JP2002220534A - 複合材料 - Google Patents

複合材料

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JP2002220534A
JP2002220534A JP2001017322A JP2001017322A JP2002220534A JP 2002220534 A JP2002220534 A JP 2002220534A JP 2001017322 A JP2001017322 A JP 2001017322A JP 2001017322 A JP2001017322 A JP 2001017322A JP 2002220534 A JP2002220534 A JP 2002220534A
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layered silicate
plasticizer
resin
meth
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JP2001017322A
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Koichi Shibayama
晃一 柴山
Hideyuki Takahashi
英之 高橋
Koji Taniguchi
浩司 谷口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂材料に添加することにより、優れた柔軟
性、弾性、ガスバリア性、寸法安定性、耐熱性、耐候
性、耐擦傷性、難燃性等の諸性能や諸機能を樹脂材料に
付与することのできる複合材料を提供する。 【解決手段】 可塑剤100重量部に対して層状珪酸塩
0.1〜200重量部が配合されてなる複合材料、可塑
剤がグリコール誘導体系可塑剤である上記複合材料、層
状珪酸塩がモンモリロナイト及び/又は膨潤性マイカで
ある上記複合材料、層状珪酸塩が炭素数6以上のアルキ
ルアンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩である上記
複合材料、及び、層状珪酸塩が、広角X線回折測定法に
より測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上
であり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散して
いる層状珪酸塩である上記複合材料、並びに、50kW
/m 2 の輻射加熱条件下で30分間加熱すること(AS
TM E 1354に準拠)により燃焼させた燃焼残渣
を速度0.1cm/sで圧縮した際の降伏点応力が4.
9kPa以上である上記複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般的に可塑剤は、樹脂材料に所定量添
加することにより、樹脂材料に柔軟性を付与することが
できるものであり、種々の樹脂材料に広く使用されてい
る。
【0003】可塑剤添加により、樹脂材料に柔軟性を付
与した具体例としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂に
可塑剤を添加してなる軟質塩化ビニル樹脂材料や、ポリ
ビニルブチラール樹脂に可塑剤を添加してなる可塑化ポ
リビニルブチラール樹脂材料等が挙げられる。前者は、
例えば各種フィルム材料として有用であり、後者は、例
えば自動車や建築物等の窓ガラスに用いられる合わせガ
ラス用の中間膜として有用である。
【0004】一方、樹脂材料に可塑剤を添加していく
と、樹脂材料の柔軟性は高まるものの、樹脂材料の他の
性能や機能が低下するという問題点がある。具体的に
は、耐熱性や寸法安定性、難燃性等の低下である。
【0005】例えば難燃性に関しては、可塑剤を添加し
ないポリ塩化ビニル樹脂(硬質塩化ビニル樹脂)におけ
る難燃性を示す指標である酸素指数(燃焼できる最低限
の酸素濃度)が42〜49であるのに対し、ポリ塩化ビ
ニル樹脂100重量部に対して可塑剤としてフタル酸ジ
オクチルを60重量部添加してなる軟質塩化ビニル樹脂
は上記酸素指数が22.2まで低下することが知られて
いる(「ポリマーの難燃化」、西沢 仁著、大成社
刊)。
【0006】又、上記問題点のみならず、樹脂材料の柔
軟性をより向上させるために可塑剤を大量に添加する
と、樹脂材料より可塑剤がブリードアウトするという問
題点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、樹脂材料に添加することにより、優れた
柔軟性、弾性、ガスバリア性、寸法安定性、耐熱性、耐
候性、耐擦傷性、難燃性等の諸性能や諸機能を樹脂材料
に付与することのできる複合材料を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よる複合材料は、可塑剤100重量部に対して層状珪酸
塩0.1〜200重量部が配合されてなることを特徴と
する。
【0009】請求項2に記載の発明による複合材料は、
上記請求項1に記載の複合材料において、可塑剤が、グ
リコール誘導体系可塑剤であることを特徴とする。
【0010】請求項3に記載の発明による複合材料は、
上記請求項1又は請求項2に記載の複合材料において、
層状珪酸塩が、モンモリロナイト及び/又は膨潤性マイ
カであることを特徴とする。
【0011】請求項4に記載の発明による複合材料は、
上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複合材料に
おいて、層状珪酸塩が、炭素数6以上のアルキルアンモ
ニウムイオンを含有する層状珪酸塩であることを特徴と
する。
【0012】請求項5に記載の発明による複合材料は、
上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の複合材料に
おいて、層状珪酸塩が、広角X線回折測定法により測定
した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、
且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散している層状
珪酸塩であることを特徴とする。
【0013】請求項6に記載の発明による複合材料は、
上記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の複合材料に
おいて、50kW/m2 の輻射加熱条件下で30分間加
熱すること(ASTM E 1354に準拠)により燃
焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮した際の
降伏点応力が4.9kPa以上であることを特徴とす
る。
【0014】本発明の複合材料に用いられる可塑剤とし
ては、樹脂材料に添加することにより可塑化作用を発現
し得るものであれば如何なる化合物であっても良く、特
に限定されるものではないが、例えば、フタル酸アルキ
ルエステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑
剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル
系可塑剤、脂肪酸グリコールエステル系可塑剤、ポリエ
ステル系可塑剤、ノルボルネン系モノマーの重合体であ
るオリゴマーやポリマーなどのオリゴマーもしくはポリ
マー系可塑剤、オレイン酸ブチルなどの脂肪酸エステル
系可塑剤、エポキシ化大豆油などのエポキシ系可塑剤、
塩素化脂肪酸メチルなどの塩素化パラフィン系可塑剤、
コハク酸ジオクチルなどの脂肪族二塩基酸エステル系二
次可塑剤、ミネラルスピリットやミネラルターベンなど
の石油系希釈剤、ドデシルベンゼンなどの長鎖アルキル
ベンゼン系希釈剤、高級アルコール、流動パラフィン、
高級脂肪酸アルキルエステルなどの液状軟化剤等の公知
の各種可塑剤が挙げられ、好適に用いられる。
【0015】上記各種可塑剤の具体例としては、特に限
定されるものではないが、例えば、ジメチルフタレー
ト、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ(2
−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタ
レート、ジイソブチルフタレート、ジフェニルフタレー
ト、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレー
ト、ジヘプチルフタレート、ジノニルフタレート、ジウ
ンデシルフタレート、ベンジルフタレート、ブチルベン
ジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフ
タル酸誘導体系可塑剤;ジメチルイソフタレート、ジ
(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチ
ルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体系可塑剤;
ジ(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ
−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシル
テトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘
導体系可塑剤;ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エ
チルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、
ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体系可塑
剤;ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオク
チルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのア
ゼライン酸誘導体系可塑剤;ジ−n−ブチルセバケー
ト、ジ(2−エチルヘキシル)セバケートなどのセバシ
ン酸誘導体系可塑剤;ジ−n−ブチルマレート、ジメチ
ルマレート、ジエチルマレート、ジ(2−エチルヘキシ
ル)マレートなどのマレイン酸誘導体系可塑剤;ジ−n
−ブチルフマレート、ジ(2−エチルヘキシル)フマレ
ートなどのフマル酸誘導体系可塑剤;トリ(2−エチル
ヘキシル)トリメリテート、トリ−n−オクチルトリメ
リテート、トリイソデシルトリメリテート、トリイソオ
クチルトリメリテート、トリ−n−ヘキシルトリメリテ
ート、トリイソノニルトリメリテートなどのトリメリッ
ト酸誘導体系可塑剤;テトラ(2−エチルヘキシル)ピ
ロメリテート、テトラ−n−オクチルピロメリテートな
どのピロメリット酸誘導体系可塑剤;トリエチルシトレ
ート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチ
ルシトレート、アセチルトリ(2−エチルヘキシル)シ
トレートなどのシトロン酸誘導体系可塑剤;モノメチル
イタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタ
コネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネー
ト、ジ(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタ
コン酸誘導体系可塑剤;ブチルオレート、グリセリルモ
ノオレート、ジエチレングリコールモノオレートなどの
オレイン酸誘導体系可塑剤;メチルアセチルリシノレー
ト、ブチルアセチルリシノレート、ジエチレングリコー
ルモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体系可塑
剤;n−ブチルステアレート、グリセリンモノステアレ
ート、ジエチレングリコ−ルジステアレートなどのステ
アリン酸誘導体系可塑剤;ジエチレングリコールモノラ
ウレート、ジエチレングリコールジベラルゴネート、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪
酸誘導体系可塑剤;トリエチルホスフェート、トリブチ
ルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェ
ート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ
クレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、
トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導
体系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、ジ
プロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレング
リコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ
(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ
(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチ
オグリコレ−トなどのグリコ−ル誘導体系可塑剤;グリ
セロールモノアセテート、グリセロールトリアセテー
ト、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導
体系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシヘキサヒドロ
フタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エ
ポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デ
シルなどのエポキシ誘導体系可塑剤;アジピン酸系ポリ
エステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリ
エステルなどのポリエステル系可塑剤;部分水添ターフ
ェニル;接着性可塑剤等が挙げられ、好適に用いられる
が、なかでもグリコール誘導体系可塑剤がより好適に用
いられる。これらの各種可塑剤は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】本発明の複合材料に用いられる層状珪酸塩
とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味
する。
【0017】上記層状珪酸塩としては、特に限定される
ものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイ
ト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、
ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バー
ミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げら
れ、好適に用いられる。なかでもモンモリロナイト及び
/又は膨潤性マイカがより好適に用いられる。上記層状
珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても
良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても
良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0018】上記層状珪酸塩としては、下記関係式
(1)で定義される形状異方性効果の大きいスメクタイ
ト類や膨潤性マイカを用いることが好ましい。スメクタ
イト類や膨潤性マイカのような形状異方性効果の大きい
層状珪酸塩を用いることにより、複合材料の機械的強度
はより優れたものとなる。 形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶表面(B)の面積‥‥(1) 尚、上式中、結晶表面(A)は層表面を意味し、結晶表
面(B)は層側面を意味する。
【0019】上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽
イオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリ
ウムやカルシウムなどの金属のイオンであり、これらの
イオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するた
め、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の
結晶層間に挿入(インターカレート)することができ
る。
【0020】上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、特
に限定されるものではないが、50〜200ミリ等量/
100gであることが好ましい。層状珪酸塩の陽イオン
交換容量が50ミリ等量/100g未満であると、イオ
ン交換により層状珪酸塩の結晶層間にインターカレート
されるカチオン性物質の量が少なくなるために、結晶層
間が十分に非極性化されないことがあり、逆に層状珪酸
塩の陽イオン交換容量が200ミリ等量/100gを超
えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固となりす
ぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0021】本発明において、比較的極性の低い可塑剤
と層状珪酸塩とを複合する場合には、予め層状珪酸塩の
層間をカチオン性界面活性剤で陽イオン交換して、疎水
化しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の層間を疎
水化しておくことにより、層状珪酸塩と可塑剤との親和
性が高まり、層状珪酸塩を可塑剤中により均一に微分散
させることができる。
【0022】上記カチオン性界面活性剤としては、特に
限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好適に用いられ
る。なかでも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化
し得ることから、炭素数6以上のアルキル鎖を有する4
級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウ
ム塩)がより好適に用いられる。
【0023】上記4級アンモニウム塩としては、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチル
アンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム
塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチ
ルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム
塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等が挙げら
れ、好適に用いられる。これらの4級アンモニウム塩
は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用され
ても良い。
【0024】又、上記4級ホスホニウム塩としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフ
ェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウ
ム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリル
トリメチルホスホニウム塩、トリオクチルホスホニウム
塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリ
ルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられ、好適に用い
られる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いら
れても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0025】本発明で用いられる層状珪酸塩は、上述の
ように化学処理によって可塑剤中への分散性を向上させ
ることができる。
【0026】上記化学処理は、カチオン性界面活性剤に
よる陽イオン交換法(以下、「化学修飾(1)法」と記
す)に限定されるものではなく、例えば、以下に示す各
種化学処理法によっても実施することができる。尚、化
学修飾(1)法を含め、以下に示す各種化学処理法によ
って可塑剤中への分散性を向上させた層状珪酸塩を、以
下、「有機化層状珪酸塩」と記す。
【0027】(2)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基を分子末端に1個以上有す
る化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾(2)
法」と記す)。
【0028】(3)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面に存在する水酸基を、これ
と化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも
化学的親和性の大きい官能基及び反応性官能基を分子末
端に1個以上有する化合物で化学処理する方法(以下、
「化学修飾(3)法」と記す)。
【0029】(4)化学修飾(1)法で化学処理された
有機化層状珪酸塩の結晶表面を、アニオン性界面活性を
有する化合物で化学処理する方法(以下、「化学修飾
(4)法」と記す)。
【0030】(5)化学修飾(4)法において、アニオ
ン性界面活性を有する化合物の分子鎖中のアニオン部位
以外に反応性官能基を1個以上有する化合物で化学処理
する方法(以下、「化学修飾(5)法」という)。
【0031】(6)上記化学修飾(1)法〜化学修飾
(5)法のいずれかの方法で化学処理された有機化層状
珪酸塩に、さらに、例えば、可塑剤が有する官能基との
親和性が高い官能基や、可塑剤が有する官能基と反応し
得る官能基を有する重合体を添加した組成物を用いる方
法(以下、「化学修飾(6)法」と記す)等が挙げられ
る。これらの化学修飾法は、単独で用いられても良い
し、2種以上の方法が併用されても良い。
【0032】上記化学修飾(2)法において、水酸基と
化学結合し得る官能基、又は、化学結合はしなくとも化
学的親和性の大きい官能基としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、アルコキシ基、エポキシ基、カ
ルボキシル基(二塩基性酸無水物も包含する)、水酸
基、イソシアネート基、アルデヒド基等の官能基や、水
酸基との化学的親和性が高いその他の官能基等が挙げら
れる。
【0033】水酸基と化学結合し得る官能基、又は、化
学結合はしなくとも化学的親和性の大きい官能基を有す
る化合物としては、特に限定されるものではないが、例
えば、上記に例示した官能基を有するシラン化合物、チ
タネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、ア
ルコール類等が挙げられ、好適に用いられる。これらの
化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併
用されても良い。
【0034】上記シラン化合物としては、特に限定され
るものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメチ
ルエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヘキ
シルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オク
タデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン
等が挙げられ、好適に用いられる。これらのシラン化合
物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。
【0035】又、化学修飾(4)法及び化学修飾(5)
法において、アニオン性界面活性を有する化合物、及び
/又は、アニオン性界面活性を有し、分子鎖中のアニオ
ン部位以外に反応性官能基を1個以上有する化合物とし
ては、イオン相互作用により層状珪酸塩を化学処理でき
るものであれば如何なる化合物であっても良く、特に限
定されるものではないが、例えば、ラウリル酸ナトリウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、
高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール
硫酸エステル塩、不飽和アルコール硫酸エステル塩等が
挙げられ、好適に用いられる。これらの化合物は、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0036】本発明で用いられる層状珪酸塩は、広角X
線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距
離が3nm以上であり、且つ、一部もしくは全部が5層
以下に分散している層状珪酸塩であることが好ましく、
より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であ
り、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散している
層状珪酸塩である。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均
層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした
場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透
過型電子顕微鏡撮影、即ち、広角X線回折測定法によ
り、算出することができる。
【0037】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散してい
ると、本発明の複合材料を樹脂材料中に添加し、分散さ
せた場合に、樹脂材料は優れた難燃性、機械的物性、耐
熱性等の諸性能を発現する。
【0038】層状珪酸塩の平均層間距離が3nm以上で
あるということは、層状珪酸塩の層間が3nm以上に開
裂していることを意味しており、又、層状珪酸塩の一部
もしくは全部が5層以下に分散しているということは、
層状珪酸塩の積層体の一部もしくは全部が広く分散して
いることを意味しており、いずれも層状珪酸塩の層間の
相互作用が弱まっていることになり、そのことにより、
上記効果を得ることができる。
【0039】特に、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm
以上であると、本発明の複合材料が添加され、分散され
た樹脂材料の難燃性、機械的物性、耐熱性等の諸性能は
著しく優れたものとなる。又、層状珪酸塩の平均層間距
離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状
珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互
作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を
構成する結晶薄片の樹脂材料中での分散状態が離砕安定
化の方向に進行する利点がある。
【0040】又、層状珪酸塩の一部もしくは全部が5層
以下に分散しているということは、具体的には、層状珪
酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にある
ことが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸
塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0041】層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層し
ていることが好ましく、そのことにより、上記効果を得
ることができるが、より好ましくは3層以下に分層して
いることであり、特に好ましくは単層状に薄片化してい
ることである。
【0042】本発明の複合材料において、層状珪酸塩の
平均層間距離が3nm以上であり、且つ、層状珪酸塩の
一部もしくは全部が5層以下に分散している状態、即
ち、可塑剤中に層状珪酸塩が高分散している状態であれ
ば、この複合材料を樹脂材料に添加し、複合化させた場
合、樹脂材料中でも層状珪酸塩は高分散状態を維持する
ことが可能となり、樹脂材料と層状珪酸塩との界面面積
が増大したり、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距離が小
さくなる。
【0043】樹脂材料と層状珪酸塩との界面面積が増大
すると、層状珪酸塩の表面における樹脂材料の拘束の度
合いが高まり、弾性などの機械的物性が向上する。又、
層状珪酸塩の表面における樹脂材料の拘束の度合いが高
まると、溶融粘度が高まり、成形性も向上する。さら
に、層状珪酸塩の邪魔板効果により、ガスバリア性の発
現も可能となる。
【0044】一方、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均距離
が小さくなると、燃焼時において、層状珪酸塩の結晶薄
片の移動による焼結体を形成し易くなる。即ち、層状珪
酸塩の結晶薄片における平均層間距離が3nm以上とな
るように分散した樹脂材料は、難燃被膜となり得る焼結
体を形成し易くなる。この焼結体は、燃焼時の早い段階
で形成されるので、外界からの酸素の供給を遮断するの
みならず、燃焼により発生する可燃性ガスも遮断するこ
とができ、樹脂材料は優れた難燃性を発現する。
【0045】本発明の複合材料は、前述の可塑剤100
重量部に対して上述の層状珪酸塩(前記有機化層状珪酸
塩も包含する)0.1〜200重量部が配合されてなる
ことが必要であり、好ましくは可塑剤100重量部に対
して層状珪酸塩1〜100重量部である。
【0046】可塑剤100重量部に対する層状珪酸塩の
配合量が0.1重量部未満であると、層状珪酸塩を含有
させることによる前記効果を十分に得られず、逆に可塑
剤100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が200重
量部を超えると、複合材料そのものや、この複合材料が
添加された樹脂材料の密度(比重)が高くなりすぎて、
実用性に乏しくなる。
【0047】本発明の複合材料には、必須成分である可
塑剤及び層状珪酸塩以外に、本発明の課題達成を阻害し
ない範囲で必要に応じて、例えば、難燃剤、滑剤、帯電
防止剤、防曇剤、着色剤、酸化防止剤(老化防止剤)、
熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤の1
種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0048】上記難燃剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、リン
系化合物、メラミン誘導体などの窒素系化合物等が挙げ
られ、好適に用いられる。これらの難燃剤は、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0049】本発明の複合材料の作製方法は、特に限定
されるものではなく、例えば、遊星式攪拌装置、湿式メ
カノケミカル装置、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザ
ー、超音波照射機等の一般的な混練機を用いて、必須成
分である前記可塑剤及び層状珪酸塩の各所定量と、必要
に応じて添加される各種添加剤の1種もしくは2種以上
の各所定量とを、常温下もしくは加熱下で、均一に混練
することにより、所望の複合材料を作製することができ
る。
【0050】こうして得られる本発明の複合材料は、A
STM E 1354に準拠した燃焼試験において、5
0kW/m2 の輻射加熱条件下で30分間加熱すること
により燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮
した際の降伏点応力が4.9kPa以上であることが好
ましく、より好ましくは15.0kPa以上である。
【0051】複合材料の上記燃焼残渣の上記降伏点応力
が4.9kPa未満であると、微少な力で燃焼残渣の崩
壊が起こり易くなって、この複合材料を添加した樹脂材
料の難燃性が不十分となることがある。即ち、本発明の
複合材料の焼結体が難燃被膜としての機能を十分に発現
するためには、燃焼終了時まで焼結体がその形状を保持
していることが好ましい。
【0052】本発明の複合材料が添加され複合される対
象となり得る樹脂材料としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂を主構
成成分とする樹脂材料等が挙げられ、好適に用いられ
る。これらの樹脂材料は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
【0053】熱可塑性樹脂としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビ
ニルアセタール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、ノルボルネン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、
ポリアミド系樹脂などのいわゆる熱可塑性樹脂;セルロ
ースエステルやニトロセルロースなどのセルロース誘導
体;アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレ
ン−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、イソプ
レンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴ
ム、ノルボルネンゴムなどのゴム類(エラストマー類)
等が挙げられ、好適に用いられる。これらの熱可塑性樹
脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用さ
れても良い。尚、本発明で言う「(メタ)アクリル」と
は、「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
【0054】ポリ塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルモ
ノマーの単独重合体、又は、塩化ビニルモノマーと該塩
化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーとの共重合体
である。塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーと
しては、塩化ビニルモノマーとラジカル共重合し得るも
のであれば良く、特に限定されるものではないが、例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オレイン酸ビニ
ル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;不飽和カ
ルボン酸及びその無水物;(メタ)アクリル酸エステル
類;マレイン酸エステル、フマル酸エステルなどの不飽
和カルボン酸類;メチルビニルエーテルなどのビニルエ
ーテル類;エチレン、プロピレンなどのモノオレフィン
類;塩化ビニリデン、スチレン及びその誘導体、(メ
タ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらのポリ塩
化ビニル系樹脂は、塩素化等の変性を施されていても良
い。
【0055】ポリビニルアセタール系樹脂としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアル
コールを炭素数1〜10のアルデヒドでアセタール化し
て得られる各種ポリビニルアセタール樹脂が挙げられ、
好適に用いられる。特に透明性や接着性が要求される場
合には、例えば、ポリビニルアルコールを炭素数4のブ
チルアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニル
ブチラール樹脂がより好適に用いられる。
【0056】ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定
されるものではないが、例えば、プロピレンの単独重合
体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピ
レンとエチレンとのランダム又はブロック共重合体、エ
チレンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共
重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレン
と(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エ
ステルとの共重合体、エチレンとスチレンとの共重合
体、ブテンの単独重合体、ブタジエンやイソプレンなど
のジエン類の単独重合体及び共重合体等が挙げられる。
【0057】オレフィン系モノマーと共重合され得る
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルと
しては、例えば、一般式:CH2 =C(R1 )COO−
2 (式中、R1 は、水素原子又はメチル基を示し、R
2 は、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素
基、及び、ハロゲン基、アミノ基、グリシジル基等の官
能基を含む炭化水素基の中から選ばれる1価の基を示
す)で表される化合物が挙げられる。
【0058】上記一般式で表される(メタ)アクリル酸
エステルとしては、特に限定されるものではないが、例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n
−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸ト
リスチル、(メタ)アクリル駿セチル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)
アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メ
タ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ナフ
チル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリクロロフェ
ニル、(メタ)アクリル酸2,4,6−トリブロモフェ
ニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アク
リル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エ
トキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸
ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、(メ
タ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アク
リル酸2,3−ジブロモプロピル、(メタ)アクリル酸
2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,2−ト
リフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロ
イソプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸3−トリメトキシシリルプロピル、(メ
タ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)ア
クリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル
酸t−ブチルアミノエチル等が挙げられる。
【0059】本発明の複合材料を上述した樹脂材料に添
加して複合させる方法としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、所定量の樹脂材料に所定量の複合材
料を添加して、均一に混練する方法や、樹脂材料を有機
溶剤に溶解させた樹脂溶液の所定量に所定量の複合材料
を添加して、均一に混練した後に、有機溶剤を除去する
方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良い。
【0060】前述したように、層状珪酸塩が剥離し結晶
薄片が樹脂材料中に分散すればするほど、結晶薄片間の
平均距離が小さくなり、燃焼時において層状珪酸塩の結
晶薄片の移動による焼結体の形成が行われ易くなる。
又、上記層状珪酸塩の結晶薄片が分散すればするほど、
弾性率やガスバリア性が著しく向上する。
【0061】上記いずれの現象も、樹脂材料と層状珪酸
塩との界面面積が結晶薄片の分散の向上に伴って増大す
ることによる。即ち、樹脂材料と層状珪酸塩との接着面
において、樹脂材料の分子運動が拘束されることによ
り、樹脂材料の弾性率等の力学的強度が増大するので、
結晶薄片の分散割合が向上すればするほど、樹脂材料の
強度を増大させる効果が大きくなる。又、樹脂材料中で
は無機物に比べてガス分子の方がはるかに拡散し易いの
で、複合材料中をガス分子が拡散する際には、無機物を
迂回しながら拡散する。従ってこの場合も、層状珪酸塩
の結晶薄片の分散割合が向上すればするほど、樹脂材料
のガスバリア性を効率的に増大させることができる。
【0062】
【作用】本発明の複合材料は、特定量の可塑剤と特定量
の層状珪酸塩とからなるので、燃焼時に層状珪酸塩によ
る焼結体が形成され、燃焼残渣の形状が保持される。こ
れにより燃焼後も形状崩壊が起こらず、延焼を防止する
ことができる。
【0063】従って、樹脂材料に対して本発明の複合材
料が添加されてなる樹脂組成物やその樹脂組成物を用い
て作製される成形体は、優れた難燃性を発現する。又、
層状珪酸塩は通常の難燃剤のように大量に添加しなくと
も樹脂材料に対して優れた難燃性を付与できるので、上
記樹脂組成物や成形体は、優れた機械的物性や透明性を
保持できる。
【0064】又、本発明の複合材料は、樹脂材料の弾性
率やガスバリア性等の物性を向上させることができると
共に、分子鎖の拘束による耐熱変形温度の上昇に基づく
耐熱性の向上や、層状珪酸塩の結晶による核剤効果に基
づく寸法安定性の向上等も図ることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味する。
【0066】(実施例1)可塑剤としてトリエチレング
リコールジ(2−エチルブチレート)100部及び層状
珪酸塩としてジステアリルジメチル4級アンモニウム塩
で有機化処理した膨潤性フッ素化マイカ(商品名「ソマ
シフMAE−100」、コープケミカル社製)20部
を、遊星式攪拌装置で1分間混練して、ペースト状の複
合材料を作製した。
【0067】次に、上記で得られた複合材料とポリビニ
ルブチラール樹脂(ブチラール化度65モル%)とが重
量比率で35/65となる樹脂組成物を作製し、この樹
脂組成物を小型押出機(商品名「TEX30」、日本製
鋼所社製)中にフィードし、設定温度140℃で溶融混
練して押出し、ストランド状の押出物を得た。次いで、
得られたストランド状の押出物を150℃に温調された
熱プレスでプレスして、厚み0.5mmの板状成形体を
作製した。
【0068】(実施例2)複合材料の作製において、可
塑剤として、トリエチレングリコールジ(2−エチルブ
チレート)100部の代わりに、トリエチレングリコー
ルジ(2−エチルヘキソエート)100部を用いたこと
以外は実施例1の場合と同様にして、複合材料及び板状
成形体を作製した。
【0069】(比較例1)複合材料の作製において、層
状珪酸塩としての膨潤性フッ素化マイカ「ソマシフMA
E−100」20部の代わりに、微細タルク(商品名
「ハイフィラー#5000」、白石カルシウム社製)2
0部を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、
複合材料及び板状成形体を作製した。
【0070】(比較例2)複合材料の作製において、層
状珪酸塩としての膨潤性フッ素化マイカ「ソマシフMA
E−100」を用いなかったこと以外は実施例1の場合
と同様にして、複合材料及び板状成形体を作製した。
【0071】実施例1及び実施例2で得られた複合材料
中の層状珪酸塩の平均層間距離を以下の方法で測定し
た。尚、比較例1及び比較例2の複合材料は層状珪酸塩
を含有していなかったので平均層間距離の測定は行わ
なかった。又、実施例1及び実施例2、並びに、比較例
1及び比較例2で得られた複合材料の燃焼残渣強度を
以下の方法で測定した。これらの結果は表1に示すとお
りであった。
【0072】平均層間距離:X線回折測定装置(商品
名「RINT1100」、リガク社製)を用いて、複合
材料中の層状珪酸塩の積層面の回折より得られる回折ピ
ークの2θを測定し、下記のブラックの回折式により、
層状珪酸塩の(001)面間隔(d)を算出し、得られ
たdを平均層間距離(nm)とした。 λ=2dsinθ (式中、λ:1.54、d:層状珪酸塩の面間隔、θ:
回折角)
【0073】燃焼残渣強度:ASTM E 1354
「建築材料の燃焼性試験方法」に準拠して、試験容器
(100mm×100mm×3mm厚)に複合材料を充
填し、コーンカロリーメーターによって50kW/m2
の熱線を照射して燃焼させた後、強度測定装置を用い
て、燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮し、燃焼残渣
強度(kPa)を測定した。
【0074】又、実施例1及び実施例2、並びに、比較
例1及び比較例2で得られた板状成形体の300%モ
ジュラス及び破断時伸び率を以下の方法で測定した。
その結果は表1に示すとおりであった。
【0075】300%モジュラス及び破断時伸び
率:0.5mm厚の板状成形体から試験片を切り出し、
JIS K−7113「プラスチックの引張試験方法」
に準拠して、テンシロン試験機により上記試験片の引張
試験を行い、300%モジュラス(MPa)及び破断時
伸び率(%)を求めた。
【0076】
【表1】
【0077】表1から明らかなように、本発明による実
施例1及び実施例2の複合材料を含有する樹脂組成物を
用いて作製した実施例1及び実施例2の成形体は、30
0%モジュラス及び破断時伸び率のいずれもが高く、優
れた機械的物性を発現した。
【0078】これに対し、層状珪酸塩の代わりに微細タ
ルクを添加した比較例1の複合材料は、燃焼残渣強度が
低かった。又、この複合材料を含有する樹脂組成物を用
いて作製した比較例1の成形体は、300%モジュラス
が低かった。
【0079】又、層状珪酸塩も微細タルクも添加しなか
った比較例2の複合材料(可塑剤単独)は、当然のこと
ながら、燃焼時に被膜(燃焼残渣)を形成しなかった。
又、この複合材料を含有する樹脂組成物を用いて作製し
た比較例2の成形体は、300%モジュラスが低かっ
た。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の複合材料
は、樹脂材料に添加することにより、優れた柔軟性、弾
性、ガスバリア性、寸法安定性、耐熱性、耐候性、耐擦
傷性、難燃性等の諸性能や諸機能を樹脂材料に容易に付
与することができるので、樹脂材料の高性能化や高機能
化を図るための改質用添加剤として好適に用いられる。
【0081】又、樹脂材料に対して本発明の複合材料が
添加されてなる樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いて
作製される成形体は、上記優れた諸性能や諸機能を兼備
するものとなり、各種用途に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AB02W AC02W AC06W AC07W AC08W AC09W AE05X BB00W BB16W BB16X BB18W BB24X BC02W BD03W BE02W BE06W BF02W BG05W CB00W CD16X CE00W CE00X CF00W CF00X CK02W CL00W DJ007 EH096 EH106 EH146 EW046 FB087 FD02X FD026 FD207

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑剤100重量部に対して層状珪酸塩
    0.1〜200重量部が配合されてなることを特徴とす
    る複合材料。
  2. 【請求項2】 可塑剤が、グリコール誘導体系可塑剤で
    あることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
  3. 【請求項3】 層状珪酸塩が、モンモリロナイト及び/
    又は膨潤性マイカであることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の複合材料。
  4. 【請求項4】 層状珪酸塩が、炭素数6以上のアルキル
    アンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩であることを
    特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複合
    材料。
  5. 【請求項5】 層状珪酸塩が、広角X線回折測定法によ
    り測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上で
    あり、且つ、一部もしくは全部が5層以下に分散してい
    る層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれかに記載の複合材料。
  6. 【請求項6】 50kW/m2 の輻射加熱条件下で30
    分間加熱すること(ASTM E 1354に準拠)に
    より燃焼させた燃焼残渣を速度0.1cm/sで圧縮し
    た際の降伏点応力が4.9kPa以上であることを特徴
    とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の複合材
    料。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011503258A (ja) * 2007-11-06 2011-01-27 ソリユテイア・インコーポレイテツド グリセロール系可塑剤を含む中間層
JP2012255104A (ja) * 2011-06-09 2012-12-27 Riken Technos Corp 塩化ビニル樹脂組成物
JP2014005428A (ja) * 2012-06-27 2014-01-16 Polymatech Co Ltd 高分子積層成形体及びその製造方法
JP2016523222A (ja) * 2013-06-10 2016-08-08 ソルティア・インコーポレーテッド 改良された光学特性を有するポリマー中間層

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