JP5957116B1 - フレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及びこの線印像並列印刷方法を用いた櫛形電極の製造方法 - Google Patents

フレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及びこの線印像並列印刷方法を用いた櫛形電極の製造方法 Download PDF

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【課題】20μm未満の間隙で印像を印刷するフレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及び櫛形電極の製造方法を提供することを課題としている。【解決手段】フレキソ印刷機は版胴2における印像を所定の位置に印刷するための基準位置を、フィルム(被印刷物)Fに沿う方向に変位させる基準位置調整装置5を備える。線印像並列印刷方法はフレキソ印刷機1を用いた印刷方法であり、直前に線印像Aを印刷した後の版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5で線印像Aの幅寸法を超えかつ基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチで変位すべく調整した上で、版胴2により線印像Aを印刷する方法である。線印像Aの延在方向は、例えばX軸方向に斜めに交差する方向である。櫛形電極の製造方法は線印像並列印刷方法を用いて導体電極Aを印刷する方法である。【選択図】 図6

Description

本発明は、狭い間隙をもって複数の印像を印刷することが可能となるフレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及びこの線印像並列印刷方法を用いた櫛形電極の製造方法に関する。
この種のフレキソ印刷機は、版胴に巻き付けたフレキソ版の表面に定量のインキ(印刷物質)を供給した上で、そのインキを版胴の回転に基づいて紙やプラスチックフィルム等の被印刷物に転写することにより印刷する輪転印刷機の一種である。フレキソ版は、柔軟性を有する合成樹脂やゴム等により所定の厚さのシート状に形成された凸版であり、凸部の上面に付着したインキを被印刷物に印像として転写するようになっている。
また、フレキソ版の表面の凸部やその側方の凹部は、例えばレーザー彫刻により形成することが可能であるが、例えば線状に延在する凸部や凹部の幅方向の寸法については通常20μmが限界であり、これ以下の寸法に形成することができないと考えられている(例えば特許文献1の表9)。これは、レーザー彫刻により発生する彫刻カスの排除の問題があると共に、フレキソ版が柔軟な素材によって形成されていることから、凸部の倒れによる影響があると考えられる。
このため、フレキソ印刷機では、互いに隣り合う印像の間隙を20μm以下にすることができないという問題があった。
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、版胴における印像を所定の位置に印刷するための基準位置を調整することで、隣り合う印像を極めて狭い間隙で印刷することができるという知見を得た。
特表2004―535962号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、20μm未満の極めて狭い間隙をもって隣り合う印像を印刷することのできるフレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及びこの線印像並列印刷方法を用いた櫛形電極の製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明である線印像並列印刷方法は、外周にフレキソ版を備えた版胴が被印刷物に対して圧力を作用させながら回転することにより、前記フレキソ版の凸部の上面に付着した印刷物質を前記被印刷物に転写し当該被印刷物に前記上面の形状に対応する形状の印像を印刷するフレキソ印刷機であり、前記版胴における前記印像を所定の位置に印刷するための基準位置を、前記被印刷物に沿う方向に変位させるべく調整することが可能な基準位置調整装置を備えていることを特徴とするフレキソ印刷機を用いて前記印像としての線状の形状の線印像を並列に複数印刷する線印像並列印刷方法であって、前記線印像は、所定の幅で直線状に延在する形状を呈しており、直前に線印像を印刷した後の前記版胴の前記基準位置を、前記基準位置調整装置により当該線印像の幅寸法を超えかつ当該基準位置調整装置の分解能に基づいて変位可能な所定の寸法のピッチで当該線印像の幅方向の一方に変位させるべく調整した上で、当該版胴により当該線印像の一方の側に新たな線印像を印刷することにより、同一の前記凸部に対応する複数の線印像を前記ピッチで並列に印刷することを特徴とし、前記線印像の延在する方向を、前記版胴における回転軸の軸方向に直交し前記被印刷物に沿う方向であるX軸方向に対して当該被印刷物に沿う方向において所定の角度で斜めに交差する方向とし、前記版胴の基準位置を調整する方向を、前記X軸方向及び又は前記軸方向に沿う方向であるY軸方向とすることを特徴としている。
請求項に記載の発明である櫛形電極の製造方法は、請求項に記載の線印像並列印刷方法を製造工程の一部に有する櫛形電極の製造方法であって、前記被印刷物として基板用被印刷物を用い、前記印刷物質として導電性を有する導電性印刷物質を用いて、前記基板用被印刷物に前記各線印像を前記導電性印刷物質により印刷することにより、前記各線印像を各導体電極とし、隣り合う前記導体電極を電極対とする櫛形電極を製造する工程を有することを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、印像を転写するフレキソ版を備えた版胴の基準位置を、被印刷物に沿う方向に調整することが可能な基準位置調整装置を備えているので、例えば所定のフレキソ版が備えられた版胴を用いて印像を被印刷物上に印刷した後、当該版胴の基準位置を印像の例えば一方の側に変位させるべく基準位置調整装置で調整してから、その版胴を用いて再度印刷することにより、隣り合う複数の印像を印刷することができる。この場合の隣り合う印像の間隙は、基本的には基準位置調整装置で版胴を変位調整することが可能な最小単位としての分解能により決まることになる。即ち、基準位置調整装置の分解能が1μmであれば、理論的には少なくとも1μmの間隔で印像を印刷することが可能である。
基準位置調整装置に対応するリニアアクチュエータとして、分解能が1μmのものが既に市販されていることから、隣接する印像を20μm未満の間隙で十分に印刷することができる。
なお、例えば印刷テーブルにおける平面状の支持面に保持された被印刷物に対して版胴が回転しながら移動する枚葉方式のフレキソ印刷機においても、また一方のロールから他方のロールに移動する被印刷物に対して版胴が一定の位置を維持しながら回転する方式のフレキソ印刷機においても、版胴の基準位置を被印刷物に沿う方向に変更することにより、隣接する印像を20μm未満の間隙で十分に印刷することができる。
しかも、線印像を版胴の軸方向に直交するX軸方向に対して所定の角度で斜めに交差する方向に延在するように印刷し、版胴の基準位置を基準位置調整装置によりX軸方向及び又は版胴の軸方向であるY軸方向に移動するようにしているので、X軸方向等に対して斜めとなって並列に配置された線印像を得ることができる。そして、版胴の基準位置をX軸方向のみに移動する場合、及びY軸方向にのみ移動する場合は、基準位置調整装置で変位可能な最小単位の変位量より小さな間隙をもって各線印像を並列に配置することができるという利点がある。
また、線印像が所定の幅で直線状に延在する形状を呈しているので、並列に配置された直線状の線印像を得ることができる。
請求項に記載の発明によれば、各線印像のそれぞれを導体電極とし、その隣り合う導体電極を電極対とする櫛形電極を製造することができる。この場合、隣り合う導体電極としてその間隙が極めて小さなものを得ることができる。従って、電気化学現象の分析等で用いることで好適な感度等の高いセンサとしての櫛形電極を提供することができるという利点がある。
本発明の線印像並列印刷方法で用いるフレキソ印刷機についての一実施形態として示したロールツーロール方式のフレキソ印刷機の概略説明図である。 同フレキソ印刷機におけるXYθステージ部を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB矢視図であり、(c)は水平移動回転継手部の概念を示す断面図である。 本発明の線印像並列印刷方法についての第1の参考例として示した線印像の印刷手順を説明する図であって、(a)は上記フレキソ印刷機を用いてフィルム上に線印像を並列に印刷する手順のうち、第1回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は、第1回目の線印像に加えて第2回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2回目の線印像に加えて第3回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図である。 同線印像並列印刷方法の第1の参考例についての他の例を示す図であって、(a)は第1回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は、第1回目の線印像に加えて第2回目の線印像を第1回目と逆方向に印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2回目の線印像に加えて第3回目の線印像を第1回目と同方向に印刷した後の状態を示す説明図である。 本発明の櫛形電極の製造方法についての参考例として示した導体電極等の印刷手順を説明する図であって、(a)は上記フレキソ印刷機を用いて基板用フィルム上に線印像としての導体電極を並列に印刷する手順のうち、第1の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は、第1の導体電極に加えて第2の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2の導体電極に加えて第3の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(d)は第1〜第3の導体電極に加えて第4の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(e)は第1及び第3の導体電極の基端部に接続するように第1の電極端子を印刷すると共に、第2及び第4の導体電極の先端部に接続するように第2の電極端子を印刷した後の状態を示す説明図である。 同櫛形電極の製造方法の参考例についての他の例を示す図であって、(a)は第1の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は、第1の導体電極に加えて第2の導体電極を第1の導体電極と逆方向に印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2の導体電極に加えて第3の導体電極を第1の導体電極と同方向に印刷した後の状態を示す説明図であり、(d)は第1〜第3の導体電極に加えて第4の導体電極を第1の導体電極と逆方向に印刷した後の状態を示す説明図であり、(e)は第1及び第3の導体電極の基端部に接続するように第1の電極端子を印刷すると共に、第2及び第4の導体電極の先端部に接続するように第2の電極端子を印刷した後の状態を示す説明図である。 上記線印像並列印刷方法についての第2の参考例を示す図であって、(a)はフィルム上に線印像を並列に印刷する手順のうち、第1回目における二倍長ピッチ間隔の複数の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は第1回目の各線印像に加えて当該各線印像の一方の側方に第2回目における二倍長ピッチ間隔の複数の線印像を印刷した後の状態を示す説明図である。 同線印像並列印刷方法の第2の参考例についての他の例を示す図であって、(a)は第1回目における二倍長ピッチ間隔の複数の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は第1回目の各線印像に加えて当該各線印像の一方の側方に第2回目における二倍長ピッチ間隔の複数の線印像を第1回目と逆方向に印刷した後の状態を示す説明図である。 上記線印像並列印刷方法についての一実施形態を示す図であって、(a)はフィルム上に線印像を並列に印刷する手順のうち、第1回目の線印像をX軸方向に対して斜めに印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は第1回目の線印像に加えてこの線印像と平行に第2回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2回目の線印像に加えてこれらの線印像に平行に第3回目の線印像を印刷した後の状態を示す説明図であり、(d)は線印像を斜めに印刷することで隣り合う線印像の間隙を狭めることが可能であることを示した説明図である。 上記櫛形電極の製造方法についての一実施形態を示す図であって、(a)は基板用フィルム上に線印像としての導体電極を並列に印刷する手順のうち、第1の導体電極をX軸方向に対して斜めに印刷した後の状態を示す説明図であり、(b)は第1の導体電極に加えてこの第1の導体電極と平行に第2の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(c)は第1及び第2の導体電極に加えてこれらの導体電極と平行に第3の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(d)は第1〜第3の導体電極に加えてこれらの導体電極と平行に第4の導体電極を印刷した後の状態を示す説明図であり、(e)は第1及び第3の導体電極の基端部に接続するように第1の電極端子を印刷すると共に、第2及び第4の導体電極の先端部に接続するように第2の電極端子を印刷した後の状態を示す説明図である。(f)は導体電極を斜めに印刷することで隣り合う導体電極の間隙を狭めることが可能であることを示した説明図である。 上記ロールツーロール方式のフレキソ印刷機の他の例として示した枚葉方式のフレキソ印刷機の概略説明図である。
本発明のフレキソ印刷機を用いた線印像並列印刷方法及び櫛形電極の製造方法について実施形態及び参考例に基づいて図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、線印像並列印刷方法で用いるフレキソ印刷機についての一実施形態として示した図である。この実施形態で示すフレキソ印刷機1は、外周にフレキソ版21を巻き付けるように設けた版胴2を紙や樹脂等のシート状のフィルム(被印刷物)(基材)Fに対して所定の圧力を作用させながら回転することにより、フレキソ版21の凸部(図示せず)の上面に付着した印刷物質をフィルムFの表面に転写し当該フィルムFにフレキソ版21の凸部の上面に対応する形状の線印像(印像)A(例えば図3-1参照)を印刷するようになっている。
フレキソ印刷機1は、ここではロールツーロール方式のもので構成されたものの例を示しており、巻出ロール1aから巻き出された帯状のフィルムFが一定の速度で巻取ロール1bに巻き取られる過程において当該フィルムFに線印像Aを印刷するようになっている。巻出ロール1aと巻取ロール1bの間には、例えば4本のロールを備えたエッジガイダー1cが版胴2の手前側に設けられている。エッジガイダー1cは、フィルムFの両側縁部をガイドすることにより、当該フィルムFが蛇行するのを防止するようになっている。巻出ロール1a、巻取ロール1b及びエッジガイダー1cの4本のロールのそれぞれの回転軸の軸方向は、水平を向いた状態で互いに平行に保持されている。
版胴2は、その回転軸の軸方向が基本的には水平に保持され、かつ巻出ロール1a、巻取ロール1b等に平行に保持されるようになっていると共に、その回転軸回りに回転駆動されることにより、フィルムFの移動速度と同調する周速度で回転するようになっている。この場合、版胴2の軸方向はフィルムFと平行であり、フィルムFは版胴2の軸方向に直交する方向に延在すると共に移動することになる。ここでは、版胴2の軸方向に直交しフィルムFに沿う方向をX軸方向とし、版胴2の軸方向をY軸方向とする。また、版胴2の下側には、フィルムFを下方から支持する圧胴3が設けられている。この圧胴3は、版胴2から作用する圧力を受けることで、当該圧力をフィルムFに安定的に作用させる機能を有している。この圧胴3についても、その軸方向がY軸方向を向き、版胴2及びフィルムFと同調する周速度で回転するようになっている。
また、版胴2は、その外周面にアニロックスロール4から印刷物質の供給を受け、これによって、フレキソ版21の凸部の上面に付着した印刷物質をフィルムFに転写するようになっている。
アニロックスロール4は、その外周面で壺部41からの印刷物質の供給を受けるようになっている。即ち、壺部41は、蓄えた印刷物質をアニロックスロール4の外周面に供給するようになっている。この壷部41には、印刷物質を一定の厚さに整えてアニロックスロール4に供給するためのドクター41aが設けられている。また、印刷物質としては、印刷の種類に応じて適正な粘度等に調製された種々のインキが用いられる。例えば、後述の櫛形電極を製造する場合には、印刷物質として、銀、銅等の導電性金属からなる粒子、ナノ粒子若しくはナノワイヤ等を含有する液状等に構成されたもの(いわゆる導電性インキ、導電性印刷物質)が用いられることになる。
上記版胴2、圧胴3、アニロックスロール4、壷部41、ドクター41aは、図1に示すフレキソ印刷機1において、印刷機能部101を構成する要素となっている。そして、印刷機能部101は、版胴2、圧胴3、アニロックスロール4、壷部41、ドクター41a、版胴2等を駆動するモータ、減速機その他諸々の部材等を支持し、収容するフレーム等で構成された支持構造体101aを備えた構成になっている。
印刷機能部101の上側には、XYθステージ部102、Zステージ部103及び制御部104が順次重なるように設けられている。そして、印刷機能部101、XYθステージ部102、Zステージ部103及び制御部104によって印刷ユニット100が構成され、この印刷ユニット100の上端部がフレキソ印刷機1の本体(図示せず)に固定されるようになっている。
XYθステージ部102は、図2に示すように、基準位置調整装置5を備えた構成になっている。この基準位置調整装置5は、図2(b)に示すように、印刷ユニット100における印刷機能部101より下側の部分を、Zステージ部103より上側の部分に対して、水平方向に移動駆動することが可能になっていると共に、垂直軸回りに回動駆動することが可能になっている。この場合の基準位置調整装置5は、図2(a)に示すX軸が上述のX軸方向に、Y軸が上述のY軸方向方向に向けられた状態でXYθステージ部102に設けられている。また、基準位置調整装置5の駆動可能範囲は、X軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、垂直軸であるZ軸回りのθ回転角方向に±5度となっている。なお、X軸、Y軸及びZ軸は、直交座標系の座標軸に対応し、X軸とY軸からなるXY平面は水平方向(即ち、フィルムFに沿う方向)を向き、Z軸はXY平面に対して垂直方向を向くことになる。
基準位置調整装置5の各部材の構成は以下の通りである。即ち、基準位置調整装置5は、下側プレート部51と、上側プレート部52と、水平移動回転継手部53と、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56とを備えている。
下側プレート部51及び上側プレート部52は、四角形の金属板(例えば鋼板やアルミニウム板等)によって形成されており、弾性変形を極力防止すべく所定の厚さ以上の剛性の高いものが用いられている。そして、下側プレート部51はその下面側が印刷機能部101の支持構造体101aに連結され、上側プレート部52はその上面側がZステージ部103に連結されている。
水平移動回転継手部53は、図2(c)に示すように、下側スライダ53aと、上側スライダ53bと、複数の転動体53cと、リテーナ53dを備えている。転動体53cは、鋼球によって形成されたものであり、下側スライダ53aと、上側スライダ53bとの間にあって、これらの下側スライダ53aと、上側スライダ53bとを平行に維持しながら、水平方向及び回転方向に円滑な相対移動を可能にしている。リテーナ53dは、転動体53cが下側スライダ53aと、上側スライダ53bとの間から脱落するのを防止する機能を有している。そして、下側スライダ53aは下側プレート部51の上面中心部に固定され、上側スライダ53bは上側プレート部52の下面中心部に固定されるようになっている。このように構成された水平移動回転継手部53についても、全体が剛性の高いものとなっている。
第1及び第3のリニアアクチュエータ54、56は、図2(a)及び(b)に示すように、下側プレート部51と上側プレート部52との間にあって、その伸縮方向を基本的にY軸方向に向けた状態で、水平移動回転継手部53の両側に設けられている。これらの第1及び第3のリニアアクチュエータ54、56のそれそれについては、その伸縮方向の一端部が下側プレート部51に連結され、他端部が上側プレート部52に連結されている。第2のリニアアクチュエータ55は、下側プレート部51と上側スライダ53bとの間にあって、その伸縮方向を基本的にX軸方向に向けた状態で、水平移動回転継手部53の外側に設けられている。この第2のリニアアクチュエータ55についても、その伸縮方向の一端部が下側プレート部51に連結され、他端部が上側プレート部52に連結されている。
このように構成された基準位置調整装置5は、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56を個々に伸縮制御することにより、下側プレート部51に対して上側プレート部52を、上述のようにX軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、θ回転角方向に±5度の範囲で変位させることが可能になっている。そして、基準位置調整装置5の位置決め精度としての分解能は、X軸方向及びY軸方向の各方向においては1μmであり、θ回転角方向においてはX軸方向及びY軸方向の各方向の分解能に基づいて定まる値となる。
Zステージ部103は、図1に示すように、印刷ユニット100におけるXYθステージ部102より下側の部分を、当該印刷ユニット100における制御部104より上側の部分に対して、上下方向に平行に微動変位させることが可能になっている。
制御部104は、版胴2及び圧胴3の回転速度等の印刷に関する基本的な制御を行うと共に、第1〜第3のリニアアクチュエータ54、55、56を制御することで、印刷機能部101(即ち、その構成要素である版胴2)を上述した移動範囲及び分解能で変位させるべく調整することが可能になっている。
版胴2及び圧胴3等は、基準位置調整装置5に基づいて、X軸方向に9mm、Y軸方向に11.5mm、θ回転角方向に±5度の範囲で変位可能であると共に、X軸方向及びY軸方向の各方向においては1μmの分解能で位置決めが可能になっている。
即ち、基準位置調整装置5は、版胴2における線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置を、フィルムFに沿う方向に(即ち、X軸方向及びY軸方向に)1μmの分解能で変位させるべく調整することが可能になっている。
一方、線印像Aは、線状のものであれば直線状のものでなくてもよいが、この例では図3−1に示すように、所定の幅で直線状に延在する形状のものを示している。この線印像Aの幅寸法は、フレキソ版で印刷可能な下限値とされている20μmである。
このため、基準位置調整装置5は、線印像Aの幅寸法20μmより十分小さい所定の寸法である1μmを最小単位とする変位量で版胴2の基準位置を調整することが可能になっている。(なお、この最小単位の変位量としては、1μm以上20μm未満であってもよい。)
上記のように構成されたフレキソ印刷機1においては、線印像Aを転写するフレキソ版21を備えた版胴2の基準位置を、フィルムFに沿う方向に調整することが可能な基準位置調整装置5を備えているので、例えば先に線印像AをフィルムF上に印刷した後、版胴2の基準位置を線印像Aの例えば一方の側に変位すべく調整をしてから、その版胴2を用いて再度印刷することにより、隣り合う複数の線印像Aを印刷することができる。この場合の隣り合う線印像Aの間隙は、基本的には基準位置調整装置5で版胴2を変位調整することが可能な最小単位としての分解能により決まることになる。即ち、基準位置調整装置5の分解能が1μmであれば、理論的には少なくとも1μmの間隔で印像を印刷することが可能である。例えば、印像の幅が20μmである場合は、その幅方向に版胴2の基準位置を21μm移動することにより、隣り合う印像の間隙を1μmにすることができ、また印像の幅が20.5μmである場合は、その幅方向に版胴2の基準位置を21μmや22μm移動することにより、隣り合う線印像Aの間隙を0.5μmや1.5μmにすることも可能である。
基準位置調整装置5に対応するようなアクチュエータとして、分解能が1μm程度のものが既に市販されていることから、隣接する印像を20μm未満の間隙で十分に印刷することができる。
また、基準位置調整装置5は版胴2の基準位置をX軸方向に移動可能であることから、そのX軸方向に20μm未満の間隙をもって隣り合う複数の線印像Aを印刷することができる。更に、基準位置調整装置5は版胴2の基準位置をY軸方向にも移動可能であるから、Y軸方向に20μm未満の間隙をもって隣り合う複数の線印像Aを印刷することができる。そして更に、基準位置調整装置5は版胴2の基準位置をX軸方向及びY軸方向の何れにも移動可能であるから、XY平面に沿う任意の方向に20μm未満の間隙をもって隣り合う複数の印像を印刷することもできる。
次に、上記のように構成されたフレキソ印刷機1を用いて、線印像Aを20μm未満の極めて狭い間隙をもって並列に複数印刷する線印像並列印刷方法についての第1の参考例を、図3−1を参照して説明する。
まず、第1回目の印刷において、図3−1(a)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの第1の線印像A1をフィルムF上に印刷する。この際に、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向(図中右方向)に所定寸法移動する。
次に、第2回目の印刷において、図3−1(b)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの第2の線印像A2をフィルムF上に印刷する。この印刷の前段において、フィルムFについては第1回目の印刷前の初期位置に戻し、版胴2は第1回目の印刷前の回転角度位置に戻すことになる。版胴2のX軸方向及びY軸方向の位置は線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置からもともと移動していないので、このまま、第2回目の印刷をすれば、第2の線印像A2が第1の線印像A1に重なった状態で印刷されることになる。そこで、版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5により第1の線印像A1の幅寸法20μmを超えかつ当該基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチ23μm(この例では(1μm×20)+(1μm×3)=23μm)で当該第1の線印像A1の幅方向の一方に移動した上で、第2回目の印刷をする。これにより、第1の線印像A1の側方に3μmの間隙をあけた状態で第2の線印像A2が印刷される。この際にも、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向に所定寸法移動する。
第2の線印像A2と同様にして、第3の線印像A3をフィルムF上に印刷することにより、図3−1(c)に示すように、第1、第2及び第3の線印像A1、A2、A3が互いに3μmの間隙をもって並列に(この場合は平行に)印刷することができ、更に印刷を繰り返すことで図示しない第4の線印像等の更に多くの線印像Aを印刷することができる。
上記のように構成された線印像並列印刷方法の第1の参考例においては、線印像Aの幅寸法を超えかつ基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチで、版胴2の基準位置を線印像2の幅方向の一方に移動して、その移動した各位置で当該版胴2により印刷を行うことを繰り返すことにより、当該線印像Aを所定のピッチで複数並列に印刷することができる。また、線印像Aの幅寸法を超えかつ基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチとしては、例えば線印像Aの幅寸法を20.5μmとし、基準位置調整装置5で変位可能な最小値を1μmとすると、21μm、22μm、23μm・・・となる。この場合、ピッチとして例えば21μmを用いると、隣り合う線印像の間隙が0.5μmとなり、当該ピッチとして22μmを用いると、当該線印像の間隙が1.5μmとなる。即ち、隣り合う線印像を20μm未満の間隙で十分に印刷することができる。
なお、図3−1において、第1の線印像A1の幅寸法を超えかつ当該基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチを例えば21μmとすれば、第1、第2及び第3の線印像A1、A2、A3その他の線印像を互いに1μmの間隙をもって並列に印刷することも可能である。
また、図3−2に示すように、偶数回目の印刷方向については奇数回目の印刷方向と逆方向にすることにより、フィルムFを初期位置に戻す工程で、第2の線印像A2等を印刷することができるので、印刷の能率を向上させることが可能である。
次に、図3−1に示す線印像並列印刷方法の第1の参考例を製造工程の一部に取り入れた櫛形電極の製造方法についての参考例を、図4−1を参照して説明する。
まず、フィルムFに代えて所定の樹脂製の基板用フィルム(被印刷物)F1を用い、印刷物質として導電性インキを用いる。そして、第1回目の印刷において、図4−1(a)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの上記第1の線印像A1に対応する第1の導体電極A11を基板用フィルムF1上に印刷する。この際に、版胴2は所定角度回転し、基板用フィルムF1はX軸方向(図中右方向)に所定寸法移動する。
次に、第2回目の印刷において、図4−1(b)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの上記第2の線印像A2に対応する第2の導体電極A12を基板用フィルムF1上に印刷する。この印刷の前段において、基板用フィルムF1については第1回目の印刷前の初期位置より寸法X1だけ余計に戻し、版胴2は第1回目の印刷前の回転角度位置に戻すことになる。版胴2のX軸方向及びY軸方向の位置は線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置からもともと移動していないので、このまま、第2回目の印刷をすれば、第2の導体電極A12が第1の導体電極A11に部分的に重なった状態で印刷されることになる。そこで、版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5により第1の導体電極A11の幅寸法20μmを超えかつ当該基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチ23μmで当該第1の導体電極A11の幅方向の一方に移動した上で、第2回目の印刷をする。これにより、第1の導体電極A11の側方に3μmの間隙をあけた状態で第2の導体電極A12が印刷されることになると共に、第2の導体電極A12の基端位置が第1の導体電極A11の基端位置より寸法X1だけX軸方向にずれた状態になる。この際にも、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向に所定寸法移動する。
次に、第3回目の印刷において、図4−1(c)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの上記第3の線印像A3に対応する第3の導体電極A13を基板用フィルムF1上に印刷する。この印刷の前段において、基板用フィルムF1については第1回目の印刷前の初期位置に戻し、版胴2は第1回目の印刷前の回転角度位置に戻すことになる。そして、版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5により23μmのピッチで第2の導体電極A12の幅方向の一方に移動した上で、第3回目の印刷をする。これにより、第2の導体電極A12の側方に3μmの間隙をあけた状態で第3の導体電極A13が印刷されることになると共に、第3の導体電極A13の基端位置が第1の導体電極A11の基端位置と同位置に揃った状態になる。この際にも、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向に所定寸法移動する。
次に、第4回目の印刷において、図4−1(d)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの第4の導体電極A14を基板用フィルムF1上に印刷する。この際には、図4−1(b)に示す第2回目の印刷と同様にして印刷することにより、第3の導体電極A13の側方に3μmの間隙をあけた状態で第4の導体電極A14が印刷されることになると共に、第4の導体電極A14の基端位置が第1及び第3の導体電極A11、A13の基端位置より寸法X1だけX軸方向にずれた状態になる。
そして、第5回目の印刷においては、図4−1(e)に示すように、上記第1〜第4の導体電極A11、A12、A13、A14を印刷するためのフレキソ版とは異なるフレキソ版を用いて第1の電極端子A15及び第2の電極端子A16を基板用フィルムF1上に印刷する。第1及び第2の電極端子A15、A16は、共にY軸方向に延在する幅寸法20μmのものであり、X軸方向に所定の間隔をおいて平行に印刷されるようになっている。そして、第1の電極端子A15については、第1及び第3の導体電極A11、A13の基端部に重なるように印刷されることにより、当該第1及び第3の導体電極A11、A13に電気的に接続されることになり、第2の電極端子A16については、第2及び第4の導体電極A12、A14の先端部に重なるように印刷されることにより、当該第2及び第4の導体電極A12、A14に電気的に接続されることになる。
上記のように構成された工程を有する櫛形電極の製造方法の参考例においては、各線印像Aのそれぞれを導体電極A11〜A14とし、その隣り合う導体電極を電極対とする櫛形電極を製造することができる。即ち、隣り合う導体電極A11〜A14の間隙が3μm程度の極めて小さな櫛形電極を得ることができる。従って、電気化学現象の分析等で用いることで好適な感度等の高いセンサとしての櫛形電極を提供することができる。また、上記ピッチとして21μmを選定することにより、1μmの間隙をもって各導体電極A11〜A14を隣接させることもできる。
なお、第1〜第4の導体電極A11〜A14に加えて更に多くの導体電極を印刷し、これらの複数の導体電極に対して第1の電極端子A15及び第2の電極端子A16を接続した櫛形電極を得ることもできる。
また、図4−2に示すように、偶数回目の導体電極A12、A14の印刷方向については奇数回目の導体電極A11、A13の印刷方向と逆方向にすることにより、基板用フィルムF1を初期位置等に戻す工程で、当該導体電極A12、A14を印刷することができるので、印刷の能率を向上させることが可能である。
次に、上記フレキソ印刷機1を用いて、線印像Aを20μm未満の極めて狭い間隙をもって複数並列に印刷する線印像並列印刷方法についての第2の参考例を、図5−1を参照して説明する。
まず、第1回目の印刷において、図5−1(a)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの第1の線印像A101を複数同時にフィルムF上に印刷する。この場合には、第1の線印像A101の幅を超えかつ基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法23μm(この例では(1μm×20)+(1μm×3)=23μm)を二倍した二倍長ピッチ46μm(23μm×2=46μm)で当該第1の線印像A101を複数並列に印刷することが可能なフレキソ版21を巻いた版胴2を用いることになる。これにより、フィルムFには、各第1の線印像A101が二倍長ピッチ46μmで並列に(この場合は平行に)印刷されることになる。この印刷の際、版胴2は、所定角度回転し、フィルムFはX軸方向(図中右方向)に所定寸法移動する。
次に、第2回目の印刷において、図5−1(b)に示すように、X軸方向に延在する幅寸法20μmの第2の線印像A102を複数同時に印刷する。この印刷の前段において、フィルムFについては第1回目の印刷前の初期位置に戻し、版胴2は第1回目の印刷前の回転角度位置に戻すことになる。版胴2のX軸方向及びY軸方向の位置は線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置からもともと移動していないので、このまま、第2回目の印刷をすれば、各第2の線印像A102が各第1の線印像A101に重なった状態で印刷されることになる。そこで、第1回目の印刷後の版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5により上記二倍長ピッチの半分の単倍長ピッチ23μm(46μm/2=23μm)で第1の線印像A101の幅方向の一方に移動した上で、第2回目の印刷をする。これにより、各第1の線印像A101の側方に3μmの間隙をあけた状態で第2の線印像A102が印刷されることになる。即ち、第1及び第2の線印像A101、A102からなる複数の線印像Aを23μmの単倍長ピッチで並列に印刷し、各線印像Aを互いに3μmの間隙をもって隣接させることができる。
上記のように構成された線印像並列印刷方法の第2の参考例においては、二倍長ピッチで複数の第1の線印像A101を同時に印刷した後の版胴2の基準位置を、二倍長ピッチの半分の単倍長ピッチで各第1の線印像A101の幅方向の一方に移動した上で、当該版胴2によって当該各第1の線印像A101の一方の側に新たな各第2の線印像A102を印刷することにより、第1及び第2の線印像A101、A102からなる複数の線印像Aを互いに3μmの間隙をもって隣接させることができる。従って、二回の印刷を繰り返すだけで、20μm未満の間隙で隣り合う複数の線印像Aを得ることができるという有利な効果を奏する。
なお、二倍長ピッチを42μmとし、単倍長ピッチを21μmとすれば、第1及び第2の線印像A101、A102からなる複数の線印像Aを互いに1μmの間隙をもって隣接させることも可能である。
また、図5−2に示すように、第2回目の印刷方向については第1回目の印刷方向と逆方向にすることにより、フィルムFを初期位置に戻す工程で、各第2の線印像A102を印刷することができるので、印刷の能率を向上させることも可能である。
一方、上記線印像並列印刷方法の第1及び第2の参考例においては、線印像A1〜A3、A101〜A102をX軸方向に延在するものとし、版胴2の基準位置を基準位置調整装置5によりY軸方向に変位させるように構成した例を示したが、線印像A1〜A3、A101、A102をY軸方向に延在するように印刷するものとし、版胴2の基準位置を基準位置調整装置5によりX軸方向に変位させるように構成してもよい。この場合も、各線印像A1〜A3、A101〜A102について、例えば3μm(1μmに低減可)の間隙で印刷することも可能である。
また、上記櫛形電極の製造方法の参考例においては、導体電極A11〜A14をX軸方向に延在するものとし、版胴2の基準位置を基準位置調整装置5によりY軸方向に変位させるようにし、電極端子A15〜A16についてはY軸方向に延在するように構成した例を示したが、導体電極A11〜A14をY軸方向に延在するように印刷し、版胴2の基準位置を基準位置調整装置5によりX軸方向に変位させるようにし、電極端子A15〜A16をX軸方向に延在するように印刷するように構成してもよい。この場合も、各導体電極A101〜A104が例えば3μm(1μmに低減可)の間隙で形成された櫛形電極を得ることができる。また、図5−1又は図5−2に示す線印像並列印刷方法の第2の参考例又はこの参考例の他の例を利用して櫛形電極の導体電極を印刷するようにしてもよい。
そして更に、線印像A1〜A3、A101〜A102や、導体電極A11〜A14、電極端子A15〜A16については、X軸方向に対して90度(直角)以外の角度で交差し、かつXY平面に沿う方向(フィルム(被印刷物)F、F1に沿う方向)に延在するように形成してもよい。即ち、線印像A1〜A3、A101〜A102や、導体電極A11〜A14、電極端子A15〜A16については、例えばX軸方向に対して斜め方向に延在するものであってもよい。
この斜め方向の線印像Aに関する線印像並列印刷方法の一実施形態を、図6を参照して説明する。なお、この実施形態は、図3−1の第1の参考例で示した各線印像A1、A2、A3を斜めに印刷したものに対応している。
まず、第1回目の印刷において、図6(a)に示すように、X軸方向に対して角度θa(この例ではθa=60度)の方向に延在する幅寸法20μmの第1の線印像A1sを印刷する。この際に、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向(図中右方向)に所定寸法移動する。なお、この第1の線印像A1sは、版胴2に装着したフレキソ版21の凸部の延在する方向がX軸方向に対して斜めとなるように形成されたものを用いることにより可能になる。
次に、第2回目の印刷において、図6(b)に示すように、第1の線印像A1sに平行に延在する幅寸法20μmの第2の線印像A2sを印刷する。この印刷の前段において、フィルムFについては第1回目の印刷前の初期位置に戻し、版胴2は第1回目の印刷前の回転角度位置に戻すことになる。版胴2のX軸方向及びY軸方向の位置は線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置からもともと移動していないので、このまま、第2回目の印刷をすれば、第2の線印像A2sが第1の線印像A1sに重なった状態で印刷されることになる。そこで、版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5によりY軸方向の第1の線印像A1の幅寸法(20μm/cos60°)を超えかつ当該基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチ(この例では(20μm/cos60°)+1μm×3=43μm)で当該第1の線印像A1の幅方向の一方に対応するY軸方向に移動した上で、第2回目の印刷をする。これにより、第1の線印像A1の側方にY軸方向に3μmの間隙をあけた状態で第2の線印像A2sが印刷されることになる。この際にも、版胴2は所定角度回転し、フィルムFはX軸方向に所定寸法移動する。
第2の線印像A2sと同様にして、第3の線印像A3sを印刷することにより、図6(c)に示すように、第1、第2及び第3の線印像A1s、A2s、A3sが互いにY軸方向に3μmの間隙をもって並列に(この場合は平行に)印刷することができ、更に印刷を繰り返すことで図示しない第4の線印像等の複数の線印像Aを印刷することができる。ここで、隣接する線印像Aの間隙は、当該線印像Aに直交する方向には、3μm×cos60°=1.5μmである。従って、基準位置調整装置5の変位可能な最小単位としての分解能が1μmである場合には、理論的には0.5μmの間隙となる。
なお、この間隙の寸法は、線印像Aが角度θaが60°の場合のものであり、当該角度θaが90°に近づくに従って縮小し、0°に近づくに従って拡大することになる。また、斜め方向の線印像Aについても、例えば偶数回目の印刷において、逆方向に印刷する図3−2で示した方法を用いることにより印刷能率を向上させることができる。
更に、上記斜め方向の線印像Aは、図5−1及び図5−2で示した2回の印刷で複数の線印像Aを印刷する方法にも適用することができる。そして更に、導体電極A11〜A14、電極端子A15〜A16について斜め方向に印刷する技術を適用することで、基準位置調整装置5の分解能以下の間隙を有する導体電極A11〜A14を備えた櫛形電極を得ることができる。
この櫛形電極の製造方法についての一実施形態を図7に示す。なお、導体電極A11〜A14、電極端子A15〜A16については図4−1で示した参考例に対応している。
即ち、この実施形態においては、まず第1回目の印刷により、図7(a)に示すように、X軸方向に対して角度θa(この例ではθa=60度)の方向に延在する幅寸法20μmの第1の導体電極A11sを基板用フィルムF1上に印刷する。この際に、版胴2は所定角度回転し、基板用フィルムF1はX軸方向(図中右方向)に所定寸法移動する。
次に、第2回目の印刷において、図7(b)に示すように、第1の導体電極A11sに平行に延在する幅寸法20μmの第2の導体電極A12sを基板用フィルムF1上に印刷する。この印刷の前段において、基板用フィルムF1については第1回目の印刷前の初期位置より寸法X1だけ余計に戻す等は、図4−1で示した参考例と同様である。但し、第2の導体電極A12s等が斜めに形成されている点を考慮し、上記寸法X1が得られるような制御を行う。また、第2回目の印刷前には、版胴2の基準位置を、基準位置調整装置5によりY軸方向の第1の導体電極A11の幅寸法20μmを超えかつ当該基準位置調整装置5で変位可能な所定の寸法のピッチ43μmで当該第1の導体電極A11sの幅方向の一方に対応するY軸方向に移動する制御を行う。これにより、第1の導体電極A11sの側方にY軸方向に3μmの間隙をあけた状態で第2の導体電極A12sが印刷されることになると共に、第2の導体電極A12sの基端位置が第1の導体電極A11sの基端位置より寸法X1だけ第1の導体電極A11sの延在する方向にずれた状態になる。この際にも、版胴2は所定角度回転し、基板用フィルムF1はX軸方向に所定寸法移動する。
次に、第3回目の印刷において、図7(c)に示すように、第2の導体電極A12sに平行に延在する幅寸法20μmの第3の導体電極A13sを基板用フィルムF1上に印刷する。この第3の導体電極A13sの印刷は、第2の導体電極A12sと同様に行うことができる。但し、第3の導体電極A13sの基端位置が当該第3の導体電極A13sに延在する方向に直交する方向において、第1の導体電極A11の基端位置と同位置となるように印刷することになる。
次に、第4回目の印刷において、図7(d)に示すように、第3の導体電極A13sに平行に延在する幅寸法20μmの第4の導体電極A14sを基板用フィルムF1上に印刷する。この印刷は、図7(b)に示す第2回目の印刷と同様にして行うことが可能である。
そして、第5回目の印刷においては、図7(e)に示すように、上記第1〜第4の導体電極A11s、A12s、A13s、A14sを印刷するためのフレキソ版とは異なるフレキソ版を用いて第1の電極端子A15s及び第2の電極端子A16sを基板用フィルムF1上に印刷する。第1及び第2の電極端子A15、A16は、それぞれが第1の導体電極A11s等に直交する方向に延在する幅寸法20μmのものであり、第1の導体電極A11s等の延在する方向に所定の間隔をおいて平行に印刷されるようになっている。そして、第1の電極端子A15sについては、第1及び第3の導体電極A11s、A13sの基端部に重なるように印刷され、第2の電極端子A16sについては、第2及び第4の導体電極A12s、A14sの先端部に重なるように印刷されることになる。
以上により、第1〜第4の導体電極A11s〜A14sについて互いにY軸方向に3μmの間隙をもって並列に(この場合は平行に)印刷することができ、当該導体電極A11s〜A14sに直交する方向には、3μm×cos60°=1.5μmの間隙をもって並列に印刷することができる。従って、基準位置調整装置5の変位可能な最小単位が1μmであることから、理論的には少なくとも0.5μmの間隙で導体電極A11s〜A14sを印刷することができる。
なお、上記櫛形電極の製造方法の実施形態においても、図5−1及び図5−2で示した2回の印刷で複数の線印像Aを印刷する方法を導体電極A11s〜A14sの印刷に適用したり、当該導体電極A11s〜A14sについての偶数回目の印刷を逆方向に印刷する方法を適用したりするようにしてもよい。
また、上記フレキソ印刷機についての実施形態においては、フレキソ印刷機1として、ロールツーロール方式のもので構成されたものを示したが、例えば図8に示すように、印刷テーブル61における平面状の支持面61aに保持されたフィルム(被印刷物)Fに対して版胴2が回転しながら移動する枚葉方式のフレキソ印刷機6によって構成したものであってもよい。但し、枚葉方式のフレキソ印刷機6の場合は、フィルムFが印刷テーブル61の支持面61aに不動状態に保持されることになり、版胴2を含む印刷ユニット100の全体がフレキソ印刷機6の図示しない本体に対して印刷テーブル61の支持面61aに沿う方向(即ち、フィルムFに沿う方向)に版胴2の周速と同調する速度で移動駆動されることになる。枚葉方式のフレキソ印刷機6は、版胴2の周速と同調する速度で印刷ユニット100を移動駆動する同調駆動装置(図示せず)が備えられたものとなる。そして、同調駆動装置は、版胴2における線印像Aを所定の位置に印刷するための基準位置に当該版胴2を確実に戻すように構成されており、その基準位置については、ロールツーロール方式の場合と同様に基準位置調整装置5によって変位可能になっている。このため、基準位置調整装置5の分解能に基づく少なくとも1μmの間隙をもって隣接する線印像A等を印刷することができる。即ち、隣接する印像を20μm未満の間隙で十分に印刷することができる。
また、基準位置調整装置5として、版胴2の基準位置をX軸方向Y軸方向及びθ回転方向に移動及び回動可能なもので構成した例を示したが、この基準位置調整装置5としては、X軸方向のみに移動可能なものや、Y軸方向のみに移動可能なもので構成してもよい。即ち、基準位置調整装置5としては、X軸方向のみに移動可能なリニアアクチュエータのみを備えたもので構成したものであっても、また軸方向のみに移動可能なリニアアクチュエータのみを備えたもので構成したものであってもよい。
また、印刷物質としては、液体状の有機EL材料(発光ポリマー)や、液体状のポリイミドや、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリピロール、有機半導体のいずれかを含む有機材料を含有する液体や、水性インキ、UVインキ、油性インキ、プロセスインキ、中間色インキ、水無しインキやその他のインキ等の液体や流動体であってもよい。
更に、基準位置調整装置5による変位可能な最小単位として1μmとする例を示したが、この基準位置調整装置5は、1μm以上であって20μm未満の寸法を最小単位とする変位量で版胴2の基準位置を調整可能にするものであってもよい。
また、印像として線印像、導体電極及び電極端子をAの符号を付加して示したが、これらについては直線状のものや、一定の幅のものに限らず、種々の形状の印像であってもよいことは言うまでもない。また、被印刷物としてフィルムFや基板用フィルムF1を示したが、これらについても紙や樹脂製のものに限らず、その他の材質のシート状や、その他の形状のものであってもよいことは言うまでもない。
1 フレキソ印刷機
2 版胴
5 基準位置調整装置
21 フレキソ版
A 印像(線印像)(導体電極)(電極端子)
F フィルム(被印刷物)
F1 基板用フィルム(被印刷物)

Claims (2)

  1. 外周にフレキソ版を備えた版胴が被印刷物に対して圧力を作用させながら回転することにより、前記フレキソ版の凸部の上面に付着した印刷物質を前記被印刷物に転写し当該被印刷物に前記上面の形状に対応する形状の印像を印刷するフレキソ印刷機であり、前記版胴における前記印像を所定の位置に印刷するための基準位置を、前記被印刷物に沿う方向に変位させるべく調整することが可能な基準位置調整装置を備えていることを特徴とするフレキソ印刷機を用いて前記印像としての線状の形状の線印像を並列に複数印刷する線印像並列印刷方法であって、
    前記線印像は、所定の幅で直線状に延在する形状を呈しており、
    直前に線印像を印刷した後の前記版胴の前記基準位置を、前記基準位置調整装置により当該線印像の幅寸法を超えかつ当該基準位置調整装置の分解能に基づいて変位可能な所定の寸法のピッチで当該線印像の幅方向の一方に変位させるべく調整した上で、当該版胴により当該線印像の一方の側に新たな線印像を印刷することにより、同一の前記凸部で複数の線印像を前記ピッチで並列に印刷することを特徴とし、
    前記線印像の延在する方向を、前記版胴における回転軸の軸方向に直交し前記被印刷物に沿う方向であるX軸方向に対して当該被印刷物に沿う方向において所定の角度で斜めに交差する方向とし、
    前記版胴の基準位置を調整する方向を、前記X軸方向及び又は前記軸方向に沿う方向であるY軸方向とすることを特徴とする線印像並列印刷方法。
  2. 請求項1に記載の線印像並列印刷方法を製造工程の一部に有する櫛形電極の製造方法であって、
    前記被印刷物として基板用被印刷物を用い、前記印刷物質として導電性を有する導電性印刷物質を用いて、前記基板用被印刷物に前記各線印像を前記導電性印刷物質により印刷することにより、前記各線印像を各導体電極とし、隣り合う前記導体電極を電極対とする櫛形電極を製造する工程を有することを特徴とする櫛形電極の製造方法。
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