以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。正面から見たパチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、前面装飾体3と、前面装飾体3の下方に位置するベース部80から構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
複数種類の特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。一例として、「0」〜「9」を示す数字それぞれには、「0」〜「9」の図柄番号が付され、「−」を示す記号には、「10」の図柄番号が付されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはともに、例えば方形状に形成されている。なお、第1特図の種類と第2特図の種類は同じ(例えば、ともに「0」〜「9」を示す数字、及び、「−」を示す記号)であってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば「00」〜「99」を示す数字(あるいは2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、画像表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄には、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)で構成される。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「8」)である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である飾り図柄が表示される。あるいは、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の飾り図柄表示エリア5Lなど)において、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である飾り図柄が表示されるようにしてもよい。
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第2特図保留記憶数は、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部(例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数を含む一方で合計保留記憶数は除く概念)を指すこともあるものとする。
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図示しないソレノイドによって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用の図示しないソレノイドがオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しがたい通常開放状態となる。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用の図示しないソレノイドがオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となる傾動制御により、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすい拡大開放状態となる。なお、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態であるときでも、第2始動入賞口には遊技球が進入可能であるものの、拡大開放状態であるときよりも遊技球が進入する可能性が低くなるように構成してもよい。あるいは、普通可変入賞球装置6Bは、通常開放状態において、例えば第2始動入賞口を閉鎖することなどにより、第2始動入賞口には遊技球が進入しないように構成してもよい。このように、第2始動領域としての第2始動入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすい拡大開放状態と、遊技球が通過(進入)しにくいまたは通過(進入)できない通常開放状態とに変化する。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図示しない第1始動口スイッチや第2始動口スイッチによってそれぞれ検出される。第1始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置6Cが設けられている。特別可変入賞球装置6Cは、図示しないソレノイドによって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置6Cでは、大入賞口扉用のソレノイドがオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくする。その一方で、特別可変入賞球装置6Cでは、大入賞口扉用のソレノイドがオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくする。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図示しないカウントスイッチによって検出される。カウントスイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置6Cにおいて開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置6Cにおいて大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置6Cにおいて大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(可変表示)する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。
普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート26を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、第1始動入賞口、第2始動入賞口及び大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口7が設けられている。
パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置6C等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。ベース部80の右側にはには、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)30が設けられている。例えば、打球操作ハンドル30は、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドル30には、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
また、パチンコ遊技機においては、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿81(打球供給皿)が設けられている。また、上皿81の下方には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿82が設けられている。
スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、トリガボタンに対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサが内蔵されていればよい。
スティックコントローラ31Aの下部には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニットが設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
上皿81の右側には、例えば遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における前面装飾体3の内部には、プッシュボタン31Bに対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。なお、スティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bは、遊技者による操作が検出された場合、図2に示す演出制御基板12によって画像表示装置5における表示演出が変更されたり、図示しないスピーカからの音声出力や図示しない遊技効果ランプなどの発光体における点灯動作(点滅動作)などが行われる演出(例えば予告演出やリーチ演出)などにおいて使用されればよい。
図2は、パチンコ遊技機1の背面図である。この実施の形態におけるパチンコ遊技機1の背面側には、主要基板として、電源基板10と、主基板11と、演出制御基板12と、音声制御基板13と、ランプ制御基板14と、払出制御基板15と、情報端子基板16とがそれぞれ適所に配設されている。なお、主要基板のうち、演出制御基板12、音声制御基板13及びランプ制御基板14は、それぞれ独立した基板として、例えば、後述する遊技盤の収容ボックス(図9)に収容された状態で配置されている。さらに、演出制御基板12、音声制御基板13及びランプ制御基板14を、まとめて1つの基板として構成してもよい。なお、後述する遊技盤の収容ボックスの後面は、板材で覆われている。従って、図2の背面図においては収容ボックス内部は視認することはできない。しかしながら、図2においては、基板の配置構成等の理解を容易にするために、収容ボックス後面の板材は図示を省略して内部にある基板等を図示している。
電源基板10は、パチンコ遊技機1内の各回路に所定の電源電圧を供給するものである。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、可変表示ゲームにおいて用いる乱数の生成機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14及び払出制御基板15などからなるサブ側の制御基板に対して、それぞれ指令情報の一例となる制御コマンドを、遊技の進行を制御する制御信号として出力し送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。
演出制御基板12は、主基板11とは独立して可変表示ゲームにおける画像処理のための表示制御を行うものである。演出制御基板12は、主基板11から出力される表示制御コマンドに基づいて、可変表示ゲームに用いられる画像を画像表示装置5上に表示させるとともに、普通図柄表示器20の点灯/消灯制御を行う。すなわち、演出制御基板12は、主基板11からの制御コマンドに基づいて画像表示装置5の表示動作を制御することによって、遊技の進行に関わる画像表示による演出を制御する。
音声制御基板13、ランプ制御基板14は、主基板11から送信される制御コマンドに基づいて、音声出力制御、ランプ出力制御を、それぞれ主基板11とは独立して実行するサブ側の制御基板である。すなわち、音声制御基板13は、主基板11からの制御コマンドに基づいて図示しないスピーカによる音声出力動作を制御することによって、遊技の進行に関わる音声による演出を制御する。また、ランプ制御基板14は、主基板11からの制御コマンドに基づいて図示しない遊技効果ランプの点灯/消灯動作を制御することによって、遊技の進行に関わるランプの点灯、点滅あるいは消灯による演出を制御する。払出制御基板15は、遊技球の貸出や賞球等の払出制御を行うものである。情報端子基板16は、各種の遊技関連情報を外部に出力するためのものである。
次に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る遊技機を構造詳細について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図である。図4、5は、本発明の実施形態に係る遊技機の分解斜視図である。図6は、図5中の各部分を拡大した拡大図である。なお、図3に示すように、パチンコ遊技機1を正面(後述する前方)から見た場合の上下左右方向をそのまま以下の説明で用いるとともに、パチンコ遊技機1に対して遊技者が位置する側を前方(その反対側を後方)として以下の説明をする。なお、図に示すように、パチンコ遊技機1は、各構成部材が前後方向に重なって構成されている。これらの各構成部材を順にその詳細について説明する。なお、図3以降の図面においては、遊技盤2の遊技領域の詳細については図示を省略している。
パチンコ遊技機1は、上下方向に縦長の方形状の外枠50を有している。外枠50は、木製の板材からなる上板51及び下板52と、鋼製の板材からなる左右の側板53、54とから構成されている。上板51と左右の側板53,54、及び下板52と左右の側板53,54とはL字金具55により連結されている。これにより、外枠50は、方形状に形成されている。なお、左右の側板53,54は、鋼材に限定されず、アルミ材やステンレス材等の金属材料から構成することができる。また、外枠50の下部前面には、下板52に沿って化粧パネル56が設けられている。また、左上のL字金具55は、上板51と側板54とを連結するとともに、本体枠60を軸支する後述する第1の連結片57としての機能も兼ねている。
図3に示すように、上板51には、その後端辺に切欠部59が形成されている。この切欠部59は図示しない球タンクとの干渉を避けるためのものである。このような切欠部59を設けることで、図示しない球タンクを可能な限り前方に配置することが可能となる。これにより、パチンコ遊技機1の前後方向の厚みが大きくなることを抑制することができる。
また、上板51の左端部(図5“VIa”、図6(a))には、軸孔57a、及びこの軸穴57aに接続した凹部57bが形成された金属製の第1の連結片57が前方に突出するように取り付けられている。また、下板の左端部(図5“VIb”、図6(b))には、上方に向いた軸ピン58aが形成された金属製の第2の連結片58が、前方に突出するように取り付られている。
また、パチンコ遊技機1は、この外枠50に回動可能に支持される本体枠60を有している。本体枠60は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂から形成されており、前述の外枠50と同様に方形状をなしている。本体枠60の左上部(図5“VIc”、図6(c))には、下方に向いた軸ピン61aが形成された第3の連結片61が前方に突出するように取り付けられている。また、本体枠60の左下部(図5“VId”、図6(d))には、上方に向いた軸ピン62aが形成されるとともに下面に図示しない軸孔が形成された第4の連結片62が前方に突出するように取り付けられている。そして、第1の連結片57に形成された軸孔57aに第3の連結片61に形成された軸ピン61aが挿通されるとともに、第2の連結片58に形成された軸ピン58aが第4の連結片62に形成された図示しない軸孔に挿通されることで、本体枠60は外枠50に回動可能に支持されている。なお、本体枠60を外枠50に対して所定の位置まで開放すると、本体枠60側に取り付けられた軸ピン61aが、第1の連結片57に形成された凹部57bに嵌り、本体枠60は開放された状態で保持される。この本体枠60の保持状態を解除するためには、本体枠60を若干持ち上げて軸ピン61aを凹部57bから抜き出すようにすればよい。また、本体枠60の一部は、外枠50の枠内に収容されるとともに、その後端面が、外枠50の前周面に当接する。このような当接状態により、本体枠60の回動が止められて、外枠50と本体枠60とが密着した状態となる。
また、パチンコ遊技機1は、本体枠60に取り付けられて、後述する遊技盤2や前面装飾体3を保持する固定用フレーム70を有している。固定用フレーム70は、図5に示すように、例えば、鋼製の板材が方形状に組まれて形成されたフレームである。固定用フレーム70は、本体枠60の上部に取り付けられる。一方、本体枠60の下部(固定用フレーム70の下方)には、後述するベース部80が取り付けられる。固定用フレーム70は、本体枠60と比べて、より正方形に近い形状を有している。固定用フレーム70は、本体枠60に回動可能に取り付けられる構成であってもよいし、本体枠60にねじ止めされて固定された構成であってもよい。なお、図4においては、本体枠60と固定用フレーム70とを分離した状態を示しているが、図5においては、本体枠60と固定用フレーム70とを一体とした状態で記載している。なお、固定用フレーム70は、例えば、アルミニウム材やステンレス材等の他の金属材料を用いて構成してもよい。
また、固定用フレーム70の左上部(図5“VIc”、図6(c))には、下面に図示しない軸穴が形成された第5の連結片71が前方に突出するように取り付けられている。また、固定用フレーム70の左下部(図5“VId”、図6(d))には、上方に向いた軸ピン72aが形成されるとともに、下面に図示しない軸孔が形成された第6の連結片72が前方に突出するように取り付けられている。固定用フレーム70は、通常時には、本体枠60に収容された状態で保持されている。なお、固定用フレーム70は、後述するように比較的重量のある遊技盤2等を直接的に支持するために、金属材料等の強度を有する材料から構成することが望ましい。
遊技盤2は、図4に示すように、遊技領域が前面に形成された遊技板90と、前述した演出制御基板と情報端子基板等を収容する収容ボックス91とが一体的に組み合わされて構成されている。遊技板90は、ベニヤ板または合成樹脂板により構成される。なお、後述するように、前面装飾体3には、遊技板90の遊技領域の前面を覆う透明カバー101aが取り付けられている。この透明カバー101aと、遊技板90との間には、遊技球の直径よりも大きな隙間が形成されている。これにより、打球ハンドル装置30を操作することによって、遊技玉は、遊技領域内に発射され、遊技領域内を流下する。
また、パチンコ遊技機1は、打球操作ハンドル30等の種々の部品が取り付けられたベース部80を、本体枠60の下部(固定用フレーム70の下方)に有している。ベース部80は、図3に示すように、打球操作ハンドル30と、打球供給皿(以下、上皿81と記載する)と、余剰球受皿(以下、下皿82と記載する)と、遊技カードに記録されている遊技者所有の遊技価値を表示するカード残高表示部83(第1の表示手段83とも記載する)と、貸出し、返却ボタン84(第1の操作手段84とも記載する)とを有している。
打球操作ハンドル30は、ベース部80の右下部に前方に突出するように設けられている。打球操作ハンドル30は、上述したように、例えば、遊技者等による操作量(回転量)に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドル30には、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられている。
上皿81は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂から構成されている。上皿81は、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を貯留する。上皿81は、別途製造された成形品であり、ベース部80の上部に図示しないねじ止め等により、前方に突出するようにベース部80に取り付けられている。
下皿82は、上皿81から溢れた遊技球を貯留し、パチンコ遊技機1外部への排出を可能とする。下皿82は、上皿81の下方でありかつベース部80の左側に、ベース部80の前面に突出するように設けられている。なお、下皿82には、下皿球抜きボタン85が形成されている。遊技者は、この下皿球抜きボタン85を押すことにより、貯留された遊技球を下皿82から排出することができる。
カード残高表示部83は、遊技カードに記録されている遊技者所有の遊技価値(例えば、カード残高など)を表示するものであり、ベース部80の右側に設けられている。また、カード残高表示部83に隣接して配置された貸出し、返却ボタン84のうち、貸出しボタンは、挿入された遊技カードに記録されている残高を引き落として、パチンコ遊技機1に遊技球による遊技を可能とするためのボタンである。また、返却ボタンは、遊技者が遊技を終了するときに操作することにより、挿入されている遊技カードに遊技終了時の確定した遊技球数を記憶させて排出するための操作ボタンである。このように、ベース部80に設けられる第1の表示手段83及び第1の操作手段84は、種々のパチンコ遊技機1に共通して用いられるものであることが好ましい。なお、第1の操作手段84は、貸出し、返却ボタン84であると記載したが、その他のボタンを配置する場合にも、種々のパチンコ遊技機1に共通して用いられる操作手段を配置することが望ましい。本実施形態に係る遊技機では、遊技店において異なるパチンコ遊技機1への交換は、ベース部80を交換することなく再利用し、遊技盤2等を交換することで実現可能となっている。そのため、ベース部80に、遊技盤2特有のボタンが存在したり、特有の装飾が施されたりしていると、遊技盤2等を交換したパチンコ遊技機1においてもこのような特徴が引き継がれる。このため、遊技者は遊技しているパチンコ遊技機1にそぐわないボタンや装飾に違和感を覚える。一方で、本実施形態に係る遊技機においては、ベース部80に、種々のパチンコ遊技機1に共通する表示手段や操作手段が設けられている。また、これらに、その遊技盤2特有の装飾や表示等が施されていないことにより、再利用するベース部80に起因する上述の違和感を覚えさせることがない。これにより、ベース部80の汎用性を高めることができ、ベース部80を種々のパチンコ遊技機に対応させて用いることが可能となる。
ベース部80の左上部(図5“VIe”、図6(e))には、上向きの軸ピン86が形成されている。また、ベース部80の左下部には、図示しない軸孔が形成されている。そして、固定用フレーム70に設けられた第6の連結片72の下面に形成された図示しない軸孔にベース部80の上向きの軸ピン86が挿通されるとともに、第4の連結片62に形成された軸ピン62aがベース部80に形成された図示しない軸孔に挿通されることにより、ベース部80は本体枠60に回動可能に支持される。
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2に重ねあわされるとともに、パチンコ遊技機1の最前面に配置される前面装飾体3を有する。前面装飾体3は、図3に示すように、透視窓101、上皿用開口102、球抜きボタン103、スティックコントローラ31A、演出ボタン104(第2の操作手段104とも記載する)、及び補助表示部105(第2の表示手段105とも記載する)を有している。
透視窓101は、遊技盤2に形成された遊技領域に対応する開口であり、前面装飾体3に形成された開口である。また、図7に示すように、前面装飾体3には、透視窓101を後方から覆う透明カバー101aが、その周囲をねじ101a止め等の周知の固定手段により取り付けられている。透明カバー101aは、例えば、ガラス体から構成されている。これにより、遊技者は、透視窓101に取り付けられた透明カバー101aを通して遊技盤2の遊技領域を視認することが可能となる。なお、このように取り付けられた透明カバー101aは、遊技板90との間に遊技球の直径よりも大きな隙間を形成する。これにより、遊技板90の遊技領域内に、遊技球が移動可能な空間が形成される。なお、前面装飾体3に形成された透明カバー101aに加え、遊技盤2の前面に遊技領域を覆う透明カバーを取り付けても良い。これにより、遊技板90の遊技領域に不正部材を挿入する等の不正行為を、より確実に防止することができる。なお、透視窓101に設ける透明カバー101aとしてはガラス体に限定されず、その他、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明な合成樹脂を用いてもよい。
上皿用開口102は、ベース部80に取り付けられた上皿81を露出させるための前面装飾体3に形成された開口である。前面装飾体3に形成された上皿用開口102の形状とその大きさは、上皿81の形状とその大きさと略同一である。そのため、前面装飾体3から露出した上皿81は、その周囲が前面装飾体3に囲まれることになる。そのため、上皿用開口102の周囲が装飾され、遊技者に美感を起こさせることができる。なお、上皿81の周囲の装飾は、前面装飾体3を交換することにより様々な態様の装飾に変更することができる。そのため、遊技店での遊技盤2等を交換することを想定し、前面装飾体3にその遊技盤2特有の装飾を施すことで、上皿81周囲に遊技者を魅了する装飾を施すことができる。
このように、本実施形態に係る遊技機1においては、前面装飾体3に上皿81を露出させる上皿用開口102を設けている。一方、前面装飾体3には、下皿82に重ならないようにして下皿82の使用を阻害しないようにするための第1の回避部113が形成されている。第1の回避部113は、下皿に貯留された遊技球を手に取るための空間を形成するために、前面装飾体3に形成された凹部(切欠き)である。このような、第1の回避部113を、下皿82の使用を阻害しない範囲で小さく形成することで、下皿82の周囲に前面装飾体3による装飾を遊技者に視認させることができる。なお、通常、遊技者の視点は、下皿82よりも上方に位置する。そのため、第1の回避部113を前方に突出させた態様(本実施形態の前面装飾体3においては、図3に示すように、上皿用開口102と、後述するスティックコントローラ用台座106とを設けていることにより、第1の回避部113は、前方に突出したように形成されている)とすることにより、下皿82の周囲が第1の回避部113で囲まれているかの如く、遊技者に視認させることができる。これにより、上皿81と同様、ベース部80に形成された下皿82周囲に、遊技者を魅了する装飾を施すことができる。また、前面装飾体3に、上皿用開口102と同様、下皿82を露出するための下皿用の開口を設けても良い。なお、下皿用の開口については、後述する。
球抜きボタン103は、上皿用開口102の右側に隣接するように配置されている。遊技者が、遊技を終了する際に、球抜きボタン103を押下することにより、上皿81に貯留された遊技球を下皿82へ流下させることができる。遊技者は、下皿82に流下した貯留球を排出することにより。遊技を終了することができる。
スティックコントローラ31Aは、図3,5に示すように、前面装飾体3から下方に突出して形成されたスティックコントローラ用台座106に設けられている。スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を有し、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、図示しないトリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されている。スティックコントローラ31Aの内部には、トリガボタンに対する押引操作などによる所定の指示操作を検知するトリガセンサが内蔵されている。
演出ボタン104は、スティックコントローラ31Aの上方に設けられている。演出ボタン104は、例えば、その遊技盤2特有の演出等に応じて、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能とするプッシュボタンである。演出ボタン104には、遊技盤2特有のデザインが施されており、遊技者に美感を起こさせる意匠となっている。また、演出ボタン104は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されている。なお、演出ボタン104は、一つのプッシュボタンから構成される態様に限定されるものではなく、パチンコ遊技機1の演出に応じて操作する、例えば十字方向に操作する操作ボタンであってもよい。また、パチンコ遊技機1が発する音の音量を遊技者の好みに合わせて調節することが可能な操作ボタンを設けてもよい。また、パチンコ遊技機1が発する光の量を調節することが可能な操作ボタンを設けてもよい。前述したように、本実施形態に係る遊技機においては、遊技店において遊技盤2等を交換する場合、ベース部80の交換は行わない。一方で、その遊技盤2特有の装飾が施されたり、その遊技盤2特有の操作手段が配置されたりしている前面装飾体3は、交換を前提としている。演出ボタン104は、遊技盤2特有の操作手段であり、異なるパチンコ遊技機1で共有することができないと想定される操作手段である。そのため、演出ボタン104は、前面装飾体3に設けられている。
表示部105は、演出ボタン104の右側に隣接して配置されている。この補助表示部105についても、演出ボタン104と同様の理由により、その遊技盤2特有の表示手段として前面装飾体3に設けられている。例えば、遊技領域に存在する画像表示装置5(図1)から離れた位置に、この画像表示装置5の表示を補助する表示を行うことで、より魅力的な演出を可能としている。なお、図3においては、補助表示部105は、7セグによる数字の表記である場合を示しているが、このような表示に限定されず、液晶を用いて画像を表示してもよい。
なお、前面装飾体3には、上皿81の周囲やスティックコントローラ31A等だけでなく、透視窓101の周囲や補助表示部105の周囲など、遊技者から視認される前方側の面には、パチンコ遊技機1の演出に即した種々の装飾が施されている。また、第1の回避部113と同様、前面装飾体3には、スティックコントローラ用台座106の右側に、第2の回避部114が形成されている。第2の回避部114は、ベース部80に設けられた打球操作ハンドル30、及び貸出し、返却ボタン84の操作性を確保するとともに、カード残高表示部83の視認性を確保するために、前面装飾体3に形成された凹部(切欠き)である。このような操作性や視認性を確保した上で、第2の回避部114を可能な限り小さく形成することで、打球操作ハンドル30、カード残高表示部83、及び貸出し、返却ボタン84の周囲に、遊技者を魅了する装飾を施すことができる。なお、前面装飾体3に、打球操作ハンドル30、カード残高表示部83、及び貸出し、返却ボタン84のそれぞれに対応する開口(あるいは、切欠き)を設けることも可能である。なお、これらの開口(あるいは、切欠き)の詳細については、後述する。
また、前面装飾体3の左上部(図5“VIf”、図6(f))には、上方に向いた軸ピン107が形成されている。また、前面装飾体3の左下部には、図示しない軸孔が形成されている。そして、第5の連結片71の下面に形成された図示しない軸孔に前面装飾体3の左上部に形成された軸ピン107が挿通されるともに、前面装飾体3の左下部に形成された軸孔に第6の連結片72に形成された軸ピン72aが挿通されることにより、前面装飾体3は固定用フレーム70(あるいは固定用フレーム70を保持する本体枠60)に回動可能に支持されている。
次に、上述した構成を有するパチンコ遊技機1において、各構成部材の開閉状態を図面を用いて説明するとともに、各構成部材の詳細についても、さらに説明する。
上述したように、前面装飾体3は、第5の連結片71及び第6の連結片72により軸支されることで回動可能に支持されている。図7は、本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図であり、前面装飾体3が開放された状態を示している。図7に示すように、固定用フレーム70の下方にあるベース部80には、その遊技盤2特有の装飾は施されていない。一方、図3に示したパチンコ遊技機1においては、ベース部80に装飾が施されているかのような感じを起こさせる。これは、前面装飾体3から、装飾した一部分(本明細書では、突出部108と記載する)を下方に突出させ、装飾が施されていないベース部80に突出部108を重ね合わせているからである。このように、ベース部80に、装飾が施された突出部108を重ね合わせることで、ベース部80に遊技盤2特有の装飾を施しているかのごとく感じさせることができる。本明細書において、前面装飾体3の突出部108とは、パチンコ遊技機1を前方から見た(平面視した)場合に、ベース部80と重なる部分を指すものとする。そのため、突出部108と、前面装飾体3のみを前方から見た場合に突出していると認識される部分とは、異なる範囲である場合がある。
また、図7に示すように、上皿81は、ベース部80から突出した状態で取り付けられている。そのため、上皿81には過度な力や衝撃が作用しやすい。そこで、本実施形態に係る遊技機においては、前面装飾体3に上皿81を収容し露出させる上皿用開口102が形成されている。この上皿用開口102が形成されていることにより、上皿81が遊技球を貯留する領域が露出されるとともに、上皿81の周囲が前面装飾体3により覆われることになる。これにより、上皿81に過度な力や衝撃が作用したとしても、上皿81は前面装飾体3ともに作用する力や衝撃に抵抗することができるため、上皿81の破損が防止される。また、本実施形態においては、上皿81を前面装飾体3に固定して両者の一体化を図るために、上皿81に係止フック81aが設けられているとともに、係止フック81aに対向する前面装飾体3の箇所には係止孔3aが形成されている。そして、上皿81に設けられた係止フック81aが、前面装飾体3に形成された係止孔3aに係止されることにより、上皿81と前面装飾体3との一体化が図られている。さらに、前面装飾体3の上皿用開口102の下面にはテーパのついた突出片102aが形成されている。また、上皿81の下面には係止突起81b(矢印で示した図は、上皿81の下面を示している)が形成されている。この係止突起81bが前面装飾体3に形成された突出片102aを乗り越えるように上皿81を前面装飾体3に押し付けることで、前面装飾体3と上皿81との更なる一体化が図られている。なお、上皿81と前面装飾体3との一体化を図る手段としては、上述の形態に限定されることはなく、公知の種々の手段を採用することが可能である。
また、上述したように、スティックコントローラ31Aは、前面装飾体3から下方に突出したスティックコントローラ用台座106に設けられている。このスティックコントローラ31Aは、パチンコ遊技機1の演出に従って遊技者が操作するものである。遊技に夢中になった操作者は、スティックコントローラ31Aを力強く操作することでスティックコントローラ31Aに過度な力が作用することが想定される。そのため、スティックコントローラ31Aが設けられたスティックコントローラ用台座106は、その力に耐えうるよう十分な強度を有するように設計されている。なお、スティックコントローラ用台座106に作用した力は、その後方に位置するベース部80にも伝達される。そのため、本実施形態に係る遊技機においては、ベース部80に作用する力をベース部80が効率よく受け持つための種々の工夫が施されている。
図7に示すように、ベース部80には、スティックコントローラ用台座106が挿着される窪みが構築されている。この窪みは、左側押圧壁87、右側押圧壁88、及び後側押圧壁89により形成されている。スティックコントローラ用台座106が、このような窪みに挿着されることで、スティックコントローラ用台座106が窪みに押し付けられ、スティックコントローラ31Aに作用する力がベース部80に伝達される。また、スティックコントローラ用台座106が収容される窪みを上方から見た場合、左側押圧壁87と右側押圧壁88とはハの字状となるように形成されている。これにより、左側押圧壁87及び右側押圧壁88は、左右方向に左右する力だけではなく、後方に作用する力に対しても抵抗することができる。また、このようにハの字状とすることにより、前面装飾体3を回動させた際に、スティックコントローラ用台座106をスムーズにベース部80の窪みから抜け出させることが可能となる。
また、後側押圧壁89は、上方向に対して所定の角度(θ)を有する斜面である。これにより、後側押圧壁89は、スティックコントローラ用台座106からの後方への力だけでなく、下方に押し下げる力に対しても抵抗することができる。なお、左側押圧壁87、及び右側押圧壁88においても、後側押圧壁89と同様に、上方向に対して所定の角度を有する斜面となるように形成されている。このように各押圧壁が形成されているため、互いの壁面同士は直交することはない。そのため、左側押圧壁87、右側押圧壁88、及び後側押圧壁89の3つの壁体で、スティックコントローラ用台座106に作用する種々の方向の力に抵抗して受け持つことができる。これにより、スティックコントローラ31Aが設置された周辺の破損を防止することができる。
また、図8に示すように、スティックコントローラ用台座106は、その下端から後方に突出した突出部106bを有していてもよい。この突出部106bはベース部80の下面に当接する。これにより、スティックコントローラ31Aの操作によりスティックコントローラ用台座106に図中矢印で示すようなモーメントが作用したとしても、突出部106bがベース部80の下面を押圧することにより、作用する力をベース部に伝達することが可能となる。
また、スティックコントローラ用台座106とベース部80との一体化を図るため、スティックコントローラ用台座106の後面に設けられた係止フック106aが、後側押圧壁89に形成された係止孔89aに係止されている。また、図示していないが、左側押圧壁87、及び右側押圧壁88にも公知の係止手段を採用することで、スティックコントローラ用台座106とベース部80との一体化を図ってもよい。
図8は、本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図であり、前面装飾体3、ベース部80、遊技盤2、固定用フレーム70が開放された状態を示している。また、図9は、本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図であり、さらに本体枠60が開放された状態を示している。これらの各構成部材が回動可能に取り付けられている構成については上述した通りである。なお、図8,9においては、固定用フレーム70が本体枠60に対して軸支されて回動した状態を示している。しかしながら、上述したように、固定用フレーム70が本体枠60にねじ止めされて固定されていてもよい。また、パチンコ遊技機1を構成するこれらの各構成部材は、それぞれの軸支状態を解消することで個別に取外しが可能である。そのため、故障等が発生した場合は、修理等が必要な構成部材のみを取り外して修理することが可能であるとともに、個別の構成部材を商業的な流通経路にのせて販売することも可能である。
なお、上述したように、ベース部80には、種々のパチンコ遊技機1に共通する操作手段、及び表示手段が選択されて配置されていると共に、その遊技盤2特有の装飾は施されていない。そのため、遊技店において遊技盤2等の交換をする際、ベース部80を再利用したとしても、遊技者に違和感を覚えさせることがない。また、遊技者に外部から視認されない、外枠50、本体枠60、及び固定用フレーム70も異なる種類のパチンコ遊技機1に共通の仕様とすることは容易である。そのため、前面装飾体3、及び遊技盤2のみを交換することで、遊技店におけるパチンコ遊技機1の交換を完了することができる。これにより、不要な廃棄物の発生が抑制され、環境負荷の小さいパチンコ遊技機1を提供することが可能となる。また、構成部材の交換数が少ないため、新たに製造する構成部材も少なくすることができる。そのため、製造コストを抑制したパチンコ遊技機1を提供することができる。また、組み付け作業や交換作業を容易に行うことができる。
なお、上述では、固定用フレーム70は種々のパチンコ遊技機1で共通の仕様とし、交換の必要はないと説明した。しかしながら、例えば図9に示すように、固定用フレーム70に形成された連結片73と前面装飾体3とが、図示しないねじで連結されている場合は、前面装飾体3、遊技盤2、及び固定用フレーム70は一体化された状態にある。この場合、これらの3つの構成部材を一体的に取外して交換することも可能である。このように、各構成部材を個別に取り外して交換(前面装飾体3、及び遊技盤2)をするか、あるいは、予め一体化された部材(前面装飾体3、遊技盤2、及び固定用フレーム70)を交換するかは、各遊技店で適宜選択することが可能である。また、図9に示すように、前面装飾体3、遊技盤2、及び固定用フレーム70が一体化されている場合でも、連結片73と前面装飾体3とのねじによる連結を解除することで、これらの各構成部材を個別に取り外すことも可能である。また、図5、6に示すように、前面装飾体3とベース部80との回動軸は、同一の直線上に存在する。すなわち、軸ピン62a、軸ピン72a、軸ピン86、及び軸ピン107は同一の直線状に存在する。そのため、図9に示すように、前面装飾体3とベース部80とは、一緒に開閉させることが可能である。なお、前述したように前面装飾体3には、ベース部80の前面側で重なりあう突出部108が形成されている。そのため、各構成部材が開放された状態にあったとしても、前面装飾体3を回動させて閉じることで、固定用フレーム70だけでなく、ベース部80も、前面装飾体3の回動に伴わせて閉じることができる。また、前面装飾体3、及び遊技盤2を一体的に成形し、両者を分離不可な構成とすることもできる。これにより、パチンコ遊技機1の組み付け作用や交換作業を容易に実行することができる。上述のように、パチンコ遊技機1の交換の際に取り替えることのなく、交換の際の基礎となる各部材を総称して、「ベース体」と記載する。上述の形態においては、ベース体は、外枠50、本体枠60、及びベース部80から構成されることもあり、あるいは、外枠50、本体枠60、ベース部80、及び固定枠70から構成されることもある。
また、図8に示すように、固定用フレーム70が本体枠60に回動可能に支持されたパチンコ遊技機1において、固定用フレーム70には、その後面から後方に向けてに2つの係止フック74が形成されている。この係止フック74に対向する、本体枠60の箇所には2つの係止片63が設けられている。そして、固定用フレーム70を本体枠60に押し付けることにより、固定フレーム70に形成された係止フック74が係止片63を乗越える。そして、乗越えた後、ばねの付勢により係止フック74が下方に移動する。これにより、固定用フレーム70と本体枠60とはロック状態となる。同様に、ベース部80には、その後面から後方に向けて2つの係止フック80aが設けられている。また、この係止フック80aに対向する、本体枠60の箇所には2つの係止片64が設けられている。そして、ベース部80を本体枠60に押し付けることにより、係止フック80aが係止片64を乗越える。そして、乗越えた後、ばねの付勢により係止フック80aが下方に移動する。これにより、ベース部80と本体枠60とはロック状態となる。なお、図9に示すように、本体枠60にも2つの係止フック65が設けられているとともに、この係止フック65の対向する外枠50の箇所に2つの係止片50aが設けられている。そして、本体枠60を外枠50に押し付けることにより、両者をロック状態とすることができる。
なお、本実施形態に係る遊技機においては、上述したように、ベース部80や、ベース部80に配置される上皿81、貸出し、返却ボタン84等には装飾が施されていない。ベース部80の装飾は、前面装飾体3から装飾が施された突出部108を突出させて、ベース部80に重ねることにより実現している。これにより、遊技盤2特有の装飾をベース部80上に施すことが可能となる。これにより、ベース部80を交換することなくパチンコ遊技機1全体の装飾を変更することができ、その装飾もパチンコ遊技機1全体で統一があるものとすることができる。
なお、前面装飾体3から突出した突出部108の大きさや形状は特に限定されるものでない。図10は、本発明の実施形態に係る遊技機の斜視図であり、前面装飾体3により装飾が施された領域をハッチング処理した図である。また、図10においては、パチンコ遊技機1の前方から見た(正面から見た)場合、ベース部80に重なり、ベース部80に装飾を施す突出部108の範囲を示している。なお、このような前面装飾体3による装飾範囲は、一例に過ぎず、他の態様であってもよい。
図11は、本発明の第2実施形態に係る遊技機の斜視図であり、装飾領域を拡げた部分をハッチング処理した図である。なお、本実施形態に係るパチンコ遊技機は、上述の実施形態に係る遊技機と共通する部分も多いため、共通する部分については、同一の符号を付すものとする。この例においては、新たな装飾範囲がパチンコ遊技機1の右下及び左下の領域に設定されている。一方で、このような前面装飾体3による装飾範囲を拡げることで、ベース部80に設けられた打球操作ハンドル30、及び貸出し、返却ボタン84の操作性や、カード残高表示部83の視認性を阻害されることがあってはならない。そこで、図11に示すように、新たな装飾範囲にある前面装飾体3には、打球操作ハンドル30の操作性を確保する第1の窓部110、貸出し、返却ボタン84の操作性を確保する第2の窓部111、及びカード残高表示部83の視認性を確保する第3の窓部112が形成されている。また、前面装飾体3には、下皿82を露出するための開口である下皿用開口117が形成されている。
図12は、本発明の第2実施形態に係る遊技機の前面装飾体の斜視図である。第1の窓部110は、打球操作ハンドル30の操作性を確保するための前面装飾体3に形成された切欠きである。第1の窓部110は、打球操作ハンドル30を操作する遊技者の手が触れないようにするとともに、例えば打球操作ハンドル30にその操作姿勢を変更できるものを採用する場合には、その動きを阻害しないことが望まれる。そのため、打球操作ハンドル30と第1の窓部110との間には前方から見て所定の平面距離が確保されているか、前後方向に所定の距離が確保されているか、あるいは、これら両方の距離を合成した距離が所定距離以上確保されていることが必要である。図12に示すように、第1の窓部110は、打球操作バンドル30の外形に沿うように、略円弧状に切りかかれている。
第2の窓部111は、貸出し、返却ボタン84の操作性を確保するために前面装飾体3に形成された矩形状の開口である。第2の窓部111が形成されている前面装飾体3の面は、貸出し、返却ボタン84が形成されたベース部80(図7)の面と接している。そのため、第2の窓部111が、貸出し、返却ボタン84の寸法よりも大きく形成されることにより、貸出し、返却ボタン84の操作性は阻害されることはない。なお、第2の窓部111が形成されている前面装飾体3の面が、貸出し、返却ボタン84が形成されたベース部80(図7)と離れている場合には、遊技者が貸出し、返却ボタン84を操作する際に、前面装飾体3がその操作を阻害することがないよう、第2の窓部111と貸出し、返却ボタン84との間には所定の距離が確保されていることが必要である。ここで、所定の距離とは、第2の窓部111を平面視した場合の所定の平面距離であったり、このように平面視をする方向(第2の窓部111に直交する方向)に対する距離であったり、あるいは、これら両距離を合成した距離である。
第3の窓部112は、カード残高表示部83の視認性を確保するために前面装飾体3に形成された矩形状の開口である。第3の窓部112が形成されている前面装飾体3の面は、カード残高表示部83が形成されたベース部80(図7)の面と接している。そのため、第3の窓部112が、カード残高表示部83の寸法よりも大きく形成されることにより、カード残高表示部83の視認性は阻害されることはない。なお、第3の窓部112が形成されている前面装飾体3の面が、カード残高表示部83が形成されたベース部80(図7)と離れている場合には、遊技者がカード残高表示部83を視認する際に前面装飾体3が邪魔にならないように、第3の窓部112とカード残高表示部83との間には所定の距離が確保されていることが必要である。ここで、所定の距離とは、第3の窓部112を平面視した場合の所定の平面距離であったり、このように平面視をする方向(第3の窓部112に直交する方向)に対する距離であったり、あるいは、これら両距離を合成した距離である。
下皿用開口117は、ベース部80に取り付けられた下皿82(図11)を露出させるための前面装飾体3に形成された開口である。前面装飾体3に形成された下皿用開口117の形状とその大きさは、下皿82の形状とその大きさと略同一である。そのため、前面装飾体3から露出した下皿82は、その周囲が前面装飾体3に囲まれることになる。そのため、下皿用開口117の周囲が装飾され、遊技者に美感を起こさせることができる。なお、下皿82の周囲の装飾は、前面装飾体3を交換することにより様々な態様の装飾に変更することができる。そのため、遊技店での遊技盤2等を交換することを想定し、前面装飾体3にその遊技盤2特有の装飾を施すことで、下皿82周囲に遊技者を魅了する装飾を施すことができる。
なお、第1〜第3の窓部の形状については、図11に示すように円弧状切欠きであったり、矩形状の開口であったりするが、これらの形状に限定されるものではない。当然に、カード残高表示部83等の形状に合わせて種々の形状を採用することができる。また、例えば、コの字状の切欠きであったり、三角形状の開口であったりしてもよい。このような窓部の形状を突飛な形状とすることで、窓部自体が装飾として認識されうる態様であってもよい。
ここで、ベース部80に形成された操作手段や表示手段を装飾するために、前面装飾体3がそれらの周囲を覆うとは、例えば、次のような状況をいう。前面装飾体3とベース部80が遊技する状態にある場合(前面装飾体3とベース部80とが閉じた状態にある場合)に、前面装飾体3の一部が操作手段や表示手段の周囲に位置し、遊技者が操作手段や表示手段を視認すると、その周囲にある前面装飾体3によって操作手段や表示手段が装飾されているかの如く認識される状況をいう。このような状況を一律に規定することは困難であるが、少なくとも、パチンコ遊技機1を前方から見た場合(パチンコ遊技機1を平面視した場合)、前面装飾体3に、ベース部80と重なる部分を設けるとともに、ベース部80に形成された操作手段の操作性や表示手段の視認性を阻害しないように、これらの操作手段や表示手段を避けるように前面装飾体3が形成されていることが必要である。そのため、第1の窓部110のように、打球操作ハンドル30(操作手段)の一周すべてを覆う必要はなく、周囲の一部を覆う場合も、周囲を覆っているという状況といえる。
また、図11に示すように、前面装飾体3の打球操作ハンドル30の周囲に、ベース部80と係合する第1の係止手段109が形成されていてもよい。第1の係止手段109としては、例えば、フック等の公知の手段を採用することができ、ベース部80にあけられた図示しない係止孔に係止されている。これにより、前面装飾体3と打球操作ハンドル30との位置ズレを防止することができる。また、前面装飾体3の貸出し、返却ボタン84の周囲に、ベース部80と係合する第2の係止手段115が形成されていてもよい。第2の係止手段115としては、例えば、フック等の公知の手段を採用することができ、ベース部80にあけられた図示しない係止孔に係止されている。これにより、前面装飾体3と貸出し、返却ボタン84との位置ズレを防止することができる。また、前面装飾体3の下皿82接する面に、下皿82と係合する第3の係止手段116が形成されていてもよい。第3の係止手段116としては、例えば、フック等の公知の手段を採用することができ、下皿82の外面にあけられた図示しない係止孔に係止されている。これにより、前面装飾体3と下皿82とを一体化することができるとともに、位置ズレを防止することができる。
このようなパチンコ遊技機1の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更及び修正が可能である。上述のパチンコ遊技機においては、入賞球の検出に応答して所定数の賞球を払い出す払出式パチンコ遊技機について説明した。しかしながら、遊技球を封入し入賞球の検出に応答して得点を付与する封入式パチンコ遊技機にも適用することができる。このような封入式パチンコ遊技機を採用した場合、ベース部80に取り付け、あるいは形成された、遊技球を貯留する上皿81、及び下皿82は不要である。変わりに、下皿82が取り付けられいた箇所に7セグ表示の持ち点表示器を設ける構成としてもよい。なお、封入式パチンコ遊技機においては、持ち点表示器は、異なるパチンコ遊技機1に共通するものである。従って、持ち点表示器は、パチンコ遊技機1の交換の際も再利用するベース部80に設けることが望ましい。さらにこのような持ち点表示器の視認性を阻害しないように、図11に示したカード残高表示部83と同様に、所定の平面距離を確保した上で、その周囲を前面装飾体3から突出した突出部108により装飾するようにしてもよい。
このような、封入式パチンコ遊技機を採用した場合、遊技球の移送経路に、遊技球を研磨するための研磨機構(研磨手段)を設けることが望ましい。研磨機構は、例えば、本体枠60の後方の面に取り付けられ、遊技に用いられる遊技球を研磨布に当接させて研磨する。パチンコ遊技機1には、第1始動入賞口や第2始動入賞口、大入賞口などの入賞口を通過(進入)した遊技球や、アウト口7を通過(進入)した遊技球を移送する図示しない移送経路が形成されており、研磨機構40は、この移送経路中に配設されている。なお、研磨機構の取り付け位置としては、本体枠60の下部裏面(本体枠60のベース部80が取り付けられる領域の裏側の面)とすることが好ましい。これにより、研磨機構は、前面装飾体3や遊技盤2等からなる遊技盤ユニットを開放するか、あるいは取り外さなければ前方に露出することはない。そのため、本体枠60に取り付けられた研磨機構に触れるためには、前面装飾体3等の開放や取外しが不可欠である。
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。
パチンコ遊技機1では、遊技領域に設けられた通過ゲート26を通過した遊技球が図示しないゲートスイッチによって検出されたことといった、普通図柄表示器20にて普通図柄の可変表示を実行するための普図始動条件が成立した後に、例えば前回の普図ゲームが終了したことといった、普通図柄の可変表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。
この普図ゲームでは、普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過すると、普通図柄の可変表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字といった、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字以外の数字や記号といった、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図ハズレ」となる。普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図示しない第1始動口スイッチによって検出されたことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲームが開始される。また、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図示しない第2始動口スイッチによって検出されたことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームが開始される。
第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームでは、特別図柄の可変表示を開始させた後、特図ゲームが行われるごとに設定される特図変動時間としての可変表示時間が経過すると、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、所定表示結果としての「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄が確定特別図柄として停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。
このように、パチンコ遊技機1では、遊技者が打球操作ハンドル30を操作することで、遊技領域に遊技球が発射され、その結果として遊技状態が遊技者に有利な大当り遊技状態などに制御される。すなわち、本発明においては、遊技結果に影響を与える操作手段とは、打球操作ハンドル30等、パチンコ遊技機になくてはならない基本的な構成をさしており、そのような操作手段がなければ遊技自体が成立しないものを言う。一方、遊技結果に影響を及ぼさない操作手段とは、例えば、演出ボタン104や、遊技者が好みの音量や光量を調節するための操作ボタンである。すなわち、これらの操作手段は、そのパチンコ遊技機を製造するものが、その操作手段を設置するかどうかをパチンコ遊技機の特徴を考慮して選択し得るものであり、必ずしも種々のパチンコ遊技機で共通に用いられるものでない操作手段と言える。そして、この実施の形態では、遊技結果に影響を与える打球操作ハンドル30(影響操作手段)は、ベース部80に設けられている。このように、パチンコ遊技機で遊技する上でなくてならない操作手段をベース部80に設けているので、ベース部80の汎用性を向上させて、効果的に再利用することができる。
また、上述の実施形態にパチンコ遊技機1においては、例えば図5に示すように、スティックコントローラ31Aと演出ボタン104とは前面装飾体3に設けられていると説明した。しかしながら、スティックコントローラ31Aと演出ボタン104とを、前面装飾体3ではなくベース部80に設ける構成としてもよい。これにより、スティックコントローラ31Aや演出ボタン104を有するパチンコ遊技機1間での変更の際に、ベース部に設けられたこれらの操作手段の再利用が可能となる。このことは、同じコンセプトから派生した異なるパチンコ遊技機への変更や、同じシリーズに属する異なるパチンコ遊技機への変更が念頭にある場合には、特に有用である。
図13は、本発明の第3実施形態に係る遊技機の前面装飾体の斜視図である。本実施形態に係るパチンコ遊技機においては、図12に示したスティックコントローラ31Aと演出ボタン104は、ベース部80に取り付けられている、そのため、図13に示すように、前面装飾体3には、これらの部材は存在しない。一方で、前面装飾体3には、図示しないベース部に取り付けられたスティックコントローラを収容するためのスティックコントローラ収容部118と、ベース部に取り付けられた演出ボタンを視認可能とする第4の窓部119とが形成されている。
スティックコントローラ収容部118は、ベース部に設けられたスティックコントローラ(不図示)の左右に配される壁体から構成されている。スティックコントローラ収容部118は、図示しないベース部に設けられたスティックコントローラの操作の障害とならないように十分な収容空間が確保されている。例えば、図12に示す前面装飾体3に設けられたスティックコントローラ31Aを収容するための空間と同程度の空間が確保されている。これにより、ベース部に形成されたスティックコントローラを囲うように、スティックコントローラ収容部118が配される。そのため、スティックコントローラの周囲は、前面装飾体3に囲まれて装飾され、遊技者に美感を起こさせることができる。なお、スティックコントローラの周囲の装飾は、前面装飾体3を交換することにより様々な態様の装飾に変更することが可能である。
第4の窓部119は、ベース部に設けられた演出ボタン(不図示)の操作性を確保するために、前面装飾体3に形成された矩形状の開口である。第4の窓部119は、上述した第2の窓部111(図12)と同様、演出ボタンとの間に所定の距離が確保されている。これにより、演出ボタンの周囲に装飾を施すことができ、遊技者に美観を起こさせることができる。なお、第4の窓部119も、その形状が矩形状に限定されるものではなく、種々の形状を採用することができる。このような窓部の形状を突飛な形状とすることで、窓部自体が装飾として認識されうる態様であってもよい。
なお、前面装飾体3において、上述の実施形態で演出ボタン104(図11)が設けられている部分には、他の補助表示部120(第3の表示手段120とも記載する)が設けられている。他の補助表示部120は、そのパチンコ遊技機特有の表示手段であり、例えば、遊技領域に存在する画像表示装置5(図1)から離れた位置に、この画像表示装置5の表示を補助する表示を行うことで、より魅力的な演出を可能としている。
また、前面装飾体3の第4の窓部119の周囲に、図示しないベース部と係合する第4の係止手段121が形成されていてもよい。第4の係止手段121としては、例えば、フック等の公知の手段を採用することができ、ベース部にあけられた図示しない係止孔に係止されている。これにより、前面装飾体3とベース部に設けられた演出ボタン(不図示)との位置ズレを防止することができる。