JP5955142B2 - 回転電機用コイル要素の成形方法および回転電機用コイル要素の成形装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された技術では、コイル用線材を金型に型閉めし、直線状の線材を2次元クランク線材に成形し、次に2次元クランク線材のクランク部分を略頂点とした3次元山形形状の3次元山形線材に成形し、最後に3次元山形線材の頂点部分を含むコイルエンド形成領域より外側部分をスロットの挿入方向に向けて曲げる。
この技術によると、曲げたときにコイル用線材にかかる応力が線材の中央から端部に向けて解消される。
直線状のコイル用線材(例えば、後述のコイル用線材21)の略中央部に、第1平面(例えば、後述の第1平面P1)上で略S字形状を呈するS字形状部(例えば、後述のS字形状部13)を成形するS字成形ステップ(例えば、後述のS字成形ステップS1)と、
前記S字成形ステップの後に、前記S字形状部よりも両端部側(例えば、後述の脚部12,14,15)を、互いに近接する方向に折り曲げる折り曲げ成形ステップ(例えば、後述の第1折り曲げ成形ステップS2、第2折り曲げ成形ステップS3)と、
前記折り曲げ成形ステップの後に、前記第1平面と交差する第2平面(例えば、後述の第2平面P2)に沿って、前記S字形状部を略頂点部分とした山形形状(例えば、後述の山形形状部11)に成形する山形成形ステップ(例えば、後述の山形成形ステップS4)と、を含むことを特徴とする回転電機用コイル要素の成形方法。
また、金型を用いずにコイル用線材の折り曲げ部分だけに接触する治具を用いてコイル要素を成形可能なので、表面を損傷させずにコイル要素を成形することができる。
前記第1平面に沿って、前記両端部側を折り曲げる第1折り曲げ成形ステップ(例えば、後述の第1折り曲げ成形ステップS2)と、
前記第1平面と交差する第3平面(例えば、後述の第3平面P3)および第4平面(例えば、後述の第4平面P4)にそれぞれ沿って、前記両端部側を互いに近接する方向に折り曲げる第2折り曲げ成形ステップ(例えば、後述の第2折り曲げ成形ステップS3)と、を含むことを特徴とする請求項(1)または(2)記載の回転電機用コイル要素の成形方法。
また、コイル用線材を複数本束にして同時に成形し、生産性を高めることができる。
コイル用線材(例えば、後述のコイル用線材21)の略中央部に形成されかつ第1平面(例えば、後述の第1平面P1)上で略S字形状を呈するS字形状部(例えば、後述のS字形状部13)を固定する第1固定部材(例えば、後述の第1固定部材201)および第2固定部材(例えば、後述の第2固定部材202)を備え、
前記第2固定部材は、前記第1固定部材との間に設けられた前記第1平面上の回動軸(例えば、後述の回動軸203)を中心に回動可能に構成され、
前記第1固定部材と前記第2固定部材との間には、前記回動軸に対して傾斜した隙間(例えば、後述の隙間204)が形成されていることを特徴とする回転電機用コイル要素の成形装置。
図1は、本実施形態に係るコイル要素1を示す斜視図である。
図1に示す回転電機用コイル要素1は、4本束ねられ、回転電機のステータコア3のスロット2に挿入され、互いの端部が接続されることでステータコイルを形成する。
コイル要素1は、平角線材を用いたU字状であり、山形形状部11と、脚部12とを備える。
山形形状部11は、コイル要素1が4本束の並列状態が密接しながらずれて捻れ、捻れ部分を有していてもコイル要素同士が密接に隣接し合っている。
脚部12は、コイル要素1が4本束の並列状態で隙間が無く、コイル要素同士が密接に隣接し合っており、1対の脚部12は互いに線材平面12aを向き合わせている。
図2は、本実施形態に係るコイル要素1のスロット2への挿入状態を示す斜視図である。
コイル要素1は、図2に示すように、4本束で一方の脚部12が同径方向に溝が長いスロット2に挿入され、他の4本束のコイル要素1の他方の脚部12も同じスロット2に挿入され、山形形状部11が干渉無く重なり合うようにして円環配列される。山形形状部11が干渉無く重なり合うようにして円環配列されるので、コイル要素同士が密接に隣接し合いコイルエンド部分の高さが低減され、回転電機の軸方向および径方向の寸法を縮小している。
図3は、本実施形態に係るコイル要素1の成形方法を示す工程図である。
コイル要素1の成形方法は、図3に示すように、S字成形ステップS1、第1折り曲げ成形ステップS2、第2折り曲げ成形ステップS3および山形成形ステップS4からなる。
図4は、本実施形態に係るS字成形ステップS1を説明する図である。
S字成形ステップS1は、S字成形治具100を用い、直線状のコイル用線材21の略中央部に、図4の紙面と平行な第1平面P1上で略S字形状を呈するS字形状部13(図4(c)参照)を成形する。
S字成形治具100は、第1平面P1上に配置される第1ガイド103および第2ガイド104ならびに上方から第1平面P1上に配置される位置決めピン105、第3ガイド106、第1コマ107、第2コマ108、第3コマ109、第4コマ110および第1、第2クランプ111,112を有する。
そして、図4(a)に示すように、4本束のコイル用線材21の図示中央部よりも右側位置をS字成形治具100の第1平面P1上に配置された第1ガイド103および第2ガイド104で4本束の並列状態が崩れないように挟み、4本束のコイル用線材21をS字成形治具100に位置決めする。
第1ガイド103は、略L字形状に折り曲げられて行くコイル用線材21に傷を付けないよう折り曲げ部分に接触する範囲にRが付けられている。
図4(c)に示すコイル用線材21の略中央部には、第1平面P1上で略S字形状を呈するS字形状部13が成形される。
図5は、本実施形態に係る第1折り曲げ成形ステップS2を説明する図である。
第1折り曲げ成形ステップS2では、まず、図5に示すように、S字形状部13が成形された並列状態のコイル用線材21をS字成形治具100上に載置した状態で、第3コマ109および第4コマ110を上方から配置する。
第1折り曲げ成形ステップS2による両脚部14,15の角度調整を経ることで、両脚部14,15間がθ5の角度をなす。
図6、図7は、本実施形態に係る第2折り曲げ成形ステップS3を説明する図である。
第2折り曲げ成形ステップS3では、図6、図7に示すように、S字形状部13を第1平面P1に残し、上方から不図示のエアシリンダで下降させたコの字形状の第1クランプ111を、第1脚部曲げ用溝101上の並列状態の一方の脚部14を跨いで第1脚部曲げ用溝101内に差し込む。
また同時に、上方から不図示のエアシリンダで下降させたコの字形状の第2クランプ112を、第2脚部曲げ用溝102上の並列状態の他方の脚部15を跨いで第2脚部曲げ用溝102内に差し込む。
第1、第2クランプ111,112は、コイル用線材21の両脚部14,15を拘束し、両脚部14,15が第2折り曲げ成形ステップの折り曲げ時に幅方向(第1、第2脚部曲げ用溝101,102の溝幅方向)に膨らむことが規制される。
また、第2クランプ112によってコイル用線材21の他方の脚部15を上から押さえながら、第2脚部曲げ用溝102の縁部102aを中心にして、第2脚部曲げ用溝102上に位置する他方の脚部15を、第1平面P1に略直交する第4平面P4に沿って第2脚部曲げ用溝102内にθ7だけ4本同時に折り曲げる。
第2折り曲げ成形ステップS3の折り曲げ完了後は、エアシリンダによって第1、第2クランプ111,112を上方に引き上げ、第1、第2クランプ111,112によるコイル用線材21の両脚部14,15の規制を解除する。
図8は、本実施形態に係る山形成形ステップS4を説明する図である。
山形成形ステップS4は、山形成形治具200を用い、S字形状部13を略頂点部分とした山形形状部11を成形する。
第1固定部材201は、第1平面P1上に固定された部材である。
第2固定部材202は、第1固定部材201との間に設けられた第1平面P1上の回動軸203を中心に、第1平面P1上に開いた状態から第1固定部材201側にθ8(図8(c)参照)だけ閉じるよう回動可能に構成されている。
第1固定部材201および第2固定部材202は、開いた第1平面P1上にS字形状部13を嵌め込むS字形状部13に対応した凹部207,208が形成されている。
凹部207,208に嵌め込まれたコイル用線材21は、S字形状部13の直線部13aの延在方向が隙間204に直交し、直線部13aが隙間204を跨る。そして、両
脚部14,15がそれぞれ斜上方向に解放された状態となる。
第1押さえ部材205および第2押さえ部材206は、コイル用線材21のS字形状部13のみを押さえるので、両脚部14,15はそれぞれ斜上方向に解放された状態を維持する。
このとき、S字形状部13の略中央部の直線部13aは、回動軸203に傾斜しているので4本束の並列状態を密接しながらずらして捻られて行く。この捻れは、4本束のコイル用線材21の占有体積を増大させるが、第1固定部材201および第2固定部材202の間の隙間204で許容され、捻れるS字形状部13の略中央部は、第1固定部材201および第2固定部材202に接触しない。
また、第1固定部材201および第2固定部材202は、第1押さえ部材205および第2押さえ部材206でS字形状部13のみを固定しているので、山形形状部11を成形する際の応力は、解放された状態の両脚部14,15に影響を与えず両脚部14,15は変形しない。これにより、山形形状部11および両脚部14,15のどちらも形状が崩れず、コイル要素1を設計通りの形状に成形することができる。
山形成形治具200から取り外された山形形状部11を成形したコイル用線材21は、脚部14,15同士が平行となり、略U字状のコイル要素1(図1参照)となる。
また、金型を用いずにコイル用線材21の折り曲げ部分だけに接触するS字成形治具100および山形成形治具200を用いてコイル要素1を成形するので、表面を損傷させずにコイル要素1を成形することができる。
また、コイル用線材21を4本束にして同時に成形し、生産性を高めることができる。
21…コイル用線材
13…S字形状部
13a…直線部(S字形状部の略中央部)
11…山形形状部(山形形状)
12,14,15…脚部(両端部側)
201…第1固定部材
202…第2固定部材
203…回動軸
204…隙間
P1…第1平面
P2…第2平面
P3…第3平面
P4…第4平面
S1…S字成形ステップ
S2…第1折り曲げ成形ステップ(折り曲げ成形ステップ)
S3…第2折り曲げ成形ステップ(折り曲げ成形ステップ)
S4…山形成形ステップ
Claims (6)
- 回転電機のステータコアの各スロットにそれぞれ挿入され、互いの端部が接続されることでステータコイルを形成する回転電機用コイル要素の成形方法であって、
直線状のコイル用線材の略中央部に、第1平面上で略S字形状を呈するS字形状部を成形するS字成形ステップと、
前記S字成形ステップの後に、前記S字形状部よりも両端部側を、互いに近接する方向に折り曲げる折り曲げ成形ステップと、
前記折り曲げ成形ステップの後に、前記第1平面と交差する第2平面に沿って、前記S字形状部を略頂点部分とした山形形状に成形する山形成形ステップと、を含むことを特徴とする回転電機用コイル要素の成形方法。 - 前記山形成形ステップは、前記S字形状部の略中央部を捻りながら屈曲させることで、前記山形形状に成形することを特徴とする請求項1記載の回転電機用コイル要素の成形方法。
- 前記折り曲げ成形ステップは、
前記第1平面に沿って、前記両端部側を折り曲げる第1折り曲げ成形ステップと、
前記第1平面と交差する第3平面および第4平面にそれぞれ沿って、前記両端部側を互いに近接する方向に折り曲げる第2折り曲げ成形ステップと、を含むことを特徴とする請求項1または2記載の回転電機用コイル要素の成形方法。 - 前記コイル用線材を、複数本束にした状態で、前記S字成形ステップ、前記折り曲げ成形ステップおよび前記山形成形ステップを行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回転電機用コイル要素の成形方法。
- 回転電機のステータコアの各スロットにそれぞれ挿入され、互いの端部が接続されることでステータコイルを形成する回転電機用コイル要素の成形装置であって、
コイル用線材の略中央部に形成されかつ第1平面上で略S字形状を呈するS字形状部を固定する第1固定部材および第2固定部材を備え、
前記第2固定部材は、前記第1固定部材との間に設けられた前記第1平面上の回動軸を中心に回動可能に構成され、
前記第1固定部材と前記第2固定部材との間には、前記回動軸に対して傾斜した隙間が形成されていることを特徴とする回転電機用コイル要素の成形装置。 - 前記回動軸に対する前記隙間の傾斜方向は、前記S字形状部の略中央部の延在方向に対して直交することを特徴とする請求項5記載の回転電機用コイル要素の成形装置。
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