JP5954479B1 - ロールの製造方法及び帯電ロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム材を押し出しながら複数の芯金を間隔をあけてゴム材に送り込んで複数のロールを製造する方法において、芯金の先端部の送込速度を速度制御による速度から増速しない構成に比べて、芯金の押出速度を速度制御したときに芯金の先端部でゴム材の外径が増加するのを抑制する。【解決手段】円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部Cに間隔をおいて、速度制御された速度で複数の芯金22を順次送り込む。ゴム材Gで芯金22の外周面が被覆されたゴムロール部56と、先方の芯金22と後方の芯金22との間でゴム材Gの中心部Cに芯金22が存在しない中空部58とを交互に排出する。ここで、芯金22の軸方向の先端部におけるゴム材Gの外径と後端部におけるゴム材Gの外径との比が100%以上200%未満となるように、芯金22の軸方向の先端部を中心部Cに送り込むときの芯金22の送込速度を速度制御による速度よりも増速する。【選択図】図4
Description
本発明は、ロールの製造方法及び帯電ロールの製造方法に関する。
特許文献1のロールの製造方法は、クロスヘッド押出装置を使用して外形をクラウン形状とする方法において、ダイノズルにおける芯金の移動速度を徐々に低下させてから徐々に増加させて、ロールの外径を長さ方向で変化させている。
ゴム材を押し出しながら複数の芯金を間隔をあけてゴム材に送り込んで複数のロールを製造する方法において、芯金の移動速度を芯金の軸方向先端からの位置と該芯金の移動速度との関係が該芯金の軸方向先端から中央にかけて移動速度が遅くなっていき該芯金の中央から後端にかけて移動速度が速くなっていく曲線で表される速度制御する構成では、一定速度で押し出されるゴム材が芯金の先端部で溜まることがある。これにより、ロールの芯金の先端部でゴム材の外径が定められた外径よりも増加する可能性がある。
本発明は、ゴム材を押し出しながら複数の芯金を間隔をあけてゴム材に送り込んで複数のロールを製造する方法において、芯金の先端部の送込速度を速度制御による速度から増速しない構成に比べて、芯金の押出速度を速度制御したときに芯金の先端部でゴム材の外径が増加するのを抑制することを目的とする。
本発明の請求項1に係るロールの製造方法は、円筒状に押し出されるゴム材の中心部に間隔をおいて、芯金の軸方向先端からの位置と該芯金の移動速度との関係が該芯金の軸方向先端から中央にかけて移動速度が遅くなっていき該芯金の中央から後端にかけて移動速度が速くなっていく曲線で表される速度制御で複数の該芯金を順次送り込み、前記ゴム材で前記芯金の外周面が被覆されたゴムロール部と、先方の前記芯金と後方の前記芯金との間で前記ゴム材の中心部に前記芯金が存在しない中間部とを交互に排出するロールの製造方法であって、前記芯金の軸方向の先端部における前記ゴム材の外径と後端部における前記ゴム材の外径との比が100%以上200%未満となるように、前記芯金の軸方向の先端部を前記中心部に送り込むときの前記芯金の送込速度を前記速度制御による速度よりも増速した一定速度とする。
本発明の請求項2に係るロールの製造方法は、前記芯金の軸方向全長を100%として、前記芯金の先端からの位置であり増速を終了する終了位置が1.4%以上8.5%以下の範囲内にある。
本発明の請求項3に係るロールの製造方法は、前記速度制御される前記芯金の送込速度のうち最も低い送込速度を基準速度として、前記芯金の前記送込速度を増速するときに、前記基準速度に対する前記送込速度の比率を120%以上300%以下とする。
本発明の請求項4に係る帯電ロールの製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロールの製造方法において、前記芯金に導電性の前記ゴム材からなる弾性層を形成する。
請求項1の発明は、ゴム材を押し出しながら複数の芯金を間隔をあけてゴム材に送り込んで複数のロールを製造する方法において、芯金の先端部の送込速度を速度制御による速度から増速しない構成に比べて、芯金の押出速度を速度制御したときに芯金の先端部でゴム材の外径が増加するのを抑制することができる。
請求項2の発明は、増速の終了位置が1.4%よりも小さく又は8.5%よりも大きい範囲で芯金の送込速度を増速する構成に比べて、芯金の先端部でゴム材の外径が増加するのを抑制することができる。
請求項3の発明は、基準速度に対する送込速度の比率を120%よりも小さく又は300%よりも大きくする構成に比べて、芯金の先端部でゴム材の外径が増加又は過剰に減少するのを抑制することができる。
請求項4の発明は、芯金の送込速度を速度制御による速度から増速しない構成に比べて、芯金の先端部で弾性層の外径が増加するのを抑制することができる。
本実施形態に係るロールの製造方法及び帯電ロールの製造方法の一例について説明する。なお、本実施形態に係るロールの製造方法及び帯電ロールの製造方法によって製造されるゴム被覆軸体は、一例として、帯電ロール70(図3(C)参照)として用いられる。
図3(C)に示す帯電ロール70は、ロールの一例であり、画像形成装置の感光体(図示省略)に接触して回転し、感光体の外周面を帯電させるものである。また、帯電ロール70は、金属製で円柱状の芯金22と、芯金22の外周面に被覆された導電性のゴム材Gを含む弾性層72とを有している。
[ロール製造装置]
図1には、本実施形態の一例としてのロール製造装置10が示されている。ロール製造装置10は、ゴム材G及び芯金22を排出する排出部12と、排出部12の下方に配置され後述するゴムロール部56を取り出す取出部16と、排出部12と取出部16との間に配置されゴム材Gを押圧する押圧部14とを有している。なお、以後の説明では、先方(下方)の芯金22を芯金22Aと称し、後方(上方)の芯金22を芯金22Bと称して区別する場合がある。先方の芯金22Aと後方の芯金22Bとを区別しない場合は、芯金22として説明する。
図1には、本実施形態の一例としてのロール製造装置10が示されている。ロール製造装置10は、ゴム材G及び芯金22を排出する排出部12と、排出部12の下方に配置され後述するゴムロール部56を取り出す取出部16と、排出部12と取出部16との間に配置されゴム材Gを押圧する押圧部14とを有している。なお、以後の説明では、先方(下方)の芯金22を芯金22Aと称し、後方(上方)の芯金22を芯金22Bと称して区別する場合がある。先方の芯金22Aと後方の芯金22Bとを区別しない場合は、芯金22として説明する。
〔排出部〕
排出部12は、いわゆるクロスヘッドダイから構成される。また、排出部12は、未加硫のゴム材Gを供給する供給部18と、供給部18から供給されたゴム材Gを円筒状に押し出す押出部20と、押出部20から円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部Cに間隔をおいて芯金22を送り込む送込部24とを有している。
排出部12は、いわゆるクロスヘッドダイから構成される。また、排出部12は、未加硫のゴム材Gを供給する供給部18と、供給部18から供給されたゴム材Gを円筒状に押し出す押出部20と、押出部20から円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部Cに間隔をおいて芯金22を送り込む送込部24とを有している。
<供給部>
供給部18は、図示の横方向に延びる円筒状の本体部26の内部にスクリュー28が回転可能に設けられている。スクリュー28は、図示の横方向を軸方向として、供給モータ30によって回転駆動される。供給モータ30は、後述する制御部80により動作制御される。また、本体部26の供給モータ30側には、ゴム材Gを投入する投入口32が設けられている。これにより、投入口32から投入されたゴム材Gは、本体部26の内部においてスクリュー28によって練られながら押出部20に向けて供給される。供給部18では、スクリュー28の回転速度を調整することで、ゴム材Gの供給速度が調整される。
供給部18は、図示の横方向に延びる円筒状の本体部26の内部にスクリュー28が回転可能に設けられている。スクリュー28は、図示の横方向を軸方向として、供給モータ30によって回転駆動される。供給モータ30は、後述する制御部80により動作制御される。また、本体部26の供給モータ30側には、ゴム材Gを投入する投入口32が設けられている。これにより、投入口32から投入されたゴム材Gは、本体部26の内部においてスクリュー28によって練られながら押出部20に向けて供給される。供給部18では、スクリュー28の回転速度を調整することで、ゴム材Gの供給速度が調整される。
(ゴム材)
ゴム材Gは、ゴム材料、加工助剤、導電剤、可塑剤、加硫促進剤などを含んでいる。本実施形態では、ゴム材料の一例としてエピクロルヒドリンゴムを用いており、導電剤の一例としてカーボンブラックを用いている。
ゴム材Gは、ゴム材料、加工助剤、導電剤、可塑剤、加硫促進剤などを含んでいる。本実施形態では、ゴム材料の一例としてエピクロルヒドリンゴムを用いており、導電剤の一例としてカーボンブラックを用いている。
ゴム材料は、エピクロルヒドリンゴムに限らず、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR、及びこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材料は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末が挙げられる。
イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩などが挙げられる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の添加量は特に制限はない。なお、電子導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上30質量部以下の範囲であることがより好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。イオン導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。このように、ゴム材Gは、導電性が高くなっている。
<押出部>
押出部20は、供給部18に接続された円筒状のケース34と、ケース34の内部中心に配置された円柱状のマンドレル36と、マンドレル36の下方に配置される排出ヘッド38とを有している。
押出部20は、供給部18に接続された円筒状のケース34と、ケース34の内部中心に配置された円柱状のマンドレル36と、マンドレル36の下方に配置される排出ヘッド38とを有している。
マンドレル36は、ケース34の上側に取り付けられた保持部材40によって保持されている。排出ヘッド38は、ケース34の下側に取り付けられた保持部材42によって保持されている。そして、マンドレル36の外周面(保持部材40の外周面)と、保持部材42の内周面(排出ヘッド38の内周面)との間には、ゴム材Gが環状(円筒状)に流れる環状流路44が形成されている。
また、マンドレル36の中心部には、芯金22が挿入される挿入孔46が図示の上下方向を軸方向として形成されている。さらに、マンドレル36の下部は、下端に向けて先細った形状を呈している。マンドレル36の下部の下方の領域は、挿入孔46から供給される芯金22と環状流路44から供給されるゴム材Gとが合流する合流部48とされている。即ち、押出部20では、合流部48に向けてゴム材Gが円筒状に押し出されると共に、円筒状に押し出されるゴム材Gの中心部Cに芯金22が送り込まれるようになっている。
ここで、ゴム材Gは、芯金22が無い状態で、合流部48を流れて押出部20から押し出される。このときの速度を押出速度と称する。即ち、押出速度は、芯金22が無い状態で、スクリュー28の回転によりゴム材Gが排出ヘッド38から押し出されるときのゴム材Gの速度(ほぼ一定とされた速度)である。
<送込部>
送込部24は、マンドレル36の上方に配置されるロール対50を有している。ロール対50は、複数対(一例として、3対)設けられており、各ロール対50の片側のロールは、ベルト52を介して駆動ロール54により回転されるようになっている。駆動ロール54は、後述する制御部80によって、回転速度(後述する送込速度)が制御されるようになっている。
送込部24は、マンドレル36の上方に配置されるロール対50を有している。ロール対50は、複数対(一例として、3対)設けられており、各ロール対50の片側のロールは、ベルト52を介して駆動ロール54により回転されるようになっている。駆動ロール54は、後述する制御部80によって、回転速度(後述する送込速度)が制御されるようになっている。
具体的には、駆動ロール54は、駆動モータ84により回転駆動される。駆動モータ84は、モータドライバ82で動作が制御される。さらに、モータドライバ82は、制御部80によって動作が制御される。これにより、駆動ロール54が駆動モータ84により駆動されると、各ロール対50によって挟持される芯金22が、マンドレル36の挿入孔46に向けて送られるようになっている。
<制御部>
図2に示すように、制御部80は、コンピュータを含んで構成されている。そして、制御部80には、コンピュータを、制御手段の一例として機能させるためのロール製造プログラムが設定されている。
図2に示すように、制御部80は、コンピュータを含んで構成されている。そして、制御部80には、コンピュータを、制御手段の一例として機能させるためのロール製造プログラムが設定されている。
具体的には、制御部80は、CPU(Central Processing Unit)80A、ROM(Read Only Memory)80B、RAM(Random Access Memory)80C、及び不揮発性メモリ80Dを有している。また、制御部80は、CPU80A、ROM80B、RAM80C及び不揮発性メモリ80Dと、入出力インターフェース(I/O)80Eとが、バス80Fを介して各々接続された構成となっている。
入出力インターフェース80Eには、モータドライバ82が電気的に接続されており、モータドライバ82は、駆動モータ84に電気的に接続されている。この場合、例えば、ROM80Bにロール製造プログラムを書き込んでおき、これをCPU80Aが読み込むことで、CPU80Aが、モータドライバ82を制御する。なお、不揮発性メモリ80Dは、入出力インターフェース80Eを介して制御部80の外部に接続されてもよく、例えば、メモリカードなどの外部記憶装置であってもよい。
また、図1に示す制御部80は、送込部24によってゴム材Gに芯金22を送り込む速度(以後、送込速度と称する)の減少及び増加を制御するようになっている。送込部24による芯金22の送込速度は、一例として、ゴム材Gの押出速度及び後述する取出部16によるゴムロール部56の取出速度V2(図6(B)参照)よりも高い速度として設定されている。
芯金22の全長は、予め定められた長さL(図3(A)参照)とされている。ここで、ロール対50によって送られる後方(図示の上方)の芯金22Bが、マンドレル36の挿入孔46に存在する先方の芯金22Aを押し、かつ先方の芯金22Aが取出部16で取り出される。このため、複数の芯金22が順次、挿入孔46内を移動するようになっている。
また、駆動ロール54の駆動は、それぞれの芯金22の前方端(下端)がマンドレル36の先端(下端)に位置したときに一旦停止されるようになっている。一方、駆動ロール54が一旦停止されているときも、ゴム材Gの押し出しは続いている。このため、マンドレル36の下方の合流部48において、芯金22が間隔をおいて送り込まれるようになっている。
このように、排出部12では、合流部48においてゴム材Gを円筒状に押し出すと共に、ゴム材Gの中心部Cに間隔をおいて、速度が後述する速度制御された複数の芯金22が、順次、送り込まれるようになっている。これにより、ゴム材Gで芯金22の外周面が被覆されたゴムロール部56と、先方の芯金22と後方の芯金22との間でゴム材Gの中心部Cに芯金22が存在しない中間部の一例としての中空部58とが、排出ヘッド38から交互に排出されるようになっている。なお、芯金22の外周面には、ゴム材Gとの接着性を高めるためにプライマー(図示省略)が予め塗布されている。
図3(B)に示すように、ゴムロール部56は、芯金22の外周面及び芯金22の軸方向両端の端面68がゴム材Gで被覆されたものである。ゴムロール部56の軸方向両端部のゴム材Gが芯金22の径方向に沿って切断され、芯金22の両端部が露出した状態のものが、帯電ロール70(図3(C)参照)である。
<押圧部>
図1に示すように、押圧部14は、1対の半円筒状の押圧部材60を有している。1対の押圧部材60は、排出部12から排出されるゴムロール部56を挟むようにして対向配置されている。各押圧部材60には、ゴムロール部56に向けて突出する突出部62が形成されている。各押圧部材60は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向及び上下方向に移動可能となっている。そして、1対の押圧部材60が、先方の芯金22Aと後方の芯金22Bとの間で、芯金22の無いゴム材Gの一部である中空部58を押圧することで、ゴム材Gが切断されるようになっている。
図1に示すように、押圧部14は、1対の半円筒状の押圧部材60を有している。1対の押圧部材60は、排出部12から排出されるゴムロール部56を挟むようにして対向配置されている。各押圧部材60には、ゴムロール部56に向けて突出する突出部62が形成されている。各押圧部材60は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向及び上下方向に移動可能となっている。そして、1対の押圧部材60が、先方の芯金22Aと後方の芯金22Bとの間で、芯金22の無いゴム材Gの一部である中空部58を押圧することで、ゴム材Gが切断されるようになっている。
<取出部>
取出部16は、1対の半円筒状の取出部材64を有している。1対の取出部材64は、排出部12から排出されるゴムロール部56を挟むようにして対向配置されている。また、各取出部材64には、ゴムロール部56の外周面形状に対応した形状の把持部66が形成されている。そして、各取出部材64は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向および上下方向に移動可能となっている。なお、取出部材64によってゴムロール部56が下側へ取り出される(引っ張り出される)ときの速度を取出速度と称する。
取出部16は、1対の半円筒状の取出部材64を有している。1対の取出部材64は、排出部12から排出されるゴムロール部56を挟むようにして対向配置されている。また、各取出部材64には、ゴムロール部56の外周面形状に対応した形状の把持部66が形成されている。そして、各取出部材64は、駆動機構(図示省略)によって、図示の左右方向および上下方向に移動可能となっている。なお、取出部材64によってゴムロール部56が下側へ取り出される(引っ張り出される)ときの速度を取出速度と称する。
(送込速度の設定)
次に、制御部80における芯金22の送込速度の設定について説明する。
次に、制御部80における芯金22の送込速度の設定について説明する。
帯電ロール70(図3(C)参照)は、回転する感光体(図示省略)に押し付けられた状態で回転される。このとき、帯電ロール70と感光体との接触幅(ニップ幅)が軸方向で揃っていないと、電界強度が軸方向で不均一になり、帯電ムラが生じる可能性がある。このニップ面積を揃える方法として、帯電ロールの外形をクラウン形状(軸方向中央側の外径が両端側の外径よりも大きい形状)にすることが知られている。
クラウン形状の帯電ロール70の製造方法としては、芯金22の軸方向先端から中央にかけて移動速度が遅くなっていくゴム材Gの圧縮時と、中央から後端にかけて移動速度が速くなっていくゴム材Gの引張り時とで、芯金22の送込速度を変更する曲線で表される速度制御方法がある。
ここで、芯金22の送込速度について、芯金22の軸方向の先端位置から後端位置まで全て既述の速度制御方法で制御したところ、先端(下端)側の弾性層72(図3(C)参照)の外径が、設定された外径よりも大きくなる現象が確認された。この現象は、設定された押出速度で押し出され続けるゴム材Gにおいて、ゴム材Gの溜り部ができ、この溜り部に大きな残留応力が生じるためと予想される。つまり、この残留応力が、ゴムロール部56が押出部20から排出された瞬間に解放されることで、ゴムロール部56の先端側の肉厚が増大すると考えられる。言い換えると、芯金22の先端部側の送込速度を既述の速度制御方法の速度よりも増加させれば、中空部58での単位長さ当りのゴム材Gの量が低減されると考えられる。
<帯電ロールの評価>
芯金22の先端部側の速度を既述の速度制御の速度よりも増加させるにあたり、帯電ロール70を後述する各条件で製作して、得られた帯電ロール70の外径比率及び画像評価を行った。
芯金22の先端部側の速度を既述の速度制御の速度よりも増加させるにあたり、帯電ロール70を後述する各条件で製作して、得られた帯電ロール70の外径比率及び画像評価を行った。
帯電ロール70の評価において、ゴム材Gは、主成分をエピクロロヒドリンゴムとし、加工助剤、カーボンブラック、炭酸カルシウム、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤を配合したものを混練して得た。なお、ゴム材Gは、JISK6300−1(2001)のムーニー粘度が50であった。また、本評価に使用した芯金22は、L(全長)=354.5〔mm〕、外径φ8.0〔mm〕のSUS(ステンレス)製である。押出し機は、三葉製作所製φ60〔mm〕、スクリュー有効長さLとスクリュー外径Dとの比(L/D)が20のものを使用し、スクリュー回転数を10〔rpm〕、ダイス径をφ12.5〔mm〕、押出圧力を23〔MPa〕とした。
上記の未加硫のゴム材Gを押出し機で押出し加工すると共に、後述する各設定条件で連続的に芯金22をゴム材Gに送り込んだ。その後、165〔℃〕で75〔min〕熱風炉に投入して加硫を行い、芯金22上にゴム材Gの加硫ゴム層である弾性層72を形成した帯電ロール70(図3(C)参照)を得た。なお、加硫後の帯電ロール70の両端部のゴム材Gを切断して芯金22を露出させた。帯電ロール70の外径の測定には、遮光式レーザー外径測定装置(アサカ理研製:ROLL2000)を使用した。
ここで、芯金22の軸方向全長を100〔%〕として、芯金22の先端からの軸方向の長さを比で表し、先端からの長さが0、0.3、1.4、2.8、8.5、14.1、17〔%〕となる位置を、既述の速度制御による速度よりも増速させる区間の終了位置とした。そして、各終了位置の設定条件において、芯金22の先端から各終了位置までの区間全体で既述の速度制御による速度よりも送込速度を増加させた。
例えば、終了位置1.4〔%〕の条件とは、芯金22の先端位置(0〔%〕)から1.4〔%〕位置までの区間全体において、制御する芯金22の送込速度が既述の速度制御による送込速度よりも増速されることを意味している。また、芯金22の増速については、一例として、芯金22の先端から終了位置までの区間全体で、一定速度で制御した後で、既述の速度制御に移行させた(図4参照)。
図4に示すように、制御部80(図1参照)により既述の速度制御される芯金22の送込速度のうち最も低い速度を基準速度Va(図4参照)とし、先端位置(0〔%〕)から終了位置P1まで一定とされる送込速度をVbとする。ここで、速度比率=Vb/Va×100〔%〕とした。速度比率については、100、110、120、150、175、200、300、320〔%〕と変えて外形評価を行った。図4では、送込速度を表すグラフG1について、縦軸を拡大して示している。また、図4では、先端位置から終了位置P1までについて、既述の速度制御した場合の速度が二点鎖線で示されている。
基準速度Vaは、図3(C)に示す帯電ロール70の外径を最も大きくする部位に合わせて設定されるが、ゴム材Gの応答性を考慮する必要があるため、芯金22の軸方向中央位置を送り出すときの速度が基準速度Vaになるとは限らない。図4では、一例として、位置50〔%〕よりも先端側の位置P2において、基準速度Vaとなっている。
帯電ロール70の外形評価では、帯電ロール70(図3(C)参照)の後端部における弾性層72の外径に対する先端部の弾性層72の外径の比率を外径比率〔%〕として、3段階で評価した。具体的には、外径比率が100〔%〕以上150〔%〕以下のものをA、外径比率が150〔%〕よりも大きく200〔%〕未満のものをB、外径比率が200〔%〕以上のものをC、外径が100〔%〕未満のものをDとした。なお、帯電ロール70の先端部とは、帯電ロール70のゴム材G(弾性層72)の下端位置を意味しており、後端部とは、帯電ロール70のゴム材G(弾性層72)の上端位置を意味している。
また、外径比率を変えた帯電ロール70について、画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:Docu Centre−IV C2260、帯電ロール70への印加電圧−1000〔V〕)に取り付け、画像評価を行った。画像評価は、グレーの全面ベタ画像を設定枚数で画像形成して、最後の1枚について、定着後の画像の濃度ムラを目視することで行った。画像評価結果は、目視で濃度ムラが確認されなかったものを○、目視で濃度ムラが確認されたものを×として、2段階評価で行った。
図8(A)には、本実施形態の帯電ロール70(図3(C)参照)の一例である実施例1から実施例9までの評価結果が示されている。また、図8(B)には、比較例1から比較例4までの帯電ロール(図示省略)の評価結果が示されている。
画像評価結果については、外径比率との相関が見られた。具体的には、外径比率がA又はBである実施例1から実施例9までについては、画像評価結果が○となった。一方、外径比率がCである比較例1から比較例4までについては、画像評価結果が×となった。つまり、図3(C)に示す芯金22の軸方向の先端部におけるゴム材Gの外径と後端部におけるゴム材Gの外径との比(外径比率)が、100〔%〕以上200〔%〕未満となるように、先端からの位置及び速度比率を設定することが望ましい。
ここで、図8(A)、(B)の評価結果から、芯金22(図3(C)参照)の軸方向全長を100〔%〕として、既述の速度制御に対する増速の終了位置を1.4〔%〕以上8.5〔%〕以下の範囲内とすることが望ましいことが確認された。また、芯金22の送込速度を増速するときに、既述の基準速度に対する送込速度の速度比率を120〔%〕以上300〔%〕以下とすることが望ましいことが確認された。このように、芯金22の軸方向の先端部をゴム材Gの中心部Cに送り込むときの芯金22の送込速度を既述の速度制御による速度よりも増速することが望ましいことが確認された。
ロール製造装置10(図1参照)では、評価結果をふまえて、一例として、送込速度の増速の終了位置を2.8〔%〕位置とし、速度比率を175〔%〕として、外径比率がAの帯電ロール70を製造する設定となっている。つまり、芯金22の送込速度は、図4に示すグラフG1の速度制御パターンに合わせて変更される。
[作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1に示すロール製造装置10が起動されると、供給モータ30が駆動される。これにより、スクリュー28が回転駆動され、未加硫のゴム材Gが定められた押出速度V1(図5(A)参照)で円筒状に押し出される。
続いて、駆動モータ84が駆動されて、駆動ロール54及びロール対50が回転する。これにより、図5(A)に示すように、先方の芯金22Aがゴム材Gの中心部Cに送込速度Vbで送り込まれ始める。送込速度Vbは、既述の基準速度Va(図4参照)に対して175〔%〕の速度である。なお、図示を省略するが、芯金22Aの先端(下端)は、押圧部材60が横方向に移動することによりゴム材Gで覆われている。
続いて、図5(B)に示すように、芯金22の先端(下端)からマンドレル36の下端までの長さLx=2.8〔%〕となる部分(位置)がマンドレル36の下端に到達した以降は、芯金22Aの送込速度が、グラフG1(図4参照)に従って速度制御される。
続いて、図5(C)及び図6(A)に示すように、ゴムロール部56(芯金22A及びゴム材G)が、取出部16によって取り出される(引っ張られる)。
続いて、図6(B)に示すように、ゴムロール部56と、ゴム材Gの中心部Cが中空とされた中空部58とが交互に排出される。このとき、後方の芯金22Bについても、先方の芯金22Aと同様に、グラフG1(図4参照)に従って芯金22の送込速度が制御される。
続いて、図7(A)に示すように、中空部58が押圧部材60の対向位置まで移動したとき、各押圧部材60が互いに近づく方向に可動され、中空部58のゴム材Gは、各押圧部材60の突出部62により内方に押圧される。これにより、図7(B)に示すように、先方の芯金22Aの端面68及び後方の芯金22Bの端面68が、中空部58のゴム材Gによって覆われる。
続いて、図7(C)に示すように、各押圧部材60が互いに離れる方向に可動されると、芯金22を袋とじ状とした(芯金22Aの両端部がゴム材Gで覆われた)帯電ロール70が成形される。なお、各取出部材64は、分離されたゴムロール部56を把持しつつ下方に移動させた後、次のゴムロール部56を把持するための待機位置に移動する。そして、得られたゴムロール部56について、既述の加硫処理及び両端部のゴム材Gの切断処理を施すことにより、帯電ロール70(図3(C)参照)が得られる。
ここで、一例として、得られた帯電ロール70について、既述の方法で外径比率を測定したところ、140〔%〕であり、外径比率が100〔%〕以上200〔%〕未満の範囲に入っていることが確認された。
以上、説明したように、本実施形態のロールの製造方法の一例によれば、先方のゴムロール部56と後方のゴムロール部56との間の中空部58においてゴム材Gが滞留しているときに、既述の速度制御による速度よりも増速された芯金22がゴム材Gに送り込まれる。このため、中空部58に滞留しているゴム材Gが、芯金22の送込速度を既述の速度制御した場合に比べて、芯金22の先端部に局所的に多く付着することが抑制される。これにより、芯金22の送込速度を速度制御したときに、既述の速度制御による送込速度よりも増速しない構成に比べて、芯金22の先端部でゴム材Gの外径が後端部に対して増加することが抑制される。
また、本実施形態のロールの製造方法の一例によれば、芯金22の軸方向全長を100〔%〕として、芯金22の増速の終了位置が1.4〔%〕以上8.5〔%〕以下の範囲で設定されている。これにより、ゴム材Gが滞留し易い場所で芯金22の速度が既述の速度制御の速度よりも増速されるので、1.4〔%〕以上8.5〔%〕以下の範囲以外に増速の終了位置を設定した構成に比べて、芯金22の先端部でゴム材Gの外径が増加することが抑制される。
さらに、本実施形態のロールの製造方法の一例によれば、芯金22の送込速度のうち最も低い送込速度を基準速度Vaとして、芯金22の送込速度を増速するときに、基準速度Vaに対する速度比率が120〔%〕以上300〔%〕以下で設定されている。ここで、比較例として、速度比率が120〔%〕よりも小さい場合は、ゴム材Gが芯金22に局所的に付着し易くなって外径が増加する。また、速度比率が300〔%〕よりも大きい場合は、芯金22の加速度が大きくなり、ゴム材Gが伸びて先端部の外径が減少する。一方、本実施形態の方法では、速度比率を120〔%〕以上300〔%〕以下とすることで、ゴム材Gの局所的な付着又は外径の減少が抑制される。このため、速度比率を120〔%〕以上300〔%〕以下としない構成に比べて、芯金22の先端部でゴム材Gの外径が増加又は過剰に減少することが抑制される。
また、本実施形態の帯電ロールの製造方法の一例によれば、芯金22の送込速度を既述の速度制御したときに芯金22の先端部でゴム材Gの外径が後端部に比べて増加することが抑制される。つまり、芯金22の先端部で弾性層72の外径が増加することが抑制される。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されない。
図9(A)には、既述の速度制御(二点鎖線のグラフ)に対して、芯金22(図3(C)参照)の送込速度を先端位置0〔%〕から終了位置P1〔%〕までほぼ一定の送込速度Vbとし、それ以後は既述の速度制御する既述の実施形態のグラフG1が示されている。しかし、本発明は、このように、先端位置0〔%〕から終了位置P1〔%〕まで一定速度とするものに限定されない。
例えば、図9(B)に示すように、既述の速度制御(二点鎖線のグラフ)に対して、芯金22の先端速度を先端位置0〔%〕から終了位置P1〔%〕まで直線的に減速させ、終了位置P1以降で既述の速度制御させるグラフG2としてもよい。また、先端位置0〔%〕から終了位置P1〔%〕まで、既述の速度制御よりも増速される範囲で曲線的に減速させてもよい。
ゴム材Gの押出手段は、スクリュー状のものに限らず、ピストン状のものであってもよい。また、芯金22の送込手段は、ロール対に限らず、把持部を有する移動部材であってもよい。さらに、ゴムロール部56の取出手段は、ゴムロール部56を掴んで移動するものに限らず、ロール対で移動させてもよい。
増速する位置の設定について、帯電ロール70の外径比率が100〔%〕以上200〔%〕未満となる条件であれば、増速を終了する位置は、1.4〔%〕以上8.5〔%〕以下の範囲以外となる位置であってもよい。また、帯電ロール70の外径比率が100〔%〕以上200〔%〕未満となる条件であれば、速度比率は、120〔%〕以上300〔%〕以下とは異なる値であってもよい。
ロール製造装置10では、押圧部14により中空部58で帯電ロール70を分離するように構成したが、押圧部14により中空部58のゴム材を内方に押圧した後、図示しない他の切断部材(カッター)によって帯電ロール70を分離するように構成してもよい。
ゴム材Gは、エピクロルヒドリンゴムを用いたものを例示したが、これに限るものではなく、他のゴム材料を用いても良い。また、帯電ロール70は、芯金22の端面68の全面が中空部58のゴム材Gによって袋とじ状に覆われていたが、これに限らず、芯金22の端面68の少なくとも周縁部が中空部58のゴム材Gによって覆われていればよい。
本実施形態のロールの製造方法により得られるロール(完成体)は、複写機、プリンターなどの画像形成装置で使用されるが、用途は帯電ロール70に限らず、記録媒体の搬送ロール、現像ロール、転写ロールなどに用いてもよい。
10 ロール製造装置、
22 芯金
56 ゴムロール部
58 中空部(中間部の一例)
70 帯電ロール(ロールの一例)
72 弾性層
G ゴム材
22 芯金
56 ゴムロール部
58 中空部(中間部の一例)
70 帯電ロール(ロールの一例)
72 弾性層
G ゴム材
Claims (4)
- 円筒状に押し出されるゴム材の中心部に間隔をおいて、芯金の軸方向先端からの位置と該芯金の移動速度との関係が該芯金の軸方向先端から中央にかけて移動速度が遅くなっていき該芯金の中央から後端にかけて移動速度が速くなっていく曲線で表される速度制御で複数の該芯金を順次送り込み、前記ゴム材で前記芯金の外周面が被覆されたゴムロール部と、先方の前記芯金と後方の前記芯金との間で前記ゴム材の中心部に前記芯金が存在しない中間部とを交互に排出するロールの製造方法であって、
前記芯金の軸方向の先端部における前記ゴム材の外径と後端部における前記ゴム材の外径との比が100%以上200%未満となるように、前記芯金の軸方向の先端部を前記中心部に送り込むときの前記芯金の送込速度を前記速度制御による速度よりも増速した一定速度とするロールの製造方法。 - 前記芯金の軸方向全長を100%として、前記芯金の先端からの位置であり増速を終了する終了位置が1.4%以上8.5%以下の範囲内にある請求項1に記載のロールの製造方法。
- 前記速度制御される前記芯金の送込速度のうち最も低い送込速度を基準速度として、
前記芯金の前記送込速度を増速するときに、前記基準速度に対する前記送込速度の比率を120%以上300%以下とする請求項2に記載のロールの製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロールの製造方法において、
前記芯金に導電性の前記ゴム材からなる弾性層を形成する帯電ロールの製造方法。
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