材が設けられている。
連結コード4は、ポリウレタン等の樹脂で被覆されており、その先端には硬性樹脂で形成されるコネクタ17が取り付けられている。コネクタ17には、側面から延出される接続コード18と、送水タンク(不図示;光源装置5内部に配設されている)に接続して送水を行うための送水管(不図示)や、不図示の吸引ポンプに接続して吸引を行うための吸引口等が設けられている。なお、上記送水管には、後述する送気送水バルブ13の入口側送水管路39との間を連通する送水チューブ72aの一端が接続されている。これらと共に、連結コード4には、先端側に電気接点やライトガイド端部等が設けられている。
これにより、コネクタ17を光源装置5のコネクタ受け部に接続することによって、当該光源装置5からの出射光が内視鏡内部に挿通配置されているライトガイドを介して、先端硬質部8内の照明光学系から前方に向けて出射されるように構成されている。
また、コネクタ17の先端側には、ライトガイド端部と略並行して送気管(不図示)が突設されている。したがって、コネクタ17を光源装置5のコネクタ受け部に接続すると、上記送気管には、光源装置5内に設けられる送気ポンプ(不図示)からの加圧空気が送られるように構成されている。なお、この送気管には、後述する送気送水バルブ13の入口側送気管路37との間を連通する送気チューブ71aの一端が接続されている。
さらに、コネクタ17の側面から延出する接続コード18は、先端コネクタ19がビデオプロセッサ6のコネクタ受け部に接続されている。これにより、内視鏡1の先端硬質部8内の撮像素子から出力された電気信号はビデオプロセッサ6へと伝達されて、このビデオプロセッサ6にて所定の信号処理が施され、その後、表示装置30の画面上にて内視鏡画像として映出させ得るように構成されている。
このように構成された内視鏡システムの上記内視鏡1の操作部3には、本実施形態の内視鏡用管路切換装置である送気送水バルブ13が配設されている。以下に、この送気送水バルブ13の詳細構成を、図2〜図4に基づいて説明する。
図2は、本実施形態の内視鏡用管路切換装置(送気送水バルブ)の縦断面図である。なお、図2において一点鎖線を中心線Cとするピストン部の左半部は、当該内視鏡用管路切換装置の通常状態を示し、同ピストン部の右半部は当該内視鏡用管路切換装置の送気送水ボタンが押し込まれた状態(送水状態)を示している。図3は、図2の[3]−[3]線に沿う横断面図である。また、図4は、本実施形態の内視鏡用管路切換装置(送気送水バルブ)におけるシリンダの内壁面に形成されるリーク手段(溝部)を示す図である。
本実施形態の内視鏡用管路切換装置である送気送水バルブ13は、内視鏡1に設けられる複数の管路が接続されるシリンダ部31と、このシリンダ部31に対して軸方向に進退自在に嵌挿されたピストン部32等を有して主に構成されており、上記複数の管路の連通状態を切り換える構成ユニットである。
シリンダ部31は、操作部3の外装部材に穿設された取付孔34に取り付けられた口金部材41を介してネジ止め固定等の固設手段を用いて固定されている。このシリンダ部31に対してピストン部32が軸方向に摺動自在に嵌挿されている。
シリンダ部31は、段差のある金属製の略円筒状のシリンダ35によって主に構成されている。このシリンダ35は、軸方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔の両端開口のうち一方の開口35aが外方に開口し、他方の開口は蓋部材35bによって遮蔽されている。
シリンダ35の側壁には、上記開口35a側から上記蓋部材35b側に向けて、出口側送気管路36と、入口側送気管路37と、出口側送水管路38と、入口側送水管路39とが、順に設けられている。
ここで、出口側送気管路36は、上記操作部3から上記挿入部2内を挿通して上記先端硬質部8の上記送気送水ノズル(不図示)へと連通する送気チューブ71bの一端が接続されて、当該送気送水バルブ13から流出する気体の出口として機能する部位である。出口側送気管路36は、気体流通管路の一部を構成する。
入口側送気管路37は、上記操作部3から上記連結コード4内を挿通して上記コネクタ17の送気管(不図示)を介して上記送気ポンプ(不図示)に連通する送気チューブ71aの他端が接続されて、当該送気送水バルブ13に流入する気体の入口として機能する部位である。入口側送気管路37は、気体流通管路の一部を構成する。
出口側送水管路38は、上記操作部3から上記挿入部2内を挿通して上記先端硬質部8の上記送気送水ノズル(不図示)へと連通する送水チューブ72bの一端が接続されて、当該送気送水バルブ13から流出する液体の出口として機能する部位である。出口側送水管路38は、液体流通管路の一部を構成する。
入口側送水管路39は、上記操作部3から上記連結コード4内を挿通して上記コネクタ17の送水管(不図示)を介して上記送水タンク(不図示)に連通する送水チューブ72aの他端が接続されて、当該送気送水バルブ13に流入する液体の入口として機能する部位である。入口側送水管路39は、液体流通管路の一部を構成する。
なお、図示は省略しているが、上記出口側送気管路36に連通する送気チューブ71b(図2参照)の他端と、上記出口側送水管路38に連通する送水チューブ72b(図2参照)の他端とは、当該内視鏡1の挿入部2内に設けられた分岐管を介して合流した後に、一本のチューブ(共通管路部分)にて送気送水ノズルに接続されている。この部位の構成は、従来一般の内視鏡における送気送水管路の構成と同様のものとする。
上述したように、シリンダ35は、操作部3の外装部材に対し口金部材41を介して固定されている。上記口金部材41は、二つのフランジ部、即ち上部フランジ41aと下部フランジ41bとを有して形成されている。
そして、シリンダ35が口金部材41を介して操作部3の外装部材に取り付け固定された状態のとき、口金部材41の下部フランジ41bは、取付孔34の内周面に形成された環状溝部43に内接するように配置されているOリング44を圧縮する。この構成により、取付孔34は上記Oリング44によって密封される。したがって、操作部3の外装部材に対するシリンダ35の取り付け部位から、操作部3の内部へ侵入する気体や液体を抑止する封止構造が形成されている。
一方、ピストン部32は、金属又は合成樹脂等の剛性を有する材料を用いて形成され略円筒状のピストン本体45によって主に構成されている。このピストン本体45の内部には、軸方向に貫通し、所定のときに気体流通管路の一部を形成する連通路46が形成されている。この連通路46の下端寄りの部位には、軸方向に略直交する方向(側方)に向けて開口する側方開口部47が形成されている。
ピストン本体45の外周面上にあって、上記側方開口部47に対して上側寄りの部位には、弾性部材によって形成される弁体48が周回状にインサート成形されている。この弁体48は、ピストン本体45の側面から上方に向けて斜め方向に延出し、その先端がシリンダ35の内壁面に当接するように形成されている。このような形状により、ピストン本体45の外周面とシリンダ35の内周面との間に形成される隙間における気体流通管路において、下方から上方に向けて流れる流体(空気)を流通させる一方、逆方向、即ち上方から下方に向けて流れる流体(空気)の流通を阻止するように構成されている。
また、ピストン本体45の上端部には、抜け止め筒体49とばね押さえ部材50が螺合している。このうち抜け止め筒体49は、上記ピストン本体45の上端部の外周面上に固設されている。抜け止め筒体49は、下端部に外向フランジ部49aを有し、全体として略円筒状に形成されている。抜け止め筒体49の上端部の外周面上には、ばね押さえ部材50が固設されている。このばね押さえ部材50は、上端部に外向フランジ部50aを有して形成されている。
また、ピストン本体45の外周面上にあって、上記抜け止め筒体49の下側部位には、シール部支持部材51が固設されている。このシール部支持部材51には、その外周面上において周回状にシール部材53がインサート成形されている。このシール部材53の下端側にはスライダ52が設けられている。
シール部支持部材51のシール部材53は、内周側の周上に所定間隔毎に強度補強部53bが形成されている。また、シール部材53の外周端部には、当該シリンダ35の内部に上記ピストン本体45が嵌挿されたときに、シリンダ35の内壁面と弾性的に接触することで変形可能に形成されたシール部53aが設けられている。
シール部材53がシリンダ35内で摺動するときの摺動抵抗を小さくするには、シール部材53のシール部53aがシリンダ35内面と接触して変形する際に、変形しやすくする必要がある。つまり、シール部材53のシリンダ35との接触部であるシール部53aの肉厚を薄く形成すれば良い。しかしながら、シール部53aの肉厚を薄く形成すると、送気送水バルブ13のピストン部32が軸方向(図2において上下方向)に可動となっていることから、シール部材53が過度に変形してしまった場合、シリンダ35とピストン部32との間の水密性及び気密性が保持できなくなる可能性がある。その場合、送気送水バルブ13は所定の管路切り換え機能を果たすことができなくなってしまうことがあり得る。そこで、シール部材53には、一部に上記強度補強部53bを設けることによって、ピストン部32の摺動に対するシール部材53の過度の変形を防止することができ、よって、それに起因する水等の液体及び空気等の漏れを抑止することができるように構成されている。
なお、詳しくは後述するが、上記シール部材53は、ピストン部32が通常状態(図5の状態)にある場合に、複数の管路のうち気体流通管路と外部とを隔離するためにシリンダ部31とピストン部32とのいずれか一方(本実施形態においてはピストン部32)に設けられ、他方(本実施形態においてはシリンダ部31)の壁面に弾性的に接触するシール部材である。
ピストン本体45の下端部には押さえ部材54が配設されている。この押さえ部材54の上側にはスライダ57が配置されており、さらにこのスライダ57の上面にはシール部支持部材55が配置されている。また、上記押さえ部材54には、その外周面上において周回状にシール部材56がインサート成形されている。前記シール部支持部材55にも同様に、外周面上に周回状にシール部材58がインサート成形されている。
上記スライダ57は、例えばPSU,PEEK等の硬質樹脂部材によって形成されている。このスライダ57は、樹脂を、例えば高圧蒸気滅菌対応を示す緑などの色にしても良い。色を付けることで使用者(ユーザ,操作者)が容易に高圧蒸気滅菌対応であることを認識することができる。
上記シール部材56,58には、上記シール部材53と同様に、強度補強部がそれぞれに設けられている(詳細不図示)。また、各シール部材56,58には、上記シール部53aと同様のシール部56a,58aが各外周端部に形成されている。そして、これらシール部56a,58aは、上記シリンダ35の内部に上記ピストン本体45が嵌挿されたときに、シリンダ35の内壁面と接触し変形してシリンダ35の内壁面に弾性的に密接する。
一方、口金部材41の外周側には、囲い部材62が設けられている。この囲い部材62は、例えば絶縁部材等を用いて形成され、当該送気送水バルブ13の操作部3の外装部材からの露呈部分を囲むようにして設けられる略円筒状部材である。囲い部材62には内向フランジ部62aが形成されていて、この内向フランジ部62aが上記口金部材41の上部フランジ41aと係合している。
上記囲い部材62の上端側の内周面上には、円筒状のピストンストッパ60が一体に固設されている。このピストンストッパ60には内向フランジ部60aが形成されている。この内向フランジ部60aは、その下面側にてピストン部32の一部、即ち上記ピストン本体45の抜け止め筒体49の外向フランジ部49aを係止することによって、ピストン部32が抜け落ちることを抑止している。また、上記ピストンストッパ60の内向フランジ部60aには、後述する付勢ばね61の一端が当接し、これを保持する部位となっている。
上記ピストンストッパ60の上記内向フランジ部60aの上面側と、上記ばね押さえ部材50の下面側との間には、例えばコイルスプリング等からなる付勢ばね61が介装されている。この付勢ばね61の付勢力は、ばね押さえ部材50を軸方向の上方に向けて、ピストンストッパ60を軸方向の下方に向けて、それぞれ付勢するように伸長方向に作用している。
したがって、送気送水バルブ13が組み立てられて通常状態にあるとき、付勢ばね61の付勢力によってピストン本体45は、シリンダ35から抜け出す方向に付勢されている。しかしながら、抜け止め筒体49の外向フランジ部49aがピストンストッパ60の内向フランジ部60aに当接していることから、ピストン本体45はシリンダ35から抜け出さないように係止されている。
また、ピストン本体45の上端部には識別ピン59が螺合している。また、上記ばね押さえ部材50の上端側及び外周部を覆うように指当て部材13aが接着固定されている。この指当て部材13aの中央部には、ピストン本体45の上記連通路46に連通し、同連通路46の開口部となるリーク孔64が形成されている。
つまり、上記リーク孔64は、連通路46(気体流通管路)の途中で該管路を外部に開放する開口である。後述するが、このリーク孔64を使用者(ユーザ,操作者)が手指等によって塞ぐことによって気体流通管路が完成されるように構成されている。
また、ピストン本体45は、上記リーク孔64を使用者(ユーザ,操作者)が手指等によって塞いだ状態で、付勢ばね61の付勢力に抗して押し込まれることにより、液体流通管路を開通させるように構成されている。図2において示す符号Dは、ピストン本体45の通常状態と、押し込んだ状態との間で移動するストローク量を示している。
なお、上記指当て部材13aの下面と上記囲い部材62の上端との間(シリンダ35の開口35a)には、上記ピストン部32が通常状態にある場合であっても、同ピストン部32が押し込み状態にあっても、いずれの場合にあっても、所定間隔の隙間が常に形成されてるような構造となっている。
本実施形態の送気送水管路切換装置である送気送水バルブ13においては、さらに、シリンダ35の内周面上において、その中程の部位に、周方向に所定の間隔をおいて、例えば等間隔に配置され、軸方向に長軸を有して形成される複数のリーク溝部35cが設けられている。
上記複数のリーク溝部35cの配設位置について、具体的には、シリンダ35が軸方向に摺動移動するときに、上記シール部材53のシール部53aが移動する範囲内に形成されている。その場合において、各リーク溝部35cの軸方向の長さは、上記シール部材53のシール部53aが移動する軸方向の範囲よりも短くなるように設定されている。
この複数のリーク溝部35cは、ピストン本体45がシリンダ35の貫通孔内を軸方向に摺動する際の所定の期間において、送気ポンプ(不図示)から送られてきた加圧空気の一部を意図的に流出(リーク)させるために設けられるリーク手段である。ここで、意図的に空気を流出(リーク)させる所定の期間としては、具体的には、送水操作を行って送水動作が停止した直後から、完全な送気動作に切り換わる直前の間の所定の期間とする。
詳細は後述するが、上記リーク手段であるリーク溝部35cは、シリンダ部31のシリンダ35の壁面に設けられ、ピストン部32が押し込まれた状態(送水状態)を解除する動作の途中において、入口側送水管路39から出口側送水管路38へと至る液体流通管路を閉塞させた後、気体流通管路を外部に開放する構成部である。
以下に、本実施形態の送気送水管路切換装置である上記送気送水バルブ13を用いて行う送気送水操作の作用を、図5〜図8を用いて説明する。図5〜図8は、本実施形態の送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)の作用を示す概略構成図である。このうち図5は当該送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)の通常状態を示している。図6は当該送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)を送気操作したときの送気状態を示している。図7は当該送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)を図6の送気操作の後、送水操作したときの送水状態を示している。図8は当該送気送水管路切換装置(送気送水バルブ)を図7の送水状態の後、再度送気状態に戻す際の経過途中の様子であって、リーク手段(溝部)から空気がリークしているリーク状態を示している。
まず、本実施形態の送気送水管路切換装置である上記送気送水バルブ13が通常状態にあるときには、図5に示すように、ピストン部32(ピストン本体45)はシリンダ部31(シリンダ35)内において、付勢ばね61の付勢力により図5に示す矢印X方向に付勢されている。このときピストン45は、所定の係止手段(ピストンストッパ60の内向フランジ部60aとピストン本体45の抜け止め筒体49の外向フランジ部49aとの係止)によって、シリンダ35から抜去しないように構成されている。
この送気送水バルブ13が通常状態にあるとき、シール部材53(のシール部53a)とシリンダ35の内壁面との当接によりピストン本体45とシリンダ35との隙間の気体流通管路を封止して流体(空気,水等)の流出,侵入を抑止している。
また、送気送水バルブ13が通常状態にあるとき、弁体48(の先端)とシリンダ35の内壁面との当接により当該隙間(気体流通管路)を封止して流体(空気)の流通を阻止している。
さらに、送気送水バルブ13が通常状態にあるとき、シール部材56,58(のシール部56a,58a)とシリンダ35の内壁面との当接により当該隙間(液体流通管路)を封止して下方の入口側送水管路39からの流体(水)の流通を阻止している(図5矢印W1参照)。
そして、送気送水バルブ13が通常状態にあるとき、入口側送気管路37から流入した流体(空気;矢印A1参照)は、ピストン本体45の連通路46を通過してその開口部であるリーク孔64から外部へ流出されている(図5矢印A2参照)。
この状態にあるとき、使用者(ユーザ,操作者)が手指等を用いてリーク孔64を閉塞することにより送気操作が行われる。この送気操作を行っている状態が図6に示す状態である。
図6に示すように、使用者(ユーザ,操作者)が手指等によってリーク孔64を閉塞すると、図5の通常状態にあるときにリーク孔64から外部に流出されていた流体(空気;矢印W2)は、当該手指等によって外部への流出が阻止される。
これにより、入口側送気管路37から流入した流体(空気;矢印A1参照)は、ピストン本体45とシリンダ35との隙間の気体流通管路を通過して弁体48方向へと流れる。このとき、当該流体(空気)は加圧されているので、弁体48(の先端)を押し上げて送気管路を介して出口側送気管路36へと流出する(図6矢印A3,A4,A5参照)。ここで、弁体48は、その先端がシリンダ35の内壁面に当接することによって当該隙間を封止しつつ、下方の入口側送気管路37からの流体(空気)の流通を受け入れながら、上方からの流体(空気)の流通は阻止される。
この状態にあるとき、使用者(ユーザ,操作者)が手指等を用いてリーク孔64を閉塞しつつ、ピストン部32を図6の矢印X1方向に押し下げることによって送水操作が行われる。この送水操作を行っている状態が図7に示す状態である。
上述したように、使用者(ユーザ,操作者)が手指等によってピストン部32を矢印X1方向に押し下げると、図7に示すように、弁体48とシリンダ35とが密着して、入口側送気管路37から流入した流体(空気;矢印A1参照)の送気管路への流出が阻止される。
これと同時に、シール部材56(のシール部56a)とシリンダ35の内壁面との当接が解除されて、シリンダ35とピストン本体45との隙間の液体流通管路が出口側送水管路38に連通する。これにより、入口側送水管路39からの流体(水)は出口側送水管路38から流出する(図7矢印W3参照)。
なお、この状態において、シール部材58(のシール部58a)とシリンダ35の内壁面との当接により、当該隙間が封止されているので、入口側送水管路39からの流体(水)が出口側送水管路38より上方の隙間部分へ流入することが阻止されている。
この状態にあるとき、使用者(ユーザ,操作者)が手指を用いてリーク孔64を閉塞しつつ、手指等の押し下げ力を緩めると、ピストン部32は、付勢ばね61の付勢力によって図8の矢印X2方向に押し上げられる。これによって、送水操作が送気操作へと切り換わる。この切り換え操作の途中経過の状態が図8に示す状態である。
上述したように、ピストン部32が矢印X2方向に押し上げられると、図8に示すように、その過程において、まずシール部材56(のシール部56a)とシリンダ35の内壁面とが再び当接して、当該隙間を封止して入口側送水管路39からの流体(水)の流通を阻止する(図8矢印W1参照)。
このとき、弁体48とシリンダ35との密着が解除されて、入口側送気管路37から流入した流体(空気;矢印A1参照)の送気管路への流出が再開される。これと同時に、シール部材53(のシール部53a)が複数のリーク溝部35cに対応する位置を通過する。その期間中においては、入口側送気管路37から流入した流体(空気)の一部が、上記複数のリーク溝部35cを介して、シリンダ35とピストン本体45との隙間を通ってシリンダ35の開口35aから外部へと流出(リーク)する(図8矢印A6参照)。これにより、入口側送気管路37から流入した流体(空気;矢印A1参照)のうち送気管路を経て(図8矢印A3,A4参照)、出口側送気管路36へと流出する流体(空気;図8矢印A5参照)の圧力は減少する。
上述したように、出口側送気管路36から流出する流体(空気;図8矢印A5参照)は、送気チューブ71b(図2参照),上記内視鏡1の挿入部2内の分岐管(不図示)を介して送気送水ノズルへと流出するように構成されている。
したがって、出口側送気管路36から送気送水ノズルへと流れる減圧流体(空気)は、上記分岐管から送気送水ノズルまでの間のチューブ(共通管路部分)に残留する残留液体(水)を観察窓まで到達させる程の圧力はないので、当該残留液体(水)は、観察窓の外表面に達することなく送気送水ノズルの先端より排出される。上記残留液体(水)が排出された後、出口側送気管路36から送気送水ノズルへと流れる流体(空気)の圧力をただちに増加させ、速やかに観察窓の外表面を乾燥させる必要がある。ばね61の強さやリーク溝部35cの軸方向の位置、長さを調整することで、所定のタイミングで所定の期間のみ、減圧を行うことができる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、送気送水バルブ13におけるシリンダ35の内周面上の所定の位置、即ちシリンダ35が軸方向に摺動移動するときにシール部材53のシール部53aが移動する範囲内の部位に、軸方向に長軸を有して形成される複数のリーク溝部35cを形成し、送水操作を行った後、送気操作に切り換わる過程において、所定の期間だけ、出口側送気管路36から流出する流体(空気)の一部が上記複数のリーク溝部35cを介して外部へと流出させて、出口側送気管路36からの流出流体(空気)を減圧させるように構成した。
したがって、これにより、送水から送気に切り換えたときに共通管路部分に残留した液体(水)を観察窓まで到達させることなく送気送水ノズルから押し出すことができる。そして、その後、送気状態に切り換わるように構成したので、常に確実な送水状態と送気状態とを確保することができる。
また、本実施形態によれば、リーク手段としてのリーク溝部35cを設けるのみの簡単な構成変更のみで、従来の操作性を変更することなく、使用者(ユーザ,操作者)に特別な操作等を強いることもなく、その操作過程において、所定のタイミングで所定の期間のみ似て意図的に、流体(空気)を外部にリークさせて気体流通管路内の減圧を行う構成を実現することができる。
なお、上記一実施形態の送気送水管路切換装置である送気送水バルブ13において、シリンダ部31のシリンダ35の内周面に設けるリーク手段の形態としては、上述の複数のリーク溝部35cの形態に限られることはない。
通常の場合、シリンダ35の軸方向に往復摺動するピストン本体45側のシール部材53のシール部53aは、シリンダ35の内周面に圧接されながら軸方向に摺動移動する。したがって、リーク手段は、軸方向に段差がある形態とすると、シール部材53の摺動時にシール部53aが引っかかってしまいスムーズな摺動を得られない。
そこで、リーク手段のその他の形態としては、例えばシリンダ35の内周面において、軸方向に滑らかな斜面を有し断面が略V字状となる周溝としたり、若しくは軸方向の両端に滑らかな斜面を有し両者面を繋ぐ底面が軸方向に所定の長さを有して形成される周溝等、各種の形態が考えられる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本出願は、2014年8月7日に日本国に出願された特許出願2014−161448号を優先権主張の基礎として出願するものである。

上記基礎出願により開示された内容は、本願の明細書と請求の範囲と図面に引用されているものである。
本発明は、医療分野の内視鏡制御装置だけでなく、工業分野の内視鏡制御装置にも適用することができる。

Claims (4)

  1. 内視鏡に設けら気体流通管路と液体流通管路を含む複数の管路が接続されるシリンダと、
    このシリンダに進退自在に嵌挿され、通常位置とこの通常位置よりシリンダの内側に押し込まれる押し込み位置との間で移動されるピストンと、
    このピストンを前記通常位置に向けて付勢する付勢部材と、
    を有しており、前記通常位置から前記押し込み位置に移動させることで前記気体流通管路を閉塞して前記液体流通管路を連通するよう、前記複数の管路の連通状態を切り換える内視鏡用管路切換装置において、
    前記シリンダと前記ピストンのいずれか一方に設けられ、前記ピストンが通常位置もしくは押し込み位置にある場合に、前記シリンダと前記ピストンのいずれか他方の壁面に弾性的に接触して前記気体流通管路と外部とを隔離するシール部材と、
    前記他方の壁面に設けられ、前記ピストンが前記通常位置と押し込み位置との間の前記液体流通管路を閉塞すると共に前記気体流通管路を連通する位置にある状態で、前記シール部材と他方の壁面との接触を解除することで前記気体流通管路を前記シリンダと前記ピストンの間を介し外部に開放するリーク手段と、
    を備えたことを特徴とする内視鏡用管路切換装置。
  2. 前記リーク手段は、前記他方の壁面に設けられた溝であることを特徴とする請求項1に記載された内視鏡用管路切換装置。
  3. 前記ピストンは気体流通管路の途中で該管路が外部に開放されている開口を備えており、該開口を操作者により塞がれることで気体流通管路が完成されることを特徴とする請求項1に記載された内視鏡用管路切換装置。
  4. 前記ピストンは前記開口を操作者により塞がれた状態で押し込まれることにより液体流通管路を開通することを特徴とする請求項1に記載された内視鏡用管路切換装置。
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