以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第一実施形態)
図1に示すように、冷蔵庫本体10は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体11内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下、断熱箱体11の開口側すなわち図1において左側を冷蔵庫本体10の前側として説明する。
断熱箱体11は、鋼板製の外箱111および合成樹脂製の内箱112の間に断熱材113を設けて構成されている。断熱箱体11は、その内部に、上段から順に冷蔵室12、野菜室13が設けられ、その下方に製氷室14および図示しない小冷凍室が左右に並べて設けられ、さらにその下方に冷凍室16が設けられている。製氷室14には自動製氷装置15が設けられている。
冷蔵室12および野菜室13は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、通常、冷蔵室12および野菜室13は、異なる温度に設定されている。例えば、冷蔵室12の維持温度は1〜5℃に設定されており、野菜室13の維持温度はそれよりやや高い2〜6℃に設定されている。冷蔵室12および野菜室13の間は、プラスチック製の仕切壁17により上下に仕切られている。この仕切壁17には、後部の一部に開口171が形成されている。これにより、冷蔵室12および野菜室13は、開口171を介して連通している。そして、冷蔵室12および野菜室13の間にはダンパ18が設けられ、開口171は、このダンパ18によって開閉される。
冷蔵室12内には、例えばプラスチック製の複数の棚板19が設けられている。冷蔵室12内は、この複数の棚板19により上下に複数段に区切られている。また、冷蔵室12の前面部にはヒンジ開閉式の冷蔵室用断熱扉20が設けられている。この冷蔵室用断熱扉20には、図3に示す冷蔵室扉スイッチ201が設けられている。冷蔵室扉スイッチ201は、例えば、いわゆるリミットスイッチなどで構成され、冷蔵室用断熱扉20の開閉を検出する。そして、この冷蔵室用断熱扉20の外側面には、操作パネル21が設けられている。操作パネル21は、例えば各種の設定や選択を行なう操作部、および必要な表示を行う表示部などを有して構成されている。
野菜室13の前側には引出し式の野菜室用断熱扉22が設けられている。この野菜室用断熱扉22には、図3に示す野菜室扉スイッチ221が設けられている。野菜室扉スイッチ221も、例えば、いわゆるリミットスイッチなどで構成され、野菜室用断熱扉22の開閉を検出する。野菜室用断熱扉22の背面部には、上下二段に構成された収納容器23が取付けられている。この収納容器23には、青果物つまり野菜や果物などが収納される。野菜室13の天井部下面つまり仕切壁17の野菜室13側の面には、野菜室温度センサ24が設けられている。この野菜室温度センサ24は、例えばサーミスタや熱電対などで構成され、野菜室13内の温度を検出する。
製氷室14、図示しない小冷凍室、および冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯の貯蔵室である。野菜室13と、製氷室14および小冷凍室との間は断熱仕切壁25により上下に仕切られている。製氷室14の前側には、貯氷容器26が連結された引出し式の製氷室用断熱扉27が設けられている。また、冷凍室16の前側にも、上下二段からなる貯蔵容器28が連結された引出し式の冷凍室用断熱扉29が設けられている。そして、詳細は図示しないが、小冷凍室の前側にも貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。
冷蔵庫本体10には、図2に示す冷凍サイクル30が組込まれている。冷凍サイクル30は、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32を含んで構成されている。冷蔵用冷却器31は、冷蔵温度帯の貯蔵室、つまり冷蔵室12および野菜室13を冷却するための冷気を生成する。冷蔵用冷却器31には、冷蔵用冷却器温度センサ33が設けられている。冷蔵用冷却器温度センサ33は、図1に示すように、冷蔵用冷却器31の上側に設けられ、冷蔵用冷却器31の温度を検出する。
また、冷凍用冷却器32は、冷凍温度帯の貯蔵室、つまり製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16を冷却するための冷気を生成する。冷凍用冷却器32には、冷凍用冷却器温度センサ34が設けられている。この冷凍用冷却器温度センサ34は、図1に示すように、冷凍用冷却器32の上側に設けられ、冷凍用冷却器32の温度を検出する。これら冷蔵用冷却器温度センサ33および冷凍用冷却器温度センサ34は、例えばサーミスタや熱電対などで構成されている。
冷凍サイクル30は、具体的には図2に示すように、冷媒の流れ順に、圧縮機35と、凝縮器36と、ドライヤ37と、切替弁38と、冷蔵側キャピラリチューブ39および冷凍側キャピラリチューブ40と、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32とが環状に接続されている。この場合、圧縮機35の高圧吐出口には、凝縮器36とドライヤ37とが順に接続されている。ドライヤ37の吐出側には、三方弁からなる切替弁38が接続されている。
切替弁38は、ドライヤ37が接続される一つの入口と、二つの出口とを有している。切替弁38の二つの出口のうち、一方の出口には冷蔵側キャピラリチューブ39と冷蔵用冷却器31とが順に接続されている。そして、冷蔵用冷却器31は、圧縮機35に接続されている。切替弁38の二つの出口のうち他方の出口には、冷凍側キャピラリチューブ40と冷凍用冷却器32とが順に接続されている。冷凍用冷却器32は、冷媒の逆流防止のための逆止弁41を介して圧縮機35に接続されている。切替弁38は、制御指令を受けて駆動し、二つの出口のうち入口と連通する一の出口を択一的に切替える。これにより、圧縮機35から圧送された冷媒は、冷蔵用冷却器31または冷凍用冷却器32のどちらか一方へ供給される。
冷凍サイクル30を構成する圧縮機35は、図1に示すように、冷蔵庫本体10の背面下端部に形成された機械室42内に設けられている。また、この機械室42には、除霜水蒸発皿43や図2に示す凝縮器36、さらには圧縮機35や凝縮器36を冷却する図示しない冷却ファンなどが設けられている。
冷蔵庫本体10内にあって冷凍温度帯の貯蔵室つまり製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16の後部には、冷凍室ダクト部材44が設けられている。この冷凍室ダクト部材44によって、冷凍温度帯の貯蔵室の後部には、冷凍用冷却器室45と、冷凍用冷却器室45の上方に位置する冷凍用冷気ダクト46とが形成されている。これら冷凍用冷却器室45と冷凍用冷気ダクト46とは連通している。冷凍用冷却器32は、この冷凍用冷却器室45内に設けられている。また、冷凍用冷却器32の近傍には、冷凍用冷却器32に生じた霜を除霜する除霜ヒータ47が設けられている。
冷凍用冷却器32の下方には、冷凍側排水樋48が設けられている。冷凍側排水樋48は、機械室42に設けられた除霜水蒸発皿43へ繋がっている。除霜ヒータ47が駆動されて冷凍用冷却器32の除霜が行われると、冷凍用冷却器32で生じる除霜水は冷凍側排水樋48へ滴下する。そして、冷凍側排水樋48が受けた除霜水は機械室42内の除霜水蒸発皿43へ導かれて蒸発する。
冷凍用冷却器32の上方つまり冷凍用冷気ダクト46内には、冷凍用送風機49が設けられている。また、冷凍用冷却器室45の前面には複数この場合二つの冷凍用冷気供給口50が形成されており、下端部には戻り口51が形成されている。戻り口51の近傍には、冷凍室16内の温度を検出するための冷凍室温度センサ52が設けられている。
また、冷蔵庫本体10内にあって冷蔵温度帯の貯蔵室つまり冷蔵室12および野菜室13の後部には、冷蔵室ダクト部材53が設けられている。この冷蔵室ダクト部材53によって、冷蔵温度帯の貯蔵室の後部には、上側から順に、冷蔵用冷気ダクト54と、冷蔵用冷却器室55と、送風ダクト56とが形成されている。この場合、冷蔵用冷却器室55の上端部は、冷蔵用冷気ダクト54の下端部と連通し、冷蔵用冷却器室55の下端部は、送風ダクト56の上端部と連通している。
冷蔵用冷却器31は、冷蔵用冷却器室55内に設けられている。冷蔵用冷気ダクト54は、冷蔵室12の上端部まで延び、その前部に、冷蔵室12内に連通する複数の冷蔵用冷気供給口57が形成されている。また、冷蔵室12内において、冷蔵用冷気ダクト54の前面部には、冷蔵室温度センサ58が設けられている。この冷蔵室温度センサ58は、例えばサーミスタや熱電対などで構成され、冷蔵室12内の温度を検出する。
冷蔵用冷却器室55内の下部には、冷凍用冷却器32の下方に位置して、冷蔵側排水樋59が設けられている。冷蔵側排水樋59は、冷凍用冷却器32からの除霜水を受けて庫外へ排出する。この場合、冷蔵側排水樋59は、機械室42に設けられた除霜水蒸発皿43へ繋がっている。そして、冷蔵側排水樋59に受けられた除霜水は、冷凍側排水樋48で受けられた除霜水と同様に、機械室42内に設けられた除霜水蒸発皿43へ導かれて蒸発する。
送風ダクト56は、その上端部が冷蔵側排水樋59をう回して冷蔵用冷却器室55の下端部に接続されている。冷蔵室ダクト部材53の前部には吸込み口531が形成されており、この吸込み口531によって、送風ダクト56内と野菜室13内とが連通している。そして、送風ダクト56内には、冷蔵用送風機60が設けられている。冷蔵用送風機60は、送風羽根の回転方向を正逆切替え可能に構成されている。つまり、冷蔵用送風機60は、冷蔵用冷却器室55側へ送風する正回転と、野菜室13側へ送風する逆回転とを切替えることができる。
この冷蔵用送風機60が送風する空気は、正回転の場合、図1に白抜き矢印で示すように、送風ダクト56から冷蔵用冷却器室55へ送風され、さらに冷蔵用冷気ダクト54および冷蔵用冷気供給口57を介して冷蔵室12へ吹き込まれる。一方、冷蔵用送風機60が送風する空気は、逆回転の場合、図1に実線矢印で示すように、送風ダクト56から吸込み口531を介して野菜室13へ吹き込まれる。
また、野菜室13内において、下後部には、調湿装置61および除菌装置62が設けられている。調湿装置61は、野菜室13内の湿度を調整すなわち調湿する調湿手段として機能する。この場合、調湿装置61は、例えば超音波式のミスト発生装置などで構成されている。この調湿装置61は、水に超音波振動を与えてミスト化し、そのミストを野菜室13内へ供給することによって、野菜室13内を調湿する。また、除菌装置62は、野菜室13内へ除菌成分を供給する除菌手段として機能する。この場合、除菌装置62は、例えば、紫外線ランプや静電霧化装置などで構成されている。つまり、詳細は図示しないが、除菌装置62が紫外線ランプであれば、野菜室13内に対し、除菌成分として紫外線を照射する。また、除菌装置62が静電霧化装置であれば、除菌成分として、水を含む電極に高電圧が印加されることによって生じるヒドロキシラジカルを含んだミストを野菜室13内へ供給する。
冷蔵庫本体10の背面下部寄り部分には、制御手段としての制御装置63が設けられている。制御装置63は、図示しないマイコン、タイマ、記憶装置などを有して構成されている。この制御装置63は、冷凍サイクル30の圧縮機35や切替弁38、冷凍用送風機49、および冷蔵用送風機60などの制御を行う。具体的には、図3に示すように、制御装置63には、入出力機器として操作パネル21が接続され、さらに、センサおよびスイッチ機器として、冷蔵室温度センサ58、野菜室温度センサ24、冷凍室温度センサ52、冷蔵用冷却器温度センサ33、冷凍用冷却器温度センサ34、冷蔵室扉スイッチ201、および野菜室扉スイッチ221が接続されている。また、制御装置63には、制御機器として、冷蔵用送風機60、冷凍用送風機49、圧縮機35、切替弁38、除霜ヒータ47、ダンパ18、調湿装置61、および除菌装置62などが接続されている。制御装置63は、前記センサおよびスイッチ機器からの信号、および予め記憶された制御プログラムに基づいて、前記制御機器などを制御する。
この場合、制御装置63は、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を制御して冷媒の供給先を冷蔵用冷却器31または冷凍用冷却器32に切替えることで、製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16を冷却する冷凍冷却運転と、冷蔵室12および野菜室13を冷却する冷蔵冷却運転とを切替えている。ちなみに、本実施形態の場合、制御装置63は、冷却温度の低い冷凍冷却運転を優先して行うこととし、通常は冷蔵冷却運転および冷凍冷却運転のうちどちらか一方を実行している。また、冷蔵用冷却器31の除霜運転は、冷凍冷却運転中および冷凍用冷却器32の除霜運転中に実行される。一方、冷凍用冷却器32の除霜運転は、定期的、例えば日に一回程度の間隔で実行される。
具体的には、制御装置63は、冷蔵冷却運転を実行すると、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を冷蔵用冷却器31側へ切替えて冷蔵用冷却器31へ冷媒を供給するとともに、図1に示す冷蔵用送風機60を正回転で駆動する。すると、図1の白抜き矢印で示すように、冷蔵用送風機60の吸込み作用によって、野菜室13内の空気が吸込み口521から送風ダクト56内へ吸い込まれる。送風ダクト56内へ吸い込まれた空気は、冷蔵用冷却器室55内へ送風されて冷蔵用冷却器31で冷却される。そして、冷蔵用冷却器31で冷却された冷気は、冷蔵用冷気ダクト54を通って複数の冷蔵用冷気供給口57から冷蔵室12内へ吹き出される。
複数の冷蔵用冷気供給口57から冷蔵室12内へ吹き出された冷気は、冷蔵室12内を冷却しながら下降した後、冷蔵室12の底部となる仕切壁17に形成された開口171から野菜室13内へ供給される。この場合、ダンパ18の開放割合すなわち開度によって、冷蔵室12から野菜室13内へ供給される冷気の量が変更される。つまり、ダンパ18の開度が大きいほど、野菜室13内への冷気の供給が多くなる。そして、野菜室13内へ供給された冷気は、仕切壁17の下面に沿って拡散した後、収納容器23の外周面に沿って下降し、吸込み口521から送風ダクト56内へ吸い込まれる。このように、冷凍用冷却器32で冷却された冷気は、冷蔵用送風機60の送風作用によって循環される。この場合、制御装置63は、冷蔵冷却運転を実行している間は、冷凍用送風機49を停止させて、製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16への送風を停止している。
これに対し、制御装置63は、冷凍冷却運転を実行すると、図2に示す冷凍サイクル30の切替弁38を冷凍用冷却器32側へ切替えて冷凍用冷却器32へ冷媒を供給するとともに、図1に示す冷凍用送風機49を駆動させる。すると、冷凍用冷却器32で生成された冷気は、冷凍用送風機49の送風作用によって、冷凍用冷気ダクト46を通り、冷凍用冷気供給口50から製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16内へ供給された後、戻り口51から冷凍用冷却器室45内へ戻されるといった循環を行う。これにより、製氷室14、小冷凍室、および冷凍室16が冷却される。
また、冷凍用冷却器32の除霜運転は、圧縮機35が停止された状態、つまり冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32へ冷媒の供給が停止された状態で実行される。この場合、制御装置63は、冷凍用冷却器32の除霜運転を開始すると、除霜ヒータ47を駆動させる。これにより、冷凍用冷却器32が温められ、冷凍用冷却器32に付着した霜が取り除かれる。一方、冷蔵用冷却器31の除霜運転は、冷凍冷却運転中および冷凍用冷却器32の除霜運転中に実行される。
制御装置63は、冷蔵用冷却器31の除霜運転を開始すると、冷蔵用送風機60を駆動させる。すると、冷蔵用送風機60の送風作用によって、冷蔵室12および野菜室13内のプラス温度の空気が、冷蔵用冷却器室55内へ取り込まれる。このプラス温度の空気により冷蔵用冷却器31が温められて、冷蔵用冷却器31に付着した霜が取り除かれる。このとき、除霜によって生じる湿気が、冷蔵用送風機60の送風作用によって、冷蔵室12および野菜室13へ供給される。この場合、除霜による湿気は、冷蔵用送風機60が正回転であれば主に冷蔵室12へ供給され、逆回転であれば主に野菜室13へ供給される。このように冷蔵用冷却器31の除霜によって生じる湿気を、冷蔵室12および野菜室13へ供給することを、本実施形態ではうるおい運転と称し、このうるおい運転は、調湿手段として機能する。
また、制御装置63は、冷蔵室温度センサ58および野菜室温度センサ24の検出結果に基づいて、冷蔵室12および野菜室13内に貯蔵物が投入された際の、冷蔵室12および野菜室13内の負荷量すなわち初期負荷量を検出する。そして、その初期負荷量を基準として、現時点で冷蔵室12および野菜室13内に残存している負荷量すなわち残存負荷量を推定する。さらに、その残存負荷量に応じて、調湿手段としての調湿装置61およびうるおい運転、除菌手段としての除菌装置62、および冷蔵室12や野菜室13に対する冷却能力を変更するように制御している。
ここで、制御装置63の制御内容について、野菜室13を対象にして説明する。制御装置63は、貯蔵物を収納するために野菜室用断熱扉22が開閉されると、野菜室扉スイッチ221によって野菜室用断熱扉22の開閉を検出するとともに、野菜室温度センサ24によって野菜室13内の温度が上昇したことを検出する。この場合、例えば単に野菜室用断熱扉22が開閉されただけであれば、その後の冷蔵冷却運転によって野菜室13内の温度はすぐに設定温度に到達する。しかし、野菜室13内に多くの貯蔵物が収納された場合は、設定温度に到達するまで時間を要する。制御装置63は、野菜室13内の温度が上昇した後の、野菜室13内の温度変化や冷却状態を監視することによって、野菜室13内に収納された貯蔵物の量を間接的に検出する。
具体的には、図4に示すように、制御装置63は、冷蔵冷却運転が開始されると、ステップS1において、野菜室温度センサ24の検出結果を基に、野菜室13内の温度が上昇したことを検知する。ステップS1で野菜室13内の温度上昇が検知されなければ(ステップS1でNO)、ステップS13へ移行する。ステップS13では、野菜室13内の温度上昇の検知の有無を記憶する上昇検知フラグの設定を行う。この場合、上昇検知フラグは、野菜室13内の温度上昇が検知されなかったことを示すOFFに設定される。
一方、ステップS1において、野菜室13内の温度上昇が検知された場合は(ステップS1でYES)、ステップS2へ移行する。ステップS2において、上昇検知フラグは、野菜室13内の温度上昇が検知されたことを示すONに設定される。そして、ステップS3へ移行し、冷蔵冷却運転による野菜室13の冷却回数をカウントする。ここで、制御装置63は、設定温度の低い冷凍冷却運転を優先して実行しており、この場合、冷蔵冷却運転の冷却回数は、冷凍冷却運転から冷蔵冷却運転に切替わり、さらに冷凍冷却運転に切替わった場合を1回、つまり、連続して冷蔵冷却運転が行われている期間を1回としてカウントする。
その後、ステップS4へ移行し、ステップS4において、野菜室13内の温度が安定状態に達したか否かを判断する。この場合、安定状態とは、野菜室13内の温度が設定温度の範囲内で一定期間安定していることをいう。野菜室13内の温度が安定状態に達していない場合は(ステップS4でNO)、安定状態に達するまで冷蔵冷却運転を繰り返すとともに、冷却回数のカウントを繰返す。そして、安定状態に達すると(ステップS4でYES)、ステップS5へ移行して冷却回数のカウントを終了し、さらにステップS6へ移行する。
ステップS6〜S12では、野菜室13内の冷却回数に基づいて、野菜室13に収納された貯蔵物による野菜室13内の負荷量すなわち初期負荷量を検出する。この場合、野菜室13内の負荷量と、冷蔵冷却運転による冷却回数との関係は、野菜室13内に収納された貯蔵物の量や温度、および冷凍サイクル30の冷却能力などによって変化するが、本実施形態では、次の4段階に設定されている。すなわち、野菜室13内に収納された貯蔵物の量は、野菜室13内が安定状態に至るまでの冷却回数が4回以上であれば5.5kg以上であることを想定した「多い」に設定され、冷却回数が3回であれば4.0kg以上5.5kg未満であることを想定した「普通」に設定される。また、冷却回数が2回であれば2.0kg以上4.0kg未満であることを想定した「少ない」に設定され、冷却回数が1回であれば0kg以上2.0kg未満であることを想定した「無し」に設定される。
具体的には、まず、ステップS6において、冷却回数が4回以上であるか否かを判断し、冷却回数が4回以上であれば(ステップS6でYES)、ステップS7へ移行する。ステップS7では、負荷指数Zを設定する。負荷指数Zは、野菜室13内の負荷量を0〜3の4段階にランク付けして示すための変数であり、Z=3で「多い」、Z=2で「普通」、Z=1で「少ない」、そしてZ=0で「無し」を示す。また、初期値はZ=0に設定されている。そして、ステップS7では、ステップS7以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「多い」を示す3を加算する。この場合、負荷指数Z=0+3=3となる。ステップS7で負荷指数Zを設定した後、ステップS14へ移行する。
一方、ステップS6において、冷却回数が4回未満であれば(ステップS6でNO)、ステップS8へ移行し、冷却回数が3回であるか否かを判断する。冷却回数が3回であれば(ステップS8でYES)、ステップS9へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS9では、ステップS9以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「普通」を示す2を加算する。この場合、負荷指数Z=0+2=2となる。ステップS9で負荷指数Zを設定した後、ステップS14へ移行する。
また、ステップS8において、冷却回数が3回でなければ(ステップS8でNO)、ステップS10へ移行し、冷却回数が2回であるか否かを判断する。冷却回数が2回であれば(ステップS10でYES)、ステップS11へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS11では、ステップS11以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「少ない」を示す1を加算する。この場合、負荷指数Z=0+1=1となる。ステップS11で負荷指数Zを設定した後、ステップS14へ移行する。
ステップS10において、冷却回数が2回でなければ(ステップS10でNO)、ステップS12へ移行し、負荷指数Zを設定する。ステップS12では、ステップS12以前に記憶した負荷指数Zの内容に、「無し」を示す0を加算する。この場合、負荷指数Z=0+0=0となる。ステップS12で負荷指数Zを設定した後、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、残存負荷量推定処理を実行する。残存負荷量推定処理とは、貯蔵物の取り出しなどによって随時変化する野菜室13内の負荷量、すなわち野菜室13内に現に残存していると考えられる負荷量を残存負荷量とし、初期負荷量を基準にして残存負荷量を推定する処理をいう。本実施形態では、残存負荷量は、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点からの時間経過に伴って減少するように推定される。つまり、検出された初期負荷量に対して減少時間を設定し、減少時間が経過するごとに、初期負荷量を基準とした残存負荷量のランクを1ずつ減少させていく。この減少時間は、次のように算出する。すなわち、初期負荷量に対し、そのほぼすべてが消費されると考えられる消費期間を想定する。そして、消費期間を時間に換算したものを、初期負荷量の負荷指数Zで除算したものが減少時間となる。
例えば、図7に示すように、初期負荷量が「多い」と検出された場合、消費期間を7日に想定する。この7日を時間に換算し、それを初期負荷量の負荷指数Z=3で除算した解つまり56時間が減少期間となる。この場合、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点から56時間経過すると、負荷指数Zから1を減ずる。つまり、負荷指数Z=3−1=2になり残存負荷量は「多い」から「普通」に変更される。さらに、そこから56時間経過すると、今度は負荷指数Z=2−1=1になり残存負荷量は「普通」から「少ない」に変更される。そして、さらにそこから56時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。
また、初期負荷量が「普通」と検出された場合、消費期間は3日に想定され、減少時間は36時間になる。この場合は、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点から36時間経過すると、負荷指数Z=2−1=1になり残存負荷量は「普通」から「少ない」に変更される。さらに、そこから36時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。同様に、初期負荷量が「少ない」であれば、消費期間は1日に想定され、減少時間は24時間になる。この場合は、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点から24時間経過すると、負荷指数Z=1−1=0になり残存負荷量は「少ない」から「無し」に変更される。
この場合、図5に示すように、まずステップS21〜S27において、初期負荷量に対する減少時間の設定を行う。具体的には、残存負荷量推定処理を実行すると、まず、ステップS21において、上昇検知フラグがONであるか否かを判断する。上昇検知フラグがONでなければ(ステップS21でNO)、野菜室13内に新たな貯蔵物は収納されておらず、新たに減少時間の設定を行う必要がないため、減少時間の設定を行わずにステップS34へ移行する。
ステップS21で、上昇検知フラグがONであれば(ステップS21でYES)、減少時間の設定を行うために、ステップS22へ移行する。ステップS22では、初期負荷量が「多い」であるか否か、すなわち負荷指数Z=3であるか否かを判断し、負荷指数Z=3であれば(ステップS22でYES)、ステップS23へ移行する。ステップS23では、減少時間T1の設定を行う。この場合、減少時間T1は56時間に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。
一方、ステップS22において、負荷指数Z=3でなければ(ステップS22でNO)、ステップS24へ移行する。ステップS24では、初期負荷量が「普通」であるか否か、すなわち負荷指数Z=2であるか否かを判断し、負荷指数Z=2であれば(ステップS24でYES)、ステップS25へ移行する。ステップS25では、減少時間T1の設定を行う。この場合、減少時間T1は36時間に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。
また、ステップS24において、負荷指数Z=2でなければ(ステップS24でNO)、ステップS26へ移行する。ステップS26では、初期負荷量が「少ない」であるか否か、すなわち負荷指数Z=1であるか否かを判断し、負荷指数Z=1であれば(ステップS26でYES)、ステップS27へ移行する。ステップS27では、減少時間T1の設定を行う。この場合、減少時間T1は24時間に設定される。減少時間T1が設定された後は、ステップS28へ移行する。一方、ステップS26において、負荷指数Z=1でなければ(ステップS26でNO)、負荷指数Z=0つまり初期負荷量は「無し」であり、残存負荷量の推定を行う必要がないため、図4のステップS15へ移行する。
ステップS28では、カウント時間Tを減少時間T1に設定する。そして、ステップS29へ移行し、カウント時間Tのカウンドダウンを開始する。その後、ステップS30へ移行し、負荷量減少フラグをOFFに設定する。この場合、負荷量減少フラグのOFFは、ステップS29においてカウント時間Tのカウントダウンが開始されてから、負荷量のランクが減少されていないことを示し、負荷量減少フラグのONは、負荷量のランクが減少されたことを示す。なお、負荷減少フラグは、初期状態ではOFFになっている。
その後、ステップS31へ移行し、カウント時間T=0になったか否かを判断する。カウント時間T=0になっていなければ(ステップS31でNO)、図4のステップS15へ移行する。カウント時間T=0になっていれば(ステップS31でYES)、ステップS32へ移行する。ステップS32では、ステップS32以前に記憶している負荷指数Zから1を減じる。これにより、残存負荷量のランクが1つ減少される。なお、この場合、負荷指数Z≧0としている。その後、ステップS33へ移行し、負荷量減少フラグをONし、さらに図4のステップS15へ移行する。
一方、ステップS21において、上昇検知フラグがONでなければ(ステップS21でNO)、ステップS34へ移行する。ステップS34では、負荷量減少フラグがONであるか否かを判断する。負荷量減少フラグがONであることは、既にカウント時間T=0となり、ステップS32、33を通って残存負荷量が減少していることを示している。そのため、負荷量減少フラグがONである場合は(ステップS34でYES)、ステップS28へ移行して、再びカウント時間Tを減少時間T1に設定し、ステップS29においてカウント時間Tのカウントダウンを再度開始する。また、ステップS34において負荷減少フラグがOFFである場合は、ステップS30へ移行し、カウント時間Tのカウントダウンを続行する。
図4に示すステップS15では、ステップS14の残存負荷量推定処理において推定した残存負荷量の負荷指数Zに基づいて、残存負荷量判定処理を行う。この残存負荷量判定処理が実行されると、制御装置63は、図6に示すように、まず、ステップS41において負荷指数Z=3であるか否かを判断し、負荷指数Z=3であれば(ステップS41でYES)、ステップS42へ移行して残存負荷量を「多い」に設定する。ステップS41において、負荷指数Z=3でなければ(ステップS41でNO)、ステップ43へ移行する。ステップS43では、負荷指数Z=2であるか否かを判断し、負荷指数Z=2であれば(ステップS43でYES)、ステップS44へ移行して残存負荷量を「普通」に設定する。ステップS43において、負荷指数Z=2でなければ(ステップS43でNO)、ステップS45へ移行する。
ステップS45では、負荷指数Z=1であるか否かを判断し、負荷指数Z=1であれば(ステップS45でYES)、ステップS46へ移行して残存負荷量を「少ない」に設定し、負荷指数Z=1でなければ(ステップS45でNO)、ステップS47へ移行して残存負荷量を「無し」に設定する。そして、ステップS42、S44、S46、S47において残存負荷量が設定されると、図4に示すステップS16へ移行する。ステップS16では、残存負荷量に応じた運転制御が実行される。
例えば、運転制御が野菜室13内の調湿を目的とする場合、残存負荷量が減少するほど、調湿手段を制御して野菜室13内の湿度を増加させる。これは、野菜室13内は、残存負荷量つまり野菜などの貯蔵物が多いほど、これらから排出される水蒸気によって高湿に保たれる。つまり、残存負荷量が減少するほど、野菜室13内は乾燥し易くなるからである。例えば、図8に示すように、運転制御の対象が調湿装置61の場合、1時間当たりのミストの噴霧時間を次のように設定する。すなわち、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は0分に設定し、「普通」と判断されている場合は5分に設定し、「少ない」と判断されている場合は10分に設定する。このようにして、残存負荷量の減少に伴って湿気の供給量を増加させる。なお、残存負荷量が「無し」と判断されている場合は、供給した湿気を吸収する貯蔵物が野菜室13内にほとんど存在していないと考えられる。このため、野菜室13内の結露を抑制するためにも、この場合は、調湿装置61の1時間当たりの噴霧時間を0分に設定する。
また、運転制御の対象がうるおい運転であれば、1回のうるおい運転中における冷蔵用送風機60の逆回転の時間を次のように設定する。すなわち、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は0分に設定し、「普通」と判断されている場合は3分に設定し、「少ない」と判断されている場合は5分に設定する。このようにして、残存負荷量の減少に伴って湿気の供給量を増加させる。なお、この場合も、残存負荷量が「無し」と判断されている場合は、供給した湿気を吸収する貯蔵物が野菜室13内にほとんど存在していないと考えられるため、冷蔵用送風機60の逆回転時間を0分に設定する。
そして、制御運転の対象がダンパ18であれば、1時間当たりのダンパ18を閉じている時間を次のように設定する。この場合、ダンパ18を閉じて開口171を閉塞すると、冷蔵室12から乾燥した冷気の流入が低減し、野菜室13内の湿度の低下が抑制される。そのため、残存負荷量の減少に伴って、ダンパ18の1時間当たりの閉時間を減少させる。すなわち、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は10分に設定し、「普通」と判断されている場合は5分に設定し、「少ない」と判断されている場合は1分に設定し、「無し」と判断されている場合は0分に設定する。
また、例えば、運転制御が野菜室13内の除菌を目的とする場合、野菜室13内に残存する貯蔵物に対して適切な除菌をするために、残存負荷量の減少に伴って、除菌手段としての除菌装置62の運転率を低下させる。この場合、例えば、図9に示すように、残存負荷量が「多い」と判断されている場合を100%の運転率とした場合に、「普通」と判断されている場合は75%に設定し、「少ない」と判断されている場合は50%に設定し、「無し」と判断されている場合は25%に設定する。
さらに、例えば、運転制御が野菜室13内の冷却を目的とする場合、野菜室13内に残存する貯蔵物を適切な温度に冷却するために、残存負荷量の減少に伴って、冷凍サイクル30の冷却能力を低下させる。この場合、設定温度を変更することによって圧縮機35や冷蔵用送風機60が制御されて、冷凍サイクル30の冷却能力が変化する。具体的には、図10に示すように、残存負荷量が「多い」と判断されている場合は設定温度を2.0〜4.0℃に設定し、「普通」と判断されている場合は設定温度を2.5〜4.5℃に設定し、「少ない」と判断されている場合は設定温度を3.0〜5.0℃に設定し、「少ない」と判断されている場合は設定温度を3.5〜5.5℃に設定する。なお、冷却能力の制御として、ダンパ18の開閉を制御してもよい。この場合、ダンパ18の開閉時間や開閉角度を制御することによって、冷蔵室12を一定温度に冷却しつつ、野菜室13に対する冷却能力を変更することができる。
そして、このように、図4に示すステップS16において、残存負荷量に応じて各種運転制御をした後は、ステップS1へ移行して上記の制御を繰り返す。ここで、ステップS14、S15を通って、残存負荷量が推定された後に、さらに、新たな貯蔵物が野菜室13内に収納された場合について説明する。この場合、新たに収納された貯蔵物によって、野菜室13内の温度は上昇する。そのため、ステップS1において温度上昇が検知され(ステップS1でYES)、ステップS2〜S12を通って、新たに野菜室13内に収納された初期負荷量が検出される。このとき、ステップS7、S9、S11、S12のいずれかにおいて、それ以前に記憶した残存負荷量の負荷指数Zに対して、新たに検出した初期負荷量分の負荷指数が加算される。
例えば、ステップS15の残存負荷量判定処理において負荷指数Z=1であって残存負荷量が「少ない」と推定された後に、新たに野菜室13内に貯蔵物が収納された場合、安定状態までの冷却回数が3回であれば(ステップS8でYES)、ステップS9において、ステップS9以前に記憶した残存負荷量の負荷指数Z=1に対して、新たに収納された初期負荷量分の負荷指数2が加算されて、残存負荷量の負荷指数Zは3になる。その後は、ステップS14〜S16が実行され、さらにステップS1へ戻って、これらが繰り返される。
この構成によれば、野菜室13内の温度を検出する野菜室温度センサ24を備え、この野菜室温度センサ24の検出結果に基づいて野菜室13内に収納された貯蔵物による初期負荷量を検出する。そして、この初期負荷量を基準にして、野菜室13内に残存する貯蔵物による残存負荷量を推定し、その残存負荷量に基づいて各種運転を制御する。これによれば、光センサや重量センサを用いることなく、一般的に冷蔵庫が備えている温度センサによって野菜室13内の負荷量を検出することができる。そのため、簡易な構成で野菜室13内の初期負荷量を検出することができ、コストの増大を抑制することができる。そして、この初期負荷量を基準にして残存負荷量を推定し、その残存負荷量に基づいて運転制御を変更する。このように、野菜室13内に残存する負荷量に応じて適切な運転をすることで、貯蔵物の鮮度を維持することができ、さらには、省エネ性能を向上させることができる。
また、制御装置63は、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点からの時間経過に伴って、残存負荷量を減少させるように推定している。これによれば、残存負荷量の推定精度を向上させることができる。その結果、光センサや重量センサなどを用いて野菜室13内の貯蔵物を直接検出する構成でなくても、変化する野菜室13内の残存負荷量に対応することができる。
この場合、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴って、調湿装置61を制御して野菜室13内の湿度を増加させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量が減少した場合であっても、野菜室13内を高湿に維持することができ、その結果、貯蔵物を新鮮な状態で保存することができる。
また、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴って、除菌装置62の運転率を低下させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量に応じて除菌装置62を運転することができ、不必要な除菌装置62の運転を低減することができる。その結果、野菜室13内の貯蔵物を適切に保存することができるとともに、省エネ性能の向上も図られる。
さらに、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定したことに伴って、冷凍サイクル30の冷却能力を低下させる。これによれば、野菜室13内の残存負荷量に応じて冷却することができ、冷やし過ぎなどを抑制して不必要に野菜室13内を冷却することを低減することができる。その結果、野菜室13内の貯蔵物を適切に冷却することができるとともに、省エネ性能の向上も図られる。
そして、制御装置63は、野菜室13内の残存負荷量を推定した後に、さらに貯蔵物が野菜室13内に収納されて新たに貯蔵物の初期負荷量を検出した場合には、それ以前に推定した残存負荷量に対して新たに検出した初期負荷量を加算する。これによれば、貯蔵物の増加にも対応することができ、精度よく野菜室13内の残存負荷量に対応した各種運転制御が可能になる。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について、図11を参照して説明する。
この第二実施形態において、残存負荷量推定処理は、貯蔵物が野菜室13内に収納された時点からの経過時間ではなく、野菜室用断熱扉22の開閉回数または開放時間に基づいて推定している点で、上記第一実施形態と異なっている。
この場合、第二実施形態では、残存負荷量の変化が大きい調理中には、貯蔵物を取り出すために野菜室用断熱扉22の開閉回数や開放時間が増加する傾向にあることに着目し、所定期間において頻繁に野菜室用断熱扉22が開閉されたことや開放時間が増加したことなどに基づいて、野菜室13内の残存負荷量を推定する。具体的には、制御装置63は、所定時間、例えば過去1時間における野菜室用断熱扉22の開閉回数が増加したこと、および過去1時間における野菜室用断熱扉22の開放時間が増加したこと、のうち少なくともいずれか一方に基づいて野菜室13内の残存負荷量を減少させるように推定する。
つまり、制御装置63は、図4に示すステップS14において、残存負荷量推定処理を実行すると、まず、図11に示すように、ステップS51において、過去1時間における野菜室用断熱扉22の扉開閉回数A1および扉開放時間B1を算出する。次に、ステップS52へ移行し、過去1時間における扉開閉回数A1が所定回数この場合10回以上であるか否かを判断する。ステップS52において扉開閉回数A1が増加して10回以上となっている場合は(ステップS52でYES)、ステップS54へ移行する。ステップS54では、ステップS54以前に記憶している負荷指数Zから1を減じ、これにより、残存負荷量のランクが1つ減少される。その後、図4に示すステップS15へ移行する。
一方、ステップS52において扉開閉回数A1が10回未満で有る場合(ステップS52でNO)、ステップS53へ移行し、さらに過去1時間における扉開放時間B1が所定時間この場合5分間以上であるか否かを判断する。ステップS3において扉開放時間B1が5分間以上である場合は(ステップS53でYES)、ステップS54へ移行して残存負荷量のランクを1つ減少させた後、図4のステップS15へ移行する。また、ステップS53において扉開放時間B1が5分未満であれば(ステップS53でNO)、何も処理を行うことなく、図4のステップS15へ移行する。
この構成によれば、例えば調理の際、短期間に多くの貯蔵物が取り出された場合であっても、精度よく野菜室13内の残存負荷量を推定することができる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について、図12を参照して説明する。
この第三実施形態においても、残存負荷量推定処理は、野菜室用断熱扉22の開閉回数または開放時間に基づいて推定している点で、上記第一実施形態と異なっている。
この場合、第三実施形態では、各家庭によって収納する貯蔵物の量や取り出しの回数、頻度が異なる点に着目し、所定期間における野菜室用断熱扉22の開閉回数および開放時間の平均値に基づいて、野菜室13内の残存負荷量を推定している。具体的には、制御装置63は、所定期間、例えば過去最近1日すなわち過去24時間当たりの野菜室用断熱扉22の開閉回数が少なくとも1日以上の所定日数この場合3日間における1日平均の野菜室用断熱扉22の開閉回数を超えたこと、および過去最近1日当たりの野菜室用断熱扉の開放時間が少なくとも過去3日間における1日平均の野菜室用断熱扉22の開放時間を超えたこと、のうち少なくともいずれか一方に基づいて残存負荷量を減少させるように推定している。
つまり、制御装置63は、図4に示すステップS14において、残存負荷量推定処理を実行すると、まず、図12に示すように、ステップS61において上昇検知フラグがONであるか否かを判断する。ステップS61において上昇検知フラグがONであれば(ステップS61でYES)、ステップS62へ移行する。一方、ステップS61において、上昇検知フラグがONでなければ(ステップS61でNO)、ステップS63へ移行する。ステップS62では、ステップS1において野菜室13内の温度上昇を検知した時点から過去3日間における、野菜室用断熱扉22の1日平均の扉開閉回数Eおよび扉開放時間Fを算出する。その後、ステップS63へ移行する。
ステップS63では、過去24時間における野菜室用断熱扉22の扉開閉回数A2および扉開放時間B2を検出する。そして、ステップS64へ移行し、過去24時間における野菜室用断熱扉22の扉開閉回数A2が、過去3日間における1日平均の野菜室用断熱扉22の扉開閉回数E以上であるか否かを判断する。ステップS64において扉開閉回数A2が1日平均扉開閉回数E以上である場合は(ステップS64でYES)、ステップS66へ移行する。ステップS66では、ステップS66以前に記憶している負荷指数Zから1を減じ、これにより、残存負荷量のランクが1つ減少される。その後、図4に示すステップS15へ移行する。
一方、ステップS64において、扉開閉回数A2が1日平均扉開閉回数E未満である場合は(ステップS64でNO)、ステップS65へ移行する。ステップS65では、過去24時間における野菜室用断熱扉22の扉開放時間B2が、過去3日間における1日平均の野菜室用断熱扉22の扉開放時間F以上であるか否かを判断する。ステップS65において扉開放時間B2が1日平均扉開放時間F以上である場合は(ステップS65でYES)、ステップS66へ移行して残存負荷量のランクを1つ減少させた後、図4のステップS15へ移行する。また、ステップS65において扉開放時間B2が1日平均扉開放時間F未満であれば(ステップS65でNO)、何も処理を行うことなく、図4のステップS15へ移行する。
この構成によれば、野菜室用断熱扉22の開閉回数および開放時間の平均値に基づいて残存負荷量を推定するため、各家庭の使用態様に合わせることができ、その結果、より精度よく野菜室13内の残存負荷量を推定することができる。
なお、ダンパ18、調湿装置61、および除菌装置62などの配置は適宜変更することができる。
また、上記各実施形態では、野菜室13を対象として説明したが、例えば冷蔵室12などを対象としてもよい。
さらに、残存負荷量のランクは、5段階以上であってもよいし、3段階以下であってもよい。
また、上記各実施形態で例示した、時間、日数、重量(kg)、運転率(%)、温度(℃)は、制御内容に合せて適宜変更することができる。
さらに、上記各形態では、冷蔵用冷却器31および冷凍用冷却器32を備える構成としたが、一つの冷却器で冷蔵温度帯の貯蔵室および冷凍温度帯の貯蔵室の両方を冷却する構成としてもよい。
以上説明した実施形態によれば、光センサや重量センサを用いることなく、一般的に冷蔵庫が備えている温度センサによって貯蔵室内の初期負荷量を検出することができる。そのため、簡易な構成で貯蔵室内の初期負荷量を検出することができ、その結果、コストの増大を抑制することができる。さらに、この初期負荷量を基準にして残存負荷量を推定し、その残存負荷量に基づいて運転制御を変更する。このため、貯蔵室内に残存する残存負荷量に応じて適切な運転をすることができる。その結果、貯蔵物を新鮮な状態に維持することができ、さらには、省エネ性能を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。