以下、添付図面を参照して、本願の開示する液処理装置および液処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成について図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、以下では、X軸負方向側を基板処理装置の前方、X軸正方向側を基板処理装置の後方と規定する。
図1に示すように、基板処理装置100は、搬入出ステーション1と、搬送ステーション2と、処理ステーション3とを備える。これら搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3は、基板処理装置100の前方から後方へ、搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3の順で配置される。
搬入出ステーション1は、複数のカセットが載置される場所であり、たとえば4個のカセットCが搬送ステーション2の前壁に密着させた状態で左右に並べて載置される。各カセットCは、複数枚のウェハWを水平姿勢で多段に収容可能な収納容器である。
搬送ステーション2は、搬入出ステーション1の後方に配置され、内部に基板搬送装置2aと基板受渡台2bとを備える。基板受渡台2bには、複数枚のウェハWが一時的に収容されるバッファカセット(図示せず)が載置される。そして、基板搬送装置2aは、搬入出ステーション1に載置されたカセットCと基板受渡台2bに載置されたバッファカセットとの間でウェハWの受け渡しを行う。
基板搬送装置2aは、たとえば、水平方向への移動、鉛直方向への昇降および鉛直方向を中心とする旋回が可能な搬送アーム部と、搬送アーム部の先端に設けられた基板保持部とを備える。かかる基板搬送装置2aは、基板保持部を用いてウェハWを保持し、保持したウェハWを搬送アーム部によって所望の場所まで搬送する。
処理ステーション3は、搬送ステーション2の後方に配置される。処理ステーション3には、X軸方向に沿って移動可能な基板搬送装置3aが配置され、基板搬送装置3aの移動方向両側には、それぞれ複数(ここでは、6個ずつ)の液処理装置5が基板搬送装置3aの移動方向に沿って並べて配置される。基板搬送装置3aは、搬送ステーション2の基板受渡台2bに載置されたバッファカセットと各液処理装置5との間でウェハWを1枚ずつ搬送する。そして、各液処理装置5は、基板搬送装置3aによって搬入されたウェハWに対して洗浄処理等の液処理を行う。
また、基板処理装置100は、制御装置6を備える。制御装置6は、基板処理装置100の動作を制御する装置である。かかる制御装置6は、たとえばコンピュータであり、図示しない制御部と記憶部とを備える。記憶部には、液処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部は記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置100の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置6の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
このように構成された基板処理装置100では、まず、搬送ステーション2の基板搬送装置2aが、搬入出ステーション1に載置されたカセットCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを基板受渡台2bの図示しないバッファカセットに収容する。バッファカセットに収容されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置3aによって取り出され、いずれかの液処理装置5に搬入される。
液処理装置5に搬入されたウェハWは、液処理装置5によって液処理を施された後、基板搬送装置3aにより液処理装置5から搬出され、基板受渡台2bのバッファカセットに再び収容される。そして、バッファカセットに収容された処理済のウェハWは、基板搬送装置2aによって搬入出ステーション1のカセットCに戻される。
次に、第1の実施形態に係る液処理装置5の構成について図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る液処理装置5の構成を示す模式図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る液処理装置5は、処理室10と、給気部20と、回転保持部30と、液供給部40と、処理カップ50とを備える。処理室10は、回転保持部30と液供給部40と処理カップ50とを収容する容器である。
給気部20は、処理室10の天井部に取り付けられる。かかる給気部20は、処理室10内に気体を供給することによって、後述する処理カップ50の開口部501へ向かう下降気流(ダウンフロー)を形成する。具体的には、給気部20は、給気管21と、かかる給気管21に連通するバッファ室22とを備える。給気管21は、図示しない気体供給源と接続する。また、バッファ室22の底部には、バッファ室22と処理室10内とを連通する複数の連通口23が形成される。
かかる給気部20は、給気管21を介してN2ガスやドライエアなどの気体をバッファ室22へ供給する。そして、給気部20は、バッファ室22に供給された気体を複数の連通口23を介して処理室10内に供給する。これにより、処理室10内に気体が供給されてダウンフローが形成される。
回転保持部30は、ウェハWを保持する保持機構31と、保持機構31を支持するシャフト32と、シャフト32を鉛直軸まわりに回転させる駆動部33とを備える。
保持機構31は、処理室10の略中央に設けられる。かかる保持機構31の上面には、ウェハWの周縁部を把持する把持部311が設けられており、ウェハWは、かかる把持部311によって保持機構31の上面からわずかに離間した状態で水平に保持される。
シャフト32は、保持機構31の下部に設けられており、軸受321を介して処理カップ50および処理室10に回転可能に支持される。
駆動部33は、シャフト32の下部に設けられ、シャフト32を鉛直軸まわりに回転させる。これにより、保持機構31に保持されたウェハWが鉛直軸回りに水平に回転する。
液供給部40は、処理液を吐出するノズル41を備える。かかるノズル41には、バルブ42を介して処理液供給源43が接続され、かかる処理液供給源43から供給される処理液をウェハW上に供給する。
処理カップ50は、回転保持部30によって保持されたウェハWの周囲を取り囲むように配置され、ウェハWの外方へ飛散する処理液を受け止めて外部へ排出する。
かかる処理カップ50は、円板状の底部51と、底部51の周縁部より起立する環状の周壁部52と、周壁部52の上端から径方向内側かつ斜め上方へ張り出して周壁部52よりも小径の開口部501を形成する張出部53とを備える。ウェハWは、張出部53によって形成される開口部501を介して処理カップ50内へ出し入れされる。
処理カップ50の底部51には、排液部511が形成されており、処理カップ50によって捕集された処理液が、かかる排液部511から処理室10の外部に排出される。
このように、処理カップ50によって、開口部501から排気部512を経て処理室10の外部へと至る排気流路502が形成される。
なお、処理カップ50の底部51には、排気部512も形成される。給気部20から処理室10内へ供給された気体は、処理カップ50の開口部501から処理カップ50内に流入し、処理カップ50内から排気部512を介して処理室10の外部へ排出される。なお、本実施形態では、各液処理装置5の排気部512同士を集合させている。
排気流路502を流れる気流は、処理カップ50との摩擦抵抗などにより圧力損失を受ける。そして、かかる圧力損失は、排気流路502の近傍に配置された回転保持部30およびウェハWが回転することによって変動する。具体的には、回転保持部30およびウェハWが回転することによって動圧が付加されるため、処理カップ50内での圧力損失は減少することとなる。
図3は、排気流路502における圧力損失とウェハWの回転数との関係を示す図である。同図に示すように、ウェハWの回転数が増加するほど、排気流路502における圧力損失は減少する。
このように、処理カップ50内での圧力損失に変動(以下、「圧損変動」と記載する場合がある)が生じると、排気量や処理室10内の圧力が変動する。これにより、たとえば処理室10外から処理室10内にN2ガスやドライエア以外のガスが流入して処理室10内の清浄度が低下するおそれがある。また、隣接する他の液処理装置5(図1参照)の排気量にも影響を与えるおそれがある。
そこで、第1の実施形態に係る液処理装置5では、排気流路502を流れる気流の一部を循環させる循環流路55を設けて、ウェハW等が回転すると逆に圧力損失が付加される構造とすることにより、ウェハW等の回転に伴う圧力損失の変動を抑えることとした。
以下、循環流路55の具体的な構成について図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る循環流路55周辺の模式拡大図である。
図4に示すように、循環流路55は、排気流路502を流れる気流の一部を入口551よりも排気流路502の上流側に形成された出口552から再び排気流路502へ戻すことができる構造となっている。循環流路55は、処理カップ50の全周に亘って形成される。
循環流路55の出口552は、排気流路502を流れる気流の粘性による引きずり効果が生じ易い位置、たとえば、図4に示すように張出部53の開口部501側の下端部に設けられる。また、循環流路55の入口551は、排気流路502を流れる気流が直接流入し易い位置、たとえば、図4に示すように張出部53の周壁部52側の下端部に設けられる。
循環流路55は、上記のように構成されており、たとえば、出口552付近において発生する引きずり効果によって出口552から排気流路502へ向かう気流を発生させ、これに伴い、入口551から出口552へ向かう気流を発生させる。これにより、排気流路502を流れる気流の一部が排気流路502の上流側へ戻される。
ここで、ウェハWの回転数が増加するほど、循環流路55の出口552付近において発生する引きずり効果が強まり、循環流路55を流れる気流の流量が増加するため、循環流路55による圧力損失は増大する。
図5は、第1の実施形態に係る処理カップ50内での圧力損失とウェハWの回転数との関係を示す図である。同図に示すように、ウェハWの回転数が増加するほど、循環流路55による圧力損失が増大する。この結果、ウェハWの回転に伴う排気流路502における圧力損失の減少(図5に示す一点鎖線)が抑制される。つまり、処理カップ50内での圧損変動が抑制される。
このように、液処理装置5では、処理カップ50に循環流路55を設けることにより、ウェハWの回転に伴う圧損変動を抑えることができる。したがって、液処理装置5によれば、圧損変動に伴う、処理室10内への排気の逆流やパーティクルの流入等を防止することができる。また、隣接する他の液処理装置5(図1参照)の排気量に影響を与えるおそれもない。
循環流路55の出口552は、排気流路502を流れる気流が直接流入し難い向きに開口していることが好ましい。たとえば、図4では、排気流路502を流れる気流に対して略直交する向きに出口552が開口する例を示している。
また、循環流路55の入口551は、回転保持部30に保持されたウェハWの径方向に開口していることが好ましい。このような向きに入口551を開口させることで、ウェハW等が回転した際に、循環流路55の入口551に流入する気流が増加し易くなるため、ウェハW等の回転に伴って循環流路55の圧力損失をより大きく増大させることができるため、ウェハW等の回転に伴う圧損変動をより小さく抑えることができる。
これら循環流路55の入口551および出口552に関する変形例について図6を参照して説明する。図6は、第1の実施形態に係る処理カップ50の変形例を示す図である。
図6に示すように、変形例に係る循環流路55Aの出口552Aは、排気流路502(図4参照)を流れる気流と略同じ向きに開口する。かかる構成とするために、たとえば出口552Aには、循環流路55を流れる気流を、排気流路502を流れる気流と略同じ向きに案内する第1案内部材553が設けられる。
このように、循環流路55Aの出口552Aを、排気流路502を流れる気流と略同じ向きに開口させることで、排気流路502を流れる気流による引きずり効果をより高めることができる。これにより、ウェハW等の回転に伴って循環流路55Aの圧力損失をより大きく増大させることができるため、ウェハW等の回転に伴う圧損変動をより小さく抑えることができる。
また、図6に示すように、変形例に係る循環流路55Aの入口551Aに、回転保持部30に保持されたウェハW(図4参照)の径方向に延在する第2案内部材554を設けてもよい。これにより、排気流路502を流れる気流をより流入し易くすることができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る液処理装置5は、回転保持部30と、液供給部40と、処理カップ50とを備える。回転保持部30は、ウェハWを回転可能に保持する。液供給部40は、回転保持部30に保持されたウェハWに向けて処理液を供給する。処理カップ50は、回転保持部30に保持されたウェハWの周囲を取り囲むように配置され、ウェハWを出し入れ可能な開口部501と、開口部501から流入する気流を排出するための排気部512とを有する。また、処理カップ50は、開口部501から排気部512を経由して外部へ至る排気流路502を流れる気流の一部を排気流路502の上流側へ戻す循環流路55を備える。したがって、液処理装置5によれば、ウェハW等の回転に伴う圧力損失の変動を抑えることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る液処理装置の構成について説明する。図7は、第2の実施形態に係る液処理装置の構成を示す模式図である。また、図8A〜図8Cは、第2処理カップおよび第3処理カップがそれぞれ下方位置、中央位置、上方位置に位置した状態を示す図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図7に示すように、第2の実施形態に係る液処理装置5Bは、処理室10と、給気部20と、回転保持部30Bと、液供給部40Bと、処理カップ50Bとを備える。処理室10および給気部20の構成は、第1の実施形態に係る処理室10および給気部20と同様であるため、ここでの説明は省略する。
回転保持部30Bの保持機構31Bには、シャフト32Bを介して、保持機構31Bを回転させる駆動部33Bが連結されている。また、保持機構31Bには複数(たとえば3本、図7では2本しか図示せず)のチャックピン34が設けられており、ウェハWはチャックピン34上に載置されるようになっている。また、チャックピン34上に載置されたウェハWは、図示しないメカチャックにより保持機構31Bの周縁部において保持され、駆動部33Bが駆動することによって水平面内で回転するようになっている。
また、図7に示すように、処理室10には、保持機構31Bに保持されたウェハWに対して複数種類の処理液を選択的に供給する液供給部40Bが設けられている。具体的には、液供給部40Bのノズル41Bには、酸性処理液の供給源43a、アルカリ性処理液の供給源43b、洗浄液の供給源43c、および、有機性処理液の供給源43dがそれぞれ接続される。これらの供給源43a〜43dは、それぞれバルブ42a〜42dを介してノズル41Bに接続される。そして、これらの供給源43a〜43dから酸性処理液、アルカリ性処理液、洗浄液および有機性処理液が選択的に液供給部40Bに送られてウェハWの表面に供給されるようになっている。
なお、酸性処理液としては、たとえば、SPM液(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)、HF液(フッ化水素液)、またはSC2(塩酸と過酸化水素水の混合溶液)等を用いることができる。また、アルカリ性処理液としては、たとえば、SC1液(アンモニア過水)またはアンモニア水等を用いることができる。また、洗浄液としては、たとえば、純水等を用いることができ、有機性処理液としては、たとえば、IPA液(イソプロピルアルコール液)等を用いることができる。
保持機構31Bの周縁部には、保持機構31Bと共に回転し、回転するウェハWから飛散した処理液を案内する第1回転カップ60と、第1回転カップ60よりも内側に配置される第2回転カップ62がそれぞれ設けられる。これら第1回転カップ60や第2回転カップ62は、上部開口部を有し、全体的にはリング状に形成され、上部開口部の開口径よりも下端部の開口径の方が大きく形成される。
保持機構31Bの外方には、第1回転カップ60や第2回転カップ62により案内された処理液を受けて下方に案内する処理カップ50Bが設けられる。処理カップ50Bは、第1処理カップ81と、第2処理カップ82と、第3処理カップ83とを備え、これらは、上から順に第1処理カップ81、第2処理カップ82および第3処理カップ83の順番で設けられている。
かかる処理カップ50Bは、第1処理カップ81の内側と第2処理カップ82の外側で形成される流路を通して、有機性処理液を案内する。また、処理カップ50Bは、第2処理カップ82の内側と第3処理カップ83の外側で形成される流路を通して、アルカリ性処理液を案内する。そして、処理カップ50Bは、第3処理カップ83の内側と後述する排気流路形成部材66の外側で形成される流路を通して、酸性処理液を案内する。
第1〜第3処理カップ81〜83は、リング状に形成されており、第1処理カップ81は処理室10に対して固定されている。
そして、第2の実施形態に係る処理カップ50Bは、第1処理カップ81における張出部53Bに循環流路85を備える。かかる循環流路85は、図8Aに示すように、排気流路502aを流れる気流の一部を入口851から流入させて、入口851よりも排気流路502aの上流側に形成された出口852から再び排気流路502aへ戻すことができる構造となっている。
循環流路85の出口852は、たとえば、張出部53Bの開口部501B側の下端部に設けられる。また、循環流路85の入口851は、排気流路502aを流れる気流が直接流入し易い位置、たとえば、張出部53Bの周壁部52B側の下端部に設けられる。なお、循環流路85の入口851には、回転保持部30Bに保持されたウェハW(図7参照)の径方向に延在する第3案内部材854が設けられる。
また、第2処理カップ82は昇降シリンダ(図示せず)に連結されており、第1処理カップ81に対して昇降自在となっている。これにより、第2処理カップ82の位置は、図8Aに示す下方位置、図8Bに示す中央位置および図8Cに示す上方位置の間で変化する。
また、第3処理カップ83は、第2処理カップ82の昇降運動の一部において、第2処理カップ82と共に昇降自在に構成されている。これにより、第3処理カップ83の位置は、図8Aに示す下方位置、図8Bに示す中央位置および図8Cに示す上方位置の間で変化する。
処理カップ50Bの底部51Bの外周側には、第1処理カップ81の内側と第2処理カップ82の外側とで形成される流路を通して案内された有機性処理液を回収する第1回収タンク71が設けられている。第1回収タンク71の内周側には、第2処理カップ82の内側と第3処理カップ83の外側で形成される流路を通して案内されたアルカリ性処理液を回収する第2回収タンク72が設けられている。第2回収タンク72の内周側には、第3処理カップ83の内側と後述する排気流路形成部材66の外側で形成される流路を通して案内された酸性処理液を回収する第3回収タンク73が設けられている。さらに、第3回収タンク73の内側には、後述する排気流路形成部材66で受けた各処理液を混合状態で回収する第4回収タンク74が設けられている。なお、以下では、これらの第1〜第4回収タンク71〜74をまとめてドレイン部と記載する場合がある。
また、第1回収タンク71と第2回収タンク72との間には、ウェハWの周囲の雰囲気を第1処理カップ81および第2処理カップ82を介して排出する第1排気部75が設けられる。この第1排気部75は、リング状の平面断面を有し、第1〜第4回収タンク71〜74と共に、同心円状に形成される。
また、第4回収タンク74の内周側には、ウェハWの周囲の雰囲気を第3処理カップ83を介して排出する第2排気部76が設けられる。この際に、ウェハWの周囲の雰囲気は排気流路502aを通って第2排気部76に至るように構成される。
これら第1排気部75および第2排気部76の下方には排気ダクト200が設けられており、第1排気部75や第2排気部76による排気は排気ダクト200で合流してこの排気ダクト200から排出されるようになっている。
また、第2処理カップ82の下端部には、第1処理カップ81からの処理液を第1回収タンク71に案内するとともに第2処理カップ82からの処理液を第2回収タンク72に案内する案内部材64が設けられている。この案内部材64は、第1排気部75の上方を覆うように、全体的にリング状に形成されており、第1排気部75に向かって開くU字状断面を有している。この案内部材64は第2処理カップ82と連動して昇降運動を行う。
また、処理カップ50Bには、第2回収タンク72と第3回収タンク73との間から上方に延びるよう区画壁84が設けられている。この区画壁84は、第2処理カップ82から第2回収タンク72への流路(図8B参照)と、第3処理カップ83から第3回収タンク73への流路(図8C参照)とを区画する。かかる区画壁84により、酸性の雰囲気およびアルカリ性の雰囲気が混じることが防止される。
保持機構31Bの下方には、排気流路形成部材66が設けられている。排気流路形成部材66は、第3回収タンク73、第4回収タンク74および第2排気部76が設けられる底部51Bの領域と保持機構31Bとの間の空間を区画する部材である。かかる排気流路形成部材66と、第3回収タンク73、第4回収タンク74および第2排気部76が設けられる底部51Bの領域とによって排気流路502cが形成される。
そして、第2の実施形態に係る液処理装置5Bは、かかる排気流路形成部材66にも循環流路65を備える。循環流路65は、図8Cに示すように、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間と、排気流路502c内の空間とを連通する貫通孔である。
かかる循環流路65は、排気流路502cを流れる気流の一部を排気流路502c側に設けられた入口651から流入させて、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間側(すなわち、保持機構31Bとの対向面)に設けられた出口652から再び排気流路502cへ戻すことができる構造となっている。
すなわち、ウェハWが回転していない場合、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間よりも排気流路502c内の空間の方が圧力が低いため、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間から排気流路502c内の空間へ流れる気流が発生する。これに対し、ウェハW等が回転している場合には、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間が負圧となり、排気流路502c内の空間よりも圧力が低くなる。これにより、排気流路502c内の空間から循環流路65を通って保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間へ流れる気流が発生する。
なお、循環流路65は、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間に流入した処理液を第4回収タンク74に案内するための貫通孔でもある。ただし、かかる貫通孔は、循環流路65と別に設けられてもよい。
また、排気流路形成部材66の外周端には上方に延びるリング部材661が設けられており、図8Cに示すように第2処理カップ82が上方位置にあるときにこのリング部材661と第3処理カップ83との間で排気流路502cが形成されるようになっている。
排気流路形成部材66には、第3回収タンク73および第4回収タンク74に向けてそれぞれ下方に延びる第1案内板68および第2案内板69が設けられる。第1案内板68および第2案内板69により、排気流路502cに向かって排気を案内することができ、また、第3回収タンク73や第4回収タンク74に向かって排液を案内することができる。
次に、第2の実施形態に係る液処理装置5BによるウェハWの液処理方法について説明する。まず、基板搬送装置3aによって、ウェハWが液処理装置5Bの処理室10内に搬入され、保持機構31Bに保持される。
つづいて、駆動部33Bにより、ウェハWを保持した保持機構31Bが、第1回転カップ60や第2回転カップ62と共に回転駆動される。これにより、保持機構31Bにより保持されたウェハWが水平面内で回転する。
つづいて、ウェハWが酸性処理液により処理される。具体的には、酸性処理液が酸性処理液供給源43aから液供給部40Bに供給され、回転しているウェハWの表面に供給される。この場合、図8Cに示すように、第2処理カップ82および第3処理カップ83はそれぞれ上方位置に位置している。
これにより、ウェハWから飛散して第1回転カップ60や第2回転カップ62により案内された酸性処理液は、第3処理カップ83と排気流路形成部材66のリング部材661との間の空間に沿って案内され、区画壁84の内周側を通って第3回収タンク73に送られて回収される(図8Cの実線の矢印参照)。
また、ウェハWの周囲の雰囲気は、排気流路502cを通って第2排気部76により排出されて排気ダクト200に送られるようになる(図8Cの二点鎖線の矢印参照)。
このとき、上述したように、ウェハW等の回転によって、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間が負圧となるため、排気流路502c内の空間から循環流路65を通って保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間へと流れる気流が発生する。すなわち、排気流路502cを流れる気流の一部が、循環流路65を通って再び排気流路502cの上流側へと戻されることとなる。
ウェハW等の回転数が増加するほど、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間の圧力は低くなり、循環流路65を流れる気流の流量が増加する。すなわち、ウェハW等の回転数が増加するほど、循環流路65による圧力損失は増加する。したがって、かかる循環流路65を設けることにより、ウェハWの回転に伴う圧損変動を抑えることができる。
ウェハWの酸性処理液による処理が終了すると、リンス処理が行われる。この場合、洗浄液が洗浄液供給源43cから液供給部40Bに供給され、回転しているウェハWの表面に供給される。この間、ウェハWから飛散した洗浄液は、第3回収タンク73に回収されるとともに、ウェハWの周囲の雰囲気は第2排気部76によって排出される。
つづいて、図示しない昇降シリンダにより、第2処理カップ82および第3処理カップ83が下降し、図8Cに示す上方位置から図8Bに示す中央位置まで移動する。この際に、案内部材64も第2処理カップ82に連動して図8Bに示すような中央位置まで移動する。
その後、ウェハWがアルカリ性処理液により処理される。この場合、アルカリ性処理液がアルカリ性処理液供給源43bから液供給部40Bに供給され、回転しているウェハWの表面に供給される。ウェハWから飛散して第1回転カップ60や第2回転カップ62により案内されたアルカリ性処理液は、第2処理カップ82と第3処理カップ83との間の空間に沿って案内され、案内部材64と区画壁84との間の空間を通って第2回収タンク72に送られて回収される(図8Bの実線の矢印参照)。
また、ウェハWの周囲の雰囲気は、排気流路502bを通って第1排気部75により排出されて排気ダクト200に送られるようになる(図8Bの二点鎖線の矢印参照)。このとき、排気ダクト200を流れる気流の一部は、第2排気部76から循環流路65を経て再び排気流路502bの上流側へと戻されることとなる。このため、図8Bに示す状態においても、ウェハWの回転に伴う圧損変動を抑えることができる。
ウェハWのアルカリ性処理液による処理が終了すると、リンス処理が行われる。この場合、洗浄液が洗浄液供給源43cから液供給部40Bに供給され、回転しているウェハWの表面に供給される。この間、ウェハWから飛散した洗浄液は、アルカリ性処理液と同様にして、第2回収タンク72に回収されるとともに、ウェハWの周囲の雰囲気は第1排気部75によって排出される。
つづいて、図示しない昇降シリンダにより、第2処理カップ82および第3処理カップ83が更に下降し、図8Bに示す中央位置から図8Aに示す下方位置まで移動する。この際に、案内部材64も第2処理カップ82と一体的に図8Aに示す下方位置まで移動する。
その後、ウェハWが有機性処理液により乾燥処理される。この場合、有機性処理液が有機性処理液供給源43dから液供給部40Bに供給され、回転しているウェハWの表面に供給される。ウェハWから飛散して第1回転カップ60や第2回転カップ62により案内された有機性処理液は、第1処理カップ81と第2処理カップ82との間の空間に沿って案内され、案内部材64の外周側を通って第1回収タンク71に送られて回収される(図8Aの実線の矢印参照)。また、ウェハWの周囲の雰囲気は、アルカリ性処理液と同様にして案内され、第1排気部75により排出されて排気ダクト200に送られるようになる(図8Aの二点鎖線の矢印参照)。
このとき、上述したように第1処理カップ81の張出部53Bには循環流路85が形成されている。第1の実施形態に係る循環流路55と同様、循環流路85による圧力損失は、ウェハW等の回転数が増加するほど増大するため、かかる循環流路85を設けることにより、ウェハW等の回転に伴う圧力損失の変動を抑えることができる。また、排気ダクト200を流れる気流の一部は、第2排気部76から循環流路65を経て再び排気流路502aの上流側へと戻されることとなるため、これによっても圧損変動を抑えることができる。
このようにして、ウェハWの処理が終了する。その後、基板搬送装置3aによりウェハWが保持機構31Bから取り外されて、処理室10から搬出される。
上述してきたように、第2の実施形態に係る液処理装置5Bは、回転保持部30Bにおける保持機構31Bの下部に設けられ、処理カップ50Bとの間で排気流路502cを形成する排気流路形成部材66をさらに備え、かかる排気流路形成部材66に循環流路65を設けることとした。
具体的には、かかる循環流路65の出口652は、排気流路形成部材66における保持機構31Bとの対向面に、すなわち、保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間側に設けられ、入口651は、かかる対向面と反対側の面に、すなわち、排気流路502c内の空間側に設けられる。そして、循環流路65は、ウェハW等の回転によって保持機構31Bと排気流路形成部材66とによって挟まれた空間が負圧になることを利用して、排気流路502cを流れる気流の一部を排気流路502cへ戻して循環させる。
これにより、第2の実施形態に係る液処理装置5Bは、ウェハWの回転に伴う処理カップ50B内での圧力損失の変動を抑えることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。