以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1に示すように、超音波内視鏡10は、被検体内に挿入される挿入部11と、この挿入部11の基端部に連結された操作部12と、この操作部12に一端が接続されたユニバーサルコード13及び接続ケーブル14とからなる。ユニバーサルコード13の他端部には、図示しない内視鏡プロセッサ装置や光源装置などに接続されるコネクタ15が設けられている。接続ケーブル14の他端は図示しない超音波用プロセッサ装置に接続される。
挿入部11は、断面円形の管状に形成され、可撓性を有している。この挿入部11の先端部11aには、超音波画像を取得するための超音波トランスデューサアレイ17と、内視鏡画像を取得するためのCCDイメージセンサ(図示せず)と、図示しない撮影光学系を洗浄するための送気送水ノズル18と、鉗子等の処置具の出口になるとともに、血液や体内汚物等の吸引物を吸引するための吸引口にもなる鉗子・吸引口(以下、単に吸引口という)19とが設けられている。
また、先端部11aには、弾性を有するバルーン21が着脱自在に取り付けられる。バルーン21は、先端部11aの外面に密着するように圧縮した状態で被検体内に挿入される。このバルーン21は、超音波トランスデューサアレイ17から超音波を照射する際に、送水タンク22から供給される水によって拡張する。これにより、バルーン21は、先端部11aの体壁への密着性を高めるとともに、超音波トランスデューサアレイ17から照射される超音波及びその反射波が空気によって減衰してしまうことを防止する。また、バルーン21は、拡張した後、内部に保持した水が排水されることによって再び収縮する。このバルーン21には、例えば、ラテックスゴムなどが用いられる。
挿入部11及び操作部12内には、一端が吸引口19に通じる処置具チャネル24と、一端が送気送水ノズル18に通じる送気送水管路25と、一端がバルーン21の内部空間に通じるバルーン管路26とが設けられている。なお、図1では、各管路の区別を容易に行うために、管路以外の部分(中空部を含む)を斜線で表示している。
処置具チャネル24の他端は、挿入部11に設けられた処置具入口27に接続している。この処置具入口27は、処置具を挿入するとき以外は栓(図示せず)により塞がれている。また、処置具チャネル24からは吸引管路28が分岐しており、この吸引管路28は操作部12に設けられた吸引ボタン29に接続している。
送気送水管路25の他端は、送気管路31と送水管路32とに分岐している。送気管路31及び送水管路32は、操作部12に設けられた送気送水ボタン33に接続している。バルーン管路26の他端は、バルーン送水管路34とバルーン排水管路35とに分岐している。バルーン送水管路34は送気送水ボタン33に接続し、バルーン排水管路35は吸引ボタン29に接続している。
送気送水ボタン33には、送気管路31、送水管路32、及びバルーン送水管路34の他に、送気ポンプ37に通じる送気源管路38の一端と、送水タンク22に通じる送水源管路39の一端とが接続されている。送気ポンプ37は、超音波観察中は常時作動する。
送気源管路38の他端は、コネクタ15内で分岐管路41によって分岐されている。分岐管路41は送水タンク22の入口に接続している。また、送水源管路39の他端は、分岐管路41内を通って送水タンク22内に挿入されている。そして、分岐管路41を介した送気ポンプ37からの送気により、送水タンク22の内部圧力が上昇すると、送水タンク22内の水が送水源管路39へ送水される。
送気送水ボタン33は、いわゆる2段切り換え式のボタンである。この送気送水ボタン33の操作キャップ43には、大気に通じる排気口125(図16参照)が形成されている。送気送水ボタン33は、操作キャップ43が操作されていないときは、送水源管路39を遮断するとともに、送気源管路38を操作キャップ43の排気口125に連通させる。これにより、送気源管路38から送られる空気が送気送水ボタン33の排気口125からリークされる。そして、図16に示すように、この状態で排気口125が指160により塞がれると、送水源管路39の遮断が継続された状態で、送気源管路38と送気管路31とが連通する。これにより、送気管路31へ空気が送られて送気送水ノズル18から空気が噴出される。
また、送気送水ボタン33は、図18に示すように、操作キャップ43が半押し操作されたときは、送気源管路38を遮断するとともに、送水源管路39を送水管路32のみに連通させる。これにより、送水源管路39から送られる水が送水管路32等を介して送気送水ノズル18から噴出される。そして、図19に示すように、送気送水ボタン33は、操作キャップ43が全押し操作されたときは、送気源管路38の遮断が継続された状態で、送水源管路39をバルーン送水管路34のみに連通させる。これにより、送水源管路39から送られる水がバルーン送水管路34等を介してバルーン21内へ送水される。
吸引ボタン29には、吸引管路28及びバルーン排水管路35の他に、一端が吸引ポンプ45に通じる吸引源管路46の他端が接続されている。吸引ポンプ45も超音波観察中は常時作動する。吸引ボタン29は、送気送水ボタン33と同様に2段切り換え式のボタンである。
吸引ボタン29は、その操作キャップ47が操作されていないときは、吸引源管路46を外部(大気)に連通させる。これは吸引ポンプ45が常時作動しているので、吸引源管路46が大気と連通しないと、吸引ポンプ45に掛かる負荷が増加するためである。このため、吸引源管路46を大気と連通させることで吸引ポンプ45の負荷の増加が抑えられる。
また、吸引ボタン29は、操作キャップ47が半押し操作されたときは、吸引源管路46を吸引管路28のみに連通させる。これにより、吸引管路28及び処置具チャネル24の負圧吸引力が上昇して、吸引口19から各種吸引物が吸引される。そして、吸引ボタン29は、操作キャップ47が全押し操作されたときは、吸引源管路46をバルーン排水管路35のみに連通させる。これにより、バルーン排水管路35及びバルーン管路26の負圧吸引力が上昇して、バルーン21内の水が排水される。
図2及び図3に示すように、吸引ボタン29は、大別して、操作部12に固定されたシリンダ50と、シリンダ50内にスライド自在に収容されたピストン51と、シリンダ50に設けられ、ピストン51を半押しされた位置と全押しされた位置とに位置決めするシリンダキャップ52とで構成される。なお、以下の説明では、各部の図中の上方側の端及び端部をそれぞれ「上端」、「上端部」といい、図中の下方側の端または端部をそれぞれ「下端」、「下端部」という。
シリンダ50は金属で形成されている。このシリンダ50には、吸引管路28、バルーン排水管路35、及び吸引源管路46が接続されている。シリンダ50内には、その軸方向に長く延びたシリンダ管路54が形成されている。シリンダ管路54の上端はシリンダ開口55として開放され、シリンダ開口55の下端には吸引管路28に通じる吸引接続口56が設けられている。吸引接続口56には、吸引管路28に接続する吸引ノズル56aが設けられている。
また、シリンダ管路54内には、下端側から上端側に向かって、吸引源管路46に通じる吸引源接続口57と、バルーン排水管路35に通じる排水接続口58とが開口している。吸引源接続口57には、吸引源管路46と接続する吸引源ノズル57aが設けられ、排水接続口58には、バルーン排水管路35と接続するバルーン排水ノズル58aが設けられている。
シリンダ50の上端の外周部には、シリンダキャップ52の底部が当接する管状のキャップ当接部60(図3参照)が設けられている。また、シリンダ50の外周面における吸引源接続口57と吸引源ノズル57aとの接続部分には、吸引源ノズル57aに接続する吸引源接続部61が設けられている。吸引源接続部61は、シリンダ50の上端に向かって長く延びてキャップ当接部60に接続している。なお、図2では、シリンダ50とバルーン排水管路35との接続部分を明確にするために、吸引源接続部61の一部を切り欠いた状態で図示している。
吸引源接続部61の内部には通気路62が形成されている。通気路62の下端には、吸引源接続口57と吸引源ノズル57aとが開口している。通気路62の上端は、図2の2点鎖線で示すようにキャップ当接部60に接続している。
図4に示すように、キャップ当接部60には、その外周部の一部を切り欠くことにより、シリンダキャップ52との回転止めに用いられるキャップ回転止め用凹部(第2凹部)64が形成されている。また、キャップ当接部60の上面には、通気路62に通じるシリンダ通気穴65が開口している。なお、図示は省略するが、キャップ当接部60の外周面には雄ねじが形成されている。この雄ねじには、キャップ本体取付リング81が螺合する(図3参照)。キャップ当接部60の下側には取付フランジ53が形成されている。この取付フランジ53に、操作部12の取付ベース12aの下面が当接し、キャップ本体取付リング81が雄ねじに螺合することにより、取付ベース12aにシリンダ50が固定される。
図2及び図3に戻って、ピストン51は金属で形成されている。このピストン51は、シリンダ開口55から突出した軸先端部51aと、シリンダ管路54内に常時収容される軸本体部51bとからなる。軸先端部51aの径は、軸本体部51bの径よりも小さく形成されている。この軸先端部51aには、その側面の一部を切り欠くことにより、シリンダキャップ52との回転止めに用いられる略平面状のキャップ回転止め面67(図3、図9参照)が形成されている。
また、軸先端部51aの先端には、半押し操作時及び全押し操作時に押圧操作を受ける略円板状の操作キャップ47が固定されている。なお、操作キャップ47の上面には、押圧操作を行う際の押圧位置を示す指標47aが設けられている。
軸本体部51bには、その軸下端面に開口した下端面開口69と、側面に開口した側面開口70とを連通する内部管路(連通路)71が形成されている。側面開口70は、半押し操作時に吸引源接続口57と略対向する位置に形成されている(図14参照)。
軸本体部51bの側面には、側面開口70に対して軸先端部51a側に離間した位置に、ピストン51の軸方向に長く延びた環状の周溝(連通路)72が形成されている。周溝72は、全押し操作時にその上端の開口上端部72aが排水接続口58に略対向し、かつその下端の開口下端部72bが吸引源接続口57に略対向するような軸方向長さを有している(図15参照)。なお、図2では、排水接続口58が表れるように周溝72の一部を切り欠いた状態で図示している。
また、軸本体部51bの側面には、第1〜第4パッキン74a〜74dが嵌着されている。第1パッキン74aは軸本体部51bの下端に嵌着されている。第2パッキン74b及び第3パッキン74cは、側面開口70を間に挟むように軸本体部51bに嵌着されている。第4パッキン74dは、第3パッキン74cとの間に周溝72を挟むように軸本体部51bに嵌着されている。
本実施形態では、第1及び第4パッキン74a、74dはフッ素ゴムにより構成され、第2及び第3パッキン74c、74dはシリコンゴムにより構成される。すなわち、軸本体部51bの軸方向端部の両端(下端及び上端)に配置される端部パッキン(第1及び第4パッキン74a、74d)は、軸方向端部以外に配置される中間パッキン(第2及び第3パッキン74b、74c)よりも耐摩耗性の高い材質により構成される。これにより、操作キャップ47が押圧操作されたときに、ピストン51の傾きによって端部パッキンに大きな負荷が掛かっても端部パッキンの摩耗・劣化が抑制される。
上記構成のピストン51は、操作キャップ47が押圧操作されておらず、この操作キャップ47がシリンダ開口55から最も離れる非押圧位置(第1位置)と、全押し操作により操作キャップ47が最もシリンダ開口55に近づきかつ更なる押し込みが規制される全押し位置(第2位置)との間でスライドする。
ピストン51は、非押圧位置に位置しているときに、軸本体部51bの側面や各パッキン74a〜74dなどにより吸引源接続口57と、吸引接続口56及び排水接続口58との連通を遮断する遮断状態になる。また、ピストン51は、全押し位置に位置しているときに、周溝72により吸引源接続口57に対して排水接続口58のみを連通させるバルーン排水状態(図15参照)になる。また、ピストン51は、操作キャップ47に対する半押し操作により、非押圧位置と全押し位置との間に位置する半押し位置(第3位置)に移動したときは、内部管路71により吸引源接続口57に対して吸引接続口56のみを連通させる吸引状態(図14参照)になる。
シリンダキャップ52は、大別して、シリンダ50の上端にシリンダ開口55を囲むように取り付けられた有底筒状のシリンダキャップ本体(以下、単にキャップ本体という)76と、キャップ本体76の内周側に設けられた有底筒状の気密キャップ77と、第1コイルバネ78と、第2コイルバネ79とを備えている。これらシリンダキャップ52の各部は、シリンダ50の上端部の径よりも大径に形成されている。
キャップ本体76は、キャップ本体取付リング81を介して、シリンダ50の上端に取り付けられる。キャップ本体取付リング81は、キャップ当接部60が挿通可能な挿通穴を有し、この挿通穴を形成する内周壁に図示しない雌ねじが形成されている。キャップ当接部60の外周面の雄ねじをキャップ本体取付リング81の雌ねじに螺合させることにより、キャップ本体取付リング81がシリンダ50の上端に連結される。また、キャップ本体取付リング81の上端部には、環状のフランジ81aが形成されている。
キャップ本体76は、その上端部がキャップ本体開口83(図5参照)として開放されている金属製の有底筒状体84と、この有底筒状体84の外周面を覆う樹脂製の略筒状のカバー85とからなる。カバー85の下端部は、有底筒状体84の底部よりもシリンダ50側に向かって長く延びており、この下端部の内側にはフランジ81aに係合する係合爪86が複数形成されている(図6参照)。これにより、カバー85及びキャップ本体取付リング81を介して、有底筒状体84がシリンダ50と連結する。
有底筒状体84の底部(以下、キャップ本体底部という)84aは、キャップ当接部60の上面に当接する。このキャップ本体底部84aには、シリンダ50の上端が挿通されるシリンダ挿通穴88(図5及び図6参照)が形成されている。また、キャップ本体底部84aには、シリンダ通気穴65と対向する位置にキャップ本体通気穴89(図6参照)が形成されている。これにより、有底筒状体84の内部と、シリンダ50の通気路62との間で空気が流通可能となる。
図5に示すように、キャップ本体底部84aの気密キャップ77に対向する気密キャップ対向面上には、気密キャップ77の側壁部77a(図2及び図3参照)に向かって突出したキャップ回転止め用凸部(第1凸部)91が形成されている。また、有底筒状体84には、キャップ本体開口83の内周縁を環状に切り欠くことにより環状の台座92が形成されている。
図6に示すように、キャップ本体底部84aのシリンダ50に対向するシリンダ対向面上には、キャップ当接部60に向かって突出したシリンダ回転止め用凸部(第2凸部)94が形成されている。このシリンダ回転止め用凸部94は、キャップ当接部60のキャップ回転止め用凹部64に係合する。
図2及び図3に示すように、気密キャップ77は、有底筒状体84の内周側にスライド自在に保持されており、台座92に取り付けられた気密キャップ取付リング96によって有底筒状体84からの脱落が阻止されている。この気密キャップ77は、ピストン51の軸方向に長く延びた筒状の側壁部77aと、この側壁部77aの上端に形成された気密キャップ底部77bとを有しており、さらに側壁部77aの下端が気密キャップ開口97(図8参照)として開放されている。側壁部77a及び気密キャップ開口97の径は、シリンダ開口55の開口径より大きくかつ有底筒状体84の内径よりは小さくなるように形成されている。
側壁部77aの外周面の下端側には、環状の気密パッキン98が嵌着されているとともに、この気密パッキン98を保持するパッキン保持部99が形成されている。気密パッキン98は、有底筒状体84の内周面に接触して、側壁部77aの外周面と有底筒状体84の内周面との間の隙間から空気が漏れることを防止する。パッキン保持部99は、略環状の一対のフランジからなり、その外径が気密キャップ取付リング96の内径よりも大きくなるように形成されている。このパッキン保持部99は、前記ピストンの軸方向に長く形成されており、気密キャップ77の外側ガイド筒105として機能する。
また、側壁部77aの下端側には、その一部を切り欠くことにより、キャップ回転止め用凸部91が係合するキャップ回転止め用凹部(第1凹部、図8参照)100が形成されている。キャップ回転止め用凹部100は、気密キャップ77のスライドの妨げとならないように、キャップ回転止め用凸部91よりもピストン51の軸方向に十分に長く形成されている。
図7に示すように、気密キャップ底部77bには、軸先端部51aが挿通される軸挿通穴101が形成されている。この軸挿通穴101の内周面には、軸先端部50aのキャップ回転止め面67に当接して係合する略平面状のピストン回転止め面102が形成されている。
また、気密キャップ底部77bには、軸挿通穴101の周囲に複数の気密キャップ通気穴103が形成されている。気密キャップ通気穴103は外部に通じている。これにより、吸引源ノズル57a、通気路62、キャップ本体通気穴89、有底筒状体84及び気密キャップ77の内部空間、気密キャップ通気穴103を介して、吸引源管路46と外部(大気)とが連通する(図2参照)。
図8に示すように、気密キャップ底部77bには、上端が軸挿通穴101として開放され、下端がシリンダ開口55に向かって長く延びた内側ガイド筒104が形成されている。内側ガイド筒104には、軸先端部51aが摺動自在に挿通される。内側ガイド筒104は軸方向に一定長さで形成されるため、気密キャップ77が軸先端部51a上で傾斜することなく保持される。これにより、ピストン51のスライド時に、気密キャップ77のがたつきや傾斜が抑えられる。したがって、操作キャップ47の押圧時に円滑な操作が可能になる。また、傾斜による気密不良もなくなり、吸引不良が発生することもない。
また、ガイド筒104の内径は軸本体部51bの径よりも小さいので、ガイド筒104の先端部は、軸本体部51bの端面からなる係止部95(図2参照)に当接する。これにより、気密キャップ77、気密キャップ取付リング96、キャップ本体76、及びキャップ本体取付リング81を介して、ピストン51がシリンダ50から脱落することが阻止される。
図2に戻って、気密キャップ77は、パッキン保持部99の上端が気密キャップ取付リング96に当接して、気密キャップ底部77bがキャップ本体開口83から突出する突出位置と、側壁部77aの下端がキャップ本体底部84aに当接して、気密キャップ底部77bがキャップ本体開口83内に格納される格納位置(図15参照)との間でスライドする。気密キャップ77は、ピストン51が非押圧位置から半押し位置に移動するまでは突出位置にある。
また、気密キャップ77は、操作キャップ47に対する押圧操作によりピストン51が半押し位置から全押し位置に向けて移動しているときに、操作キャップ47により押圧されて突出位置から格納位置に向けて移動する。そして、気密キャップ77は、ピストン51が全押し位置に移動したときに格納位置に移動して、この格納位置において操作キャップ47及びピストン51の更なる押し込みを規制する。
第1コイルバネ78は、自然長よりもピストン51の軸方向に圧縮された状態でキャップ本体底部84aと気密キャップ底部77bとの間に配置されており、その中心にピストン51が挿通されている。第1コイルバネ78は、気密キャップ77が突出位置で維持されるように、気密キャップ底部77bをキャップ本体開口83から突出する方向に付勢する。
第2コイルバネ79は、自然長よりもピストン51の軸方向に圧縮された状態でパッキン保持部99と操作キャップ47との間に配置されており、その中心にピストン51が挿通されている。第2コイルバネ79は、操作キャップ47を軸挿通穴101から突出する方向に付勢する。第2コイルバネ79は、第1コイルバネ78よりも付勢力が小さくなるように設定されている。これにより、操作キャップ47による押圧操作では、先ず第2コイルバネ79が主に変形を開始し、その後に第1コイルバネ78が変形を開始する。したがって、二つのコイルバネ78,79の付勢力の相違によって、操作キャップ47を半押し位置で一時停止させることができる。
気密キャップ77を間に介して、第1コイルバネ78及び第2コイルバネ79がシリンダキャップ52内に配置される。そして、気密キャップ77の内側に第1コイルバネ78が、気密キャップ77の外側に第2コイルバネ79が配置されて、二重構造となるため、2本のコイルバネ78,79をシリンダキャップ52内にコンパクトに納めることができ、シリンダキャップ52の高さを低く抑えることができる。
第1コイルバネ78及び第2コイルバネ79による付勢により、ピストン51が非押圧位置で維持される。このピストン51を非押圧位置から半押し位置まで移動させる際には、第2コイルバネ79の付勢に抗して操作キャップ47を押圧する必要がある。そして、さらにピストン51を半押し位置から全押し位置まで移動させる際には、第1及び第2コイルバネ78,79の付勢に抗して操作キャップ47を押圧する必要がある。したがって、ピストン51を非押圧位置から全押し位置に移動させる途中で、操作キャップ47に対して加えられる付勢力が変わる。
操作キャップ47は、略円板状の樹脂材料からなる傘部106と、この傘部106の底面に固定され、ピストン51が半押し位置から全押し位置までの間にあるときに気密キャップ底部77bに圧接する金属製の圧接リング107とを有している。圧接リング107の底面には、気密キャップ底部77bに向かって突出したリング凸部107aが形成されている。このリング凸部107aには、雌ねじ(図示せず)を有するねじ穴108が形成されており、このねじ穴108に、雄ねじ(図示せず)が形成された軸先端部50aが螺合することにより、圧接リング107と軸先端部50aとが連結される。
リング凸部107aの下端には、気密キャップ底部77bに圧接する略環状の圧接面110が形成されている。圧接面110は、気密キャップ底部77bに圧接したときに気密キャップ通気穴103を覆う。ピストン51が全押し位置にあるときは、圧接面110が気密キャップ底部77bに圧接するとともに、側壁部77aがキャップ本体底部84aに圧接するが、これら各部は全て金属材料で形成されているので、全押し位置にあるピストン51の周溝72や側面開口70の位置の軸方向の誤差が低減される。
また、リング凸部107aの外周には環状の取付溝が形成されており、この取付溝に環状の弾性材料からなるスカート状の封止パッキン109が取り付けられている。この封止パッキン109の先端は、圧接面110よりも気密キャップ底部77bに向かう方向に長く突出しており、先端に向かうに従い次第に肉薄になっている。このため、圧接面110が気密キャップ底部77bに圧接したときに、封止パッキン109の先端は、弾性変形した状態で気密キャップ底部77bに圧接する。これにより、圧接面110により気密キャップ通気穴103を完全に塞ぐことができない場合でも、気密キャップ通気穴103と外部との間での空気の流通を遮断することができる。その結果、吸引源管路46と外部との間での空気の流通が遮断される。
図2のP−P線に沿う断面を示す図9において、軸先端部51aのキャップ回転止め面67と、気密キャップ底部77bの軸挿通穴101に形成されたピストン回転止め面102とが係合することにより、ピストン51と気密キャップ77との間の回転が規制される。
また、図2のQ−Q線に沿う断面を示す図10において、有底筒状体84に形成されたキャップ回転止め用凸部91と、側壁部77aに形成されたキャップ回転止め用凹部100とが契合することにより、キャップ本体76と気密キャップ77との間の回転が規制される。
さらに、図2のR−R線に沿う断面を示す図11において、キャップ本体底部84aに形成されたシリンダ回転止め用凸部94と、キャップ当接部60に形成されたキャップ回転止め用凹部64とが係合することにより、シリンダ50とキャップ本体76との間の回転が形成される。
図12に示すように、ピストン51と気密キャップ77との間、気密キャップ77とキャップ本体76との間、キャップ本体76とシリンダ50との間がそれぞれ回転規制されることにより、シリンダキャップ52を介して、シリンダ50とピストン51との間が間接的に回転規制される。これにより、キャップ回転止め面67、キャップ回転止め用凸部91、シリンダ回転止め用凸部94,キャップ回転止め用凹部64,100,ピストン回転止め面102の形成位置や形状を調整することで、ピストン51が半押し位置に移動されて吸引状態に切り換えられたときに、その側面開口70を吸引源接続口57に略対向させることができる。
次に上記構成の超音波内視鏡10の作用、特にその中でも吸引ボタン29の作用について詳しく説明する。超音波内視鏡検査の準備が完了すると、検査準備が完了した後は、CCDイメージセンサや超音波トランスデューサアレイ17が作動するとともに、送気ポンプ37による送気と、吸引ポンプ45による吸引が常時行われる。そして、この準備完了後、患者の体内、例えば消化管内に挿入部11が挿入され、消化管内の観察が開始される。このときバルーン21は、その内部の水が完全に抜かれ、先端部11aに外面に密着するように収縮した状態になっている。
消化管内の観察は、先ず内視鏡画像によって行われる。このとき観察対象または先端部11aの観察窓(図示せず)の洗浄などの必要に応じて、送気送水ボタン33の操作キャップ43を操作して、送気送水ノズル18からの送気や送水を行う。そして、内視鏡画像によって消化管内に患部を発見した際などのより詳細な観察を行いたい場合に超音波画像による観察に切り換えられる。
超音波内視鏡による観察を行う場合は、操作キャップ43を全押して送水タンク22に貯留された水を、送水源管路39、バルーン送水管路34、及びバルーン管路26を介してバルーン21内に送水してバルーン21を拡張させる。なお、バルーン21内への送水量を調整する方法は公知であるのでその説明は省略する。バルーン21を拡張させた後、このバルーン21を患部などの被観察部位に密着させる。これにより、被観察部位の超音波画像が得られる。
超音波画像観察中や内視鏡画像観察中において、吸引やバルーン排水を行わない通常時には、図13に示すように、吸引ボタン29の操作キャップ47が押圧操作されないので、第1及び第2コイルバネ78,79によりピストン51は非押圧位置で維持されて遮断状態となる。このときに内部管路71及び周溝72は、吸引源接続口57と、吸引接続口56及び排水接続口58とを連通する位置に移動していないので、吸引源管路46と、吸引管路28及びバルーン排水管路35との連通が遮断される。その結果、吸引口19からの吸引、及びバルーン21内の排水は行われない。
なお、ピストン51が非押圧位置にあるときは、気密キャップ底部77bの気密キャップ通気穴103が開放される。これにより、吸引源接続口57が通気路62、キャップ本体通気穴89、気密キャップ通気穴103などを介して外部と連通する。その結果、吸引口19からの吸引やバルーン21内の排水を行っていないときでも、吸引ポンプ45に負荷が掛かることが防止される。
超音波画像観察中や内視鏡画像観察中に、血液や体内汚物の吸引物を吸引する必要がある場合には、操作キャップ47が半押しされてピストン51がシリンダ開口55内に押し込まれる。この際にピストン51が半押し位置に達するまでの間は、操作キャップ47に対して第2コイルバネ79からの付勢力が加えられ、この半押し位置を超えると、操作キャップ47に対して第1及び第2コイルバネ78,79のからの付勢力が加えられる。このため、半押し位置を境に操作キャップ47に対する付勢力が増加するので、ピストン51を半押し位置で停止させることができる。
図14に示すように、ピストン51は、半押し位置で停止したときに非押圧状態から吸引状態に切り替わる。この吸引状態では、内部管路71の側面開口70が吸引源接続口57に対向する位置に移動する一方で、周溝72の開口下端部72bは吸引源接続口57に対向する位置に達していない。また、このときには、吸引源接続口57と排水接続口58との間に第3パッキン74cが移動する。このため、吸引源接続口57に対して吸引接続口56のみが連通する。
吸引源接続口57と吸引接続口56とが連通すると、内部管路71などを介して吸引源管路46と吸引管路28及び処置具チャネル24とが連通する。また、ピストン51が半押し位置に達したときに、リング凸部107aの圧接面110及び封止パッキン109が気密キャップ底部77bに圧接して気密キャップ通気穴103を塞ぐ。これにより、吸引源管路46と外部との連通が遮断され、吸引源管路46から吸引口19に至る各管路の負圧吸引力が上昇する。こうして吸引口19から各種吸引物が吸引される。吸引物は、処置具チャネル24、吸引管路28、シリンダ管路54、内部管路71、吸引源管路46を介して超音波内視鏡10の外部へ吸引される。
このようにピストン51が吸引状態に切り換えられた際に、シリンダ50とピストン51との間がシリンダキャップ52を介して間接的に回転規制されているので、ピストン51の側面開口70が吸引源接続口57に対して常に略対向する。これにより、側面開口70と吸引源接続口57との間で吸引物が流通可能な流路の大きさが最大になるので、吸引ボタン29の吸引能力を最大限に高めることができる。さらに、従来のように、ピストンの側面とシリンダの管路内面とにそれぞれ回転止めを設ける必要がなくなる。その結果、内部管路71や周溝72など各種連通路をピストン51に形成する際の形成位置の自由度が高くなり、ピストン51を含む吸引ボタン29を小型化することができる。
吸引を停止する場合には、操作キャップ47に対する押圧を解除する。これにより、第2コイルバネ79の付勢力によりピストン51が図13に示す非押圧状態に戻る。
超音波画像観察が終了すると、操作キャップ47が全押しされて、ピストン51がシリンダ開口55内に押し込まれる。ピストン51が半押し位置を超えるまでは操作キャップ47に対して第2コイルバネ79からの付勢力が加えられ、この半押し位置を超えると、操作キャップ47に対して第1及び第2コイルバネ78,79のからの付勢力が加えられる。また、ピストン51が半押し位置を超えると、操作キャップ47の押圧により気密キャップ77が突出位置から格納位置に向けて移動する。そして、第1及び第2コイルバネ78,79の付勢に抗して操作キャップ47の押し込みを継続すると、気密キャップ77が格納位置に到達して更なる押し込みが規制される。これにより、ピストン51が全押し位置で停止する。
図15に示すように、ピストン51は、全押し位置で停止したときにバルーン排水状態に切り替わる。このバルーン排水状態では、内部管路71の側面開口70と吸引源接続口57との位置がピストン51の軸方向にずれるとともに、周溝72の開口上端部72a及び開口下端部72bがそれぞれ排水接続口58、吸引源接続口57に略対向する位置に移動する。また、このときには、側面開口70と吸引源接続口57との間に第3パッキン74cが移動する。このため、吸引源接続口57に対して排水接続口58のみが連通する。
吸引源接続口57と排水接続口58とが連通すると、周溝72などを介して吸引源管路46とバルーン排水管路35及びバルーン管路26とが連通する。また、このときには、上述の吸引時と同様に気密キャップ通気穴103が塞がれているので吸引源管路46と外部との連通は遮断されている。これにより、吸引源管路46からバルーン管路26に至る各管路の負圧吸引力が上昇する。こうしてバルーン21内から水が排水されてバルーン21が収縮する。バルーン21から排水された水は、バルーン管路26、バルーン排水管路35、周溝72、吸引源管路46を介して超音波内視鏡10の外部へ排水される。
公知の排水量検知法によりバルーン21内から所定量の水が排出されたことが検知されたときに、操作キャップ47に対する押圧を解除する。これにより、第1及び第2コイルバネ78,79の付勢力によりピストン51が図13に示す非押圧状態に戻る。
以下同様にして、超音波内視鏡10による検査が終了するまでの間、送気送水ボタン33及び吸引ボタン29を適宜操作して、送気、送水、バルーン送水、吸引、バルーン排水を行う。
本実施形態では、ピストン51の軸本体部51bの側面に嵌着されている第1〜第4パッキン74a〜74dのうち、軸方向端部の両端に配置される端部パッキン(第1及び第4パッキン74a、74d)はフッ素ゴムからなり、軸方向端部以外に配置される中間パッキン(第2及び第3パッキン74b、74c)を構成するシリコンゴムよりも耐摩耗性の高い材質により構成される。このため、操作キャップ47が押圧操作されたときに、ピストン51の傾きによって大きな負荷が掛かりやすい端部パッキンの摩耗・劣化が抑制される。これにより、選択的なパッキンの摩耗・劣化による気密不良を防止することができ、ボタンとしての耐久性及び寿命を向上させることが可能となる。また、全てのパッキン74a〜74dを耐摩耗性の高い材質で構成する場合に比べて、操作キャップ47を押圧操作したときの摺動抵抗を小さくすることができ、操作感が軽快なものとなり、円滑な操作が可能となる。
なお、本実施形態では、耐摩耗性の高い材質により構成される端部パッキンは、軸本体部51bの軸方向端部の両端に配置されているが、これに限らず、少なくとも一方(下端又は上端)に配置されていてもよい。例えば、第1パッキン74aがフッ素ゴムで構成され、第2〜第4パッキン74b〜74dがシリコンゴムで構成される態様や、第4パッキン74dがフッ素ゴムで構成され、第1〜第3パッキン74b〜74dがシリコンゴムで構成される態様を採用することも可能である。但し、本実施形態のように、軸本体部51bの軸方向端部の両端に配置される第1及び第4パッキン74a、74dが耐摩耗性の高い材質により構成される態様が好ましく、ピストン51の傾きに変動が生じた場合でも選択的なパッキンの摩耗・劣化による気密不良を確実に防止することができる。
また、本実施形態では、端部パッキンの少なくとも表面部(シリンダ管路54の内壁面との接触部)が中間パッキンの表面部よりも耐摩耗性の高い材質により構成される態様として、例えば、所定の材質(例えばシリコンゴム)からなるパッキン本体の表面部に対してDLCコーティング(ダイヤモンドライクカーボンコーティング)やシリコンコーティング等の表面処理を施す態様を好ましく採用することができる。これにより、操作キャップ47が押圧操作されたときに、ピストン51の傾きによって大きな負荷が掛掛かりやすい端部パッキンの摩耗・劣化が抑制される。その結果、選択的なパッキンの摩耗・劣化による気密不良を防止することができ、ボタンとしての耐久性及び寿命を向上させることが可能となる。また、全てのパッキンを表面処理する場合に比べて、一部のパッキンに対して選択的に表面処理を施すことによってコストダウンを図ることができる。
また、ボタンとしての耐久性及び寿命を向上させる手段としては、本実施形態に限らず、端部パッキンのしめしろを中間パッキンのしめしろよりも大きく設定する態様がある。なお、本明細書において、パッキンのしめしろとは、図20に示すように、パッキンの外径d1とシリンダ管路54の内径d2との差分Δd(=d1−d2)と定義する。
端部パッキンのしめしろは、0.05[mm]以上0.5[mm]以下(より好ましくが好ましく、0.1[mm]以上0.5[mm]以下がより好ましい。例えば、端部パッキンとしての第1及び第4パッキン74a、74dのしめしろは0.2[mm]に設定され、中間パッキンとしての第2及び第3パッキン74b、74cのしめしろは0.1[mm]に設定される。
端部パッキンのしめしろを中間パッキンのしめしろよりも大きく設定する方法としては、外径が異なるパッキンを用いる方法や、パッキン取付部のピストン径を異ならせる方法等がある。
このように端部パッキンのしめしろを中間パッキンのしめしろよりも大きく設定することにより、ピストン51の傾きによって大きな負荷が掛かりやすい端部パッキンに摩耗・劣化が発生しても気密不良の発生を抑止することができるので、ボタンとしての耐久性及び寿命を向上させることができる。また、全てのパッキンのしめしろを通常よりも大きく設定した場合に比べて、操作キャップ47を押圧操作したときの摺動抵抗が小さくすることができ、操作感が軽快なものとなり、円滑な操作が可能となる。
上記実施形態の吸引ボタン29では、吸引管路28、バルーン排水管路35、吸引源管路46の計3つの管路が接続しているが、4種類以上の各種管路が接続していてもよい。
なお、上記実施形態では、吸引ボタン29に本発明を適用した例について説明したが、他の内視鏡用管路切換装置に本発明を適用することも可能である。例えば、図16〜図19に示すように、送気送水ボタン33に対して本発明を適用してもよい。
送気送水ボタン33は、基本的な構成は吸引ボタン29と同じであり、説明を簡単にするために、吸引ボタン29と同一構成部材には同一符号が付してある。吸引ボタン29と異なる構成は、操作キャップ43に排気口125が形成してあること、吸引ボタン29の気密キャップ77に代えて、気密性が不要なガイドキャップ120を用いていること、ピストン135とシリンダ140との間に回転規制が必要ないため、回転規制部材を備えていないこと、複数の管路を切り換えるために、シリンダ140に接続される管路種類及び管路数が異なること、これに対応してピストン135に形成される連通路も異なることなどが挙げられる。
図16及び図17に示すように、送気送水ボタン33は、排気口125を有する操作キャップ43と、シリンダ140と、シリンダ140内にスライド自在に収容されるピストン135と、シリンダ140に取り付けられるシリンダキャップ52と、キャップ本体取付リング81とから構成される。シリンダキャップ52は、シリンダキャップ本体76とガイドキャップ120を有している。
シリンダ140は有底筒状に形成されており、シリンダ管路140aを有する。シリンダ管路140aには、下から順に接続口141,142,143,144,145が形成されている。これら接続口141〜145には接続ノズル141a〜145aが接続されている。そして、接続ノズル141aにはノズル送気管路31(共に図1参照)、接続ノズル142aにはコネクタ側の送気源管路38、接続ノズル143aにはノズル送水管路32、接続ノズル144aにはコネクタ側の送水源管路39、接続ノズル145aにはバルーン送水管路34がそれぞれ接続される。
シリンダ140の取付ベース12a(図2参照)への取り付けや、シリンダ140へのシリンダキャップ52の取り付けは、吸引ボタン29と同様であるため、単に各部材名称のみを示す。また、シリンダキャップ52の構成も気密キャップ77に代えて、気密性が必要とされないガイドキャップ120を使用する点でのみ異なるが、その他の構成は同じであるため、同様に各部材名称のみを示す。
図16に示すように、ピストン135も2段切換式の構成は吸引ボタン29と同様であり、ここでは、吸引ボタン29とは構成が異なる軸本体部135bとシリンダ管路140aとの関係について説明する。
図17に示すように、軸本体部135bには下端から順に、軸方向に離間して5個の周溝からなるパッキン収納溝が形成されており、これら収納溝内には第1〜第5パッキン151a〜151eが嵌められている。これらパッキン151a〜151eがシリンダ管路140aに密着して弾性変形することにより、これらパッキン151a〜151eで仕切られたシリンダ管路140a内の空間が水密または気密に保持される。本形態では、5個のパッキン151a〜151eにより下端から順に第1〜第4の仕切り室152〜155が形成される。これら第1〜第4仕切り室152〜155には、それぞれ必要に応じて周溝が形成してある。これら第1〜第4仕切り室152〜155によって、シリンダ管路140a内には、第1〜第4連通路161〜164が形成されている。また、第1仕切り室152には周方向に90°ピッチで4個の穴156が形成してあり、ピストン135内の貫通穴158と連通することにより第5連通路165が形成されている。
第1〜第5パッキン151a〜151eのうち、軸本体部51bの軸方向端部の両端に配置される端部パッキン(第1及び第5パッキン151a、151e)はフッ素ゴムにより構成され、軸方向端部以外に配置される中間パッキン(第2〜第4パッキン151b〜151d)を構成するシリコンゴムに比べて耐摩耗性の高い材質により構成される。このため、操作キャップ43が押圧操作されたときに、ピストン135の傾きによって大きな負荷が掛かりやすい端部パッキンの摩耗・劣化が抑制される。これにより、選択的なパッキンの摩耗・劣化による気密不良を防止することができ、ボタンとしての耐久性及び寿命を向上させることができる。また、全てのパッキン151a〜151eを耐摩耗性の高い材質で構成する場合に比べて、操作キャップ43を押圧操作したときの摺動抵抗を小さくすることができ、操作感が軽快なものとなり、円滑な操作が可能となる。
なお、吸引ボタン29と同様に、耐摩耗性の高い材質により構成される端部パッキンは、軸本体部51bの軸方向端部の両端に限らず、少なくとも一方(下端又は上端)に配置されていてもよい。また、端部パッキンの少なくとも表面部(シリンダ管路140aの内壁面との接触部)が中間パッキンの表面部よりも耐摩耗性の高い材質により構成されていればよく、例えばパッキン本体の表面部に対してDLCコーティングやシリコンコーティング等の表面処理を施されていてもよい。
送気送水ボタン33では、気密キャップ77に代えてガイドキャップ120が用いられ、気密は必要とされない。このため、ガイドキャップ120の筒部下端のフランジには気密パッキンが挿入されていない。また、シリンダキャップ52や気密キャップ77に設けた空気連通穴は省略されている代わりに、第1コイルバネ受け面に通気穴(不図示)が形成されている。
操作キャップ43も吸引ボタン29と同様に構成されているが、送気送水ボタン33では、無操作状態で送気のリークと送気を切り換えるために、操作キャップ43には排気口125が形成してある。この排気口125はピストン135の貫通穴158と連通している。
吸引ボタン29と同様に、操作キャップ43の押圧操作によって、ピストン135は、無操作状態による無操作位置、半押し位置、全押し位置に変位する。無操作位置では、図16に示すように、コネクタ側の送気管路が接続される接続ノズル142aの接続口142がピストン135の第1連通路161に位置し、第1連通路161及び第5連通路165を介して、送気ポンプ37からの空気は操作キャップ43の排気口125から排出される。
この無操作位置で操作キャップ43の排気口125を指160で押さえて封止すると、送気管路から送られた空気はピストン135内に滞留し、この滞留によって圧力が上がると、下端部の逆支弁157が開き、接続口141を介して送気管路へと送気される。
図18に示すように、操作キャップ43を半押しすると、ピストン135が半押し位置になり、コネクタ側の送水管路が接続される接続ノズル144aの接続口144が、第3連通路163に連通し、同じく第3連通路163に連通しているノズル送水管路が接続される接続ノズル143aの接続口143に連通する。したがって、コネクタ側の送水管路とノズル送水管路が接続された状態になり、ノズル送水が行われる。また、この半押し位置では、コネクタ側の送気管路と送気管路とは遮断位置になる。
図19に示すように、操作キャップ43を全押しすると、コネクタ側の送水管路が接続される接続ノズル144aの接続口144と、バルーン送水管路が接続される接続ノズル145aの接続口145とが、第4連通路164を介して連通し、バルーン送水が行われる。この全押し位置では、コネクタ側の送気管路と操作部側の送気管路とは遮断位置となる。
上記各実施形態では、超音波内視鏡10に設けられる吸引ボタン29や送気送水ボタン33を例に挙げて説明を行ったが、例えば大腸に挿入される大腸内視鏡等の各種内視鏡に設けられている吸引ボタンや送気送水ボタンにも本発明を適用することができる。
(付記)
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(付記1)ピストンの先端に設けられた操作キャップの押圧操作により、シリンダ内におけるピストンを位置決めして、前記シリンダに形成されている管路接続口と前記ピストンに形成されている連通路との連通する組み合わせを変えて複数の管路の連通及び遮断を切り換える内視鏡用管路切換装置であって、前記複数の管路の連通及び遮断を切り換えるために前記ピストンの側面に嵌着され、該ピストンの軸方向に沿って配置された複数のパッキンを備え、前記複数のパッキンのうち、前記ピストンの軸方向端部の少なくとも一方に配置された端部パッキンは、前記ピストンの軸方向端部以外に配置された中間パッキンよりも耐摩耗性の高い材質で構成されている内視鏡用管路切換装置。
付記1に記載の発明によれば、ピストンの側面に嵌着される複数のパッキンのうち、ピストンの傾きによって大きな負荷が掛かりやすい端部パッキンは中間パッキンよりも耐摩耗性の高い材質で構成されるので、端部パッキンの摩耗・劣化による気密不良を防止することができ、耐久性及び寿命を向上させることが可能となる。また、全てのパッキンを耐摩耗性の高い材質で構成する場合に比べて、操作キャップを押圧操作したときの摺動抵抗を小さくすることができ、操作感が軽快なものとなり、円滑な操作が可能となる。
(付記2)前記端部パッキンは、前記ピストンの軸方向端部の両端に配置される付記1に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記3)前記端部パッキンは、少なくとも前記シリンダ内の管路内壁面と接触する表面部が前記耐摩耗性の高い材質で構成されている付記1又は2に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記4)前記耐摩耗性の高い材質はフッ素ゴムである付記1〜3のいずれか1項に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記5)前記端部パッキンの前記表面部は、前記中間パッキンに比べて耐摩耗性を向上させるための表面処理が施されている付記3に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記6)前記端部パッキンの前記表面部は、ダイヤモンドライクカーボンコーティング又はシリコンコーティングによって表面処理が施されている付記5に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記7)ピストンの先端に設けられた操作キャップの押圧操作により、シリンダ内におけるピストンを位置決めして、前記シリンダに形成されている管路接続口と前記ピストンに形成されている連通路との連通する組み合わせを変えて複数の管路の連通及び遮断を切り換える内視鏡用管路切換装置であって、前記複数の管路の連通及び遮断を切り換えるために前記ピストンの側面に嵌着され、該ピストンの軸方向に沿って配置された複数のパッキンを備え、前記複数のパッキンのうち、前記ピストンの軸方向端部の少なくとも一方に配置された端部パッキンのしめしろは、前記ピストンの軸方向端部以外に配置された中間パッキンのしめしろよりも大きく設定されている内視鏡用管路切換装置。
(付記8)前記端部パッキンは、前記ピストンの軸方向端部の両端に配置される付記7に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記9)前記端部パッキンのしめしろは、0.05[mm]以上0.5[mm]以下に設定されている付記8に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記10)付記1〜付記9のいずれか1項に記載の内視鏡用管路切換装置において、前記操作キャップの押圧操作により、前記シリンダ内における前記ピストンの移動ストロークの始端である第1位置と、終端である第2位置と、その途中位置である第3位置とに前記ピストンを位置決めして、前記シリンダに形成されている管路接続口と前記ピストンに形成されている連通路との連通する組み合わせを変えて複数の管路の連通及び遮断を切り換える2段切り換え式の内視鏡用管路切換装置。
(付記11)前記シリンダの開口に取り付けられ、前記ピストンを前記第1位置に向かう第1方向に付勢し、この付勢に抗して前記操作キャップが第1方向とは逆の第2方向に押圧されたときに、前記第3位置で付勢力を変えて前記ピストンを前記第3位置で一時停止させるとともに、この前記第3位置を超える押圧操作により前記ピストンを前記第2位置に位置決めするシリンダキャップを備える付記10に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記12)前記シリンダキャップは、前記シリンダの開口を囲むように取り付けられる筒状のキャップ本体と、前記ピストンの先端部が挿通するピストン挿通穴を有し、前記キャップ本体の内周側でスライド自在に設けられたガイドキャップと、前記キャップ本体及び前記ガイドキャップの間に配置され、前記ガイドキャップを前記第1方向に付勢する第1付勢手段と、前記操作キャップ及び前記ガイドキャップの間に配置され、前記操作キャップを前記第1方向に付勢し、前記第1付勢手段よりも付勢力が小さい第2付勢手段と、を備える付記11に記載の内視鏡用管路切換装置。
(付記13)付記1〜12のいずれか1項に記載の内視鏡用管路切換装置を操作部に備える超音波内視鏡。