JP2002055135A - 表面電位計及び形状測定器 - Google Patents
表面電位計及び形状測定器Info
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- JP2002055135A JP2002055135A JP2001176121A JP2001176121A JP2002055135A JP 2002055135 A JP2002055135 A JP 2002055135A JP 2001176121 A JP2001176121 A JP 2001176121A JP 2001176121 A JP2001176121 A JP 2001176121A JP 2002055135 A JP2002055135 A JP 2002055135A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】この発明は、バネの共振周波数の変動に無関係
に安定して試料の表面電位と表面形状を測定することが
できないという課題を解決しようとするものである。 【解決手段】この発明は、バネ26の一次及び高次の共
振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れ
かの周波数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次
の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の
何れかの周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧
とを重畳させた電圧を導電性探針27に印加する手段2
9、30と、第1交流電圧による導電性探針27と測定
物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振
動の振幅から測定物28の電位を測定する手段37と、
第2交流電圧による導電性探針27と測定物28との間
の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅から
測定物28の形状を測定する手段38とを備えたもので
ある。
に安定して試料の表面電位と表面形状を測定することが
できないという課題を解決しようとするものである。 【解決手段】この発明は、バネ26の一次及び高次の共
振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れ
かの周波数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次
の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の
何れかの周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧
とを重畳させた電圧を導電性探針27に印加する手段2
9、30と、第1交流電圧による導電性探針27と測定
物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振
動の振幅から測定物28の電位を測定する手段37と、
第2交流電圧による導電性探針27と測定物28との間
の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅から
測定物28の形状を測定する手段38とを備えたもので
ある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面電位計及び形状測定
器、力顕微鏡に関する。
器、力顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走査型力顕微鏡としては、走査型
プローブ顕微鏡セミナーテキスト(セイコー電子工業株
式会社、1994年6月)に記載されているものが知ら
れており、図7にその構成を示す。この力顕微鏡は、一
般的にKFM(Kelvin Force Microscope)と呼ばれるも
ので、試料(測定物)の表面電位分布(表面電位像)と
試料の表面形状(トポ像)を同時かつ独立に測定するこ
とができて表面電位計及び形状測定器として用いること
ができる。導電性カンチレバー11の先端には導電性探
針12が取り付けられ、この導電性探針12は試料13
に対向配置される。圧電素子14は交流電源15から交
流電圧Vr・sinωrtが印加されて導電性カンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
プローブ顕微鏡セミナーテキスト(セイコー電子工業株
式会社、1994年6月)に記載されているものが知ら
れており、図7にその構成を示す。この力顕微鏡は、一
般的にKFM(Kelvin Force Microscope)と呼ばれるも
ので、試料(測定物)の表面電位分布(表面電位像)と
試料の表面形状(トポ像)を同時かつ独立に測定するこ
とができて表面電位計及び形状測定器として用いること
ができる。導電性カンチレバー11の先端には導電性探
針12が取り付けられ、この導電性探針12は試料13
に対向配置される。圧電素子14は交流電源15から交
流電圧Vr・sinωrtが印加されて導電性カンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
【0003】また、交流電源16からのカンチレバー1
1の非共振周波数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電
源17からの直流オフセット電圧Voffとを重畳した電
圧が試料13のベースとなる導電性基板18に印加され
てカンチレバー11の先端の探針12と試料13の表面
との間に静電引力が発生し、この静電引力によりカンチ
レバー11に周波数ωの振動が生ずる。このカンチレバ
ー11の振動はレーザダイオードからなる光源19と2
分割フォトダイオードからなる受光素子20により光て
こ法で検出され、つまり、光源19からカンチレバー1
1にレーザ光が照射されてその反射光が受光素子20に
より受光されてその反射光が2分割フォトダイオード2
0に照射される位置が検出される。これによりカンチレ
バー11の振動を検出できる。
1の非共振周波数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電
源17からの直流オフセット電圧Voffとを重畳した電
圧が試料13のベースとなる導電性基板18に印加され
てカンチレバー11の先端の探針12と試料13の表面
との間に静電引力が発生し、この静電引力によりカンチ
レバー11に周波数ωの振動が生ずる。このカンチレバ
ー11の振動はレーザダイオードからなる光源19と2
分割フォトダイオードからなる受光素子20により光て
こ法で検出され、つまり、光源19からカンチレバー1
1にレーザ光が照射されてその反射光が受光素子20に
より受光されてその反射光が2分割フォトダイオード2
0に照射される位置が検出される。これによりカンチレ
バー11の振動を検出できる。
【0004】受光素子20の出力信号は2台のロックイ
ンアンプ21,22に入力され、ロックインアンプ2
1,22はそれぞれ交流電源15、16からの交流電圧
Vrsinωrt、VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動のω成分の振幅Aωとωr成分の振幅
Aωrを分離増幅する。電圧フィードバック回路23は
振幅Aωの分離増幅を行うロックインアンプ21の出力
信号により直流電源17を制御して直流オフセット電圧
Voffを制御し、電圧フィードバック回路23の直流オ
フセット電圧Voffに対する制御量が試料13の表面電
位Vsの測定結果として出力される。ここに、交流電源
16から試料13に印加する交流電圧の周波数はカンチ
レバー11の共振周波数の1/2以下にしている。
ンアンプ21,22に入力され、ロックインアンプ2
1,22はそれぞれ交流電源15、16からの交流電圧
Vrsinωrt、VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動のω成分の振幅Aωとωr成分の振幅
Aωrを分離増幅する。電圧フィードバック回路23は
振幅Aωの分離増幅を行うロックインアンプ21の出力
信号により直流電源17を制御して直流オフセット電圧
Voffを制御し、電圧フィードバック回路23の直流オ
フセット電圧Voffに対する制御量が試料13の表面電
位Vsの測定結果として出力される。ここに、交流電源
16から試料13に印加する交流電圧の周波数はカンチ
レバー11の共振周波数の1/2以下にしている。
【0005】また、Zサーボ回路24は、試料13をZ
軸方向に駆動してカンチレバー11の探針12と試料1
3との間の距離を可変するZ軸アクチュエータを有し、
振幅Aωrを分離増幅するロックインアンプ22の出力
信号によりZ軸アクチュエータを制御することで探針1
2と試料13との間の距離を制御する。スキャナ25は
試料13をZ軸と直角な方向に走査し、Zサーボ回路2
4のZ軸アクチュエータに対する制御量が試料13の表
面形状(いわゆるトポ像:TOPOGRAPHY)の測定結果とし
て出力される。
軸方向に駆動してカンチレバー11の探針12と試料1
3との間の距離を可変するZ軸アクチュエータを有し、
振幅Aωrを分離増幅するロックインアンプ22の出力
信号によりZ軸アクチュエータを制御することで探針1
2と試料13との間の距離を制御する。スキャナ25は
試料13をZ軸と直角な方向に走査し、Zサーボ回路2
4のZ軸アクチュエータに対する制御量が試料13の表
面形状(いわゆるトポ像:TOPOGRAPHY)の測定結果とし
て出力される。
【0006】次に、図8を用いてこの力顕微鏡の動作原
理を詳しく説明する。カンチレバー11には、圧電素子
14によりカンチレバー11を機械的に加振する力Fvi
bと、探針12に印加される電圧により生ずる静電引力
Fesと、試料13の表面と探針12との間に働くファン
・デル・ワールス力Fvdwという3つの力が働く。カン
チレバー11はFvibにより共振振動する。また、Fes
は次の(1)式で表わされる。
理を詳しく説明する。カンチレバー11には、圧電素子
14によりカンチレバー11を機械的に加振する力Fvi
bと、探針12に印加される電圧により生ずる静電引力
Fesと、試料13の表面と探針12との間に働くファン
・デル・ワールス力Fvdwという3つの力が働く。カン
チレバー11はFvibにより共振振動する。また、Fes
は次の(1)式で表わされる。
【0007】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)V2・・・(1) ここで、Cは探針12と試料13のベース18との間の
静電容量、Zは探針12と試料13のベース18との間
の距離であり、Vは次の(2)式で表わされる。 V=(Vs+Voff)+VACsinωt・・・(2) したがって、Fesは次の(3)式で表わされる。
静電容量、Zは探針12と試料13のベース18との間
の距離であり、Vは次の(2)式で表わされる。 V=(Vs+Voff)+VACsinωt・・・(2) したがって、Fesは次の(3)式で表わされる。
【0008】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)[{(Vs+Voff)2+VAC2/2}+2(Vs+ Voff)VACsinωt−(VAC2/2)cos2ωt]・・・(3) また、Fvdwは次の(4)式で表わされる。 Fvdw=−H/Z6・・・(4) ここで、HはHamaker定数である。探針12と試料13
の表面との間に働く力Fは次の(5)式で表わされる。
の表面との間に働く力Fは次の(5)式で表わされる。
【0009】F=Fvdw+Fes・・・(5) カンチレバー11は、Fvibにより共振振動している
が、探針12と試料13の表面との間に働く直流成分の
力により共振周波数がずれる。しかし、カンチレバー1
1は、圧電素子14により周波数ωrで強制振動してい
るので、その振動振幅が上記直流成分の力により小さく
なる。このカンチレバー11の自由振動時の振動振幅か
らの減少分をΔAとすると、これは次の(6)式で表わさ
れる。
が、探針12と試料13の表面との間に働く直流成分の
力により共振周波数がずれる。しかし、カンチレバー1
1は、圧電素子14により周波数ωrで強制振動してい
るので、その振動振幅が上記直流成分の力により小さく
なる。このカンチレバー11の自由振動時の振動振幅か
らの減少分をΔAとすると、これは次の(6)式で表わさ
れる。
【0010】 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}(∂F/∂Z) =−{2A0Q/(K・3√3)}[H/Z7+(1/2)(∂2C/∂Z2){( Vs+Voff)2+VAC2/2}]・・・(6) ここで、A0はカンチレバー11の自由振動時の振動振
幅、Kはカンチレバー11のバネ定数、Qは共振特性の
Q値である。実際の試料13の表面電位測定はファン・
デル・ワールス力が及ばない距離Zで行われるので、Δ
Aは次の(7)式のようになる。
幅、Kはカンチレバー11のバネ定数、Qは共振特性の
Q値である。実際の試料13の表面電位測定はファン・
デル・ワールス力が及ばない距離Zで行われるので、Δ
Aは次の(7)式のようになる。
【0011】 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2)(∂2C/∂Z2){(Vs+Voff )2+VAC2/2}]・・・(7) Vs+Voffは次に述べるように電圧フィードバック回路
23による帰還制御により0に保たれ、A0、K、Q、
VACは一定である。また、Zサーボ回路24がΔAが一
定になるようにZ軸アクチュエータを制御するから、ト
ポ像は(∂2C/∂Z2)が一定の像を与える。試料13
の絶縁膜の容量がカンチレバー11先端の探針12と試
料13の表面との間の容量よりも十分に大きければ、ト
ポ像は試料13の表面形状を示す。
23による帰還制御により0に保たれ、A0、K、Q、
VACは一定である。また、Zサーボ回路24がΔAが一
定になるようにZ軸アクチュエータを制御するから、ト
ポ像は(∂2C/∂Z2)が一定の像を与える。試料13
の絶縁膜の容量がカンチレバー11先端の探針12と試
料13の表面との間の容量よりも十分に大きければ、ト
ポ像は試料13の表面形状を示す。
【0012】一方、カンチレバー11の振動のω成分の
振幅Aωは次の(8)で表わされる。 Aω=−(∂C/∂Z)(Vs+Voff)VAC・・・(8) 従って、Aω=0となるようにVoffを制御することに
より(∂C/∂Z)に関係なくVoffの値から試料13の
表面電位Vsを測定することができる。このようにして
試料13の表面電位Vsと形状を同時に測定することが
できる。
振幅Aωは次の(8)で表わされる。 Aω=−(∂C/∂Z)(Vs+Voff)VAC・・・(8) 従って、Aω=0となるようにVoffを制御することに
より(∂C/∂Z)に関係なくVoffの値から試料13の
表面電位Vsを測定することができる。このようにして
試料13の表面電位Vsと形状を同時に測定することが
できる。
【0013】また、図9に示すような表面電位計及び形
状測定器としての力顕微鏡が提案されている。この力顕
微鏡では、導電性カンチレバー26の先端には導電性探
針27が取り付けられ、この導電性探針27は試料28
に対向配置される。交流電源29からの交流電圧VA・s
inωact、交流電源30からの交流電圧VB・sin(ωac
t/2)及び直流電圧Vbは加算器31で加算されてアン
プ32を介してカンチレバー26に印加され、カンチレ
バー26先端の探針27と試料28の表面との間に静電
引力Fesが働いてカンチレバー26が振動する。
状測定器としての力顕微鏡が提案されている。この力顕
微鏡では、導電性カンチレバー26の先端には導電性探
針27が取り付けられ、この導電性探針27は試料28
に対向配置される。交流電源29からの交流電圧VA・s
inωact、交流電源30からの交流電圧VB・sin(ωac
t/2)及び直流電圧Vbは加算器31で加算されてアン
プ32を介してカンチレバー26に印加され、カンチレ
バー26先端の探針27と試料28の表面との間に静電
引力Fesが働いてカンチレバー26が振動する。
【0014】このカンチレバー26の振動はレーザダイ
オードからなる光源34とフォトダイオードからなる受
光素子35により光てこ法で検出され、つまり、光源3
4からカンチレバー26に光が照射されてその反射光が
受光素子35により受光されてその反射光が2分割フォ
トダイオード20に照射される位置が検出される。これ
によりカンチレバー11の振動を検出できる。受光素子
35の出力信号はプリアンプ36を介してロックインア
ンプ37、38に入力される。探針27と試料28の表
面との間の電圧をVとすると、静電引力Fesは次の(9)
式で表わされる。
オードからなる光源34とフォトダイオードからなる受
光素子35により光てこ法で検出され、つまり、光源3
4からカンチレバー26に光が照射されてその反射光が
受光素子35により受光されてその反射光が2分割フォ
トダイオード20に照射される位置が検出される。これ
によりカンチレバー11の振動を検出できる。受光素子
35の出力信号はプリアンプ36を介してロックインア
ンプ37、38に入力される。探針27と試料28の表
面との間の電圧をVとすると、静電引力Fesは次の(9)
式で表わされる。
【0015】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)V2・・・(9) ここで、Cは探針27と試料28のベースとなる導電性
基板33との間の静電容量、Zは探針27と試料28の
ベース33との間の距離である。試料28の表面電位を
Vsとすると、Vは次の(10)式で表わされる。 V=Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2)・・・(10) したがって、Fesは次の(11)式で表わされる。
基板33との間の静電容量、Zは探針27と試料28の
ベース33との間の距離である。試料28の表面電位を
Vsとすると、Vは次の(10)式で表わされる。 V=Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2)・・・(10) したがって、Fesは次の(11)式で表わされる。
【0016】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z){Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2 )}2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+VA2/2+VB2/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(VB2/2)sin(ωact−π/2)+2(Vb −Vs)VAsinωact} −(1/2)(∂C/∂Z){(VA2/2)sin(2ωact−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z){2(Vb−Vs)VBsin(ωact/2)+VAVBsi n(ωact/2+π/2)} −(1/2)(∂C/∂Z){VAVBsin(3ωact/2+π/2)} ・・・(11) ωacをカンチレバー26の共振周波数ω0とすれば、カ
ンチレバー26は次の(12)式で表わされるFesのωac成
分Fesωacにより共振する。
ンチレバー26は次の(12)式で表わされるFesのωac成
分Fesωacにより共振する。
【0017】 Fesωac=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsinωact+(1/4)VB2sin(ωac t−π/2)}・・・(12) したがって、Fesωacによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力信号vは次の(13)式
で表わされる。 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ)+(1/4)VB2sin (ωact−π/2+φ)} =−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ1)+(1/4)VB2sin (ωact+φ2)}・・・(13) ただし、aは比例定数であり、 φ1=φ・・・(14) φ2=−π/2+φ・・・(15) である。φは力Fesωacの位相と、Fesωacにより生ず
るカンチレバー26の共振振動との間の位相差である。
の振動を示すプリアンプ36の出力信号vは次の(13)式
で表わされる。 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ)+(1/4)VB2sin (ωact−π/2+φ)} =−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ1)+(1/4)VB2sin (ωact+φ2)}・・・(13) ただし、aは比例定数であり、 φ1=φ・・・(14) φ2=−π/2+φ・・・(15) である。φは力Fesωacの位相と、Fesωacにより生ず
るカンチレバー26の共振振動との間の位相差である。
【0018】(13)式の括弧の中の第1項は周波数ω0の
第1交流電圧により生ずるカンチレバー26の振動を表
わし、その位相φ1は交流電源29からカンチレバー2
6に印加している第1交流電圧の位相を基準にしてい
る。この位相φ1は交流電源29からロックインアンプ
37に与えられる参照信号を基準としている。(13)式の
括弧の中の第2項は周波数ω0/2の第2交流電圧によ
り生ずるカンチレバー26の振動を表わし、その位相φ
2は交流電源30からカンチレバー26に印加している
第2交流電圧の位相を基準にしている。この位相φ2は
交流電源30からロックインアンプ38に与えられる参
照信号を基準としている。また、第1交流電圧と第2交
流電圧は位相が一致している。ロックインアンプ37、
38はプリアンプ36の出力信号を交流電源29、30
からの参照信号により位相φ1、φ2で位相検波して増
幅する。
第1交流電圧により生ずるカンチレバー26の振動を表
わし、その位相φ1は交流電源29からカンチレバー2
6に印加している第1交流電圧の位相を基準にしてい
る。この位相φ1は交流電源29からロックインアンプ
37に与えられる参照信号を基準としている。(13)式の
括弧の中の第2項は周波数ω0/2の第2交流電圧によ
り生ずるカンチレバー26の振動を表わし、その位相φ
2は交流電源30からカンチレバー26に印加している
第2交流電圧の位相を基準にしている。この位相φ2は
交流電源30からロックインアンプ38に与えられる参
照信号を基準としている。また、第1交流電圧と第2交
流電圧は位相が一致している。ロックインアンプ37、
38はプリアンプ36の出力信号を交流電源29、30
からの参照信号により位相φ1、φ2で位相検波して増
幅する。
【0019】また、asin(ωt+φ)なる交流信号を位
相θでロックインアンプにより位相検波して増幅した時
の出力Vは V=(A/2){cos(−θ+ψ)−cos(−θ+ψ+π)}・・・(16) となる。ただし、Aは比例定数である。ここで、(13)式
を(16)式に当てはめると、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ+φ)−cos(−θ+ φ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ+φ−π /2)−cos(−θ+φ−π/2+π)}・・・(17) となる。
相θでロックインアンプにより位相検波して増幅した時
の出力Vは V=(A/2){cos(−θ+ψ)−cos(−θ+ψ+π)}・・・(16) となる。ただし、Aは比例定数である。ここで、(13)式
を(16)式に当てはめると、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ+φ)−cos(−θ+ φ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ+φ−π /2)−cos(−θ+φ−π/2+π)}・・・(17) となる。
【0020】ここで、ωacをカンチレバー26の機械的
共振周波数ω0と完全に一致させる(ωac=ω0とす
る)と、φ=−π/2である。これを(17)式に代入する
と、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2)−cos(− θ−π/2+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ −π/2−π/2)−cos(−θ−π/2−π/2+π)}・・・(18) となる。
共振周波数ω0と完全に一致させる(ωac=ω0とす
る)と、φ=−π/2である。これを(17)式に代入する
と、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2)−cos(− θ−π/2+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ −π/2−π/2)−cos(−θ−π/2−π/2+π)}・・・(18) となる。
【0021】位相θ=θ1=−π/2でロックインアン
プ37によりプリアンプ36の出力vを検波・増幅すれ
ば、ロックインアンプ37の出力信号V1は(18)式に位
相θ=θ1=−π/2を代入したものとなる。また、位
相θ=θ2=−πでロックインアンプ38によりプリア
ンプ36の出力vを検波・増幅すれば、ロックインアン
プ38の出力信号V2は(18)式に位相θ=θ2=−πを
代入したものとなる。ロックインアンプ37、38の出
力信号V1、V2は次の(19)、(20)で表わされる。
プ37によりプリアンプ36の出力vを検波・増幅すれ
ば、ロックインアンプ37の出力信号V1は(18)式に位
相θ=θ1=−π/2を代入したものとなる。また、位
相θ=θ2=−πでロックインアンプ38によりプリア
ンプ36の出力vを検波・増幅すれば、ロックインアン
プ38の出力信号V2は(18)式に位相θ=θ2=−πを
代入したものとなる。ロックインアンプ37、38の出
力信号V1、V2は次の(19)、(20)で表わされる。
【0022】 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA・・・(19) V2=−(1/4)A2(∂C/∂Z)VB2・・・(20) ここで、A1、A2は比例定数である。以上のように(1
3)式の括弧内の第1項と第2項の振幅をロックインアン
プ37、38で分離することができる。ロックインアン
プ37の出力V1は積分器39により積分されて加算器
31に上記直流電圧Vbとして入力されてV1が0にな
るようにVbが制御され、(∂C/∂Z)に関係なくVbの
値から試料26の表面電位が測定できる。
3)式の括弧内の第1項と第2項の振幅をロックインアン
プ37、38で分離することができる。ロックインアン
プ37の出力V1は積分器39により積分されて加算器
31に上記直流電圧Vbとして入力されてV1が0にな
るようにVbが制御され、(∂C/∂Z)に関係なくVbの
値から試料26の表面電位が測定できる。
【0023】ロックインアンプ38の出力V2は、比較
器40により基準電圧源41の基準電圧と比較され、そ
の比較結果が積分器42により積分される。Z軸アクチ
ュエータ43は積分器42の出力信号により試料28を
駆動し、V2が一定になるように試料28と探針27と
の間の距離が制御される。したがって、トポ像(Z軸ア
クチュエータ43の制御電圧から得られる像)は(∂C
/∂Z)が一定の像となる。試料28の絶縁膜の容量が
探針27先端と試料28の表面との間の容量より十分に
大きければ、トポ像は試料28の表面形状を示す。この
ようにして試料28の表面電位と表面形状を同時に測定
することができる。
器40により基準電圧源41の基準電圧と比較され、そ
の比較結果が積分器42により積分される。Z軸アクチ
ュエータ43は積分器42の出力信号により試料28を
駆動し、V2が一定になるように試料28と探針27と
の間の距離が制御される。したがって、トポ像(Z軸ア
クチュエータ43の制御電圧から得られる像)は(∂C
/∂Z)が一定の像となる。試料28の絶縁膜の容量が
探針27先端と試料28の表面との間の容量より十分に
大きければ、トポ像は試料28の表面形状を示す。この
ようにして試料28の表面電位と表面形状を同時に測定
することができる。
【0024】また、上記力顕微鏡では、カンチレバーの
振動を検出する方法としてカンチレバーの曲がり傾斜角
度を検出する光てこ法を用いたが、カンチレバーの振動
時の変位を検出する光干渉法、カンチレバー背後に設け
た電極とカンチレバーとの間に流れるトンネル電流を検
出するトンネル電流法、カンチレバー振動時の速度を検
出するヘテロダイン光干渉法などを用いたものもある。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプローブと
なるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位置)
はカンチレバーの先端に設定されている。
振動を検出する方法としてカンチレバーの曲がり傾斜角
度を検出する光てこ法を用いたが、カンチレバーの振動
時の変位を検出する光干渉法、カンチレバー背後に設け
た電極とカンチレバーとの間に流れるトンネル電流を検
出するトンネル電流法、カンチレバー振動時の速度を検
出するヘテロダイン光干渉法などを用いたものもある。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプローブと
なるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位置)
はカンチレバーの先端に設定されている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上記図7に示す力顕微
鏡では、(7)式において、ΔAは(∂2C/∂Z2)と(V
s+Voff)の関数になっているが、Aω=0となるよう
にVoffを電圧フィードバック回路23で制御すること
により、Vs+Voff=0となり、ΔAは(∂2C/∂Z
2)のみの関数となる。これにより、試料13の表面形
状を測定できるとしているが、実際はAω=0とする帰
還には遅れがあり、Vs+Voff=0が成り立たない時間
がある。したがって、試料13の表面形状の測定結果に
対する干渉が実際には存在する。
鏡では、(7)式において、ΔAは(∂2C/∂Z2)と(V
s+Voff)の関数になっているが、Aω=0となるよう
にVoffを電圧フィードバック回路23で制御すること
により、Vs+Voff=0となり、ΔAは(∂2C/∂Z
2)のみの関数となる。これにより、試料13の表面形
状を測定できるとしているが、実際はAω=0とする帰
還には遅れがあり、Vs+Voff=0が成り立たない時間
がある。したがって、試料13の表面形状の測定結果に
対する干渉が実際には存在する。
【0026】しかし、この力顕微鏡の測定対象は、異種
金属間の接触電位差やLB(Langmuri Blodgett)上の表
面電位分布であり、表面電位がせいぜい100mV程度
の分布しかない。したがって、帰還の遅れにより、Vs
+Voff=100mVであったとしても、(Vs+Voff)
2は0.01V2である。一方、VACは通常5V程度で
あるから、VAC2/2=12.5[V2]である。VACは
一定であるから、(Vs+Voff)によるΔAの変動は、
0.1/12.5=0.08%であり、ほとんど問題に
ならない。
金属間の接触電位差やLB(Langmuri Blodgett)上の表
面電位分布であり、表面電位がせいぜい100mV程度
の分布しかない。したがって、帰還の遅れにより、Vs
+Voff=100mVであったとしても、(Vs+Voff)
2は0.01V2である。一方、VACは通常5V程度で
あるから、VAC2/2=12.5[V2]である。VACは
一定であるから、(Vs+Voff)によるΔAの変動は、
0.1/12.5=0.08%であり、ほとんど問題に
ならない。
【0027】ところが、この力顕微鏡により、電子写真
装置に用いられる感光体の表面電位分布を測定する場合
は事情が異なる。感光体の表面電位は通常1000V程
度であり、感光体の電位分布(測定領域中の表面電位の
範囲)も数百Vは存在する。したがって、帰還の遅れに
よる(Vs+Voff)の値も従来の試料の表面電位を測定す
る場合よりも大きくなる。仮に、帰還による遅れで(Vs
+Voff)が1000Vの1/100の10Vであったと
しよう。
装置に用いられる感光体の表面電位分布を測定する場合
は事情が異なる。感光体の表面電位は通常1000V程
度であり、感光体の電位分布(測定領域中の表面電位の
範囲)も数百Vは存在する。したがって、帰還の遅れに
よる(Vs+Voff)の値も従来の試料の表面電位を測定す
る場合よりも大きくなる。仮に、帰還による遅れで(Vs
+Voff)が1000Vの1/100の10Vであったと
しよう。
【0028】この時、(Vs+Voff)2=100[V2]と
なり、VAC2/2=12.5[V2]の8倍になってしま
う。したがって、試料の表面電位の測定結果に対する干
渉が大きく、トポ像の測定結果に対しても無視できない
測定誤差となる。これを解決する手段としては、VACを
大きくすることが考えられる。例えば、(Vs+Voff) 2
/(VAC2/2)=0.1%とするためには、VAC=4
47Vにしなければならない。一方、試料の表面電位分
布を少なくとも数十μmの分解能で測定するためには、
試料18の表面と探針13との間の距離を数十μm以下
にしなければならない。したがって、交流電源16から
探針13に印加する交流電圧が数百Vになると、探針1
3と試料18の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
となる。
なり、VAC2/2=12.5[V2]の8倍になってしま
う。したがって、試料の表面電位の測定結果に対する干
渉が大きく、トポ像の測定結果に対しても無視できない
測定誤差となる。これを解決する手段としては、VACを
大きくすることが考えられる。例えば、(Vs+Voff) 2
/(VAC2/2)=0.1%とするためには、VAC=4
47Vにしなければならない。一方、試料の表面電位分
布を少なくとも数十μmの分解能で測定するためには、
試料18の表面と探針13との間の距離を数十μm以下
にしなければならない。したがって、交流電源16から
探針13に印加する交流電圧が数百Vになると、探針1
3と試料18の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
となる。
【0029】以上のように上記力顕微鏡により高電圧な
表面電位分布を測定する場合には今まで無視できた誤差
が大きくなり、大きな問題となる。また、上記力顕微鏡
では、交流電源16から試料13に印加する交流電圧の
周波数はカンチレバー11の共振周波数の1/2以下に
している。従って、カンチレバー11は交流電源16か
ら試料13に交流電圧が印加されても共振振動を生じな
いので、その振動振幅は共振を使用した場合に比べて著
しく小さくて感度が悪い。
表面電位分布を測定する場合には今まで無視できた誤差
が大きくなり、大きな問題となる。また、上記力顕微鏡
では、交流電源16から試料13に印加する交流電圧の
周波数はカンチレバー11の共振周波数の1/2以下に
している。従って、カンチレバー11は交流電源16か
ら試料13に交流電圧が印加されても共振振動を生じな
いので、その振動振幅は共振を使用した場合に比べて著
しく小さくて感度が悪い。
【0030】そこで、交流電源16から試料13に印加
する交流電圧の周波数を、カンチレバー11を圧電素子
14で機械的に加振して共振させている共振周波数に設
定すると、受光素子20の出力信号からロックインアン
プ21,22でカンチレバー11の交流電圧による振動
と機械的加振による振動の各成分を分離することができ
ず、試料13の表面電位と表面形状を独立に測定するこ
とができない。
する交流電圧の周波数を、カンチレバー11を圧電素子
14で機械的に加振して共振させている共振周波数に設
定すると、受光素子20の出力信号からロックインアン
プ21,22でカンチレバー11の交流電圧による振動
と機械的加振による振動の各成分を分離することができ
ず、試料13の表面電位と表面形状を独立に測定するこ
とができない。
【0031】また、図9に示す上記力顕微鏡では、交流
電源29から出力される交流電圧の周波数ωacをカンチ
レバー26の機械的共振周波数ω0と完全に一致させて
いる。したがって、φ=−π/2となるので、ロックイ
ンアンプ37により位相θ=−π/2でプリアンプ36
の出力信号vを位相検波して増幅し、ロックインアンプ
38により位相θ=−πでプリアンプ36の出力信号v
を位相検波して増幅すれば、(13)式の括弧内の第1項と
第2項の振幅を(17)、(18)に示すように分離して得るこ
とができる。ところが、カンチレバー26の機械的共振
周波数ω0は測定を何回か行っている間に周囲の気温や
湿度、気圧などの影響により少しづつずれてくる。しか
し、交流電源29から出力される交流電圧の周波数ωac
は、安定しているので、変化しない。したがって、ω0
とωacとは一致しなくなってくる。
電源29から出力される交流電圧の周波数ωacをカンチ
レバー26の機械的共振周波数ω0と完全に一致させて
いる。したがって、φ=−π/2となるので、ロックイ
ンアンプ37により位相θ=−π/2でプリアンプ36
の出力信号vを位相検波して増幅し、ロックインアンプ
38により位相θ=−πでプリアンプ36の出力信号v
を位相検波して増幅すれば、(13)式の括弧内の第1項と
第2項の振幅を(17)、(18)に示すように分離して得るこ
とができる。ところが、カンチレバー26の機械的共振
周波数ω0は測定を何回か行っている間に周囲の気温や
湿度、気圧などの影響により少しづつずれてくる。しか
し、交流電源29から出力される交流電圧の周波数ωac
は、安定しているので、変化しない。したがって、ω0
とωacとは一致しなくなってくる。
【0032】また、カンチレバー26の振動は共振点付
近ではカンチレバー26の機械的共振周波数のずれに対
する位相の変化が非常に大きい。従って、カンチレバー
26の共振点のずれにより、φの−π/2からの差が無
視し得ないものとなる。一方、ロックインアンプ37、
38において位相検波を行う位相は測定当初に設定した
θ1=−π/2、θ2=−πのままである。したがっ
て、(17)、(18)式のように(13)式の括弧内の第1項と第
2項の振幅を分離できなくなる。
近ではカンチレバー26の機械的共振周波数のずれに対
する位相の変化が非常に大きい。従って、カンチレバー
26の共振点のずれにより、φの−π/2からの差が無
視し得ないものとなる。一方、ロックインアンプ37、
38において位相検波を行う位相は測定当初に設定した
θ1=−π/2、θ2=−πのままである。したがっ
て、(17)、(18)式のように(13)式の括弧内の第1項と第
2項の振幅を分離できなくなる。
【0033】例えば、ω0=ωacが成り立たなくなって
φ=−π/2+Δφとなったとしよう。この時、Vは次
の(21)式で表わされる。 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2+Δφ)−cos (−θ−π/2+Δφ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos (−θ−π/2+Δφ−π/2)−cos(−θ−π/2+Δφ−π/2+π)} ・・・(21) ここで、θ=θ1=−π/2の時のロックインアンプ3
7の出力V1及びθ=θ2=−πの時のロックインアン
プ38の出力V2はそれぞれ V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAcos(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2sin(Δφ)・・・(22) V2=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAsin(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2cos(Δφ)・・・(23) となる。
φ=−π/2+Δφとなったとしよう。この時、Vは次
の(21)式で表わされる。 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2+Δφ)−cos (−θ−π/2+Δφ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos (−θ−π/2+Δφ−π/2)−cos(−θ−π/2+Δφ−π/2+π)} ・・・(21) ここで、θ=θ1=−π/2の時のロックインアンプ3
7の出力V1及びθ=θ2=−πの時のロックインアン
プ38の出力V2はそれぞれ V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAcos(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2sin(Δφ)・・・(22) V2=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAsin(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2cos(Δφ)・・・(23) となる。
【0034】(22)、(23)から分かるように、Δφ≠0で
あるために、(13)式の括弧内の第1項と第2項の振幅は
分離されず、表面電位測定信号であるV1には表面形状
を測定するための(13)式の括弧内の第2項の振幅が混入
している。また、表面形状測定信号であるV2には表面
電位を測定するための(13)式の括弧内の第1項の振幅が
混入している。すなわち、試料の表面電位が表面形状の
測定結果に混入・干渉し、試料の表面形状が表面電位の
測定結果に混入・干渉する。このようにカンチレバー2
6の共振周波数であるω0が、周囲の気温や湿度、気圧
などの影響によりわずかに変動することにより、試料の
表面電位と表面形状の測定結果が互いに干渉し、無視で
きない誤差となって現われてくる。
あるために、(13)式の括弧内の第1項と第2項の振幅は
分離されず、表面電位測定信号であるV1には表面形状
を測定するための(13)式の括弧内の第2項の振幅が混入
している。また、表面形状測定信号であるV2には表面
電位を測定するための(13)式の括弧内の第1項の振幅が
混入している。すなわち、試料の表面電位が表面形状の
測定結果に混入・干渉し、試料の表面形状が表面電位の
測定結果に混入・干渉する。このようにカンチレバー2
6の共振周波数であるω0が、周囲の気温や湿度、気圧
などの影響によりわずかに変動することにより、試料の
表面電位と表面形状の測定結果が互いに干渉し、無視で
きない誤差となって現われてくる。
【0035】従来、力顕微鏡では、図10(a)に示す
ように棒11の片端を固定して棒44の他端を自由にし
た場合の棒(カンチレバー)44の横振動を利用し、カ
ンチレバー44の一次共振させて試料の表面状態(表面
電位や表面形状)を測定している。図10(b)、
(c)、(d)はカンチレバー44の一次、二次及び三
次の共振状態における各振動モードを示す。カンチレバ
ー44の長さを1とした場合、二次及び三次の共振状態
におけるカンチレバー44の節の位置を図10(c)、
(d)に示す。
ように棒11の片端を固定して棒44の他端を自由にし
た場合の棒(カンチレバー)44の横振動を利用し、カ
ンチレバー44の一次共振させて試料の表面状態(表面
電位や表面形状)を測定している。図10(b)、
(c)、(d)はカンチレバー44の一次、二次及び三
次の共振状態における各振動モードを示す。カンチレバ
ー44の長さを1とした場合、二次及び三次の共振状態
におけるカンチレバー44の節の位置を図10(c)、
(d)に示す。
【0036】従来、力顕微鏡は一般にカンチレバーの一
次共振を利用して試料の表面状態(表面電位や表面形
状)を測定している。カンチレバーの振動を検出する方
法としては、カンチレバーの曲がり傾斜角度を検出する
光てこ法、カンチレバーの振動時の変位を検出する光干
渉法、カンチレバー背後に設けた電極とカンチレバーと
の間に流れるトンネル電流を検出するトンネル電流法、
カンチレバー振動時の速度を検出するヘテロダイン光干
渉法などがある。
次共振を利用して試料の表面状態(表面電位や表面形
状)を測定している。カンチレバーの振動を検出する方
法としては、カンチレバーの曲がり傾斜角度を検出する
光てこ法、カンチレバーの振動時の変位を検出する光干
渉法、カンチレバー背後に設けた電極とカンチレバーと
の間に流れるトンネル電流を検出するトンネル電流法、
カンチレバー振動時の速度を検出するヘテロダイン光干
渉法などがある。
【0037】カンチレバーの一次共振を利用する場合、
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
はカンチレバーの先端において最も大きい。したがっ
て、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプロー
ブとなるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位
置)はカンチレバーの先端に設定されている。カンチレ
バーの振動を検出する際の感度やS/N比を考えた場
合、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大となる位置においてこれら曲がり傾斜角度、
変位、速度を検出するのが最も有利である。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
はカンチレバーの先端において最も大きい。したがっ
て、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプロー
ブとなるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位
置)はカンチレバーの先端に設定されている。カンチレ
バーの振動を検出する際の感度やS/N比を考えた場
合、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大となる位置においてこれら曲がり傾斜角度、
変位、速度を検出するのが最も有利である。
【0038】しかし、上記図9に示す力顕微鏡のように
カンチレバーの高次共振を利用して試料の表面状態(表
面電位や表面形状)を測定する場合には、図10
(c)、(d)からも分かるように、必ずしもカンチレ
バーの先端において振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大になるものではない。したがって、カンチレ
バーの先端で振動による曲がり傾斜角度、変位、速度を
検出すると、必ずしも感度やS/N比の点で有利な測定
を行っていることにはならない。
カンチレバーの高次共振を利用して試料の表面状態(表
面電位や表面形状)を測定する場合には、図10
(c)、(d)からも分かるように、必ずしもカンチレ
バーの先端において振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大になるものではない。したがって、カンチレ
バーの先端で振動による曲がり傾斜角度、変位、速度を
検出すると、必ずしも感度やS/N比の点で有利な測定
を行っていることにはならない。
【0039】また、力顕微鏡において、カンチレバーの
非共振、一次共振、及び高次共振の内の少なくとも2つ
を利用する場合、カンチレバーはそれぞれの振動を重畳
した振動を示す。一方、カンチレバーの振動信号は、通
常ロックインアンプに入力される。ロックインアンプは
入力信号の中から参照信号の周波数成分のみをフィルタ
リングして増幅する狭帯域アンプと考えられる。このロ
ックインアンプは、複数の周波数成分を持つカンチレバ
ー振動信号から測定したい振動周波数成分と同じ周波数
の参照信号が入力され、ロックインアンプにて複数の周
波数成分を持つカンチレバー振動信号から他の周波数成
分を分離して所望の振動周波数成分のみを抽出し増幅す
る。
非共振、一次共振、及び高次共振の内の少なくとも2つ
を利用する場合、カンチレバーはそれぞれの振動を重畳
した振動を示す。一方、カンチレバーの振動信号は、通
常ロックインアンプに入力される。ロックインアンプは
入力信号の中から参照信号の周波数成分のみをフィルタ
リングして増幅する狭帯域アンプと考えられる。このロ
ックインアンプは、複数の周波数成分を持つカンチレバ
ー振動信号から測定したい振動周波数成分と同じ周波数
の参照信号が入力され、ロックインアンプにて複数の周
波数成分を持つカンチレバー振動信号から他の周波数成
分を分離して所望の振動周波数成分のみを抽出し増幅す
る。
【0040】例えば、カンチレバー振動信号に異なる周
波数を持つ2つの信号があって、これをロックインアン
プにより分離して検出する場合、片方の信号(以下A信
号と呼ぶ)にとって他の信号(以下B信号と呼ぶ)はノ
イズとなる。したがって、A信号にとってはB信号は小
さい程良いのであるが、そのような状態になると、B信
号にとってノイズとなるA信号が非常に多い信号の中か
らB信号をフィルタリングして増幅しなければならず、
B信号の分離・増幅にとって非常に不利になる。このよ
うなことをなくすためには、カンチレバーの振動信号に
おけるA信号とB信号の振幅がほぼ等しい状態にあるこ
とが必要である。
波数を持つ2つの信号があって、これをロックインアン
プにより分離して検出する場合、片方の信号(以下A信
号と呼ぶ)にとって他の信号(以下B信号と呼ぶ)はノ
イズとなる。したがって、A信号にとってはB信号は小
さい程良いのであるが、そのような状態になると、B信
号にとってノイズとなるA信号が非常に多い信号の中か
らB信号をフィルタリングして増幅しなければならず、
B信号の分離・増幅にとって非常に不利になる。このよ
うなことをなくすためには、カンチレバーの振動信号に
おけるA信号とB信号の振幅がほぼ等しい状態にあるこ
とが必要である。
【0041】一方、図10に示すように例えば、一次共
振振動によるカンチレバーの振動による曲がり傾斜角
度、変位、速度が最大になる位置は、必ずしも高次の共
振振動によるカンチレバーの曲がり傾斜角度、変位、速
度が最大になる位置とは限らない。したがって、2つの
周波数の振動振幅ががほぼ等しくならないことが多い。
これらの振動振幅を同程度にするためには、2つの信号
の内、振幅が小さい方の振動を生じさせている力、例え
ば静電引力を大きくするという方法をとればよい。しか
し、静電引力を大きくするためには、カンチレバー先端
の探針と試料の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
になる。したがって、このような方法では、必ずしも異
なる周波数の振動振幅を同程度にすることはできない。
振振動によるカンチレバーの振動による曲がり傾斜角
度、変位、速度が最大になる位置は、必ずしも高次の共
振振動によるカンチレバーの曲がり傾斜角度、変位、速
度が最大になる位置とは限らない。したがって、2つの
周波数の振動振幅ががほぼ等しくならないことが多い。
これらの振動振幅を同程度にするためには、2つの信号
の内、振幅が小さい方の振動を生じさせている力、例え
ば静電引力を大きくするという方法をとればよい。しか
し、静電引力を大きくするためには、カンチレバー先端
の探針と試料の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
になる。したがって、このような方法では、必ずしも異
なる周波数の振動振幅を同程度にすることはできない。
【0042】本発明は、測定結果に対する干渉を除去し
て測定誤差を大幅に減少させることができ、測定を精度
良く安定して行うことができ、感度やS/N比を向上さ
せることができて測定物の表面電位と表面形状を独立に
測定することができ、かつ、異なる周波数の振動振幅の
検出に対する感度やS/N比を向上させることができる
表面電位計及び形状測定器、力顕微鏡を提供することを
目的とする。
て測定誤差を大幅に減少させることができ、測定を精度
良く安定して行うことができ、感度やS/N比を向上さ
せることができて測定物の表面電位と表面形状を独立に
測定することができ、かつ、異なる周波数の振動振幅の
検出に対する感度やS/N比を向上させることができる
表面電位計及び形状測定器、力顕微鏡を提供することを
目的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、測定物に対向配置される導
電性探針を先端部に設けたバネを、前記測定物と前記バ
ネとの間に作用する静電引力により変形させ、該バネの
変形により前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力を検出して前記測定物の電位と形状の何れか一方或
いは両方を測定するようにした表面電位計及び形状測定
器において、前記バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、前記バネの一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させ
た電圧を前記導電性探針に印加する電圧印加手段と、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅か
ら前記測定物の電位を測定する表面電位測定手段と、前
記第2交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第2振動の振幅か
ら前記測定物の形状を測定する形状測定手段とを備えた
ものである。
め、請求項1記載の発明は、測定物に対向配置される導
電性探針を先端部に設けたバネを、前記測定物と前記バ
ネとの間に作用する静電引力により変形させ、該バネの
変形により前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力を検出して前記測定物の電位と形状の何れか一方或
いは両方を測定するようにした表面電位計及び形状測定
器において、前記バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、前記バネの一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させ
た電圧を前記導電性探針に印加する電圧印加手段と、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅か
ら前記測定物の電位を測定する表面電位測定手段と、前
記第2交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第2振動の振幅か
ら前記測定物の形状を測定する形状測定手段とを備えた
ものである。
【0044】請求項2記載の発明は、請求項1記載の表
面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加手段が
前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交流電圧
と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前記第1
交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静
電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が零もし
くは一定値になるように前記直流電圧を可変する電位制
御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段と、前
記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変するアク
チュエータを有し前記第2交流電圧による前記導電性探
針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネ
の第2振動の振幅が一定値になるように前記アクチュエ
ータを制御して前記測定物と前記導電性探針との間の距
離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエータの変
位量を測定する変位量測定手段とを備えたものである。
面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加手段が
前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交流電圧
と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前記第1
交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静
電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が零もし
くは一定値になるように前記直流電圧を可変する電位制
御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段と、前
記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変するアク
チュエータを有し前記第2交流電圧による前記導電性探
針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネ
の第2振動の振幅が一定値になるように前記アクチュエ
ータを制御して前記測定物と前記導電性探針との間の距
離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエータの変
位量を測定する変位量測定手段とを備えたものである。
【0045】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性
探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印加し、
前記導電性探針の電位を基準電位としたものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性
探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印加し、
前記導電性探針の電位を基準電位としたものである。
【0046】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、交流電圧と
直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流電圧と
前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つを前記
導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に印加す
る電圧印加手段を有するものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、交流電圧と
直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流電圧と
前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つを前記
導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に印加す
る電圧印加手段を有するものである。
【0047】請求項5記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記第1交
流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2
つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを前記導
電性探針に印加する電圧印加手段を有するものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記第1交
流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2
つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを前記導
電性探針に印加する電圧印加手段を有するものである。
【0048】
【作用】請求項1記載の発明では、板バネの先端部に設
けられた探針が測定物に対向し、板バネはその共振周波
数により振動する。探針に働く力により板バネの高次共
振振動状態が変化することが光てこ法により検出される
ことで探針に働く力が検出され、光てこ法の光は板バネ
が高次共振する時の節に照射される。
けられた探針が測定物に対向し、板バネはその共振周波
数により振動する。探針に働く力により板バネの高次共
振振動状態が変化することが光てこ法により検出される
ことで探針に働く力が検出され、光てこ法の光は板バネ
が高次共振する時の節に照射される。
【0049】請求項2記載の発明では、板バネの先端部
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが光てこ法により検出されることで探針に働く力
が検出され、光てこ法の光は板バネの複数の振動による
各曲がり角が等しくなる板バネ上の位置に照射される。
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが光てこ法により検出されることで探針に働く力
が検出され、光てこ法の光は板バネの複数の振動による
各曲がり角が等しくなる板バネ上の位置に照射される。
【0050】請求項3記載の発明では、板バネの先端部
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその高次
共振周波数により振動する。板バネの振動状態における
変位を測定するための振動変位測定手段により板バネの
振動状態が検出され、探針に働く力による振動状態の変
化から探針に働く力が検出され、振動変位測定手段の測
定点は板バネが高次共振する時の腹となる。
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその高次
共振周波数により振動する。板バネの振動状態における
変位を測定するための振動変位測定手段により板バネの
振動状態が検出され、探針に働く力による振動状態の変
化から探針に働く力が検出され、振動変位測定手段の測
定点は板バネが高次共振する時の腹となる。
【0051】請求項4記載の発明では、板バネの先端部
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが振動変位測定手段により検出されることで探針
に働く力が検出され、振動変位測定手段の測定点は板バ
ネの複数の振動の各振幅が等しくなる板バネ上の位置と
なる。
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが振動変位測定手段により検出されることで探針
に働く力が検出され、振動変位測定手段の測定点は板バ
ネの複数の振動の各振幅が等しくなる板バネ上の位置と
なる。
【0052】請求項5記載の発明では、板バネの先端部
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその高次
共振周波数により振動する。振動状態における板バネの
振動速度を測定するための振動速度測定手段により板バ
ネの振動状態が検出され、探針に働く力による振動状態
の変化から探針に働く力が検出され、振動速度測定手段
の測定点は板バネが高次共振する時の腹となる。
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその高次
共振周波数により振動する。振動状態における板バネの
振動速度を測定するための振動速度測定手段により板バ
ネの振動状態が検出され、探針に働く力による振動状態
の変化から探針に働く力が検出され、振動速度測定手段
の測定点は板バネが高次共振する時の腹となる。
【0053】請求項6記載の発明では、板バネの先端部
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが振動速度測定手段により検出されることで探針
に働く力が検出され、振動速度測定手段の測定点は板バ
ネの複数の振動による各振動速度が等しくなる板バネ上
の位置となる。
に設けられた探針が測定物に対向し、板バネはその非共
振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の
何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動す
る。探針に働く力により複数の振動の状態が各々変化す
ることが振動速度測定手段により検出されることで探針
に働く力が検出され、振動速度測定手段の測定点は板バ
ネの複数の振動による各振動速度が等しくなる板バネ上
の位置となる。
【0054】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す。この第1
実施例は、請求項1、2記載の発明の実施例であり、表
面電位計及び形状測定器としての力顕微鏡の例を示す。
第1実施例では、前述した図7に示す力顕微鏡におい
て、交流電源16からのカンチレバー11の非共振周波
数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電源17からの直
流オフセット電圧Voffとを重畳した電圧がカンチレバ
ー11に印加されて試料13のベースとなる導電性基板
18が基準電位の接地点に接続されることによりカンチ
レバー11の先端の探針12と試料13の表面との間に
静電引力が発生し、この静電引力によりカンチレバー1
1に周波数ωの振動が生ずる。圧電素子14は絶縁体5
1を介してカンチレバー11に固定されてカンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
実施例は、請求項1、2記載の発明の実施例であり、表
面電位計及び形状測定器としての力顕微鏡の例を示す。
第1実施例では、前述した図7に示す力顕微鏡におい
て、交流電源16からのカンチレバー11の非共振周波
数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電源17からの直
流オフセット電圧Voffとを重畳した電圧がカンチレバ
ー11に印加されて試料13のベースとなる導電性基板
18が基準電位の接地点に接続されることによりカンチ
レバー11の先端の探針12と試料13の表面との間に
静電引力が発生し、この静電引力によりカンチレバー1
1に周波数ωの振動が生ずる。圧電素子14は絶縁体5
1を介してカンチレバー11に固定されてカンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
【0055】探針12と試料13の表面との電位差を測
定した結果であるロックインアンプ21の出力信号Aω
は、自乗器52により自乗されてAω2となった後に、
ゲインがαであるアンプ53により増幅されてαAω2
となる。このアンプ53は補正手段として用いられ、α
が補正係数となる。ロックインアンプ22の出力信号A
ωrは加算器54によりアンプ53の出力信号αAω2
が加算されて(Aωr+αAω2)となり、この(Aωr+
αAω2)がZサーボ回路24に入力される。Zサーボ
回路24は加算器54の出力信号によりZ軸アクチュエ
ータを制御して探針12と試料13の表面との間の距離
を一定に保ち、Zサーボ回路24のZ軸アクチュエータ
制御量から試料13の表面形状を測定する。
定した結果であるロックインアンプ21の出力信号Aω
は、自乗器52により自乗されてAω2となった後に、
ゲインがαであるアンプ53により増幅されてαAω2
となる。このアンプ53は補正手段として用いられ、α
が補正係数となる。ロックインアンプ22の出力信号A
ωrは加算器54によりアンプ53の出力信号αAω2
が加算されて(Aωr+αAω2)となり、この(Aωr+
αAω2)がZサーボ回路24に入力される。Zサーボ
回路24は加算器54の出力信号によりZ軸アクチュエ
ータを制御して探針12と試料13の表面との間の距離
を一定に保ち、Zサーボ回路24のZ軸アクチュエータ
制御量から試料13の表面形状を測定する。
【0056】次に本実施例の動作を説明する。探針12
の先端と試料13の表面との間の距離をZ、探針12の
先端の曲率半径をRとすると、Z<Rの場合、探針12
の先端と試料13の表面との間の静電容量CのZに関し
ての微係数∂C/∂Zは次の(24)式で表わされる。 (∂C/∂Z)=πε0R/Z・・・(24) これを(8)式に代入すると、ω成分の振幅Aωは次の(2
5)式で表わされる。
の先端と試料13の表面との間の距離をZ、探針12の
先端の曲率半径をRとすると、Z<Rの場合、探針12
の先端と試料13の表面との間の静電容量CのZに関し
ての微係数∂C/∂Zは次の(24)式で表わされる。 (∂C/∂Z)=πε0R/Z・・・(24) これを(8)式に代入すると、ω成分の振幅Aωは次の(2
5)式で表わされる。
【0057】 Aω=(πε0R/Z)(Vs+Voff)VAC・・・(25) したがって、自乗器52の出力信号Aω2は次の(26)式
で表わされる。 Aω2=(πε0R)2{(Vs+Voff)2/Z2}VAC2・・・(26) ここで、π、ε0、R、VACは定数である。したがっ
て、Aω2はVs、Voff、Zの関数となる。
で表わされる。 Aω2=(πε0R)2{(Vs+Voff)2/Z2}VAC2・・・(26) ここで、π、ε0、R、VACは定数である。したがっ
て、Aω2はVs、Voff、Zの関数となる。
【0058】一方、静電容量CのZに関しての2階の微
係数∂2C/∂Z2は次の(27)式で表わされる。 ∂2C/∂Z2=πε0R/Z2・・・(27) これにより、ωr成分の振幅減少分であるΔAは次の(2
8)式で表わされる。 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2)(πε0R/Z2){(Vs+Voff)2 +VAC2/2}] =−{A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/Z2}−{A0Q πε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)・・・(28) ここで、A0、Q、Kは定数であり、αは次の(29)式の
ように設定する。
係数∂2C/∂Z2は次の(27)式で表わされる。 ∂2C/∂Z2=πε0R/Z2・・・(27) これにより、ωr成分の振幅減少分であるΔAは次の(2
8)式で表わされる。 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2)(πε0R/Z2){(Vs+Voff)2 +VAC2/2}] =−{A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/Z2}−{A0Q πε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)・・・(28) ここで、A0、Q、Kは定数であり、αは次の(29)式の
ように設定する。
【0059】 α={A0Q/(K・3√3)}{1/(VAC2πε0R)}・・・(29) アンプ53の出力信号αAω2は次の(30)式のように設
定する。 αAω2={A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/Z2}・・・(30) したがって、Zサーボ回路24への入力信号(Aωr+α
Aω2)は次の(31)式で表わされる。
定する。 αAω2={A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/Z2}・・・(30) したがって、Zサーボ回路24への入力信号(Aωr+α
Aω2)は次の(31)式で表わされる。
【0060】 Aωr+αAω2=A0+ΔA+αAω2 =A0−{A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/ Z2}−{A0Qπε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)+ {A0Qπε0R/(K・3√3)}{(Vs+Voff)2/Z2} =A0−{A0Qπε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)・・(31) ここで、Zサーボ回路24への入力信号の自由振動時の
振幅からの減少分を新たにΔArとすると、(31)式より
ΔArは ΔAr=−{A0Qπε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)・・・(32) となる。この(32)式においてはZ以外は全て定数であ
る。
振幅からの減少分を新たにΔArとすると、(31)式より
ΔArは ΔAr=−{A0Qπε0R/(K・6√3)}(VAC2/Z2)・・・(32) となる。この(32)式においてはZ以外は全て定数であ
る。
【0061】したがって、(Vs+Voff)によりΔArが
変化することはない。Zサーボ回路24はΔArを一定
にするようにZ軸アクチュエータを制御するから、その
制御量から測定した試料13の表面形状測定結果は試料
13の表面電位による誤差を含まない。すなわち、試料
13の表面電位の表面形状測定結果に対する干渉を消去
することができ、試料13の表面形状測定結果の誤差を
大幅に減少させることができる。
変化することはない。Zサーボ回路24はΔArを一定
にするようにZ軸アクチュエータを制御するから、その
制御量から測定した試料13の表面形状測定結果は試料
13の表面電位による誤差を含まない。すなわち、試料
13の表面電位の表面形状測定結果に対する干渉を消去
することができ、試料13の表面形状測定結果の誤差を
大幅に減少させることができる。
【0062】このように、第1実施例は、請求項1記載
の発明の実施例であって、測定物13に対向配置される
導電性探針12を先端部に設けたバネとしてのカンチレ
バー11を、該バネ11に機械的に結合したアクチュエ
ータとしての圧電素子14によりバネ11の機械的共振
周波数で加振してバネに第1振動を生じさせ、導電性探
針12に交流電圧を印加することにより導電性探針12
と測定物13との間に静電引力を生じさせて該静電引力
によりバネに第2振動を生じさせ、第1振動の振幅の減
少から導電性探針12と測定物13の表面との間の距離
を測定し、第2振動から測定物13の表面電位を測定す
る表面電位計及び形状測定器を構成する力顕微鏡におい
て、第2振動状態から、第1振動より測定した導電性探
針12と測定物13の表面との間の距離の測定結果を補
正する補正手段としての自乗器52、アンプ53及び加
算器54を備えたので、測定物表面電位の測定物表面形
状測定結果に対する干渉を除去することができ、測定物
表面形状測定結果の誤差を大幅に減少させることができ
る。
の発明の実施例であって、測定物13に対向配置される
導電性探針12を先端部に設けたバネとしてのカンチレ
バー11を、該バネ11に機械的に結合したアクチュエ
ータとしての圧電素子14によりバネ11の機械的共振
周波数で加振してバネに第1振動を生じさせ、導電性探
針12に交流電圧を印加することにより導電性探針12
と測定物13との間に静電引力を生じさせて該静電引力
によりバネに第2振動を生じさせ、第1振動の振幅の減
少から導電性探針12と測定物13の表面との間の距離
を測定し、第2振動から測定物13の表面電位を測定す
る表面電位計及び形状測定器を構成する力顕微鏡におい
て、第2振動状態から、第1振動より測定した導電性探
針12と測定物13の表面との間の距離の測定結果を補
正する補正手段としての自乗器52、アンプ53及び加
算器54を備えたので、測定物表面電位の測定物表面形
状測定結果に対する干渉を除去することができ、測定物
表面形状測定結果の誤差を大幅に減少させることができ
る。
【0063】また、第1実施例は、請求項2記載の発明
の実施例であって、請求項1記載の表面電位計及び形状
測定器において、補正手段としての自乗器52、アンプ
53及び加算器54は、第2振動の交流電圧周波数成分
の振幅Aωの自乗Aω2と補正係数αの積αAω2を第
1振動振幅Aωrに加算することにより導電性探針12
と測定物13の表面との間の距離の測定結果を補正する
ので、測定物表面電位の測定物表面形状測定結果に対す
る干渉を除去することができ、測定物表面形状測定結果
の誤差を大幅に減少させることができる。
の実施例であって、請求項1記載の表面電位計及び形状
測定器において、補正手段としての自乗器52、アンプ
53及び加算器54は、第2振動の交流電圧周波数成分
の振幅Aωの自乗Aω2と補正係数αの積αAω2を第
1振動振幅Aωrに加算することにより導電性探針12
と測定物13の表面との間の距離の測定結果を補正する
ので、測定物表面電位の測定物表面形状測定結果に対す
る干渉を除去することができ、測定物表面形状測定結果
の誤差を大幅に減少させることができる。
【0064】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。この第2実施例は、請求項3記載の発明の実施例で
ある。上記第1実施例は、探針12の先端と試料13の
表面との間の距離Zと、探針12の先端の曲率半径Rと
の関係を図2に示すようにZ<Rとした。しかし、実際
には、Rは測定の空間分解能を上げるために非常に鋭く
加工されており、R≒10nm程度である。したがっ
て、一般的には、Z<10nmとして測定を行うことは
ほとんどできず、Z≧Rの状態で測定が行われる。
る。この第2実施例は、請求項3記載の発明の実施例で
ある。上記第1実施例は、探針12の先端と試料13の
表面との間の距離Zと、探針12の先端の曲率半径Rと
の関係を図2に示すようにZ<Rとした。しかし、実際
には、Rは測定の空間分解能を上げるために非常に鋭く
加工されており、R≒10nm程度である。したがっ
て、一般的には、Z<10nmとして測定を行うことは
ほとんどできず、Z≧Rの状態で測定が行われる。
【0065】探針12の先端を半球、試料13の表面を
平面としたモデルでは、Z≧Rの場合、平行平板のコン
デンサモデルに近似できる。この場合、Zのγ乗をZ*
*γと表わし、 ∂C/∂Z=−a/Z**γ・・・(33) とすると、γ=2になる。ここに、上記第1実施例では
γ=1である。第1実施例ではZを目標値Z0に保よう
にZ軸アクチュエータに帰還をかけているが、任意のγ
について、Z0において補償(試料13の表面電位の距
離測定結果に対する干渉を補償すること:上記補正)が
最適になるようにαを決定することを考える。(33)式か
らZの(γ+1)乗をZ**(γ+1)と表わすと、 ∂2C/∂Z2=−aγ/Z**(γ+1)・・・(34) となる。したがって、 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2){aγ/Z**(γ+1)}{(Vs+ Voff)2+VAC2/2}] =−{A0Q/(K・3√3)}{aγ/Z**(γ+1)}{(Vs+Voff)2−{ A0Q/(K・6√3)}{aγ/Z**(γ+1)}VAC2・・・(35) となる。
平面としたモデルでは、Z≧Rの場合、平行平板のコン
デンサモデルに近似できる。この場合、Zのγ乗をZ*
*γと表わし、 ∂C/∂Z=−a/Z**γ・・・(33) とすると、γ=2になる。ここに、上記第1実施例では
γ=1である。第1実施例ではZを目標値Z0に保よう
にZ軸アクチュエータに帰還をかけているが、任意のγ
について、Z0において補償(試料13の表面電位の距
離測定結果に対する干渉を補償すること:上記補正)が
最適になるようにαを決定することを考える。(33)式か
らZの(γ+1)乗をZ**(γ+1)と表わすと、 ∂2C/∂Z2=−aγ/Z**(γ+1)・・・(34) となる。したがって、 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2){aγ/Z**(γ+1)}{(Vs+ Voff)2+VAC2/2}] =−{A0Q/(K・3√3)}{aγ/Z**(γ+1)}{(Vs+Voff)2−{ A0Q/(K・6√3)}{aγ/Z**(γ+1)}VAC2・・・(35) となる。
【0066】一方、ω成分の振幅Aωは次の(36)式で表
わされる。 Aω=(a/Z**γ)(Vs+Voff)VAC・・・(36) ここで、Z0において補償が最適になるようにするに
は、Z0におけるαAω 2が(35)式の第1項と等しくな
ればよく、 {A0Q/(K・3√3)}{aγ/Z0**(γ+1)}(Vs+Voff)2 =(αa2/Z0**2γ)(Vs+Voff)2VAC2・・・(37) となる。これから、αは α={A0Q/(K・3√3)}{Z0**(γ−1)}(γ/a)(1/VAC2)・・・(38) となる。したがって、Zサーボ回路24への入力信号
(Aωr+αAω2)は次の(39)式のようになる。
わされる。 Aω=(a/Z**γ)(Vs+Voff)VAC・・・(36) ここで、Z0において補償が最適になるようにするに
は、Z0におけるαAω 2が(35)式の第1項と等しくな
ればよく、 {A0Q/(K・3√3)}{aγ/Z0**(γ+1)}(Vs+Voff)2 =(αa2/Z0**2γ)(Vs+Voff)2VAC2・・・(37) となる。これから、αは α={A0Q/(K・3√3)}{Z0**(γ−1)}(γ/a)(1/VAC2)・・・(38) となる。したがって、Zサーボ回路24への入力信号
(Aωr+αAω2)は次の(39)式のようになる。
【0067】 Aωr+αAω2=A0+ΔA+αAω2 =A0−{A0Q/(K・6√3)}aγ/{Z**(γ+1)}VA C2+{A0Qaγ/(K・3√3)}(Vs+Voff)2{1/Z* *2γ}{Z0**(γ−1)}{Z**(γ−1)}・・・(39) (39)式において、第2項はZのみに依存し、探針12の
先端と試料13の表面との間の距離Zだけを測定する信
号となる。
先端と試料13の表面との間の距離Zだけを測定する信
号となる。
【0068】一方、(39)式の第3項は(Vs+Voff)とZ
に依存し、距離測定に対する(Vs+Voff)の干渉成分で
ある。ここで、前述したようにγ=2とすると、(39)式
の第3項はZ<Z0において正になる。すなわち、Z<
Z0において(Vs+Voff)による干渉を除去するための
補償量が大き過ぎ、実際のZの測定結果より大きな値を
Zサーボ回路24に与えることとなる。第1実施例では
Zサーボ回路24への入力が大きいほどZが大きくて探
針12の先端と試料13の表面とが離れたことを示す。
Zサーボ回路24はその入力信号を基にZを小さくする
(探針12の先端と試料13の表面とを近づける)よう
に働く。
に依存し、距離測定に対する(Vs+Voff)の干渉成分で
ある。ここで、前述したようにγ=2とすると、(39)式
の第3項はZ<Z0において正になる。すなわち、Z<
Z0において(Vs+Voff)による干渉を除去するための
補償量が大き過ぎ、実際のZの測定結果より大きな値を
Zサーボ回路24に与えることとなる。第1実施例では
Zサーボ回路24への入力が大きいほどZが大きくて探
針12の先端と試料13の表面とが離れたことを示す。
Zサーボ回路24はその入力信号を基にZを小さくする
(探針12の先端と試料13の表面とを近づける)よう
に働く。
【0069】したがって、上述したようなZ<Z0にお
いて実際のZの測定結果よりも大きな値をZサーボ回路
24に与えることは、探針12の先端と試料13の表面
とが近づいている時に両者をさらに近づけるようにZサ
ーボ回路24が働くことになり、Zの制御が正帰還にな
り、Zサーボ回路24は探針12の先端と試料13の表
面とを衝突させるように働くことになる。以上のような
ことを克服するために、本実施例は、上記第1実施例に
おいて、Z<Z0において最適な補償量が得られるよう
にαを決定したものである。具体的には本実施例は(3)
式の静電引力Fesの、(Vs+Voff)=0における直流の
力 FesDC=−(1/2)(∂C/∂Z)(VAC2/2)・・・(40) により探針12の先端が試料13の表面に吸引される直
前の距離Zminにおいて、αを決定する。この場合、(3
9)式の第3項は次の(40-a)式になる。
いて実際のZの測定結果よりも大きな値をZサーボ回路
24に与えることは、探針12の先端と試料13の表面
とが近づいている時に両者をさらに近づけるようにZサ
ーボ回路24が働くことになり、Zの制御が正帰還にな
り、Zサーボ回路24は探針12の先端と試料13の表
面とを衝突させるように働くことになる。以上のような
ことを克服するために、本実施例は、上記第1実施例に
おいて、Z<Z0において最適な補償量が得られるよう
にαを決定したものである。具体的には本実施例は(3)
式の静電引力Fesの、(Vs+Voff)=0における直流の
力 FesDC=−(1/2)(∂C/∂Z)(VAC2/2)・・・(40) により探針12の先端が試料13の表面に吸引される直
前の距離Zminにおいて、αを決定する。この場合、(3
9)式の第3項は次の(40-a)式になる。
【0070】 {A0Qaγ/(K・3√3)}(Vs+Voff)2{1/Z**2γ}{Zmin**(γ −1)}{Z**(γ−1)}・・・(40-a) (40-a)式の値はZ>Zminにおいて負になるので、Z軸
アクチュエータの制御が不安定になることはない。ま
た、Z>Zminにおいては探針12電位への帰還の遅れ
による直流の静電引力Fesの増加により、距離帰還の安
定性に関わらず探針12の先端と試料13の表面とが衝
突する。したがって、Z<ZminにおけるZの制御の不
安定性による探針12の先端と試料13の表面との衝突
は考慮する必要がない。以上のようにZminにおいてα
を決定することにより、試料13の表面電位の表面形状
測定への干渉を低減しつつ、探針12の先端と試料13
の表面との間の距離の制御安定性を保ことができる。
アクチュエータの制御が不安定になることはない。ま
た、Z>Zminにおいては探針12電位への帰還の遅れ
による直流の静電引力Fesの増加により、距離帰還の安
定性に関わらず探針12の先端と試料13の表面とが衝
突する。したがって、Z<ZminにおけるZの制御の不
安定性による探針12の先端と試料13の表面との衝突
は考慮する必要がない。以上のようにZminにおいてα
を決定することにより、試料13の表面電位の表面形状
測定への干渉を低減しつつ、探針12の先端と試料13
の表面との間の距離の制御安定性を保ことができる。
【0071】この第2実施例は、請求項3記載の発明の
実施例であって、第1実施例において、導電性探針12
と測定物13の表面との間の距離Zを一定に制御する際
の目標値よりも導電性探針12と測定物13の表面との
間の距離が小さい時に補正が最適に行われるように補正
係数αを定めたので、測定物13の表面電位の表面形状
測定への干渉を低減しつつ、測定物12の先端と測定物
13の表面との間の距離の制御安定性を保ことができ
る。
実施例であって、第1実施例において、導電性探針12
と測定物13の表面との間の距離Zを一定に制御する際
の目標値よりも導電性探針12と測定物13の表面との
間の距離が小さい時に補正が最適に行われるように補正
係数αを定めたので、測定物13の表面電位の表面形状
測定への干渉を低減しつつ、測定物12の先端と測定物
13の表面との間の距離の制御安定性を保ことができ
る。
【0072】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。第2実施例において、試料13の表面電位の距離測
定結果に対する干渉を補償する補償量がZに対して過度
であったり過小であったりするのは、Zに対して最適な
αの値が変化するからである。本実施例は、この点を改
善したものであり、請求項4記載の発明の実施例であ
る。図3は本実施例を示す。本実施例では、上記第1実
施例において、ロックインアンプ55が交流電源16か
らの交流電圧VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動の2ω成分の振幅A2ωを分離増幅す
る。この場合、交流電源16からロックインアンプ55
への参照信号の周波数がωであるが、ロックインアンプ
55はωの参照信号により2ω成分の分離増幅を行うモ
ードで動作する。
る。第2実施例において、試料13の表面電位の距離測
定結果に対する干渉を補償する補償量がZに対して過度
であったり過小であったりするのは、Zに対して最適な
αの値が変化するからである。本実施例は、この点を改
善したものであり、請求項4記載の発明の実施例であ
る。図3は本実施例を示す。本実施例では、上記第1実
施例において、ロックインアンプ55が交流電源16か
らの交流電圧VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動の2ω成分の振幅A2ωを分離増幅す
る。この場合、交流電源16からロックインアンプ55
への参照信号の周波数がωであるが、ロックインアンプ
55はωの参照信号により2ω成分の分離増幅を行うモ
ードで動作する。
【0073】また、補正係数決定手段56として、最適
補正係数を決定するためのテーブル又は数式を持つDS
P(Digital Signal Processor)等が用いられ、この補正
係数決定手段56はロックインアンプ55の出力信号A
2ωから最適な補正係数を決めてアンプ53のゲインα
をその最適な補正係数に制御する。アンプ53は、電圧
によりゲインを制御できるプログラマブルゲインアンプ
等を用いる。
補正係数を決定するためのテーブル又は数式を持つDS
P(Digital Signal Processor)等が用いられ、この補正
係数決定手段56はロックインアンプ55の出力信号A
2ωから最適な補正係数を決めてアンプ53のゲインα
をその最適な補正係数に制御する。アンプ53は、電圧
によりゲインを制御できるプログラマブルゲインアンプ
等を用いる。
【0074】さて、次に、本実施例の動作を述べる。
(3)式より、静電引力Fesには2ω成分が存在し、この
2ω成分による振動振幅A2ωは次の(41)式で表わされ
る。 A2ω=(1/4)(∂C/∂Z)VAC2cos2ωt・・・(41) ここで、 ∂C/∂Z=f(Z)・・・(42) とすると、 A2ω=(1/4)f(Z)VAC2cos2ωt・・・(43) となる。VACは定数であるから、A2ωはZのみに依存
する。従って、A2ωからZを知ることができる。
(3)式より、静電引力Fesには2ω成分が存在し、この
2ω成分による振動振幅A2ωは次の(41)式で表わされ
る。 A2ω=(1/4)(∂C/∂Z)VAC2cos2ωt・・・(41) ここで、 ∂C/∂Z=f(Z)・・・(42) とすると、 A2ω=(1/4)f(Z)VAC2cos2ωt・・・(43) となる。VACは定数であるから、A2ωはZのみに依存
する。従って、A2ωからZを知ることができる。
【0075】一方、任意のZに対して最適なαは(38)式
のZ0に代入すればよいので、 α={A0Q/(K・3√3)}{Z**(γ−1)}(γ/a)(1/VAC2)・・・(44) となる。γはあらかじめ実験により求めておく。以上の
ことから、A2ωからZを測定し、その値から(44)式を
用いて最適な補正係数αを求めることができる。そこ
で、補正係数決定手段56はロックインアンプ55の出
力信号A2ωから(44)式を用いて最適な補正係数を決め
てアンプ53のゲインαをその最適な補正係数に制御す
る。
のZ0に代入すればよいので、 α={A0Q/(K・3√3)}{Z**(γ−1)}(γ/a)(1/VAC2)・・・(44) となる。γはあらかじめ実験により求めておく。以上の
ことから、A2ωからZを測定し、その値から(44)式を
用いて最適な補正係数αを求めることができる。そこ
で、補正係数決定手段56はロックインアンプ55の出
力信号A2ωから(44)式を用いて最適な補正係数を決め
てアンプ53のゲインαをその最適な補正係数に制御す
る。
【0076】また、補正係数決定手段56は、Zに対す
る最適な補正係数αが(44)式により定められないときに
は、実験値から求めた具体的な数値を持つ補正テーブル
を用いてロックインアンプ55の出力信号A2ωから補
正係数を決めてアンプ53のゲインαをその補正係数に
制御する。以上の動作により、本実施例は、任意のZに
対して試料13の表面電位の表面形状測定への干渉をほ
ぼ完全に除去することができるとともに、探針12の先
端と試料13の表面との間の距離の制御安定性を保つこ
とができる。
る最適な補正係数αが(44)式により定められないときに
は、実験値から求めた具体的な数値を持つ補正テーブル
を用いてロックインアンプ55の出力信号A2ωから補
正係数を決めてアンプ53のゲインαをその補正係数に
制御する。以上の動作により、本実施例は、任意のZに
対して試料13の表面電位の表面形状測定への干渉をほ
ぼ完全に除去することができるとともに、探針12の先
端と試料13の表面との間の距離の制御安定性を保つこ
とができる。
【0077】このように、第3実施例は、請求項4記載
の発明の実施例であって、第1実施例において、導電性
探針12に交流電圧を印加することにより生ずる第2振
動の交流電圧周波数成分の2倍の周波数の成分の振幅A
2ωから補正係数αを定める手段56を備えたので、任
意の導電性探針12と測定物13の表面との間の距離Z
に対して測定物13の表面電位の表面形状測定への干渉
をほぼ完全に除去することができるとともに、探針12
の先端と測定物13の表面との間の距離の制御の安定性
を保ことができる。
の発明の実施例であって、第1実施例において、導電性
探針12に交流電圧を印加することにより生ずる第2振
動の交流電圧周波数成分の2倍の周波数の成分の振幅A
2ωから補正係数αを定める手段56を備えたので、任
意の導電性探針12と測定物13の表面との間の距離Z
に対して測定物13の表面電位の表面形状測定への干渉
をほぼ完全に除去することができるとともに、探針12
の先端と測定物13の表面との間の距離の制御の安定性
を保ことができる。
【0078】次に、請求項5記載の発明の各実施例につ
いて説明する。これらの実施例は、は、上記各実施例に
おいて、それぞれカンチレバーを機械的に加振すること
により一次及び高次の共振周波数の何れかの共振周波数
で共振させてその共振周波数とは異なるカンチレバーの
一次及び高次の共振周波数或いはこれら共振周波数の2
分の1以下の周波数の交流電圧を探針12に印加するす
るようにし、例えば交流電源15で発生する交流電圧の
周波数ωrをカンチレバー11の一次共振周波数に設定
し、交流電源16で発生する交流電圧の周波数ωをカン
チレバー11の二次共振周波数或いは三次共振周波数ω
r2に設定するようにしたものである。
いて説明する。これらの実施例は、は、上記各実施例に
おいて、それぞれカンチレバーを機械的に加振すること
により一次及び高次の共振周波数の何れかの共振周波数
で共振させてその共振周波数とは異なるカンチレバーの
一次及び高次の共振周波数或いはこれら共振周波数の2
分の1以下の周波数の交流電圧を探針12に印加するす
るようにし、例えば交流電源15で発生する交流電圧の
周波数ωrをカンチレバー11の一次共振周波数に設定
し、交流電源16で発生する交流電圧の周波数ωをカン
チレバー11の二次共振周波数或いは三次共振周波数ω
r2に設定するようにしたものである。
【0079】これにより、これら実施例では、カンチレ
バー11の交流電圧による静電引力で生ずる振動は、高
次の共振振動を示すから、従来の力顕微鏡のようにカン
チレバーの非共振振動を用いていた場合よりもはるかに
大きな振幅が得られる。また、ωrとωr2は異なる周波
数であるから、カンチレバー11の交流電圧による静電
引力で生ずる振動と機械的加振による振動とを分離して
検出することができ、試料13の表面電位と表面形状と
を独立に測定することができる。
バー11の交流電圧による静電引力で生ずる振動は、高
次の共振振動を示すから、従来の力顕微鏡のようにカン
チレバーの非共振振動を用いていた場合よりもはるかに
大きな振幅が得られる。また、ωrとωr2は異なる周波
数であるから、カンチレバー11の交流電圧による静電
引力で生ずる振動と機械的加振による振動とを分離して
検出することができ、試料13の表面電位と表面形状と
を独立に測定することができる。
【0080】このように、これらの実施例は、請求項5
記載の発明の実施例であって、請求項1,2,3または
4記載の表面電位計及び形状測定器において、アクチュ
エータとしての圧電素子14により導電性探針12を機
械的に加振する周波数をバネとしてのカンチレバー11
の一次及び高次の共振周波数の何れかとし、導電性探針
12に印加する交流電圧の周波数を導電性探針12を機
械的に加振する周波数とは異なるバネの一次及び高次の
共振周波数或いはこれら共振周波数の2分の1以下の周
波数としたので、カンチレバー11の振動振幅を従来よ
りもはるかに大きくすることができて振動信号の処理上
有利になるとともに、カンチレバー11の交流電圧によ
る静電引力で生ずる振動と機械的加振による振動とを分
離して検出することができ、試料13の表面電位と表面
形状とを独立に測定することができる。
記載の発明の実施例であって、請求項1,2,3または
4記載の表面電位計及び形状測定器において、アクチュ
エータとしての圧電素子14により導電性探針12を機
械的に加振する周波数をバネとしてのカンチレバー11
の一次及び高次の共振周波数の何れかとし、導電性探針
12に印加する交流電圧の周波数を導電性探針12を機
械的に加振する周波数とは異なるバネの一次及び高次の
共振周波数或いはこれら共振周波数の2分の1以下の周
波数としたので、カンチレバー11の振動振幅を従来よ
りもはるかに大きくすることができて振動信号の処理上
有利になるとともに、カンチレバー11の交流電圧によ
る静電引力で生ずる振動と機械的加振による振動とを分
離して検出することができ、試料13の表面電位と表面
形状とを独立に測定することができる。
【0081】図4は本発明の第4実施例を示す。この第
4実施例は、請求項6、7記載の発明の実施例であり、
前述した図9に示す力顕微鏡とは以下の点が異なる。交
流電源29はカンチレバー26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の第1交流電圧を発生し、交流電源30はカンチ
レバー26の一次及び高次の共振周波数又はこの共振周
波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の
周波数を持つ第2交流電圧を発生する。例えば、交流電
源29は交流電圧Vr1sinωr1tを発生し、交流電源3
0は交流電圧Vωr2sinωr2t/2を発生する。ここ
に、ωr1はカンチレバー26の第1共振周波数、ωr2は
カンチレバー26の第2共振周波数とする。
4実施例は、請求項6、7記載の発明の実施例であり、
前述した図9に示す力顕微鏡とは以下の点が異なる。交
流電源29はカンチレバー26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の第1交流電圧を発生し、交流電源30はカンチ
レバー26の一次及び高次の共振周波数又はこの共振周
波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の
周波数を持つ第2交流電圧を発生する。例えば、交流電
源29は交流電圧Vr1sinωr1tを発生し、交流電源3
0は交流電圧Vωr2sinωr2t/2を発生する。ここ
に、ωr1はカンチレバー26の第1共振周波数、ωr2は
カンチレバー26の第2共振周波数とする。
【0082】ロックインアンプ37はプリアンプ36の
出力信号を交流電源29からの参照信号Vr1sinωr1t
により位相検波して増幅することによりカンチレバー2
6の振動のωr1成分の振幅を分離増幅し、ロックインア
ンプ38はプリアンプ36の出力信号を交流電源30か
らの参照信号Vr2sinωr2t/2により位相検波して増
幅することによりカンチレバー26の振動のωr2成分の
振幅を分離増幅する。
出力信号を交流電源29からの参照信号Vr1sinωr1t
により位相検波して増幅することによりカンチレバー2
6の振動のωr1成分の振幅を分離増幅し、ロックインア
ンプ38はプリアンプ36の出力信号を交流電源30か
らの参照信号Vr2sinωr2t/2により位相検波して増
幅することによりカンチレバー26の振動のωr2成分の
振幅を分離増幅する。
【0083】本実施例において、探針27の先端と試料
28の表面との間の電位差Vは V=Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/2・・・(45) となる。したがって、Fesは次の(9)式より Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/ 2)2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+Vr12/2+Vr22/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr22/2)sin(ωr2t−π/2)+2(Vb −Vs)Vr1sinωr1t} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr12/2)sin(ωr1t−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z)[2(Vb−Vs)Vr2sinωr2t/2+Vr1Vr2 sin{(ωr1−ωr2/2)t+π/2}] −(1/2)(∂C/∂Z){Vr1Vr2sin(ωr1+ωr2/2)t+π/2)} ・・・(46) となる。
28の表面との間の電位差Vは V=Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/2・・・(45) となる。したがって、Fesは次の(9)式より Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/ 2)2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+Vr12/2+Vr22/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr22/2)sin(ωr2t−π/2)+2(Vb −Vs)Vr1sinωr1t} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr12/2)sin(ωr1t−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z)[2(Vb−Vs)Vr2sinωr2t/2+Vr1Vr2 sin{(ωr1−ωr2/2)t+π/2}] −(1/2)(∂C/∂Z){Vr1Vr2sin(ωr1+ωr2/2)t+π/2)} ・・・(46) となる。
【0084】ωr1はカンチレバー26の第1共振周波
数、ωr2はカンチレバー26の第2共振周波数であるか
ら、カンチレバー26は次の(47)式で表わされるFesの
ωr1、ωr2成分Fesωrにより共振する。 Fesωr=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sinωr1t+(1/4)Vr22sin(ωr 2t −π/2)・・・(47) したがって、Fesωrによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力vは次の(48)式で表
わされる。
数、ωr2はカンチレバー26の第2共振周波数であるか
ら、カンチレバー26は次の(47)式で表わされるFesの
ωr1、ωr2成分Fesωrにより共振する。 Fesωr=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sinωr1t+(1/4)Vr22sin(ωr 2t −π/2)・・・(47) したがって、Fesωrによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力vは次の(48)式で表
わされる。
【0085】 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sin(ωr1t+φr1)+(1/4)Vr22si n (ωr2t−π/2+φr2)・・・(48) ロックインアンプ37、38は入力信号の参照信号周波
数と同じ周波数成分のみを増幅する狭帯域アンプと考え
られる。したがって、2位相式のロックインアンプ38
によりωr2の参照信号でvを増幅することにより、(48)
式のωr2成分のみをその位相ωr2に無関係に得ることが
できる。
数と同じ周波数成分のみを増幅する狭帯域アンプと考え
られる。したがって、2位相式のロックインアンプ38
によりωr2の参照信号でvを増幅することにより、(48)
式のωr2成分のみをその位相ωr2に無関係に得ることが
できる。
【0086】このロックインアンプ38の出力信号V2
は次の(49)式のようになる。 V2=−(1/4)A2(∂C/∂Z)Vr22・・・(49) すなわち、周囲の気温や湿度、気圧などの影響によりω
r1、ωr2がずれ、φr1、φr2が変動しても試料28の表
面電位が試料28の表面形状測定結果に混入・干渉する
ことはない。
は次の(49)式のようになる。 V2=−(1/4)A2(∂C/∂Z)Vr22・・・(49) すなわち、周囲の気温や湿度、気圧などの影響によりω
r1、ωr2がずれ、φr1、φr2が変動しても試料28の表
面電位が試料28の表面形状測定結果に混入・干渉する
ことはない。
【0087】一方、ロックインアンプ37によりωr1の
参照信号でvを増幅することにより、(48)式のωr1成分
のみを増幅することができる。この時、ロックインアン
プ37において、位相θでvを位相検波増幅すれば、ロ
ックインアンプ37の出力信号V1は次の(49)式のよう
になる。 V1=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1{cos(−θ+φr1)−cos(−θ +φr1+π)・・・(50) (50)式にはφr2が含まれていないので、試料28の表面
電位測定結果はφr2の変動による影響を受けない。θ=
φr1とすると、V1は、 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1・・・(51) となり、最大値を示す。
参照信号でvを増幅することにより、(48)式のωr1成分
のみを増幅することができる。この時、ロックインアン
プ37において、位相θでvを位相検波増幅すれば、ロ
ックインアンプ37の出力信号V1は次の(49)式のよう
になる。 V1=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1{cos(−θ+φr1)−cos(−θ +φr1+π)・・・(50) (50)式にはφr2が含まれていないので、試料28の表面
電位測定結果はφr2の変動による影響を受けない。θ=
φr1とすると、V1は、 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1・・・(51) となり、最大値を示す。
【0088】ここで、周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりωr1がずれ、φr1が(φr1+Δφr1)に変動した
とする。また、θはφr1のままであったとすると、この
時のV1は V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1cosΔφr1・・・(52) となる。(52)式からφr1の変動により、V1は最大値か
ら小さくなるが、試料28の表面形状が試料28の表面
電位測定結果に混入・干渉することはない。以上のよう
に、第4実施例においては、従来技術のように、カンチ
レバーの共振周波数が周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりわずかに変動することで、試料の表面電位と表
面形状の測定結果が互いに干渉して無視できない誤差と
なって現われてくるようなことが無い。すなわち、カン
チレバーの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の
表面電位と表面形状を測定することができる。
響によりωr1がずれ、φr1が(φr1+Δφr1)に変動した
とする。また、θはφr1のままであったとすると、この
時のV1は V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1cosΔφr1・・・(52) となる。(52)式からφr1の変動により、V1は最大値か
ら小さくなるが、試料28の表面形状が試料28の表面
電位測定結果に混入・干渉することはない。以上のよう
に、第4実施例においては、従来技術のように、カンチ
レバーの共振周波数が周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりわずかに変動することで、試料の表面電位と表
面形状の測定結果が互いに干渉して無視できない誤差と
なって現われてくるようなことが無い。すなわち、カン
チレバーの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の
表面電位と表面形状を測定することができる。
【0089】このように、第4実施例は、請求項6記載
の発明の実施例であって、測定物28に対向配置される
導電性探針27を先端部に設けたバネとしての導電性カ
ンチレバー26を、測定物28とバネ26との間に作用
する静電引力により変形させ、バネ26の変形により測
定物28とバネ26との間に作用する静電引力を検出し
て測定物28の電位と形状の何れか一方或いは両方を測
定するようにした表面電位計及び形状測定器としての力
顕微鏡において、バネ26の一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳
させた電圧を導電性探針27に印加する電圧印加手段と
しての交流電源29、30と、第1交流電圧による導電
性探針27と測定物28との間の静電引力により生ずる
バネ26の第1振動の振幅から測定物28の電位を測定
する表面電位測定手段としてのロックインアンプ37
と、第2交流電圧による導電性探針27と測定物28と
の間の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅
から測定物の形状を測定する形状測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
の発明の実施例であって、測定物28に対向配置される
導電性探針27を先端部に設けたバネとしての導電性カ
ンチレバー26を、測定物28とバネ26との間に作用
する静電引力により変形させ、バネ26の変形により測
定物28とバネ26との間に作用する静電引力を検出し
て測定物28の電位と形状の何れか一方或いは両方を測
定するようにした表面電位計及び形状測定器としての力
顕微鏡において、バネ26の一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳
させた電圧を導電性探針27に印加する電圧印加手段と
しての交流電源29、30と、第1交流電圧による導電
性探針27と測定物28との間の静電引力により生ずる
バネ26の第1振動の振幅から測定物28の電位を測定
する表面電位測定手段としてのロックインアンプ37
と、第2交流電圧による導電性探針27と測定物28と
の間の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅
から測定物の形状を測定する形状測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
【0090】また、第4実施例は、請求項7記載の発明
の実施例であって、電圧印加手段としての交流電源2
9、30、加算器31が導電性探針27に第1交流電圧
と第2交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、
かつ、第1交流電圧による導電性探針27と測定物28
との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振動の振
幅が零(もしくは一定値)になるように上記直流電圧を可
変する電位制御手段としての積分器39を含む帰還回路
と、直流電圧を測定する電位測定手段としてのロックイ
ンアンプ37と、測定物28と導電性探針26との間の
距離を可変するアクチュエータとしてのZ軸アクチュエ
ータ43を有し第2交流電圧による導電性探針27と測
定物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第2
振動の振幅が一定値になるようにアクチュエータ43を
制御して測定物28と導電性探針27との間の距離を制
御する距離制御手段としての帰還回路と、アクチュエー
タ43の変位量を測定する変位量測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
の実施例であって、電圧印加手段としての交流電源2
9、30、加算器31が導電性探針27に第1交流電圧
と第2交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、
かつ、第1交流電圧による導電性探針27と測定物28
との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振動の振
幅が零(もしくは一定値)になるように上記直流電圧を可
変する電位制御手段としての積分器39を含む帰還回路
と、直流電圧を測定する電位測定手段としてのロックイ
ンアンプ37と、測定物28と導電性探針26との間の
距離を可変するアクチュエータとしてのZ軸アクチュエ
ータ43を有し第2交流電圧による導電性探針27と測
定物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第2
振動の振幅が一定値になるようにアクチュエータ43を
制御して測定物28と導電性探針27との間の距離を制
御する距離制御手段としての帰還回路と、アクチュエー
タ43の変位量を測定する変位量測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
【0091】また、請求項8記載の発明の一実施例は、
上記第4実施例において、導電性探針27に印加すべき
電圧を導電性探針27に印加せずに測定物28の導電性
基板33に印加し、導電性探針27の電位を基準電位と
したものであり、第4実施例と同様な効果が得られる。
また、請求項8記載の発明の他の実施例は、上記第4実
施例以外の各実施例において、それぞれ導電性探針12
に印加すべき電圧を導電性探針12に印加せずに測定物
13の導電性基板18に印加し、導電性探針12の電位
を基準電位としたものであり、上記第4実施例以外の各
実施例と同様な効果が得られる。
上記第4実施例において、導電性探針27に印加すべき
電圧を導電性探針27に印加せずに測定物28の導電性
基板33に印加し、導電性探針27の電位を基準電位と
したものであり、第4実施例と同様な効果が得られる。
また、請求項8記載の発明の他の実施例は、上記第4実
施例以外の各実施例において、それぞれ導電性探針12
に印加すべき電圧を導電性探針12に印加せずに測定物
13の導電性基板18に印加し、導電性探針12の電位
を基準電位としたものであり、上記第4実施例以外の各
実施例と同様な効果が得られる。
【0092】また、請求項9記載の発明の実施例は、上
記第4実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と直流電圧の内のいずれか2つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、第4実施例と同様な効果が得られる。また、請
求項9記載の発明の他の各実施例は、上記第4実施例以
外の各実施例において、それぞれ電圧印加手段としての
交流電源29、30及び直流電源17により、交流電圧
と直流電圧の内のいずれか1つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、上記第4実施例以外の各実施例と同様な効果が
得られる。なお、これらの実施例では、測定物の導電性
基板は接地しない。
記第4実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と直流電圧の内のいずれか2つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、第4実施例と同様な効果が得られる。また、請
求項9記載の発明の他の各実施例は、上記第4実施例以
外の各実施例において、それぞれ電圧印加手段としての
交流電源29、30及び直流電源17により、交流電圧
と直流電圧の内のいずれか1つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、上記第4実施例以外の各実施例と同様な効果が
得られる。なお、これらの実施例では、測定物の導電性
基板は接地しない。
【0093】また、請求項10記載の発明の実施例は、
上記第4実施例において、交流電源29、30を含む電
圧印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電
圧と上記直流電圧の内のいずれか2つをカンチレバー2
6に印加せずに測定物28の導電性基板33に印加し、
残りの1つを導電性探針27に印加するようにしたもの
であり、第4実施例と同様な効果が得られる。
上記第4実施例において、交流電源29、30を含む電
圧印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電
圧と上記直流電圧の内のいずれか2つをカンチレバー2
6に印加せずに測定物28の導電性基板33に印加し、
残りの1つを導電性探針27に印加するようにしたもの
であり、第4実施例と同様な効果が得られる。
【0094】次に、請求項11記載の発明の実施例につ
いて図5を用いて説明する。力顕微鏡において、光てこ
法は、光源から照射されてカンチレバーの表面で反射さ
れた光スポット位置の動きを光位置検出器や2分割フォ
トダイオードからなる受光素子により測定することでカ
ンチレバーの曲がり(動き)を検出する。ここに、図5
(a)に示すようにカンチレバー57の長さを1とす
る。
いて図5を用いて説明する。力顕微鏡において、光てこ
法は、光源から照射されてカンチレバーの表面で反射さ
れた光スポット位置の動きを光位置検出器や2分割フォ
トダイオードからなる受光素子により測定することでカ
ンチレバーの曲がり(動き)を検出する。ここに、図5
(a)に示すようにカンチレバー57の長さを1とす
る。
【0095】この光てこ法は、カンチレバー57の静止
状態の位置(図5のiの位置)からの変位を捉えている
のではなく、カンチレバー57の変形に伴うカンチレバ
ー57の傾斜角(表面接線のiに対する角度)を測定し
ている。従って、この傾斜角が最も大きい所に光源から
の光スポットを当てれば、その光スポットの位置の動き
が大きくなり、大きな感度を得ることができる。カンチ
レバー57の一次共振を利用した場合は、図5(a)に
示すようにカンチレバー57の先端がiからの変位及び
傾斜角の両方について最大であるので、光源からの光ス
ポツトをカンチレバー57の先端に照射すれば最大の感
度が得られる。
状態の位置(図5のiの位置)からの変位を捉えている
のではなく、カンチレバー57の変形に伴うカンチレバ
ー57の傾斜角(表面接線のiに対する角度)を測定し
ている。従って、この傾斜角が最も大きい所に光源から
の光スポットを当てれば、その光スポットの位置の動き
が大きくなり、大きな感度を得ることができる。カンチ
レバー57の一次共振を利用した場合は、図5(a)に
示すようにカンチレバー57の先端がiからの変位及び
傾斜角の両方について最大であるので、光源からの光ス
ポツトをカンチレバー57の先端に照射すれば最大の感
度が得られる。
【0096】しかし、高次共振を利用する場合は、光源
からの光スポツトをカンチレバー57の先端に照射して
も最大の感度は得られない。カンチレバー57の二次共
振を利用する場合は、図5(c)のaにおいてカンチレ
バー57の傾斜は最大となる。従って、ここに光源から
の光スポツトを照射することにより最大の感度を得るこ
とができる。
からの光スポツトをカンチレバー57の先端に照射して
も最大の感度は得られない。カンチレバー57の二次共
振を利用する場合は、図5(c)のaにおいてカンチレ
バー57の傾斜は最大となる。従って、ここに光源から
の光スポツトを照射することにより最大の感度を得るこ
とができる。
【0097】また、カンチレバー57の三次共振を利用
する場合は、図5(d)のb、cにおいてカンチレバー
57の傾斜は最大となるから、ここに光源からの光スポ
ツトを照射することにより最大の感度を得ることができ
る。一般に、図5のa、b、cの点はカンチレバー57
の節という。このように、高次共振状態のカンチレバー
57の節に光源からの光スポツトを照射することにより
最大の感度を得ることができる。
する場合は、図5(d)のb、cにおいてカンチレバー
57の傾斜は最大となるから、ここに光源からの光スポ
ツトを照射することにより最大の感度を得ることができ
る。一般に、図5のa、b、cの点はカンチレバー57
の節という。このように、高次共振状態のカンチレバー
57の節に光源からの光スポツトを照射することにより
最大の感度を得ることができる。
【0098】そこで、請求項11記載の発明の各実施例
は、上記各実施例において、それぞれカンチレバー1
1、26が高次共振する時の節に光源19、34からの
光スポツトを照射して光てこ法でカンチレバーの振動を
検出するようにしたものであり、最大の感度を得ること
ができてカンチレバーの複数の振動の信号の振幅をカン
チレバーの最適な加振条件を変えることなく最大にする
ことができ、振動信号のS/Nを向上させることができ
て信号処理上有利になる。
は、上記各実施例において、それぞれカンチレバー1
1、26が高次共振する時の節に光源19、34からの
光スポツトを照射して光てこ法でカンチレバーの振動を
検出するようにしたものであり、最大の感度を得ること
ができてカンチレバーの複数の振動の信号の振幅をカン
チレバーの最適な加振条件を変えることなく最大にする
ことができ、振動信号のS/Nを向上させることができ
て信号処理上有利になる。
【0099】次に、請求項12記載の発明の実施例につ
いて図5を用いて説明する。請求項12記載の発明は、
力顕微鏡において、試料の状態を測定するための最適な
状態で2つ以上の周波数でカンチレバーを振動させる場
合に適用される。例えば、カンチレバーに一次共振と二
次共振を生じさせて測定を行う場合を考える。前述のよ
うにカンチレバーの振動を捉えた信号の内、一次共振の
振幅(信号の大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方
が、それぞれのS/N比の点で不利にならない。しか
し、これを実現するためにカンチレバーの加振条件を変
えることは放電等の問題で安易に行えない。
いて図5を用いて説明する。請求項12記載の発明は、
力顕微鏡において、試料の状態を測定するための最適な
状態で2つ以上の周波数でカンチレバーを振動させる場
合に適用される。例えば、カンチレバーに一次共振と二
次共振を生じさせて測定を行う場合を考える。前述のよ
うにカンチレバーの振動を捉えた信号の内、一次共振の
振幅(信号の大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方
が、それぞれのS/N比の点で不利にならない。しか
し、これを実現するためにカンチレバーの加振条件を変
えることは放電等の問題で安易に行えない。
【0100】そこで、請求項12記載の発明の一実施例
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの傾斜と二次共振によるンチレ
バーの傾斜とがほぼ等しくなる位置に光源からの光スポ
ツトを照射し、カンチレバーの振動を光てこ法で測定す
るようにしたものである。これにより、カンチレバーの
振動信号における一次共振と二次共振の振幅(信号の大
きさ)をほぼ等しくすることができる。このため、最適
なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバーの一次
共振と二次共振の振動信号をそれぞれのS/N比の点で
不利にならないように分離することができる。
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの傾斜と二次共振によるンチレ
バーの傾斜とがほぼ等しくなる位置に光源からの光スポ
ツトを照射し、カンチレバーの振動を光てこ法で測定す
るようにしたものである。これにより、カンチレバーの
振動信号における一次共振と二次共振の振幅(信号の大
きさ)をほぼ等しくすることができる。このため、最適
なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバーの一次
共振と二次共振の振動信号をそれぞれのS/N比の点で
不利にならないように分離することができる。
【0101】なお、この実施例では、カンチレバーに生
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項12記載の発明を
適用することができる。
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項12記載の発明を
適用することができる。
【0102】したがって、請求項12記載の発明の各実
施例は、試料に対向配置される探針を先端部に設けた板
バネとしてのカンチレバーを該カンチレバーの非共振周
波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の何れ
かで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動させ、上
記探針に働く力により上記複数の振動の状態が各々変化
することを光てこ法により検出することで探針に働く力
を検出し、これにより試料の状態を観察する上記各実施
例等の力顕微鏡において、カンチレバーの複数の振動に
よる各曲がり角が等しくなるカンチレバー上の位置に光
てこ法で光源からの光を照射してカンチレバーの振動を
検出するようにしており、最適なカンチレバー加振条件
のままで、カンチレバーの複数の振動の信号をそれぞれ
のS/N比の点で不利にならないように分離することが
できる。
施例は、試料に対向配置される探針を先端部に設けた板
バネとしてのカンチレバーを該カンチレバーの非共振周
波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の何れ
かで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動させ、上
記探針に働く力により上記複数の振動の状態が各々変化
することを光てこ法により検出することで探針に働く力
を検出し、これにより試料の状態を観察する上記各実施
例等の力顕微鏡において、カンチレバーの複数の振動に
よる各曲がり角が等しくなるカンチレバー上の位置に光
てこ法で光源からの光を照射してカンチレバーの振動を
検出するようにしており、最適なカンチレバー加振条件
のままで、カンチレバーの複数の振動の信号をそれぞれ
のS/N比の点で不利にならないように分離することが
できる。
【0103】次に、請求項13記載の発明の実施例につ
いて図6を用いて説明する。光干渉法及びトンネル電流
を検出するトンネル電流法では、力顕微鏡において、カ
ンチレバーの静止状態の位置(図6のiの位置)からの
変位を捉えている。従って、この変位が最も大きい所に
光源からの光スポツトを照射し、或いはトンネル電流を
検出するための電極を設ければ、大きな感度を得ること
ができる。
いて図6を用いて説明する。光干渉法及びトンネル電流
を検出するトンネル電流法では、力顕微鏡において、カ
ンチレバーの静止状態の位置(図6のiの位置)からの
変位を捉えている。従って、この変位が最も大きい所に
光源からの光スポツトを照射し、或いはトンネル電流を
検出するための電極を設ければ、大きな感度を得ること
ができる。
【0104】カンチレバーの一次共振を利用した場合
は、図6(a)に示すようにカンチレバー58の先端が
iからの変位が最大であるので、変位検出手段によりカ
ンチレバー58の先端の変位を検出すれば最大の感度が
得られる。しかし、高次共振を利用する場合は、変位検
出手段による変位検出位置をカンチレバー58の先端に
しても最大の感度は得られない。カンチレバー58の二
次共振を利用する場合は、図6(c)のdにおいてカン
チレバー58の変位は最大となる。従って、ここの変位
を変位検出手段で検出することにより最大の感度を得る
ことができる。
は、図6(a)に示すようにカンチレバー58の先端が
iからの変位が最大であるので、変位検出手段によりカ
ンチレバー58の先端の変位を検出すれば最大の感度が
得られる。しかし、高次共振を利用する場合は、変位検
出手段による変位検出位置をカンチレバー58の先端に
しても最大の感度は得られない。カンチレバー58の二
次共振を利用する場合は、図6(c)のdにおいてカン
チレバー58の変位は最大となる。従って、ここの変位
を変位検出手段で検出することにより最大の感度を得る
ことができる。
【0105】また、カンチレバー58の三次共振を利用
する場合は、図6(d)のe、fにおいてカンチレバー
58の変位は最大となるから、ここの変位を変位検出手
段で検出することにより最大の感度を得ることができ
る。一般に、図6のd、e、fの点はカンチレバー58
の腹という。このように、高次共振状態のカンチレバー
58の腹の変位を変位検出手段で検出することにより最
大の感度を得ることができる。そこで、請求項13記載
の発明の各実施例は、上記各実施例において、それぞれ
カンチレバー11、26が高次共振する時の腹の位置の
変位を光干渉法やトンネル電流法により変位検出手段で
検出するようにしたものであり、最大の感度を得ること
ができる。
する場合は、図6(d)のe、fにおいてカンチレバー
58の変位は最大となるから、ここの変位を変位検出手
段で検出することにより最大の感度を得ることができ
る。一般に、図6のd、e、fの点はカンチレバー58
の腹という。このように、高次共振状態のカンチレバー
58の腹の変位を変位検出手段で検出することにより最
大の感度を得ることができる。そこで、請求項13記載
の発明の各実施例は、上記各実施例において、それぞれ
カンチレバー11、26が高次共振する時の腹の位置の
変位を光干渉法やトンネル電流法により変位検出手段で
検出するようにしたものであり、最大の感度を得ること
ができる。
【0106】このように、請求項13記載の発明の実施
例は、測定物13,28に対向配置される探針12,2
7を先端部に設けた板バネを該板バネとしてのカンチレ
バー11,26の高次共振周波数により振動させ、この
板バネ11,26の振動状態における変位を測定するた
めの振動変位測定手段により板バネ11,26の振動状
態を検出し、探針12,27に働く力による振動状態の
変化から探針12,27に働く力を検出し、これにより
測定物13,28の状態を観察する力顕微鏡において、
板バネ11,26が高次共振する時の腹を振動変位測定
手段の測定点としたので、カンチレバーの複数の振動の
信号の振幅をカンチレバーの最適な加振条件を変えるこ
となく最大にすることができ、振動信号のS/Nを向上
させることができて信号処理上有利になる。
例は、測定物13,28に対向配置される探針12,2
7を先端部に設けた板バネを該板バネとしてのカンチレ
バー11,26の高次共振周波数により振動させ、この
板バネ11,26の振動状態における変位を測定するた
めの振動変位測定手段により板バネ11,26の振動状
態を検出し、探針12,27に働く力による振動状態の
変化から探針12,27に働く力を検出し、これにより
測定物13,28の状態を観察する力顕微鏡において、
板バネ11,26が高次共振する時の腹を振動変位測定
手段の測定点としたので、カンチレバーの複数の振動の
信号の振幅をカンチレバーの最適な加振条件を変えるこ
となく最大にすることができ、振動信号のS/Nを向上
させることができて信号処理上有利になる。
【0107】次に、請求項14記載の発明の実施例につ
いて説明する。請求項14記載の発明は、力顕微鏡にお
いて、試料の状態を測定するための最適な条件で2つ以
上の周波数でカンチレバーを振動させる場合に適用され
る。例えば、カンチレバーに一次共振と二次共振を生じ
させて測定を行う場合を考える。前述のようにカンチレ
バーの振動を捉えた信号の内、一次共振の振幅(信号の
大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方が、それぞれ
のS/N比の点で不利にならない。しかし、これを実現
するためにカンチレバーの加振条件を変えることは放電
等の問題で安易に行えない。
いて説明する。請求項14記載の発明は、力顕微鏡にお
いて、試料の状態を測定するための最適な条件で2つ以
上の周波数でカンチレバーを振動させる場合に適用され
る。例えば、カンチレバーに一次共振と二次共振を生じ
させて測定を行う場合を考える。前述のようにカンチレ
バーの振動を捉えた信号の内、一次共振の振幅(信号の
大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方が、それぞれ
のS/N比の点で不利にならない。しかし、これを実現
するためにカンチレバーの加振条件を変えることは放電
等の問題で安易に行えない。
【0108】そこで、請求項14記載の発明の一実施例
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの静止状態の位置(図6のiの
位置)と二次共振によるカンチレバーの静止状態の位置
とがほぼ等しくなる位置に光源からの光スポツトを照射
し、或いはトンネル電流を検出するための電極を設け、
カンチレバーの振動振幅を測定するようにしたものであ
る。これにより、カンチレバーの振動信号における一次
共振と二次共振の振幅(信号の大きさ)をほぼ等しくす
ることができる。このため、最適なカンチレバー加振条
件のままで、カンチレバーの一次共振と二次共振の振動
信号をそれぞれのS/N比の点で不利にならないように
分離することができる。
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの静止状態の位置(図6のiの
位置)と二次共振によるカンチレバーの静止状態の位置
とがほぼ等しくなる位置に光源からの光スポツトを照射
し、或いはトンネル電流を検出するための電極を設け、
カンチレバーの振動振幅を測定するようにしたものであ
る。これにより、カンチレバーの振動信号における一次
共振と二次共振の振幅(信号の大きさ)をほぼ等しくす
ることができる。このため、最適なカンチレバー加振条
件のままで、カンチレバーの一次共振と二次共振の振動
信号をそれぞれのS/N比の点で不利にならないように
分離することができる。
【0109】なお、この実施例では、カンチレバーに生
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項14記載の発明を
適用することができる。
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項14記載の発明を
適用することができる。
【0110】したがって、請求項14記載の発明の各実
施例は、測定物に対向配置される探針を先端部に設けた
板バネとしてのカンチレバーを該板バネの非共振周波数
或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の何れか
で、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動させ、探針
に働く力により前記複数の振動の状態が各々変化するこ
とを光干渉法やトンネル電流法により振動変位測定手段
により検出することにより探針に働く力を検出し、これ
により測定物の状態を観察する上記各実施例等の力顕微
鏡において、板バネの複数の振動の各振幅が等しくなる
板バネ上の位置を上振動変位測定手段の測定点としてお
り、最適なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバ
ーの複数の振動の信号をそれぞれのS/N比の点で不利
にならないように分離することができる。
施例は、測定物に対向配置される探針を先端部に設けた
板バネとしてのカンチレバーを該板バネの非共振周波数
或いは一次共振周波数或いは高次共振周波数の何れか
で、かつ、互いに異なる複数の周波数で振動させ、探針
に働く力により前記複数の振動の状態が各々変化するこ
とを光干渉法やトンネル電流法により振動変位測定手段
により検出することにより探針に働く力を検出し、これ
により測定物の状態を観察する上記各実施例等の力顕微
鏡において、板バネの複数の振動の各振幅が等しくなる
板バネ上の位置を上振動変位測定手段の測定点としてお
り、最適なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバ
ーの複数の振動の信号をそれぞれのS/N比の点で不利
にならないように分離することができる。
【0111】次に、請求項15記載の発明の実施例につ
いて図6を用いて明する。ヘテロダイン光干渉法では、
力顕微鏡において、カンチレバーの表面の速度を速度検
出手段により測定する。従って、この速度が最も大きい
所に光源からの光スポツトを照射すれば、大きな感度を
得ることができる。カンチレバーの一次共振を利用した
場合は、カンチレバー58の先端において速度が最大で
あるので、速度検出手段によりカンチレバー58の先端
の速度を検出すれば最大の感度が得られる。
いて図6を用いて明する。ヘテロダイン光干渉法では、
力顕微鏡において、カンチレバーの表面の速度を速度検
出手段により測定する。従って、この速度が最も大きい
所に光源からの光スポツトを照射すれば、大きな感度を
得ることができる。カンチレバーの一次共振を利用した
場合は、カンチレバー58の先端において速度が最大で
あるので、速度検出手段によりカンチレバー58の先端
の速度を検出すれば最大の感度が得られる。
【0112】しかし、高次共振を利用する場合は、カン
チレバー58の先端の速度を検出しても最大の感度は得
られない。カンチレバー58の二次共振を利用する場合
は、図6(c)のdにおいてカンチレバー58の速度は
最大となる。従って、ここの速度を速度検出手段で検出
することにより最大の感度を得ることができる。また、
カンチレバー58の三次共振を利用する場合は、図6
(d)のe、fにおいてカンチレバー58の速度は最大
となるから、ここの速度を速度検出手段で検出すること
により最大の感度を得ることができる。
チレバー58の先端の速度を検出しても最大の感度は得
られない。カンチレバー58の二次共振を利用する場合
は、図6(c)のdにおいてカンチレバー58の速度は
最大となる。従って、ここの速度を速度検出手段で検出
することにより最大の感度を得ることができる。また、
カンチレバー58の三次共振を利用する場合は、図6
(d)のe、fにおいてカンチレバー58の速度は最大
となるから、ここの速度を速度検出手段で検出すること
により最大の感度を得ることができる。
【0113】一般に、図6のd、e、fの点はカンチレ
バー58の腹という。このように、高次共振状態のカン
チレバー58の腹の速度を速度検出手段で検出すること
により最大の感度を得ることができる。そこで、請求項
15記載の発明の各実施例は、上記各実施例において、
それぞれカンチレバー11、26が高次共振する時の腹
の位置の速度をヘテロダイン光干渉法により速度検出手
段で検出するようにしたものであり、最大の感度を得る
ことができる。
バー58の腹という。このように、高次共振状態のカン
チレバー58の腹の速度を速度検出手段で検出すること
により最大の感度を得ることができる。そこで、請求項
15記載の発明の各実施例は、上記各実施例において、
それぞれカンチレバー11、26が高次共振する時の腹
の位置の速度をヘテロダイン光干渉法により速度検出手
段で検出するようにしたものであり、最大の感度を得る
ことができる。
【0114】このように、請求項15記載の発明の実施
例は、測定物13,28に対向配置される探針12,2
7を先端部に設けた板バネとしてのカンチレバー11,
26を該板バネ11,26の高次共振周波数により振動
させ、振動状態における板バネ11,26の振動速度を
測定するための振動速度測定手段により板バネ11,2
6の振動状態を検出し、探針12,27に働く力による
振動状態の変化から探針12,27に働く力を検出し、
これにより測定物13,28の状態を観察する力顕微鏡
において、板バネ11,26が高次共振する時の腹を上
記振動速度測定手段の測定点としたので、カンチレバー
の振動を表わす信号の振幅をカンチレバーの最適な加振
条件を変えることなく最大にすることができ、振動信号
のS/Nを向上させることができて信号処理上有利にな
る。
例は、測定物13,28に対向配置される探針12,2
7を先端部に設けた板バネとしてのカンチレバー11,
26を該板バネ11,26の高次共振周波数により振動
させ、振動状態における板バネ11,26の振動速度を
測定するための振動速度測定手段により板バネ11,2
6の振動状態を検出し、探針12,27に働く力による
振動状態の変化から探針12,27に働く力を検出し、
これにより測定物13,28の状態を観察する力顕微鏡
において、板バネ11,26が高次共振する時の腹を上
記振動速度測定手段の測定点としたので、カンチレバー
の振動を表わす信号の振幅をカンチレバーの最適な加振
条件を変えることなく最大にすることができ、振動信号
のS/Nを向上させることができて信号処理上有利にな
る。
【0115】次に、請求項16記載の発明の実施例につ
いて説明する。請求項16記載の発明は、力顕微鏡にお
いて、試料の状態を測定するための最適な条件で2つ以
上の周波数でカンチレバーを振動させる場合に適用され
る。例えば、カンチレバーに一次共振と二次共振を生じ
させて測定を行う場合を考える。前述のようにカンチレ
バーの振動を捉えた信号の内、一次共振の振幅(信号の
大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方が、それぞれ
のS/N比の点で不利にならない。しかし、これを実現
するためにカンチレバーの加振条件を変えることは放電
等の問題で安易に行えない。
いて説明する。請求項16記載の発明は、力顕微鏡にお
いて、試料の状態を測定するための最適な条件で2つ以
上の周波数でカンチレバーを振動させる場合に適用され
る。例えば、カンチレバーに一次共振と二次共振を生じ
させて測定を行う場合を考える。前述のようにカンチレ
バーの振動を捉えた信号の内、一次共振の振幅(信号の
大きさ)と二次共振の振幅がほぼ等しい方が、それぞれ
のS/N比の点で不利にならない。しかし、これを実現
するためにカンチレバーの加振条件を変えることは放電
等の問題で安易に行えない。
【0116】そこで、請求項16記載の発明の一実施例
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの速度と二次共振によるカンチ
レバーの速度とがほぼ等しくなる位置に光源からの光ス
ポツトを照射し、ヘテロダイン光干渉法によりカンチレ
バーの振動速度を測定してカンチレバーの振動を検出す
るようにしたものである。これにより、カンチレバーの
振動信号における一次共振と二次共振の振幅(信号の大
きさ)をほぼ等しくすることができる。このため、最適
なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバーの一次
共振と二次共振の振動信号をそれぞれのS/N比の点で
不利にならないように分離することができる。
は、カンチレバーを一次共振と二次共振で振動させる上
記実施例において、所望のカンチレバー加振条件で一次
共振によるカンチレバーの速度と二次共振によるカンチ
レバーの速度とがほぼ等しくなる位置に光源からの光ス
ポツトを照射し、ヘテロダイン光干渉法によりカンチレ
バーの振動速度を測定してカンチレバーの振動を検出す
るようにしたものである。これにより、カンチレバーの
振動信号における一次共振と二次共振の振幅(信号の大
きさ)をほぼ等しくすることができる。このため、最適
なカンチレバー加振条件のままで、カンチレバーの一次
共振と二次共振の振動信号をそれぞれのS/N比の点で
不利にならないように分離することができる。
【0117】なお、この実施例では、カンチレバーに生
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項16記載の発明を
適用することができる。
ずる振動を一次共振と二次共振にしたが、カンチレバー
の振動は、非共振、一次共振、高次共振の内、周波数の
異なる振動の組み合わせであればよいので、一次共振と
二次共振に限定されるものではない。また、カンチレバ
ーに生ずる振動状態の数(例えば一次共振と二次共振と
非共振の振動が生じていたら振動状態の数は3つ)は2
つに限定されるものではなく、カンチレバーに生ずる振
動状態の数3つ以上の場合にも請求項16記載の発明を
適用することができる。
【0118】したがって、請求項16記載の発明の各実
施例は、測定物13,28に対向配置される探針12,
27を先端部に設けた板バネとしてのカンチレバー1
1,26を該板バネ11,26の非共振周波数或いは一
次共振周波数或いは高次共振周波数の何れかで、かつ、
互いに異なる複数の周波数で振動させ、探針12,27
に働く力により複数の振動の状態が各々変化することを
ヘテロダイン光干渉法により振動速度測定手段で検出す
ることにより探針12,27に働く力を検出し、これに
より測定物13,28の状態を観察する上記実施例等の
力顕微鏡において、板バネ11,26の複数の振動によ
る各振動速度が等しくなる板バネ11,26上の位置を
上記振動速度測定手段の測定点としており、最適なカン
チレバー加振条件のままで、カンチレバーの複数の振動
の信号をそれぞれのS/N比の点で不利にならないよう
に分離することができる。
施例は、測定物13,28に対向配置される探針12,
27を先端部に設けた板バネとしてのカンチレバー1
1,26を該板バネ11,26の非共振周波数或いは一
次共振周波数或いは高次共振周波数の何れかで、かつ、
互いに異なる複数の周波数で振動させ、探針12,27
に働く力により複数の振動の状態が各々変化することを
ヘテロダイン光干渉法により振動速度測定手段で検出す
ることにより探針12,27に働く力を検出し、これに
より測定物13,28の状態を観察する上記実施例等の
力顕微鏡において、板バネ11,26の複数の振動によ
る各振動速度が等しくなる板バネ11,26上の位置を
上記振動速度測定手段の測定点としており、最適なカン
チレバー加振条件のままで、カンチレバーの複数の振動
の信号をそれぞれのS/N比の点で不利にならないよう
に分離することができる。
【0119】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、測定物に対向配置される導電性探針を先端部に設け
たバネを、該バネに機械的に結合したアクチュエータに
より前記バネの機械的共振周波数で加振して前記バネに
第1振動を生じさせ、前記導電性探針に交流電圧を印加
することにより前記導電性探針と前記測定物との間に静
電引力を生じさせて該静電引力により前記バネに第2振
動を生じさせ、前記第1振動の振幅の減少から前記導電
性探針と前記測定物の表面との間の距離を測定し、前記
第2振動から前記測定物の表面電位を測定する表面電位
計及び形状測定器において、前記第2振動状態から、前
記第1振動より測定した前記導電性探針と前記測定物の
表面との間の距離の測定結果を補正する補正手段を備え
たので、測定物表面電位の測定物表面形状測定結果に対
する干渉を除去することができ、測定物表面形状測定結
果の誤差を大幅に減少させることができる。
ば、測定物に対向配置される導電性探針を先端部に設け
たバネを、該バネに機械的に結合したアクチュエータに
より前記バネの機械的共振周波数で加振して前記バネに
第1振動を生じさせ、前記導電性探針に交流電圧を印加
することにより前記導電性探針と前記測定物との間に静
電引力を生じさせて該静電引力により前記バネに第2振
動を生じさせ、前記第1振動の振幅の減少から前記導電
性探針と前記測定物の表面との間の距離を測定し、前記
第2振動から前記測定物の表面電位を測定する表面電位
計及び形状測定器において、前記第2振動状態から、前
記第1振動より測定した前記導電性探針と前記測定物の
表面との間の距離の測定結果を補正する補正手段を備え
たので、測定物表面電位の測定物表面形状測定結果に対
する干渉を除去することができ、測定物表面形状測定結
果の誤差を大幅に減少させることができる。
【0120】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の表面電位計及び形状測定器において、前記補正手段
は、前記第2振動の前記交流電圧周波数成分の振幅の自
乗と補正係数の積を前記第1振動振幅に加算することに
より前記導電性探針と前記測定物の表面との間の距離の
測定結果を補正するので、測定物表面電位の測定物表面
形状測定結果に対する干渉を除去することができ、測定
物表面形状測定結果の誤差を大幅に減少させることがで
きる。
載の表面電位計及び形状測定器において、前記補正手段
は、前記第2振動の前記交流電圧周波数成分の振幅の自
乗と補正係数の積を前記第1振動振幅に加算することに
より前記導電性探針と前記測定物の表面との間の距離の
測定結果を補正するので、測定物表面電位の測定物表面
形状測定結果に対する干渉を除去することができ、測定
物表面形状測定結果の誤差を大幅に減少させることがで
きる。
【0121】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性探
針と前記測定物の表面との間の距離を一定に制御する際
の目標値よりも前記導電性探針と前記測定物の表面との
間の距離が小さい時に前記補正が最適に行われるように
前記補正係数を定めたので、測定物の表面電位の表面形
状測定への干渉を低減しつつ、測定物の先端と測定物の
表面との間の距離の制御安定性を保ことができる。
載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性探
針と前記測定物の表面との間の距離を一定に制御する際
の目標値よりも前記導電性探針と前記測定物の表面との
間の距離が小さい時に前記補正が最適に行われるように
前記補正係数を定めたので、測定物の表面電位の表面形
状測定への干渉を低減しつつ、測定物の先端と測定物の
表面との間の距離の制御安定性を保ことができる。
【0122】請求項4記載の発明によれば、請求項2記
載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性探
針に交流電圧を印加することにより生ずる第2振動の前
記交流電圧周波数成分の2倍の周波数の成分の振幅から
前記補正係数を定める手段を備えたので、任意の導電性
探針と測定物の表面との間の距離に対して測定物の表面
電位の表面形状測定への干渉をほぼ完全に除去すること
ができるとともに、探針の先端と測定物の表面との間の
距離の制御の安定性を保つことができる。
載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性探
針に交流電圧を印加することにより生ずる第2振動の前
記交流電圧周波数成分の2倍の周波数の成分の振幅から
前記補正係数を定める手段を備えたので、任意の導電性
探針と測定物の表面との間の距離に対して測定物の表面
電位の表面形状測定への干渉をほぼ完全に除去すること
ができるとともに、探針の先端と測定物の表面との間の
距離の制御の安定性を保つことができる。
【0123】請求項5記載の発明によれば、請求項1,
2,3または4記載の表面電位計及び形状測定器におい
て、前記アクチュエータにより前記導電性探針を機械的
に加振する周波数を前記バネの一次及び高次の共振周波
数の何れかとし、前記導電性探針に印加する交流電圧の
周波数を前記導電性探針を機械的に加振する周波数とは
異なる前記バネの一次及び高次の共振周波数或いはこれ
ら共振周波数の2分の1以下の周波数としたので、バネ
の振動振幅を従来よりもはるかに大きくすることができ
て振動信号の処理上有利になるとともに、バネの交流電
圧による静電引力で生ずる振動と機械的加振による振動
とを分離して検出することができ、測定物の表面電位と
表面形状とを独立に測定することができる。
2,3または4記載の表面電位計及び形状測定器におい
て、前記アクチュエータにより前記導電性探針を機械的
に加振する周波数を前記バネの一次及び高次の共振周波
数の何れかとし、前記導電性探針に印加する交流電圧の
周波数を前記導電性探針を機械的に加振する周波数とは
異なる前記バネの一次及び高次の共振周波数或いはこれ
ら共振周波数の2分の1以下の周波数としたので、バネ
の振動振幅を従来よりもはるかに大きくすることができ
て振動信号の処理上有利になるとともに、バネの交流電
圧による静電引力で生ずる振動と機械的加振による振動
とを分離して検出することができ、測定物の表面電位と
表面形状とを独立に測定することができる。
【0124】請求項6記載の発明によれば、測定物に対
向配置される導電性探針を先端部に設けたバネを、前記
測定物と前記バネとの間に作用する静電引力により変形
させ、該バネの変形により前記測定物と前記バネとの間
に作用する静電引力を検出して前記測定物の電位と形状
の何れか一方或いは両方を測定するようにした表面電位
計及び形状測定器において、前記バネの一次及び高次の
共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何
れかの周波数の第1交流電圧と、前記バネの一次及び高
次の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数
の何れかの周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電
圧とを重畳させた電圧を前記導電性探針に印加する電圧
印加手段と、前記第1交流電圧による前記導電性探針と
前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネの第
1振動の振幅から前記測定物の電位を測定する表面電位
測定手段と、前記第2交流電圧による前記導電性探針と
前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネの第
2振動の振幅から前記測定物の形状を測定する形状測定
手段とを備えたので、バネの共振周波数の変動に無関係
に安定して試料の表面電位と表面形状を測定することが
できる。
向配置される導電性探針を先端部に設けたバネを、前記
測定物と前記バネとの間に作用する静電引力により変形
させ、該バネの変形により前記測定物と前記バネとの間
に作用する静電引力を検出して前記測定物の電位と形状
の何れか一方或いは両方を測定するようにした表面電位
計及び形状測定器において、前記バネの一次及び高次の
共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何
れかの周波数の第1交流電圧と、前記バネの一次及び高
次の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数
の何れかの周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電
圧とを重畳させた電圧を前記導電性探針に印加する電圧
印加手段と、前記第1交流電圧による前記導電性探針と
前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネの第
1振動の振幅から前記測定物の電位を測定する表面電位
測定手段と、前記第2交流電圧による前記導電性探針と
前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネの第
2振動の振幅から前記測定物の形状を測定する形状測定
手段とを備えたので、バネの共振周波数の変動に無関係
に安定して試料の表面電位と表面形状を測定することが
できる。
【0125】請求項7記載の発明によれば、請求項6記
載の表面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加
手段が前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交
流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が
零もしくは一定値になるように前記直流電圧を可変する
電位制御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段
と、前記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変す
るアクチュエータを有し前記第2交流電圧による前記導
電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前
記バネの第2振動の振幅が一定値になるように前記アク
チュエータを制御して前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエー
タの変位量を測定する変位量測定手段とを備えたので、
バネの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の表面
電位と表面形状を測定することができる。
載の表面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加
手段が前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交
流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が
零もしくは一定値になるように前記直流電圧を可変する
電位制御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段
と、前記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変す
るアクチュエータを有し前記第2交流電圧による前記導
電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前
記バネの第2振動の振幅が一定値になるように前記アク
チュエータを制御して前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエー
タの変位量を測定する変位量測定手段とを備えたので、
バネの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の表面
電位と表面形状を測定することができる。
【0126】請求項8記載の発明によれば、請求項1,
2,3,4,5,6または7記載の表面電位計及び形状
測定器において、前記導電性探針に印加すべき電圧を測
定物の導電性基板に印加し、前記導電性探針の電位を基
準電位としたので、請求項1,2,3,4,5,6また
は7記載の表面電位計及び形状測定器と同様な効果が得
られる。
2,3,4,5,6または7記載の表面電位計及び形状
測定器において、前記導電性探針に印加すべき電圧を測
定物の導電性基板に印加し、前記導電性探針の電位を基
準電位としたので、請求項1,2,3,4,5,6また
は7記載の表面電位計及び形状測定器と同様な効果が得
られる。
【0127】請求項9記載の発明によれば、請求項1,
2,3,4,5,6または7記載の表面電位計及び形状
測定器において、交流電圧と直流電圧の内のいずれか1
つ或いは前記第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電
圧の内のいずれか2つを前記導電性探針に印加し、残り
の1つを前記測定物に印加する電圧印加手段を有するの
で、請求項1,2,3,4,5,6または7記載の表面
電位計及び形状測定器と同様な効果が得られる。
2,3,4,5,6または7記載の表面電位計及び形状
測定器において、交流電圧と直流電圧の内のいずれか1
つ或いは前記第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電
圧の内のいずれか2つを前記導電性探針に印加し、残り
の1つを前記測定物に印加する電圧印加手段を有するの
で、請求項1,2,3,4,5,6または7記載の表面
電位計及び形状測定器と同様な効果が得られる。
【0128】請求項10記載の発明によれば、請求項6
または7記載の表面電位計及び形状測定器において、前
記第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のい
ずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つ
を前記導電性探針に印加する電圧印加手段を有するの
で、請求項6または7記載の表面電位計及び形状測定器
と同様な効果が得られる。
または7記載の表面電位計及び形状測定器において、前
記第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のい
ずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つ
を前記導電性探針に印加する電圧印加手段を有するの
で、請求項6または7記載の表面電位計及び形状測定器
と同様な効果が得られる。
【0129】請求項11記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の共振周波数により振動させ、前記探針に働く力により
前記板バネの高次共振振動状態が変化することを光てこ
法により検出することで前記探針に働く力を検出し、こ
れにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡におい
て、前記板バネが高次共振する時の節に前記光てこ法の
光を照射するので、板バネの複数の振動の信号の振幅を
板バネの最適な加振条件を変えることなく最大にするこ
とができ、振動信号のS/Nを向上させることができて
信号処理上有利になる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の共振周波数により振動させ、前記探針に働く力により
前記板バネの高次共振振動状態が変化することを光てこ
法により検出することで前記探針に働く力を検出し、こ
れにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡におい
て、前記板バネが高次共振する時の節に前記光てこ法の
光を照射するので、板バネの複数の振動の信号の振幅を
板バネの最適な加振条件を変えることなく最大にするこ
とができ、振動信号のS/Nを向上させることができて
信号処理上有利になる。
【0130】請求項12記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを光てこ法により検出することで前
記探針に働く力を検出し、これにより前記測定物の状態
を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複数の振動
による各曲がり角が等しくなる前記板バネ上の位置に前
記光てこ法の光を照射するので、最適な板バネ加振条件
のままで、板バネの一次共振と二次共振の振動信号をそ
れぞれのS/N比の点で不利にならないように分離する
ことができる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを光てこ法により検出することで前
記探針に働く力を検出し、これにより前記測定物の状態
を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複数の振動
による各曲がり角が等しくなる前記板バネ上の位置に前
記光てこ法の光を照射するので、最適な板バネ加振条件
のままで、板バネの一次共振と二次共振の振動信号をそ
れぞれのS/N比の点で不利にならないように分離する
ことができる。
【0131】請求項13記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の高次共振周波数により振動させ、この板バネの振動状
態における変位を測定するための振動変位測定手段によ
り前記板バネの振動状態を検出し、前記探針に働く力に
よる振動状態の変化から前記探針に働く力を検出し、こ
れにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡におい
て、前記板バネが高次共振する時の腹を前記振動変位測
定手段の測定点としたので、板バネの複数の振動の信号
の振幅を板バネの最適な加振条件を変えることなく最大
にすることができ、振動信号のS/Nを向上させること
ができて信号処理上有利になる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の高次共振周波数により振動させ、この板バネの振動状
態における変位を測定するための振動変位測定手段によ
り前記板バネの振動状態を検出し、前記探針に働く力に
よる振動状態の変化から前記探針に働く力を検出し、こ
れにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡におい
て、前記板バネが高次共振する時の腹を前記振動変位測
定手段の測定点としたので、板バネの複数の振動の信号
の振幅を板バネの最適な加振条件を変えることなく最大
にすることができ、振動信号のS/Nを向上させること
ができて信号処理上有利になる。
【0132】請求項14記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを振動変位測定手段により検出する
ことで前記探針に働く力を検出し、これにより前記測定
物の状態を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複
数の振動の各振幅が等しくなる前記板バネ上の位置を前
記振動変位測定手段の測定点としたので、最適な板バネ
加振条件のままで、板バネの複数の振動の信号をそれぞ
れのS/N比の点で不利にならないように分離すること
ができる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを振動変位測定手段により検出する
ことで前記探針に働く力を検出し、これにより前記測定
物の状態を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複
数の振動の各振幅が等しくなる前記板バネ上の位置を前
記振動変位測定手段の測定点としたので、最適な板バネ
加振条件のままで、板バネの複数の振動の信号をそれぞ
れのS/N比の点で不利にならないように分離すること
ができる。
【0133】請求項15記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の高次共振周波数により振動させ、振動状態における前
記板バネの振動速度を測定するための振動速度測定手段
により前記板バネの振動状態を検出し、前記探針に働く
力による振動状態の変化から前記探針に働く力を検出
し、これにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡に
おいて、前記板バネが高次共振する時の腹を前記振動速
度測定手段の測定点としたので、板バネの振動を表わす
信号の振幅を板バネの最適な加振条件を変えることなく
最大にすることができ、振動信号のS/Nを向上させる
ことができて信号処理上有利になる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の高次共振周波数により振動させ、振動状態における前
記板バネの振動速度を測定するための振動速度測定手段
により前記板バネの振動状態を検出し、前記探針に働く
力による振動状態の変化から前記探針に働く力を検出
し、これにより前記測定物の状態を観察する力顕微鏡に
おいて、前記板バネが高次共振する時の腹を前記振動速
度測定手段の測定点としたので、板バネの振動を表わす
信号の振幅を板バネの最適な加振条件を変えることなく
最大にすることができ、振動信号のS/Nを向上させる
ことができて信号処理上有利になる。
【0134】請求項16記載の発明によれば、測定物に
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを振動速度測定手段により検出する
ことで前記探針に働く力を検出し、これにより前記測定
物の状態を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複
数の振動による各振動速度が等しくなる前記板バネ上の
位置を前記振動速度測定手段の測定点としたので、最適
な板バネ加振条件のままで、板バネの複数の振動の信号
をそれぞれのS/N比の点で不利にならないように分離
することができる。
対向配置される探針を先端部に設けた板バネを該板バネ
の非共振周波数或いは一次共振周波数或いは高次共振周
波数の何れかで、かつ、互いに異なる複数の周波数で振
動させ、前記探針に働く力により前記複数の振動の状態
が各々変化することを振動速度測定手段により検出する
ことで前記探針に働く力を検出し、これにより前記測定
物の状態を観察する力顕微鏡において、前記板バネの複
数の振動による各振動速度が等しくなる前記板バネ上の
位置を前記振動速度測定手段の測定点としたので、最適
な板バネ加振条件のままで、板バネの複数の振動の信号
をそれぞれのS/N比の点で不利にならないように分離
することができる。
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例の一部を拡大して示す概略
図である。
図である。
【図3】本発明の第3実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施例を示すブロック図である。
【図5】請求項11記載の発明の実施例等を説明するた
めの図である。
めの図である。
【図6】請求項13記載の発明の実施例等を説明するた
めの図である。
めの図である。
【図7】従来の力顕微鏡の一例を示すブロック図であ
る。
る。
【図8】同力顕微鏡の一部を示すブロック図である。
【図9】従来の力顕微鏡の他の例を示すブロック図であ
る。
る。
【図10】従来の力顕微鏡を説明するための図である。
11,26,57,58 カンチレバー 12,27 導電性探針 13,28 試料 14 圧電素子 15,16,29,30 交流電源 17 直流電源 18,33 導電性基板 19,34 光源 20,35 受光素子 21,22,37,38,55 ロックインアンプ 23 電圧フィードバック回路 24 Zサーボ回路 25 スキャナ 31,54 加算器 32,53 アンプ 36 プリアンプ 39,42 積分器 41 基準電圧源 43 Z軸アクチュエータ 51 絶縁体 52 自乗器 55 補正係数決定手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月14日(2001.6.1
4)
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 表面電位計及び形状測定器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面電位計及び形状測定
器に関する。
器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、走査型力顕微鏡としては、走査型
プローブ顕微鏡セミナーテキスト(セイコー電子工業株
式会社、1994年6月)に記載されているものが知ら
れており、図2にその構成を示す。この力顕微鏡は、一
般的にKFM(Kelvin Force Microscope)と呼ばれるも
ので、試料(測定物)の表面電位分布(表面電位像)と
試料の表面形状(トポ像)を同時かつ独立に測定するこ
とができて表面電位計及び形状測定器として用いること
ができる。導電性カンチレバー11の先端には導電性探
針12が取り付けられ、この導電性探針12は試料13
に対向配置される。圧電素子14は交流電源15から交
流電圧Vr・sinωrtが印加されて導電性カンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
プローブ顕微鏡セミナーテキスト(セイコー電子工業株
式会社、1994年6月)に記載されているものが知ら
れており、図2にその構成を示す。この力顕微鏡は、一
般的にKFM(Kelvin Force Microscope)と呼ばれるも
ので、試料(測定物)の表面電位分布(表面電位像)と
試料の表面形状(トポ像)を同時かつ独立に測定するこ
とができて表面電位計及び形状測定器として用いること
ができる。導電性カンチレバー11の先端には導電性探
針12が取り付けられ、この導電性探針12は試料13
に対向配置される。圧電素子14は交流電源15から交
流電圧Vr・sinωrtが印加されて導電性カンチレバー
11の固定端に導電性カンチレバー11の共振周波数ω
rの振動を与え、導電性カンチレバー11が共振周波数
ωrで振動する。
【0003】また、交流電源16からのカンチレバー1
1の非共振周波数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電
源17からの直流オフセット電圧Voffとを重畳した電
圧が試料13のベースとなる導電性基板18に印加され
てカンチレバー11の先端の探針12と試料13の表面
との間に静電引力が発生し、この静電引力によりカンチ
レバー11に周波数ωの振動が生ずる。このカンチレバ
ー11の振動はレーザダイオードからなる光源19と2
分割フォトダイオードからなる受光素子20により光て
こ法で検出され、つまり、光源19からカンチレバー1
1にレーザ光が照射されてその反射光が受光素子20に
より受光されてその反射光が2分割フォトダイオード2
0に照射される位置が検出される。これによりカンチレ
バー11の振動を検出できる。
1の非共振周波数ωの交流電圧VAC・sinωtと直流電
源17からの直流オフセット電圧Voffとを重畳した電
圧が試料13のベースとなる導電性基板18に印加され
てカンチレバー11の先端の探針12と試料13の表面
との間に静電引力が発生し、この静電引力によりカンチ
レバー11に周波数ωの振動が生ずる。このカンチレバ
ー11の振動はレーザダイオードからなる光源19と2
分割フォトダイオードからなる受光素子20により光て
こ法で検出され、つまり、光源19からカンチレバー1
1にレーザ光が照射されてその反射光が受光素子20に
より受光されてその反射光が2分割フォトダイオード2
0に照射される位置が検出される。これによりカンチレ
バー11の振動を検出できる。
【0004】受光素子20の出力信号は2台のロックイ
ンアンプ21,22に入力され、ロックインアンプ2
1,22はそれぞれ交流電源15、16からの交流電圧
Vrsinωrt、VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動のω成分の振幅Aωとωr成分の振幅
Aωrを分離増幅する。電圧フィードバック回路23は
振幅Aωの分離増幅を行うロックインアンプ21の出力
信号により直流電源17を制御して直流オフセット電圧
Voffを制御し、電圧フィードバック回路23の直流オ
フセット電圧Voffに対する制御量が試料13の表面電
位Vsの測定結果として出力される。ここに、交流電源
16から試料13に印加する交流電圧の周波数はカンチ
レバー11の共振周波数の1/2以下にしている。
ンアンプ21,22に入力され、ロックインアンプ2
1,22はそれぞれ交流電源15、16からの交流電圧
Vrsinωrt、VACsinωtを参照信号として受光素子2
0の出力信号を位相検波して増幅することによりカンチ
レバー11の振動のω成分の振幅Aωとωr成分の振幅
Aωrを分離増幅する。電圧フィードバック回路23は
振幅Aωの分離増幅を行うロックインアンプ21の出力
信号により直流電源17を制御して直流オフセット電圧
Voffを制御し、電圧フィードバック回路23の直流オ
フセット電圧Voffに対する制御量が試料13の表面電
位Vsの測定結果として出力される。ここに、交流電源
16から試料13に印加する交流電圧の周波数はカンチ
レバー11の共振周波数の1/2以下にしている。
【0005】また、Zサーボ回路24は、試料13をZ
軸方向に駆動してカンチレバー11の探針12と試料1
3との間の距離を可変するZ軸アクチュエータを有し、
振幅Aωrを分離増幅するロックインアンプ22の出力
信号によりZ軸アクチュエータを制御することで探針1
2と試料13との間の距離を制御する。スキャナ25は
試料13をZ軸と直角な方向に走査し、Zサーボ回路2
4のZ軸アクチュエータに対する制御量が試料13の表
面形状(いわゆるトポ像:TOPOGRAPHY)の測定結果とし
て出力される。
軸方向に駆動してカンチレバー11の探針12と試料1
3との間の距離を可変するZ軸アクチュエータを有し、
振幅Aωrを分離増幅するロックインアンプ22の出力
信号によりZ軸アクチュエータを制御することで探針1
2と試料13との間の距離を制御する。スキャナ25は
試料13をZ軸と直角な方向に走査し、Zサーボ回路2
4のZ軸アクチュエータに対する制御量が試料13の表
面形状(いわゆるトポ像:TOPOGRAPHY)の測定結果とし
て出力される。
【0006】次に、図3を用いてこの力顕微鏡の動作原
理を詳しく説明する。カンチレバー11には、圧電素子
14によりカンチレバー11を機械的に加振する力Fvi
bと、探針12に印加される電圧により生ずる静電引力
Fesと、試料13の表面と探針12との間に働くファン
・デル・ワールス力Fvdwという3つの力が働く。カン
チレバー11はFvibにより共振振動する。また、Fes
は次の(1)式で表わされる。
理を詳しく説明する。カンチレバー11には、圧電素子
14によりカンチレバー11を機械的に加振する力Fvi
bと、探針12に印加される電圧により生ずる静電引力
Fesと、試料13の表面と探針12との間に働くファン
・デル・ワールス力Fvdwという3つの力が働く。カン
チレバー11はFvibにより共振振動する。また、Fes
は次の(1)式で表わされる。
【0007】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)V2・・・(1) ここで、Cは探針12と試料13のベース18との間の
静電容量、Zは探針12と試料13のベース18との間
の距離であり、Vは次の(2)式で表わされる。 V=(Vs+Voff)+VACsinωt・・・(2) したがって、Fesは次の(3)式で表わされる。
静電容量、Zは探針12と試料13のベース18との間
の距離であり、Vは次の(2)式で表わされる。 V=(Vs+Voff)+VACsinωt・・・(2) したがって、Fesは次の(3)式で表わされる。
【0008】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)[{(Vs+Voff)2+VAC2/2}+2(Vs+ Voff)VACsinωt−(VAC2/2)cos2ωt]・・・(3) また、Fvdwは次の(4)式で表わされる。 Fvdw=−H/Z6・・・(4) ここで、HはHamaker定数である。探針12と試料13
の表面との間に働く力Fは次の(5)式で表わされる。
の表面との間に働く力Fは次の(5)式で表わされる。
【0009】F=Fvdw+Fes・・・(5) カンチレバー11は、Fvibにより共振振動している
が、探針12と試料13の表面との間に働く直流成分の
力により共振周波数がずれる。しかし、カンチレバー1
1は、圧電素子14により周波数ωrで強制振動してい
るので、その振動振幅が上記直流成分の力により小さく
なる。このカンチレバー11の自由振動時の振動振幅か
らの減少分をΔAとすると、これは次の(6)式で表わさ
れる。
が、探針12と試料13の表面との間に働く直流成分の
力により共振周波数がずれる。しかし、カンチレバー1
1は、圧電素子14により周波数ωrで強制振動してい
るので、その振動振幅が上記直流成分の力により小さく
なる。このカンチレバー11の自由振動時の振動振幅か
らの減少分をΔAとすると、これは次の(6)式で表わさ
れる。
【0010】 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}(∂F/∂Z) =−{2A0Q/(K・3√3)}[H/Z7+(1/2)(∂2C/∂Z2){( Vs+Voff)2+VAC2/2}]・・・(6) ここで、A0はカンチレバー11の自由振動時の振動振
幅、Kはカンチレバー11のバネ定数、Qは共振特性の
Q値である。実際の試料13の表面電位測定はファン・
デル・ワールス力が及ばない距離Zで行われるので、Δ
Aは次の(7)式のようになる。
幅、Kはカンチレバー11のバネ定数、Qは共振特性の
Q値である。実際の試料13の表面電位測定はファン・
デル・ワールス力が及ばない距離Zで行われるので、Δ
Aは次の(7)式のようになる。
【0011】 ΔA=−{2A0Q/(K・3√3)}[(1/2)(∂2C/∂Z2){(Vs+Voff )2+VAC2/2}]・・・(7) Vs+Voffは次に述べるように電圧フィードバック回路
23による帰還制御により0に保たれ、A0、K、Q、
VACは一定である。また、Zサーボ回路24がΔAが一
定になるようにZ軸アクチュエータを制御するから、ト
ポ像は(∂2C/∂Z2)が一定の像を与える。試料13
の絶縁膜の容量がカンチレバー11先端の探針12と試
料13の表面との間の容量よりも十分に大きければ、ト
ポ像は試料13の表面形状を示す。
23による帰還制御により0に保たれ、A0、K、Q、
VACは一定である。また、Zサーボ回路24がΔAが一
定になるようにZ軸アクチュエータを制御するから、ト
ポ像は(∂2C/∂Z2)が一定の像を与える。試料13
の絶縁膜の容量がカンチレバー11先端の探針12と試
料13の表面との間の容量よりも十分に大きければ、ト
ポ像は試料13の表面形状を示す。
【0012】一方、カンチレバー11の振動のω成分の
振幅Aωは次の(8)で表わされる。
振幅Aωは次の(8)で表わされる。
【0013】 Aω=−(∂C/∂Z)(Vs+Voff)VAC・・・(8) 従って、Aω=0となるようにVoffを制御することに
より(∂C/∂Z)に関係なくVoffの値から試料13の
表面電位Vsを測定することができる。このようにして
試料13の表面電位Vsと形状を同時に測定することが
できる。
より(∂C/∂Z)に関係なくVoffの値から試料13の
表面電位Vsを測定することができる。このようにして
試料13の表面電位Vsと形状を同時に測定することが
できる。
【0014】また、図4に示すような表面電位計及び形
状測定器としての力顕微鏡が提案されている。この力顕
微鏡では、導電性カンチレバー26の先端には導電性探
針27が取り付けられ、この導電性探針27は試料28
に対向配置される。交流電源29からの交流電圧VA・s
inωact、交流電源30からの交流電圧VB・sin(ωac
t/2)及び直流電圧Vbは加算器31で加算されてアン
プ32を介してカンチレバー26に印加され、カンチレ
バー26先端の探針27と試料28の表面との間に静電
引力Fesが働いてカンチレバー26が振動する。
状測定器としての力顕微鏡が提案されている。この力顕
微鏡では、導電性カンチレバー26の先端には導電性探
針27が取り付けられ、この導電性探針27は試料28
に対向配置される。交流電源29からの交流電圧VA・s
inωact、交流電源30からの交流電圧VB・sin(ωac
t/2)及び直流電圧Vbは加算器31で加算されてアン
プ32を介してカンチレバー26に印加され、カンチレ
バー26先端の探針27と試料28の表面との間に静電
引力Fesが働いてカンチレバー26が振動する。
【0015】このカンチレバー26の振動はレーザダイ
オードからなる光源34とフォトダイオードからなる受
光素子35により光てこ法で検出され、つまり、光源3
4からカンチレバー26に光が照射されてその反射光が
受光素子35により受光されてその反射光が2分割フォ
トダイオード20に照射される位置が検出される。これ
によりカンチレバー11の振動を検出できる。受光素子
35の出力信号はプリアンプ36を介してロックインア
ンプ37、38に入力される。探針27と試料28の表
面との間の電圧をVとすると、静電引力Fesは次の(9)
式で表わされる。
オードからなる光源34とフォトダイオードからなる受
光素子35により光てこ法で検出され、つまり、光源3
4からカンチレバー26に光が照射されてその反射光が
受光素子35により受光されてその反射光が2分割フォ
トダイオード20に照射される位置が検出される。これ
によりカンチレバー11の振動を検出できる。受光素子
35の出力信号はプリアンプ36を介してロックインア
ンプ37、38に入力される。探針27と試料28の表
面との間の電圧をVとすると、静電引力Fesは次の(9)
式で表わされる。
【0016】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)V2・・・(9) ここで、Cは探針27と試料28のベースとなる導電性
基板33との間の静電容量、Zは探針27と試料28の
ベース33との間の距離である。試料28の表面電位を
Vsとすると、Vは次の(10)式で表わされる。 V=Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2)・・・(10) したがって、Fesは次の(11)式で表わされる。
基板33との間の静電容量、Zは探針27と試料28の
ベース33との間の距離である。試料28の表面電位を
Vsとすると、Vは次の(10)式で表わされる。 V=Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2)・・・(10) したがって、Fesは次の(11)式で表わされる。
【0017】 Fes=−(1/2)(∂C/∂Z){Vb−Vs+VAsinωact+VBsin(ωact/2 )}2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+VA2/2+VB2/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(VB2/2)sin(ωact−π/2)+2(Vb −Vs)VAsinωact} −(1/2)(∂C/∂Z){(VA2/2)sin(2ωact−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z){2(Vb−Vs)VBsin(ωact/2)+VAVBsi n(ωact/2+π/2)} −(1/2)(∂C/∂Z){VAVBsin(3ωact/2+π/2)} ・・・(11) ωacをカンチレバー26の共振周波数ω0とすれば、カ
ンチレバー26は次の(12)式で表わされるFesのωac成
分Fesωacにより共振する。
ンチレバー26は次の(12)式で表わされるFesのωac成
分Fesωacにより共振する。
【0018】 Fesωac=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsinωact+(1/4)VB2sin(ωac t−π/2)}・・・(12) したがって、Fesωacによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力信号vは次の(13)式
で表わされる。 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ)+(1/4)VB2sin (ωact−π/2+φ)} =−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ1)+(1/4)VB2sin (ωact+φ2)}・・・(13) ただし、aは比例定数であり、 φ1=φ・・・(14) φ2=−π/2+φ・・・(15) である。φは力Fesωacの位相と、Fesωacにより生ず
るカンチレバー26の共振振動との間の位相差である。
の振動を示すプリアンプ36の出力信号vは次の(13)式
で表わされる。 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ)+(1/4)VB2sin (ωact−π/2+φ)} =−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)VAsin(ωact+φ1)+(1/4)VB2sin (ωact+φ2)}・・・(13) ただし、aは比例定数であり、 φ1=φ・・・(14) φ2=−π/2+φ・・・(15) である。φは力Fesωacの位相と、Fesωacにより生ず
るカンチレバー26の共振振動との間の位相差である。
【0019】(13)式の括弧の中の第1項は周波数ω0の
第1交流電圧により生ずるカンチレバー26の振動を表
わし、その位相φ1は交流電源29からカンチレバー2
6に印加している第1交流電圧の位相を基準にしてい
る。この位相φ1は交流電源29からロックインアンプ
37に与えられる参照信号を基準としている。(13)式の
括弧の中の第2項は周波数ω0/2の第2交流電圧によ
り生ずるカンチレバー26の振動を表わし、その位相φ
2は交流電源30からカンチレバー26に印加している
第2交流電圧の位相を基準にしている。この位相φ2は
交流電源30からロックインアンプ38に与えられる参
照信号を基準としている。また、第1交流電圧と第2交
流電圧は位相が一致している。ロックインアンプ37、
38はプリアンプ36の出力信号を交流電源29、30
からの参照信号により位相φ1、φ2で位相検波して増
幅する。
第1交流電圧により生ずるカンチレバー26の振動を表
わし、その位相φ1は交流電源29からカンチレバー2
6に印加している第1交流電圧の位相を基準にしてい
る。この位相φ1は交流電源29からロックインアンプ
37に与えられる参照信号を基準としている。(13)式の
括弧の中の第2項は周波数ω0/2の第2交流電圧によ
り生ずるカンチレバー26の振動を表わし、その位相φ
2は交流電源30からカンチレバー26に印加している
第2交流電圧の位相を基準にしている。この位相φ2は
交流電源30からロックインアンプ38に与えられる参
照信号を基準としている。また、第1交流電圧と第2交
流電圧は位相が一致している。ロックインアンプ37、
38はプリアンプ36の出力信号を交流電源29、30
からの参照信号により位相φ1、φ2で位相検波して増
幅する。
【0020】また、asin(ωt+φ)なる交流信号を位
相θでロックインアンプにより位相検波して増幅した時
の出力Vは V=(A/2){cos(−θ+ψ)−cos(−θ+ψ+π)}・・・(16) となる。ただし、Aは比例定数である。ここで、(13)式
を(16)式に当てはめると、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ+φ)−cos(−θ+ φ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ+φ−π /2)−cos(−θ+φ−π/2+π)}・・・(17) となる。
相θでロックインアンプにより位相検波して増幅した時
の出力Vは V=(A/2){cos(−θ+ψ)−cos(−θ+ψ+π)}・・・(16) となる。ただし、Aは比例定数である。ここで、(13)式
を(16)式に当てはめると、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ+φ)−cos(−θ+ φ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ+φ−π /2)−cos(−θ+φ−π/2+π)}・・・(17) となる。
【0021】ここで、ωacをカンチレバー26の機械的
共振周波数ω0と完全に一致させる(ωac=ω0とす
る)と、φ=−π/2である。これを(17)式に代入する
と、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2)−cos(− θ−π/2+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ −π/2−π/2)−cos(−θ−π/2−π/2+π)}・・・(18) となる。
共振周波数ω0と完全に一致させる(ωac=ω0とす
る)と、φ=−π/2である。これを(17)式に代入する
と、 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2)−cos(− θ−π/2+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos(−θ −π/2−π/2)−cos(−θ−π/2−π/2+π)}・・・(18) となる。
【0022】位相θ=θ1=−π/2でロックインアン
プ37によりプリアンプ36の出力vを検波・増幅すれ
ば、ロックインアンプ37の出力信号V1は(18)式に位
相θ=θ1=−π/2を代入したものとなる。また、位
相θ=θ2=−πでロックインアンプ38によりプリア
ンプ36の出力vを検波・増幅すれば、ロックインアン
プ38の出力信号V2は(18)式に位相θ=θ2=−πを
代入したものとなる。ロックインアンプ37、38の出
力信号V1、V2は次の(19)、(20)で表わされる。
プ37によりプリアンプ36の出力vを検波・増幅すれ
ば、ロックインアンプ37の出力信号V1は(18)式に位
相θ=θ1=−π/2を代入したものとなる。また、位
相θ=θ2=−πでロックインアンプ38によりプリア
ンプ36の出力vを検波・増幅すれば、ロックインアン
プ38の出力信号V2は(18)式に位相θ=θ2=−πを
代入したものとなる。ロックインアンプ37、38の出
力信号V1、V2は次の(19)、(20)で表わされる。
【0023】 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA・・・(19) V2=−(1/4)A2(∂C/∂Z)VB2・・・(20) ここで、A1、A2は比例定数である。以上のように(1
3)式の括弧内の第1項と第2項の振幅をロックインアン
プ37、38で分離することができる。ロックインアン
プ37の出力V1は積分器39により積分されて加算器
31に上記直流電圧Vbとして入力されてV1が0にな
るようにVbが制御され、(∂C/∂Z)に関係なくVbの
値から試料26の表面電位が測定できる。
3)式の括弧内の第1項と第2項の振幅をロックインアン
プ37、38で分離することができる。ロックインアン
プ37の出力V1は積分器39により積分されて加算器
31に上記直流電圧Vbとして入力されてV1が0にな
るようにVbが制御され、(∂C/∂Z)に関係なくVbの
値から試料26の表面電位が測定できる。
【0024】ロックインアンプ38の出力V2は、比較
器40により基準電圧源41の基準電圧と比較され、そ
の比較結果が積分器42により積分される。Z軸アクチ
ュエータ43は積分器42の出力信号により試料28を
駆動し、V2が一定になるように試料28と探針27と
の間の距離が制御される。したがって、トポ像(Z軸ア
クチュエータ43の制御電圧から得られる像)は(∂C
/∂Z)が一定の像となる。試料28の絶縁膜の容量が
探針27先端と試料28の表面との間の容量より十分に
大きければ、トポ像は試料28の表面形状を示す。この
ようにして試料28の表面電位と表面形状を同時に測定
することができる。
器40により基準電圧源41の基準電圧と比較され、そ
の比較結果が積分器42により積分される。Z軸アクチ
ュエータ43は積分器42の出力信号により試料28を
駆動し、V2が一定になるように試料28と探針27と
の間の距離が制御される。したがって、トポ像(Z軸ア
クチュエータ43の制御電圧から得られる像)は(∂C
/∂Z)が一定の像となる。試料28の絶縁膜の容量が
探針27先端と試料28の表面との間の容量より十分に
大きければ、トポ像は試料28の表面形状を示す。この
ようにして試料28の表面電位と表面形状を同時に測定
することができる。
【0025】また、上記力顕微鏡では、カンチレバーの
振動を検出する方法としてカンチレバーの曲がり傾斜角
度を検出する光てこ法を用いたが、カンチレバーの振動
時の変位を検出する光干渉法、カンチレバー背後に設け
た電極とカンチレバーとの間に流れるトンネル電流を検
出するトンネル電流法、カンチレバー振動時の速度を検
出するヘテロダイン光干渉法などを用いたものもある。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプローブと
なるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位置)
はカンチレバーの先端に設定されている。
振動を検出する方法としてカンチレバーの曲がり傾斜角
度を検出する光てこ法を用いたが、カンチレバーの振動
時の変位を検出する光干渉法、カンチレバー背後に設け
た電極とカンチレバーとの間に流れるトンネル電流を検
出するトンネル電流法、カンチレバー振動時の速度を検
出するヘテロダイン光干渉法などを用いたものもある。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプローブと
なるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位置)
はカンチレバーの先端に設定されている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上記図2に示す力顕微
鏡では、(7)式において、ΔAは(∂2C/∂Z2)と(V
s+Voff)の関数になっているが、Aω=0となるよう
にVoffを電圧フィードバック回路23で制御すること
により、Vs+Voff=0となり、ΔAは(∂2C/∂Z
2)のみの関数となる。これにより、試料13の表面形
状を測定できるとしているが、実際はAω=0とする帰
還には遅れがあり、Vs+Voff=0が成り立たない時間
がある。したがって、試料13の表面形状の測定結果に
対する干渉が実際には存在する。
鏡では、(7)式において、ΔAは(∂2C/∂Z2)と(V
s+Voff)の関数になっているが、Aω=0となるよう
にVoffを電圧フィードバック回路23で制御すること
により、Vs+Voff=0となり、ΔAは(∂2C/∂Z
2)のみの関数となる。これにより、試料13の表面形
状を測定できるとしているが、実際はAω=0とする帰
還には遅れがあり、Vs+Voff=0が成り立たない時間
がある。したがって、試料13の表面形状の測定結果に
対する干渉が実際には存在する。
【0027】しかし、この力顕微鏡の測定対象は、異種
金属間の接触電位差やLB(Langmuri Blodgett)上の表
面電位分布であり、表面電位がせいぜい100mV程度
の分布しかない。したがって、帰還の遅れにより、Vs
+Voff=100mVであったとしても、(Vs+Voff)
2は0.01V2である。一方、VACは通常5V程度で
あるから、VAC2/2=12.5[V2]である。VACは
一定であるから、(Vs+Voff)によるΔAの変動は、
0.1/12.5=0.08%であり、ほとんど問題に
ならない。
金属間の接触電位差やLB(Langmuri Blodgett)上の表
面電位分布であり、表面電位がせいぜい100mV程度
の分布しかない。したがって、帰還の遅れにより、Vs
+Voff=100mVであったとしても、(Vs+Voff)
2は0.01V2である。一方、VACは通常5V程度で
あるから、VAC2/2=12.5[V2]である。VACは
一定であるから、(Vs+Voff)によるΔAの変動は、
0.1/12.5=0.08%であり、ほとんど問題に
ならない。
【0028】ところが、この力顕微鏡により、電子写真
装置に用いられる感光体の表面電位分布を測定する場合
は事情が異なる。感光体の表面電位は通常1000V程
度であり、感光体の電位分布(測定領域中の表面電位の
範囲)も数百Vは存在する。したがって、帰還の遅れに
よる(Vs+Voff)の値も従来の試料の表面電位を測定す
る場合よりも大きくなる。仮に、帰還による遅れで(Vs
+Voff)が1000Vの1/100の10Vであったと
しよう。
装置に用いられる感光体の表面電位分布を測定する場合
は事情が異なる。感光体の表面電位は通常1000V程
度であり、感光体の電位分布(測定領域中の表面電位の
範囲)も数百Vは存在する。したがって、帰還の遅れに
よる(Vs+Voff)の値も従来の試料の表面電位を測定す
る場合よりも大きくなる。仮に、帰還による遅れで(Vs
+Voff)が1000Vの1/100の10Vであったと
しよう。
【0029】この時、(Vs+Voff)2=100[V2]と
なり、VAC2/2=12.5[V2]の8倍になってしま
う。したがって、試料の表面電位の測定結果に対する干
渉が大きく、トポ像の測定結果に対しても無視できない
測定誤差となる。これを解決する手段としては、VACを
大きくすることが考えられる。例えば、(Vs+Voff) 2
/(VAC2/2)=0.1%とするためには、VAC=4
47Vにしなければならない。一方、試料の表面電位分
布を少なくとも数十μmの分解能で測定するためには、
試料18の表面と探針13との間の距離を数十μm以下
にしなければならない。したがって、交流電源16から
探針13に印加する交流電圧が数百Vになると、探針1
3と試料18の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
となる。
なり、VAC2/2=12.5[V2]の8倍になってしま
う。したがって、試料の表面電位の測定結果に対する干
渉が大きく、トポ像の測定結果に対しても無視できない
測定誤差となる。これを解決する手段としては、VACを
大きくすることが考えられる。例えば、(Vs+Voff) 2
/(VAC2/2)=0.1%とするためには、VAC=4
47Vにしなければならない。一方、試料の表面電位分
布を少なくとも数十μmの分解能で測定するためには、
試料18の表面と探針13との間の距離を数十μm以下
にしなければならない。したがって、交流電源16から
探針13に印加する交流電圧が数百Vになると、探針1
3と試料18の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
となる。
【0030】以上のように上記力顕微鏡により高電圧な
表面電位分布を測定する場合には今まで無視できた誤差
が大きくなり、大きな問題となる。また、上記力顕微鏡
では、交流電源16から試料13に印加する交流電圧の
周波数はカンチレバー11の共振周波数の1/2以下に
している。従って、カンチレバー11は交流電源16か
ら試料13に交流電圧が印加されても共振振動を生じな
いので、その振動振幅は共振を使用した場合に比べて著
しく小さくて感度が悪い。
表面電位分布を測定する場合には今まで無視できた誤差
が大きくなり、大きな問題となる。また、上記力顕微鏡
では、交流電源16から試料13に印加する交流電圧の
周波数はカンチレバー11の共振周波数の1/2以下に
している。従って、カンチレバー11は交流電源16か
ら試料13に交流電圧が印加されても共振振動を生じな
いので、その振動振幅は共振を使用した場合に比べて著
しく小さくて感度が悪い。
【0031】そこで、交流電源16から試料13に印加
する交流電圧の周波数を、カンチレバー11を圧電素子
14で機械的に加振して共振させている共振周波数に設
定すると、受光素子20の出力信号からロックインアン
プ21,22でカンチレバー11の交流電圧による振動
と機械的加振による振動の各成分を分離することができ
ず、試料13の表面電位と表面形状を独立に測定するこ
とができない。
する交流電圧の周波数を、カンチレバー11を圧電素子
14で機械的に加振して共振させている共振周波数に設
定すると、受光素子20の出力信号からロックインアン
プ21,22でカンチレバー11の交流電圧による振動
と機械的加振による振動の各成分を分離することができ
ず、試料13の表面電位と表面形状を独立に測定するこ
とができない。
【0032】また、図4に示す上記力顕微鏡では、交流
電源29から出力される交流電圧の周波数ωacをカンチ
レバー26の機械的共振周波数ω0と完全に一致させて
いる。したがって、φ=−π/2となるので、ロックイ
ンアンプ37により位相θ=−π/2でプリアンプ36
の出力信号vを位相検波して増幅し、ロックインアンプ
38により位相θ=−πでプリアンプ36の出力信号v
を位相検波して増幅すれば、(13)式の括弧内の第1項と
第2項の振幅を(17)、(18)に示すように分離して得るこ
とができる。ところが、カンチレバー26の機械的共振
周波数ω0は測定を何回か行っている間に周囲の気温や
湿度、気圧などの影響により少しづつずれてくる。しか
し、交流電源29から出力される交流電圧の周波数ωac
は、安定しているので、変化しない。したがって、ω0
とωacとは一致しなくなってくる。
電源29から出力される交流電圧の周波数ωacをカンチ
レバー26の機械的共振周波数ω0と完全に一致させて
いる。したがって、φ=−π/2となるので、ロックイ
ンアンプ37により位相θ=−π/2でプリアンプ36
の出力信号vを位相検波して増幅し、ロックインアンプ
38により位相θ=−πでプリアンプ36の出力信号v
を位相検波して増幅すれば、(13)式の括弧内の第1項と
第2項の振幅を(17)、(18)に示すように分離して得るこ
とができる。ところが、カンチレバー26の機械的共振
周波数ω0は測定を何回か行っている間に周囲の気温や
湿度、気圧などの影響により少しづつずれてくる。しか
し、交流電源29から出力される交流電圧の周波数ωac
は、安定しているので、変化しない。したがって、ω0
とωacとは一致しなくなってくる。
【0033】また、カンチレバー26の振動は共振点付
近ではカンチレバー26の機械的共振周波数のずれに対
する位相の変化が非常に大きい。従って、カンチレバー
26の共振点のずれにより、φの−π/2からの差が無
視し得ないものとなる。一方、ロックインアンプ37、
38において位相検波を行う位相は測定当初に設定した
θ1=−π/2、θ2=−πのままである。したがっ
て、(17)、(18)式のように(13)式の括弧内の第1項と第
2項の振幅を分離できなくなる。
近ではカンチレバー26の機械的共振周波数のずれに対
する位相の変化が非常に大きい。従って、カンチレバー
26の共振点のずれにより、φの−π/2からの差が無
視し得ないものとなる。一方、ロックインアンプ37、
38において位相検波を行う位相は測定当初に設定した
θ1=−π/2、θ2=−πのままである。したがっ
て、(17)、(18)式のように(13)式の括弧内の第1項と第
2項の振幅を分離できなくなる。
【0034】例えば、ω0=ωacが成り立たなくなって
φ=−π/2+Δφとなったとしよう。この時、Vは次
の(21)式で表わされる。 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2+Δφ)−cos (−θ−π/2+Δφ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos (−θ−π/2+Δφ−π/2)−cos(−θ−π/2+Δφ−π/2+π)} ・・・(21) ここで、θ=θ1=−π/2の時のロックインアンプ3
7の出力V1及びθ=θ2=−πの時のロックインアン
プ38の出力V2はそれぞれ V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAcos(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2sin(Δφ)・・・(22) V2=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAsin(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2cos(Δφ)・・・(23) となる。
φ=−π/2+Δφとなったとしよう。この時、Vは次
の(21)式で表わされる。 V=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VA{cos(−θ−π/2+Δφ)−cos (−θ−π/2+Δφ+π)}−(A2/2)(∂C/∂Z)(1/4)VB2{cos (−θ−π/2+Δφ−π/2)−cos(−θ−π/2+Δφ−π/2+π)} ・・・(21) ここで、θ=θ1=−π/2の時のロックインアンプ3
7の出力V1及びθ=θ2=−πの時のロックインアン
プ38の出力V2はそれぞれ V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAcos(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2sin(Δφ)・・・(22) V2=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)VAsin(Δφ) −A2(∂C/∂Z)(1/4)VB2cos(Δφ)・・・(23) となる。
【0035】(22)、(23)から分かるように、Δφ≠0で
あるために、(13)式の括弧内の第1項と第2項の振幅は
分離されず、表面電位測定信号であるV1には表面形状
を測定するための(13)式の括弧内の第2項の振幅が混入
している。また、表面形状測定信号であるV2には表面
電位を測定するための(13)式の括弧内の第1項の振幅が
混入している。すなわち、試料の表面電位が表面形状の
測定結果に混入・干渉し、試料の表面形状が表面電位の
測定結果に混入・干渉する。このようにカンチレバー2
6の共振周波数であるω0が、周囲の気温や湿度、気圧
などの影響によりわずかに変動することにより、試料の
表面電位と表面形状の測定結果が互いに干渉し、無視で
きない誤差となって現われてくる。
あるために、(13)式の括弧内の第1項と第2項の振幅は
分離されず、表面電位測定信号であるV1には表面形状
を測定するための(13)式の括弧内の第2項の振幅が混入
している。また、表面形状測定信号であるV2には表面
電位を測定するための(13)式の括弧内の第1項の振幅が
混入している。すなわち、試料の表面電位が表面形状の
測定結果に混入・干渉し、試料の表面形状が表面電位の
測定結果に混入・干渉する。このようにカンチレバー2
6の共振周波数であるω0が、周囲の気温や湿度、気圧
などの影響によりわずかに変動することにより、試料の
表面電位と表面形状の測定結果が互いに干渉し、無視で
きない誤差となって現われてくる。
【0036】従来、力顕微鏡では、図5(a)に示すよ
うに棒11の片端を固定して棒44の他端を自由にした
場合の棒(カンチレバー)44の横振動を利用し、カン
チレバー44の一次共振させて試料の表面状態(表面電
位や表面形状)を測定している。図5(b)、(c)、
(d)はカンチレバー44の一次、二次及び三次の共振
状態における各振動モードを示す。カンチレバー44の
長さを1とした場合、二次及び三次の共振状態における
カンチレバー44の節の位置を図5(c)、(d)に示
す。
うに棒11の片端を固定して棒44の他端を自由にした
場合の棒(カンチレバー)44の横振動を利用し、カン
チレバー44の一次共振させて試料の表面状態(表面電
位や表面形状)を測定している。図5(b)、(c)、
(d)はカンチレバー44の一次、二次及び三次の共振
状態における各振動モードを示す。カンチレバー44の
長さを1とした場合、二次及び三次の共振状態における
カンチレバー44の節の位置を図5(c)、(d)に示
す。
【0037】従来、力顕微鏡は一般にカンチレバーの一
次共振を利用して試料の表面状態(表面電位や表面形
状)を測定している。カンチレバーの振動を検出する方
法としては、カンチレバーの曲がり傾斜角度を検出する
光てこ法、カンチレバーの振動時の変位を検出する光干
渉法、カンチレバー背後に設けた電極とカンチレバーと
の間に流れるトンネル電流を検出するトンネル電流法、
カンチレバー振動時の速度を検出するヘテロダイン光干
渉法などがある。
次共振を利用して試料の表面状態(表面電位や表面形
状)を測定している。カンチレバーの振動を検出する方
法としては、カンチレバーの曲がり傾斜角度を検出する
光てこ法、カンチレバーの振動時の変位を検出する光干
渉法、カンチレバー背後に設けた電極とカンチレバーと
の間に流れるトンネル電流を検出するトンネル電流法、
カンチレバー振動時の速度を検出するヘテロダイン光干
渉法などがある。
【0038】カンチレバーの一次共振を利用する場合、
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
はカンチレバーの先端において最も大きい。したがっ
て、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプロー
ブとなるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位
置)はカンチレバーの先端に設定されている。カンチレ
バーの振動を検出する際の感度やS/N比を考えた場
合、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大となる位置においてこれら曲がり傾斜角度、
変位、速度を検出するのが最も有利である。
カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、速度
はカンチレバーの先端において最も大きい。したがっ
て、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度を検出するカンチレバー上の位置(すなわちプロー
ブとなるレーザ光を照射する位置や電極を対向させる位
置)はカンチレバーの先端に設定されている。カンチレ
バーの振動を検出する際の感度やS/N比を考えた場
合、カンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、変位、
速度が最大となる位置においてこれら曲がり傾斜角度、
変位、速度を検出するのが最も有利である。
【0039】しかし、上記図4に示す力顕微鏡のように
カンチレバーの高次共振を利用して試料の表面状態(表
面電位や表面形状)を測定する場合には、図5(c)、
(d)からも分かるように、必ずしもカンチレバーの先
端において振動による曲がり傾斜角度、変位、速度が最
大になるものではない。したがって、カンチレバーの先
端で振動による曲がり傾斜角度、変位、速度を検出する
と、必ずしも感度やS/N比の点で有利な測定を行って
いることにはならない。
カンチレバーの高次共振を利用して試料の表面状態(表
面電位や表面形状)を測定する場合には、図5(c)、
(d)からも分かるように、必ずしもカンチレバーの先
端において振動による曲がり傾斜角度、変位、速度が最
大になるものではない。したがって、カンチレバーの先
端で振動による曲がり傾斜角度、変位、速度を検出する
と、必ずしも感度やS/N比の点で有利な測定を行って
いることにはならない。
【0040】また、力顕微鏡において、カンチレバーの
非共振、一次共振、及び高次共振の内の少なくとも2つ
を利用する場合、カンチレバーはそれぞれの振動を重畳
した振動を示す。一方、カンチレバーの振動信号は、通
常ロックインアンプに入力される。ロックインアンプは
入力信号の中から参照信号の周波数成分のみをフィルタ
リングして増幅する狭帯域アンプと考えられる。このロ
ックインアンプは、複数の周波数成分を持つカンチレバ
ー振動信号から測定したい振動周波数成分と同じ周波数
の参照信号が入力され、ロックインアンプにて複数の周
波数成分を持つカンチレバー振動信号から他の周波数成
分を分離して所望の振動周波数成分のみを抽出し増幅す
る。
非共振、一次共振、及び高次共振の内の少なくとも2つ
を利用する場合、カンチレバーはそれぞれの振動を重畳
した振動を示す。一方、カンチレバーの振動信号は、通
常ロックインアンプに入力される。ロックインアンプは
入力信号の中から参照信号の周波数成分のみをフィルタ
リングして増幅する狭帯域アンプと考えられる。このロ
ックインアンプは、複数の周波数成分を持つカンチレバ
ー振動信号から測定したい振動周波数成分と同じ周波数
の参照信号が入力され、ロックインアンプにて複数の周
波数成分を持つカンチレバー振動信号から他の周波数成
分を分離して所望の振動周波数成分のみを抽出し増幅す
る。
【0041】例えば、カンチレバー振動信号に異なる周
波数を持つ2つの信号があって、これをロックインアン
プにより分離して検出する場合、片方の信号(以下A信
号と呼ぶ)にとって他の信号(以下B信号と呼ぶ)はノ
イズとなる。したがって、A信号にとってはB信号は小
さい程良いのであるが、そのような状態になると、B信
号にとってノイズとなるA信号が非常に多い信号の中か
らB信号をフィルタリングして増幅しなければならず、
B信号の分離・増幅にとって非常に不利になる。このよ
うなことをなくすためには、カンチレバーの振動信号に
おけるA信号とB信号の振幅がほぼ等しい状態にあるこ
とが必要である。
波数を持つ2つの信号があって、これをロックインアン
プにより分離して検出する場合、片方の信号(以下A信
号と呼ぶ)にとって他の信号(以下B信号と呼ぶ)はノ
イズとなる。したがって、A信号にとってはB信号は小
さい程良いのであるが、そのような状態になると、B信
号にとってノイズとなるA信号が非常に多い信号の中か
らB信号をフィルタリングして増幅しなければならず、
B信号の分離・増幅にとって非常に不利になる。このよ
うなことをなくすためには、カンチレバーの振動信号に
おけるA信号とB信号の振幅がほぼ等しい状態にあるこ
とが必要である。
【0042】一方、図5に示すように例えば、一次共振
振動によるカンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、
変位、速度が最大になる位置は、必ずしも高次の共振振
動によるカンチレバーの曲がり傾斜角度、変位、速度が
最大になる位置とは限らない。したがって、2つの周波
数の振動振幅ががほぼ等しくならないことが多い。これ
らの振動振幅を同程度にするためには、2つの信号の
内、振幅が小さい方の振動を生じさせている力、例えば
静電引力を大きくするという方法をとればよい。しか
し、静電引力を大きくするためには、カンチレバー先端
の探針と試料の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
になる。したがって、このような方法では、必ずしも異
なる周波数の振動振幅を同程度にすることはできない。
振動によるカンチレバーの振動による曲がり傾斜角度、
変位、速度が最大になる位置は、必ずしも高次の共振振
動によるカンチレバーの曲がり傾斜角度、変位、速度が
最大になる位置とは限らない。したがって、2つの周波
数の振動振幅ががほぼ等しくならないことが多い。これ
らの振動振幅を同程度にするためには、2つの信号の
内、振幅が小さい方の振動を生じさせている力、例えば
静電引力を大きくするという方法をとればよい。しか
し、静電引力を大きくするためには、カンチレバー先端
の探針と試料の表面との間で放電が生じ、測定が不可能
になる。したがって、このような方法では、必ずしも異
なる周波数の振動振幅を同程度にすることはできない。
【0043】本発明は、測定を精度良く安定して行うこ
とができる表面電位計及び形状測定器、力顕微鏡を提供
することを目的とする。
とができる表面電位計及び形状測定器、力顕微鏡を提供
することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、測定物に対向配置される導
電性探針を先端部に設けたバネを、前記測定物と前記バ
ネとの間に作用する静電引力により変形させ、該バネの
変形により前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力を検出して前記測定物の電位と形状の何れか一方或
いは両方を測定するようにした表面電位計及び形状測定
器において、前記バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、前記バネの一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させ
た電圧を前記導電性探針に印加する電圧印加手段と、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅か
ら前記測定物の電位を測定する表面電位測定手段と、前
記第2交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第2振動の振幅か
ら前記測定物の形状を測定する形状測定手段とを備えた
ものである。
め、請求項1記載の発明は、測定物に対向配置される導
電性探針を先端部に設けたバネを、前記測定物と前記バ
ネとの間に作用する静電引力により変形させ、該バネの
変形により前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力を検出して前記測定物の電位と形状の何れか一方或
いは両方を測定するようにした表面電位計及び形状測定
器において、前記バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、前記バネの一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させ
た電圧を前記導電性探針に印加する電圧印加手段と、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅か
ら前記測定物の電位を測定する表面電位測定手段と、前
記第2交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第2振動の振幅か
ら前記測定物の形状を測定する形状測定手段とを備えた
ものである。
【0045】請求項2記載の発明は、請求項1記載の表
面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加手段が
前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交流電圧
と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前記第1
交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静
電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が零もし
くは一定値になるように前記直流電圧を可変する電位制
御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段と、前
記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変するアク
チュエータを有し前記第2交流電圧による前記導電性探
針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネ
の第2振動の振幅が一定値になるように前記アクチュエ
ータを制御して前記測定物と前記導電性探針との間の距
離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエータの変
位量を測定する変位量測定手段とを備えたものである。
面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加手段が
前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交流電圧
と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前記第1
交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静
電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が零もし
くは一定値になるように前記直流電圧を可変する電位制
御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段と、前
記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変するアク
チュエータを有し前記第2交流電圧による前記導電性探
針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前記バネ
の第2振動の振幅が一定値になるように前記アクチュエ
ータを制御して前記測定物と前記導電性探針との間の距
離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエータの変
位量を測定する変位量測定手段とを備えたものである。
【0046】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性
探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印加し、
前記導電性探針の電位を基準電位としたものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記導電性
探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印加し、
前記導電性探針の電位を基準電位としたものである。
【0047】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、交流電圧と
直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流電圧と
前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つを前記
導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に印加す
る電圧印加手段を有するものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、交流電圧と
直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流電圧と
前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つを前記
導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に印加す
る電圧印加手段を有するものである。
【0048】請求項5記載の発明は、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記第1交
流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2
つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを前記導
電性探針に印加する電圧印加手段を有するものである。
記載の表面電位計及び形状測定器において、前記第1交
流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2
つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを前記導
電性探針に印加する電圧印加手段を有するものである。
【0049】
【作用】請求項1記載の発明では、バネの先端部に設け
られた導電性探針が測定物に対向し、バネは測定物とバ
ネとの間に作用する静電引力により変形する。このバネ
の変形により、測定物とバネとの間に作用する静電引力
が検出されて測定物の電位と形状の何れか一方或いは両
方が測定される。バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させた電
圧が電圧印加手段により導電性探針に印加され、表面電
位測定手段が第1交流電圧による導電性探針と測定物と
の間の静電引力により生ずるバネの第1振動の振幅から
測定物の電位を測定する。そして、形状測定手段が第2
交流電圧による導電性探針と測定物との間の静電引力に
より生ずるバネの第2振動の振幅から測定物の形状を測
定する。
られた導電性探針が測定物に対向し、バネは測定物とバ
ネとの間に作用する静電引力により変形する。このバネ
の変形により、測定物とバネとの間に作用する静電引力
が検出されて測定物の電位と形状の何れか一方或いは両
方が測定される。バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
第1交流電圧と、バネの一次及び高次の共振周波数又は
この共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の
2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させた電
圧が電圧印加手段により導電性探針に印加され、表面電
位測定手段が第1交流電圧による導電性探針と測定物と
の間の静電引力により生ずるバネの第1振動の振幅から
測定物の電位を測定する。そして、形状測定手段が第2
交流電圧による導電性探針と測定物との間の静電引力に
より生ずるバネの第2振動の振幅から測定物の形状を測
定する。
【0050】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
表面電位計及び形状測定器において、電圧印加手段が導
電性探針に第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧とを
重畳した電圧を印加し、電位制御手段が第1交流電圧に
よる導電性探針と測定物との間の静電引力により生ずる
バネの第1振動の振幅が零もしくは一定値になるように
上記直流電圧を可変し、電位測定手段が上記直流電圧を
測定する。距離制御手段は、アクチュエータにより測定
物と導電性探針との間の距離を可変し、第2交流電圧に
よる導電性探針と測定物との間の静電引力により生ずる
バネの第2振動の振幅が一定値になるようにアクチュエ
ータを制御して測定物と導電性探針との間の距離を制御
する。そして、アクチュエータの変位量が変位量測定手
段により測定される。
表面電位計及び形状測定器において、電圧印加手段が導
電性探針に第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧とを
重畳した電圧を印加し、電位制御手段が第1交流電圧に
よる導電性探針と測定物との間の静電引力により生ずる
バネの第1振動の振幅が零もしくは一定値になるように
上記直流電圧を可変し、電位測定手段が上記直流電圧を
測定する。距離制御手段は、アクチュエータにより測定
物と導電性探針との間の距離を可変し、第2交流電圧に
よる導電性探針と測定物との間の静電引力により生ずる
バネの第2振動の振幅が一定値になるようにアクチュエ
ータを制御して測定物と導電性探針との間の距離を制御
する。そして、アクチュエータの変位量が変位量測定手
段により測定される。
【0051】請求項3記載の発明では、請求項1または
2記載の表面電位計及び形状測定器において、導電性探
針に印加すべき電圧が測定物の導電性基板に印加され、
導電性探針の電位は基準電位である。
2記載の表面電位計及び形状測定器において、導電性探
針に印加すべき電圧が測定物の導電性基板に印加され、
導電性探針の電位は基準電位である。
【0052】請求項4記載の発明では、請求項1または
2記載の表面電位計及び形状測定器において、電圧印加
手段は、交流電圧と直流電圧の内のいずれか1つ或いは
第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか
2つを導電性探針に印加し、残りの1つを測定物に印加
する。
2記載の表面電位計及び形状測定器において、電圧印加
手段は、交流電圧と直流電圧の内のいずれか1つ或いは
第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか
2つを導電性探針に印加し、残りの1つを測定物に印加
する。
【0053】請求項5記載の発明では、請求項1または
2記載の表面電位計及び形状測定器において、電圧印加
手段は、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧の内の
いずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1
つを導電性探針に印加する。
2記載の表面電位計及び形状測定器において、電圧印加
手段は、第1交流電圧と第2交流電圧と直流電圧の内の
いずれか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1
つを導電性探針に印加する。
【0054】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す。この第1
実施例は、請求項1、2記載の発明の実施例であり、前
述した図4に示す力顕微鏡とは以下の点が異なる。交流
電源29はカンチレバー26の一次及び高次の共振周波
数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周
波数の第1交流電圧を発生し、交流電源30はカンチレ
バー26の一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波
数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の周
波数を持つ第2交流電圧を発生する。例えば、交流電源
29は交流電圧Vr1sinωr1tを発生し、交流電源30
は交流電圧Vωr2sinωr2t/2を発生する。ここに、
ωr1はカンチレバー26の第1共振周波数、ωr2はカン
チレバー26の第2共振周波数とする。
実施例は、請求項1、2記載の発明の実施例であり、前
述した図4に示す力顕微鏡とは以下の点が異なる。交流
電源29はカンチレバー26の一次及び高次の共振周波
数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周
波数の第1交流電圧を発生し、交流電源30はカンチレ
バー26の一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波
数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の周
波数を持つ第2交流電圧を発生する。例えば、交流電源
29は交流電圧Vr1sinωr1tを発生し、交流電源30
は交流電圧Vωr2sinωr2t/2を発生する。ここに、
ωr1はカンチレバー26の第1共振周波数、ωr2はカン
チレバー26の第2共振周波数とする。
【0055】ロックインアンプ37はプリアンプ36の
出力信号を交流電源29からの参照信号Vr1sinωr1t
により位相検波して増幅することによりカンチレバー2
6の振動のωr1成分の振幅を分離増幅し、ロックインア
ンプ38はプリアンプ36の出力信号を交流電源30か
らの参照信号Vr2sinωr2t/2により位相検波して増
幅することによりカンチレバー26の振動のωr2成分の
振幅を分離増幅する。
出力信号を交流電源29からの参照信号Vr1sinωr1t
により位相検波して増幅することによりカンチレバー2
6の振動のωr1成分の振幅を分離増幅し、ロックインア
ンプ38はプリアンプ36の出力信号を交流電源30か
らの参照信号Vr2sinωr2t/2により位相検波して増
幅することによりカンチレバー26の振動のωr2成分の
振幅を分離増幅する。
【0056】本実施例において、探針27の先端と試料
28の表面との間の電位差Vは V=Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/2・・・(45) となる。したがって、Fesは次の(9)式より Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/ 2)2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+Vr12/2+Vr22/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr22/2)sin(ωr2t−π/2)+2(Vb −Vs)Vr1sinωr1t} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr12/2)sin(ωr1t−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z)[2(Vb−Vs)Vr2sinωr2t/2+Vr1Vr2 sin{(ωr1−ωr2/2)t+π/2}] −(1/2)(∂C/∂Z){Vr1Vr2sin(ωr1+ωr2/2)t+π/2)} ・・・(46) となる。
28の表面との間の電位差Vは V=Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/2・・・(45) となる。したがって、Fesは次の(9)式より Fes=−(1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs+Vr1sinωr1t+Vr2sinωr2t/ 2)2 =−(1/2)(∂C/∂Z){(Vb−Vs)2+Vr12/2+Vr22/2} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr22/2)sin(ωr2t−π/2)+2(Vb −Vs)Vr1sinωr1t} −(1/2)(∂C/∂Z){(Vr12/2)sin(ωr1t−π/2) −(1/2)(∂C/∂Z)[2(Vb−Vs)Vr2sinωr2t/2+Vr1Vr2 sin{(ωr1−ωr2/2)t+π/2}] −(1/2)(∂C/∂Z){Vr1Vr2sin(ωr1+ωr2/2)t+π/2)} ・・・(46) となる。
【0057】ωr1はカンチレバー26の第1共振周波
数、ωr2はカンチレバー26の第2共振周波数であるか
ら、カンチレバー26は次の(47)式で表わされるFesの
ωr1、ωr2成分Fesωrにより共振する。 Fesωr=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sinωr1t+(1/4)Vr22sin(ωr 2t −π/2)・・・(47) したがって、Fesωrによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力vは次の(48)式で表
わされる。
数、ωr2はカンチレバー26の第2共振周波数であるか
ら、カンチレバー26は次の(47)式で表わされるFesの
ωr1、ωr2成分Fesωrにより共振する。 Fesωr=−(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sinωr1t+(1/4)Vr22sin(ωr 2t −π/2)・・・(47) したがって、Fesωrによって生ずるカンチレバー26
の振動を示すプリアンプ36の出力vは次の(48)式で表
わされる。
【0058】 v=−a(∂C/∂Z){(Vb−Vs)Vr1sin(ωr1t+φr1)+(1/4)Vr22sin (ωr2t−π/2+φr2)・・・(48) ロックインアンプ37、38は入力信号の参照信号周波
数と同じ周波数成分のみを増幅する狭帯域アンプと考え
られる。したがって、2位相式のロックインアンプ38
によりωr2の参照信号でvを増幅することにより、(48)
式のωr2成分のみをその位相ωr2に無関係に得ることが
できる。
数と同じ周波数成分のみを増幅する狭帯域アンプと考え
られる。したがって、2位相式のロックインアンプ38
によりωr2の参照信号でvを増幅することにより、(48)
式のωr2成分のみをその位相ωr2に無関係に得ることが
できる。
【0059】このロックインアンプ38の出力信号V2
は次の(49)式のようになる。
は次の(49)式のようになる。
【0060】 V2=−(1/4)A2(∂C/∂Z)Vr22・・・(49) すなわち、周囲の気温や湿度、気圧などの影響によりω
r1、ωr2がずれ、φr1、φr2が変動しても試料28の表
面電位が試料28の表面形状測定結果に混入・干渉する
ことはない。
r1、ωr2がずれ、φr1、φr2が変動しても試料28の表
面電位が試料28の表面形状測定結果に混入・干渉する
ことはない。
【0061】一方、ロックインアンプ37によりωr1の
参照信号でvを増幅することにより、(48)式のωr1成分
のみを増幅することができる。この時、ロックインアン
プ37において、位相θでvを位相検波増幅すれば、ロ
ックインアンプ37の出力信号V1は次の(49)式のよう
になる。
参照信号でvを増幅することにより、(48)式のωr1成分
のみを増幅することができる。この時、ロックインアン
プ37において、位相θでvを位相検波増幅すれば、ロ
ックインアンプ37の出力信号V1は次の(49)式のよう
になる。
【0062】 V1=−(A1/2)(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1{cos(−θ+φr1)−cos(−θ +φr1+π)・・・(50) (50)式にはφr2が含まれていないので、試料28の表面
電位測定結果はφr2の変動による影響を受けない。θ=
φr1とすると、V1は、 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1・・・(51) となり、最大値を示す。
電位測定結果はφr2の変動による影響を受けない。θ=
φr1とすると、V1は、 V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1・・・(51) となり、最大値を示す。
【0063】ここで、周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりωr1がずれ、φr1が(φr1+Δφr1)に変動した
とする。また、θはφr1のままであったとすると、この
時のV1は V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1cosΔφr1・・・(52) となる。(52)式からφr1の変動により、V1は最大値か
ら小さくなるが、試料28の表面形状が試料28の表面
電位測定結果に混入・干渉することはない。以上のよう
に、第4実施例においては、従来技術のように、カンチ
レバーの共振周波数が周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりわずかに変動することで、試料の表面電位と表
面形状の測定結果が互いに干渉して無視できない誤差と
なって現われてくるようなことが無い。すなわち、カン
チレバーの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の
表面電位と表面形状を測定することができる。
響によりωr1がずれ、φr1が(φr1+Δφr1)に変動した
とする。また、θはφr1のままであったとすると、この
時のV1は V1=−A1(∂C/∂Z)(Vb−Vs)Vr1cosΔφr1・・・(52) となる。(52)式からφr1の変動により、V1は最大値か
ら小さくなるが、試料28の表面形状が試料28の表面
電位測定結果に混入・干渉することはない。以上のよう
に、第4実施例においては、従来技術のように、カンチ
レバーの共振周波数が周囲の気温や湿度、気圧などの影
響によりわずかに変動することで、試料の表面電位と表
面形状の測定結果が互いに干渉して無視できない誤差と
なって現われてくるようなことが無い。すなわち、カン
チレバーの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の
表面電位と表面形状を測定することができる。
【0064】このように、第1実施例は、請求項1記載
の発明の実施例であって、測定物28に対向配置される
導電性探針27を先端部に設けたバネとしての導電性カ
ンチレバー26を、測定物28とバネ26との間に作用
する静電引力により変形させ、バネ26の変形により測
定物28とバネ26との間に作用する静電引力を検出し
て測定物28の電位と形状の何れか一方或いは両方を測
定するようにした表面電位計及び形状測定器としての力
顕微鏡において、バネ26の一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳
させた電圧を導電性探針27に印加する電圧印加手段と
しての交流電源29、30と、第1交流電圧による導電
性探針27と測定物28との間の静電引力により生ずる
バネ26の第1振動の振幅から測定物28の電位を測定
する表面電位測定手段としてのロックインアンプ37
と、第2交流電圧による導電性探針27と測定物28と
の間の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅
から測定物の形状を測定する形状測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
の発明の実施例であって、測定物28に対向配置される
導電性探針27を先端部に設けたバネとしての導電性カ
ンチレバー26を、測定物28とバネ26との間に作用
する静電引力により変形させ、バネ26の変形により測
定物28とバネ26との間に作用する静電引力を検出し
て測定物28の電位と形状の何れか一方或いは両方を測
定するようにした表面電位計及び形状測定器としての力
顕微鏡において、バネ26の一次及び高次の共振周波数
又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波
数の第1交流電圧と、バネ26の一次及び高次の共振周
波数又はこの共振周波数とほぼ等しい周波数の何れかの
周波数の2分の1の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳
させた電圧を導電性探針27に印加する電圧印加手段と
しての交流電源29、30と、第1交流電圧による導電
性探針27と測定物28との間の静電引力により生ずる
バネ26の第1振動の振幅から測定物28の電位を測定
する表面電位測定手段としてのロックインアンプ37
と、第2交流電圧による導電性探針27と測定物28と
の間の静電引力により生ずるバネ26の第2振動の振幅
から測定物の形状を測定する形状測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
【0065】また、第1実施例は、請求項2記載の発明
の実施例であって、電圧印加手段としての交流電源2
9、30、加算器31が導電性探針27に第1交流電圧
と第2交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、
かつ、第1交流電圧による導電性探針27と測定物28
との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振動の振
幅が零(もしくは一定値)になるように上記直流電圧を可
変する電位制御手段としての積分器39を含む帰還回路
と、直流電圧を測定する電位測定手段としてのロックイ
ンアンプ37と、測定物28と導電性探針26との間の
距離を可変するアクチュエータとしてのZ軸アクチュエ
ータ43を有し第2交流電圧による導電性探針27と測
定物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第2
振動の振幅が一定値になるようにアクチュエータ43を
制御して測定物28と導電性探針27との間の距離を制
御する距離制御手段としての帰還回路と、アクチュエー
タ43の変位量を測定する変位量測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
の実施例であって、電圧印加手段としての交流電源2
9、30、加算器31が導電性探針27に第1交流電圧
と第2交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、
かつ、第1交流電圧による導電性探針27と測定物28
との間の静電引力により生ずるバネ26の第1振動の振
幅が零(もしくは一定値)になるように上記直流電圧を可
変する電位制御手段としての積分器39を含む帰還回路
と、直流電圧を測定する電位測定手段としてのロックイ
ンアンプ37と、測定物28と導電性探針26との間の
距離を可変するアクチュエータとしてのZ軸アクチュエ
ータ43を有し第2交流電圧による導電性探針27と測
定物28との間の静電引力により生ずるバネ26の第2
振動の振幅が一定値になるようにアクチュエータ43を
制御して測定物28と導電性探針27との間の距離を制
御する距離制御手段としての帰還回路と、アクチュエー
タ43の変位量を測定する変位量測定手段としてのロッ
クインアンプ38とを備えたので、バネ26の共振周波
数の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状
を測定することができる。
【0066】また、請求項3記載の発明の一実施例は、
上記第1実施例において、導電性探針27に印加すべき
電圧を導電性探針27に印加せずに測定物28の導電性
基板33に印加し、導電性探針27の電位を基準電位と
したものであり、第1実施例と同様な効果が得られる。
上記第1実施例において、導電性探針27に印加すべき
電圧を導電性探針27に印加せずに測定物28の導電性
基板33に印加し、導電性探針27の電位を基準電位と
したものであり、第1実施例と同様な効果が得られる。
【0067】また、請求項4記載の発明の実施例は、上
記第1実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と直流電圧の内のいずれか2つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、第1実施例と同様な効果が得られる。なお、こ
の実施例では、測定物の導電性基板は接地しない。
記第1実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と直流電圧の内のいずれか2つを導電性探針27に印加
し、残りの1つを測定物28に印加するようにしたもの
であり、第1実施例と同様な効果が得られる。なお、こ
の実施例では、測定物の導電性基板は接地しない。
【0068】また、請求項5記載の発明の実施例は、上
記第1実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と上記直流電圧の内のいずれか2つをカンチレバー26
に印加せずに測定物28の導電性基板33に印加し、残
りの1つを導電性探針27に印加するようにしたもので
あり、第1実施例と同様な効果が得られる。
記第1実施例において、交流電源29、30を含む電圧
印加手段により、上記第1交流電圧と上記第2交流電圧
と上記直流電圧の内のいずれか2つをカンチレバー26
に印加せずに測定物28の導電性基板33に印加し、残
りの1つを導電性探針27に印加するようにしたもので
あり、第1実施例と同様な効果が得られる。
【0069】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、測定物に対向配置される導電性探針を先端部に設け
たバネを、前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力により変形させ、該バネの変形により前記測定物と
前記バネとの間に作用する静電引力を検出して前記測定
物の電位と形状の何れか一方或いは両方を測定するよう
にした表面電位計及び形状測定器において、前記バネの
一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等
しい周波数の何れかの周波数の第1交流電圧と、前記バ
ネの一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波数とほ
ぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の周波数を
持つ第2交流電圧とを重畳させた電圧を前記導電性探針
に印加する電圧印加手段と、前記第1交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ず
る前記バネの第1振動の振幅から前記測定物の電位を測
定する表面電位測定手段と、前記第2交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ず
る前記バネの第2振動の振幅から前記測定物の形状を測
定する形状測定手段とを備えたので、バネの共振周波数
の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状を
測定することができる。
ば、測定物に対向配置される導電性探針を先端部に設け
たバネを、前記測定物と前記バネとの間に作用する静電
引力により変形させ、該バネの変形により前記測定物と
前記バネとの間に作用する静電引力を検出して前記測定
物の電位と形状の何れか一方或いは両方を測定するよう
にした表面電位計及び形状測定器において、前記バネの
一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波数とほぼ等
しい周波数の何れかの周波数の第1交流電圧と、前記バ
ネの一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波数とほ
ぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1の周波数を
持つ第2交流電圧とを重畳させた電圧を前記導電性探針
に印加する電圧印加手段と、前記第1交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ず
る前記バネの第1振動の振幅から前記測定物の電位を測
定する表面電位測定手段と、前記第2交流電圧による前
記導電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ず
る前記バネの第2振動の振幅から前記測定物の形状を測
定する形状測定手段とを備えたので、バネの共振周波数
の変動に無関係に安定して試料の表面電位と表面形状を
測定することができる。
【0070】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の表面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加
手段が前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交
流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が
零もしくは一定値になるように前記直流電圧を可変する
電位制御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段
と、前記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変す
るアクチュエータを有し前記第2交流電圧による前記導
電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前
記バネの第2振動の振幅が一定値になるように前記アク
チュエータを制御して前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエー
タの変位量を測定する変位量測定手段とを備えたので、
バネの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の表面
電位と表面形状を測定することができる。
載の表面電位計及び形状測定器において、前記電圧印加
手段が前記導電性探針に前記第1交流電圧と前記第2交
流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加し、かつ、前
記第1交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との
間の静電引力により生ずる前記バネの第1振動の振幅が
零もしくは一定値になるように前記直流電圧を可変する
電位制御手段と、前記直流電圧を測定する電位測定手段
と、前記測定物と前記導電性探針との間の距離を可変す
るアクチュエータを有し前記第2交流電圧による前記導
電性探針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前
記バネの第2振動の振幅が一定値になるように前記アク
チュエータを制御して前記測定物と前記導電性探針との
間の距離を制御する距離制御手段と、前記アクチュエー
タの変位量を測定する変位量測定手段とを備えたので、
バネの共振周波数の変動に無関係に安定して試料の表面
電位と表面形状を測定することができる。
【0071】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、前記
導電性探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印
加し、前記導電性探針の電位を基準電位としたので、請
求項1または2記載の表面電位計及び形状測定器と同様
な効果が得られる。
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、前記
導電性探針に印加すべき電圧を測定物の導電性基板に印
加し、前記導電性探針の電位を基準電位としたので、請
求項1または2記載の表面電位計及び形状測定器と同様
な効果が得られる。
【0072】請求項4記載の発明によれば、請求項1ま
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、交流
電圧と直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流
電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つ
を前記導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に
印加する電圧印加手段を有するので、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器と同様な効果が得られ
る。
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、交流
電圧と直流電圧の内のいずれか1つ或いは前記第1交流
電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいずれか2つ
を前記導電性探針に印加し、残りの1つを前記測定物に
印加する電圧印加手段を有するので、請求項1または2
記載の表面電位計及び形状測定器と同様な効果が得られ
る。
【0073】請求項5記載の発明によれば、請求項1ま
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、前記
第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいず
れか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを
前記導電性探針に印加する電圧印加手段を有するので、
請求項1または2記載の表面電位計及び形状測定器と同
様な効果が得られる。
たは2記載の表面電位計及び形状測定器において、前記
第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧の内のいず
れか2つを測定物の導電性基板に印加し、残りの1つを
前記導電性探針に印加する電圧印加手段を有するので、
請求項1または2記載の表面電位計及び形状測定器と同
様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】従来の力顕微鏡の一例を示すブロック図であ
る。
る。
【図3】同力顕微鏡の一部を示すブロック図である。
【図4】従来の力顕微鏡の他の例を示すブロック図であ
る。
る。
【図5】従来の力顕微鏡を説明するための図である。
【符号の説明】11,26 カンチレバー 12,27 導電性探針 13,28 試料 14 圧電素子 15,16,29,30 交流電源 17 直流電源 18,33 導電性基板 19,34 光源 20,35 受光素子 21,22,37,38,55 ロックインアンプ 23 電圧フィードバック回路 24 Zサーボ回路 25 スキャナ31 加算器32 アンプ 36 プリアンプ 39,42 積分器 41 基準電圧源 43 Z軸アクチュエータ
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
Claims (5)
- 【請求項1】測定物に対向配置される導電性探針を先端
部に設けたバネを、前記測定物と前記バネとの間に作用
する静電引力により変形させ、該バネの変形により前記
測定物と前記バネとの間に作用する静電引力を検出して
前記測定物の電位と形状の何れか一方或いは両方を測定
するようにした表面電位計及び形状測定器において、前
記バネの一次及び高次の共振周波数又はこの共振周波数
とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の第1交流電圧
と、前記バネの一次及び高次の共振周波数又はこの共振
周波数とほぼ等しい周波数の何れかの周波数の2分の1
の周波数を持つ第2交流電圧とを重畳させた電圧を前記
導電性探針に印加する電圧印加手段と、前記第1交流電
圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静電引力
により生ずる前記バネの第1振動の振幅から前記測定物
の電位を測定する表面電位測定手段と、前記第2交流電
圧による前記導電性探針と前記測定物との間の静電引力
により生ずる前記バネの第2振動の振幅から前記測定物
の形状を測定する形状測定手段とを備えたことを特徴と
する表面電位計及び形状測定器。 - 【請求項2】請求項1記載の表面電位計及び形状測定器
において、前記電圧印加手段が前記導電性探針に前記第
1交流電圧と前記第2交流電圧と直流電圧とを重畳した
電圧を印加し、かつ、前記第1交流電圧による前記導電
性探針と前記測定物との間の静電引力により生ずる前記
バネの第1振動の振幅が零もしくは一定値になるように
前記直流電圧を可変する電位制御手段と、前記直流電圧
を測定する電位測定手段と、前記測定物と前記導電性探
針との間の距離を可変するアクチュエータを有し前記第
2交流電圧による前記導電性探針と前記測定物との間の
静電引力により生ずる前記バネの第2振動の振幅が一定
値になるように前記アクチュエータを制御して前記測定
物と前記導電性探針との間の距離を制御する距離制御手
段と、前記アクチュエータの変位量を測定する変位量測
定手段とを備えたことを特徴とする表面電位計及び形状
測定器。 - 【請求項3】請求項1または2記載の表面電位計及び形
状測定器において、前記導電性探針に印加すべき電圧を
測定物の導電性基板に印加し、前記導電性探針の電位を
基準電位としたことを特徴とする表面電位計及び形状測
定器。 - 【請求項4】請求項1または2記載の表面電位計及び形
状測定器において、交流電圧と直流電圧の内のいずれか
1つ或いは前記第1交流電圧と前記第2交流電圧と直流
電圧の内のいずれか2つを前記導電性探針に印加し、残
りの1つを前記測定物に印加する電圧印加手段を有する
ことを特徴とする表面電位計及び形状測定器。 - 【請求項5】請求項1または2記載の表面電位計及び形
状測定器において、前記第1交流電圧と前記第2交流電
圧と直流電圧の内のいずれか2つを測定物の導電性基板
に印加し、残りの1つを前記導電性探針に印加する電圧
印加手段を有することを特徴とする表面電位計及び形状
測定器。
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