以下、本発明の一実施形態である遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する。)について、各図を参照しつつ説明する。
先ず、図1および図2を参照しつつパチンコ機の全体構成について説明する。図1は、パチンコ機の前側全体を示す正面図である。図2は、パチンコ機1の外枠の一側に本体枠3が開かれその本体枠3の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1および図2では、遊技領域37における装飾部材を省略して図示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4および遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の全面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉自在に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
図1および図3を参照しつつ本体枠の構成について説明する。図3は、パチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12および機構装着体13を合成樹脂等によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピンおよびヒンジ孔によって開閉回動自在に装着されている。即ち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピンおよびヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。
前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
図1および図2を参照しつつ前面枠の構成について説明する。前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。
前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が、それぞれ装着されている。
サイド装飾装置52は、ランプ駆動基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、この開口孔には、ランプ駆動基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている、音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58およびリフレクタ体(図示せず)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
また、上皿51の前面左側には、演出選択スイッチ35が設けられている。この演出選択スイッチ35は、遊技者自身が押下可能に構成されている。遊技者がこの演出選択スイッチ35を押下すると、後述する液晶表示装置115(左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの組み合わせ)における演出表示に、遊技者の意思を反映することができる。なお、この演出選択スイッチ35に代えて、レバーまたはスイッチであってもよい。また、遊技者の音声を受け付ける音声入力手段であってもよい。即ち、遊技者の意思を反映できるものであれば良い。
図2および図3を参照しつつ施錠装置の構成について説明する。前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。
即ち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱自在に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱自在に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11および下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
図2、図3および図4を参照しつつ遊技盤装着枠の構成について説明する。図4は、パチンコ機1の後側全体を示す背面図である。図2および図3に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。
遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。
なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の間隙が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その間隙から排出され、下皿31に案内されるように構成されている。
また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
一方、図4に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。
ボックス装着台118には、周辺制御基板610が収納された周辺制御基板ボックス130が装着され、その周辺制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板510が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。
さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、周辺制御基板ボックス130および主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、周辺制御基板ボックス130および主制御基板ボックス132が配置されている。
図6および図7を参照しつつ本体枠の機構装着体、球タンクおよびタンクレールの構成について説明する。図6は、パチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図7は、本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134および払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。
球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。
また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。即ち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図7に向かって左側)から他端(図7に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に伸びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示せず)とを一体に備えて形成されている。
レール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。
また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物300)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。
また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。換言すれば、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物300の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
図6および図7を参照しつつ払出装置装着部および球払出装置の構成について説明する。本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。
また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図3参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。
また、本体枠3の後端、即ち、払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150および球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関す各種部品が装着されることでユニット化されている。
なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌め込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球および貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球および貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
図3および図4を参照しつつ本体枠の後側下部の装備について説明する。本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図4に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを差動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。
前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板520を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。
払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板510から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
図4および図5を参照しつつ後カバー体の構成について説明する。図5はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117および主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。
機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他端壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の後壁部の上下および中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌め込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。
また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
即ち、後カバー体210は、その上下および中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌め込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117の全体および主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板510の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板510上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230,231,232,233が貫設されており、これら多数の放熱孔230,231,232,233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさおよび配設位置に対応する大きさおよび位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
図1を参照しつつ本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について説明する。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球および貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インターフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インターフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される貸球機と払出制御基板520との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板520との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
図8〜図10を参照しつつ遊技盤の構成について説明する。図8は、液晶表示装置115を有した遊技盤5の構成を示す正面図である。図9は、遊技盤5を斜め前方から示す斜視図である。
図8および図9に示すように、遊技盤5は、遊技領域37を形成する略円形の遊技領域形成壁80を有している。この遊技領域形成壁80の内側(遊技領域37側)であって且つ左側には、遊技球を遊技領域37に案内する外レール76および内レール77からなる案内レール78が設けられている。発射装置ユニット194(図6参照)から発射された遊技球は、案内レールに沿って遊技領域37に向けて打ち込まれる。
遊技領域37の中央部には、センター役物300が配置されている。このセンター役物300は、遊技領域37の幅方向のうち3分の2以上の幅を占める大きさである。センター役物300は略長方形の開口部301を有しており、この開口部301には液晶表示装置115が配置されている。液晶表示装置115は、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの三つの液晶表示装置から構成されており、これらの液晶表示装置に対応して正面と左右に隣り合った三面の表示領域が形成されている。また、センター役物300は枠状装飾体370を有しており、この枠状装飾体370は、開口部301の開口縁に沿って設けられている。
センター役物300の下方には、遊技領域37に向けて打ち込まれた遊技球を受け入れ可能な第1始動口390が配置されている。第1始動口390の下方には、一対の可動片396を有する第3始動口394(第2始動口については後述する)が配置されている。第3始動口394は、一対の可動片396が閉状態であるときは遊技球を受け入れることが不可能または受け入れ困難となっており、この一対の可動片396が開状態であるときは、第1始動口390よりも遊技球の受け入れが容易となる。
なお、本実施形態において、「下方」とは、遊技球の流下方向についての下流側を意味し、「上方」とは、遊技球の流下方向についての上流側を意味する。
第1始動口390の真上であって且つ枠状装飾体370の下枠370aには開口部372が形成されている。
センター役物300の上部には、第1開閉装置398が設けられている。この第1開閉装置398は、第1大入賞口398aと、この第1大入賞口398aに対応して設けられた第1大入賞口開閉扉398bとを有している。第1大入賞口398aは、遊技球の受け入れが可能な開口部である。第1大入賞口開閉扉398bは、第1大入賞口398aを、遊技球の受け入れが可能な開状態と遊技球の受け入れが不可能または困難にする閉状態とに切り換えるための部材である。
なお、第1大入賞口開閉扉398bの構成は、第1大入賞口398aを開閉させることができればその態様は限定されないが、本実施形態では、遊技盤5の遊技領域37が形成された面を横切る方向(即ち前後方向)に出し入れ自在に構成されている。
また、本実施形態において、「前後方向」とは、遊技盤5の面に対して直交する方向、即ち、遊技者からみた前後方向を意味する。
第3始動口394の下方には、第2開閉装置400が設けられている。この第2開閉装置400は、第2大入賞口400aと、この第2大入賞口400aに対応して設けられた第2大入賞口開閉扉400bとを有している。第2大入賞口400aは、遊技球の受け入れが可能な開口部である。第2大入賞口開閉扉400bは、第2大入賞口400aを、遊技球の受け入れが可能な開状態と遊技球の受け入れが不可能または困難にする閉状態とに切り換えるための部材である。
センター役物300の左側には、遊技球が通過可能な通過ゲート402が設けられており、センター役物300の左下方(第1始動口390および第3始動口394の左側)には、三つの一般入賞口404が設けられている。
また、本実施形態において、「左側」とは、遊技者からみた左側を意味する。
センター役物300の右下には、通過ゲート402の遊技球の通過にもとづく普通図柄の変動表示を行う普通図柄表示器82、未だ普通図柄の変動表示を開始していない遊技球の保留数を表示する普図始動記憶表示器84、第1始動口390、第2始動口392または第3始動口394への遊技球の入賞にもとづく特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示器86、未だ特別図柄の変動表示を開始していない遊技球の保留数を表示する保留表示器88が設けられている。
これらの各表示器82,84,86,88は、例えばLEDで構成されており、このLEDの点灯態様によって、普通図柄または特別図柄の変動表示の表示結果および保留数が報知される。
センター役物300は、枠状装飾体370の下枠370a付近に、第1棚部(以下、「第1ステージ330」と称する。)と、遊技球の流下方向について第1ステージ330よりも下流側に配置された第2棚部(以下、「第2ステージ350」と称する。)とを有している。第2ステージ350が配置されている位置は、第1ステージ330に対して液晶表示装置115の反対側(即ち前方(遊技者)側)である。
枠状装飾体370の左枠370bの上下方向の略中央付近(即ち枠状装飾体370の側方)には、流下する遊技球を、第1ステージ330まで誘導するための第1ステージ誘導路(以下、「第1ワープ316」と称する。)に受け入れ可能な第1ワープ入口306が設けられている。
また、第1ワープ入口306の下方には第2ステージ誘導路(以下、「第2ワープ318」と称する。)に受け入れ可能な第2ワープ入口308が、第1ワープ入口306と並設されている。
第1ワープ入口306および第2ワープ入口308の下方には、それぞれ、第1ワープ入口306に遊技球を誘導する第1ワープ誘導片(図示せず)および第2ワープ入口308に遊技球を誘導する第2ワープ誘導片310が設けられている。この第2ワープ誘導片310は、枠状装飾体370から左方(即ち、センター役物300から遊技領域37)に向けて突出している。これにより、第2ワープ入口308が第1ワープ入口306よりも遊技球が導かれ易くなっている。従って、遊技球が第1ワープ入口306に導かれなかった場合であっても、第2ワープ入口308に受け入れられる期待感が高まり、興趣が高められる。
第1ステージ330には、第1ワープ出口側端部336から第1ワープ反出口側端部338にかけて波状に形成された曲面が形成されている。詳しくは、上方向に膨らんだ山部332が第1ステージ330の左右方向の略中央部に形成されており、この山部332の左右両側には、山部332と連続的に連なった谷部334が形成されている。
なお、山部332の高さは、第1ワープ出口側端部336および第1ワープ反出口側端部338よりも低い位置となっている。これにより、第1ワープ出口312から排出された遊技球は、山部332を乗り越えることができ、第1ワープ出口側端部336第1ワープ反出口側端部338との間を往復して転動することができる。
第2ステージ350の略中央部には、高台部352が形成されている。この高台部352は、第1ステージ330の山部332の前方に位置している。第2ステージ350は、高台部352の他、第2ワープ出口側端部356からこの高台部352にかけて曲面が形成された湾曲部354を有している。また、第2ワープ反出口側端部358から高台部352にかけて曲面が形成された湾曲部354を有している。これらの湾曲部354は、高台部352よりも下方に湾曲している。
なお、高台部352の高さは、第2ワープ出口側端部356および第2ワープ反出口側端部358よりも低い位置である。これにより、第2ワープ出口314から排出された遊技球は、高台部352を乗り越えることができ、第2ワープ出口側端部356から第2ワープ反出口側端部358との間を往復して転動することができる。
第1ワープ入口306および第2ワープ入口308に受け入れられた遊技球は、それぞれ、第1ワープ出口312および第2ワープ出口314から排出されて、第1ステージ330および第2ステージ350に導かれる。
なお、第1ワープ316における遊技球の流下方向と第1ステージ330における遊技球の転動方向とが略同一線上にあるので、第1ワープ316を流下した遊技球は、運動エネルギーの損失が少ない。即ち、第1ワープ316を流下した遊技球がその進行方向を変えられると運動エネルギーが損失してしまう。従って、第1ワープ316を流下した遊技球は、第1ステージ330上を勢い良く転動する。同様に、第2ワープ318における遊技球の流下方向と第2ステージ350における遊技球の転動方向とが略同一線上にあるので、第2ワープ318を流下した遊技球も、運動エネルギーの損失が少ない。これにより、第1ステージ330に導かれた遊技球および第2ステージ350に導かれた遊技球は、いずれも、第1ステージ330上および第2ステージ350上を勢い良く転動し、各ステージ上330,350に滞在する時間が長くなり、その結果各ステージ330,350において遊技球が遊ぶこととなり、興趣が高められる。
また、本実施形態において、第1ステージ330および第2ステージ350には、センター役物300の右側からは遊技球が導かれない。即ち、第1ステージ330および第2ステージ350にはセンター役物300の左側からのみ遊技球が導かれるので、第1ステージ330上および第2ステージ350上を転動する遊技球が、反対方向から導かれた遊技球によって転動を阻害されることがない。これにより、各ステージ上330,350に滞在する時間が長くなり、その結果各ステージ330,350において遊技球が遊ぶこととなり、興趣が高められる。
枠状装飾体370の下枠370a付近であって且つ液晶表示装置115と第1ステージ330との間には、液晶表示装置115に隣接するセンター電飾部302が形成されている。このセンター電飾部302には、センター役物300の幅方向に沿って棚状の曲面が形成されており、この曲面には、複数のセンター装飾ランプ304が配置されている。
センター電飾部302の左右方向の略中央部であって且つ第1ステージ330の山部332に対応する位置には、遊技球を受け入れ可能な第2始動口392が形成されている。即ち、第2始動口392は、遊技球の流下方向である第2ステージ350側ではなくその反対方向に設けられている。これにより、遊技者から見て遊技球の第2始動口392への入賞を視認し易くなる。これは、第2ステージ350が第1ステージ330よりも下方に形成されており且つ第1ステージ330と第2ステージ350との間に後述するステージ仕切壁364が設けられているからである。
また、第1ステージ330の山部332には、第2始動口392に遊技球を導くための第2始動誘導口340が形成されている。この第2始動誘導口340は、山部332から第2始動口392にかけて下方に傾斜しており、これにより、第2始動口392に遊技球が導かれるようになっている。従って、第1ステージ330上を転動している遊技球が山部332付近で転動する勢いがなくなったとき、この第2始動誘導口340によって第2始動口392に導かれ易くなる。
なお、第2始動口392に入賞した遊技球は、遊技盤5の背後に連通する排出路(図示せず)を通って、遊技盤5の背後に排出される。
第1ステージ330の谷部334には、第2ステージ350に遊技球を導くための第2ステージ誘導溝342が形成されている。この第2ステージ誘導溝342は、谷部334から第2ステージ350にかけて下方に傾斜しており、これにより、第2ステージ350に遊技球が導かれるようになっている。従って、第1ステージ330上を転動している遊技球が山部332を乗り越える勢いがなくなったとき、この第2ステージ誘導溝342によって第2ステージ350に導かれ易くなる。第1ワープ出口側端部336と第1ワープ反出口側端部338との間を往復して転動するだけの勢いがなくなった遊技球は、山部332から第3始動口394に入賞する可能性よりも、谷部334から第2ステージ350に導かれる可能性の方が極めて高い。
第1ステージ330と第2ステージ350との間には、各ステージ330,350を仕切るための薄い板状のステージ仕切壁364が設けられている。このステージ仕切壁364は第1ステージ330上の面よりも上方向に突出するように配置されており、これにより、第1ステージ330上を転動する遊技球が第2ステージ350に流下しないようになっている。ただし、ステージ仕切壁364の第1ステージ330の谷部334に対応する位置には、第1ステージ330(具体的には谷部334)と第2ステージ350とが連通する連通部366が形成されている。連通部366付近で左右に転動する勢いがなくなった遊技球は、連通部366を通って第1ステージ330から第2ステージ350に流下する。
第2ステージ350の左右方向の略中央部(即ち、第1ステージ330の山部332に対応する部位)であって且つ高台部352に対応する位置には、第1始動口誘導路374を介して枠状装飾体370の下枠370aに形成された開口部372に連通する第1始動誘導口368が形成されている。即ち、第1始動誘導口368は、遊技球の流下方向側ではなくその反対方向に設けられている。これにより、遊技者から見て遊技球が第1始動誘導口368に受け入れられることを視認し易くなる。
第1始動誘導口368に導かれた遊技球は、第1始動口誘導路374を通って開口部372から遊技盤5上に排出される。ここで、第1始動口誘導路374は第1始動口390の真上方まで遊技球を導くように形成されているので、第1始動口誘導路374に導かれて遊技盤5面側に排出された遊技球が第1始動口390に入賞する期待感は非常に大きなものとなる。ただし、第1始動口390の真上には釘が配置されており、この釘によって第1始動口390への遊技球の入賞が阻害されることがある。従って、第1始動口誘導路374を通って開口部372から遊技盤5上に排出された遊技球が第1始動口390に入賞する確率は、概ね4分の1〜4分の3程度となる。
高台部352の左右方向の略中央部は第1始動誘導口368の位置に対応しており、高台部352の両端から略中央部にかけて(即ち、第1始動誘導口368側に向けて)下方に傾斜する傾斜部353を有している。また、高台部352の略中央部には、後述する第3棚部(以下、「第3ステージ376」と称する。)に遊技球を導くための前方傾斜溝360が形成されている。また、前方傾斜溝360の内側にはさらに、遊技球を第1始動誘導口368に導くための第1始動誘導口誘導溝362が形成されている。即ち、高台部352の略中央部には、後方から前方にかけて下方に傾斜する前方傾斜溝360が形成されていると共に、この前方傾斜溝360の内部にさらに、前方から後方にかけて下方に傾斜する第1始動誘導口誘導溝362が形成されていることとなる。これにより、前方傾斜溝360付近で左右に転動する勢いがなくなった遊技球は、第1始動誘導口誘導溝362に沿って第1始動誘導口368に導かれる場合と、前方傾斜溝360に沿って第3ステージ376に流下する場合とがある。
また、枠状装飾体370の下枠370aには、左右方向に円弧を描くように曲面が形成された第3ステージ376が形成されている。遊技球は、この第3ステージ376上を左右方向に転動可能となっている。第3ステージ376の左右方向の略中央部には、後方から前方にかけて下方に傾斜する前方誘導溝378が形成されている。この前方誘導溝378付近で左右に転動する勢いがなくなった遊技球は、前方誘導溝378に沿って遊技盤5上を流下する。
このように、高台部352の略中央部に第1始動誘導口誘導溝362が形成されているので、第1始動誘導口368に遊技球が導かれる期待感は、山部332から第2始動口392に入賞する期待感よりも極めて高くなる。また、第2始動口392には第1ワープ入口306からセンター役物300内に受け入れられた遊技球のみが入賞可能である一方、第1始動口390には第1ワープ入口306または第2ワープ入口308からセンター役物300内に受け入れられた遊技球のみでなく、センター役物300の左側を流下した遊技球が、釘によって誘導されて第1始動口390に入賞する場合もある。このように、第1始動口390に遊技球が入賞する確率は、第2始動口392に遊技球が入賞する確率よりも高いものとなる。
図10は、遊技盤5を斜め前方から示す斜視図であって、装飾カバーを取り外すことによって第1ワープ316および第2ワープ318を視認可能とした斜視図である。図10に示すように、第1ワープ316および第2ワープ318は、互いに区画して形成されている。即ち、第1ワープ入口306から取り込まれた遊技球は第1ワープ316のみを流下し、第2ワープ入口308から取り込まれた遊技球は第2ワープ318のみを流下する。これにより、第1ワープ入口306から取り込まれた遊技球と第2ワープ入口308から取り込まれた遊技球とが互いに干渉することなく、それぞれ、第1ステージ330および第2ステージ350に導かれる。
また、第1ワープ316および第2ワープ318は、いずれも、内部を流下する遊技球を視認可能であるように透明部材で構成されている。これにより、第1ワープ入口306または第2ワープ入口308から受け入れられた遊技球を視認できる。遊技者は、センター役物300や液晶表示装置115に注意を惹かれていることが多いため、第1ワープ入口306または第2ワープ入口308に遊技球が受け入れられたことを見逃す場合が多く、これにより興趣が低下していた。そこで、第1ワープ316および第2ワープ318を透明部材とすることによって、第1ワープ入口306または第2ワープ入口308に遊技球が受け入れられたことを見逃した場合であっても、第1ワープ316および第2ワープ318を流下する遊技球を視認できるので、興趣の低下を抑制できる。
さらに、第1ワープ316および第2ワープ318は、互いに前後方向に隣接してセンター役物300の開口部301に沿って配置されている。詳しくは、第1ワープ316が後方側、第2ワープ318が前方側となるように、互いに隣接すると共に、センター役物300の開口部301に沿って設けられている。これにより、狭いスペースであっても、両者を効率良く配置できる。
センター役物300の開口部301に配置された液晶表示装置115は、図8に示すように、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの三つの液晶表示装置から構成されている。詳細は後述するが、これらの液晶表示装置は、中液晶表示装置115cを正面に固定し、その左右に隣り合って三面の表示領域が形成された三面駆動位置(図13(A)参照)と、中液晶表示装置115cの前方にて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが隣り合って二面の表示領域が形成された二面駆動位置(図13(E)参照)と、の駆動位置で表示領域が異なる態様を形成することができる。
図8に示すように、液晶表示装置115は、センター役物300の後方側であって且つその開口部301を通じて複数面の表示領域が前面側(遊技者側)から視認可能に配置されており、第1始動口392、第2始動口394および第3始動口396の各始動口への遊技球の入賞にもとづく演出表示(画像表示)を行う。
また、液晶表示装置115は、中液晶表示装置115cの表示領域を正面として、その左右両側に三面鏡の如く左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域それぞれが配置されている。具体的には、中液晶表示装置115cがセンター役物300の開口部301の後端面の略中央から所定の間隔だけ後方に配置されている。この中液晶表示装置115cの前面側には、開口部301の上下方向に対する縦幅が同一であるとともに左右方向に対する横幅が半分よりも若干長く、開口部301の開口面積に対して半分強となる長方形状の表示領域を有している。すなわち、中液晶表示装置115cの表示領域は、開口部301の後端面と平行状態にある。
また、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bは、センター役物300の開口部301の後端面と中液晶表示装置115cとの所定の間隔にまたがって配置されている。この左液晶表示装置115aは、その右端が中液晶表示装置115cの左端と隣接するとともに、中液晶表示装置115cに対して約40度ほど上方からみて反時計回り方向に傾斜し、左端が開口部301の左後端と隣接している。一方、右液晶表示装置115bは、左液晶表示装置115aとは対称的に、その左端が中液晶表示装置115cの右端と隣接するとともに、中液晶表示装置115cに対して約40度ほど上方からみて時計回り方向に傾斜し、右端が開口部301の右後端と隣接している。これらの左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの前面側には、開口部301の上下方向に対する縦幅が同一であるとともに左右方向に対する横幅が中液晶表示装置115cの横幅の半分よりも若干長く、中液晶表示装置115cの表示領域に対して面積が半分強となる長方形状の表示領域を有している。なお、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域は、それぞれ等面積である。
また、センター役物300の開口部301の後端面であって且つ液晶表示装置115の前方には、ガラス板、透明樹脂板等の保護板(図示しない)が装着されている。この保護板は、液晶表示装置115の前方に配置されることで、その一部(左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115b)を駆動したとしても各ステージ330,350,376を転動する遊技球に影響を与えることがない。また、液晶表示装置115の前面に形成された表示領域を保護するとともに、開口部301から後方への遊技球の飛び込みも防止している。
この実施の形態では、中液晶表示装置115cの表示領域を正面に配置するとともに、その左右両側に角度を付けて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域それぞれを配置した三面の表示領域を形成することで、これらの液晶表示装置を組み合わせた三面の表示領域がセンター役物300の開口部301よりも広い表示面積を有している。これにより、開口部301の開口面積が限られたとしても、この開口面積以上の表示領域を確保することができ、表示領域にて興趣が高められた演出表示(画像表示)を実行することができる。
ここで、センター役物300の開口部301の開口面積は、遊技領域37の1/3程度の領域を占めている。開口部301の開口面積を広くするとともに平面の表示領域を広くすることでも興趣が高められた演出表示を実現することができるが、この場合、遊技球の流下可能な遊技領域37がさらに狭くなってしまい、遊技球の流下による遊技者の楽しみも減らされてしまう。しかしながら、三面の表示領域のうち両側の二面の表示領域に角度を付けて配置することで、開口部301の開口面積を必要以上に広くしなくてもよい。すなわち、遊技領域37の領域を有効に活用することができる。
また、この実施の形態では、中液晶表示装置115cの表示領域を正面に配置するとともに、その左右両側に角度を付けて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域それぞれを配置することで、遊技者は三面の表示領域をパノラマ状に見渡すことができる。また、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの角度を適切に設定(例えば、中液晶表示装置115cに対して40度)することで、中液晶表示装置115cの表示領域を遊技者が視認したまま、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域も視界に入れることができる。
また、この実施の形態では、中液晶表示装置115cが左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの両端(左液晶表示装置115aの左端および右液晶表示装置115bの右端)よりも所定の間隔だけ後方に配置されている。これにより、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域と中液晶表示装置115cの表示領域との間で前後方向に厚み(所定間隔)を有することができ、表示領域にて奥行き感を強調した演出表示(画像表示)を実行することができる。
図13(A)は、液晶表示装置115の構成にて形成された三面の表示領域を上方から示す平面図である。液晶表示装置115は、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの三つの液晶表示装置にて同一の機能を有する構成部材から構成されており、これらの構成部材には同一の符号が記載されている。
図13(A)に示すように、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cそれぞれは、表示光を発する表示面を有するLCD120(液晶パネル)と、LCD120の表示面(前面)に張り合わされた特殊形状レンズ122と、表示装置制御基板116からの駆動信号にもとづいてLCD120を駆動するLCD駆動回路124と、から構成されている。LCD120には、表示面の外側に縁枠126が設けられており、この縁枠126には、二枚のガラス基板に液晶素子(液晶)を封入するためのシール材や、液晶素子に電圧を印加する電極に電力を供給するための配線が備えられている。
特殊形状レンズ122は、液晶表示装置が互いに隣接する側(左液晶表示装置115aの右側、右液晶表示装置115bの左側および中液晶表示装置115cの両側)にて、LCD120の表示面の一部領域から縁枠126のにかけての前方であって且つ特殊形状レンズ122の前面側が湾曲しており、LCD120の表示面からの表示光を屈折する凸レンズ状に形成されている。これにより、LCD120の表示面の一部領域(凸レンズ状の後方)から発せられた表示光が、凸レンズ状部分で前方(遊技者側)に向けて屈折される。
なお、この実施の形態での表示領域とは、LCD120の表示面から発せられた表示光が特殊形状レンズ122に投影される面、すなわち特殊形状レンズ122の前面である。また、左液晶表示装置115aの右端と中液晶表示装置115cの左端、および、右液晶表示装置115bの左端と中液晶表示装置115cの右端が隣接することで複数面の表示領域が密に隣接して形成されるが、これは特殊形状レンズ122の前面が隣接した状態のことである。
また、LCD120は、上記したLCD120の表示面の一部領域においてドットピッチが密に形成されている。そして、ドットピッチが密に形成されたLCD120の表示面の一部領域から発せられた表示光が凸レンズ状部分で前方(遊技者側)に向けて屈折されることで、前方(遊技者側)から歪みのない演出表示を視認することができる。このとき、凸レンズ状部分で屈折された表示光によって、前方(遊技者側)からLCD120の縁枠126は視認できない。
この実施の形態では、表示面の一部領域においてドットピッチが密に形成されたLCD120と特殊形状レンズ122との組み合わせにより、液晶表示装置が互いに隣接する側(左液晶表示装置115aの右側、右液晶表示装置115bの左側および中液晶表示装置115cの両側)の端部であっても、前方(遊技者側)から歪みのない演出表示を視認することができる。したがって、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域それぞれを中液晶表示装置115cの表示領域の両側に隣接させて配置しているが、その隣接する側の端部を意識させない三面の表示領域を形成することができ、この三面の表示領域にて違和感を生じさせない演出表示を可能としている。
ここで、複数の液晶表示装置を隣接させたとしても、特殊形状レンズ122がLCD120の表示面に張り合わされなければ、表示面の外側にある縁枠126の部分だけ表示領域が離散することになる。この場合、複数面の表示領域にまたがって連動させた演出表示(画像表示)を実行したとしても、縁枠126の部分にて静止画像や動体画像が分割されることから、これらの画像を一連の画像として認識し難くなり、演出表示に対する興趣が低下することがあった。しかしながら、表示面の一部領域においてドットピッチが密に形成されたLCD120と特殊形状レンズ122との組み合わせることで、液晶表示装置が互いに隣接する側の端部を意識させない複数面の表示領域を形成することができ、複数面の表示領域にまたがって連動させた演出表示(画像表示)を実行したとしても、これらの画像をストレスなく視認させることができる。
左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを動作させる動作機構は、回転軸128を回転中心として左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを回転駆動させる左右の回転部モータ668a,668bと、ラック・ピニオン機構(図示しない)を介して左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを直線駆動(開閉駆動)させる左右の駆動部モータ658a,658bと、を有している。
ここで、回転軸128は、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bそれぞれと一体的に、左右の回転部モータ668a,668bの回転力により上下方向を軸として所定の角度範囲内で回転自在に構成されている。また、ラック・ピニオン機構は、左右の駆動部モータ658a,658bの回転力を直線動作に変換し、回転軸128や左右の回転部モータ668a,668bとともに左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを左右方向に所定の距離範囲内で開閉自在に構成されている。
この実施の形態では、左右の回転部モータ668a,668bの動力による回転駆動および左右の駆動部モータ658a,658bの動力による直線駆動(開閉駆動)を組み合わせることで、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置から二面駆動位置に駆動させ、三面から二面への表示領域の切替えを実現することができる。なお、この実施の形態では、動作機構として左右の回転部モータ668a,668bや左右の駆動部モータ658a,658bを用いているが、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの回転駆動および開閉駆動を実行できればよく、例えば、ステッピングモータやソレノイド等を用いてもよい。また、複数のモータではなく、一つのモータの動力により左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを連動して回転駆動や直線駆動させる構成としてもよい。
また、左右の駆動部モータ658a,658bは、遊技盤5に取り付けられている。これは、左右の駆動部モータ658a,658bをセンター役物400に取り付けると、左右の駆動部モータ658a,658bの駆動時に振動がセンター役物400の第1ステージ330、第2ステージ350および第3ステージ376に伝播し、これらのステージを転動する遊技球に影響を及ぼすおそれがある。しかしながら、センター役物400よりも重量のある遊技盤5に左右の駆動部モータ658a,658bを直接取り付けることで、左右の駆動部モータ658a,658bの振動による影響を極力抑えることができる。
図11および図12に基づき主基板および周辺基板の制御的な構成について説明する。図11は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、主基板500周辺の構成を主として示した図である。図12は、制御構成を概略的に示すブロック図であって、周辺基板600周辺の構成を主として示した図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続および方向を示し、細線の矢印は信号の接続および方向を示している。
本実施形態のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板500のグループ(図11に示す)と、周辺基板600のグループ(図12に示す)とで分担されている。主基板500のグループは遊技動作(入賞検出や当たり判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板600のグループは演出動作(発行装飾や音響出力、液晶表示および装飾体の動作等)を制御している。
図11に示すように、主基板500は、主制御基板510と払出制御基板520とから構成されている。主制御基板510は、中央演算装置としてのCPU512、読み出し専用メモリとしてのROM514および読み書き可能メモリとしてのRAM516を備えている。
CPU512は、ROM514に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板600や払出制御基板520に出力するコマンド信号を作成したりする。
ROM514には、主制御基板510で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
なお、主基板500は、電源中継端子板199を介して電源基板195に接続されており、電源基板195から作動用電力が供給されるようになっている。
この主制御基板510の入力インタフェースには、第1始動口390への入賞状態を検出する第1始動口センサ580、第2始動口392への入賞状態を検出する第2始動口センサ582、第3始動口394への入賞状態を検出する第3始動口センサ584および全ての入賞口に対する入賞数をカウントするための全入賞口入賞数検出センサ586が接続されている。
また、主制御基板510の入力インタフェースには、パネル中継端子板550を介して、通過ゲート402を遊技球が通過したことを検出するゲートセンサ560および一般入賞口404に遊技球が入賞したことを検出する一般入賞口センサ562が接続されている。
さらに、主制御基板510の入力インタフェースには、パネル中継端子板550に接続された第1大入賞口中継端子板552を介して第1大入賞口カウントセンサ570が接続され、パネル中継端子板550に接続された第2大入賞口中継端子板554を介して第2大入賞口カウントセンサ576が接続されている。
上記各センサからの検出信号は主制御基板510に入力されるようになっている。また、主制御基板510の入力インタフェースには、前枠体11の開放状態を検出する内枠開放スイッチ536および前面枠4の開放状態を検出する扉開放スイッチ538も接続されている。
一方、パネル中継端子板550の出力インタフェースには、図柄制限抵抗基板566を介して、普通図柄・特別図柄表示基板568が接続されており、主制御基板510から、普通図柄表示器82、第1特別図柄表示器84および第2特別図柄表示器86へ駆動信号を出力することが可能になっている。
また、第1大入賞口中継端子板552の出力インタフェースには、第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを駆動する第1大入賞口開閉ソレノイド572が接続されており、主制御基板510から、これらの駆動信号が出力されるようになっている。
さらに、第2大入賞口中継端子板554の出力インタフェースには、第3始動口394の一対の可動片396を駆動する普通電動役物ソレノイド574および第2開閉装置400の第2大入賞口開閉扉400bを駆動する第2大入賞口開閉ソレノイド578が接続されており、主制御基板510から、これらの駆動信号が出力されるようになっている。
一方、払出制御基板520は、中央演算装置としてのCPU522、読み出し専用メモリとしてのROM524および読み書き可能メモリとしてのRAM526を備えている。
そして、払出制御基板520は、主制御基板510から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170や、発射制御基板532に接続された発射モータ192に対して、駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射モータ192は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。
なお、主制御基板510と払出制御基板520との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、たとえば主制御基板510が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板520から主制御基板510にACK信号が返される。
また、払出制御基板520には、下皿31に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する下皿満タンスイッチ530も接続されており、この検出に基づいて、「遊技球を下皿31から取り出して下さい」旨の報知がなされる。
また、主制御基板510および払出制御基板520には、外部端子板534が接続されており、各始動口390,392,394や各開閉装置398,400への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態および抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報が、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力されるようになっている。
一方、周辺基板600は、図12に示すように、周辺制御基板610と表示装置制御基板116とから構成されている。なお、上記の主制御基板510と周辺制御基板610との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板510から周辺制御基板610へのコマンド送信はあっても、その逆は行われない。また、周辺基板600に対しても電源中継端子板199を介して電源基板195から作動用電力が供給されるようになっている。
周辺制御基板610もまた、CPU612をはじめROM614やRAM616等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。
また、周辺制御基板610には、音声や音楽の基となる音源を記憶したROM620と、ROM620に記憶された音源を基に、演出内容等に応じた音声や音楽を出力する音源IC618とが設けられている。
なお、周辺制御基板610と表示装置制御基板116との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、表示装置制御基板116には、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bとしての液晶表示器(LCD)が接続されており、表示装置制御基板116には、周辺制御基板610から送信されたコマンド信号を処理し、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bに対して駆動信号を出力する。詳しく説明すると、表示装置制御基板116には、CPU632、RAM634、ROM636、VDP638および画像ROM640が備えられている。
CPU632は、周辺制御基板610から送られてきたコマンド信号を入出力インタフェースを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP638の制御を行う。RAM634は、CPU632の作業領域を提供すると共に、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM636は、CPU632用(表示制御用)のプログラムを保持する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)638は、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cそれぞれに組み込まれたLCDドライバ(LCD駆動回路124)を直接操作する描画回路である。VDP638の内部には、レジスタが設けられており、VDP638の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU632が書き換えることにより、液晶表示装置115(左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cの組み合わせ)における表示態様を種々変化させることが可能となる。画像ROM640は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データおよび背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板610には、ランプ駆動基板650が接続されている。ランプ駆動基板650の出力インタフェースには、パネル装飾ランプ652、センター装飾ランプ304が接続されており、これらの各ランプの点灯状態を切り換える。また、ランプ駆動基板650の入力インタフェースには、遊技盤5の後方側に排出された遊技球を検出する排出口センサ654が接続されている。
また、ランプ駆動基板650の出力インタフェースには、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの駆動手段として、直線駆動させるための左駆動部モータ658aおよび右駆動部モータ658b、回転駆動させるための左回転部モータ668aおよび右駆動部モータ668bが接続されている。さらに、ランプ駆動基板650の入力インタフェースには、左駆動部モータ658aおよび右駆動部モータ658bによる左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの直線方向の駆動位置をそれぞれ検出する左駆動部モータセンサ600aおよび右駆動部モータセンサ600b、左回転部モータ668aおよび右駆動部モータ668bによる左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの回転方向の駆動位置をそれぞれ検出する左回転部モータセンサ666aおよび右回転部モータセンサ666bが接続されている。これにより、ランプ駆動基板650は、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの駆動演出にて、これらの液晶表示装置の演出駆動(開閉駆動)や駆動位置を検出可能としている。
また、周辺制御基板610に接続された枠装飾中継端子板622には、前面枠4に接続されたスピーカ18,57、演出選択スイッチ35および枠装飾ランプ624等が接続されており、周辺制御基板610には、演出選択スイッチ35の操作状態に基づいて液晶表示装置115に出力される演出態様を切り替えると共に、スピーカ18,57や枠装飾ランプ624に対して駆動信号を出力する。
図13に基づき液晶表示装置の動作について説明する。図13は、液晶表示装置115の構成にて三面の表示領域から二面の表示領域に切替えられる過程を上方から示す平面図である。なお、図中の一点鎖線は、センター役物300の開口部301の横幅(左右方向の幅)を示す。
先ず、ランプ駆動基板650では、パチンコ機1の電源投入時や、リセット時において、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの駆動位置を検出する左右の駆動部モータセンサ660a,660bおよび左右の回転部モータセンサ666a,666bの検出信号の受信の有無を確認する。これらのモータセンサからの検出信号がなければ、中液晶表示装置115cと端部で隣接することで三面の表示領域が視認可能な三面駆動位置に、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを駆動させる。
そして、駆動演出の実行に伴って、周辺制御基板610からランプ駆動基板650へ、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを回転駆動制御する旨の制御コマンドが送信されると、ランプ駆動基板610では、左右の回転部モータ668a,668bを駆動させ、図13(A)に示すように回転軸128を回転中心として左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを回転駆動させる。ここでは、左液晶表示装置115aが回転軸128を回転中心として時計回り方向に回転駆動される一方、右液晶表示装置115bが回転軸128を回転中心として反時計方向回り方向に回転駆動される。これにより、図13(B)に示すように、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bがセンター役物300の開口部301の後端面よりも後方であって且つ中液晶表示装置115cの前方に位置することになり、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域が中液晶表示装置115cの表示領域と平行状態となる。この状態では、遊技者が前面から表示領域を視認すると、中液晶表示装置115cと隣接していた側の左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの端部(左液晶表示装置115aの右端部および右液晶表示装置115bの左端部)により、中液晶表示装置115cの表示領域の両端部が遮蔽されることになる。
左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが回転駆動された後、周辺制御基板610からランプ駆動基板650へ、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを直線駆動(閉塞駆動)制御する旨の制御コマンドが送信されると、ランプ駆動基板610では、左右の駆動部モータ658a,658bを駆動させ、ラック・ピニオン機構を介して回転軸128とともに左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを左右方向に直線駆動させる。ここでは、左液晶表示装置115aが右方向に直線駆動される一方、右液晶表示装置115bが左方向に直線駆動される。これにより、図13(C)および図13(D)に示すように、中液晶表示装置115cの表示領域と平行状態を保った状態で左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが徐々に近づく。この状態では、遊技者が前面から表示領域を視認すると、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bにより、中液晶表示装置115cの表示領域が徐々に遮蔽されることになる。
左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが直線駆動されると、図13(E)に示すように、中液晶表示装置115cの前方にて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが隣接して二面の表示領域が形成される。この状態では、遊技者が前面から表示領域を視認すると、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの二面の表示領域が中液晶表示装置115cの表示領域よりも大きいことから、中液晶表示装置115cの表示領域が完全に遮蔽されることになる。また、三面の表示領域と同様に二面の表示領域が形成された場合にも、液晶表示装置が互いに隣接する側(左液晶表示装置115aの右側および右液晶表示装置115bの左側)の端部を意識させない二面の表示領域を形成することができ、この二面の表示領域にて違和感を生じさせない演出表示を可能としている。
この実施の形態では、中液晶表示装置115cを固定するとともに、動作機構により左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置から二面駆動位置に駆動することで、表示領域の態様を三面から二面に切替えることができる。これにより、表示領域の態様が切替えられたときには、遊技者に意外性を与えることができる。また、遊技状況に応じて異なる表示領域を形成することができ、複数面の表示領域にて実行される演出表示を単調とすることなく、遊技の興趣を高めることができる。
また、この実施の形態では、動作機構により左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置から二面駆動位置に駆動する過程にて、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bにより中液晶表示装置115cの表示領域が徐々に遮蔽されている。この過程では、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域と中液晶表示装置115cの表示領域とで前後方向に段差が生じるが、左右方向に対しては分割されることがない。すなわち、遊技者が前面から表示領域を視認すると、複数面の表示領域にまたがって連動させた演出表示(画像表示)を実行したとしても、一連の画像として認識可能な許容範囲である。したがって、動作機構により左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置から二面駆動位置に駆動するまでの複数面の表示領域にて、演出表示の一連の動向を把握することができ、遊技の興趣を高めることができる。
次に、上述した各種の構成部材や装置等が設けられた遊技盤5にて実現される遊技について説明する。先ず、遊技者が操作ハンドル32を捻り操作することにより、パチンコ機1の裏面側に設けられた発射装置ユニット194によって遊技球が打ち出される。発射装置ユニット194から打ち出された遊技球は、発射レール19および案内レール78に沿って上昇すると遊技領域37の上部に放出され、この後は遊技領域37内を障害釘等に衝突しながら流下する。
遊技領域37を流下する遊技球が通過ゲート402を通過すると、ゲートスイッチ560によって遊技球の通過が検出され、この検出信号に基づいて普通図柄表示器82では普通図柄の変動表示(緑色のLEDと赤色のLEDとが交互に点灯する表示態様)が開始される。
すなわちゲートスイッチ560により遊技球が検出されると、主制御基板510のCPU512は所定範囲の普通図柄当り判定乱数を更新するカウンタから普通図柄当り判定乱数を抽出する。そしてCPU512は、普通図柄表示器82による普通図柄の変動開始時に普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとするか否かの判定を行い、この判定結果に応じた態様(本実施形態では、当りであれば赤色のLEDの点灯表示、はずれであれば緑色のLEDの点灯表示)で最終的に普通図柄を停止表示させる。
また、普通図柄表示器82において普通図柄の変動表示中に遊技球が通過ゲート402を通過すると、CPU512にて抽出された普通図柄当り判定乱数は、所定個数(本実施形態では4個)までRAM516に記憶される。このとき、記憶された普通図柄当り判定乱数の個数は普図始動記憶表示器84の点灯態様によって表示される。具体的には、通過ゲート74の通過が有効である間(普通図柄の始動記憶数が4未満のとき)にゲートスイッチ560により遊技球の通過が検出されると、その都度、普図始動記憶表示器84の点灯態様を切り替える。
本実施形態では、例えば普図始動記憶数が1である場合に左側の普図始動記憶表示器84が1つだけ点灯し、さらに普図始動記憶数が増えていくと、左側の普図始動記憶表示器84に加えて右側の普図始動記憶表示器84がともに点灯する。さらに普図始動記憶数が3に増えると、それまで単純点灯していた右側の普図始動記憶表示器84が点滅状態に切り替わり、右側の普図始動記憶表示器84は単純点灯状態のままとなる。そして、普図始動記憶数が最大の4に達すると、2つの普図始動記憶表示器84がともに点滅状態になる。反対に、普通図柄表示器82にて普通図柄の変動表示が開始されると、その都度、普図始動記憶数が1つずつ減っていくので、この場合は上記と逆の態様により普図始動記憶表示器84が点灯・点滅することになる。
本実施形態では、普通図柄の変動開始時にCPU512において普通図柄当り判定乱数に基づいて当りとする判定がなされた場合には、所定期間経過後に普図始動記憶表示器84が赤色に点灯した状態で停止表示される。そしてこの後、普通電動役物ソレノイド574を作動状態(通電状態)に切り替えることで一対の可動片396を拡開させ、可変入賞装置を所定期間(例えば0.5秒間)にわたり開放状態にする制御が行われる。これにより、第3始動口394への入賞が可能な状態となる。またこの後、所定期間が経過すると普通電動役物ソレノイド574を非作動状態(非通電状態)に戻すことで一対の可動片396を初期位置に復帰させ、可変入賞装置を閉塞状態に戻す制御が行われる。
これに対し、普通図柄の変動開始時にCPU512において普通図柄当り判定乱数に基づいてはずれとする判定がなされた場合、所定期間経過後に普通図柄表示器82が緑色に点灯した状態で停止表示されるだけであり、特に可変入賞装置は開放状態に制御されない。したがって、この場合は依然として第3始動口394には入賞できない状態であるが、第1始動口390および第2始動口392への入賞は引き続き可能となっている。
遊技領域37内を流下する遊技球が第1始動口390、第2始動口392または第3始動口394に入賞すると、それぞれ第1始動口センサ580、第2始動口センサ582または第3始動口センサ584により遊技球の入賞が検出される。この場合、特別図柄の変動表示が開始可能な状態(例えば、大当り遊技中でない状態であるか、または特別図柄・装飾図柄の変動表示中でない状態)であれば、特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示が開始されるとともに、液晶表示装置115で装飾図柄(例えば数字の「1」〜「6」をデザインしたもの)の変動表示が開始される。本実施形態では、特別図柄が2つの特別図柄表示器86の点灯の組み合わせで表される。また装飾図柄は、液晶表示装置115画面上にて上装飾図柄、中装飾図柄および下装飾図柄の3つが表され、これらはいずれも装飾図柄の列が画面上を一定方向へ順送り(スクロール)されるようにして変動表示される。なお、変動表示が行われる期間は、大当り判定乱数やその他の乱数に応じて数秒〜数十秒の範囲内で決定される。
特別図柄や装飾図柄の変動表示は所定期間経過後に停止され、その停止時に特別図柄が大当りとなる特定の態様(大当りとなる2つの特別図柄表示器86の点灯の組み合わせ:大当り図柄)で表示されると、主制御基板510のCPU512は「15R大当り遊技状態」または「2R大当り遊技状態」の制御を開始する。また、停止時の特別図柄が大当りとなる特定の態様とは異なり、小当りとなる特定の態様(小当りとなる2つの特別図柄表示器86の点灯の組み合わせ:小当り図柄)で表示されると、主制御基板510のCPU512は「小当り遊技状態」の制御を開始する。
なお、停止時の特別図柄が大当りとなる特定の表示態様であり「15R大当り遊技状態」の制御を開始する場合には、装飾図柄の停止図柄(上・中・下の装飾図柄全てが停止した状態)も特定の態様(同一の装飾図柄の組み合わせ:大当り図柄)となる。一方、停止時の特別図柄が大当りとなる特定の態様であり「2R大当り遊技状態」の制御を開始する場合、および、停止時の特別図柄が小当りとなる特定の態様であり「小当り遊技状態」の制御を開始する場合には、装飾図柄の停止図柄としてチャンス目を表示させる。チャンス目とは、上下の装飾図柄が同一の装飾図柄の組み合わせとは異なり、且つ、後述するリーチ態様とも異なる図柄としてのはずれ図柄である。すなわち、チャンス目とは、はずれ図柄のうち予め定められた装飾図柄の組み合わせ(例えば、「123」の装飾図柄の組み合わせ)である。
「15R大当り遊技状態」および「2R大当り遊技状態」では、CPU512は第1大入賞口開閉ソレノイド572または第2大入賞口開閉ソレノイド578を作動させて所定の開閉装置を開放させる制御を行う。具体的には、「15R大当り遊技状態」であれば、2ラウンドまで第1大入賞口開閉ソレノイド572を作動させて、第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを開放し、これにより第1大入賞口398aへの入賞を可能とする。そして、3ラウンドから15ラウンドまで第2大入賞口開閉ソレノイド579を作動させて、第2開閉装置400の第2大入賞口開閉扉400bを開放し、これにより第2大入賞口400aへの入賞を可能とする。一方、「2R大当り遊技状態」であれば、第1大入賞口開閉ソレノイド572を作動させて、第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを開放させる動作を2ラウンドのみ行う。このような開閉装置の開放制御は、所定時間(例えば、「15R大当り遊技状態」であれば30秒、「2R大当り遊技状態」であれば0.3秒)が経過するか、もしくは所定個数(例えば、10個)の遊技球が第1大入賞口398aおよび第2大入賞口400aに入賞したことがそれぞれ第1大入賞口カウントセンサ570または第2大入賞口カウントセンサ576により検出されるかのいずれかの条件が満たされるまで継続して行われる。
ここで、「ラウンド」とは、停止時の特別図柄が大当りとなる特定の表示態様であることに基づいて「15R大当り遊技状態」または「2R大当り遊技状態」が発生したときに、第1大入賞口開閉扉398bによる第1大入賞口398aの開閉動作または第2大入賞口開閉扉400bによる第2大入賞口400aの所定時間に亘る開閉動作の回数を表す単位である。従って、停止時の特別図柄が小当りとなる特定の態様である場合には、「ラウンド」とは言わない。
上記のいずれかの条件が満たされると、CPU512は第1大入賞口開閉ソレノイド572または第2大入賞口開閉ソレノイド579を非作動(非通電)の状態に戻すことによりそれぞれ第1大入賞口398aまたは第2大入賞口400aが閉じた状態となり、第1開閉装置398または第2開閉装置400は閉塞状態に制御されることになる。15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態において、CPU512は第1開閉装置398または第2開閉装置400を開放状態にしてから閉塞状態に戻すまでを1回の開閉サイクル(以下、これをラウンドともいう)とする制御を繰り返し実行し、この制御を所定回数(「15R大当り遊技状態」であれば15ラウンド、「2R大当り遊技状態」であれば2ラウンド)まで繰り返すと、そこで15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態を終了させる。「15R大当り遊技状態」では、開放された第1大入賞口398aまたは第2大入賞口400aに遊技球を次々と入賞させることで、第1始動口390や第2始動口392、第3始動口394、一般入賞口404等に遊技球を入賞させるよりも短時間で多量の遊技球を獲得可能であることから、遊技者の興趣を高めることができる。
ここで、「2R大当り遊技状態」では、第1開閉装置398の開放制御が「15R大当り遊技状態」よりも大幅に短い所定時間(例えば、0.3秒)で行われるとともに、開閉サイクルを「15R大当り遊技状態」よりも短い間隔(例えば、2秒)、且つ、「15R大当り遊技状態」よりも少ない所定回数(2ラウンド)まで繰り返したときに2R大当り遊技状態を終了させている。
また、「小当り遊技状態」では、「2R大当り遊技状態」に似せてCPU512は第1大入賞口開閉ソレノイド572を作動させて第1開閉装置398を開放させる制御を行う。すなわち、第1開閉装置398の開放制御が「15R大当り遊技状態」よりも大幅に短い所定時間(例えば、0.3秒)で行われるとともに、開閉サイクルを「15R大当り遊技状態」よりも短い間隔(例えば、2秒)、且つ、「15R大当り遊技状態」よりも少ない所定回数(2回)まで繰り返したときに小当り遊技状態を終了させる。ただし、「小当り遊技状態」に設定された所定時間や所定回数に達していなくとも、小当り遊技状態の開始から所定個数(例えば、10個)の遊技球が第1大入賞口398aに入賞したことが第1大入賞口カウントセンサ570により検出されたときに小当り遊技状態を終了させる。
この実施の形態では、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態に制御された場合には、第1開閉装置398を開放制御するが、15R大当り遊技状態よりも第1開閉装置398を開放制御する時間や開閉サイクルの間隔を短くし、開閉回数を少なくすることで、第1大入賞口398aに多量の遊技球を入賞させることを困難とするように構成されている。すなわち、第1開閉装置398の開放時間が極端に短いため、第1大入賞口398aへの遊技球の入賞が困難となり、15R大当り遊技状態よりも遊技球の払出数が少なくなる。このように、停止時の特別図柄が大当りとなる特定の態様となったときには、多くの遊技球を得られる可能性が高い「15R大当り遊技状態」または多くの遊技球を得られる可能性が低い「2R大当り遊技状態」のいずれかに制御する一方、停止時の特別図柄が小当りとなる特定の態様となったときには、「2R大当り遊技状態」と同一に多くの遊技球を得られる可能性が低い「小当り遊技状態」に制御する。
また本実施形態では、上・中・下の装飾図柄は、上装飾図柄→下装飾図柄→中装飾図柄の順に停止するように制御される。装飾図柄の停止図柄とは、上・中・下の装飾図柄の変動表示を開始して中装飾図柄が停止表示されることにより上・中・下の装飾図柄全てが停止表示された状態の図柄の組み合わせをいう。
また本実施形態では、特別図柄の停止時に表示される大当りとなる特定の態様には、さらに特別態様(確変大当りとなる2つの特別図柄表示器86の点灯の組み合わせ)があり、停止時の特別図柄が特別態様であり「15R大当り遊技状態」の制御を開始する場合には、装飾図柄の停止図柄も特別態様(確変大当り図柄:本実施形態では、同一の奇数図柄の組み合わせ)となる。この場合、いわゆる「確変大当り」となり、15R大当り遊技状態の終了後、次に15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態となる確率(当選確率、大当り確率)が高くなる(本実施形態では、確率変動状態では80分の1の確率であり、確率変動状態以外では400分の1の確率である。)。すなわち、停止時の特別図柄が特別態様であった場合は、15R大当り遊技の終了後に「確率変動状態」という遊技者にさらに有利な状態になる。また、「2R大当り遊技状態」の制御を開始する場合には、装飾図柄の停止図柄をチャンス目とするが、この場合にも2R大当り遊技の終了後に「確率変動状態」に制御する。
この実施の形態では、「確変大当り」にもとづく15R大当り遊技の終了後に確率変動状態になると、上記大当り確率が高くなることに加えて時短制御が行われる。すなわち、確率変動状態では、特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普図始動記憶表示器84にて普通図柄の変動表示を開始してから普通図柄を停止表示するまでの変動時間を通常状態よりも短縮する制御、普図始動記憶表示器84における普通図柄の変動表示の結果が「当り」となる確率を高める制御、普図始動記憶表示器84にて普通図柄の変動表示の結果「当り」となったことに基づいて開放される一対の可動片396の開放時間を通常状態よりも延長する制御(本実施形態では、通常状態では、0.5秒、時短状態及び確率変動状態では、0.8秒)、可変入賞装置が開放状態にされる開放回数を通常状態よりも増加させる制御(本実施形態では、通常状態では、1回、時短状態及び確率変動状態では、3回)、等の時短制御も行われる。一方、「2R大当り」にもとづく2R大当り遊技の終了後に確率変動状態になると、大当り確率は高くなるが、加えて時短制御が行われることはない。
また、15R大当り遊技の終了後に確率変動状態にならない、いわゆる「非確変大当り」となる場合、特別図柄の変動表示が実行される回数が所定の回数(本実施形態では100回)に達するまでの間、時短制御が行われ、「時短状態」という遊技者に有利な状態になる。時短制御では、第3始動口394への入賞確率が増加して、一定期間内での特別図柄の変動表示の実行回数を増加させることができる(つまり、大当りの判定機会が増える)ため、それだけ遊技者にとって有利な状態となる。なお、通常状態とは、上述した確率変動状態または時短状態ではない状態を意味する。
なお本実施形態では、第1始動口390または第2始動口392に遊技球が入賞し、第1始動口センサ580または第2始動口センサ582によって検出されたときに規定個数として3個の遊技球が払い出され、また、第3始動口394に遊技球が入賞し、第3始動口センサ584によって検出されたときに規定個数として4個の遊技球が払い出される。このように、第1始動口390または第2始動口392と第3始動口394とで払出個数に差を設けることで、以下の効果を奏する。
すなわち、第3始動口394は通常、一対の可動片396によって閉塞されており、普通図柄の変動表示の結果が「当り」とならない限り入賞の機会がない構造であるのに対し、第1始動口390または第2始動口392は、常に遊技球を受け入れ可能な構造であることから、第1始動口390または第2始動口392への遊技球1個の入賞に対する払出個数が多すぎると、遊技場運営者に比較して遊技者が有利になりすぎる。そうすると、遊技場運営者の不利益解消策として始動口(第1始動口390や第2始動口392、第3始動口394)への入賞が抑制されてしまい、結果的に判定遊技(大当り遊技状態とするか否かの判定)の期待が減ることで遊技者に不快感を与えてしまいかねない。反対に、第1始動口390または第2始動口392への入賞に対する払出個数が少なすぎると、それだけ判定遊技に必要とする遊技球の数が増大してしまい、結果的に過度の投資が必要となって遊技者に不利益を与えてしまうことになる。
一方の第3始動口394は、時短状態および確率変動状態においては遊技者に有利な遊技を提供するものであり、一対の可動片396の開放時間と開放回数の延長制御を行うことで、第3始動口394への入賞確率を増加させている。しかし、遊技球の入賞に対する払出個数が少なすぎると、発射球の数に対して払い出しの数が少なくなり、結果的に有利な遊技状態であるにも関わらず、遊技球の残数が次第に減っていくことで遊技者に不快感を与えてしまうことになる。これらの事象を考慮し、本実施形態では第1始動口390や第2始動口392、第3始動口394それぞれの払出個数(3,4個)が設定されている。
また、特別図柄表示器86における特別図柄の表示結果と、液晶表示装置115における装飾図柄の表示結果とは対応している。すなわち、特別図柄の変動開始時に15R大当り、2R大当りまたは小当りとしない判定がなされた場合には、上記の15R大当り、2R大当りまたは小当りとなる特定の態様とは異なる態様、つまり、はずれの態様により特別図柄表示器86を点灯させて特別図柄を停止表示するとともに、液晶表示装置115では、はずれの態様(はずれ図柄:大当り図柄以外の図柄、本実施形態では少なくとも2種類以上の識別情報(図柄)の組み合わせ)により装飾図柄の画像が表示される。
また装飾図柄は、特別図柄とは異なる演出用の図柄であり、特別図柄の変動表示(特別図柄表示器86の点滅)の内容を演出用の装飾図柄の変動表示によって演出的に表現することで、見た目上の演出効果を高めるものである。つまり、特別図柄表示器86が大当りとなる特定の態様で点灯表示されると15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態に移行する制御が行われるが、万が一、液晶表示装置115において装飾図柄の表示結果が特定の態様となったとしても、特別図柄表示器86が特定の態様で点灯表示されていない場合、15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態に移行する制御が行われることはない。
また、本実施形態では、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数として「15ラウンド」が設定された「15R大当り遊技状態」と「2ラウンド」が設定された「2R大当り遊技状態」とに制御している。ここで、遊技者に付与される利益が異なるさらに複数種類の大当り遊技状態に制御可能に構成してもよく、例えば、大当り遊技状態にて実行されるラウンド数が異なる複数種類の大当り遊技状態に制御するように構成してもよい。この場合には、大当り判定乱数に基づいて大当りとする判定がなされた後、大当り遊技状態にて実行するラウンド数を決定するようにしてもよいし、大当り判定乱数に基づいて異なるラウンド数が設定された複数種類の大当り遊技状態のうちいずれかに制御するか否かの判定を行うようにしてもよい。
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主制御基板510で実行される種々の制御処理について図14乃至図25を参照して説明する。図14は、主制御基板510に搭載されるCPU512が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。図15は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図16は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図17は、主制御基板510で更新される乱数を示す一覧表図である。図18は、遊技処理の一例を示すフローチャートである。図19は、変動開始処理を示すフローチャートである。図20は、大当り判定処理の一例を示すフローチャートである。図21は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図22は、変動表示パターンテーブルの一例を示す一覧表図である。なお、タイマ割込処理は、主制御基板510に搭載されるCPU512により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図14に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU512は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM516に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM516に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM516をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM516に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM516に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM516をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板510に搭載されるRAM516にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM516をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときに周辺制御基板610に主制御基板510が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板510が起動したことを周辺制御基板610に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM516にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU512は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU512は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板195によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板195にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板195に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板195から主制御基板510に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板510に搭載されるCPU512により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板195に供給される電源電圧が(この実施の形態では、24V)復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM516にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図15は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU512は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM516のチェックサムを算出し、RAM516の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM516の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU512は、RAM516の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU512は、RAM516へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることによって、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU512には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図11の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU512が起動することになる。
図16は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板510に搭載されるCPU512により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU512は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS19の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートセンサ560、始動口センサ580,582,584、大入賞口カウントセンサ570,576、一般入賞口センサ560等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号にもとづいて払出制御基板520に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。ステップS13の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS14の遊技処理では、遊技の進行状態に応じてパチンコ機1を制御する処理が実行される。ステップS15の普通図柄遊技では、普通図柄表示器82に関わる制御処理を実行する。ステップS16の普通電動役物遊技では、普通電動役物ソレノイド574を可動制御して一対の可動片396の開閉制御するための処理を実行する。ステップS17の特別図柄遊技では、遊技処理(ステップS14)の処理の結果にもとづいて特別図柄表示器86を変動表示する制御を実行する。ステップS18の特別電動役物遊技では、第1大入賞口開閉ソレノイド572または第2大入賞口開閉ソレノイド574を可動制御してそれぞれ第1開閉装置398または第2開閉装置400の開閉制御を実行する。ステップS19のコマンド伝送出力処理では、遊技処理(ステップS14)でセットされた演出コマンドを周辺制御基板610に送信する処理を実行する。また、コマンド伝送出力処理(ステップS19)では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドを周辺制御基板610に送信する処理も行われる。ステップS20のI/Oポート出力処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、保留表示器88に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS11からステップS20の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS21)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS13)および乱数更新処理2(ステップS3)で主制御基板510に搭載されるCPU512により更新される各種乱数について図17を参照して説明する。図17に示すように、この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、大当り遊技状態(15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態)を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定乱数、大当り判定において大当り遊技状態を発生させると判定されたときに15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態のいずれの遊技状態を発生させるかの判定とともに、15R大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かの判定(確変判定)に用いられる確変判定乱数、大当り判定にて大当り遊技状態を発生させないと判定されたときに小当り遊技状態を発生させるか否かの判定(小当り判定)に用いられる小当り判定乱数、大当り遊技状態および小当り遊技状態のいずれの遊技状態も発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴うはずれとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定乱数、特別図柄表示器86に表示されている特別図柄の変動表示パターンを決定するために用いられる変動表示パターン乱数、第3始動口394の可動片396を開放状態に制御するか否かの判定(普通図柄当り判定)に用いられる普通図柄当り判定乱数、等がある。
なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、液晶表示装置115にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。また、大当り判定乱数とは別に2R大当り判定乱数を設け、15R大当り遊技状態を発生させるか否かの判定と2R大当り遊技状態を発生させるか否かの判定とを別に実行してもよい。この場合、大当り判定乱数を用いて15R大当り遊技状態を発生させないと判定したときに、2R大当り判定乱数を用いて2R大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を実行すればよく、確変判定乱数を用いては確変大当りとするか否かの判定を実行するだけでよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り判定乱数、確変判定乱数、小当り判定乱数、および普通図柄当り判定乱数の更新を行う。すなわち、遊技者に有利な遊技状態(大当り遊技状態や小当り遊技状態、確率変動状態)の発生および第3始動口394の可動片396を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(例えば、大当り遊技状態を発生させると判定する確率、第3始動口394の可動片396を開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、遊技者に有利な遊技状態の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定乱数および変動表示パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板510で更新される乱数は、上記したものに限られず、乱数更新処理2では、大当り判定乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる大当り判定乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
図18は、遊技処理(ステップS14)の一例を示すフローチャートである。遊技制御処理において、CPU512は、まず、第1始動口390、第2始動口392および第3始動口394に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS30)。具体的には、始動口センサ580,582,584から検出信号が出力されたか否かを判別し、始動口センサ580,582,584から検出信号が出力された場合には第1始動口390、第2始動口392および第3始動口394に遊技球が入賞した(ステップS30にてYES)と判別し、始動口センサ580,582,584からの検出信号が出力されていなければ第1始動口390、第2始動口392および第3始動口394に遊技球が入賞していない(ステップS30にてNO)と判別する。ステップS30にて第1始動口390、第2始動口392および第3始動口394に遊技球が入賞したと判別したときには、各種乱数(大当り判定乱数、確変判定乱数、小当り判定乱数、等)を取得し、RAM516に設けられている保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS31)。そして、ステップS31で保留球数カウンタが4未満であれば、始動記憶格納処理を行う(ステップS32)。なお、ステップS30で始動口センサ580,582,584がオンしていない場合、およびステップS31で保留球数カウンタの値が4である場合、には、始動記憶格納処理を実行しない。その後、CPU512は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS40〜ステップS44のうちいずれかの処理を行う。
始動記憶格納処理では、保留球数カウンタに「1」を加算する処理と、保留球数カウンタの加算に伴って保留表示器88の点灯表示態様(点灯表示させるLEDの個数)を変更する処理と、取得した乱数値(この実施の形態では、大当り判定乱数、確変判定乱数、小当り判定乱数)をRAM516に設けられた始動記憶の保存領域に保留球数カウンタのカウント値に対応させて記憶する処理と、を行う。このように、保留球数カウンタは、始動記憶の保存領域に記憶される乱数値の数を示すカウンタである。また、ステップS31において保留球数カウンタの値が上限値である場合にはステップS30で取得した乱数値を破棄する。なお、ステップS30で第1始動口390、第2始動口392および第3始動口394に遊技球が入賞したと判別したときには、ステップS30〜ステップS32の間で各種乱数を取得すればよく、例えば、ステップS30で各種乱数を取得せずに、ステップS31で保留球数カウンタが上限値未満であることを判別した後に、各種乱数を取得してもよいし、始動記憶格納処理(ステップS32)で取得するようにしてもよい。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS40)では、始動記憶数を確認し、始動記憶数が0でなければ、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技状態を発生させる場合には、15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態のいずれを発生させるかを判定するとともに、15R大当り遊技状態を発生させると判定されたときに確変大当りとするか否かを判定する。また、大当り遊技状態を発生させない場合には、小当り遊技状態を発生させるか否かの判定を行う。処理選択フラグが「1」のときに実行される変動表示パターン設定処理(ステップS41)では、特別図柄および装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットする。
また、処理選択フラグが「2」のときに実行される変動中処理(ステップS42)では、変動表示パターン設定処理(ステップS41)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことにもとづいて特別図柄表示器86における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS40)にて大当り遊技状態または小当り遊技状態とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、大当り遊技状態および小当り遊技状態とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
また、処理選択フラグが「3」のときに実行される当り遊技開始処理(ステップS43)では、大当り遊技状態(15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態)または小当り遊技状態を開始するための設定を行う。具体的には、15R大当り遊技状態の開始にもとづいて15R大当り遊技状態の開始表示の実行を指示する15R大当り開始コマンド、2R大当り遊技状態の開始にもとづいて2R大当り遊技状態の開始表示の実行を指示する2R大当り開始コマンド、または、小当り遊技状態の開始にもとづいて小当り遊技状態の開始表示の実行を指示する小当り開始コマンドを周辺制御基板610に送信するとともに、開閉装置398,400の開放回数および開放時間等の設定を行う。なお、2R大当り開始コマンドおよび小当り開始コマンドでは、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかを判別困難にするため、同一の開始表示の実行を指示する。
さらに、処理選択フラグが「4」のときに実行される当り遊技中処理(ステップS44)では、15R大当り遊技状態が開始された場合に、大入賞口カウントセンサ570,576によって検出された遊技球の個数を判別し、所定個数(この実施の形態では、10個)の遊技球が第1大入賞口398aまたは第2大入賞口400aに入賞したとき、または、所定期間(この実施の形態では、30秒)が経過したとき開閉装置398,400を閉塞状態にするための処理を行うとともに、周辺制御基板610に15R大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)の実行を指示する15R大当りラウンド開始コマンドを送信する。そして、15R大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数(この実施の形態では、15回)に達していなければ、再び、開閉装置398,400を開放状態にするための処理を行い、15R大当り遊技状態におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、周辺制御基板610に15R大当り遊技状態の終了表示の実行を指示する15R大当り終了コマンドを送信するとともに処理選択フラグを「0」に更新する。
また、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態が開始された場合には、所定期間(この実施の形態では、0.3秒)が経過したときに開閉装置398,400を閉塞状態にするための処理を行なうとともに、周辺制御基板610に2R大当り遊技状態中の表示(例えば、第1大入賞口398aの開閉表示等)の実行を指示する2R大当りラウンド開始コマンド、または、小当り遊技状態中の表示(2R大当り遊技状態中と同一の表示)の実行を指示する小当り開閉開始コマンドを送信する。そして、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態における開閉回数が所定回数(この実施の形態では、2回)に達していなければ、再び、第1開閉装置398を開放状態にするための処理を行い、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態における開閉回数がそれぞれの所定回数に達したときには、周辺制御基板610に2R大当り遊技状態または小当り遊技状態の終了を指示する2R大当り終了コマンドまたは小当り終了コマンドを送信するとともに処理選択フラグを「0」に更新する。ただし、「小当り遊技状態」では、所定期間や所定回数に達していなくとも、小当り遊技状態の開始から所定個数(例えば、10個)の遊技球が第1大入賞口398aに入賞したときに第1開閉装置398を閉塞状態にするために処理を行う。
図19は、変動開始処理(ステップS40)の一例を示すフローチャートである。変動開始処理において、CPU512は、保留球数カウンタの値が0であるか否か判別する(ステップS401)。上述したように、保留球数カウンタの値は、始動記憶の保存領域に格納される乱数値の数を示すものであるため、ステップS401で保留球数カウンタの値が0であれば、始動記憶がないと判別されて処理を終了する。
一方、ステップS401で保留球数カウンタの値が0でなければ、始動記憶移行処理を実行する(ステップS402)。始動記憶移行処理では、保留球数カウンタを1減算する処理と、RAM516に設けられた始動記憶の保存領域に記憶される各種乱数をシフトした後、始動記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される各種乱数(大当り判定乱数等)を読み出す処理と、を行う。具体的には、始動記憶の保存領域にて保留球数カウンタのn(n=1、2、3、4)に対応する保存領域に記憶されている各種乱数を始動記憶の保存領域における保留球数カウンタのn−1(n=0、1、2、3)に対応する保存領域に記憶させる。
次いで、ステップS402で保留記憶の保存領域のうち保留球数カウンタの0に対応する保存領域から読み出した大当り判定乱数、確変判定乱数、小当り判定乱数を用いて大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかの遊技状態を発生させるか否かの判定を行い、15R大当り遊技状態を発生させる場合に確変大当りとするか否かを判定する当り判定処理を行った後(ステップS403)、処理選択フラグを「1」に更新する(ステップS404)。処理選択フラグを「1」に更新することにより、次にタイマ割込処理が発生し、遊技処理(ステップS14)が実行されたときに変動表示パターン設定処理(ステップS41)が実行可能となる。
図20は、当り判定処理(ステップS404)の一例を示すフローチャートである。当り判定処理において、CPU512は、当り遊技中処理(ステップS44)でセットされる確変フラグがON状態であるか(セットされているか)否かを判別する(ステップS51)。確変フラグがON状態であれば、確変状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS52)、確変状態フラグがON状態でなければ(OFF状態であれば)、通常・時短状態時大当り判定テーブル(図示しない)を選択する(ステップS53)。なお、確変状態時大当り判定テーブルでは、0〜799までの800個の大当り判定乱数のうち大当り判定乱数と一致することにより大当り遊技状態を発生させることが決定される大当り判定値が25個設定され、15R大当りまたは2R大当りとなる確率である大当り確率が1/80となっている。一方、通常・時短状態時大当り判定テーブルでは、0〜799までの800個の大当り判定乱数のうち大当り判定値が2個設定され、大当り確率が1/400となっている。
そして、ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値と、が一致するか否かによって、大当り遊技状態を発生させるか否か判定する(ステップS54)。ステップS52,S53で選択した確変状態時大当り判定テーブル、または、通常・時短状態時大当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した大当り判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される大当り判定乱数の値)と、が一致することにもとづいて大当り遊技状態を発生させると判定したときには、大当りフラグをON状態(セット)とした後に(ステップS55)、所定の判定値が設定された確変判定テーブル(図示しない)にもとづいて15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態のいずれの遊技状態を発生させるかを判定するとともに、15R大当り遊技状態を発生させると判定された場合に確変大当りとするか否かを判定する(ステップS56)。
具体的には、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される確変判定乱数の値)と、確変判定テーブルに設定されている判定値と、が一致するか否かにもとづいて15R大当り遊技状態の終了後に確率変動状態に制御する確変大当り、15R大当り遊技状態の終了後に確率変動状態に制御しない非確変大当り、2R大当り遊技状態の終了後に確率変動状態に制御する2R大当りのいずれを発生させるかを判定する。なお、確変判定テーブルでは、確変大当りとする割合が5/8となり、非確変大当りとする割合が1/4となり、2R大当りとなる割合が1/8となるように、各々の判定値が確変判定テーブルに設定されている。すなわち、確変突入率(当りのうち確率変動状態を発生させる割合)が3/4となるように、0〜7までの8個の確変判定乱数のうち確率変動状態とすることに決定される6個の判定値が設定されている。
ステップS56で、確変判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した確変判定乱数の値と、が一致することにもとづいて確率変動状態に制御する判定(確変大当りまたは2R大当り)がなされたときには、確変状態フラグをON状態(セット)とする(ステップS57)。また、ステップS56で、確率変動状態に制御する判定のうち2R大当りとする判定がなされているときには、大当りフラグをOFF状態(リセット)するとともに、2R大当りフラグをON状態(セット)する(ステップS60)。一方、ステップS56で、確率変動状態に制御しない(非確変大当りとする)と判定されたときには、ステップS57〜S59の処理を実行することなく処理を終了する。
また、ステップS54で大当り遊技状態を発生させないと判定したときには、小当り判定テーブル(図示しない)を選択し(ステップS60)、小当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した小当り判定乱数の値(保留球数カウンタの0に対応する保存領域に保存される小当り判定乱数の値)と、が一致するか否かによって、小当り遊技状態を発生させるか否か判定する(ステップS61)。そして、小当り判定テーブルに設定されている判定値と、ステップS402の始動記憶移行処理で読み出した小当り判定乱数の値と、が一致することにもとづいて小当り遊技状態を発生させると判定したときには、小当りフラグをON状態(セット)とする(ステップS62)。なお、小当り判定テーブルでは、0〜979までの980個の小当り判定乱数のうち一致することにより小当り遊技状態を発生させることが決定される小当り判定値が14個設定され、小当りとなる確率である小当り確率が1/70となっている。
なお、大当りフラグ、2R大当りフラグ、小当りフラグおよび確変状態フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM516に記憶される。また、大当りフラグ、2R大当りフラグ、小当りフラグおよび確変状態フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、ON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
また、大当りフラグは、15R大当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、当り遊技開始処理(ステップS43)にて大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態を発生させる。また、2R大当りフラグは、2R大当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、当り遊技開始処理(ステップS43)にて2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態を発生させる。さらに、小当りフラグは、小当り遊技状態への移行制御を示すフラグであり、当り遊技開始処理(ステップS43)にて小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態を発生させる。そして、当り遊技中処理(ステップS44)にて15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態、小当り遊技状態を終了するときには、それぞれ大当りフラグ、2R大当りフラグ、小当りフラグをリセットする処理が実行される。
また、確変状態フラグは、15R大当り遊技状態終了または2R大当り遊技状態終了後に確率変動状態への移行制御を示すフラグであり、当り遊技中処理(ステップS44)にて15R大当り遊技状態または2R大当り遊技状態を終了するときに確変状態フラグがセットされていれば、確変状態フラグをリセットし、確率変動状態を示す確変フラグをセットする処理が実行される。確変フラグがセットされた状態では、上述した確率変動状態に制御され、例えば、上述したステップS52の確変状態時大当り判定テーブルが選択されて確率変動状態以外の状態(通常状態、時短状態)よりも大当り遊技状態を発生させると判定される確率が高まる。また、当り遊技開始処理(ステップS43)にて確変フラグがセットされている場合には、確変フラグをリセットする処理が実行される。
図21は、変動表示パターン設定処理(ステップS41)の一例を示すフローチャートである。変動表示パターン設定処理において、CPU512は、今回の変動表示の結果、当り(15R大当り、2R大当り、小当りのいずれか)とするか否か、すなわち、当りフラグ(大当りフラグ、2R大当りフラグ、小当りフラグ)がセットされているかを判別し(ステップS410)、当りフラグがセットされていれば(ON状態であれば)、当りフラグに応じた変動表示パターンテーブル(図22参照)を選択する(ステップS411)。具体的には、大当りフラグがセットされている場合には、15R大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された15R大当り時変動表示パターンテーブルを選択する。また、2R大当りフラグがセット(このとき確変状態フラグもセット)されていれば、2R大当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された2R大当り時変動表示パターンテーブルを選択し、小当りフラグがセットされていれば、小当りとなる場合に用いられる変動表示パターンが設定された小当り時変動表示パターンテーブルを選択する。
一方、ステップS410で大当りフラグがセットされていなければ(OFF状態であれば)、リーチ判定乱数を取得し、RAM516の所定の保存領域に記憶するとともに、所定の判定値が設定されたリーチ判定テーブルに設定されている判定値と、取得したリーチ判定乱数の値と、が一致するか否かによって、リーチとするか否かを判定する(ステップS412)。リーチ態様とすると判定されたときには、リーチ態様を伴うはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたリーチ時変動表示パターンテーブル(図22参照)を選択し(ステップS413)、リーチ態様としないと判定されたときには、リーチ態様を伴わないはずれ図柄を導出する態様が示された変動表示パターンが設定されたはずれ時変動表示パターンテーブル(図22参照)を選択する(ステップS414)。なお、リーチ判定テーブルでは、リーチ確率(リーチ態様とする割合)が1/12.5となるように、すなわち、0〜24までの25個のリーチ判定乱数のうち2個の判定値がリーチ判定テーブルに設定されている。
そして、変動表示パターン乱数を取得し、RAM516の所定の保存領域に記憶するとともに、ステップS411,S413,S414で選択された15R大当り時変動表示パターンテーブル、2R大当り時変動表示パターンテーブル、小当り時変動表示パターンテーブル、リーチ時変動表示パターンテーブル、はずれ時変動表示パターンテーブル、のいずれか1つの変動表示パターンテーブルに設定されている判定値と、取得した変動表示パターン乱数の値と、が一致する変動表示パターンに決定する(ステップS415)。
なお、時短フラグは、当り判定処理のステップS56で確変大当りおよび2R大当りとしない(非確変大当りとする)と判定されたときにセットされるフラグであり、当り遊技中処理(ステップS44)にて15R大当り遊技状態を終了するときにセットする処理が実行される。時短フラグがセットされている場合には、時短状態に制御され、例えば、ステップS414ではずれ時変動表示パターンテーブルから特別図柄の変動時間を通常状態よりも短縮した変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンが選択される。また、15R大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるまでに当り判定処理のステップS54で次回の15R大当り遊技状態を発生させると判定された場合、または、15R大当り遊技状態終了後に所定回数(この実施の形態では、100回)の特別図柄の変動表示が実行された場合、には、時短フラグをリセットする処理が実行される。ここで、15R大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるまでに当り判定処理のステップS54で2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を発生させると判定された場合には、時短フラグをリセットする処理が実行されない。すなわち、所定回数の特別図柄の変動表示のうち2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を発生するまでに実行されなかった残りの回数が、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態の終了後に実行される。なお、時短フラグがセットされた際に回数カウンタを所定回数にセットし、当り判定処理で大当りとするか否かを判定する毎に1減算することで、15R大当り遊技状態終了後に所定回数の特別図柄の変動表示が実行されたか否かを判別する。また、時短フラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM516に記憶される。また、時短フラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、時短フラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
次いで、ステップS415で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして変動表示パターンコマンドをセットし(ステップS416)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板510に搭載されるRAM516に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS417)。ステップS417では、ステップS415で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS416でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)にて周辺制御基板610に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理で周辺制御基板610に送信するときには、特別図柄遊技にて特別図柄表示器86に駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。
ここで、変動表示パターンコマンドは、2バイト構成のデータであり、各変動表示パターンコマンドには、特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの変動時間やリーチ演出を特定するためのデータが含まれる。この2バイト構成の変動表示パターンコマンドのうち、1バイト目は、変動表示パターンであることを特定可能なデータであり、2バイト目は、変動番号(変動表示パターン)を特定可能なデータである。すなわち、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、1バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンであることを認識可能であり、さらに、2バイト目のデータにもとづいて変動表示パターンを特定する。
なお、ステップS415で決定される変動表示パターンを図22を参照して説明する。図22は、変動表示パターンの一例を示す一覧表図である。液晶表示装置115には、特別図柄の変動時間(特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)に、変動表示パターンに従った演出態様が画像表示される。また、変動表示パターンには、液晶表示装置115にて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを回転駆動および開閉駆動するか否か(後述する駆動演出を実行するか否か)の情報も設定されている。
変動番号1の「通常変動」とは、リーチ態様を伴わない変動表示パターンである。変動番号2の「短縮変動」とは、特別図柄および装飾図柄の変動時間が「通常変動」よりも短い変動表示パターンである。変動番号3,4の「ノーマルリーチ」とは、リーチ態様を伴ってノーマルリーチ演出を実行し、当該ノーマルリーチ演出にて未だ停止表示されていない装飾図柄(この実施の形態では、中装飾図柄)を停止表示する変動表示パターンである。
また、変動番号5〜9の「表示系リーチ」とは、ノーマルリーチ演出から継続してスーパーリーチ演出を実行し、当該スーパーリーチ演出にて未だ停止表示されていない装飾図柄(この実施の形態では、中装飾図柄)を停止表示する変動表示パターンである。なお、変動番号7,8の「表示系リーチ(発展)」の変動表示パターンでは、変動番号5,6の「表示系リーチ」の変動表示パターンにより実行される演出をさらに発展させ、これに伴って演出期間が長く設定されている。また、変動番号3,4の「ノーマルリーチ」および変動番号5〜9の「表示系リーチ」の変動表示パターンでは、後述する駆動演出を実行することがない。
また、変動番号9〜12の「駆動系リーチ」とは、ノーマルリーチ演出として駆動演出を実行し、当該駆動演出から継続されるスーパーリーチ演出にて未だ停止表示されていない装飾図柄(この実施の形態では、中装飾図柄)を停止表示する変動表示パターンである。ここで、駆動演出とは、液晶表示装置115にて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを回転駆動および閉塞駆動することで、表示領域の態様を三面から二面に切替える演出である。また、二面の表示領域に切替えられることに伴って、三面の表示領域にてリーチ態様を形成している部分を局所的に表示する。なお、変動番号11,12の「駆動系リーチ(発展)」の変動表示パターンでは、変動番号9,10の「駆動系リーチ」の変動表示パターンにより実行される演出をさらに発展させ、これに伴って演出期間が長く設定されている。
この実施の形態では、変動番号9〜12の「駆動系リーチ」の変動表示パターンにもとづく駆動演出がリーチ態様の形成後のリーチ演出として実行される。これにより、装飾図柄の停止図柄が停止表示される以前には、装飾図柄の停止図柄が大当り図柄となるか否かだけでなく、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを二面駆動位置に駆動するか否かにも注目させることができ、リーチ演出に対する興趣を増大させることができる。なお、駆動演出がリーチ態様の形成以前に実行されてもよく、この場合には、リーチ態様が形成されるか否かとともに駆動演出が実行されるか否かに注目させることができ、予告演出に対する興趣を増大させることができる。
また、変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」とは、変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンと同様にリーチ態様を伴うことなく、装飾図柄の仮停止図柄としてはずれ図柄を仮停止表示した後、駆動演出により当落の結果を遊技者に通知する変動表示パターンである。ここで、仮停止表示とは、装飾図柄が小刻みに揺れて完全には停止していない状態であり、遊技者が一見しただけでは停止表示との判別を困難としている。
具体的には、装飾図柄の仮停止図柄としてはずれ図柄を仮停止表示した後、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置(図13(A)参照)から中途位置(図13(C)または(D)参照)まで駆動制御するとともに、この中途位置付近の若干の間隔で左右方向にカタカタと駆動制御した後、当落の結果が当りか否かにもとづいて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを二面駆動位置(図13(E)参照)まで駆動制御するか否かの変動表示パターンである。すなわち、当落の結果が当りの変動表示パターン(変動番号14の変動表示パターン)が実行された場合には、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを二面駆動位置まで駆動制御する一方、当落の結果がはずれの変動表示パターン(変動番号13の変動表示パターン)が実行された場合には、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを再び三面駆動位置まで駆動制御する。
ここで、中途位置とは、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが三面駆動位置から二面駆動位置まで駆動する過程となる位置であり、左右方向にカタカタと駆動制御することで左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの間隔が近づいたり離れたりの状態が繰り返される。なお、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを二面駆動位置まで駆動制御するか否かの変動表示パターンでは、中途位置を経由した後に二面駆動位置または三面駆動位置まで駆動制御しているが、中途位置が二面駆動位置と一致しなければよく、例えば、大当り期待度が高いほど中途位置を二面駆動位置に近い位置とする等、大当り期待度に応じて中途位置を変化させてもよい。
また、駆動演出が実行された後の二面の表示領域(二面駆動位置)には、装飾図柄の停止図柄として大当り図柄を停止表示する。この場合、駆動演出が実行される以前の三面の表示領域(三面駆動位置)のうち離散した左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域には、二面の表示領域が形成されたときに装飾図柄の組み合わせが大当り図柄となるような仮停止図柄を仮停止表示している。そして、当落の結果が当りの変動表示パターン(変動番号14の変動表示パターン)が実行された場合には、二面の表示領域を形成することで大当り図柄を停止表示する一方、当落の結果がはずれの変動表示パターン(変動番号13の変動表示パターン)が実行された場合には、再び三面の表示領域を形成することで大当り図柄とはならずにはずれ図柄を停止表示する。
この実施の形態では、変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンにもとづく駆動演出がはずれ図柄を仮停止表示した後の演出であり、駆動演出が実行されるまでは変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンにもとづくはずれ図柄の停止表示との判別が困難である。すなわち、リーチ態様が形成されなかった時点で大当り図柄が導出されないと遊技者は思い込むが、はずれ図柄を仮停止表示した後に駆動演出が実行されることで、はずれ図柄から一転して大当り図柄が導出されることもあり、遊技者に多大なインパクトを与えることができる。また、はずれ図柄が形成された場合にも駆動演出が実行されるか否かに注目させることができ、駆動演出の実行に対する期待感を抱かせることができる。
また、変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンにもとづく駆動演出では、当落の結果が当りか否かにもとづいて左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを二面駆動位置まで駆動制御するか否かを決定しており、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの駆動位置を把握するだけでも当落の結果が当りか否かを判別することができる。このように、当落の結果が当りか否かにもとづく駆動演出が実行されることで、装飾図柄の変動表示のみよりも遊技者に多大なインパクトを与えることができ、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
また、変動番号15の「全回転リーチ」とは、ノーマルリーチ演出を実行しない大当り確定演出として、大当り図柄の組み合わせとなった装飾図柄を同期変動し、確変大当り図柄と非確変大当り図柄とのいずれか一方の大当り図柄で停止表示する全回転リーチ演出を実行する変動表示パターンである。
また、変動番号16の「2R大当り時通常変動」および変動番号17の「小当り時通常変動」とは、変動番号1の「通常変動」と同様にリーチ態様を伴うことなく、装飾図柄の停止図柄として、はずれ図柄の中でもチャンス目を停止表示する変動表示パターンである。なお、変動番号16の「2R大当り時通常変動」および変動番号17の「小当り時通常変動」は、それぞれ2R大当り遊技状態または小当り遊技状態に制御する判定がなされたときに用いられる変動表示パターンであり、当該変動表示パターンにもとづいて装飾図柄の停止図柄をチャンス目で停止表示した後、それぞれ2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を発生させる。
この実施の形態では、変動番号16の「2R大当り時通常変動」および変動番号17の「小当り時通常変動」に、通常変動にてチャンス目を停止表示する同一の演出が設定されており、液晶表示装置115にて表示される演出態様を見るだけでは結果態様が表示されても「2R大当り遊技状態」または「小当り遊技状態」のいずれを発生させるか判別することができない。なお、変動番号16の「2R大当り時通常変動」にもとづくチャンス目が停止表示されたときには、2R大当り遊技状態に制御した後、確率変動状態に制御する。また、変動番号17の「小当り時通常変動」にもとづくチャンス目が停止表示されたときには、小当り遊技状態に制御した後、通常状態に制御する。このように、遊技者が装飾図柄の停止図柄としてチャンス目の停止表示を把握しても、2R大当り遊技状態と小当り遊技状態が略同一に設定されているため、次回の変動表示から確率変動状態または通常状態のいずれの遊技状態となるかを判別することができず、確率変動状態に対する期待感を次回の変動表示以降も持続させることができる。すなわち、遊技状態の変化を伴わなくとも(通常状態の継続であったとしても)、確率変動状態に対する期待感を持続させたまま遊技を継続させることができ、遊技の興趣を低下させることがない。
また、各々の変動表示パターンには、特別図柄の変動時間(特別図柄表示器86にて特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄の変動表示が停止表示されるまでの時間)が設定されている。特別図柄の変動時間は、周辺制御基板610に送信される変動表示パターンコマンドによって指定される装飾図柄の変動時間とほぼ一致して設定されており、ステップS415では特別図柄の変動時間に応じた装飾図柄の変動時間を有する変動表示パターンに決定される。すなわち、特別図柄の変動時間と装飾図柄の変動時間とは、完全に一致していなくてもよい。
また、各々の変動表示パターンには、リーチ態様とした後にリーチ演出が多く実行されるほど演出期間が長くなることに伴って、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長く設定されている。具体的には、特別図柄および装飾図柄の変動時間は、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターン(例えば、変動番号3,4)よりも、ノーマルリーチ演出の実行後にスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターン(例えば、変動番号5〜12)の方が長く設定されている。さらに、スーパーリーチ演出を実行する変動表示パターンであっても、変動番号7,8の「表示系リーチ(発展)」および変動番号11,12の「駆動系リーチ(発展)」の変動表示パターンでは、それぞれ変動番号5,6の「表示系リーチ」および変動番号9,10「駆動系リーチ」の変動表示パターンよりも発展させた演出の演出期間だけ長く設定されている。
また、変動番号3〜14の変動表示パターンでは、当落の結果に応じて大当り時とはずれ時とで同一または類似した演出態様でリーチ演出が実行され、また、該リーチ演出に応じた特別図柄および装飾図柄の変動時間がほぼ一致して設定されていることから、演出を見るだけでは当否の認識が困難となり、遊技者をハラハラドキドキさせることができ、遊技の興趣を低下させることがない。
この実施の形態では、ステップS411で選択される15R大当り時変動表示パターンテーブルには、変動番号3〜15の変動表示パターンのうち当落の結果が大当りとなる変動表示パターン(図22に示す変動表示パターンテーブルの当落にて○が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。
また、ステップS413で選択されるリーチ時変動表示パターンテーブルには、変動番号3〜15の変動表示パターンのうち当落の結果がはずれとなる変動表示パターン(図22に示す変動表示パターンテーブルの当落にて×が付されている変動表示パターン)が設定され、これらの変動表示パターンに判定値が振り分けられている。また、ステップS414で選択されるはずれ時変動表示パターンテーブルのうち通常状態にて参照される変動表示パターンテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号1の「通常変動」の変動表示パターンに判定値が振り分けられ、確率変動状態および時短状態にて参照される変動表示パターンテーブルには、当落の結果がはずれとなる変動番号2の「短縮変動」の変動表示パターンに判定値が振り分けられている。
ここで、確率変動状態および時短状態では、時短状態が行われて下始動口70への入賞確率が増加するが、特別図柄および装飾図柄の変動時間が長くなると、未だ変動表示が実行されていない保留球数がなかなか消化されず、保留球数が上限値(この実施の形態では、4個)となって遊技者が遊技を一時的に止めてしまう虞がある。しかしながら、特別図柄および装飾図柄の変動時間が短く設定された変動番号2の変動表示パターンを選択することで、単位時間当りの変動表示回数を増加し、保留球数が消化される待ち時間を抑制することができる。なお、確率変動状態および時短状態にて参照される変動表示パターンテーブルは、時短制御が実行されていない通常状態であっても、始動口センサ580,582,584により検出されたことにもとづいて抽出された大当り判定乱数の記憶数を示す保留球数カウンタの値が上限値、等の条件が成立したときに選択され得る。
また、15R大当り時変動表示パターンテーブルおよびリーチはずれ時変動表示パターンテーブルでは、リーチ演出の種別に応じて大当り期待度(当該リーチ演出が実行される割合(全出現率)のうち大当りとなる割合(大当り時の出現率);大当り期待度=大当り時の出現率/全出現率)が異なるように各々の変動表示パターンに対して判定値が振り分けられている。具体的には、ノーマルリーチ演出のみを実行する変動表示パターンよりもスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定され、さらに発展させたスーパーリーチ演出を実行する変動表示パターンの方が大当り期待度が高くなるように設定されている。
また、15R大当り時変動表示パターンテーブルおよびリーチはずれ時変動表示パターンテーブルでは、駆動演出を実行するか否かに応じて大当り期待度が異なるように各々の変動表示パターンに対して判定値が振り分けられている。具体的には、液晶表示装置115に演出画像を表示制御するだけの変動表示パターン(変動番号5〜8の「表示系リーチ」の変動表示パターン)よりも、駆動演出により液晶表示装置115を駆動制御する変動表示パターン(変動番号9〜12の「駆動系リーチ」および変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターン)のほうが出現率が低い一方で、大当り期待度が高くなるように設定されている。これにより、駆動演出が実行される割合は低いが、当該駆動演出が実行開始されたときには、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
また、駆動演出を実行する変動表示パターンの中でも、変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンに対して出現率がもっとも低い一方で、大当り期待度がもっとも高くなるように設定されている。これにより、はずれ図柄を仮停止表示した後に駆動演出が実行される割合は稀であるが、当該駆動演出が実行開始されたときには、大当り遊技状態に対する期待感を特に高めることができる。
この実施の形態では、駆動演出を実行するか否かの情報が一部の変動表示パターン(変動番号9〜14の変動表示パターン)に設定されており、変動表示パターン設定処理(ステップS41)にて当該変動表示パターンが決定されたときに駆動演出が実行される。しかしながら、駆動演出を実行するか否かは、駆動演出を実行する変動表示パターンに決定されたときに限られず、例えば、主制御基板510のCPU512側で決定することなく周辺制御基板610のCPU612側で駆動演出を実行するか否かを決定してもよい。この場合、周辺制御基板610のCPU612は、主制御基板510のCPU512側のコマンド伝送出力処理(ステップS19)にて送信された変動表示パターンコマンドにもとづいて、駆動演出を実行するか否かを決定する。
また、2R大当り時変動表示パターンテーブルには、変動番号16の「2R大当り時通常変動」の変動表示パターンが設定されている一方、小当り時変動表示パターンテーブルには、変動番号17の「小当り時通常変動」の変動表示パターンが設定され、これらの変動表示パターンに全ての判定値が振り分けられている。また、15R大当り時、リーチはずれ時、はずれ時のそれぞれの変動表示パターンテーブルには、変動番号16,17の変動表示パターンが設定されておらず、判定値が振り分けられていない。すなわち、当落の結果がはずれとなる場合には、装飾図柄の停止図柄としてチャンス目を停止表示することない。
また、変動番号16の「2R大当り時通常変動」および変動番号17の「小当り時通常変動」が実行された後の変動表示では、変動番号16の「2R大当り時通常変動」の変動表示パターンが実行されて確率変動状態に制御された場合であっても、通常状態にて参照される各変動表示パターンテーブルから変動表示パターンを選択する。この実施の形態では、「小当り」にもとづく小当り遊技状態後の通常状態との判別を困難とするため、「15R大当り」にもとづく15R大当り遊技状態後の確率変動状態とは異なり、「2R大当り」にもとづく2R大当り遊技状態後の確率変動状態にて時短制御を実行していない。これにより、下始動口70への入賞確率が増加しないことから単位時間当りの変動表示回数を増加させる必要がなく、通常状態時にて参照される各変動表示パターンテーブルから変動表示パターンを選択している。
変動表示パターン設定処理のステップS417に次いで、CPU512は、大当りフラグおよび確変状態フラグがセットされているか否か確認し(ステップS418)、大当りフラグおよび確変状態フラグがセットされているときには、確変大当りであることを示す演出コマンドである確変大当りコマンドをセットする(ステップS419)。そして、処理選択フラグを「2」に更新する(ステップS420)。なお、ステップS419にてセットされた確変大当りコマンドは、変動表示パターンコマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にて周辺制御基板610に送信される。これにより周辺制御基板610に搭載されるCPU612に今回の変動表示の結果、確変大当りとなることを認識させることが可能となる。
なお、変動表示パターン設定処理では、当落の結果を示す演出コマンドとして確変大当りコマンド以外にも、複数種類の当落コマンドがセットされる。具体的には、大当りフラグがセットされているが確変状態フラグがリセットされている場合に非確変大当りを示す当落コマンドとして非確変大当りコマンド、2R大当りフラグがセットされている場合に2R大当りを示す当落コマンドとして2R大当りコマンド、小当りフラグがセットされている場合に小当りを示す当落コマンドとして小当りコマンド、さらに大当りフラグ、2R大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもセットされていない場合にはずれを示す当落コマンドとしてはずれコマンド、をそれぞれセットする処理が実行される。周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、変動表示パターンコマンドとともに送信された当落コマンドにより今回の変動表示の結果、確変大当り、非確変大当り、2R大当り、小当り、はずれのうちいずれとなるかを認識することができる。この実施の形態では、変動表示パターンコマンドにも当落の結果を示す情報が含まれており、CPU612は、変動表示パターンコマンドと当落コマンドとの示す当落の結果が一致するか否かを判別している。これにより、CPU612に今回の変動表示の結果を確実に認識させることができ、外部ノイズの影響等が原因でコマンド受信に失敗し、間違った変動表示の結果を表示するといった誤動作を防止することができる。
また、変動表示パターン設定処理では、遊技状態を示す演出コマンドとして、確変フラグまたは時短フラグがセットされているか否かを確認し、確変フラグがセットされているときに遊技状態が確変状態であることを示す遊技状態コマンドや、時短フラグがセットされているときに遊技状態が時短状態であることを示す遊技状態コマンドをセットする処理が実行される。遊技状態コマンドは、変動表示パターンコマンドおよび当落コマンドとともにコマンド伝送出力処理(ステップS19)にて周辺制御基板610に送信される。周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、遊技状態コマンドが確変状態を示すことで遊技状態が確変状態であることを認識することができ、時短状態を示すことで遊技状態が時短状態であることを認識することができる。
また、ステップS417で変動時間がセットされた有効期間タイマは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)で変動表示パターンコマンドを周辺制御基板610に送信するときにスタートし、変動中処理(ステップS42)で有効期間タイマがタイムアウトしたときに特別図柄表示器86に駆動信号を出力して特別図柄の変動表示をCPU512により停止制御させるとともに、周辺制御基板610に装飾図柄の変動表示停止を指示する演出コマンド(変動停止コマンド)を送信する。なお、周辺制御基板610では、変動停止コマンドを受信したことにもとづいて装飾図柄の停止を確定表示するための制御を行う。
また、表示装置に複数の表示領域を設け、それぞれの表示領域にて図柄を変動表示する場合には、上述した大当り判定処理にて大当りとする判定がなされたときに、特定の表示結果で停止表示する表示ラインを複数有する場合には、いずれかの表示ラインにて未だ停止していない図柄が所定の図柄で停止することにより当該表示ラインに停止表示される図柄が特定の表示結果となる状態、または、いずれかの表示ラインにて全ての図柄が特定の表示結果となるような組み合わせで同期して変動表示している状態、をリーチ態様という。すなわち、リーチ態様とは、特定の表示結果(大当り表示)の一歩手前を表す態様(大当りとなる直前の態様)である。この実施の形態では、上述した表示ラインを1つだけ有し、液晶表示装置115に表示される上・中・下の装飾図柄のうち上装飾図柄と下装飾図柄と(任意の2つの装飾図柄の組み合わせでもよい)が同一の図柄で停止し、中装飾図柄(任意の2つの装飾図柄の組み合わせが停止した状態では残りの装飾図柄)については変動表示している状態、または、液晶表示装置115に表示される全ての装飾図柄が同一の図柄の組み合わせで同期して変動表示している状態(例えば、上・中・下の装飾図柄が常に同一の図柄となるように同期して変動表示している状態)をリーチ態様といい、リーチ態様となった後、枠装飾ランプ624やパネル装飾ランプ652、センター装飾ランプ304、液晶表示装置115、スピーカ18,57等により実行される演出(例えば、枠装飾ランプ624やパネル装飾ランプ652、センター装飾ランプ304を所定の態様で点灯・点滅、液晶表示装置115にて所定の画像表示、スピーカ18,57にて所定の音声出力)をリーチ演出という。
図23は、当り遊技開始処理(ステップS43)の一例を示すフローチャートである。当り遊技開始処理では、当り判定処理(ステップS43)の結果に応じて、すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態を開始するための処理を実行し、2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態を開始するための処理を実行し、小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態を開始するための処理を実行する。
具体的には、当り遊技開始処理において、CPU512は、セットされているフラグに応じて開始コマンドをセットする(ステップS451)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態コマンドテーブル(図示しない)を選択し、15R大当り遊技状態コマンドテーブルに設定されている15R大当り開始コマンドを開始コマンドとしてセットする。また、2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態コマンドテーブル(図示しない)を選択し、2R大当り遊技状態コマンドテーブルに設定されている2R大当り開始コマンドをセットする。さらに、小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態コマンドテーブル(図示しない)を選択し、小当り遊技状態コマンドテーブルに設定されている小当り開始コマンドをセットする。なお、これら開始コマンドは、上述したコマンド伝送出力処理(ステップS19)で周辺制御基板610に送信され、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、15R大当り開始コマンドに応じて15R大当り遊技状態の開始の演出表示を、2R大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドに応じて2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかを判別困難な演出表示を液晶表示装置115にて実行する。
次いで、CPU512は、セットされているフラグに応じた開閉パターンをセットする(ステップS451a)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態にて参照する大入賞口開閉パターンテーブル(図25(A)参照)を選択し、当該大入賞口開閉パターンテーブルに設定されている開閉パターンとして第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを2ラウンドまで開閉させ、第2開閉装置400の第2大入賞口開閉扉400bを3ラウンドから15ラウンドまで開閉させる開閉パターンをセットする。また、2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態にて参照する大入賞口開閉パターンテーブル(図25(A)参照)を選択し、当該大入賞口開閉パターンテーブルに設定されている開閉パターンとして第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを2ラウンドまで開閉させる開閉パターンをセットする。さらに、小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態にて参照する大入賞口開閉パターンテーブル(図25(A)参照)を選択し、第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを2回まで開閉させる開閉パターンをセットする。
また、CPU512は、セットされているフラグに応じた開閉回数を開閉回数カウンタにセットする(ステップS452)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態にて参照する大入賞口開閉回数テーブル(図25(B)参照)を選択し、当該大入賞口開閉回数テーブルに設定されている開閉回数として「15回」を開閉回数カウンタにセットする。一方、2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態および小当り遊技状態にて参照する大入賞口開閉回数テーブル(図25(B)参照)を選択し、当該大入賞口開閉回数テーブルに設定されている開閉回数として「2回」を開閉回数カウンタにセットする。
また、CPU512は、セットされているフラグに応じた開放時間を開放タイマにセットする(ステップS453)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態にて参照する開放時間テーブル(図25(C)参照)を選択し、当該開放時間テーブルに設定されている開放時間として「30秒」を開放タイマにセットする。一方、2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態および小当り遊技状態にて参照する開放時間テーブル(図25(C)参照)を選択し、当該開放時間テーブルに設定されている開放時間として「0.3秒」を開放タイマにセットする。セットされた開放タイマは、割込処理内で減算される。
そして、セットされている開閉パターンおよび開閉回数カウンタに応じた大入賞口開放フラグをセットする(ステップS454)。すなわち、開閉パターンおよび開閉回数カウンタに応じて開放状態にする大入賞口が第1大入賞口398aであれば、第1大入賞口開放フラグをセットし、開放状態にする大入賞口が第2大入賞口400aであれば、第2大入賞口開放フラグをセットする。ステップS454では、15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれの場合であっても、1ラウンドまたは1回目に開放状態にされる大入賞口が開閉パターンにもとづき第1大入賞口398aであることから、第1大入賞口開放フラグをセットする。なお、第1大入賞口開放フラグがセットされると、上述した特別電動役物遊技(ステップS18)にて第1大入賞口開閉ソレノイド572を可動制御して第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを開放状態にすることにより第1大入賞口398aを開放状態に制御する。また、第2大入賞口開放フラグがセットされると、上述した特別電動役物遊技(ステップS18)にて第2大入賞口開閉ソレノイド578を可動制御して第2開閉装置400の第2大入賞口開閉扉400bを開放状態にすることにより第2大入賞口400aを開放状態に制御する。そのため、大入賞口開放フラグをセットした後、開閉回数カウンタを1減算する(ステップS455)。また、当り遊技開始処理を終了するときには、処理選択フラグを「4」に更新する。これにより、次回の割込処理にて当り遊技中処理(ステップS44)が実行可能な状態となる。
図24は、当り遊技中処理(ステップS44)の一例を示すフローチャートである。当り遊技中処理では、当り開始処理の設定内容に応じて大入賞口を開閉制御するための処理等を実行する。
具体的には、CPU512は、当りフラグ(大当りフラグ、2R大当りフラグまたは小当りフラグ)がセットされている場合に(ステップS460)、待機フラグがセットされていれば(ステップS461)、待機時間タイマがタイムアウトしたか否かを判別し(ステップS462)、待機時間タイマがタイムアウトしていれば、待機フラグをリセットして(ステップS463)、フラグに応じた開放時間を開放タイマにセットする(ステップS464)。なお、待機フラグは、大入賞口を閉塞状態にした後、再び開放状態に制御するまでの待機中であることを示すフラグであり、待機時間タイマとは、大入賞口を閉塞状態にした後、再び開放状態に制御するまでの待機時間を示すタイマである。待機フラグがセットされているときに、待機時間タイマがタイムアウトすると、大入賞口を開放状態にするための処理を行う。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態にて参照する開放時間テーブルを選択し、当該開放時間テーブルに設定されている開放時間として「30秒」を開放タイマにセットする。一方、2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態にて参照する開放時間テーブルを選択し、当該開放時間テーブルに設定されている開放時間として「0.3秒」を開放タイマにセットする。
そして、セットされている開閉パターンおよび開放回数カウンタに応じた大入賞口開放フラグをセットする(ステップS464a)。すなわち、開放状態にする大入賞口が2ラウンドまたは2回目であれば、第1大入賞口開放フラグをセットし、開放状態にする大入賞口が3ラウンドから15ラウンドまでであれば、第2大入賞口開放フラグをセットする。
次いで、開放タイマがタイムアウトしていなければ(ステップS463)、大入賞口に遊技球の入賞検出があったか否か判別し(ステップS468)、遊技球の入賞検出があれば、入賞検出数に応じた大入賞口検出コマンドをセットする(ステップS469)。すなわち、スイッチ入力処理(ステップS11)で第1大入賞口カウントセンサ570または第2大入賞口カウントセンサ576により遊技球が検出されたと判別したときに、検出した遊技球の個数に応じた大入賞口検出コマンドをセットする。大入賞口検出コマンドは、コマンド伝送出力処理(ステップS19)にて周辺制御基板610に送信され、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、大入賞口検出コマンドに応じた個数の入賞があったことを通知する演出表示を液晶表示装置115にて実行する。
なお、15R大当り遊技状態では、大入賞口を開放状態に制御してから閉塞状態に制御するまでの1回のラウンドにて第1大入賞口カウントセンサ570または第2大入賞口カウントセンサ576により所定個数として「10個」の遊技球を検出したときに所定期間としての「30秒」が経過していなくても大入賞口を閉塞状態に制御する。すなわち、スイッチ入力処理(ステップS11)で、大当りフラグがセットされているときに「10個」の遊技球を検出した場合には、開放タイマをクリア(「0」)する。開放タイマをクリアすることにより当り遊技中処理のステップS465で開放タイマがタイムアウトしたと判別されて大入賞口を閉塞状態に制御するための処理が実行される。
一方、2R大当り遊技状態および小当り遊技状態では、大入賞口(ここでは、第1大入賞口398a)を開放状態に制御してから閉塞状態に制御するまでの1回の開閉にて第1大入賞口カウントセンサ570により所定個数として「10個」の遊技球を検出したときに所定期間としての「0.3秒」が経過していなくても大入賞口を閉塞状態に制御する。すなわち、スイッチ入力処理(ステップS11)で、2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされているときに「10個」の遊技球を検出した場合には、開放タイマをクリア(「0」)する。開放タイマをクリアすることにより当り遊技中処理のステップS465で開放タイマがタイムアウトしたと判別されて大入賞口を閉塞状態に制御するための処理が実行される。また、小当りフラグがセットされているときに「10個」の遊技球を検出した場合には、開閉回数カウンタもクリア(「0」)する。開閉回数カウンタをクリアすることにより当り遊技中処理のステップS470で開閉回数カウンタが0であると判別されて小当り遊技状態を終了するための処理が実行される。2R大当り遊技状態および小当り遊技状態では、15R大当り遊技状態にて開放状態とされる「30秒」に比べて格段に短い「0.3秒」しか大入賞口が開放状態に制御されないため、大入賞口に所定個数の遊技球が入賞することがほとんどなく、15R大当り遊技状態よりも大入賞口に入賞する遊技球の個数は少なくなる。
一方、ステップS465で開放タイマがタイムアウトしていれば、フラグに応じたラウンド(開閉)終了コマンドをセットする(ステップS466)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態コマンドテーブルの15R大当りラウンド終了コマンドをセットし、2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態コマンドテーブルの2R大当りラウンド終了コマンドをセットし、小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態コマンドテーブルの小当り開閉終了コマンドをセットする。なお、これら終了コマンドは、上述したコマンド伝送出力処理(ステップS19)で周辺制御基板610に送信され、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、フラグに応じたラウンド(開閉)終了コマンドに応じて当該ラウンドを終了した後に次のラウンドが開始されるまでのインターバル期間における演出表示を液晶表示装置115にて実行する。
そして、開放状態にある大入賞口に応じた大入賞口閉塞フラグをセットする(ステップS467)。なお、開放状態にある大入賞口が第1大入賞口398aであり、第1大入賞口閉塞フラグがセットされると、上述した特別電動役物遊技(ステップS18)にて第1大入賞口開閉ソレノイド572を可動制御して第1開閉装置398の第1大入賞口開閉扉398bを閉塞状態にすることにより第1大入賞口398aを閉塞状態に制御する。また、開放状態にある大入賞口が第2大入賞口400aであり、第2大入賞口閉塞フラグがセットされると、上述した特別電動役物遊技(ステップS18)にて第2大入賞口開閉ソレノイド578を可動制御して第2開閉装置400の第2大入賞口開閉扉400bを閉塞状態にすることにより第2大入賞口400aを閉塞状態に制御する。
そして、開閉回数カウンタが0でなければ(ステップS470)、開閉回数カウンタを1減算し(ステップS471)、待機時間を待機時間タイマにセットするとともに(ステップS472)、待機フラグをセットして(ステップS473)、処理を終了する。
一方、開閉回数カウンタが0であれば(ステップS470)、フラグに応じた終了コマンドをセットする(ステップS474)。すなわち、大当りフラグがセットされていれば、15R大当り遊技状態コマンドテーブルの15R大当り終了コマンドをセットし、2R大当りフラグがセットされていれば、2R大当り遊技状態コマンドテーブルの2R大当り終了コマンドをセットし、小当りフラグがセットされていれば、小当り遊技状態コマンドテーブルの小当り終了コマンドをセットする。なお、これら終了コマンドは、上述したコマンド伝送出力処理(ステップS19)で周辺制御基板610に送信され、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、15R大当り終了コマンドに応じて15R大当り時のラウンド回数の終了(15R大当り遊技状態の終了)の演出表示を液晶表示装置115にて実行する一方、2R大当り終了コマンドまたは小当り終了コマンドに応じて2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかを判別困難な演出表示を液晶表示装置115にて終了させる。
そして、当りフラグ(大当りフラグ、2R大当りフラグおよび小当りフラグ)をリセットし(ステップS475)、演出終了待ちタイマをセットする(ステップS476)。演出終了待ちタイマは、液晶表示装置115にて実行される演出(例えば、15R大当り終了表示、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかを判別困難な演出表示、等)が終了するまでの時間を示すタイマである。そして、以降の当り遊技中処理では、ステップS460でNOと判別され、演出終了待ちタイマがタイムアウトしたか否かを判別する処理が実行される(ステップS477)。ステップS477で演出終了待ちタイマがタイムアウトしていれば、処理選択フラグを「0」に更新して処理を終了する(ステップS478)。処理選択フラグを「0」に更新することにより、次回の割込処理にて変動開始処理(ステップS40)が実行可能な状態となる。
この実施の形態では、15R大当り遊技状態を実行する場合と、2R大当り遊技状態を実行する場合と、小当り遊技状態を実行する場合と、の処理を共通化している。すなわち、セットされているフラグにより選択するテーブルを異ならせるが実行される処理は略同一である。そのため、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態の制御に関するプログラムを追加することなく15R大当り遊技状態と2R大当り遊技状態と小当り遊技状態とを実行することが可能となり、主制御基板510に搭載されるROM514のデータ量を低減できる。
また、演出コマンドは、上述したコマンド伝送出力処理(ステップS19)で周辺制御基板610に送信されるが、セットされているフラグにより選択するテーブルを異ならせることで、15R大当り遊技状態を実行する場合と、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を実行する場合と、において送信される演出コマンドを異ならせている。このように、当り遊技状態の種類によって演出コマンドを異ならせることで、周辺制御基板610にて15R大当り遊技状態、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれの遊技状態にあるかを認識することができ、15R大当り遊技状態を実行する場合と、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を実行する場合と、において異なる演出表示を実行可能としている。従って、当り遊技状態により付与される価値に応じた演出を実行することができ、遊技の興趣の低下を抑制することができる。
また、15R大当り遊技状態が実行された場合には、15R大当り遊技状態コマンドテーブルから液晶表示装置115にて所定の演出表示を指定する演出コマンドを選択し、例えば、15R大当り開始コマンドによる15R大当り遊技状態の開始の演出表示のように、15R大当り遊技状態の開始や実行中を遊技者に明確に通知している。一方、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態が実行された場合には、2R大当り遊技状態コマンドテーブルまたは小当り遊技状態コマンドテーブルから液晶表示装置115にて所定の演出表示を指定する演出コマンドを選択するが、例えば、2R大当り開始コマンドと小当り開始コマンドとで同一の開始表示を実行することから、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態のいずれかを遊技者に明確に通知していない。ここで、2R大当り遊技状態または小当り遊技状態が実行された場合には、15R大当り遊技状態が実行された場合よりも第1大入賞口398aの開放時間が短く、開閉回数も少ないことから、第1大入賞口398aに遊技球を入賞させるタイミングが取りづらい。このため、液晶表示装置115には、2R大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドにもとづいて「上方(液晶表示装置115の上方に位置する第1開閉装置398)を狙ってね」等の演出表示が表示制御される。
次に、周辺制御基板610に搭載されるCPU612によって実行される処理について説明する。図26はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図27は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図26に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、CPU612は、初期設定処理を行う(ステップS71)。この初期設定処理は、周辺制御基板610に搭載されるRAM616をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS71)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS72)。
この実施の形態では、CPU612は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセット(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS72で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS73)、16ms定常処理を行う(ステップS74)。
この16ms定常処理では、主制御基板510から受信した演出コマンドにもとづいて液晶表示装置115、枠ランプ624、パネル装飾ランプ652、センター装飾ランプ304、スピーカ18,57等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS72に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS73〜ステップS74を繰り返し行う。一方、ステップS72で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図27は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、CPU612は、ステップS91〜ステップS95の処理を実行する。ステップS91のコマンド解析処理では、主制御基板510から受信した演出コマンドを解析する。ステップS92の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドにもとづいて液晶表示装置115に関わる制御処理を実行する。具体的には、後述する予告演出の設定、装飾図柄の停止図柄の決定、等を行う。
また、ステップS93の音制御処理では、スピーカ18,57に関わる制御処理を実行する。ステップS94のランプ制御処理では、パネル装飾ランプ652、センター装飾ランプ304、回転部LED基板670、枠ランプ624に関わる制御処理を実行する。ステップS95の情報出力処理では、表示装置制御基板116に表示コマンドを送信するとともに、ランプ駆動基板650に駆動信号およびランプ点灯信号を送信する。ステップS96の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS92)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
ここで、上述した乱数更新処理(ステップS96)で周辺制御基板610に搭載されるCPU612により更新される各種乱数について図28を参照して説明する。図28に示すように、この実施の形態では、装飾図柄の停止図柄として確変大当り図柄の決定に用いられる確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄として非確変大当り図柄の決定に用いられる非確変大当り図柄乱数、装飾図柄の停止図柄としてはずれ図柄の決定に用いられるはずれ図柄乱数、なお、各種乱数(確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、等)は、コマンド解析処理(ステップS91)にて主制御基板510から受信した演出コマンドが変動表示パターンであるときに取得される。
また、16ms定常処理におけるステップS91〜ステップS96の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS91のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS72で16ms経過フラグがセットされていると判定されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS96)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図29は、コマンド解析処理(ステップS91)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、CPU612は、まず、主制御基板510から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS601)。この実施の形態では、主制御基板510から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、周辺制御基板610に搭載されるRAM616における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS601では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、受信コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS602)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS603)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS603にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、周辺制御基板610に搭載されるRAM616における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS604)。なお、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるときには、乱数更新処理(ステップS96)で更新される各種乱数(確変大当り図柄乱数、非確変大当り図柄乱数、はずれ図柄乱数、等)を取得し、RAM616の所定の保存領域に記憶する処理も行う。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS603にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS605)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS605にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS606)。また、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS605にてNO)、受信した演出コマンド(確変大当りコマンド以外の当落コマンド(非確変大当りコマンド、2R大当りコマンド、小当りコマンド)、遊技状態コマンド、変動停止コマンド、大当り開始コマンド、等)に対応したフラグをセットする(ステップS607)。
なお、確変大当りフラグおよび非確変大当りフラグ(非確変大当りコマンドに対応したフラグ)は、後述する当り表示処理(ステップS702)にて15R大当り遊技状態を開始するときにリセットされる。また、2R大当りフラグ(2R大当りコマンドに対応したフラグ)および小当りフラグ(小当りコマンドに対応したフラグ)も、当り表示処理(ステップS702)にてそれぞれ2R大当り遊技状態または小当り遊技状態を開始するときにリセットされる。また、これらの当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、後述する装飾図柄変動処理(ステップS701)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、当り表示処理(ステップS702)でそれぞれの当り遊技状態を終了するときにリセットするようにしてもよい。
図30は、演出制御処理(ステップS92)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、CPU612は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS700〜ステップS702のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS700)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定するとともに、予告演出等の設定を行い、処理選択フラグを「1」に更新する。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS701)では、変動停止コマンドを受信したときに表示装置制御基板116に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行い、主制御基板510から大当り開始コマンドまたは小当り開始コマンドを受信していれば処理選択フラグを「2」に更新し、主制御基板510から小当り開始コマンドおよび小当り開始コマンドを受信していなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
処理選択フラグが「2」のときに実行される当り表示処理(ステップS702)では、主制御基板510から大当り開始コマンドを受信していれば液晶表示装置115に大当り遊技状態の開始を示す表示を行うとともに、主制御基板510から送信される大当り中コマンドに応じて大当り遊技状態中の表示(例えば、ラウンド表示等)を行うための制御を実行し、大当り終了コマンドを受信していれば大当り遊技状態の終了表示を行い、処理選択フラグを「0」に更新する。また、主制御基板510から小当り開始コマンドを受信していれば液晶表示装置115に2R大当り遊技状態またば小当り遊技状態のいずれであるか判別困難な演出表示を開始するための制御を実行し、小当り終了フラグを受信していれば小当り開始フラグにもとづく演出表示を終了し、処理選択フラグを「0」に更新する。
図31は、装飾図柄変動開始処理(ステップS700)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、CPU612は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS710)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)のステップS604でセットされ、主制御基板510から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。すなわち、ステップS710で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(ステップS710にてNO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS710にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS711)、受信した当落コマンドが当りを示すコマンドであるか判別するとともに、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS712)。当りパターンであるか否かは、変動表示パターンコマンドの2バイト目のデータを参照することにより確認できる。
当落コマンドが当りを示すコマンドでなければ(ステップS712にてNO)、はずれ図柄の停止図柄を決定する(ステップS713)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS712にてYES)、2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされているか(当りを示すコマンドのうち2R大当りまたは小当りを示すコマンドであるか)判別する(ステップS714)。2R大当りフラグおよび小当りフラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)でそれぞれ2R大当りコマンドまたは小当りコマンドを受信したことにもとづいてセットされ、それぞれ2R大当り遊技状態または小当り遊技状態に制御することを示すフラグである。この場合には、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが変動番号16の「2R大当り時通常変動」または変動番号17の「小当り時通常変動」のいずれかであり、装飾図柄の停止図柄としてチャンス目を停止表示する。すなわち、ステップS714で2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされていると判別したときには(ステップS714にてYES)、装飾図柄の停止図柄をチャンス目に決定する(ステップS715)。
一方、ステップS714で2R大当りフラグまたは小当りフラグがセットされていないと判別したときには(ステップS714にてNO)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS716)、確変大当りフラグがセットされていれば(ステップS716にてYES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS717)。また、ステップS716で確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS716にてNO)、非確変大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS718)。確変大当りフラグおよび非確変大当りフラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS91)でそれぞれ確変大当りコマンドまたは非確変大当りコマンドを受信したことにもとづいてセットされ、15R大当り遊技状態に制御することを示すフラグである。
この実施の形態では、装飾図柄の確変大当り図柄として同一の奇数図柄(特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定し、装飾図柄の非確変大当り図柄として同一の偶数図柄(非特定図柄)の組み合わせのうちいずれかの組み合わせの図柄を停止図柄として決定する。また、ステップS713ではずれ図柄の停止図柄を決定するときに、リーチ態様を伴う変動表示パターンであるかを判別し、リーチ態様を伴う変動表示パターンであれば、装飾図柄のはずれ図柄として上・中・下の装飾図柄のうち上および下の装飾図柄が同一図柄であり、中の装飾図柄は上および下の装飾図柄とは異なる図柄となる停止図柄に決定する。一方、リーチ態様を伴わない変動表示パターンであれば、装飾図柄のはずれ図柄として上・中・下の装飾図柄のそれぞれが異なる図柄となる停止図柄に決定する。
次いで、CPU612は、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」であるか否かを判別する(ステップS719)。変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンである場合には、駆動演出が実行された後の二面の表示領域(二面駆動位置)にて装飾図柄の組み合わせが大当り図柄を形成するように、駆動演出が実行される以前の三面の表示領域(三面駆動位置)のうち離散した左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域にて装飾図柄の組み合わせが大当り図柄を形成する仮停止図柄を仮停止表示しなければならない。すなわち、変動番号13,14の変動表示パターンであれば(ステップS719にてYES)、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域にて大当り図柄となる仮停止図柄を決定する(ステップS720)。
ここで、当落の結果が当りとなる変動番号14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンである場合には、ステップS717,S718で装飾図柄の停止図柄として確変大当り図柄または非確変大当り図柄を停止表示することを既に決定しており、二面の表示領域への切替に伴って当該確変大当り図柄または非確変大当り図柄を形成する仮停止図柄に決定している。一方、当落の結果がはずれとなる変動番号13の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターンである場合には、ステップS713で装飾図柄の停止図柄としてはずれ図柄を停止表示することを既に決定しているが、二面の表示領域に切替えたときに大当り図柄を形成する仮停止図柄を仮停止表示しなければならず、装飾図柄の停止図柄(はずれ図柄)をステップS720で決定した仮停止図柄に置換している。
次いで、CPU612は、予告演出を実行するか否かの判定や当該予告演出の種別の決定を行う予告選択処理(ステップS721)を実行した後、変動表示パターンと、後述する予告種類格納領域に記憶される予告パターンと、ステップS713,S715,S717,S718,S720で決定した装飾図柄の停止図柄(および仮停止図柄)と、に応じた表示コマンドをセットする(ステップS722)。
なお、ステップS722でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS95)にて表示装置制御基板116に送信され、表示装置制御基板116に搭載されるCPU632により当該表示コマンドを受信したことにもとづいて液晶表示装置115にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。また、ステップS721で予告種類格納領域に記憶される予告パターンを読み出したときには、当該予告パターンを読み出した後、予告種類格納領域の内容をクリアする。これにより、次回の装飾図柄の変動表示にて誤って以前の装飾図柄の変動表示を開始するときに決定した予告パターンの予告演出が実行されることを防止できる。
次いで、CPU612は、受信した変動表示パターンコマンドにもとづく変動表示パターンが変動番号9〜12の「駆動系リーチ」または変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」であるか否かを判別する(ステップS723)。変動番号9〜14の変動表示パターンであれば(ステップS723にてYES)、変動表示パターンに応じた液晶駆動データを選択する(ステップS724)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS725)。
なお、周辺制御基板610に搭載されるCPU612は、液晶駆動データに設定されたタイマ(左右の駆動部モータ658a,658bおよび左右の回転部モータ668a,668bの駆動開始時期、駆動時間、等)をスタートし、当該タイマにもとづいて液晶駆動データに設定された制御コマンドを情報出力処理(ステップS95)でランプ駆動基板650側に送信する。ランプ駆動基板650では、制御コマンドにもとづいて左右の駆動部モータ658a,658bおよび左右の回転部モータ668a,668bに駆動信号を出力する。これにより、装飾図柄の変動表示の開始後の所定のタイミングで、液晶駆動データに設定された駆動態様で左右の回転部モータ668a,668bおよび左右の駆動部モータ658a,658bを駆動制御することが可能となり、三面の表示領域(三面駆動位置)から二面の表示領域(二面駆動位置)への切替動作と液晶表示装置115の演出表示(画像表示)とが同期した駆動演出を実行することができる。
次に、液晶表示装置115にて三面の表示領域(三面駆動位置)から二面の表示領域(二面駆動位置)への切替を伴う駆動演出の演出例について図32乃至図36を参照して説明する。図32は、装飾図柄の配列の一例を示す説明図である。
装飾図柄110a〜110cは、図32(A)〜(C)に示すように、「1」〜「6」の6種類の数字図柄とともに対応する海洋生物が描かれた絵図柄から構成されている。このように、数字図柄と海洋生物の絵図柄とを対応させることで、変動表示中の図柄がいずれの図柄であるかを遊技者に認識しやすくしている。また、数字図柄は、「1」、「3」、「5」の3種類の奇数図柄(特定図柄)と、「2」、「4」、「6」の3種類の偶数図柄(非特定図柄)と、に分類される。さらに、所定の数字図柄に隣接する図柄部分には、ブランク(星マーク)が設けられている。
また、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示は、液晶表示装置115の全域の表示領域にて右方から左方に向けて変動する横スクロールの表示態様で表示制御される。ここで、上装飾図柄110aの変動表示は、図32(A)に示すように「6」から「1」の数字図柄の順序の配列で、液晶表示装置115の全域の表示領域の上方にて横スクロールが行われる。一方、中装飾図柄110bおよび下装飾図柄110cの変動表示は、図32(B)および(C)に示すように「1」から「6」の数字図柄の順序の配列で、液晶表示装置115の全域の表示領域のそれぞれ略中央および下方にて横スクロールが行われる。すなわち、中装飾図柄110bおよび下装飾図柄110cの数字図柄の配列は、上装飾図柄110aの数字図柄の配列と比べて逆の順序に設定されている。
図33乃至図34では、シングルラインのリーチ態様を形成した後、駆動演出を実行する変動表示パターン(変動番号9〜12の「駆動系リーチ」の変動表示パターン)の場合を例示する。なお、シングルラインのリーチ態様とは、上装飾図柄110aおよび下装飾図柄110cが順に停止表示されたときに、リーチ態様が縦方向または斜め方向のいずれか一列のみ形成された表示態様である。
表示装置制御基板116に搭載されるCPU632は、受信した表示コマンドにもとづいてROM636からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいてタイマ(表示画像の切替タイミング等を示す)をセットするとともに、左液晶表示装置115a、右液晶表示装置115bおよび中液晶表示装置115cそれぞれに駆動信号を出力して三面の表示領域にて装飾図柄110a〜110cの変動表示を開始する(図33(A))。このとき、各液晶表示装置は、三面駆動位置(図13(A)参照)に駆動制御されており、三面の表示領域が形成されている。そして、装飾図柄110a〜110cの各々は、三面の表示領域にまたがって表示制御されているが、その隣接する側の端部を意識させないことで、遊技者に違和感を生じさせない変動表示を実現している。
この実施の形態では、液晶表示領域115の三面の表示領域のうち両側の二面の表示領域に角度を付けて配置していることで、センター役物300の開口部301の開口面積以上に幅広い表示領域を確保している。そして、この幅広い三面の表示領域では、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示に対して多くの図柄を表示制御することができる。具体的には、表示領域が開口部301の開口面積と同等である場合、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示に対して表示制御される図柄数がブランクを含めて5図柄程度であるが、開口部301の開口面積以上の三面の表示領域とすることで、ブランクを含めて7図柄程度を表示制御している。これにより、上装飾図柄110aと下装飾図柄110cとの停止図柄でリーチ態様を形成可能な箇所を増大させることができ、装飾図柄110a〜110cの変動表示にてリーチ態様を形成する割合が高まったかのように見せることができる。
また、この実施の形態では、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示が液晶表示領域115の三面の表示領域の左方に向けて変動する横スクロールの表示態様で表示制御されている。すなわち、三面の表示領域の上下方向ではなく、上下方向よりも幅の長い左右方向に対して装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示が実行されることで、各々の数字図柄が表示制御される表示期間が長くなる。これにより、上装飾図柄110aのみ停止表示され、未だ停止表示されていない下装飾図柄110cがリーチ態様を形成可能な数字図柄で停止表示されるか否かに注目しているときには、リーチ態様を形成可能な数字図柄に対してリーチ態様を形成する位置のかなり手前から視線を向けることができ、装飾図柄の変動表示に対する興趣を高めることができる。
また、この実施の形態では、数字図柄の種類が「1」〜「6」の6種類であり、一般的な数字図柄の種類よりも少なめに構成されている。これにより、装飾図柄の全ての組み合わせに対してリーチ態様を形成する割合を高めることができ(ただし、実際のリーチ態様を形成する割合は、リーチ判定乱数による判定にもとづく)、この場合にも、装飾図柄110a〜110cの変動表示にてリーチ態様を形成する割合が高まったかのように見せることができる。また、リーチ態様を形成したときには、見掛け上の大当り図柄を形成する割合も高めることができ(ただし、実際の大当り確率は、大当り判定乱数による大当り判定にもとづく)、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
図33(A)で装飾図柄110a〜110cの変動表示を開始した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、所定時間経過後に上装飾図柄110aおよび下装飾図柄110cを順に停止表示する(図33(B))。このとき、下装飾図柄110cは、主制御基板510から送信された変動番号9〜12の「駆動系リーチ」の変動表示パターンがリーチ態様を伴う変動表示パターンであり、左液晶表示装置115aの表示領域の右方に形成された一列の縦ラインにて、上装飾図柄110aと同一の停止図柄(同図中では、「6」を例示)で停止表示している。
図33(B)でシングルラインのリーチ態様を形成した後、所定時間経過後に制御コマンドにもとづく駆動信号を左右の回転部モータ668a,668bおよび左右の駆動部モータ658a,658bに順に出力し、駆動演出として三面の表示領域から二面の表示領域への切替動作を開始する。すなわち、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置(図13(A)参照)から二面駆動位置(図13(E)参照)に駆動制御する(図33(C)〜図34(E))。
また、二面の表示領域への切替動作に伴って、中液晶表示装置115cの表示領域が左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域により徐々に遮蔽され、遊技者が前面から視認可能な表示領域も徐々に狭くなる。具体的には、三面の表示領域にて、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示(または停止表示)に対して表示制御される図柄数がブランクを含めて7図柄程度であるが、図33(C)に示す駆動位置(図13(C)参照)にて5図柄、図33(D)に示す駆動位置(図13(D)参照)にて4図柄、図34(E)に示す二面駆動位置(図13(E)参照)にて3図柄と、表示制御される図柄数が徐々に減少している。ここでは、プロセスデータにもとづく処理を実行し、表示領域の組み合わせにてシングルラインのリーチ態様とその両側の縦ラインを常に表示しつつ、三面の表示領域にて表示制御された右側の表示態様から順に、リーチ態様とは関係のない図柄を非表示としている。
図34(E)で二面の表示領域を形成したときには、プロセスデータにもとづく処理を実行し、シングルラインのリーチ態様を中心としてその両側の縦ラインとともに表示制御する。また、シングルラインのリーチ態様は、二面の表示領域にまたがって表示制御されているが、この場合にも、その隣接する側の端部を意識させないことで、遊技者に違和感を生じさせない変動表示を実現している。また、二面の表示領域への切替に伴って、三面の表示領域よりも一つの数字図柄あたりの表示面積を若干、拡大して表示制御している。これにより、リーチ態様を構成する図柄および未だ停止表示されていない中装飾図柄110bを認識しやすくなり、大当り図柄が導出されるか否かに遊技者の意識を集中させることができる。
この実施の形態では、二面の表示領域への切替動作に伴って、三面の表示領域にてリーチ態様を形成している部分を局所的に表示している。このように、リーチ態様を形成した後、駆動演出を実行し、遊技者にとって必要のない情報(リーチ態様を形成していない部分)を省くことで、これらの情報に惑わされることなく、リーチ態様を形成している部分、すなわち中装飾図柄110bが上下の装飾図柄110a,110cと同一図柄で停止表示するか否かに遊技者の意識を集中させることができる。また、図33(B)に示すように三面の表示領域の略中央にてリーチ態様が形成されなくとも、二面の表示領域への切替動作に伴って当該二面の表示領域の略中央にリーチ態様が移動表示されることで、リーチ態様を形成している部分を良好に視認させることができ、装飾図柄の変動表示に対する興趣を高めることができる。
図34(E)で二面の表示領域を形成した後、さらにプロセスデータにもとづく処理を実行し、未だ停止表示されていない中装飾図柄110bを所定の停止図柄(同図中では、「6」を例示)で停止表示(確定表示)する(図34(F))。停止表示された装飾図柄110a〜110cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとなることで、当該変動表示の結果、「大当り」であることを遊技者に認識させる。一方、当落の結果がはずれとなる変動表示パターンであれば、未だ停止表示されていない中装飾図柄110bを上下の装飾図柄110a,110cとは異なる停止図柄で停止表示(確定表示)する。
図35では、トリプルラインのリーチ態様を形成した後、駆動演出を実行する変動表示パターン(変動番号9〜12の「駆動系リーチ」の変動表示パターン)の場合を例示する。なお、トリプルラインのリーチ態様とは、上装飾図柄110aおよび下装飾図柄110cが順に停止表示されたときに、リーチ態様が縦方向または斜め方向のいずれか三列形成された表示態様である。
表示装置制御基板116に搭載されるCPU632は、受信した表示コマンドにもとづいてROM636からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいて装飾図柄110a〜110cの変動表示を開始した後、所定時間経過後に上装飾図柄110aおよび下装飾図柄110cを順に停止表示する(図35(A))。このとき、中液晶表示装置115cの表示領域の中央付近に形成された一列の縦ラインおよび二列の斜めラインにて、上装飾図柄110aと下装飾図柄110cとが同一の停止図柄(同図中では、縦ラインにて「4」を、斜めラインにて「3」および「5」を例示)で停止表示している。
図35(A)でトリプルラインのリーチ態様を形成した後、所定時間経過後に制御コマンドにもとづく駆動信号を左右の回転部モータ668a,668bおよび左右の駆動部モータ658a,658bに順に出力し、駆動演出として三面の表示領域から二面の表示領域への切替動作を開始する。すなわち、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置(図13(A)参照)から二面駆動位置(図13(E)参照)に駆動制御する(図35(B)〜(D))。また、二面の表示領域への切替動作に伴って、トリプルラインのリーチ態様を常に表示しつつ、三面の表示領域にて表示制御された左右両側の表示態様から順に、リーチ態様とは関係のない図柄を非表示としている。
図35(D)で二面の表示領域を形成したときには、プロセスデータにもとづく処理を実行し、三面の表示領域にてトリプルラインのリーチ態様を形成している部分のみを局所的に表示制御する。なお、トリプルラインのリーチ態様を形成したときには、そのライン上にて中装飾図柄110bを「3」、「4」、「5」のいずれの数字図柄で停止表示しても大当り図柄となり、見掛け上の大当り図柄を形成する割合を高めることができ(ただし、実際の大当り確率は、大当り判定乱数による大当り判定にもとづく)、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
図36では、四ラインのリーチ態様を形成した後、駆動演出を実行する変動表示パターン(変動番号9〜12の「駆動系リーチ」の変動表示パターン)の場合を例示する。
表示装置制御基板116に搭載されるCPU632は、受信した表示コマンドにもとづいてROM636からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいて装飾図柄110a〜110cの変動表示を開始した後、所定時間経過後に上装飾図柄110aおよび下装飾図柄110cを順に停止表示する(図36(A))。このとき、中液晶表示装置115cの表示領域の右方から右液晶表示装置115bの表示領域にかけて形成された一列の縦ラインおよび二列の斜めラインにて、上装飾図柄110aと下装飾図柄110cとが同一の停止図柄(同図中では、縦ラインにて「4」を、斜めラインにて「3」および「5」を例示)で停止表示することに加えて、これらのトリプルラインとは離れた左液晶表示装置115aの表示領域の左方に形成された一列の縦ラインにて、上装飾図柄110aと下装飾図柄110cとが同一の停止図柄(同図中では、「1」を例示)で停止表示している。すなわち、三面の表示領域には、トリプルラインのリーチ態様およびシングルラインのリーチ態様の合わせて四ラインのリーチ態様が形成されている。
図36(A)で四ラインのリーチ態様を形成した後、所定時間経過後に制御コマンドにもとづく駆動信号を左右の回転部モータ668a,668bおよび左右の駆動部モータ658a,658bに順に出力し、駆動演出として三面の表示領域から二面の表示領域への切替動作を開始する。すなわち、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置(図13(A)参照)から二面駆動位置(図13(E)参照)に駆動制御する(図36(B)〜(D))。また、二面の表示領域への切替動作に伴って、トリプルラインのリーチ態様およびシングルラインのリーチ態様を常に表示しつつ、三面の表示領域のうち中液晶表示装置115cの表示領域にて表示制御された左方の表示態様から順に、リーチ態様とは関係のない図柄を非表示としている。
ここで、二面の表示領域に切替えられる過程では、図36(B)および(C)に示すように、シングルラインのリーチ態様を形成する数字図柄(同図中では、「1」を例示)を絵図柄とともに横幅(左右方向の幅)を徐々に拡大表示する。そして、トリプルラインのリーチ態様を形成する数字図柄と重なり合うときには、図36(D)に示すように、拡大表示された数字図柄をトリプルラインのリーチ態様を形成する数字図柄の背面に滑り込ませる。このとき、トリプルラインのリーチ態様を形成する数字図柄を半透明の表示態様に変更して表示制御することで、トリプルラインのリーチ態様を透き通してシングルラインのリーチ態様も遊技者に視認可能としている。
図36(D)で二面の表示領域を形成したときには、プロセスデータにもとづく処理を実行し、三面の表示領域にてトリプルラインおよびシングルラインのリーチ態様を形成している部分を合わせて局所的に表示制御する。なお、重ね合わされた四ラインのリーチ態様を形成したときには、トリプルライン上にて中装飾図柄110bを「3」、「4」、「5」のいずれの数字図柄で停止表示しても大当り図柄となる。さらに、シングルラインのリーチ態様では、数字図柄が3図柄分の大きさで拡大表示されており、これらの拡大表示された数字図柄に挟まれた中装飾図柄110bの変動表示領域の範囲内であれば、「1」の数字図柄をいずれの箇所で停止表示しても大当り図柄となる。これらにより、見掛け上の大当り図柄を形成する割合を高めることができ(ただし、実際の大当り確率は、大当り判定乱数による大当り判定にもとづく)、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
この実施の形態では、二面の表示領域への切替に伴って、三面の表示領域にてリーチ態様を形成している部分を局所的に表示制御している。このとき、二面の表示領域が三面の表示領域と比べて表示面積が限られていることから、例えば装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示に対して表示可能な図柄数が3図柄までとなり、四ラインのリーチ態様を並べて表示制御することができない。しかしながら、半透明の表示態様を伴ってリーチ態様の重ね合わせを実行することで、二面の表示領域にて表示面積が限られながらも、三面の表示領域にて形成されたリーチ態様の全てを表示制御することができる。
図37では、装飾図柄の仮停止図柄としてはずれ図柄を仮停止表示した後、駆動演出を実行する変動表示パターン(変動番号13,14の「通常変動後駆動演出」の変動表示パターン)の場合を例示する。
表示装置制御基板116に搭載されるCPU632は、受信した表示コマンドにもとづいてROM636からプロセスデータを読み出し、当該プロセスデータにもとづいて装飾図柄110a〜110cの変動表示を開始した後、所定時間経過後に上装飾図柄110a、下装飾図柄110cおよび中装飾図柄110bを順に仮停止表示する(図37(A))。このとき、三面の表示領域にていずれのライン(縦ラインまたは斜めライン)にも大当り図柄を形成しておらず、遊技者にははずれ図柄が停止表示されたと思わせることができる。
次いで、所定時間経過後に制御コマンドにもとづく駆動信号を左右の回転部モータ668a,668bおよび左右の駆動部モータ658a,658bに順に出力し、駆動演出として三面の表示領域から二面の表示領域への切替動作を開始する。すなわち、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bを三面駆動位置(図13(A)参照)から二面駆動位置(図13(E)参照)に駆動制御する(図37(B)〜(D))。また、二面の表示領域への切替動作に伴って、三面の表示領域にて表示制御された表示態様をそれぞれ固定しつつ、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域により中液晶表示装置115cの表示領域を徐々に遮蔽している。
ここで、二面の表示領域に切替えられる過程では、図37(B)および(C)に示すように、左液晶表示装置115aの表示領域に仮停止表示された「6」の数字図柄と、右液晶表示装置115bの表示領域に仮停止表示された「6」の数字図柄と、の組み合わせが大当り図柄を形成するか否かの状態で、左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bの表示領域が徐々に近づく。そして、二面の表示領域に切替えられたときには、図37(D)に示すように、仮停止表示された装飾図柄110a〜110cの組み合わせが斜めラインにて同一図柄の組み合わせとなることから、大当り遊技状態に対する期待感を高めることができる。
図37(D)で二面の表示領域を形成した後、プロセスデータにもとづく処理を実行し、仮停止表示されていた装飾図柄110a〜110cを所定の停止図柄(同図中では、「6」を例示)で停止表示(確定表示)する。停止表示された装飾図柄110a〜110cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとなることで、当該変動表示の結果、「大当り」であることを遊技者に認識させる。一方、当落の結果がはずれとなる変動表示パターンであれば、二面の表示領域に切替えられる過程となる中途位置から再び三面駆動位置に駆動制御することで、大当り図柄を形成していない装飾図柄110a〜110cの仮停止図柄をそのまま停止表示(確定表示)する。
この実施の形態では、二面の表示領域への切替に伴って、三面の表示領域にて仮停止表示されたはずれ図柄から一転して大当り図柄を表示制御している。このように、リーチ態様を経ることなくはずれ図柄から突然、大当り図柄が導出されることで、単に装飾図柄110a〜110cの組み合わせが同一図柄の組み合わせとなるか否かの変動表示のみが実行されるよりも、遊技者に多大なインパクトを与えることができ、駆動演出に対する興趣を増大させることができる。
上記実施形態では、中液晶表示装置115cを正面に固定し、その左右両側に左液晶表示装置115aおよび右液晶表示装置115bが隣り合って三面の表示領域を形成しているが、複数の液晶表示装置が互いに隣接する側の端部を意識させない複数面の表示領域が形成されていればよく、例えば、中液晶表示装置の左右両側に加えて上下両側にも液晶表示装置を隣接させて、五面の表示領域を形成する構成としてもよい。この場合にも、特定の条件(例えば、リーチ態様の形成)を契機に、一部の液晶表示装置を駆動することで表示領域の組み合わせを切替えればよく、三面から二面への表示領域の切替と同様に演出表示を単調とすることなく、遊技の興趣を高めることができる。
また、上記実施形態では、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示が液晶表示領域115の三面の表示領域の左方に向けて変動する横スクロールの表示態様で表示制御されているが、三面の表示領域の下方(または上方)に向けて変動する縦スクロールの表示態様で表示制御してもよい。この場合、装飾図柄110a〜110cの各々の変動表示に対して表示制御される図柄数が横スクロールの表示態様よりも少なくなるが、装飾図柄の変動表示の列を横スクロールの表示態様よりも増大させることができる(例えば、横スクロールの表示態様にて上・中・下の装飾図柄110a〜110cの3列であったのを、縦スクロールの表示態様にて7列に変更する)。したがって、横スクロールの表示態様と同様にリーチ態様を形成可能な箇所を増大させることができ、装飾図柄110a〜110cの変動表示にてリーチ態様を形成する割合が高まったかのように見せることができる。
また、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、スロットマシーンや、パチンコ機とスロットマシーンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。