まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠(図示略)と、外枠に開閉可能に取り付けられた前面枠(図示略)と、で主に構成されており、前面枠の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠(図示略)に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、それを構成する板状の合成樹脂板と、その合成樹脂板に取り付けられた種々の部品とを含む構造体であり、これらの詳細な構造に関しては後述することとする。遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。また、遊技盤6の背面側には、演出表示装置9や演出制御基板80及び演出ユニット等を含む変動表示制御ユニットが一体的に組み付けられている(図示略)。
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(飾り図柄)を変動表示する複数の変動表示部を含む演出表示装置(演出図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
また、遊技盤6における演出表示装置9の表示画面9cに対応する開口周囲には、環状のステージ飾り枠11が設けられている。遊技盤6は、表示画面9cに対し所定の隙間を隔てて前方位置に配設されており、遊技盤6と表示画面9cとの間における表示画面9cの周縁には、図示しない演出ユニットが設けられ、遊技状態や演出の実行に応じて可動するようになっている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(演出図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLED+1セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLED+1セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a、30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の前面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
パチンコ遊技機1の背面には、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(図2参照)。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPU120から入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して演出用ダイオード(演出用LED)390を含む各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25a、後述する表示用LED310に駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、図3〜図14に基づいて、遊技盤6の詳細な構造に関して説明する。図3は、遊技盤6を示す正面図である。図4は、遊技盤6の構成を示す分解斜視図である。図5は、(A)は透明フィルム304Aに印刷された第1表示部を示す説明図、(B)は透明フィルム304Bに印刷された第2表示部を示す説明図である。図6は、(A)は表示部301を正面から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は(B)の要部拡大図である。図7は、(A)は表示部301を左側から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)に対応する断面図、(C)は表示部301を右側から見たときの態様を示す説明図、(D)は(C)に対応する断面図である。図8は、(A)は表示部302の非発光時の態様を示す説明図、(B)は(A)のB−B断面図、(C)は表示部302の発光時の態様を示す正面図、(D)は(C)に対応する断面図である。図9は、(A)は表示部302を左側から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)に対応する断面図、(C)は表示部302を右側から見たときの態様を示す説明図、(D)は(C)に対応する断面図である。図10は、(A)(B)は表示部302の他の例を示す断面図である。図11は、(A)は表示部302と第1始動入賞口13aとの位置関係を示す断面図、(B)は他の位置関係を示す断面図である。図12は、(A)は表示部302とガラス扉枠102との位置関係を示す断面図、(B)は他の位置関係を示す断面図である。図13は、(A)は表示部303を正面から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)のC−C断面図、(C)は表示部303を上側から見たときの態様を示す説明図、(D)は(C)に対応する断面図である。図14は、表示部303の要部を示す断面図である。尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1を正面から見た場合を基準として、上下、左右、前後方向を示すものとする。
図3及び図4に示すように、遊技盤6は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂材にて形成される盤面板200と、該盤面板200の背面側に一体的に取り付けられるスペーサ部材250と、から主に構成される。盤面板200の板厚は約1cm程度であり、全体が無色透明に形成されている。尚、本実施例では盤面板200全体が無色透明に形成されているが、当該盤面板200を透して背面側を透視可能な透光性を有していれば、半透明であってもよいし、着色されていてもよい。また、全体が透光性を有していなくても、少なくとも遊技領域7の一部に透光部が形成されていればよい。
盤面板200には、背面側に配設される演出表示装置9の表示面を前面側に臨ませるための表示用開口201と、可変入賞球装置15(図1参照)が取り付けられる取付孔と特別可変入賞球装置20(図1参照)が取り付けられる取付孔とが一体化された取付孔203と、アウト口26(図1参照)を形成するアウト口孔204と、ゲート32(図1参照)が取り付けられる取付孔205と、各入賞口29a〜29dを構成する入賞口部材が取り付けられる取付孔206と、がそれぞれ前後方向に貫通して形成されている。
また、盤面板200の周囲には、スペーサ部材250から前面側に突設され、外レール飾り600a〜600cを取り付けるためのネジが取り付けられるネジ孔(図示略)が先端に形成された複数の取付用ボス260a〜260i(図4参照)がそれぞれ挿通される挿通孔207a〜207iが、それぞれ対応した位置に前後方向に貫通して形成されている。
また、盤面板200を前面側から見たときにおける左上部、左下部、右上部には、スペーサ部材250から前面側に突設される複数の位置決め用ボス261a〜261cがそれぞれ嵌合される位置決め孔208a〜208cが、それぞれ対応した位置に前後方向に貫通して形成されている。尚、これら以外にも、複数の挿通孔や取付孔等が形成されている。
また、盤面板200の側面における四隅近傍位置には、スペーサ部材250に形成された弾性係止爪270a〜270dがそれぞれ係止される係止段部220a〜220dがそれぞれ形成されている。係止段部220a〜220dは、盤面板200の側面における前面側の縁辺部に切欠形成される。
スペーサ部材250は、非透光性を有する合成樹脂材により、外形が盤面板200と同形に形成された板状部材の中央に略円形の開口部251が形成されることにより枠状に形成されている。すなわち、前面に盤面板200が取り付けられたときに当該盤面板200の背面における遊技領域7に対応する領域(背面領域)を取り囲むように延設される延設部(内周壁に沿うように形成される部分)を有している。
このように構成されたスペーサ部材250の前面に盤面板200を配置すると、盤面板200に形成された各位置決め孔208a〜208c内に位置決め用ボス261a〜261cが背面側から嵌合され、スペーサ部材250に対する盤面板200の組み付け位置が決定されるとともに、各挿通孔207a〜207i内に取付用ボス260a〜260iがそれぞれ挿通され、各取付用ボス260a〜260iの先端に形成されたネジ孔が盤面板200の遊技盤面200a側に臨むことになる。
また、盤面板200の背面200bがスペーサ部材250の前面に当接されると、各弾性係止爪270a〜270dが各係止段部220a〜220dに弾性的に係止され、スペーサ部材250からの盤面板200の離脱が規制されるため、スペーサ部材250の前面に盤面板200が取り付けられる。
スペーサ部材250は、実質的な板厚である厚み幅寸法は約1cmであり、前面により盤面板200の取付面が構成されているため、該前面に盤面板200が取り付けられることによって、厚み幅寸法(板厚)が約2cmの遊技盤6が構成される。
また、遊技盤面200aの周囲には、遊技盤面200aに臨ませた各取付用ボス260a〜260iの先端に形成されたネジ孔(図示略)にネジを止着することにより外レール飾り600a〜600cが取り付けられ、遊技盤面200a上において外レール飾り600a〜600cに囲まれた正面視略円形の領域が遊技領域7とされる。また、これら外レール飾り600a〜600cの内周面に沿って外レール501が取り付けられるとともに、左側に内レール502が取り付けられることで、盤面板200の下部左側から上部左側にかけて発射球誘導通路500が形成される。このように遊技盤6は、盤面板200及びスペーサ部材250などの板状の合成樹脂板と外レール飾り600a〜600c、外レール501、内レール502等の部品を含む構造体である。
図3及び図5に示すように、透明な合成樹脂材にて正面視略四角状に構成された盤面板200には、複数の表示部301〜303や図示しない背景などが施されている。具体的には、これら表示部301〜303や背景等の印刷加工が施された透明フィルム304A,304Bが、障害釘K(図14参照)が植設される遊技盤面200a(前面)及びその反対側の背面200bに接着層305(図6(C)参照)を介して積層されることにより盤面板200が装飾され、演出効果を向上させることができるようになっている。尚、透明フィルム304A,304Bは、表示用開口201や各取付孔203〜206を除いて、遊技盤面200a及び背面200b全域にわたり接着層305を介して積層されている。
透明フィルムは、透明なフィルムであればよく、その種類は限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート)、メタクリル系樹脂フィルム、アクリル系ゴムを含むメタクリル系樹脂耐衝撃フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム等を含む。印刷性、盤面板200との貼り合せやすさ、切削加工性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、上記アクリル系ゴム粒子を含むメタクリル系樹脂耐衝撃フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムが好ましい。
尚、透明フィルムの厚さは約250μm未満であるため、例えば、図6などに示すほど盤面板200などに対して厚みはないため実際には断面図などで図示しきれないが、説明の都合上、盤面板200に対する透明フィルムの厚みはわかるように図示している。
本実施例では、透明フィルム304A,304Bには、表示部301〜303と、これら表示部301〜303の背景画として多数の星や銀河などにより宇宙空間の装飾が予め印刷されている。また、表示部301はキャラクタを表す表示部とされ、表示部302は星型を表す表示部とされ、表示部303は惑星(例えば、土星)を表す表示部とされている。
また、これら表示部301〜303や背景画は、一部が遊技盤面200aに貼着される透明フィルム304Aに印刷され、他部が背面200bに貼着される透明フィルム304Bに印刷されている。
具体的には、表示部301を構成するキャラクタの右手を示す第1表示部301Aは透明フィルム304Aにおける所定の位置に印刷され(図5(A)参照)、キャラクタの胴体及び顔を示す第2表示部301Bは透明フィルム304Bにおける所定の位置に印刷されている(図5(B)参照)。また、表示部302を構成する星のうち小型の星を示す第1表示部302Aは透明フィルム304Aにおける所定の位置に印刷され(図5(A)参照)、小型の星よりも大きく「熱」の文字が表された大型の星を示す第2表示部302Bは透明フィルム304Bにおける所定の位置に印刷されている(図5(B)参照)。また、表示部303を構成する土星のうち環を示す第1表示部303Aは透明フィルム304Aにおける所定の位置に印刷され(図5(A)参照)、土星の球体部を示す第2表示部303Bは透明フィルム304Bにおける所定の位置に印刷されている(図5(B)参照)。
尚、図6(C)に示すように、本実施例では、透明フィルム304Aの後面側には第1表示部301A〜303Aを構成する印刷層306Aが形成され、その前面は保護層(図示略)により被覆されているため、遊技領域7を流下する遊技球との接触や製造時に傷ついて視認性が損なわれることがないように保護されている。また、透明フィルム304Bの前面側には第2表示部301B〜303Bを構成する印刷層306Bが形成され、その背面は保護層(図示略)により被覆されているため、背面側に配設される各種装置や構造物との接触や製造時に傷ついて視認性が損なわれることがないように保護されている。
このように、各表示部301〜303は、透光板である盤面板200の板厚方向に異なる複数の表示位置のうち第1表示位置である遊技盤面200aに設けられる第1表示部301A〜303Aと、該第1表示位置に対し遊技者と反対側に離れた第2表示位置である背面200bに設けられる第2表示部301B〜303Bと、を含む。
また、透明フィルム304Aには、背景画のうち前背景部307A(星など)が第1表示部301A〜303Aの周囲に印刷されているとともに、透明フィルム304Bには、背景画のうち後背景部307B(星や銀河など)が表示部301B〜303Bの周囲に印刷されている。さらに、透明フィルム304A,304Bにおける各取付孔203〜206及び表示用開口201に対応する位置には、取付孔203a〜206a及び開口201aが形成されている。
このように、第1表示部301A〜303Aや第2表示部301B〜303B、前背景部307A及び後背景部307Bは印刷層306A,306Bにて層状に形成され、盤面板200の表面である遊技盤面200aや背面200bに沿って配設されている。
また、表示部301の周囲には、背面側を透視可能な透光部(透明部)が形成されており、この周囲の透光部を介して、後述するように表示部301の左右側から奥側の第2表示部301Bを透視できるようになっている。尚、他の表示部302,303に関しても同様にそれらの周囲には透光部(透明部)が形成されている。
次に、図6及び図7に基づいて、表示部301の構成及び視認態様について説明する。
図6(A)(B)に示すように、表示部301は、透明フィルム304Aに印刷されたキャラクタの右手(正面から見て左側の手)を示す第1表示部301Aと、透明フィルム304Bに印刷されたキャラクタの胴体及び顔を示す第2表示部301Bと、から構成されている。図6(B)に示すように、第1表示部301Aは遊技盤面200aの前面に配置され、第2表示部301Bは背面200bに配置されるため、第2表示部301Bは、第1表示部301Aに対し盤面板200の板厚方向に向けて所定の隙間(約2cm弱)を隔てて配置されている。つまり、第2表示部301Bは第1表示部301Aから後側に離れた位置に配置されている。
また、第1表示部301Aは、印刷により全域が非透光部とされているとともに、第2表示部301Bよりも左右幅が短く、正面から見て第2表示部301Bの左側に配置されている。よって、例えば、遊技者が表示部301のほぼ正面に対峙する所定の視点位置EP1(実際には図中に示す視点位置よりも盤面板200から前側に離れた位置となる)から表示部301を見たとき、視線が遊技盤面200aに対し略直交するため、第2表示部301Bにおいて第1表示部301Aに対応する領域、詳しくは第1表示部301Aの真後ろとなる左側の領域は、第1表示部301Aに対し前後方向に重畳して視認することができない非視認領域S1とされ、その他の領域が視認領域S2となる。具体的には、キャラクタの右手は正面から見て顔の左側に位置している。
このように第2表示部301Bは、所定の視点位置EP1から表示部301を見たときに少なくとも一部が第1表示部301Aに対し透光板の板厚方向、つまり、前後方向に重なる位置に配置されている。
次いで、図7(A)(B)に示すように、視点位置EP1から表示部301を見たときを基準とした場合、該視点位置EP1から左側に所定距離だけ略水平にずれた視点位置EP2から表示部301を見たとき、視線が遊技盤面200aに対し左側に傾倒することで、第1表示部301Aに対し前後方向に重畳して視認することができない非視認領域S1は右側にずれるため、第1表示部301Aである右手は、正面から見て第2表示部301Bである顔の中心に近づく。また、視点位置EP1からは見えなかった第2表示部301Bである髪とマントの左側が視認領域S2’となって現れる。
一方、図7(C)(D)に示すように、視点位置EP1から表示部301を見たときを基準とした場合、該視点位置EP1から右側に所定距離だけ略水平にずれた視点位置EP3から表示部301を見たとき、視線が遊技盤面200aに対し右側に傾倒することで、第1表示部301Aに対し前後方向に重畳して視認することができない非視認領域S1は左側にずれて広がるため、第1表示部301Aである右手は、正面から見て第2表示部301Bである顔から左側に離れていく。また、視点位置EP1からは見えなかった第2表示部301Bである顔の左側が視認領域S2’となって現れる。
このように、表示部301にあっては、第1表示部301Aに対し第2表示部301Bを板厚方向に離して配置することで表示部301を立体的に見せることができるばかりか、遊技者が所定の視点位置EP1から表示部を見たときに、第1表示部301Aに対し第2表示部301Bが板厚方向に重なることで、視点位置が左右にずれたときに第1表示部301Aと第2表示部301Bとの板厚方向の位置関係が分かりやすくなるため、表示部301を立体的に見せることができる。
詳しくは、遊技者からは視点位置を左右にずらすことで第1表示部301Aとその奥側にある第2表示部301Bとを同時に視認することができるばかりか、その状態で視点位置を左右いずれかにずらしていくと、第2表示部301Bに対する第1表示部301Aの相対位置が変化するため、第1表示部301Aと第2表示部301Bとが離れて同時に視認することができない位置に配置されている場合に比べて立体感を感じやすくなる。
また、表示部301は一の表示対象物(例えば、キャラクタ)を表示するものであり、そのうち右手の部分は第1表示部301Aにて表示され、胴体及び顔の部分は第2表示部301Bにて表示されることで、第1表示部301Aと第2表示部301Bとで一の表示対象物が構成されるため、互いに関連性のない表示対象物が表示されているものと比べて立体感を表現しやすくなる。
また、第2表示部301Bは、視点位置EP1から見たときに第1表示部301Aに対し板厚方向に重なるとともに、視点位置EP2,EP3から見たときに第1表示部301Aに対し板厚方向に重ならない特定表示部である視認領域S2’を少なくとも一部に有することで、遊技者が視点位置を変えることで視認領域S2’の見え方が変化するため、立体感を表現しやすくなる。
さらに、第1表示部301Aは、全ての領域が非透光部とされていることで、遊技者が視点位置を変えることで視認領域S2’が見えるようになったり第1表示部301Aにより隠蔽されたりするため、立体感を表現しやすくなる。
また、このように遊技盤6を構成する盤面板200を利用して第1表示部301A及び第2表示部301Bを配設することで、表示部301を立体的に見えるようにするため、遊技盤6とは別の導光板等を複数枚積層して表示部を形成して遊技盤6の背面側に配設したりする場合に比べて、前後方向の設置スペースを予め確保する必要がないため、簡単な構成で表示部を構成することができる。
また、盤面板200に表示部を設けられることで、遊技盤6とその背面側に設けた表示部とで複数層の表示部を構成する場合に比べて、遊技場の照明などの光が第2表示部などにもいきわたりやすいため、遊技盤6の背面に表示部を配置するよりも表示部の視認性が極めて高くなるばかりか、平面的な表示部を複数階層状に配置するだけでよいので、盤面板200の強度を低下させる虞がない。
次に、図8及び図9に基づいて、表示部302の構成及び視認態様について説明する。
図8(A)(B)に示すように、表示部302は、透明フィルム304Aに印刷された小型の星を示す第1表示部302Aと、透明フィルム304Bに印刷された大型の星を示す第2表示部301Bと、から構成されている。図8(B)に示すように、第1表示部302Aは遊技盤面200aの前面に配置され、第2表示部302Bは背面200bに配置されるため、第2表示部302Bは、第1表示部302Aに対し盤面板200の板厚方向に向けて所定の隙間(約2cm弱)を隔てて配置されている。つまり、第2表示部302Bは第1表示部302Aから後側に離れた位置に配置されている。
また、第1表示部302Aは、印刷により所定の色に着色されているが全域が透光性を有する透光部とされているとともに、第2表示部302Bを所定の割合で縮小した同形状に形成され、縮小中心が前後に一致して配置されている。また、第2表示部302Bも全域が透光性を有する透光部とされているとともに、「熱」という文字Tが印刷されている。
よって、例えば、遊技者が表示部302のほぼ正面に対峙する所定の視点位置EP1(実際には図中に示す視点位置よりも盤面板200から前側に離れた位置となる)から表示部302を見たとき、第2表示部302Bにおいて第1表示部302Aに対応する領域、詳しくは第1表示部302Aの真後ろとなる文字Tを含む中央領域は、第1表示部302Aに対し前後方向に重畳する重畳領域P1とされ、その他の周辺領域が非重畳領域P2となる。具体的には、正面から見たとき、第1表示部302Aを透して背面側の第2表示部301Bの例えば文字Tが透視できるが、第1表示部302Aは着色もされていて透過率は低いため、透明の場合に比べて視認性はあまり良くない。
このように第2表示部302Bは、所定の視点位置EP1から表示部302を見たときに少なくとも一部が第1表示部302Aに対し透光板の板厚方向、つまり、前後方向に重なる位置に配置されている。
また、盤面板200の背面側における表示部302に対応する位置には、表示部302を背面側から照らす照明装置としての表示用発光ダイオード(表示用LED)310が配設されたLED基板311が設けられている。
このように構成された表示部302は、上記したように表示用LED310の非発光状態では、第1表示部302Aを透して背面側の第2表示部302Bの例えば文字Tを透視しにくいが、図8(C)(D)に示すように、表示用LED310を発光することで、表示用LED310からの光は第2表示部302B、盤面板200、第1表示部302Aを透過して前方に出射される。
よって、盤面板200の背面側から透光性を有する第2表示部302Bを照らすことができるので、表示用LED310により透光性を有する第2表示部302Bを照らすことで第2表示部302B、特に文字Tなどが見えやすくなるだけでなく、第2表示部302Bを透して同じく透光性を有する第1表示部302Aが一緒に照らされることで該第1表示部301Aも見えやすくなるため、双方の視認性を高めることができる。
次いで、図9(A)(B)に示すように、視点位置EP1から表示部302を見たときを基準とした場合、該視点位置EP1から左側に所定距離だけ略水平にずれた視点位置EP2から表示部302を見たとき、視線が遊技盤面200aに対し左側に傾倒することで、第1表示部302Aに対し前後方向に重畳する重畳領域P1は右側にずれるため、第1表示部302Aである小型の星は、正面から見て第2表示部302Bである大型の星の右側にずれる。また、視点位置EP1からでは重畳していた第2表示部302Bの文字Tの左側が非重畳領域P2’となって現れる。
一方、図9(C)(D)に示すように、視点位置EP1から表示部302を見たときを基準とした場合、該視点位置EP1から右側に所定距離だけ略水平にずれた視点位置EP3から表示部302を見たとき、視線が遊技盤面200aに対し右側に傾倒することで、第1表示部302Aに対し前後方向に重畳する重畳領域P1は左側にずれるため、第1表示部302Aは、正面から見て第2表示部302Bから左側に離れていく。また、視点位置EP1からでは重畳していて見えなかった第2表示部302Bである星の右側が非重畳領域P2’となって現れる。
このように、表示部302にあっては、第1表示部302Aに対し第2表示部302Bを板厚方向に離して配置することで表示部301を立体的に見せることができるばかりか、遊技者が所定の視点位置EP1から表示部を見たときに、第1表示部302Aに対し第2表示部302Bが板厚方向に重なることで、視点位置がずれたときに第1表示部302Aと第2表示部302Bとの板厚方向の位置関係が分かりやすくなるため、表示部302を立体的に見せることができる。
また、第2表示部302Bは、視点位置EP1から見たときに第1表示部302Aに対し板厚方向に重なるとともに、視点位置EP2,EP3から見たときに第1表示部302Aに対し板厚方向に重ならない非重畳領域P2’を少なくとも一部に有することで、遊技者が視点位置を変えることで非重畳領域P2’の見え方が変化するため、立体感を表現しやすくなる。
また、本実施例では、第1表示部302A及び第2表示部302Bが透光性を有する印刷層306A,306Bにて構成されていることで、表示用LED310からの光は第1表示部302A及び第2表示部302Bを透過して前方に出射されるようになっていたが、第2表示部302Bを透過して第1表示部302Aに到達した光の一部が反射して第2表示部302Bの表面を照らすようにしてもよい。
具体的には、例えば、図10(A)に示すように、第1表示部302Aの左右端部に印刷により反射部330を設け、これにより第1表示部302Aの左右端部に到達した光の少なくとも一部が第2表示部302Bで反射するようにすればよい。
つまり、第1表示部302Aに、表示用LED310から第2表示部302Bを透過した光の一部を該第2表示部302B側に反射させる反射部330を設けることで、表示用LED310により第2表示部302Bを背面側から照らすことだけでなく、反射部330からの反射光により第2表示部302Bが第1表示部302A側からも照らされるため、第2表示部302Bの視認性を高めることができる。
また、図10(B)に示すように、第1表示部302Aの全域に印刷により反射部331を設け、これにより第1表示部302Aに到達した光の一部が第2表示部302Bに反射するようにするとともに、第2表示部302Bにおける表示用LED310に対応する位置に透明領域332を設け、表示用LED310からの光が透明領域332を透して第1表示部302Aに到達するようにしてもよい。
つまり、第1表示部302Aにおける透明領域332に対応する位置に、表示用LED310から透明領域332を透過した光の少なくとも一部を第2表示部302Bにおける透明領域332の周囲に反射する反射部331を設けることで、遊技者側から盤面板200を透して表示用LED310が見えることがないばかりか、反射部331からの反射光により第2表示部302Bの透明領域332の周囲が第1表示部302A側からも照らされるため、第2表示部302Bの視認性を高めることができる。
尚、これら反射部330,331は、第2表示部302Bの一部の光の透過率を他部よりも低くすることにより該他部よりも反射率が高まるようにしていたが、透過率0%の非透光部を形成して光を反射させるようにしてもよいし、反射率が高い印刷層を形成してもよい。
また、図11(A)に示すように、表示部302は、遊技盤面200aに設けられる立体状の構造物の一例である第1始動入賞口13aから右側に所定距離離れた位置に配設されているため、例えば、遊技盤面200aに対する視線の傾倒角度が大きい視点位置EP4から第1表示部302Aを透さずに表示部302における第2表示部302Bの文字T等を直接見るときに、略立方体形状をなす第1始動入賞口13aにより視界を遮られることなく、第2表示部302Bにおいて非重畳領域P2’となる文字Tの一部等を視認することができるようになっている。
例えば、図11(B)に示すように、表示部302が第1始動入賞口13aの近傍位置に配設されている場合、第1表示部302Aを透さずに第2表示部302Bの文字Tを左側の視点位置EP5から見ようとすると、遊技盤面200aから張り出した第1始動入賞口13aにより視点位置EP5からの視線が妨げられ、視点位置EP5よりも左側の視点位置から見ることができずに非重畳領域P2’が狭くなるため、文字Tの視認が困難となる。
よって、表示部302は、遊技者が視点位置EP4からの非重畳領域P2’となる文字Tの視認が当該パチンコ遊技機1の遊技盤面200aに設けられた立体状の構造物の一例である第1始動入賞口13aにより妨げられないように、該第1始動入賞口13aから遊技盤面200a方向に離れた位置に設けられていることで、文字Tの視認が第1始動入賞口13aにより妨げられることが防止される。また、この場合においては、遊技盤6における表示部302と第1始動入賞口13aとの間には透光部(透明部)が形成されていることになる。
尚、本実施例では、このような構造物の一例として、遊技盤面200aに設けられる立体状の構造物の一例として、遊技領域7に設けられる障害物である第1始動入賞口13aを一例に説明したが、立体的な構造物であれば、これ以外にも、例えば、可変入賞球装置15、特別可変入賞球装置20、入賞口29a〜29d、ゲート32、風車、ステージ飾り枠11、障害釘(例えば、複数本が隣接配置されているものなど)といったように、遊技球の流下の障害となる障害物も含む。また、このような障害物以外にも、演出用の装飾物や可動役物、照明装置、表示装置なども含む。
さらに、遊技領域7以外に設けられる構造物から所定距離離れた位置に配設することが好ましい。本実施例では、図1に示すように、表示部302は、遊技領域7を透視可能とする透視窓102aを有するガラス扉枠102の右辺部から離れた位置に設けられている。ガラス扉枠102の右辺部は、内部に右枠LED28c等を有する発光表示部とされているため遊技盤6の前方に配置される透視窓102aよりもさらに前側に突出している。
図12(A)に示すように、表示部302は、ガラス扉枠102から所定距離離れた位置に配設されていることで、例えば、遊技盤面200aに近い右側の視点位置EP6から第1表示部302Aを透さずに表示部302における第2表示部302Bの文字T等を直接見るときに、前側に突出する壁部を構成するガラス扉枠102により視界を遮られることなく、第2表示部302Bにおいて非重畳領域P2’となる文字Tの一部等を視認することができるようになっている。
例えば、図12(B)に示すように、表示部302がガラス扉枠102の近傍位置に配設されている場合、第1表示部302Aを透さずに第2表示部302Bの文字Tを右側の視点位置EP7から見ようとすると、遊技盤面200aから張り出したガラス扉枠102により、右側方からの視認が妨げられ、視点位置EP7よりも右側の視点位置から見ることができずに非重畳領域P2’が狭くなるため、文字Tの視認が困難となる。
よって、表示部302は、遊技者が視点位置EP6からの非重畳領域である文字Tの視認が当該パチンコ遊技機1に設けられた立体状の構造物の一例であるガラス扉枠102により妨げられないように、該ガラス扉枠102から遊技盤面200a方向に離れた位置に設けられていることで、文字Tからの視認がガラス扉枠102により妨げられることが防止される。このような構造物は、遊技盤6に設けられているものに限定されるものではなく、パチンコ遊技機1を構成する立体状の構造物であれば全て対象となる。
次に、図13に基づいて、表示部303の構成及び視認態様について説明する。
図13(A)(B)に示すように、表示部303は、透明フィルム304Aに印刷された土星の環を示す第1表示部303Aと、透明フィルム304Bに印刷された土星の球体部を示す第2表示部303Bと、から構成されている。図13(B)に示すように、第1表示部303Aは遊技盤面200aの前面に配置され、第2表示部303Bは背面200bに配置されるため、第2表示部303Bは、第1表示部303Aに対し盤面板200の板厚方向に向けて所定の隙間(約2cm弱)を隔てて配置されている。つまり、第2表示部303Bは第1表示部303Aから後側に離れた位置に配置されている。
また、第1表示部303Aは、環の下半分が印刷により非透光性の非透光部303aとされているとともに、環の上半分が印刷により透光性を有する透光部303bとされている。つまり、この透光性の上半分は土星に重なるように表示される。これにより、本来は土星の背面側に表示され見えない上半分の環を透して土星が見えるようになることで、土星の背面側にあるように見せることができる。尚、図13中に示す土星の環の点線は、非透光部303aと透光部303bとの境界を示すものであり、視認されるものではない。
図13(D)に示すように、所定の視点位置EP8から表示部303を見たときを基準として、該視点位置EP8から上側に所定距離だけ略鉛直方向にずれた視点位置EP9から表示部303を見たとき、第1表示部303Aに対し前後方向に重畳して視認することができない非視認領域S1及び半視認領域S1’は下側にずれて、視点位置EP8からでは見えなかった視認領域S2’が現れるため、第1表示部303Aである環は、正面から見て第2表示部303Bである土星の下方に移動して見える。このように、左右方向だけでなく、視点位置が上下方向に異なる場合でも見え方が変化するようになる。
尚、特に図示しないが、表示部301,302においても、このように視点位置が上側(または下側)にずれることで、第2表示部に対する第1表示部の位置が変化して見える。また、表示部303においても、視点位置が左右側にずれることで、第2表示部に対する第1表示部の位置が変化して見える。
また、図1に示すように、これら表示部301〜303のうち表示部302,303は、遊技領域7におけるステージ飾り枠11以外の領域に設けられているため、特に図示はしないが複数の障害釘Kが植設されている。
図14に示すように、複数のうち表示部303に植設される障害釘Kは、第1表示部303Aを挿通するが第2表示部303Bに到達しない深さで植設され、第1表示部303Aにおいて障害釘Kが植設される箇所には、障害釘Kの外径よりも大きな直径を有する略円形の孔部320が形成され、第2表示部303Bにおいて孔部320に対応する箇所には表示部(第2表示部303B)が形成されている。このように、透明フィルム304Aにおける障害釘Kが植設される箇所に複数の孔部320(図5では図示略)が形成されていることで、障害釘Kの植設時に第1表示部303Aが破損することなどが防止されるとともに、孔部320を介して奥側の第2表示部303Bが見えることで、孔部320から表示部303とは関連性のない遊技盤6の背面側の構造物などが見えるなどして第1表示部303Aの外観体裁が障害釘Kにより損なわれることが防止される。
尚、本実施例では、孔部320にて構成されていたが、印刷等が施されていない透光性を有する透光部(透明部)などにより構成されていてもよい。
次に、本発明の変形例について、図15〜図18に基づいて説明する。図15は、(A)は変形例1としての表示部400を正面から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)のD−D断面図、(C)は表示部400を斜め左側から見たときの態様を示す説明図である。図16は、(A)は変形例2としての表示部420を正面から見たときの態様を示す説明図、(B)は(A)のE−E断面図、(C)は表示部420を左側から見たときの態様を示す説明図、(D)は(C)に対応する断面図、(E)は表示部420を右側から見たときの態様を示す説明図、(F)は(E)に対応する断面図である。図17は、変形例3としての表示部430を示す断面図である。図18は、変形例4としての表示部440,441を示す断面図である。
図15に示すように、変形例1としての表示部400は、遊技盤面200aに配置される第1表示部400Aと、背面200bに配置される第2表示部400Bと、から構成されている。本変形例では、盤面板200の板厚が約2cmとされ、これら第1表示部400A及び第2表示部400Bは、所定の板厚(例えば、約5mm)を有する透明な合成樹脂材等からなり表面に所定の印刷が施された透明板400a,400bにより形成されている。これら透明板400a,400bは、例えば、盤面板200の成型時において遊技盤面200aや背面200bに形成した凹部(図示略)に嵌合することにより設けられる(図15(B)参照)。このように表示部は、遊技盤面200aや背面200bに印刷が施された透明フィルムなどを積層することで形成されるものだけでなく、このように所定の板厚を有する板材を設けることなどにより層状に形成されてもよい。
透明板400aの前面には、中央に正面視円形の透視窓401が形成される枠状の非透光枠402が印刷により形成されている。また、透明板400bの前面における透視窓401に対応する位置には、キャラクタ403が印刷により形成されている。よって、図15(A)に示すように、表示部400に対峙したときに、透視窓401を透してキャラクタ403を視認できるとともに、視点位置を左右上下にずらすことで、透視窓401を透して見えるキャラクタ403の部位が変化するようになる。
このように、第1表示部400Aを非透光部からなる枠状に形成し、透視窓401を透して第2表示部400Bのキャラクタ403を視認可能とすることで、第2表示部400Bの特定部位の周囲が第1表示部400Aにより被覆されるため、透視窓401に対するキャラクタ403の見え方の変化がわかりやすくなるため、立体的に見せることができる。
また、図15(C)に示すように、透明板400a,400bの周端面405,406には、透明板400a,400bの前面の表示部とは表示内容が異なる表示部である絵柄407,408が印刷されている。よって、遊技者は表示部400の正面に対峙する基準視点位置に対し視点位置を左右上下に移動させることで、盤面板200を透して絵柄407,408を視認することができる。
つまり、第1表示部400A及び第2表示部400Bは、遊技者側を向く遊技者側表示部(透明板400a,400bの前面に印刷された非透光枠402及び透視窓401やキャラクタ403)と、左右上下側を向く側方表示部(周端面405,406に印刷された絵柄407,408)とを有することで、視点位置を変えても側方表示部が視認可能となるので、遊技者に意外性を与えることができるばかりか、該側方表示部は、非透光枠402及び透視窓401やキャラクタ403とは異なる絵柄407,408が表示されることで、所定の視点位置から側方表示部を視認したときに、第1表示対象物である非透光枠402及び透視窓401やキャラクタ403とは異なる第2表示対象物である絵柄407,408が見えるため、遊技者に意外性を与えることができる。
尚、本変形例では、第1表示部400A及び第2表示部400Bは透明板400a,400bの前面に形成された印刷層にて形成されていたが、非透明板の前面に形成された印刷層にて形成されていてもよい。
図16(A)(B)に示すように、変形例2としての表示部420は、盤面板200の板厚方向に異なる複数の表示位置のうち第1表示位置である遊技盤面200aに設けられる第1表示部420Aと、第2表示位置である背面200bに設けられる第2表示部420Bと、遊技盤面200aと背面200bとの間の第3表示位置に設けられる第3表示部420Cと、により構成されている。この場合、表示部301〜303と同様に、表示部420の正面に対峙したときの視点位置EP10を基準として、視線位置を左側の視点位置EP11(図16(C)(D)参照)や右側の視点位置EP12(図16(E)(F)参照)にずらしたとき、第2表示部420Bや第3表示部420Cにおける非視認領域が左右にずれるため、図16(C)(E)に示すように、それぞれの表示部420A〜420Cの星がずれて見えるようになる。よって、表示部420をより立体的に見せることができる。
このように表示部は、盤面板200の板厚方向に異なる複数の表示位置のうち第1表示位置に配置される第1表示部及び第2表示位置に配置される第2表示部だけでなく、第1表示位置と第2表示位置との間の第3表示位置に配置される第3表示部を有していてもよく、さらには4以上の表示部が層状に形成されていてもよい。
尚、本変形例及び前記実施例では、第1表示位置として遊技盤面200a、第2表示位置として背面200bが適用されていたが、第1表示位置は盤面板200の前面に限定されるものではなく、また、第2表示位置は盤面板200の背面200bに限定されるものではなく、種々に変更可能である。つまり、少なくとも盤面板200の板厚方向に2以上の表示部が層状に設けられていれば、その表示部の配置数や配置位置は限定されるものではない。つまり、例えば複数の全ての表示部が遊技盤面200a及び背面200bとの間の板厚内に埋設されていてもよい。
図17に示すように、変形例3としての表示部430は、第1表示部430Aと第2表示部430Bとから構成されている。そして、第2表示部430Bの前面である表示面431は、表示部430の中央から周囲(上下左右方向)に向けて背面側に傾斜する傾斜面にて形成されていてもよい。このようにすることで、例えば、表示部430に正面から対峙したときの視点位置を基準として左側にずれた視点位置EP13から表示部430を視認した場合に、表示面431が遊技盤面200aに平行なときよりも表示面431に対する視線の傾斜角度が小さくなるため、表示面431を視認しやすくなる。
図18に示すように、変形例4としての表示部440は、第1表示部440Aと第2表示部440Bとから構成され、表示部441は、第1表示部441Aと第2表示部441Bとから構成されている。第1表示部440Aと第2表示部440B及び第1表示部441Aと第2表示部441Bは、遊技領域7の略中央位置に設けられる表示用開口201、つまり、演出表示装置9の左右側に配設されている。そして、第1表示部440Aと第2表示部440B及び第1表示部441Aと第2表示部441Bは、表示用開口201に向けて前側に傾斜するように、平面視で略逆ハの字状に配設される。
尚、本実施例では、第1表示部440Aと第2表示部440B及び第1表示部441Aと第2表示部441Bは、演出表示装置9の左右側に配設されているが、演出表示装置9の上下側に配設されていてもよいし、演出表示装置9の周囲に環状に配設されていてもよい。
盤面板200の背面側における第1表示部440Aと第2表示部440B及び第1表示部441Aと第2表示部441Bに対応する位置には、表示用LED310が配設されている。また、第1表示部440Aと第2表示部440B及び第1表示部441Aと第2表示部441Bは透光性を有しているとともに、第1表示部440A、441Aは、表示用LED310から第2表示部440B,441Bを透過した光の一部を反射して第2表示部440B,441Bを照らすことが可能な透過率を有している。
この場合、表示用LED310から第2表示部440B,441Bを透過した光の一部が第1表示部440A、441Aと第2表示部440B,441Bとの間で反射を繰り返して一部が遊技者側の表示用開口201の前方位置に出射されるようになるため、演出効果が高まる。
また、前記実施例の遊技盤6は、盤面板200とスペーサ部材250とにより合成樹脂板を構成していたが、盤面板200のみにて合成樹脂板を構成していてもよい。
また、前記実施例及び変形例において、表示部とは、絵、文字、標識、図形、図柄、模様などを表し示す面、線、点(ドット)などを含む。また、装飾を目的とした装飾部や遊技や演出に関連する内容を示す演出部等全ての表示部を含む。
また、第1表示部と第2表示部とは、それぞれの表示内容が異なるものであってもよい。例えば、第1表示部及び第2表示部のうち一方にキャラクタ等の演出に関連する情報を表示するとともに、他方に前記演出に関連する情報とは異なる遊技情報(例えば、左打ちや右打ちを指示する矢印など)を表示するようにしてもよい。
また、前記実施例及び変形例では、所定の視点位置を各表示部に対し正面位置に対峙した遊技者の目線位置としたが、この目線位置は種々に設定可能であり、例えば、所定の身長の遊技者が当該パチンコ遊技機1に対応する椅子に着座したときの目線位置としてもよく、この場合、遊技者に対し表示部が左右上下側にずれた位置に配置されている場合、目線位置は各表示部に対し正面位置に対峙したときの目線位置よりも左右上下にずれた位置となる。その場合、このずれを予め考慮して、第1表示部と第2表示部をずらして配置しておくことで、着座した遊技者からは、図6(A)などで示した各表示部に対し正面位置に対峙したときに見える態様と同じ態様で見えるようにしてもよい。さらに、このように遊技者が着座したときの目線位置を基準とする場合、身長が異なる複数の遊技者の平均目線位置を算出して設定してもよい。
また、表示部301〜303や変形例1〜4の表示部400,420,430,440,441にあっては、第2表示部は、遊技者が所定の視点位置(例えば、表示部の正面に対峙したときの視点位置など)から見たときに少なくとも一部が第1表示部に対し盤面板200の板厚方向に重なる位置に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものでなく、第2表示部は、遊技者が所定の視点位置(例えば、表示部の正面に対峙したときの視点位置など)から見たときに少なくとも一部が第1表示部に対し盤面板200の盤面方向に近接する位置に配置されているものであってもよい。
例えば、特に図示はしないが、第2表示部が第1表示部の背面左側(または背面右側)に隣接する位置に配設されているものにおいて、第1表示部がリンゴの左半分、第2表示部がリンゴの右半分を表示したものであれば、正面から見れば1つのリンゴとして見えるが、視点位置が左右にずれればリンゴが左右に分かれて見えるようになる。
また、前記実施例では、第1表示部及び第2表示部は、印刷が施された透明フィルム304A,304Bを盤面板200の表裏面に接着層305を介して貼着することにより層状に設けられていたが、このような工法にて形成されるものに限定されるものではなく、例えば、表裏面に塗装を施す、表裏面に凹凸加工を施す、インモールド成型により表裏面に印刷層を形成するといった種々の工法によって形成したものも含む。さらに、盤面板200の前面または背面に透明フィルムを貼着したパネルを複数枚張り合わせて複数層の表示部を構成するようにしてもよい。
また、前記実施例では、表示部301〜303や変形例1〜4の表示部400,420,430,440は盤面板200の表裏面に部分的に設けられていたが、背景画のように全域にわたり設けられていてもよい。
また、前記実施例では、表示部301〜303や変形例1〜4の表示部400,420,430,440,441は盤面板200の表裏面に平坦な層状に形成され、かつ、遊技盤面200aや背面200bに対し平行に配置されていたが、図18に示す表示部440,441のように遊技盤面200aや背面200bに対し傾斜状に配置されていてもよい。
さらに、平坦な板状に形成されているものだけでなく、湾曲状に形成されていてもよいし、あるいは、立体形状に形成されていてもよい。尚、立体形状の表示部を形成する場合、例えば、盤面板200に対して3方向から1点で交わるようにレーザー光線を照射して盤面板200内部にキズを作り、1点で交わる位置を3次元方向にずらしていくことにより立体的な表示部を構成してもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。
また、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
このようなスロットマシンに本発明を適用する場合、光を透過可能な透光性を有する透光板を備える遊技盤として、リールなどにより構成される可変表示装置を透視可能な透視窓を有する遊技パネルを適用可能である。