本発明の遊技機及び遊技機用押ボタンユニットの取付構造の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、回胴式遊技機を例に挙げて本発明の構成を説明するが、本発明の構成は、回胴式遊技機だけでなく、パチンコ遊技機等の他の遊技機においても採用することができる。また、以下においては、チャンスボタン(チャンスボタンユニット)を例に挙げて本発明の構成を説明するが、本発明の構成は、チャンスボタン(チャンスボタンユニット)だけでなく、ストップボタン(ストップボタンユニット)等の他の遊技機用押ボタン(遊技機用押ボタンユニット)においても採用することができる。
図1は、本発明の構成を採用した回胴式遊技機100の前面を示した正面図(前面図)である。図2は、図1の回胴式遊技機100における前面パネル101のベースパネル101d(第一支持躯体)及び上側フレーム101e(第二支持躯体)に対してチャンスボタンユニット123を固定した状態を前方から見た正面図である。図3は、図1の回胴式遊技機100における前面パネル101のベースパネル101d(第一支持躯体)及び上側フレーム101e(第二支持躯体)に対してチャンスボタンユニット123を固定した状態を後方から見た背面図である。図4は、図3のチャンスボタンユニット123の周辺を拡大して示した拡大図である。図5は、図1の回胴式遊技機100における前面パネル101のベースパネル101d(第一支持躯体)及び上側フレーム101e(第二支持躯体)に対してチャンスボタンユニット123を固定している状態を斜め後方から見た状態を示した分解斜視図である。図6は、図3のチャンスボタンユニット123をベースパネル101d(第一支持躯体)及び上側フレーム101e(第二支持躯体)に対して固定する際に用いられる押ボタン用取付部材200を斜め後方から見た状態を示した斜視図である。図2〜5においては、図示の便宜上、図1における化粧パネル101cを描いていない。
本実施態様の回胴式遊技機100は、図1に示すように、その遊技機筺体の前面パネル101に、メダルを投入するためのメダル投入口111と、その外周面に複数の図柄が表された3本のリール112,113,114と、画面115a(図1の破線で囲まれた区画)に演出画像を表示することにより映像演出を行うための画像表示装置115と、照明演出を行うための発光ランプ(図示省略)と、音声演出を行うためのスピ−カー116等を備えたものとなっている。
このうち、3本のリール112,113,114は、遊技機筺体の内部において、横方向(図1のx軸方向に平行な方向)に並列に配されており、図示省略のモータ等のリール駆動手段によって、それぞれx軸方向に平行な軸を回転軸として回転するようになっている。リール112,113,114のそれぞれの外周面における前側(y軸負側)を向いた箇所に表された一部の図柄は、前面パネル101に設けられたリール窓101aから視認できるようになっている。本実施態様の回胴式遊技機100においては、各リールにつき3個ずつ計9個の図柄がリール窓101aから視認できるようになっている。リール窓101aは、遊技機筺体の前面パネル101における中段部に配している。
これに対し、画像表示装置115は、前面パネル101に設けられた画像表示装置用開口部101bにその画面115aが重なるように、前面パネル101の背面側に固定されている。画像表示装置用開口部101bは、前面パネル101における上段部に配しており、リール窓101aよりも上段に位置している。画像表示装置115の画面115aにおける周部は、その前面側を前面パネル101の化粧パネル101bによって覆われた状態となっており、画面115aの外郭線(図1に示した破線)は、遊技者の側(前面側)からは見えないようになっている。画像表示装置用開口部101bは、透明パネル101fによって塞がれており、画像表示装置115の画面115aは、この透明パネル101fによって覆われて保護された状態となっている。
また、回胴式遊技機100の遊技機筺体の前面パネル101には、遊技者が回胴式遊技機100を操作するための操作手段として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン117と、ベットするメダルを1枚ずつ増減するためのシングルベットボタン118と、3本のリール112,113,114の回転を一斉に開始するためのスタートレバー119(スタートスイッチ)と、3本のリール112,113,114の回転をリール毎に停止するための3個のストップボタン120,121,122と、遊技中に実行する演出を切り替えるためのチャンスボタン123と、クレジットされたメダルを払い戻すための払戻しボタン124等が設けられている。
このうち、ストップボタン120,121,122は、前面パネル101におけるリール窓101aよりもやや下側の中央部分に横方向に並列に配されている。また、マックスベットボタン117とシングルベットボタン118は、前面パネル101におけるストップボタン120,121,122が設けられた部分とリール窓101aが設けられた部分との間に位置する棚状部の向かって左側部分に配されている。さらに、スタートレバー119と払戻しボタン124は、それぞれ、ストップボタン120,121,122が設けられた部分に向かって左側部分と右側部分とに配されている。換言すると、マックスベットボタン117、シングルベットボタン118、スタートレバー119、ストップボタン120,121,122及び払戻しボタン124はいずれも、遊技機筺体の前面パネル101におけるリール窓101aよりも下段となる箇所に配されている。これに対し、チャンスボタン123は、遊技機筺体の前面パネル101におけるリール窓101aよりも上段に配されている。
以下、本実施態様の回胴式遊技機100の各構成のうち、重要な構成についてより詳しく説明する。
[1] 前面パネル
前面パネル101は、前面が開放された箱状を為す遊技機筺体の本体に対し、ヒンジ等を介して開閉可能な状態に固定される。本実施態様の回胴式遊技機100において、前面パネル101は、化粧パネル101c(図1)と、ベースパネル101d(図2及び図3においてハッチングを行わずに表した部材)と、上側フレーム101e(図2及び図3において最も目が細かい網掛けハッチングで示した部材)と、透明パネル101f(図2及び図3において二番目に目が細かい網掛けハッチングで示した部材)とを含む複数の部材を組み合わせて一体化した構造となっている。前面パネル101を構成するこれらの部材は、ネジ留めや、嵌め合いや、挟み込み等によって互いに固定される。
前面パネル101を構成する各部材のうち、化粧パネル101c(図1)は、前面パネル101の前面側の装飾を行うための部材となっており、透明パネル101fは、画像表示装置115の画面115a(画像表示装置用開口部101b)を覆うためのものとなっている。また、ベースパネル101d(図3)は、前面パネル101の概形と同様の形態を有しており、前面パネル101に全体的な強度を付与するための部材となっている。このベースパネル101dには、化粧パネル101c(図1)のほか、前面パネル101に取り付けられる各種部材や各種装置が固定される。画像表示装置115(図1)もこのベースパネル101dに固定される。すなわち、本実施態様の回胴式遊技機100において、ベースパネル101dは、上述した「第一支持躯体」として機能するものとなっている。さらに、上側フレーム101e(図2)は、フレーム状の形態を有しており、ベースパネル101dの上段部におけるフレーム状に形成された部分の前面側に固定されるようになっている。この上側フレーム101eには、透明パネル101fが固定される。すなわち、本実施態様の回胴式遊技機100において、上側フレーム101eは、上述した「第二支持躯体」として機能するものとなっている。化粧パネル101c、ベースパネル101d及び上側フレーム101eは、それぞれを1つの部材で構成したものであってもよいし、複数の部材を組み合わせて構成したものであってもよい。
前面パネル101を構成する各部材は、それぞれに必要な強度及び性能を発揮できるのであれば、その素材は特に限定されない。例えば、化粧パネル101c(図1)は、曲面等を有する意匠性の高い複雑な形態に形成されることが多いことに加えて、様々な色が付けられることが多い。このため、化粧パネル101cは、成形や着色の容易さ等を考慮して、通常、ABS樹脂やポリプロピレン等の硬質な合成樹脂によって形成される。また、透明パネル101fは、透明性を確保する必要がある。このため、透明パネル101fは、通常、ガラスや、アクリル又はポリカーボネート等の硬質透明材料によって形成される。これに対し、ベースパネル101d(図3)と上側フレーム101e(図2)には、強度が要求され、特に、ベースパネル101dには、強度が要求される。本実施態様の回胴式遊技機100において、ベースパネル101dは、図5に示すように、その概形を為す樹脂製のベースパネル本体101d1と、ベースパネル本体101d1を補強するベースパネル補強材101d2とで構成している。ベースパネル補強材101d2は、ベースパネル本体101d1の両側縁を補強する左右一対の縦フレームと、ベースパネル本体101d1の上縁及び中間部を補強する上下一対の横フレームとを組み合わせたものとなっている。ベースパネル補強材101d2を構成するこれらの縦フレーム及び横フレームは、ステンレス鋼や鉄等の金属からなる板材を板金加工により所定形状に加工したものとなっている。一方、ベースパネル101dのベースパネル本体101d1と、上側フレーム101aは、いずれも高強度の合成樹脂によって形成している。
[2」 画像表示装置
画像表示装置115(図1)は、画像(静止画だけでなく動画も含む。)を表示できる各種の表示装置を使用することができる。画像表示装置115としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の平面パネル型ディスプレイが例示される。本実施態様の回胴式遊技機100においては、液晶ディスプレイを画像表示装置115として採用している。画像表示装置115の画面115aの形状は、特に限定されないが、通常、長方形とされる。また、画像表示装置115の画面115aの寸法も、特に限定されないが、通常、5〜40インチ程度とされ、好ましくは、10〜30インチとされる。画像表示装置115の画面115aに表示する画像は、遊技状態に応じて、各種の静止画や動画が表示される。本実施態様の回胴式遊技機において、画像表示装置115は、その外周部を前面パネル101のベースパネル101dにおける上段部のフレーム状に形成された部分に固定されることで、遊技機筺体の前面パネル101の上段部に支持されるようになっている。
[3」 チャンスボタンユニット(チャンスボタン)
続いて、図1の回胴式遊技機100におけるチャンスボタンユニット123について詳しく説明する。図8は、押ボタン本体10が初期位置にあるときのチャンスボタンユニット123の周辺を、y−z平面に平行で押ボタン本体10の中心線を通る平面で切断して示した断面図である。図9は、押ボタン本体10が所定深さまで押し下げられたときのチャンスボタンユニット123の周辺を、y−z平面に平行で押ボタン本体10の中心線を通る平面で切断して示した断面図である。図10は、押ボタン本体10が限界まで押し下げられたときのチャンスボタンユニット123の周辺を、y−z平面に平行で押ボタン本体10の中心線を通る平面で切断して示した断面図である。図11は、押ボタン本体10が初期位置にあるときのチャンスボタンユニット123の周辺を、x−y平面に平行で押ボタン本体10の中心線を通る平面で切断して示した断面図である。
本実施態様のチャンスボタンユニット123は、図8に示すように、押ボタン本体10と、押ボタンハウジング20と、付勢手段30と、検出手段40と、規制手段50と、第二緩衝部材60と、遊技関連情報表示手段70と、起振手段90とがユニット化されたものとなっている。これらの各部材のうち、押ボタン本体10は、その前面部12が遊技者によって押し下げられる被操作部となっており、押ボタンハウジング20は、押ボタン本体10を前後方向(y軸方向)に進退可能な状態で保持するためのものとなっている。押ボタンハウジング20は、回胴式遊技機100の前面パネル101の所定箇所に固定される。また、付勢手段30は、押ボタン本体10を前向きに付勢することにより、押し下げられた押ボタン本体10を初期位置に復帰させるためのものとなっており、検出手段40は、押ボタン本体10が押し下げられたことを検出するためのものとなっている。さらに、規制手段50は、押ボタン本体10が所定深さまで押し下げられると押ボタン本体10に当接し、押ボタン本体10の下方への移動を規制するためのものとなっている。さらにまた、第二緩衝部材60は、後述する第一緩衝部材51とともに、押ボタン本体10が押し下げられた際の衝撃を吸収するためのものとなっている。さらにまた、遊技関連情報表示手段70は、遊技関連情報表示体71を有しており、この遊技関連情報表示体71の外面に表された遊技関連情報を押ボタン本体10の前面部12に表示させるものとなっている。そして、駆動源80は、遊技関連情報表示体71を回転駆動するためのものとなっている。そしてまた、起振手段90は、演出効果を高めること等を目的として、押ボタン本体10を振動させるためのものとなっている。
ここで、「遊技関連情報」とは、回胴式遊技機等の遊技機における遊技に関連する情報を表示するための文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「文字等」という。)のことを云う。遊技関連情報は、専ら情報伝達のために表示される文字等だけでなく、各種演出を行うために表示される文字等も含む概念である。遊技関連情報としては、それがチャンスボタンであることを示すための文字等(例えば、「チャンス」や「CHANCE」等の文字列)や、チャンスボタンを押下操作するタイミングを指示する文字等(例えば、「PUSH」や「WAIT」等の文字列)や、遊技状態を通知するための文字等(例えば、「BONUS」等の文字列)や、遊技で実行する演出に関連する図柄等や、その遊技機のテーマキャラクターを表した図柄(例えば、カエルの図柄)等が例示される。このように、押ボタン本体10の前面部12に遊技関連情報を表示することにより、回胴式遊技機のユーザーインターフェースを向上するとともに、チャンスボタンを、単なる操作手段としてだけでなく、演出手段としても利用することも可能になり、遊技者をより楽しませることも可能になる。
遊技関連情報表示手段70は、押ボタン本体10の前面部12に常に同じ遊技関連情報を表示するものであってもよいが、押ボタン本体10の前面部12に表示する遊技関連情報を変化させることが可能なものとすると好ましい。これにより、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報を、遊技状態に応じて変化させることが可能になる等、チャンスボタンでより多様な演出を実行することが可能になる。また、画像表示装置115の画面115aと押ボタン本体10の前面部12とで結合演出画像を表示するようにすることも好ましい。これにより、これまでにない斬新な演出を行うことが可能になり、遊技者をさらに楽しませることが可能になる。
ここで、「画像表示装置115の画面115aと押ボタン本体10の前面部12とで結合演出画像を表示する」とは、画像表示装置115の画面115aに表示される演出画像と、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報とが、外観又は観念において共通性を有しており、それらが組み合わさることで、一体性を有する1つの演出画像(結合演出画像)が生成されることを云う。このうち、「外観において共通性を有する」とは、画像表示装置115の画面115aに表示される演出画像と、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報とが、結合演出画像において、外観上、実質的に連続していることを云う。外観において共通性を有する例としては、画像表示装置115の画面115aに、釣竿を持った釣り人を表示するとともに、押ボタン本体10の前面部12に、前記釣竿から垂らされた釣り糸に連続する態様で当該釣り糸の先端部の絵(獲物が掛かる前の状態の絵、空缶が釣れた状態の絵、魚が釣れた状態の絵又は大物が釣れた状態の絵等)を表示する場合等が挙げられる。一方、「観念において共通性を有する」とは、画像表示装置115の画面115aに表示される演出画像から想起される観念と、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報から想起される観念とが、テーマ等において共通性を有することを云う。観念において共通性を有する例としては、画像表示装置115の画面115aに、桃太郎を表示し、押ボタン本体10の前面部12に、その家来(猿、雉又は犬)を表示する場合等が挙げられる。結合演出画像は、遊技中の全ての時間帯において表示させる必要はなく、特定の演出を行うとき等、ある特定の時間帯においてのみ表示するようにしてもよい。演出画像表示部115の画面115aと押ボタン本体10の前面部12とで結合演出画像を表示する構成は、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10を画面115aと重なる位置に配する場合に特に好適に採用することができる。
規制手段50は、図9及び図10に示すように、押ボタンハウジング20に対して前後方向にスライド可能な構造とされている。この規制手段50は、第一緩衝部材51と支持部材52とで構成されている。第一緩衝部材51は、押ボタン本体10が図9に示す深さまで押し下げられると押ボタン本体10の後端部に設けられた当接片13aに当接して圧縮変形を開始する部分となっている。この第一緩衝部材51によって、押ボタン本体10から規制手段50に加えられる力、及び、当該力の反力として規制手段50から押ボタン本体10に加えられる力を吸収することができるようになっている。他方、支持部材52は、第一緩衝部材51を支持するための部分となっている。支持部材52は、第一緩衝部材51を支持固定するための台板部52aと、押ボタンハウジング20の内底部に設けられたスライド孔22aにスライド可能に案内される軸部52bとで構成されている。
支持部材52の台板部52aにおける後側を向く面(後面)と押ボタンハウジング20の内底面との隙間には、第二緩衝部材60が設けられている。第二緩衝部材60は、押ボタン本体10の当接片13aが第一緩衝部材51に当接して第一緩衝部材51が圧縮変形を開始した後に、台板部52aの後面と押ボタンハウジング20の内底面との間で押し潰されて圧縮変形を開始する部分となっている。この第二緩衝部材60によって、押ボタン本体10から規制手段50に加えられる力、及び、当該力の反力として規制手段50から押ボタン本体10に加えられる力をさらに効果的に吸収することができるようになっている。
以下、チャンスボタンユニット123を構成する各部材と、チャンスボタンユニット123の取付構造について詳しく説明する。
[3.1] 押ボタン本体
押ボタン本体10は、図8に示すように、筒状を為す中間部11と、中間部11の前端側の開口を塞ぐ前面部12と、中間部11の後端側に設けられた基部13とが一体化された構造となっている。押ボタン本体10は、その成形材料を特に限定されるものではないが、通常、硬質樹脂材料によって形成される。押ボタン本体10を構成する各部材を成形する硬質樹脂材料としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂や、ポリメタクリル酸メチルやポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸エチル等のアクリル系樹脂や、ポリスチレンや、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)や、ポリカーボネート等が例示される。
押ボタン本体10を構成する各部のうち、前面部12は、透光性を有する素材で形成すると好ましい。これにより、後述する遊技関連情報表示体71の外面に表された遊技関連情報を前面部12を通じて遊技者が視認することが可能になる。本実施態様のチャンスボタン123においては、前面部12を、透明(無色透明だけでなく、有色透明をも含む。)な硬質樹脂材料からなるレンズ体としている。前面部12は、凹レンズ状としてもよいが、本実施態様のチャンスボタン123においては、凸レンズ状としている。このため、前面部12の後方に配された遊技関連情報表示体71を前面部12の前方から見ると、遊技関連情報表示体71の外面に表された遊技関連情報が実際の寸法よりも拡大されて見えるようになっている。
押ボタン本体10の前面部12を前方から見たときの形状(前面視形状)は、特に限定されず、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形等の各種形状を採用することができる。押ボタン本体10の前面部12の前面視形状は、上記形状のほか、星形状、三日月形状、又は、ある特定のキャラクターのシルエットを表した形状等、さらに複雑な形状を採用することもできる。押ボタン本体10の前面部12の前面視形状は、遊技機筺体の前面パネル101の外観や、チャンスボタン123と画面115aとの位置関係等を考慮して適宜決定される。本実施態様のチャンスボタン123において、押ボタン本体10の前面部12の前面視形状は、円形としている。中間部11や基部13は、遊技者から見えにくい部分であるため、後述する機能を発揮できるのであれば、外観上の制約は特にない。
押ボタン本体10の基部13における後端面側には、当接片13aと、ガイドピン13bと検出片13cとが設けられている。当接片13aは、既に述べた通り、押ボタン本体10が所定深さまで押し下げられた際に第一緩衝部材41に当接するための部分となっている。ガイドピン13bは、押ボタンハウジング20の内底部に設けられたガイド孔22bに挿入され、押ボタン本体10が正しく後向きに押し下げられるように押ボタン本体10を案内するための部分となっている。検出片13cは、押ボタン本体10が押し下げられた際に、後述する検出手段40に検出させるための部分となっている。
当接片13aは、押ボタン本体10における少なくとも1箇所に設けられていればよいが、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称な複数箇所に設けると好ましい。この場合には、規制手段50の第一緩衝部材51も、当接片13aに対応するように、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称に設ける。これにより、押ボタン本体10を回転対称な複数箇所で規制手段50の第一緩衝部材51に当接させることが可能になり、押ボタン本体10が規制手段50に当接した際に傾くのを防止するだけでなく、押ボタン本体10から規制手段50に加えられる力を均等に分散し、押ボタン本体10を損壊しにくくすることが可能となっている。本実施態様のチャンスボタン123において、当接片13a及び第一緩衝部材51は、図12及び図13に示すように、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称な3箇所に設けている。図12は、押ボタン本体10の基部13をy軸方向正側から見た状態を示した図である。図13は、規制手段50をy軸方向負側から見た状態を示した図である。
また、ガイドピン13bも、押ボタン本体10における少なくとも1箇所に設けられていればよいが、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称な複数箇所に設けると好ましい。この場合には、押ボタンハウジング20のガイド孔22bも、ガイドピン13bに対応するように、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称に設ける。これにより、押ボタン本体10を傾きのない真っ直ぐな状態で押し下げることが可能になる。本実施態様のチャンスボタン123において、ガイドピン13b及びガイド孔22bは、押ボタン本体10の中心軸に対して回転対称な3箇所に設けている。
[3.2] 押ボタンハウジング
押ボタンハウジング20は、押ボタン本体10を前後方向に進退可能に保持できるのであれば、その形態を特に限定されない。本実施態様のチャンスボタン123においては、図8に示すように、有底筒状の部材によって構成している。押ボタンハウジング20は、1つの部材のみによって構成されたものであってもよいが、通常、押ボタン本体10の組み付け等を考慮して複数の部材によって構成される。本実施態様のチャンスボタン123において、押ボタンハウジング20は、押ボタンハウジング20の前側部分を形成する前側部材21と、押ボタンハウジング20の後側部分を形成する後側部材22と、後述する従動ギア80や伝達機構や回転用駆動源等を覆うカバー部材23(図11)とで構成している。前側部材21には、押ボタン本体10の前面部12を露出させるための開口部が設けられている。他方、後側部材22は、有底箱状の部材となっており、その底部には、規制部材50の軸部52bを挿入するためのスライド孔22aと、押ボタン本体10のガイドピン13bを挿入するためのガイド孔22bとが設けられている。
[3.3] 遊技関連情報表示手段
遊技関連情報表示手段70は、押ボタン本体10の前面部12に遊技関連情報を表示するためのものとなっている。本実施態様のチャンスボタン123において、遊技関連情報表示手段70は、図11に示すように、遊技関連情報表示体71と、固定軸72と、基板73と、拡散板74と、表示体用カバー75とで構成している。これらのうち、遊技関連情報表示体71は、その外面に遊技関連情報が表された球殻体によって形成されており、押ボタンハウジング20内(押ボタン本体10の中間部11内)で回転するようになっている。遊技関連情報表示体71の回転軸(回転中心線)は、遊技関連情報表示体71を形成する球殻体の中心を通る位置となっており、押ボタン本体10の押下方向(前後方向)に対して傾斜させている。これにより、遊技関連情報表示体71を回転させることで、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報の内容を切り替える等、遊技関連情報を変化させることが可能となっている。
押ボタン本体10の押下方向(前後方向)に対する遊技関連情報表示体71の回転軸の傾斜角度は、特に限定されない。しかし、遊技関連情報表示体71の回転軸の傾斜角度が小さすぎると、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報の内容を切り替えにくくなる。このため、遊技関連情報表示体71の回転軸の傾斜角度は、通常、30°以上とされる。遊技関連情報表示体71の回転軸の傾斜角度は、45°以上とすると好ましく、60°以上とするとより好ましく、75°以上とするとさらに好ましい。本実施態様のチャンスボタン123において、遊技関連情報表示体71の回転軸の傾斜角度は、90°となっている。
遊技関連情報表示体71は、既に述べた通り、その外面に遊技関連情報が表されている。遊技関連情報表示体71に表す遊技関連情報の内容は、特に限定されず、遊技に関連する各種情報を採用することができる。また、遊技関連情報表示体71の形態は、それに表された遊技関連情報を押ボタン本体10の前面部12(レンズ体)を通じて前面部12の前方から視認できるようにするものであれば、特に限定されない。遊技関連情報表示体71は、平板状等、二次元的な形態に限定されず、球殻状や球状や直方体状等、三次元的な形態とすることもできる。特に、遊技関連情報表示体71を球殻状や球状とすると、遊技関連情報表示体71を従来にない斬新な形態とし、遊技者の目をひくことが可能になるために好ましい。また、遊技関連情報表示体71を球殻状又は球状とすることで、遊技関連情報表示体71が回転する際の重心バランスを安定させることも可能になる。さらに、遊技関連情報表示体71に対する遊技関連情報の表示態様も、特に限定されない。遊技関連情報の表示態様としては、印刷や刻設等による表示のほか、7セグメントディスプレイやLEDディスプレイ等の小型の表示装置による表示も挙げられる。本実施態様のチャンスボタン123において、遊技関連情報表示体71は、透光性を有する材料で形成された球殻状(球状)の部材によって構成されており、その外面に施された凹凸によって「怪」、「熱」及び「当」の3文字を遊技関連情報としてそれぞれ表示するものとなっている。
具体的には、図8の網掛けハッチングで示すように、遊技関連情報表示体71を、その回転方向に三等分で分割した第一表示部71b(最も目が細かい網掛けハッチングで示した部分)と第二表示部71c(二番目に目が細かい網掛けハッチングで示した部分)と第三表示部71d(最も目が大きい網掛けハッチングで示した部分)とで構成しており、図14、図15及び図16に示すように、第一表示部71bと第二表示部71cと第三表示部71dの外面に、それぞれ「怪」、「熱」及び「当」の文字を表すとともに、これらの文字の背景色を第一表示部71bと第二表示部71cと第三表示部71dとで切り替えている。図14は、遊技関連情報表示体71の第一表示部71bを表示体用カバー75越しに見た状態を示した図である。図15は、遊技関連情報表示体71の第二表示部71cを表示体用カバー75越しに見た状態を示した図である。図16は、遊技関連情報表示体71の第三表示部71dを表示体用カバー75越しに見た状態を示した図である。第一表示部71bと第二表示部71cと第三表示部71dは、遊技関連情報表示体71を形成する球殻体を、図8において仮想線で示す固定軸72の中心線を通る平面によって120°間隔で分割した形態を為している。このため、第一表示部71bと第二表示部71cとの境界線、第二表示部71cと第三表示部71dとの境界線、及び、第三表示部71dと第一表示部71bとの境界線は、図8において、固定軸72から放射方向に表れている。「怪」、「熱」及び「当」の文字は、それぞれ第一表示部71b、第二表示部71c及び第三表示部71dの中心に表されており、遊技関連情報表示体71の回転方向に対して文字の上下が揃えられている。このため、前面部12に表示される遊技関連情報は、遊技関連情報表示体71が120°回転するごとに切り替わるようになっている。
固定軸72は、基板73及び拡散板74を押ボタンハウジング20に対して固定するためのものとなっている。本実施態様のチャンスボタン123において、固定軸72は、遊技関連情報表示体71の略中心を通るように遊技関連情報表示体71を貫通した状態に設けられている。固定軸72の両端部は、押ボタンハウジング20に固定され、固定軸72の中間部には、基板73及び拡散板74が固定されている。このため、基板73及び拡散板74は、遊技関連情報表示体71の内部に収容された状態となっている。基板73には、発光ダイオードからなる光源73aが取り付けられており、基板73における光源73aが取り付けられた側の面は、押ボタン本体10の前面部12側を向くように配されている。拡散板74は、基板73の前方を覆うように配されている。この拡散板74は、光源73aから出射された光を拡散するためのものとなっている。このため、光源73aを発光させると、光源73aから出射した光は、拡散板74で拡散されて遊技関連情報表示体71の上面側を透過した後、前面部12を透過して前面部12の上方へ出射されるようになっている。したがって、遊技関連情報表示体71の外面に表された遊技関連情報(「怪」、「熱」又は「当」の文字)は、押ボタン本体10の前面部の前方からみると浮かび上がった状態に見えるようになっている。
表示体用カバー75は、遊技関連情報表示体71の外面における前方に露出する部分の面積を狭くすることで、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報を意図した特定の文字等に制限し、当該特定の文字等に隣接する他の文字等が前面部12に表示されないようにするためのものとなっている。すなわち、遊技関連情報表示体71を回転させることで前面部12に表示される文字等を「怪」と「熱」と「当」との間で切り替える本実施態様のチャンスボタン123においては、例えば、「怪」と「当」とが遊技者に同時に見えてしまうと、遊技者が混乱するおそれがあるところ、図14、図15及び図16に示すように、表示体用カバー75の中央の開口部から、「怪」、「熱」又は「当」のうち1文字のみが表れるようにしており、そのような混乱が生じないようにするためのものとなっている。また、「怪」、「熱」及び「当」の背景色を第一表示部71bと第二表示部71cと第三表示部71dとで切り替えている点については、上述した通りであるが、この表示態様カバー75によって、異なる表示部の背景色が同時に見えないようにすることも可能となっている。表示態様カバー75は、上記の機能を発揮できるのであれば、その形態を特に限定されない。本実施態様のチャンスボタン123において、表示体用カバー75は、遊技関連情報表示体71の前面側の外周部を囲う環状の部材によって構成されている。
遊技関連情報表示体71を回転させるための機構は、特に限定されない。例えば、押ボタン本体10が押し下げられる際のスライド動作(直線運動)を回転運動に変換するための機構を設け、当該機構により遊技関連情報表示体71が回転するようにしてもよい。しかし、この場合には、遊技関連情報表示体71が回転するタイミングが、押ボタン本体10の押下操作のタイミングに影響されるようになるため、遊技状態等に応じて遊技関連情報を切り替えるといったことができない。このため、チャンスボタン123には、遊技関連情報表示体71を回転させるための回転用駆動源(モーター等)を備えると好ましい。これにより、遊技者が押ボタン本体10を押し下げたタイミング等にかかわらず、遊技関連情報を切り替えることが可能になる。
本実施態様のチャンスボタン123においては、遊技関連情報表示体71の両端部に、外方に突出する円筒状の軸支部71aを設けており、この軸支部71aを押ボタンハウジング20に対して回転可能な状態で支持させている。一対の軸支部71aのうち、一方の軸支部71aは、従動ギア80に固定されている。この従動ギア80は、図示省略の主動ギア等の伝達機構を介して図示省略のモータ等の回転用駆動源に連結されている。このため、回転用駆動源を駆動して、従動ギア80を回転させると、それに連動して遊技関連情報表示体71も回転し、表示される文字(前面部12側を向いて前面部12の上方から視認できる文字)が「怪」と「熱」と「当」との間で切り替わるようになっている(固定軸72、基板73、拡散板74及び表示体用カバー75は、回転しない。)。
このとき、「怪」、「熱」及び「当」のうちいずれの文字を表示するかは、回胴式遊技機の遊技状態に応じて適宜決定される。例えば、通常の遊技状態においては「怪」を表示し、フリーズ状態等、通常の遊技状態よりもボーナスへの当選確率が高い状態においては「熱」を表示し、ボーナスへの当選が確定すると「当」を表示することができる。また、遊技関連情報をより多様な表示態様で表示させることも可能である。例えば、表示される文字等を振動させる動作(遊技関連情報表示体71の回転する向きが正方向と逆方向とで小刻みに切り替わる動作)や、文字等を連続的に回転させながら表示する動作(遊技関連情報表示体71を正方向又は逆方向のいずれか一方に連続的に回転させる動作)や、これらの動作を組み合わせた動作等を行わせることも可能となる。これに、後述する光源73aによる照明演出等をさらに加えれば、チャンスボタン123自体でより多様な演出を行うことが可能になり、遊技者をより楽しませることができるようになる。
[3.4] 付勢手段
付勢手段30は、押ボタン本体10を前向きに付勢することにより、押し下げられた押ボタン本体10を初期位置に復帰させることができるものであれば、その構造や配置は特に限定されない。付勢手段30としては、コイルバネのほか、板バネ等を使用することができる。本実施態様のチャンスボタン123においては、図8に示すように、押ボタン本体10のそれぞれのガイドピン13bに外嵌したコイルバネ30を、付勢手段として用いている。このコイルバネ30は、その前端が押ボタン本体10の後端面に当接し、その後端が押ボタンハウジング20の内底面に当接した状態に設けられている。
[3.5] 検出手段
検出手段40は、押ボタン本体10が押し下げられたことを検出するためのものとなっている。検出手段40は、押ボタン本体10が押し込まれた際に、押ボタン本体10の検出片13cと接触する接触型のセンサ(例えばリミットスイッチなど)を用いてもよいが、検出片13cに接触することなく押ボタン本体10が押し込まれたことを検出できる非接触式のセンサ(例えば光電センサや近接センサなど)を用いると好ましい。本実施態様のチャンスボタン123においては、図8に示すように、赤外光を発する出光部41と出光部41からの赤外光を受ける受光部42とを有し、出光部41と受光部42との間に障害物(検出片13c)が挿入されて受光部42が赤外光を受光しなくなると検出信号を出力する光電センサを検出手段40として用いている。
[3.6] 規制手段
規制手段50は、押ボタン本体10が所定深さまで押し下げられると押ボタン本体10に当接し、押ボタン本体10の後方への移動を規制するためのものとなっている。既に述べた通り、本実施態様のチャンスボタン123において、規制手段50は、押ボタンハウジング20に対して前後方向にスライド可能な構造となっており、図9に示すように、押ボタン本体10が所定深さまで押し下げられると押ボタン本体10の当接片13aに当接して圧縮変形を開始する3個の第一緩衝部材51と、これらの第一緩衝部材51を支持するための支持部材52とで構成されている。支持部材52は、第一緩衝部材51を支持固定するための台板部52aと、押ボタンハウジング20のスライド孔22a挿入される軸部52bとで構成されている。ところで、規制手段50は、前後方向にスライド可能であるといっても、本実施態様のチャンスボタン123においては、その台板部52aの後面と押ボタンハウジング20の内底面との隙間に、後述する第二緩衝部材60が配されているため、規制手段50のスライド量は、第二緩衝部材60が圧縮変形によって圧縮される範囲となっている。
第一緩衝部材51は、圧縮変形可能な緩衝性を有するのであれば、その素材を特に限定されず、各種の合成樹脂系材料や合成ゴム系材料を用いることができる。本実施態様のチャンスボタン123において、第一緩衝部材51は、特殊なアクリル系ゴムをベースとした共重合体からなる合成ゴム系材料によって形成したものとなっている。第一緩衝部材51の硬度は、特に限定されないが、柔らかくしすぎると、第一緩衝部材51の耐久性が低下するおそれがある。このため、第一緩衝部材51の硬度(「JIS K 6253」に規定されるタイプAデュロメータ硬さのこと。第一緩衝部材51の硬度において、以下同じ。)は、通常、10以上とされる。第一緩衝部材51の硬度は、20以上であると好ましく、30以上であるとより好ましい。一方、第一緩衝部材51の硬度を硬くしすぎると、第一緩衝部材51による緩衝性能を確保しにくくなるおそれがある。このため、第一緩衝部材51の硬度は、通常、90以下とされる。第一緩衝部材51の硬度は、70以下であると好ましく、50以下であるとより好ましい。本実施態様のチャンスボタン123において、第一緩衝部材51の硬度は、32となっている。
第一緩衝部材51の形態も、特に限定されず、通常、板状又はブロック状とされる。本実施態様のチャンスボタン123において、第一緩衝部材51は、厚手の円板状(円柱状)となっている。このように、第一緩衝部材51を円柱状とすることによって、第一緩衝部材51が圧縮変形する際に第一緩衝部材51の外周部が均一な力で保持されやすくすることが可能になる。したがって、第一緩衝部材による緩衝作用を安定して発現させるだけでなく、第一緩衝部材の劣化を防止し、第一緩衝部材51の耐久性を高めることも可能になる。第一緩衝部材51の寸法は、押ボタン本体10の寸法等によっても異なり、特に限定されない。しかし、第一緩衝部材51の厚さ(前後方向の厚さ。以下同じ。)が薄すぎると、第一緩衝部材51による緩衝作用が限定的になってしまう。このため、第一緩衝部材51の厚さは、通常、0.5mm以上とされる。第一緩衝部材51の厚さは、1mm以上であると好ましく1.5mm以上であるとより好ましい。第一緩衝部材51の厚さに特に上限はないが、通常、10mm以下、好ましくは5mm以下とされる。本実施態様のチャンスボタン123において、第一緩衝部材51の厚さは、2mmとなっている。第一緩衝部材51の直径も、特に限定されないが、通常、2〜10mm程度とされ、本実施態様のチャンスボタン123においては、6mmとしている。
3個の第一緩衝部材51は、台板部52aにおける前側を向く面(前面)における3箇所に設けられた第一緩衝部材収容凹部52cにそれぞれ収容されている。第一緩衝部材収容凹部52cは、その内面(内周面及び内底面)で第一緩衝部材51の後端面及び外周面をしっかりと保持することができるように、第一緩衝部材51と同じ形状とすると好ましい。本実施態様のチャンスボタン123においても、第一緩衝部材収容凹部52cは、第一緩衝部材51と同様の円柱状(円筒状)に形成している。このように、第一緩衝部材収容凹部52cを円筒状とすることによって、第一緩衝部材51の外周面を均一な力で保持することが可能になる。また、円筒は外力に対して強い形状であるため、支持部材52における第一緩衝部材収容凹部52cの周辺の強度を高めて破損しにくくすることも可能になる。第一緩衝部材51の後端面は、第一緩衝部材収容凹部52cの内底面に接着され、第一緩衝部材51の外周面は、第一緩衝部材収容凹部52cの内周面に密着した状態となっている。このため、押ボタン本体10の当接片13aが第一緩衝部材51に当接して第一緩衝部材51が圧縮変形をする際に、第一緩衝部材51の外周面が第一緩衝部材収容凹部52cの内周面に保持されて第一緩衝部材51が横方向に広がらないようになっており、第一緩衝部材51の前後方向の反発弾性を高く維持することが可能となっている。第一緩衝部材51は、第二緩衝部材60よりも反発弾性を高くすると好ましい。
[3.7] 第二緩衝部材
第二緩衝部材60は、図8に示すように、規制手段50の台板部52aの後面と押ボタンハウジング20の内底面との隙間に挟持された状態となっており、押ボタン本体10とともに規制手段50が押し下げられた際に圧縮変形を行い、緩衝作用を発揮するものとなっている。第二緩衝部材60は、その形状を特に限定されないが、本実施態様のチャンスボタン123においては、その中心部に規制手段50の軸部52bを挿通することができるように、その中心部に貫通孔が設けられたドーナツ状の板材としている。第二緩衝部材60の厚さ(前後方向の厚さ。以下同じ。)は、特に限定されないが、薄くしすぎると、第二緩衝部材60による緩衝作用が限定的になってしまう。このため、第二緩衝部材60の厚さは、通常、1mm以上とされる。第二緩衝部材60の厚さは、2mm以上とすると好ましく、3mm以上であるとより好ましい。第二緩衝部材60の厚さに特に上限はないが、通常、10mm以下とされ、好ましくは7mm以下とされる。本実施態様のチャンスボタン123において、第二緩衝部材60の厚さは、3mmとなっている。第二緩衝部材60の直径も、特に限定されないが、通常、20〜50mm程度とされ、本実施態様のチャンスボタン123においては、約34mmとしている。
ところで、第二緩衝部材60の体積(第二緩衝部材60が複数の部材で構成される場合にはそれぞれの体積の和。以下、「体積V2」と表記する。)は、第一緩衝部材51の体積(第一緩衝部材51が複数の部材で構成される場合にはそれぞれの体積の和。以下、「体積V1」と表記する。)よりも、大きくすると好ましい。というのも、本実施態様のチャンスボタン123においては、後述するように、第二緩衝部材60を第一緩衝部材51よりも柔らかくすることで、押ボタン本体10を押し下げた際の感触に変化を持たせるとともに、押ボタン本体10の損壊をより確実に防止したものとなっているが、体積V2を体積V1よりも大きくすることで、そのような効果がより顕著に奏されやすくなるからである。この場合、体積V1に対する体積V2の比V2/V1は、1よりも大きければ特に限定されないが、通常、2以上とされる。比V2/V1は、5以上であると好ましく、8以上であるとより好ましい。比V2/V1の上限は、特に限定されないが、通常、30以下、好ましくは20以下とされる。本実施態様のチャンスボタン123において、比V2/V1は、約12となっている。
第二緩衝部材60は、第一緩衝部材51と同様、合成樹脂系材料や合成ゴム系材料で形成することができる。本実施態様のチャンスボタン123において、第二緩衝部材60は、特殊な高分子ポリマーをベースポリマーとするスチレン系の熱可塑性樹脂からなる合成樹脂系材料によって形成したものとなっている。第二緩衝部材60の硬度は、特に限定されないが、第一緩衝部材51と異なる硬度とすると好ましく、第一緩衝部材51よりも低い硬度とするとより好ましい。これにより、第二緩衝部材60の交換時期を第一緩衝部材51の交換時期とずらすことや、押ボタン本体10を押し下げる遊技者の手に、第一緩衝部材51と第二緩衝部材60の硬度の違いに起因した多様な感触を与えることが可能になるだけでなく、遊技者が押ボタン本体10を押し下げる力をより早いタイミングで加減しやすくして、押ボタン本体10の損壊をより確実に防止することも可能になる。本実施態様のチャンスボタン123においても、第二緩衝部材60の硬度は、第一緩衝部材51の硬度よりも低くしている。第二緩衝部材60は、第一緩衝部材51よりも反発弾性を低くすると好ましい。
具体的に、第二緩衝部材60の硬度をどの程度とするかは、特に限定されないが、第二緩衝部材60を柔らかくしすぎると、第二緩衝部材60の耐久性が低下するおそれがある。このため、第二緩衝部材60の硬度(FP型ASKERゴム硬度計で測定したアスカーFP硬度のこと。第二緩衝部材60の硬度において、以下同じ。)は、通常、50以上とされる。第二緩衝部材60の硬度は、60以上であると好ましく、70以上であるとより好ましい。一方、第二緩衝部材60を硬くしすぎると、第一緩衝部材51の硬度と第二緩衝部材60の硬度の差が小さくなり、上述した効果が奏されにくくなるおそれがある。このため、第二緩衝部材60の硬度は、通常、100未満とされる。第二緩衝部材60の硬度は、95以下であると好ましく、90以下であるとより好ましい。本実施態様のチャンスボタン123において、第二緩衝部材60の硬度は、80となっている。
[3.8] 起振手段
起振手段90は、押ボタン本体10を振動させるためのものとなっている。起振手段90によって押ボタン本体10を振動させ、その振動を遊技者の指先に伝えることで、演出効果を高めることができる。起振手段90は、押ボタン本体10に振動を生じさせることができるものであれば、特に限定されないが、本実施態様のチャンスボタン123においては、押ボタン本体10の外周部に対して揺動可能に支持された半円状の錘としている。図8〜10において、起振手段90は、押ボタンハウジング20内で宙に浮いた状態に描かれているが、これは、図示の制限上、そのように描かれているだけであり、実際の起振手段90は、押ボタン本体10の外周部に固定された図示省略のモータ等からなる起振用駆動源の出力軸に固定された状態となっている。すなわち、起振用駆動源が駆動して起振手段90を揺動軸Lを中心として揺動させた際の慣性力が中間部11に伝達されることで、押ボタン本体10が振動するようになっている。
このとき、起振手段90によって生じた振動が押ボタンハウジング20に伝達すると、遊技機の筺体に不快な振動が生じたり、リール112,113,114等の可動部品に誤作動等の悪影響を及ぼしたり、各部材が衝突して破損したり等の問題を引き起こすおそれがあるが、本実施態様のチャンスボタン123においては、上述したように、規制手段50の台板部52aの後面と押ボタンハウジング20の内底面との間に第二緩衝部材60を設けているため、起振手段90によって生じた振動が第二緩衝部材60で吸収されるようになっており、押ボタンハウジング20へ伝達しにくい構造となっている。起振手段90は、第二緩衝部材60に係る構成を採用する場合に好適に採用することができる。
[3.9] チャンスボタンユニットの取付構造
チャンスボタンユニット123は、その押ボタンハウジング123が、前面パネル101のベースパネル101d(第一支持躯体)と上側フレーム101e(第二支持躯体)との双方に跨った状態で固定されることにより、前面パネル101に固定されるようになっている。押ボタンハウジング20は、ベースパネル101d及び上側フレーム101eに対して直接的に固定してもよい。しかし、本実施態様においては、図8に示すように、押ボタンハウジング20の後側部材22における後側を向く面(後面)に押ボタン用取付部材200を取り付けており、図3に示すように、この押ボタン用取付部材200を介して押ボタンハウジング20をベースパネル101dと上側フレーム101eとの双方に跨った状態で固定するようにしている。押ボタン用取付部材200は、鉄やステンレス鋼等の金属によって形成された堅牢なものとなっている。
押ボタン用取付部材200は、その形態を特に限定されるものではないが、本実施態様においては、図5及び図6に示すように、平板状に形成された平板部210と、平板部210の上端部から上向きに突出して形成された上向き突出部220と、平板部210の下端部から下向きに突出して形成された下向き突出部230と、平板部210の側端部から側方に突出して形成された横向き突出部240とで構成している。平板部210は、チャンスボタンユニット123の押ボタンハウジング20(図5)を固定するための部分となっている。これに対し、上向き突出部220と下向き突出部230は、上側フレーム101e(第二支持躯体)に対して押ボタン用取付部材200を固定するための部分(第二固定点を設ける部分)となっており、横向き突出部240は、ベースパネル101d(第一支持躯体)に対して押ボタン用取付部材200を固定するための部分(第一固定点を設ける部分)となっている。このように、押ボタン用取付部材200におけるベースパネル101d及び上側フレーム101eに固定される部分(上向き突出部210、下向き突出部220及び横向き突出部230)を、押ボタン用取付部材200における押ボタンハウジング20が固定される部分(平板部210)から放射状に設けることにより、押ボタン本体10に加えられた押下力をベースパネル101dと上側フレーム101eとにおける広い範囲に分散させるようになっており、局所的に大きな力が印加されないようにすることが可能となっている。
押ボタン用取付部材200は、上向き突出部220、下向き突出部230及び横向き突出部240が、平板部210と同一平面上となるように形成してもよいが、本実施態様においては、それぞれが平板部210と段違いになるように形成している。具体的には、図5及び図6に示すように、上向き突出部220の先端部が平板部210よりも前方に位置し、下向き突出部230及び横向き突出部240の先端部が平板部210よりも後方に位置するようにしている。下向き突出部230の先端部は、横向き突出部240の先端部よりもさらに後方に位置するようにしている。このように、上向き突出部220、下向き突出部230及び横向き突出部240を平板部210に対して段違いに形成することにより、押ボタン用取付部材200を、ベースパネル101d又は上側フレーム101eにおける適切な箇所に固定することが可能となっている。
押ボタン用取付部材200の平板部210に対して押ボタンハウジング20を固定する方法は、特に限定されない。本実施態様においては、平板部210の先端部における複数箇所に設けられたそれぞれのネジ孔の後方からネジを挿入し、該ネジの先端部を押ボタンハウジング20の後面に螺合するようにしている。また、押ボタン用取付部材200の上向き突出部220及び下向き突出部230を上側フレーム101eに固定する方法も特に限定されない。本実施態様においては、図5に示すように、上向き突出部220及び下向き突出部230の先端部における複数箇所に設けられたそれぞれのネジ孔の後方からネジ301,302,304,305,306を挿入し、ネジ301,302,304,305,306の先端部を上側フレーム101eの後面に螺合するようにしている。さらに、押ボタン用取付部材200の横向き突出部240をベースパネル101dに固定する方法も特に限定されない。本実施態様においては、ベースパネル101dのベースパネル本体101d1の後方から、横向き突出部240の先端部に設けられたネジ孔に向かって、ネジ303を挿入し、当該ネジ孔にネジ303の先端部を螺合するようにしている。横向き突出部240の前面側には、上側フレーム101eが配されており、横向き突出部240の先端部は、ベースパネル101dの前面と上側フレーム101eの後面とで挟持された状態となっている。
ところで、押ボタンハウジング20(本実施態様では直接的には押ボタン用取付部材200)とベースパネル101d(第一支持躯体)との固定点(第一固定点)、及び、押ボタンハウジング20(本実施態様では直接的には押ボタン用取付部材200)と上側フレーム101e(第二支持躯体)との固定点(第二固定点)の個数を複数とし、第一固定点と第二固定点の全てが一直線上とならないように配すると好ましいことについては、既に述べた通りであるが、本実施態様においては、第一固定点及び第二固定点を以下のように配置している。
すなわち、図4及び図5に示すように、上向き突出部220を固定点P1,P4,P5の3点で上側フレーム101e(第二支持躯体)に固定(図5に示すネジ301,304,305でネジ留め)し、下向き突出部230を固定点P2,P6の2点で上側フレーム101e(第二支持躯体)に固定(図5に示すネジ302,306でネジ留め)し、横向き突出部240を固定点P3の1点でベースパネル101d(第一支持躯体)に固定(図5に示すネジ303でネジ留め)している。換言すると、上向き突出部220及び下向き突出部230の5つの固定点P1,P2,P4,P5,P6が第二固定点となっており、横向き突出部240の1つの固定点P3が第一固定点となっている。6つの固定点P1〜P6のうちいずれか3点を頂点とする三角形は合計で20通りあるが、このうち、三角形の面積が最大となるのは、固定点P1,P2,P3を頂点とする三角形P1P2P3である。三角形P1P2P3の3辺P1P2,P1P3,P2P3のうち、最も長い辺P1P2を底辺とした場合、底辺P1P2の長さLに対する三角形P1P2P3の高さHの比H/Lは、本実施態様において、約0.37となっている。このように、比H/Lがある程度大きな三角形の3つの頂点P1,P2,P3を含む複数箇所で、押ボタンハウジング20をベースパネル101d及び上側フレーム101eに固定することで、押ボタン本体10に押下力が加えられた場合であっても、チャンスボタンユニット123がぐらつかないようにすることが可能となっている。
ベースパネル101d(第一支持躯体)に対して押ボタンハウジング20(本実施態様では直接的には押ボタン用取付部材200)を固定する第一固定点と、上側フレーム101e(第二支持躯体)に対して押ボタンハウジング20(本実施態様では直接的には押ボタン用取付部材200)を固定する第二固定点とをどの程度離すかは特に限定されない。しかし、第一固定点と第二固定点とを近くしすぎると、押ボタン本体10に加えられた押下力の分散作用が低下するおそれがある。このため、第一固定点と第二固定点との距離(ベースパネル101d(第一支持躯体)及び上側フレーム101e(第二支持躯体)に対して固定された押ボタンハウジング20を押ボタン本体10の押下方向に平行な向きで見た場合における第一固定点から第二固定点までの距離。換言すると、第一固定点と第二固定点とを結ぶベクトルにおける押ボタン本体10の押下方向に垂直な成分の長さ。以下同じ。)は、30mm以上とすると好ましい。第一固定点と第二固定点との距離は、50mm以上であるとより好ましく、70mm以上であるとさらに好ましい。
一方、第一固定点と第二固定点とを遠くしすぎると、必然的に、押ボタン用取付部材200の寸法(押ボタン用取付部材200を使用しない場合には押ボタンハウジング20の寸法)が大きくなりすぎてしまう。このため、第一固定点と第二固定点との距離は、300mm以下とすると好ましい。第一固定点と第二固定点との距離は、250mm以下であるとより好ましく、200mm以下であるとさらに好ましい。第一固定点や第二固定点が複数箇所に設けられている場合には、最も離れた第一固定点と第二固定点との2点間(本実施態様においては、第一固定点P3と第二固定点P1との2点間)において、第一固定点と第二固定点との距離が上記の値となるようにすると好ましい。
前面パネル101のベースパネル101d及び上側フレーム101eに対するチャンスボタンユニット123を取り付ける箇所は、特に限定されないが、チャンスボタンユニット123における押ボタン本体10の前面部12が、画像表示装置115における画面115aの周部であって、画面115aと重なる位置に配すると好ましい。図7は、図1の回胴式遊技機100における画像表示装置115の画面115aとチャンスボタンユニット123との位置関係を示した図である。図7において右上がり斜線のハッチングで示した部分(点A1,A2,A3,A4で囲まれた領域)が画面115aであり、左上がり斜線のハッチングで示した部分(点B1,B2,B3,B4で囲まれた領域)がチャンスボタン123の前面部(後述する押ボタン本体10の前面部)であるが、図7を見ると、チャンスボタンユニット123は、その押ボタン本体10の前面部12の一部(点B1,B3,B4で囲まれた領域)が画面115aに重なっていることが分かる。このため、遊技者は、画面115aに表示される演出画像に気を取られた状態であっても、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10を他のボタンやスイッチと押し間違えることなく操作することが可能となるだけでなく、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10と画面115aとの一体性を高めて、押ボタン本体10の前面部12があたかも画像表示装置115の画面115aの一部を構成しているかのように見せることが可能となっている。
チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の前面部12を画像表示装置115における画面115aと重なる位置に配する場合、押ボタン本体10の前面部12のどの程度の範囲を画面115aに重ねるかは特に限定されない。しかし、押ボタン本体10の前面部12における画面115aに重なる部分がごく僅かである場合には、押ボタン本体10の前面部12を画面115aに重ねる意義が低下する。このため、押ボタン本体10の前面部12の面積(図7において左上がり斜線のハッチングで示した部分の面積。以下、「面積S1」と表記する。)に対するボタン押ボタン本体10の前面部12と画面115aとの重なり部分の面積(図7において網掛けのハッチングで示した部分の面積。以下、「面積S2」と表記する。)の比S2/S1は、0.1以上とすると好ましい。比S2/S1は、0.2以上とするとより好ましく、0.3以上とするとさらに好ましく、0.4以上、0.5以上とさらに大きくすることも可能である。比S2/S1の上限は、特に限定されることなく、押ボタン本体10の前面部12が画面115aの表示範囲を大幅に狭めない限りは、1とすることも可能である。
また、押ボタン本体10の前面部12の面積S1は、特に限定されないが、狭くしすぎると、押ボタン本体10を操作しにくくなるだけでなく、後述するように、押ボタン本体10の前面部12に遊技関連情報を表示する場合には、遊技関連情報の表示範囲を広く確保することができなくなり、後述する結合演出画像における遊技関連情報の存在感が低下するおそれもある。このため、面積S1は、押ボタン本体10の操作性を著しく低下させることなく、かつ、画面115aの周部において押ボタン本体10の前面部12に一定の存在感を生じさせる程度に広く確保すると好ましい。具体的には、面積S1は、画面115aの面積(図7において右上がり斜線のハッチングで示した部分の面積。以下、「面積S3」と表記する。)に対する面積S1の比S1/S3が0.01以上となる範囲で設定すると好ましい。比S1/S3は、0.03以上であるとより好ましく、0.05以上であるとさらに好ましく、0.07以上であると最適である。
一方、押ボタン本体10の前面部12の面積S1を広くしすぎると、押ボタン本体10の寸法が大きくなりすぎて、押下力に対する押ボタン本体10の感応性が低下するだけでなく、上述したように、押ボタン本体10の前面部12を画面115aに重ねて配する場合には、画面115aにおける遊技者によって視認される部分が押ボタン本体10の前面部12によって著しく狭くなるおそれがある。このため、面積S1は、比S1/S3が0.3以下となる範囲で設定すると好ましい。比S1/S3は、0.2以下であるとより好ましく、0.15以下であるとさらに好ましく、0.1以下であると最適である。
[4] 押ボタン本体を押下操作した際の各部の動作
続いて、本実施態様のチャンスボタンユニット123における押ボタン本体10を押下操作した際の各部の動作について説明する。押ボタン本体10は、コイルバネ30によって前向きに付勢されているため、それが押し下げられていないとき(遊技者が触れていないとき)には、図8に示すように、押ボタン本体10の肩部が押ボタンハウジング20の開口縁に掛止された初期位置に位置している。このとき、押ボタン本体10の後端部の当接片13aは、規制手段50よりも前方に離れた場所に位置しており、当接片13aは第一緩衝部材51に当接していない。また、規制手段50は、第二緩衝部材60によって前向きに付勢されており、その台板部52aが押ボタンハウジング20の内底面から浮いた状態となっている。
図8に示す初期位置から押ボタン本体10を押し下げると、押ボタン本体10は、コイルバネ30の付勢力に抗って後向きに移動する。一方、遊技関連情報表示体71は、押ボタンハウジング20に対して前後方向に移動しない状態で支持されている。このため、押ボタン本体10を押し下げるにつれて、前面部12から遊技関連情報表示体72までの距離が短くなるようになっている。加えて、上述したように、本実施態様のチャンスボタン123において、押ボタン本体10の前面部12は、凸レンズ状となっているため、押ボタン本体10を押し下げるにつれて、前面部12に表示される遊技関連情報の表示寸法が徐々に変化するようになっている。
このとき、遊技関連情報の表示寸法が拡大されるか縮小されるかは、前面部12が凸レンズ状であるか凹レンズ状であるか、及び、前面部12(レンズ体)の焦点距離と、前面部12(レンズ体)から遊技関連情報表示体71までの距離(以下、「表示体距離」という。)との大小関係によって異なるが、例えば、前面部12が凸レンズ状であり、表示体距離が前面部12の焦点距離も短い場合には、押ボタン本体10を押し下げるにつれて遊技関連情報表示体71の表示寸法は縮小されていくようになる。逆に、表示体距離が前面部12の焦点距離よりも長い場合には、押ボタン本体10を押し下げるにつれて遊技関連情報表示体71の表示寸法は拡大されるが、遊技関連情報は、上下左右が逆に見えるようになる。これに対し、前面部12を凹レンズ状とした場合には、凸レンズ状とした場合とは逆の現象が生じるようになる。
押ボタン本体10を押し下げ続けてしばらくすると、図9に示すように、押ボタン本体10の後端部の当接片13aが規制手段50の第一緩衝部材51の前端面に当接する。第一緩衝部材51は、緩衝性を有する材料によって形成されているため、当接片13aが第一緩衝部材51に当接する際の衝撃が和らげられるようになっている。加えて、押ボタン本体10を押し下げる遊技者の手には、第一緩衝部材51による硬めの反発弾性力が伝わるため、遊技者は、押ボタン本体10を押し下げる力を自然と弱めるようになっている。このとき、押ボタン本体10の検出片13cは、検出手段40の出光部41と受光部42との隙間に挿入され、押ボタン本体10が押し下げられたことが検出手段40によって検出された状態となる。
図9に示す状態から押ボタン本体10をさらに押し下げると、第一緩衝部材51は圧縮変形を開始し、第一緩衝部材51による緩衝作用が継続される。また、当接片13aから第一緩衝部材51に加えられた後向きの力によって、規制手段50全体も後向きに移動を開始し、その台板部52aと押ボタンハウジング20の内底面との間隔が徐々に狭くなっていく。このとき、第二緩衝部材60は、その前端面を規制手段50の台板部52aの後面によって後向きに押圧され、圧縮変形を開始する。このため、後向きに移動する押ボタン本体10の勢いがさらに弱められるようになっている。第二緩衝部材60は、上述した通り、第一緩衝部材51よりも柔らかい素材で形成されており、このときの遊技者の手に伝わる感触は、第二緩衝部材60の反発弾性による柔らか目のものとなっている。
押ボタン本体10をさらに押し下げ続け、第二緩衝部材60が圧縮限界に到達すると、それと略同時に、図10のA部に示すように、規制手段50の台板部52aが押ボタンハウジング20の内底面に当接し、押ボタン本体10はそれ以上押し下げることができない状態となる。ただし、このときまでには、押ボタン本体10の勢いは、第一緩衝部材51及び第二緩衝部材60によって大幅に弱められているため、台板部52aは、押ボタンハウジング20の内底面に勢いよく当接しないようになっている。そもそも、上述した通り、押ボタン本体10が図9の深さまで押し下げられた際には、遊技者は押ボタン本体10を押し下げる力を自然と弱めるため、押ボタン本体10が図10に示す限界まで押し下げられないこともある。
遊技者が押ボタン本体10から手を離すと、押ボタン本体10は、コイルバネ30の付勢力によって図8に示す初期位置へと復帰する。また、規制手段50も、第二緩衝部材60の付勢力によって図8に示す位置へと復帰する。押ボタン本体10が初期位置へ復帰する際には、押ボタン本体10が押下げられていたときよりも、前面部12から遊技関連情報表示体72までの距離が長くなる。このため、押ボタン本体10が初期位置へ近づくにつれて、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報の表示寸法が徐々に変化するようになっている。遊技関連情報の表示寸法の変化の態様や見え方は、上述した、押ボタン本体10を押し下げる場合とは逆になる。
本実施態様のチャンスボタンユニット123は、押ボタン本体10が上記のような動作を行うことで、押ボタン本体10の前面部12に表示される遊技関連情報の表示態様に変化を持たせることができるようになっている。また、第一緩衝部材51や第二緩衝部材60が上記のように作用することで、押ボタン本体10の損壊を防止することができるようになっている。加えて、本実施態様のチャンスボタンユニット123では、規制手段50の台板部52aが押ボタンハウジング20の内底面に当接して以降、押ボタン本体10に加えられている押下力の大部分は、押ボタン用取付部材200を介して、ベースパネル101d(図3)及び上側フレーム101e(図2)等の支持躯体に印加されるようになる。しかし、押ボタン本体10を保持する押ボタンハウジング20が、押ボタン用取付部材200を介して、ベースパネル101dと上側フレーム101eとの双方に跨った状態で固定されているため、その押下力は、チャンスボタンユニット123や前面パネル101における脆弱な部分に集中することなく、堅牢なベースパネル101d及び上側フレーム101aにおける広い範囲に分散されるようになっている。したがって、押ボタン本体10を強い力で押し下げても、チャンスボタンユニット123やその周辺の前面パネル101の損壊がさらに生じにくくなっている。
[5] 画像表示装置と押ボタン本体による演出の態様
最後に、画像表示装置115とチャンスボタンユニット123による演出の態様について説明する。図17は、画像表示装置115の画面115aとチャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の前面部12による演出の一例であって、押ボタン本体10の前面部12に「熱」の文字を表示した状態を示した図である。図17に示す例では、画像表示装置115の画面115aに、「押せ!」という文字と、当該文字から画面115aの右下隅部に配されたチャンスボタンユニット123に向かう矢印の図形が表示されるとともに、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の前面部12には、「熱」の文字が表示されている。
「熱」の文字は、フリーズ状態等、通常の遊技状態よりもボーナスへの当選確率が高い遊技状態に表示することができることについては、既に述べた通りである。本実施態様の回胴式遊技機においては、この「熱」が表示された状態において、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10を連打すると、画像表示装置115の画面115aや押ボタン本体10の前面部12の表示内容が押ボタン本体10の連打結果(例えば連打の回数等)に応じて切り替わる等の効果が奏するような処理を行うことができる。しかし、「熱」の文字が表示された状態においては、遊技者は、通常の遊技状態よりも興奮状態にあり、ボタンの押し間違いをしやすい状況にある。この点、本実施態様の回胴式遊技機では、チャンスボタンユニット123を、画面115aの周部に配したことにより、図17に示すように、操作すべきチャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の位置を、矢印等の指示記号を用いて直観的に指示することが可能になり、押ボタン本体10の押し間違いを防止することが可能となっている。
図17のように、指示記号を用いた演出は、通常の遊技状態や、ボーナスへの当選が確定した状態においても表示することができるが、フリーズ状態等、通常の遊技状態よりもボーナスへの当選確率が高く、遊技者が興奮しやすい遊技状態において行うとより効果的である。図17に示す遊技状態から、ボーナスへの当選が確定したときには、例えば、図18に示すように、表示内容を切り替えることができる。図18は、画像表示装置115の画面115aとチャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の前面部12による演出の一例であって、押ボタン本体10の前面部12に「当」の文字を表示した状態を示した図である。図18に示す例では、画像表示装置115の画面115aに、「やったね!」という文字と、画面115aの右下隅部を強調する「炎」の図柄が表示されるとともに、押ボタン本体10の前面部12には、「当」の文字が表示されている。ボーナスへの当選確定後に図18に示す表示を行った後には、画面115aに、ボーナス遊技用の画像を表示するようにしてもよい。その他、上記いずれの遊技状態にも該当しない場合(通常の遊技状態の場合)には、押ボタン本体10の前面部12には、「怪」の文字を表示するとともに、画面115aには、通常遊技用の画像を表示するようにする。
ここまでは、チャンスボタンユニット123の遊技関連情報表示体71によって、図14〜16に示すように、「怪」、「熱」及び「当」の文字を表示した場合の例について説明したが、それ以外にも様々な演出が可能である。
例えば、チャンスボタンユニット123の遊技関連情報表示体71で、「浮き」、「空き缶」、「魚」及び「鯨」の4種類の図柄を表示できるようにし、チャンスボタンユニット123の押ボタン本体10の前面部12に表示する図柄(遊技関連情報)をそれら4種類の図柄の中から選択できるようにしておくことで、画像表示装置115の画面115aと押ボタン本体10の前面部12とで、図19〜22に示すような結合演出画像を表示することも可能になる。図19〜22は、画像表示装置115の画面115aとチャンスボタン123の押ボタン本体10の前面部12との結合演出画像であって、押ボタン本体10の前面部12に、「浮き」の図柄(図19)、「空き缶」の図柄(図20)、「魚」の図柄(図21)及び「鯨」の図柄(図22)をそれぞれ表示した状態を示した図である。図19〜22において、画像表示装置115の画面115aには、いずれも、その先端から釣り糸が垂らされた釣竿を持った釣り人の図柄が表示されており、押ボタン本体10の前面部12には、前記釣り糸に連続する態様で描かれた釣り糸の先端部の図柄が表示されている。
図19〜22に示すように、遊技関連情報表示体71に4種類の図柄を表示できるようにするためには、遊技関連情報表示体71を形成する球殻体を、固定軸72(図8を参照)の中心線を通る平面によって90°間隔で分割して4つの領域(第一表示部、第二表示部、第三表示部及び第四表示部)に区画し、それぞれの領域にそれぞれの図柄を表示すればよい。具体的には、第一表示部に「浮き」の図柄(図19)を表示し、第二表示部に「空き缶」の図柄(図20)を表示し、第三表示部に「魚」の図柄(図21)を表示し、第四表示部に「鯨」の図柄(図22)を表示すればよい。
図19〜22の結合演出画像のうち、図19の結合演出画像は、フリーズ状態等、通常の遊技状態よりもボーナスへの当選確率が高い状態であることを遊技者に通知した後に表示されるようにし、その後、当該遊技において、ボーナスへの当選が確定したか否か等の結果に応じて、図20〜22のいずれかの結合演出画像を表示するようにすることができる。例えば、ボーナスへ当選していなかった場合には、図20に示すように、押ボタン本体10の前面部12に「空き缶」の図柄を表示する。また、レギュラーボーナスに当選していた場合には、図21に示すように、押ボタン本体10の前面部12に「魚」の図柄を表示する。さらに、ビッグボーナスに当選していた場合には、図22に示すように、押ボタン本体10の前面部12に「鯨」の図柄を表示する。このような表示を行うことにより、遊技者は、ボーナスへ当選していなかったこと、レギュラーボーナスに当選したこと、又は、ビッグボーナスに当選したことを直感的に理解することができる。
図19の結合演出画像においては、画面115aの釣り人の図柄を、獲物がかかったかのように、釣竿を上下動させる動画として表し、その釣竿の動きに合わせて、押ボタン本体10の前面部12に表示させる「浮き」の図柄を上下動させるといった演出も可能である。その後、しばらくの間、押ボタン本体10の前面部12に、「空き缶」、「魚」及び「鯨」の図柄を切り替えながら表示させた後に、いずれかの図柄で停止させるといった演出も可能である。その間、遊技者は、ボーナスに当選したか否かについて期待感を抱きながら結合演出画像の表示態様に注視するようになり、遊技をより楽しむことができるようになる。
このような結合演出画像は、画像表示装置115を液晶ディスプレイ等の平面パネル型ディスプレイとし、チャンスボタンユニット123の遊技関連情報表示手段70を、図8〜11に示す遊技関連情報表示体71のように、可動部品を駆動することにより遊技関連情報が切り替わるようにした場合に特に好適に採用することができる。これにより、結合演出画像を、液晶ディスプレイ等の画面に表示される精細な画像等と、遊技関連情報表示体71により体現されたギミックにより表示される画像等とが結合されたものとし、これまでにない趣の斬新な表現が可能となる。