JP5959956B2 - 高分子積層成形体の製造方法 - Google Patents

高分子積層成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5959956B2
JP5959956B2 JP2012144043A JP2012144043A JP5959956B2 JP 5959956 B2 JP5959956 B2 JP 5959956B2 JP 2012144043 A JP2012144043 A JP 2012144043A JP 2012144043 A JP2012144043 A JP 2012144043A JP 5959956 B2 JP5959956 B2 JP 5959956B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer compound
molded body
polymer
sheet
plasticizer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012144043A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014005428A (ja
Inventor
高橋 航也
航也 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Polymatech Co Ltd
Original Assignee
Polymatech Japan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Polymatech Japan Co Ltd filed Critical Polymatech Japan Co Ltd
Priority to JP2012144043A priority Critical patent/JP5959956B2/ja
Publication of JP2014005428A publication Critical patent/JP2014005428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5959956B2 publication Critical patent/JP5959956B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、電磁波ノイズ抑制体や熱伝導性シートなどに用いられる高分子積層成形体の製造方法に関する。
携帯電話等の携帯用電子機器に用いられる電磁波ノイズ抑制体や、ICチップ等の発熱電子部品の放熱、冷却に用いられる熱伝導性シートとして、高分子マトリックスに軟磁性粉末や熱伝導性粉末等の充填材を配合した成形体が使用されている。成形体の性能を向上させるため、これらの充填材は異方形状であり、成形体において一定方向に配向している。異方形状の充填材を一定方向に配向するために、一般に圧力や磁力等の外力が適用される。圧力を適用する手段として、ドクターブレード法、プレス成形法、押出成形法などが利用される。
例えば、特許文献1には、電磁波ノイズ抑制シートを製造する方法であって、扁平状の軟磁性粉末と溶媒に溶解した結合剤とを混練し、ドクターブレード法により磁性粉末をシートの平面と平行な方向に配向させながらシートを成形し、シー卜に対しその厚さ方向に加圧する方法が開示されている。特許文献2には、電磁波抑制シートの製造方法において、ドクターブレード法により得られた複数の合金粉末層シートを積層した後に熱プレスすることにより、合金粉末の配向性を向上させたことが開示されている。特許文献3には、複数の合金粉末層を積層し、熱プレスにより各合金粉末層を接合して電磁波ノイズ抑制体を得る方法が開示されている。
近年、電子機器の高機能化及び高性能化に伴い、電子部品の消費電力及び発熱量が増大している。それに伴い、高温環境下でも安定して使用可能な高い難燃性を有する積層成形体が求められている。従来、積層成形体の難燃性を高めるためには成形体中の難燃剤の含有量を増やす必要があった。しかし、難燃剤の含有量を増加させると、それに応じて、軟磁性粉末や熱伝導性粉末等の、積層体に所望の特性を付与する充填材の含有量を減らさなければならないといった問題が生じる。よって、従来の技術では、難燃剤の含有量を増やすことなく積層体の難燃性を高めることは困難であった。
特開2000−4097号公報 特開2004−221522号公報 特開2011−216830号公報
本発明の目的は、難燃剤含有量を増加させることなく難燃性の高い高分子積層成形体を製造する方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、高分子積層成形体の製造方法において、高分子化合物としてニトリルゴムからなるマトリックスに、前記高分子化合物と相溶性であるアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)ジエステルからなるエステル系可塑剤、無機充填材、難燃剤、架橋剤、及び溶剤を混合してスラリー状組成物を調製する工程と、スラリー状組成物をシート状に成形する工程と、成形したスラリー状組成物を乾燥させてシートを形成する工程と、複数のシートを積層し、熱プレスにより高分子化合物を架橋させる工程とを備えることを要旨とする。
求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、無機充填材は、扁平状磁性体金属、炭素繊維、鱗片状黒鉛、及び鱗片状窒化ホウ素のうちの少なくとも何れかであることを要旨とする。
求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、スラリー状組成物をシート状に成形する工程は、スラリー状組成物を離型シート上に塗工することにより、無機充填材を塗工方向に配向させることを含むことを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、スラリー状組成物中の高分子化合物:可塑剤の重量比が55:45〜80:20であることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明において、(高分子化合物+可塑剤):難燃剤の重量比が10:3〜10:4であることを要旨とする
本発明によれば、難燃剤含有量を増加させることなく高い難燃性を有する高分子積層成形体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による高分子積層成形体の横断面図。 実施例における高分子積層成形体(a)及び比較例における高分子積層成形体(b)のUL94垂直燃焼性試験後の写真。
本発明の高分子積層成形体及びその製造方法を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、高分子積層成形体10は、高分子化合物11と、粉末状の無機充填材12とを含有する複数のシート13を積層して構成されている。高分子化合物11は可塑剤を添加した合成ゴムからなり、各シート13の間で架橋され、互いに接合されている。
高分子化合物11は、無機充填材12を高分子積層成形体10内に保持する役割を果たす。高分子積層成形体10に要求される成形性や機械的強度等に応じて、適切な高分子化合物を選択することができる。しかしながら、高分子積層成形体10における各シート13の間の密着性を高めるため、高分子化合物11は、未架橋時に熱可塑性を示す合成ゴムであることが好ましい。合成ゴムの具体例として、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等が挙げられる。
さらに、未架橋時の高分子化合物11の柔軟性を高めるため、高分子化合物11には可塑剤を添加する。可塑剤は、高分子化合物11と相溶性のものを使用する。高分子化合物11が合成ゴムである場合、可塑剤はエステル系可塑剤であることが好ましい。エステル系可塑剤の具体例として、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物11に対する可塑剤の添加量は、高分子化合物:可塑剤が重量比で55:45〜80:20であることが好ましく、60:40〜70:30であることがより好ましい。高分子化合物:可塑剤の重量比が55:45未満の場合、高分子化合物11中に保持される無機充填材12の量が低下するため好ましくない。一方、高分子化合物:可塑剤の重量比が80:20を超える場合、高分子化合物11の柔軟性が十分に得られず、高分子積層成形体10における各シート13の間の密着性が低下するため好ましくない。
無機充填材12は、電磁波吸収特性または熱伝導特性を有する粉末状の充填材である。公知の軟磁性材料または熱伝導性材料を無機充填材12として用いることができる。軟磁性材料の具体例として、例えば、FeSi、FeNi、FeSiAl、FeNiSiB、FeSiB等の鉄系の軟磁性金属、CoFeSiB等のコバルト系軟磁性金属、MnZnフェライト、MgZnフェライト、NiZnフェライト等の軟磁性酸化物等が挙げられる。熱伝導性粉末の具体例として、例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、黒鉛粉末、炭素繊維等が挙げられる。
無機充填材12の形状は特に限定されない。しかしながら、高分子積層成形体10の電磁波ノイズ抑制機能または熱伝導機能をより発揮させる観点から、無機充填材12として異方形状の粉末材料を用い、高分子積層成形体10において一定方向に配向させることが好ましい。例えば、繊維状、針状、板状、鱗片状などの異方形状の無機材料を使用してもよい。無機充填材12を一定方向に配向させる手段として、例えば、ドクターブレード法、プレス成形法、押出成形法などが挙げられる。また、無機充填材12が異方性磁化率を有する場合、外部から磁場を印加することにより、無機充填材12を磁化率の異方性に従って一定方向に配向させることも可能である。
高分子積層成形体10は、さらに架橋剤を含む。架橋剤の作用により、高分子化合物11が各シート13の間で架橋され、互いに接合される。高分子化合物11の種類に応じて適切な公知の架橋剤を選択することができる。架橋剤の具体例として、例えば、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、パーカーボネート類(パーオキシジカーボネート類)、アルキルパーエステル類などの有機過酸化物、硫黄、及び硫黄化合物といったゴム架橋剤が挙げられる。
高分子積層成形体10は、さらに難燃剤を含む。難燃剤の具体例として、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカンなどの臭素化合物、トリフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル、赤リンなどのリン化合物、ハロゲンを含むリン酸エステル、ならびに、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。ただし、下記で説明するように、高分子積層成形体10の難燃性は可塑剤の添加により向上する。したがって、高分子化合物と可塑剤とを合わせた重量:難燃剤の重量の比を10:3〜10:4とすることも可能である。
高分子積層成形体10には、任意で老化防止剤、軟化剤等の添加物をさらに加えてもよい。老化防止剤の具体例として、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。軟化剤の具体例として、例えば液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
次に、高分子積層成形体10の製造方法について説明する。
高分子積層成形体10は、(1)高分子化合物からなるマトリックスに、高分子化合物と相溶性である可塑剤、無機充填材、難燃剤、架橋剤、及び溶剤を混合してスラリー状組成物を調製する工程と、(2)スラリー状組成物をシート状に成形する工程と、(3)成形したスラリー状組成物を乾燥させてシートを形成する工程と、(4)複数のシートを積層し、熱プレスにより高分子化合物を架橋させる工程とを経て製造される。
スラリー状組成物を調製する(1)の工程では、高分子化合物に可塑剤、無機充填材、難燃剤、架橋剤、及び溶剤を加え、均一になるまで混合することにより、スラリー状の成形材料が調製される。混合手段として、例えば公知のニーダー、混練ロール、ミキサーなどを使用することができる。なお、(1)の工程において、得られるスラリー状組成物が均一に混合され、かつシート状に成形可能な粘度となる限り、高分子化合物に添加される材料の順序は特に限定されない。しかしながら、均一な混合物をより容易に調製するという観点から、無機充填材は、高分子化合物に溶剤を添加してスラリー状にした後に混合することが好ましい。なお、溶剤は、高分子化合物を溶解可能であり、かつ(3)の工程において揮発により除去可能であるものを使用する。溶剤の具体例として、例えば、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、ハロゲン系、脂肪族系、芳香族系などの有機溶剤が挙げられる。また、熱プレス前の望ましくない架橋反応が生じるのを防止する観点から、架橋剤は(1)の工程の最後に添加することが好ましい。
スラリー状組成物をシート状に成形する(2)の工程は、例えば、離型シート等の上にスラリー状組成物を均一な厚さに塗り広げることにより行われる。特に、サイズの大きいシートを形成する場合、ドクターブレード法やダイコーティング法を用いることが好ましい。塗工時にスラリー状組成物に加わる圧力によって、異方形状の無機充填材12は面方向に配向する。シート13の厚さは、50μm以上250μm以下の範囲であることが好ましい。シート13の厚さが50μm未満である場合、離型シートから容易に剥離することができず、好ましくない。また、シート13の厚さが250μmを超えると、スラリー状組成物中の溶剤を完全に揮発させることができず、また、乾燥前のシートがその自重により変形し易くなり、好ましくない。
成形したスラリー状組成物を乾燥させてシートを形成する(3)の工程では、スラリー状組成物中の溶剤を公知の乾燥手段によって揮発させ、除去する。これにより、スラリー状であった組成物が固化し、シート13が形成される。乾燥手段の具体例として、例えば、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。いずれの乾燥手段においても、高分子化合物の架橋反応を生じさせないように、乾燥温度及び乾燥時間を設定することが好ましい。
複数のシート13を積層し、熱プレスにより高分子化合物を架橋させる(4)の工程では、離型シートから固化したシート13を剥離し、複数のシート13を積層した後、熱プレスによりシート13を互いに架橋一体化させるとともに圧縮して高分子積層成形体10を得る。熱プレスは、各シート13の間での架橋反応を促進する温度及び時間で行われる。熱プレスの適切な温度、圧力及び時間は、高分子化合物及び架橋剤の種類に応じて決定する。例えば、高分子化合物11にニトリルゴム、架橋剤にジアルキルパーオキサイドを使用する場合、熱プレスは180℃〜190℃、115〜130kgf/cmで3〜5分間行うことが好ましい。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)可塑剤の作用により、積層体の熱プレス時に可塑剤が高分子化合物11の界面を可塑化し、シート13の間の親和性を向上させる。そのような親和性の高い状態で架橋一体化された高分子積層成形体10では、積層界面の密着性がより高くなるため、高温環境下でも燃焼により層間が剥離することがない。すなわち、難燃性の高い高分子積層成形体が形成される。
(2)難燃剤の含有量が少なくても、難燃性の高い高分子積層成形体10を得ることができるため、従来よりも難燃剤の含有量を低減することができる。その分、軟磁性材料または熱伝導性材料等の無機充填材12の含有量を増加させることができる。したがって、高分子積層成形体10の電磁波吸収特性または熱伝導特性を向上させることができる。
(3)高分子化合物11に対する可塑剤の添加量は、高分子化合物:可塑剤が重量比で55:45〜80:20であることが好ましい。高分子化合物11に対する可塑剤の添加量を上記の範囲にすることで、十分な量の無機充填材12を高分子化合物11中に保持させることができる。同時に、高分子化合物11の柔軟性を高めることができるため、高分子積層成形体10における各シート13の間の密着性を向上させることができる。
(4)スラリー状組成物を調製する工程では、無機充填材12は、高分子化合物11に溶剤を添加してスラリー状にした後に混合することが好ましい。また、架橋剤はスラリー状組成物を調製する工程の最後に添加することが好ましい。このような順序で混合することにより、無機充填材12が高分子化合物中に均一に分散した混合物を容易に調製することができるほか、無機充填材12が混合時に破壊されるのを防ぐことができる。また、熱プレス前の望ましくない架橋反応を防止することができる。
(5)シート13の厚さは、50μm以上250μm以下の範囲であることが好ましい。シート13の厚さを50μm以上にすることで、離型シートからシート13を容易に剥離することができる。また、シート13の厚さを250μm以下にすることで、スラリー状組成物中の溶剤を十分に揮発させることができるほか、乾燥前のシート13がその自重により変形してしまうことを抑制することができる。
上記の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・可塑剤は高分子化合物11と相溶性であれば、エステル系以外の可塑剤を使用してもよい。例えば、エチレンプロピレンゴムのようなオレフィン系ゴムやブタジエンゴムの場合、パラフィンオイルやナフテンオイル等の鉱油系可塑剤を使用してもよい。また、可塑剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・無機充填材12は必ずしも高分子積層成形体10中に均一に分散されている必要はなく、用途や設計仕様等に応じて密度勾配を持たせてもよい。また、無機充填材は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・上記実施形態において、無機充填材12はシート13の平面と平行な方向に配向している。しかしながら、用途や設計仕様等に応じて、シート状に成形したスラリー状組成物に対し外部から磁場を印加することにより、無機充填材12をシートの厚さ方向に配向してもよい。
・高分子積層成形体10の製造方法は、用途に応じてバッチ式でも連続式でも実施可能である。連続式で実施する場合、任意の切断手段によって熱プレス後の高分子積層成形体を所望のサイズに切断する工程を追加してもよい。
次に、実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、高分子化合物11としてニトリルゴムを用いた。添加剤として、エステル系可塑剤であるアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)ジエステル(「TP−95」ロームアンドハース社製)と、難燃剤及び滑剤であるメラミンシアヌレート(「MC−6000」日産化学工業株式会社製)と、赤リン(「120UF」燐化学工業株式会社製)と、老化防止剤であるステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(「アデカスタブAO−50」株式会社ADEKA製)とをそれぞれ表1に示す量(重量比)で配合し、ニーダーを用いて均一になるまで混練した。
その後、配合物を有機溶剤(シクロヘキサノン)に溶かしてスラリー状の液状物を調製した。この液状物に、無機充填材12として軟磁性合金である鱗片状のFeSiAl合金粉末(長径約50μm)を加え、プラネタリーミキサーを用いて均一になるまで混練した。さらに、架橋剤としてジアルキルパーオキサイド(「パークミルD」日油株式会社製)を加えた。
こうして得られたスラリー状組成物を、バーコータを用いて離型シート上に塗布した。続いて、離型シート上でスラリー状組成を乾燥して有機溶剤を揮発させることにより、約100μmの厚さを有するシート13を形成した。ここでは、乾燥温度は120℃で、乾燥時間は5分とした。この乾燥したシート13を離型シートから剥離した後、複数のシート13を積層した。
最後に、180℃で3分、115kgf/cmの熱プレスを行い、シート13を互いに接合して高分子積層成形体10を作製した。
(実施例2)
実施例2の高分子積層成形体は、高分子化合物及び可塑剤の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更した以外は、実施例1の高分子積層成形体と同じである。
(実施例3)
実施例3の高分子積層成形体は、高分子化合物、可塑剤、及び難燃剤の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更した以外は、実施例1の高分子積層成形体と同じである。
(実施例4)
実施例4の高分子積層成形体は、高分子化合物、可塑剤、難燃剤、及び無機充填材の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更した以外は、実施例1の高分子積層成形体と同じである。
(実施例5)
実施例5の高分子積層成形体は、高分子化合物、可塑剤、難燃剤、及び無機充填材の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更した以外は、実施例1の高分子積層成形体と同じである。
(比較例1)
比較例1では、高分子化合物、難燃剤、及び無機充填材の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更するとともに、可塑剤を添加せずに高分子積層成形体を製造した。
(比較例2)
比較例2では、高分子化合物、難燃剤、及び無機充填材の配合量を表1に示す量(重量比)にそれぞれ変更するとともに、可塑剤として、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)ジエステルの代わりにパラフィンオイル(「PW−90」出光興産株式会社製)を10重量部配合して高分子積層成形体を製造した。
実施例1〜5、及び比較例1〜2の高分子積層成形体について、比重、難燃性、ならびに実数部透磁率μ’をそれぞれ評価し、それらの結果を表1に示す。なお、難燃性はUL94垂直燃焼性試験に基づき評価した。また、実数部透磁率μ’は、外径14mm、内径6mmのリング状に打ち抜いて作製したサンプルについて、アジレントテクノロジー社製のRFインピーダンス/マテリアルアナライザ「HP 4291B」を用いて測定した。表1に示す実数部透磁率μ’は、1MHzの周波数領域での実数部透磁率μ’の値を示す。
表1の結果より、可塑剤としてニトリルゴムと相溶性であるエステル系可塑剤を添加した実施例1〜5の高分子積層成形体では、いずれもUL94 V−0相当の高い難燃性を示した。一方、可塑剤を添加しなかった比較例1の高分子積層成形体はUL94垂直燃焼性試験によって燃焼した。また、ニトリルゴムと相溶性でないパラフィンオイルを可塑剤として添加した比較例2の高分子積層成形体の場合、UL94 V−0相当の難燃性を得るためには、難燃剤であるメラミンシアヌレートを60重量部配合する必要があった。データは示さないが、比較例2の高分子積層成形体のメラミンシアヌレート配合量を50重量部とした場合、高分子積層成形体はUL94垂直燃焼性試験によって燃焼した。
図2の(a)は実施例4の高分子積層成形体、(b)は比較例1の高分子積層成形体のUL94垂直燃焼性試験後の写真である。写真から明らかなように、実施例4の高分子積層成形体は積層間でよく密着しており、積層間の気泡の発生はほとんど見られない。それに対し、比較例1の高分子積層成形体では燃焼により積層間に多数の気泡が発生し、層間が剥離したほか、試料片の破断も生じた。
また、実施例1〜3の高分子積層成形体における難燃剤の含有量は比較例1の1/2程度であるにも関わらず、高い難燃性を示した。これは、高分子化合物に対する可塑剤の配合割合を増加させたことにより積層間の密着性がより向上し、燃焼による層間の気泡の発生が抑制され、層間剥離が生じにくくなったためであると考えられる。
実施例1〜3の高分子積層成形体では、難燃剤の含有量が少量に抑えられたため、その分無機充填材の含有量を増やすことができた。その結果、実数部透磁率μ’の値が130以上の高い電磁波吸収特性を有する高分子積層成形体が得られた。
以上の結果より、高分子化合物と相溶性である可塑剤を添加し、積層間の密着性を向上させることにより、難燃剤の含有量を増加させることなく難燃性の高い高分子積層体を得られることが裏付けられた。また、本発明の高分子積層体では難燃剤の含有量を減らすことが可能であるため、その減少分に応じて無機充填材の含有量を増やすことができる。その結果、難燃性に優れるとともに、無機充填材に起因する高い特性が付与された高分子積層体を製造することができる。
10…高分子積層成形体、11…高分子化合物、12…無機充填材、13…シート。

Claims (5)

  1. 高分子積層成形体の製造方法において、
    高分子化合物としてニトリルゴムからなるマトリックスに、前記高分子化合物と相溶性であるアジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)ジエステルからなるエステル系可塑剤、無機充填材、難燃剤、架橋剤、及び溶剤を混合してスラリー状組成物を調製する工程と、
    スラリー状組成物をシート状に成形する工程と、
    成形したスラリー状組成物を乾燥させてシートを形成する工程と、
    複数のシートを積層し、熱プレスにより高分子化合物を架橋させる工程と
    を備える方法。
  2. 無機充填材は、扁平状磁性体金属、炭素繊維、鱗片状黒鉛、及び鱗片状窒化ホウ素のうちの少なくとも何れかである請求項1に記載の方法。
  3. スラリー状組成物をシート状に成形する工程は、スラリー状組成物を離型シート上に塗工することにより、無機充填材を塗工方向に配向させることを含む請求項1または2に記載の方法。
  4. スラリー状組成物において、高分子化合物:可塑剤の重量比が55:45〜80:20である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. (高分子化合物+可塑剤):難燃剤の重量比が10:3〜10:4である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
JP2012144043A 2012-06-27 2012-06-27 高分子積層成形体の製造方法 Active JP5959956B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012144043A JP5959956B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 高分子積層成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012144043A JP5959956B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 高分子積層成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014005428A JP2014005428A (ja) 2014-01-16
JP5959956B2 true JP5959956B2 (ja) 2016-08-02

Family

ID=50103449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012144043A Active JP5959956B2 (ja) 2012-06-27 2012-06-27 高分子積層成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5959956B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106153178A (zh) * 2015-03-17 2016-11-23 中国科学院苏州纳米技术与纳米仿生研究所 柔性导电振膜、柔性振动传感器及其制备方法和应用
JP6755779B2 (ja) * 2016-11-11 2020-09-16 昭和電工株式会社 金属−炭素粒子複合材及びその製造方法
CN117757175B (zh) * 2024-02-22 2024-05-10 河南云瀚实业有限公司 一种新能源车用阻燃高分子组合物及其生产工艺

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002220534A (ja) * 2001-01-25 2002-08-09 Sekisui Chem Co Ltd 複合材料
JP2003229694A (ja) * 2002-02-05 2003-08-15 Sony Corp 電磁波吸収体およびその製造方法
JP4181174B2 (ja) * 2003-04-15 2008-11-12 横浜ゴム株式会社 成型および塗布用樹脂組成物ならびにそれを用いたノイズ抑制材
JP2005353686A (ja) * 2004-06-08 2005-12-22 Polymatech Co Ltd 電波吸収体
JP2007035699A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Bridgestone Corp 電磁波吸収体用硬化性組成物、その製造方法及び電磁波吸収体
JP2011216830A (ja) * 2010-04-02 2011-10-27 Polymatech Co Ltd 電磁波ノイズ抑制体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014005428A (ja) 2014-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5953160B2 (ja) 熱伝導性成形体の製造方法
US9574833B2 (en) Thermal conductive sheet, method of producing thermal conductive sheet and heat releasing device
JP6335384B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板および配線基板
JP7127710B2 (ja) 熱伝導シート
JP5959956B2 (ja) 高分子積層成形体の製造方法
CA2951437A1 (en) Thermal interface material with ion scavenger
WO2009142290A1 (ja) 放熱シート及び放熱装置
JP2009055021A (ja) 熱伝導シート及びその製造方法
US11180625B2 (en) Thermally and/or electrically conductive materials and method for the production thereof
WO2019159340A1 (ja) 熱伝導シート及び熱伝導シートを用いた放熱装置
JP2011127053A (ja) 樹脂シート及び積層体
JP2018129377A (ja) 熱伝導シート
JP2008120065A (ja) 放熱性フィルム
JP2017126614A (ja) 熱伝導シート、熱伝導シートの製造方法及び放熱装置
JPWO2018016527A1 (ja) 有機絶縁体、金属張積層板および配線基板
JP2011230472A (ja) 絶縁性の高い熱伝導シート及びこれを用いた放熱装置
JP2012087250A (ja) 熱伝導性樹脂組成物、樹脂シート、プリプレグ、金属積層板およびプリント配線板
KR20170091508A (ko) 열전도 시트 및 그의 제조 방법
JP2018127530A (ja) 熱伝導シート
JP2011216830A (ja) 電磁波ノイズ抑制体およびその製造方法
JP2016092118A (ja) 熱伝導電磁波吸収シート
JP5716698B2 (ja) 樹脂シート、積層板及びプリント配線板
JP5712488B2 (ja) 絶縁性樹脂フィルム及びそれを用いた積層板、配線板
JP7488636B2 (ja) 熱伝導性樹脂シート
JP2021158025A (ja) 放熱シート、バッテリーセル、背面カバー材及び電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20140904

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150430

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150430

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160622

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5959956

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250