JP5955380B2 - 遠心ファン装置 - Google Patents

Description

本発明は、遠心ファン装置（centrifugal fan device）、特に、芳香剤または殺虫剤を、使用する周囲環境に放出するよう適合する遠心ファン装置に関する。

これまで、芳香剤（例えば空気清浄スプレー）や殺虫剤（例えば、シトロネラオイル）を、使用する周囲環境（environment of use）に放出するために、装置および器具が数多く開発されてきた。装置の中には、受動的手段を使って、そのような芳香剤または殺虫剤（まとめて化合物（compound）と呼ぶ）を行き渡らせる（disseminate）ものがある。受動的手段を用いる装置の例には、そのような化合物を周囲環境に行き渡らせる支持体（substrate）および膜（membrane）から蒸発する化合物を有する装置が含まれる。その他各種の受動的装置には、化合物が蒸発するやり方で周囲環境に放出される化合物入りの容器（reservoir）を有するものがある。

前述の受動的装置に加えて、化合物を行き渡らせるように促進する目的で、能動的装置も開発されている。能動的装置の中には、ファンを有し、支持体、膜または容器のいずれか一つから化合物を行き渡らせるよう効果を高めたものがある。そのほかには、ファンと別個、または一体となった熱源を有し、化合物を周囲環境に行き渡らせる装置もある。

当分野では、化合物を放出する効果を高めるために、器具の改良が要求されている。

本発明は、たとえば芳香剤（fragrance）または殺虫剤（insecticide）といった化合物を使用する周囲環境に放出するよう適合された遠心ファン装置に関する。そのような装置は、化合物および化合物透過性支持体（compound permeable substrate）を入れるための容器を有することが好ましい。支持体は、何本もの支柱（leg）または吸い上げ芯（wick）を含む。その吸い上げ芯は支持体の水平面から容器へと延在し、それにより化合物は、容器から水平面へと吸い上げられる。

有効な一形態では、支持体の水平面は、容器の上方に頂部を形成する。代替となる形態では、容器と支持体との間にキャップもしくは栓が配置され、容器の上方にカバーを形成する。キャップもしくは栓は、支柱または吸い上げ芯が穴を通って容器の中へと延在するのに十分な大きさの穴を複数有する。その方法により、化合物が容器から支持体の水平面へと吸い上げられる。

ファンハウジング内部には、ファンモータが配置され、なおかつモータには遠心ファンが接続されている。遠心ファンの上方に、頂面上に少なくとも一つのアパチャー（aperture）を有するカバーが配置される。カバーは、遠心ファンから使用する周囲環境へと通る側部流路（side passage）を提供する。

動作中、遠心ファンは、使用する周囲環境からカバー頂部にあるアパチャーを通して空気を引き入れることが好ましい。空気は遠心ファンへと軸方向に下り、化合物透過性支持体を半径方向に横切る。その後、側部流路の外に出て、使用する周囲環境へと戻る。具体的な一実施形態では、側部流路は、カバーと、容器を入れる基部との間に形成される間隙によって定義される。

本発明は、その一形態において、化合物を使用する周囲環境に放出するための器具を備える。器具は、中央空間部（center cavity）を定義し、外側に配置された容器を有する基部を備える。容器は化合物を含む。化合物透過性支持体は、おおむね水平な面と、支持体から容器の中へと延在する少なくとも一つの吸い上げ芯とを有する。容器の中に化合物が配置されると、化合物は容器から化合物透過性支持体上へと吸い上げられる。中央空間部内には、ファンモータが配置される。遠心ファンは、ファンモータから上向きに延在し、ファンモータと関連して動作する。遠心ファンの上方にカバーが配置される。カバーは、頂面を通るアパチャーを少なくとも一つ有し、かつ遠心ファンから使用する周囲環境へと通る側部通気口を有する。

一実施形態では、カバーは、複数のアパチャーを備える。他の実施形態では、カバーはカバーの主要部から間隔が空けられたディスクを備え、かつ少なくとも一つのアパチャーの上方に配置される。さらに別の具体的な形態では、ディスクは複数の支柱によってカバーの主要部に取り付けられる。

本発明におけるもう一つの具体的な実施形態によると、ファンハウジングを配置する中央空間部を定義する容器のように、基部は環状形（annularly）である。

他の形態において、本発明は、化合物を使用する周囲環境に放出するための器具であり、化合物を入れる容器と、おおむね水平な面を有する化合物透過性支持体とを備える。支持体から容器内へと吸い上げ芯が少なくとも一つ延在し、それにより、化合物が容器内に配置されると、化合物が容器から化合物透過性支持体へと吸い上げられる。遠心ファンは、化合物透過性支持体の頂面とおよそ同じ水平位置である。カバーは、遠心ファンの上方に配置される。カバーは、頂面に少なくとも一つのアパチャーを有し、かつ遠心ファンから使用する周囲環境へと通る側部通気口を提供する。使用中、遠心ファンは、使用する周囲環境からカバー頂部にあるアパチャーを通して空気を引き入れる。空気は遠心ファンへと軸方向に下り、化合物透過性支持体を半径方向に横切る。その後、側部流路の外に出て、使用する周囲環境へと戻る。

本発明における上記およびその他の各種の態様は、本発明の好適な実施形態における以下の説明および添付の図面から明らかとなろう。

本発明の実施形態における以下の詳細な説明は、具体例を示すものであり限定するものではなく、以下の図面とあわせて読むことで最もよく理解できる。なお、図面中における類似の構造には、同一の符号が付してある。

本発明における一実施形態にしたがった、遠心ファン装置における正面図である。 図１の遠心ファン装置における断面図である。 本発明におけるもう一つの実施形態に従って、遠心ファン装置の基部における構成部分を部分的に切り取った、遠心ファン装置の斜視図である。 図３の遠心ファン装置における断面図である。 図１および３に示された各装置における遠心ファンの平面図である。 図５の遠心ファンにおける斜視図である。

図１、図２、図５および図６、特に、図１および図２を参照して本発明を説明する。遠心ファン装置１０は、基部２０、と化合物透過性支持体３０と、ファン組立品４０（fan assembly）とカバー５０とを含む。

基部２０は、環状型容器２２を有し、その中に化合物２４、例えば芳香剤または殺虫剤、が配置される。環状型容器２２は、円筒型（cylindrically）中央空間部２６を規定し、その中にはファン組立品４０が配置される。キャップ、例えば栓２８は、容器２２の形を補完する環状型を有しており、容器２２を完全に覆う。装置１０の基部２０は環状型であるが、基部が三角形、矩形、五角形などの形をしていてもよい。

化合物透過性支持体３０は、栓２８の上方に環状型で配置されてもよい。水平面（horizontal surface）３１から容器２２内へと複数の吸い上げ芯３２が延在し、化合物２４と接触する。栓２８に設けられたいくつもの孔２９は、吸い上げ芯３２が水平面３１から下方に延在し、栓２８を通り、容器２２よりも下へと続くのに十分な大きさである。その結果、化合物２４は、容器２２から複数ある吸い上げ芯３２へと上がって、水平面３１へと吸い上げられる。

電気モータに動力を供給するその他各種手段が用いられる場合もあるが、ファン組立品４０は、電気モータ４２および電池４４を入れるハウジング４１を含む。さらに、ファン組立品４０は、遠心ファン４６を含む。遠心ファン４６は、複数のファンブレード４８をさらに備える。遠心ファン４６の基部４９は、化合物透過性支持体３０の水平面３１とおよそ同じ水平位置であることが都合よい。

電気モータ４２は、遠心ファン４６を毎分回転数（ＲＰＭ）１００から４，０００の間で動かすことが好ましいが、２００ＲＰＭから６００ＲＰＭの間であればなお好ましい。さらに、遠心ファン４６が５個から１５個のブレード４８を有することが好ましいが、ブレードが１０個から１４個の間であればなお好ましい。遠心ファン４６においては、ファンブレードの出口角（β）が３０°から１５０°の間であるが、９０°から１４５°の間であればなお好ましい。遠心ファン４６においては、ファンブレード中央部分の高さ（Ｈｉ）が５ｍｍから１５ｍｍの間であるが、９ｍｍから１２ｍｍの間であればなお好ましく、かつファンブレード外側の高さ（Ｈｏ）が、ファンブレード中央部分の高さ２０％から１００％の間であり、空気取り入れ口の高さの５０％であればなお好ましい。遠心ファン４６においては、ファンブレードの内側半径（Ｒｉ）が５ｍｍから１５ｍｍの間であり、なおかつファンブレードの外側半径（Ｒｏ）が２０ｍｍ以上（≧）である。

カバー５０は、遠心ファン４６の上方に配置される。カバーは、複数のアパチャー５２を備える。カバー５０は、矢印６０で示されるように、遠心ファン４６から外の周囲環境へと続く側部通気口を提供する。有効な一形態では、側部通気口となる流路が、カバー５０と基部２０との間にある間隙によって設けられる。カバー５０は、複数の支柱５４を用いて基部２０に取り付けられる。

遠心ファン装置１０の使用中、電池４４を動力とする電気モータ４２は、遠心ファン４６を駆動して回転し、それによって周囲環境から空気を引き入れる。矢印６２で示されるように、空気はアパチャー５２を通り、カバー５０に入る。続いて、空気は遠心ファン４６へと軸方向に下る。すると、遠心ファン４６は、化合物透過性支持体３０の水平面３１の上方の空気を押しやり、最終的には、矢印６０で示されるように、空気がカバー５０と基部２０との間にある間隙を通って装置１０から抜け出す。

遠心ファン４６が水平面３１とおおむね同じ高さであり、表面を横切って空気を直接押しやるため、仮にファンが支持体と同じ高さでない場合において、遠心ファン４６が同じ化合物の放散を実現するために要求される大きさと比較して、水平面３１の大きさが最小となる。

加えて、遠心ファン装置１０においては、遠心ファン４６を用いて、化合物２４を３６０度に放散することができる。遠心ファン４６は、空気を軸方向に引き入れて装置の中心部分内に向けて送り、化合物透過性支持体３０の上方に３６０度くまなく空気を急速に吹きつける。その結果、化合物透過性支持体３０は、蒸発面となる。

容器２２は、装置１０内の遠心ファン４６よりも下に位置しているが、容器および化合物透過性支持体が遠心ファンよりも上、例えば、装置のカバー部分内に位置することもあり得る。

図１および図２の要素と同様の要素を１００増やして表した図３および図４を参照すると、遠心ファン装置１１０が別の代替実施形態を示しており、異なるカバーを有することを除いて、遠心ファン装置１０の場合と実質上同じものである。従って、各種の素子は遠心ファン装置１０におけるものと実質上同じであるため、ここでは、あらためて具体的に示さない。

カバー１５０は、アパチャー１５６の上方に配置されたディスク１５７を備える。複数の支柱１５８がディスク１５７をカバーの主要部１５９に取り付ける。遠心ファン装置１１０の使用中、遠心ファンモータ１４２に電圧が加えられると、それにより遠心ファン１４６が高速回転し、矢印１６１で示されるように、空気が周囲環境からディスク１５７とカバー１５９の主要部との間に引き入れられる。空気は、矢印１６２で示されるように、アパチャー１５６を通り、化合物透過性支持体１３０の水平面１３１の上方に３６０度くまなく急速に吹き付けられる。それにより、水平面１３１は、化合物１２４にとって蒸発面の役割を果たす。

本発明の遠心ファン装置が、芳香剤または殺虫剤を放出するための先行技術による装置には見られない特徴および利点をもたらすことが明らかとなるだろう。例えば、遠心ファン４６、１４６と、それが化合物透過性支持体３０、１３０に近接して置かれることと、の組み合わせによって、その他の既知の各種受動的および／または各種被加熱装置と比べて化合物を放出する効果を高めることができる。

本発明の遠心ファン装置においては、さらに化合物透過性支持体３０、１３０を横切る空気の流れがよくなるため、小型かつコンパクトな装置が見込めるという利点が挙げられる。その結果、本発明の遠心ファン装置１０、１１０によって、化合物透過性支持体３０、１３０の表面積が小さくなり、なおかつ吸い上げ芯３２、１３２の数が少なくすむ。および／または、先行技術による装置と比べて吸い上げ芯３２、１３２の大きさを小さくすることができ、同じ化合物２４、１２４を使用する周囲環境に放出する目的を達成する。

本発明の遠心ファン装置においてはさらにもう一つ利点があり、本発明における形態の結果、遠心ファン装置における空気の流れに対して抵抗が弱くなり、必要となるエネルギーの量が最小となる。さらに、それにともなって先行技術による装置と比べて電池の寿命を伸ばすことができる。

本明細書で開示されている実施形態は例示的なものであり、本発明の範囲を網羅したり不必要に制限したりするためのものではない。例を示すこのような実施形態は、他の当業者らが本発明を実施できるよう、本発明の原理を説明するために選択して説明されたものである。当業者に明らかとなるように、前述の説明の範囲内でさまざまな修正を行うことができる。当業者の手腕に及ぶ範囲で行われるこのような修正は、本発明の一部を形成するものであり、なおかつ添付した請求項に含まれるものである。

Claims (20)

1. 中央空間部を定義し外側に配置され、化合物を入れる容器を有する基部と、
   おおむね水平な面および化合物が前記容器内に配置されると、前記化合物が前記容器から吸い上げられ、前記容器の中へと延在する少なくとも一つの吸い上げ芯を有する化合物透過性支持体と、
   前記中央空間部内に配置されるファンモータと、
   前記ファンモータと関連して動作し、前記ファンモータから上向きに延在する遠心ファンと、
   前記遠心ファンの上方に配置され、頂面上に少なくとも一つの開口部を有し、前記遠心ファンから周囲環境へと通る流路を設けるカバーと、を含み、
   前記カバーは、前記遠心ファンと前記化合物透過性支持体との間に設けられた支持部材によって前記基部に取り付けられた、化合物を使用する周囲環境に放出するための器具。
2. 前記流路が前記カバーと前記基部との間に形成される間隙によって定義される、請求項１に記載の器具。
3. 前記遠心ファンが動作可能なとき、空気が前記カバーにあく少なくとも一つの前記開口部を通って引き入れられ、前記支持体を横切り、前記流路の外に流出し、前記周囲環境に前記化合物を３６０度放散できる、請求項２に記載の器具。
4. 前記遠心ファンが動作可能なとき、空気が前記カバーにあく少なくとも一つの前記開口部を通って引き入れられ、前記支持体を横切り、前記流路の外に流出する、請求項１に記載の器具。
5. 前記ファンモータに近接する前記遠心ファンの基部が、前記化合物透過性支持体の頂面とおよそ同じ水平位置である、請求項１に記載の器具。
6. 前記吸い上げ芯は、前記化合物透過性支持体から延在し、複数設けられている、請求項１に記載の器具。
7. 前記開口部は、複数設けられている、請求項１に記載の器具。
8. 前記化合物透過性支持体が環状ディスクの形をしている、請求項１に記載の器具。
9. 前記ファンモータに動力を供給する電池を有するファンハウジングをさらに備える、請求項１に記載の器具。
10. 前記カバーが、前記カバーの主要部から間隔の開いているディスクをさらに備え、
    少なくとも一つの前記開口部の上方に配置される、請求項１に記載の器具。
11. 前記ディスクが、複数の支柱によって前記カバーの前記主要部に取り付けられる、請求項１０に記載の器具。
12. 前記遠心ファンが動作可能なとき、空気が前記カバーにあく少なくとも一つの前記開口部を通って引き入れられ、前記支持体を横切り、前記流路の外に流出する、請求項１０に記載の器具。
13. 前記容器が環状型をしており、円筒型中央空間部を定義する、請求項１に記載の器具。
14. 前記容器内に配置される芳香剤をさらに備え、少なくとも一つの前記吸い上げ芯が、前記容器から前記化合物透過性支持体へと前記芳香剤を吸い上げるよう適合される、請求項１に記載の器具。
15. 前記容器内に配置される殺虫剤をさらに備え、少なくとも一つの前記吸い上げ芯が、前記容器から前記化合物透過性支持体へと前記殺虫剤を吸い上げるよう適合される、請求項１に記載の器具。
16. 前記殺虫剤がシトロネラオイルである、請求項１５に記載の器具。
17. 前記化合物透過性支持体が前記容器の頂部をおおむね覆う、請求項１に記載の器具。
18. 前記容器の頂部を覆い、前記容器と前記化合物透過性支持体との間に配置されるキャップをさらに備える、請求項１に記載の器具。
19. 前記キャップが孔を有し、少なくとも一つの前記吸い上げ芯が前記孔を通って配置され、前記キャップより下にある前記容器から前記キャップより上にある前記化合物透過性支持体へと前記化合物が引かれる、請求項１８に記載の器具。
20. 化合物を入れるための容器と、
    おおむね水平な面と前記容器の中へと延在する少なくとも一つの吸い上げ芯とを有し、化合物が前記容器内に配置されると、前記化合物が前記容器から表面上へと吸い上げられる化合物透過性支持体と、
    前記化合物透過性支持体の頂面とおよそ同じ水平位置の遠心ファンと、
    前記遠心ファンの上方に配置され、頂面上に少なくとも一つの開口部を有し、前記遠心ファンから周囲環境へと続く流路を設けるカバーと、を備え、
    前記カバーは、前記遠心ファンと前記化合物透過性支持体との間に設けられた支持部材によって前記基部に取り付けられており、
    使用中、前記遠心ファンは、前記カバーの頂部にある前記開口部を通して使用する前記周囲環境から前記遠心ファンへと軸方向に下る空気を引き込み、前記化合物透過性支持体を半径方向に横切り、側部流路の外に出て、使用する前記周囲環境へと戻る、化合物を使用する前記周囲環境に放出するための器具。