[実施の形態1]
本実施の形態に係る装置の概要を図1を用いて説明する。例えば農地1000の周りに支柱1101乃至1106を設置して、ワイヤ1201及び1202を支柱1101乃至1106により駆除目的の動物に応じた異なる高さに支持する。ワイヤ1201及び1202は、少なくとも一カ所において接続されており、さらに電力供給装置200に接続されている。電力供給装置200は、高電圧をワイヤ1201及び1202に連続的又は間欠的に印加する装置であり、地面にアース電極が埋め込まれる。このような構成の電気柵については、周知である。
本実施の形態に係る処理装置100は、電力供給装置200の近傍に設置され、ワイヤ1201及び1202と電力供給装置200とを接続するワイヤに流れる電流を測定できるようになっている。また、処理装置100は、遠距離無線通信機能を有しており、例えば携帯電話通信網(インターネット等にさらに接続している場合もある)1300に接続できるようになっている。
すなわち、処理装置100は、携帯電話通信網1300の無線基地局1301に対してメールなどのデータを送信する。携帯電話通信網1300にはメールサーバ1310が接続されており、処理装置100が送信されたメールは、メールサーバ1310で宛先ユーザのメールボックスに保存される。また、ユーザの携帯電話機1400は、携帯電話通信網1300に接続されている無線基地局1302を介してメールサーバ1310から自ユーザ宛のメールをダウンロードする。これによって、処理装置100から送信されたメールは、ユーザの携帯電話機1400に到達する。なお、携帯電話機1400以外のパーソナルコンピュータを用いる場合であっても、同様に、周知の機構を用いて、インターネット等を介してユーザのパーソナルコンピュータで、メールを受信することができる。
図2に、本実施の形態に係る処理装置100の構成例を示す。処理装置100は、電流センサ101と、電流監視部102と、監視データ格納部103と、検査データ格納部104と、判定処理部105と、判定結果格納部106と、通知処理部107と、遠距離無線通信部108とを有する。
電流センサ101は、ワイヤ1201及び1202と電力供給装置200とを接続するワイヤに接続されており、当該ワイヤを流れる電流を所定時間間隔(例えば0.1秒間隔)で測定する。
電流監視部102は、電流センサ101が出力する測定結果である電流値を受け取り、時刻データと共に監視データ格納部103に格納すると共に、監視データ格納部103に所定時間分(例えば2秒分。以下ユニットと呼ぶ)電流値のデータが貯まった場合には、検査データ格納部104にそのデータをコピーする。判定処理部105は、検査データ格納部104に格納されている第2の所定時間分(例えば7乃至10ユニットの時間であり検査ユニットと呼ぶ)のデータを用いて後に述べる処理を行って、処理結果である判定結果を判定結果格納部106に格納する。通知処理部107は、判定結果格納部106に格納されているデータを用いてユーザに対する通知データを生成する処理を実施する。遠距離無線通信部108は、通知処理部107からの指示に応じて、通知データをユーザ宛に送信する。
次に、図2に示した処理装置100の動作について図3乃至図11を用いて説明する。まず、電流監視部102に関連する処理について図3及び図4を用いて説明する。まず、電流監視部102は、初期処理として監視データ格納部103に格納されているデータを消去する(図3:ステップS1)。そして、電流監視部102は、電流センサ101が出力する電流値と現在時刻とを含む測定データを、監視データ格納部103に保存する(ステップS3)。そして、電流監視部102は、監視データ格納部103に1ユニット分の測定データを保存したか判断する(ステップS5)。電流がワイヤ1201及び1202を流れる時間は、駆除目的の動物の反射行動に依存しており、0.3秒から0.5秒程度である。一方、電気柵の周りに生えて無駄な電流を流すことになる植物が風に揺られて接触する場合には、その周期は0.5秒から2秒程度である。従って、0.1秒間隔で電流センサ101が測定を行う場合には、20レコード分を1ユニットとして植物が接触する周期ができるだけ1ユニット内に収まるようにする。この時間については一例であって、その場所の状況などに合わせて設定する。
監視データ格納部103に1ユニット分の測定データが保存されていない場合には、ステップS3に戻る。一方、1ユニット分の測定データが保存された場合には、電流監視部102は、監視データ格納部103に格納されている1ユニット分の測定データを検査データ格納部104に保存する(ステップS7)。このような処理を処理終了まで繰り返す(ステップS9)。
例えば、監視データ格納部103には、図4に示すようなデータが格納される。図4の例では、測定日時と、データ種別(電流又は張力。本実施の形態では電流のみ。)と、測定値(mA)とで1レコードとなる。そして、監視データ格納部103には、20レコード分まで保存される。検査データ格納部104にも、同様のフォーマットで測定データが保存される。
次に、図5乃至図11を用いて、判定処理部105及び通知処理部107に関連する処理を説明する。判定処理部105は、検査データ格納部104における先頭のユニットを特定する(図5:ステップS11)。そして、判定処理部105は、先頭のユニットを先頭に含む検査ユニット分の測定データを、検査データ格納部104から読み出す(ステップS13)。
上でも述べたように動物が接触した場合には、0.3秒から0.5秒程度電流が流れるので、1ユニット分のデータ、多くとも3ユニットがあれば判定できる。例えば、図6に模式的に示すように、ユニット3001乃至3003内において、動物が接触すると、0.3秒から0.5秒程度の時間dだけ電流値が例えば0(0ではなく、ノイズを考えて他の値を閾値として採用する場合もある)を超えた値として測定される。一方、実際には電気柵の周辺に生えた植物が風に揺られて接触するような場合にも電流が流れるため、物体の接触状況をより詳しく判定するためには、3ユニット分の測定データ程度では不足する。そのため、本実施の形態では、7乃至10程度のユニットを検査ユニットとして採用する。図7に模式的に示すように、例えば7ユニットを検査ユニットとして採用すれば、複数箇所で電流値が閾値を超えている様子を把握することができる。図7の例では、7ユニットで5回電流が流れている。後に述べるように周期性を判断するために、電流値が閾値を超えた立ち上がりのタイミングの間隔を時間間隔として算出する。図7の例では、4つの時間間隔T1乃至T4が算出される。後に、この時間間隔T1乃至T4を用いて判定処理を実施する。また、図示していないが、電流値が閾値を超えている時間が、図6の時間dのような短時間ではなく長く続く場合もある。そこで、時間dのように、電流値が閾値を連続して超えている時間dも算出する。
次に、判定処理部105は、ステップS13で読み出した検査ユニットの測定データを用いて状態判定処理を実施する(ステップS15)。この状態判定処理については、図8乃至図10を用いて説明する。
本実施の形態では、図8に示すような状態を判定する。本実施の形態では、上で述べたように検査ユニット分の測定データ、すなわち連続する複数の電流値から、A「電流が流れない」、B「電流が流れて戻る」、C「電流が閾値時間以上継続して流れる」、D「電流が周期性を持って流れる」のいずれに該当するかを判定する。A及びBの状態は、特に消費電力の観点からも問題が無く、正常状態と判断される。従って、ユーザに対する通知は行わない。一方、Cの状態は、例えば接触した動物が死亡した場合や倒木の場合、さらに草がもたれかかっているといった場合を示しており、早急に対処することが好ましい異常状態である。従って、ユーザへの通知を行う。また、Dの状態は、草が伸びて風に揺られて頻繁にワイヤに接触している状態であり、電力消費が多くなってしまうので、できるだけ早期に対処することが好ましい異常状態である。従って、ユーザへの通知を行う。
このような判定を行うために図9に示す処理を実施する。判定処理部105は、検査ユニット内の測定データを走査し、閾値を超える電流値が連続する継続時間と、閾値を超える電流値が発生する時間間隔を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS31)。図7の例では、5つの継続時間と、4つの時間間隔T1乃至T4とが算出される。なお、全く閾値を超える電流値が測定されない場合には何も算出されない。但し、検査ユニット中ずっと閾値を超えている場合には、継続時間が検査ユニットの時間で算出される。1カ所だけ閾値を超える電流値が測定されると、時間間隔は測定されない。
そして、判定処理部105は、閾値を超える電流値が測定されたか判断する(ステップS33)。閾値を超える電流値が測定されなかった場合には、判定処理部105は、本検査ユニットについては正常状態を設定し、判定結果格納部106に先頭ユニットの先頭時刻と共に判定結果を格納する(ステップS35)。そして元の処理に戻る。
一方、閾値を超える電流値が測定された場合には、判定処理部105は、算出された継続時間が閾値時間(例えば2秒)以上であるか判断する(ステップS37)。継続時間が閾値時間以上である場合には、図8における第1異常状態であるから、判定処理部105は、本検査ユニットについて第1異常状態を設定し、判定結果格納部106に先頭ユニットの最先の先頭時刻と共に判定結果を格納する(ステップS39)。そして元の処理に戻る。
一方、継続時間が閾値未満である場合には、判定処理部105は、周期性の条件を満たすか判断する(ステップS41)。本実施の形態では、周期性の条件は、例えば時間間隔が2秒以下でその回数が検査ユニットのユニット数−1(又は2)であるという条件とする。この条件については、環境に応じて変化させうるものである。図7の状態では、時間間隔が2秒を超る場合があり、回数も少ないので周期性の条件を満たしているとは判定されない。周期性の条件を満たしていない場合には、判定処理部105は、正常状態を設定し、判定結果格納部106に先頭ユニットの最先の時刻と共に判定結果を格納する(ステップS45)。そして元の処理に戻る。
一方、周期性の条件を満たしている場合には、図8における第2異常状態であるから、判定処理部105は、本検査ユニットについて第2異常状態を設定し、判定結果格納部106に先頭ユニットの最先の時刻と共に判定結果を格納する(ステップS43)。そして元の処理に戻る。
このような処理を実施することで、単に電流が流れただけでは分からない電気柵の稼働状況を把握することができる。
例えば、判定結果格納部106には、図10に示すようなデータが格納される。図10の例では、測定日時と判定結果とを含むレコードが判定順番に従って登録されるようになっている。
図5の処理の説明に戻って、通知処理部107は、判定結果格納部106に格納されている最新の判定結果を読み出し、今回の判定結果が異常状態を示しているか判断する(ステップS17)。正常状態であれば、ステップS23に移行する。一方、第1異常状態又は第2異常状態と判定されている場合、判定処理部105は、今回の判定結果の異常状態が所定時間内に出現した異常状態と同じであるか判断する(ステップS19)。以下でも述べるように、1ユニットずらして検査ユニットを特定した上で同様の処理を実施するので、連続して異常状態が判定される可能性がある。従って、その都度異常通知メールをユーザに送信するのは、ユーザ側では煩わしいので、大幅な状態変化が生じない限り、1回のみ通知を行うものとする。今回の判定結果の異常状態が所定時間内に出現した異常状態と同じである場合には、ステップS23に移行する。すなわち、通知を行わない。一方、今回の判定結果の異常状態が所定時間内に出現した異常状態とは異なる場合には、通知処理部107は、測定時刻と判定結果と処理装置の識別子とを含む異常通知メールを生成し、予め登録されているメールアドレス宛に送信する(ステップS21)。そしてステップS23に移行する。
図11に異常通知メールの一例を示す。図11の例では、日時(測定時刻)と、場所(処理装置の識別子)と、位置(予め登録しておいた緯度経度)と、原因(異常状態)と、対応とが列挙されている。原因については、図11の例では「植物接触」という第2異常状態の対応する状況であり、異常状態と対応する状況とを記憶装置に保持しておき、このように異常状態を状況に置換するようにしても良い。さらに、本実施の形態では、異常で対処を行うべき場合にのみ通知するので、「対応」の項目は不要であるが、正常状態でも通知を行うように変更した場合には、「対応」の項目で対応の要不要を示すようにしても良い。
ステップS23に処理が移行すると、処理終了でなければ、判定処理部105は、先頭を1ユニット後方にずらして(ステップS25)、ステップS13に戻る。一方、処理終了であれば、本処理を終了させる。
このようにすれば、状態判定がユニット毎に行われて、異常状態が発生したことが分かれば、ユーザに異常通知を行うので、ユーザは、異常通知を受けた場合に、その電気柵に出向いて異常を除去すればよい。よって、農家のユーザの巡回の手間が削減される。
なお、本実施の形態であれば、ワイヤではなく網の柵であってもよい。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、処理装置100を1つ電力供給装置200の付近に設置する例を述べた。高電圧が印加されているワイヤには接触すれば電流が流れるので、このような構成であれば電気柵の特定は可能である。しかし、電気柵が大きい場合、すなわちワイヤの長さが長い場合には、どこの電気柵に異常が発生しているのかだけではなく、電気柵のどのあたりで異常が発生しているのかを特定できれば、農家のユーザの作業高率が上がる。
そのため、例えば図12に示すような電気柵の構成を採用する。支柱1101乃至1106の配置については第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、この支柱1101乃至1106の各々に、処理装置110a乃至110fのいずれかを設置する。例えば、処理装置110a乃至110fは、ワイヤに沿ってアドホック通信などの近距離無線通信を行うようになっており、処理装置110a乃至110fにおける処理結果等については、隣接する処理装置110a乃至110fを経由して、集約装置300に送信するようになっている。集約装置300は、複数の処理装置110a乃至110fの処理結果等からユーザに対して異常通知メールを送信するための処理を実施する。
なお、本実施の形態では、ワイヤ1201及び1202は、ループを形成していないものとする。具体的には、図12の例では、支柱1104、支柱1103、支柱1102、支柱1101、支柱1106、支柱1105、支柱1104といった経路でワイヤ1201及び1202は伸びているが、その末端は支柱1104でワイヤ1201及び1202の根元部分と接触しないようにしている。
このようにすれば、図13に模式的に示すように、電気柵のどのあたりで接触しているかを特定できる。図13の例では、A乃至Dの4本の支柱が設けられており、それぞれに処理装置110が設置されているものとする。電力供給装置200に接続されているワイヤ1205は、電力供給装置200に近い順に支柱D、C、B及びAに支持されている。この場合、支柱Cと支柱Bの間のワイヤ1205に接触すると、電力供給装置200から矢印Xに示すように支柱Cと支柱Bの間の地面へ電流が流れる。このとき、電力供給装置200に近い方から支柱D及びCに設置されている処理装置110の電流センサでは閾値以上の電流値が測定されるが、接触部分からワイヤ1205の末端方向における支柱B及びAに設置されている処理装置110の電流センサでは閾値以上の電流値は測定されない。このような特質を用いて、電気柵のどのあたりで異常が発生しているのかを判別するものとする。
また、本実施の形態では、電流センサに加えて、張力センサを用いることにする。張力センサ自体は周知のセンサであるが、これを導入することによってワイヤ1201及び1202にかかる外力に応じて、より詳しい電気柵の状況を把握することができるようになる。本実施の形態では、図14に示すように、各ワイヤに、電流センサ及び張力センサを設置するようにする。例えば図12における処理装置110bとワイヤ1201及び1202との接続関係を図14に示す。処理装置110bは、ワイヤ1201に流れる電流を測定する第1電流センサ111と、ワイヤ1201にかかる外力に対応する張力を測定する第1張力センサ112と、ワイヤ1202に流れる電流を測定する第2電流センサ113と、ワイヤ1202にかかる外力に対応する張力を測定する第2張力センサ114とを備えている。なお、以下の処理では、基本的にはワイヤ毎に測定データを処理を実施する。他の処理装置110についてもワイヤ1201及び1202に対して同様の接続関係を有している。なお、ワイヤの数が増えればセンサの数も増加する。
次に、図15に本実施の形態における処理装置110の機能ブロック図を示す。処理装置110は、第1電流センサ111と、第1張力センサ112と、第2電流センサ113と、第2張力センサ114と、監視部115と、監視データ格納部116と、第1検査データ格納部117と、第2検査データ格納部118と、データ交換部119と、判定処理部121と、判定結果格納部122と、送信処理部123と、近距離無線通信部124とを有する。
監視部115は、センサからの測定結果を一旦監視データ格納部116に格納し、第1の実施の形態と同様にユニット分揃うと第1検査データ格納部117に格納する。データ交換部119は、近距離無線通信部124を介して周辺の他の処理装置110から測定データを取得し、第2検査データ格納部118に格納する。逆に、近距離無線通信部124を介して周辺の他の処理装置110へ自処理装置110の測定データを送信する。本実施の形態では、電力供給装置200側の隣接する処理装置110と、ワイヤの先端側の隣接する処理装置110とを予め設定してあり、近距離無線通信部124によりデータのやりとりができるようになっているものとする。
判定処理部121は、第1検査データ格納部117と第2検査データ格納部118とに格納されているデータを用いて判定処理を行い、判定結果を判定結果格納部122に格納する。送信処理部123は、判定結果格納部122に格納されている判定結果データを、近距離無線通信部124に、集約装置200宛に送信させる。本実施の形態では、電力供給装置200側の処理装置110に送信するが、当該処理装置110の近距離無線通信部124も、受信した判定結果データを集約装置200宛にさらに電力供給装置200側の処理装置110に送信する。これを繰り返して集約装置300まで、判定結果データが到達するようになっている。
次に、図16に本実施の形態における集約装置300の機能ブロック図を示す。集約装置300は、近距離無線通信部301と、データ収集部302と、判定結果格納部303と、通知処理部304と、遠距離無線通信部305と、通知データ格納部306とを有する。近距離無線通信部301は、集約装置300の近傍の処理装置310と通信を行うための通信部であり、処理装置110から受信したデータについてはデータ収集部302に出力する。データ収集部302は、判定結果格納部303に、受信データを格納する。通知処理部304は、判定結果格納部303に格納されているデータを用いて処理を行い、農家のユーザに対して警告メールを送信すべきと判断した場合には、警告メールのデータを生成して、遠距離無線通信部305に、警告メールを送信させる。なお、通知処理部304は、通知の履歴を通知データ格納部306に格納する。
次に、図17乃至図31を用いて、本実施の形態に係るシステムの動作を説明する。まず、処理装置110の処理内容について説明する。但し、処理装置110の監視部115は、第1の実施の形態における電流監視部102とほぼ同じ処理を行うので、ここでは説明を省略する。電流監視部102では、1つの電流センサ101から出力される電流値を処理していたが、本実施の形態における監視部115は、4つのセンサからの測定値を処理するので、それぞれ1ユニット分のデータが監視データ格納部116に貯まると、第1検査データ格納部117に格納する。そして、センサ毎に、そのセンサのための領域をクリアするものとする。
なお、第1検査データ格納部117には、例えば図17に示すようなデータが格納される。図17の例では、測定日時と、データ種別(電流又は張力)と、測定値(mA又はN)と、ワイヤ番号(No.)とを格納するようになっている。ワイヤ番号は、ワイヤ1201及び1202に対して付与する識別子である。
なお、この段階で処理装置110の端末識別子を付加するようなデータ構成であってもよい。
次に、データ交換部119の処理について図18を用いて説明する。データ交換部119は、処理対象のユニットの測定データを、近距離無線通信部124を介して電力供給装置200側の隣接する処理装置110及びワイヤ末端側の隣接する処理装置110に対して要求する(ステップS51)。例えば判定処理部121の処理に間に合うように、判定処理部121が処理している検査ユニットより1又は数検査ユニット後のユニットの測定データを要求する。なお、隣接する処理装置110から取得する測定データは、電流値のみでよい。
そして、データ交換部119は、近距離無線通信部124を介して、電力供給装置200側の隣接する処理装置110及びワイヤ末端側の隣接する処理装置110から測定データを受信し(ステップS53)、受信した測定データを第2検査データ格納部118に格納する(ステップS55)。
例えば、図19に示すようなデータを第2検査データ格納部118に格納する。図19の例では、測定日時と、データ種別(ここでは電流のみ)と、測定値と、ワイヤ番号と、端末識別子とが格納されるようになっている。端末識別子にて、電力供給装置200側の処理装置110であるか、ワイヤ末端側の処理装置110であるかを特定する。
このような処理を、処理終了となるまで繰り返す(ステップS57)。ステップS51に戻ると、次の処理対象のユニットについての測定データを要求するものとする。
これによって、以下で述べる処理モードを特定することができるようになる。
なお、図示していないが、データ交換部119は、ステップS51で述べたように他の処理装置110から要求を受信した場合には、要求されたユニットの測定データを、返信するような処理も実施する。
次に、処理装置110の判定処理部121の処理内容について図20を用いて説明する。なお、判定処理部121の処理は、ワイヤ毎に実施されるので、ワイヤ1本についての処理を以下に述べる。第1モードは担当するワイヤの区間より先で接触が発生していることを、第2モードは担当するワイヤの区間において接触が発生していることを、第2モードは担当するワイヤの区間より前で接触が発生していることを意味する。
判定処理部121は、第1検査データ格納部117及び第2検査データ格納部118における先頭のユニットを特定する(ステップS61)。同一時刻のユニットについて処理するので、例えば第1検査データ格納部117の先頭のユニットと同一時刻のユニットを第2検査データ格納部118で特定する。そして、判定処理部105は、当該先頭のユニットを先頭に含む検査ユニット分の測定データを、第2検査データ格納部118から読み出す(ステップS62)。
そして、判定処理部121は、第2検査データ格納部118から読み出した測定データを用いて処理モード判定処理を実施する(ステップS63)。処理モード判定処理については、図21を用いて説明する。
判定処理部121は、電力供給装置側の処理装置110(端末とも呼ぶ)の検査ユニット内の測定データ(すなわち電流値)を走査し、閾値を超える電流値が測定されたを判定する(ステップS81)。閾値を超える電流値が測定されなかった場合には(ステップS83:Noルート)、自処理部110でも電流が流れていないと予測される。そこで、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の時刻と共に第1モードを示すデータを判定結果格納部122に格納する(ステップS85)。そして元の処理に戻る。
一方、閾値を超える電流値が測定された場合には(ステップS83:Yesルート)、判定処理部121は、ワイヤ末端側の処理装置110の検査ユニット内の測定データ(すなわち電流値)を走査し、閾値を超える電流値が測定された判定する(ステップS87)。閾値を超える電流値が測定されなかった場合には(ステップS89:Noルート)、自処理部110が担当するワイヤの区間で物体との接触が発生していると予測される。そこで、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の時刻と共に第2モードを示すデータを判定結果格納部122に格納する(ステップS93)。そして元の処理に戻る。なお、ワイヤ末端の処理装置110の場合には、ワイヤ末端側の他の処理装置110が存在しないので、ステップS89では、常にNoルートになる。
一方、閾値を超える電流値が測定された場合には(ステップS89:Yesルート)、自処理装置110でも電流が流れているが、それは自処理装置110が担当するワイヤの区間より末端側の区間で物体が接触しているために生じているものと予測される。従って、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の時刻と共に第3モードを示すデータを判定結果格納部122に格納する(ステップS91)。そして元の処理に戻る。
このようにして、自処理装置110が担当するワイヤの区間において接触が発生しているのか否かを区別するための処理モードが特定される。
例えば図22に示すようなデータが判定結果格納部122に格納される。図22の例では、先頭ユニットの最先の測定日時と、処理モードと、判定結果と、ワイヤ番号とが登録されるようになっている。なお、図21の処理が完了した時点では、判定結果は登録されない。また、ワイヤ番号については、処理モードと共に登録されるものとする。
図20の処理の説明に戻って、判定処理部121は、ステップS63で先頭ユニットについて第2モードが設定されたか否かを、判定結果格納部122に格納されているデータで判断する(ステップS65)。上でも述べたように、第2モードは、自処理装置110が担当するワイヤの区間において物体の接触が発生した可能性があることを表している。従って、第2モードが設定されている場合には、判定処理部121は、先頭ユニットを先頭に含む検査ユニットの測定データ(電流値及び張力値)を第1検査データ格納部117から読み出し(ステップS66)、当該測定データを用いて第2状態判定処理を実施する(ステップS67)。第2状態判定処理については、図24を用いて説明する。また、第2状態判定処理が完了するとステップS69に移行する。
一方、第2モード以外の第1モード又は第3モードの場合には、ステップS69に移行する。ここでは第1モード又は第3モードの場合には、他の処理装置で第2状態判定処理を実施する可能性が高いので、自処理装置110では特に処理を行わないものとする。但し、第1モードの場合には、電気柵全体で接触物無しの場合もあれば、故障の場合などもあるので、第2状態判定処理を実施するようにしてもよい。
次に、第2状態判定処理について説明するが、その前に本実施の形態において判定すべき状態について図23を用いて説明する。本実施の形態では、張力変化と電流変化とに基づき8つの状態を判別する。閾値を超える張力値が測定されず且つ閾値を超える電流値が測定されない場合には、正常状態と判断する。また、閾値を超える張力値は測定されないが、閾値を超える電流値がわずかな頻度且つ継続時間で検出されている場合には、第1状態と判断する。第1状態は、草などの植物が少し触れている状態である。さらに、閾値を超える張力値は測定されないが、閾値を超える電流値が所定の周期性をもって出現する場合には、第2状態と判断する。例えば、草などの植物が風に揺られて頻繁にワイヤに接触している状態である。
また、閾値を超える張力値は測定されないが、閾値を超える電流値が所定の閾値時間以上継続して出現する場合には、第3状態と判断する。第3状態は、軽い草などがもたれかかっている状態と考えられる。さらに、閾値を超える張力値がわずかな継続時間だけ継続して出現し、且つ閾値を超える電流値がわずかな頻度且つ継続時間で検出される場合には、第4状態と判断する。この場合には、駆除目的の動物が想定のとおりに接触したものと考えられる。また、閾値を超える張力値がわずかな継続時間だけ継続して出現し、且つ閾値を超える電流値が所定の閾値時間以上継続して出現する場合には、第5状態と判断する。第5状態は、張力と電流とで矛盾する結果が測定されているので、故障等と考えられる。
さらに、閾値を超える張力値が所定の閾値時間以上継続して出現し、且つ閾値を超える電流値が所定の閾値時間以上継続して出現する場合には、第6状態と判断する。第6状態は、動物が死亡又は気絶してもたれているか、倒木でワイヤにもたれかかっている状態であり、これらの物体を排除することが好ましい。また、閾値を超える張力値が所定の閾値時間以上継続して出現するが、閾値を超える電流値が測定されない場合には、第7状態と判断する。第7状態は、電流が流れても良い状態にも拘わらず外力がワイヤに掛かっている状態であり、何かが引っかかっており故障等と考えられる。
本実施の形態では、正常状態と第1及び第4状態以外は、農家のユーザに対して対処を行うように求める通知を行うことにする。
このような判定のために、図24及び図25の処理を実施する。すなわち、判定処理部121は、検査ユニット内の電流値を走査し、閾値を超える電流値が連続する継続時間と、閾値を超える電流値が発生する時間間隔を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS101)。この処理はステップS31と同じである。また、判定処理部121は、検査ユニット内の張力値を走査し、閾値を超える張力値が連続する継続時間と、閾値を超える張力値が発生する時間間隔を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS103)。電流値と張力値の閾値は異なる。
そして、判定処理部121は、検査ユニットにおいて、閾値を超える張力値が測定されたか判断する(ステップS105)。閾値を超える張力値が測定されなかった場合には、端子Aを介して図25の処理に移行する。一方、閾値を超える張力値が測定された場合には、判定処理部121は、張力についての継続時間が閾値時間以上となったものがあるか判断する(ステップS107)。閾値時間については、電流値の場合と張力値の場合とで異なる値を採用しても良い。
張力についての継続時間が閾値時間以上である場合には、判定処理部121は、電流についての継続時間が閾値時間以上となったものがあるか判断する(ステップS115)。電流についての継続時間が全て閾値時間未満である場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及び処理に係るワイヤ番号と共に第7状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS119)。そして元の処理に戻る。
一方、電流についての継続時間が閾値時間以上であるものがある場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及び処理に係るワイヤ番号と共に第6状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS117)。そして元の処理に戻る。
ステップS107で張力についての継続時間が全て閾値時間未満であると判断された場合には、判定処理部121は、電流についての継続時間が閾値時間以上であるものがあるか判断する(ステップS109)。電流についての継続時間が閾値時間以上であるものがある場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及び処理に係るワイヤ番号と共に第5状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS113)。そして元の処理に戻る。
また、電流についての継続時間が全て閾値時間未満であれば、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及びワイヤ番号と共に第4状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS111)。そして元の処理に戻る。
そして図25の処理の説明に移行して、判定処理部121は、閾値を超える電流値が測定されたか判断する(ステップS121)。閾値を超える電流値が測定されなかった場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及びワイヤ番号と共に正常状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS123)。一方、閾値を超える電流値が測定された場合、判定処理部121は、電流についての継続時間が閾値時間以上であるものがあるか判断する(ステップS125)。電流についての継続時間が閾値時間以上であるものがある場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及びワイヤ番号と共に第3状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS127)。そして元の処理に戻る。
一方、電流についての継続時間が全て閾値時間未満である場合には、判定処理部121は、閾値を超える電流値が所定回数(例えば3など)以上測定されたか判断する(ステップS129)。この部分は第1の実施の形態とは異なる。第1の実施の形態では回数を考慮していなかったが、本実施の形態では回数も考慮することにしている。回数が少ない場合には、草などの植物が少し触れている状態として、回数が多く周期性がない場合と区別している。第1の実施の形態でもこのような判定を行うようにしても良い。同様に、第1の実施の形態と同様の判断を行うようにしても良い。閾値を超える電流値が所定回数未満測定された場合には、判定処理部121は、先頭ユニットの最先の測定日時及びワイヤ番号と共に第1状態を表すデータを、判定結果格納部122に格納する(ステップS127)。そして元の処理に戻る。
閾値を超える電流値が所定回数以上測定された場合には、判定処理部121は、周期性の条件を満たしているか判断する(ステップS131)。本実施の形態では、周期性の条件は、第1の実施の形態と同じである。すなわち、例えば時間間隔が2秒以下でその回数が検査ユニットのユニット数−1(又は2)であるという条件とする。この条件については、環境に応じて変化させうるものである。周期性の条件を満たしていない場合には、処理はステップS127に移行する。
以上のような処理を実施することで、図23に示した状態を判定することができる。このようなきめの細かい状態判定を実施することで、図23以外の通知要否設定をも可能となる。
図20の処理の説明に戻って、ステップS69に処理が移行すると、処理終了ではなければ、判定処理部121は、先頭を1ユニット後方にずらして(ステップS71)、ステップS62に戻る。一方、処理終了であれば、本処理を終了させる。
このようにすれば、状態判定がワイヤ毎且つユニット毎に行われ、図22に示したようなデータが判定結果格納部122に格納されるようになる。
次に、送信処理部123の処理について、図26を用いて説明する。送信処理部123は、判定結果格納部122において未処理のユニットのレコードを特定する(ステップS141)。そして、送信処理部123は、判定結果格納部122から、特定されたレコードを読み出し(ステップS143)、読み出されたレコードに含まれる判定結果等と端末識別子とを集約装置300宛に、近距離無線通信部124に送信させる(ステップS145)。電力供給装置200側の処理装置100へ転送を依頼することになる。このような処理を、処理終了まで繰り返す(ステップS147)。
このようにすれば、順次判定結果格納部122に格納されている判定結果等が集約装置200に送信される。
但し、通信量を減らすために、例えば正常状態と判定された場合には送信しないといったことも可能であるし、1ユニット毎ではなく、数ユニット毎に送信を行うようにしても良い。
次に、集約装置300側の処理について図27乃至図31を用いて説明する。集約装置300の近距離無線通信部301は、隣接する処理装置110から、隣接する処理装置110又は他の処理装置110から送られてきたデータ(端末識別子、ワイヤ番号、処理モード及び判定結果を含む)を受信すると、データ収集部302に出力する。データ収集部302は、近距離無線通信部301からデータを受信すると、判定結果格納部303に格納する(図27:ステップS151)。判定結果格納部303には、例えば図28に示すようなデータが格納される。図28の例では、測定日時と、処理モードと、判定結果と、ワイヤ番号と、端末識別子とが登録されるようになっている。同一ユニットについてのレコードが、処理装置110の数だけ登録される。そして、このような処理を、処理終了となるまで繰り返す(ステップS153)。
このようにすれば、集約装置300では、どこの処理装置110で問題が発生したかを特定できる。
次に、集約装置300の通知処理部304の処理内容について、図29を用いて説明する。
通知処理部304は、判定結果格納部303において、未処理のユニットを1つ特定し(図29:ステップS161)、特定されたユニット(処理対象のユニットと呼ぶ。)についての全てのレコードを、判定結果格納部303から読み出す(ステップS163)。具体的には、全ての処理装置110及び全てのワイヤについてのレコードを読み出す。
そして、通知処理部304は、読み出したレコードから、問題が発生している箇所を特定する(ステップS165)。上で述べた実施の形態では、電流が流れていれば、ワイヤ毎にいずれかの処理装置110で状態判定処理を実施しているので、ワイヤ毎に判定結果が1つ存在するはずである。一方、電流が流れていなければ、全く状態判定処理が行われていないで第1モードが設定される又は全ての処理装置110で状態判定処理が行われている。従って、ワイヤ毎に、判定結果が存在するか確認した上で、1つのみ判定結果が存在する場合には、当該判定結果が正常状態、第1状態及び第4状態以外の状態であれば当該判定結果に対応付けられている端末識別子を特定する。判定結果が正常状態、第1状態及び第4状態であれば端末識別子は特定しなくて良い。一方、複数の判定結果が存在する場合には、正常状態、第1状態及び第4状態以外の状態が含まれる場合には、その状態に対応付けられている端末識別子を特定する。なお、全てのワイヤで同じ結果が特定されればマージしてよい。一方、ワイヤによって異なる結果が得られた場合には、それぞれ別に扱う。
そして、問題箇所が特定されなければ(ステップS167:Noルート)、通知処理部304は、問題なしを表すデータを、特定されたユニットの測定日時と共に通知データ格納部306に格納する(ステップS169)。そしてステップS177に移行する。
一方、問題箇所が特定された場合には(ステップS167:Yesルート)、通知処理部304は、端末識別子と判定結果とそのユニットの測定日時とワイヤ番号とを含む通知データを生成し、通知データ格納部306に格納する(ステップS171)。例えば図30に示すようなデータが、通知データ格納部306に格納される。図30の例では、測定日時と、判定結果(問題なし又は異常とされる状態)と、ワイヤ番号と、端末識別子とが登録されるようになっている。上でも述べたように、同じ時刻で、複数の判定結果が登録される場合もある。さらに、ワイヤ番号についても1つの場合もあれば複数の場合もある。ワイヤ毎に異なる異常が登録される場合もある。
そして、通知処理部304は、通知データ格納部306において、今回生成した通知データと所定時間内に同一の内容のデータが登録されているか判断する(ステップS173)。所定期間内に同一の内容のデータが登録されている場合には、既に農家のユーザに通知済みであるから今回は通知を行わずにステップS177に移行する。一方、所定時間内に同一内容のデータが登録されていない場合には、通知処理部304は、通知データから異常通知メールを生成し、予め登録されているメールアドレス宛に送信する(ステップS175)。そしてステップS177に移行する。
図31に異常通知メールの一例を示す。図31の例では、日時(測定日時)と、場所(集約装置の識別子)と、区間(処理装置の識別子に対応する区間番号)と、位置(予め登録しておいた緯度経度)と、原因(判定された状態に対する理由)と、対応とが列挙されている。予め状態毎に原因を登録しておき、状態に対応する原因を読み出すようにする。さらに、本実施の形態では、異常で対処を行うべき場合にのみ通知するので、「対応」の項目は不要であるが、正常状態でも通知を行うように変更した場合には、「対応」の項目で対応の要不要を示すようにしても良い。
ステップS177に処理が移行すると、処理終了ではなければ、ステップS161に戻り、本処理を終了させる。
このように、状態判定がユニット毎に行われて、異常状態が発生したことが分かれば、集約装置300からユーザに異常通知を行うので、ユーザは、異常通知を受けた場合に、その電気柵に出向いて異常を除去すればよい。その際、電気柵のどの箇所をみるのかも分かるので、農家のユーザの巡回の手間がより削減される。
[第3の実施の形態]
第2の実施の形態では、各処理装置110で状態判定処理を実施していたが、集約装置でまとめて判断するようにしても良い。この場合でも、全体構成は第2の実施の形態と同様であり、図12に示すようになる。但し、処理装置110については、以下に示す処理装置130を用い、集約装置300については、以下に示す集約装置310を用いるものとする。
図32に、本実施の形態に係る処理装置130の機能ブロック図を示す。処理装置130は、第1電流センサ131と、第1張力センサ132と、第2電流センサ133と、第2張力センサ134と、張力監視部135と、電流監視部136と、監視データ格納部137と、送信処理部139と、近距離無線通信部141とを有する。
本実施の形態では、第1及び第2張力センサ132及び134については、張力監視部135に測定値である張力値を出力するようになっており、第1及び第2電流センサ131及び133については、電流監視部136に測定値である電流値を出力するようになっている。張力監視部135は、第1及び第2張力センサ132及び134から受け取った張力値を監視データ格納部137に格納する。同様に、電流監視部136は、第1及び第2電流センサ131及び133から受け取った電流値を監視データ格納部137に格納する。
また、送信処理部139は、監視データ格納部137に格納されている測定データを、例えばユニット毎又は検査ユニット毎など所定の単位にまとめて、近距離無線通信部141に、集約装置310宛に送信させる。集約装置310宛に送信する処理については、第2の実施の形態において、判定結果のデータを送信する場合の処理と同様である。
このように、処理装置130は、測定データを所定のタイミング(又は任意のタイミング)で、集約装置310宛に送信するだけなので、これ以上の説明は省略する。
次に、図33に、本実施の形態における集約装置310の機能ブロック図を示す。集約装置310は、近距離無線通信部311と、データ収集部312と、検査データ格納部313と、判定処理部315と、判定結果格納部316と、通知処理部317と、遠距離無線通信部318と、通知データ格納部319とを有する。
近距離無線通信部311は、近傍の処理装置130からデータを受信すると、データ収集部312に出力し、データ収集部312は、検査データ格納部313に受信データを格納する。この処理については、第2の実施の形態におけるデータ収集部302の処理と受信するデータの種類及び量は異なるが、ほぼ同じである。検査データ格納部313には、例えば図34に示すようなデータが格納される。図34の例では、測定日時と、データ種別と、測定値と、ワイヤ番号と、端末識別子とが格納されるようになっている。このように、1つの電気柵に係る全てのワイヤ及び全ての処理装置についてのデータが、検査データ格納部313に格納されるようになる。
判定処理部315は、検査データ格納部313に格納されているデータを用いて判定処理を実施し、判定結果を判定結果格納部316に格納する。通知処理部317は、判定結果格納部316に格納されている判定結果に基づき、農家のユーザに通知すべき事象である場合には、農家のユーザ宛に警告メールを遠距離無線通信部318に送信させる。なお、通知処理部317は、通知データを生成し、通知データ格納部319に格納する。
次に、集約装置310の処理内容を、図35乃至図37を用いて説明する。まず、集約装置310の判定処理部315の処理について図35を用いて説明する。なお、本処理については、ワイヤ毎に実施する。
まず、判定処理部315は、検査データ格納部313において先頭のユニットを特定する(ステップS201)。例えば、最も早い測定時刻のレコードを特定して、当該レコードからユニットを特定する。
そして、判定処理部315は、先頭ユニットを先頭に含む検査ユニットの測定データを、処理に係るワイヤ番号を含む全ての処理装置130の分読み出す(ステップS203)。そして、判定処理部315は、端末特定処理を実施する(ステップS205)。この端末特定処理については、図36を用いて説明する。
なお、本実施の形態では、電力供給装置200側からワイヤ末端側へ、処理装置130には順番に番号n(1から処理装置の数までの整数)が付与されているものとする。
まず、判定処理部315は、nを1に、処理の対象とすべき処理装置の番号を特定するためのPを0に初期化する(ステップS221)。そして、判定処理部315は、n番目の端末(処理装置130)の測定データに含まれる電流値に閾値を超えるものがあるか判断する(ステップS223)。測定データに含まれる電流値に閾値を超えるものがある場合(ステップS225:Yesルート)、判定処理部315は、Pに現在のnを設定する(ステップS233)。その後、判定処理部315は、nが最大値(処理装置130の数)に達したか判断する(ステップS235)。nが最大値でない場合には、判定処理部315は、nを1インクリメントして(ステップS237)、ステップS223に戻る。一方、nが最大値に達した場合には、ステップS231に移行する。
一方、測定データに含まれる電流値に閾値を超えるものがない場合には(ステップS225:Noルート)、判定処理部315は、Pが0のままであるか判断する(ステップS227)。Pが0のままであれば、判定処理部315は、先頭ユニットの最先の測定日時及び処理に係るワイヤ番号と共に第1モードを表すデータを、判定結果格納部316に格納する(ステップS229)。そして元の処理に戻る。
一方、Pが0でない場合には、判定処理部315は、P番目の端末(処理装置130)を処理対象として特定し、先頭ユニットの最先の測定日時及び処理に係るワイヤ番号と共に第2モードを表すデータを、判定結果格納部316に格納する(ステップS231)。そして元の処理に戻る。
このような処理を実施すれば、全く電流が流れていない場合には第1モードを設定して、少しでも電流が流れている場合には、最もワイヤ末端側の処理装置130を特定した上で第2モードを設定する。
図35の処理に戻って、判定処理部315は、ステップS205において判定結果格納部316に格納されたモードが、第2モードであるか判断する(ステップS207)。第1モードであれば、ステップS213に移行する。
一方、第2モードであれば、判定処理部315は、ステップS205で特定された端末(処理装置130)の測定データを処理対象に指定し(ステップS209)、第2状態判定処理を実施する(ステップS211)。第2状態判定処理は、第2の実施の形態と同じ処理であるから説明を省略する。但し、端末特定処理が実施されるので、正常状態は特定されない。
そして、ステップS213に処理が移行すると、処理終了ではなければ、判定処理部315は、先頭を1ユニット後方にずらして(ステップS215)、ステップS203に戻る。一方、処理終了であれば、本処理を終了させる。
このような処理を実施すれば、例えば図37に示すようなデータが判定結果格納部316に格納される。図37の例では、測定日時と、処理モードと、判定結果と、ワイヤ番号と、処理対象として特定された端末識別子とが登録されるようになっている。
このデータは、第2の実施の形態における判定結果格納部303に格納されるデータ(図28)とは異なるが、この判定結果が集約されたデータが図37に示すようなデータである。従って、第2の実施の形態に係る通知処理部304の処理は、ほぼ通知処理部317の処理とほぼ同様である。具体的には、本実施の形態であれば、ステップS165では、以下のような処理を実施する。
すなわち、電流が流れていれば、ワイヤ毎にいずれかの処理装置130が特定され、ワイヤ毎に判定結果が1つ格納されている。一方、電流が流れていなければ、第1モードが設定されている。従って、ワイヤ毎に、第1モードが設定されていれば問題なしと判定し、第2モードであっても第1状態及び第4状態であれば問題なしと判定する。一方、第2モードで第1状態及び第4状態以外の状態であれば当該判定結果と対応付けられている端末識別子とを特定する。なお、全てのワイヤで同じ結果が特定されればマージしてよい。一方、ワイヤによって異なる結果が得られた場合には、それぞれ別に扱う。
このようにすれば同様の処理フローで取り扱うことができる。
そして、状態判定がユニット毎に行われて、異常状態が発生したことが分かれば、ユーザに異常通知を行うので、ユーザは、異常通知を受けた場合に、その電気柵に出向いて異常を除去すればよい。よって、農家のユーザの巡回の手間が削減される。
以上本実施の形態を説明したが、本技術はこれに限定されるものではない。例えば、上で述べた機能ブロック図は一例であって、必ずしも実際のプログラムモジュール構成と一致しない場合もある。また、処理フローについても、処理結果が同じであれば、処理順番を入れ替えたり、並列実施するようにしても良い。
さらに、第2及び第3の実施の形態では張力センサを導入する例を示したが、張力センサを導入しないようにしても良い。さらに、張力センサだけで、故障を判定する場合もある。
なお、上で述べた処理装置100、110及び130、集約装置300及び310は、上で述べた機能を実現するためのプログラムと当該プログラムを実行するプロセッサ、メモリ(ワークメモリ及びプログラムなどを記録するためのメモリを含む)及び通信処理部を含むハードウエアの組み合わせにて実施される場合もある。
以上述べた本実施の形態をまとめると、以下のようになる。
本実施の形態に係る処理装置(第1の態様。実施の形態における処理装置及び集約装置の場合もある。)は、(A)土地の領域の少なくとも一部を囲い且つ高電圧が印加されるワイヤ又は網に流れる電流の電流値を測定する電流センサにより測定された電流値を格納するデータ格納部と、(B)データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の電流値に基づき、ワイヤ又は網に対する物体の接触状態を判定し、当該物体の接触状態を表すデータ判定結果格納部に格納する判定処理部とを有する。
このように瞬間的な電流値の変化だけを見るのではなく、所定時間内における複数の電流値の変化を見れば、物体の様々な接触状態を把握できるようになる。
また、第1の態様に係る処理装置が、(C)判定結果格納部に格納されている上記物体の接触状態を表すデータに基づき、ユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には警告データをユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部をさらに有するようにしてもよい(以下、第2の態様と呼ぶ)。例えば、第1の実施の形態における処理装置や第3の実施の形態における集約装置であれば、このような構成要素を導入することで、例えば農家のユーザの手間を適切に削減することができる。
また、第1又は第2の態様に係る処理装置における判定処理部が、閾値を超える電流値が閾値時間以上継続する第1の状態と、閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、第1及び第2の状態以外であって閾値を超える電流値が出現する第3の状態と、閾値を超える電流値が出現しない第4の状態とを、所定期間について判定するようにしてもよい(以下第3の態様と呼ぶ)。このように様々な具体的な状態が特定される。
さらに、第2の処理装置に係る判定処理部が、閾値を超える電流値が閾値時間以上継続する第1の状態と、閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、第1及び第2の状態以外であって閾値を超える電流値が出現する第3の状態と、閾値を超える電流値が出現しない第4の状態とを、所定期間について判定するようにしてもよい。この場合、上で述べた通知処理部が、第1又は第2の状態を表すデータが判定結果格納部に格納されている場合に、警告データを生成して当該警告データをユーザ宛に通信部に送信させるようにしてもよい(以下、第4の態様と呼ぶ)。例えば、第1又は第2の状態についてはすぐさま対処を行うことが好ましいためである。
さらに、第1の態様に係る処理装置の判定処理部が、判定結果格納部に格納されている物体の接触状態を表すデータを、通信部に集約装置宛に送信させるようにしてもよい(以下、第5の態様と呼ぶ。)。例えば、第2の実施の形態のように、各処理装置で状態判定処理を実施する場合に該当する。このようにすれば、処理装置と集約装置との間の通信量を削減することができ、集約装置の処理負荷も削減できる。
また、第1乃至第4の態様のいずれかの処理装置において、電流センサがワイヤの区間毎に設けられており、上記データ格納部が電流値と当該電流値を測定した電流センサ又は当該電流センサを含む装置の識別子とを格納している場合もある。この場合、上で述べた判定処理部が、上記データ格納部に格納されている、所定期間内における各電流センサについての電流値の検出状況に応じて、上記ワイヤに高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行うようにしてもよい(以下、第6の態様と呼ぶ。)。例えば、第3の実施の形態のように、この処理装置が集約装置として機能する場合もある。また、このような処理を実施すれば、判定処理の対象データの量を削減できるようになる。
さらに、第1の態様に係る処理装置において、電流センサがワイヤの区間毎に設けられており、上記データ格納部が電流値と当該電流値を測定した電流センサ又は当該電流センサを含む装置の識別子とを格納するようにしてもよい。この場合、上で述べた判定処理部が、上記データ格納部に格納されている、所定期間内における各電流センサについての電流値の検出状況に応じて、上記ワイヤに高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行うようにしてもよい。そして、第1の態様に係る処理装置が、判定結果格納部に格納されている物体の接触状態を表すデータに基づき、ユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には、特定された電流センサの箇所を表すデータを含む警告データをユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部をさらに有するようにしてもよい(以下、第7の態様と呼ぶ。)。
また、第1乃至第4のいずれかの処理装置が、上記ワイヤのある区間を担当する電流センサと、周辺の他の処理装置から当該他の処理装置に含まれる電流センサにより測定された電流値及び当該他の処理装置の識別子を収集して、データ格納部に格納する収集部とをさらに有するようにしてもよい。この場合、上で述べた判定処理部が、データ格納部に格納されている、所定期間内における周辺の他の処理装置に含まれる電流センサの各々についての電流値の検出状況に応じて、自処理装置がワイヤに高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した処理装置であるか判断し、自処理装置がワイヤに高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した処理装置である場合に、自処理装置の電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行うようにしてもよい(以下、第8の態様と呼ぶ。)。例えば第2の実施の形態のように周辺の処理装置と連携して、自処理装置にて判定処理を実施するのかを決定するようにしても良い。
また、第1の態様に係る処理装置が、データ格納部が、上記ワイヤに掛けられた外力に応じた張力値を測定する張力センサにより測定された張力値をさらに格納するようにしてもよい。この場合、上で述べた判定処理部が、データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の張力値にさらに基づき、上記ワイヤに対する物体の接触状態を判定するようにしてもよい(以下、第9の態様と呼ぶ。)。このようにすることで、より多くの状態を区別することができるようになる。
さらに、第9の態様に係る処理装置の判定処理部が、(1)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第1の状態と、(2)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、(3)第1の閾値を超える張力が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続せず且つ所定の周期性を有せずに出現する第3の状態と、(4)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が出現しない第4の状態と、(5)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第5の状態と、(6)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ第2の閾値を超える電流値が出現しない第6の状態と、(7)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続せずに出現する第7の状態と、(8)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続して出現する第8の状態とを、所定期間について判定するようにしてもよい。
また、第9の態様に係る処理装置の判定処理部が、(1)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第1の状態と、(2)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、(3)第1の閾値を超える張力が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上時間継続せず且つ所定の周期性を有せずに出現する第3の状態と、(4)第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が出現しない第4の状態と、(5)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第5の状態と、(6)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ第2の閾値を超える電流値が出現しない第6の状態と、(7)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続せずに出現する第7の状態と、(8)第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続して出現する第8の状態とを、所定期間について判定するようにしてもよい。この場合、この処理装置が、第1、第2、第4、第5、第6及び第8の状態を表すデータが判定結果格納部に格納されている場合に、警告データを生成して当該警告データをユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部をさらに有するようにしてもよい(以下、第11の態様と呼ぶ。)。
このようにすれば、よりきめ細かくユーザに警告データを送信することができる。
また、本実施の形態における監視システムは、(A)ワイヤの複数箇所に設置され、各々電流センサ及び第1の近距離無線通信部をさらに有する第5の態様に係る複数の処理装置と、(B)集約装置とを有する。そして、この集約装置が、(B1)遠距離無線通信部と、(B2)第2の近距離無線通信部と、(B3)複数の処理装置から、物体の接触状態を表すデータ及び処理装置の識別子を受信し、第2データ格納部に格納する収集部と、(B4)第2データ格納部に格納されている、ある期間における物体の接触状態を表すデータからユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には、処理装置の識別子から特定される該当箇所を表すデータを含む警告データを、ユーザ宛に遠距離無線通信部に送信させる通知処理部とを有する。また、この集約装置は、第2の近距離無線通信部により複数の処理装置の少なくともいずれかと通信を行い、複数の処理装置は、第1の近距離無線通信部によりワイヤ沿いにデータ通信を行う。
このような監視システムを採用することで、処理装置で並列して状態判定処理を行うことができるようになる。
さらに、本実施の形態における他の監視システムは、(A)第1の近距離無線通信部をさらに有する第7の態様に係る処理装置(実施の形態における集約装置)と、(B)各々電流センサ及び第2の近距離無線通信部を有する複数の測定装置(実施の形態における処理装置)とを有する。そして、処理装置の第1の近距離無線通信部は、複数の測定装置の各々から電流値と当該電流値を測定した電流センサを含む処理装置の識別子とを受信し、データ格納部に格納し、複数の測定装置は、第2の近距離無線通信部によりワイヤ沿いにデータ通信を行う。
このような監視システムを採用することで、囲う土地の領域が広くなると多く配置しなければならなくなる測定装置の構成を簡易なものにすることができ、コストを下げることができるようになる。
なお、上で述べたような処理をコンピュータに実施させるためのプログラムを作成することができ、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROMなどの光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ(例えばROM)、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又は記憶装置に格納される。なお、処理途中のデータについては、RAM等の記憶装置に一時保管される。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
土地の領域の少なくとも一部を囲い且つ高電圧が印加されるワイヤ又は網に流れる電流の電流値を測定する電流センサにより測定された電流値を格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の電流値に基づき、前記ワイヤ又は網に対する物体の接触状態を判定し、当該物体の接触状態を表す判定結果格納部に格納する判定処理部と、
を有する処理装置。
(付記2)
前記判定結果格納部に格納されている前記物体の接触状態を表すデータに基づき、ユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には警告データを前記ユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部
をさらに有する付記1記載の処理装置。
(付記3)
前記判定処理部が、
閾値を超える電流値が閾値時間以上継続する第1の状態と、前記閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、前記第1及び第2の状態以外であって前記閾値を超える電流値が出現する第3の状態と、前記閾値を超える電流値が出現しない第4の状態とを、前記所定期間について判定する
付記1又は2記載の処理装置。
(付記4)
前記判定処理部が、
閾値を超える電流値が閾値時間以上継続する第1の状態と、前記閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、前記第1及び第2の状態以外であって前記閾値を超える電流値が出現する第3の状態と、前記閾値を超える電流値が出現しない第4の状態とを、前記所定期間について判定し、
前記通知処理部が、
前記第1又は第2の状態を表すデータが前記判定結果格納部に格納されている場合に、警告データを生成して当該警告データを前記ユーザ宛に前記通信部に送信させる
付記2記載の処理装置。
(付記5)
前記判定処理部が、
前記判定結果格納部に格納されている前記物体の接触状態を表すデータを、通信部に集約装置宛に送信させる
付記1記載の処理装置。
(付記6)
前記電流センサが前記ワイヤを区分した区間毎に設けられており、
前記データ格納部が前記電流値と当該電流値を測定した電流センサ又は当該電流センサを含む装置の識別子とを格納しており、
前記判定処理部が、
前記データ格納部に格納されている、前記所定期間内における各前記電流センサについての電流値の検出状況に応じて、前記ワイヤに前記高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行う
付記1乃至4のいずれか1つ記載の処理装置。
(付記7)
前記電流センサが前記ワイヤを区分した区間毎に設けられており、
前記データ格納部が前記電流値と当該電流値を測定した電流センサ又は当該電流センサを含む装置の識別子とを格納しており、
前記判定処理部が、
前記データ格納部に格納されている、前記所定期間内における各前記電流センサについての電流値の検出状況に応じて、前記ワイヤに前記高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行い、
前記判定結果格納部に格納されている前記物体の接触状態を表すデータに基づき、ユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には、特定された電流センサの箇所を表すデータを含む警告データを前記ユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部をさらに有する
付記1記載の処理装置。
(付記8)
前記ワイヤのある区間を担当する電流センサと、
周辺の他の処理装置から当該他の処理装置に含まれる電流センサにより測定された電流値及び当該他の処理装置の識別子を収集して、前記データ格納部に格納する収集部と、
をさらに有し、
前記判定処理部が、
前記データ格納部に格納されている、前記所定期間内における前記周辺の他の処理装置に含まれる前記電流センサの各々についての電流値の検出状況に応じて、自処理装置が前記ワイヤに前記高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した処理装置であるか判断し、
自処理装置が前記ワイヤに前記高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した処理装置である場合に、自処理装置の前記電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行う
付記1乃至4のいずれか1つ記載の処理装置。
(付記9)
前記データ格納部が、前記ワイヤに掛けられた外力に応じた張力値を測定する張力センサにより測定された張力値をさらに格納しており、
前記判定処理部が、
前記データ格納部に格納されている、前記所定時間内における複数の張力値にさらに基づき、前記ワイヤに対する物体の接触状態を判定する
付記1記載の処理装置。
(付記10)
前記判定処理部が、
第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第1の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、前記第1の閾値を超える張力が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続せず且つ前記所定の周期性を有せずに出現する第3の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が出現しない第4の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続する第5の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ前記第2の閾値を超える電流値が出現しない第6の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が前記第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続せずに出現する第7の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が前記第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続して出現する第8の状態とを、前記所定期間について判定する
付記9記載の処理装置。
(付記11)
前記判定処理部が、
第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ第2の閾値を超える電流値が第1の閾値時間以上継続する第1の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が所定の周期性を有して出現する第2の状態と、前記第1の閾値を超える張力が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続せず且つ前記所定の周期性を有せずに出現する第3の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が出現せず且つ前記第2の閾値を超える電流値が出現しない第4の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続する第5の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が第2の閾値時間以上継続し且つ前記第2の閾値を超える電流値が出現しない第6の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が前記第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続せずに出現する第7の状態と、前記第1の閾値を超える張力値が前記第2の閾値時間以上継続せずに出現し且つ前記第2の閾値を超える電流値が前記第1の閾値時間以上継続して出現する第8の状態とを、前記所定期間について判定し、
前記第1、第2、第4、第5、第6及び第8の状態を表すデータが前記判定結果格納部に格納されている場合に、警告データを生成して当該警告データをユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部をさらに有する
付記9記載の処理装置。
(付記12)
土地の領域の少なくとも一部を囲い且つ高電圧が印加されるワイヤ又は網に流れる電流の電流値を測定する電流センサにより測定された電流値を取得して、データ格納部に格納するステップと、
前記データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の電流値に基づき、前記ワイヤ又は網に対する物体の接触状態を判定し、当該物体の接触状態を表す判定結果格納部に格納するステップと、
を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記13)
複数の処理装置と、
集約装置と、
を有し、
前記複数の処理装置の各々は、
土地の領域の少なくとも一部を囲い且つ高電圧が印加されるワイヤに流れる電流の電流値を測定する電流センサと、
第1の近距離無線通信部と、
前記電流センサにより測定された電流値を格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の電流値に基づき、前記ワイヤに対する物体の接触状態を判定し、当該物体の接触状態を表す判定結果格納部に格納し、前記判定結果格納部に格納されている前記物体の接触状態を表すデータを、前記第1の近距離無線通信部に前記集約装置宛に送信させる判定処理部と、
を有し、
前記複数の処理装置は、前記ワイヤの複数箇所に設置され、
前記集約装置が、
遠距離無線通信部と、
第2の近距離無線通信部と、
前記複数の処理装置から、前記物体の接触状態を表すデータ及び前記処理装置の識別子を受信し、第2データ格納部に格納する収集部と、
前記第2データ格納部に格納されている、ある期間における前記物体の接触状態を表すデータからユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には、前記処理装置の識別子から特定される該当箇所を表すデータを含む警告データを、前記ユーザ宛に前記遠距離無線通信部に送信させる通知処理部と、
を有し、
前記集約装置は、前記第2の近距離無線通信部により前記複数の処理装置の少なくともいずれかと通信を行い、
前記複数の処理装置は、前記第1の近距離無線通信部により前記ワイヤ沿いにデータ通信を行う
監視システム。
(付記14)
処理装置と、
各々土地の領域の少なくとも一部を囲い且つ高電圧が印加されるワイヤに流れる電流の電流値を測定する電流センサ及び第1の近距離無線通信部を有する複数の測定装置と、
を有し、
前記処理装置は、
第2の近距離無線通信部と、
前記電流センサにより測定された電流値を格納するデータ格納部と、
前記データ格納部に格納されている、所定時間内における複数の電流値に基づき、前記ワイヤ又は網に対する物体の接触状態を判定し、当該物体の接触状態を表す判定結果格納部に格納する判定処理部と、
前記判定結果格納部に格納されている前記物体の接触状態を表すデータに基づき、ユーザに対する警告の要否を判定し、警告要と判定された場合には、特定された電流センサの箇所を表すデータを含む警告データを前記ユーザ宛に通信部に送信させる通知処理部と、
を有し、
前記電流センサが前記ワイヤを区分する区間毎に設けられており、
前記データ格納部が前記電流値と当該電流値を測定した電流センサ又は当該電流センサを含む装置の識別子とを格納しており、
前記判定処理部が、前記データ格納部に格納されている、前記所定期間内における各前記電流センサについての電流値の検出状況に応じて、前記ワイヤに前記高電圧を印加する電源装置から最も遠くで閾値を超える電流値を検出した電流センサにより測定された電流値を用いて判定を行い、
前記処理装置の前記第2の近距離無線通信部は、前記複数の測定装置の各々から前記電流値と当該電流値を測定した電流センサを含む処理装置の識別子とを受信し、前記データ格納部に格納し、
前記複数の測定装置は、前記第1の近距離無線通信部により前記ワイヤ沿いにデータ通信を行う
監視システム。