JP5958642B2 - 原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置 - Google Patents

原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、原子間力顕微鏡を用いて液体中に置かれた物質の表面電荷密度分布や表面電位分布を測定する表面電荷密度測定装置に関する。
原子間力顕微鏡(AFM=Atomic Force Microscope)は、先鋭な探針と試料表面との間に作用する力をカンチレバーの変位から測定し、探針を試料表面に沿って一次元的又は二次元的に走査することで試料表面の形状等の情報を取得する装置である。このAFMの一つとして、周波数変調検出方式のAFM(FM−AFM=Frequency Modulation - Atomic Force Microscope)がよく知られている。
FM−AFMでは一般的に、試料表面に原子レベルの距離まで近づけた探針を保持するカンチレバーをその機械的な共振周波数で以て振動させ、探針と試料表面との間に働く相互作用によって生じる共振周波数の変化(周波数シフトΔf)を検出する。この周波数シフトΔfは探針と試料表面との距離に依存するため、周波数シフトΔfを一定に維持しながら、試料表面を該試料の法線に直交する面内で二次元に走査(例えばラスタースキャン)することにより、試料表面の凹凸状態を示す画像(表面凹凸像或いは表面トポグラフィ像)を得ることができる。
ところで、近年、各種疾病・疾患の原因究明や医薬品の開発などを目的として、タンパク質やDNAといった生体分子の生体機能発現メカニズムの解明が各所で盛んに進められている。こうした研究・開発のためには生体分子の構造を把握することが必要であり、そのための様々な計測手法が開発されている。AFMの分野においても、このような観点での新技術や計測手法の開発が鋭意進められており、高真空雰囲気中だけでなく液体中や生理学的環境下におけるタンパク質やDNAなどの生体分子の分子スケールでの構造解析が行えるようになってきている(例えば特許文献1など参照)。
生体分子の生体機能発現メカニズム解析のためには、生体分子の構造把握だけでなく生体分子の様々な物性を併せて計測することが必要不可欠である。特に、生体分子の表面電荷分布は、該分子内部での官能基間や分子間に働く静電相互作用を通して、分子の機能発現に大きな役割を担っていることが知られている。X線回折や中性子線回折といった広義の光学的手法により表面電荷を測定する手法もあるが、こうした手法では試料表面全体で平均化された情報しか得ることができず、詳細な電荷分布を知ることはできない。
これに対し近年、AFMを用いて液体中における固体表面の電荷密度分布を計測する手法が開発されている。即ち、極性溶媒である水溶液中では、帯電した固体又は分子の表面の電荷を中和遮蔽するように溶液中の電解質が電気二重層を形成する。そのため、水溶液中で二つの固体表面を近接させると、それらの表面の帯電状態に依存する斥力(浸透圧力)又は引力(Maxwell応力)が相互に作用する。AFMでは、こうした二つの固体表面間に作用する極めて微弱な力をナノメートルオーダの空間分解能で以て計測することが可能である。そこで、非特許文献1、2などにおいては、AFMのコンタクトモード(静的モード)と三次元フォースマッピング技術とを組み合わせ、探針-試料間に作用する電気二重層力を三次元的又は二次元的にマッピングすることにより、液中における固体表面の電荷密度分布を計測する手法が提案されている。
しかしながら、こうしたAFMを利用した従来の計測方法では次のような問題がある。
一般に、液体中で生じる電気二重層力は極めて微弱な力であるため、AFMのコンタクトモードによりこの力を測定するには、ばね定数の小さなカンチレバーを使用する必要がある。ところが、カンチレバーと試料との間にそのばね定数を上回る力勾配が発生すると、探針先端が試料表面に引き寄せられて「Jump-to-Contact」と呼ばれる衝突現象が起こるため、ばね定数の小さなカンチレバーを使用する場合には、この衝突現象が起こらないように特に注意を要する。この衝突現象は溶液のイオン濃度が高いほど、つまり強電解質であるほど起こり易い。一方、生体分子表面の電荷密度分布計測を高い空間分解能で行うには、生体分子が載置された基板による電荷の影響を排除する必要があり、そのためには、拡散二重層におけるデバイ(Debye)長が分子よりも小さくなるような強電解質の溶液を使用する必要がある。つまり、計測の空間分解能を上げるには強電解質溶液を使用する必要があるものの、衝突現象を回避するには弱電解質の溶液を用いざるをえず、それ故に、計測の空間分解能を上げることが難しいという問題がある。
また、三次元フォースマッピングでは、計測対象の固体表面上の膨大な数の微小領域毎にそれぞれフォースカーブを求める必要があり、通常のフィードバック制御による表面形状の測定に比べると測定に要する時間が大幅に長くなる。そのため、上記計測方法はスループットが低く、効率が悪い。また、一つの試料に対する測定時間が長くなると、装置の熱的ドリフト等の影響が測定結果に現れ易くなり、測定精度の低下を招くという問題もある。
特開2009−58231号公報
ソトレス(J. Sotres)ほか1名、「DNA・モレキュルズ・リゾルブド・バイ・エレクトリカル・ダブル・レイヤ・フォース・スペクトロスコピ・イメージング(DNA molecules resolved by electrical double layer force spectroscopy imaging)」、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl. Phys. Lett.)、2008年、Vol.93 ソトレス(J. Sotres)ほか1名、「AFM・イメージング・アンド・アナリシス・オブ・エレクトロスタティク・ダブル・レイヤ・フォーシズ・オン・シングル・DNA・モレキュルズ(AFM Imaging and Analysis of Electrostatic Double Layer Forces on Single DNA Molecules)」、バイオフィジカル・ジャーナル(Biophys J.)、 2010年、Vol.98、pp.1995?2004
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、原子間力顕微鏡を用い、短い測定時間で以て高い空間分解能の表面電荷密度分布を測定することができる表面電荷密度測定装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、原子間力顕微鏡を用いた各種測定に関する知識や熟練に乏しい者であっても、比較的簡便に測定を行うことができる表面電荷密度測定装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、相対的な表面電荷分布情報だけでなく定量的な表面電荷分布情報を求めることができる表面電荷密度測定装置を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の態様は、カンチレバーの先端に設けられた探針を液体中に浸漬された試料の表面に近接させた状態で、該カンチレバーをその共振周波数付近で振動させ、その振動振幅を一定に維持するようにフィードバック制御を行いつつ、前記探針と前記試料との間に働く相互作用を検出するダイナミックモード原子間力顕微鏡を用い、前記試料の表面電荷分布を測定する表面電荷密度測定装置において、
a)前記カンチレバーの振動振幅又はそのフィードバック制御経路中の信号に基づいて、前記探針と前記試料との間に作用するエネルギ散逸力を反映した散逸信号を取得する散逸信号取得部と、
b)前記カンチレバーの共振周波数のずれである周波数シフトを反映した周波数シフト信号を取得する周波数シフト信号取得部と、
c)前記試料上の少なくとも一箇所で、前記散逸信号及び前記周波数シフト信号の探針-試料間距離依存性をそれぞれ示すデータを実測する基準データ測定部と、
d)前記試料に対し前記基準データ測定部により得られたデータに基づき、散逸信号を周波数シフト信号へ換算するための換算情報を求めるとともに、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係及び前記換算情報から、散逸信号を表面電荷密度に換算するための換算式を決定する換算式決定部と、
e)前記周波数シフトを一定に維持するように前記探針と前記試料との間の距離を調整しつつ、該探針を該試料上で二次元的に走査させる走査制御部と、
f)前記走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに前記散逸信号取得部により得られた散逸信号を、前記換算式決定部により決定された換算式に従って表面電荷密度に換算する換算処理部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するためになされた本発明の第2の態様は、カンチレバーの先端に設けられた探針を液体中に浸漬された試料の表面に近接させた状態で、該カンチレバーをその共振周波数付近で振動させ、その振動振幅を一定に維持するようにフィードバック制御を行いつつ、前記探針と前記試料との間に働く相互作用を検出するダイナミックモード原子間力顕微鏡を用い、前記試料の表面電荷分布を測定する表面電荷密度測定装置において、
a)前記カンチレバーの振動振幅又はそのフィードバック制御経路中の信号に基づいて、前記探針と前記試料との間に作用するエネルギ散逸力を反映した散逸信号を取得する散逸信号取得部と、
b)前記カンチレバーの共振周波数のずれである周波数シフトを反映した周波数シフト信号を取得する周波数シフト信号取得部と、
c)前記エネルギ散逸を一定に維持するように前記探針と前記試料との間の距離を調整しつつ、該探針を該試料上で二次元的に走査させる走査制御部と、
d)前記走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに前記周波数シフト信号取得部により得られた周波数シフト信号を、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係に基づいて表面電荷密度に換算する換算処理部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係る第1及び第2の態様の表面電荷密度測定装置ではいずれも、コンタクトモードではなくノンコンタクト、つまりダイナミックモードの原子間力顕微鏡(AFM)が利用される。ダイナミックモードのAFMでは、カンチレバーはその共振周波数付近で励振され、カンチレバーの振動振幅が一定になるようにその励振状態がフィードバック制御される。カンチレバーを励振するために従来幾つかの方法が知られているが、探針と試料との間に働く保存力(探針の振動に同期した力)と散逸力(探針の振動エネルギを散逸させる力)とがカップリングしていると、良好な測定信号が得られない、フィードバック制御系が不安定化する、といった問題がある。そこで、液体中において保存力と散逸力とのカップリングを少なくするために、例えばスプリアスフリーな励振法として知られている光熱励振法を用いるとよい。
ダイナミックモードAFMでは、カンチレバーの変位は典型的には光学的に検出される。本発明に係る表面電荷密度測定装置において散逸信号取得部は、こうした光学的に検出されるカンチレバーの振動振幅或いはそのフィードバック制御経路中の信号に基づいて、探針と試料との間に作用する散逸力を反映した散逸信号を取得する。具体的には、通常、フィードバック制御経路中には自動利得制御回路が設けられているから、その自動利得制御回路において生成される利得制御電圧などを散逸信号として利用することができる。一方、周波数シフト信号取得部は、例えば光学的に検出されるカンチレバーの変位に基づいて、該カンチレバーの共振周波数のずれ、つまり周波数シフトを反映した周波数シフト信号を取得する。
散逸信号取得部と周波数シフト信号取得部とは第1、第2の態様に共通する構成要素である。一方、探針-試料間距離のフィードバック制御の方法は第1の態様と第2の態様とで異なる。即ち、第1の態様による表面電荷密度測定装置では、走査制御部が、周波数シフトが一定に保たれるように探針-試料間距離をフィードバック制御しながら、試料上で探針を二次元的に走査させる。これは、一般的な表面凹凸像の観測時と同様の、周波数シフト一定制御である。このときに得られる散逸信号には、液体中で形成される電気二重層による探針と試料との間の静電相互作用力、つまりは試料表面の電荷密度などの情報が含まれる。これは次のような理由による。
即ち、周波数シフトを一定に保つように探針-試料間距離をフィードバック制御する場合、絶対的な探針-試料間距離は探針と試料との間の静電的引力(Maxwell応力)や斥力(浸透圧力)によって変化するのに対し、静電相互作用力は保存力であるためにエネルギ散逸に殆ど反映されない。そのため、静電相互作用力の有無や大きさに拘わらず、同一の探針-試料間距離におけるエネルギ散逸には差が殆どない。逆に言うと、静電相互作用力による探針-試料間距離の変化がエネルギ散逸に現れる。これにより、散逸信号は静電相互作用力の強弱、つまりは試料の表面電荷や表面電位の状態を反映することになる。
ただし、散逸信号から表面電荷密度を求めるには、両者の関係を調べ、換算式や換算表などを得る必要がある。そこで、基準データ測定部により、試料上の少なくとも一箇所において、散逸信号及び周波数シフト信号の探針-試料間距離依存性をそれぞれ示すデータを測定し、換算式決定部は、基準データ測定部により得られたデータに基づき、散逸信号を周波数シフト信号へ換算するための換算情報を求めるとともに、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係及び上記換算情報から、散逸信号を表面電荷密度に換算するための換算式を決定しておく。
探針と試料との間の距離がごく小さくなると、静電相互作用力よりもパウリ(Pauli)斥力が支配的になり、液体中ではパウリ斥力の探針-試料間距離依存性は指数関数により近似可能である。パウリ斥力が支配的である探針-試料間距離範囲では、パウリ斥力の影響は周波数シフト、エネルギ散逸の両方にほぼ同じように現れる。そのため、換算式決定部では、基準データ測定部により得られたデータに基づく周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線及びエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性曲線をそれぞれ指数関数でフィッティングすることによって、散逸信号を周波数シフト信号へ換算するための換算情報を求めることができる。
こうして換算式決定部により得られた換算式又はそれに相当する情報は例えば記憶部に一旦格納される。そして、換算処理部は、この記憶部に格納された情報を利用して、走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに得られた散逸信号を表面電荷密度に換算する。二次元的な走査によって試料上の各点で得られた散逸信号をそれぞれ表面電荷密度に換算することで、試料上の表面凹凸像に対応したエネルギ散逸像を、表面電荷密度像に変換することができる。
第2の態様による表面電荷密度測定装置では、走査制御部は、周波数シフトでなくエネルギ散逸が一定に保たれるように探針-試料間距離をフィードバック制御しながら、試料上で探針を二次元的に走査させる。上述したように、試料の表面電荷等により発生する表面静電相互作用力は保存力であるためにエネルギ散逸に殆ど反映されない。そのため、散逸信号は周波数シフト信号よりも探針-試料間距離を的確に反映しており、エネルギ散逸一定制御が実施されると、探針-試料間距離は試料の表面電荷等の影響を受けずにほぼ一定となる。したがって、周波数シフト信号に現れる変動は試料の表面電荷や電位状態を反映していることになる。そこで、第2の態様による表面電荷密度測定装置において、換算処理部は、走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに得られた周波数シフト信号を、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係に基づいて表面電荷密度に換算する。
以上のように、本発明に係る第1及び第2の態様の表面電荷密度測定装置のいずれにおいても、液中に置かれた試料の表面電荷密度分布を得ることができる。また、電荷密度は容易に表面電位に換算することができるから、試料の表面電位分布を得ることもできる。
本発明に係る表面電荷密度測定装置では、ダイナミックモードAFMが用いられるので、探針と試料とが或る程度離れるようにフィードバック制御がなされる。また、コンタクトモードとは異なり、ばね定数の大きなカンチレバーを用いることができる。そのため、探針が試料上で走査される際に、上述した「Jump-to-Contact」の問題は起こりにくい。また、試料が浸漬される液体として強電解質溶液を使用することができるので、それにより試料が載置された基板による電荷の影響を実質的に受けずに、高い空間分解能で試料表面の電荷密度を反映した情報を得ることができる。
また本発明に係る表面電荷密度測定装置によれば、従来のフォースマッピング技術を用いた手法のように試料上の多数の点でそれぞれフォースカーブを求める必要はなくなり、通常のフィードバック制御による表面形状の測定とほぼ同程度の測定時間で表面電荷密度分布像や表面電位分布像を得ることができる。そのため、測定のスループットが大幅に向上するとともに、装置の熱的ドリフト等の影響が測定結果に現れにくくなるので、測定精度も向上する。また、本発明に係る表面電荷密度測定装置では、相対的な電荷密度分布ではなく、各点における電荷密度の定量値を求めることも可能である。
また特に第1の態様の表面電荷密度測定装置によれば、一般的な表面形状の測定で使用される周波数シフト一定制御モードでAFMを動作させればよいので、測定を行うオペレータに特殊な測定モードの知識やそうしたモードでの測定の経験・熟練が不要である。そのため、測定にあたることができるオペレータの制約が緩くなり、オペレータの負担も軽減される。また、本願発明者の検討によれば、周波数シフト一定制御モードとエネルギ散逸一定制御モードとを比較すると、前者のほうが高いSN比の表面形状像を得ることができる。一般に、試料の表面電荷密度分布像を観測する場合には併せて表面形状像も観測することが必要となるから、高いSN比の表面形状像が同時に得られることは大きな利点である。
一方、特に第2の態様の表面電荷密度測定装置では、周波数シフト信号から電荷密度への換算を容易に、つまり簡単な処理で行うことができるという利点がある。
本発明の第1実施例であるAFMを用いた表面電荷密度測定装置の概略構成図。 第1実施例の表面電荷密度測定装置による実測で得られた表面凹凸像(a)、エネルギ散逸像(b)、及び周波数シフト像(c)の一例を示す図。 図2(a)及び(b)中にA−B線で示した試料上の位置において抽出した高さ値及びエネルギ散逸の1次元的なプロファイルを示す図。 試料表面においてX軸に平行な直線上の周波数シフトのZ−X面内分布画像(a)、及びその分布画像上のC、Dの位置における周波数シフトの探針-試料間距離依存性を示す図。 図4(a)と同じ直線上のエネルギ散逸のZ−X面内分布画像(a)、及びその分布画像上のC、Dの位置におけるエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性を示す図。 周波数シフト一定制御モードで走査したときの探針の挙動の概念図。なお、正及び負の電荷は、探針及び試料の表面固定電荷を中和遮蔽するかたちで存在するカウンタイオンを表す。 周波数シフト一定制御モードにおけるエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性曲線を示す図(a)、及び周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線を示す図(b)。 第1実施例の表面電荷密度測定装置において図2(b)に示したエネルギ散逸像を表面電荷密度分布及び表面電位像に変換した画像。 エネルギ散逸一定制御モードで走査したときの探針の挙動の概念図。なお、図6と同様に、正及び負の電荷はカウンタイオンを表す。 エネルギ散逸一定制御モードにおけるエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性曲線を示す図(a)、及び周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線を示す図(b)。
[第1実施例]
以下、本発明の一実施例(第1実施例)であるFM−AFMを用いた表面電荷密度測定装置について、添付図面を参照して説明する。図1はこの第1実施例の表面電荷密度測定装置の要部の概略構成図である。
観察対象である試料3は、略円筒形状であるスキャナ1の上に載置された金属等の導電体からなる試料ホルダ2上に保持される。スキャナ1は、互いに直交するX、Yの2軸方向に試料3を走査するXYスキャナとX軸及びY軸に対し直交するZ軸方向に微動させるZスキャナとを含み、それぞれ水平位置制御部27、垂直位置制御部26から印加される電圧によって変位を生じる圧電素子を駆動源としている。試料3の上方には先端に探針6を有するカンチレバー5が配置され、このカンチレバー5はカンチレバーホルダ7を介して台座部4に固定されている。液中測定を行うために、この台座部4の少なくとも一部は下面が平坦なガラス製の透明体となっており、試料ホルダ2と台座部4との間の空隙は分析用液体8で満たされ、試料3はこの分析用液体8中に浸漬した状態となっている。分析用液体8の上面は台座部4の下面に完全に密着しており、探針6が試料3の表面を走査する際にも分析用液体8の液面の揺らぎは生じない。
カンチレバー5のZ軸方向の変位を検出するために、台座部4の上方には、レーザ光源11、ハーフミラー12、ミラー13、及び光検出器14を含む光学的変位検出部10が設けられている。光学的変位検出部10においては、レーザ光源11から出射したレーザ光をハーフミラー12で略垂直に反射させ、台座部4の透明体を通してカンチレバー5の背面先端付近に照射する。カンチレバー5はシリコン又は窒化シリコンなどから成り、試料3との対向面及び背面には金(Au)、アルミニウム(Al)、等の金属薄膜が形成されている。それにより、カンチレバー5の背面は鏡面となっており、上方から照射されたレーザ光はカンチレバー5背面で反射されて台座部4の上方に抜け、ミラー13を介して光検出器14に導入される。
光検出器14は例えば、カンチレバー5の変位方向(Z軸方向)に複数(通常二つ)に分割された受光面を有する。各受光面に入射した光により生成される検出信号はプリアンプ20で増幅され、差分アンプ21によって差信号が取り出される。カンチレバー5が上下に変位すると複数の受光面に入射する光量の割合が変化する。そのため、差分アンプ21から取り出される差信号はカンチレバー5のZ軸方向の変位量に応じたものとなる。ただし、この差信号にはカンチレバー5に生起される様々な周波数成分が含まれるため、バンドパスフィルタ(BPF)22で共振周波数付近の特定の周波数範囲の信号のみを抽出し、位相ロックループ(PLL)回路23及びカンチレバー光熱励振部30に供給する。
カンチレバー光熱励振部30、励振用レーザ光源37、レーザダイオード(LD)駆動部36、及び加算器35は、カンチレバー5をその共振周波数付近で自励発振させる機能を有する。カンチレバー光熱励振部30は、実効値-直流(RMS-DC)変換器31と自動利得制御回路(AGC)32と位相シフト回路33と乗算器34とを含む。バンドパスフィルタ22からカンチレバー5の共振周波数成分を含む信号が供給されると、実効値-直流変換器31はその交流信号の実効値を検出して該実効値を直流信号として出力し、自動利得制御回路32はその直流信号が一定に維持されるように利得を自動的に調整しつつ、該信号を増幅する。一方、位相シフト回路33は、バンドパスフィルタ22から供給されたカンチレバー5の共振周波数成分を含む信号の位相を、カンチレバー5がその共振周波数で安定的に励振するように調整する。
乗算器34は位相が調整された交流信号に利得が調整された直流信号を乗じることで該交流信号の振幅を調整する。加算器35はLD駆動部36から供給される駆動信号に乗算器34からの信号を加算し、励振用レーザ光源37に供給する。励振用レーザ光源37から射出されたレーザ光はカンチレバー5の背面の所定部位に照射される。このレーザ光照射によってカンチレバー5の背面には熱が生起され、背面側と前面側との差熱によってカンチレバー5は撓みを生じる。乗算器34から加算器35に供給される信号により励振用レーザ光源37に供給されるパワーは変調され、それによってカンチレバー5の振動が誘起される。このとき、カンチレバー光熱励振部30を通したフィードバック制御によって、カンチレバー5の振動振幅は略一定に維持される。
バンドパスフィルタ22からカンチレバー5の共振周波数成分を含む信号が供給されると、位相ロックループ回路23は、探針6と試料3との間に働く力に起因して変化するカンチレバー5の共振周波数のシフト量を検出しデータ処理部24へ供給する。データ処理部24は、検出された周波数シフト量に基づきその周波数変化を一定に維持するための信号、つまりは探針6と試料3との間の距離を一定に保つための信号を生成し、主制御部25を通して垂直位置制御部26へ送る。垂直位置制御部26は、受け取った信号に応じてスキャナ1に含まれるZスキャナを駆動することで試料ホルダ2をZ軸方向に駆動し、探針6と試料3との間の距離を略一定に維持する。
主制御部25は表面凹凸像作成部251を含み、表面凹凸像作成部251はデータ処理部24から供給されたカンチレバー5の周波数変化を一定に維持するための信号に基づいて、試料3の表面凹凸像(表面トポグラフィ像)を作成し、これを表示部29の画面上に表示する。
また、自動利得制御回路32において利得を変化させるための電圧制御信号はデータ処理部24に供給される。この電圧制御信号は所定の共振周波数で振動しているカンチレバー5の振動振幅の変化量に応じた信号であり、探針6と試料3との間に作用するエネルギの散逸量に対応している。例えば特開2006−292720号公報などに開示されているように、この電圧制御信号(以下「エネルギ散逸信号」という)に基づいて試料3表面のエネルギ散逸像を作成することが可能であるが、本実施例の装置ではさらに特徴的な構成として、データ処理部24はエネルギ散逸信号を表面電荷密度に変換する電荷密度変換処理部241を備えており、主制御部25はエネルギ散逸像作成部252、及び表面電荷密度分布像作成部253を備えている。
なお、主制御部25には測定のために必要な条件やパラメータなどをオペレータが入力又は設定するための操作部28や、測定結果などを表示するための表示部29も接続されている。主制御部25やデータ処理部24などの機能の少なくとも一部は、例えばパーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該コンピュータにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することで実現する構成とすることができる。
上述したように、本実施例の表面電荷密度測定装置に用いられるFM−AFMには、カンチレバー5を励振させるために光熱励振法が用いられている。これは、光熱励振法がいわゆるスプリアスフリーな励振法であって、液中においても、保存力と散逸力とのカップリングを排することができるからである(詳しくは、西田ほか4名、「レーザードップラー干渉計と光熱励振法を用いた液中原子間力顕微鏡」、生産研究、58巻2号、2006年などの文献参照)。
本実施例の表面電荷密度測定装置では、周波数シフトを一定に維持しつつ探針6が試料3表面を二次元的に走査する周波数シフト一定制御モードでFM−AFMを動作させる。そして、そのときに表面凹凸像と同時に取得したエネルギ散逸像に基づいて、試料3の表面電荷密度分布像を得る。以下、本実施例の表面電荷密度測定装置における表面電荷密度の測定方法及びその測定実行時の装置の具体的な動作について説明する。
まず、上述したような構成の装置において、自動利得制御回路32から得られるエネルギ散逸信号に基づいて表面電荷密度を求めることが可能であることを、実測例を挙げて説明する。
図2は、ポリリジン(Poly-L-Lysine)でコートした白雲母(Muscovite mica)基板上にラムダ(lambda)DNA分子を固定して作製した試料を、本実施例の表面電荷密度測定装置で実測して得られた表面凹凸像(a)、エネルギ散逸像(b)、及び周波数シフト像(c)である。(a)及び(b)は、周波数シフト一定制御モードにおいて試料3上のX−Y面内を二次元的に走査したときに、表面凹凸像作成部251及びエネルギ散逸像作成部252により作成される画像である。一方、(c)は周波数シフトを一定とするためのフィードバック信号を画像化したものである。
なお、分析用液体8の電解質濃度を高くすると空間分解能は向上するものの、ファンデルワールス(van der Waals)力のために定量性が失われる。一方、電解質濃度が低いと空間分解能が下がる。これら両者を考慮すると、1:1対称電解質溶液で100[mM]程度の電解質濃度が適当である。そこで、100[mM]の塩化カリウム(KCl)水溶液を分析用液体8として用いた。また、後述の計算を単純化するためには、カンチレバー5の振動振幅値を分析用液体8のデバイ長よりも充分に小さくする必要がある。100[mM]の塩化カリウム水溶液のデバイ長は1[nm]程度であるため、ここでは、カンチレバー5の振動振幅が0.5[nm p-p]以下となるように調整した。
図2(a)から、表面凹凸像においては単一のDNA分子が明瞭に可視化されていることが分かる。また図2(b)に示したエネルギ散逸像から、DNA分子上ではポリリジン膜上に比べてエネルギ散逸量が減少していることが分かる。このエネルギ散逸像のコントラストは図2(c)に示した周波数シフト像のコントラストとは明らかに相違する。このことから、エネルギ散逸信号は周波数シフト一定制御のためのフィードバック信号とカップリンプしていない、つまり散逸力と保存力とが充分に分離されているということが理解できる。
図3は、図2(a)、(b)中にA−B線で示した位置において抽出した高さ値及びエネルギ散逸の1次元的なプロファイルを示す図である。エネルギ散逸の単位がV(ボルト)であるのは、エネルギ散逸と線形な関係にある励振電圧をエネルギ散逸とみなして使用しているためである。この図3から、DNA分子の高さはDNAの直径である約2.0[nm]となっていることが分かる。また図3から、DNA分子上のエネルギ散逸量はその周囲、つまりポリリジン膜上に比べて明らかに減少していることが分かる。
図4(a)は試料3表面においてX軸に平行な直線上の周波数シフトのZ−X面内分布画像、図4(b)はその分布画像から抽出した周波数シフトの探針-試料間距離依存性を示す図である。即ち、これはX−Y面に直交する面(高さ方向に拡がる面)内における周波数シフトの分布を示している。図4(a)中のC−C’線の位置はDNA分子上、D−D’線の位置はポリリジン膜上である。
図4(a)から、DNA分子上では周波数シフトが負となる静電的斥力相互作用(浸透圧力)が生じており、逆に、ポリリジン膜上では周波数シフトが正となる静電的引力相互作用(Maxwell応力)が生じていることが分かる。これは、シリコン等からなる探針6の表面が、pH7である分析用液体8中では常に負極性に帯電しているのに対し、DNA分子は負極性に、ポリリジン膜は正極性に帯電しているためである。この現象は、図4(b)において、探針6が試料3の表面に近接するに伴い(つまり下方向にいくに従い)、DNA分子上では周波数シフトが増大しているのに対し、ポリリジン膜上では周波数シフト量が減少していることからも明らかである。
図5(a)は図4(a)と同じ試料3上の位置におけるエネルギ散逸のZ−X面内分布画像、図5(b)はその分布画像から抽出したエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性を示す図である。エネルギ散逸は時間的な揺らぎを有しているため、図5(a)に示した分布画像上では分かりにくいが、図5(b)に示したエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性を見ると、DNA分子上とポリリジン膜上とで、探針-試料間距離を短くしたときのエネルギ散逸の増加傾向に殆ど差異はないことがよく分かる。
このように、図4で示される周波数シフトと図5で示されるエネルギ散逸とでは、DNA分子上及びポリリジン膜上における探針-試料間距離依存性が明らかに異なることが分かる。
上述した実測結果から、周波数シフト一定制御モードで探針6を走査したときの探針6の挙動は図6に示すようになると推測し得る。なお、図6及び後述の図9において、正及び負の電荷は、探針6及び試料3の表面固定電荷を中和遮蔽するかたちで存在するカウンタイオンを表す。
即ち、周波数シフト一定制御モードでは、あくまでも探針6の周波数シフトが一定になるように探針-試料間距離が制御されるため、絶対的な探針-試料間距離が一定になるように制御されるわけではない。上述したように、分析用液体8中では探針6の表面は負に帯電しているのに対し、基板3a上のポリリジン膜3bは正に、その上のDNA分子3cは負に帯電している。そのため、探針6と試料3との間に働く静電相互作用の極性はDNA分子3a上とポリリジン膜3b上とで異なり、探針6がポリリジン膜3b上にあるときには引力が作用し、探針6がDNA分子3a上にあるときには斥力が作用する。その結果、図6に概略的に示すように、探針6がDNA分子3a上を通過するときには探針-試料間距離は相対的に大きく、ポリリジン膜3b上を通過するときには探針-試料間距離は相対的に小さくなる。
一方、分析用液体8中で形成される電気二重層による静電相互作用力は保存力であり、上述したように光熱励振法では、保存力と散逸力とは殆どカップリングしないため、エネルギ散逸には上記のような試料3表面の電位状態に起因する静電相互作用力は反映されない。つまり、DNA分子3a上とポリリジン膜3b上とで、同一の探針-試料間距離におけるエネルギ散逸には殆ど差がないものとみなせる。換言すれば、上述したように、DNA分子3a上とポリリジン膜3b上とにおける探針-試料間距離の差はエネルギ散逸に如実に反映されることになる。周波数シフト一定制御モードにおいて、探針-試料間距離の差は静電相互作用力の強弱、つまりは表面電荷分布状態を反映しているから、図2(b)に示したようなエネルギ散逸像のコントラストは表面電荷分布状態を反映したものとなる筈である。以上のことから、エネルギ散逸と表面電荷密度との間には所定の関係があり、エネルギ散逸信号を表面電荷密度に変換可能であることが理解できる。
ただし、周波数シフトと電荷密度との関係は理論的に導出可能であるものの、エネルギ散逸と周波数シフトとの関係は測定毎に異なるため、エネルギ散逸と電荷密度との関係もまた理論的に予測することは難しく、実験的に求める必要がある。そこで、本実施例の表面電荷密度測定装置では、以下のようなアルゴリズムでエネルギ散逸信号から表面電荷密度を求めるようにしている。
探針6と試料3との間には、静電相互作用による斥力や引力のほかにパウリ斥力が作用する。パウリ斥力は探針-試料間距離が小さくなるほど支配的になり、その探針-試料間依存性は指数関数により近似可能である。また、パウリ斥力は試料3の粘弾性依存性を殆ど示さない。周波数シフト、エネルギ散逸ともにパウリ斥力は反映されるから、パウリ斥力が支配的であるような探針-試料間距離の範囲では周波数シフト及びエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性がいずれも指数関数で近似可能であることを利用して、周波数シフトとエネルギ散逸との関係を推測することができる。電荷密度と周波数シフトとの関係は理論的に導出可能であるから、これにより、エネルギ散逸と電荷密度との関係を求めることができる。
具体的にはまず、換算のための基準として、測定対象である試料3のポリリジン膜上において、エネルギ散逸Vexc及び周波数シフトΔfの探針-試料間距離依存性曲線をそれぞれ取得する。これら曲線を構成するデータは、主制御部25による制御の下で水平位置制御部27がスキャナ1のXスキャナ及びYスキャナをそれぞれ駆動することで測定位置を定め、垂直位置制御部26がZスキャナを駆動し探針-試料間距離を徐々に変化させることで取得することができる。得られたデータはデータ処理部24において表面電荷密度換算処理部241に一旦保存される。
図7(a)はエネルギ散逸Vexcの探針-試料間距離依存性曲線、図7(b)は周波数シフトΔfの探針-試料間距離依存性曲線の一例である。図7に示すように、探針6と試料3とが非常に近接すると(図中のパウリ斥力領域では)パウリ斥力が支配的になり、エネルギ散逸及び周波数シフトは共に急増する。探針6と試料3との距離が或る程度以上に大きくなると(図中の電気二重層領域では)、静電的な引力又は斥力が支配的になるが、上述したように、エネルギ散逸には静電相互力は殆ど反映されないため、探針-試料間距離が変化してもエネルギ散逸は殆ど変化しない。一方、周波数シフトには静電的な引力又は斥力の影響が現れる。
上述したような探針-試料間距離依存性曲線において、周波数シフトびエネルギ散逸についてパウリ斥力を指数関数で近似した理論式、つまりフィッティング式は、次の(1)式及び(2)式で表される。
ΔfPauli=ΔfPauli_0exp(−κPauliz) …(1)
exc=Vexc_∞+Vexc_0exp(−κPauliz) …(2)
ここで、κPauliはPauli斥力の遮断長さの逆数、zは探針-試料間距離である。表面電荷換算密度換算処理部241では、これら(1)式、(2)式をそれぞれ実測で得られた探針-試料間距離依存性曲線(例えば図7(b)及び(a))にフィッティングさせることで、(1)式、(2)式中のフィッティングパラメータΔfPauli_0及びVexc_0を求める。
エネルギ散逸から周波数シフトへの換算係数βは次の(3)式で定める。
β=ΔfPauli_0/Vexc_0 …(3)
表面電荷換算密度換算処理部241では、上述したように求めたフィッティングパラメータΔfPauli_0及びVexc_0を(3)式に代入することで換算係数βを求める。
なお、探針-試料間距離依存性曲線の取得のための測定部位は試料3上のいずれでも構わないが、好ましくは、静電的な引力が発生する部位、この場合には、ポリリジン膜上とするとよい。何故なら、そのほうが探針-試料間距離が相違するデータの点数が多くなるため、正確なフィッティングパラメータの算出が容易だからである。
一方、探針-試料間距離がパウリ斥力領域よりも大きい場合には電気二重層力領域となる。探針と試料の表面電荷は表面官能基とイオンの平衡反応によって決定され、固定電荷及び固定電位の間のどこかに境界条件をもつ。電気二重層力は表面電荷だけでなく境界条件によっても大きく影響を受けるが、pH7の条件下では線形重ね合わせ近似(LSA=Linear Superposition Approximation)が良い近似を与える。探針6を球、試料3の表面を無限平面であると仮定して、表面要素積分法(SEI=Suface Element Integration)を用いたLSAの解析解は次の(4)式、(5)式で表される。
ΔfEDL(z)=(ΔfEDL0/κDapex)[(κDapex−1)e-κDz+(1+κDapex)e-κD(z+2Rapex)] …(4)
ΔfEDL0≒ασs≒αε0εrκDψs_0 …(5)
ここでκDはデバイ長の逆数であり、分析用液体8として使用する電解質の濃度から算出した理論値を用いればよい。Rapexは探針6の曲率半径であり、例えば探針のデータシートの公称値(この例では7[nm])を用いればよい。また、ε0は真空中の誘電率、εrは分析用液体8の比誘電率ψs_0は後述する表面電位、σsは後述するポリリジン膜の表面電荷密度を基準とした試料の表面電荷密度である。αは後述する電荷密度から周波数シフトへの換算係数である。表面電荷換算密度換算処理部241では、上記(4)式、(5)式を用いてσs=σPLと置いた上で、実測で得られた周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線(例えば図7(b))にフィッティングすることで、ポリリジン膜上の電荷密度σPLを求める。
上述の電荷密度から周波数シフトへの換算係数αは、理論的に次の(6)式で定まる。
α=(4πRapexσt0)/(2kzε0εr) …(6)
ここで、σtは探針の表面電荷密度、f0はカンチレバー5の共振周波数、kzはカンチレバー5のばね定数、であるから、これらパラメータから換算係数αは算出可能である。
エネルギ散逸信号から表面電荷密度への換算には、次の(7)式を用いることができる。
σs≒σPL+(β/α)(Vexc_PL−Vexc) …(7)
表面電荷換算密度換算処理部241は、上述したようにして求めた換算係数β、α及びポリリジン膜上の電荷密度σPLを上記(7)式に代入し、さらに、実測により得られたエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性曲線から導出されるポリリジン膜上でのエネルギ散逸Vexc_PL(≒Vexc_∞)を適用することで、エネルギ散逸Vexcから表面電荷密度σsへの換算が可能な換算式を求める。こうして得られた換算式は電荷密度変換処理部241の内部に保存される。
以上のようにして、本実施例の表面電荷密度測定装置において 表面電荷換算密度換算処理部241では、測定対象である試料3上の或る一点において取得された周波数シフト及びエネルギ散逸の探針-試料間距離依存性曲線に基づいて、エネルギ散逸信号を表面電荷密度に換算する換算式が算出され内部に保存される。
また、次の(8)式を用いることで、表面電荷密度σsを表面電位ψs_0に換算することができるから、この式も表面電荷換算密度換算処理部241の内部に保存される。
ψs_0≒σs/ε0εrκD …(8)
必要な換算式が表面電荷換算密度換算処理部241に用意されると、主制御部25の制御の下に、周波数シフト一定制御モードにより試料3上の二次元的な走査が実行され、自動利得制御回路32からデータ処理部24へエネルギ散逸信号が供給される。データ処理部24において表面電荷換算密度換算処理部241は、内部に保存されている換算式を用いて、エネルギ散逸信号を表面電荷密度及び表面電位に順次変換し、主制御部25へと送る。主制御部25において表面電荷密度分布像作成部253は、試料3上の各点における表面電荷密度及び表面電位に基づいて、表面電荷密度分布像や表面電位像を作成し、表面凹凸像作成部251により作成される表面凹凸像、エネルギ散逸増作成部252により作成される散逸像などとともに、表示部29の画面上に表示する。予め換算式が決定されてさえいれば、エネルギ散逸信号から表面電荷密度への換算の処理は簡単である。
本実施例の表面電荷密度測定装置において、図2(b)に示したエネルギ散逸像からの換算によって得られる表面電荷密度分布像を図8に示す。図8から、DNA分子上及びポリリジン膜上の表面電荷密度分布が充分に可視化できていることが分かる。また、DNA分子上の表面電荷密度の理論値は約−0.2[C/m-2]であり、実測で得られた値はこの理論値とよく一致している。このことから、エネルギ散逸から求めた表面電荷密度は絶対値として正確であることが分かる。このようにして、本実施例の表面電荷密度測定装置は、定量性を有する表面電荷密度分布像をユーザに提供することができる。
[第2実施例]
次に、本発明の他の実施例(第2実施例)であるFM−AFMを用いた表面電荷密度測定装置について説明する。
第1実施例の表面電荷密度測定装置では、周波数シフト一定制御モードでFM−AFMを動作させていたが、FM−AFMでは、エネルギ散逸が一定になるように探針-試料間距離を制御しながら周波数シフト像とエネルギ散逸像とを同時に得ることもできる。この第2実施例の表面電荷密度分布装置では、エネルギ散逸一定制御モードでFM−AFMを動作させたときに得られる周波数シフトを表面電荷密度に換算することで表面電荷密度分布像を求める。したがって、表面電荷密度換算処理部241における処理が相違すること以外、基本的な装置構成は第1実施例と同じであるので、装置構成の詳しい説明は省略する。
以下、エネルギ散逸一定制御モードにおいて得られる周波数シフトを表面電荷密度に換算する手法と手順について説明する。
図9はエネルギ散逸一定制御モードで探針6を走査したときの探針6の挙動を示す概念図、図10(a)はエネルギ散逸Vexcの探針-試料間距離依存性曲線、図10(b)は周波数シフトΔfの探針-試料間距離依存性曲線の一例である。
上述したように、静電相互作用力は保存力であるため、エネルギ散逸には殆ど反映されない(図10(a)参照)。そのため、エネルギ散逸が一定になるように探針-試料間距離が制御されると、図9に示すように、表面電荷密度や表面電位の影響を受けることなく、絶対的な探針-試料間距離がほぼ一定に維持されるように探針6は試料3上を走査することになる。一方、絶対的な探針-試料間距離がほぼ一定であるために、周波数シフトには静電相互作用力が顕著に現れる。そのため、図10(b)に示すように、探針6がDNA分子上にあるときとポリリジン膜上にあるときとで、探針-試料間距離依存性に大きな差異が生じる。パウリ斥力領域の中でも特に探針-試料間距離が小さい領域では、パウリ斥力による周波数シフトは指数関数で近似できる。したがって、このパウリ斥力の探針-試料間距離依存性との差分は静電相互作用力、つまりは表面電荷密度による引力又は斥力によるものとみなすことができる。
そこで、この場合、電荷密度から周波数シフトへの換算係数αとして上記(6)式を用いる。また上記第1実施例と同様に実測により得られた、ポリリジン膜上での周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線を用いてポリリジン膜上の電荷密度σPLを求める。また、同じ周波数シフトの探針-試料間距離依存性曲線からΔfPLも求める。そして、次の(9)式により、周波数シフト信号から表面電荷密度への換算式を決定する。
σs≒σPL+(1/α)(Δf−ΔfPL) …(9)
即ち、この第2実施例の表面電荷密度測定装置では、第1実施例の装置に比べて表面電荷密度を算出する際の換算処理はかなり簡素である。一方、周波数シフト一定制御モードはFM−AFMにおいて最も標準的な測定モードであって特段の知識や経験がオペレータに要求されないのに対し、エネルギ散逸一定制御は使用されることが少ない測定モードであるため、FM−AFMによる測定作業に関する或る程度の詳しい知識や経験がオペレータに要求される。
また、本願発明者の検討によれば、周波数シフト一定制御モードにおいて得られる表面凹凸像とエネルギ散逸一定制御モードにおいて得られる表面凹凸像とで同じSN比を得るには、エネルギ散逸一定制御モードではその周波数帯域を周波数シフト一定制御モードの1/9倍にしなければならない。これは、周波数シフト一定制御モードでは走査時の速度をエネルギ散逸一定制御モードの9倍にすることができることを意味しており、測定時間という点では周波数シフト一定制御モードのほうが有利である。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…スキャナ
2…試料ホルダ
3…試料
4…台座部
5…カンチレバー
6…探針
7…カンチレバーホルダ
8…分析用液体
10…光学的変位検出部
11…レーザ光源
12…ハーフミラー
13…ミラー
14…光検出器
20…プリアンプ
21…差分アンプ
22…バンドパスフィルタ
23…位相ロックループ回路
24…データ処理部
241…電荷密度変換処理部
25…主制御部
251…表面凹凸像作成部
252…エネルギ散逸像作成部
253…表面電荷密度分布像作成部
26…垂直位置制御部
27…水平位置制御部
28…操作部
29…表示部
30…カンチレバー光熱励振部
31…実効値-直流変換器
32…自動利得制御回路
33…位相シフト回路
34…乗算器
35…加算器
36…LD駆動部
37…励振用レーザ光源

Claims (4)

  1. カンチレバーの先端に設けられた探針を液体中に浸漬された試料の表面に近接させた状態で、該カンチレバーをその共振周波数付近で振動させ、その振動振幅を一定に維持するようにフィードバック制御を行いつつ、前記探針と前記試料との間に働く相互作用を検出するダイナミックモード原子間力顕微鏡を用い、前記試料の表面電荷分布を測定する表面電荷密度測定装置において、
    a)前記カンチレバーの振動振幅又はそのフィードバック制御経路中の信号に基づいて、前記探針と前記試料との間に作用するエネルギ散逸力を反映した散逸信号を取得する散逸信号取得部と、
    b)前記カンチレバーの共振周波数のずれである周波数シフトを反映した周波数シフト信号を取得する周波数シフト信号取得部と、
    c)前記試料上の少なくとも一箇所で、前記散逸信号及び前記周波数シフト信号の探針-試料間距離依存性をそれぞれ示すデータを実測する基準データ測定部と、
    d)前記試料に対し前記基準データ測定部により得られたデータに基づき、散逸信号を周波数シフト信号へ換算するための換算情報を求めるとともに、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係及び前記換算情報から、散逸信号を表面電荷密度に換算するための換算式を決定する換算式決定部と、
    e)前記周波数シフトを一定に維持するように前記探針と前記試料との間の距離を調整しつつ、該探針を該試料上で二次元的に走査させる走査制御部と、
    f)前記走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに前記散逸信号取得部により得られた散逸信号を、前記換算式決定部により決定された換算式に従って表面電荷密度に換算する換算処理部と、
    を備えることを特徴とする、原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置。
  2. 請求項1に記載の表面電荷密度測定装置であって、
    前記換算式決定部は、パウリ斥力が支配的であるような探針-試料間距離の範囲において、前記基準データ測定部により得られたデータによる曲線を指数関数でフィッティングすることにより、散逸信号を周波数シフト信号へ換算するための換算情報を求めることを特徴とする、原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置。
  3. カンチレバーの先端に設けられた探針を液体中に浸漬された試料の表面に近接させた状態で、該カンチレバーをその共振周波数付近で振動させ、その振動振幅を一定に維持するようにフィードバック制御を行いつつ、前記探針と前記試料との間に働く相互作用を検出するダイナミックモード原子間力顕微鏡を用い、前記試料の表面電荷分布を測定する表面電荷密度測定装置において、
    a)前記カンチレバーの振動振幅又はそのフィードバック制御経路中の信号に基づいて、前記探針と前記試料との間に作用するエネルギ散逸力を反映した散逸信号を取得する散逸信号取得部と、
    b)前記カンチレバーの共振周波数のずれである周波数シフトを反映した周波数シフト信号を取得する周波数シフト信号取得部と、
    c)前記エネルギ散逸を一定に維持するように前記探針と前記試料との間の距離を調整しつつ、該探針を該試料上で二次元的に走査させる走査制御部と、
    d)前記走査制御部による制御の下で二次元的な走査が行われたときに前記周波数シフト信号取得部により得られた周波数シフト信号を、周波数シフトと表面電荷密度との理論的な関係に基づいて表面電荷密度に換算する換算処理部と、
    を備えることを特徴とする、原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の表面電荷密度測定装置であって、
    前記カンチレバーを光熱励振法で振動させる励振部、をさらに備えることを特徴とする、原子間力顕微鏡を用いた表面電荷密度測定装置。
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